JP2018031332A - 高圧燃料供給ポンプ - Google Patents

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Shingo Tamura
真悟 田村
繁彦 小俣
Shigehiko Komata
繁彦 小俣
田原 重則
Shigenori Tawara
重則 田原
雅史 根本
Masafumi Nemoto
雅史 根本
壮嗣 秋山
Moritsugu Akiyama
壮嗣 秋山
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Abstract

【課題】高圧、高流量化、高粘度燃料に対応した信頼性の高い高圧燃料供給ポンプを提供する。具体的にはフィルタ強度を向上できる機構を提供する。【課題手段】燃料を加圧する加圧室と、前記加圧室の上流側に形成された低圧燃料室と、前記低圧燃料室の上流側に取り付けられた吸入ジョイントと、を備えた高圧燃料供給ポンプにおいて、前記吸入ジョイントの内周側の円筒部に取り付けられたフィルタを備え、前記フィルタは、カップ形状の金属板で形成され、かつ、前記金属板に複数の穴がパンチ加工、又はレーザ加工により形成された。【選択図】図4

Description

本発明は、高圧燃料供給ポンプに関し、ことに燃料フィルタを金属板で構成したものに関する。
本発明の従来技術として特許文献1(特許公開2010−151142号公報)がある。この特許文献1の図5、段落0023には、「燃料は、吐出通路11から交差穴11bと通して連通通路105に導かれている。リリーフアッセンブリ102は、所定の圧力以上になった時に開弁するチェックバルブ102aおよびバルブシート102dを備え、かつ、連通通路105の開放端を塞ぐ塞栓301から形成されている。又、内部に燃料の不純物を取除く燃料フィルタ320を有する。」との開示がある。
特許公開2010−151142号公報
上記特許文献において、たとえばフィルタ構造の金属メッシュを採用していた場合には、以下の問題がある。すなわち、燃料が高圧、高流量となった場合や、凍結した燃料の塊りがフィルタの流路を塞いだ場合、あるいは高粘度の燃料を使用した場合などにおいて、フィルタの許容応力を超えた力がフィルタに負荷され、フィルタが破損する虞がある。
そこで本発明の目的は、燃料が高圧、高流量となった場合、あるいは上記のような場合においても信頼性の高い高圧燃料供給ポンプを提供することにある。
上記課題を解決するために本発明は、燃料を加圧する加圧室と、前記加圧室の上流側に形成された低圧燃料室と、前記低圧燃料室の上流側に取り付けられた吸入ジョイントと、を備えた高圧燃料供給ポンプにおいて、前記吸入ジョイントの内周側の円筒部に取り付けられたフィルタを備え、前記フィルタは、カップ形状の金属板で形成され、かつ、前記金属板に複数の穴がパンチ加工、又はレーザ加工により形成された。
本発明による高圧燃料供給ポンプでは、燃料が高圧、高流量となった場合、あるいは上記のような場合においても信頼性の高い高圧燃料供給ポンプを提供することができる。
本発明のその他の構成、作用、効果においては以下の実施例において詳細に説明する。
本発明が実施された第一実施例による高圧燃料供給ポンプを用いた燃料供給システムの一例である。 本発明が実施された第一実施例による高圧燃料供給ポンプの縦断面図である。 本発明が実施された第一実施例による高圧燃料供給ポンプの縦断面図であり、図2とは垂直方な断面を表す。 本発明が実施された第一実施例による高圧燃料供給ポンプの、フィルタ部の拡大部を示す。 本発明が実施された第一実施例による高圧燃料供給ポンプの電磁吸入弁機構30の拡大図であり、電磁コイル52に無通電の状態を示す。 本発明が実施された第一実施例による高圧燃料供給ポンプの電磁吸入弁機構30の拡大図であり、電磁コイル52に通電された状態を示す。 従来のる高圧燃料供給ポンプの電磁吸入弁機構30の拡大図であり、電磁コイル52に無通電の状態を示す。 本発明が実施された第一実施例による高圧燃料供給ポンプの電磁吸入弁機構30をポンプハウジング1に組み込む前のブクミ状態を示す。 本発明が実施された第一実施例による高圧燃料供給ポンプのフランジ41、およびブッシュ43の外観図示す。本図では、フランジ41、およびブッシュ43のみを示し、その他の部品は示していない。 本発明が実施された第一実施例による高圧燃料供給ポンプの、溶接部41a部近傍の拡大図を示す。 本発明が実施された第一実施例による高圧燃料供給ポンプの、溶接部41a部近傍の拡大図を示し、図11よりも拡大している。 本発明が実施された第二実施例による高圧燃料供給ポンプの縦断面図である。
以下、図を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1から図11により本発明の実施例について説明する。
図1中で、破線で囲まれた部分が高圧燃料供給ポンプのポンプハウジング1を示し、この破線の中に示されている機構、部品は高圧燃料供給ポンプのポンプハウジング1に一体に組み込まれていることを示す。
燃料タンク20の燃料は、エンジンコントロールユニット27(以下ECUと称す)からの信号に基づき低圧燃料供給ポンプ21によって汲み上げられ、適切なフィード圧力に加圧されて吸入配管28を通して高圧燃料供給ポンプの吸入口10aに送られる。吸入口10aを通過した燃料は、吸入ジョイント101内に固定されたフィルタ102を通過し、さらに吸入流路10b、金属ダイアフラムダンパ9、低圧燃料室10cを介して容量可変機構を構成する電磁駆動型弁機構30の吸入ポート30aに至る。吸入ジョイント101内の吸入フィルタ102は、燃料タンク20から吸入口10aまでの間に存在する異物を燃料の流れによって高圧燃料供給ポンプ内に吸収することを防ぐ役目がある。
