JP2020012784A - 光学式角度センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】光の形状と光の重心とによらずに角度変位の検出ができ、受光手段の大型化を抑制するとともに、補正工程を有さずに高精度な角度変位の検出ができる光学式角度センサの提供。【解決手段】光学式角度センサ1は、光を照射する光源2と、所定の軸にて回動する測定対象Wの角度を算出するための信号を光源2から照射された光から検出する検出手段4と、検出手段4にて検出された信号に基づき演算をする演算手段7と、を備える。検出手段4は、光を透過して光を複数の回折光とする透過型回折格子5と、複数の回折光を受光する受光手段6と、を備える。透過型回折格子5および受光手段6は、測定対象Wの回動に同期して測定対象Wと同軸にて一体に回動し、演算手段7は、受光手段6が受光した信号から測定対象Wの回動による角度の変化量を算出する角度算出部71を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、光学式角度センサに関する。
従来、光を照射する光源と、所定の軸にて回動する測定対象の角度を算出するための信号を光源から照射された光から検出する検出手段と、検出手段にて検出された信号に基づき演算をする演算手段と、を備える光学式角度センサが知られている。
例えば特許文献1に記載の2次元角度センサは、検出対象に光ビームを投光するための光源と、光ビームによる検出対象からの反射光の光路中に設けたレンズと、レンズの焦点付近に設けられたフォトダイオードによる検出素子(検出手段)と、を備える。2次元角度センサは、検出素子で検出した光電流を計算することで検出対象の角度を検出する。
また、例えば特許文献2に記載の形状測定装置は、被測定面に対して相対的に略平行移動する測定ヘッド部(検出手段)と、測定ヘッド部の対向位置における被測定面の形状が測定ヘッド部と被測定面との平行移動にともなって変化する量を測定する信号処理部(演算手段)と、を備える。測定ヘッド部は、同位相の多光束からなる光を被測定面に向けて照射させる照射光形成手段(光源)と、被測定面からの反射光を回折させて干渉縞を形成させる干渉縞形成手段と、干渉縞の光を受光して受光信号を出力する受光素子アレイ(受光手段)と、を備える。信号処理部は、受光素子アレイからの受光信号に基づく干渉縞の変位から被測定面の形状変化、すなわち、被測定面の傾斜角度を検出する。
また、例えば特許文献3に記載の変位計測装置は、光源からの光線の進路に沿って配置され、相対移動が可能であり、回折光をそれぞれ発生する第1の回折格子および第2の回折格子と、第1の回折格子および第2の回折格子による回折光を受光する複数の光センサ
(検出手段)と、複数の光センサにより得られた信号の差分値に基づき、第1の回折格子および第2の回折格子のそれぞれの格子線の方向に沿う軸回りの、第1の回折格子および第2の回折格子の相対的な回転の角度変位を算出する処理部(演算手段)と、を備える。変位計測装置は、第1の回折格子および第2の回折格子のそれぞれから発生する回折光を用いて、測定対象の角度の変位を計測する。
特開2003−156319号公報 特開2005−274429号公報 特開2014−228490号公報
しかしながら、いずれの手法においても以下のような問題がある。例えば特許文献1に記載の2次元角度センサは、検出素子に投光される光の形状と光の重心とから検出対象の傾きを検出する。ここで、光の重心とは、レンズなどを介して検出素子に投光される光の光量が最も大きい部分のことをいう。検出素子に投光される光の形状がレンズなどにより変形した場合、その変形は、ノイズとして検出結果に影響を与える。2次元角度センサは、光の形状と光の重心との変形によるノイズを抑制するため、高品質かつ高価なレンズなどの光学系を備えなければならず、コストがかかるという問題がある。
また、特許文献2に記載の形状測定装置は、被測定面が所定の角度以上に傾斜した場合、干渉縞が被測定面にて受光素子アレイのない方向に反射し、受光素子アレイに照射されないことがある。これにより、受光素子アレイは、干渉縞から被測定面の傾斜角度を検出することができないことがある。この場合、受光素子アレイの受光面積を拡大することで干渉縞が受光素子アレイから外れてしまうことを回避することができるが、受光素子アレイが大型化してしまうという問題がある。
