JP2020107910A - 発光装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、凹部を有する配線基板と、凹部に収容される発光素子と、発光素子を封止する透光封止部材と、を備え、透光封止部材の表面を粗面化された光半導体装置が開示されている。特許文献2には、基体と、基体上に載置された発光素子と、発光素子を封止する封止部材と、を備え、封止部材の表面側に充填剤の粒子を配置することで凹凸を設けた発光装置が開示されている。
[発光装置の構成]
第1実施形態に係る発光装置の構成について、図1A〜図1Cを参照して説明する。
図1Aは、第1実施形態に係る発光装置の構成を示す斜視図である。図1Bは、第1実施形態に係る発光装置の構成を示す平面図である。図1Cは、第1実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図であり、図1BのIC−IC線における断面を示す。
より具体的には、発光装置100は平面視形状が略正方形であり、上面側に開口する凹部2aを有するパッケージ2と、凹部2a内に実装される発光素子1と、凹部2a内に配置され、発光素子1を覆う透光性部材5と、を備えている。また、パッケージ2は、リード電極3と遮光性部材4とを有し、発光素子1は、ワイヤ6を用いて凹部2aの底面に配置されているリード電極3と電気的に接続されている。
なお、以降は、3個の発光素子11,12,13のそれぞれを特に区別しない場合には、「発光素子1」と呼ぶことがある。
本実施形態においては、発光素子1として、正負の電極が同じ面側に配置されたものでもよく、正負の電極が互いに異なる面側に配置されたものでもよい。正負の電極が同じ面側に配置された発光素子1を用いる場合は、フェイスアップ実装型、フェイスダウン実装型のいずれであってもよい。また、複数の発光素子1を搭載する場合に、実装型の異なるものが混在してもよい。
リード電極31〜34は、それぞれの一部が凹部2aの底面2bを構成しており、平面視でそれぞれ遮光性部材4の端部まで延伸して当該端部で下方に折れ曲がり、遮光性部材4の側面に沿って延伸し、更に遮光性部材4の下面に沿って内側に折れ曲がるように配置されている。発光装置100は、下面側が実装面であり、遮光性部材4の下面側において内側に折れ曲がって設けられているリード電極31〜34の部位が、半田などの導電性接合部材を用いて接合される接合部である。
また、リード電極33は、凹部2aの底面2bの中央部に配置されており、発光素子11〜13がダイボンド部材を用いて接合される発光素子配置領域を兼ねている。
また、凹部2aの底面2bとなるリード電極3の上面は、光反射性又は/及びワイヤ6やダイボンド部材などとの接合性を高めるために、Ag、Au、Niなどのメッキ処理を施すようにしてもよい。
遮光性部材4は、具体的には、透光性を有する樹脂を母材41とし、フィラーとして遮光性を付与するための第2充填剤42を含有した樹脂材料を用いて形成することができる。また、凹部2aの側壁の上面である遮光性部材4の上面4aは、第2充填剤42の粒子の一部が母材41から露出しており、第2充填剤42の粒子に起因する凹凸形状すなわち突起を有している。
また、遮光性部材4に光吸収性材料を用いる場合は、遮光性部材4は、発光素子1から出射して、透光性部材5を透過して遮光性部材4に入射する光を吸収する。このため、発光装置100の上面のみから光を出射させることができる。
熱可塑性樹脂の場合、例えば、ポリフタルアミド樹脂、液晶ポリマー、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、不飽和ポリエステルなどを用いることができる。
熱硬化性樹脂の場合、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂などを用いることができる。
また、凹部2aの内側面は、発光素子1が発する光の波長域において反射率が70%以上であることが好ましく、80%以上がより好ましい。遮光性部材4における光反射性物質である第2充填剤42の含有量は、5質量%以上50質量%以下であればよく、10質量%以上30質量%以下が好ましい。
また、第2充填剤42の粒径は、0.1μm以上0.5μm以下程度とすることが好ましい。第2充填剤42の粒径をこの範囲とすることで、遮光性部材4は、良好な光反射性を得ることができる。
なお、特に断らない限り、本明細書において、各種のフィラーや研磨剤などの粒径の値は、空気透過法又はFisher−SubSieve−Sizers−No.(F.S.S.S.法)によるものとする。
