JP2021093200A - 避航支援装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】船舶の操縦性能に応じた最適な避航操船方法を自動的に導出可能な避航支援装置を提供する。【解決手段】選好度算出部24は、避航操船空間(変針角の選択肢と変速率の選択肢とを組み合わせた空間)の各位置毎に、各位置の選択に伴う操船者の主観的な好みを表す選好度を算出する。危険度算出部26aは、自船の操縦性能を表す操縦性能パラメータを反映して現時点から所定時間後の自船の状況を仮定し、当該状況下で自船が避航操船を行った場合の他船に対する衝突危険度を、避航操船空間の各位置毎に算出する。効用値算出部20は、避航操船空間の各位置毎に、選好度から衝突危険度を減算することで効用値を算出する。操船指示部23は、効用値算出部20の算出結果に基づく避航操船を所定時間後の状況下で行った場合の航路に乗るように、自船の操船方法を指示する。【選択図】図1

Description

本発明は、避航支援装置に関し、例えば、他船との衝突を回避するための最適な操船方法を計算によって求める技術に関する。
非特許文献1,2には、現時点における操船者の選好関係を、避航操船空間の効用値によって表す方式が示される。避航操船空間は、針路の変針角と速力の変速率とを組み合わせた空間であり、効用値は、この空間の各位置毎に算出される。効用値は、針路、速力の変更に伴う操船者の主観的な選好度から、針路、速力の変更に応じた他船に対する客観的な衝突危険度を減算したものである。
特許文献1には、操縦性指数K,Tを用いて船舶の操縦運動を推定する方法が示される。特許文献2には、最適な変針角等を求める避航操船シミュレーションと、その変針角等を反映した避航操船とを順次繰り返すような操船方法を想定し、現時点で得られる避航操船シミュレーションの変針角等を反映して当該操船方法に従った場合に、どの程度の危険が今後生じるかを現時点で予測する避航支援装置が示される。具体的には、当該避航支援装置は、現時点において、時間をΔtずつ進めながら、その都度、避航操船シミュレーションと、その変針角等を反映して避航操船を行った前提での運動シミュレーションとを実行する。当該避航支援装置は、Δt毎に避航操船シュミレーションによって得られる他船との衝突危険度を画面に表示することで、操船者に現時点での変針角の妥当性を判断させる。
特開平4−154498号公報 特開平9−22499号公報
長澤、他3名、"避航操船環境の困難度−II.−シミュレーションによる評価に向けて−"、日本航海学会論文集、88号、1993年、p.137−144 長澤、他3名、"Assessment of High Speed Navigation in a Congested Area by the Traffic Simulation"、FAST’93、Vol.2(1993)、p.1349−1357
例えば、非特許文献1,2に示されるような方式に基づく避航操船シミュレータが知られている。また、このような避航操船シミュレータを利用して、船舶の安全な避航や船舶の省人化等を図るための装置として、特許文献2に示されるような避航支援装置が知られている。避航操船シミュレータを用いると、現時点で他船との衝突を効率的に回避するための変針角等が得られる。しかし、現実的には、現時点で船舶を即座に当該変針角等に制御することは困難であり、船舶の操縦性能(例えば、船舶の大きさ等)に応じた応答性の遅延が生じ得る。このため、避航操船シミュレータに基づく理想的な操船方法と、船舶の操縦性能に応じた現実的な操船方法との間に乖離が発生する。
そこで、この乖離を考慮して、特許文献2に示されるように、現時点において、時間をΔtずつ進めながら、避航操船シミュレーションおよび運動シミュレーションを繰り返し行うような方式が考えられる。当該方式を用いると、現時点での避航操船シミュレーションの結果をそのまま適用した際の今後生じ得る危険を、現時点で予測することが可能になる。しかし、当該方式では、現時点での最適解が得られる訳ではなく、現時点での最適解は、当該予測結果に基づく操船者の判断に委ねられる。近年、避航支援装置は、船舶の自律航行で必要とされる主要技術の一つを担うことが期待される。このため、避航支援装置は、現時点での最適解を操船者の判断を経ずに得ることが望まれる。
本発明は、このようなことに鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、船舶の操縦性能に応じた最適な避航操船方法を自動的に導出可能な避航支援装置を提供することにある。
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態の概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
