JP2019078849A - ズームレンズ及び撮像装置 - Google Patents

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大樹 小松
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Abstract

【課題】小型、広画角、高性能のズームレンズ、及びこのズームレンズを備えた撮像装置を提供する。【解決手段】ズームレンズは、物体側から順に、正の第1レンズ群G1、負の第2レンズ群G2、正の第3レンズ群G3、正の第4レンズ群G4を備える。変倍時に第1レンズ群G1と第4レンズ群G4は不動で、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3が移動する。第1レンズ群G1は、物体側から順に、合焦時不動の負の第1Aサブレンズ群G1A、合焦時移動の正の第1Bサブレンズ群G1B、合焦時不動の正の第1Cサブレンズ群G1Cからなる。第1Aサブレンズ群G1Aの焦点距離f1A、第1レンズ群G1の焦点距離f1に関する条件式:−1.47<f1A/f1<−1.08を満足する。【選択図】図1

Description

本発明は、ズームレンズ、及び撮像装置に関する。
従来、放送用カメラ及び映画撮影用カメラ等に搭載するレンズ系として4群構成のズームレンズが提案されている。例えば、下記特許文献1及び特許文献2には、物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群とを配置したズームレンズが記載されている。
特開2017−26976号公報 特開2014−232313号公報
従来の放送用カメラは、HD(High Definiton)のセンサーを搭載したカメラが主流であったが、今後は画素数が4倍の4K(約800万画素)のセンサーを搭載したカメラによる撮影が増加することが考えられる。映画撮影用カメラでは、最近は4K以上の画素数を有するカメラが多く存在し、4K撮影が増えている。また、4K以上の画素数を有する8K(約3300万画素)のセンサーを搭載したカメラも市場に出回っている。これらの高画素のセンサーを搭載したカメラには、より高性能なレンズを用いることが求められる。特に、ズームレンズの場合は色の滲みが広角端で出やすく、光源及びカメラ等の撮影環境の変化によって目立ちやすくなるため、色の滲みを抑えることが重要となる。
放送用カメラ及び映画撮影用カメラに用いるズームレンズには、使い勝手の点から、広い画角を有することが求められる。またその一方で、上記カメラでは機動性および操作性を重視した撮影形態に対応するため、さらなる小型化が求められており、搭載するズームレンズにも小型化が求められることになる。
しかしながら、特許文献1に記載のズームレンズは、レンズの有効径が大きく、小型化の要求を十分満たしていない。また、特許文献2に記載のズームレンズは、近年の高性能の要求に応えるためにはさらなる収差補正が望まれる。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、小型かつ広画角であり、高い光学性能を有するズームレンズ、及びこのズームレンズを備えた撮像装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のズームレンズは、物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群とからなる4つのレンズ群のみをレンズ群として備え、第3レンズ群の最も像側の面と像面との間に絞りが配置され、変倍時に、第1レンズ群と第4レンズ群とは像面に対して固定されており、第2レンズ群と第3レンズ群とは光軸方向の相互間隔を変化させてそれぞれ移動し、第1レンズ群は、物体側から像側へ向かって順に、合焦時に像面に対して固定されている負の屈折力を有する第1Aサブレンズ群と、合焦時に光軸方向に移動する正の屈折力を有する第1Bサブレンズ群と、合焦時に像面に対して固定されている正の屈折力を有する第1Cサブレンズ群とからなり、第1Aサブレンズ群の焦点距離をf1Aとし、無限遠物体に合焦時の第1レンズ群の焦点距離をf1とした場合、