さらに、特許文献3に記載の変位計測装置は、第1の回折格子および第2の回折格子の相対角度が大きくなると、干渉縞の数が増加する。干渉縞の数の増加により受光部が得られる信号は減衰する。このため、変位計測装置は、第1の回折格子および第2の回折格子の相対角度による傾きが所定の傾き以上にならないように補正する補正機構を備えなければならないという問題がある。
本発明の目的は、光の形状と光の重心とによらずに角度変位の検出ができ、受光手段の大型化を抑制するとともに、補正工程を有さずに高精度な角度変位の検出ができる光学式角度センサを提供することである。
本発明の光学式角度センサは、光を照射する光源と、所定の軸にて回動する測定対象の角度を算出するための信号を光源から照射された光から検出する検出手段と、検出手段にて検出された信号に基づき演算をする演算手段と、を備える光学式角度センサであって、検出手段は、光を透過して光を複数の回折光とする透過型回折格子と、複数の回折光を受光する受光手段と、を備え、透過型回折格子および受光手段は、測定対象の回動に同期して測定対象と同軸にて一体に回動し、演算手段は、受光手段が受光した信号から測定対象の回動による角度の変化量を算出する角度算出部を備えることを特徴とする。
このような本発明によれば、検出手段は、光を透過して光を複数の回折光とする透過型回折格子と、複数の回折光を受光する受光手段と、を備えるため、受光手段は、透過型回折格子により生じる干渉縞から測定対象の角度を算出するための信号を受光することができる。したがって、光学式角度センサは、光の形状と光の重心とによらずに角度変位の検出ができる。
また、透過型回折格子および受光手段は、測定対象の回動に同期して測定対象と同軸にて一体に回動する。これにより、検出手段が大きく傾斜したとしても、透過型回折格子からの回折光が受光手段から外れることがないため、受光手段は、確実に干渉縞を受光することができる。また、透過型回折格子と受光手段とが相対移動せず、透過型回折格子に照射される光の角度だけが変動するため、透過型回折格子を透過した回折光は、受光手段がない方向には回折しない。したがって、光学式角度センサは、受光手段の大型化を抑制するとともに、透過型回折格子と受光手段とが相対移動することによる傾きを補正する補正工程を有さずに高精度な角度変位の検出をすることができる。
この際、受光手段は、測定対象に取付けられていることが好ましい。
このような構成によれば、受光手段は、測定対象に取付けられていることで、測定対象が大きく傾斜したとしても、測定対象と受光手段との位置は変動しない。したがって、光学式角度センサは、測定対象が大きく傾斜したとしても、検出手段に照射される光が受光手段から外れることがないため、大型化を抑制することができる。
この際、角度算出部は、透過型回折格子に入射する入射光の角度をαとし、透過型回折格子から受光手段までの距離をLとし、信号をFとした場合に、
α=ΔF/L・・・(1)
式(1)に基づいて透過型回折格子に入射する入射光の角度αを算出し、受光手段が受光した信号から測定対象の回動による角度の変化量を算出することが好ましい。
ここで、受光手段に照射される干渉縞から検出される信号の周期は、測定対象が回動したとしても変動しないが、干渉縞から検出される信号の位相は、透過型回折格子に入射する入射光の角度αにより変動する。
したがって、このような構成によれば、角度算出部は、透過型回折格子に入射する入射光の角度αを算出することで、測定対象の角度を算出するための信号から測定対象の回動による角度の変化量を算出することができる。光学式角度センサは、計算により測定対象の回動による角度の変化量を算出することができるため、高精度に角度の検出をすることができる。
この際、光学式角度センサは、光源から検出手段に照射される光から平行光を生成する平行光生成手段を備えることが好ましい。
このような構成によれば、光学式角度センサは、光源から検出手段に照射される光から平行光を生成する平行光生成手段を備えるため、検出誤差が生じにくい光である平行光を検出手段に照射することができる。したがって、光学式角度センサは、検出誤差を抑制することができる。
この際、平行光生成手段は、光源からの光を平行光にするコリメート部を備えることが好ましい。
このような構成によれば、平行光生成手段は、光源からの光を平行光にするコリメート部を備えるため、検出誤差が生じにくい光である平行光を検出手段に照射することができる。したがって、光学式角度センサは、検出誤差を抑制することができる。
