JP2018167019A - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の実施形態に係る吸収性物品1としては、軽失禁パッドが例示されるが、本発明の吸収性物品1はこれに限定されるものではなく、軽失禁ライナー、生理用ナプキン、その他の吸収性物品であってもよい。吸収性物品1は、身体側表面に配置された液透過性のトップシート10と、トップシート10に対向し、衣類側表面に配置された液不透過性又は液透過性のバックシート30と、トップシート10及びバックシート30の間に配置された吸収体20と、を備え、これにより、吸収体20は、トップシート10とバックシート30との間に挟まれた構造となっている。本明細書の説明において、吸収性物品1の長手方向とは、吸収性物品1が着用されたときに着用者の前後に亘る方向であり、図中、符号Yで示す方向である。また、吸収性物品1の幅方向とは、長手方向に対して横又は直交する方向であり、図中、符号Xで示す方向である。さらに、本明細書において、吸収性物品1の身体側表面とは、吸収性物品1の着用時に着用者の肌に当接する表面を指し、衣類側表面とは、吸収性物品1の着用時に着用者の衣類に接触する表面を指す。また、吸収性物品1は、着用者の前側(腹側)にあてがわれる前部1aと、着用者の股間にあてがわれる股部1bと、着用者の後側(背側)にあてがわれる後部1cと、に区分される。
トップシート10は、吸収体20に向けて体液を速やかに通過させるものであり、吸収体20を挟んで、バックシート30に対向して配置される。トップシート10は、肌と当接するシートとなることから、柔らかな感触で、肌に刺激を与えないような性質を有する、親水性不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム又はこれらを積層した複合シートから形成される。なお、トップシート10は、単層であっても、複数層積層していてもよく、ドライタッチ性を付与するために多数の透孔が形成されていてもよい。
本発明に用いるバックシート30としては、液不透過性又は液透過性のいずれの性質でもよいが、液不透過性であるほうが、尿漏れを効果的に防止することができるため、好ましい。また、バックシート30の坪量は、加工性及び強度の点から、15g/m2以上60g/m2以下であることが好ましい。
吸収体20は、基材としての吸収性繊維と、高吸水性ポリマーと、を含有する。吸収性繊維は、一般に生理用ナプキン、おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュ、吸収紙、親水性不織布等を挙げることができる。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプを使用することが好ましい。斯かるフラッフパルプとしては、木材パルプ、合成繊維、ポリマー繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。吸収体20の吸収性繊維は、吸収性能及び肌触りを損なわないよう、50g/m2以上800g/m2以下の坪量とすることが好ましく、100g/m2以上500g/m2以下の坪量とすることがより好ましい。
上記した高吸収性ポリマーの通液時間の測定方法について説明する。まず、容量100mlのビーカーを用いて、1.28g±0.005gの高吸収性ポリマーを、十分な量の0.9%生理食塩水に浸して膨潤させ、30分間静置する。次に、垂直に立てたメモリ付きガラスの開口部の下端に金網及びコックを備えたロートを有する濾過円筒管を用意し、コックを閉鎖した状態で当該濾過円筒管内に、膨潤した高吸収性ポリマーを含む上記ビーカーの内容物の全てを投入する。投入後1分間静置した後、コックを開いて液を流し、濾過円筒管内の液面が200mlの目盛り線から100mlの目盛り線に達するまでの時間を計測し、当該時間を高吸収性ポリマーの通液時間とする。