一実施の形態による避航支援装置は、選好度算出部と、危険度算出部と、効用値算出部と、操船指示部とを有する。選好度算出部は、変針角の選択肢と変速率の選択肢とを組み合わせた空間を避航操船空間として、避航操船空間の各位置毎に、当該各位置の選択に伴う操船者の主観的な好みを表す選好度を算出する。危険度算出部は、自船の操縦性能を表す操縦性能パラメータを反映して現時点から所定時間後の自船の状況を仮定し、当該状況下で自船が避航操船を行った場合の他船に対する衝突危険度を、避航操船空間の各位置毎に算出する。効用値算出部は、避航操船空間の各位置毎に、選好度から衝突危険度を減算することで効用値を算出する。操船指示部は、効用値算出部の算出結果に基づく避航操船を所定時間後の状況下で行った場合の航路に乗るように、自船の操船方法を指示する。
前記一実施の形態によれば、船舶の操縦性能に応じた最適な避航操船方法を自動的に導出可能になる。
本発明の実施の形態1による避航支援装置周りの構成例を示す概略図である。 図1における危険度算出部の処理内容の一例を示す説明図である。 図1の避航支援装置における主要部の概略的な処理内容の一例を示すフロー図である。 本発明の実施の形態2による避航支援装置周りの構成例を示す概略図である。 図4における運動シミュレータの処理内容の一例を説明する図である。 図4における運動シミュレータの処理内容の一例を説明する図である。 図4における運動シミュレータの処理内容の一例を説明する図である。 図4における危険度算出部の処理内容の一例を示す説明図である。 図4の避航支援装置における主要部の概略的な処理内容の一例を示すフロー図である。 自船と他船が衝突し得る状況の一例を示す図である。 本発明の比較例となる避航支援装置における選好度算出部の処理結果の一例を示す図である。 本発明の比較例となる避航支援装置における危険度算出部の処理内容の一例を説明する図である。 図12におけるバンパー領域を説明する補足図である。 本発明の比較例となる避航支援装置における危険度算出部の処理結果の一例を示す図である。 本発明の比較例となる避航支援装置における効用値算出部の処理結果の一例を示す図である。 本発明の比較例となる避航支援装置において、効用値算出部の算出結果に基づき避航操船を行った場合の実際上の航路の一例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
《避航支援装置周りの概略》
図1は、本発明の実施の形態1による避航支援装置周りの構成例を示す概略図である。図1において、船舶情報取得部11は、各種機構を用いて、自船の情報(針路、速力および位置(座標))と、自船周辺の所定の範囲内に存在する単数または複数の他船の情報(針路、速力および位置(座標))とを取得する。各種機構は、代表的には、AIS(Automatic Identification System)30、レーダ31、カメラ32、方位センサ35、速度センサ36およびGPS(Global Positioning System)37等のいずれかまたはその組み合わせである。
AISは、船舶間や船舶と陸上間で、船舶の位置、針路、速力、目的地などの船舶情報を無線通信で交換することで、他船や自船の情報を取得するシステムである。レーダ31やカメラ32は、自船の周辺に存在する各他船の相対的な針路、速力および位置を検出することで、他船の情報を取得する。方位センサ35は、ジャイロコンパス等であり、自船の針路を検出する。速度センサ36は、電磁式ログやドップラーログ等であり、自船の速力を検出する。GPS37は、自船の位置(座標)を検出する。
避航支援装置10は、効用値算出部20と、パラメータ保持部21と、航路設定部22と、操船指示部23とを備える。効用値算出部20は、選好度算出部24と、危険度算出部26aとを備える。避航支援装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含むコンピュータシステムを用いたプログラム処理によって実現される。ただし、必ずしもこれに限定されず、例えば、避航支援装置10の一部は、専用のハードウェアで実現されてもよい。
航路設定部22は、予め操船者等によって設定された電子海図上の予定航路を記憶する。予定航路は、出発地点と目標地点とを複数のウエイポイント(WP)を介して結んだ経路であり、ウエイポイント(WP)は、代表的には変針点である。電子海図は、ハードディスク等の不揮発性記憶装置14に記憶される。パラメータ保持部21は、自船の操縦性能を表す操縦性能パラメータとして、自船の操縦性能に応じて定められる応答性の遅延時間Tdを保持する。遅延時間Tdは、自船の操縦性能が低いほど長く、高いほど短く定められる。
危険度算出部26aは、概略的には、操縦性能パラメータを反映して現時点から所定時間後の自船の状況を仮定し、当該状況下で自船が避航操船を行った場合の他船に対する衝突危険度を、避航操船空間の各位置毎に算出する。より詳細には、危険度算出部26aは、他船および自船が現進航状態をパラメータ保持部21に保持される遅延時間Td維持した後の状況を仮定し、当該状況下で避航操船空間の各位置毎の衝突危険度を算出する。避航操船空間とは、変針角の選択肢と変速率の選択肢とを組み合わせた空間であり、避航操船を行う際に採り得る選択肢(言い換えれば手数)を表す。
