JP2020007354A - 抗血漿カリクレイン抗体 - Google Patents

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Abstract

【課題】血漿カリクレイン活性を抑制し、それにより血漿カリクレインと関連する疾患の治療に有効となる薬剤を提供する。【解決手段】血漿カリクレインと結合してその活性を抑制することが可能な抗体を開示する。このような抗体は、血漿カリクレインの触媒ドメインにおける1以上の重要残基と相互作用する。該抗体は、特定の重鎖の相補性決定領域3(CDR)モチーフを含み得、および、任意選択で該重鎖の可変領域および軽鎖の可変領域の両者内の特定の位置に特有の残基を含み得る。【選択図】図4

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2013年3月15日に出願された米国仮出願番号61/791,822の利益を主張する。該仮出願の全体の内容はここで参照することにより取り込まれる。
血漿カリクレインは、接触系のセリンプロテアーゼであり、ならびに、異なる炎症性疾患、心血管疾患、感染性疾患(敗血症)および腫瘍性疾患のための有望な創薬ターゲットである(Sainz I.M.ら、血栓症と止血(Thromb Haemost)98、77−83、2007)。該接触系は、異物表面もしくは負電荷の表面への接触時に第XIIa因子によって、または、エンドセリン細胞表面上でプロリルカルボキシペプチダーゼによって活性化される(Sainz I.M.ら、血栓症と止血 98、77−83、2007)。血漿カリクレインの活性化は、その第XII因子のフィードバック活性化を介して固有の凝固作用を増幅させ、および、炎症誘発性ノナペプチドであるブラジキニンの産生を介して炎症を増大させる。血液循環中の主要なキニノゲナーゼとして、血漿カリクレインは、血管系におけるブラジキニンの生成に大きな役割を果たす。血漿カリクレインの主要な天然阻害剤である、C1−阻害剤タンパク質(C1−INH)における遺伝的欠損は、遺伝性血管浮腫(HAE)を引き起こす。HAEの患者は、未知のトリガーによってしばしば引き起こされる有痛性浮腫の急性発作に苦しんでいる(Zuraw B.L.ら、ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(N Engl J Med)359、1027−1036、2008)。
薬剤の使用または動物モデルにおける遺伝学的研究を通して、該血漿カリクレイン−キニン系(血漿KKS)は様々な疾患に関与してきた。したがって、血漿カリクレイン活性を抑制し、それにより血漿カリクレインと関連する疾患の治療に有効となる薬剤を特定することは、非常な関心を集めている。
本発明は、ヒト血漿カリクレイン(PKal)の触媒ドメインとDX2930(ヒトPKalに特異的に結合し、かつその活性を効果的に阻害する抗体)のFabフラグメントとで形成された複合体の結晶構造の決定に基づいており、ならびに、本発明は、血漿カリクレイン(PKal)および抗体の両者内の残基の同定に基づいている。ここで、該抗体は、該二つの分子の間の相互作用および/または該PKal活性の阻害に重要である。
したがって、本発明の開示によって、PKalの活性を阻害する(例えば、少なくとも50%)ことが可能な抗PKal抗体、そのような抗体を含む医薬組成物、および血漿カリクレインと関連する疾患および障害の治療のための該医薬組成物の使用、が特徴づけられる。
一つの態様において、本発明の開示により、ヒト血漿カリクレイン(PKal)と結合する単離抗体が提供される。ここで、該抗体は、ヒトPKal内の1以上のアミノ酸残基と相互作用し、ならびに、その活性を少なくとも50%阻害する。該抗体と相互作用する、該PKal内の該アミノ酸残基は、図2に示すように(太字および下線を引いて表している)、V410、L412、T413、A414、Q415、R416、L418、C419、H434、C435、F436、D437、G438、L439、W445、Y475、K476、V477、S478、E479、G480、D483、F524、E527、K528、Y552、D554、Y555、A564、D572、A573、C574、K575、G576、S578、T596、S597、W598、G599、E600、G601、C602、A603、R604、Q607、P608、G609、V610およびY611であり得る。
いくつかの実施例では、上記抗PKal抗体は、上記PKalのエピトープに結合することができる。該エピトープは、以下のPKal内のセグメントのうちの1つを含む(図2):V410−C419、H434−L439、Y475−G480、F524−K528、Y552−Y555、D572−S578、T596−R604、またはQ607−Y611。
別の実施例では、上記抗体は、該PKalの突然変異体(例えば、不活性な変異体)と比較して、上記PKalに選択的に結合する。該PKalの突然変異体は、R551、Q553、Y555、T558、およびR560の位置に1以上の変異を含む(例えば、図5に示した変異体2)。
別の態様では、本発明の開示によって、ヒト血漿カリクレインと結合する単離抗体が提供されるが、該抗体は重鎖可変領域を含む。該重鎖可変領域は、相補性決定領域1(HC CDR1)、相補性決定領域2(HC CDR2)、および相補性決定領域3(HC CDR3)を含む。該抗体内の該HC CDR3は、モチーフX99100101102103104105106107108109110111(SEQ ID NO:58)を含む。ここで、X99は、RまたはQであり、X101は、T、I、R、S、またはPであり、X103は、V、I、またはLであり、X106は、RまたはWであり、X107は、DまたはNであり、X108は、A、S、D、E、またはVであり、X109は、FまたはLであり、X110は、D、E、またはNであり、および、X111は、I、N、M、またはSである。
いくつかの実施例において、X99は、Qであり得、およびX101は、I、R、S、またはPであり得る。他の実施例において、X106は、Wであり得、X111は、N、M、またはSであり得る。この代わりに、または、これに加えて、X101は、Iであり得、X108は、Eであり得、および、X103は、IまたはLであり得る。さらに別の実施例においては、X101が、Iであり得かつX103が、IまたはLであり得、あるいは、X103が、IまたはLであり得かつX110が、D、E、またはNであり得る。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される上記抗PKal抗体の重鎖可変領域は、上記HC CDR1内のH31を含む。これに代えて、または、これに加えて、該重鎖可変領域は、F27、F29、またはこれらの両方を、フレームワーク領域1(FR1)内に含む。
本明細書に記載される上記抗PKal抗体はさらに、相補性決定領域1(LC CDR1)、相補性決定領域2(LC CDR2)、および相補性決定領域3(LC CDR3)を有する軽鎖可変領域を含むことができる。いくつかの実施形態において、該LC CDR2は、K50、L54、E55、S56、またはこれらの組合せを含む。これに代えて、または、これに加えて、該軽鎖可変領域はさらに、G57をフレームワーク領域3(FR3)内に含む。必要な場合には、該軽鎖可変領域は、N45をフレームワーク領域2(FR2)内に含む。
本明細書に記載される任意の上記抗PKal抗体は、PKalの活性を少なくとも50%(例えば、少なくとも80%、90%、95%、または99%)阻害することができる。いくつかの例において、該抗体は、約1nMよりも低い(例えば、約0.1nMよりも低い、または約0.05nMよりも低い)見かけのK(Ki、app)を有する。これに代えて、または、これに加えて、本明細書に記載される該抗PKal抗体は、10−6Mよりも小さい(例えば、10−7M、10−8M、または10−9Mよりも小さい)、該PKalに対する結合親和性(K)を有することができる。
本明細書に記載される上記抗PKal抗体は、完全長抗体またはその抗原結合性フラグメントであり得る。これに代えて、または、これに加えて、該抗体は、ヒト抗体またはヒト化抗体であり得る。
さらに、血漿カリクレインに関連するさまざまな疾患および障害の治療における使用のための医薬組成物、または該疾患および障害の治療のための医薬の製造における使用のための医薬組成物も本発明の開示の範囲内である。該医薬組成物は、それぞれ、1以上の本明細書に記載されるような抗PKal抗体および薬学的に許容可能な担体を含む。
さらに、血漿カリクレインに関連する疾患の治療方法が本明細書に記載されるが、該方法は、その治療を必要としている対象に、有効量の上記医薬組成物を投与することを含む。ここで、該医薬組成物は、1以上の本明細書に記載される上記抗PKal抗体を含む。いくつかの実施例において、該対象は、疾患と診断されたヒト患者、疾患を患っていることが疑われるヒト患者、または、疾患にかかる危険性があるヒト患者である。
本発明の1以上の実施形態の詳細は、以下の記載において説明される。本発明のその他の特徴または効果は、続く図面およびいくつかの実施形態の詳細な記載によって、ならびに、特許請求の範囲によっても、明らかとなるだろう。
続く図面は、本明細書の一部分であり、本発明の開示におけるある態様をさらに説明するために含まれているのであり、本明細書に記載されている特定の実施形態の詳細な説明と組合せてこれらの図の1以上を参照することにより、該態様をよりよく理解できる。
図1は、親抗体であるM0162−A04(なお、DX2930はM0162−A04由来のものである。)の重鎖可変領域(V)および軽鎖可変領域(V)のアミノ酸配列を示し、ならびに、示されているように、これらのアライメントを対応する生殖細胞系のVおよびVと共に表す。生殖細胞系の配列と比較したときのM0162−A04における変異を示す(太字)。 図2は、(完全長ヒトPKalの残基391−638である)ヒト血漿カリクレインの触媒ドメインのアミノ酸配列(SEQ ID NO:40)を示す。太字および下線を引いて示した残基は、DX2930の上記Fabフラグメントとの相互作用に関わる残基を示しており、該相互作用に関わる残基は、後記の実施例1で議論される結晶構造によって特定した。 図3は、ヒトPKalに対するM0162−A04から派生した多数の抗体変異体の見かけのKi(Ki、app)を示すグラフである。 同上。 同上。 同上。 図4は、野生型PKalおよび多数のPKal変異体に対するクローンX115−F02(下記の表1を参照のこと。)の見かけKi(Ki、app)を示すグラフである。 図5は、多数のPKal変異体(触媒ドメイン)のアミノ酸配列を示す。該変異体は、ピキア属の細胞中で作製した。 同上。
DX−2930は、親クローンM0162−A04由来の完全ヒトIgGである。M0162−A04のVおよびVのアミノ酸配列を図1に示した。図1にはまた、該アミノ酸配列の対応する生殖細胞系VH遺伝子(VH3_3−23)およびVL遺伝子(VK1_L12)とのアライメントも示した。M0162−A04のHC CDR3と比較して、DX−2930のHC CDR3は、T101I、I103V、およびA108Eの変異を含む(下記の表2を参照のこと;DX−2930のHC CDR3は、M0199−A08と同一である。)。本発明の開示においては、コーチア付番規定(Chothia Numbering Scheme)を使用した(http://www.bioinf.org.uk/abs/)。
以下の表1は、DX−2930、その親抗体M0162−A04、およびこれらの変異体の構造情報を提供する。US2012/0201756およびUS2011/0200611も参照のこと。
Figure 2020007354
DX−2930のFabフラグメントとヒト血漿カリクレイン(PKal)の触媒ドメインとの間に形成された複合体の結晶構造(異なる解(resolutions)を有する)を決定した。結晶構造によってもたらされた構造情報に基づき、ヒトPKalの触媒ドメイン内および上記抗体内(VおよびV内)の両方に存在する多数の相互作用残基を特定した。該PKal内の該相互作用残基は、該PKalの活性を阻害することが可能な抗体の開発のための重要な標的である。同様に、該抗体内の該相互作用残基は、高い阻害活性を有する抗PKal抗体を設計するための重要な構造情報もまた提供する。
さらに、高い親和性抗PKal抗体を開発するために、クローンM0162−A04を親として用いて親和性成熟分析を実施した。結晶構造によってもたらされた構造情報と適合した親和性成熟から、結果を得た。該構造情報および該親和性成熟の結果に基づき、高い阻害活性を有する抗PKal抗体に対して設計された特定のVHおよびVLモチーフ/残基を特定した。
