JP2017131144A - 三次元細胞集合体作製用材料、三次元細胞集合体作製用組成物、三次元細胞集合体作製用セット、組成物収容容器、及び三次元細胞集合体の作製方法 - Google Patents

三次元細胞集合体作製用材料、三次元細胞集合体作製用組成物、三次元細胞集合体作製用セット、組成物収容容器、及び三次元細胞集合体の作製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】温度による粒径変化を抑え、かつ細胞毒性の少ない三次元細胞集合体作製用材料の提供。【解決手段】粒径変化率が異なる少なくとも2種のポリマーを含む三次元細胞集合体作製用材料である。前記少なくとも2種のポリマーが、コアを構成するポリマーと、前記コア表面を被覆するシェルを構成するポリマーと、を含み、前記コアを構成するポリマーと、前記シェルを構成するポリマーと、がコアシェル構造を有するポリマー粒子を形成する態様、前記シェルを構成するポリマーの粒径変化率が、前記コアを構成するポリマーの粒径変化率より大きい態様、前記コアを構成するポリマーが、コラーゲン、ゼラチン、プロテオグリカン、ヒアルロン酸、フィブロネクチン、ラミニン、テネイシン、エンタクチン、エラスチン、及びフィブリリンから選択される少なくとも1種である態様などが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、三次元細胞集合体作製用材料、三次元細胞集合体作製用組成物、三次元細胞集合体作製用セット、組成物収容容器、及び三次元細胞集合体の作製方法に関する。
近年、細胞培養技術の分野では、基体上に細胞を配し、生体外で作製した細胞シートを用いて損傷した生体組織の再生を誘導する方法が開発されている。
前記細胞シートは、水に対する上限臨界溶解温度が0℃以上80℃以下の範囲にあるポリマー又はオリゴマー、或いは水に対する下限臨界溶解温度が0℃以上80℃以下の範囲にあるポリマー又はオリゴマーを基体の表面に被覆し、前記ポリマー又はオリゴマー上において、細胞を培養し、上限臨界溶解温度以上又は下限臨界溶解温度以下の温度にすることにより、ゾル状態とゲル状態との間の相変化により前記細胞を前記基体から剥離することができる。
しかし、細胞の基体への付着力が強いため剥離が難しく、細胞を効率よく、かつ大量に培養することができないという問題がある。さらに、細胞を取り扱う上で、細胞への毒性が低いことが望まれているが、従来技術においては細胞への毒性の点から十分な検討がなされているものはない。
そこで、ビーズ表面に0℃以上80℃以下の温度範囲内で水和力が変化するポリマーを用いた温度応答性細胞培養用ビーズが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、粒子含有細胞集合体の作製に用いられるゼラチンハイドロゲル粒子が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、温度による粒径変化を抑え、かつ細胞毒性の少ない三次元細胞集合体作製用材料を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の三次元細胞集合体作製用材料は、粒径変化率が異なる少なくとも2種のポリマーを含む。
本発明によると、温度による粒径変化を抑え、かつ細胞毒性の少ない三次元細胞集合体作製用材料を提供することができる。
図1は、粒径変化率が異なる少なくとも2種のポリマーを含む三次元細胞集合体作製用組成物のゾル状態からゲル状態に相変化させた模式図である。 図2は、インクジェット吐出装置の一例を示す概略図である。 図3は、インクジェット吐出装置の他の一例を示す概略図である。 図4は、実施例1におけるコアシェル構造を有するポリマー粒子Aの粒度分布を示すグラフである。 図5Aは、下限臨界溶解温度が32℃であるシェルを構成するポリマーを含有する前記ポリマー粒子Aを含む三次元細胞集合体作製用組成物の25℃における状態を示す写真である。 図5Bは、下限臨界溶解温度が32℃であるシェルを構成するポリマーを含有する前記ポリマー粒子Aを含む三次元細胞集合体作製用組成物の37℃における状態を示す写真である。 図6は、三次元細胞集合体作製用組成物Aのせん断粘度と温度との関係を示すグラフである。 図7Aは、基体上に付与した細胞上にゾル状態の三次元細胞集合体作製用組成物を付与する模式図である。 図7Bは、基体上に配した細胞上に付与されたゾル状態の三次元細胞集合体作製用組成物をゲル化させて層を形成後、前記層上に細胞を付与する模式図である。 図7Cは、細胞、三次元細胞集合体作製用組成物、細胞をこの順に積層させた細胞積層体から、ゲル状態の三次元細胞集合体作製用組成物をゾル化し除去することで、三次元細胞集合体を得る模式図である。 図8は、実施例2で作製した三次元細胞集合体を蛍光共焦点顕微鏡にて観察した写真である。 図9は、実施例2で作製した三次元細胞集合体を実体顕微鏡にて観察した断面観察像である。
(三次元細胞集合体作製用材料)
本発明の三次元細胞集合体作製用材料は、粒径変化率が異なる少なくとも2種のポリマーを含み、必要に応じてその他の成分を含有してなる。
本発明の三次元細胞集合体作製用材料は、従来の温度応答性細胞培養用ビーズでは、温度による粒径変化率が大きいため、作製した三次元細胞集合体から除去することが困難であり、かつ細胞毒性があるという問題に基づくものである。また、従来のゼラチンハイドロゲル粒子では、温度応答性を有さないため細胞の精密かつ複雑な三次元細胞集合体を作製することができないという問題に基づくものである。
<ポリマー>
前記ポリマーは、粒径変化率が異なる少なくとも2種のポリマーを含み、粒径変化率が同じである異なる種類のポリマーを含んでいてもよい。
前記少なくとも2種のポリマーとしては、少なくとも1種のポリマーが温度により粒径変化するポリマー、いわゆる温度応答性ポリマーであることが好ましい。
前記温度応答性ポリマーとしては、三次元細胞集合体作製用組成物中に含有させた場合に、温度による粒径変化により、ゾル状態からゲル状態、又はゲル状態からゾル状態に相変化することが好ましい。なお、前記ポリマーは、例えば、GC−MS装置(装置名:QP2010、株式会社島津製作所製)を用いて同定することができる。
前記少なくとも2種のポリマーとしては、コアを構成するポリマーと、前記コア表面を被覆するシェルを構成するポリマーと、を含み、前記コアを構成するポリマーと、前記シェルを構成するポリマーと、がコアシェル構造を有するポリマー粒子を形成することが好ましい。なお、前記コアシェル構造とは、組成の異なる少なくとも2種のポリマーが粒子中に相分離して存在する形態を意味する。前記コアシェル構造は、シェルがコアを完全に被覆している形態のみならず、コアの一部を被覆しているものであってもよい。また、シェルのポリマーの一部がコア内にドメインなどを形成しているものであってもよい。コアとシェルとの間に、更に1層以上の組成の異なる層を含む3層以上の多層構造を持つものであってもよい。
また、前記コアシェル構造を有していることは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2004−051657号公報、一般財団法人材料科学技術振興財団のホームページ(http://www.mst.or.jp/case/eachcase/c0142.html)等に記載の方法などにより、分析することができる。
<<ポリマー粒子>>
前記ポリマー粒子の形状としては、前記ポリマーが細胞に過剰に吸着することを抑え、細胞への毒性を低くすることができる点から、例えば、真球状、半真球状等の球状;不定形状などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記コアシェル構造を有するポリマー粒子において、前記コアを構成するポリマーが温度応答性を有さず、前記シェルを構成するポリマーが温度応答性を有することが好ましい。
前記シェルを構成するポリマーの下限臨界溶解温度以下の場合の前記ポリマー粒子の体積平均粒径としては、遊離状態における細胞の体積平均粒径より小さいことが好ましく、1.0μm以下がより好ましく、0.50μm以下が特に好ましい。前記体積平均粒径が、1.0μm以下であると、ポリマー粒子が液体組成物中で沈降することがなく、インクジェットノズルから安定して吐出することが可能となる。
前記シェルを構成するポリマーの下限臨界溶解温度を超える場合の前記コアシェル構造を有するポリマー粒子の体積平均粒径としては、0.8μm以下が好ましく、0.4μm以下がより好ましい。前記体積平均粒径が、0.8μm以下であると、前記細胞と前記三次元細胞集合体作製用組成物とからなる積層体を作製し、細胞を培養した場合に、細胞間の距離を近くすることができ、細胞間の接着を阻害することがない。
前記体積平均粒径としては、濃厚系粒径アナライザー(商品名:FPAR−1000、大塚電子株式会社製)を用いて、下記のサンプル液の調製例により得られたサンプル液を用いて、以下の測定条件により測定することができる。
−サンプル液の調製例−
純水製造装置(商品名:GSH−2000、ADVANTEC社製)を用いて得られた純水に、合成した粉末状ポリマーを濃度0.5質量%で分散させる。測定用の液量は5mL、分散は20mm回転子をスターラーを用いて200rpm、約一日間撹拌することでサンプル液を調製することができる。