なお、第2充填剤42として光吸収性物質を用いる場合の粒径及び含有量は、前記した反射性物質を用いる場合と同程度とすることができる。例えば、第2充填剤42としてカーボンブラックを添加する場合は、1質量%程度とすることができる。更に、例えば、強化剤であるワラストナイトなどを、その他のフィラーとして25質量%程度添加してもよい。
前記した範囲の粒径の第2充填剤42の粒子に起因して形成される複数の突起によって、遮光性部材4の上面4aで反射される外光の正反射光成分を良好に低減することができる。発光装置100を画像表示装置の画素として用いる場合は、外光が画像表示装置に照射される場合であっても、外光の正反射光成分が低減されるため、観察方向に依らずに画素の明暗や色彩を良好に認識できることができる。
透光性部材5は、透光性を有する樹脂を母材51として用いて形成する際に未硬化の樹脂の粘度を調整したり、透光性部材5に光拡散性を付与したりするためのフィラーとして第1充填剤52を含有している。また、透光性部材5の上面5aは、第1充填剤52の粒子の一部が母材51から露出しており、第1充填剤52の粒子に起因する凹凸形状すなわち複数の突起を有している。
更にまた、透光性部材5は、必要に応じて、蛍光体や着色顔料、母材51よりも屈折率の高い光拡散性物質などの粒子を含有させるようにしてもよい。
また、第1充填剤52の粒径は、0.5μm以上10μm以下程度とすることが好ましい。第1充填剤52の粒径をこの範囲とすることで、第1充填剤52の粒子に起因して形成される複数の突起によって、上面5aにおける外光の正反射光成分を効率よく低減することができる。
また、透光性部材5における第1充填剤52の含有量は、2質量%以上40質量%以下程度とすることが好ましい。
なお、発光装置100の光取り出し効率が向上するメカニズムの詳細については後記する。
次に、発光装置100の動作について、図1C及び図2A〜図2Cを参照して説明する。
図2Aは、第1実施形態に係る発光装置における透光性部材及びフィラーの一部を示す断面図である。図2Bは、従来の発光装置における透光性部材及びフィラーの一部を示す断面図である。図2Cは、第1実施形態に係る発光装置において、透光性部材及び遮光性部材の上面での光反射を説明するための断面図である。
なお、発光装置100の光取り出し面である透光性部材5の上面5aは、空気と接しているものとして説明する。
図2Aに示すように、第1充填剤52の表面が母材51から露出している場合は、透光性部材5内を上方に伝播する光L1は、第1充填剤52と空気との界面を通って外部に取り出される。
また、図2Bに示すように、第1充填剤52の表面が母材51で被覆されている場合は、透光性部材5内を上方に伝播する光L2は、母材51と空気との界面を通って外部に取り出される。
R=(n1−n2)2/(n1+n2)2 ・・・(1)
また、相対的に高屈折率な媒体から低屈折率な媒体に光が伝播する場合は、スネルの法則に基づいて、界面で光が全反射される。透光性部材5と空気との界面における屈折率差を小さくすることで、当該界面で全反射される光量を低減することができる。つまり、全反射を低減する点からも、外部への光取り出し効率を高めることができる。
次に、第1実施形態に係る発光装置の製造方法について、図3〜図6Bを参照して説明する。
図3は、第1実施形態に係る発光装置の製造方法の手順を示すフローチャートである。図4Aは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法のパッケージ準備工程で準備されるパッケージの構成を示す断面図である。図4Bは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法の発光素子実装工程を示す断面図である。図4Cは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法の樹脂供給工程を示す断面図である。図4Dは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法の樹脂硬化工程を示す断面図である。図4Eは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法のブラスト加工処理工程を示す断面図である。図5Aは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法のブラスト加工処理工程において、研磨剤を投射する方向の第1の例を示す平面図である。図5Bは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法のブラスト加工処理工程において、研磨剤を投射する方向の第2の例を示す平面図である。図5Cは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法のブラスト加工処理工程において、研磨剤を投射する方向の第3の例を示す平面図である。図6Aは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法のブラスト加工処理工程において、第1工程を示す断面図である。図6Bは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法のブラスト加工処理工程において、第2工程を示す断面図である。