選好度算出部24は、避航操船空間の各位置毎に、当該各位置の選択に伴う操船者の主観的な好みを表す選好度を算出する。効用値算出部20は、避航操船空間の各位置毎に、選好度算出部24による選好度から危険度算出部26aによる衝突危険度を減算することで効用値を算出する。操船指示部23は、効用値算出部20の算出結果(例えば、効用値が最大となる避航操船空間の位置)に基づく避航操船を前述した所定時間後の状況下で行った場合の航路に乗るように、自船の操船方法を自動操縦装置15へ指示する。
自動操縦装置15は、例えば、風波潮等の外力が働いた場合でも指示された座標に到達するように舵を自動制御するトラックコントロールシステム(TCS)や、指示された変速率に向けて変速するようにエンジン出力を自動制御する装置等を含む。自動操縦装置15は、船舶情報取得部11からの自船情報(現在の針路、速力、位置(座標))と、航路設定部22からの予定航路情報とを受け、操船指示部23からの指示に応じて、適宜、避航操船を行いながら、目標地点に向けて自律航行を行う。結果表示装置13は、ディスプレイ等であり、例えば、効用値算出部20による効用値の算出結果を表す3次元グラフ(避航操船空間の各位置毎の効用値)を表示する。
《避航支援装置(比較例)の各部の詳細》
ここで、実施の形態1の避航支援装置の説明に先立ち、比較例となる避航支援装置について説明する。比較例となる避航支援装置は、図1の構成例において、パラメータ保持部21が設けられず、これに伴い、比較例となる危険度算出部は、操縦性能パラメータを反映せずに衝突危険度を算出する。また、比較例となる避航支援装置では、図1の構成例における操船指示部の処理内容も若干異なっている。以下、比較例となる避航支援装置における主要部の詳細について説明する。
図10は、自船と他船が衝突し得る状況の一例を示す図である。図10の例では、自船OSは、北に向けて所定の速力で進航しており、他船TSは、西に向けて所定の速力で進航している。自船OSおよび他船TSは、そのまま進航を続けると、所定の時間(最近接時間(Tcpa))後に衝突する可能性がある。この場合、他船TSを右側に見る自船OSに衝突回避義務が生じる。このような場合に、自船OSは、衝突を効率的に回避するための避航操船方法を避航支援装置を用いて探索する。
図11は、本発明の比較例となる避航支援装置における選好度算出部の処理結果の一例を示す図である。図11において、横軸は、変針角[deg]であり、原針路を0[deg]として左変針“−60[deg]”から右変針“60[deg]”までの範囲を示している。縦軸は、変速率[%]であり、原速力を100[%]として0[%]から100[%]までの範囲を示している。前述した避航操船空間は、この横軸および縦軸で示される空間であり、避航操船の選択肢を表す空間である。
一方、高さ軸は、選好度であり、“1.0”に近づくほど好ましさが増し、“0”に近づくほど好ましさが減ることを表す。通常、操船者は、他船や陸域等の障害物が存在しない場合、主観的に原針路と原速力を維持することを好み、針路や速力をできるだけ変化させないことを好む。図11に示される選好度Pb(i,j)は、このような操船者の主観を反映して、式(1)に示される演算式によって定められる。
Pb(i,j)=Pb(i,0)×Pb(0,j) …(1)
式(1)によって算出される選好度Pb(i,j)は、図11に示されるように、現進航状態を維持する避航操船空間上の位置(変針角“0[deg]”、変速率“100[%]”の位置)にピーク値を有する。選好度算出部24は、変針角(i)と変速率(j)との組み合わせ毎に、式(1)の選好度Pb(i,j)を算出する。
ここで、式(1)における各項は、式(2)の変針選好度Pb(i,0)および式(3)の変速選好度Pb(0,j)に示される指数関数によって定められる。変針選好度Pb(i,0)は、変速率を100[%]とした場合で、変針角を0[deg]から“ΔCo”変化させた場合の選好度を表す。一方、変速選好度Pb(0,j)は、変針角を0[deg]とした場合で、変速率を100[%]から“ΔV”変化させた場合の選好度を表す。式(2)および式(3)における“ac”および“av”は予め設定される係数であり、“ac”は、右変針時と左変針時で異なる値に設定されてもよい。
Pborg(i,0)=exp(−ac×ΔCo) …(2)
Pborg(0,j)=exp(−av×ΔV) …(3)
図12は、本発明の比較例となる避航支援装置における危険度算出部の処理内容の一例を説明する図であり、図13は、図12におけるバンパー領域を説明する補足図である。図14は、本発明の比較例となる避航支援装置における危険度算出部の処理結果の一例を示す図である。例えば、図10に示したようなケースにおいて、比較例となる危険度算出部は、図14に示されるような処理結果を生成する。図14において、横軸および縦軸は、図11の場合と同様の避航操船空間である。高さ軸は、衝突危険度であり、“1.0”に近づくほど危険が増し、“0”に近づくほど危険が減ることを表す。
