JP2019177899A - 吐出容器 - Google Patents

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信也 前田
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Abstract

【課題】比較的粘度の高い内容物を収容しても逆止弁の機能を正常に機能させると共に、吐出口に過大な残留内容物が溜まることを抑制可能な吐出容器を提供する。【解決手段】内容物の収容空間Sを形成する内層体21、及び内層体21を取り囲む外層体22を備える二重容器本体2と、吐出口33aを形成する吐出筒33を有し、二重容器本体2の口部22aに装着される吐出キャップ3と、収容空間Sから吐出口33aへ向かう内容物の流れを許容するとともに吐出口33aから収容空間Sへ向かう逆流を阻止する逆止弁構造とを備え、逆止弁構造は、収容空間Sから吐出口33aへ向かう内容物の流路を区画形成する筒状の区画壁43と、区画壁43にヒンジ部44を介して設けられ、ヒンジ部44を支点として揺動する片開き構造の弁体45とを有し、区画壁43は、収容空間Sと外部との圧力差に基づいて吐出キャップ3に対して上下方向に移動可能であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、内層体と外層体を有する二重容器本体に内容物を収容するとともに、口部に装着した吐出キャップの吐出口から内容物を吐出する吐出容器に関し、特に、例えばソースや味噌などの若干の固形物を含んだ比較的粘度の高い内容物を吐出するのに適した吐出容器に関する。
従来、内容物を収容する容器本体の口部に吐出キャップを装着した構成を有し、容器本体の胴部を押圧(スクイズ)することで、容器本体に収容されている内容物を吐出キャップの吐出口から吐出可能とした吐出容器が知られている。
また、このような吐出容器として、吐出キャップの内側に弁体を設け、容器本体から吐出口へ向かう内容物の流れを許容する一方、吐出口側から容器本体内への内容物の逆流や外気の流入を阻止した構成のものも知られている。
例えば特許文献1には、比較的粘度の高い内容物を収容しても逆止弁構造を正常に機能させるため、二重容器本体を外層体と、外層体の内側に収容された減容変形可能な内層体とで構成するとともに、吐出キャップの内側に吐出口から収容空間へ向かう逆流を阻止する片開きの弁体を備えた逆止弁構造と、収容空間から吐出口へ向かう内容物の流路を区画形成する区画壁とを有する吐出容器が開示されている。
特開2018− 16362号公報
ところで、特許文献1に記載の吐出容器では、弁体よりも吐出口側の区画壁の内側空間に残留内容物が大量に溜まると、残留内容物が酸化によって劣化したり、次回の吐出時に容器本体を傾けただけで残留内容物が垂れてしまうことがあり、改善の余地があった。
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、比較的粘度の高い内容物を収容しても逆止弁の機能を正常に機能させると共に、吐出口に過大な残留内容物が溜まることを抑制可能な吐出容器を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の吐出容器は、
内容物の収容空間を形成する減容変形可能な内層体、及び該内層体を取り囲む外層体を備える二重容器本体と、
内容物を吐出する吐出口を形成する吐出筒を有し、前記二重容器本体の口部に装着される吐出キャップと、
該吐出キャップの径方向内側に配置され、前記収容空間から前記吐出口へ向かう内容物の流れを許容するとともに前記吐出口から前記収容空間へ向かう逆流を阻止する逆止弁構造と
を備え、
前記逆止弁構造は、前記収容空間から前記吐出口へ向かう内容物の流路を区画形成する筒状の区画壁と、該区画壁にヒンジ部を介して設けられ、該ヒンジ部を支点として揺動する片開き構造の弁体とを有し、
前記区画壁は、前記収容空間と外部との圧力差に基づいて前記吐出キャップに対して上下方向に移動可能であることを特徴とする。
また、本発明の吐出容器は、上記構成において、前記吐出口を上方から覆うことで該吐出口を閉塞可能であり、該吐出口の閉塞時に前記吐出筒の内周面に嵌合するシール壁を有する蓋体を更に備えることが好ましい。