したがって、血漿カリクレイン(例えば、ヒト血漿カリクレイン;PKal)に結合してその活性を阻害することができる抗体、および、血漿カリクレインと関連する疾患または障害の治療のための該抗体の使用が、本明細書に記載される。そのような抗体は、PKalの触媒ドメイン内の1以上の重要な残基と相互作用し、および/または、上記重鎖可変領域(例えば、HC CDR1またはHC CDR3)もしくは上記軽鎖可変領域(例えば、LC CDR2)のいずれかまたは両方に、特定のモチーフ/残基を含む。
PKalに結合する抗体
本発明の開示によれば、PKalに結合する単離抗体が提供され、特に、ヒトPKalなどのPKalの触媒ドメインに結合する単離抗体が提供される。本明細書において使用される「単離抗体」という用語は、本来的に会合している分子、すなわち、該抗体を含有する調製物の乾燥重量で最大で20%を構成する自然会合分子、を実質的に含まない抗体をいう。任意の適した方法、例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、およびHPLCにより純度を測定することができる。
抗体(単数であっても複数であってもよい)は、標的に特異的に結合することができる免疫グロブリン分子であり、該標的は、例えば、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどであり、該免疫グロブリン分子の可変領域に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を通して標的に特異的に結合する。本明細書において使用されるように、「抗体」という用語は、無傷の(すなわち、完全長の)ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のみではなく、それらの抗原結合性フラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fvなど)、単鎖(scFv)、それらの変異体、抗体タンパク質を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体(diabodies)、線状抗体(linear antibodies)、単鎖抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体など)、および、要求される特異性を示す抗原認識部位を有する該免疫グロブリン分子の任意の他の改変配置をも包含し、例えば、抗体のグリコシル化改変体、抗体のアミノ酸配列改変体、および共有結合的に修飾された抗体、を包含する。抗体は、任意のクラス、例えば、IgD、IgE、IgG、IgA、またはIgM(または、これらのサブクラス)の抗体を包含し、ならびに、該抗体は、特定のクラスを必要としない。該抗体の重鎖の定常部位のアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、異なるクラスに分類することができる。免疫グロブリンの主要なクラスは5つあり、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMである。そして、これらのクラスうちのいくつかは、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2などのサブクラス(アイソタイプ)へとさらに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する該重鎖定常部位は、それぞれα、β、ε、γ、およびμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および三次元構造はよく知られている。
本明細書に記載される上記抗体は、PKal、特にPKal(例えば、ヒトPKal)の触媒ドメインに結合することができ、それによってPKalの活性を阻害する。いくつかの例において、本明細書に記載される該抗体は、少なくとも50%、例えば、60%、70%、80%、90%、95%、またはより高い割合で、PKalの活性を阻害することができる。阻害定数(Ki)は、阻害能の尺度となるものであり、酵素活性を半減させるために必要となる阻害剤の濃度であり、酵素または基質濃度に依存しない。抗PKal抗体の阻害活性は、例えば後記する実施例2に記載した方法などの常法で測定することができる。
いくつかの実施例において、抗PKal抗体の阻害活性は、上記見かけKi(Ki、app)値によって測定する。異なる抗体濃度における反応(例えば、酵素活性)の程度への阻害効果を測定することにより、異なる基質濃度における該抗体のKi、app値を得た;阻害剤濃度の関数として擬一次速度定数における変化をモリソン公式(Morrison equation)(数式1)に当てはめることにより、該見かけKi値の推定値を算出する。競合阻害剤については、該Kiは、基質濃度に対するKi、appのグラフの線形回帰分析から求めたy切片から得る。
Figure 2020007354
いくつかの実施例において、本明細書に記載される上記抗PKal抗体は、1nMより低い(例えば、0.5nM、0.2nM、0.1nM、0.09nM、0.08nM、0.07nM、0.06nM、0.05nM、0.04nM、0.03nM、0.02nM、0.01nM、または、より低い)Ki、app値を有する。抗体の該Ki、app値は、当技術分野において既知の方法および本明細書に記載された方法(実施例2)に従って推定することができる。
本明細書に記載される上記抗体は、ネズミ由来、ラット由来、ヒト由来、または任意のその他の由来のもの(キメラ抗体、またはヒト化抗体を含む)であり得る。いくつかの実施例において、該抗体は、例えば免疫学的に不活性な定常部位のような改変定常部位を含む。該免疫学的に不活性な定常部位としては、例えば、補体媒介溶菌を引き起こさない、または抗体依存性細胞媒介細胞毒性(ADCC)を刺激しない。ADCC活性は、US特許番号5,500,362に開示の方法を用いて評価できる。他の実施形態においては、該定常部位は、『免疫学の欧州誌(Eur. J. Immunol.)(1999)29:2613−2624;PCT出願番号 PCT/GB99/01441;および/またはUK特許出願番号9809951.8.に記載されているように、改変される
本明細書に記載される上記抗体のいずれも、モノクローナルまたはポリクローナルであり得る。「モノクローナル抗体」は、均一の抗体群を表し、および、「ポリクローナル抗体」は異種の抗体群を表す。これら二つの用語は、抗体の供給源または抗体の作製方法を制限するものではない。
一つの実施例において、本明細書に記載される方法において使用される上記抗体は、ヒト化抗体である。ヒト化抗体とは、非ヒト(例えば、ネズミ)抗体の形態であり、該非ヒト抗体は、最小限の非ヒト免疫グロブリン由来配列を含む、特定のキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはこれらの抗原結合フラグメントである。ほとんどの部分において、ヒト化抗体はヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、該ヒト免疫グロブリンにおいては、該レシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が、所望の特異性、親和性、および性質を有するマウス、ラット、またはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDR残基によって置換されている。いくつかの例においては、該ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、同様の非ヒト残基によって置換されている。さらに、該ヒト化抗体は、レシピエント抗体内にも、移入されたCDRまたはフレームワーク配列内にも含まれない残基を含んでいてよく、該残基は、しかし、さらに抗体の性能を精緻化し最適化するために含まれる。一般的に、該ヒト化抗体は、少なくとも一つの、および典型的には2つの、可変領域を実質的にすべて含むだろう。ここで、該可変領域においては、該CDR領域の全体または実質的な全体は、非ヒト免疫グロブリンのそれらと一致し、ならびに該FR領域の全体または実施的な全体は、ヒト免疫グロブリンのコンセンサス配列のそれらである。該ヒト化抗体は、最適には免疫グロブリン定常部位またはドメイン(Fc)の少なくとも一部もまた含むだろう。一般的には、該免疫グロブリン定常部位またはドメイン(Fc)は、ヒト免疫グロブリンのそれである。抗体は、WO99/58572に記載されているように改変されたFc領域を有していてよい。ヒト化抗体の他の形態は、1以上(1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ)のCDRを有し、該CDRは元の抗体について変更されており、また該CDRは、元の抗体の1以上のCDR「由来」の1以上のCDRに変えられている。ヒト化抗体はまた、親和性成熟を伴ってもよい。
別の実施例において、本明細書に記載される上記抗体は、キメラ抗体であり、該キメラ抗体は、ヒト抗体の重鎖定常領域および軽鎖定常領域を含み得る。キメラ抗体は、第一の種の可変領域または可変領域の一部ならびに第二の種の定常領域を有する抗体をいう。一般的には、これらのキメラ抗体においては、軽鎖および重鎖両方の該可変領域は、哺乳類の一つの種(例えば、マウス、ウサギ、およびラットなどの非ヒト哺乳類)由来の抗体の該可変領域を擬態するが、その定常部位は、ヒトなど別の哺乳類由来の抗体内の配列と相同である。いくつかの実施形態において、該可変領域および/または該定常領域内のアミノ酸の改変を実施することができる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される上記抗PKal抗体は、PKalまたはその触媒ドメインに対する好適な結合親和性を有する。本明細書で使用される「結合親和性」は、見かけ会合定数またはKをいう。該Kは、解離定数(K)の逆数である。本明細書で記載される該抗体は、少なくとも10−5、10−6、10−7、10−8、10−9、10−10Mの結合親和性(K)またはより低い結合親和性を有していてよい。結合親和性の増加は、Kの減少に相当する。第二の標的に対する結合親和性と比較したときの、ある抗体の第一の標的に対するより高い結合親和性は、該第二の標的についてのK(または、K数値)より高い該第一の標的についてのK(または、より小さいK数値)によって示され得る。このような場合、該抗体は、該第一の標的(例えば、第一の形態のタンパク質またはその模倣物)に対して、該第二の標的(例えば、同じタンパク質の第二の形態のものまたはその模倣物;あるいは、第二のタンパク質)と比較し、特異性を有する。(例えば、特異性またはその他の対照に関する)結合親和性における差は、少なくとも1.5、2、3、4、5、10、15、20、37.5、50、70、80、91、100、500、1000、10,000、または10倍であり得る。
結合親和性は、平衡透析、平衡結合、ゲル濾過、ELISA、表面プラズモン共鳴、または分光法(例えば、蛍光測定を用いた分光法など)を含むさまざまな方法によって決定することができる。結合親和性を評価するための例示的な条件は、HBS−Pバッファー中(10mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、0.005%(v/v)サーファクタントP20)である。これらの技術は、標的タンパク質濃度の関数としての、結合している結合タンパク質の濃度を測定するために使用することができる。該結合している結合タンパク質の濃度([結合])は、下記式で示されるように、遊離の標的タンパク質の濃度([遊離])および標的となっている結合タンパク質に対する結合部位の濃度と関連している。ここで、(N)は、標的分子あたりの結合部位の数である。
数式:[結合]=[N][遊離]/(Kd+[遊離])
を正確に決定することは必ずしも必要ではないが、親和性の定量測定値を得るのに十分であることもあるため、例えば、ELISAまたはFACS分析などの方法を用いて決定した場合など、Kに比例し、ゆえに、より高い親和性(例えば、2倍高い親和性)が親和性の定量測定値を得ることができるかどうかを決定するための、または、例えば機能分析(例えば、イン・ビトロまたはイン・ビボ試験における機能分析)によって親和性の推論を得ることができるかどうかを決定するための対照として用いることができる。
ヒト血漿カリクレイン内の特定の残基を標的とする抗体
いくつかの実施形態において、上記抗PKal抗体は、ヒトPKalの触媒ドメイン内の1以上の上記残基(例えば、少なくとも3、5、8、10、15、20、25、30、35、40、または45の残基)と相互作用する。該1以上の残基は、V410、L412、T413、A414、Q415、R416、L418、C419、H434、C435、F436、D437、G438、L439、W445、Y475、K476、V477、S478、E479、G480、D483、F524、E527、K528、Y552、D554、Y555、A564、D572、A573、C574、K575、G576、S578、T596、S597、W598、G599、E600、G601、C602、A603、R604、Q607、P608、G609、V610、およびY611(数字は完全長のプレカリクレインのアミノ酸配列に基づいている)を含む。これらの残基の位置を、図2に示している(太字および下線を引いて示している)。これらの残基は、後記の実施例1に記載される結晶構造によれば、PKalの活性には重要であることが特定されている。