比較例となる危険度算出部は、図1の危険度算出部26aのように現時点から所定時間後の自船の状況ではなく、現時点での自船の状況に基づいて、図14の避航操船空間の各位置毎に、図12に示されるような方式を用いて衝突危険度を算出する。図12には、自船OSと他船TSの相対関係が示される。自船OSは、絶対軸上の座標(Xo,Yo)に位置し、所定の針路へ速力Voで進航する。一方、他船TSは、絶対軸上の座標(Xt,Yt)に位置し、所定の針路へ速力Vtで進航する。
ここで、自船OSおよび他船TSの一方は基準船舶であり、他方は対象船舶である。基準船舶の位置は、相対軸上の原点に定められ、基準船舶の針路は、相対軸上のY軸に定められ、それに直交する軸は、相対軸上のX軸に定められる。この例では、基準船舶は他船TS、対象船舶は自船OSであるが、相対関係であるため、対象船舶が他船TS、基準船舶が自船OSであってもよい。
このような相対軸上で、対象船舶である自船OSは、速力Voのベクトルと速力Vtの逆ベクトルとの合成ベクトルで得られる相対針路43へ相対速力Vrで進行する。なお、自船OSの座標、針路、速力は、図1の船舶情報取得部11からの自船情報に、避航操船空間の位置に基づく変針角および変速率を反映させることで定められる。また、他船TSの座標、針路、速力は、図1の船舶情報取得部11からの他船情報に基づき、他船TSが現進航状態(すなわち原針路および原速力)をそのまま維持するものとして定められる。
ここで、基準船舶である他船TSの周囲には、楕円状のバンパー領域(排他的領域)40が設定される。図13には、短径Aおよび長径Bを有するバンパー領域40が示される。バンパー領域40のサイズは、例えば、自船OSの全長および速力、他船TSの全長および速力といった2隻の船舶の情報に基づいて定められる。なお、他船TSの位置は、バンパー領域40の中心ではなく、船舶の交通ルール等を反映して中心から距離Cおよび距離Dだけ左下にシフトした位置に設定される。
このようなバンパー領域40を用いて、図12に示されるように、他船TSの位置からバンパー領域40の外周に向けて最大値から最小値に順次推移するようなリスク関数41,42が定義される。具体的には、リスク関数41は、Y軸(相対軸)用であり、他船TSの位置となるY軸(相対軸)の原点座標で最大値“1.0”となり、バンパー領域40の外周が位置するY軸(相対軸)の最大座標および最小座標で最小値(例えば“0”)となる。同様に、リスク関数42は、X軸(相対軸)用であり、X軸(相対軸)の原点座標で最大値“1.0”となり、バンパー領域40の外周が位置するX軸(相対軸)の最大座標および最小座標で最小値(例えば“0”)となる。
危険度算出部は、自船OS(対象船舶)が将来的に通過するバンパー領域40内の位置に応じたリスク関数41,42の値を算出することで衝突危険度を算出する。具体的には、危険度算出部は、自船OSが相対針路43上を進航した場合のY軸(相対軸)との交点座標に対応するリスク関数41の値をY軸衝突危険度Ryとして算出し、X軸(相対軸)との交点座標に対応するリスク関数42の値をX軸衝突危険度Rxとして算出する。
そして、危険度算出部は、式(4)に示されるように、Y軸衝突危険度RyかX軸衝突危険度Rxの大きい方の値に所定の重み付けを行うことで衝突危険度Rk(i,j)を算出する。式(4)において、“Tcpa”は最近接時間であり、“Wtcpa”は予め設定された一定時間である。式(4)では、最近接時間(Tcpa)が短いほど、衝突危険度R(i,j)が高まるような重み付けがなされている。
Rk(i,j)=max(Rx,Ry)×(1−Tcpa/Wtcpa) …(4)
また、実際には、所定の範囲内に他船TSは1隻ではなく、q隻(qは2以上の整数)存在する場合がある。これに伴い、図14の避航操船空間の各位置毎に、対象となる他船TS(すなわち、最も影響が大きい他船TS)も異なり得る。そこで、実際には、式(4)の衝突危険度Rk(i,j)の代わりに、式(5)の衝突危険度R(i,j)が用いられる。式(5)の衝突危険度R(i,j)は、避航操船空間の各位置毎に、単数または複数の他船TSの中の最も影響が大きい他船TSに対する衝突危険度Rk(i,j)によって定められる。
Figure 2021093200
図15は、本発明の比較例となる避航支援装置における効用値算出部の処理結果の一例を示す図である。図15において、横軸および縦軸は、図11の場合と同様の避航操船空間である。高さ軸は、効用値であり、“1.0”に近づくほど効果が増し、“0”に近づくほど効果が減ることを表す。効用値算出部20は、図15の避航操船空間の各位置毎に、式(6)に示されるように、選好度算出部24による選好度Pb(i,j)から、危険度算出部による式(5)の衝突危険度R(i,j)を減算することで効用値u(i,j)を算出する。すなわち、図15の効用値u(i,j)は、図11の選好度Pb(i,j)から図14の衝突危険度R(i,j)を減算することで得られる。この際に、衝突危険度R(i,j)は、詳細には、所定の係数αで重み付けされる。