また、本発明の吐出容器は、上記構成において、前記吐出筒は、上方に向かって径方向外側に拡径していることが好ましい。
また、本発明の吐出容器は、上記構成において、前記区画壁を前記吐出キャップの内側において上下方向に移動可能に保持する弁保持部材を備えることが好ましい。
また、本発明の吐出容器は、上記構成において、前記弁保持部材は、底部に開口を有する有底筒状形状を有し、前記区画壁は、前記吐出筒の下部と前記弁保持部材の底部とによって上下方向の移動を規制されることが好ましい。
本発明によれば、比較的粘度の高い内容物を収容しても逆止弁の機能を正常に機能させると共に、吐出口に過大な残留内容物が溜まることを抑制可能な吐出容器を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る吐出容器の断面図である。 本発明の一実施形態に係る吐出容器を、内容物の吐出の為に傾倒させた状態を示す図である。 本発明の一実施形態に係る吐出容器において、二重容器本体のスクイズによって区画壁が吐出口側に移動している状態を示す図である。 本発明の一実施形態に係る吐出容器において、二重容器本体の更なるスクイズによって逆止弁が開放され、内容物が吐出されている状態を示す図である。 本発明の一実施形態に係る吐出容器において、二重容器本体のスクイズ解除によって逆止弁が閉塞した状態を示す図である。 本発明の一実施形態に係る吐出容器において、区画壁が収容空間側に移動した状態を示す図である。 本発明の一実施形態に係る吐出容器において、蓋体を閉じて、残留内容物により液シールが形成されている状態を示す図である。
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る吐出容器1は、二重容器本体2と、二重容器本体2に装着された吐出キャップ3と、弁部材4と、弁保持部材5とを備える。なお、本明細書、特許請求の範囲、要約書および図面では、後述する蓋体37が位置する側を上方(図1における上側)とし、二重容器本体2が位置する側を下方(図1における下側)とする。また、径方向外側とは、図1における吐出容器1の中心軸線Oを通り中心軸線Oに垂直な直線に沿って外側に向かう方向であり、径方向内側とは、当該直線に沿って中心軸線Oに向かう方向を意味するものとする。
二重容器本体2は、内層体21及び外層体22を備えている。本実施形態における二重容器本体2は、内層体21の合成樹脂素材と外層体22の合成樹脂素材とが積層配置された試験管状のプリフォームを、二軸延伸ブロー成形することによって形成することができるが、これに限定されるものではない。例えば、内層体21の合成樹脂素材と外層体22の合成樹脂素材とを積層して形成される円筒状の積層パリソンに対し、押出しブロー成形を行うことによって二重容器本体2を形成してもよい。更に、二重容器本体2は、積層剥離容器ではなく、外層体22と内層体21とを個別に形成して組み付けるものであってもよい。
本実施形態において、二重容器本体2を構成する内層体21は、外層体22側から順にエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)/接着層/低密度ポリエチレン(LDPE)の3層を有する多層構成としたが、この態様に限定されず、EVOHの代わりにナイロンを用いてもよいし、EVOH単層又はナイロン単層を内層体21に用いてもよい。また、外層体22の材料には、低密度ポリエチレン(LDPE)又は高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)を用いており、特にLDPEを用いた場合には高いスクイズ性を付与することができる。しかし、この態様に限定されず、例えば二軸延伸ブロー成形を行うことによって積層剥離容器を形成する場合には、内層体21の材料にはポリプロピレン(PP)を用い、外層体22の材料にはポリエチレンテレフタレート(PET)を用いてもよい。また、内層体21及び外層体22の材料には、相互に相溶性が低い他の樹脂を用いることができる。
