JP2018175285A - 透析用粉末剤の溶解装置及び透析用粉末剤の溶解方法 - Google Patents

透析用粉末剤の溶解装置及び透析用粉末剤の溶解方法 Download PDF

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Abstract

【課題】透析用粉末剤の溶解過程において溶解槽の内周壁面に固着した透析用粉末剤を容易且つ確実に溶解させることができる透析用粉末剤の溶解装置及び透析用粉末剤の溶解方法を提供する。【解決手段】第1溶解槽2の液体を第2溶解槽3まで送液可能な送液ポンプP1と、第2溶解槽3内にて所定の液位を超えた液体を第1溶解槽2に流動させ得るオーバーフローラインL5と、第2溶解槽に配設された攪拌手段4と、送液ポンプP1を制御して任意タイミングにて送液し得る制御手段5とを具備し、第1溶解槽2に供給された水で第2溶解槽3に収容された透析用粉末剤を溶解して透析用原液を作製可能な透析用粉末剤の溶解装置において、制御手段5は、透析用粉末剤の溶解過程において、送液ポンプP1を制御することにより第2溶解槽3内の液位を低下させる液位低下工程を行わせ得るものである。【選択図】図5

Description

本発明は、透析用粉末剤を溶解して透析用原液を得るための透析用粉末剤の溶解装置及び透析用粉末剤の溶解方法に関するものである。
病院等で腎不全患者の治療に使用される透析液は、一般に重炭酸塩系と酢酸系とに区分され、このうち重炭酸塩系の透析液は、重炭酸ナトリウムを含まないもの(以下、A剤という。)と重炭酸ナトリウム(以下、B剤という。)の2種類の剤に水を混合して調整されるものである。近年、運搬性向上の観点から、これらA剤及びB剤を粉末化したもの(以下、「透析用粉末剤」という。)を透析治療直前や透析治療中に溶解する試みがなされている。
すなわち、透析用粉末剤を溶解して作製される原液(A剤を溶解したA原液やB剤を溶解したB原液)は、清浄性の観点から溶解後にできるだけ早く治療に使用することが好ましく、特にB原液は、経時的に成分が変化する虞があるため、作り置きして長時間放置しておくことは好ましくないことから、透析治療直前にA原液やB原液を作製する必要があり、さらに、透析治療中においてA原液やB原液が不足した場合、それぞれの原液を追加で作製する必要がある。
しかるに、医療施設においてその日の最初の透析治療が行われる際、治療前に予め投入しておいた透析用粉末剤を溶解(準備溶解)し得る溶解装置について提案されている。例えば、従来、2つの溶解槽を有し、治療前日の夜等、一方の溶解槽に予め透析用粉末剤を投入しておくとともに、治療直前において給水源から他方の溶解槽に給水し、その水を一方の溶解槽に送液しつつ循環させて透析用粉末剤を溶解することにより透析用原液を作成可能な溶解装置について開示されている(特許文献1参照)。
特開2001−9028号公報
しかしながら、上記従来技術においては、予め透析用粉末剤が収容された溶解槽に水を送液して循環させる際、その溶解槽の内周壁面(特に、予め透析用粉末薬剤が収容された溶解槽の上部における内周壁面)に水分を含んで固まった透析用粉末剤が固着してしまうことがあり、溶解時間を予め長めに設定する必要があった。また、溶解槽の下部に撹拌手段を具備していても、溶解槽の上部に撹拌効果を十分に及ぼすことができず、溶けきれない透析用粉末剤が溶解槽の上部における内周壁面に固着してしまうことがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、透析用粉末剤の溶解過程において溶解槽の内周壁面に固着した透析用粉末剤を容易且つ確実に溶解させることができる透析用粉末剤の溶解装置及び透析用粉末剤の溶解方法を提供することにある。
請求項1記載の発明は、給水源から供給された所定容量の水を収容可能な第1溶解槽と、透析用粉末剤を予め収容可能な第2溶解槽と、前記第1溶解槽の底部と前記第2溶解槽の底部とを連通して当該第1溶解槽と第2溶解槽との間で液体を流動させ得る第1流路と、前記第1流路に取り付けられ、前記第1溶解槽の液体を前記第2溶解槽まで送液可能な送液ポンプと、前記第1溶解槽の上部と前記第2溶解槽の上部とを連通して当該第2溶解槽内にて所定の液位を超えた液体を前記第1溶解槽に流動させ得る第2流路と、前記第2溶解槽に配設され、前記第1流路にて当該第2溶解槽に流動した液体を攪拌し得る攪拌手段と、前記送液ポンプを制御して任意タイミングにて送液し得る制御手段とを具備し、前記第1溶解槽と第2溶解槽との間で液体を循環させることにより、前記第1溶解槽に供給された