図4はフィルタ102の拡大図で、吸入ジョイント101内に固定された状態である。本実施例の高圧燃料供給ポンプは図3に示すように、燃料を加圧する加圧室11と、加圧室11の上流側に形成された低圧燃料室(10b、10c)と、低圧燃料室(10b、10c)の上流側に取り付けられた吸入ジョイント101と、を備えている。
フィルタ102は金属板(板厚t102)をカップ形状にしたものに、レーザー加工で穴102Aを円筒側面部に複数個開けられており、穴径d102よりも大きい異物を通過させない構造になっている。具体的には、吸入ジョイント101の内周側の円筒部(小径円筒部101a、大径円筒部101b)にフィルタ102が取り付けられる。そしてフィルタ102は、カップ形状の金属板で形成され、かつ、金属板に複数の穴がパンチ加工、又はレーザ加工により形成される。
つまり、本実施例では、金属の棒線を織って金網を形成する金属メッシュではなく、金属板に穴を空けて製造するパンチングメッシュを用いてフィルタ102を構成するものである。
近年の高圧燃料ポンプは35MPaなどという高圧の燃料を供給することが求められ、また必要な流量も多くなっている。そうすると、金属メッシュのフィルタを用いた場合には、フィルタの負荷が大きく、破損を招く虞があった。あるいは、凍結した燃料の塊りがフィルタの流路を塞いだ場合や、高粘度の燃料を使用した場合にも同様に破損の虞があった。本発明者らはこの高圧燃料供給ポンプに特有の課題を見出し、これを解決するために、上記したようにパンチングメッシュを用いてフィルタ102を構成したものである。
フィルタ102は外径の小さい円筒部にレーザー加工で穴が開けられフィルタとしての役割を果たす部分102aと、外径の大きい円筒部でフィルタ102を吸入ジョイント101に固定する役割を果たす部分102bが一体構造になるよう構成される。つまり、フィルタ102は、複数の穴が形成された外径の小さい円筒部(フィルタ小径部102a)と、フィルタ102を吸入ジョイント101に固定する外径の大きい円筒部(フィルタ大径部102b)と、が一体の構造で構成される。そしてフィルタ102の円筒部(フィルタ大径部102b)の外周部が吸入ジョイント101の円筒部(大径円筒部101b)の内周部に圧入されることにより、フィルタ102が吸入ジョイント101に固定される。これにより、レーザー加工で穴102Aを開ける際に生じるひずみが吸入ジョイント101との嵌合部(フィルタ大径部102b)へ伝わる影響を低減させる構造になっている。
フィルタ102の吸入ジョイント101との嵌合部102bを吸入ジョイントの内周側の大径円筒部101bに圧入固定による金属接触させる事でフィルタ102と吸入ジョイントの間の隙間を無くし、異物が低圧燃料室10cに流入する事を防止している。吸入ジョイント101の内周側円筒部の入口の燃料通路101cが形成され、この燃料通路101cの下流側には、燃料通路101cよりも内径を小さくした小径円筒部101aが形成される。吸入ジョイント101の内周側は、入口の燃料通路101cと、これの下流側の大径円筒部101bと、さらに下流側の小径円筒部101aとで形成される。また、大径円筒部101bと小径円筒部101aとの間は、これらを接続する接続部(段部)が形成される。
一方でフィルタ102は、フィルタ大径部102bとフィルタ小径部102aとを接続する接続部(段部)が形成される。そして、上記した吸入ジョイント101の接続部(段部)が吸入ジョイント軸方向において、フィルタ102の接続部(段部)を対向して受けるように構成される。別の言い方をするとフィルタ102は、燃料入口側のフィルタ大径部102bと、低圧燃料室(10b、10c)の側のフィルタ小径部(102a)とが一体で構成される。フィルタ102が低圧燃料室10c側へ移動する事を防ぐ構造になっている。このようにフィルタが2段で構成されて、フィルタ大径部102bが圧入されることにより、フィルタ用の穴をフィルタ小径部102aにレーザー加工で形成する際に生じるひずみが吸入ジョイントの嵌合部(圧入部)へ伝わる影響を低減させることができる。
フィルタ102のフィルタ大径部102bと吸入ジョイント101の大径円筒部101bの圧入部(接触部)を金属接触させる。これにより、低圧燃料ポンプ21から圧送された低圧燃料内に混入している異物を封止するよう構成されている。フィルタの102を吸入ジョイント101に挿入する際、フィルタ102の凸部が低圧燃料室10cの側に向けられるように取り付けられる。これにより吸入ジョイント101の全長を短くすることができる。
なお、本実施例では吸入ジョイント101はポンプハウジング1とは別体で構成されているが、これは一体で構成されても良い。つまり、吸入ジョイント101はポンプハウジング1に形成された穴部により形成され、フィルタ102はポンプハウジング1の穴部に直接、取り付けられても良い。
図5は電磁吸入弁機構30の拡大図で、電磁コイル53に通電されていない無通電の状態である。図6は電磁吸入弁機構30の拡大図で、電磁コイル53に通電されている通電の状態である。ポンプハウジング1には中心に加圧室11を含むシリンダ6を収納する凸部1Aが形成されており、この加圧室11に開口するように、電磁吸入弁機構30装着用の孔30Aが形成されている。
プランジャロッド31は、吸入弁部31a、ロッド部31b、アンカー固定部31cの3部分からなり、アンカー固定部31cにはアンカー35が溶接部37bによって、溶接固定されている。ばね34は図のようにアンカー内周35a、および第一コア部内周33aに嵌め込まれ、アンカー35、および第一コア部33を引き離す方向にばね34によるばね力が発生するようになっている。
弁シート32は、吸入弁シート部32a、吸入通路部32b、圧入部32c、摺動部32dからなる。圧入部32cは第一コア部33に圧入固定されている。吸入弁シート部32aはポンプハウジング1に圧入固定されており、この圧入部で加圧室11と吸入ポート30aを完全に遮断している。第一コア部33は溶接部37cによりポンプハウジング1に溶接固定されており、吸入ポート30aと高圧燃料供給ポンプの外部とを遮断している。
