本発明は、デザイン等が印刷された表示シートを備えるパンツタイプ使い捨ておむつ及びその製造方法に関するものである。
パンツタイプ使い捨ておむつは、前身頃及び後身頃を個別又は一体的に構成する外装体と、前身頃から後身頃にわたるように外装体の内面に対して取り付けられた、吸収体を含む内装体とを備え、前身頃の外装体の両側縁部と後身頃の外装体の両側縁部とが接合されてサイドシール部が形成されることにより、ウエスト開口及び左右一対の脚開口が形成されているものが一般的である。
このようなパンツタイプ使い捨ておむつでは、身体へのフィット性を向上させるために、外装体を複数のシート層を有する積層構造とするとともに、そのシート層間に、種々の弾性伸縮部材を伸長状態で取り付けることが行われており、中でも、サイドシール部と対応する前後方向範囲として定まる胴周り領域や、前後の胴周り領域の間に位置する中間領域に、幅方向に沿う細長状弾性伸縮部材が前後方向に間隔を空けてそれぞれ幅方向に伸長された状態で取り付けられているものは、身体に対するフィット性が比較的に高いものとなっている(例えば特許文献1参照)。
胴周り領域や中間領域は、吸収体を有する前後方向範囲と重なるとともに、当該範囲に内装体を外装体に固定するための内外固定部がある。よって、この吸収体を有する前後方向範囲を横切るように弾性伸縮部材を設けても、その伸縮機能は吸収体の剛性により制限される。また、吸収体が幅方向に収縮して、装着感や見栄えを悪化させたり、吸収体のヨレや割れが発生し、吸収性能が低下したりするおそれもある。
このため、従来は、幅方向に沿って連続的に弾性伸縮部材を取り付けるとともに、その吸収体と重なる部分のほぼ全体を細かく切断するか、又は吸収体と重なる部分では弾性伸縮部材を外装体に非固定とするとともに、幅方向中間の1か所で切断することにより、吸収体に幅方向の収縮力が作用しない非伸縮領域を形成することが一般に採用されている。この切断手法としては、弾性伸縮部材の内外を覆う内側シート層及び外側シート層に孔が開かない手法の一つとして、内側シート層及び外側シート層間に弾性伸縮部材を挟んだ状態で、その内側や外側から切断部位を加圧及び加熱することにより弾性伸縮部材を切断する手法が知られている。
他方、外装体における非伸縮領域は、弾性伸縮部材の収縮力がほとんど作用せず、収縮皺がほとんど形成されないため、収縮皺が形成される部分と比較して光の透過性に優れる。よって、この部位における外装体のシート層間(特許文献1、2参照)に、絵柄等を付した表示シートを介在させていた。
表示シートは外装体の構成素材を透かして視認することになるため、表示がよりはっきりと視認できるという点では、外装体のシート層間に弾性伸縮部材とともに介在させることが望ましい。また、その場合には、表示シートと弾性伸縮部材とが隣接することになるため、弾性伸縮部材の収縮力の影響を完全に無くすためには、表示シートに対して弾性伸縮部材が非固定とされるか、又は固定が外れるように弱く固定することが好ましい。
しかしながら、この場合、外側シート層及び内側シート層間に弾性伸縮部材及び表示シートを配置した状態で弾性伸縮部材を切断する必要があるが、特許文献1、2記載のように表示シートを有する領域で弾性伸縮部材を加圧及び加熱により切断することには、以下のような問題点があった。
すなわち、切断対象となる弾性伸縮部材が全て表示シートと重なる領域を通る場合には問題とならないが、切断対象となる弾性伸縮部材の一部が表示シートと重ならない領域を通る場合には、加圧対象の厚みが表示シート分だけ異なることにより、表示シートと重ならない領域における弾性伸縮部材に加わる圧力がわずかに弱くなり、当該弾性伸縮部材が切断されないこと、つまり表示シートと重ならない領域に弾性伸縮部材の切り残しが発生することがあった。
このような弾性伸縮部材の切り残しは、切断時の圧力を増加することにより解決されるが、切断時の圧力を増加するとシート層が部分的に切断したり、切断痕跡がはっきりと残ったりするため好ましくない。
しかしながら、外装体として、前身頃を構成する前側外装体と、後身頃を構成する後側外装体とを個別に備え、かつ前側外装体及び後側外装体が前後方向に離間されている外装体分割構造では、柔軟性を重視して内側シート層及び外側シート層間の接合や、弾性伸縮部材の内側シート層及び外側シート層に対する固定を省略したり、弱くしたりすると、内側シート層及び外側シート層の隙間が股間側に開口してしまい、見栄えが悪化するだけでなく、不要弾性伸縮部材が開口からはみ出したり、抜け出たりするおそれがあった。
特開2004−298362号公報
特開2004−254861号公報
特開2010−158590号公報
そこで、本発明の主たる課題は、非伸縮領域に表示シートを有する外装体における、弾性伸縮部材の切り残しを防止することにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
前身頃を構成する前側外装体及び後身頃を構成する後側外装体を個別又は一体的に備え、前側外装体から後側外装体にかけて設けられた、吸収体を含む内装体とを備え、
前記前側外装体の両側部と前記後側外装体の両側部とがそれぞれ接合され、
ウエスト開口部及び左右一対の脚開口部が形成され、
前記前側外装体及び後側外装体の少なくとも一方は、前記吸収体を有する前後方向範囲に、幅方向中間に設けられた非伸縮領域と、この非伸縮領域の幅方向両側に設けられた伸縮領域とを有しており、
前記伸縮領域は、内側シート層と、外側シート層と、これら内側シート層及び外側シート層間に、前後方向に間隔を空けてそれぞれ幅方向に沿って伸長状態で取り付けられた複数本の細長状の弾性伸縮部材とを有する領域であり、
前記非伸縮領域は、前記伸縮領域から連続する内側シート層及び外側シート層と、これら内側シート層及び外側シート層間に介在された、外面から視認可能な表示シート、並びに前記伸縮領域の弾性伸縮部材から連続する切断残部、及び両方の前記伸縮領域の弾性伸縮部材と連続しない弾性伸縮部材の切断片の少なくとも一方からなる不要弾性伸縮部材とを有しており、
前記伸縮領域及び非伸縮領域が、前記表示シートと対応する前後方向範囲及びその前後少なくとも一方側と対応する前後方向範囲にわたり設けられている、
パンツタイプ使い捨ておむつにおいて;
前記非伸縮領域の側部が、前記表示シートの幅方向少なくとも一方にはみ出し、かつ前記内側シート層及び外側シート層間に他のシートを有しないシート非介在領域となっており、
前記表示シートと重なる領域に前記弾性伸縮部材の切断痕跡が無く、前記シート非介在領域に前記弾性伸縮部材の切断痕跡が残されている、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
本発明では、非伸縮領域における弾性伸縮部材の切断位置が、表示シートや他のシートが無いシート非介在領域となるため、表示シートと対応する前後方向範囲及びその前後少なくとも一方側と対応する前後方向範囲に切断対象の弾性伸縮部材が位置する場合であっても、加圧対象の厚み、つまり切断対象に対する圧力が前後方向に均一となる。よって、外装体の非伸縮領域における内側シート層及び外側シート層間に表示シートを介在させる形態であっても、弾性伸縮部材の切り残しが発生しにくくなる。また、表示シートを有する領域に弾性伸縮部材の切断痕跡が無いため、表示シートの見栄えも良好となる。
<請求項2記載の発明>
前記弾性伸縮部材の切断痕跡が、少なくとも最もウエスト側の弾性伸縮部材の切断位置から最も股間側の弾性伸縮部材の切断位置まで前後方向に連続している、請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
この場合、弾性伸縮部材の切断を連続的な加圧パターンで行うこととなるため、切断加工の際、弾性伸縮部材が加圧位置から逃げて切れ残るといった事態を防止することができる。
<請求項3記載の発明>
前記前側外装体及び後側外装体が前後方向に離間されており、
前記シート非介在領域は前記表示シートの幅方向両側にそれぞれ設けられ、前記切断痕跡は幅方向両側の前記シート非介在領域にそれぞれ設けられ、
前記不要弾性伸縮部材の股間側に、内側シート層及び外側シート層が溶着された溶着部を有している、
請求項1又は2記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
この場合、表示シートの幅方向両側で弾性伸縮部材の切断を行うことになるため、不要弾性伸縮部材は、両方の伸縮領域の弾性伸縮部材と連続しない弾性伸縮部材の切断片のみからなることとなり、伸縮領域及び非伸縮領域の境界がはっきりとし、見栄えが良好となる。ただし、前側外装体及び後側外装体が前後方向に離間されている形態では、柔軟性を重視して内側シート層及び外側シート層間の接合や、弾性伸縮部材の内側シート層及び外側シート層に対する固定を省略したり、弱くしたりすると、内側シート層及び外側シート層の隙間が股間側に開口してしまい、見栄えが悪化するだけでなく、不要弾性伸縮部材が開口からはみ出したり、抜け出たりするおそれもある。これに対して、上述のように、不要弾性伸縮部材の股間側に、内側シート層及び外側シート層が溶着された溶着部を有していると、内側シート層及び外側シート層の隙間が股間側に開口しなくなり、又は開口するとしても開口が小さくなり、見栄えや装着感の悪化、及び不要弾性伸縮部材のはみ出しや抜け出しを防止できるため好ましい。
<請求項4記載の発明>
一方の前記切断痕跡から前記溶着部を経て他方の切断痕跡まで、U字状に連続的に内側シート層及び外側シート層が溶着されている、請求項3記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
このようなU字状パターンで溶着することにより、弾性伸縮部材の切断と不要弾性伸縮部材の股間側の溶着とを同時に行うことができるだけでなく、不要弾性伸縮部材を囲む溶着部を形成することができ、不要弾性伸縮部材のはみ出しや抜け出しをより効果的に防止することができる。また、弾性伸縮部材の切り残しも発生しにくいものとなる。
<請求項5記載の発明>
請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法であって、
前記外装体を形成するに際し、前記非伸縮領域となる部分における前記内側シート層及び外側シート層間に前記表示シートを配置し、前記伸縮領域となる部分、前記非伸縮領域となる部分、前記表示シートと重なる部分及び前記シート非介在領域となる部分を連続的に通るように、前記内側シート層及び外側シート層間に細長状の弾性伸縮部材を配置し、
前記伸縮領域となる部分の少なくとも両端部で前記弾性伸縮部材をホットメルト接着剤を介して前記内側シート層及び外側シート層に対して固定し、前記非伸縮領域となる部分では前記弾性伸縮部材を前記内側シート層及び外側シート層に対して非固定とした後、
前記シート非介在領域となる部分で、前記内側シート層の内側及び前記外側シート層の外側から挟んで加圧及び加熱することにより、前記シート非介在領域となる部分を通る前記弾性伸縮部材を切断し、
前記表示シートと重なる領域では、前記加圧及び加熱による弾性伸縮部材の切断をしない、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法。
(作用効果)
本発明では、非伸縮領域における弾性伸縮部材の切断位置が、表示シートや他のシートが無いシート非介在領域となる部分であるため、表示シートと対応する前後方向範囲及びその前後少なくとも一方側と対応する前後方向範囲に切断対象の弾性伸縮部材が位置する場合であっても、加圧対象の厚み、つまり切断対象に対する圧力が前後方向に均一となる。よって、外装体の非伸縮領域における内側シート層及び外側シート層間に表示シートを介在させる形態であっても、弾性伸縮部材の切り残しが発生しにくくなる。また、表示シートを有する領域に弾性伸縮部材の切断痕跡が残らないため、表示シートの見栄えも良好となる。なお、弾性伸縮部材の「非固定」の定義については後述する。
<請求項6記載の発明>
前記弾性伸縮部材の切断に先立ち、切断位置となる部分を含む部位で前記弾性伸縮部材をズレ止めホットメルト接着剤を介して前記内側シート層及び外側シート層に対してズレ止めした後、
前記ズレ止めホットメルト接着剤の幅方向中間部で前記弾性伸縮部材の切断を行い、弾性伸縮部材をその収縮力により前記ズレ止めホットメルト接着剤の接着力に抗して収縮させる、
請求項5記載のパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法。
(作用効果)
このように切断位置となるシート非介在領域で、ズレ止めホットメルト接着剤により弾性伸縮部材をズレ止めすることにより、切断時の弾性伸縮部材の位置ずれを防止でき、より確実な切断が可能となる。また、弾性伸縮部材の切断時に、伸縮領域側の切断端部が伸縮領域に向かって収縮し、引き込まれる際、その引き込み力が緩和され、伸縮領域の端部における弾性伸縮部材の固定が外れにくくなる。
<請求項7記載の発明>
前記加圧及び加熱を、少なくとも最もウエスト側の弾性伸縮部材の切断位置から最も股間側の弾性伸縮部材の切断位置まで前後方向に連続する線状のパターンで行う、請求項5又は6記載のパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法。
(作用効果)
この場合、弾性伸縮部材の切断を連続的な加圧パターンで行うこととなるため、切断加工の際、弾性伸縮部材が加圧位置から逃げて切れ残るといった事態を防止することができる。
<請求項8記載の発明>
請求項3記載のパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法であって、
幅方向両側の前記シート非介在領域となる部分における前記表示シートと対応する前後方向範囲及びその前後少なくとも一方側と対応する前後方向範囲で、前記内側シート層の内側及び前記外側シート層の外側から挟んで加圧及び加熱することにより、前記弾性伸縮部材を切断するとともに、
前記非伸縮領域となる部分の股間側で、前記内側シート層の内側及び前記外側シート層の外側から挟んで加圧及び加熱することにより、前記内側シート層及び外側シート層を溶着する、
請求項5〜7のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法。
(作用効果)
この場合、表示シートの幅方向両側で弾性伸縮部材の切断を行うことになるため、不要弾性伸縮部材は、両方の伸縮領域の弾性伸縮部材と連続しない弾性伸縮部材の切断片のみからなることとなり、伸縮領域及び非伸縮領域の境界がはっきりとし、見栄えが良好となる。ただし、前側外装体及び後側外装体が前後方向に離間されている形態では、柔軟性を重視して内側シート層及び外側シート層間の接合や、弾性伸縮部材の内側シート層及び外側シート層に対する固定を省略したり、弱くしたりすると、内側シート層及び外側シート層の隙間が股間側に開口してしまい、見栄えが悪化するだけでなく、不要弾性伸縮部材が開口からはみ出したり、抜け出たりするおそれもある。これに対して、上述のように、不要弾性伸縮部材の股間側に、内側シート層及び外側シート層が溶着された溶着部を形成すると、内側シート層及び外側シート層の隙間が股間側に開口しなくなり、又は開口するとしても開口が小さくなり、見栄えや装着感の悪化、及び不要弾性伸縮部材のはみ出しや抜け出しを防止できるため好ましい。
<請求項9記載の発明>
一方の前記シート非介在領域となる部分から前記非伸縮領域となる部分の股間側を経て他方の前記シート非介在領域となる部分までU字状に連続的に、前記内側シート層の内側及び前記外側シート層の外側から挟んで加圧及び加熱することにより、前記弾性伸縮部材の切断とともに、前記内側シート層及び外側シート層を溶着する、請求項8記載のパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法。
(作用効果)
このようなU字状パターンで溶着することにより、弾性伸縮部材の切断と不要弾性伸縮部材の股間側の溶着とを同時に行うことができるだけでなく、不要弾性伸縮部材を囲む接合部を形成することができ、不要弾性伸縮部材のはみ出しや抜け出しをより効果的に防止することができる。また、弾性伸縮部材の切り残しも発生しにくいものとなる。
以上のとおり、本発明によれば、非伸縮領域に表示シートを有する外装体における、弾性伸縮部材の切り残しを防止できるようになる、等の利点がもたらされる。
パンツタイプ使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
パンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
図1の3−3断面図である。
図1の4−4断面図である。
(a)図1の5−5断面図、及び(b)図1の6−6断面図である。
パンツタイプ使い捨ておむつの斜視図である。
図1の5−5断面に相当する断面図である。
パンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
表示シート及びその近傍領域を示す(a)弾性伸縮部材切断後の平面図、(b)弾性伸縮部材切断後の断面図、及び(c)弾性伸縮部材切断前の断面図である。
表示シート及びその近傍領域を示す(a)弾性伸縮部材切断後の平面図、(b)弾性伸縮部材切断後の断面図、及び(c)弾性伸縮部材切断前の断面図である。
表示シート及びその近傍領域を示す(a)弾性伸縮部材切断後の平面図、(b)弾性伸縮部材切断後の断面図、及び(c)弾性伸縮部材切断前の断面図である。
表示シート及びその近傍領域を示す(a)弾性伸縮部材切断後の平面図、(b)弾性伸縮部材切断後の断面図、及び(c)弾性伸縮部材切断前の断面図である。
表示シート及びその近傍領域を示す(a)弾性伸縮部材切断後の平面図、(b)弾性伸縮部材切断後の断面図、及び(c)弾性伸縮部材切断前の断面図である。
切断工程を示す斜視図である。
保持力測定試験の試験片の説明図である。
保持力測定試験の説明図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。
図1〜図6は、パンツタイプ使い捨ておむつの一例100を示している。断面図における点模様部分はその表側及び裏側に位置する各構成部材を接合する接合手段としての接着剤を示しており、ホットメルト接着剤のベタ、ビード、カーテン、サミット若しくはスパイラル塗布、又はパターンコート(凸版方式でのホットメルト接着剤の転写)などにより、あるいは弾性伸縮部材の固定部分はこれに代えて又はこれとともにコームガンやシュアラップ塗布などの弾性伸縮部材の外周面への塗布により形成されるものである。ホットメルト接着剤としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、オレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在するが、特に限定無く使用できる。各構成部材を接合する接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段を用いることもできる。
本形態のパンツタイプ使い捨ておむつ100は、前身頃Fを構成する前側外装体12F及び後身頃Bを構成する後側外装体12Bと、前側外装体12Fから股間部を経て後側外装体12Bまで延在し、前側が前側外装体12Fに、及び後側が後側外装体12Bに固定された内装体200とを備えており、前側外装体12Fの両側部と後側外装体12Bの両側部とが接合されてサイドシール部12Aが形成され、外装体12F,12Bの前後端部により形成される開口が装着者の胴を通すウエスト開口WOとなり、内装体200の幅方向両側において外装体12F,12Bの下縁及び内装体200の側縁によりそれぞれ囲まれる部分が脚を通す脚開口部LOとなっているものである。内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装体12は着用者の身体に対して内装体200を支えるための部分である。また、符号Yは展開状態におけるおむつの全長(前身頃Fのウエスト開口WOの縁から後身頃Bのウエスト開口WOの縁までの前後方向長さ)を示しており、符号Xは展開状態におけるおむつの全幅を示している。
また、本形態のパンツタイプ使い捨ておむつ100は、サイドシール部12Aを有する前後方向範囲(ウエスト開口WOから脚開口LOの上端に至る前後方向範囲)として定まる胴周り領域Tと、脚開口LOを形成する部分の前後方向範囲(前身頃Fのサイドシール部12Aを有する前後方向領域と後身頃Bのサイドシール部12Aを有する前後方向領域との間)として定まる中間領域Lとを有する。胴周り領域Tは、概念的にウエスト開口の縁部を形成する「ウエスト部」Wと、これよりも下側の部分である「ウエスト下方部」Uとに分けることができる。通常、胴周り領域T内に幅方向伸縮応力が変化する境界(例えば弾性伸縮部材の太さや伸長率が変化する)を有する場合は、最もウエスト開口WO側の境界よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなり、このような境界が無い場合は吸収体56又は内装体200よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなる。これらの前後方向の長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト部Wは15〜40mm、ウエスト下方部Uは65〜120mmとすることができる。一方、中間領域Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うようにコ字状又は曲線状に括れており、ここが装着者の脚を入れる部位となる。この結果、展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつは、全体として略砂時計形状をなしている。
(内装体)
内装体200は任意の形状とすることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3〜図5に示されるように、身体側となるトップシート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、トップシート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、トップシート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に設けられた、身体側に起立する立体ギャザー60を示している。