この際、平行光生成手段は、平行光を複数の分割光に分割する分割格子部と、分割格子部により分割された複数の分割光を検出手段に向かって回折する回折格子部と、を備えることが好ましい。
このような構成によれば、平行光生成手段は、平行光を複数の分割光に分割する分割格子部と、分割格子部により分割された複数の分割光を検出手段に向かって回折する回折格子部と、を備えるため、検出手段に照射される光を調節することができる。
この際、平行光生成手段は、光源からの光を複数の光に分割し、一部を回折するとともに一部を透過するビームスプリッタと、ビームスプリッタにて回折された光を検出手段に向かって反射する反射部と、を備えることが好ましい。
このような構成によれば、平行光生成手段は、光源からの光を複数の光に分割し、一部を回折するとともに一部を透過するビームスプリッタと、ビームスプリッタにて回折された光を検出手段に向かって反射する反射部と、を備えるため、検出手段に照射される光を調節することができる。
第1実施形態に係る光学式角度センサを示す概略図 前記光学式角度センサを示すブロック図 前記光学式角度センサにおける干渉縞の原理図 第2実施形態に係る光学式角度センサを示す概略図 前記光学式角度センサを示すブロック図 第3実施形態に係る光学式角度センサを示す概略図 前記光学式角度センサを示すブロック図 変形例に係る光学式角度センサを示す斜視図
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図1から図3に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態に係る光学式角度センサを示す概略図である。具体的には、図1(A)は光学式角度センサ1において測定対象Wが回動する前の状態を示す図であり、図1(B),(C)は光学式角度センサ1において測定対象Wが所定の方向に回動した状態を示す図である。
光学式角度センサ1は、図1に示すように、光を照射する光源2と、光源2から照射される光から平行光を生成する平行光生成手段3と、所定の軸にて回動する測定対象Wの角度を算出するための信号を光源2から照射された光から検出する検出手段4と、を備える。光学式角度センサ1は、回動する物体を測定する測定器の内部に設けられている。本実施形態では、測定対象Wは、X軸を軸として回動する。また、以降の説明においてX軸を測定軸として説明することがある。
光源2は、一定の幅を有する光を平行光生成手段3に向かって照射する。光源2は、例えばLED(Light Emitting Diode)である。なお、光源2はLEDに限らず、任意の光源であってもよい。
平行光生成手段3は、コリメート部31と、分割格子部32と、回折格子部33と、を備える。
コリメート部31は、光源2からの光を平行光にするレンズである。なお、コリメート部31は、レンズでなくてもよく、光を平行光にすることができればどのようなものであってもよい。
分割格子部32は、コリメート部31による平行光を複数の分割光に分割する。回折格子部33は、分割格子部32により分割された複数の分割光を検出手段4に向かって回折する。分割格子部32および回折格子部33は、透光性のガラスにて形成され、所定のピッチで配置される複数の格子を有する。複数の格子は、分割格子部32および回折格子部33の光が照射される面においてX軸と直交する方向(Y方向)に沿って並設されている。なお、分割格子部32および回折格子部33は、ガラスに限らず、任意の透光性の部材により形成されていてもよい。
検出手段4は、光を透過して光を複数の回折光とする透過型回折格子5と、複数の回折光を受光する受光手段6と、を備える。
ここで、複数の回折光は、光源2から照射された光の光軸と同じ方向に進行する回折光と、光軸の両側を所定の回折角度で進行する回折光と、光軸の両側を所定の回折角度よりも大きな回折角度で進行する回折光と、を有する。
複数の回折光は、光軸と同じ方向に進行する回折光を0次回折光とすると、0次回折光を基準として回折角度が大きくなる方向に向かって±1次回折光、±2次回折光と順序づけることができる。
検出手段4は、主に±1次回折光により生成される干渉縞から信号を検出する。
なお、以下の説明および図面において、干渉縞を生成する光の光路を矢印にて記載している。