水で前記第2溶解槽に収容された透析用粉末剤を溶解して透析用原液を作製可能な透析用粉末剤の溶解装置において、前記制御手段は、透析用粉末剤の溶解過程において、前記送液ポンプを制御することにより前記第2溶解槽内の液位を低下させる液位低下工程を行わせ得ることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の透析用粉末剤の溶解装置において、前記第1溶解槽と第2溶解槽との間で高低差を有するとともに、前記送液ポンプの駆動を停止又は前記送液ポンプを断続的に駆動させることにより前記液位低下工程が行われることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の透析用粉末剤の溶解装置において、前記送液ポンプは、逆転駆動可能とされ、当該逆転駆動させることにより前記液位低下工程が行われることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載の透析用粉末剤の溶解装置において、前記第2溶解槽は、前記液位低下工程中又は液位低下工程後、その内周壁面に固着した透析用粉末剤に向かって散水可能な散水手段を具備したことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載の透析用粉末剤の溶解装置において、前記第2溶解槽は、前記液位低下工程中又は液位低下工程後、その内周壁面に固着した透析用粉末剤に対して振動を付与し得る振動付与手段を具備したことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、給水源から供給された所定容量の水を収容可能な第1溶解槽と、透析用粉末剤を予め収容可能な第2溶解槽と、前記第1溶解槽の底部と前記第2溶解槽の底部とを連通して当該第1溶解槽と第2溶解槽との間で液体を流動させ得る第1流路と、前記第1流路に取り付けられ、前記第1溶解槽の液体を前記第2溶解槽まで送液可能な送液ポンプと、前記第1溶解槽の上部と前記第2溶解槽の上部とを連通して当該第2溶解槽内にて所定の液位を超えた液体を前記第1溶解槽に流動させ得る第2流路と、前記第2溶解槽に配設され、前記第1流路にて当該第2溶解槽に流動した液体を攪拌し得る攪拌手段と、前記送液ポンプを制御して任意タイミングにて送液し得る制御手段とを具備し、前記第1溶解槽と第2溶解槽との間で液体を循環させることにより、前記第1溶解槽に供給された水で前記第2溶解槽に収容された透析用粉末剤を溶解して透析用原液を作製可能な溶解装置による透析用粉末剤の溶解方法において、透析用粉末剤の溶解過程において、前記送液ポンプを制御することにより前記第2溶解槽内の液位を低下させる液位低下工程を行わせることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の透析用粉末剤の溶解方法において、前記第1溶解槽と第2溶解槽との間で高低差を有するとともに、前記送液ポンプの駆動を停止又は前記送液ポンプを断続的に駆動させることにより前記液位低下工程が行われることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項6記載の透析用粉末剤の溶解方法において、前記送液ポンプは、逆転駆動可能とされ、当該逆転駆動させることにより前記液位低下工程が行われることを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項6〜8の何れか1つに記載の透析用粉末剤の溶解方法において、前記液位低下工程中又は液位低下工程後、前記第2溶解槽の内周壁面に固着した透析用粉末剤に向かって散水することを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項6〜8の何れか1つに記載の透析用粉末剤の溶解方法において、前記液位低下工程中又は液位低下工程後、前記第2溶解槽の内周壁面に固着した透析用粉末剤に対して振動を付与することを特徴とする。
請求項1、6の発明によれば、透析用粉末剤の溶解過程において、送液ポンプを制御することにより第2溶解槽内の液位を低下させる液位低下工程を行わせるので、透析用粉末剤の溶解過程において溶解槽の内周壁面に固着した透析用粉末剤を容易且つ確実に溶解させることができる。
請求項2、7の発明によれば、第1溶解槽と第2溶解槽との間で高低差を有するとともに、送液ポンプの駆動を停止又は送液ポンプを断続的に駆動させることにより液位低下工程が行われるので、送液ポンプの制御によって、第2溶解槽の液体を第1溶解槽に向かって自重で流出させることにより液位低下工程を行わせることができる。