内装体200の外装体12F,12Bに対する固定は、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により行うことができる。図示形態では、内装体200の裏面、つまりこの場合は液不透過性シート11の裏面及び立体ギャザー60の取付部分65に塗布されたホットメルト接着剤により外装体12の内面に対して固定されている。この内装体200と外装体12F,12Bとを固定する内外固定部201は、両者が重なる領域のほぼ全体に設けることができ、通常は内装体の幅方向両端部を除いた部分に設けることが好ましい。
(トップシート)
トップシート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
立体ギャザー60を設ける場合、トップシート30の両側部は、液不透過性シート11と立体ギャザー60との間を通して、吸収要素50の裏側まで回り込ませ、液の浸透を防止するために、液不透過性シート11及び立体ギャザー60に対して接合するのが好ましい。
トップシート30は、裏側部材に対する位置ずれを防止する等の目的で、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により裏側に隣接する部材に固定することが望ましい。図示形態では、トップシート30はその裏面に塗布されたホットメルト接着剤により中間シート40の表面及び包装シート58のうち吸収体56の表側に位置する部分の表面に固定されている。
(中間シート)
トップシート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、トップシート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、トップシート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース、スパンボンド、SMS、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m2が好ましく、25〜60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.0〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
中間シート40は、裏側部材に対する位置ずれを防止する等の目的で、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により裏側に隣接する部材に固定することが望ましい。図示形態では、中間シート40はその裏面に塗布されたホットメルト接着剤により包装シート58のうち吸収体56の表側に位置する部分の表面に固定されている。
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。液不透過性シート11には、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。この他にも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
液不透過性シート11は、図示のように吸収要素50の裏側に収まる幅とする他、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回り込ませて吸収要素50のトップシート30側面の両側部まで延在させることもできる。この延在部の幅は、左右それぞれ5〜20mm程度が適当である。
また、液不透過性シート11の内側、特に吸収体56側面に、液分の吸収により色が変化する排泄インジケータを設けることができる。
(立体ギャザー)
立体ギャザー60は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、トップシート30上を伝わって横方向に移動する排泄物を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。本実施の形態の立体ギャザー60は、内装体200の側部から起立するように設けられ、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立するものである。
より詳細には、立体ギャザー60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザーシート62を幅方向に折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状のギャザー弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸長状態で、幅方向に間隔をあけて複数本固定してなるものである。立体ギャザー60のうち先端部と反対側に位置する基端部(幅方向においてシート折り返し部分と反対側の端部)は内装体200の側縁部の裏面に固定された取付部分65とされ、この取付部分65以外の部分は取付部分65から突出する突出部分66(折り返し部分側の部分)とされている。また、突出部分66は、幅方向中央側に向かう付け根側部分と、この付け根側部分の先端から幅方向外側に折り返された先端側部分とからなる。この形態は面接触タイプの立体ギャザーであるが、幅方向外側に折り返されない線接触タイプの立体ギャザー(図示略)も採用することができる。そして、突出部分66のうち前後方向両端部が倒伏状態でトップシート30の側部表面に対して固定された前後固定部67とされる一方で、これらの間に位置する前後方向中間部は非固定の自由部分68とされ、この自由部分68に前後方向に沿うギャザー弾性伸縮部材63が伸長状態で固定されている。
立体ギャザー60の自由部分68では、ギャザーシート62の内側層及び外側層の貼り合わせや、その間に挟まれるギャザー弾性伸縮部材63の固定に、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段の少なくとも一方を用いることができる。ギャザーシート62の内側層及び外側層の全面を貼り合わせると柔軟性を損ねるため、ギャザー弾性伸縮部材63の接着部以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。図示形態では、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段によりギャザー弾性伸縮部材63の外周面にのみホットメルト接着剤を塗布してギャザーシート62の内側層及び外側層間に挟むことにより、当該ギャザー弾性伸縮部材63の外周面に塗布したホットメルト接着剤のみで、ギャザーシート62の内側層及び外側層への細長状弾性伸縮部材の固定と、ギャザーシート62の内側層及び外側層間の固定とを行う構造となっている。
また、立体ギャザー60に組み込まれる防水フィルム64とギャザーシート62との固定や、前後固定部67の内装体200の側部表面への固定に、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤、及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段の少なくとも一方を用いることができる。図示形態では、防水フィルム64の固定にホットメルト接着剤のスロット塗布を使用している。また、図示形態の前後固定部67の固定には、ホットメルト接着剤と素材溶着による手段を組み合わせているが、いずれか一方の手段のみで、これらの固定を行うこともできる。
ギャザーシート62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。細長状弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは470〜1240dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。なお、用語「伸長率」は自然長を100%としたときの値を意味する。また、図示のように、二つに折り重ねたギャザーシートの間に防水フィルム64を介在させることもできる。
立体ギャザー60の自由部分に設けられる細長状弾性伸縮部材63の本数は2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。配置間隔60dは3〜10mmが適当である。このように構成すると、細長状弾性伸縮部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にも細長状弾性伸縮部材63を配置しても良い。
立体ギャザー60の取付部分65の固定対象は、内装体200におけるトップシート30、液不透過性シート11、吸収要素50等適宜の部材とすることができる。
かくして構成された立体ギャザー60では、細長状弾性伸縮部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、突出部分66のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分とされているため、自由部分のみが図3に示すように身体側に当接するように起立する。特に、取付部分65が内装体200の裏面側に位置していると、股間部及びその近傍において立体ギャザー60が幅方向外側に開くように起立するため、立体ギャザー60が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。
立体ギャザー60の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、例えば図3に示すように、立体ギャザー60の起立高さ(展開状態における突出部分66の幅方向長さ)W6は15〜60mm、特に20〜40mmであるのが好ましい。また、立体ギャザー60をトップシート30表面と平行になるように、平坦に折り畳んだ状態において最も内側に位置する折り目間の離間距離W3は60〜190mm、特に70〜140mmであるのが好ましい。
なお、図示形態と異なり、内装体200の左右各側において立体ギャザーを二重に(二列)設けることもできる。
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
吸収体56は長方形形状でも良いが、図1及び図2にも示すように、前端部、後端部及びこれらの間に位置し、前端部及び後端部と比べて幅が狭い括れ部とを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体と立体ギャザー60の、脚周りへのフィット性が向上するため好ましい。
また、吸収体56の寸法は排尿口位置の前後左右にわたる限り適宜定めることができるが、前後方向及び幅方向において、内装体の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。なお、符号56Xは吸収体56の幅を示している。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子54としては、この種の使い捨ておむつに使用されるものをそのまま使用でき、例えば500μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が30重量%以下のものが望ましく、また、180μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が60重量%以上のものが望ましい。
高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が70秒以下、特に40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が遅すぎると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和する。
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。例えば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
包装シート58の包装形態は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻き付け、且つその前後縁部を吸収体56の前後からはみ出させ、巻き重なる部分及び前後はみ出し部分の重なり部分をホットメルト接着剤、素材溶着等の接合手段により接合する形態が好ましい。
(外装体)
外装体12F,12Bは、前身頃Fを構成する部分である前側外装体12Fと、後身頃Bを構成する部分である後側外装体12Bとからなり、前側外装体12F及び後側外装体12Bは股間側で連続しておらず、前後方向に離間されている。この離間距離12dは150〜250mm程度とすることができる。この離間部分における内装体200の裏面の露出部分の一部(例えば前側外装体12Fと後側外装体12Bとの間に露出する部分の前後方向全体にわたるが、内装体200の前後端まで延びず、また幅方向両側縁も内装体200の両側縁までは達しない程度)又は全体を覆うように、不織布等からなる股間部カバーシート12Mを貼り付けることが望ましいが、省略することもできる。また、図8に示すように、外装体12が、前身頃Fから後身頃Bにかけて股間を通り連続する一体的なものとすることもできる。つまり、前身頃F及び後身頃Bを個別に構成する外装体12F,12Bが前者の形態に相当し、前身頃F及び後身頃Bを一体的に構成する外装体12が後者の形態に相当する。
外装体12F,12Bは、胴周り領域Tと対応する前後方向範囲である胴周り部を有する。また、本形態では、前側外装体12Fには中間領域Lと対応する部分を有していないが、後側外装体12Bは胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る臀部カバー部14を有している。図示しないが、前側外装体12Fにも胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る鼠蹊カバー部を設けたり、鼠径カバー部は設けるものの臀部カバー部は設けない形態としたり、前側外装体12F及び後側外装体12Bの両方に中間領域Lと対応する部分を設けなくても良い。また、図示形態では、臀部カバー部14の下縁は、前側外装体12Fの下縁と同様、幅方向に沿う直線状に形成しているが、幅方向外側に向かうにつれてウエスト開口側に位置するようになる曲線とすることもできる。
外装体12F,12Bは、図3〜図5に示されるように、外側シート層12S及び内側シート層12Hをホットメルト接着剤や溶着等の接合手段により接合して形成されるものである。外側シート層12Sを形成するシート材及び内側シート層12Hを形成するシート材は、図5に示す形態のように個別のシート材とする他、図7に示す形態のように共通の一枚のシート材とすることもできる。すなわち、後者の場合、ウエスト側の縁(股間側の縁でも良い)で折り返された一枚のシート材の内側の部分及び外側の部分により内側シート層12H及び外側シート層12Sがそれぞれ形成される。なお、前者の形態では、シート材の折り返し工程が少ないため、内側シート層12H及び外側シート層12Sを貼り合わせる際にずれにくいという利点があり、後者の形態ではシート材の資材数が少ないという利点がある。
外側シート層12S及び内側シート層12Hを形成するシート材の端部や内装体200の前後端をウエスト開口WOに露出させると、シート材の角が肌に当たり肌触りが悪化するおそれや、後述するウエスト部W弾性伸縮部材やこれを固定するためのホットメルト接着剤が露出するおそれがある。よって、図5に示す形態のように、外側シート層12Sを形成するシート材を、内側シート層12Hを形成するシート材のウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返してウエスト側折り返し部分を形成し、このウエスト側折り返し部分12rを内装体200のウエスト側の端部上まで延在させるのは好ましい。
外側シート層12S及び内側シート層12Hに用いるシート材としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維や、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを原料とした、熱可塑性樹脂の不織布を好適に使用することができる。不織布としては、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。
また、外装体12F,12Bの総目付けは20〜60g/m2程度であるのが好ましい。
(伸縮領域)
外装体12F,12Bには、装着者の胴周りに対するフィット性を高めるために、外側シート層12S及び内側シート層12H間に糸ゴム等の細長状の弾性伸縮部材15〜18が所定の伸長率で取り付けられ、胴周り方向に伸縮する伸縮領域A1が形成されている。弾性伸縮部材15〜18としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。
外装体12F,12Bにおける外側シート層12S及び内側シート層12Hの貼り合わせや、その間に挟まれる細長状弾性伸縮部材15〜18の固定には、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段の少なくとも一方を用いることができる。伸縮領域A1における外側シート層12S及び内側シート層12Hに対する弾性伸縮部材15〜18の固定部位は、その収縮により伸縮領域A1が幅方向に収縮される限り適宜定めれば良く、したがって、弾性伸縮部材15〜18の少なくとも幅方向両端部が固定される限り、図2に示すように幅方向全体にわたり固定されていても良く、図8に示すように幅方向両端部のみ固定されていても良い。図8に示す形態では、スロットコートや、パターンコート(凸版方式でのホットメルト接着剤の転写)により内側シート層12H及び外側シート層12Sのいずれか一方に塗布したホットメルト接着剤H1により弾性伸縮部材15〜18を固定し、必要に応じて弾性伸縮部材15〜18の通過位置以外で別途の図示しないホットメルト接着剤又は溶着により内側シート層12H及び外側シート層12Sを接合する構造となっている。これ以外の図示形態では、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段により細長状弾性伸縮部材15〜18の外周面にのみホットメルト接着剤H1を塗布して両シート層12S,12H間に挟むことにより、当該弾性伸縮部材15〜18の外周面に塗布したホットメルト接着剤H1のみで、両シート層12S,12Hへの弾性伸縮部材15〜18の固定と、両シート層12S,12H間の固定とを行う構造となっている。
弾性伸縮部材15〜18の配置は伸縮領域A1が設けられる限り特に限定されないが、図示形態についてより詳細に説明すると以下のとおりである。すなわち、外装体12F,12Bのウエスト部Wにおける外側シート層12S及び内側シート層12H間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数のウエスト部弾性伸縮部材18が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で取り付けられている。また、ウエスト部弾性伸縮部材18のうち、ウエスト下方部Uに隣接する領域に配設される1本又は複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。このウエスト部弾性伸縮部材18としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸長率150〜400%、特に220〜320%程度で取り付けるのが好ましい。また、ウエスト部弾性伸縮部材18は、その全てを同じ太さと伸長率にする必要はなく、例えばウエスト部Wの上部と下部で太さと伸長率が異なるようにしてもよい。
また、外装体12F,12Bのウエスト下方部Uにおける外側シート層12S及び内側シート層12H間には、細長状弾性伸縮部材からなるウエスト下方部弾性伸縮部材15,17が複数本、上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で取り付けられている。
ウエスト下方部弾性伸縮部材15,17としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸長率200〜350%、特に240〜300%程度で取り付けるのが好ましい。
また、後側外装体12Bの臀部カバー部14における外側シート層12S及び内側シート層12H間には、細長状弾性伸縮部材からなるカバー部弾性伸縮部材16が複数本、上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で取り付けられている。
カバー部弾性伸縮部材16としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸長率150〜300%、特に180〜260%で取り付けるのが好ましい。
前側外装体12Fに鼠径カバー部を設ける場合には同様にカバー部弾性伸縮部材を設けることができる。
(非伸縮領域)
図示形態のウエスト下方部Uや臀部カバー部14のように、吸収体56を有する前後方向範囲に弾性伸縮部材15〜17を設ける場合には、その一部又は全部において吸収体56の幅方向の収縮を防止するために、吸収体56を有する前後方向範囲において吸収体56と幅方向に重なる部分の一部又は全部を含む幅方向中間(好ましくは内外固定部201の全体を含む)が非伸縮領域A1とされ、その幅方向両側が幅方向全体にわたり伸縮領域A2とされる。
非伸縮領域A1は、伸縮領域A2から連続する内側シート層12H及び外側シート層12Sと、これら内側シート層12H及び外側シート層12S間に介在された、外面から視認可能な表示シート25、並びに伸縮領域A2の弾性伸縮部材から連続する切断残部、及び両方の伸縮領域A2の弾性伸縮部材と連続しない弾性伸縮部材の切断片の少なくとも一方からなる不要弾性伸縮部材19とを有している。また、非伸縮領域A1の幅方向両側部が、表示シート25の側方にはみ出し、かつ内側シート層12H及び外側シート層12S間に他のシートを有しないシート非介在領域A3となっている。