u(i,j)=Pb(i,j)−α×R(i,j) …(6)
最適な避航操船方法は、例えば、効用値u(i,j)が最大となる方法であり、図15の例では、原速力を維持して、変針角18[deg]の右変針を行う方法となる。比較例となる操船指示部は、この効用値算出部20の算出結果に基づく避航操船を、図1の操船指示部23のように所定時間後の状況下で行った場合ではなく、現時点で行った場合(すなわち、現時点で18[deg]の右変針を行った場合)の航路に乗るように、自船の操船方法を指示する。
《避航支援装置(比較例)の問題点》
図16は、本発明の比較例となる避航支援装置において、効用値算出部の算出結果に基づき避航操船を行った場合の実際上の航路の一例を示す図である。この例では、効用値算出部20の算出結果に基づき、現時点(t=0)において他船TSを回避するための最適な変針角θrが得られている。比較例となる操船指示部は、この変針角θr上の目標回避航路70に乗るように自船の操船方向を指示する。具体的には、操船指示部は、例えば、当該目標回避航路70上の所定の座標を自動操縦装置15へ指示する。
ここで、自船OSsの操縦性能が高い場合(例えば小型船舶の場合)、自船OSsを目標回避航路70上に短時間で乗せることが可能である。その結果、所定の期間経過後(t=Tm時)に、自船OSs[Tm]は、他船TS[Tm]を効率的に回避することができる。しかし、自船OSbの操縦性能が低い場合(例えば大型船舶の場合)、自船OSbを目標回避航路70上に短時間で乗せることは困難になり得る。その結果、所定の期間経過後(t=Tm時)に、自船OSb[Tm]と他船TS[Tm]の衝突を招くような状況が生じる恐れがある。このように、比較例となる避航支援装置では、船舶の操縦性能に応じた最適な避航操船方法を自動的に導出することは困難となり得る。
《避航支援装置(実施の形態1)の各部の詳細》
そこで、図1の危険度算出部26aは、前述したように、操縦性能パラメータ(パラメータ保持部21の遅延時間Td)を反映して現時点から所定時間(遅延時間Td)後の自船の状況を仮定し、当該状況下で自船が避航操船を行った場合の他船に対する衝突危険度を、避航操船空間の各位置毎に算出する。図2は、図1における危険度算出部の処理内容の一例を示す説明図である。
図2の例では、自船OSは、現時点(t=0)において、座標(X,Y)=(Xo[0],Yo[0])に位置し、Y軸方向に針路を向けているものとする。一方、他船TSは、現時点(t=0)において、座標(X,Y)=(Xt[0],Yt[0])に位置し、X軸方向に針路を向けているものとする。ここで、危険度算出部26aは、まず、他船TSおよび自船OSが現進航状態(原針路および原速力)を遅延時間Td維持した後の状況を仮定する。その結果、遅延時間Td後の自船OS[Td]の座標(X,Y)は、(Xo[0],Yo[Td])となり、他船TS[Td]の座標(X,Y)は、(Xt[Td],Yt[0])となる。
そして、危険度算出部26aは、当該遅延時間Td後の自船OS[Td]および他船TS[Td]の状況下で、自船OS[Td]が他船TS[Td]に対して避航操船を行った場合の避航操船空間の各位置毎の衝突危険度を算出する。具体的には、危険度算出部26aは、現時点ではなく当該遅延時間Td後の自船OS[Td]および他船TS[Td]の座標、針路、速力を前提として図12に示したような相対座標系を構築すると共に、自船OS[Td]に対して避航操船空間上の各位置に基づく変針角および変速率を反映させることで衝突危険度を算出する。
効用値算出部20は、選好度算出部24の算出結果(図11)と、当該危険度算出部26aによる遅延時間Td後の衝突危険度とを用いて最適な変針角θr(および変速率)を算出する。操船指示部23は、効用値算出部20の算出結果に基づく避航操船を、前述した遅延時間Td後の状況下で行った場合の航路(目標回避航路)50に乗るように、現時点(t=0)における自船OSの操船方法を指示する。具体的には、操船指示部23は、例えば、効用値算出部20からの遅延時間Td後の座標、変針角および変速率を受けて目標回避航路50や目標速力を設定し、当該目標回避航路50上の所定の座標や目標速力を自動操縦装置15へ指示する。
このようにして、目標回避航路50は、図16の場合と異なり、操縦性能パラメータ(遅延時間Td)を反映して、現時点ではなく遅延時間Td後の航路に定められる。そして、この遅延時間Tdの中で、自船OSの実際上の変針に伴う応答性の遅延などが補償される。このため、図2に示されるように、自船OSの実際上の回避回路51を目標回避航路50に乗せることができ、その結果、将来的に自船OSは他船TSを効率的に回避することが可能になる。また、図2から分かるように、遅延時間Tdは、自船OSの操縦性能が低いほど(例えば、船舶が大型化するほど)長くなるように予め固定的に定められる。
《避航支援装置(実施の形態1)の動作》