−1.47<f1A/f1<−1.08 (1)
で表される条件式(1)を満足し、第1Aサブレンズ群中の正レンズのd線基準のアッベ数をν1Apとし、第1Aサブレンズ群中の全ての負レンズのd線基準のアッベ数の平均値をν1Anaとし、第1Aサブレンズ群中の正レンズのg線とF線間の部分分散比をθgF1Apとし、第1Aサブレンズ群中の全ての負レンズのg線とF線間の部分分散比の平均値をθgF1Anaとした場合、
19<ν1Ana−ν1Ap<31 (2)
0.046<θgF1Ap−θgF1Ana<0.071 (3)
で表される条件式(2)及び(3)を満足する正レンズを第1Aサブレンズ群が少なくとも1枚有する。
本発明のズームレンズにおいては、条件式(2)及び(3)を満足する第1Aサブレンズ群の正レンズの少なくとも1枚は下記条件式(2−1)及び/又は(3−1)を満足することが好ましい。
21<ν1Ana−ν1Ap<30 (2−1)
0.051<θgF1Ap−θgF1Ana<0.068 (3−1)
本発明のズームレンズにおいては、広角端における第3レンズ群の位置と望遠端における第3レンズ群の位置との光軸方向の距離の差をZ3とし、第3レンズ群の焦点距離をf3とした場合、下記条件式(4)を満足することが好ましく、下記条件式(4−1)を満足することがより好ましい。
1<Z3/f3<1.4 (4)
1.05<Z3/f3<1.22 (4−1)
本発明のズームレンズにおいては、第1Cサブレンズ群中の正レンズのうち最も焦点距離が短い正レンズの焦点距離をf1Cpとし、第1Cサブレンズ群の焦点距離をf1Cとした場合、下記条件式(5)を満足することが好ましい。
1.9<f1Cp/f1C<2.25 (5)
本発明のズームレンズにおいては、第2レンズ群の焦点距離をf2とし、第3レンズ群の焦点距離をf3とした場合、下記条件式(6)を満足することが好ましく、下記条件式(6−1)を満足することがより好ましい。
−0.58<f2/f3<−0.38 (6)
−0.5<f2/f3<−0.38 (6−1)
本発明のズームレンズにおいては、広角端から望遠端への変倍時に、第2レンズ群と第3レンズ群とはそれぞれの結像倍率が−1倍の点を同時に通ることが好ましい。
本発明の撮像装置は、本発明のズームレンズを備えている。
なお、本明細書の「〜からなり」、「〜からなる」は、構成要素として挙げたもの以外に、実質的に屈折力を有さないレンズ、並びに、絞り、フィルタ、及びカバーガラス等のレンズ以外の光学要素、並びに、レンズフランジ、レンズバレル、撮像素子、及び手振れ補正機構等の機構部分、等が含まれていてもよいことを意図する。
なお、本明細書の「正の屈折力を有する〜群」は、群全体として正の屈折力を有することを意味する。同様に「負の屈折力を有する〜群」は、群全体として負の屈折力を有することを意味する。「レンズ群」及び「サブレンズ群」は、必ずしも複数のレンズから構成されるものだけでなく、1枚のレンズのみで構成されるものも含む。屈折力の符号は、非球面が含まれているものは近軸領域で考えることとする。条件式は、特に断りが無い限り、d線(波長587.6nm(ナノメートル))を基準とする。
なお、あるレンズのg線とF線間の部分分散比θgFとは、g線(波長435.8nm(ナノメートル))、F線(波長486.1nm(ナノメートル))、及びC線(波長656.3nm(ナノメートル))に対するそのレンズの屈折率をそれぞれNg、NF、及びNCとしたとき、θgF=(Ng−NF)/(NF−NC)で定義される。