第二コア部36は溶接部37aによって第一コア部33に固定されており、第二コア部36の内部空間と外部空間を完全に遮断している。また第二コア部36には磁気オリフィス部36aが設けられている。電磁コイル53に通電されていない無通電の状態で、かつ吸入流路10c(吸入ポート30a)と加圧室11との間の流体差圧が無い時は、プランジャロッド31はばね34により、図4のように図中の右方向に移動した状態となる。この状態では、吸入弁部31aと吸入弁シート部32aが接触した閉弁状態となり、吸入口38は塞がれる。
後述するカム5の回転により、プランジャ2が図2の下方に変位する吸入工程状態にある時は、加圧室11の容積は増加し加圧室11内の燃料圧力が低下する。この工程で加圧室11内の燃料圧力が低圧燃料室10c(吸入ポート30a)の圧力よりも低くなると、吸入弁部31aには燃料の流体差圧による開弁力(吸入弁部31aを図3の左方に変位させる力)が発生する。
この流体差圧による開弁力により、吸入弁部31aは、ばね34の付勢力に打ち勝って開弁し、吸入口38を開くように設定されている。流体差圧が大きい時は、吸入弁部31aは完全に開き、アンカー31は第一コア部33に接触した状態となる。流体差圧が小さい時は、吸入弁部31aは完全には開かず、アンカー31は第一コア部33に接触しない。
この状態にて、ECU27からの制御信号が電磁吸入弁機構30に印加されると、電磁吸入弁機構30の電磁コイル53には電流が流れ、第一コア部33とアンカー31の間には、互いに引き合う磁気付勢力が発生する。その結果、プランジャロッド31には図中の左方に磁気付勢力が印可されることになる。
吸入弁部31aが完全に開いているときには、その開弁状態を保持する。一方、吸入弁部31aが完全には開いていないときには、吸入弁部31aの開弁運動を助長し吸入弁部31aは完全に開くので、アンカー31は第一コア部33に接触した状態となり、その後その状態を維持する。
その結果、吸入弁部31aが吸入口38を開いた状態が維持され、燃料は吸入ポート30aから弁シート32の吸入通路部32b、吸入口38を通過し加圧室11内へ流れ込む。電磁吸入弁機構30に入力電圧の印加状態を維持したままプランジャ2が吸入工程を終了し、プランジャ2が図2の上方に変位する圧縮工程に移ると、磁気付勢力は維持されたままであるので、依然として吸入弁部31aは開弁したままである。
加圧室11の容積は、プランジャ2の圧縮運動に伴い減少するが、この状態では、一度加圧室11に吸入された燃料が、再び開弁状態の吸入口38を通して吸入流路10c(吸入ポート30a)へと戻されるので、加圧室の圧力が上昇することは無い。この工程を戻し工程と称す。
この状態で、ECU27からの制御信号を解除して、電磁コイル53への通電を断つと、プランジャロッド31に働いている磁気付勢力は一定の時間後(磁気的、機械的遅れ時間後)に消去される。吸入弁部31aにはばね34による付勢力が働いているので、プランジャロッド31に作用する電磁力が消滅すると吸入弁部31aはばね34による付勢力で吸入口38を閉じる。吸入口38が閉じるとこのときから加圧室11の燃料圧力はプランジャ2の上昇運動と共に上昇する。そして、燃料吐出口12の圧力以上になると、吐出弁ユニット8を介して加圧室11に残っている燃料の高圧吐出が行われ、コモンレール23へと供給される。この工程を吐出工程と称す。すなわち、プランジャ2の圧縮工程(下始点から上始点までの間の上昇工程)は、戻し工程と吐出工程からなる。
そして、電磁吸入弁機構30の電磁コイル53への通電を解除するタイミングを制御することで、吐出される高圧燃料の量を制御することができる。電磁コイル53への通電を解除するタイミングを早くすれば、圧縮工程中、戻し工程の割合が小さく吐出工程の割合が大きい。すなわち、吸入流路10c(吸入ポート30a)に戻される燃料が少なく、高圧吐出される燃料は多くなる。
一方、入力電圧を解除するタイミングを遅くすれば、圧縮工程中の、戻し工程の割合が大きく、吐出工程の割合が小さい。すなわち、吸入流路10cに戻される燃料が多く、高圧吐出される燃料は少なくなる。電磁コイル53への通電を解除するタイミングは、ECU27からの指令によって制御される。
以上のように構成することで、電磁コイル53への通電を解除するタイミングを制御することで、高圧吐出される燃料の量を内燃機関が必要とする量に制御することが出来る。
かくして、燃料吸入口10aに導かれた燃料はポンプハウジング1の加圧室11にてプランジャ2の往復動によって必要な量が高圧に加圧され、燃料吐出口12からコモンレール23に圧送される。コモンレール23には、インジェクタ24、圧力センサ26が装着されている。インジェクタ24は、内燃機関の気筒数に合わせて装着されており、ECU27の制御信号にしたがって開閉弁して、燃料をシリンダ内に噴射する。
このとき、吸入弁部31aはプランジャ2の下降・上昇運動に伴って吸入口38の開閉運動を繰り返し、プランジャロッド31は図中の左右方向の運動を繰り返す。このとき、プランジャロッド31の運動は、弁シート32の摺動部32dによって図中の左右方向の運動のみに動きが制限され、摺動部32dとロッド部31bは摺動運動を繰り返す。したがって摺動部はプランジャロッド31の摺動運動の抵抗にならないように十分に低い面粗さが必要である。摺動部のクリアランスの選定は下記による。