図3は、図1の避航支援装置における主要部の概略的な処理内容の一例を示すフロー図である。避航支援装置10は、例えば、図3のフローを所定の制御サイクル毎に繰り返し実行する。図3において、避航支援装置10は、船舶情報取得部11から自船情報(針路、速力、位置(座標))と、所定の範囲内に存在する他船情報(針路、速力、位置(座標))とを取得する(ステップS101)。
次いで、避航支援装置10は、ステップS101の情報と、パラメータ保持部21の遅延時間Tdとに基づき、他船TSおよび自船OSが現進航状態(原針路および原速力)を遅延時間Td維持した後の状況を仮定し、当該状況下で避航操船空間の各位置毎の衝突危険度(式(5)のR(i,j))を危険度算出部26aを用いて算出する(ステップS102)。続いて、避航支援装置10は、避航操船空間の各位置毎の選好度(図11および式(1)のPb(i,j))を選好度算出部24を用いて算出する(ステップS103)。
次いで、避航支援装置10は、ステップS102で算出された衝突危険度と、ステップS103で算出された選好度とに基づき、避航操船空間の各位置毎の効用値(式(6)のu(i,j))を効用値算出部20を用いて算出する(ステップS104)。続いて、避航支援装置10は、効用値算出部20の効用値に基づく避航操船を遅延時間Td後の状況下で行った場合の航路(目標回避航路)50に乗るように、操船指示部23を用いて自船OSの操船方法を指示する(ステップS105)。
《実施の形態1の主要な効果》
以上、実施の形態1の避航支援装置を用いることで、代表的には、船舶の操縦性能に応じた最適な避航操船方法を自動的に導出することが可能になる。その結果、船舶の自律航行に寄与することが可能になる。さらに、実施の形態1の方式は、主に、遅延時間(Td)を導入することで実現できるため、複雑な処理なども特に必要とされず、実装も容易となる。
なお、特許文献2の方式は、実施の形態1の方式のように、現時点での最適な避航操船方法を自動的に導出するために操縦性能パラメータを用いるのではなく、現時点で操縦性能パラメータを用いずに定めた避航操船方法を適用した場合のその後の実際上のリスクを検証するために操縦性能パラメータを用いる。すなわち、実施の形態1の方式は、最初に、現時点ではなく、船舶の操縦性能を加味した所定時間後の状況を仮定し、当該状況下で衝突危険度を算出することで現時点での最適な避航操船方法を自動的に導出すると共に、この所定時間後の状況を適切に仮定するために操縦性能パラメータを用いる。
(実施の形態2)
《避航支援装置周りの概略》
図4は、本発明の実施の形態2による避航支援装置周りの構成例を示す概略図である。図4に示す避航支援装置10は、図1の構成例と比較して、パラメータ保持部21の代わりに運動シミュレータ55が設けられ、これに応じて危険度算出部26bの処理内容が異なっている。運動シミュレータ55は、図1とは異なるパラメータ保持部57と、シミュレーション実行部56とを備える。
パラメータ保持部57は、自船の操縦性能を表す操縦性能パラメータとして、操縦性指数を保持する。操縦性指数として、代表的には、特許文献1等に示されるように、舵力を表す操縦性指数Kと、慣性力を表す操縦性指数Tとが挙げられる。シミュレーション実行部56は、予め定めた所定時間(Tx)後に到達し得る変針角毎に、到達時の変針角毎の座標をパラメータ保持部57で保持される操縦性指数を用いて算出する。なお、このような運動シミュレータ55は、広く知られている操縦性モデル(所謂TKモデル)を用いたシミュレータで実現できる。
危険度算出部26bは、概略的には図1の場合と同様に、操縦性能パラメータを反映して現時点から所定時間(Tx)後の自船の状況を仮定し、当該状況下で自船が避航操船を行った場合の他船に対する衝突危険度を、避航操船空間の各位置毎に算出する。より詳細には、危険度算出部26bは、他船が現進航状態を所定時間(Tx)維持し、かつ自船が所定時間(Tx)後に運動シミュレータ55に基づく変針角毎の座標に位置する状況を仮定し、当該状況下で避航操船空間の各位置毎の衝突危険度を算出する。操船指示部23は、効用値算出部20の算出結果に基づく避航操船を、対応する所定時間(Tx)後の状況下で行った場合の航路に乗るように、自船の操船方法を指示する。
《避航支援装置(実施の形態2)の各部の詳細》
図5、図6および図7は、図4における運動シミュレータの処理内容の一例を説明する図である。運動シミュレータ55は、図5に示されるように、まず、現時点(t=0および座標(X,Y)=(0,0))で自船OSの舵角δを操作し、当該舵角δを維持した状態で、所定時間Tx後に到達する変針角θと座標(X,Y)を、舵角δを変えながら計算する。図5の例では、運動シミュレータ55は、舵角δを5°ずつ変えながら計算を行う。
例えば、現時点から舵角δを5°に維持した場合、所定時間Tx後に、変針角θは10°近辺に到達し、座標Xは“50”近辺に、座標Yは“600”近辺にそれぞれ到達する。また、現時点から舵角δを30°に維持した場合、所定時間Tx後に、変針角θは60°近辺に到達し、座標Xは“300”近辺に、座標Yは“500”近辺にそれぞれ到達する。
