JP2018174040A - 電気化学反応単位および電気化学反応セルスタック - Google Patents
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Abstract
Description
A−1.構成:
(燃料電池スタック100の構成)
図1は、実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図であり、図2は、図1(および後述する図6,7)のII−IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図であり、図3は、図1(および後述する図6,7)のIII−IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向と呼び、Z軸負方向を下方向と呼ぶものとするが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。図4以降についても同様である。
一対のエンドプレート104,106は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。一方のエンドプレート104は、最も上に位置する発電単位102の上側に配置され、他方のエンドプレート106は、最も下に位置する発電単位102の下側に配置されている。一対のエンドプレート104,106によって複数の発電単位102が押圧された状態で挟持されている。上側のエンドプレート104は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能し、下側のエンドプレート106は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。
図4は、図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図であり、図5は、図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。図4の下部には、発電単位102の一部分のXZ断面構成が拡大して示されている。また、図6は、図4のVI−VIの位置における発電単位102のXY断面構成を示す説明図であり、図7は、図4のVII−VIIの位置における発電単位102のXY断面構成を示す説明図である。
図2および図4に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して酸化剤ガスOGが供給されると、酸化剤ガスOGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して酸化剤ガス導入マニホールド161に供給され、酸化剤ガス導入マニホールド161から各発電単位102の酸化剤ガス供給連通孔132を介して、空気室166に供給される。また、図3および図5に示すように、燃料ガス導入マニホールド171の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料ガスFGが供給されると、燃料ガスFGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して燃料ガス導入マニホールド171に供給され、燃料ガス導入マニホールド171から各発電単位102の燃料ガス供給連通孔142を介して、燃料室176に供給される。
本実施形態の燃料電池スタック100を構成する各発電単位102は、燃料極116と燃料極側集電体144の電極対向部145との関係に特徴がある。以下、燃料極116と燃料極側集電体144の電極対向部145との関係に関して行った性能評価について説明する。
図4に示すように、本性能評価では、Z軸方向における燃料極116の厚さを、「燃料極厚さβ」という。なお、燃料極116の厚さが一様ではない場合には、燃料極厚さβは、燃料極116(ただし、燃料極側集電体144の電極対向部145に対向する部分)における最薄部の厚さとする。
図10は、性能評価結果を示す説明図である。図10に示すように、性能評価に用いられた発電単位102の各サンプル(S1〜S14)は、上述した集電部間最短距離α、燃料極厚さβ、および、集電部幅γの値が互いに異なっており、その結果、第1の比率R1および第2の比率R2の値が互いに異なっている。さらに、各サンプルは、燃料極116における燃料極側集電体144に近い側の部分(以下、「集電体側部分」という)の気孔率RO1、および、燃料極116における電解質層112に近い側の部分(以下、「電解質層側部分」という)の気孔率RO2の値が互いに異なっている。図10に示すように、性能評価に用いられたすべてのサンプルにおいて、燃料極116の集電体側部分の気孔率RO1は、燃料極116の電解質層側部の気孔率RO2より高くなっている。気孔率RO1および気孔率RO2の特定方法については、後述する。
本性能評価では、発電性能についての評価を行った。具体的には、作製した発電単位102の各サンプルについて、温度:700℃、電流密度:0.55A/cm2の条件における初期電圧を測定し、初期電圧の値に応じて以下のように「A」〜「G」の7段階で評価した(「A」が最も優れているという評価であり、「G」が最も劣っているという評価である)。
・評価:「A」・・・初期電圧:0.92V以上
・評価:「B」・・・初期電圧:0.915V以上、0.92V未満
・評価:「C」・・・初期電圧:0.91V以上、0.915V未満
・評価:「D」・・・初期電圧:0.905V以上、0.91V未満
・評価:「E」・・・初期電圧:0.9V以上、0.905V未満
・評価:「F」・・・初期電圧:0.8V以上、0.9V未満
・評価:「G」・・・初期電圧:0.8V未満
(サンプルS1について)
図10に示すように、サンプルS1の評価結果は、最も低い「G」評価であった。サンプルS1では、燃料極116の集電体側部分の気孔率RO1が20%であり、他のサンプル(いずれも集電体側部分の気孔率RO1が35%以上である)と比べて低い値となっている。そのため、サンプルS1では、燃料室176に供給された燃料ガスFGが燃料極116内に良好に進入せず、燃料極116における反応場(電解質層112側の部分)において燃料ガスFGが不足することによってガス拡散分極が極めて大きくなり、その結果、初期電圧が極めて低くなったものと考えられる。この結果から、発電単位102の発電性能向上(発電性能低下の抑制)のためには、燃料極116の集電体側部分の気孔率RO1は35%以上であることが好ましいと言える。