内層体21は、減容変形可能に形成されており、本実施形態では、積層状態で形成された二重容器本体2の外層体22から剥離させることで得られるものである。内層体21は、その内側に内容物を収容する収容空間Sを形成している。なお、内層体21と外層体22との間には、上下方向に延在して内層体21と外層体22とを部分的に接合する接着帯を設けることが可能である。
外層体22は、円筒状の口部22aに、復元自在な可撓性を有する胴部22b、及び胴部22bの下端を閉鎖する底部を有するボトル形状とすることができる。口部22aから胴部22bに連なる領域には、口部22aの上端部よりも大径の密封用段部22cが設けられている。
また、図1に示すように、口部22aの外周面には雄ねじ部22dを設けている。また、口部22aには、内層体21との相互間に空気を取り込むための貫通孔22eを設けていて、更に、口部22aの外周面には、上下方向に雄ねじ部22dを切り欠く溝部22fを設けている。
なお、本実施形態では、上下方向に雄ねじ部22dを切り欠く溝部22fを通気路として用いるように構成しているが、この態様には限定されない。溝部22fを設けず、雄ねじ部22dと雌ねじ部31aの隙間を通気路として用いてもよい。
吐出キャップ3は、口部22aを取り囲む外周壁31を備えていて、外周壁31の内周面には、口部22aの雄ねじ部22dに対応する雌ねじ部31aが形成されている。また、外周壁31の上端には頂壁32が一体に連結している。更に、頂壁32には、内容物の吐出口33aを形成する吐出筒33が設けられている。また、頂壁32の下面には、環状の上部嵌合溝34が設けられている。さらに、上部嵌合溝34よりも径方向外側には、頂壁32を貫通する外気導入孔35を設けている。なお、外周壁31の下部は密封用段部22cと全周にわたって気密に当接している。
吐出キャップ3は、ヒンジ36を介して開閉可能に設けられた蓋体37を有している。蓋体37は、吐出キャップ3とほぼ同径の有頂筒状に形成されており、ヒンジ36により外周壁31に連結されて吐出筒33を覆うことができるようになっている。蓋体37の天壁37aには、下方に延びる筒状のシール壁38が設けられており、蓋体37が閉じられるとシール壁38が吐出筒33の内周面に嵌合して吐出口33aを閉塞するようになっている。蓋体37のヒンジ36に対向する側には蓋体37を開操作する際の指掛かりとなる摘み部39が設けられている。なお本例においては、吐出筒33が、頂壁32の略中心位置に設けられているが、この態様に限定されず、例えば吐出筒33が、ヒンジ36側とは逆側にずれた位置に設けられていてもよい。
弁部材4は、吐出キャップ3の内側に装着される弁保持部材5によって、吐出キャップ3内に保持されている。ここで、弁保持部材5は合成樹脂製であり、内層体21の上部開口を覆うように配置される隔壁部51と、隔壁部51の外周縁から立設する外筒部52とを備えている。隔壁部51には、筒状の保持筒部53が設けられており、保持筒部53の下端部には、径方向内側に向けたフランジ状の底壁54(底部)が設けられている。底壁54には、内容物の流路となる開口54aが形成されている。なお、底壁54は、後述する弁体45の弁座部として機能するものであり、底壁54の上面に弁体45の外縁部が全周に亘って当接することにより、開口54aが閉塞される。隔壁部51の外縁部には、空気流路となる通気孔55が形成されている。隔壁部51の上面には、環状の下部嵌合溝56が設けられている。
弁部材4は、例えばゴムやエラストマー等の軟材質により形成され、弾性変形可能である。本例では、弁部材4は、低密度ポリエチレン(LDPE)で形成されている。弁部材4は、円筒状の区画壁43と、区画壁43にヒンジ部44を介して設けられ、ヒンジ部44を支点として揺動する片開き構造の弁体45と、を備える。区画壁43は、保持筒部53の径方向内側に配置され、収容空間Sから吐出口33aへの内容物の流路を区画形成する。また、弁体45よりも吐出口33a側における、区画壁43の径方向内側の空間は、内容物の吐出後に残留内容物の一部が貯留される液溜め空間Lとなる。このように、区画壁43、弁体45及び弁座部となる底壁54により、収容空間Sから吐出口33aへ向かう内容物の流れを許容するとともに吐出口33aから収容空間Sへ向かう逆流を阻止する逆止弁構造が形成される。