請求項3、8の発明によれば、送液ポンプは、逆転駆動可能とされ、当該逆転駆動させることにより液位低下工程が行われるので、送液ポンプの逆転駆動によって、第2溶解槽の液体を第1溶解槽に向かって強制的に流出させることにより液位低下工程を行わせることができる。
請求項4、9の発明によれば、液位低下工程中又は液位低下工程後、第2溶解槽の内周壁面に固着した透析用粉末剤に向かって散水するので、固着した透析用粉末剤の内周壁面からの剥離を散水によって促進することができる。
請求項5、10の発明によれば、液位低下工程中又は液位低下工程後、第2溶解槽の内周壁面に固着した透析用粉末剤に対して振動を付与するので、固着した透析用粉末剤の内周壁面からの剥離を振動によって促進することができる。
本発明の実施形態に係る溶解装置を示す斜視図 同溶解装置を示す3面図 図2におけるIII−III線断面図 同溶解装置が適用される血液浄化システムを示す模式図 同溶解装置の構成を概念的に示す模式図 同溶解装置における制御手段による制御内容を示すフローチャート 同溶解装置の構成(一次給水)を概念的に示す模式図 同溶解装置の構成(一次給水予備循環)を概念的に示す模式図 同溶解装置の構成(液位低下工程)を概念的に示す模式図 同溶解装置の構成(一次給水シャワー)を概念的に示す模式図 同溶解装置の構成(一次給水循環)を概念的に示す模式図 同溶解装置の構成(循環1)を概念的に示す模式図 同溶解装置の構成(循環2)を概念的に示す模式図 同溶解装置の構成(最終給水)を概念的に示す模式図 同溶解装置の構成(最終循環)を概念的に示す模式図 同溶解装置の構成(微調整給水)を概念的に示す模式図 同溶解装置の構成(濃度測定)を概念的に示す模式図 同溶解装置の構成(送液準備)を概念的に示す模式図 同溶解装置の構成(送液)を概念的に示す模式図 同溶解装置の構成(送液切り替え及び給水)を概念的に示す模式図 同溶解装置の構成(追加投入)を概念的に示す模式図 同溶解装置の構成(送液切り替え及び移送)を概念的に示す模式図
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る溶解装置1は、透析用粉末剤を溶解し透析用原液を得るものであって、図1〜5に示すように、透析用粉末剤を溶解して透析用原液を得るとともに、その溶解された透析用原液を所定量収容し得る第1溶解槽2及び第2溶解槽3と、攪拌手段4と、制御手段5と、液位検出手段6と、報知手段7と、表示手段8と、散水手段9とを有して構成されている。
第1溶解槽2は、給水源から供給された所定容量の水を収容可能とされるとともに、透析治療中においては、重炭酸ナトリウムを含まないもの(A剤)又は重炭酸ナトリウム(B剤)の2種類のうち何れかから成る透析用粉末剤を投入可能な収容空間を有するものである。この第1溶解槽2には、給水源から延設された給水ラインL1が接続されている。かかる給水ラインL1には、図5に示すように、電磁弁等から成るバルブV1が配設されており、このバルブV1を開状態とすることにより第1溶解槽2内に給水可能とされている。
第2溶解槽3は、透析用粉末剤(透析治療中において第1溶解槽2に投入される透析用粉末剤と同種のもの)を投入して予め収容可能な空間を有するとともに、図5に示すように、当該第2溶解槽3と第1溶解槽2とを連結する接続ラインL4が接続されている。かかる接続ラインL4には、電磁弁等からなるバルブV2、V3、V4が配設されており、これらバルブV2、V3、V4を開状態にすることにより、第1溶解槽2内の液体を第2溶解槽3内に移送可能とされている。なお、本実施形態に係る第2溶解槽3は、第1溶解槽2に比べて相対的に容量が小さなタンクとされ、オーバーフローラインL5にて第1溶解槽2に接続されている。
また、第1溶解槽2は、給水ラインL1及び接続ラインL4の他、接続ラインL2が接続されている。かかる接続ラインL2は、送液ポンプP1が配設された流路から成り、一端が第1溶解槽2に接続されるとともに、他端が接続ラインL4における接続部b(バルブV2とバルブV3との間の位置)に接続されている。送液ポンプP1は、接続ラインL2(本発明の「第1流路」)に取り付けられ、第1溶解槽2の液体を第2溶解槽3まで送液可能なポンプから成る。
さらに、接続ラインL2における接続部a(送液ポンプP1の配設部位と接続部bとの間の位置)には、送液ラインL3の基端が接続されている。かかる送液ラインL3は、ポンプP2が配設されるとともに、電磁弁等から成るバルブV5が配設されている。なお、送液ラインL3と接続ラインL4との間には、電磁弁等から成るバルブV6が配設された接続ラインL6が接続されている。