クリアランスが大きすぎると、プランジャロッド31は摺動部を中心として振り子のように触れてしまい、アンカー35と第二コア部36が接触してしまう。プランジャロッド31が摺動運動をすればアンカー35と第二コア部36も摺動してしまうので、プランジャロッド31の摺動運動の抵抗が大きくなり、吸入口38の開閉運動の応答性が悪くなる。また、アンカー35と第二コア部36はフェライト系磁気ステンレスであるので、摺動すると磨耗粉等を発生する可能性がある。さらに、後述するように、アンカー35と第二コア部36の隙間が小さいほど磁気付勢力は大きくなる。隙間が大きすぎると、磁気付勢力が不足し、高圧吐出される燃料の量を適切に制御できない。これらのことから、アンカー35と第二コア部36の隙間は出来るだけ小さく、かつ接触しない必要が有る。
そのため、摺動部は一箇所とし、さらに摺動部32dの摺動長Lを図のように十分長くした。摺動部は摺動部32dの内径、およびロッド部31bの外形により形成されるが、どちらも加工する際には必ず公差が必要になり、摺動部のクリアランスも必ず公差が必要になる。一方、アンカー35と第二コア部36のクリアランスには、上述したように磁気付勢力から上限値がある。このクリアランスの公差を吸収し、さらアンカー35と第二コア部36が接触しないようにするには、摺動長Lを長くして振り子運動を小さくすれば良い。
これにより、プランジャロッド31が振り子運動をしようとする時には、摺動部の両端で摺動部32dとロッド部31bが接触・摺動するので、アンカー35と第二コア部36の隙間は小さくすることが可能となった。
クリアランスが小さすぎると、吸入口38が閉弁状態の時に、吸入弁部31aと吸入弁シート部32aが完全には面接触しない。これは、プランジャロッド31の吸入弁部31aとロッド部31bの垂直度、および弁シート32の吸入弁シート部32aと摺動部32dの垂直度を、摺動部のクリアランスで吸収できないためである。吸入弁部31aと吸入弁シート部32aが完全には面接触しないと、吐出工程時に高圧になった加圧室11内の高圧燃料により、プランジャロッド31には過度のトルクが加わり破損する可能性がある。また、摺動部にも過度な荷重が加わり、摺動部の破損・磨耗が発生する可能性がある。
これらのことから、吸入口38が閉弁状態の時に、吸入弁部31aと吸入弁シート部32aが完全に面接触する必要がある。特に、上記のように摺動長Lを長くすることで、プランジャロッド31の振り子運動を抑えようとすると、プランジャロッド31の吸入弁部31aとロッド部31bの垂直度、および弁シート32の吸入弁シート部32aと摺動部32dの垂直度に求められる精度は高くなる。
そのため、吸入弁シート部32a、および摺動部32dを弁シート32に設けた。吸入弁シート部32a、および摺動部32dを同一部材とし、吸入弁シート部32aと摺動部32dの垂直度を精度良く出来るようにした。吸入弁シート部32aと摺動部32dが別部材であると、加工・結合する部位に直角度を悪くする要因が必ず生じるが、吸入弁シート部32aと摺動部32dを一部材とする事でこの問題は解決される。
また、磁気コイル53に通電した時に発生する磁気付勢力が不足すると、高圧吐出される燃料の量を適切に制御できない。そのため、磁気コイル53の周りに構成され磁気回路は、十分な磁気付勢力を発生するものでなくてはならない。その為には、磁気コイル53に通電し周りに磁場が発生した際、より多くの磁束が流れるような磁気回路にする必要が有る。一般的に磁気化路は太く短いほど、磁気抵抗も小さくなるので磁気回路を通過する磁束が大きくなり、発生する磁気付勢力も大きくなる。
本実施例では、磁気回路を構成する部材は、図5に示すようにアンカー35、第一コア部33、ヨーク51、第二コア部36であり、これらは全て磁性材料である。第一コア部33と第二コア部36は溶接部37aにより溶接にて接合されているが、第一コア部33と第二コア部36の間を直接磁束が通過せず、アンカー35を介して通過する必要が有る。これは第一コア部33とアンカー35の間に磁気付勢力を発生させるためであり、第一コア部33と第二コア部36の間を直接磁束が通過してしまい、アンカーを通過する磁束が減少してしまうと、磁気付勢力が低下してしまう。
そのために、従来構造では、第一コア部33と第二コア部36の間に中間部材を設けていた。この中間部材は非磁性体であるので、第一コア部33と第二コア部36の間を直接に磁束が通過する事はなく、全ての磁束がアンカー35を通過する。しかし、中間部材を設けると部品点数が増加しさらに中間部材と第一コア部33・第二コア部36をそれぞれ接合する必要が有るので、コストがアップしてしまうと言う問題があった。
そこで、本実施例では第一コア部33と第二コア部36を溶接部37にて直接接合し、第二コア部に磁気オリフィス部36aを設けた。磁気オリフィス部36aでは、肉厚を強度的に許す限り薄くする一方、第二コア部36のその他の部分では十分な肉厚を確保している。また、磁気オリフィス部36aは第一コア部とアンカー35の接触する部分の近傍に設けた。
これにより、発生した磁束は大部分がアンカー37を通過し、第一コア部33と第二コア部を直接に通過する磁束はごく小さく、それによる第一コア部33とアンカー35の間に発生する磁気付勢力の低下を許容範囲内している。
また、第一コア部33とアンカー35が接触している時には、磁気回路中で最も大きな空隙があるのは第二コア部36とアンカー35の間である。空隙は磁性材料ではなく、燃料で満たされているので空隙が大きいほど磁気回路の磁気抵抗は大きくなる。したがって、空隙は小さいほど良い。本実施例では、前述したように摺動部の摺動長Lを長くする事によって第二コア部36とアンカー35の間の空隙を小さくしている。
磁気コイル53はリード線54をプランジャロッド31の軸を中心に巻いて構成している。リード線54の両端は、リード線溶接部55でターミナル56に溶接接続されている。ターミナルは伝導性の物質でありコネクタ部58に開口しており、コネクタ部58にECU27からの相手側コネクタが接続されれば相手側のターミナルに接触しコイルに電流を伝える。