なお、図4A〜図4Eにおいて、パッケージ2は、凹部2aの底面2b及び側壁を構成する上部のみを示し、下部は省略している。
第1実施形態に係る発光装置100の製造方法は、パッケージ準備工程S11と、発光素子実装工程S12と、透光性部材形成工程S13と、ブラスト加工処理工程S14と、を含んでいる。また、透光性部材形成工程S13は、樹脂供給工程S131と、樹脂硬化工程S132と、を含んでいる。
具体的には、本工程において、まず、板金をプレス加工で穴抜きすることで、リード電極3の外形を備えたリードフレームを形成する。次に、遮光性部材4の形状に相当する空洞を有する上下金型でリードフレームを挟み込む。次に、金型内の空洞に、母材41となる樹脂に第2充填剤42を含有した樹脂材料を注入し、樹脂材料を固化又は硬化後に金型から取り出すことで、遮光性部材4がリード電極3と一体的に形成される。次に、遮光性部材4の側面から突出しているリード電極3を、遮光性部材4の側面及び下面に沿って折り曲げることで、パッケージ2が準備される。
なお、本工程で準備されるパッケージ2において、遮光性部材4の上面4a近傍に配置されている第2充填剤42は、母材41で被覆されている。
次に、樹脂硬化工程S132において、ヒーターやリフロー炉などの加熱装置72を用いて加熱することで、樹脂材料を硬化させる。これによって、透光性部材5が形成される。
なお、本工程で形成される透光性部材5において、上面5a近傍に配置されている第1充填剤52は、母材51で被覆されている。
第1充填剤52及び第2充填剤42が露出するようにブラスト加工処理を施すことで、上面5a及び上面4aが微細に荒らされるため、上面5a及び上面4aの光拡散性が向上し、これらの面において反射防止効果を得ることができる。
具体的には、研磨剤74の粒径は、3μm以上14μm以下程度とすることが好ましい。また、ウェットブラスト法により、純水に研磨剤74を含有させたスラリーを用いる場合、スラリーにおける研磨剤74の含有量は、5体積%以上30体積%以下程度とすることが好ましい。
また、研磨剤74は、ブラスト加工処理によって除去される母材51及び母材41よりも硬度の高いものが好ましく、例えば、アルミナ(Al2O3)、炭化ケイ素(SiC)、ステンレス、ジルコニア(ZrO2)、ガラスなどを挙げることができる。
加工処理の対象面に対して垂直(90°)に近い投射角度73aで研磨剤74を投射すると、研磨剤74が母材41や母材51に突き刺さり、ブラスト加工処理後のパッケージ2に残存し易くなる。また、水平に近い投射角度73aで研磨剤74を投射すると、研磨剤74で母材41や母材51を除去する効率が低下することがある。従って、投射角度73aを前記した範囲とすることで、母材51及び母材41を効率よく除去することができる。
更に、平面視で、方向D1,D2と直交する方向D3,D4からも研磨剤74を投射するようにしてもよい。また、例えば、平面視で、互いに120°ずつ異なる3方向から、研磨剤74を投射するようにしてもよい。
なお、複数の方向から研磨剤74を投射する場合は、上面5a及び上面4aの全面に対して一方向に処理を施した後に、順次にノズル73の方向を変更して処理を行う。また、ノズル73は、発光装置100に対して相対的に方向を変更すればよく、ノズル73を固定したままで、発光装置100の向きを変更するようにしてもよい。
以上説明したように各工程を行うことにより、発光装置100が製造される。
[画像表示装置の構成]
次に、第1実施形態に係る発光装置100の応用例として、発光装置100を用いた画像表示装置について、図7A及び図7Bを参照して説明する。
図7Aは、第1実施形態に係る発光装置を用いた画像表示装置の構成を示す斜視図である。図7Bは、第1実施形態に係る発光装置を用いた画像表示装置の構成を示す分解斜視図である。
また、枠部材230は、金属、樹脂、セラミックスなどを用いて形成することができるが、上面は粗面化するなどして、外光の正反射を抑制するように構成することが好ましい。
[発光装置の構成]
次に、第2実施形態に係る発光装置について、図8A〜図8Cを参照して説明する。