送液ラインL3は、その途中にポンプP2が配設されるとともに、先端が透析液供給装置B(図4参照)に接続されており、溶解装置1で作製された透析用原液を透析液供給装置Bに送液可能とされている。かかる透析液供給装置Bは、溶解装置1から送液された透析用原液を所定濃度に希釈して透析液を作製するもので、図4に示すように、配管を介して複数の透析装置Aに接続されている。しかして、溶解装置1で作製された透析用原液は、透析液供給装置Bで所定濃度の透析液とされ、各透析装置Aに送液されて透析治療が施されるようになっている。
しかるに、接続ラインL2、L4は、第1溶解槽2の底部と第2溶解槽3の底部とを連通して当該第1溶解槽2と第2溶解槽3との間で液体を流動させ得る「第1流路」を構成するとともに、オーバーフローラインL5は、第1溶解槽2の上部と第2溶解槽3の上部とを連通して当該第2溶解槽3内にて所定の液位を超えた液体を第1溶解槽2に流動(本実施形態においてはオーバーフロー)させ得る「第2流路」を構成するものである。
攪拌手段4は、第2溶解槽3の底面に配設されるとともに接続ラインL4に接続されたノズルから成り、接続ラインL4にて流動した液体を第2溶解槽3に導入する際、当該第2溶解槽3内で噴流を生じさせることにより液体の攪拌を可能とされたものである。なお、ノズルに代えて、例えば第2溶解槽3の底面に配設されてインペラ等を有する他の形態の攪拌手段としてもよい。
制御手段5は、例えば本溶解装置1に配設されたマイコン等から成り、送液ポンプP1
を制御して任意タイミングにて送液し得るものである。本実施形態に係る制御手段5は、送液ポンプP1の他、ポンプP2及びバルブV1〜V6等と電気的に接続されており、これら送液ポンプP1、ポンプP2及びバルブV1〜V6を任意タイミングで動作させ得るようになっている。すなわち、制御手段5の制御によって、本溶解装置1による準備溶解(透析治療前の溶解)及び追加溶解(透析治療中の溶解)を行うための動作が行われるのである。
ここで、本実施形態に係る溶解装置1の制御手段5は、透析用粉末剤の溶解過程において、送液ポンプP1を制御することにより第2溶解槽3内の液位を低下させる液位低下工程を行わせ得るよう構成されている。より具体的には、本実施形態においては、第2溶解槽3の方が第1溶解槽2より高い位置(第2溶解槽3の底面が第1溶解槽2の底面より上方になる位置)に配設されており、第1溶解槽2と第2溶解槽3との間で高低差を有するとともに、送液ポンプP1の駆動を停止させることにより、高低差(ヘッド差)により生じた液体の自重にて第2溶解槽3内の液体を第1溶解槽2に向かって流動させることにより液位低下工程が行われるようになっている。
液位検出手段6は、第1溶解槽2に配設されたセンサから成るもので、第1溶解槽2内に収容された透析用原液の液位を連続的且つリアルタイムに検出可能なものである。本実施形態に係る液位検出手段6は、第1溶解槽2内に収容された液体の液面に浮いて上下移動可能な浮き手段を有した磁歪式リニア変位センサで構成されており、浮き手段の位置を連続的且つリアルタイムに検出することにより、液面(すなわち液位)を検知可能とされている。
なお、液位検出手段6は、第1溶解槽2内に収容された透析用原液(供給された水又は溶液であってもよい)の液位を連続的且つリアルタイムに検出可能なものであれば、接触式又は非接触式のどちらのタイプでもよく、本実施形態の如く浮き手段による磁歪式リニア変位センサの他、超音波センサ等により構成するようにしてもよい。また、本実施形態においては、液位検出手段6が第1溶解槽2のみに配設されているが、当該第1溶解槽2と共に第2溶解槽3にも配設するようにしてもよい。
さらに、液位検出手段6は、報知手段7と電気的に接続されている。かかる報知手段7は、液位検出手段6で検出された透析用原液の液位に基づいて透析用粉末剤の追加投入タイミングを報知し得るもので、音声や効果音等を出力させるスピーカや警告灯などから構成されている。すなわち、液位検出手段6にて検出された液位が所定の高さより低く、透析用原液が不足すると予測される時点において、報知手段7にて報知することにより、追加の透析用粉末剤を医療従事者等の作業者に投入させ、追加溶解することにより透析用原液を追加で作製することができるのである。