本発明において、吸収体20には、吸収体20の長手方向の寸法に対して、1/3以上の寸法であるスリット21を、長手方向に、少なくとも1本設けており、当該スリット21は、スリット21を前部1aから後部1cにかけて、第1区分、第2区分、第3区分及び第4区分に略4等分した場合に、第1区分からなる前側端部領域231と、第2区分及び第3区分からなる中央領域22と、第4区分からなる後側端部領域232と、から構成され、中央領域22のスリット深さは、前側端部領域231及び後側端部領域232よりも深く、中央領域22の平均深さは、吸収体20の厚みに対して50%以上80%以下であり、前側端部領域231及び後側端部領域232の平均深さは、吸収体の厚みに対して20%以上40%以下である。なお、中央領域22の長手方向の寸法は、スリット21の長手方向の寸法に対して、40%以上60%以下とすることが好ましい。吸収体20がこのような特定の構成からなるスリット21を有することにより、着用感を損なわずに尿の拡散性を向上させ、尿漏れを防止できる。なお、中央領域22の平均深さが、吸収体20の厚みに対して50%未満の場合には、尿の拡散性が低下するために、尿漏れを十分に防ぐことができず、80%を超える場合には、肌触りが硬くなることで、着用感が低下し易くなる。同様に、前側端部領域231及び後側端部領域232の平均深さが、吸収体20の厚みに対して20%未満の場合には、尿の拡散性が低下するために、尿漏れを十分に防ぐことができず、40%を超える場合には、肌触り硬くなることで、着用感が低下し易くなる。
吸収性物品1の身体側表面には、立体ギャザーが設けられていてもよい。この立体ギャザーは、トップシート10とともに体液の閉じ込め空間を形成し、体液の漏れを防止できるようになっている。立体ギャザーは、立体ギャザーシートと、立体ギャザーシートの自由端部に沿って配された伸縮性弾性部材と、を備えていることが好ましい。伸縮性弾性部材としては、天然ゴム、合成ゴム、及びポリウレタン等からなる、糸状、紐状、平型形状のものを適宜使用することができる。
吸収性物品1の製造方法としては、特に限定はなく、従来公知の方法を採用することができ、例えば、必要に応じて、液拡散性シート及び立体ギャザーをあらかじめトップシート10に配置した上で、所定のスリット21を有する吸収体20をトップシート10とバックシート30との間に挟持し、トップシート10とバックシート30とを一部又は全周に亘ってホットメルト接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等を用いて固定することで製造することができる。そして、これを包装体に個別包装した後、長手方向に3つ折りにして折り畳めばよい。
下記の吸収体を用いた吸収性物品を作製し、吸収速度、液戻り量及び着用感について評価した。
まず、表1及び表2に記載の通液時間である各高吸収性ポリマーを、表1及び表2に記載の比率及び重量となるようにフラッフパルフと混合した後に、長手方向の寸法が200mm、幅方向の寸法が70mmとなるようにカットし、表1及び表2に記載の重量である吸収体を得た。なお、吸収体には、長手方向の寸法が120mm、幅方向の寸法が7mmであるスリットを、長手方向に2本設け、更に、スリットには、スリットを前部から後部にかけて、第1区分、第2区分、第3区分及び第4区分に略4等分した場合に、第1区分からなる前側端部領域と、第2区分及び第3区分からなる中央領域と、第4区分からなる後側端部領域と、を設けた。なお、スリットの長手方向の寸法に対する中央領域の長手方向の寸法(%)、中央領域、前側端部領域及び後側端部領域の平均深さ(mm)及び吸収体の厚みに対する平均深さ(%)を、表1及び表2に記載の数値となるように調整した。
このように作製した吸収体をトップシートとバックシートとの間に挟持し、トップシートとバックシートの全周に亘ってホットメルト接着剤を用いて固定し、長手方向の寸法が230mm、幅方向の寸法が85mmである、軽失禁パッドを作製した。また、トップシートとしては、親水性エアスルー不織布(坪量25g/m2)を用い、バックシートとしては、通気性ポリエチレンフィルム(坪量32g/m2)を用いた。なお、吸収性物品の作製において、スリットの形状にトップシートを追従させずに、スリットとトップシートの間には空隙を有するように調整した。
35gf/cm2の荷重下における、注水前の吸収性物品の厚みを測定し、さらに、0.9%生理食塩水を20ml注水し、10分間静置した後の吸収性物品の厚み及び液体拡散長を測定した。
中央に内径19mmの穴が開いた底面積16.8cm2、質量755.6gの円柱形をした測定冶具を、吸収性物品の中心部の上に置き、上部の穴から0.9%生理食塩水を20ml注入し、生理食塩水が吸収性物品に接触した時点を開始点、測定治具の中央円内の円周に、液体が完全に吸い込まれる時点を終了点として時間を計測した。数値が小さいほど吸収性能に優れることを示す。