−測定条件−
・溶媒:水(屈折率:1.3314、25℃における粘度:0.884cP、NDフィルターにより最適光量調整は適宜設定)
・測定プローブ:濃厚用プローブ
・測定ルーチン:測定:25℃で180秒間→測定:25℃で600秒間(本体側を35℃に変更すると次第に液温が25℃から35℃になる。その間の粒子径変化をモニタ)→測定:35℃で180秒間
前記少なくとも2種のポリマーは、前記ポリマーの臨界溶解温度前後の温度において粒径変化を伴う。
前記少なくとも2種のポリマーとしては、例えば、上限臨界溶解温度を有するポリマー、下限臨界溶解温度を有するポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、細胞に負荷がかからない点から、下限臨界溶解温度を有するポリマーが好ましい。
前記下限臨界溶解温度は、前記ポリマーの曇点を、JIS K 7105法に準拠した全光線透過率測定方法に従い測定することにより算出することができる。
前記上限臨界溶解温度とは、組成物が臨界溶解温度以上の温度においてゾル状態となり、前記臨界溶解温度未満の温度においてゲル状態となる温度を意味する。
前記下限臨界溶解温度とは、組成物が臨界溶解温度以下の温度においてゾル状態となり、前記臨界溶解温度を超える温度においてゲル状態となる温度を意味する。
前記臨界溶解温度とは、組成物が温度の変化によりゾル状態とゲル状態との間を相変化するときの温度を意味する。
前記粒径変化としては、例えば、前記ポリマーが液体(分散媒)を吸収して粒径を増加する現象である膨潤などが挙げられる。この粒径変化の程度は、粒径変化率で表すことができ、前記粒径変化率としては、下限臨界溶解温度以下におけるポリマーの体積平均粒径が、下限臨界溶解温度を超える温度におけるポリマーの体積平均粒径に対して、200%以下が好ましく、150%以下がより好ましい。前記粒径変化率が、200%以下であると、三次元細胞集合体作製時において、三次元細胞集合体作製用組成物のゾル化により三次元細胞集合体の構造を破壊することなく、容易に前記ポリマーを三次元細胞集合体から除去することができる。
なお、前記ポリマーの下限臨界溶解温度よりも高い温度Aから下限臨界溶解温度以下の温度Bに温度を下げた場合、前記粒径変化率は以下の式により表すことができる。
粒径変化率(%)=(下限臨界溶解温度以下の温度Bにおけるポリマーの体積平均粒径/下限臨界溶解温度を超える温度Aにおけるポリマーの体積平均粒径)×100
前記少なくとも2種のポリマーとしては、細胞に対して毒性が少ないことが好ましい。
−コアを構成するポリマー−
前記コアシェル構造におけるコアを構成するポリマーとしては、温度による粒径変化率が少なく、かつ細胞毒性が少なければ特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コラーゲン、ゼラチン、プロテオグリカン、ヒアルロン酸、フィブロネクチン、ラミニン、テネイシン、エンタクチン、エラスチン、フィブリリンなどが挙げられる。これらの中でも、ゼラチンが好ましい。
前記コアを構成するポリマーの粒径変化率としては、10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。
なお、前記粒径変化率は、前記ポリマーと同様にして求めることができる。
前記シェルを構成するポリマーの下限臨界溶解温度以下の温度における前記コアを構成するポリマーの体積平均粒径としては、0.10μm以上0.5μm以下が好ましく、0.20μm以上0.30μm以下がより好ましい。
前記シェルを構成するポリマーの下限臨界溶解温度を超える温度における前記コアを構成するポリマーの体積平均粒径としては、0.10μm以上0.5μm以下が好ましく、0.20μm以上0.30μm以下がより好ましい。
前記体積平均粒径は、前記コアシェル構造を有するポリマー粒子の体積平均粒径と同様にして測定することができる。
−シェルを構成するポリマー−
前記コアシェル構造におけるシェルを構成するポリマーとしては、三次元細胞集合体作製用組成物中に含まれた場合、前記三次元細胞集合体作製用組成物が、温度変化により相変化するものである限り、その大きさ、形状、構造、材質等について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記シェルを構成するポリマーとしては、温度応答性ポリマーが好ましい。
前記シェルを構成するポリマーの下限臨界溶解温度としては、0℃以上50℃以下が好ましく、37℃にて細胞を培養する場合は、0℃以上35℃以下がより好ましい。前記下限臨界溶解温度が、0℃以上であると、細胞が過度に冷却されることがなく細胞に負荷がかからず、50℃以下であると、細胞が過度に熱せられることがなく、細胞に負荷がかからない。
前記下限臨界溶解温度は、前記シェルを構成するポリマーの曇点を、JIS K 7105法に準拠した全光線透過率測定方法に従い測定することにより算出することができる。
前記シェルを構成するポリマーの粒径変化率としては、前記コアを構成するポリマーの粒径変化率より大きいことが好ましく、前記コアを構成するポリマーの粒径変化率より大きく450%以下がより好ましく、前記コアを構成するポリマーの粒径変化率より大きく400%以下が特に好ましい。
なお、前記粒径変化率は、シェルを構成する前の前記シェルを構成するポリマーを用いて、前記ポリマーと同様にして求めることができる。
前記シェルを構成するポリマーの下限臨界溶解温度以下の温度における前記シェルを構成するポリマーの平均厚みとしては、0.05μm以上0.5μm以下が好ましく、0.10μm以上0.25μm以下がより好ましい。
前記シェルを構成するポリマーの下限臨界溶解温度を超える温度における前記シェルを構成するポリマーの平均厚みとしては、0.01μm以上0.10μm以下が好ましく、0.03μm以上0.07μm以下がより好ましい。
前記平均厚みは、下記式により算出することができる。
平均厚み(μm)=(コアシェル構造を有するポリマーの体積平均粒径(μm)−コアを構成するポリマーの体積平均粒径(μm))/2
前記シェルを構成するポリマーとしては、例えば、ポリイソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)、ポリジエチルアクリルアミド等のアルキルアクリルアミド重合体;ポリビニルメチルエーテル、オキシエチレンを側鎖に持つポリビニルエーテル;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記コアを構成するポリマー、及びシェルを構成するポリマーとしては、温度応答性ポリマー以外の親水性ポリマーを含んでいてもよい。シェルを構成するポリマーに、前記親水性ポリマーが含まれる場合は、コアシェル構造の表面は、温度応答性ポリマーにより形成されていることが好ましい。
前記温度応答性ポリマー以外の親水性ポリマーの重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1,000以上50,000以下が好ましく、2,000以上50,000以下がより好ましく、5,000以上50,000以下が特に好ましい。前記重量平均分子量が、1,000以上であると、親水性を向上させることができ、50,000以下であると、ポリマー自体が嵩高くなることを防止し、温度変化により相変化させることが容易になる。
前記重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いてテトラヒドロフラン可溶分を測定することにより求めることができる。
前記温度応答性ポリマー以外の親水性ポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリアクリル酸塩;ポリアクリルアミド;エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;メチルデンプン、エチルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、カルボキシメチルデンプン等のデンプン誘導体;アルギン酸プロピレングリコール等のアルギン酸誘導体;ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系ポリマーの誘導体;グアーガム、ローカストビーンガム、クインスシードガム、カラギーナン等の植物系ポリマーの誘導体;キサンタンガム、デキストラン、ヒアルロン酸、プルラン、カードランなどの微生物系ポリマーの誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
[コアシェル構造を有するポリマー粒子の製造方法]
前記ポリマー粒子を作製する方法としては、親水性ポリマーを粒子状にした後に、粒子分散液中で温度応答性モノマーを重合させることにより、親水性ポリマーコアに温度応答性ポリマーシェルが被覆した状態のものを得ることができる。