図7に従来構造を示す。従来構造では、磁気回路の内側にリード線溶接部55を配置している。リード線溶接部55は少なくない容積を必要とするので、その分だけ磁気回路の全長が長くなってしまう。このことは、磁気回路の磁気抵抗を大きくしてしまうので、第一コア部33とアンカー35の間に発生する磁気付勢力の低下と言う問題があった。
本実施例では、このリード線溶接部55をヨーク51の外側に配置している。磁気回路の外側にリード線溶接部55を配置する事になり、リード線溶接部55に必要としていた空間が無いために磁気回路の全長を短くでき、第一コア部33とアンカー35の間に十分な磁気付勢力の発生が可能となった。
図8に、電磁吸入弁機構30をポンプハウジング1に組み込む前の状態を示す。本実施例では、まず、吸入弁ユニット37と、コネクタユニット38としてそれぞれにユニットを作成する。次に、吸入弁ユニット37の吸入弁シート部32aをポンプハウジング1に圧入固定し、その後に溶接部37cを全周に渡って溶接接合する。本実施例では、溶接はレーザー溶接としている。この状態で、コネクタ38を第一コア部33に圧入固定する。これにより、コネクタ58の向きを自由に選ぶことができる。
ポンプハウジング1には中心に加圧室11を含むシリンダ6を収納する凸部1Aが形成されており、この加圧室11に開口するように、吐出弁機構8装着用の凹所11Aが形成されている。
加圧室11の出口には吐出弁機構8が設けられている。吐出弁機構8はシート部材(シート部材)8a、吐出弁8b、吐出弁ばね8c、吐出弁ストッパとしての保持部材8dからなり、ポンプハウジング1の外で、溶接部8eを溶接することにより吐出弁機構8を組み立てる。その後、図中左側から組み立てた吐出弁機構8をポンプハウジング1に圧入固定する。圧入部は加圧室11と吐出口12を遮断する機能も備える。
加圧室11と吐出口12との間に燃料の差圧が無い状態では、吐出弁8bは吐出弁ばね8cによる付勢力でシート部材8aに圧着され閉弁状態となっている。加圧室11内の燃料圧力が、吐出口12の燃料圧力よりも所定の値だけ大きくなった時に初めて、吐出弁8bは吐出弁ばね8cに抗して開弁し、加圧室11内の燃料は吐出口12を経てコモンレール23へと吐出される。
吐出弁8bは開弁した際、保持部材8dと接触し、動作を制限される。したがって、吐出弁8bのストロークは保持部材8dによって適切に決定される。もし、ストロークが大きすぎると、吐出弁8bの閉じ遅れにより、燃料吐出口12へ吐出された燃料が、再び加圧室11内に逆流してしまうので、高圧ポンプとしての効率が低下してしまう。また、吐出弁8bが開弁および閉弁運動を繰り返す時に、吐出弁8bがストローク方向にのみ運動するように、保持部材8dにてガイドしている。以上のように構成することで、吐出弁機構8は燃料の流通方向を制限する逆止弁となる。
プランジャ2の下端には、エンジンのカムシャフトに取付けられたカム5の回転運動を上下運動に変換し、プランジャ2に伝達するタペット3が設けられている。プランジャ2はリテーナ15を介してばね4にてタペット3に圧着されている。リテーナ15は圧入によってプランジャ2に固定されている。にこれによりカム5の回転運動に伴い、プランジャ2を上下に進退(往復)運動させることができる。
ここで、低圧燃料室10cは吸入流路10d、およびシリンダホルダ7に設けられた吸入流路10eを介して、シール室10fに接続しており、シール室10fは常に吸入燃料の圧力に接続している。加圧室11内の燃料が高圧に加圧されたときには、シリンダ6とプランジャ2の摺動クリアランスを通して微小の高圧燃料がシール室10f内に流入するが、流入した高圧燃料は吸入圧力に開放されるのでプランジャシール13が高圧により破損する事はない。
また、プランジャ2はシリンダ6と摺動する大径部2aと、プランジャシール13と摺動する小径部2bからなる。大径部2aの直径は小径部2bの直径より大きく設定されており、互いに同軸に設定されている。シリンダ6との摺動部は大径部2aであり、プランジャシール13との摺動部は小径部2bである。これにより、大径部2aと小径部2bの接合部はシール室10f内に存在するので、プランジャ2の摺動運動に伴って、シール室10fの容積が変化し、それに伴って燃料は、吸入流路10d、吸入流路10sを通ってシール室10fと吸入流路10cの間を運動する。
プランジャ2は、プランジャシール13とシリンダ6と摺動を繰り返すので、摩擦熱が発生する。この熱により、プランジャ2の大径部2aが熱膨張をするが、大径部2aのうち、プランジャシール13側の方が加圧室11側よりも発熱源に近い。そのため、大径部2aの熱膨張は均一にならず、その結果として円筒度が悪化しプランジャ2とシリンダ6が焼きついて固着してしまう。
本実施例では、プランジャ2の摺動運動に伴ってシール室10fの燃料を常に入れ替えているので、この燃料により、発生した熱を除去する効果がある。これによって、摩擦熱による大径部2aの変形、およびそれによって発生するプランジャ2とシリンダ6が焼付固着を防止することが出来る。
さらに、プランジャシール13との摺動部の直径が小さいほど摩擦面積が小さくなるので、摺動運動によって発生する摩擦熱も少なくなる。本実施例では、プランジャシール13と摺動するのはプランジャ2の小径部2bであるので、プランジャシール13との摩擦で発生する熱量も小さく押さえる事が出来、焼付固着を防止する事が出来る。
金属ダイアフラムダンパ9は2枚の金属ダイアフラムで構成され、両ダイアフラム間の空間にガスが封入された状態で外周を溶接部にて全周溶接にて互いに固定している。そして金属ダイアフラムダンパ9の両面に低圧圧力脈動が負荷されると、金属ダイアフラムダンパ9は容積を変化し、これにより低圧圧力脈動を低減する機構となっている。
高圧燃料供給ポンプのエンジンへの固定は、フランジ41、止めねじ42、およびブッシュ43により行われる。フランジ41は溶接部41aにてポンプハウジング1に全周を溶接結合されている。本実施例では、レーザー溶接を用いている。