本発明によれば、小型かつ広画角であり、高い光学性能を有するズームレンズ、及びこのズームレンズを備えた撮像装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るズームレンズ(本発明の実施例1のズームレンズ)の広角端におけるレンズ構成の断面図と移動軌跡を示す図である。 本発明の実施例1のズームレンズの広角端、中間焦点距離状態、及び望遠端におけるレンズ構成と光路を示す断面図である。 本発明の実施例2のズームレンズの広角端におけるレンズ構成の断面図と移動軌跡を示す図である。 本発明の実施例3のズームレンズの広角端におけるレンズ構成の断面図と移動軌跡を示す図である。 本発明の実施例4のズームレンズの広角端におけるレンズ構成の断面図と移動軌跡を示す図である。 本発明の実施例5のズームレンズの広角端におけるレンズ構成の断面図と移動軌跡を示す図である。 本発明の実施例1のズームレンズの各収差図である。 本発明の実施例2のズームレンズの各収差図である。 本発明の実施例3のズームレンズの各収差図である。 本発明の実施例4のズームレンズの各収差図である。 本発明の実施例5のズームレンズの各収差図である。 本発明の一実施形態に係る撮像装置の概略的な構成図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1に本発明の一実施形態に係るズームレンズの広角端における断面図を示し、図2にこのズームレンズの各状態における断面図と光路を示す。図1及び図2に示す例は後述の実施例1のズームレンズに対応している。図1及び図2では、紙面左側が物体側、紙面右側が像側であり、無限遠物体に合焦した状態を示している。図2では、「WIDE」と付した上段に広角端状態を示し、「MIDDLE」と付した中段に中間焦点距離状態を示し、「TELE」と付した下段に望遠端状態を示している。図2では光束として、広角端状態における軸上光束wa及び最大画角の光束wb、中間焦点距離状態における軸上光束ma及び最大画角の光束mb、望遠端状態における軸上光束ta及び最大画角の光束tbを示している。以下では主に図1を参照しながら説明する。
本実施形態のズームレンズは、光軸Zに沿って物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とからなる4つのレンズ群のみをレンズ群として備える。第3レンズ群G3の最も像側の面と像面Simとの間に開口絞りStが配置される。最も物体側のレンズ群を正の屈折力を有するレンズ群とすることによって、レンズ系全長の短縮が可能となり、小型化に有利となる。
図1の例では、第1レンズ群G1は、物体側から像側へ向かって順に、レンズL1a〜L1lの12枚のレンズからなり、第2レンズ群G2は、物体側から像側へ向かって順に、レンズL2a〜L2eの5枚のレンズからなり、第3レンズ群G3は、物体側から像側へ向かって順に、レンズL3a〜L3eの5枚のレンズからなり、第4レンズ群G4は、物体側から像側へ向かって順に、レンズL4a〜L4kの11枚のレンズからなる。
なお、図1ではズームレンズと像面Simとの間に、入射面と出射面が平行の光学部材PPが配置された例を示している。光学部材PPは、各種フィルタ、プリズム、及び/又はカバーガラス等を想定した部材である。各種フィルタとは例えばローパスフィルタ、赤外線カットフィルタ、及び/又は特定の波長域をカットするフィルタ等である。図1の光学部材PPは2つの部材からなるが、光学部材PPを構成する部材の数は任意に選択可能であり、光学部材PPを省略した構成も可能である。
本実施形態のズームレンズは、変倍時に、第1レンズ群G1と第4レンズ群G4とは像面Simに対して固定されており、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とは光軸方向の相互間隔を変化させてそれぞれ移動する。すなわち、変倍時に、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とはそれぞれ互いに異なる軌跡で光軸方向に移動し、隣接するレンズ群の光軸方向の間隔が変化する。図1では、第2レンズ群G2及び第3レンズ群G3の下に広角端から望遠端へ変倍する際の各レンズ群の概略的な移動軌跡を矢印で示している。なお、図1の例では開口絞りStは変倍時に像面Simに対して固定されているが、開口絞りStが変倍時に光軸方向に移動する構成にすることも可能である。本実施形態のズームレンズでは、最も物体側のレンズ群と最も像側のレンズ群が変倍時に固定されているため、変倍時にレンズ系全長を一定に保つことができる。