前記親水性ポリマーとしてゼラチンを粒子状にする方法としては、ゼラチン水溶液をアセトンやエタノール等の有機溶媒添加で微小化析出させるコアセルベーション法などが挙げられる。微小化したゼラチンはアルデヒド系架橋剤等の従来の架橋剤により微粒子化させることでコア粒子を得ることができる。前記コアセルベーション法に限らず、一般的なW/Oエマルション中の懸濁重合をはじめとする乳化重合により、親水性モノマーと架橋剤との重合により親水性コア粒子を得ることができる。前記親水性コア粒子が分散した液において、N−イソプロピルアクリルアミド等の下限臨界溶解温度を超える温度で不溶化するモノマーを重合させると、コア粒子上で温度応答性ポリマーが不溶化乃至析出して、結果としてコアシェル粒子が得られる。
(三次元細胞集合体作製用組成物)
前記三次元細胞集合体作製用組成物は、本発明の三次元細胞集合体作製用材料を含み、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
前記三次元細胞集合体作製用組成物としては、前記少なくとも2種のポリマーを含む三次元細胞集合体作製用材料を、温度変化により一の成分がコロイドなどの粒子の状態として三次元細胞集合体作製用組成物中に分散して流動性があるゾル状態と、せん断粘度が高く、流動性がないゲル状態との間を、ゾル状態からゲル状態又はゲル状態からゾル状態へと相変化させることができる。
前記ポリマーを含む三次元細胞集合体作製用組成物の状態を、前記ゾル状態から前記ゲル状態に相変化させることで細胞を固定させることができる。また、前記ポリマーを含む三次元細胞集合体作製用組成物の状態を、ゲル状態からゾル状態に相変化させることにより三次元細胞集合体から前記ポリマーを除去することが容易となる。前記ゾル状態からゲル状態への相変化としては、シェルを構成するポリマーの下限臨界溶解温度を超える温度に昇温させることにより行われることが好ましい。
前記ゾル状態と前記ゲル状態との間の相変化の変化点としては、例えば、前記ゾル状態から前記ゲル状態に相変化させた場合に、前記ポリマーが収縮又は前記ポリマー間において凝集体ネットワークを形成することによりせん断粘度が急激に上昇し、前記三次元細胞集合体作製用組成物の流動性が消失する点;前記ゲル状態から前記ゾル状態に相変化させた場合に、前記ポリマーが膨潤し、分散することによりせん断粘度が急激に降下し、前記三次元細胞集合体作製用組成物が流動性を得る点などが挙げられる。
図1は、粒径変化率が異なる少なくとも2種のポリマーを含む三次元細胞集合体作製用組成物のゾル状態からゲル状態に相変化させた模式図である。図1に示すように、例えば、基体1に付与される三次元細胞集合体作製用組成物Dは、三次元細胞集合体作製用組成物Dに含まれるポリマー2の下限臨界溶解温度以下の温度においてはゾル状態にあり、粘度も低く凝集せず、溶液中に流動的に存在している。基体1上に付与された三次元細胞集合体作製用組成物Dに対し、基体1をポリマー2の下限臨界溶解温度を超える温度に昇温すると、ゾル状態の三次元細胞集合体作製用組成物Dがゲル化し、流動性がなくなり、ゲル状態の三次元細胞集合体作製用組成物D’となり、擬集体ネットワークが形成され、前記ゲル状態の三次元細胞集合体作製用組成物D’を含有する層が形成される。前記層上に、さらに前記ゾル状態の三次元細胞集合体作製用組成物Dが付与され、上記同様にゲル化させて三次元細胞集合体作製用組成物D’に相変化させた層が積層される。これを複数回繰り返すことにより、ゲル状態の三次元細胞集合体作製用組成物D’を含有する層が複数層積層された三次元積層体を形成させることができる。なお、前記三次元細胞集合体作製用組成物Dと同様に、細胞を付与し、上記同様に三次元積層体を形成させることにより、三次元細胞集合体を形成させることができる。
前記ゾル状態の三次元細胞集合体作製用組成物のせん断粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1Pa・s以下が好ましく、0.01Pa・s以下がより好ましい。前記せん断粘度が、0.1Pa・s以下であると、三次元細胞集合体作製用組成物の粘度を低くすることができるため、インクジェット法に好適に用いることができる。
前記ゲル状態の三次元細胞集合体作製用組成物のせん断粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2Pa・s以上が好ましく、1Pa・s以上がより好ましく、10Pa・s以上が特に好ましい。前記せん断粘度が、0.2Pa・s以上であると、三次元細胞集合体作製用組成物の粘度を高くすることができるので、細胞固定化が可能となる。
前記せん断粘度としては、下記の測定方法により求めることができる。
三次元細胞集合体作製用組成物中のポリマーを濃度10質量%で純水に分散させ、121℃、20分間にて、高圧蒸気滅菌(商品名:MLS−3030、パナソニック株式会社製)を行う。その後、10体積%ウシ胎児血清(FBS、Gibco社製)、1質量%抗生物質(商品名:Antibiotic−Antimycotic Mixed Stock Solution(100×)、和光純薬工業株式会社製)を含むダルベッコ変法イーグル培地(和光純薬工業株式会社製)にて、滅菌した前記ポリマーを1質量%に希釈し、スターラー(商品名:ReximRS−4A、AsOne社製)を用いて分散させる。前記分散を確認後、レオメーター(商品名:MCR301、AntonPaar社製)にて液粘度の測定を行う。レオメーターによる測定は、25℃におけるせん断速度10(1/s)にて100秒間(10秒間毎に10点)測定後、37℃に昇温しながら、せん断速度0.1(1/s)にて100秒間(10秒間毎に10点)測定することにより求めることができる。
前記粒径変化の際、前記三次元細胞集合体作製用組成物は、異方的に変形するものや、等方的に変化するものもある。これらの中でも、剥離時に細胞が破損しやすくなることを防止する点から、前記粒径変化の際に前記三次元細胞集合体作製用組成物が特定方向のみに変形するものが好ましい。
前記ポリマー粒子としては、ゾル状態の三次元細胞集合体作製用組成物中に均一に分散されていることが好ましい。前記ポリマー粒子が、均一に分散されることにより、インクジェット法に好適に用いることができる。
前記ポリマーを含むゾル状の三次元細胞集合体作製用組成物をゲル状に相変化させる装置としては、公知の昇温装置を用いることができる。前記昇温装置としては、前記ポリマーの下限臨界溶解温度を超える温度に昇温させることができれば特に制限はなく、例えば、公知の培養プレート、インキュベーターなどが挙げられる。
前記ポリマーの含有量としては、基体上に配する前の三次元細胞集合体作製用組成物全量に対して、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上3質量%以下がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%以上であると、好適にゲル化ができ、10質量%以下であると、細胞への毒性を低くすることができる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、架橋剤、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤などが挙げられる。
(三次元細胞集合体作製用セット)
本発明の三次元細胞集合体作製用セットは、三次元細胞集合体作製用組成物と、細胞と、を有し、更に必要に応じてその他の成分を有してなる。
前記三次元細胞集合体作製用組成物としては、本発明の三次元細胞集合体作製用組成物を好適に用いることができる。
ゾル状態の三次元細胞集合体作製用組成物中のポリマー粒子における体積平均粒径としては、遊離状態における細胞の体積平均粒径よりも小さいことが好ましい。
<細胞>
前記細胞は、前記基体上に付与されることができれば、その種類等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、分類学的に、例えば、真核細胞、原核細胞、多細胞生物細胞、単細胞生物細胞を問わず、すべての細胞について使用することができる。
前記真核細胞としては、例えば、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、真菌などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、動物細胞が好ましく、前記細胞が三次元細胞集合体を形成する点から、細胞と細胞とが互いに接着し、物理化学的な処理を行わなければ単離しない程度の細胞接着性を有する接着性細胞がより好ましい。
前記接着性細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分化した細胞、分化前の細胞などが挙げられる。
前記分化した細胞としては、例えば、肝臓の実質細胞である肝細胞;星細胞;クッパー細胞;血管内皮細胞;類道内皮細胞、角膜内皮細胞等の内皮細胞;繊維芽細胞;骨芽細胞;砕骨細胞;歯根膜由来細胞;表皮角化細胞等の表皮細胞;気管上皮細胞;消化管上皮細胞;子宮頸部上皮細胞;角膜上皮細胞等の上皮細胞;乳腺細胞;ペリサイト;平滑筋細胞、心筋細胞等の筋細胞;腎細胞;膵ランゲルハンス島細胞;末梢神経細胞、視神経細胞等の神経細胞;軟骨細胞;骨細胞などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記接着性細胞は、組織や器官から直接採取した初代細胞でもよく、又はそれらを何代か継代させたものでもよい。