図9に、フランジ41、およびブッシュ43の外観図示す。本図では、フランジ41、およびブッシュ43のみを示し、その他の部品は示していない。二個のブッシュ43はフランジ41に取付けられており、エンジンとは反対側に取付けられている。二個の止めねじ42はエンジン側に形成されたそれぞれのねじに螺合され、二個のブッシュ43、およびフランジ41をエンジンに押し付けることで、高圧燃料供給ポンプをエンジンに固定する。
ブッシュ43には、鍔部43a、かしめ部43bがある。まず、かしめ部43bはフランジ41の取付け穴にかしめ結合される。その後、ポンプハウジング1と溶接部41aにてレーザー溶接によって溶接結合される。その後、樹脂製のファスナー44をブッシュ43に挿入し、さらにファスナー44に止めねじ42を挿入する。ファスナー44は止めねじ42をブッシュ43に仮固定する役割を果たす。即ち、高圧燃料供給ポンプをエンジンに取り付けるまでの間に、止めねじ42がブッシュ43から脱落しないように固定している。高圧燃料供給ポンプをエンジンに固定する際は、止めねじ42をエンジン側に設けられたねじ部に螺合固定するが、その際は止めねじ42の締付けトルクによって止めねじ42はブッシュ43内で回転できる。
高圧燃料供給ポンプが高圧吐出を繰り返すと、前述のように加圧室内11の圧力は高圧と低圧を繰り返す。加圧室内11が高圧の時は、この圧力のためにポンプハウジング1は図中の上方に持ち上げられるように力が働く。加圧室内11が低圧の時は、この力は働かない。このため、ポンプハウジングは図中の上方に繰り返し荷重を受ける事になる。
図9に示すように、フランジ41は2個の止めねじ42によってエンジンにポンプハウジング1を固定している。そのため、ポンプハウジング1が前述のように上方に持ち上げられると、フランジ42は2個の止めねじ42、ブッシュ43の部分が固定され中央部分に繰り返して曲げ荷重が加わる状態となる。この繰り返し荷重によって、フランジ41、ポンプハウジング1が変形するので繰返し応力が発生して疲労破壊してしまう問題があった。さらには、シリンダ6の摺動部も変形し、前述したプランジャ2とシリンダ6の焼きつき固着が発生してしまう。
図10を用いて、この点について説明する。フランジ41は、生産性の理由からプレス成形によって製作している。そのためフランジ41の板厚t1には上限があり、本実施例ではt1=4mmとしている。ポンプハウジング1とフランジ42の接合部である溶接部41をレーザー溶接によって溶接結合している。レーザー溶接は図中の下方からビームを照射する必要が有る。図中上方からでは、その他の部品がありレーザーを全周にわたって照射する事は不可能である。さらにレーザー溶接はフランジ41の板厚t=4mmを貫通しなくてはならない。もし溶接がフランジ41を貫通しないと溶接部端面が切欠になり、前述した繰り返し荷重によってこの切欠部に応力が集中し、そこから疲労破壊を起こしてしまう。
レーザー溶接によってフランジ41を貫通溶接するにはレーザーの出力を大きくすれば良いが、溶接するには必ず熱が発生するので、その熱によってフランジ41が熱変形をしてしまう。また、溶接の際に発生するスパッタも大量に発生しポンプハウジング1、その他の部品に固着する。以上の観点からレーザー溶接によって貫通溶接するための溶接長さは短いほうが良い。
そのため、本実施例では溶接部41aの板厚t2のみt2=3mmとした。これにより、フランジ41aをレーザー溶接によって貫通溶接する事ができ、スパッタの発生も最小限に抑えられる。また、このt2=3mm部はプレス成形によって成形可能であるので、生産性も高い。
溶接部41aの板厚t2=3mmと、t1=4mmの段差部はエンジン側に設ける事にした。これにより、くぼみ45が形成される。溶接部41aの上端面、および下端面には必ず母材よりも盛り上がる。くぼみ45を設ける事により、この盛り上がりとエンジンの干渉を防ぐことが出来る。盛り上がりとエンジンが接触していると、高圧燃料供給ポンプをエンジンに止めねじ42で固定した際に、フランジ41に曲げ応力が発生し、フランジ41の破損に繋がる。
これにより、高圧吐出に伴って発生する繰り返し荷重により、フランジ41の破損を防止する事ができる。また、溶接部41aの盛り上がりとエンジンが接触により発生する、フランジ41の破損も防止する事が出来る。
前述のように、繰り返し荷重がポンプハウジング1に負荷されると、2個の止めねじ42、ブッシュ43の部分が固定された状態で、繰り返し荷重の方向に彎曲する。溶接部41aはレーザー溶接によって全周に渡って貫通溶接されており、フランジ41の彎曲はポンプハウジング1に波及する。一方、シリンダホルダ7とポンプハウジング1はねじ部7g、1bでのみ接触している。ポンプハウジング1のねじ部1bと溶接部41aは距離mだけ離れたい位置に存在する。また、距離mでの最小肉厚はnとしている。ポンプハウジング1がフランジ41の彎曲により変形しても、その変形は距離m、肉厚nの部分で吸収し、ねじ1bまで波及しないようにm、nの値を選定する。
こうすることで、フランジ41の湾曲によるシリンダ6の変形を防ぐ事ができる。しかし、フランジ41の湾曲をすべてポンプハウジング1で吸収しなくてはならず、ポンプハウジング1で発生する繰り返し応力が許容値を超えてしまうと、ポンプハウジング1が疲労破壊し燃料漏れ事故となってしまう。
このようなポンプハウジング1の疲労破壊を防ぐためには下記二つの方法が有る。
(1) ポンプハウジング1の形状効果により、発生する応力を許容値以下にする。
(2) フランジ41で発生する彎曲を小さくする。
以下、この2つの方法について説明する。