本例では、図1に示すように、弁体45は、弁座部となる底壁54の開口54aよりも大径の円板状に形成され、1本の連結片で構成されるヒンジ部44を介して区画壁43の内周面に一体に連結されている。弁体45は、ヒンジ部44によって区画壁43に1点で支持されて当該ヒンジ部44を支点として上下方向に揺動する。このように、本例において弁体45は、所謂1点弁構造であるが、これに限られるものではない。例えば、ヒンジ部44を、区画壁43と弁体45を連結する2本以上の連結片で構成し、当該複数の連結片を支点として弁体45が揺動する片開き構造とすることも可能である。
また、区画壁43は、保持筒部53の径方向内側で、図1の上下方向に移動可能である。区画壁43の外周面の直径は、保持筒部53の内周面の直径よりも僅かに小さく形成され、保持筒部53に対する区画壁43の嵌合は、上下方向に相対移動可能なすきま嵌めを構成している。そして、区画壁43は、保持筒部53内を摺動しつつ上下方向に移動することができる。すなわち、区画壁43は、吐出キャップ3に対して上下方向に移動可能である。区画壁43が上下方向に移動するとき、区画壁43と一体に形成された弁体45もまた、区画壁43と共に上下方向に移動する。
図1に示す保管状態においては、収容空間Sには正圧が発生しておらず、区画壁43を含む弁部材4は、自重、及び保持筒部53と区画壁43との静摩擦によって弁保持部材5の底壁54に当接した状態を維持する。また、弁体45は、自重、及びヒンジ部44の弾性力によって底壁54に当接し、弁体45は閉塞状態を維持する。すなわち、弁体45は開口54aを閉塞し、吐出口33a側から収容空間Sへの外気等の流入を遮断している。
ベース部41の外周面には、図1の保管状態において頂壁32の下面に弾性接触して外気導入孔35を閉塞する一方、外層体22と内層体21との間の圧力が低くなると頂壁32の下面から離隔して外気導入孔35を貫通孔22eと連通させる外気導入弁46が一体に設けられている。図示する場合では、外気導入弁46は区画壁43と同一の材料により薄肉環状に形成され、その外周縁において頂壁32の下面に弾性接触するように構成されている。
本実施形態に係る吐出容器1を用いて内容物を吐出する際には、まず、図2に示すように、蓋体37を開いて吐出容器1を倒立姿勢とする。吐出容器1を倒立姿勢としたのみでは、収容空間S内の圧力は上昇せず、弁体45はヒンジ部44の弾性力により閉塞状態を維持する。また、弁部材4は、保持筒部53の内周面と区画壁43の外周面との静摩擦、及び両者間に入り込んだ内容物の粘性によって弁保持部材5の底壁54に当接した状態を維持する。このように、吐出容器1を倒立姿勢としても、弁体45が閉塞状態を維持するために内容物が弁体45を通過しない。従って、利用者が意図しない液だれを抑制することができる。
図2の状態から、二重容器本体2の胴部22bをスクイズすると、外層体22が外層体22と内層体21との間の空間を介して収容空間Sを押圧するため、収容空間S内に正圧が発生する。そして、加圧された収容空間Sの内容物が弁部材4を押圧するため、区画壁43は、図3に矢印で示すように、吐出口33a方向に移動する。区画壁43の移動に伴い、収容空間S内の内容物は、開口54aを通って弁保持部材5の内側空間に入り込み、弁部材4の底部及び弁体45を引き続き押圧する。図3に示す例では、ヒンジ部44の剛性が比較的高く、区画壁43が吐出口33a方向に移動中も弁体45は中心軸線Oに垂直な初期状態を維持し続ける。しかし、このような場合に限定されず、区画壁43が吐出口33a方向に移動中に弁体45が内容物により押圧されてヒンジ部44周りに回転し、収容空間Sと吐出口33aとが連通するように構成してもよい。内容物により押圧された弁部材4は、区画壁43の上端部が吐出筒33の下端部に当接することで更に上方への移動を規制され、区画壁43が吐出筒33に当接した状態で停止する。