前記分化前の細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、未分化細胞である胚性幹細胞、多分化能を有する間葉系幹細胞等の多能性幹細胞;単分化能を有する血管内皮前駆細胞等の単能性幹細胞;分化が終了した細胞;iPS細胞などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記原核細胞としては、例えば、真正細菌、古細菌などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記遊離状態における細胞の体積平均粒径としては、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、20μm以下が特に好ましい。前記体積平均粒径が、100μm以下であれば、インクジェット法に好適に用いることができる。
なお、前記細胞の体積平均粒径としては、下記の測定方法で測定することができる。
インキュベーター内(商品名:KM−CC17RU2、パナソニック株式会社製、37℃、5%CO環境)において、1質量%抗生物質(Antibiotic−Antimycotic Mixed Stock Solution(100×)、和光純薬工業株式会社製)を含むダルベッコ変法イーグル培地(和光純薬工業株式会社製、以下、「D−MEM」とも称することがある)で細胞を培養後、アスピレータ(商品名:VACUSIP、INTEGRA社製)で100mmディッシュ内の10体積%ウシ胎児血清(以下、「FBS」とも称することがある)、及び前記培地を除去する。ディッシュにリン酸緩衝生理食塩水(和光純薬工業株式会社製、以下、「PBS(−)」とも称することがある)を3mL加え、アスピレータでPBS(−)を吸引除去し、表面を洗浄する。PBS(−)による洗浄作業を3回繰り返した後、0.1質量%トリプシン溶液(Trypsin, from Porcine Pancreas、和光純薬工業株式会社製)を3mL加え、インキュベーター内にて5分間加温し、ディッシュから細胞を剥離する。位相差顕微鏡で細胞の剥離を確認後、10質量%FBS、1質量%抗生物質を含むD−MEMを4mL加え、トリプシンを失活させる。遠沈管に移し、遠心分離(商品名:H−19FM、KOKUSAN社製、1.2×10rpm(234G)、5min、5℃)を行い、アスピレータで上清を除去する。除去後、遠沈管に10質量%FBS、1質量%抗生物質を含むD−MEMを1mL添加し、穏やかにピペッティングを行い、細胞を分散させる。その細胞懸濁液から10μLをエッペンドルフチューブに取り出し、0.4質量%トリパンブルー染色液10μLを加えてピペッティングを行って細胞を染色する。染色した細胞懸濁液から10μL取り出してPMMA製プラスチックスライドに乗せ、自動セルカウンター(商品名:Countess Automated Cell Counter、invitrogen社製)を用いて測定することができる。なお、細胞数、細胞生存率も同様の測定方法により求めることができる。前記細胞は、遊離状態であると、略球状の形状をとるため、体積平均粒径を測定することができる。
(組成物収容容器)
本発明の組成物収容容器は、本発明の三次元細胞集合体作製用組成物を容器中に収容してなり、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じて、その形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成された組成物袋などを有するものなどが挙げられる。
(三次元細胞集合体の作製方法)
本発明の三次元細胞集合体の作製方法は、組成物付与工程を含み、細胞付与工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
前記組成物付与工程と、前記細胞付与工程とを、順次繰り返すことにより、三次元細胞集合体作製用組成物と、細胞とからなる積層体(三次元細胞集合体)を作製することができる。
<組成物付与工程>
前記組成物付与工程は、基体上に、前記三次元細胞集合体作製用組成物を付与する工程である。ここで、前記基体上とは、基体上に三次元細胞集合体作製用組成物を付与した後、前記三次元細胞集合体作製用組成物上に細胞を付与し、次に前記細胞上に三次元細胞集合体作製用組成物をさらに付与する場合も含む意味である。
前記組成物付与工程における付与温度としては、下限臨界溶解温度を有するポリマーの下限臨界溶解温度の最低温度以下であることが好ましい。
<細胞付与工程>
前記細胞付与工程は、基体上に、細胞を付与する工程である。
なお、前記基体上とは、基体上に三次元細胞集合体作製用組成物を付与した後、前記三次元細胞集合体作製用組成物上に細胞を付与する場合も含む意味である。
前記細胞としては、培養液等の液体により分散された分散液として付与されることが好ましい。
前記分散液中の細胞の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、5×10個/mL以上5×10個/mL以下が好ましく、5×10個/mL以上5×10個/mL以下がより好ましい。前記細胞数が、5×10個/mL以上5×10個/mL以下であると、吐出した液滴中に細胞を確実に含むことができ、細胞の精密配置に好適である。前記細胞数としては、前記体積平均粒径の測定方法と同様にして、自動セルカウンター(商品名:Countess Automated Cell Counter、invitrogen社製)を用いて測定することができる。
−三次元細胞集合体作製用組成物の付与方法、及び細胞の付与方法−
前記三次元細胞集合体作製用組成物の付与方法、及び前記細胞の付与方法としては、例えば、インクジェット法、ディスペンサー法、ピペット法、アスピレータ法などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、一細胞レベルで精密かつ複雑な細胞配置できる点から、インクジェット法が好ましい。
前記インクジョット法は、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。なお、前記インクジェット法を実施するには公知のインクジェット吐出装置を、細胞及び組成物付与手段として好適に使用することができる。
<<基体>>
前記基体としては、細胞の活性や増殖を阻害しないものであれば、その大きさ、形状、構造、材質等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記形状としては、例えば、ディッシュ、マルチプレート、フラスコ、セルインサート等の立体形状;平膜状などが挙げられる。
前記構造としては、例えば、多孔質構造などが挙げられる。
前記基体の材質としては、例えば、有機材料、無機材料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記有機材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、TAC(トリアセチルセルロース)、ポリイミド(PI)、ナイロン(Ny)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ウレタンアクリレートなどのアクリル系材料、セルロースなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、セラミックなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記細胞、及び前記三次元細胞集合体作製用組成物を前記基体上に付与する前に、前記基体の表面に、細胞接着を促す有機物を公知の方法に従い塗布することが好ましい。前記有機物を塗布することにより、前記細胞の接着を促すことができる。
前記有機物としては、特に制限はなく、細胞同士、又は細胞と細胞外マトリックスとの接着に関与する物質であり、例えば、ラミニン、コラーゲン、フィブロネクチン、ゼラチン等の生物由来のペプチド;前記細胞由来のペプチドと同様の構造を有するタンパク質;アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)等のペプチドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記細胞を基体上に付与した後の細胞生存率は、細胞を基体上に付与する前の分散液中の生存率に対して、90個数%以上が好ましく、95個数%以上がより好ましく、98個数%以上が特に好ましい。前記細胞生存率が、90個数%以上であると、細胞を基体上に付与することによる負荷を少なく、三次元細胞集合体を形成することができる。
前記細胞生存率の測定装置としては、前記体積平均粒径の測定方法と同様にして、自動セルカウンター(商品名:Countess Automated Cell Counter、invitrogen社製)などが挙げられる。
<<インクジェット吐出装置>>
前記インクジェット吐出装置としては、基体上に、細胞及び三次元細胞集合体作製用組成物を付与することができれば、特に制限はなく、細胞及び三次元細胞集合体作製用付与手段と、細胞及び三次元細胞集合体作製用組成物収容部とを有し、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