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ向かって順に、合焦時に像面Simに対して固定されている負の屈折力を有する第1Aサブレンズ群G1Aと、合焦時に光軸方向に移動する正の屈折力を有する第1Bサブレンズ群G1Bと、合焦時に像面Simに対して固定されている正の屈折力を有する第1Cサブレンズ群G1Cとからなる。この構成をとることによって、合焦時の画角変化を抑え、被写体距離が変化した際の合焦時の収差の変化を抑えることができる。なお、図1の第1Bサブレンズ群G1Bの下の水平方向の矢印は、第1Bサブレンズ群G1Bが無限遠物体から近距離物体への合焦時に光軸方向に移動することを意味する。
本実施形態のズームレンズは、第1Aサブレンズ群G1Aの焦点距離をf1Aとし、無限遠物体に合焦時の第1レンズ群G1の焦点距離をf1とした場合、下記条件式(1)を満足する。条件式(1)の下限以下とならないようにすることによって、第1レンズ群G1の屈折力の強さに対して第1Aサブレンズ群G1Aの屈折力が弱くなりすぎないため、正レンズ群である第1レンズ群G1内における第1Aサブレンズ群G1Aの負の屈折力を確保することができ、広角端での倍率色収差及び望遠端での球面収差の補正が容易となり、また、合焦時の画角変動を抑制することに有利となる。条件式(1)の上限以上とならないようにすることによって、第1レンズ群G1の屈折力の強さに対して第1Aサブレンズ群G1Aの屈折力が強くなりすぎないため、第1レンズ群G1の正の屈折力を確保することができる。これによって、第1レンズ群G1と第4レンズ群G4間の距離の伸長化を抑制でき、第1レンズ群G1から開口絞りStまでの距離の短縮化に寄与できるため、広画角のレンズ系では大径化しやすい第1レンズ群G1のレンズの有効径を抑えることができ、小型化に有利となる。
−1.47<f1A/f1<−1.08 (1)
また、本実施形態のズームレンズは、第1Aサブレンズ群G1A中の正レンズのd線基準のアッベ数をν1Apとし、第1Aサブレンズ群G1A中の全ての負レンズのd線基準のアッベ数の平均値をν1Anaとし、第1Aサブレンズ群G1A中の正レンズのg線とF線間の部分分散比をθgF1Apとし、第1Aサブレンズ群G1A中の全ての負レンズのg線とF線間の部分分散比の平均値をθgF1Anaとした場合、第1Aサブレンズ群G1Aは下記条件式(2)及び(3)を満足する正レンズを少なくとも1枚有する。
19<ν1Ana−ν1Ap<31 (2)
0.046<θgF1Ap−θgF1Ana<0.071 (3)
条件式(2)の下限以下とならないようにすることによって、広角端での倍率色収差及び望遠端での軸上色収差の補正が容易となる。条件式(2)の上限以上とならないようにすることによって、第1Aサブレンズ群G1A中の負レンズの屈折率が低くなりすぎないため、屈折力を確保するために曲率半径の絶対値を小さくする必要が無くなり第1Aサブレンズ群G1Aの伸長化を抑制できる。なお、条件式(2)及び(3)を満足する正レンズの少なくとも1枚が下記条件式(2−1)を満足する場合には、より良好な特性とすることができる。
21<ν1Ana−ν1Ap<30 (2−1)
条件式(2)と合わせて条件式(3)を満足することによって、二次スペクトルの補正に有利となる。なお、条件式(2)及び(3)を満足する正レンズの少なくとも1枚が下記条件式(3−1)を満足する場合には、より良好な特性とすることができる。
0.051<θgF1Ap−θgF1Ana<0.068 (3−1)
また、本実施形態のズームレンズにおいては、広角端における第3レンズ群G3の位置と望遠端における第3レンズ群G3の位置との光軸方向の距離の差をZ3とし、第3レンズ群G3の焦点距離をf3とした場合、下記条件式(4)を満足することが好ましい。条件式(4)の下限以下とならないようにすることによって、第3レンズ群G3の屈折力が弱くなりすぎないためバックフォーカスが長くなりすぎず、小型化に有利となる。条件式(4)の上限以上とならないようにすることによって、Z3が大きくなりすぎないため、小型化に有利となる。また、条件式(4)の上限以上とならないようにすることによって、第3レンズ群G3の屈折力が強くなりすぎないため望遠側の球面収差及び軸上色収差の補正が容易となる。なお、下記条件式(4−1)を満足する構成とすれば、より良好な特性とすることができる。