次いで、運動シミュレータ55は、図6に示されるように、図5のようにして得られた舵角δと、所定時間Tx後の変針角θおよび座標(X,Y)との対応関係をテーブルに纏める。続いて、運動シミュレータ55は、図6の対応関係に基づき、図7に示されるように、変針角θを変数とする座標Xの関数式X(θ)と、変針角θを変数とする座標Yの関数式Y(θ)とを求める。運動シミュレータ55は、当該関数式X(θ),Y(θ)に基づき、所定時間Tx後における任意の変針角θ毎の座標(X,Y)を算出することが可能になる。
なお、図5〜図7では、右変針時の場合を例に説明を行ったが、同様にして左変針時の場合の関数式X(θ),Y(θ)も求められる。また、所定時間Txは、例えば、図5において、60°の変針角θ(すなわち、避航操船空間の最大の変針角θ)に到達する時間を勘案して予め定められる。
図8は、図4における危険度算出部の処理内容の一例を示す説明図である。図8の例では、自船OSは、現時点(t=0)において、座標(X,Y)=(Xo[0],Yo[0])に位置し、Y軸方向に針路を向けているものとする。一方、他船TSは、現時点(t=0)において、座標(X,Y)=(Xt[0],Yt[0])に位置し、X軸方向に針路を向けているものとする。
ここで、危険度算出部26bは、まず、他船TSが現進航状態を所定時間Tx維持し、かつ自船OSが所定時間Tx後に運動シミュレータ55に基づく変針角θ毎の座標(X,Y)に位置する状況を仮定する。その結果、所定時間Tx後の他船TS[Tx]の座標(X,Y)は、(Xt[Tx],Yt[0])となる。一方、所定時間Tx後の自船OS[Tx]の座標(X,Y)は、変針角θ毎に異なる。例えば、自船OS[Tx]の座標(X,Y)は、変針角θが30°の場合には(Xo3[Tx],Yo3[Tx])となり、変針角θが60°の場合には(Xo6[Tx],Yo6[Tx])となる。
そして、危険度算出部26bは、当該所定時間Tx後の自船OS[Tx]および他船TS[Tx]の状況下で、自船OS[Tx]が他船TS[Tx]に対して避航操船を行った場合の避航操船空間の各位置毎の衝突危険度を算出する。具体例として、例えば、避航操船空間における変針角θが30°の位置の衝突危険度を算出する場合を想定する。この場合、危険度算出部26bは、自船OS[Tx]が座標(X,Y)=(Xo3[Tx],Yo3[Tx])に位置した状態で30°の変針角θに向けて進航し、他船TS[Tx]が座標(X,Y)=(Xt[Tx],Yt[0])に位置した状態でX軸方向に向けて進航するものとして、図12に示したような相対座標系を構築する。
同様に、例えば、避航操船空間における変針角θが60°の位置の衝突危険度を算出する場合を想定する。この場合、危険度算出部26bは、自船OS[Tx]が座標(X,Y)=(Xo6[Tx],Yo6[Tx])に位置した状態で60°の変針角θに向けて進航し、他船TS[Tx]が座標(X,Y)=(Xt[Tx],Yt[0])に位置した状態でX軸方向に向けて進航するものとして、図12に示したような相対座標系を構築する。
危険度算出部26bは、このようにして構築した相対座標系に基づいて避航操船空間の各位置毎の衝突危険度を算出する。効用値算出部20は、選好度算出部24の算出結果(図11)と、当該危険度算出部26bによる所定時間Tx後の衝突危険度とを用いて最適な変針角θr(および変速率)を算出する。図8の例では、最適な変針角θrとして30°が得られたものとする。
操船指示部23は、効用値算出部20の算出結果に基づく避航操船(すなわち30°の右変針)を、対応する所定時間Tx後の状況(すなわち、自船OS[Tx]が座標(Xo3[Tx],Yo3[Tx])に位置する状況)下で行った場合の航路(目標回避航路)60に乗るように、現時点(t=0)における自船の操船方法を指示する。具体的には、操船指示部23は、例えば、効用値算出部20からの所定時間Tx後の座標、変針角および変速率を受けて目標回避航路60や目標速力を設定し、当該目標回避航路60上の所定の座標や目標速力を自動操縦装置15へ指示する。
このようにして、目標回避航路60は、図16の場合と異なり、操縦性能パラメータ(操縦性指数)に基づく運動シミュレーション結果を反映して、現時点ではなく所定時間Tx後の航路に定められる。そして、この所定時間Txの中で、自船OSの実際上の変針に伴う応答性の遅延や位置(座標)ズレなどが補償される。このため、図8に示されるように、自船OSの実際上の回避回路61を目標回避航路60に乗せることができ、その結果、将来的に自船OSは他船TSを効率的に回避することが可能になる。
《避航支援装置(実施の形態2)の動作》
図9は、図4の避航支援装置における主要部の概略的な処理内容の一例を示すフロー図である。避航支援装置10は、例えば、図9のフローを所定の制御サイクル毎に繰り返し実行する。図9において、避航支援装置10は、船舶情報取得部11から自船情報(針路、速力、位置(座標))と、所定の範囲内に存在する他船情報(針路、速力、位置(座標))とを取得する(ステップS201)。