前記細胞及び三次元細胞集合体作製用組成物付与手段としては、例えば、細胞及び三次元細胞集合体作製用組成物を、基体上に付与する手段であり、細胞と三次元細胞集合体作製用組成物とを同時に基体上に付与する手段;前記細胞が基体上に付与した後に、前記細胞上に三次元細胞集合体作製用組成物を付与する手段などが挙げられる。
前記細胞及び三次元細胞集合体作製用組成物付与手段としては、インクジェット法により細胞及び三次元細胞集合体作製用組成物を前記基体上に付与可能なノズルを有することが好ましい。なお、前記ノズルとしては、公知のインクジェットプリンターにおけるノズル(吐出ヘッド)を好適に使用することができ、また、前記インクジェットプリンターを前記細胞及び三次元細胞集合体作製用組成物付与手段として好適に使用することができる。なお、前記インクジェットプリンターとしては、例えば、株式会社リコー製のSG7100などが好適に挙げられる。前記インクジェットプリンターは、ヘッド部から一度に滴下できる細胞及び三次元細胞集合体作製用組成物量が多く、塗布面積が広いため、塗布の高速化を図ることができる点で好ましい。
前記細胞及び三次元細胞集合体作製用組成物付与手段は、前記細胞及び前記三次元細胞集合体作製用組成物に、刺激を印加し、前記細胞及び三次元細胞集合体作製用組成物を付与させて積層体を形成する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、続噴射型、オンデマンド型などが挙げられる。前記オンデマンド型としては、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式などが挙げられる。これらの中でも、ピエゾ方式が特に好ましい。
前記細胞及び三次元細胞集合体作製用組成物付与手段は、具体的には、液室部、流体抵抗部、振動板、及びノズル部材などを有することが好ましく、前記液室部、流体抵抗部、振動板、及びノズル部材の少なくとも一部は、シリコーン及びニッケルの少なくともいずれかを含む材料から形成されることが好ましい。
また、前記ノズルのノズル径としては、特に制限はなく、細胞がノズル部に詰まることを避けるため、細胞の直径に対して、2倍以上が好ましい。動物細胞、特にヒトの細胞の大きさは一般的に5μm以上30μm以下であるため、ノズル径としては使用する細胞に合わせて10μm以上200μm以下が好ましい。一方、液滴が大きくなりすぎると微小液滴を形成するという本来の目的を達成することが困難となる点から、60μm以下がより好ましい。これらの中でも、10μm以上であると、細胞を含有する分散体を好適に吐出することができため、インクジェット法に好適に用いることができる点から、10μm以上60μm以下が特に好ましい。
前記細胞の直径は、実体顕微鏡を用いて測定することができる。
前記細胞及び三次元細胞集合体作製用組成物収容部は、前記細胞及び前記三次元細胞集合体作製用組成物が収容された部材であり、その大きさ、形状、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、貯留槽、袋、カートリッジ、タンクなどが挙げられる。
前記細胞と前記三次元細胞集合体作製用組成物とを同時に基体上に配させる手段を用いる場合は、細胞と三次元細胞集合体作製用組成物とを混合した混合分散液を前記部材に収容することが好ましい。
前記細胞が基体上に付与された後に、前記細胞上に三次元細胞集合体作製用組成物を付与する手段を用いる場合は、前記細胞を含有する分散液と、前記三次元細胞集合体作製用組成物とを収容する部材は、別々であることが好ましい。
ここで、図2にインクジェット吐出装置の一例を示す。このインクジェット吐出装置は、インクジェットヘッド40を有する。
前記インクジェット吐出装置は、インクジェットヘッド40を用いて、基体10上に、細胞と三次元細胞集合体作製用組成物とを混合したゾル状態の混合分散液20を付与する。この際、温度調節装置50を用いて、前記基体10を前記ポリマーの下限臨界溶解温度を超える温度に昇温させる。なお、前記温度調節装置50により、基体10上に混合分散液20を付与する前に、基体10を温めて、前記ポリマーの下限臨界溶解温度を超える温度に保温しておくことが好ましい。これにより、前記基体10に付与された混合分散液20中の三次元細胞集合体作製用組成物がゾル状態からゲル状態に相変化され、細胞を固定させ、細胞集合体60が形成される。前記細胞集合体60上に、上記と同様に、混合分散液20を付与し、前記三次元細胞集合体作製用組成物がゾル状態からゲル状態に相変化され、細胞集合体60を形成することを複数回繰り返すことにより、三次元細胞集合体を得ることができる。
図3に、インクジェット吐出装置の他の一例を示す。図3のインクジェット吐出装置は、原理的には図2と同じであるが、細胞及び三次元細胞集合体作製用組成物付与手段が異なる。即ち、インクジェットヘッド140を用いて、細胞120が基体100上に付与された後に、細胞120上にゾル状態の三次元細胞集合体作製用組成物130が付与される。図2と同じように、温度調節装置150により前記ポリマーの下限臨界溶解温度を超える温度に温められた三次元細胞集合体作製用組成物がゾル状態からゲル状態に相変化されることにより、細胞集合体160が形成される。前記細胞集合体160上に、上記と同様の操作により細胞120を付与し、前記細胞120上に、三次元細胞集合体作製用組成物130を付与し、前記三次元細胞集合体作製用組成物がゾル状からゲル状に相変化され、細胞集合体160を形成することを複数回繰り返すことにより、三次元細胞集合体を得ることができる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、前記細胞と、前記三次元細胞集合体作製用組成物とを基体上に付与し、次に、三次元細胞集合体作製用組成物をゾル状態からゲル状態に相変化させた後に、下限臨界溶解温度を有するポリマーの下限臨界溶解温度の最高温度を超える温度で細胞を培養させる工程(以下、「培養工程」とも称することがある)、前記培養工程後に、前記下限臨界溶解温度を有するポリマーの下限臨界溶解温度の最低温度以下に降温し、前記三次元細胞集合体作製用組成物をゲル状態からゾル状態に相変化させる(以下、「ゾル化」とも称することがある)工程(以下、「ゾル化工程」とも称することがある)、前記ゾル化工程後に、ポリマーを除去する工程(以下、「除去工程」とも称することがある)を含むことが好ましい。
<<培養工程>>
前記培養工程は、三次元細胞集合体作製用組成物をゾル状態からゲル状態に相変化させた後に、下限臨界溶解温度を有するポリマーの下限臨界溶解温度の最高温度を超える温度で細胞を培養させる工程である。前記培養させることにより、細胞が増殖、及び伸展し、細胞間で接着することにより、三次元細胞集合体を形成させることができる。
前記培養としては、特に制限はなく、培養温度、培養装置、培養時間、培地、培地中の二酸化炭素濃度、培地の供給方法、培地の供給量、pHなどの条件を目的に応じて適宜選択することができる。
前記培養温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25℃以上45℃以下が好ましく、33℃以上40℃以下がより好ましく、36℃以上38℃以下が特に好ましい。前記培養温度が、25℃以上45℃以下であると、細胞を好適に培養させることができる。
前記培養装置としては、細胞を至適培養温度に保温し培養することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の培養プレート、インキュベーターなどが挙げられる。
前記培養時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、12時間以上60時間以下が好ましく、15時間以上50時間以下がより好ましい。前記培養時間が、12時間以上60時間以下であると、細胞を好適に培養することができる。
また、細胞が増殖、及び伸展し、細胞間で接着することにより、三次元細胞集合体を形成しているかを確認するには、組織体をヘマトキシリン・エオジン法(HE)染色し、例えば、NHDFの手技による組織体断面観察像により断面を観察することで、組織体中の空隙割合や細胞の伸展度合いで確認することができる。
前記培地としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然培地、半合成培地、合成培地等の組成により分類される培地;半固形培地、液体培地、粉末培地(以下、「粉培地」とも称することがある)等の形状により分類される培地などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。細胞が動物由来である場合、動物細胞の培養に用いられる培地であればいずれも用いることができる。