1<Z3/f3<1.4 (4)
1.05<Z3/f3<1.22 (4−1)
また、本実施形態のズームレンズにおいては、第1Cサブレンズ群G1C中の正レンズのうち最も焦点距離が短い正レンズの焦点距離をf1Cpとし、第1Cサブレンズ群G1Cの焦点距離をf1Cとした場合、下記条件式(5)を満足することが好ましい。条件式(5)は、第1Cサブレンズ群G1Cの中で最も屈折力の強い正レンズ、すなわち、第1Cサブレンズ群G1Cの中で影響力の大きい正レンズの屈折力に関する式である。条件式(5)を満足することによって、低次の球面収差と高次の球面収差とのバランスを良好に保ちながら収差補正することに有利となる。なお、ここで、高次とは5次以上を意味し、低次とは3次以下を意味する。
1.9<f1Cp/f1C<2.25 (5)
また、本実施形態のズームレンズにおいては、第2レンズ群G2の焦点距離をf2とし、第3レンズ群G3の焦点距離をf3とした場合、下記条件式(6)を満足することが好ましい。条件式(6)を満足することによって、負レンズ群である第2レンズ群G2と正レンズ群である第3レンズ群G3との屈折力の比を好適な範囲に保つことができ、変倍時の倍率色収差の変動、変倍時の軸上色収差の変動、及び変倍時の球面収差の変動を抑えるのに有利となる。なお、下記条件式(6−1)を満足する構成とすれば、より良好な特性とすることができる。
−0.58<f2/f3<−0.38 (6)
−0.5<f2/f3<−0.38 (6−1)
また、本実施形態のズームレンズにおいては、広角端から望遠端への変倍時に、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とはそれぞれの結像倍率が−1倍の点を同時に通ることが好ましい。このようにした場合は、高い変倍比の確保に有利となる。図1では第2レンズ群G2と第3レンズ群G3それぞれの結像倍率が−1倍となる移動軌跡中の位置を水平方向の破線で示している。
なお、図1に示す例では、レンズ系と像面Simとの間に光学部材PPを配置した例を示したが、ローパスフィルタ及び/又は特定の波長域の光を遮光する各種フィルタをレンズ系と像面Simとの間に配置する代わりに、各レンズの間にこれらの各種フィルタを配置してもよく、あるいは、いずれかのレンズのレンズ面に、各種フィルタと同様の作用を有するコートを施してもよい。
上述した好ましい構成及び可能な構成は、任意の組合せが可能であり、要求される仕様に応じて適宜選択的に採用されることが好ましい。本実施形態によれば、小型かつ広画角であり、高い光学性能を有するズームレンズを実現することが可能である。なお、ここでいう「広画角」とは広角端での全画角が80度以上を意味する。
次に、本発明のズームレンズの数値実施例について説明する。
[実施例1]
実施例1のズームレンズの断面図は図1及び図2に示したものであり、その図示方法は上述したとおりであるので、ここでは重複説明を一部省略する。実施例1のズームレンズは、物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とからなる。変倍時に、第1レンズ群G1と開口絞りStと第4レンズ群G4とは像面Simに対して固定されており、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とは互いに異なる軌跡で光軸方向に移動する。第1レンズ群G1は、物体側から像側へ向かって順に、合焦時に像面Simに対して固定されている第1Aサブレンズ群G1Aと、無限遠物体から近距離物体への合焦時に移動する正の屈折力を有する第1Bサブレンズ群G1Bと、合焦時に像面Simに対して固定されている正の屈折力を有する第1Cサブレンズ群G1Cとからなる。第1Aサブレンズ群G1Aは、物体側から像側へ向かって順に、レンズL1a〜L1dの4枚のレンズからなる。第1Bサブレンズ群G1Bは、物体側から像側へ向かって順に、レンズL1e〜L1gの3枚のレンズからなる。第1Cサブレンズ群G1Cは、物体側から像側へ向かって順に、レンズL1h〜L1lの5枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ向かって順に、レンズL2a〜L2eの5枚のレンズからなる。第3レンズ群G3は、物体側から像側へ向かって順に、レンズL3a〜L3eの5枚のレンズからなる。第4レンズ群G4は、物体側から像側へ向かって順に、レンズL4a〜L4kの11枚のレンズからなる。以上が実施例1のズームレンズの概要である。