いくつかの実施形態において、上記抗PKal抗体は、ヒトPKalの上記触媒ドメイン内の1以上の上記残基(3、5、8、10、15、20、または23の残基)と相互作用する。該残基は、L418、C419、H434、C435、D437、G438、L439、Y475、D483、F524、D572、A573、C574、K575、G576、S578、T596、S597、W598、G599、E600、G601、およびC602(数字は完全長のプレカリクレインアミノ酸配列に基づいている)を含む。
いくつかの実施形態において、上記抗PKal抗体は、ヒトPKalの上記触媒ドメイン内の1以上の上記残基(例えば、少なくとも3、5、または8の残基)と相互作用する。該残基は、K476、V477、S478、E479、G480、Y552、D554、およびY555(数字は完全長のプレカリクレインアミノ酸配列に基づいている)を含む。
いくつかの実施形態において、ヒトPKalの上記触媒ドメイン内の上記抗PKal抗体は1以上の上記残基(例えば、3、5、8、または10の残基)と相互作用する。該残基は、V410、L412、T413、A414、Q415、R416、E527、K528、A603、およびR604(数字は完全長のプレカリクレインアミノ酸配列に基づいている)を含む。
いくつかの実施形態において、ヒトPKalの触媒ドメイン内の上記抗PKal抗体は1以上の上記残基(例えば、少なくとも3、5、または6の残基)と相互作用する。該残基は、W445、Q607、P608、G609、V610、およびY611(数字は完全長のプレカリクレインアミノ酸配列に基づいている)を含む。
いくつかの実施形態において、ヒトPKalの触媒ドメイン内の上記抗PKal抗体は1以上の上記残基(例えば、少なくとも3、5、8、または9の残基)と相互作用する。該残基は、F524、D572、A573、C574、K575、G576、S578、G601、およびC602(数字は完全長のプレカリクレインアミノ酸配列に基づいている)を含む。
いくつかの実施形態において、ヒトPKalの触媒ドメイン内の上記抗PKal抗体は1以上の上記残基(例えば、少なくとも3、5、または8の残基)と相互作用する。該残基は、L418、C419、H434、C435、D437、G438、Y475、およびD483(数字は完全長のプレカリクレインアミノ酸配列に基づいている)を含む。
いくつかの実施形態において、ヒトPKalの触媒ドメイン内の上記抗PKal抗体は1以上の上記残基(例えば、少なくとも3または4の残基)と相互作用する。該残基は、S597、W598、G599、およびE600(数字は完全長のプレカリクレインアミノ酸配列に基づいている)を含む。
相互作用するとは、2つの結合パートナーによって形成された複合体内の2つの残基の間の距離が、所定の値(例えば、<6Å、<4Å、または<2Å)よりも低いということを意味する。例えば、1つの結合パートナー内のある相互作用残基は、複合体構造上の他の結合パートナーの残基の少なくとも1原子の所定の閾値内(例えば、<6Å、<4Å、または<2Å)に少なくとも1原子を有することができる。相互作用には、実際の結合を必要としない。相互作用する残基は、抗体認識に関与することが示唆されている。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される上記抗体は、上記でリストアップした残基を1以上含むエピトープでヒトPKalに結合する。「エピトープ」とは、Fabなどの抗体または完全長抗体によって結合される標的化合物上の部位をいう。エピトープは、直線状であり得、一般的には6−15aaの長さである。あるいは、該エピトープは、高次構造的であり得る。
いくつかの実施例において、本明細書に記載される上記抗PKal抗体は、下記のセグメントを含むエピトープに結合する:V410−C419、H434−L439、Y475−G480、F524−K528、Y552−Y555、D572−S578、T596−R604、またはQ607−Y611。
いくつかの実施例において、本明細書に記載される上記抗体は、特異的にPKalまたはPKal内のエピトープに結合する。ある標的にまたはあるエピトープに「特異的に結合する」(本明細書において交互に用いられる。)抗体は、当技術分野でよく理解されている用語であり、そのような特異的結合を測定する方法もまた、当技術分野において周知である。ある分子がある特定の標的抗原と、該分子が他の標的に対するよりも、非常に長い期間および/または非常に高い親和性で、より高い頻度で、より迅速に、反応または関連する場合に、該分子は「特異的結合」を示すといわれる。ある抗体は、該抗体が他の物質に対するよりも、該抗体が非常に高い親和性、結合活性で、より迅速におよび/または非常に長い期間結合する場合に、ある標的抗原に「特異的に結合」する。例えば、特異的に(または選択的に)ヒトPKalまたはその中のエピトープと結合するある抗体は、この標的抗原に対して、該抗体が他の抗原または同じ抗原内の異なるエピトープに対するよりも、非常に高い親和性、結合活性で、より迅速に、および/または非常に長い期間で結合する抗体である。この定義の解釈から、例えば、第一の標的抗原に特異的に結合するある抗体は、特異的にまたは選択的に第二の標的抗原に結合してもしなくてもよい、ということもまた理解される。したがって、「特異的結合」または「選択的結合」は、(包含し得るが、)必ずしも排他的結合である必要はない。必ずしもそうではないが、一般的に、結合への言及は、選択的結合を意味する。
ひとつの実施例において、本明細書で記載される上記抗PKal抗体は、1以上のR551、Q553、Y555、T558、およびR560に変異を含む突然変異体、例えば実施例3に記載される突然変異体2と比較した場合、選択的に野生型と結合する。そのような抗体は、突然変異体と比較してはるかに高い親和性で野生型PKalと結合してよい(例えば、少なくとも、2倍、5倍、10倍、50倍、100倍、200倍、500倍、1,000倍高い)。これに代えて、または、これに加えて、該抗体は、該突然変異体と比較して、該野生型PKalに対してはるかに高い阻害活性を示す(例えば、少なくとも2倍、5倍、10倍、50倍、100倍、200倍、500倍、1,000倍高い)。
他の実施例において、本明細書に記載される上記抗PKal抗体は、野生型PKalおよびその機能性変異体を含む活性PKalと結合する。該抗体は、不活性変異体に対する該抗体の結合と比較して、ある活性PKalと選択的に結合することができる。
特定のモチーフおよび/または残基を有する抗血漿カリクレイン抗体
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される上記抗PKal抗体は、VおよびVを含み、これらの両者は、フレームワーク領域に挟まれて配置された3つのCDRを含む(FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4;図1を参照のこと)。上記重鎖の該CDR3は、以下のモチーフを含み得る:X99100101102103104105106107108109110111。ここで、X99は、RまたはQ、X101はT、I、R、S、またはP、X103はV、I、またはL、X106は、RまたはW、X107は、DまたはN、X108は、A、S、D、E、またはV、X109は、FまたはL、X110は、D、E、またはN、および、X111は、I、N、M、またはSである。いくつかの実施例において、X99は、Q、および、X101は、I、R、SまたはPである。これに代えて、または、これに加えて、X106はW、およびX111は、N、M、またはSである。他の実施例において、X101は、I、X108は、E、およびX103は、IまたはL;あるいは、X101は、I、および、X103は、IまたはLである。さらに別の実施例において、X103は、IまたはL、および、X110は、D、E、またはNである。
さらに、このような抗PKal抗体は、本明細書で議論される結晶構造に基づいて特定された1以上の他の残基を、ヒトPKalの上記触媒ドメインとの相互作用に関わる残基として含むことができる。これらの残基は、上記Vまたは上記V鎖内に位置することができる。例としては、該Vの上記FR1内のE1、V2、F27、T28、F29、およびS30、上記HC CDR1内のH31;上記LC CDR1内のS31およびW32、該V鎖の上記FR1内のY49、LC CDR2内のK50、T53、L54、およびE55、およびS56、ならびに、該Vの上記FR3内のG57およびV58を含む。
上記で記載した抗PKal抗体は、生殖系列の重鎖および軽鎖V遺伝子をフレームワークとして使用することができる。重鎖V遺伝子は、これらに限定されるものではないが、IGHV1−2、IGHV1−3、IGHV1−8、IGHV1−18、IGHV1−24、IGHV1−45、IGHV1−46、IGHV1−58、IGHV1−69、IGHV2−5、IGHV2−26、IGHV2−70、IGHV3−7、IGHV3−9、IGHV3−11、IGHV3−13、IGHV3−15、IGHV3−20、IGHV3−21、IGHV3−23、IGHV3−30、IGHV3−33、IGHV3−43、IGHV3−48、IGHV3−49、IGHV3−53、IGHV3−64、IGHV3−66、IGHV3−72、IGHV3−73、IGHV3−74、IGHV4−4、IGHV4−28、IGHV4−31、IGHV4−34、IGHV4−39、IGHV4−59、IGHV4−61、IGHV4−B、IGHV5−51、IGHV6−1、およびIGHV7−4−1を含む。
いくつかの実施例において、上記抗体は、κ軽鎖を用いる。軽鎖VK遺伝子は、これらに限定されるものではないが、V遺伝子に関して、IGKV1−05、IGKV1−06、IGKV1−08、IGKV1−09、IGKV1−12、IGKV1−13、IGKV1−16、IGKV1−17、IGKV1−27、IGKV1−33、IGKV1−37、IGKV1−39、IGKV1D−16、IGKV1D−17、IGKV1D−43、IGKV1D−8、IGKV2−24、IGKV2−28、IGKV2−29、IGKV2−30、IGKV2−40、IGKV2D−26、IGKV2D−29、IGKV2D−30、IGKV3−11、IGKV3−15、IGKV3−20、IGKV3D−07、IGKV3D−11、IGKV3D−20、IGKV4−1、IGKV5−2、IGKV6−21、およびIGKV6D−41を含む。他の実施例において、該抗体は、例えば任意のIGLV1−IGLV10などのλ軽鎖を用いる。
上記抗体は、任意の生殖系列の重鎖Jセグメント(例えば、重鎖IGJH1−IGJH6)および軽鎖Jセグメント(例えば、IGJK1、IGJK2、IGJK3、IGJK4、またはIGJK5)もまた用いることができる。該セグメントは、例えば、C末端、N末端またはこれら両方における欠失などで、変更され得る。
生殖系列の抗体遺伝子/セグメント配列は、この分野において周知である。例えば、http://www.vbase2.org/vbstat.phpを参照のこと。
いくつかの実施例において、本明細書に記載される上記PKal抗体は、上記重鎖および/または上記軽鎖のためのフレームワークとしてVH3_3−23および/またはVK1_L12を用いる。それは、M0162−A04内のもの(図1)と実質的に類似のHC CDR1、HC CDR2、および/またはHC CDR3、ならびにLC CDR1、LC CDR2、および/またはLC CDR3を含んでいてよく、これらは、例えば、対応するM0162−A04内のCDR領域と比較したとき5、4、3、2、または1つまでのアミノ酸残基の変異を含む。
他の実施例において、上記抗PKal抗体は、M0162−A04の対応するV CDRと少なくとも75%(例えば、80%、85%、90%、95%、または98%)同一のV CDR1、V CDR2、およびV CDR3を含んでいるV鎖、ならびに、M0162−A04の対応するV CDRと少なくとも75%(例えば、80%、85%、90%、95%、または98%)同一のV CDR1、V CDR2、およびV CDR3を含んでいるV鎖、を含む。
あるいは、上記抗PKal抗体は、M0162−A04のV鎖(成熟または前駆体)と少なくとも75%(例えば、80%、85%、90%、95%、または98%)同一であるV鎖、および/または、M0162−A04のV鎖(成熟または前駆体)と少なくとも75%(例えば、80%、85%、90%、95%、または98%)同一であるV鎖を含む。