図8Aは、第2実施形態に係る発光装置の構成を示す斜視図である。図8Bは、第2実施形態に係る発光装置の構成を示す平面図である。図8Cは、第2実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図であり、図8BのVIIIC−VIIIC線における断面を示す。
なお、図8Cにおいて、2種類の第1充填剤を円形及び菱形で示し、第2充填剤を円形で示し、波長変換物質を五角形で示している。これらの形状は該当する部材の具体的な形状を示すものではなく、充填剤の粒子の種類を区別するために便宜的に用いている。
なお、保護素子8は、例えば、ツェナーダイオードであり、発光素子1を静電放電による破壊から保護する素子である。
また、パッケージ2Aの下面は、平坦面であるとともに、リード電極31A,32Aが露出するように設けられており、当該下面が発光装置100Aの実装面となっている。
リード電極31A,32Aは、上面の一部が凹部2Aaの底面2Abを構成しており、リード電極31A上に発光素子1がダイボンドされているとともに、リード電極32A上に保護素子8がダイボンドされている。また、発光素子1は、ワイヤ6を介してリード電極31A,32Aと電気的に接続されている。保護素子8は、下面側に設けられている一方の電極がダイボンドされることでリード電極32Aと電気的に接続され、上面側に設けられている他方の電極がワイヤ6を介してリード電極31Aと電気的に接続されている。
なお、母材51及び第1充填剤52は、第1実施形態における透光性部材5と同様の材料を用いることができる。
例えば、青色光を発する発光素子1と、青色光を吸収して黄色光を発する波長変換物質53とを組み合わせることで、白色光を生成することができる。なお、波長変換物質53は、1種類に限定されず、発光色が異なる複数種類を用いるようにしてもよい。
波長変換物質53を発光素子1やリード電極31A,32Aの表面の近傍に配置することで、波長変換の効率を高めることができる。また、波長変換物質53を上面5Aaから露出しないように配置することで、外気との接触による波長変換物質53の劣化や変質を抑制することができる。
発光装置100Aは、発光素子1からの光の一部又は全部が、波長変換物質53によって波長変換されて光取り出し面である透光性部材5Aの上面5Aaから外部に取り出される。
なお、発光装置100Aの上面に照射される外光の少なくとも一部が、上面5Aa及び上面4Aaに設けられた複数の突起によって拡散反射されることで、表面の「テカリ」が低減されることは、第1実施形態と同様である。また、透光性部材5Aの上面5Aaから第1充填剤52の一部が露出することで、光取り出し効率が向上することも、第1実施形態と同様である。
次に、第2実施形態に係る発光装置の製造方法について、図8A〜図8C及び図9を参照して説明する。
図9は、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の手順を示すフローチャートである。
なお、本工程で準備されるパッケージ2Aにおいて、遮光性部材4Aの上面4Aa近傍に配置されている第2充填剤42は、母材41で被覆されている。
なお、本工程において、凹部2Aa内に保護素子8も実装する。
なお、波長変換物質53を沈降させない場合は、樹脂供給工程S231後に、速やかに樹脂硬化工程S233が行われる。
以上の工程を行うことで、発光装置100Aを製造することができる。
図1Aに示した形態の発光装置及び図8Aに示した形態の発光装置を、それぞれ前記した製造方法で作製した。このとき、ブラスト加工処理の条件を変えて、複数のサンプルを作製した。
・透光性部材:
母材:エポキシ樹脂(屈折率1.53)
第1充填剤:シリカ(SiO2)(屈折率1.46、粒径1.5μm、含有量40質量%)
・遮光性部材(光吸収性部材):
母材:ポリフタルアミド樹脂
第2充填剤:カーボンブラック(粒径3μm、含有量1質量%)
・パッケージ:
平面視での外形寸法:1辺が3mm
透光性部材の開口径:1辺が2.6mm
・発光素子:青色LED、緑色LED、赤色LEDを各1個実装
・透光性部材:
母材:シリコーン樹脂(屈折率1.52)
第1充填部材:シリカ(SiO2)(屈折率1.46、粒径6μm、含有量15質量%)
波長変換物質:YAG系蛍光体
・遮光性部材(光反射性部材):
母材:エポキシ樹脂
第2充填剤:TiO2(粒径0.3μm、含有量17質量%)
・パッケージ:
平面視での外形寸法:長辺が3mm、短辺が1.4mm
透光性部材の開口径:長辺が2.6mm、短辺が1.0mm
・発光素子:青色LEDを1個実装
・研磨液(スラリー):
溶媒:純水
研磨剤:アルミナ(Al2O3)(粒径3μm(D50)、含有量5体積%)
・投射角度:30°/90°
・投射方向:1方向/2方向/4方向
・ガン圧:0.2/0.3/0.4(MPa)
・加工処理速度:40mm/秒