表示手段8は、溶解装置1の筐体部に取り付けられ、溶解作業に関する種々表示を行い得る液晶モニタ等にて構成されるもので、本実施形態においてはタッチパネルにて構成されている。そして、表示手段8を構成するタッチパネルを触れることにより、所定の入力が可能とされている。なお、本実施形態においては、所定の入力と表示とを兼用するタッチパネルが配設されているが、入力手段と表示手段とを別個に具備するものとしてもよい。
散水手段9は、第2溶解槽3に配設されたシャワーから成り、液位低下工程中又は液位低下工程後、第2溶解槽3の内周壁面に固着した透析用粉末剤に向かって散水(水等を噴出)可能なものである。すなわち、準備溶解(透析治療前の溶解)における透析用粉末剤の溶解過程においては、攪拌手段4による攪拌効果が及び難い部位(第2溶解槽3の上部)の内周壁面に、水を含んで固まった透析用粉末剤が固着することがあるので、その固着した透析用粉末剤を散水によって内周壁面から剥離して液体内に崩落させることができるのである。
本実施形態に係る散水手段9は、給水源から延設された給水ラインL1から分岐させた散水ラインL7に接続されており、当該散水ラインL7に配設されたバルブV7(電磁弁)を開状態とすることにより散水し得るとともに、当該バルブV7を閉状態とすることにより散水を停止させ得るようになっている。なお、本実施形態においては、給水ラインL1から分岐させた散水ラインL7に散水手段9が取り付けられているが、給水ラインL1が接続された給水源とは別個の給水源から散水のための水を得るようにしてもよい。
次に、本実施形態に係る溶解装置1による準備溶解のための動作について、図6に示すフローチャート、及び図7〜図18に示す概念図に基づいて説明する。
先ず、準備溶解を行うには、透析治療前(治療前日の夜等)において、図7に示すように、第2溶解槽3に所定量(準備溶解袋数)の透析用粉末剤を投入して予め収容させておく。そして、同図に示すように、制御手段5による制御を行って、バルブV1、V2を開状態としつつバルブV3〜V7を閉状態とし、送液ポンプP1及びポンプP2を停止状態とすることにより、給水源から給水ラインL1を介して第1溶解槽2に所定量の水を供給する(S1:一次給水)。
その後、図8に示すように、バルブV3、V4を開状態としつつバルブV1、V2、V5〜V7を閉状態とし、送液ポンプP1を駆動させることによって、第1溶解槽2に収容された水を第2溶解槽3に送り込む(S2:一次給水予備循環)。これにより、予め第2溶解槽3内に第1溶解槽2内の水が送り込まれて透析用粉末剤を溶解するとともに、その溶解液(透析用原液となる過程の溶液)がオーバーフローラインL5を介して第1溶解槽2にオーバーフローして循環することとなる。
ここで、本実施形態においては、図9に示すように、バルブV2〜V4を開状態としつつバルブV1、V5〜V7を閉状態とし、送液ポンプP1の駆動を停止させることにより液位低下工程S3が行われる。すなわち、本実施形態においては、既述のように、第2溶解槽3の方が第1溶解槽2より高い位置に配設され、第1溶解槽2と第2溶解槽3との間で高低差を有しているので、バルブV2〜V4を開状態として第1溶解槽2及び第2溶解槽3を連通した状態としつつ送液ポンプP1の駆動を停止させることにより、高低差(ヘッド差)により生じた液体の自重にて第2溶解槽3内の液体を第1溶解槽2に向かって流動させることにより液位低下工程S3が行われるのである。
かかる液位低下工程S3により、第2溶解槽3の上部における内周壁部に固着した透析用粉末剤を液面より上方の位置とすることができる。そして、液位低下工程S3が行われて所定時間が経過すると、図10に示すように、バルブV2〜V4、V7を開状態としつつバルブV1、V5、V6を閉状態とし、送液ポンプP1の停止状態を維持することにより、第2溶解槽3内の液位が低下して外部に臨んだ透析用粉末剤(内周壁部に固着した透析用粉末剤)に対して散水手段9による散水が行われることとなる(S4:一次給水シャワー)。
これにより、液面を低下させた際に第2溶解槽3の内周壁面に固着した透析用粉末剤を液面より上方に位置させることができるので、浮力を失った透析用粉末剤(水分を含んで重さが増したもの)をその自重にて内周壁面から剥離させて液体内に崩落させることができる。また、散水によって第2溶解槽3の内周壁面に固着した透析用粉末剤の剥離や崩壊を効果的に行わせることができ、透析用粉末剤の溶解を促進させることができる。
上記の一次給水シャワーS4が所定時間行われた後、図11に示すように、バルブV1〜V4を開状態としつつバルブV5〜V7を閉状態とし、送液ポンプP1を駆動させることにより、給水源から第1溶解槽2に水を供給しつつ当該第1溶解槽2と第2溶解槽3との間で液体を循環させる(S5:一次給水循環)。このとき、第1溶解槽2に供給される水の総量が規定量(所定濃度の透析液原液を作製するのに必要な水の量)の90%程度となるようにするのが好ましい。