サンプルS2の評価結果は、2番目に低い「F」評価であった。サンプルS2では、燃料極116の集電体側部分の気孔率RO1が35%以上ではあるものの、第1の比率R1(=β/α)が0.19であり、サンプルS3〜S14(いずれも第1の比率R1が0.20以上である)と比べて低い値となっている。そのため、サンプルS2では、以下に説明するように、サンプルS3〜S14と比べて初期電圧が低くなったものと考えられる。
サンプルS3,S4の評価結果は、3番目に低い「E」評価であった。サンプルS3,S4では、燃料極116の集電体側部分の気孔率RO1が35%以上であり、かつ、第1の比率R1(=β/α)が0.20以上であるものの、第2の比率R2(=β/γ)が0.06未満であり、サンプルS5〜S14(いずれも第2の比率R2が0.06以上である)と比べて低い値となっている。そのため、サンプルS3,S4では、以下に説明するように、サンプルS5〜S14と比べて初期電圧が低くなったものと考えられる。
サンプルS5〜S7の評価結果は、4番目に低い(すなわち、4番目に高い)「D」評価であった。サンプルS5〜S7では、燃料極116の集電体側部分の気孔率RO1が35%以上であり、第1の比率R1(=β/α)が0.20以上であり、かつ、第2の比率R2(=β/γ)が0.06以上であるものの、第1の比率R1が0.40未満であり、サンプルS8〜S14(いずれも第1の比率R1が0.40以上である)と比べて低い値となっている。上述したように、第1の比率R1の値が大きいほど、燃料極116の反応場Ax0で発生した電子が燃料極側集電体144の電極対向部145に到達しにくい領域を減らすことができ、活性化分極の増大を抑制することによって発電性能を向上させる(発電性能の低下を抑制する)ことができる。第1の比率R1(=β/γ)が0.40未満であるサンプルS5〜S7の評価結果が、第1の比率R1が0.40以上であるサンプルS8〜S14の評価結果より劣ることを考慮すると、発電単位102のさらなる発電性能向上(発電性能低下の抑制)のためには、第1の比率R1は0.40以上であることが好ましいと言える。
サンプルS8の評価結果は、5番目に低い(すなわち、3番目に高い)「C」評価であった。サンプルS8では、燃料極116の集電体側部分の気孔率RO1が35%以上であり、第1の比率R1(=β/α)が0.40以上であり、かつ、第2の比率R2(=β/γ)が0.06以上であるものの、第2の比率R2が0.50を超えており、サンプルS9〜S14(いずれも第2の比率R2が0.50以下である)と比べて過度に高い値となっている。第2の比率R2が過度に高いということは、燃料極厚さβの値が過度に大きいこと、および/または、集電部幅γの値が過度に小さいことを意味する。燃料極厚さβの値が過度に大きいと、燃料極116の表面から反応場Ax0までの燃料ガスFGの拡散経路が過度に長くなるため、ガス拡散分極が大きくなり、その結果、初期電圧が低くなる上に、燃料極116を形成するための使用材料量の増加や燃料極116と他の層との界面剥離の可能性増加を引き起こす。また、集電部幅γの値が過度に小さいと、燃料極116と燃料極側集電体144との接触面積が過度に小さくなるため、応力が集中して燃料極116の破損を引き起こし、その結果、初期電圧が低くなる。これらの内の少なくとも1つの理由によって、サンプルS8では、初期電圧が低くなったものと考えられる。第2の比率R2(=β/γ)が0.50を超えるサンプルS8の評価結果が、第2の比率R2が0.50以下であるサンプルS9〜S14の評価結果より劣ることを考慮すると、発電単位102のさらなる発電性能向上(発電性能低下の抑制)のためには、第2の比率R2は0.50以下であることが好ましいと言える。
サンプルS9の評価結果は、6番目に低い(すなわち、2番目に高い)「B」評価であった。サンプルS9では、燃料極116の集電体側部分の気孔率RO1が35%以上であり、第1の比率R1(=β/α)が0.40以上であり、かつ、第2の比率R2(=β/γ)が0.06以上、0.50以下であるものの、第1の比率R1が0.60を超えており、サンプルS10〜S14(いずれも第1の比率R1が0.60以下である)と比べて過度に高い値となっている。第1の比率R1が過度に高いということは、燃料極厚さβの値が過度に大きいこと、および/または、集電部間最短距離αの値が過度に小さいことを意味する。燃料極厚さβの値が過度に大きいと、燃料極116の表面から反応場Ax0までの燃料ガスFGの拡散経路が過度に長くなるため、ガス拡散分極が大きくなり、その結果、初期電圧が低くなる上に、燃料極116を形成するための使用材料量の増加や燃料極116と他の層との界面剥離の可能性増加を引き起こす。また、集電部間最短距離αの値が過度に小さいと、燃料極116における燃料極側集電体144の電極対向部145に覆われていない部分の面積が過度に小さくなるため、燃料室176に供給された燃料ガスFGが燃料極116内に良好に進入せず、ガス拡散分極が大きくなり、その結果、初期電圧が低くなる。また、集電部間最短距離αの値が過度に小さいと、ガス流路が過度に狭くなることによってガスの圧力損失が増大し、セル面内に均一にガスが分配されにくくなり、その結果、初期電圧が低くなる。これらの内の少なくとも1つの理由によって、サンプルS9では、初期電圧が低くなったものと考えられる。第1の比率R1(=β/α)が0.60を超えるサンプルS9の評価結果が、第1の比率R1が0.60以下であるサンプルS10〜S14の評価結果より劣ることを考慮すると、発電単位102のさらなる発電性能向上(発電性能低下の抑制)のためには、第1の比率R1は0.60以下であることが好ましいと言える。
以上説明した性能評価結果を参照すると、発電単位102の発電性能向上(発電性能低下の抑制)のためには、燃料極116の集電体側部分の気孔率RO1が35%以上であり、かつ、第1の比率R1(集電部間最短距離αに対する燃料極厚さβの比(β/α))が0.20以上であることが好ましく、第2の比率R2(集電部幅γに対する燃料極厚さβの比(β/γ))が0.06以上であることがさらに好ましく、第1の比率R1が0.40以上であることがさらに好ましく、第2の比率R2が0.50以下であることがさらに好ましく、第1の比率R1が0.60以下であることが最も好ましいと言える。