透過型回折格子5は、透光性のガラスにて形成され、分割格子部32および回折格子部33と同じピッチで配置される複数の格子を有する。なお、透過型回折格子5は、ガラスに限らず、任意の透光性の部材により形成されていてもよい。
受光手段6は、受光手段6の受光面においてX軸と直交する方向(Y方向)に沿って並設されるとともに、光を受光して信号に変換する図示しない複数の受光素子を備える。また、受光手段6は、測定対象Wに取付けられている。複数の受光素子は、分割格子部32と回折格子部33と透過型回折格子5の複数の格子の配置ピッチに対応して、所定の配置ピッチにてY方向に沿って並設されている。複数の受光素子には、PDA(Photo Diode Array)が用いられる。PDAは、複数の干渉縞を一度に測定することができる性質を持つ受光器である。なお、複数の受光素子は、PDAに限らず、PSD(Position Sensitive Detector)やCCD(Charge - Coupled Device)等の任意の受光器を用いてもよい。
透過型回折格子5および受光手段6は、互いに距離Lだけ離間して配置され、測定対象Wの回動に同期して測定対象Wと同軸であるX軸にて一体に回動する。すなわち、透過型回折格子5および受光手段6は、測定対象WがX軸を軸として回動すると、測定対象Wの回動にともなって同時に測定対象Wと同じ方向に回動する。
具体的には、図1(B)に示すように、測定対象Wが+Y方向(紙面上方向)に回動した場合、透過型回折格子5および受光手段6は、測定対象Wの回動にともなって+Y方向に回動する。そして、受光手段6に照射される干渉縞は、受光手段6の受光面においてX軸と平行な方向と直交する直交方向である−Y方向(紙面下方向)に移動する。
また、図1(C)に示すように、測定対象Wが−Y方向に回動した場合、透過型回折格子5および受光手段6は、測定対象Wの回動にともなって−Y方向に回動する。そして、受光手段6に照射される干渉縞は、受光手段6の受光面を+Y方向に移動する。光学式角度センサ1は、この干渉縞の移動である変位から測定対象Wの傾斜角度の変位を検出する。
したがって、透過型回折格子5および受光手段6は、測定対象Wの回動にともなって回動したとしても距離Lが変わらないため、受光手段6の受光面積を大きくしなくとも、光源2から照射された光(干渉縞)を受光することができる。
図2は、前記光学式角度センサを示すブロック図である。
光学式角度センサ1は、図2に示すように、検出手段4にて検出された信号に基づき演算をする演算手段7をさらに備え、演算手段7は角度算出部71を備える。
角度算出部71は、受光手段6が受光した信号から測定対象Wの回動による角度の変化量を算出する。
具体的には、角度算出部71は、透過型回折格子5に入射する入射光の角度、すなわち、測定対象Wの回動による角度の変化量をαとし、透過型回折格子5から受光手段6までの距離をLとし、信号をFとした場合に、式(1)に基づいて受光手段6が受光した信号から測定対象Wの回動による角度の変化量を算出する。
α=ΔF/L・・・(1)
図3は、前記光学式角度センサにおける干渉縞の原理図である。具体的には、図3(A)は測定対象Wの回動にともなって検出手段4が回動する前の状態を示す図であり、図3(B)は測定対象Wの回動にともなって検出手段4が回動した後の状態を示す図である。
ここで、受光手段6に照射される干渉縞の周期は、検出手段4が測定対象Wの回動にともなって回動したとしても変化しない。
以下、図3を用いて、受光手段6に照射される干渉縞の周期が検出手段4の回動により変化しない原理について説明する。なお、図3(B)は、説明の都合上、測定対象Wの回動にともない、検出手段4が固定され、検出手段4に入射する光が回動した図となっている。
図3(A)に示すように、先ず、光源2から照射された光は、平行光生成手段3のコリメート部31にて平行光となる。次に、平行光は、分割格子部32にて複数の光に分割される。続いて、分割された複数の光は、回折格子部33にて複数の回折光となり透過型回折格子5に照射される。そして、透過型回折格子5を透過した複数の回折光は、さらに回折されることで干渉縞となり受光手段6に照射される。受光手段6に照射された干渉縞は、受光手段6の複数の受光素子により測定対象Wの角度を算出するための信号C1として検出される。