前記動物細胞の培養に用いられる培地としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagles’s Medium;D−MEM)、ハムF12培地(Ham’s Nutrient Mixture F12)、D−MEM/F12培地、マッコイ5A培地(McCoy’s 5A medium)、イーグルMEM培地(Eagles’s Minimum Essential Medium;EMEM)、αMEM培地(alpha Modified Eagles’s Minimum Essential Medium;αMEM)、MEM培地(Minimum Essential Medium)、RPMI1640培地、イスコフ改変ダルベッコ培地(Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium;IMDM)、MCDB131培地、ウィリアム培地E、IPL41培地、Fischer’s培地、StemPro34(インビトロジェン社製)、X−VIVO 10(ケンブレックス社製)、X−VIVO 15(ケンブレックス社製)、HPGM(ケンブレックス社製)、StemSpan H3000(ステムセルテクノロジー社製)、StemSpanSFEM(ステムセルテクノロジー社製)、StemlineII(シグマアルドリッチ社製)、QBSF−60(クオリティバイオロジカル社製)、StemProhESCSFM(インビトロジェン社製)、Essential8(登録商標)培地(ギブコ社製)、mTeSR1或いは2培地(ステムセルテクノロジー社製)、リプロFF或いはリプロFF2(リプロセル社製)、PSGro hESC/iPSC培地(システムバイオサイエンス社製)、NutriStem(登録商標)培地(バイオロジカルインダストリーズ社製)、CSTI−7培地(細胞科学研究所社製)、MesenPRO RS培地(ギブコ社製)、MF−Medium(登録商標)間葉系幹細胞増殖培地(東洋紡株式会社製)、Sf−900II(インビトロジェン社製)、Opti−Pro(インビトロジェン社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記培地中の二酸化炭素濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2%以上5%以下が好ましく、3%以上4%以下がより好ましい。前記二酸化炭素濃度が、2%以上5%以下であると、細胞を好適に培養させることができる。
前記培地の供給方法としては、特に制限はなく、例えば、目的に応じて適宜選択することができ、インクジェット法、ディスペンサー法、ピペット法、アスピレータ法などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記培地の供給量としては、1mLの培地に対して細胞数が、5×10個以上5×10個以下となるように供給することが好ましく、5×10個以上5×10個以下となるように供給することがより好ましい。1mLの培地に対して前記細胞数が、5×10個以上5×10個以下であると、細胞の増殖、及び伸展に好適である。前記細胞数としては、前記体積平均粒径の測定方法と同様にして、自動セルカウンター(商品名:Countess Automated Cell Counter、invitrogen社製)を用いて測定することができる。
前記pHとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4以上7以下が好ましく、5以上6以下がより好ましい。
なお、培養工程において、使用する試薬は、滅菌処理されたものを用いることが好ましく、培養操作、及び培養装置は、無菌処理されたものを用いることが好ましい。
<<ゾル化工程>>
前記ゾル化工程は、前記細胞を培養した後に、前記ポリマーの下限臨界溶解温度以下に降温し、前記三次元細胞集合体作製用組成物をゲル状態からゾル状態に相変化させる工程である。前記三次元細胞集合体作製用組成物をゲル状態からゾル状態に相変化させることで、前記三次元細胞集合体を取り出すことができる。
前記降温の温度としては、特に制限はなく、前記ポリマーの下限臨界溶解温度以下であればよく、0℃以上50℃以下が好ましく、0℃以上32℃以下がより好ましい。前記降温には、公知の装置を用いることができる。前記装置としては、前記ポリマーの下限臨界溶解温度以下に降温させることができれば、特に制限はなく、例えば、公知の培養プレート、インキュベーターなどが挙げられる。
<<除去工程>>
前記除去工程は、前記細胞を培養し、前記三次元細胞集合体作製用組成物をゲル状態からゾル状態に相変化させた後に、ポリマーを除去する工程である。前記ゾル状態の三次元細胞集合体作製用組成物中のポリマーを三次元細胞集合体から除去することで、三次元細胞集合体のみを得ることができる。なお、前記三次元細胞集合体においては、すべてのポリマーが除去されておらず、三次元細胞集合体の全体又は一部に前記ポリマーが残存していても問題なく使用することができる。
前記除去としては、細胞間の接着を壊さない穏和な条件であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、洗浄液で洗浄することなどが挙げられる。
前記洗浄液としては、例えば、リン酸緩衝液(以下、「PBS」とも称することがある)、トリス塩酸緩衝液などが挙げられる。
(三次元細胞集合体)
前記三次元細胞集合体は、細胞と、本発明の前記三次元細胞集合体作製用組成物とを含む。遊離状態における細胞の体積平均粒径よりもゾル状態の組成物中における体積平均粒径が小さいポリマー粒子を含み、温度変化によりゾル状態とゲル状態との間で相変化する三次元細胞集合体作製用組成物を含有し、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
前記三次元細胞集合体は、本発明の三次元細胞集合体の製造方法により好適に製造することができる。
前記少なくとも2種のポリマーは、本発明の三次元細胞集合体作製用材料と同様のものを用いることができる。
前記三次元細胞集合体の大きさ、形状、構造等としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記三次元細胞集合体の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01mm以上20mm以下が好ましく、0.05mm以上20mm以下がより好ましく、0.1mm以上20mm以下が特に好ましい。前記平均厚みが、0.01mm以上20mm以下であると、人体の損傷部位への移植用、及び薬剤スクリーニング材料用に好適に使用することができる。前記平均厚みとしては、組織体をHE染色し、断面観察を用いるか、非破壊手段の場合、光干渉断層計(OCT:Optical Coherence Tomography、光干渉断層撮影、商品名:GanymedeII、Thorlabs社製)を用いて測定することができる。
前記三次元細胞集合体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィルム状、シート状等の平面状;柱状;球状;血管の形状;複雑な臓器の形状などが挙げられる。
前記複雑な臓器としては、例えば、心臓、肝臓、腎臓、肺、小腸、大腸などが挙げられる。
前記三次元細胞集合体中のポリマーの残存量としては、三次元細胞集合体全量に対して、3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。前記含有量が、3質量%以下であると、細胞への毒性を低くすることができる。
なお、三次元細胞集合体中のポリマーを単離するには、以下の工程を行う。つまり、培養した組織体の培地を除去し、PBSにて洗浄した後に、コラゲナーゼ溶液(商品名:NB 4G/0.26 PZ U/mL、コスモバイオ株式会社製)を添加し、インキュベーター内(商品名:KM−CC17RU2、パナソニック株式会社製、37℃、5%CO雰囲気)に2時間放置し、細胞間、及びECM(細胞外マトリックス)/細胞間との結合から細胞を単離させる。次に、前記溶液を直径20μmのメッシュフィルターにて分離し、ろ過した溶液を遠沈管に移し、遠心分離(商品名:H−19FM、1.2×10rpm(234G)、5分間、5℃)を行い、ピペットでポリマー粒子を含んだ上清を回収する。回収後、遠沈管にPBSを1mL添加し、穏やかにピペッティングを行い、細胞と残存ポリマーを分散させる。上記の遠心分離、上清回収を3回繰り返し、上清を集めることにより三次元細胞集合体を構成しているポリマーの分散液を得ることができる。前記ポリマーを含んだ分散液を濃厚系粒径アナライザー(商品名:FPAR−1000、大塚電子株式会社製)を用いて、三次元細胞集合体中のポリマーの残存量、粒度分布を測定することができる。
前記三次元細胞集合体は、人体の損傷部位への移植、組織再生を誘導する組織再生用移植材料、組織形態形成過程のin vitroでの検討用材料、薬剤スクリーニング材料などに好適に用いることができる。
以下に、本発明の実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、コア構造を有するポリマー、シェル構造を有するポリマー、コアシェル構造を有するポリマー粒子の体積平均粒径、及び粒度分布は、下記のようにして測定した。
−コア構造を有するポリマー、シェル構造を有するポリマー、コアシェル構造を有するポリマー粒子の体積平均粒径及び粒度分布−
前記体積平均粒径及び粒度分布としては、濃厚系粒径アナライザー(商品名:FPAR−1000、大塚電子株式会社製)を用いて、下記のようにサンプル液を調製し、得られたサンプル液を以下の測定条件により測定することができる。