本パンツタイプ使い捨ておむつの製造における外装体12の形成に際しては、図14に示すように、非伸縮領域A1となる部分における内側シート層12H及び外側シート層12S間に表示シート25を配置し、伸縮領域A2となる部分、非伸縮領域A1となる部分、表示シート25と重なる部分及びシート非介在領域A3となる部分を連続的に通るように、内側シート層12H及び外側シート層12S間に細長状の弾性伸縮部材15〜18を配置する。この際、伸縮領域A2となる部分の少なくとも両端部で弾性伸縮部材15〜18をホットメルト接着剤H1を介して内側シート層12H及び外側シート層12Sに対して固定し、非伸縮領域A1となる部分では弾性伸縮部材15〜18を内側シート層12H及び外側シート層12Sに対して非固定とする。しかる後、非伸縮領域A1で内側シート層12Hの内側及び外側シート層12Sの外側から挟んで加圧及び加熱することにより弾性伸縮部材15〜17を切断する。この切断により、製品においては加圧及び加熱した部分には切断痕跡22(圧縮痕跡や溶融痕跡)が残る。また、非伸縮領域A1に残る弾性伸縮部材15〜18が、収縮しつつ内側シート層12H及び外側シート層12Sに対して移動する結果、自然長又はそれに近い状態の不要弾性伸縮部材19となり、非伸縮領域A1に伸縮性が生まれないこととなる。なお、弾性伸縮部材(不要弾性伸縮部材含む)15〜19が非固定であることには、弾性伸縮部材15〜19が内側シート層12H及び外側シート層12Sに対して移動可能(内側シート層12H及び外側シート層12Sを伴わずに収縮可能)である状態全般を意味し、弾性伸縮部材15〜19が内側シート層12H及び外側シート層12Sに対して接着等されていないことの他、後述のズレ止めホットメルト接着剤H2のように、弾性伸縮部材15〜19が内側シート層12H及び外側シート層12Sに対して弱く接着されているだけで収縮力により内側シート層12H及び外側シート層12Sに対して移動可能な場合も含まれる。
図示しないが、このようにして形成された外装体12F,12Bの連続体に対して、別途製造される内装体を順次取り付け、その前後を重ねるように折り畳んだ後に、個々のおむつとなる部分の境界の両側にサイドシール部12Aを形成し、さらにその境界で切断することにより、パンツタイプ使い捨ておむつを製造することができる。
図14は、外装体12F,12Bの形成における弾性伸縮部材15〜17の切断工程を示しており、所定の切断パターンに形成された切断凸部72を有する加圧部71を外周面に備え、切断凸部72が所望の温度に加熱されるシールロール70と、これに対向配置された表面平滑なアンビルロール80とにより、内側シート層12H及び外側シート層12S間に表示シート25及び弾性伸縮部材15〜18を取り付けた切断対象を、内側シート層12Hがシールロール側(反対側としても良い)となるように挟み、切断凸部72とアンビルロール80の外周面との間に挟まれる部位のみ弾性伸縮部材15〜17を加圧及び加熱して切断するものである。弾性伸縮部材15〜17を切断するための加熱温度(切断凸部の温度)は、弾性伸縮部材15〜17を確実に切断できる限り適宜定めれば良いが、製造ラインが高速であっても弾性伸縮部材15〜17を確実に切断し、かつ弾性伸縮部材15〜17の切断部が周囲部材に付着しないようにするためには、弾性伸縮部材15〜17の融点よりは低温であるが十分に高温とすることが好ましい。例えば、外側シート層12S及び内側シート層12Hに使用される不織布の融点は160〜175℃程度であり、弾性伸縮部材15〜17の融点は200〜230℃程度である場合、加熱温度は180〜200℃とすることができる。
特徴的には、図9〜図13に示すように、切断位置CPがシート非介在領域A3となる部分とされ、表示シート25と重なる領域では弾性伸縮部材15〜17が切断されないような切断パターンが採用されている。このような切断パターンで弾性伸縮部材15〜17の切断を行うと、表示シート25と重なる領域に切断痕跡22が無く、シート非介在領域A3に切断痕跡22が残ることとなる。このように、非伸縮領域A1における弾性伸縮部材15〜17の切断位置CPが、表示シート25や他のシートが無いシート非介在領域A3であると、表示シート25と対応する前後方向範囲及びその前後少なくとも一方側と対応する前後方向範囲に切断対象の弾性伸縮部材15〜17が位置する場合であっても、加圧対象の厚み、つまり切断対象に対する圧力が前後方向に均一となる。よって、外装体12の非伸縮領域A1における内側シート層12H及び外側シート層12S間に表示シート25を介在させる形態であっても、弾性伸縮部材15〜17の切り残しが発生しにくくなる。また、表示シート25を有する領域に切断痕跡22が残らないため、表示シート25の見栄えも良好となる。
シート非介在領域A3の幅は切断痕跡22の幅又は切断凸部の幅より広い限り特に限定されないが、特に切断位置CPの精度を考慮すると3〜10mm程度とすることが好ましい。
切断パターン(切断痕跡22)は特に限定されず、図13に示すように前後方向に間欠的なパターンとすることもできるが、図2、図8、及び図9〜図12に示すように前側外装体12F及び後側外装体12Bの各側において、少なくとも最もウエスト側の弾性伸縮部材15〜17の切断位置から最も股間側の弾性伸縮部材15〜17の切断位置まで前後方向に連続する線状パターンであると好ましい。このような線状パターンとしては、図示形態のような直線状とする他、図示しないが曲線状や波線状のパターンとすることもできる。直線状のパターンとしては、図9、図10及び図12に示すようにウエスト開口側が幅方向外側に傾斜する等、前後方向に対して傾斜した直線状パターンとする他、図11に示すように前後方向に沿う直線状とすることもできる。
弾性伸縮部材15〜17の切断位置CPは、図9〜図11及び図13に示すように非伸縮領域A1の幅方向両端部とする他、図12に示すように幅方向いずれか一方の端部のみとすることもできる。前者の形態では、シート非介在領域A3は表示シート25の幅方向両側に設ける必要があるのに対して、後者の形態では表示シート25の切断位置CP側に設けるだけでも、また表示シート25の幅方向両側に設けても良い。また、前者の形態では、図示のように非伸縮領域A1の幅方向中間に、幅方向両側の伸縮領域A2の弾性伸縮部材15〜17と連続せずに不要弾性伸縮部材19が収縮状態で残ることとなり、後者の形態では、図示のように切断側と反対側の伸縮領域A2の弾性伸縮部材15〜17から連続する不要弾性伸縮部材19が収縮状態で残ることとなる。
弾性伸縮部材15〜17の切断時には、弾性伸縮部材15〜17が自身に加わる圧力から逃げようとするため、弾性伸縮部材15〜17の位置がずれるおそれがある。また、弾性伸縮部材15〜17の切断時に、伸縮領域A2側の切断端部が伸縮領域A2に向かって収縮し、引き込まれる際、その引き込み力により、伸縮領域A2の端部における弾性伸縮部材15〜17の固定が外れるおそれもある。そこで、図9〜図13の(c)に示すように、弾性伸縮部材15〜17の切断に先立ち、切断位置CPとなる部分を含む部位で弾性伸縮部材15〜17をズレ止めホットメルト接着剤H2を介して内側シート層12H及び外側シート層12Sに対してズレ止めした後、図9〜図13の(c)に示すように、ズレ止めホットメルト接着剤H2の幅方向中間部で弾性伸縮部材15〜17の切断を行い、弾性伸縮部材15〜17をその収縮力によりズレ止めホットメルト接着剤H2の接着力に抗して収縮させることが望ましい。
ズレ止めホットメルト接着剤H2は、切断位置CPとなる部分を含む限り、その幅は限定されず、図9及び図12に示すように非伸縮領域A1の幅方向全体にわたるように塗布する他、図10及び図11に示すように非伸縮領域A1の幅方向両端部のみとすることもできる。図13に示すようにズレ止めホットメルト接着剤H2は省略することもできる。
他方、前側外装体12F及び後側外装体12Bが前後方向に離間されている形態では、柔軟性を重視して内側シート層12H及び外側シート層12S間の接合や、弾性伸縮部材15〜17の内側シート層12H及び外側シート層12Sに対する固定を省略したり、弱くしたりすると、内側シート層12H及び外側シート層12Sの隙間12iが股間側に開口してしまい、見栄えが悪化するだけでなく、不要弾性伸縮部材19が開口からはみ出したり、抜け出たりするおそれもある。特に、表示シート25の幅方向両側で弾性伸縮部材15〜17の切断を行うと、不要弾性伸縮部材19は、両方の伸縮領域A2の弾性伸縮部材15〜17と連続しない切断片のみからなることとなり、伸縮領域A2及び非伸縮領域A1の境界がはっきりとし、見栄えが良好となる一方で、不要弾性伸縮部材19が開口からはみ出したり、抜け出たりしやすくなる。
そこで、図2、図5、図8、図9〜11及び図13に示すように、不要弾性伸縮部材19の股間側(製造時には非伸縮領域A1となる部分の股間側)で、内側シート層12Hの内側及び外側シート層12Sの外側から挟んで加圧及び加熱し、内側シート層12H及び外側シート層12Sの溶着により溶着部23を形成することも提案される。このような溶着部23を有していると、内側シート層12H及び外側シート層12Sの隙間12iが股間側に開口しなくなり、又は開口するとしても開口が小さくなり、見栄えや装着感の悪化、及び不要弾性伸縮部材19のはみ出しや抜け出しを防止できるため好ましい。溶着部23は図13に示すように間欠的に形成されていても良いが、前述の効果をより確実なものとするためには、図9等に示すように連続的とするのが好ましい。
特に図9等に示すように、一方のシート非介在領域A3となる部分から非伸縮領域A1となる部分の股間側を経て他方のシート非介在領域A3となる部分までU字状に連続的に、内側シート層12Hの内側及び外側シート層12Sの外側から挟んで加圧及び加熱することにより、弾性伸縮部材15〜17の切断とともに、内側シート層12H及び外側シート層12Sを溶着するのはひとつの好ましい形態である。このようなU字状パターンで溶着すること(切断痕跡22も同様となる)により、弾性伸縮部材15〜17の切断と不要弾性伸縮部材19の股間側の溶着とを同時に行うことができるだけでなく、不要弾性伸縮部材19を囲む接合部を形成することができ、不要弾性伸縮部材19のはみ出しや抜け出しをより効果的に防止することができる。また、弾性伸縮部材15〜17の切り残しも発生しにくいものとなる。
溶着部23の幅は適宜定めることができるが、0.5〜2.0mm程度とすることができる。溶着及び切断における加圧幅(切断凸部の幅)は、この幅と同様とすることができる。
(ホットメルト接着剤)
弾性伸縮部材の固定用ホットメルト接着剤H1及びズレ止めホットメルト接着剤H2としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、オレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在し、特に限定無く使用できる。ズレ止めホットメルト接着剤H2は、固定用ホットメルト接着剤H1と同じ性質のものを薄く塗布するだけでも良いが、特に保持力が低いものが好ましく、例えば保持力が30〜90分のものが好ましい。また、一般に溶融粘度の低いホットメルト接着剤H1は保持力が低いため、ズレ止めホットメルト接着剤H2は、温度140℃における溶融粘度が3,000〜7,000mpas、温度160℃における溶融粘度が1,000〜4,000mpasのものが好ましい。このような要件を満たすズレ止めホットメルト接着剤H2はホットメルト接着剤メーカーから容易に入手することができる。
(表示シート)
前側外装体12F及び後側外装体12Bの少なくとも一方における非伸縮領域A1には、外側シート層12S及び内側シート層12Hの間に、キャラクター等の表示を有する表示シート25が介在されており、この表示シート25の表示が外側シート層12Sを介して透けて見えるようになっている。表示シート25は、図9〜図12に示すように、外側シート層12Sの内側に隣接するように(外側シート層12Sと後述する不要弾性伸縮部材19との間)に配置されていても、反対に図13に示すように、内側シート層12Hの外側に隣接するように(内側シート層12Hと後述する不要弾性伸縮部材19との間)に配置されていても良い。
表示シート25の基材は特に限定されないが、厚みが50〜200μm、密度が50〜400kg/m3のクレープ紙が好適である。このクレープ紙の厚みは100〜150μmであると好ましく、密度は100〜200kg/m3であると好ましい。このような厚み及び密度のクレープ紙は、目付け10g/m2以上でクレープ率を10%前後とすることにより製造することができる。なお、密度は、目付け及び厚みから算出することができる。また、クレープ率とは、((ヤンキードライヤーの周速)−(巻き取りリールの周速))/(ヤンキードライヤーの周速)×100(%)で算出される値である。
表示シート25に付加される表示は特に限定されず、装飾のための模様(絵やワンポイントのキャラクター含む)、使用方法や使用補助、サイズ等の機能表示、あるいは製造者や製品名、特徴的機能等の標章表示等の表示を、印刷等により付加することができる。
また、表示シート25に対する不要弾性伸縮部材19の収縮力の影響を完全に無くすために、不要弾性伸縮部材19は表示シート25の内側面及び内側シート層12Hの外側面に非固定とされることが望ましい。さらに、表示シート25の内側面、不要弾性伸縮部材19及び内側シート層12Hの外側面を互いに非固定としてもよい。すなわち、表示シート25は不要弾性伸縮部材19を有しない側のシート層(図示形態では内側シート層12H)に対してホットメルト接着剤等の固定手段により固定することができるが、不要弾性伸縮部材19は隣接部材(表示シート25、内側シート層12H及び外側シート層12S)に対して非固定(前述定義参照)とする。これにより、不要弾性伸縮部材19が単独で収縮し、表示シート25が収縮しなくなる。このような構造は、製造の際、弾性伸縮部材15〜17のうち非伸縮領域A1に位置する部位はホットメルト接着剤を塗布しない等により、表示シート25の内側面及び内側シート層12Hの外側面に固定しないことで構築することができる。
ただし、表示シート25を不要弾性伸縮部材19を有する側のシート層(図示形態では内側シート層12H)に全く接着しないと、内部に連続的な隙間が形成されるようになるため、表示シート25が不要弾性伸縮部材19を有する側のシート層から浮いた状態になり、意図しない皺が形成される等、見栄えに影響するおそれがある。これに対して、前述のずれ止めホットメルト接着剤を有すると、当該ズレ止めホットメルト接着剤による接着作用によりこのような隙間の形成が防止されることとなる。
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「前後(縦)方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味する。
・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
・「ゲル強度」は次のようにして測定されるものである。人工尿(尿素:20wt%、食塩:8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.3wt%、酸化マグネシウム七水和物:0.8wt%、純水:70.01wt%)49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter−MAX ME−500)でゲル強度を測定する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を相対湿度10〜25%、温度50℃を超えない環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から米坪板(200mm×250mm、±2mm)を使用し、200mm×250mm(±2mm)の寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、20倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES−G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:10gf/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。
・「吸水量」は、JIS K7223−1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
・「吸水速度」は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
・ホットメルト接着剤の「保持力」は、以下のようにして測定されるものである。すなわち、図15に示すように、25μm厚のPETフィルムを用意し、長さ100mm×幅25mmの2枚の長方形PETフィルム401の長手方向の端部(長手方向の一端から25mmの部分)同士を、測定対象のホットメルト接着剤層402を介して接着した試験片400を作製する。試験片400の接着部分403は25mm×25mmとなる。このホットメルト接着剤層402はスロット塗布により20g/m2の厚みで塗布し、接着後、接着部分403の上から2kgのローラーを1往復させて圧着させた後、試験片400を常温(23℃)下で16時間放置し、さらに図16に示すように試験片400の両端部のPETフィルム401を、厚み方向にネジで締め付けるつかみ具404でつかみ、接着部分403に力が加わらないように、クリープ試験機(恒温槽)内に40℃で2時間放置する。その後、クリープ試験機内に、図16に示すように一方のつかみ具404を上にして吊り下げ、他方のつかみ具404に錘405を吊るし、錘405及び錘側のつかみ具405の合計で1kgの鉛直荷重をかけ、荷重をかけ始めた時から接着部分403が完全に剥がれ、錘405側のPETフィルムが剥がれ落ちるまでの時間を測定する。測定は120分までとし、120分経過までに錘が落下しなかったときには測定結果は「120分超」とする。以上の測定を3回行い、測定結果の平均値を保持力(分)とする。3回の測定結果に、120分超が1回、120分以下が2回あったときには、120分以下の2回の測定結果の平均値を保持力とし、120分超が2回、120分以下が1回あったときには、120分以下の1回の測定結果を保持力とし、3回とも120分超のときには保持力は120分超とする。
・「ループタック粘着力」は、次のように測定される値を意味する。すなわち、ホットメルト接着剤を厚さが50μmのPET板上に50μmの厚みで塗布する。これを、幅25mm、長さ125mmの大きさに切取り、テープ状とした後、そのテープの両端を重ね合わせることでループ状とする。このループを、LT−100型ループタックテスター(ケムインストルメント社製)に固定した後、PE(ポリエチレン)板に対して、25mm×25mmの接着面積で、接着時間2秒で接着する。次いで、20℃で、引き剥がし速度300mm/分でループ状のテープを引き剥がし、最大の力を測定し、ループタック粘着力とする。
・「溶融粘度」は、JIS Z 8803に従い、ブルックフィールドB型粘度計(スピンドルNo.027)を用いて、規定の温度で測定されるものである。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内で行うものとする。
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
本発明は、上記例等のパンツタイプ使い捨ておむつに利用できるものである。
A1…非伸縮領域、A2…伸縮領域、A3…シート非介在領域、H1…ホットメルト接着剤、H2…ズレ止めホットメルト接着剤、L…中間領域、LO…脚開口部、T…胴周り領域、U…ウエスト下方部、W…ウエスト部、WO…ウエスト開口、11…液不透過性シート、12…外装体、12A…サイドシール部、12F…前側外装体、12B…後側外装体、12H…内側シート層、12S…外側シート層、12i…隙間、12r…ウエスト側折り返し部分、14…臀部カバー部、18…ウエスト部弾性伸縮部材、19…不要弾性伸縮部材、22…切断痕跡、23…溶着部、25…表示シート、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…立体ギャザー、62…ギャザーシート、200…内装体、201…内外固定部。
本発明は、デザイン等が印刷された表示シートを備えるパンツタイプ使い捨ておむつに関するものである。
パンツタイプ使い捨ておむつは、前身頃及び後身頃を個別又は一体的に構成する外装体と、前身頃から後身頃にわたるように外装体の内面に対して取り付けられた、吸収体を含む内装体とを備え、前身頃の外装体の両側縁部と後身頃の外装体の両側縁部とが接合されてサイドシール部が形成されることにより、ウエスト開口及び左右一対の脚開口が形成されているものが一般的である。
このようなパンツタイプ使い捨ておむつでは、身体へのフィット性を向上させるために、外装体を複数のシート層を有する積層構造とするとともに、そのシート層間に、種々の弾性伸縮部材を伸長状態で取り付けることが行われており、中でも、サイドシール部と対応する前後方向範囲として定まる胴周り領域や、前後の胴周り領域の間に位置する中間領域に、幅方向に沿う細長状の弾性伸縮部材が前後方向に間隔を空けてそれぞれ幅方向に伸長された状態で取り付けられているものは、身体に対するフィット性が比較的に高いものとなっている(例えば特許文献1参照)。
胴周り領域や中間領域は、吸収体を有する前後方向範囲と重なるとともに、当該範囲に内装体を外装体に固定するための内外固定部がある。よって、この吸収体を有する前後方向範囲を横切るように弾性伸縮部材を設けても、その伸縮機能は吸収体の剛性により制限される。また、吸収体が幅方向に収縮して、装着感や見栄えを悪化させたり、吸収体のヨレや割れが発生し、吸収性能が低下したりするおそれもある。
このため、従来は、幅方向に沿って連続的に弾性伸縮部材を取り付けるとともに、その吸収体と重なる部分のほぼ全体を細かく切断するか、又は吸収体と重なる部分では弾性伸縮部材を外装体に非固定とするとともに、幅方向中間の1か所で切断することにより、吸収体に幅方向の収縮力が作用しない非伸縮領域を形成することが一般に採用されている。この切断手法としては、弾性伸縮部材の内外を覆う内側シート層及び外側シート層に孔が開かない手法の一つとして、内側シート層及び外側シート層間に弾性伸縮部材を挟んだ状態で、その内側や外側から切断部位を加圧及び加熱することにより弾性伸縮部材を切断する手法が知られている。