まず、(1)について説明する。図11に溶接部41a近傍の拡大図を示す。ポンプハウジング1が繰り返し荷重によって、図中の上方に引張られ、フランジ41が彎曲した時に発生する応力で最大のものは、図10中に最大応力として示したように、ポンプハウジング1の表面に矢印方向に発生する。この発生する応力を、形状効果によって出来る限り分散させて、応力集中が起こらないような形状にすれば良い。
本実施例では、図11のようにR部1c、およびR部1eを直線部1dにて接続する構造とし、最適値を選定した。二つのR部1c、および1eの間に直線部1dが存在し、この直線部1d上で発生する応力が均等に分布する。その結果、応力集中は起こらずに発生応力の最大値を低減する事が出来た。
次に、(2)について説明する。フランジ41の彎曲が小さくするには、フランジ41の剛性を高める以外に方法はない。しかし、フランジ41の板厚tは前述したように生産性の観点から4mm以上にする事は非常に困難である。そこで止めねじ42の固定の為だけに設けているブッシュ43の径を大きくすることにした。ここで、彎曲有効距離:Oとは、二つのブッシュ43の端部の最短距離を示し、この部分が、繰り返し荷重により実質的に彎曲する。この彎曲有効距離:Oを小さく出来れば、結果としてフランジ41の剛性向上となる。
本実施例では、ブッシュ43に鍔部43aを設けて、彎曲有効距離:Oの縮小を図った。ブッシュ43の高さは、ファスナー44を挿入のための高さは必要となる。その高さでブッシュ43の外形を大きくすると、ポンプハウジング1との干渉問題や、ブッシュ43の材料増大等の問題があった。鍔部43aを設ける事によって、これらの問題を防ぎ、彎曲有効距離:Oを小さくする事が出来た。
以上のようにすることで、方法(1)(2)を達成し、ポンプハウジング1に繰り返し発生する応力を疲労破壊の許容値以下にすることができた。
図12により本発明の第二の実施例について説明する。本実施例の高圧燃料供給ポンプは、吸入弁(吸入弁部31a)を介して燃料を加圧室11に吸入し、吐出弁8bを介して加圧室11で加圧された燃料を吐出する。そして、吐出弁8bより下流側の通路と吐出弁8bより上流側の通路とを連通するリリーフ通路88cがポンプハウジング1に形成される。リリーフ弁機構88は、リリーフ通路88cにリリーフ通路88cの燃料の流れを吐出弁8bの下流側から吐出弁8bの上流側への一方向のみに流す逆止弁88aを備えている。
なお、吐出弁8bより上流側として、加圧室11に戻しても良いし、低圧燃料室10cに戻すようにしても良い。リリーフ弁機構88には吐出弁8bの下流側に取り付けられたフィルタ102、を備え、フィルタ102は、カップ形状の金属板で形成され、かつ、前記金属板に複数の穴がパンチ加工、又はレーザ加工により形成されている。
つまり、フィルタ102をリリーフ弁機構88に取り付け、ポンプハウジング1内やコモンレール23から流れてきた異物をリリーフ弁機構88のリリーフ弁シートに流れる事を防止する。またリリーフ弁機構88はリリーフ弁の開弁圧力調整を単体で行う事ができ、開弁圧力調整後にフィルタ102を取り付けることで、圧力調整不適合品が発生した場合の歩留りコストを低減する事ができる。
フィルタ102の内側円筒部102cとリリーフ弁機構の外側円筒部88bで圧入固定する事により、フィルタ102の外側円筒部102bで圧入した時よりも燃料通路89を大きく確保する事ができ、フィルタ外面102dとフィルタ内面102eの圧力差を小さくすることで、フィルタ102に負荷される力を低減する事ができる構造になっている。
またフィルタ102は外径の小さい円筒部(フィルタ小径部102a)にレーザー加工で穴が開けられフィルタとしての役割を果たす部分と、外径の大きい円筒部(フィルタ大径部102b)でフィルタ102を吸入ジョイント101に固定する役割を果たす部分が一体構造になるよう構成されている。またフィルタ102のフィルタ大径部102bの内側円筒面部をリリーフ弁機構の外側円筒面部に嵌合(圧入)することにより、フィルタ102をリリーフ弁機構88に固定するよう構成されている。
リリーフ弁機構88はフィルタ102の嵌合部(圧入部)と直交した平面部を有しており、フィルタ102の円筒部段差平面部と接触させることによりリリーフ弁機構の側への移動を規制するように構成されている。フィルタ102とリリーフ弁機構の嵌合部(圧入部)を金属接触させることでリリーフ弁機構88の下流側燃料内に混入している異物を封止するよう構成されている。フィルタ102は外側円筒部を2段以上の段差を設け、フィルタ用の穴をレーザー加工する際に生じるひずみが前記リリーフ弁機構の嵌合部へ伝わる影響を低減させるよう構成されている。
フィルタ102の凸部(フィルタ小径部102a)をリリーフ弁機構88の上流側として、リリーフ通路88cの中で燃料通路の径の大きいところに配置している。フィルタ大径部102bをリリーフ弁機構88の外側円筒部88bに圧入して固定する。これにより燃料の吸入抵抗を低減させ、フィルタの外面と内面との間に発生する圧力差を低減させる事でフィルタに負荷される応力を低減できるよう構成されている。
以上の実施例に記載の高圧燃料ポンプによれば、燃料が高圧、高流量になった場合や、凍結した燃料の塊りがフィルタの流路を塞いだ場合、高粘度の燃料を使用した場合などの環境においてもフィルタ機能を実現する事ができる。
1…ポンプハウジング、10b・10c…低圧燃料室、11…加圧室、101…吸入ジョイント、101a…小径円筒部、101b…大径円筒部、101c…燃料通路、102…フィルタ、101a…フィルタ小径部、102b…フィルタ大径部。

Claims (16)

  1. 燃料を加圧する加圧室と、前記加圧室の上流側に形成された低圧燃料室と、前記低圧燃料室の上流側に取り付けられた吸入ジョイントと、を備えた高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記吸入ジョイントの内周側の円筒部に取り付けられたフィルタを備え、