実施例1のズームレンズの基本レンズデータを表1に、諸元と可変面間隔を表2に、非球面係数を表3に示す。表1において、面番号の欄には最も物体側の面を第1面とし像側に向かうに従い1つずつ番号を増加させた場合の面番号を示し、Rの欄には各面の曲率半径を示し、Dの欄には各面とその像側に隣接する面との光軸上の面間隔を示す。また、Ndの欄には各構成要素のd線に対する屈折率を示し、νdの欄には各構成要素のd線基準のアッベ数を示し、θgFの欄には各構成要素のg線とF線間の部分分散比を示す。
表1では、物体側に凸面を向けた形状の面の曲率半径の符号を正、像側に凸面を向けた形状の面の曲率半径の符号を負としている。表1には開口絞りSt及び光学部材PPも合わせて示している。表1では、開口絞りStに相当する面の面番号の欄には面番号と(St)という語句を記載している。表1のDの最下欄の値は表中の最も像側の面と像面Simとの間隔である。表1では変倍時の可変面間隔については、DD[ ]という記号を用い、[ ]の中にこの間隔の物体側の面番号を付してDの欄に記入している。
表2に、変倍比Zr、焦点距離f、FナンバーFNo.、最大全画角2ω、及び可変面間隔の値をd線基準で示す。2ωの欄の(°)は単位が度であることを意味する。表2では、広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態の各値をそれぞれWIDE、MIDDLE、及びTELEと表記した欄に示している。表1と表2には無限遠物体に合焦した状態の各値を示す。
表1では、非球面の面番号には*印を付しており、非球面の曲率半径の欄には近軸の曲率半径の数値を記載している。表3に、非球面の面番号と各非球面に関する非球面係数を示す。表3の非球面係数の数値の「E±n」(n:整数)は「×10±n」を意味する。非球面係数は、下式で表される非球面式における各係数KA、Am(m=4、6、8、…)の値である。
Zd=C×h/{1+(1−KA×C×h1/2}+ΣAm×h
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸に垂直な平面に
下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸からのレンズ面までの距離)
C:近軸曲率
KA、Am:非球面係数
であり、非球面式のΣはmに関する総和を意味する。
各表のデータにおいて、角度の単位としては度を用い、長さの単位としてはmm(ミリメートル)を用いているが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても使用可能なため他の適当な単位を用いることもできる。また、以下に示す各表では所定の桁でまるめた数値を記載している。
図7に左から順に、実施例1のズームレンズの無限遠物体に合焦した状態での各収差図を示す。図7では左から順に、球面収差、非点収差、歪曲収差、及び倍率色収差を示す。図7ではWIDEと付した上段に広角端状態の収差図を示し、MIDDLEと付した中段に中間焦点距離状態の収差図を示し、TELEと付した下段に望遠端状態の収差図を示す。球面収差図では、d線、C線、及びF線における収差をそれぞれ黒の実線、長破線、及び短破線で示す。非点収差図では、サジタル方向のd線における収差を実線で示し、タンジェンシャル方向のd線における収差を短破線で示す。歪曲収差図ではd線における収差を実線で示す。倍率色収差図では、C線、F線、及びg線における収差をそれぞれ長破線、短破線、及び二点鎖線で示す。球面収差図のFNo.はFナンバーを意味し、その他の収差図のωは半画角を意味する。