図3の状態から更に二重容器本体2の胴部22bをスクイズし続けると、区画壁43は吐出筒33に当接してこれ以上変位することができないため、収容空間S内の正圧は、固定状態の区画壁43に対して弁体45を変位させるように作用する。すなわち、収容空間S内の正圧は、図4に示すように、ヒンジ部44の弾性力に抗して弁体45を吐出口33a側へ変位させる。弁体45の上記変位によって、吐出口33aと収容空間Sは連通状態となる。収容空間S内の内容物は、開口54a、弁体45及び区画壁43の内側の液溜め空間Lを通過し、吐出筒33を通って吐出口33aから吐出される。このようにして、収容空間Sに収容された内容物を吐出することができる。なお、胴部22bのスクイズを強めると、図4の状態から弁体45が更に吐出口33a側に変位し、内容物の流路が更に大きく形成される。このように、内容物が比較的粘度の高いものであったり、多少の固形物を含むようなものであっても、弁体45がヒンジ部44を支点として揺動する片開き構造を有することで、逆止弁開放時の流路を大きく形成することができる。従って、胴部22bのスクイズによって大きく形成された流路を通して、内容物を容易に吐出することができる。従って、内容物の残量が少なくなった場合でも、胴部22bのスクイズが重くなって内容物を吐出しづらくなることを抑制することができる。
なお、図3及び図4に示す例では、ヒンジ部44の弾性力に抗して弁体45を吐出口33a方向に移動させるための収容空間S内の正圧よりも、保持筒部53と区画壁43との静摩擦等に抗して区画壁43を吐出口33a方向に移動させるための収容空間S内の正圧の方が小さい。従って、弁体45が吐出口33a側に持ち上げられるよりも先に区画壁43が吐出口33a方向に移動を開始する。しかし、吐出容器1はこの態様には限定されず、収容空間S内の正圧によって先に弁体45が吐出口33a側に変位し、弁部材4に加わる圧力によりその後に区画壁43が静摩擦や内容物の粘性によるせん断力に抗して吐出口33a方向に移動するように構成してもよい。
図4の状態から胴部22bのスクイズを解除すると、外層体22の復元に伴い収容空間S内の圧力が下がり、内容物により押圧されていた弁体45は元の位置(図5に示す、中心軸線Oに垂直となる初期位置)まで戻る。この弁体45の元の位置への移動に伴い、区画壁43に囲まれた液溜め空間Lの容積が急増するため、サックバック効果によって液溜め空間L内の残留内容物は、収容空間S側に引き込まれる。
図5に示すように、弁体45が元の位置へ戻ることによるサックバック効果によって残留内容物が引き戻されると、その残留内容物の移動に伴い弁部材4が収容空間S側に向けて押圧される。この残留内容物からの押圧力によって、区画壁43は図6に示す弁保持部材5の底壁54に当接する位置まで押し戻される。これによって、弁体45の端部が底壁54に当接し、逆止弁は再び閉塞状態となる。
区画壁43が図6に示す弁保持部材5の底壁54に当接する位置まで戻ることによって、吐出筒33と、保持筒部53と、区画壁43と、弁体45とで構成される残留内容物が溜まる空間の容積は増大する。この容積の増大によって、上記空間に溜まっていた残留内容物はサックバック効果により更に収容空間S側に引き戻され、液溜め空間Lに貯留される。
なお、図5及び図6に示す例では、ヒンジ部44の復元力が比較的強く、二重容器本体2の胴部22bのスクイズを解除した際に、区画壁43が収容空間S側に戻るよりも先に、弁体45が復元力により初期位置(弁体45が中心軸線Oに垂直となる位置)まで戻る場合について説明したが、この態様には限定されない。例えば、ヒンジ部44の復元力が弱い場合においては、胴部22bのスクイズを解除すると、胴部22bの復元に伴う収容空間S内の負圧に伴い、区画壁43の方が先に弁保持部材5の底壁54に当接するか、又は区画壁43が底壁54に向けて移動中に弁体45が初期位置に向けて移動を開始する。そのような場合であっても、図5及び図6に示す例と同様に、残留内容物をサックバック効果により収容空間S側に引き戻すことができる。
以上説明したように、本実施形態の区画壁43は、胴部22bのスクイズによって収容空間S内の圧力が外部より高まると、収容空間S内の内容物からの押圧によって吐出口33a方向(上方向)に移動する。一方、スクイズを解除すると、外層体22の復元によって収容空間S内の圧力が低くなるため、弁体45の初期位置への復元に伴い残留内容物が収容空間S側に移動し、区画壁43は、収容空間S方向(下方向)に押圧されて移動する。このスクイズ解除時に区画壁43が初期位置まで戻る効果によって、吐出筒33の内側空間には、この容積変化(容積増大)に相当する分だけ残留内容物が充填されない空き空間が必ず生じることになる。従って、吐出口33aに過大な残留内容物が溜まることを抑制することができる。