二つのアミノ酸配列の上記「%同一性」は、カーリンとアルチュール(Karlin and Altschul)が『米国科学アカデミー紀要87』2264−68、1990に記載したアルゴリズムを、カーリンとアルチュールが『米国科学アカデミー紀要90』5873−77、1993に記載されるように変形して用いて決定する。このようなアルゴリズムは、アルチュールら著『分子生物学誌(J.Mol.Biol.)215』403−10、1990に記載のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)に編入されている。BLASTタンパクサーチを、XBLASTプログラム、スコア=50、ワードサイズ=3で実行し、目的のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得ることができる。二つの配列間にギャップが生じている場所では、アルチュールら著『核酸研究(Nucleic Acids Res.)25(17)』3389−3402、1997に記載されているようにギャップBLASTを利用することができる。BLASTおよびギャップBLASTプログラムを利用するとき、各プログラム(XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターを使うことができる。
いくつかの例において、M0162−A04内の上記CDRへ、例えば、上記結晶構造に基づいて決定した、該残基がPKalとの相互作用には関与しそうにない位置に、保存的変異を導入することができる。本明細書で使用される「保存的アミノ酸置換」は、その中でアミノ酸置換がなされるタンパク質の相対電荷またはサイズ特性を変化させないアミノ酸置換をいう。変異体は、ポリペプチド配列の変換方法に従って調製できる。該ポリペプチド配列の変換方法は、当業者に知られており、例えば、そのような方法を編集している文献、例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, J. Sambrook, et al., eds., Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor,New York,1989、または Current Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubel,et al.,eds.,John Wiley&Sons,Inc.,New Yorkに記載されている。アミノ酸の保存的置換は、以下のグループ内のアミノ酸によってなされる置換を含む:(a)M、I、L、V;(b)F、Y、W;(c)K、R、H;(d)A、G;(e)S、T;(f)Q、N;および(g)E、D。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される上記抗PKal抗体は、US 20110200611に記載された抗体ではない。なお、該文献は、ここで参照することにより取り込まれる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される上記抗PKal抗体は、DX−2930と同じエピトープに結合し、および/または、該抗PKal抗体がDX−2930ではないとの前提のもと結合に関してDX−2930と競合する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される該抗PKal抗体は、PKal内の配列SWGE(SEQ ID NO:48)および/またはDACKG(SEQ ID NO:49)に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される該抗PKal抗体は、Pkal内の配列DGL、SEG、TSWGEG(SEQ ID NO:50)および/またはDACKG(SEQ ID NO:49)に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される該抗PKal抗体は、Pkal内のDGL、SEG、TSWGEG(SEQ ID NO:50)および/またはDACKG(SEQ ID NO:49)に結合しない。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される該抗PKal抗体は、配列LVTNEECQKRYQDYKITQQ(SEQ ID NO:51)、WVTGWGFSKEKGEI(SEQ ID NO:52)、ACKGDSGGPL(SEQ ID NO:53)、SWGDI(SEQ ID NO:54)、HDIALIKL(SEQ ID NO:55)、TPFSQIKEIIIHQNY(SEQ ID NO:56)、および/またはAHCFDGLPLQDVWRIY(SEQ ID NO:57)に結合しない。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される該抗PKal抗体は、PKalの上記活性ドメイン内に位置するエピトープ(エピトープ全体またはエピトープの一部)へ結合し、および、DX−2930とは異なっている。このような抗体の該エピトープは、DX−2930のエピトープの残基と重複する残基を有していてよい。あるいは、該二つのエピトープには、重複残基は存在し得ない。
DX−2930の完全長の重鎖および軽鎖を以下に示す。
Figure 2020007354
Figure 2020007354
上記の配列において、定常領域は、イタリック体で示し、およびCDR領域は太字で下線を引いて示した。
抗体の調製
本明細書に記載されるPKalに結合可能な抗体は、当技術分野において既知の任意の方法によって作製することができる。例えば、Harlow and Lane,(1988)Antibodies:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory,New Yorkを参照のこと。
いくつかの実施形態において、ある標的抗原(例えば、ヒトPKalまたはその触媒ドメイン)に特異的な抗体は、従来のハイブリドーマ技術によって作製することができる。任意選択でKLHなどのキャリアータンパク質と連結していてもよい、完全長の標的抗原またはそれらのフラグメントは、その抗原に結合する抗体を産生するように宿主動物を免疫するために使用することができる。該宿主動物の免疫ルートおよびスケジュールは、一般的に、さらに本明細書に記載されるような、抗体の刺激および産生のための確立された従来技術に従う。マウス、ヒト化、およびヒト抗体の一般的な方法は、当技術分野において知られており、また、本明細書に記載されている。ヒトを含む任意の哺乳動物の対象またはそれから得られる抗体産生細胞を、ヒトハイブリドーマ細胞株を含む哺乳動物の産生物の基礎となるように利用することができることが企図される。一般的に、該宿主動物は、本明細書に記載されるものを含む、ある量の免疫原を、腹腔内接種、筋肉内接種、経口接種、皮下接種、足裏(intraplantar)接種、および/または、皮内接種される。
ハイブリドーマは、コーラー,Bとミルシュタイン,C(Kohler, B. and Milstein, C.)の『ネイチャー 256』495−497(1975)に記載された一般的な体細胞ハイブリダイゼーション技術を用いて、あるいは、バック,D.W(Buck,D.W.)ら著『イン・ビトロ 18』377−381(1982)によって改変された技術を用いて、リンパ球および不死化骨髄腫細胞から調製することができる。限定されるものではないが、X63−Ag8.653およびソーク研究所 細胞配送センター(the Salk Institute,Cell Distribution Center)、サンディエゴ、カリフォルニア、USAから入手したものを含む骨髄腫細胞株を、該ハイブリダイゼーションにおいて使用してもよい。一般的に、該技術は、例えばポリエチレングリコールなどの融合剤を用いた、または当業者に周知の電気的手段による、骨髄腫細胞とリンパ球様細胞との融合を伴う。該融合後に、該細胞を融合培地から分離し、ハイブリダイズされなかった親細胞を除去するために、例えばヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン(HAT)培地などの選択的増殖培地において増殖させる。本明細書に記載されるいかなる培地、血清を補充しているものまたは補充していないものも、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを培養するために使用することができる。細胞融合技術の他の代替法として、EBV不死化B細胞を、本明細書に記載される該抗PKalモノクローナル抗体を産生するために使用してもよい。該ハイブリドーマは、所望の場合、増殖およびサブクローン化し、また、上清を、従来技術の免疫学的試験法(例えば、放射免疫測定法、酵素免疫測定法、または蛍光免疫測定法)によって抗免疫原活性について試験する。
抗体の供給源として使用してもよいハイブリドーマは、すべての派生物、上記PKal活性の妨害が可能なモノクローナル抗体を産生する親ハイブリドーマの子孫細胞を包含する。そのような抗体を産生するハイブリドーマは、イン・ビトロまたはイン・ビボで、既知の方法を用いて増殖させてよい。該モノクローナル抗体を、培養培地または体液から、所望の場合、硫酸アンモニウム沈殿法、ゲル電気泳動法、透析法、クロマトグラフィー、および限外濾過などの従来技術の免疫グロブリン精製方法によって単離してよい。望ましくない活性が存在する場合、例えば、固体相に付着させた免疫原でできている吸着剤に調製液を通し、該免疫原から所望の抗体を溶出または放出させることによって取り除くことができる。標的抗原あるいは該標的アミノ酸配列を含むフラグメントによる宿主動物の免疫化によって、抗体群(例えば、モノクローナル抗体)を得ることができる。ここで、該標的抗原または該標的アミノ酸配列を含むフラグメントは、免疫化させる種において免疫原性であるタンパク質と共役しており、該免疫原性であるタンパク質は、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシチログロブリン、またはダイズトリプシン阻害因子などである。また、該免疫化は、例えば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介した結合)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リシン残基を介した結合)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl、またはR1N=C=NR(式中、RおよびR1は異なるアルキル基である)などの二官能性剤または誘導体化剤を用いて行う。
所望の場合、目的の(モノクローナルまたはポリクローナル)抗体(例えば、ハイブリドーマによって産生された抗体)の配列を決定してよく、および、該ポリヌクレオチド配列をその後、発現または増殖のためにベクターへクローニングしてよい。目的の該抗体をコードする配列は、宿主細胞内のベクター内で維持されてよく、該宿主細胞は、その後、増殖させ将来の使用のために冷凍させることができる。代替法においては、該ポリヌクレオチド配列を、該抗体を「ヒト化」するための遺伝子操作または上記親和性(親和性成熟)や該抗体のその他の特性を向上させるための遺伝子操作のために使用してよい。例えば、該抗体がヒトにおける臨床試験および治療に使用される場合、上記定常領域を、免疫反応を回避するためにヒト定常領域により類似するように操作してよい。該標的抗減に対する非常に高い親和性を得るため、および、PKalの活性阻害において非常に高い効果を得るために、一般的に該抗体配列を利用することが望ましい。該抗体において1以上のポリヌクレオチドを変換することができるということ、ならびに、それでもなお該標的抗原に対する結合特異性が維持されるということが、当業者に明らかとなるであろう。
別の実施形態において、特定のヒト免疫グロブリンタンパク質を発現するように遺伝子操作された市販のマウスを使用することによって完全ヒト抗体を得ることができる。より望ましい免疫反応(例えば、完全ヒト抗体)またはより強力な免疫反応を引き起こすように設計されたトランスジェニック動物を、ヒト化抗体またはヒト抗体の産生のために使用してよい。このような技術の例としては、アムジェン社(Amgen,Inc.)(フリーモント、カリフォルニア)のゼノマウス(Xenomouse)(登録商標)ならびにメダレックス社(Medarex,Inc.)(プリンストン、ニュージャージー)のHuMAb−マウス(登録商標)およびTCマウス(商標)などがある。別の代替方法において、抗体を、ファージ提示法または酵母テクノロジーによって組換え的に作製してもよい。例えば、US特許番号5,565,332;5,580,717;5,733,743;および6,265,150;ならびにウィンターら(1994)『免疫学の年次報告(Annu.Rev.Immunol.)12』:433−455などを参照のこと。あるいは、免疫化されていないドナーの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーからヒト抗体および抗体フラグメントをイン・ビトロで産生するために、ファージ提示法の技術(マッカファティ(McCafferty)ら(1990)『ネイチャー348』:552−553)を、使用することができる。