上述した燃料極116の集電体側部分の気孔率RO1の特定は、水谷惟恭著「セラミックプロセシング」(技報堂出版)のp.193−195の記載を参考に、以下の方法に従って行った(図17参照)。まず、発電単位102(単セル110)において、燃料ガスFGの流れ方向(図5および図7に示すように本実施形態ではY軸方向)に沿って並ぶ任意の3つの位置で、燃料ガスFGの流れ方向に略直交する断面(本実施形態ではXZ断面)を設定し、各断面の任意の3カ所で、燃料極116における燃料極側集電体144側の表面を含む部分が写ったFIB−SEM(加速電圧1.5kV)におけるSEM画像(5000倍)を得る。つまり、9つのSEM画像が得られる。上記各SEM画像において、燃料極116における燃料極側集電体144側の表面付近に、Z軸方向に直交する5本の仮想直線VL(VL11〜VL15)を1μm間隔で設定する。5本の仮想直線VLのそれぞれにおいて、気孔にあたる各部分の長さを測定し、仮想直線VLの全長に対する気孔にあたる各部分の長さの合計の比を、当該仮想直線VL上における気孔率とする。すべてのSEM画像において設定されたすべての仮想直線VL上における気孔率の平均値を、燃料極116の集電体側部分の気孔率RO1とする。
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
・1000μm≦集電部間最短距離α≦3000μm
・210μm≦燃料極厚さβ≦1210μm
・500μm≦集電部幅γ≦9000μm
Claims (8)
- 電解質層と、前記電解質層に対して第1の方向の一方側に配置された空気極と、前記電解質層に対して前記第1の方向の他方側に配置された燃料極と、を備える電気化学反応単セルと、
前記燃料極に対して前記第1の方向の前記他方側に配置され、前記燃料極における前記第1の方向の前記他方側の表面に導通する複数の集電部を有する導電性の集電体と、
を備える電気化学反応単位において、
前記燃料極における前記集電体側の部分の気孔率は、35%以上であり、
前記複数の集電部の内の少なくとも1つである特定集電部について、前記第1の方向に直交する第2の方向における前記特定集電部と前記特定集電部の隣に位置する前記集電部との間の最短距離αに対する、前記第1の方向における前記燃料極の厚さβの比である第1の比率(β/α)は、0.20以上であることを特徴とする、電気化学反応単位。 - 請求項1に記載の電気化学反応単位において、
前記特定集電部について、前記第2の方向における前記特定集電部の前記燃料極に対向する部分の幅γに対する、前記第1の方向における前記燃料極の厚さβの比である第2の比率(β/γ)は、0.06以上であることを特徴とする、電気化学反応単位。 - 請求項2に記載の電気化学反応単位において、
前記特定集電部について、前記第1の比率(β/α)は、0.40以上であることを特徴とする、電気化学反応単位。 - 請求項3に記載の電気化学反応単位において、
前記特定集電部について、前記第2の比率(β/γ)は、0.50以下であることを特徴とする、電気化学反応単位。 - 請求項4に記載の電気化学反応単位において、
前記特定集電部について、前記第1の比率(β/α)は、0.60以下であることを特徴とする、電気化学反応単位。 - 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の電気化学反応単位において、
前記燃料極における前記第1の方向の前記他方側の部分の気孔率は、前記燃料極における前記第1の方向の前記一方側の部分の気孔率より高いことを特徴とする、電気化学反応単位。 - 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の電気化学反応単位において、
前記電気化学反応単セルは、燃料電池単セルであることを特徴とする、電気化学反応単位。 - 前記第1の方向に並べて配列された複数の電気化学反応単位を備える電気化学反応セルスタックにおいて、
前記複数の電気化学反応単位の少なくとも1つは、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の電気化学反応単位であることを特徴とする、電気化学反応セルスタック。
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C211 | Notice of termination of reconsideration by examiners before appeal proceedings |
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C22 | Notice of designation (change) of administrative judge |
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C22 | Notice of designation (change) of administrative judge |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C22 Effective date: 20220412 |
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C23 | Notice of termination of proceedings |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C23 Effective date: 20220510 |
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C03 | Trial/appeal decision taken |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C03 Effective date: 20220607 |
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C30A | Notification sent |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C3012 Effective date: 20220607 |
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A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
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R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
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