その後、図12に示すように、バルブV3、V4を開状態としつつバルブV1、V2、V5〜V7を閉状態とし、送液ポンプP1の駆動を継続させることにより、循環1工程S6が行われるとともに、所定時間経過後、図13に示すように、バルブV2を開状態としつつバルブV1、V3〜V7を閉状態とし、送液ポンプP1の駆動を継続させることにより、循環2工程S7が行われる。
かかる循環2工程S7の後、図14に示すように、バルブV1、V2を開状態としつつバルブV3〜V7を閉状態とし、送液ポンプP1を停止させることにより、規定量の水が供給されることとなる最終給水工程S8が行われる。さらに、最終給水工程S8の後、図15に示すように、バルブV3、V4を開状態としつつバルブV1、V2、V5〜V7を閉状態とし、送液ポンプP1を駆動させることにより、最終循環工程S9が行われる。
この最終循環工程S9が行われて所定時間経過後、図16に示すように、バルブV1、V2を開状態としつつバルブV3〜V7を閉状態とし、送液ポンプP1を停止させることにより、微調整給水工程S10が行われる。その後、図17に示すように、バルブV2〜V4を開状態としつつバルブV1、V5〜V7を閉状態とし、送液ポンプP1を駆動させることにより、図示しない濃度センサにより作製した透析用原液の濃度を測定する濃度測定工程S11が行われ、透析用原液の濃度が適正か否かを判断されるとともに、図18に示すように、バルブV4〜V6を開状態としつつバルブV1〜V3、V7を閉状態とし、送液ポンプP1、ポンプP2を駆動させることにより、送液準備工程S12が行われる。
しかして、上記のように第1溶解槽2及び第2溶解槽3のそれぞれに透析用原液が収容された状態において、図19に示すように、バルブV5を開状態としつつバルブV1〜V4、V6、V7を閉状態とし、送液ポンプP1及びポンプP2を駆動させることにより、送液ラインL3を介して第1溶解槽2内の透析用原液を透析液供給装置Bに送液することができ、所定濃度の透析液を各透析装置Aに供給させて透析治療を行わせることができる(S13:原液供給)。
次に、本実施形態に係る溶解装置1による追加溶解のための動作について、図20〜22に示す概念図に基づいて説明する。
第1溶解槽2内の透析用原液を透析液供給装置Bに送液する過程において、液位検出手段6にて第1溶解槽2内の透析用原液の液位が所定高さに達したことを検出すると、報知手段7にて追加投入のための報知がなされる。この場合、図20に示すように、バルブV1、V2、V4、V6を開状態としつつバルブV3、V5、V7を閉状態とし、給水源からの給水を行わせる一方、ポンプP2の駆動を継続して行わせることにより、第1溶解槽2に代えて第2溶解槽3内の透析用原液を透析液供給装置Bに送液する。
しかして、第1溶解槽2内に所定量(追加投入袋数)の追加の透析用粉末剤を投入させることができ、その投入された透析用粉末剤が給水源からの給水によって溶解されることとなる。なお、送液ポンプP1を駆動させることにより、透析用原液となる過程の溶液を循環させることができる。これにより、第1溶解槽2に代えて第2溶解槽3からの透析用原液の送液が引き続き行われるとともに、第1溶解槽2において追加の透析用粉末剤を投入させて溶解することができる。
そして、所定量の給水が行われると、図21に示すように、バルブV2、V4、V6を開状態としつつバルブV1、V3、V5、V7を閉状態とし、給水源からの給水を停止する一方、送液ポンプP1及びポンプP2の駆動を継続して行わせることにより、第2溶解槽3から透析用原液の送液を引き続き行わせるとともに、第1溶解槽2内の透析用原液を循環させて攪拌し、均一な濃度の透析用原液を得ることができる。
上記のように第1溶解槽2に透析用原液が収容された状態において、図22に示すように、バルブV2〜V5を開状態としつつバルブV1、V6、V7を閉状態とし、送液ポンプP1及びポンプP2を駆動させることにより、送液ラインL3を介して第1溶解槽2内の透析用原液を透析液供給装置Bに送液することができ、所定濃度の透析液を各透析装置Aに供給させて透析治療を行わせることができる。このとき、第1溶解槽2内の透析用原液の一部は、第2溶解槽3内に移送され、オーバーフローラインL5にてオーバーフローする状態まで透析用原液が送り込まれることとなる。