無傷抗体(完全長抗体)の抗原結合フラグメントを、常法により調製することができる。例えば、F(ab’)2フラグメントを、抗体分子のペプシン消化によって製造することができ、また、F(ab’)2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって、Fabフラグメントを生成することができる。
一般的に、例えばヒト化抗体、キメラ抗体、単鎖抗体および二重特異性抗体などの遺伝子操作された抗体は、従来の組換え技術によって製造することができる。一つの実施例において、ある標的抗原に対して特異的なモノクローナル抗体をコードするDNAを、従来技術の方法を用いて(例えば、上記モノクローナル抗体の上記重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離しおよび配列を決定することができる。上記ハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの好適な供給源として機能する。いったん単離されると、該DNAは1以上の発現ベクター内に入れられてよい。その後、該ベクターを、組換え宿主細胞内でモノクローナル抗体の合成体を得るために、例えば大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクトする。ここで、該宿主細胞は、該ベクターをトランスフェクトしなければ、免疫グロブリンタンパク質を産生しない。例えば、PCT公開公報番号 WO87/04462などを参照のこと。該DNAは、その後、例えば置換などによって、改変され得る。該DNAの改変は、例えば、相同のネズミ配列の替わりにヒト重鎖および軽鎖定常ドメインのためのコード配列に置換すること(モリソン(Morrison)ら(1984)『米国科学アカデミー紀要81』、6851)によって、あるいは、免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのためのコード配列の全体または一部を共役的に結合させることによって行う。この方法においては、一般的に、例えば「キメラ」または「ハイブリッド」抗体などの遺伝子操作された抗体であり、ある標的抗原に対する結合特異性を有する抗体を、調製することができる。
「キメラ抗体」の製造のために開発された技術は、当技術分野において周知である。例えば、モリソンら(1984)『米国科学アカデミー81』、6851;ニューベルガー(Neuberger)ら(1984)『ネイチャー 312』、604;およびタケダら(1984)『ネイチャー 314』:452を参照のこと。
ヒト化抗体を構築するための方法もまた、当技術分野において周知である。例えば、クイーン(Queen)ら『米国科学アカデミー 86』:10029−10033(1989)を参照のこと。ひとつの実施例において、当技術分野における既知方法の後に、親の非ヒト抗体のVHおよびVLの可変領域を、3次元分子モデリング分析に供する。続いて、正しいCDR構造の形成のために重要であると予測されるフレームワークアミノ酸残基を、同じ分子モデル分析を用いて特定する。同時に、親非ヒト抗体のアミノ酸配列と相同であるアミノ酸配列を有するヒトVHおよびVL鎖を、親VHおよびVL配列を検索クエリとして使用して任意の抗体遺伝子データベースから特定する。ヒトVHおよびVL受容体遺伝子をその後選択する。
上記選択ヒト受容体遺伝子内の上記CDR領域を、親非ヒト抗体またはその機能性変異体のCDR領域と置き換えることができる。必要である場合は、該CDR領域との相互作用において重要であると予測される上記親鎖の上記フレームワーク領域内の残基(上記の記載を参照のこと)を、ヒト受容体遺伝子内の対応する残基の代りに使用することができる。
単鎖抗体を、組換え技術により、重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列および軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を結びつけることによって、調製することができる。好ましくは、可動性リンカー(flexible linker)を、該二つの可変領域の間に取り込む。あるいは、単鎖抗体の製造のために記載されている技術(US特許番号4,946,778および4,704,692)を、ファージまたは酵母scFvライブラリを作成するために採用することができ、また、常法の後に、PKalに特異的なscFvクローンを該ライブラリから特定することができる。PKal活性を阻害するものを特定するために、陽性クローンをさらにスクリーニングに供することができる。
当技術分野において既知の方法および本明細書に記載される方法によって得られる抗体は、当技術分野で周知の方法を使用して特徴を明らかにすることができる。例えば、一つの方法は、抗原が結合するエピトープを特定する方法、または「エピトープマッピング」である。当技術分野において、タンパク質上のエピトープの位置をマッピングおよび特徴付けるための多くの方法が知られており、例えば、Harlow and Lane, Using Antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1999の11章に記載されているような、抗体−抗原複合体の結晶構造の解析、競合アッセイ、遺伝子フラグメント発現アッセイ、および、合成ペプチドに基づくアッセイなどが知られている。追加の例においては、エピトープマッピングを、抗体が結合する配列を決定するために使用することができる。該エピトープは、線状エピトープであり得、すなわち、アミノ酸の単一の連なりの中に含まれ得る。または、該エピトープは、単一の連なり(直線配列の基本的な構造)には必ずしも含まれてはいなくてもよいアミノ酸の3次元的相互作用によって形成された高次構造のエピトープであり得る。さまざまな長さのペプチド(例えば、少なくとも4〜6アミノ酸の長さ)を単離または(例えば、組換え的に)合成することができ、また、抗体との結合アッセイのために使用することができる。別の実施例において、抗体と結合するエピトープは、標的抗原配列由来の重複ペプチドの使用および抗体により結合を決めることによる系統的スクリーニングで決定され得る。遺伝子フラグメント発現アッセイによれば、上記標的抗原をコードするオープンリーディングフレームを、ランダムに、または特定の遺伝的構築物によってフラグメント化し、該抗原の発現したフラグメントの、試験に供する該抗体との反応度を決定する。該遺伝子フラグメントは、例えば、PCRよって製造され、その後、放射性アミノ酸の存在下にイン・ビトロでタンパク質へと転写および翻訳されてもよい。該抗体の、放射活性物質で標識した抗原フラグメントへの結合は、その後、免疫沈澱および電気泳動によって決定する。特定のエピトープを、ファージ粒子の表面上に陳列された(ファージライブラリ)ランダムペプチド配列の大きなライブラリを使用することによって特定することもできる。あるいは、重複ペプチドフラグメントの定義されたライブラリを、簡易結合アッセイにおいて、試験抗体に対する結合に関して試験することができる。追加の実施例において、エピトープ結合に必須、十分、および/または必要な残基を特定するために、抗原結合ドメインの突然変異誘発、ドメイン交換実験およびアラインスキャニング突然変異誘発を、実施することができる。例えば、ドメイン交換実験は、標的抗原の変異体を用いて実施することができる。該標的抗原の変異体においては、上記PKalポリペプチドのさまざまなフラグメントが、密接に関係している配列と置換(交換)されているが、抗原的に明確に異なるタンパク質である(例えば、ニューロトロフィンタンパク質ファミリーの別のメンバーなど)。該抗体の該変異PKal(例えば、後記の実施例2に記載される変異体)への結合を評価することによって、特定の抗原フラグメントの抗体結合に対する重要性が評価できる。
あるいは、同じ抗原に結合することが知られている他の抗体を用いて、ある抗体が他の抗体と同じエピトープに結合するかどうかを決定するために、競合アッセイを実施することができる。競合アッセイは、当業者に周知である。
当技術分野において知られている任意の好適な方法、例えば、本明細書に記載される上記エピトープマッピング法を、上記抗PKal抗体が、本明細書に記載される該PKal内の1以上の特定の残基/セグメントに結合するかどうかを決定するために適用することができる。さらに、該抗体のPKal内の1以上の定義された残基との相互作用を、常法によって決定することができる。例えば、結晶構造を、後記の実施例1に記載される方法の後に決定することができ、これにより、PKal内の該残基と該抗体内の1以上の残基との間の距離を、決定することができる。このような距離に基づき、PKal内の特定の残基が、該抗体内の1以上の残基と相互作用するかどうかを決定することができる。さらに、好適な方法、例えば、競合アッセイおよび標的突然変異誘発アッセイなどを、変異体PKalなどのPKal以外の標的への結合と比較したときの、候補の抗PKal抗体の該PKalへの選択的結合を決定するために適用することができる。
医薬組成物
上記抗PKal抗体の1以上を、PKalと関連する疾患または障害の緩和における使用のための医薬組成物を形成させるために、バッファーを含む薬学的に許容可能な担体(賦形剤)と混合することができる。「許容される」とは、該担体が組成物の有効成分と適合し(および、好ましくは有効成分を安定化させることができ)、かつ治療対象に対して有害ではないことを意味する。バッファーを含む薬学的に許容可能な賦形剤(担体)は、当技術分野において周知である。例えば、レミントン(Remington):薬学の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy)第20版(2000)リッピンコット・ウィリアムズおよびウィルキンズ(Lippincott Williams and Wilkins)著、K.E.フーバー(Hoover)編を参照のこと。一つの実施例において、本明細書に記載される医薬組成物は、上記標的抗原の異なるエピトープ/残基を認識する2以上の抗PKal抗体を含む。
本発明において使用される上記医薬組成物は、凍結乾燥性剤または水溶液の形態で、薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または安定化剤を含むことができる。(レミントン:薬学の科学と実践 第20版(2000)リッピンコット・ウィリアムズおよびウィルキンズ著、K.E.フーバー編。)許容できる担体、賦形剤、または安定化剤は、使用時の用量および濃度においてレシピエントに対して無毒であり、リン酸塩、クエン酸塩、およびその他の有機酸などのバッファー;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール);低分子量(約10残基よりも少ない)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;ヒスチジン、アルギニン、またはリシンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、ならびに、グルコース、マンノースまたはデキストランを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;ショ糖、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質複合体);および/または、TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含んでもよい。薬学的に許容可能な賦形剤は、本明細書にさらに記載される。
いくつかの実施例において、本明細書に記載される医薬組成物は、上記抗PKal抗体を含有するリポソームを含む。該抗PKal抗体は、当技術分野において既知の方法によって調製することができ、例えば、エプスタイン(Epstein)ら『米国科学アカデミー 82』:3688(1985);ウォング(Hwang)ら『米国科学アカデミー 77』:4030(1980);ならびに、US特許番号4,485,045および4,544,545に記載の方法によって調製することができる。循環時間が高められたリポソームが、US特許番号5,013,556に記載されている。ホスファチジルコリン、コレステロール、およびPEG−誘導体化ホスラチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含有する脂質組成物を用いる逆相蒸発法によって、特に有用なリポソームを生成することができる。リポソームは、所望の径のリポソームを得るために、規定の細孔径のフィルターを通して溶出される。