吸収性物品の中央に0.9%生理食塩水を20ml注入し、10分間経過後に、あらかじめ重量を測定したろ紙(ADVANTEC社製No.2ろ紙、直径55mm)を注入部の中心に置き、ろ紙の上に圧力が35gf/cm2となるように、687gの錘を載せた。錘を載せてから1分間経過後に、ろ紙の重量を測り、試験前後のろ紙の重量差(g)を液戻り量とした。表1及び表2に記載した液戻り量は、10検体のサンプルについて試験した結果の平均値である。液戻り量が少ないほど、吸収性能に優れることを示す。
20名のパネラーにより、吸収後の厚みの変化による違和感のなさについて、「違和感がある」又は「違和感がない」の選択で調査を行い、以下の基準により評価を行った。20名のパネラーで着用評価を実施して評価した。なお、◎及び○を合格とした。
◎:「違和感がない」が16人以上20人以下のとき
○:「違和感がない」が11人以上15人以下のとき
△:「違和感がない」が6人以上10人以下のとき
×:「違和感がない」がいないか、1人以上5人以下のとき
20名のパネラーにより、吸収後の液戻りによる不快感のなさについて、「不快感がない」又は「不快感がある」の選択で調査を行い、以下の基準により評価を行った。なお、◎及び○を合格とした。
◎:「不快感がない」が16人以上20人以下のとき
○:「不快感がない」が11人以上15人以下のとき
△:「不快感がない」が6人以上10人以下のとき
×:「不快感がない」がいないか、1人以上5人以下のとき
20名のパネラーにより、吸収前の柔らかさについて、「柔らかい」又は「硬い」の選択で調査を行い、以下の基準により評価を行った。なお、◎及び○を合格とした。
◎:「柔らかい」が16人以上20人以下のとき
○:「柔らかい」が11人以上15人以下のとき
△:「柔らかい」が6人以上10人以下のとき
×:「柔らかい」がいないか、1人以上5人以下のとき
1a 前部
1b 股部
1c 後部
10 トップシート
20 吸収体
21 スリット
22 スリット中央領域
231 スリット前側端部領域
232 スリット後側端部領域
24 キャリアシート
30 バックシート
Claims (4)
- 液透過性のトップシートと、液不透過性又は液透過性のバックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された吸収体と、を有する吸収性物品であって、
前記吸収体は、吸収性繊維と高吸収性ポリマーから構成され、
前記高吸収性ポリマーの含有量は、0.1g以上2.0g以下であり、
前記吸収体には、前記吸収体の長手方向の寸法に対して、1/3以上の寸法であるスリットを、長手方向に、少なくとも1本設けており、
前記スリットは、前記スリットを前部から後部にかけて、第1区分、第2区分、第3区分及び第4区分に略4等分した場合に、第1区分からなる前側端部領域と、第2区分及び第3区分からなる中央領域と、第4区分からなる後側端部領域と、から構成され、
中央領域のスリット深さは、前側端部領域及び後側端部領域よりも深く、
中央領域の平均深さは、前記吸収体の厚みに対して50%以上80%以下であり、
前側端部領域及び後側端部領域の平均深さは、前記吸収体の厚みに対して20%以上40%以下であり、
前記スリットの形状に前記トップシートが追従しておらず、前記スリットと前記トップシートの間には空隙を有しており、
0.9%生理食塩水を20ml注水し、10分間静置した後の吸収性物品の厚みが、注水前の吸収性物品の厚みに対して、50%以上100%以下である、吸収性物品。 - 前記高吸収性ポリマーの含有量が、前記吸収体の重量に対して5%以上25%以下であり、前記高吸収性ポリマーの通液時間が25秒以内である、請求項1に記載の吸収性物品。
- 35gf/cm2の荷重下における、吸収前の吸収性物品の厚みが、2mm以上8mm以下である、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
- 0.9%生理食塩水を20ml注水し、10分間静置した後の液体拡散長が、80mm以上である、請求項1から3のいずれかに記載の吸収性物品。
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