他方、外装体における非伸縮領域は、弾性伸縮部材の収縮力がほとんど作用せず、収縮皺がほとんど形成されないため、収縮皺が形成される部分と比較して光の透過性に優れる。よって、この部位における外装体のシート層間(特許文献1、2参照)に、絵柄等を付した表示シートを介在させていた。
表示シートは外装体の構成素材を透かして視認することになるため、表示がよりはっきりと視認できるという点では、外装体のシート層間に弾性伸縮部材とともに介在させることが望ましい。また、その場合には、表示シートと弾性伸縮部材とが隣接することになるため、弾性伸縮部材の収縮力の影響を完全に無くすためには、表示シートに対して弾性伸縮部材が非固定とされるか、又は固定が外れるように弱く固定することが好ましい。
しかしながら、この場合、外側シート層及び内側シート層間に弾性伸縮部材及び表示シートを配置した状態で弾性伸縮部材を切断する必要があるが、特許文献1、2記載のように表示シートを有する領域で弾性伸縮部材を加圧及び加熱により切断することには、以下のような問題点があった。
すなわち、切断対象となる弾性伸縮部材が全て表示シートと重なる領域を通る場合には問題とならないが、切断対象となる弾性伸縮部材の一部が表示シートと重ならない領域を通る場合には、加圧対象の厚みが表示シート分だけ異なることにより、表示シートと重ならない領域における弾性伸縮部材に加わる圧力がわずかに弱くなり、当該弾性伸縮部材が切断されないこと、つまり表示シートと重ならない領域に弾性伸縮部材の切り残しが発生することがあった。
このような弾性伸縮部材の切り残しは、切断時の圧力を増加することにより解決されるが、切断時の圧力を増加するとシート層が部分的に切断したり、切断痕跡がはっきりと残ったりするため好ましくない。
しかしながら、外装体として、前身頃を構成する前側外装体と、後身頃を構成する後側外装体とを個別に備え、かつ前側外装体及び後側外装体が前後方向に離間されている外装体分割構造では、柔軟性を重視して内側シート層及び外側シート層間の接合や、弾性伸縮部材の内側シート層及び外側シート層に対する固定を省略したり、弱くしたりすると、内側シート層及び外側シート層の隙間が股間側に開口してしまい、見栄えが悪化するだけでなく、不要弾性伸縮部材が開口からはみ出したり、抜け出たりするおそれがあった。
特開2004−298362号公報
特開2004−254861号公報
特開2010−158590号公報
そこで、本発明の主たる課題は、非伸縮領域に表示シートを有する外装体における、弾性伸縮部材の切り残しを防止することにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
前身頃を構成する前側外装体及び後身頃を構成する後側外装体を個別又は一体的に備え、前側外装体から後側外装体にかけて設けられた、吸収体を含む内装体とを備え、
前記前側外装体の両側部と前記後側外装体の両側部とがそれぞれ接合され、
ウエスト開口及び左右一対の脚開口が形成され、
前記前側外装体及び後側外装体の少なくとも一方は、前記吸収体を有する前後方向範囲に、幅方向中間に設けられた非伸縮領域と、この非伸縮領域の幅方向両側に設けられた伸縮領域とを有しており、
前記伸縮領域は、内側シート層と、外側シート層と、これら内側シート層及び外側シート層間に、前後方向に間隔を空けてそれぞれ幅方向に沿って伸長状態で取り付けられた複数本の細長状の弾性伸縮部材とを有する領域であり、
前記非伸縮領域は、前記伸縮領域から連続する内側シート層及び外側シート層と、これら内側シート層及び外側シート層間に介在された、外面から視認可能な表示シート、並びに前記伸縮領域の弾性伸縮部材から連続する切断残部、及び両方の前記伸縮領域の弾性伸縮部材と連続しない弾性伸縮部材の切断片の少なくとも一方からなる不要弾性伸縮部材とを有しており、
前記伸縮領域及び非伸縮領域が、前記表示シートと対応する前後方向範囲及びその前後少なくとも一方側と対応する前後方向範囲にわたり設けられている、
パンツタイプ使い捨ておむつにおいて;
前記非伸縮領域の側部が、前記表示シートの幅方向少なくとも一方にはみ出し、かつ前記内側シート層及び外側シート層間に他のシートを有しないシート非介在領域となっており、
前記表示シートと重なる領域に前記弾性伸縮部材の切断痕跡が無く、前記シート非介在領域に前記弾性伸縮部材の切断痕跡が残されている、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
本発明では、非伸縮領域における弾性伸縮部材の切断位置が、表示シートや他のシートが無いシート非介在領域となるため、表示シートと対応する前後方向範囲及びその前後少なくとも一方側と対応する前後方向範囲に切断対象の弾性伸縮部材が位置する場合であっても、加圧対象の厚み、つまり切断対象に対する圧力が前後方向に均一となる。よって、外装体の非伸縮領域における内側シート層及び外側シート層間に表示シートを介在させる形態であっても、弾性伸縮部材の切り残しが発生しにくくなる。また、表示シートを有する領域に弾性伸縮部材の切断痕跡が無いため、表示シートの見栄えも良好となる。
<請求項2記載の発明>
前記前側外装体及び後側外装体が前後方向に離間されており、
前記シート非介在領域は前記表示シートの幅方向両側にそれぞれ設けられ、前記切断痕跡は幅方向両側の前記シート非介在領域にそれぞれ設けられ、
前記不要弾性伸縮部材の股間側に、内側シート層及び外側シート層が溶着された溶着部を有している、
請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
この場合、表示シートの幅方向両側で弾性伸縮部材の切断を行うことになるため、不要弾性伸縮部材は、両方の伸縮領域の弾性伸縮部材と連続しない弾性伸縮部材の切断片のみからなることとなり、伸縮領域及び非伸縮領域の境界がはっきりとし、見栄えが良好となる。ただし、前側外装体及び後側外装体が前後方向に離間されている形態では、柔軟性を重視して内側シート層及び外側シート層間の接合や、弾性伸縮部材の内側シート層及び外側シート層に対する固定を省略したり、弱くしたりすると、内側シート層及び外側シート層の隙間が股間側に開口してしまい、見栄えが悪化するだけでなく、不要弾性伸縮部材が開口からはみ出したり、抜け出たりするおそれもある。これに対して、上述のように、不要弾性伸縮部材の股間側に、内側シート層及び外側シート層が溶着された溶着部を有していると、内側シート層及び外側シート層の隙間が股間側に開口しなくなり、又は開口するとしても開口が小さくなり、見栄えや装着感の悪化、及び不要弾性伸縮部材のはみ出しや抜け出しを防止できるため好ましい。
以上のとおり、本発明によれば、非伸縮領域に表示シートを有する外装体における、弾性伸縮部材の切り残しを防止できるようになる、等の利点がもたらされる。
パンツタイプ使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
パンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
図1の3−3断面図である。
図1の4−4断面図である。
(a)図1の5−5断面図、及び(b)図1の6−6断面図である。
パンツタイプ使い捨ておむつの斜視図である。
図1の5−5断面に相当する断面図である。
パンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
表示シート及びその近傍領域を示す(a)弾性伸縮部材切断後の平面図、(b)弾性伸縮部材切断後の断面図、及び(c)弾性伸縮部材切断前の断面図である。
表示シート及びその近傍領域を示す(a)弾性伸縮部材切断後の平面図、(b)弾性伸縮部材切断後の断面図、及び(c)弾性伸縮部材切断前の断面図である。
表示シート及びその近傍領域を示す(a)弾性伸縮部材切断後の平面図、(b)弾性伸縮部材切断後の断面図、及び(c)弾性伸縮部材切断前の断面図である。
表示シート及びその近傍領域を示す(a)弾性伸縮部材切断後の平面図、(b)弾性伸縮部材切断後の断面図、及び(c)弾性伸縮部材切断前の断面図である。
表示シート及びその近傍領域を示す(a)弾性伸縮部材切断後の平面図、(b)弾性伸縮部材切断後の断面図、及び(c)弾性伸縮部材切断前の断面図である。
切断工程を示す斜視図である。
保持力測定試験の試験片の説明図である。
保持力測定試験の説明図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。
図1〜図6は、パンツタイプ使い捨ておむつの一例100を示している。断面図における点模様部分はその表側及び裏側に位置する各構成部材を接合する接合手段としての接着剤を示しており、ホットメルト接着剤のベタ、ビード、カーテン、サミット若しくはスパイラル塗布、又はパターンコート(凸版方式でのホットメルト接着剤の転写)などにより、あるいは弾性伸縮部材の固定部分はこれに代えて又はこれとともにコームガンやシュアラップ塗布などの弾性伸縮部材の外周面への塗布により形成されるものである。ホットメルト接着剤としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、オレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在するが、特に限定無く使用できる。各構成部材を接合する接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段を用いることもできる。
本形態のパンツタイプ使い捨ておむつ100は、前身頃Fを構成する前側外装体12F及び後身頃Bを構成する後側外装体12Bと、前側外装体12Fから股間部を経て後側外装体12Bまで延在し、前側が前側外装体12Fに、及び後側が後側外装体12Bに固定された内装体200とを備えており、前側外装体12Fの両側部と後側外装体12Bの両側部とが接合されてサイドシール部12Aが形成され、外装体12F,12Bの前後端部により形成される開口が装着者の胴を通すウエスト開口WOとなり、内装体200の幅方向両側において外装体12F,12Bの下縁及び内装体200の側縁によりそれぞれ囲まれる部分が脚を通す脚開口LOとなっているものである。内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装体12は着用者の身体に対して内装体200を支えるための部分である。また、符号Yは展開状態におけるおむつの全長(前身頃Fのウエスト開口WOの縁から後身頃Bのウエスト開口WOの縁までの前後方向長さ)を示しており、符号Xは展開状態におけるおむつの全幅を示している。
また、本形態のパンツタイプ使い捨ておむつ100は、サイドシール部12Aを有する前後方向範囲(ウエスト開口WOから脚開口LOの上端に至る前後方向範囲)として定まる胴周り領域Tと、脚開口LOを形成する部分の前後方向範囲(前身頃Fのサイドシール部12Aを有する前後方向領域と後身頃Bのサイドシール部12Aを有する前後方向領域との間)として定まる中間領域Lとを有する。胴周り領域Tは、概念的にウエスト開口の縁部を形成する「ウエスト部」Wと、これよりも下側の部分である「ウエスト下方部」Uとに分けることができる。通常、胴周り領域T内に幅方向伸縮応力が変化する境界(例えば弾性伸縮部材の太さや伸長率が変化する)を有する場合は、最もウエスト開口WO側の境界よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなり、このような境界が無い場合は吸収体56又は内装体200よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなる。これらの前後方向の長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト部Wは15〜40mm、ウエスト下方部Uは65〜120mmとすることができる。一方、中間領域Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うようにコ字状又は曲線状に括れており、ここが装着者の脚を入れる部位となる。この結果、展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつは、全体として略砂時計形状をなしている。
(内装体)
内装体200は任意の形状とすることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3〜図5に示されるように、身体側となるトップシート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、トップシート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、トップシート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に設けられた、身体側に起立する立体ギャザー60を示している。
内装体200の外装体12F,12Bに対する固定は、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により行うことができる。図示形態では、内装体200の裏面、つまりこの場合は液不透過性シート11の裏面及び立体ギャザー60の取付部分65に塗布されたホットメルト接着剤により外装体12の内面に対して固定されている。この内装体200と外装体12F,12Bとを固定する内外固定部201は、両者が重なる領域のほぼ全体に設けることができ、通常は内装体の幅方向両端部を除いた部分に設けることが好ましい。
(トップシート)
トップシート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
立体ギャザー60を設ける場合、トップシート30の両側部は、液不透過性シート11と立体ギャザー60との間を通して、吸収要素50の裏側まで回り込ませ、液の浸透を防止するために、液不透過性シート11及び立体ギャザー60に対して接合するのが好ましい。
トップシート30は、裏側部材に対する位置ずれを防止する等の目的で、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により裏側に隣接する部材に固定することが望ましい。図示形態では、トップシート30はその裏面に塗布されたホットメルト接着剤により中間シート40の表面及び包装シート58のうち吸収体56の表側に位置する部分の表面に固定されている。
(中間シート)
トップシート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、トップシート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、トップシート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース、スパンボンド、SMS、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m2が好ましく、25〜60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.0〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
中間シート40は、裏側部材に対する位置ずれを防止する等の目的で、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により裏側に隣接する部材に固定することが望ましい。図示形態では、中間シート40はその裏面に塗布されたホットメルト接着剤により包装シート58のうち吸収体56の表側に位置する部分の表面に固定されている。
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。液不透過性シート11には、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。この他にも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
液不透過性シート11は、図示のように吸収要素50の裏側に収まる幅とする他、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回り込ませて吸収要素50のトップシート30側面の両側部まで延在させることもできる。この延在部の幅は、左右それぞれ5〜20mm程度が適当である。
また、液不透過性シート11の内側、特に吸収体56側面に、液分の吸収により色が変化する排泄インジケータを設けることができる。
(立体ギャザー)
立体ギャザー60は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、トップシート30上を伝わって横方向に移動する排泄物を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。本実施の形態の立体ギャザー60は、内装体200の側部から起立するように設けられ、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立するものである。
より詳細には、立体ギャザー60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザーシート62を幅方向に折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状のギャザー弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸長状態で、幅方向に間隔をあけて複数本固定してなるものである。立体ギャザー60のうち先端部と反対側に位置する基端部(幅方向においてシート折り返し部分と反対側の端部)は内装体200の側縁部の裏面に固定された取付部分65とされ、この取付部分65以外の部分は取付部分65から突出する突出部分66(折り返し部分側の部分)とされている。また、突出部分66は、幅方向中央側に向かう付け根側部分と、この付け根側部分の先端から幅方向外側に折り返された先端側部分とからなる。この形態は面接触タイプの立体ギャザーであるが、幅方向外側に折り返されない線接触タイプの立体ギャザー(図示略)も採用することができる。そして、突出部分66のうち前後方向両端部が倒伏状態でトップシート30の側部表面に対して固定された前後固定部67とされる一方で、これらの間に位置する前後方向中間部は非固定の自由部分68とされ、この自由部分68に前後方向に沿うギャザー弾性伸縮部材63が伸長状態で固定されている。
立体ギャザー60の自由部分68では、ギャザーシート62の内側層及び外側層の貼り合わせや、その間に挟まれるギャザー弾性伸縮部材63の固定に、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段の少なくとも一方を用いることができる。ギャザーシート62の内側層及び外側層の全面を貼り合わせると柔軟性を損ねるため、ギャザー弾性伸縮部材63の接着部以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。図示形態では、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段によりギャザー弾性伸縮部材63の外周面にのみホットメルト接着剤を塗布してギャザーシート62の内側層及び外側層間に挟むことにより、当該ギャザー弾性伸縮部材63の外周面に塗布したホットメルト接着剤のみで、ギャザーシート62の内側層及び外側層へのギャザー弾性伸縮部材63の固定と、ギャザーシート62の内側層及び外側層間の固定とを行う構造となっている。
また、立体ギャザー60に組み込まれる防水フィルム64とギャザーシート62との固定や、前後固定部67の内装体200の側部表面への固定に、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤、及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段の少なくとも一方を用いることができる。図示形態では、防水フィルム64の固定にホットメルト接着剤のスロット塗布を使用している。また、図示形態の前後固定部67の固定には、ホットメルト接着剤と素材溶着による手段を組み合わせているが、いずれか一方の手段のみで、これらの固定を行うこともできる。
ギャザーシート62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。ギャザー弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは470〜1240dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。なお、用語「伸長率」は自然長を100%としたときの値を意味する。また、図示のように、二つに折り重ねたギャザーシートの間に防水フィルム64を介在させることもできる。
立体ギャザー60の自由部分に設けられるギャザー弾性伸縮部材63の本数は2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。配置間隔60dは3〜10mmが適当である。このように構成すると、ギャザー弾性伸縮部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にもギャザー弾性伸縮部材63を配置しても良い。
立体ギャザー60の取付部分65の固定対象は、内装体200におけるトップシート30、液不透過性シート11、吸収要素50等適宜の部材とすることができる。
かくして構成された立体ギャザー60では、ギャザー弾性伸縮部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、突出部分66のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分とされているため、自由部分のみが図3に示すように身体側に当接するように起立する。特に、取付部分65が内装体200の裏面側に位置していると、股間部及びその近傍において立体ギャザー60が幅方向外側に開くように起立するため、立体ギャザー60が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。