上記抗PKal抗体は、マイクロカプセルに封入することもできる。該マイクロカプセルは、例えば、液滴形成技術によって、または、界面重合によって調製される。また、該マイクロカプセルは、例えば、コロイド薬剤送達システム(例えば、リポソーム、アルブミン小球体、マイクロエマルジョン、ナノ−粒子およびナノカプセル)またはマクロエマルジョンにおける、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセルである。このような技術は、当技術分野において既知であり、例えば、レミントン:薬学の科学と実践 第20版(2000)Mack Publishing(2000)を参照のこと。
他の実施例において、本明細書に記載される上記医薬組成物は、持続性放出の形態に製剤化できる。持続性放出製剤の好適な例は、上記抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスを含み、該マトリックスは、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルなどの造形品の形状である。持続放出マトリックスの例は、ポリエステル、ハイドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(US特許番号3,773,919)、L−グルタミン酸と7エチル−L−グルタミン酸塩との共重合体、非分解性エチレンビニル酢酸塩、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸共重合体および酢酸ロイプロリドでできている注射可能な小球体)などの分解性の乳酸−グリコール酸共重合体、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸を含む。
イン・ビボ投与用の上記医薬組成物は、無菌でなければならない。これは、例えば、無菌濾過膜を通過させる濾過によって、容易に達成できる。治療抗体組成物は、一般的に、無菌のアクセスポートを有する容器に入れられている。該容器は、例えば、静脈注射液バッグまたは皮下注射針によって穿通可能なストッパーを有するバイアルなどである。
本明細書に記載される上記医薬組成物は、経口用、非経口用または直腸投与用、または吸入もしくは送気による投与用の、錠剤、ピル、カプセル、粉末、下流、溶液、懸濁液または坐薬などの単位用量の形態であり得る。
錠剤などの固体組成物を調製するために、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な非毒性の均質な混合物を含有する固体の予備処方組成物を形成するように、上記の主要有効成分を、薬学的担体、例えば従来技術の打錠原料、例えば、コーンスターチ、ラクトース、ショ糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、またはゴム糊などの該薬学的担体、ならびに、水などの他の薬学的希釈剤と、混合することができる。これら予備処方組成物が均質であるというとき、それは、該有効成分が該組成物全体に均一に分散しており、該組成物が容易に、同様に有効な錠剤、ピルおよびカプセルなどの単位用量の形態に分割され得ることを意味する。該固体の予備処方組成物は、その後、0.1〜約500mgの本発明の該有効成分を含有する上記した単位用量の形態に分割される。該新規組成物の該錠剤またはピルは、コーティングされ得る、あるいはそうでなければ、長期の作用を与える剤形を提供するように調合される。例えば、該錠剤またはピルは、内部の用量成分および外部の用量成分を含み得、後者は前者を覆う形態をしている。該二つの成分は、腸溶性の層によって分離することができる。該腸溶性の層は、胃の中で分解するのを防ぐように機能し、ならびに、内部の成分がそのままの状態で十二指腸に入るのを可能にするように、もしくは内部の成分の放出を遅らせるように機能する。このような腸溶性層またはコーティングには、さまざまな材料を使用することができる。このような材料は、多くのポリマー酸およびポリマー酸とシェラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースなどの材料との混合物を包含する。
好適な界面活性剤は、特に、ポリオキシエチレンソルビタン(例えば、Tween(商標)20、40、60、80または85)およびその他のソルビタン(例えば、Span(商標)20、40、60、80または85)などの非イオン性剤を包含する。界面活性剤を有する組成物は、好都合に0.05〜5%の範囲の界面活性剤を含むだろう。該界面活性剤は、0.1〜2.5%の範囲であり得る。必要である場合、例えば、マンニトールまたはその他の薬学的に許容可能なビヒクルなどの他の成分を添加してもよいことが理解されるであろう。
好適な乳剤を、Intralipid(商標)、Liposyn(商標)、Infonutrol(商標)、Lipofundin(商標)およびLipiphysan(商標)などの市販の脂肪乳剤を使用して調製してよい。上記有効成分は、予混合乳剤組成物中に溶解させても、または、その代わりに油(例えば、大豆油、サフラワー油、綿実油、ゴマ油、コーン油またはアーモンド油)中に溶解させてもよく、リン脂質(例えば、卵リン脂質、大豆リン脂質、または大豆レシチン)および水と混合するときに乳剤が形成する。例えば、該乳剤の弾力性を調整するために、グリセロールまたはグルコースなどの他の成分を添加してもよいことが理解されるであろう。好適な乳剤は、一般的に、20%まで、例えば5〜20%の範囲の油を含有するであろう。該脂肪乳剤は、0.1〜1.0.imの脂肪滴、特に0.1〜0.5.imを含み得、5.5から8.0の範囲のpHを有し得る。
上記乳剤組成物は、抗PKal抗体とIntralipid(商標)またはその成分(大豆油、卵リン脂質、グリセロールおよび水)とを混合することによって調製されたものであり得る。
吸入または送気用の医薬組成物は、薬学的に許容可能な水性または有機溶媒、またはその混合物および粉末中の、溶液および懸濁液を含む。該液体または固体組成物は、上記で示したような薬学的に許容可能な好適な賦形剤を含有していてよい。いくつかの実施形態において、該組成物は、局所効果または全身効果のために経口経路または鼻呼吸経路によって投与される。
好ましくは無菌の薬学的に許容可能な液剤の形態の組成物は、気体を使用することによって噴霧されてよい。噴霧された液剤は、噴霧装置から直接吸入されてよく、または該噴霧装置をフェイスマスク、テントまたは断続的正圧呼吸器に装着させてもよい。溶液、懸濁液、または粉末組成物は、好ましくは、経口または経鼻的に、適切な方法で製剤を送達する装置から投与されてよい。
血漿カリクレインと関連している疾患/障害の治療のための抗PKal抗体の使用
本明細書に記載される上記抗PKal抗体は、該PKalと関連している疾患または障害の治療において有効であるだろう。本明細書に記載される血漿カリクレイン結合タンパク質によって治療(または予防)できるこのような疾患または状態の例は、以下を包含する:リウマチ性関節炎、痛風、腸の疾患、口腔粘膜炎、神経因性疼痛、炎症性疼痛、脊椎管狭窄−脊椎退化変性症、動脈または静脈血栓症、術後イレウス、大動脈瘤、骨関節炎、脈管炎、浮腫、遺伝性血管浮腫、脳浮腫、肺動脈塞栓症、脳卒中、心室補助装置またはステントによって誘発される血栓形成、頭蓋骨損傷または腫瘍周囲の脳浮腫、敗血症、急性中大脳動脈(MCA)、虚血性イベント(脳卒中)、再狭窄(例えば、血管形成術後の再狭窄)、全身性エリテマトーデス腎炎、やけど、およびDME。本明細書に記載される血漿カリクレイン結合タンパク質はまた、創傷治癒を促進するためにも使用することができる。本明細書に記載される血漿カリクレイン結合タンパク質はまた、限定されるものではないが、血管新生誘導ブラジキニンの生成を阻止することを含むメカニズムによる腫瘍学的治療に使用することができる。
本明細書に記載される方法を実施するために、上記した医薬組成物の有効量を、治療を必要としている対象(例えば、ヒト)に、例えばボーラス投与またはある一定期間にわたる持続注入による静脈内投与、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑液嚢内、髄腔内投与、経口、吸入または局所的経路などの好適な経路を介して投与することができる。ジェット噴霧器および超音波ネブライザーを含む、液体製剤のための市販の噴霧器は、投与に有用である。液体製剤は、直接噴霧することができ、および凍結乾燥粉末は、再構成後に噴霧することができる。あるいは、抗PKal抗体は、フッ化炭素製剤および定量噴霧器を用いてエアロゾル化することができ、あるいは凍結乾燥粉砕粉末として吸入することができる。
本明細書に記載される方法によって治療される上記対象は、哺乳類であり得え、より好ましくはヒトである。哺乳類は、限定されるものではないが、家畜、娯楽用の動物、ペット、霊長類、ウマ、イヌ、ネコ、マウス、およびラットを含む。治療が必要であるヒトの対象は、PKalと関連する疾患/障害を患っているか、その危険性があるか、または患っていることが疑われるヒトの患者であってよい。該PKalと関連する疾患/障害は、例えば、上記に記載したものが挙げられる。PKal関連疾患または障害を患っている対象は、例えば臨床検査、臓器機能試験、CTスキャン、または超音波検査などの通常の検診によって特定することができる。任意の上記のような疾患/障害を患っていることが疑われる対象は、該疾患/障害の1以上の症状を示すであろう。該疾患/障害の危険性がある対象は、その疾患/障害の1以上の危険因子を有する対象であり得る。
本明細書で用いられる「有効量」は、対象に対して治療的効果を与えるために必要なそれぞれの活性薬剤の量をいい、単独でまた1以上の他の活性薬剤との組合せのいずれでもよい。当業者に認識されるように、治療されるときの特定の条件、状態の重症度、年齢、健康状態、大きさ、性別および体重を含む個々の患者のパラメータ、治療期間、(もし実施するならば)併用療法の性質、特定の投与経路および、医療関係者の知識および経験におけるそのような因子によって、有効量は変わる。これらの因子は、当業者に周知であり、単なる通常の実験により対処することができる。個別の成分またはそれらの組合せの使用最大用量は、健全な医学的判断に従った最大限に安全な用量であることが一般的に好ましい。しかしながら、患者は 医学的な理由、健康面での理由またはその他の実際上の理由に応じた、低用量または耐容用量を強く要求する場合があることが当業者によって理解されるであろう。
半減期などの経験的考察が、一般的に、用量の決定に貢献するであろう。例えば、ヒト免疫系と相性のよい抗体、例えばヒト化抗体または完全ヒト抗体などを、該抗体の半減期を伸ばすために、および該抗体が宿主の免疫系を攻撃するのを防止するために、使用してよい。投与頻度は、一般的に、だが必須ではないが、PKalと関連する疾患/障害の治療および/または抑制および/または改善および/または遅延に基づいて、治療過程を通して決定および調整してよい。あるいは、抗PKalの持続性放出製剤が適切であり得る。持続的放出を達成するためのさまざまな製剤および装置が当技術分野において知られている。
一つの実施例において、本明細書に記載される抗PKal抗体の用量は、該抗体の投与を1回以上受けたことのある個々人において経験的に決定してよい。個々人は、該アンタゴニストの増分用量を与えられる。該アンタゴニストの効能を評価するために、上記疾患/障害の指標を用いることができる。
一般的に、本明細書に記載される任意の抗体の投与のための、最初の候補投与量は、約2mg/kgであり得る。本発明の開示の目的のために、典型的な1日の服用量の範囲は、上記で言及した因子に基づいて、約0.1μg/kgから、3μg/kgまで、30μg/kgまで、300μg/kgまで、3mg/kgまで、30mg/kgまで、100mg/kgまで、またはそれ以上、のいずれかである。数日またはより長い期間にわたる反復投与は、状態に依拠し、発生している症状が望ましい状態に抑制されるまで、またはPKalと関連する疾患または障害あるいはその症状を緩和するのに十分な治療レベルが達成されるまで、治療を持続させる。例示的な投与計画は、初期用量が約2mg/kgの投与、その後、週毎に約1mg/kgの該抗体の用量を維持し、または隔週で約1mg/kgの用量を維持する投与を含む。しかしながら、他の投与計画は、開業医が達成したいと希望する薬物動態学的衰退のパターンに基づいて、有用であり得る。例えば、週に1〜4回の投与が企図される。いくつかの実施形態において、約3μg/mg〜約2mg/kg(例えば、約3μg/mg、約10μg/mg、約30μg/mg、約100μg/mg、約300μg/mg、約1mg/kg、および約2mg/kg)の投与範囲を用いてよい。いくつかの実施形態において、投与頻度は、毎週1度、毎2週間に1度、毎4週間に1度、毎5週間に1度、毎6週間に1度、毎7週間に1度、毎8週間に1度、毎9週間に1度、または、毎10週間に1度;あるいは、毎月1度、毎2カ月に1度、毎3カ月に1度、またはこれよりも長い期間である。この治療の進行は、従来技術および従来のアッセイによって容易にモニターできる。該投与計画(上記抗体の使用を含む)は、期間を通して変化し得る。