図7は、弁体45及び区画壁43が図1に示す保管位置まで戻り、蓋体37をヒンジ36周りに回動させて吐出口33aを閉塞した状態を示している。液溜め空間L内には、適量の残留内容物が貯留され、液シールが構成されている。内容物に含まれる固形物が弁体45と底壁54との間に挟まって開口54aが完全に閉塞しないような場合であっても、内容物の表面張力や粘性により内容物が液溜め空間L内に留まることで、当該内容物がシール材の役割を果たして弁体45の上方で区画壁43の内側を覆う。このため、吐出口33aからの外気が液溜め空間Lを通過して収容空間S内に侵入することがない。なお、本願発明は、例えばパスタソース、ピザソース、とんかつソース等のソース類、ケチャップ、マヨネーズ、ドレッシング及び液味噌などの具入り液体調味料類を含む、若干の固形物を含んだ内容物を収容する用途に用いることができる。特に比較的粘度の高い内容物を収容する場合に液シール性が高まり、顕著な効果を奏する。
なお本実施形態では、逆止弁構造として、区画壁43にヒンジ部44を介して設けられた片開き構造の弁体45を採用した。片開き構造である弁体45は、3点弁構造に比べて大きく開くため、比較的、内容物の粘度が高い場合でも、スクイズ時に過大な力を必要とすることがなく、容易に内容物を吐出させることができる。
以上述べたように、本実施形態では、内容物の収容空間Sを形成する減容変形可能な内層体21、及び内層体21を取り囲む外層体22を備える二重容器本体2と、内容物を吐出する吐出口33aを形成する吐出筒33を有し、二重容器本体2の口部22aに装着される吐出キャップ3と、吐出キャップ3の径方向内側に配置され、収容空間Sから吐出口33aへ向かう内容物の流れを許容するとともに吐出口33aから収容空間Sへ向かう逆流を阻止する逆止弁構造とを備え、逆止弁構造は、収容空間Sから吐出口33aへ向かう内容物の流路を区画形成する筒状の区画壁43と、区画壁43にヒンジ部44を介して設けられ、ヒンジ部44を支点として揺動する片開き構造の弁体45とを有し、区画壁43は、収容空間Sと外部との圧力差に基づいて吐出キャップ3に対して上下方向に移動可能であるように構成した。このような構成を採用することによって、胴部22bのスクイズによって内容物を吐出させる二重容器の構成を有する吐出容器1において、比較的粘度の高い内容物を収容しても逆止弁の機能を正常に機能させると共に、吐出口33aに過大な残留内容物が溜まることを抑制することができる。
また、本実施形態では、吐出口33aを上方から覆うことで吐出口33aを閉塞可能な蓋体37を設け、蓋体37が吐出口33aの閉塞時に吐出筒33の内周面に嵌合するシール壁38を有するように構成した。このような構成を採用することによって、シール壁38と吐出筒33とを所定面積を有する面でシールすることができるため、蓋体37閉塞時の吐出口33aの気密性を高めて内容物の漏れや劣化を抑制することができる。本実施形態では、区画壁43を上下方向に移動可能とすることで吐出口33aに過大な残留内容物が溜まることを抑制することができるので、上述のようにシール壁38を吐出筒33の内周面に嵌合させても、残留内容物が溢れ出してしまうことがない。
また、本実施形態では、吐出筒33が、上方に向かって径方向外側に拡径するように構成した。このような構成を採用することによって、吐出筒33の上端部から内容物が液だれすることを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態では、吐出容器1が、区画壁43を吐出キャップ3の内側において上下方向に移動可能に保持する弁保持部材5を備えるように構成した。このような構成を採用し、弁保持部材5を適切な内径、高さに設定することで、区画壁43を上下方向に円滑に移動させることができる。
また、本実施形態では、弁保持部材5は、底壁54に開口54aを有する有底筒状形状を有し、区画壁43は、吐出筒33の下部と弁保持部材5の底壁54とによって上下方向の移動が規制されるように構成した。このような構成を採用することによって、部材を追加することなく区画壁43を適切なストロークで上下方向に移動させることができる。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