この際、回折格子部33を回折した2本の回折光(±1次回折光)のうち、+1次回折光と透過型回折格子5から受光手段6に向かって照射される+1次回折光との角度差をβ1とし、−1次回折光と透過型回折格子5から受光手段6に向かって照射される−1次回折光との角度差をβ2とする。そして、光源2から照射される光の波長をλとし、分割格子部32と回折格子部33と透過型回折格子5とが備える複数の格子の配置ピッチ(格子の周期)をgとした場合、受光手段6にて検出される+1次回折光による信号C1は式(2)にて表され、−1次回折光による信号C1は式(3)にて表される。
干渉縞の周期をΛとした場合、測定対象Wの回動にともなって検出手段4が回動する前の状態では、式(4)に表すように、干渉縞の周期は分割格子部32と回折格子部33と透過型回折格子5とが備える複数の格子の周期gの半分の周期g/2として検出される。
sinβ1=+λ/g ・・・(2)
sinβ2=−λ/g ・・・(3)
Λ=λ/(sinβ1−sinβ2)=g/2 ・・・(4)
続いて、測定対象Wの回動にともなって検出手段4が回動した場合、図3(B)に示すように、受光手段6に照射された干渉縞は、測定対象Wが回動した分だけ受光手段6の受光面をY方向に移動し、受光手段6の複数の受光素子により測定対象Wの角度を算出するための信号C2として検出される。
そして、受光手段6にて検出される+1次回折光による信号C2は式(5)にて表され、−1次回折光による信号C2は式(6)にて表される。
sinβ1+sinα=+λ/g ・・・(5)
sinβ2+sinα=−λ/g ・・・(6)
測定対象Wの回動による角度の変化量であり透過型回折格子5に入射する入射光の角度であるαの有無に関わらず、式(5)は式(2)と同様の結果となり、式(6)は式(3)と同様の結果となる。このため、測定対象Wの回動にともなって検出手段4が回動した場合であっても、式(4)にて表される干渉縞の周期と同様の周期にて信号C1,C2は検出される。したがって、角度算出部71は、式(1)に基づき測定対象Wの角度の変化量であり透過型回折格子5に入射する入射光の角度であるαを算出することで、受光手段6が受光した信号から測定対象Wの回動による角度の変化量を算出することができる。
このような本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏することができる。
(1)検出手段4は、光を透過して光を複数の回折光とする透過型回折格子5と、複数の回折光を受光する受光手段6と、を備えるため、受光手段6は、透過型回折格子5により生じる干渉縞から測定対象Wの角度を算出するための信号を受光することができる。したがって、光学式角度センサ1は、光の形状と光の重心とによらずに角度変位の検出ができる。
(2)透過型回折格子5および受光手段6は、測定対象Wの回動に同期して測定対象Wと同軸にて一体に回動する。これにより、検出手段4が大きく傾斜したとしても、透過型回折格子5からの回折光が受光手段6から外れることがないため、受光手段6は、確実に干渉縞を受光することができる。また、透過型回折格子5と受光手段6とが相対移動せず、透過型回折格子5に照射される光の角度だけが変動するため、透過型回折格子5を透過した回折光は、受光手段6がない方向には回折しない。したがって、光学式角度センサ1は、受光手段6の大型化を抑制するとともに、透過型回折格子5と受光手段6とが相対移動することによる傾きを補正する補正工程を有さずに高精度な角度変位の検出をすることができる。
(3)受光手段6は、測定対象Wに取付けられていることで、測定対象Wが大きく傾斜したとしても、測定対象Wと受光手段6との位置は変動しない。したがって、光学式角度センサ1は、測定対象Wが大きく傾斜したとしても、検出手段4に照射される光が受光手段6から外れることがないため、大型化を抑制することができる。
(4)角度算出部71は、透過型回折格子5に入射する入射光の角度αを算出することで、測定対象Wの角度を算出するための信号から測定対象Wの回動による角度の変化量を算出することができる。したがって、光学式角度センサ1は、計算により測定対象Wの回動による角度の変化量を算出することができるため、高精度に角度の検出をすることができる。
(5)光学式角度センサ1は、光源2から検出手段4に照射される光から平行光を生成する平行光生成手段3を備えるため、検出誤差が生じにくい光である平行光を検出手段4に照射することができる。したがって、光学式角度センサ1は、検出誤差を抑制することができる。