立体ギャザー60の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、例えば図3に示すように、立体ギャザー60の起立高さ(展開状態における突出部分66の幅方向長さ)W6は15〜60mm、特に20〜40mmであるのが好ましい。また、立体ギャザー60をトップシート30表面と平行になるように、平坦に折り畳んだ状態において最も内側に位置する折り目間の離間距離W3は60〜190mm、特に70〜140mmであるのが好ましい。
なお、図示形態と異なり、内装体200の左右各側において立体ギャザーを二重に(二列)設けることもできる。
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
吸収体56は長方形形状でも良いが、図1及び図2にも示すように、前端部、後端部及びこれらの間に位置し、前端部及び後端部と比べて幅が狭い括れ部とを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体と立体ギャザー60の、脚周りへのフィット性が向上するため好ましい。
また、吸収体56の寸法は排尿口位置の前後左右にわたる限り適宜定めることができるが、前後方向及び幅方向において、内装体の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。なお、符号56Xは吸収体56の幅を示している。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子54としては、この種の使い捨ておむつに使用されるものをそのまま使用でき、例えば500μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が30重量%以下のものが望ましく、また、180μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が60重量%以上のものが望ましい。
高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が70秒以下、特に40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が遅すぎると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和する。
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。例えば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
包装シート58の包装形態は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻き付け、且つその前後縁部を吸収体56の前後からはみ出させ、巻き重なる部分及び前後はみ出し部分の重なり部分をホットメルト接着剤、素材溶着等の接合手段により接合する形態が好ましい。
(外装体)
外装体12F,12Bは、前身頃Fを構成する部分である前側外装体12Fと、後身頃Bを構成する部分である後側外装体12Bとからなり、前側外装体12F及び後側外装体12Bは股間側で連続しておらず、前後方向に離間されている。この離間距離12dは150〜250mm程度とすることができる。この離間部分における内装体200の裏面の露出部分の一部(例えば前側外装体12Fと後側外装体12Bとの間に露出する部分の前後方向全体にわたるが、内装体200の前後端まで延びず、また幅方向両側縁も内装体200の両側縁までは達しない程度)又は全体を覆うように、不織布等からなる股間部カバーシート12Mを貼り付けることが望ましいが、省略することもできる。また、図8に示すように、外装体12が、前身頃Fから後身頃Bにかけて股間を通り連続する一体的なものとすることもできる。つまり、前身頃F及び後身頃Bを個別に構成する外装体12F,12Bが前者の形態に相当し、前身頃F及び後身頃Bを一体的に構成する外装体12が後者の形態に相当する。
外装体12F,12Bは、胴周り領域Tと対応する前後方向範囲である胴周り部を有する。また、本形態では、前側外装体12Fには中間領域Lと対応する部分を有していないが、後側外装体12Bは胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る臀部カバー部14を有している。図示しないが、前側外装体12Fにも胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る鼠蹊カバー部を設けたり、鼠径カバー部は設けるものの臀部カバー部は設けない形態としたり、前側外装体12F及び後側外装体12Bの両方に中間領域Lと対応する部分を設けなくても良い。また、図示形態では、臀部カバー部14の下縁は、前側外装体12Fの下縁と同様、幅方向に沿う直線状に形成しているが、幅方向外側に向かうにつれてウエスト開口側に位置するようになる曲線とすることもできる。
外装体12F,12Bは、図3〜図5に示されるように、外側シート層12S及び内側シート層12Hをホットメルト接着剤や溶着等の接合手段により接合して形成されるものである。外側シート層12Sを形成するシート材及び内側シート層12Hを形成するシート材は、図5に示す形態のように個別のシート材とする他、図7に示す形態のように共通の一枚のシート材とすることもできる。すなわち、後者の場合、ウエスト側の縁(股間側の縁でも良い)で折り返された一枚のシート材の内側の部分及び外側の部分により内側シート層12H及び外側シート層12Sがそれぞれ形成される。なお、前者の形態では、シート材の折り返し工程が少ないため、内側シート層12H及び外側シート層12Sを貼り合わせる際にずれにくいという利点があり、後者の形態ではシート材の資材数が少ないという利点がある。
外側シート層12S及び内側シート層12Hを形成するシート材の端部や内装体200の前後端をウエスト開口WOに露出させると、シート材の角が肌に当たり肌触りが悪化するおそれや、後述するウエスト部W弾性伸縮部材やこれを固定するためのホットメルト接着剤が露出するおそれがある。よって、図5に示す形態のように、外側シート層12Sを形成するシート材を、内側シート層12Hを形成するシート材のウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返してウエスト側折り返し部分を形成し、このウエスト側折り返し部分12rを内装体200のウエスト側の端部上まで延在させるのは好ましい。
外側シート層12S及び内側シート層12Hに用いるシート材としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維や、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを原料とした、熱可塑性樹脂の不織布を好適に使用することができる。不織布としては、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。
また、外装体12F,12Bの総目付けは20〜60g/m2程度であるのが好ましい。
(伸縮領域)
外装体12F,12Bには、装着者の胴周りに対するフィット性を高めるために、外側シート層12S及び内側シート層12H間に糸ゴム等の細長状の弾性伸縮部材15〜18が所定の伸長率で取り付けられ、胴周り方向に伸縮する伸縮領域A2が形成されている。弾性伸縮部材15〜18としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。
外装体12F,12Bにおける外側シート層12S及び内側シート層12Hの貼り合わせや、その間に挟まれる弾性伸縮部材15〜18の固定には、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段の少なくとも一方を用いることができる。伸縮領域A2における外側シート層12S及び内側シート層12Hに対する弾性伸縮部材15〜18の固定部位は、その収縮により伸縮領域A2が幅方向に収縮される限り適宜定めれば良く、したがって、弾性伸縮部材15〜18の少なくとも幅方向両端部が固定される限り、図2に示すように幅方向全体にわたり固定されていても良く、図8に示すように幅方向両端部のみ固定されていても良い。図8に示す形態では、スロットコートや、パターンコート(凸版方式でのホットメルト接着剤の転写)により内側シート層12H及び外側シート層12Sのいずれか一方に塗布したホットメルト接着剤H1により弾性伸縮部材15〜18を固定し、必要に応じて弾性伸縮部材15〜18の通過位置以外で別途の図示しないホットメルト接着剤又は溶着により内側シート層12H及び外側シート層12Sを接合する構造となっている。これ以外の図示形態では、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段により弾性伸縮部材15〜18の外周面にのみホットメルト接着剤H1を塗布して両シート層12S,12H間に挟むことにより、当該弾性伸縮部材15〜18の外周面に塗布したホットメルト接着剤H1のみで、両シート層12S,12Hへの弾性伸縮部材15〜18の固定と、両シート層12S,12H間の固定とを行う構造となっている。
弾性伸縮部材15〜18の配置は伸縮領域A2が設けられる限り特に限定されないが、図示形態についてより詳細に説明すると以下のとおりである。すなわち、外装体12F,12Bのウエスト部Wにおける外側シート層12S及び内側シート層12H間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数のウエスト部弾性伸縮部材18が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で取り付けられている。また、ウエスト部弾性伸縮部材18のうち、ウエスト下方部Uに隣接する領域に配設される1本又は複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。このウエスト部弾性伸縮部材18としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸長率150〜400%、特に220〜320%程度で取り付けるのが好ましい。また、ウエスト部弾性伸縮部材18は、その全てを同じ太さと伸長率にする必要はなく、例えばウエスト部Wの上部と下部で太さと伸長率が異なるようにしてもよい。
また、外装体12F,12Bのウエスト下方部Uにおける外側シート層12S及び内側シート層12H間には、細長状の弾性伸縮部材からなるウエスト下方部弾性伸縮部材15,17が複数本、上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で取り付けられている。
ウエスト下方部弾性伸縮部材15,17としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸長率200〜350%、特に240〜300%程度で取り付けるのが好ましい。
また、後側外装体12Bの臀部カバー部14における外側シート層12S及び内側シート層12H間には、細長状の弾性伸縮部材からなるカバー部弾性伸縮部材16が複数本、上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で取り付けられている。
カバー部弾性伸縮部材16としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸長率150〜300%、特に180〜260%で取り付けるのが好ましい。
前側外装体12Fに鼠径カバー部を設ける場合には同様にカバー部弾性伸縮部材を設けることができる。
(非伸縮領域)
図示形態のウエスト下方部Uや臀部カバー部14のように、吸収体56を有する前後方向範囲に弾性伸縮部材15〜17を設ける場合には、その一部又は全部において吸収体56の幅方向の収縮を防止するために、吸収体56を有する前後方向範囲において吸収体56と幅方向に重なる部分の一部又は全部を含む幅方向中間(好ましくは内外固定部201の全体を含む)が非伸縮領域A1とされ、その幅方向両側が幅方向全体にわたり伸縮領域A2とされる。
非伸縮領域A1は、伸縮領域A2から連続する内側シート層12H及び外側シート層12Sと、これら内側シート層12H及び外側シート層12S間に介在された、外面から視認可能な表示シート25、並びに伸縮領域A2の弾性伸縮部材から連続する切断残部、及び両方の伸縮領域A2の弾性伸縮部材と連続しない弾性伸縮部材の切断片の少なくとも一方からなる不要弾性伸縮部材19とを有している。また、非伸縮領域A1の幅方向両側部が、表示シート25の側方にはみ出し、かつ内側シート層12H及び外側シート層12S間に他のシートを有しないシート非介在領域A3となっている。
本パンツタイプ使い捨ておむつの製造における外装体12の形成に際しては、図14に示すように、非伸縮領域A1となる部分における内側シート層12H及び外側シート層12S間に表示シート25を配置し、伸縮領域A2となる部分、非伸縮領域A1となる部分、表示シート25と重なる部分及びシート非介在領域A3となる部分を連続的に通るように、内側シート層12H及び外側シート層12S間に細長状の弾性伸縮部材15〜18を配置する。この際、伸縮領域A2となる部分の少なくとも両端部で弾性伸縮部材15〜18をホットメルト接着剤H1を介して内側シート層12H及び外側シート層12Sに対して固定し、非伸縮領域A1となる部分では弾性伸縮部材15〜18を内側シート層12H及び外側シート層12Sに対して非固定とする。しかる後、非伸縮領域A1で内側シート層12Hの内側及び外側シート層12Sの外側から挟んで加圧及び加熱することにより弾性伸縮部材15〜17を切断する。この切断により、製品においては加圧及び加熱した部分には切断痕跡22(圧縮痕跡や溶融痕跡)が残る。また、非伸縮領域A1に残る弾性伸縮部材15〜18が、収縮しつつ内側シート層12H及び外側シート層12Sに対して移動する結果、自然長又はそれに近い状態の不要弾性伸縮部材19となり、非伸縮領域A1に伸縮性が生まれないこととなる。なお、弾性伸縮部材(不要弾性伸縮部材含む)15〜19が非固定であることには、弾性伸縮部材15〜19が内側シート層12H及び外側シート層12Sに対して移動可能(内側シート層12H及び外側シート層12Sを伴わずに収縮可能)である状態全般を意味し、弾性伸縮部材15〜19が内側シート層12H及び外側シート層12Sに対して接着等されていないことの他、後述のズレ止めホットメルト接着剤H2のように、弾性伸縮部材15〜19が内側シート層12H及び外側シート層12Sに対して弱く接着されているだけで収縮力により内側シート層12H及び外側シート層12Sに対して移動可能な場合も含まれる。
図示しないが、このようにして形成された外装体12F,12Bの連続体に対して、別途製造される内装体を順次取り付け、その前後を重ねるように折り畳んだ後に、個々のおむつとなる部分の境界の両側にサイドシール部12Aを形成し、さらにその境界で切断することにより、パンツタイプ使い捨ておむつを製造することができる。
図14は、外装体12F,12Bの形成における弾性伸縮部材15〜17の切断工程を示しており、所定の切断パターンに形成された切断凸部72を有する加圧部71を外周面に備え、切断凸部72が所望の温度に加熱されるシールロール70と、これに対向配置された表面平滑なアンビルロール80とにより、内側シート層12H及び外側シート層12S間に表示シート25及び弾性伸縮部材15〜18を取り付けた切断対象を、内側シート層12Hがシールロール側(反対側としても良い)となるように挟み、切断凸部72とアンビルロール80の外周面との間に挟まれる部位のみ弾性伸縮部材15〜17を加圧及び加熱して切断するものである。弾性伸縮部材15〜17を切断するための加熱温度(切断凸部の温度)は、弾性伸縮部材15〜17を確実に切断できる限り適宜定めれば良いが、製造ラインが高速であっても弾性伸縮部材15〜17を確実に切断し、かつ弾性伸縮部材15〜17の切断部が周囲部材に付着しないようにするためには、弾性伸縮部材15〜17の融点よりは低温であるが十分に高温とすることが好ましい。例えば、外側シート層12S及び内側シート層12Hに使用される不織布の融点は160〜175℃程度であり、弾性伸縮部材15〜17の融点は200〜230℃程度である場合、加熱温度は180〜200℃とすることができる。
特徴的には、図9〜図13に示すように、切断位置CPがシート非介在領域A3となる部分とされ、表示シート25と重なる領域では弾性伸縮部材15〜17が切断されないような切断パターンが採用されている。このような切断パターンで弾性伸縮部材15〜17の切断を行うと、表示シート25と重なる領域に切断痕跡22が無く、シート非介在領域A3に切断痕跡22が残ることとなる。このように、非伸縮領域A1における弾性伸縮部材15〜17の切断位置CPが、表示シート25や他のシートが無いシート非介在領域A3であると、表示シート25と対応する前後方向範囲及びその前後少なくとも一方側と対応する前後方向範囲に切断対象の弾性伸縮部材15〜17が位置する場合であっても、加圧対象の厚み、つまり切断対象に対する圧力が前後方向に均一となる。よって、外装体12の非伸縮領域A1における内側シート層12H及び外側シート層12S間に表示シート25を介在させる形態であっても、弾性伸縮部材15〜17の切り残しが発生しにくくなる。また、表示シート25を有する領域に切断痕跡22が残らないため、表示シート25の見栄えも良好となる。
シート非介在領域A3の幅は切断痕跡22の幅又は切断凸部の幅より広い限り特に限定されないが、特に切断位置CPの精度を考慮すると3〜10mm程度とすることが好ましい。
切断パターン(切断痕跡22)は特に限定されず、図13に示すように前後方向に間欠的なパターンとすることもできるが、図2、図8、及び図9〜図12に示すように前側外装体12F及び後側外装体12Bの各側において、少なくとも最もウエスト側の弾性伸縮部材15〜17の切断位置から最も股間側の弾性伸縮部材15〜17の切断位置まで前後方向に連続する線状パターンであると好ましい。このような線状パターンとしては、図示形態のような直線状とする他、図示しないが曲線状や波線状のパターンとすることもできる。直線状のパターンとしては、図9、図10及び図12に示すようにウエスト開口側が幅方向外側に傾斜する等、前後方向に対して傾斜した直線状パターンとする他、図11に示すように前後方向に沿う直線状とすることもできる。
弾性伸縮部材15〜17の切断位置CPは、図9〜図11及び図13に示すように非伸縮領域A1の幅方向両端部とする他、図12に示すように幅方向いずれか一方の端部のみとすることもできる。前者の形態では、シート非介在領域A3は表示シート25の幅方向両側に設ける必要があるのに対して、後者の形態では表示シート25の切断位置CP側に設けるだけでも、また表示シート25の幅方向両側に設けても良い。また、前者の形態では、図示のように非伸縮領域A1の幅方向中間に、幅方向両側の伸縮領域A2の弾性伸縮部材15〜17と連続せずに不要弾性伸縮部材19が収縮状態で残ることとなり、後者の形態では、図示のように切断側と反対側の伸縮領域A2の弾性伸縮部材15〜17から連続する不要弾性伸縮部材19が収縮状態で残ることとなる。
弾性伸縮部材15〜17の切断時には、弾性伸縮部材15〜17が自身に加わる圧力から逃げようとするため、弾性伸縮部材15〜17の位置がずれるおそれがある。また、弾性伸縮部材15〜17の切断時に、伸縮領域A2側の切断端部が伸縮領域A2に向かって収縮し、引き込まれる際、その引き込み力により、伸縮領域A2の端部における弾性伸縮部材15〜17の固定が外れるおそれもある。そこで、図9〜図13の(c)に示すように、弾性伸縮部材15〜17の切断に先立ち、切断位置CPとなる部分を含む部位で弾性伸縮部材15〜17をズレ止めホットメルト接着剤H2を介して内側シート層12H及び外側シート層12Sに対してズレ止めした後、図9〜図13の(c)に示すように、ズレ止めホットメルト接着剤H2の幅方向中間部で弾性伸縮部材15〜17の切断を行い、弾性伸縮部材15〜17をその収縮力によりズレ止めホットメルト接着剤H2の接着力に抗して収縮させることが望ましい。
ズレ止めホットメルト接着剤H2は、切断位置CPとなる部分を含む限り、その幅は限定されず、図9及び図12に示すように非伸縮領域A1の幅方向全体にわたるように塗布する他、図10及び図11に示すように非伸縮領域A1の幅方向両端部のみとすることもできる。図13に示すようにズレ止めホットメルト接着剤H2は省略することもできる。
他方、前側外装体12F及び後側外装体12Bが前後方向に離間されている形態では、柔軟性を重視して内側シート層12H及び外側シート層12S間の接合や、弾性伸縮部材15〜17の内側シート層12H及び外側シート層12Sに対する固定を省略したり、弱くしたりすると、内側シート層12H及び外側シート層12Sの隙間12iが股間側に開口してしまい、見栄えが悪化するだけでなく、不要弾性伸縮部材19が開口からはみ出したり、抜け出たりするおそれもある。特に、表示シート25の幅方向両側で弾性伸縮部材15〜17の切断を行うと、不要弾性伸縮部材19は、両方の伸縮領域A2の弾性伸縮部材15〜17と連続しない切断片のみからなることとなり、伸縮領域A2及び非伸縮領域A1の境界がはっきりとし、見栄えが良好となる一方で、不要弾性伸縮部材19が開口からはみ出したり、抜け出たりしやすくなる。
そこで、図2、図5、図8、図9〜11及び図13に示すように、不要弾性伸縮部材19の股間側(製造時には非伸縮領域A1となる部分の股間側)で、内側シート層12Hの内側及び外側シート層12Sの外側から挟んで加圧及び加熱し、内側シート層12H及び外側シート層12Sの溶着により溶着部23を形成することも提案される。このような溶着部23を有していると、内側シート層12H及び外側シート層12Sの隙間12iが股間側に開口しなくなり、又は開口するとしても開口が小さくなり、見栄えや装着感の悪化、及び不要弾性伸縮部材19のはみ出しや抜け出しを防止できるため好ましい。溶着部23は図13に示すように間欠的に形成されていても良いが、前述の効果をより確実なものとするためには、図9等に示すように連続的とするのが好ましい。