いくつかの実施形態において、標準体重の成人患者には、約0.3〜5.00mg/kgの範囲の用量が投与されてよい。具体的な投与計画、すなわち、用量、タイミングおよび頻度は、個別の薬剤の特性(該薬剤の半減期、および当技術分野において周知の他の考慮すべき特性)に加えて、特定の個人、その個人の病歴に依拠するであろう。
本発明の開示の目的のための、適切な抗PKal抗体の用量は、採用した特定の抗体(またはその組成物)、上記疾患/障害のタイプおよび重症度、該抗体の投与が予防目的か治療目的か、薬歴、その患者の病歴および該アンタゴニストに対する反応、ならびに主治医の裁量に依拠する。一般的に、臨床医は、所望の結果が達成される用量に達するまで、抗PKal抗体を投与するであろう。抗PKal抗体の投与は、例えばレシピエントの健康状態、投与の目的が治療かまたは予防かどうか、および技能を有する医師に知られている他の因子に依拠して、連続または断続的であり得る。抗PKal抗体の該投与は、事前に選択した期間にわたり基本的に連続していてもよく、または、例えば、PKalと関連する疾患または障害が進展する前、最中、または後のいずれかの、一連の間隔をあけた投与であってよい。
本明細書において、「治療する」という用語は、PKalと関連する疾患/障害にかかっている対象、該疾患/障害の症状を有している対象、または該疾患/障害にかかりやすい体質を有している対象への、該疾患の該障害、症状、または該疾患/障害にかかりやすい体質を、治癒、癒し、緩和、軽減、改変、改善、向上、好転させることを目的とした、1以上の活性薬剤を含有する組成物の適用または投与をいう。
PKalと関連する疾患/障害の緩和は、該疾患の進展または進行の遅延、または疾患の重症度の軽減を含む。疾患の緩和は、必ずしも治癒的な結果を必要としない。本明細書において使用される、PKalと関連する疾患/障害の進展の「遅延」は、疾患の進行を延期させる、妨げる、遅らせる、妨害する、安定化させる、および/または先延ばしにすることを意味する。この遅延は、病歴および/または治療を受ける個々人に依拠して、さまざまな長さの期間であり得る。疾患の進展を「遅延」または緩和させる、あるいは疾患の発症を遅延させる方法は、該方法を使用しなかった場合と比較した際に、所定の期間内において該疾患の1以上の症状の進展の可能性を減らす方法である。このような比較は、一般的に、統計学的に有意な結果をもたらすのに十分な多くの対象を用いた臨床研究に基づいている。
疾患の「進展」または「進行」は、初期症状および/または続く該疾患の進行を意味する。該疾患の進展は、当技術分野で既知の方法に加え、標準的な臨床技術を用いて検出および評価することができる。しかしながら、進展は、検出できないであろう進行もまた示す。本発明の開示の目的から、進展または進行は、該症状の生物学的経過をいう。「進展」は、発生、再発、発病を含む。本明細書において使用される、PKalと関連する疾患/障害の「発病」または「発生」は、最初の発病および/または再発を含む。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される上記抗PKal抗体は、治療を必要としている対象に、イン・ビボでPKalの活性を少なくとも20%(例えば、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはもっと高い割合で)阻害するのに十分な量で投与される。別の実施形態において、該抗体は、該PKalレベルを少なくとも20%(例えば、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはもっと高い割合で)減じるために有効な量で投与される。
医薬の技術分野における当業者に既知の従来技術の方法を、治療される疾患のタイプまたは疾患の部位に依拠して、上記医薬組成物を上記対象に投与するために使用することができる。この組成物は、従来の他の経路を介して投与することもできる。例えば、経口、非経口投与、吸入噴霧による投与、局所的、直腸的、経鼻的、口腔的、経膣的投与、または埋め込み型の著臓器を介しての投与などである。本明細書で使用される「非経口」は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病変内、および頭蓋内注射または点滴技術を含む。さらに、1カ月、3カ月、または6カ月間貯蔵の注射可能なまたは生分解性の材料および方法を用いた貯蔵投与経路を介して、それを対象へ投与できる。
注射可能な組成物は、植物油、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、乳酸エチル、炭酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、および多価アルコール(グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレン・グリコールなど)などのさまざまな担体を含んでもよい。静脈内注射に関し、水溶性抗体は、ドリップ法によって投与することができる。該ドリップ法により、上記抗体および薬学的に許容可能な賦形剤を含有する医薬製剤が注入される。生理学的に許容可能な賦形剤は、例えば、5%ブドウ糖、0.9%生理食塩水、リンガー液、またはその他の好適な賦形剤を含んでよい。例えば好適な可溶塩の形態の抗体無菌製剤などの、筋肉内製剤を、注射用水、0.9%生理食塩水、または5%グルコース溶液などの医薬品添加物に溶解させて投与することができる。
一つの実施形態において、抗PKal抗体を、部位特異的または標的部位送達技術によって投与することができる。部位特異的または標的部位送達技術の例としては、注入カテーテル、留置カテーテルまたは針カテーテル、人工血管、外膜ラップ、シャントおよびステントまたは他の移植可能な装置、部位特異的担体、直接噴射、または直接適用を含む。例えば、 PCT公開公報WO 00/53211およびUS特許番号5,981,568を参照のこと。
アンチセンスポリヌクレオチド、発現ベクター、またはサブゲノムヌクレオチドを含有する治療組成物の標的伝達もまた、使用できる。受容体−媒介DNA送達技術は、例えば、Findeis et al.,Trends Biotechnol.(1993)11:202;Chiou et al.,Gene Therapeutics:Methods And Applications Of Direct Gene Transfer(J.A.Wolff,ed.) (1994);Wu et al.,J.Biol.Chem.(1988)263:621;Wu et al.,J.Biol.Chem.(1994)269:542;Zenke et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1990)87:3655;Wu et al.,J.Biol.Chem.(1991)266:338に記載されている。
ポリヌクレオチド(例えば、本明細書に記載される上記抗PKal抗体をコードするもの)を含有する治療組成物を、遺伝子治療プロトコルにおける局所的投与のために、約100ng〜約200mgのDNAの範囲で投与することができる。いくつかの実施形態において、約500ng〜約50mg、約1μg〜約2mg、約5μg〜約500μg、および約20μg〜約100μg、またはそれ以上のDNA濃度範囲を遺伝子治療プロトコルの期間中に使用することができる。
本明細書に記載される上記治療ポリヌクレオチドおよびポリペプチドを、遺伝子送達ビヒクルを用いて送達することができる。該遺伝子送達ビヒクルは、ウイルス由来または非ウイルス由来であり得る(例えば、Jolly,Cancer Gene Therapy 1994)1:51;Kimura,Human Gene Therapy(1994)5:845;Connelly,Human Gene Therapy(1995)1:185;およびKaplitt,Nature Genetics(1994)6:148を参照のこと。)。このようなコード配列の発現は、内因性哺乳動物または異種プロモーターおよび/またはエンハンサーを用いて誘導することができる。該コード配列の発現は、構造的または規制的のいずれかであり得る。
所望のポリヌクレオチドの送達および所望の細胞内での発現のためのウイルスベクターは、当技術分野において周知である。ウイルスに基づいたビヒクルの例は、限定されるものではないが、組換えレトロウイルス(例えば、PCT公開公報 WO90/07936;WO94/03622;WO93/25698;WO93/25234;WO93/11230;WO93/10218;WO91/02805;US特許番号5,219,740および4,777,127;GB特許番号2,200,651;およびEP特許番号0 345 242を参照のこと)、アルファウイルスベクター(例えば、Sindbis virus vectors、Semliki forest virus(ATCC VR−67;ATCC VR−1247)、Ross River virus(ATCC VR−373;ATCC VR−1246)およびVenezuelan equine encephalitis virus(ATCC VR−923;ATCC VR−1250;ATCC VR 1249;ATCC VR−532))、およびアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む(例えば、PCT公開公報 WO94/12649、WO93/03769;WO93/19191;WO94/28938;WO95/11984およびWO95/00655を参照のこと。)。Curiel,Hum.Gene Ther.(1992)3:147に記載されている死滅アデノウイルスにつながっているDNAの投与もまた、採用できる。
非ウイルス送達ビヒクルおよび方法もまた採用でき、限定されるものではないが、死滅アデノウイルスのみと連結しているまたは連結していないポリカチオン性濃縮DNA(例えば、Curiel,Hum. Gene Ther.(1992)3:147を参照のこと。);リガンド連結DNA(例えば、Wu,J.Biol.Chem.(1989)264:16985を参照のこと。);真核細胞送達ビヒクル細胞(例えば、US特許番号5,814,482;PCT公開公報 WO95/07994;WO96/17072;WO95/30763;およびWO97/42338を参照のこと。)ならびに、核電荷の中和または細胞膜との融合を含む。裸DNAもまた採用することができる。例示的な裸DNA導入方法は、PCT公開公報 WO90/11092およびUS特許番号5,580,859に記載されている。遺伝子送達ビヒクルとして振舞うことができるリポソームは、US特許番号5,422,120;PCT公開公報 WO95/13796;WO94/23697;WO91/14445;およびEP特許番号0524968に記載されている。追加のアプローチが、Philip,Mol.Cell.Biol.(1994)14:2411、および、Woffendin,Proc.Natl.Acad.Sci.(1994)91:1581に記載されている。
本明細書に記載される方法において使用される、上記具体的な投与計画、すなわち、用量、タイミングおよび反復は、特定の対象およびその対象の病歴に依拠するであろう。
いくつかの実施形態において、2以上の抗PKal抗体、または抗PKal抗体と他の好適な治療剤との組合せを、上記治療を必要としている対象へ投与してよい。該アンタゴニストは、同じタイプであり得、またはお互いに異なり得る。該抗PKal抗体を、薬剤の効果を高めるおよび/または補足するように機能する他の薬剤との併用にも、使用することができる。
PKalと関連する疾患/障害への治療効果は、当技術分野において周知の方法によって評価できる。
血漿カリクレインと関連する疾患/障害の緩和における使用のためのキット
本発明の開示により、血漿カリクレインと関連する疾患/障害の緩和における使用のためのキットもまた提供される。そのようなキットは、例えば、本明細書で記載された任意の抗PKal抗体を含有する1以上の容器を含むことができる。
いくつかの実施形態において、上記キットは、本明細書に記載された任意の方法に従った使用のための指示書を含むことができる。該含まれる指示書は、本明細書に記載される治療、発病の遅延、または標的疾患の緩和のための上記抗PKal抗体の投与の記載を含むことができる。該キットは、個人が標的疾患にかかっているかどうかの特定に基づく、治療に好適である個人の選択の記載をさらに含んでもよい。さらに別の実施形態において、該指示書は、標的疾患にかかる危険性のある個人への抗体の投与の記載を含むことができる。