その後、図19に示すように、バルブV5を開状態としつつバルブV1〜V4、V6、V7を閉状態とし、送液ポンプP1及びポンプP2を駆動(送液ポンプP1及びポンプP2の何れか一方を駆動してもよい)させることにより、送液ラインL3を介して第1溶解槽2内の透析用原液を透析液供給装置Bに送液することができ、所定濃度の透析液を各透析装置Aに供給させて透析治療を行わせることができる。これにより、第1溶解槽2にて追加溶解された透析用原液を透析液供給装置Bに供給することができるので、各透析装置Aによる透析治療を継続して行わせることができる。
このように、本実施形態に係る溶解装置1は、透析治療中、患者に透析治療を施すための複数の透析装置A側に第1溶解槽2及び第2溶解槽3の透析用原液を送液するのに伴って、追加の透析用粉末剤を所定量毎(本実施形態においては透析用粉末剤を収容する袋単位(袋数))に投入させて溶解し得るものであり、所謂バッチ式と称される溶解装置から成るものとされている。
上記実施形態によれば、透析用粉末剤の溶解過程において、送液ポンプP1を制御することにより第2溶解槽3内の液位を低下させる液位低下工程S3を行わせるので、透析用粉末剤の溶解過程において第2溶解槽3の内周壁面に固着した透析用粉末剤を容易且つ確実に溶解させることができる。すなわち、液位低下工程S3を行って透析用粉末剤の溶解過程において第2溶解槽3の液位を低下させることにより、当該第2溶解槽3の内周壁面に固着した透析用粉末剤を液面より上方に位置させることができるので、透析用粉末剤をその自重にて内周壁面から剥離させて液体内に崩落させることができるのである。
また、本実施形態においては、第1溶解槽2と第2溶解槽3との間で高低差を有するとともに、送液ポンプP1の駆動を停止させることにより液位低下工程が行われるので、送液ポンプP1の制御によって、第2溶解槽3の液体を第1溶解槽2に向かって自重で流出させることにより液位低下工程S3を行わせることができる。さらに、本実施形態においては、液位低下工程S3後(液位低下工程S3中であってもよい)、第2溶解槽3の内周壁面に固着した透析用粉末剤に向かって散水手段9にて散水するので、固着した透析用粉末剤の内周壁面からの剥離を散水によって促進することができる。
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば送液ポンプP1を逆転駆動可能なポンプとし、当該逆転駆動させることにより液位低下工程S3が行われるようにしてもよい。このように、送液ポンプP1が逆転駆動可能とされ、当該逆転駆動させることにより液位低下工程S3が行われるようにすれば、送液ポンプP1の逆転駆動によって、第2溶解槽3の液体を第1溶解槽2に向かって強制的に流出させることにより液位低下工程S3を行わせることができる。なお、この場合、第1溶解槽2と第2溶解槽3との間で高低差を設けなくてもよく、溶解装置1内のレイアウトの自由度を向上させることができる。
また、液位低下工程S3に代え、一次給水S1から一次給水循環S5の間において、送液ポンプP1の駆動を断続的に行わせるようにしてもよい。すなわち、本実施形態おいては、第1溶解槽2と第2溶解槽3との間で高低差を有するので、送液ポンプP1を断続的に駆動させる(停止状態と駆動状態とを繰り返し行わせる)ことにより、停止状態のとき、第2溶解槽3内の液位を低下させることができる。これにより、液面を低下させた際に第2溶解槽3の内周壁面に固着した透析用粉末剤を液面より上方に位置させることができるので、透析用粉末剤をその自重にて内周壁面から剥離させて液体内に崩落させることができる。
さらに、散水手段9に代え、或いは散水手段9と共に、第2溶解槽3は、液位低下工程中又は液位低下工程後、その内周壁面に固着した透析用粉末剤に対して振動を付与し得る振動付与手段(ノッカーや加振手段等)を具備するようにしてもよい。この場合、液位低下工程中又は液位低下工程後、第2溶解槽3の内周壁面に固着した透析用粉末剤に対して振動を付与するので、固着した透析用粉末剤の内周壁面からの剥離を振動によって促進することができる。
透析用粉末剤の溶解過程において、送液ポンプを制御することにより第2溶解槽内の液位を低下させる液位低下工程を行わせる透析用粉末剤の溶解装置及び透析用粉末剤の溶解方法であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
1 溶解装置
2 第1溶解槽
3 第2溶解槽
4 攪拌手段
5 制御手段
6 液位検出手段
7 報知手段
8 表示手段
9 散水手段
P1 送液ポンプ
L1 給水ライン
L2 接続ライン(第1流路)
L3 送液ライン
L4 接続ライン(第1流路)
L5 オーバーフローライン(第2流路)
L6 接続ライン
L7 散水ライン
A 透析装置