−サンプル液の調製−
純水製造装置(商品名:GSH−2000、ADVANTEC社製)を用いて得られた純水に、0.5質量%になるように合成した粉末状のポリマーを膨潤、分散させた。測定用の液量は5mL、分散は20mm回転子をスターラーを用いて200rpm、約一日撹拌することでサンプル液を調製した。
−測定条件−
・溶媒:水(屈折率:1.3314、25℃における粘度:0.884mPa・s(cP)、NDフィルターにより最適光量調整は適宜設定)
・測定プローブ:濃厚用プローブ
・測定ルーチン:測定:25℃で180秒間→測定:25℃で600秒間(本体側を35℃に変更すると次第に液温が25℃から35℃になる。その間の粒子径変化をモニタ)→測定:35℃で180秒間
−粒径変化率−
得られた各ポリマー、及びポリマー粒子の体積平均粒径を用いて、下記式により、粒径変化率を求めた。
粒径変化率(%)=(下限臨界溶解温度以下の温度Bにおけるポリマーの体積平均粒径/下限臨界溶解温度を超える温度Aにおけるポリマーの体積平均粒径)×100
(実施例1)
<コアシェル構造を有するポリマー粒子Aの作製>
ゼラチン(新田ゼラチン株式会社製)が2質量%になるように純水と混ぜて、60℃湯浴中で溶解させた。前記加温した2質量%ゼラチン水溶液40gを200mLビーカーに入れて撹拌し、アセトン60gを一気に添加した。前記アセトンを添加した水溶液に24質量%〜26質量%グルタルアルデヒド(東京化成工業株式会社製)を架橋剤として400μL添加し、60℃ホットプレート上で300rpmで撹拌させながら30分間加熱した。前記加熱後、室温に戻して、アセトン100gを追加添加し、ポリマー粒子を凝集沈殿させた。前記沈殿物から水分を除去するため、上澄み液の除去とアセトンによる洗浄とを数回繰り返した。前記沈殿物を60℃ホットプレート上でしばらく乾燥させ、50℃ホットプレート上で3時間減圧乾燥して粉末状のポリマー粒子を得た。収量は0.58gであり、収率は約72%であった。
次に、前記ポリマー粒子が1質量%となるように純水と混ぜて、超音波分散でしっかり分散させた。前記分散させたポリマー水溶液45gを100mLの2口フラスコ(柴田科学株式会社製)に入れて、モノマーとしてN−イソプロピルアクリルアミド(下限臨界溶解温度:32℃、東京化成工業株式会社製)500mg、架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド(東京化成工業株式会社製)5mg、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(関東化学株式会社製)50mgを添加した。水全量に対して、N−イソプロピルアクリルアミドが1質量%(93mmol/L)、N−イソプロピルアクリルアミド全量に対してN,N’−メチレンビスアクリルアミドが1質量%(0.73mol%)、水全量に対してドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが0.1質量%になるように調製し、2mm回転子により、撹拌して完全に溶解させ水溶液を得た。
次に、室温(25℃)、流量100mL/分間で15分間、前記水溶液をアルゴンガスでパージした。さらに、70℃オイルバス中で、流量100mL/分間で15分間、前記水溶液をアルゴンガスでフローした。水2.5gに重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(和光純薬工業株式会社製)10mg溶かし、N−イソプロピルアクリルアミド全量に対して2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩が2質量%(0.83mol%)になるように調製した溶液を添加し、1時間重合させた。前記重合後、室温に戻し、前記重合液を超音波分散でしっかり分散させた。前記重合液を60℃湯浴中で加温することにより凝集沈殿させ、上澄み液を除去した。前記沈殿物をテフロン(登録商標)ビーカーに入れて、80℃乾燥機で水分がなくなるまで乾燥させた。前記乾燥物に少量のアセトンを添加して、撹拌により乾燥物を再分散させ、ヘキサンをゆっくり加えることで再沈殿させた。前記上澄み液を除去後、ヘキサン添加を数回繰り返し、60℃ホットプレート上で乾燥させた後、コアシェル構造を有する粉末状のポリマー粒子Aを調製した。収量は、0.21gで、収率は約20%であった。
図4に、コアシェル構造を有するポリマー粒子Aの粒度分布を示す。なお、比較として、コアを構成するゼラチン粒子の粒度分布も示す。
なお、シェルを構成するポリマーであるN−イソプロピルアクリルアミドを用いて、ポリマー粒子Aと同様にして粒径変化率を求めたところ、300%であった。
(実施例2)
<三次元細胞集合体の作製>
−コアシェル構造を有するポリマー粒子Aを含む三次元細胞集合体作製用組成物Aの作製−
前記コアシェル構造を有するポリマー粒子Aを純水にて10質量%にて分散させ、121℃、20分間の高圧蒸気滅菌(商品名:MLS−3030、パナソニック株式会社製)した。その後、10体積%ウシ胎児血清(FBS、Gibco社製)、1質量%抗生物質(Antibiotic−Antimycotic Mixed Stock Solution(100x)、和光純薬工業株式会社製)を含むダルベッコ変法イーグル培地(D−MEM:和光純薬工業株式会社製)にて、滅菌したコアシェル構造を有するポリマー粒子Aを0.4質量%に希釈し、スターラー(商品名:ReximRS−4A、AsOne社製)を用いて分散させ、三次元細胞集合体作製用組成物Aを得た。
[コアシェル構造を有するポリマー粒子Aを含有するコアシェル構造を有するポリマー粒子分散液Aの温度変化による相変化に伴う相状態の確認]
前記三次元細胞集合体作製用組成物Aを、前記コアシェル構造を有するポリマーAの下限臨界溶解温度(32℃)を超える温度である37℃、及び前記コアシェル構造を有するポリマー粒子Aの下限臨界溶解温度以下である25℃に静置し、三次元細胞集合体作製用組成物の相状態を目視で確認した。図5Aは、下限臨界溶解温度が32℃であるシェルを構成するポリマーを含有する前記コアシェル構造を有するポリマー粒子Aを含む三次元細胞集合体作製用組成物の25℃における状態を示す写真である。図5Bは、下限臨界溶解温度が32℃であるシェルを構成するポリマーを含有する前記ポリマー粒子Aを含む三次元細胞集合体作製用組成物の37℃における状態を示す写真である。
図5Aに示すように、シェルを構成するポリマーの下限臨界溶解温度が32℃以下である25℃においては、前記ポリマー粒子組成物Aはゾル状態で存在することが確認できる。一方、図5Bに示すように、下限臨界溶解温度が32℃よりも高い温度である37℃においては、前記コアシェル構造を有するポリマー粒子組成物Aは、ゲル状態で存在することが確認できた。
[コアシェル構造を有するポリマー粒子Aのせん断粘度と温度との関係の確認]
前記コアシェル構造を有するポリマー粒子Aを含む三次元細胞集合体作製用組成物のせん断粘度と、温度との関係を下記のように測定し確認した。
下限臨界溶解温度が32℃であるシェルを構成するポリマーを含有するコアシェル構造を有するポリマー粒子A(体積平均粒径:0.43μm)1質量%を、25℃において、10体積%ウシ胎児血清を含むダルベッコ変性イーグル培地(DMEM)中に分散させ、せん断粘度を25℃にて100秒間測定後、37℃に昇温しながら、さらに100秒間測定し、その後、25℃に降温して100秒間測定した。図6は、三次元細胞集合体作製用組成物Aのせん断粘度と、温度との関係を示すグラフである。図6に示すように、下限臨界溶解温度以下である25℃から下限臨界溶解温度を超える37℃に昇温した場合のポリマー粒子Aを含む三次元細胞集合体作製用組成物のせん断粘度は、40秒間で約1,600倍に上昇し、前記ゾル状態と前記ゲル状態との間の相変化に係る温度応答速度が早いことが確認できた。また、下限臨界溶解温度を超える37℃から下限臨界溶解温度以下である25℃に降温した場合のポリマー粒子Bを含む三次元細胞集合体作製用組成物のせん断粘度は、30秒間で約1,350倍に下降し、前記ゲル状態と前記ゾル状態との間の相変化に係る温度応答速度が早いことが確認できた。
−細胞の調製例1−
冷凍保存された緑色蛍光染料(商品名:Cell Tracker Green、LifeTechnology社製)を室温まで解凍し、10mMの濃度でジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」とも称することがある)へ溶解させ、無血清培地と混合して、10μMの溶液を5mL/ディッシュの緑色蛍光染料含有無血清培地を調製した。次に、35mmディッシュにて培養しておいたヒト皮膚線維芽細胞(商品名:CC2507、Lonza社製、以下、「NHDF」とも称することがある)をアスピレータで回収し、前記緑色蛍光染料含有無血清培地に2mL添加し、インキュベータ内(37℃、5%CO環境)で30分間培養した。なお、緑色蛍光染料含有無血清培地に添加する前のNHDFの遊離状態における体積平均粒径は15μmであった。なお、NHDFの遊離状態における体積平均粒径は、下記の測定条件に従って測定した。次に、ディッシュの培地をアスピレータで回収し、血清入りの培地を2mL添加し、アスピレータで回収し細胞を洗浄することで、過剰な緑色蛍光染料、及びDMSOを洗い流した。さらに、血清入りの培地を3mL添加し、インキュベータ内(37℃、5%CO環境)で30分間以上培養し、細胞を観察できるように緑色蛍光染料で染色されたNHDFを得た。