上記の実施例1の説明で述べた各データの記号、意味、及び記載方法は、特に断りがない限り以下の実施例のものについても同様であるので、以下では重複説明を省略する。
[実施例2]
実施例2のズームレンズの断面図を図3に示す。実施例2のズームレンズは実施例1のズームレンズの概要と同様の構成を有する。実施例2のズームレンズの基本レンズデータを表4に、諸元と可変面間隔を表5に、非球面係数を表6に、無限遠物体に合焦した状態での各収差図を図8に示す。
[実施例3]
実施例3のズームレンズの断面図を図4に示す。実施例3のズームレンズは実施例1のズームレンズの概要と同様の構成を有する。実施例3のズームレンズの基本レンズデータを表7に、諸元と可変面間隔を表8に、無限遠物体に合焦した状態での各収差図を図9に示す。
[実施例4]
実施例4のズームレンズの断面図を図5に示す。実施例4のズームレンズは実施例1のズームレンズの概要と同様の構成を有する。実施例4のズームレンズの基本レンズデータを表9に、諸元と可変面間隔を表10に、無限遠物体に合焦した状態での各収差図を図10に示す。
[実施例5]
実施例5のズームレンズの断面図を図6に示す。実施例5のズームレンズは実施例1のズームレンズの概要と同様の構成を有する。実施例5のズームレンズの基本レンズデータを表11に、諸元と可変面間隔を表12に、非球面係数を表13に、無限遠物体に合焦した状態での各収差図を図11に示す。
表14に実施例1〜5のズームレンズの条件式(1)〜(6)の対応値を示す。実施例1〜5はd線を基準波長としている。表14にはd線基準での値を示す。
以上のデータからわかるように、実施例1〜5のズームレンズは、変倍比が25以上あり高変倍比が確保され、広角端での全画角が80度以上あり広画角に構成され、小型化が達成され、色収差を含む諸収差が良好に補正されて高い光学性能を実現している。
次に、本発明の実施形態に係る撮像装置について説明する。図12に、本発明の実施形態の撮像装置の一例として、本発明の実施形態に係るズームレンズ1を用いた撮像装置10の概略構成図を示す。撮像装置10としては、例えば、放送用カメラ、映画撮影用カメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、及び監視用カメラ等を挙げることができる。
撮像装置10は、ズームレンズ1と、ズームレンズ1の像側に配置されたフィルタ7と、フィルタ7の像側に配置された撮像素子8と、撮像素子8からの出力信号を演算処理する信号処理部4と、ズームレンズ1の変倍を行うための変倍制御部5と、ズームレンズ1の合焦を行うためのフォーカス制御部6とを備える。なお、図12では、ズームレンズ1が備える第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、開口絞りSt、及び第4レンズ群G4を概略的に図示している。
撮像素子8はズームレンズ1により形成される光学像を電気信号に変換する素子であり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を用いることができる。撮像素子8は、その撮像面がズームレンズ1の像面に一致するように配置される。なお、図12では1つの撮像素子8のみ図示しているが、本発明の撮像装置はこれに限定されず、3つの撮像素子を有するいわゆる3板方式の撮像装置であってもよい。
以上、実施形態及び実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズの曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数、及び非球面係数等は、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得る。
1 ズームレンズ
4 信号処理部
5 変倍制御部
6 フォーカス制御部
7 フィルタ
8 撮像素子
10 撮像装置
G1 第1レンズ群
G1A 第1Aサブレンズ群
G1B 第1Bサブレンズ群
G1C 第1Cサブレンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
L1a〜L1l、L2a〜L2e、L3a〜L3e、L4a〜L4k レンズ