B 透析液供給装置

Claims (10)

  1. 給水源から供給された所定容量の水を収容可能な第1溶解槽と、
    透析用粉末剤を予め収容可能な第2溶解槽と、
    前記第1溶解槽の底部と前記第2溶解槽の底部とを連通して当該第1溶解槽と第2溶解槽との間で液体を流動させ得る第1流路と、
    前記第1流路に取り付けられ、前記第1溶解槽の液体を前記第2溶解槽まで送液可能な送液ポンプと、
    前記第1溶解槽の上部と前記第2溶解槽の上部とを連通して当該第2溶解槽内にて所定の液位を超えた液体を前記第1溶解槽に流動させ得る第2流路と、
    前記第2溶解槽に配設され、前記第1流路にて当該第2溶解槽に流動した液体を攪拌し得る攪拌手段と、
    前記送液ポンプを制御して任意タイミングにて送液し得る制御手段と、
    を具備し、前記第1溶解槽と第2溶解槽との間で液体を循環させることにより、前記第1溶解槽に供給された水で前記第2溶解槽に収容された透析用粉末剤を溶解して透析用原液を作製可能な透析用粉末剤の溶解装置において、
    前記制御手段は、透析用粉末剤の溶解過程において、前記送液ポンプを制御することにより前記第2溶解槽内の液位を低下させる液位低下工程を行わせ得ることを特徴とする透析用粉末剤の溶解装置。
  2. 前記第1溶解槽と第2溶解槽との間で高低差を有するとともに、前記送液ポンプの駆動を停止又は前記送液ポンプを断続的に駆動させることにより前記液位低下工程が行われることを特徴とする請求項1記載の透析用粉末剤の溶解装置。
  3. 前記送液ポンプは、逆転駆動可能とされ、当該逆転駆動させることにより前記液位低下工程が行われることを特徴とする請求項1記載の透析用粉末剤の溶解装置。
  4. 前記第2溶解槽は、前記液位低下工程中又は液位低下工程後、その内周壁面に固着した透析用粉末剤に向かって散水可能な散水手段を具備したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の透析用粉末剤の溶解装置。
  5. 前記第2溶解槽は、前記液位低下工程中又は液位低下工程後、その内周壁面に固着した透析用粉末剤に対して振動を付与し得る振動付与手段を具備したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の透析用粉末剤の溶解装置。
  6. 給水源から供給された所定容量の水を収容可能な第1溶解槽と、
    透析用粉末剤を予め収容可能な第2溶解槽と、
    前記第1溶解槽の底部と前記第2溶解槽の底部とを連通して当該第1溶解槽と第2溶解槽との間で液体を流動させ得る第1流路と、
    前記第1流路に取り付けられ、前記第1溶解槽の液体を前記第2溶解槽まで送液可能な送液ポンプと、
    前記第1溶解槽の上部と前記第2溶解槽の上部とを連通して当該第2溶解槽内にて所定の液位を超えた液体を前記第1溶解槽に流動させ得る第2流路と、
    前記第2溶解槽に配設され、前記第1流路にて当該第2溶解槽に流動した液体を攪拌し得る攪拌手段と、
    前記送液ポンプを制御して任意タイミングにて送液し得る制御手段と、
    を具備し、前記第1溶解槽と第2溶解槽との間で液体を循環させることにより、前記第1溶解槽に供給された水で前記第2溶解槽に収容された透析用粉末剤を溶解して透析用原液を作製可能な溶解装置による透析用粉末剤の溶解方法において、
    透析用粉末剤の溶解過程において、前記送液ポンプを制御することにより前記第2溶解槽内の液位を低下させる液位低下工程を行わせることを特徴とする透析用粉末剤の溶解方法。
  7. 前記第1溶解槽と第2溶解槽との間で高低差を有するとともに、前記送液ポンプの駆動を停止又は前記送液ポンプを断続的に駆動させることにより前記液位低下工程が行われることを特徴とする請求項6記載の透析用粉末剤の溶解方法。
  8. 前記送液ポンプは、逆転駆動可能とされ、当該逆転駆動させることにより前記液位低下工程が行われることを特徴とする請求項6記載の透析用粉末剤の溶解方法。
  9. 前記液位低下工程中又は液位低下工程後、前記第2溶解槽の内周壁面に固着した透析用粉末剤に向かって散水することを特徴とする請求項6〜8の何れか1つに記載の透析用粉末剤の溶解方法。
  10. 前記液位低下工程中又は液位低下工程後、前記第2溶解槽の内周壁面に固着した透析用粉末剤に対して振動を付与することを特徴とする請求項6〜8の何れか1つに記載の透析用粉末剤の溶解方法。
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