特に図9等に示すように、一方のシート非介在領域A3となる部分から非伸縮領域A1となる部分の股間側を経て他方のシート非介在領域A3となる部分までU字状に連続的に、内側シート層12Hの内側及び外側シート層12Sの外側から挟んで加圧及び加熱することにより、弾性伸縮部材15〜17の切断とともに、内側シート層12H及び外側シート層12Sを溶着するのはひとつの好ましい形態である。このようなU字状パターンで溶着すること(切断痕跡22も同様となる)により、弾性伸縮部材15〜17の切断と不要弾性伸縮部材19の股間側の溶着とを同時に行うことができるだけでなく、不要弾性伸縮部材19を囲む接合部を形成することができ、不要弾性伸縮部材19のはみ出しや抜け出しをより効果的に防止することができる。また、弾性伸縮部材15〜17の切り残しも発生しにくいものとなる。
溶着部23の幅は適宜定めることができるが、0.5〜2.0mm程度とすることができる。溶着及び切断における加圧幅(切断凸部の幅)は、この幅と同様とすることができる。
(ホットメルト接着剤)
弾性伸縮部材の固定用のホットメルト接着剤H1及びズレ止めホットメルト接着剤H2としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、オレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在し、特に限定無く使用できる。ズレ止めホットメルト接着剤H2は、固定用のホットメルト接着剤H1と同じ性質のものを薄く塗布するだけでも良いが、特に保持力が低いものが好ましく、例えば保持力が30〜90分のものが好ましい。また、一般に溶融粘度の低いホットメルト接着剤は保持力が低いため、ズレ止めホットメルト接着剤H2は、温度140℃における溶融粘度が3,000〜7,000mpas、温度160℃における溶融粘度が1,000〜4,000mpasのものが好ましい。このような要件を満たすズレ止めホットメルト接着剤H2はホットメルト接着剤メーカーから容易に入手することができる。
(表示シート)
前側外装体12F及び後側外装体12Bの少なくとも一方における非伸縮領域A1には、外側シート層12S及び内側シート層12Hの間に、キャラクター等の表示を有する表示シート25が介在されており、この表示シート25の表示が外側シート層12Sを介して透けて見えるようになっている。表示シート25は、図9〜図12に示すように、外側シート層12Sの内側に隣接するように(外側シート層12Sと後述する不要弾性伸縮部材19との間)に配置されていても、反対に図13に示すように、内側シート層12Hの外側に隣接するように(内側シート層12Hと後述する不要弾性伸縮部材19との間)に配置されていても良い。
表示シート25の基材は特に限定されないが、厚みが50〜200μm、密度が50〜400kg/m3のクレープ紙が好適である。このクレープ紙の厚みは100〜150μmであると好ましく、密度は100〜200kg/m3であると好ましい。このような厚み及び密度のクレープ紙は、目付け10g/m2以上でクレープ率を10%前後とすることにより製造することができる。なお、密度は、目付け及び厚みから算出することができる。また、クレープ率とは、((ヤンキードライヤーの周速)−(巻き取りリールの周速))/(ヤンキードライヤーの周速)×100(%)で算出される値である。
表示シート25に付加される表示は特に限定されず、装飾のための模様(絵やワンポイントのキャラクター含む)、使用方法や使用補助、サイズ等の機能表示、あるいは製造者や製品名、特徴的機能等の標章表示等の表示を、印刷等により付加することができる。
また、表示シート25に対する不要弾性伸縮部材19の収縮力の影響を完全に無くすために、不要弾性伸縮部材19は表示シート25の内側面及び内側シート層12Hの外側面に非固定とされることが望ましい。さらに、表示シート25の内側面、不要弾性伸縮部材19及び内側シート層12Hの外側面を互いに非固定としてもよい。すなわち、表示シート25は不要弾性伸縮部材19を有しない側のシート層(図示形態では内側シート層12H)に対してホットメルト接着剤等の固定手段により固定することができるが、不要弾性伸縮部材19は隣接部材(表示シート25、内側シート層12H及び外側シート層12S)に対して非固定(前述定義参照)とする。これにより、不要弾性伸縮部材19が単独で収縮し、表示シート25が収縮しなくなる。このような構造は、製造の際、弾性伸縮部材15〜17のうち非伸縮領域A1に位置する部位はホットメルト接着剤を塗布しない等により、表示シート25の内側面及び内側シート層12Hの外側面に固定しないことで構築することができる。
ただし、表示シート25を不要弾性伸縮部材19を有する側のシート層(図示形態では内側シート層12H)に全く接着しないと、内部に連続的な隙間が形成されるようになるため、表示シート25が不要弾性伸縮部材19を有する側のシート層から浮いた状態になり、意図しない皺が形成される等、見栄えに影響するおそれがある。これに対して、前述のずれ止めホットメルト接着剤を有すると、当該ズレ止めホットメルト接着剤による接着作用によりこのような隙間の形成が防止されることとなる。
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「前後(縦)方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味する。
・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を相対湿度10〜25%、温度50℃を超えない環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から米坪板(200mm×250mm、±2mm)を使用し、200mm×250mm(±2mm)の寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、20倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES−G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:10gf/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。
・「吸水量」は、JIS K7223−1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
・「吸水速度」は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
・ホットメルト接着剤の「保持力」は、以下のようにして測定されるものである。すなわち、図15に示すように、25μm厚のPETフィルムを用意し、長さ100mm×幅25mmの2枚の長方形のPETフィルム401の長手方向の端部(長手方向の一端から25mmの部分)同士を、測定対象のホットメルト接着剤層402を介して接着した試験片400を作製する。試験片400の接着部分403は25mm×25mmとなる。このホットメルト接着剤層402はスロット塗布により20g/m2の厚みで塗布し、接着後、接着部分403の上から2kgのローラーを1往復させて圧着させた後、試験片400を常温(23℃)下で16時間放置し、さらに図16に示すように試験片400の両端部のPETフィルム401を、厚み方向にネジで締め付けるつかみ具404でつかみ、接着部分403に力が加わらないように、クリープ試験機(恒温槽)内に40℃で2時間放置する。その後、クリープ試験機内に、図16に示すように一方のつかみ具404を上にして吊り下げ、他方のつかみ具404に錘405を吊るし、錘405及び錘側のつかみ具404の合計で1kgの鉛直荷重をかけ、荷重をかけ始めた時から接着部分403が完全に剥がれ、錘405側のPETフィルムが剥がれ落ちるまでの時間を測定する。測定は120分までとし、120分経過までに錘が落下しなかったときには測定結果は「120分超」とする。以上の測定を3回行い、測定結果の平均値を保持力(分)とする。3回の測定結果に、120分超が1回、120分以下が2回あったときには、120分以下の2回の測定結果の平均値を保持力とし、120分超が2回、120分以下が1回あったときには、120分以下の1回の測定結果を保持力とし、3回とも120分超のときには保持力は120分超とする。
・「ループタック粘着力」は、次のように測定される値を意味する。すなわち、ホットメルト接着剤を厚さが50μmのPET板上に50μmの厚みで塗布する。これを、幅25mm、長さ125mmの大きさに切取り、テープ状とした後、そのテープの両端を重ね合わせることでループ状とする。このループを、LT−100型ループタックテスター(ケムインストルメント社製)に固定した後、PE(ポリエチレン)板に対して、25mm×25mmの接着面積で、接着時間2秒で接着する。次いで、20℃で、引き剥がし速度300mm/分でループ状のテープを引き剥がし、最大の力を測定し、ループタック粘着力とする。
・「溶融粘度」は、JIS Z 8803に従い、ブルックフィールドB型粘度計(スピンドルNo.027)を用いて、規定の温度で測定されるものである。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内で行うものとする。
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
本発明は、上記例等のパンツタイプ使い捨ておむつに利用できるものである。
A1…非伸縮領域、A2…伸縮領域、A3…シート非介在領域、H1…ホットメルト接着剤、H2…ズレ止めホットメルト接着剤、L…中間領域、LO…脚開口、T…胴周り領域、U…ウエスト下方部、W…ウエスト部、WO…ウエスト開口、11…液不透過性シート、12…外装体、12A…サイドシール部、12F…前側外装体、12B…後側外装体、12H…内側シート層、12S…外側シート層、12i…隙間、12r…ウエスト側折り返し部分、14…臀部カバー部、18…ウエスト部弾性伸縮部材、19…不要弾性伸縮部材、22…切断痕跡、23…溶着部、25…表示シート、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…立体ギャザー、62…ギャザーシート、200…内装体、201…内外固定部。
本発明は、デザイン等が印刷された表示シートを備えるパンツタイプ使い捨ておむつに関するものである。
パンツタイプ使い捨ておむつは、前身頃及び後身頃を個別又は一体的に構成する外装体と、前身頃から後身頃にわたるように外装体の内面に対して取り付けられた、吸収体を含む内装体とを備え、前身頃の外装体の両側縁部と後身頃の外装体の両側縁部とが接合されてサイドシール部が形成されることにより、ウエスト開口及び左右一対の脚開口が形成されているものが一般的である。
このようなパンツタイプ使い捨ておむつでは、身体へのフィット性を向上させるために、外装体を複数のシート層を有する積層構造とするとともに、そのシート層間に、種々の弾性伸縮部材を伸長状態で取り付けることが行われており、中でも、サイドシール部と対応する前後方向範囲として定まる胴周り領域や、前後の胴周り領域の間に位置する中間領域に、幅方向に沿う細長状の弾性伸縮部材が前後方向に間隔を空けてそれぞれ幅方向に伸長された状態で取り付けられているものは、身体に対するフィット性が比較的に高いものとなっている(例えば特許文献1参照)。
胴周り領域や中間領域は、吸収体を有する前後方向範囲と重なるとともに、当該範囲に内装体を外装体に固定するための内外固定部がある。よって、この吸収体を有する前後方向範囲を横切るように弾性伸縮部材を設けても、その伸縮機能は吸収体の剛性により制限される。また、吸収体が幅方向に収縮して、装着感や見栄えを悪化させたり、吸収体のヨレや割れが発生し、吸収性能が低下したりするおそれもある。
このため、従来は、幅方向に沿って連続的に弾性伸縮部材を取り付けるとともに、その吸収体と重なる部分のほぼ全体を細かく切断するか、又は吸収体と重なる部分では弾性伸縮部材を外装体に非固定とするとともに、幅方向中間の1か所で切断することにより、吸収体に幅方向の収縮力が作用しない非伸縮領域を形成することが一般に採用されている。この切断手法としては、弾性伸縮部材の内外を覆う内側シート層及び外側シート層に孔が開かない手法の一つとして、内側シート層及び外側シート層間に弾性伸縮部材を挟んだ状態で、その内側や外側から切断部位を加圧及び加熱することにより弾性伸縮部材を切断する手法が知られている。
他方、外装体における非伸縮領域は、弾性伸縮部材の収縮力がほとんど作用せず、収縮皺がほとんど形成されないため、収縮皺が形成される部分と比較して光の透過性に優れる。よって、この部位における外装体のシート層間(特許文献1、2参照)に、絵柄等を付した表示シートを介在させていた。
表示シートは外装体の構成素材を透かして視認することになるため、表示がよりはっきりと視認できるという点では、外装体のシート層間に弾性伸縮部材とともに介在させることが望ましい。また、その場合には、表示シートと弾性伸縮部材とが隣接することになるため、弾性伸縮部材の収縮力の影響を完全に無くすためには、表示シートに対して弾性伸縮部材が非固定とされるか、又は固定が外れるように弱く固定することが好ましい。
しかしながら、この場合、外側シート層及び内側シート層間に弾性伸縮部材及び表示シートを配置した状態で弾性伸縮部材を切断する必要があるが、特許文献1、2記載のように表示シートを有する領域で弾性伸縮部材を加圧及び加熱により切断することには、以下のような問題点があった。
すなわち、切断対象となる弾性伸縮部材が全て表示シートと重なる領域を通る場合には問題とならないが、切断対象となる弾性伸縮部材の一部が表示シートと重ならない領域を通る場合には、加圧対象の厚みが表示シート分だけ異なることにより、表示シートと重ならない領域における弾性伸縮部材に加わる圧力がわずかに弱くなり、当該弾性伸縮部材が切断されないこと、つまり表示シートと重ならない領域に弾性伸縮部材の切り残しが発生することがあった。
このような弾性伸縮部材の切り残しは、切断時の圧力を増加することにより解決されるが、切断時の圧力を増加するとシート層が部分的に切断したり、切断痕跡がはっきりと残ったりするため好ましくない。
しかしながら、外装体として、前身頃を構成する前側外装体と、後身頃を構成する後側外装体とを個別に備え、かつ前側外装体及び後側外装体が前後方向に離間されている外装体分割構造では、柔軟性を重視して内側シート層及び外側シート層間の接合や、弾性伸縮部材の内側シート層及び外側シート層に対する固定を省略したり、弱くしたりすると、内側シート層及び外側シート層の隙間が股間側に開口してしまい、見栄えが悪化するだけでなく、不要弾性伸縮部材が開口からはみ出したり、抜け出たりするおそれがあった。
特開2004−298362号公報
特開2004−254861号公報
特開2010−158590号公報
そこで、本発明の主たる課題は、非伸縮領域に表示シートを有する外装体における、弾性伸縮部材の切り残しを防止することにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
前身頃を構成する前側外装体及び後身頃を構成する後側外装体を個別又は一体的に備え、前側外装体から後側外装体にかけて設けられた、吸収体を含む内装体とを備え、
前記前側外装体の両側部と前記後側外装体の両側部とがそれぞれ接合され、
ウエスト開口及び左右一対の脚開口が形成され、
前記前側外装体及び後側外装体の少なくとも一方は、前記吸収体を有する前後方向範囲に、幅方向中間に設けられた非伸縮領域と、この非伸縮領域の幅方向両側に設けられた伸縮領域とを有しており、
前記伸縮領域は、内側シート層と、外側シート層と、これら内側シート層及び外側シート層間に、前後方向に間隔を空けてそれぞれ幅方向に沿って伸長状態で取り付けられた複数本の細長状の弾性伸縮部材とを有する領域であり、
前記非伸縮領域は、前記伸縮領域から連続する内側シート層及び外側シート層と、これら内側シート層及び外側シート層間に介在された、外面から視認可能な表示シート、並びに前記伸縮領域の弾性伸縮部材から連続する切断残部、及び両方の前記伸縮領域の弾性伸縮部材と連続しない弾性伸縮部材の切断片の少なくとも一方からなる不要弾性伸縮部材とを有しており、
前記伸縮領域及び非伸縮領域が、前記表示シートと対応する前後方向範囲及びその前後少なくとも一方側と対応する前後方向範囲にわたり設けられている、
パンツタイプ使い捨ておむつにおいて;
前記非伸縮領域の側部が、前記表示シートの幅方向少なくとも一方にはみ出し、かつ前記内側シート層及び外側シート層間に他のシートを有しないシート非介在領域となっており、
前記表示シートと重なる領域に前記弾性伸縮部材の切断痕跡が無く、前記シート非介在領域に前記弾性伸縮部材の切断痕跡が残されている、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
本発明では、非伸縮領域における弾性伸縮部材の切断位置が、表示シートや他のシートが無いシート非介在領域となるため、表示シートと対応する前後方向範囲及びその前後少なくとも一方側と対応する前後方向範囲に切断対象の弾性伸縮部材が位置する場合であっても、加圧対象の厚み、つまり切断対象に対する圧力が前後方向に均一となる。よって、外装体の非伸縮領域における内側シート層及び外側シート層間に表示シートを介在させる形態であっても、弾性伸縮部材の切り残しが発生しにくくなる。また、表示シートを有する領域に弾性伸縮部材の切断痕跡が無いため、表示シートの見栄えも良好となる。
<請求項2記載の発明>
前記前側外装体及び後側外装体が前後方向に離間されており、
前記シート非介在領域は前記表示シートの幅方向両側にそれぞれ設けられ、前記切断痕跡は幅方向両側の前記シート非介在領域にそれぞれ設けられ、
前記不要弾性伸縮部材の股間側に、内側シート層及び外側シート層が溶着された溶着部を有している、
請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
この場合、表示シートの幅方向両側で弾性伸縮部材の切断を行うことになるため、不要弾性伸縮部材は、両方の伸縮領域の弾性伸縮部材と連続しない弾性伸縮部材の切断片のみからなることとなり、伸縮領域及び非伸縮領域の境界がはっきりとし、見栄えが良好となる。ただし、前側外装体及び後側外装体が前後方向に離間されている形態では、柔軟性を重視して内側シート層及び外側シート層間の接合や、弾性伸縮部材の内側シート層及び外側シート層に対する固定を省略したり、弱くしたりすると、内側シート層及び外側シート層の隙間が股間側に開口してしまい、見栄えが悪化するだけでなく、不要弾性伸縮部材が開口からはみ出したり、抜け出たりするおそれもある。これに対して、上述のように、不要弾性伸縮部材の股間側に、内側シート層及び外側シート層が溶着された溶着部を有していると、内側シート層及び外側シート層の隙間が股間側に開口しなくなり、又は開口するとしても開口が小さくなり、見栄えや装着感の悪化、及び不要弾性伸縮部材のはみ出しや抜け出しを防止できるため好ましい。
以上のとおり、本発明によれば、非伸縮領域に表示シートを有する外装体における、弾性伸縮部材の切り残しを防止できるようになる、等の利点がもたらされる。
パンツタイプ使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
パンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
図1の3−3断面図である。
図1の4−4断面図である。
(a)図1の5−5断面図、及び(b)図1の6−6断面図である。
パンツタイプ使い捨ておむつの斜視図である。
図1の5−5断面に相当する断面図である。
パンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
表示シート及びその近傍領域を示す(a)弾性伸縮部材切断後の平面図、(b)弾性伸縮部材切断後の断面図、及び(c)弾性伸縮部材切断前の断面図である。
表示シート及びその近傍領域を示す(a)弾性伸縮部材切断後の平面図、(b)弾性伸縮部材切断後の断面図、及び(c)弾性伸縮部材切断前の断面図である。
表示シート及びその近傍領域を示す(a)弾性伸縮部材切断後の平面図、(b)弾性伸縮部材切断後の断面図、及び(c)弾性伸縮部材切断前の断面図である。
表示シート及びその近傍領域を示す(a)弾性伸縮部材切断後の平面図、(b)弾性伸縮部材切断後の断面図、及び(c)弾性伸縮部材切断前の断面図である。
表示シート及びその近傍領域を示す(a)弾性伸縮部材切断後の平面図、(b)弾性伸縮部材切断後の断面図、及び(c)弾性伸縮部材切断前の断面図である。
切断工程を示す斜視図である。
保持力測定試験の試験片の説明図である。
保持力測定試験の説明図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。
図1〜図6は、パンツタイプ使い捨ておむつの一例100を示している。断面図における点模様部分はその表側及び裏側に位置する各構成部材を接合する接合手段としての接着剤を示しており、ホットメルト接着剤のベタ、ビード、カーテン、サミット若しくはスパイラル塗布、又はパターンコート(凸版方式でのホットメルト接着剤の転写)などにより、あるいは弾性伸縮部材の固定部分はこれに代えて又はこれとともにコームガンやシュアラップ塗布などの弾性伸縮部材の外周面への塗布により形成されるものである。ホットメルト接着剤としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、オレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在するが、特に限定無く使用できる。各構成部材を接合する接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段を用いることもできる。
本形態のパンツタイプ使い捨ておむつ100は、前身頃Fを構成する前側外装体12F及び後身頃Bを構成する後側外装体12Bと、前側外装体12Fから股間部を経て後側外装体12Bまで延在し、前側が前側外装体12Fに、及び後側が後側外装体12Bに固定された内装体200とを備えており、前側外装体12Fの両側部と後側外装体12Bの両側部とが接合されてサイドシール部12Aが形成され、外装体12F,12Bの前後端部により形成される開口が装着者の胴を通すウエスト開口WOとなり、内装体200の幅方向両側において外装体12F,12Bの下縁及び内装体200の側縁によりそれぞれ囲まれる部分が脚を通す脚開口LOとなっているものである。内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装体12は着用者の身体に対して内装体200を支えるための部分である。また、符号Yは展開状態におけるおむつの全長(前身頃Fのウエスト開口WOの縁から後身頃Bのウエスト開口WOの縁までの前後方向長さ)を示しており、符号Xは展開状態におけるおむつの全幅を示している。