上記の各条件で、空気圧を加えて研磨液をノズルから霧状に噴射することで、発光装置のサンプルの上面にブラスト加工処理を施した。
ブラスト加工処理の条件を変えて作製した各サンプルについて、ブラスト加工処理を行わないサンプルを基準としたときの、光出力、上面の光反射防止効果、上面の表面粗さ、フィラー(第1充填剤及び第2充填剤)の脱落の有無、について確認した。
何れの条件でブラスト加工処理を行ったサンプルも、加工面においてフィラーが露出していることが確認された。
ガン圧を高くするほどフィラーの露出量が多くなり、表面からフィラーが脱落しているサンプルも確認されたが、他の条件が同じ場合は、ガン圧が高いほど光出力(光束)が高くなることが確認された。光出力の向上は、第1実施形態の各サンプルで1〜2.9%、第2実施形態の各サンプルで、0.3〜0.9%である。
また、投射角度を30°としたときに、一方向から投射した場合は、投射方向に対向するフィラーの面は露出しているが、反対側の面は、フィラー自身の陰になるため、あまり露出していなかった。投射方向を二方向、更には四方向とすることで、フィラーの露出量が増加し、投射角度90°としたときよりも露出量が増加した。投射角度を垂直よりも小さくすることで、研磨剤が樹脂を剥ぎ取り易くなったものと考えられる。投射角度を90°、ガン圧を0.4MPaとしたときのサンプルと、投射角度を30°、ガン圧を0.2MPa、投射方向を四方向としたときにサンプルとが、光出力が同程度に向上することが確認できた。
なお、各サンプルとも、上面の表面粗さ(算術平均粗さRa)は、ブラスト加工処理を施してないサンプルと略同程度であった。つまり、ブラスト加工処理によって樹脂部材である透光性部材の本体に対して大きな凹凸ができるようなダメージを与えることなく、フィラーの表面を被覆する樹脂のみが除去されていることが確認できた。
11,12,13 発光素子
2,2A パッケージ(基台)
2a,2Aa 凹部
2b,2Ab 底面
3,3A リード電極
31,32,33,34 リード電極
31A,32A リード電極
4,4A 遮光性部材
4a,4Aa 上面
4b 切り欠き部
41 母材
42 第2充填剤
5,5A 透光性部材
5a,5Aa 上面
51 母材
52,52a,52b 第1充填剤
53 波長変換物質
6 ワイヤ
71 ディスペンサ
72 加熱装置
73 ノズル
73a 投射角度
74 研磨剤
100 発光装置
200 画像表示装置
210 回路基板
220 保護部材
230 枠部材
230a 開口部
本開示に係る実施形態は、光取り出し効率が向上する発光装置及びその製造方法を提供することを課題とする。
本開示の実施形態に係る発光装置は、基台と、前記基台に載置される発光素子と、前記発光素子を覆う透光性部材と、を備え、前記透光性部材及び前記基台は、それぞれの上面に複数の突起を有し、前記透光性部材は、前記透光性部材の母材よりも屈折率の低い透光性の第1充填剤の粒子を含有し、前記第1充填剤の粒子の一部が、前記透光性部材の上面において前記透光性部材の母材から露出している。
本開示の実施形態に係る発光装置の製造方法は、基台と、前記基台に載置される発光素子と、前記発光素子を覆う透光性部材と、を備える発光装置の製造方法であって、前記基台に前記発光素子が載置された後に、前記発光素子を覆う前記透光性部材を形成する工程と、前記透光性部材及び前記基台のそれぞれの上面にブラスト加工処理を施す工程と、を含み、前記透光性部材を形成する工程において、前記透光性部材は、母材として透光性樹脂を用い、当該母材よりも屈折率の低い透光性の第1充填剤の粒子を含有した樹脂材料を用いて形成され、前記ブラスト加工処理を施す工程によって、前記透光性部材の上面において、前記第1充填剤の粒子の一部を前記透光性部材の母材から露出させる。
本開示の実施形態に係る発光装置及びその製造方法によれば、光取り出し効率が向上する発光装置を提供することができる。
Claims (21)
- 基台と、
前記基台に載置される発光素子と、
前記発光素子を覆う透光性部材と、を備え、
前記透光性部材及び前記基台は、それぞれの上面に複数の突起を有し、
前記透光性部材は、前記透光性部材の母材よりも屈折率の低い透光性の第1充填剤の粒子を含有し、
前記第1充填剤の粒子の一部が、前記透光性部材の上面において前記透光性部材の母材から露出している発光装置。 - 前記基台は、リード電極及び前記リード電極を固定する遮光性部材を備える、請求項1に記載の発光装置。
- 前記基台は、上面に開口を有する凹部を成し、
前記発光素子が前記凹部内に載置され、
前記凹部を囲む側壁の上面に前記突起が形成されている、請求項1又は請求項2に記載の発光装置。 - 前記第1充填剤と前記透光性部材の母材との屈折率差が、0.03以上である請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の発光装置。