(6)平行光生成手段3は、光源2からの光を平行光にするコリメート部31を備えるため、検出誤差が生じにくい光である平行光を検出手段4に照射することができる。したがって、光学式角度センサ1は、検出誤差を抑制することができる。
(7)平行光生成手段3は、平行光を複数の分割光に分割する分割格子部32と、分割格子部32により分割された複数の分割光を検出手段4に向かって回折する回折格子部33と、を備えるため、検出手段4に照射される光を調節することができる。
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態を図4と図5に基づいて説明する。なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
図4は、第2実施形態に係る光学式角度センサを示す概略図であり、図5は、前記光学式角度センサを示すブロック図である。具体的には、図4(A)は光学式角度センサ1Aにおいて測定対象Wが回動する前の状態を示す図であり、図4(B),(C)は光学式角度センサ1Aにおいて測定対象Wが所定の方向に回動した状態を示す図である。
前記第1実施形態では、平行光生成手段3は、コリメート部31と、分割格子部32と、回折格子部33と、を備えていた。
本実施形態では、図4(A)と図5に示すように、光学式角度センサ1Aにおける平行光生成手段3Aは、分割格子部32と、回折格子部33と、を備えず、ビームスプリッタ34と、反射部35と、を備える点で前記第1実施形態と異なる。
ビームスプリッタ34は、コリメート部31により平行光となった光源2からの光を複数の光に分割し、一部を回折するとともに一部を透過する。
反射部35は、ビームスプリッタ34にて回折された光を検出手段4に向かって反射するミラーである。なお、反射部35は、光を反射することができれば、ミラーでなくてもよく、どのようなものであってもよい。
反射部35は、ビームスプリッタ34からの光を、ビームスプリッタ34を透過して検出手段4に照射される光と平行になるように反射する角度にて配置されている。
光学式角度センサ1Aにおいて光源2から照射された光は、先ず、平行光生成手段3Aのコリメート部31にて平行光となる。次に、平行光は、ビームスプリッタ34にて複数の光に分割される。続いて、分割された複数の光の一部はビームスプリッタ34を透過して検出手段4に照射され、一部は反射部35にて反射し検出手段4に照射される。
そして、図4(B)に示すように、測定対象Wが+Y方向に回動した場合、透過型回折格子5および受光手段6は、測定対象Wの回動にともなって+Y方向に回動し、受光手段6に照射される干渉縞は、受光手段6の受光面を−Y方向に移動する。
また、図4(C)に示すように、測定対象Wが−Y方向に回動した場合、透過型回折格子5および受光手段6は、測定対象Wの回動にともなって−Y方向に回動し、受光手段6に照射される干渉縞は、受光手段6の受光面を+Y方向に移動する。
このような本実施形態においても、前記第1実施形態における(1)〜(6)と同様の作用、効果を奏することができる他、以下の作用、効果を奏することができる。
(8)平行光生成手段3Bは、光源2からの光を複数の光に分割し、一部を回折するとともに一部を透過するビームスプリッタ34と、ビームスプリッタ34にて回折された光を検出手段4に向かって反射する反射部35と、を備えるため、検出手段4に照射される光を調節することができる。
(9)光学式角度センサ1Aは、分割格子部32と回折格子部33とを備えず、複数の格子により回折される光の方向を考慮する必要がないため、第1実施形態の光学式角度センサ1と比較して光源2から照射される光の径を大きくしなくとも、測定対象Wの回動による角度の変化量を検出することができる。
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態を図6と図7に基づいて説明する。なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
図6は、第3実施形態に係る光学式角度センサを示す概略図であり、図7は、前記光学式角度センサを示すブロック図である。具体的には、図6(A)は光学式角度センサ1Bにおいて測定対象Wが回動する前の状態を示す図であり、図6(B),(C)は光学式角度センサ1Bにおいて測定対象Wが所定の方向に回動した状態を示す図である。