ma、ta、wa 軸上光速
mb、tb、wb 最大画角の光束
PP 光学部材
Sim 像面
St 開口絞り
Z 光軸

Claims (10)

  1. 物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群とからなる4つのレンズ群のみをレンズ群として備え、
    前記第3レンズ群の最も像側の面と像面との間に絞りが配置され、
    変倍時に、前記第1レンズ群と前記第4レンズ群とは像面に対して固定されており、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群とは光軸方向の相互間隔を変化させてそれぞれ移動し、
    前記第1レンズ群は、物体側から像側へ向かって順に、合焦時に像面に対して固定されている負の屈折力を有する第1Aサブレンズ群と、合焦時に光軸方向に移動する正の屈折力を有する第1Bサブレンズ群と、合焦時に像面に対して固定されている正の屈折力を有する第1Cサブレンズ群とからなり、
    前記第1Aサブレンズ群の焦点距離をf1Aとし、無限遠物体に合焦時の前記第1レンズ群の焦点距離をf1とした場合、
    −1.47<f1A/f1<−1.08 (1)
    で表される条件式(1)を満足し、
    前記第1Aサブレンズ群中の正レンズのd線基準のアッベ数をν1Apとし、前記第1Aサブレンズ群中の全ての負レンズのd線基準のアッベ数の平均値をν1Anaとし、前記第1Aサブレンズ群中の正レンズのg線とF線間の部分分散比をθgF1Apとし、前記第1Aサブレンズ群中の全ての負レンズのg線とF線間の部分分散比の平均値をθgF1Anaとした場合、
    19<ν1Ana−ν1Ap<31 (2)
    0.046<θgF1Ap−θgF1Ana<0.071 (3)
    で表される条件式(2)及び(3)を満足する正レンズを前記第1Aサブレンズ群が少なくとも1枚有するズームレンズ。
  2. 広角端における前記第3レンズ群の位置と望遠端における前記第3レンズ群の位置との光軸方向の距離の差をZ3とし、前記第3レンズ群の焦点距離をf3とした場合、
    1<Z3/f3<1.4 (4)
    で表される条件式(4)を満足する請求項1記載のズームレンズ。
  3. 前記第1Cサブレンズ群中の正レンズのうち最も焦点距離が短い正レンズの焦点距離をf1Cpとし、前記第1Cサブレンズ群の焦点距離をf1Cとした場合、
    1.9<f1Cp/f1C<2.25 (5)
    で表される条件式(5)を満足する請求項1又は2記載のズームレンズ。
  4. 前記第2レンズ群の焦点距離をf2とし、前記第3レンズ群の焦点距離をf3とした場合、
    −0.58<f2/f3<−0.38 (6)
    で表される条件式(6)を満足する請求項1から3のいずれか1項記載のズームレンズ。
  5. 広角端から望遠端への変倍時に、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群とはそれぞれの結像倍率が−1倍の点を同時に通る請求項1から4のいずれか1項記載のズームレンズ。
  6. 前記条件式(2)及び(3)を満足する前記正レンズの少なくとも1枚は
    21<ν1Ana−ν1Ap<30 (2−1)
    で表される条件式(2−1)を満足する請求項1記載のズームレンズ。
  7. 前記条件式(2)及び(3)を満足する前記正レンズの少なくとも1枚は
    0.051<θgF1Ap−θgF1Ana<0.068 (3−1)
    で表される条件式(3−1)を満足する請求項1記載のズームレンズ。
  8. 1.05<Z3/f3<1.22 (4−1)
    で表される条件式(4−1)を満足する請求項2記載のズームレンズ。
  9. −0.5<f2/f3<−0.38 (6−1)
    で表される条件式(6−1)を満足する請求項4記載のズームレンズ。
  10. 請求項1から9のいずれか1項記載のズームレンズを備えた撮像装置。
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