また、本形態のパンツタイプ使い捨ておむつ100は、サイドシール部12Aを有する前後方向範囲(ウエスト開口WOから脚開口LOの上端に至る前後方向範囲)として定まる胴周り領域Tと、脚開口LOを形成する部分の前後方向範囲(前身頃Fのサイドシール部12Aを有する前後方向領域と後身頃Bのサイドシール部12Aを有する前後方向領域との間)として定まる中間領域Lとを有する。胴周り領域Tは、概念的にウエスト開口の縁部を形成する「ウエスト部」Wと、これよりも下側の部分である「ウエスト下方部」Uとに分けることができる。通常、胴周り領域T内に幅方向伸縮応力が変化する境界(例えば弾性伸縮部材の太さや伸長率が変化する)を有する場合は、最もウエスト開口WO側の境界よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなり、このような境界が無い場合は吸収体56又は内装体200よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなる。これらの前後方向の長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト部Wは15〜40mm、ウエスト下方部Uは65〜120mmとすることができる。一方、中間領域Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うようにコ字状又は曲線状に括れており、ここが装着者の脚を入れる部位となる。この結果、展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつは、全体として略砂時計形状をなしている。
(内装体)
内装体200は任意の形状とすることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3〜図5に示されるように、身体側となるトップシート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、トップシート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、トップシート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に設けられた、身体側に起立する立体ギャザー60を示している。
内装体200の外装体12F,12Bに対する固定は、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により行うことができる。図示形態では、内装体200の裏面、つまりこの場合は液不透過性シート11の裏面及び立体ギャザー60の取付部分65に塗布されたホットメルト接着剤により外装体12の内面に対して固定されている。この内装体200と外装体12F,12Bとを固定する内外固定部201は、両者が重なる領域のほぼ全体に設けることができ、通常は内装体の幅方向両端部を除いた部分に設けることが好ましい。
(トップシート)
トップシート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
立体ギャザー60を設ける場合、トップシート30の両側部は、液不透過性シート11と立体ギャザー60との間を通して、吸収要素50の裏側まで回り込ませ、液の浸透を防止するために、液不透過性シート11及び立体ギャザー60に対して接合するのが好ましい。
トップシート30は、裏側部材に対する位置ずれを防止する等の目的で、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により裏側に隣接する部材に固定することが望ましい。図示形態では、トップシート30はその裏面に塗布されたホットメルト接着剤により中間シート40の表面及び包装シート58のうち吸収体56の表側に位置する部分の表面に固定されている。
(中間シート)
トップシート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、トップシート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、トップシート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース、スパンボンド、SMS、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m2が好ましく、25〜60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.0〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
中間シート40は、裏側部材に対する位置ずれを防止する等の目的で、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により裏側に隣接する部材に固定することが望ましい。図示形態では、中間シート40はその裏面に塗布されたホットメルト接着剤により包装シート58のうち吸収体56の表側に位置する部分の表面に固定されている。
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。液不透過性シート11には、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。この他にも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
液不透過性シート11は、図示のように吸収要素50の裏側に収まる幅とする他、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回り込ませて吸収要素50のトップシート30側面の両側部まで延在させることもできる。この延在部の幅は、左右それぞれ5〜20mm程度が適当である。
また、液不透過性シート11の内側、特に吸収体56側面に、液分の吸収により色が変化する排泄インジケータを設けることができる。
(立体ギャザー)
立体ギャザー60は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、トップシート30上を伝わって横方向に移動する排泄物を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。本実施の形態の立体ギャザー60は、内装体200の側部から起立するように設けられ、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立するものである。
より詳細には、立体ギャザー60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザーシート62を幅方向に折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状のギャザー弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸長状態で、幅方向に間隔をあけて複数本固定してなるものである。立体ギャザー60のうち先端部と反対側に位置する基端部(幅方向においてシート折り返し部分と反対側の端部)は内装体200の側縁部の裏面に固定された取付部分65とされ、この取付部分65以外の部分は取付部分65から突出する突出部分66(折り返し部分側の部分)とされている。また、突出部分66は、幅方向中央側に向かう付け根側部分と、この付け根側部分の先端から幅方向外側に折り返された先端側部分とからなる。この形態は面接触タイプの立体ギャザーであるが、幅方向外側に折り返されない線接触タイプの立体ギャザー(図示略)も採用することができる。そして、突出部分66のうち前後方向両端部が倒伏状態でトップシート30の側部表面に対して固定された前後固定部67とされる一方で、これらの間に位置する前後方向中間部は非固定の自由部分68とされ、この自由部分68に前後方向に沿うギャザー弾性伸縮部材63が伸長状態で固定されている。
立体ギャザー60の自由部分68では、ギャザーシート62の内側層及び外側層の貼り合わせや、その間に挟まれるギャザー弾性伸縮部材63の固定に、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段の少なくとも一方を用いることができる。ギャザーシート62の内側層及び外側層の全面を貼り合わせると柔軟性を損ねるため、ギャザー弾性伸縮部材63の接着部以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。図示形態では、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段によりギャザー弾性伸縮部材63の外周面にのみホットメルト接着剤を塗布してギャザーシート62の内側層及び外側層間に挟むことにより、当該ギャザー弾性伸縮部材63の外周面に塗布したホットメルト接着剤のみで、ギャザーシート62の内側層及び外側層へのギャザー弾性伸縮部材63の固定と、ギャザーシート62の内側層及び外側層間の固定とを行う構造となっている。
また、立体ギャザー60に組み込まれる防水フィルム64とギャザーシート62との固定や、前後固定部67の内装体200の側部表面への固定に、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤、及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段の少なくとも一方を用いることができる。図示形態では、防水フィルム64の固定にホットメルト接着剤のスロット塗布を使用している。また、図示形態の前後固定部67の固定には、ホットメルト接着剤と素材溶着による手段を組み合わせているが、いずれか一方の手段のみで、これらの固定を行うこともできる。
ギャザーシート62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコーンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。ギャザー弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは470〜1240dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。なお、用語「伸長率」は自然長を100%としたときの値を意味する。また、図示のように、二つに折り重ねたギャザーシートの間に防水フィルム64を介在させることもできる。
立体ギャザー60の自由部分に設けられるギャザー弾性伸縮部材63の本数は2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。配置間隔60dは3〜10mmが適当である。このように構成すると、ギャザー弾性伸縮部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にもギャザー弾性伸縮部材63を配置しても良い。
立体ギャザー60の取付部分65の固定対象は、内装体200におけるトップシート30、液不透過性シート11、吸収要素50等適宜の部材とすることができる。
かくして構成された立体ギャザー60では、ギャザー弾性伸縮部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、突出部分66のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分とされているため、自由部分のみが図3に示すように身体側に当接するように起立する。特に、取付部分65が内装体200の裏面側に位置していると、股間部及びその近傍において立体ギャザー60が幅方向外側に開くように起立するため、立体ギャザー60が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。
立体ギャザー60の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、例えば図3に示すように、立体ギャザー60の起立高さ(展開状態における突出部分66の幅方向長さ)W6は15〜60mm、特に20〜40mmであるのが好ましい。また、立体ギャザー60をトップシート30表面と平行になるように、平坦に折り畳んだ状態において最も内側に位置する折り目間の離間距離W3は60〜190mm、特に70〜140mmであるのが好ましい。
なお、図示形態と異なり、内装体200の左右各側において立体ギャザーを二重に(二列)設けることもできる。
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、2.54cm当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
吸収体56は長方形形状でも良いが、図1及び図2にも示すように、前端部、後端部及びこれらの間に位置し、前端部及び後端部と比べて幅が狭い括れ部とを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体と立体ギャザー60の、脚周りへのフィット性が向上するため好ましい。
また、吸収体56の寸法は排尿口位置の前後左右にわたる限り適宜定めることができるが、前後方向及び幅方向において、内装体の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。なお、符号56Xは吸収体56の幅を示している。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子54としては、この種の使い捨ておむつに使用されるものをそのまま使用でき、例えば500μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が30重量%以下のものが望ましく、また、180μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が60重量%以上のものが望ましい。
高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が70秒以下、特に40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が遅すぎると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和する。
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。例えば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
包装シート58の包装形態は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻き付け、且つその前後縁部を吸収体56の前後からはみ出させ、巻き重なる部分及び前後はみ出し部分の重なり部分をホットメルト接着剤、素材溶着等の接合手段により接合する形態が好ましい。
(外装体)
外装体12F,12Bは、前身頃Fを構成する部分である前側外装体12Fと、後身頃Bを構成する部分である後側外装体12Bとからなり、前側外装体12F及び後側外装体12Bは股間側で連続しておらず、前後方向に離間されている。この離間距離12dは150〜250mm程度とすることができる。この離間部分における内装体200の裏面の露出部分の一部(例えば前側外装体12Fと後側外装体12Bとの間に露出する部分の前後方向全体にわたるが、内装体200の前後端まで延びず、また幅方向両側縁も内装体200の両側縁までは達しない程度)又は全体を覆うように、不織布等からなる股間部カバーシート12Mを貼り付けることが望ましいが、省略することもできる。また、図8に示すように、外装体12が、前身頃Fから後身頃Bにかけて股間を通り連続する一体的なものとすることもできる。つまり、前身頃F及び後身頃Bを個別に構成する外装体12F,12Bが前者の形態に相当し、前身頃F及び後身頃Bを一体的に構成する外装体12が後者の形態に相当する。
外装体12F,12Bは、胴周り領域Tと対応する前後方向範囲である胴周り部を有する。また、本形態では、前側外装体12Fには中間領域Lと対応する部分を有していないが、後側外装体12Bは胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る臀部カバー部14を有している。図示しないが、前側外装体12Fにも胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る鼠蹊カバー部を設けたり、鼠径カバー部は設けるものの臀部カバー部は設けない形態としたり、前側外装体12F及び後側外装体12Bの両方に中間領域Lと対応する部分を設けなくても良い。また、図示形態では、臀部カバー部14の下縁は、前側外装体12Fの下縁と同様、幅方向に沿う直線状に形成しているが、幅方向外側に向かうにつれてウエスト開口側に位置するようになる曲線とすることもできる。
外装体12F,12Bは、図3〜図5に示されるように、外側シート層12S及び内側シート層12Hをホットメルト接着剤や溶着等の接合手段により接合して形成されるものである。外側シート層12Sを形成するシート材及び内側シート層12Hを形成するシート材は、図5に示す形態のように個別のシート材とする他、図7に示す形態のように共通の一枚のシート材とすることもできる。すなわち、後者の場合、ウエスト側の縁(股間側の縁でも良い)で折り返された一枚のシート材の内側の部分及び外側の部分により内側シート層12H及び外側シート層12Sがそれぞれ形成される。なお、前者の形態では、シート材の折り返し工程が少ないため、内側シート層12H及び外側シート層12Sを貼り合わせる際にずれにくいという利点があり、後者の形態ではシート材の資材数が少ないという利点がある。
外側シート層12S及び内側シート層12Hを形成するシート材の端部や内装体200の前後端をウエスト開口WOに露出させると、シート材の角が肌に当たり肌触りが悪化するおそれや、後述するウエスト部W弾性伸縮部材やこれを固定するためのホットメルト接着剤が露出するおそれがある。よって、図5に示す形態のように、外側シート層12Sを形成するシート材を、内側シート層12Hを形成するシート材のウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返してウエスト側折り返し部分を形成し、このウエスト側折り返し部分12rを内装体200のウエスト側の端部上まで延在させるのは好ましい。
外側シート層12S及び内側シート層12Hに用いるシート材としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維や、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを原料とした、熱可塑性樹脂の不織布を好適に使用することができる。不織布としては、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。
また、外装体12F,12Bの総目付けは20〜60g/m2程度であるのが好ましい。
(伸縮領域)
外装体12F,12Bには、装着者の胴周りに対するフィット性を高めるために、外側シート層12S及び内側シート層12H間に糸ゴム等の細長状の弾性伸縮部材15〜18が所定の伸長率で取り付けられ、胴周り方向に伸縮する伸縮領域A2が形成されている。弾性伸縮部材15〜18としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。
外装体12F,12Bにおける外側シート層12S及び内側シート層12Hの貼り合わせや、その間に挟まれる弾性伸縮部材15〜18の固定には、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段の少なくとも一方を用いることができる。伸縮領域A2における外側シート層12S及び内側シート層12Hに対する弾性伸縮部材15〜18の固定部位は、その収縮により伸縮領域A2が幅方向に収縮される限り適宜定めれば良く、したがって、弾性伸縮部材15〜18の少なくとも幅方向両端部が固定される限り、図2に示すように幅方向全体にわたり固定されていても良く、図8に示すように幅方向両端部のみ固定されていても良い。図8に示す形態では、スロットコートや、パターンコート(凸版方式でのホットメルト接着剤の転写)により内側シート層12H及び外側シート層12Sのいずれか一方に塗布したホットメルト接着剤H1により弾性伸縮部材15〜18を固定し、必要に応じて弾性伸縮部材15〜18の通過位置以外で別途の図示しないホットメルト接着剤又は溶着により内側シート層12H及び外側シート層12Sを接合する構造となっている。これ以外の図示形態では、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段により弾性伸縮部材15〜18の外周面にのみホットメルト接着剤H1を塗布して両シート層12S,12H間に挟むことにより、当該弾性伸縮部材15〜18の外周面に塗布したホットメルト接着剤H1のみで、両シート層12S,12Hへの弾性伸縮部材15〜18の固定と、両シート層12S,12H間の固定とを行う構造となっている。
弾性伸縮部材15〜18の配置は伸縮領域A2が設けられる限り特に限定されないが、図示形態についてより詳細に説明すると以下のとおりである。すなわち、外装体12F,12Bのウエスト部Wにおける外側シート層12S及び内側シート層12H間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数のウエスト部弾性伸縮部材18が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で取り付けられている。また、ウエスト部弾性伸縮部材18のうち、ウエスト下方部Uに隣接する領域に配設される1本又は複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。このウエスト部弾性伸縮部材18としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸長率150〜400%、特に220〜320%程度で取り付けるのが好ましい。また、ウエスト部弾性伸縮部材18は、その全てを同じ太さと伸長率にする必要はなく、例えばウエスト部Wの上部と下部で太さと伸長率が異なるようにしてもよい。