    前記フィルタは、カップ形状の金属板で形成され、かつ、前記金属板に複数の穴がパンチ加工、又はレーザ加工により形成された高圧燃料供給ポンプ。
  2. 請求項1に記載された高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記フィルタは、前記複数の穴が形成された外径の小さい円筒部と、当該フィルタを前記吸入ジョイントに固定する外径の大きい円筒部と、が一体の構造で構成された高圧燃料供給ポンプ。
  3. 請求項1又は2に記載された高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記フィルタの円筒部の外周部が前記吸入ジョイントの円筒部の内周部に圧入されることにより、前記フィルタが前記吸入ジョイントに固定された高圧燃料供給ポンプ。
  4. 請求項1に記載された高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記吸入ジョイントの大径円筒部と小径円筒部との間は、これらを接続する接続部が形成され、一方で前記フィルタは、フィルタ大径部とフィルタ小径部とを接続する接続部が形成され、前記吸入ジョイントの前記接続部が吸入ジョイント軸方向において、前記フィルタの前記接続部を対向して受けるように構成された高圧燃料供給ポンプ。
  5. 請求項1に記載された高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記フィルタと前記吸入ジョイントの接触部を金属接触させることで低圧燃料ポンプから圧送された低圧燃料内に混入している異物を封止する高圧燃料供給ポンプ。
  6. 請求項1に記載された高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記フィルタはフィルタ大径部とフィルタ小径部とが一体となって構成された高圧燃料供給ポンプ。
  7. 請求項1に記載された高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記フィルタの凸部が前記低圧燃料室の側に取り付けられた高圧燃料供給ポンプ。
  8. 請求項1に記載された高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記フィルタは、燃料入口側のフィルタ大径部と、前記低圧燃料室の側のフィルタ小径部とが一体で構成された高圧燃料供給ポンプ。
  9. 請求項1に記載された高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記吸入ジョイントはポンプハウジングに形成された穴部により形成され、前記フィルタは前記ポンプハウジングの前記穴部に直接、取り付けられた高圧燃料供給ポンプ
  10. 吸入弁を介して燃料を加圧室に吸入し、吐出弁を介して前記加圧室で加圧された燃料を吐出する高圧燃料供給ポンプにおいて
    前記吐出弁より下流側の通路と前記吐出弁より上流側の通路とを連通するリリーフ通路と、
    前記リリーフ通路に当該リリーフ通路の燃料の流れを前記吐出弁の下流側から前記吐出弁の上流側への一方向のみに流す逆止弁を備えたリリーフ弁機構と、
    前記リリーフ弁機構には前記吐出弁の下流側に取り付けられたフィルタと、を備え、
    前記フィルタは、カップ形状の金属板で形成され、かつ、前記金属板に複数の穴がパンチ加工、又はレーザ加工により形成された高圧燃料供給ポンプ。
  11. 請求項10に記載された高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記フィルタは外径の小さい円筒部にレーザー加工で穴が開けられフィルタとしての役割を果たす部分と、外径の大きい円筒部で前記フィルタを前記吸入ジョイントに固定する役割を果たす部分が一体構造になるよう構成された高圧燃料供給ポンプ。
  12. 請求項10、又は11に記載された高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記フィルタの内側円筒面部を前記リリーフ弁機構の外側円筒面部に嵌合することにより、前記フィルタを前記リリーフ弁機構に固定するよう構成された高圧燃料供給ポンプ。
  13. 請求項10乃至12のいずれかに記載された高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記リリーフ弁機構は前記フィルタの嵌合部と直交した平面部を有しており、前記フィルタの円筒部段差平面部と接触させることにより前記リリーフ弁機構の側への移動を規制するように構成された高圧燃料供給ポンプ。
  14. 請求項10乃至13のいずれかに記載した高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記フィルタと前記リリーフ弁機構の嵌合部を金属接触させることで前記リリーフ弁機構の下流側燃料内に混入している異物を封止するよう構成された高圧燃料供給ポンプ。
  15. 請求項10乃至14のいずれかに記載された高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記フィルタは外側円筒部を2段以上の段差を設け、フィルタ用の穴をレーザー加工する際に生じるひずみが前記リリーフ弁機構の嵌合部へ伝わる影響を低減させるよう構成された高圧燃料供給ポンプ。
  16. 請求項10乃至15のいずれかに記載された高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記フィルタの凸部が前記リリーフ通路の中で燃料通路の径が大きく設けられているところに配置された高圧燃料供給ポンプ。
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