抗PKal抗体の使用に関連する上記指示書は、一般的に、用量、投与スケジュール、および意図された治療のための投与経路についての情報を含む。上記容器は、単位用量、大量包装(例えば、複数の用量パッケージ)またはサブユニット用量であってよい。上記キットと一緒に提供される指示書は、一般的に、ラベルまたは添付文書(例えば、キットの中に含まれる紙シート)に指示が記載されているが、機械可読の指示書(例えば、電磁的または光学式記憶ディスクで運搬される指示書)も同様に許容できる。
上記ラベルまたは添付文書は、上記組成物が、PKalと関連する疾患または障害を治療、発病の遅延および/または緩和のために使用されることを示唆する。指示書は、本明細書に記載される任意の方法を実施するため提供されてよい。
本発明の上記キットは、好適なパッケージに入っている。好適なパッケージは、限定されるものではないが、バイアル、ボトル、ジャー、フレキシブル包装(例えば、封がされたMylarバッグまたはプラスチックバッグ)などを含む。例えば吸入器、経鼻投与装置(例えば、噴霧器)またはミニポンプのような注入装置などの特定の装置と組合せて使用するためのパッケージもまた企図される。キットは、無菌のアクセスポート(例えば、上記容器は静脈注射用の溶液バッグまたは皮下注射針によって穿通可能な栓を有するバイアルであってよい)を有していてもよい。該容器はまた、無菌のアクセスポートを有していてよい(例えば、該容器は、静脈注射用の溶液バッグまたは皮下注射針によって穿通可能な栓を有するバイアルであってよい。)。上記組成物内の少なくとも一つの活性薬剤は、本明細書に記載される抗PKal抗体である。
キットは、任意選択で、バッファーおよびなどの追加の成分および説明的な情報を提供してもよい。通常、該キットは、一つの容器および一つのラベルまたは添付書(類)を、容器上にまたは容器の中に含む。いくつかの実施形態において、本発明は、上記に記載したキットの内容物を含む製品を提供する。
一般的方法
特に断りのない限り、本発明の実施を採用し、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の常法は、当技術分野の技術の範囲内である。そのような技術は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,second edition(Sambrook,et al.,1989)Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984);Methods in Molecular Biology,Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,ed.,1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.,1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993−8)J.Wiley and Sons;Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.,1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel,et al.,eds.,1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis,et al.,eds.,1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999);Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997);Antibodies(P.Finch,1997);Antibodies:a practical approach(D.Catty.,ed.,IRL Press,1988−1989);Monoclonal antibodies:a practical approach(P.Shepherd and C.Dean,eds.,Oxford University Press,2000);Using antibodies:a laboratory manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999);The Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra,eds.,Harwood Academic Publishers,1995)などの文献に十分に説明されている。
さらなる労力なしに、当業者が上記の記載を基にして、本発明をその限度内において利用することができると思われる。以下に記載する特定の実施形態は、したがって、単なる説明目的のものであり、それら以外の本明細書の開示をいかなる方法によっても制限するものではない。本明細書で引用された全ての出版物は、本明細書において言及した目的または発明の主題の参照により取り込まれる。
実施例1:DX−2930−PKal複合体の結晶構造に基づいた、ヒト血漿カリクレインの触媒ドメイン内の重要な残基の同定
His−タグと融合させたヒト血漿カリクレインの上記触媒ドメイン(図2)を、昆虫細胞において発現させ、最初はニッケル親和性カラムを通して精製した。該His−タグを、トリプシン消化によって血漿カリクレインから除去し、該遊離の血漿カリクレインをベンズアミジン親和性カラムによって精製し、その後、SECカラムによって精製した。該精製産物を、PAGEゲル上で試験した。その結果は、ヒト血漿カリクレインの該触媒ドメインが適切に発現し精製されたということを示した。
DX−2930を、通常の組換え技術によって調製し、精製した。DX−2930の組換えFabフラグメントを、常法により製造し、精製した。
上記DX−2930Fabフラグメントおよびヒト血漿カリクレインの上記触媒ドメインを、抗PKal抗体複合体を形成させるのに好適な条件下でさまざまな濃度で混合した。このようにして形成した該複合体について、該抗体−PKal複合体における割合を決定するために、HPLCを用いて試験した。したがって、1:1の複合体を形成させる際の、該抗体および該PKalの両者の好適な濃度を特定した。
上記抗体−PKal複合体を、結晶化させるさまざまな条件で維持した。その結晶化複合体について回折分析を実施した。その結晶構造(2.1Åおよび2.4Å)は、回折の統計に基づいて決定した。
上記結晶構造によって、ヒトPKalの触媒ドメイン内の残基がDX−2930との相互作用に関与していることが特定された。これらの残基を、図2に示している(太字および下線を引いて示している)。ヒトPKalの触媒ドメインのアミノ酸配列を表す図2(ヒトPKalの391−638)に該残基を示している(太字および下線を引いた。)。
さらに、PKalと相互作用するDX−2930内の残基もまた、上記結晶構造に基づいて同定した。該残基は、重鎖可変領域内にE1、V2、F27、T28、F29、S30、H31、R100、I101、G102、V103、P104、R105、R106、D107、G107、K108、およびD111を、ならびに、軽鎖可変領域にS31、W32、Y49、K50、T53、L54、E55、S56、G57およびV58を含む。
これらの結果は、DX−2930のHC CDR3がPKalと相互作用する主要な領域であり、HC CDR1およびFR1内のいくつかの残基もまたPKalとの相互作用に貢献しているであろうことを示している。上記軽鎖において、LC CDR2領域が該相互作用に貢献していることが分かった。
さらに、該結果は、HC CDR3領域の特定の位置の変異が許容されるであろうこともまた示している。例えば、位置103は、VまたはIなどの疎水性の小さい残基を必要とする。他の例では、上記PKal結合活性に実質的な影響を及ぼさず、R106はWと置換され得、およびE108はSまたはDと置換され得る。同様に、D110は、Eと置換されてもよい。
実施例2:結晶構造から得た構造的情報に適合する親和性成熟の結果
抗体M0162−A04の上記重鎖可変領域、具体的には、上記HC CDE3領域を、親和性成熟に供した。該HC CDR3領域内に1以上の位置にアミノ酸変異を有するさまざまな変異体を生成し、それらのKi,app値を常法に従って決定した。
簡単に説明すると、さまざまな濃度のPKalおよびFabを一緒に、1時間、30℃でインキュベートした。(PKalによって切断可能な)基質ペプチドを、その後、このPKal−Fab混合物に添加する。基質ペプチドの切断/タンパク質加水分解の割合を、その後、測定し、該Fabの濃度に対してプロットする。このプロットをその後、Ki,app値を計算するモリソン公式に当てはめる。このようにして得られた結果を図3および下記表2に示す。
Figure 2020007354
この親和性成熟の結果は、HC CDR3領域内の特定の位置での変異は、親のM0162−A04クローンと比較して高い親和性/阻害抗PKal抗体をもたらすということを示している。これらの結果は、上記実施例1で得た構造的情報と適合する。クローンM0199−A08の該HC CDR3領域は、DX−2930のそれと同一であるということに留意されたい。
実施例3:抗体阻害活性に対する血漿カリクレインにおける成熟の影響
変異体X115−F02のさまざまなPKal変異体に対する阻害活性を試験した。
X115−F02は、DX−2930には存在せず、およびCHO細胞よりもHEK293T細胞において発現したC末端リシン残基を含有することを除きDX−2930のものと同じIgGである(上記表1)。X115−F02の結合の特異性および親和性は、DX−2930と同じである。
本研究に用いた(図5)血漿カリクレインの野生型および4つの変異体は、ピキア・パストリス(pichia pastoris)から発現および精製した組換え触媒ドメインである。変異体1は、以下の変異を活性部位のS3サブサイトに含有する:S478A、N481A、S506A、Y507A(数字は、完全長プレカリクレインアミノ酸配列に基づく。)。変異体2は、以下の変異を活性部位のS1’サブサイトに含有する:R551A、Q553A、Y555A、T558A、R560A。変異体4は、活性部位から遠位にある以下の変異を含有する:N396A、S398A、W399A。変異体3は、不活性であることが分かったことから、この活性試験においては試験しなかった。変異体3は、以下の変異を活性部位のS1’サブサイトに含有する:D572A、K575A、D577A。
X115−F02の上記野生型PKalおよび上記変異体に対する阻害活性は、上記実施例2に記載された方法で実施し、Ki,app値を決定した。図4に示すように、変異体1および4における変異は、X115−F02の血漿カリクレイン阻害の有効性に、有意には影響しなかった。驚くべきことに、変異体2における変異は、該有効性を約65倍減じた。これらの結果は、残基R551A、Q553A、Y555A、T558A、R560Aおよびこれらに隣接する残基が、X115−F02(DX−2930)の上記阻害活性に重要であるだろうこと示している。
その他の実施形態
本明細書に開示されるすべての要件は、任意の組合せに組合せてよい。本明細書に開示されるそれぞれの要件は、したがって、同じ、同等の、または同様の目的を与える別の要件に置換されてもよい。したがって、そうでないと明確に述べない限り、開示される各要件は、同等または同様の要件の単なる包括的な一続きの例でしかない。
上記の記載から、当業者は本発明の重要な特徴を容易に確かめることができ、また、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、当業者はさまざまな用途および条件に適応させるため、本発明についてさまざまな変更および改変をなし得る。したがって、他の実施形態もまた、請求の範囲内である。

Claims (1)

  1. ヒト血漿カリクレイン(PKal)に結合する単離抗体であって、
    前記抗体が、ヒトPKal内の1以上のアミノ酸残基と相互作用し、および、その活性を少なくとも50%阻害し、
    前記アミノ酸残基が、V410、L412、T413、A414、Q415、R416、L418、C419、H434、C435、F436、D437、G438、L439、W445、Y475、K476、V477、S478、E479、G480、D483、F524、E527、K528、Y552、D554、Y555、A564、D572、A573、C574、K575、G576、S578、T596、S597、W598、G599、E600、G601、C602、A603、R604、Q607、P608、G609、V610、およびY611からなる群から選択される、
    前記単離抗体。
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