例えば、弁体45は、上記実施形態では、区画壁43と同一の材料により一体に形成されているが、これに限らず、別体として形成した弁体45を区画壁43に揺動可能に組み付ける構成とすることも可能である。
また、上記実施形態では、吐出キャップ3が二重容器本体2の口部22aに螺合する構成としたが、これに限られるものではなく、例えば相互にアンダーカット係合する係合部を設け、打栓等により装着される構成としてもよい。また、上記実施形態では、蓋体37がヒンジ36を支点に開閉する構成としたが、これに限られず、吐出キャップ3に対して蓋体37がねじ係合により螺着される構成としてもよい。
また、先の実施形態では、外気導入孔35を吐出キャップ3の頂壁32に設けると共に、弁部材4のベース部41から突出する外気導入弁46で当該外気導入孔35を開閉する構成とし、また弁保持部材5の外縁部に空気流路となる通気孔55を設けたが、この態様には限定されない。例えば、外気導入弁46を設けずに、外気導入孔35から貫通孔22eまでの空気の流路を部分的に狭くして外層体22と内層体21の間の空気が外部に漏れ難いようにすることで、スクイズ時の適正な内容物吐出機能と、スクイズ解除時の外気流入機能を両立させた構成としてもよい。あるいは、外層体22と内層体21の間に外気を導入する構成としては、二重容器本体2の胴部22bや底部に外気導入用の孔を形成し、当該孔を開閉する弁体を設けてもよい。さらに二重容器本体2の底部にピンチオフ部が形成されている場合には、当該ピンチオフ部に設けたスリットから外層体22と内層体21の間の空間に外気を導入するなどしてもよい。
1 吐出容器
2 二重容器本体
3 吐出キャップ
4 弁部材
5 弁保持部材
21 内層体
22 外層体
22a 口部
22b 胴部
22c 密封用段部
22d 雄ねじ部
22e 貫通孔
22f 溝部
31 外周壁
31a 雌ねじ部
32 頂壁
33 吐出筒
33a 吐出口
34 上部嵌合溝
35 外気導入孔
36 ヒンジ
37 蓋体
37a 天壁
38 シール壁
39 摘み部
41 ベース部
43 区画壁
44 ヒンジ部
45 弁体
46 外気導入弁
51 隔壁部
52 外筒部
53 保持筒部
54 底壁(底部)
54a 開口
55 通気孔
56 下部嵌合溝
L 液溜め空間
S 収容空間

Claims (5)

  1. 内容物の収容空間を形成する減容変形可能な内層体、及び該内層体を取り囲む外層体を備える二重容器本体と、
    内容物を吐出する吐出口を形成する吐出筒を有し、前記二重容器本体の口部に装着される吐出キャップと、
    該吐出キャップの径方向内側に配置され、前記収容空間から前記吐出口へ向かう内容物の流れを許容するとともに前記吐出口から前記収容空間へ向かう逆流を阻止する逆止弁構造と
    を備え、
    前記逆止弁構造は、前記収容空間から前記吐出口へ向かう内容物の流路を区画形成する筒状の区画壁と、該区画壁にヒンジ部を介して設けられ、該ヒンジ部を支点として揺動する片開き構造の弁体とを有し、
    前記区画壁は、前記収容空間と外部との圧力差に基づいて前記吐出キャップに対して上下方向に移動可能であることを特徴とする吐出容器。
  2. 前記吐出口を上方から覆うことで該吐出口を閉塞可能であり、該吐出口の閉塞時に前記吐出筒の内周面に嵌合するシール壁を有する蓋体を更に備える、請求項1に記載の吐出容器。
  3. 前記吐出筒は、上方に向かって径方向外側に拡径している、請求項2に記載の吐出容器。
  4. 前記区画壁を前記吐出キャップの内側において上下方向に移動可能に保持する弁保持部材を備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の吐出容器。
  5. 前記弁保持部材は、底部に開口を有する有底筒状形状を有し、前記区画壁は、前記吐出筒の下部と前記弁保持部材の底部とによって上下方向の移動を規制される、請求項4に記載の吐出容器。
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