- 前記透光性部材及び前記遮光性部材は、母材として透光性を有する樹脂を用いる請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の発光装置。
- 前記透光性部材の上面に設けられる前記突起は、前記第1充填剤の粒子に起因する請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の発光装置。
- 前記第1充填剤は、空気透過法又はFisher−SubSieve−Sizers−No.で規定される粒径が、0.5μm以上10μm以下である請求項6に記載の発光装置。
- 前記透光性部材の上面は、JIS規格B0601:2013で規定される算術平均粗さRaが、0.095nm以上0.220nm以下である請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の発光装置。
- 前記第1充填剤は、SiO2である請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の発光装置。
- 前記透光性部材の母材は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂から選択される材料からなる請求項1乃至請求項9の何れか一項に記載の発光装置。
- 前記遮光性部材は、樹脂からなる母材に第2充填剤の粒子を含有し、前記第2充填剤の粒子の一部が、前記遮光性部材の上面において前記遮光性部材の母材から露出しており、前記遮光性部材の上面に設けられる前記突起は、前記第2充填剤の粒子に起因する請求項1乃至請求項10の何れか一項に記載の発光装置。
- 前記透光性部材は、前記発光素子からの光を異なる波長の光に変換する波長変換物質の粒子を更に含有し、
前記波長変換物質の粒子は、前記透光性部材の母材から露出しないように設けられている請求項1乃至請求項11の何れか一項に記載の発光装置。 - 基台と、前記基台に載置される発光素子と、前記発光素子を覆う透光性部材と、を備える発光装置の製造方法であって、
前記基台に前記発光素子が載置された後に、前記発光素子を覆う前記透光性部材を形成する工程と、
前記透光性部材及び前記基台のそれぞれの上面にブラスト加工処理を施す工程と、を含み、
前記透光性部材を形成する工程において、前記透光性部材は、母材として透光性樹脂を用い、当該母材よりも屈折率の低い透光性の第1充填剤の粒子を含有した樹脂材料を用いて形成され、
前記ブラスト加工処理を施す工程によって、前記透光性部材の上面において、前記第1充填剤の粒子の一部を前記透光性部材の母材から露出させる発光装置の製造方法。 - 前記基台は、リード電極及び前記リード電極を固定する遮光性部材を備える、請求項13に記載の発光装置の製造方法。
- 前記基台は、上面に開口を有する凹部を成しており、前記凹部内に前記発光素子が載置されている、請求項13又は請求項14に記載の発光装置の製造方法。
- 前記第1充填剤の粒子は、空気透過法又はFisher−SubSieve−Sizers−No.で規定される粒径が、0.5μm以上10μm以下である請求項13乃至請求項15の何れか一項に記載の発光装置の製造方法。
- 前記ブラスト加工処理は、水と研磨剤とを含有するスラリーを投射するウェットブラスト加工処理である請求項13乃至請求項16の何れか一項に記載の発光装置の製造方法。
- 前記ブラスト加工処理は、前記透光性部材の上面に対して、15°以上45°以下の角度で前記スラリーを投射する請求項17に記載の発光装置の製造方法。
- 前記ブラスト加工処理は、平面視において異なる2以上の方向から、前記スラリーを順次に投射する請求項18に記載の発光装置の製造方法。
- 前記遮光性部材は、母材として樹脂を用い、当該母材に第2充填剤の粒子を分散した樹脂材料を用いて形成され、
前記ブラスト加工処理によって、前記遮光性部材の上面において、前記第2充填剤の粒子の一部を前記遮光性部材の母材から露出させる請求項13乃至請求項19の何れか一項に記載に発光装置の製造方法。 - 前記透光性部材は、前記第1充填剤の粒子に加えて、前記発光素子からの光を異なる波長の光に変換する波長変換物質の粒子を前記透光性部材の母材に更に含有した樹脂材料を用いて形成され、
前記透光性部材を形成する工程において、前記第1充填剤の粒子及び前記波長変換物質の粒子を含有する未硬化の前記樹脂材料を前記凹部内に供給し、前記波長変換物質の粒子が沈降した後で、前記樹脂材料を硬化させる請求項13乃至請求項20の何れか一項に記載の発光装置の製造方法。
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