前記第1実施形態では、平行光生成手段3は、コリメート部31と、分割格子部32と、回折格子部33と、を備え、前記第2実施形態では、平行光生成手段3Aは、ビームスプリッタ34と、反射部35と、を備えていた。
本実施形態では、図6(A)と図7に示すように、光学式角度センサ1Bにおける平行光生成手段3Bは、分割格子部32や回折格子部33、ビームスプリッタ34、反射部35を備えず、コリメート部31のみを備える点で前記第1実施形態および前記第2実施形態と異なる。
光学式角度センサ1Bにおいて光源2から照射された光は、平行光生成手段3Bのコリメート部31にて平行光となり検出手段4に照射される。
そして、図6(B)に示すように、測定対象Wが+Y方向に回動した場合、透過型回折格子5および受光手段6は、測定対象Wの回動にともなって+Y方向に回動し、受光手段6に照射される干渉縞は、受光手段6の受光面の−Y方向に移動する。
また、図6(C)に示すように、測定対象Wが−Y方向に回動した場合、透過型回折格子5および受光手段6は、測定対象Wの回動にともなって−Y方向に回動し、受光手段6に照射される干渉縞は、受光手段6の受光面の+Y方向に移動する。
このような本実施形態においても、前記第1実施形態における(1)〜(6)と同様の作用、効果を奏することができる他、以下の作用、効果を奏することができる。
(10)光学式角度センサ1Bは、光源2からの光を分割することなく、その光から角度の変化量を検出することができるため、例えば第1実施形態における分割格子部32や回折格子部33、第2実施形態におけるビームスプリッタ34や反射部35などの複雑な光学系を用いることなく、角度の変化量を検出することができる。
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記各実施形態では、光学式角度センサ1,1A,1Bは測定器に設けられていたが、測定器ではなく、その他のものに設けられていてもよく、どのようなものに設けられるかは特に限定されるものではない。
前記各実施形態では、光学式角度センサ1,1A,1Bは、平行光生成手段3,3A,3Bを備えていたが、光学式角度センサは、平行光生成手段を備えていなくてもよい。すなわち、第1実施形態における分割格子部32や回折格子部33、第2実施形態におけるビームスプリッタ34や反射部35、第3実施形態におけるコリメート部31を備えていなくてもよい。
前記各実施形態では、受光手段6は測定対象Wに取付けられていたが、受光手段は測定対象に取付けられていなくてもよい。要するに、透過型回折格子および受光手段は、測定対象の回動に同期して測定対象と同軸にて一体に回動することができれば、受光手段はどのような位置に配置されていてもよい。
前記各実施形態では、角度算出部71は、式(1)に基づいて透過型回折格子5に入射する入射光の角度αを算出し、受光手段6が受光した信号から測定対象Wの回動による角度の変化量を算出していたが、角度算出部は、受光手段が受光した信号から測定対象の回動による角度の変化量を算出することができれば、どのように測定対象の回動による角度の変化量を算出してもよい。
図8は、変形例に係る光学式角度センサを示す斜視図である。
前記各実施形態では、光学式角度センサ1,1A,1Bは、X軸を軸として回動する測定対象Wの角度の変化量を検出していたが、図8に示すように、測定対象はX軸だけでなくY軸も軸として回動し、光学式角度センサ1Cは、2軸を測定軸として角度の変化量を検出してもよい。
この際、光学式角度センサ1Cは、光源2から照射される光を4つの光に分割する分割部8と、分割部8にて分割された光を平行光に回折する平行光生成手段3Cに向かって反射する反射部9と、をさらに備える。そして、受光手段6Cは、検出手段4Cの透過型回折格子51,52による2次元の干渉縞を受光するために、X方向とY方向、双方に沿って略矩形状のPDAを配置している。
測定対象WがX軸を測定軸として回動した場合、平行光生成手段3Cにおける回折格子部36は、反射部9からの光を検出手段4Cに向かって平行となるように回折する。回折格子部36にて平行光に回折された回折光は、透過型回折格子51により受光手段6Cに向かってさらに回折され、干渉縞となって受光手段6Cに照射される。
回折格子部36および透過型回折格子51は、所定のピッチにてY方向に沿って並設される複数の格子を有している。この際、回折格子部36および透過型回折格子51の複数の格子は、同じピッチである。