次いで、避航支援装置10は、ステップS201の自船情報に基づき、自船OSが所定時間Tx後に到達し得る変針角θ毎に、到達時の変針角θ毎の座標(X,Y)(例えば、図7のX(θ),Y(θ))を操縦性指数に基づく運動シミュレータ55を用いて算出する(ステップS202)。続いて、避航支援装置10は、他船TSが現進航状態を所定時間Tx維持し、かつ自船OSが所定時間Tx後にステップS202に基づく変針角θ毎の座標に位置する状況を仮定し、当該状況下で避航操船空間の各位置毎の衝突危険度(式(5)のR(i,j))を危険度算出部26bを用いて算出する(ステップS203)。
次いで、避航支援装置10は、避航操船空間の各位置毎の選好度(図11および式(1)のPb(i,j))を選好度算出部24を用いて算出する(ステップS204)。続いて、避航支援装置10は、ステップS203で算出された衝突危険度と、ステップS204で算出された選好度とに基づき、避航操船空間の各位置毎の効用値(式(6)のu(i,j))を効用値算出部20を用いて算出する(ステップS205)。次いで、避航支援装置10は、効用値算出部20の効用値に基づく避航操船を、対応する所定時間Tx後の状況下で行った場合の航路(目標回避航路)60に乗るように、操船指示部23を用いて自船の操船方法を指示する(ステップS206)。
《実施の形態2の主要な効果》
以上、実施の形態2の避航支援装置を用いることで、実施の形態1の場合と同様に、代表的には、船舶の操縦性能に応じた最適な避航操船方法を自動的に導出することが可能になる。その結果、船舶の自律航行に寄与することが可能になる。さらに、実施の形態1の方式と比較して、より妥当性が高い避航操船方法を導出することが可能になる。
具体的に説明すると、例えば、図2では、自船OSが、現時点(t=0)から遅延時間Td後に座標(Xo[0],Yo[Td])を経由して目標回避航路50上の所定の座標に向かう前提で最適な避航操船方法が導出される。ただし、自船OSがこのような航路で目標回避航路50上の所定の座標に到達するまでの時間と、実際上の回避航路51に乗って目標回避航路50上の所定の座標に到達するまでの時間との間には誤差が生じ得る。この時間的誤差によって、導出された避航操船方法の妥当性が低下する恐れがある。図8の方式を用いると、このような時間的誤差が生じないように避航操船方法を導出することが可能になる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、選好度、衝突危険度、効用値を算出する各式は、必ずしも、前述した各式に限定されず、要旨を逸脱しない範囲で、適宜、変更されてもよい。
10 避航支援装置
11 船舶情報取得部
13 結果表示装置
14 電子海図
15 自動操縦装置
20 効用値算出部
21 パラメータ保持部
22 航路設定部
23 操船指示部
24 選好度算出部
26a,26b 危険度算出部
30 AIS
31 レーダ
32 カメラ
35 方位センサ
36 速度センサ
37 GPS
40 バンパー領域
41,42 リスク関数
43 相対針路
50,60,70 目標回避航路
51,61 実際上の回避航路
55 運動シミュレータ
56 シミュレーション実行部
57 パラメータ保持部
OS 自船
TS 他船

Claims (2)

  1. 変針角の選択肢と変速率の選択肢とを組み合わせた空間を避航操船空間として、前記避航操船空間の各位置毎に、当該各位置の選択に伴う操船者の主観的な好みを表す選好度を算出する選好度算出部と、
    自船の操縦性能を表す操縦性能パラメータを反映して現時点から所定時間後の前記自船の状況を仮定し、当該状況下で前記自船が避航操船を行った場合の他船に対する衝突危険度を、前記避航操船空間の各位置毎に算出する危険度算出部と、
    前記避航操船空間の各位置毎に、前記選好度から前記衝突危険度を減算することで効用値を算出する効用値算出部と、
    前記効用値算出部の算出結果に基づく避航操船を前記所定時間後の状況下で行った場合の航路に乗るように、前記自船の操船方法を指示する操船指示部と、
    を有し、
    前記操縦性能パラメータは、前記自船の前記操縦性能に応じて定められる応答性の遅延時間であり、
    前記危険度算出部は、前記他船が現進航状態を前記遅延時間維持し、さらに、前記自船が現進航状態を前記遅延時間維持した後の状況を仮定し、当該状況下で前記避航操船空間の各位置毎の前記衝突危険度を算出し、
    前記操船指示部は、前記効用値算出部の算出結果に基づく避航操船を、前記自船が前記現進航状態を前記遅延時間維持した後の状況下で行った場合の航路に乗るように、前記自船の前記操船方法を指示する、
    避航支援装置。
  2. 請求項1記載の避航支援装置において、
    前記遅延時間は、前記自船の前記操縦性能が低いほど長く、高いほど短く定められる、
    避航支援装置。
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