また、外装体12F,12Bのウエスト下方部Uにおける外側シート層12S及び内側シート層12H間には、細長状の弾性伸縮部材からなるウエスト下方部弾性伸縮部材15,17が複数本、上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で取り付けられている。
ウエスト下方部弾性伸縮部材15,17としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸長率200〜350%、特に240〜300%程度で取り付けるのが好ましい。
また、後側外装体12Bの臀部カバー部14における外側シート層12S及び内側シート層12H間には、細長状の弾性伸縮部材からなるカバー部弾性伸縮部材16が複数本、上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で取り付けられている。
カバー部弾性伸縮部材16としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸長率150〜300%、特に180〜260%で取り付けるのが好ましい。
前側外装体12Fに鼠径カバー部を設ける場合には同様にカバー部弾性伸縮部材を設けることができる。
(非伸縮領域)
図示形態のウエスト下方部Uや臀部カバー部14のように、吸収体56を有する前後方向範囲に弾性伸縮部材15〜17を設ける場合には、その一部又は全部において吸収体56の幅方向の収縮を防止するために、吸収体56を有する前後方向範囲において吸収体56と幅方向に重なる部分の一部又は全部を含む幅方向中間(好ましくは内外固定部201の全体を含む)が非伸縮領域A1とされ、その幅方向両側が幅方向全体にわたり伸縮領域A2とされる。
非伸縮領域A1は、伸縮領域A2から連続する内側シート層12H及び外側シート層12Sと、これら内側シート層12H及び外側シート層12S間に介在された、外面から視認可能な表示シート25、並びに伸縮領域A2の弾性伸縮部材から連続する切断残部、及び両方の伸縮領域A2の弾性伸縮部材と連続しない弾性伸縮部材の切断片の少なくとも一方からなる不要弾性伸縮部材19とを有している。また、非伸縮領域A1の幅方向両側部が、表示シート25の側方にはみ出し、かつ内側シート層12H及び外側シート層12S間に他のシートを有しないシート非介在領域A3となっている。
本パンツタイプ使い捨ておむつの製造における外装体12の形成に際しては、図14に示すように、非伸縮領域A1となる部分における内側シート層12H及び外側シート層12S間に表示シート25を配置し、伸縮領域A2となる部分、非伸縮領域A1となる部分、表示シート25と重なる部分及びシート非介在領域A3となる部分を連続的に通るように、内側シート層12H及び外側シート層12S間に細長状の弾性伸縮部材15〜18を配置する。この際、伸縮領域A2となる部分の少なくとも両端部で弾性伸縮部材15〜18をホットメルト接着剤H1を介して内側シート層12H及び外側シート層12Sに対して固定し、非伸縮領域A1となる部分では弾性伸縮部材15〜18を内側シート層12H及び外側シート層12Sに対して非固定とする。しかる後、非伸縮領域A1で内側シート層12Hの内側及び外側シート層12Sの外側から挟んで加圧及び加熱することにより弾性伸縮部材15〜17を切断する。この切断により、製品においては加圧及び加熱した部分には切断痕跡22(圧縮痕跡や溶融痕跡)が残る。また、非伸縮領域A1に残る弾性伸縮部材15〜18が、収縮しつつ内側シート層12H及び外側シート層12Sに対して移動する結果、自然長又はそれに近い状態の不要弾性伸縮部材19となり、非伸縮領域A1に伸縮性が生まれないこととなる。なお、弾性伸縮部材(不要弾性伸縮部材含む)15〜19が非固定であることには、弾性伸縮部材15〜19が内側シート層12H及び外側シート層12Sに対して移動可能(内側シート層12H及び外側シート層12Sを伴わずに収縮可能)である状態全般を意味し、弾性伸縮部材15〜19が内側シート層12H及び外側シート層12Sに対して接着等されていないことの他、後述のズレ止めホットメルト接着剤H2のように、弾性伸縮部材15〜19が内側シート層12H及び外側シート層12Sに対して弱く接着されているだけで収縮力により内側シート層12H及び外側シート層12Sに対して移動可能な場合も含まれる。
図示しないが、このようにして形成された外装体12F,12Bの連続体に対して、別途製造される内装体を順次取り付け、その前後を重ねるように折り畳んだ後に、個々のおむつとなる部分の境界の両側にサイドシール部12Aを形成し、さらにその境界で切断することにより、パンツタイプ使い捨ておむつを製造することができる。
図14は、外装体12F,12Bの形成における弾性伸縮部材15〜17の切断工程を示しており、所定の切断パターンに形成された切断凸部72を有する加圧部71を外周面に備え、切断凸部72が所望の温度に加熱されるシールロール70と、これに対向配置された表面平滑なアンビルロール80とにより、内側シート層12H及び外側シート層12S間に表示シート25及び弾性伸縮部材15〜18を取り付けた切断対象を、内側シート層12Hがシールロール側(反対側としても良い)となるように挟み、切断凸部72とアンビルロール80の外周面との間に挟まれる部位のみ弾性伸縮部材15〜17を加圧及び加熱して切断するものである。弾性伸縮部材15〜17を切断するための加熱温度(切断凸部の温度)は、弾性伸縮部材15〜17を確実に切断できる限り適宜定めれば良いが、製造ラインが高速であっても弾性伸縮部材15〜17を確実に切断し、かつ弾性伸縮部材15〜17の切断部が周囲部材に付着しないようにするためには、弾性伸縮部材15〜17の融点よりは低温であるが十分に高温とすることが好ましい。例えば、外側シート層12S及び内側シート層12Hに使用される不織布の融点は160〜175℃程度であり、弾性伸縮部材15〜17の融点は200〜230℃程度である場合、加熱温度は180〜200℃とすることができる。
特徴的には、図9〜図13に示すように、切断位置CPがシート非介在領域A3となる部分とされ、表示シート25と重なる領域では弾性伸縮部材15〜17が切断されないような切断パターンが採用されている。このような切断パターンで弾性伸縮部材15〜17の切断を行うと、表示シート25と重なる領域に切断痕跡22が無く、シート非介在領域A3に切断痕跡22が残ることとなる。このように、非伸縮領域A1における弾性伸縮部材15〜17の切断位置CPが、表示シート25や他のシートが無いシート非介在領域A3であると、表示シート25と対応する前後方向範囲及びその前後少なくとも一方側と対応する前後方向範囲に切断対象の弾性伸縮部材15〜17が位置する場合であっても、加圧対象の厚み、つまり切断対象に対する圧力が前後方向に均一となる。よって、外装体12の非伸縮領域A1における内側シート層12H及び外側シート層12S間に表示シート25を介在させる形態であっても、弾性伸縮部材15〜17の切り残しが発生しにくくなる。また、表示シート25を有する領域に切断痕跡22が残らないため、表示シート25の見栄えも良好となる。
シート非介在領域A3の幅は切断痕跡22の幅又は切断凸部の幅より広い限り特に限定されないが、特に切断位置CPの精度を考慮すると3〜10mm程度とすることが好ましい。
切断パターン(切断痕跡22)は特に限定されず、図13に示すように前後方向に間欠的なパターンとすることもできるが、図2、図8、及び図9〜図12に示すように前側外装体12F及び後側外装体12Bの各側において、少なくとも最もウエスト側の弾性伸縮部材15〜17の切断位置から最も股間側の弾性伸縮部材15〜17の切断位置まで前後方向に連続する線状パターンであると好ましい。このような線状パターンとしては、図示形態のような直線状とする他、図示しないが曲線状や波線状のパターンとすることもできる。直線状のパターンとしては、図9、図10及び図12に示すようにウエスト開口側が幅方向外側に傾斜する等、前後方向に対して傾斜した直線状パターンとする他、図11に示すように前後方向に沿う直線状とすることもできる。
弾性伸縮部材15〜17の切断位置CPは、図9〜図11及び図13に示すように非伸縮領域A1の幅方向両端部とする他、図12に示すように幅方向いずれか一方の端部のみとすることもできる。前者の形態では、シート非介在領域A3は表示シート25の幅方向両側に設ける必要があるのに対して、後者の形態では表示シート25の切断位置CP側に設けるだけでも、また表示シート25の幅方向両側に設けても良い。また、前者の形態では、図示のように非伸縮領域A1の幅方向中間に、幅方向両側の伸縮領域A2の弾性伸縮部材15〜17と連続せずに不要弾性伸縮部材19が収縮状態で残ることとなり、後者の形態では、図示のように切断側と反対側の伸縮領域A2の弾性伸縮部材15〜17から連続する不要弾性伸縮部材19が収縮状態で残ることとなる。
弾性伸縮部材15〜17の切断時には、弾性伸縮部材15〜17が自身に加わる圧力から逃げようとするため、弾性伸縮部材15〜17の位置がずれるおそれがある。また、弾性伸縮部材15〜17の切断時に、伸縮領域A2側の切断端部が伸縮領域A2に向かって収縮し、引き込まれる際、その引き込み力により、伸縮領域A2の端部における弾性伸縮部材15〜17の固定が外れるおそれもある。そこで、図9〜図13の(c)に示すように、弾性伸縮部材15〜17の切断に先立ち、切断位置CPとなる部分を含む部位で弾性伸縮部材15〜17をズレ止めホットメルト接着剤H2を介して内側シート層12H及び外側シート層12Sに対してズレ止めした後、図9〜図13の(c)に示すように、ズレ止めホットメルト接着剤H2の幅方向中間部で弾性伸縮部材15〜17の切断を行い、弾性伸縮部材15〜17をその収縮力によりズレ止めホットメルト接着剤H2の接着力に抗して収縮させることが望ましい。
ズレ止めホットメルト接着剤H2は、切断位置CPとなる部分を含む限り、その幅は限定されず、図9及び図12に示すように非伸縮領域A1の幅方向全体にわたるように塗布する他、図10及び図11に示すように非伸縮領域A1の幅方向両端部のみとすることもできる。図13に示すようにズレ止めホットメルト接着剤H2は省略することもできる。
他方、前側外装体12F及び後側外装体12Bが前後方向に離間されている形態では、柔軟性を重視して内側シート層12H及び外側シート層12S間の接合や、弾性伸縮部材15〜17の内側シート層12H及び外側シート層12Sに対する固定を省略したり、弱くしたりすると、内側シート層12H及び外側シート層12Sの隙間12iが股間側に開口してしまい、見栄えが悪化するだけでなく、不要弾性伸縮部材19が開口からはみ出したり、抜け出たりするおそれもある。特に、表示シート25の幅方向両側で弾性伸縮部材15〜17の切断を行うと、不要弾性伸縮部材19は、両方の伸縮領域A2の弾性伸縮部材15〜17と連続しない切断片のみからなることとなり、伸縮領域A2及び非伸縮領域A1の境界がはっきりとし、見栄えが良好となる一方で、不要弾性伸縮部材19が開口からはみ出したり、抜け出たりしやすくなる。
そこで、図2、図5、図8、図9〜11及び図13に示すように、不要弾性伸縮部材19の股間側(製造時には非伸縮領域A1となる部分の股間側)で、内側シート層12Hの内側及び外側シート層12Sの外側から挟んで加圧及び加熱し、内側シート層12H及び外側シート層12Sの溶着により溶着部23を形成することも提案される。このような溶着部23を有していると、内側シート層12H及び外側シート層12Sの隙間12iが股間側に開口しなくなり、又は開口するとしても開口が小さくなり、見栄えや装着感の悪化、及び不要弾性伸縮部材19のはみ出しや抜け出しを防止できるため好ましい。溶着部23は図13に示すように間欠的に形成されていても良いが、前述の効果をより確実なものとするためには、図9等に示すように連続的とするのが好ましい。
特に図9等に示すように、一方のシート非介在領域A3となる部分から非伸縮領域A1となる部分の股間側を経て他方のシート非介在領域A3となる部分までU字状に連続的に、内側シート層12Hの内側及び外側シート層12Sの外側から挟んで加圧及び加熱することにより、弾性伸縮部材15〜17の切断とともに、内側シート層12H及び外側シート層12Sを溶着するのはひとつの好ましい形態である。このようなU字状パターンで溶着すること(切断痕跡22も同様となる)により、弾性伸縮部材15〜17の切断と不要弾性伸縮部材19の股間側の溶着とを同時に行うことができるだけでなく、不要弾性伸縮部材19を囲む接合部を形成することができ、不要弾性伸縮部材19のはみ出しや抜け出しをより効果的に防止することができる。また、弾性伸縮部材15〜17の切り残しも発生しにくいものとなる。
溶着部23の幅は適宜定めることができるが、0.5〜2.0mm程度とすることができる。溶着及び切断における加圧幅(切断凸部の幅)は、この幅と同様とすることができる。
(ホットメルト接着剤)
弾性伸縮部材の固定用のホットメルト接着剤H1及びズレ止めホットメルト接着剤H2としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、オレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在し、特に限定無く使用できる。ズレ止めホットメルト接着剤H2は、固定用のホットメルト接着剤H1と同じ性質のものを薄く塗布するだけでも良いが、特に保持力が低いものが好ましく、例えば保持力が30〜90分のものが好ましい。また、一般に溶融粘度の低いホットメルト接着剤は保持力が低いため、ズレ止めホットメルト接着剤H2は、温度140℃における溶融粘度が3,000〜7,000mpas、温度160℃における溶融粘度が1,000〜4,000mpasのものが好ましい。このような要件を満たすズレ止めホットメルト接着剤H2はホットメルト接着剤メーカーから容易に入手することができる。
(表示シート)
前側外装体12F及び後側外装体12Bの少なくとも一方における非伸縮領域A1には、外側シート層12S及び内側シート層12Hの間に、キャラクター等の表示を有する表示シート25が介在されており、この表示シート25の表示が外側シート層12Sを介して透けて見えるようになっている。表示シート25は、図9〜図12に示すように、外側シート層12Sの内側に隣接するように(外側シート層12Sと後述する不要弾性伸縮部材19との間)に配置されていても、反対に図13に示すように、内側シート層12Hの外側に隣接するように(内側シート層12Hと後述する不要弾性伸縮部材19との間)に配置されていても良い。
表示シート25の基材は特に限定されないが、厚みが50〜200μm、密度が50〜400kg/m3のクレープ紙が好適である。このクレープ紙の厚みは100〜150μmであると好ましく、密度は100〜200kg/m3であると好ましい。このような厚み及び密度のクレープ紙は、目付け10g/m2以上でクレープ率を10%前後とすることにより製造することができる。なお、密度は、目付け及び厚みから算出することができる。また、クレープ率とは、((ヤンキードライヤーの周速)−(巻き取りリールの周速))/(ヤンキードライヤーの周速)×100(%)で算出される値である。
表示シート25に付加される表示は特に限定されず、装飾のための模様(絵やワンポイントのキャラクター含む)、使用方法や使用補助、サイズ等の機能表示、あるいは製造者や製品名、特徴的機能等の標章表示等の表示を、印刷等により付加することができる。
また、表示シート25に対する不要弾性伸縮部材19の収縮力の影響を完全に無くすために、不要弾性伸縮部材19は表示シート25の内側面及び内側シート層12Hの外側面に非固定とされることが望ましい。さらに、表示シート25の内側面、不要弾性伸縮部材19及び内側シート層12Hの外側面を互いに非固定としてもよい。すなわち、表示シート25は不要弾性伸縮部材19を有しない側のシート層(図示形態では内側シート層12H)に対してホットメルト接着剤等の固定手段により固定することができるが、不要弾性伸縮部材19は隣接部材(表示シート25、内側シート層12H及び外側シート層12S)に対して非固定(前述定義参照)とする。これにより、不要弾性伸縮部材19が単独で収縮し、表示シート25が収縮しなくなる。このような構造は、製造の際、弾性伸縮部材15〜17のうち非伸縮領域A1に位置する部位はホットメルト接着剤を塗布しない等により、表示シート25の内側面及び内側シート層12Hの外側面に固定しないことで構築することができる。
ただし、表示シート25を不要弾性伸縮部材19を有する側のシート層(図示形態では内側シート層12H)に全く接着しないと、内部に連続的な隙間が形成されるようになるため、表示シート25が不要弾性伸縮部材19を有する側のシート層から浮いた状態になり、意図しない皺が形成される等、見栄えに影響するおそれがある。これに対して、前述のずれ止めホットメルト接着剤を有すると、当該ズレ止めホットメルト接着剤による接着作用によりこのような隙間の形成が防止されることとなる。
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「前後(縦)方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味する。
・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を相対湿度10〜25%、温度50℃を超えない環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から米坪板(200mm×250mm、±2mm)を使用し、200mm×250mm(±2mm)の寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、20倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES−G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:0.098N/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。
・「吸水量」は、JIS K7223−1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
・「吸水速度」は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
・ホットメルト接着剤の「保持力」は、以下のようにして測定されるものである。すなわち、図15に示すように、25μm厚のPETフィルムを用意し、長さ100mm×幅25mmの2枚の長方形のPETフィルム401の長手方向の端部(長手方向の一端から25mmの部分)同士を、測定対象のホットメルト接着剤層402を介して接着した試験片400を作製する。試験片400の接着部分403は25mm×25mmとなる。このホットメルト接着剤層402はスロット塗布により20g/m2の厚みで塗布し、接着後、接着部分403の上から2kgのローラーを1往復させて圧着させた後、試験片400を常温(23℃)下で16時間放置し、さらに図16に示すように試験片400の両端部のPETフィルム401を、厚み方向にネジで締め付けるつかみ具404でつかみ、接着部分403に力が加わらないように、クリープ試験機(恒温槽)内に40℃で2時間放置する。その後、クリープ試験機内に、図16に示すように一方のつかみ具404を上にして吊り下げ、他方のつかみ具404に錘405を吊るし、錘405及び錘側のつかみ具404の合計で1kgの鉛直荷重をかけ、荷重をかけ始めた時から接着部分403が完全に剥がれ、錘405側のPETフィルムが剥がれ落ちるまでの時間を測定する。測定は120分までとし、120分経過までに錘が落下しなかったときには測定結果は「120分超」とする。以上の測定を3回行い、測定結果の平均値を保持力(分)とする。3回の測定結果に、120分超が1回、120分以下が2回あったときには、120分以下の2回の測定結果の平均値を保持力とし、120分超が2回、120分以下が1回あったときには、120分以下の1回の測定結果を保持力とし、3回とも120分超のときには保持力は120分超とする。
・「ループタック粘着力」は、次のように測定される値を意味する。すなわち、ホットメルト接着剤を厚さが50μmのPET板上に50μmの厚みで塗布する。これを、幅25mm、長さ125mmの大きさに切取り、テープ状とした後、そのテープの両端を重ね合わせることでループ状とする。このループを、LT−100型ループタックテスター(ケムインストルメント社製)に固定した後、PE(ポリエチレン)板に対して、25mm×25mmの接着面積で、接着時間2秒で接着する。次いで、20℃で、引き剥がし速度300mm/分でループ状のテープを引き剥がし、最大の力を測定し、ループタック粘着力とする。
・「溶融粘度」は、JIS Z 8803に従い、ブルックフィールドB型粘度計(スピンドルNo.027)を用いて、規定の温度で測定されるものである。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内で行うものとする。
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
本発明は、上記例等のパンツタイプ使い捨ておむつに利用できるものである。
A1…非伸縮領域、A2…伸縮領域、A3…シート非介在領域、H1…ホットメルト接着剤、H2…ズレ止めホットメルト接着剤、L…中間領域、LO…脚開口、T…胴周り領域、U…ウエスト下方部、W…ウエスト部、WO…ウエスト開口、11…液不透過性シート、12…外装体、12A…サイドシール部、12F…前側外装体、12B…後側外装体、12H…内側シート層、12S…外側シート層、12i…隙間、12r…ウエスト側折り返し部分、14…臀部カバー部、18…ウエスト部弾性伸縮部材、19…不要弾性伸縮部材、22…切断痕跡、23…溶着部、25…表示シート、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…立体ギャザー、62…ギャザーシート、200…内装体、201…内外固定部。