測定対象WがY軸を測定軸として回動した場合、平行光生成手段3Cにおける回折格子部37は、反射部9からの光を検出手段4Cに向かって平行となるように回折する。回折格子部37にて平行光に回折された回折光は、透過型回折格子52により受光手段6Cに向かってさらに回折され、干渉縞となって受光手段6Cに照射される。
回折格子部37および透過型回折格子52は、所定のピッチにてX方向に沿って並設される複数の格子を有している。この際、回折格子部37および透過型回折格子52の複数の格子は、同じピッチである。
このような構成によれば、光学式角度センサ1Cは、反射部9を備えることで、反射部9を備えない場合と比較して、2軸を測定軸として検出できる光学式角度センサ1Cの小型化を図ることができる。なお、光学式角度センサ1Cは反射部9を備えていなくてもよく、分割部8にて分割した光が平行光生成手段3Cに照射される位置に配置することで、2軸を測定軸とする測定対象の回動による角度の変化量を検出することができる。
以上のように、本発明は、光学式角度センサに好適に利用できる。
1,1A〜1C 光学式角度センサ
2 光源
3,3A〜3C 平行光生成手段
31 コリメート部
32 分割格子部
33,36,37 回折格子部
34 ビームスプリッタ
35 反射部
4,4C 検出手段
5,51,52 透過型回折格子
6,6C 受光手段
7 演算手段
71 角度算出部

Claims (7)

  1. 光を照射する光源と、所定の軸にて回動する測定対象の角度を算出するための信号を前記光源から照射された光から検出する検出手段と、前記検出手段にて検出された前記信号に基づき演算をする演算手段と、を備える光学式角度センサであって、
    前記検出手段は、
    前記光を透過して前記光を複数の回折光とする透過型回折格子と、
    前記複数の回折光を受光する受光手段と、を備え、
    前記透過型回折格子および前記受光手段は、
    前記測定対象の回動に同期して前記測定対象と同軸にて一体に回動し、
    前記演算手段は、
    前記受光手段が受光した前記信号から前記測定対象の回動による角度の変化量を算出する角度算出部を備えることを特徴とする光学式角度センサ。
  2. 請求項1に記載された光学式角度センサにおいて、
    前記受光手段は、
    前記測定対象に取付けられていることを特徴とする光学式角度センサ。
  3. 請求項1または請求項2に記載された光学式角度センサにおいて、
    前記角度算出部は、
    前記透過型回折格子に入射する入射光の角度をαとし、前記透過型回折格子から前記受光手段までの距離をLとし、前記信号をFとした場合に、
    α=ΔF/L・・・(1)
    式(1)に基づいて前記透過型回折格子に入射する入射光の角度αを算出し、前記受光手段が受光した前記信号から前記測定対象の回動による角度の変化量を算出することを特徴とする光学式角度センサ。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載された光学式角度センサにおいて、
    前記光源から前記検出手段に照射される光から平行光を生成する平行光生成手段を備えることを特徴とする光学式角度センサ。
  5. 請求項4に記載された光学式角度センサにおいて、
    前記平行光生成手段は、
    前記光源からの光を平行光にするコリメート部を備えることを特徴とする光学式角度センサ。
  6. 請求項4または請求項5に記載された光学式角度センサにおいて、
    前記平行光生成手段は、
    前記平行光を複数の分割光に分割する分割格子部と、
    前記分割格子部により分割された複数の分割光を前記検出手段に向かって回折する回折格子部と、を備えることを特徴とする光学式角度センサ。
  7. 請求項4または請求項5に記載された光学式角度センサにおいて、
    前記平行光生成手段は、
    前記光源からの光を複数の光に分割し、一部を回折するとともに一部を透過するビームスプリッタと、
    前記ビームスプリッタにて回折された光を前記検出手段に向かって反射する反射部と、を備えることを特徴とする光学式角度センサ。
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