[遊離状態における細胞の体積平均粒径の測定条件]
インキュベーター内(商品名:KM−CC17RU2、パナソニック株式会社製、37℃、5%CO環境)において、1質量%抗生物質(Antibiotic−Antimycotic Mixed Stock Solution(100x)、和光純薬工業株式会社製)を含むダルベッコ変法イーグル培地(和光純薬工業株式会社製、以下、「D−MEM」とも称することがある)でNHDF(商品名:CC−2509、Lonza社製)を培養後、アスピレータ(商品名:VACUSIP、INTEGRA社製)で100mmディッシュ内の10体積%ウシ胎児血清(以下、「FBS」とも称することがある)、及び前記培地を除去した。ディッシュにリン酸緩衝生理食塩水(和光純薬工業株式会社製、以下、「PBS(−)」とも称することがある)を3mL加え、アスピレータでPBS(−)を吸引除去し、表面を洗浄した。PBS(−)による洗浄作業を3回繰り返した後、0.1質量%トリプシン溶液(Trypsin, from Porcine Pancreas、和光純薬工業株式会社製)を3mL加え、インキュベーター内にて5分間加温し、ディッシュから細胞を剥離した。位相差顕微鏡により細胞の剥離を確認後、10質量%FBS、1質量%抗生物質を含むD−MEMを4mL加え、トリプシンを失活させた。遠沈管に移し、遠心分離(商品名:H−19FM、KOKUSAN社製、1.2×10rpm(234G)、5分間、5℃)を行い、アスピレータを用いて上清を除去した。除去後、遠沈管に10質量%FBS、及び1質量%抗生物質を含むD−MEMを1mL添加し、穏やかにピペッティングを行い、細胞を分散させた。その細胞懸濁液から10μLをエッペンドルフチューブに取り出し、0.4質量%トリパンブルー染色液10μLを加えてピペッティングを行った。染色した細胞懸濁液から10μL取り出してPMMA製プラスチックスライドに乗せ、商品名:Countess Automated Cell Counter(インビトロジェン社製)を用いて細胞の体積平均粒径を測定した。
−細胞の調製例2−
前記細胞の調製例1における緑色蛍光染料に代えて赤色蛍光染料(商品名:Cell Tracker Orange、Life Technology社製)を用いた以外は、前記細胞の調製例1と同様にして、細胞を観察できるように赤色蛍光染料で染色されたNHDFを得た。
−細胞分散液Aの作製−
前記細胞の調製例2で得た赤色蛍光染料で染色されたNHDFを35mmディッシュにおいて、アスピレータ(商品名:VACUSIP、INTEGRA社製)で35mmディッシュ内の10質量%FBS、1質量%抗生物質を含むD−MEMを除去した。ディッシュにリン酸緩衝生理食塩水(PBS(−)、和光純薬工業株式会社製)を3mL加え、アスピレータでPBS(−)を吸引除去し、表面を洗浄した。PBS(−)による洗浄作業を3回繰り返した後、0.1質量%トリプシン溶液(Trypsin, from Porcine Pancreas、和光純薬工業株式会社製)を3mL加え、インキュベーター内にて5分間加温し、ディッシュから細胞を剥離した。位相差顕微鏡で細胞の剥離を確認後、10質量%FBS、1質量%抗生物質を含むD−MEMを4mL加え、トリプシンを失活させた。遠沈管に移し、遠心分離(商品名:H−19FM、KOKUSAN社製、1.2×10rpm(234G)、5分間、5℃)を行い、アスピレータで上清を除去した。除去後、遠沈管に10質量%FBS、1質量%抗生物質を含むD−MEMを100μL添加し、次に、穏やかにピペッティングを行い、細胞を分散させ、細胞分散液1を得た。前記細胞分散液1における遊離状態における細胞の体積平均粒径の測定条件に従い測定した遊離状態における細胞の体積平均粒径は、13μmであり、細胞数は、5×10個であり、細胞生存率は91個数%であった。
前記細胞数、及び細胞生存数は、遊離状態における細胞の体積平均粒径の測定条件と同様にして、商品名:Countess Automated Cell Counter(invitrogen社製)を用いて測定した。
−三次元細胞集合体の作製−
図7Aに示すように、前記細胞の調製例1で得た緑色蛍光染料で染色されたNHDF 310の35mmディッシュ(基材)300から、培地をアスピレータで除去し、ピペットを用いて前記三次元細胞集合体作製用組成物A 350を緑色蛍光染料で染色されたNHDF 310上に1mL添加した。さらに、35mmディッシュを共焦点蛍光顕微鏡(ライカ社製)に設置した前記ポリマー粒子Aの下限界臨界溶解温度(32℃)を超える温度に設定したインキュベータ内(37℃、5%CO環境)で5分間放置し、細胞上に配した三次元細胞集合体作製用組成物Aをゲル化させることにより層を形成させた。次に、ピペットを用いて前記細胞分散液Aを前記層の上に静かに0.1mL(細胞数:5×10個)播種し、図7Bに示すような緑色蛍光染料で染色されたNHDF 310、三次元細胞集合体作製用組成物A 350、赤色蛍光染料で染色されたNHDF 320をこの順に積層した積層体1を得た。
次に、ディッシュの温度を37℃から前記ポリマー粒子Aの下限臨界溶解温度(32℃)以下である25℃まで降温させ、10分間放置し、前記三次元細胞集合体作製用組成物Aをゾル化させ、赤色蛍光染料で染色されたNHDFを沈降させることにより、図7Cに示すような緑色蛍光染料で染色されたNHDF 310、及び赤色蛍光染料で染色されたNHDF 320が積層された三次元細胞集合体を得た。前記三次元細胞集合体を蛍光顕微鏡にて観察した結果が図8である。図8に示すように、緑色蛍光染料で染色されたNHDF(図中、灰色で示す)上に、赤色蛍光染料で染色されたNHDF(図中、黒色で示す)が観察できており、細胞の伸展が確認でき、細胞間の接着、及び自己組織化が起きていることが確認できた。
以上の結果から、コアシェル構造を有するポリマー粒子Aは、細胞毒性が少ないことが分かった。
前記三次元細胞集合体の平均厚みは、三次元細胞集合体をヘマトキシリン・エオジン法(HE)染色し、断面を確認し、実体顕微鏡を用いて測定した。その結果、前記三次元細胞集合体の平均厚みは、0.01mm以上0.03mm以下であった。実体顕微鏡を用いて測定した三次元細胞集合体の断面観察像の結果を図9に示す。組織体中の空隙割合や細胞の伸展度合いから、細胞が増殖、伸展していることが分かる。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 粒径変化率が異なる少なくとも2種のポリマーを含むことを特徴とする三次元細胞集合体作製用材料である。
<2> 前記少なくとも2種のポリマーが、コアを構成するポリマーと、前記コア表面を被覆するシェルを構成するポリマーと、を含み、
前記コアを構成するポリマーと、前記シェルを構成するポリマーと、がコアシェル構造を有するポリマー粒子を形成する前記<1>に記載の三次元細胞集合体作製用材料である。
<3> 前記シェルを構成するポリマーの粒径変化率が、前記コアを構成するポリマーの粒径変化率より大きい前記<2>に記載の三次元細胞集合体作製用材料である。
<4> 前記コアを構成するポリマーが、コラーゲン、ゼラチン、プロテオグリカン、ヒアルロン酸、フィブロネクチン、ラミニン、テネイシン、エンタクチン、エラスチン、及びフィブリリンから選択される少なくとも1種である前記<2>から<3>のいずれかに記載の三次元細胞集合体作製用材料である。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の三次元細胞集合体作製用材料を含むことを特徴とする三次元細胞集合体作製用組成物である。
<6> 温度変化によりゾル状態からゲル状態に相変化する前記<5>に記載の三次元細胞集合体作製用組成物である。
<7> 前記相変化が、前記シェルを構成するポリマーの下限臨界溶解温度を超える温度に昇温させることにより行われる前記<6>に記載の三次元細胞集合体作製用組成物である。
<8> 前記<5>から<7>のいずれかに記載の三次元細胞集合体作製用組成物と、
細胞と、を有することを特徴とする三次元細胞集合体作製用セットである。
<9> ゾル状態の前記三次元細胞集合体作製用組成物中における前記コアシェル構造のポリマー粒子における体積平均粒径が、遊離状態における細胞の体積平均粒径よりも小さい前記<8>に記載の三次元細胞集合体作製用セットである。
<10> 前記細胞が、接着性細胞である前記<8>から<9>のいずれかに記載の三次元細胞集合体作製用セットである。
<11> 前記<5>から<7>のいずれかに記載の三次元細胞集合体作製用組成物を容器中に収容してなることを特徴とする組成物収容容器である。
<12> 前記<5>から<7>のいずれかに記載の三次元細胞集合体作製用組成物に、刺激を印加し、基体上に前記三次元細胞集合体作製用組成物を付与させる組成物付与工程を含むことを特徴とする三次元細胞集合体の作製方法である。
<13> 細胞を付与する細胞付与工程をさらに含む前記<12>に記載の三次元細胞集合体の作製方法である。
<14> 前記組成物付与工程における付与温度が、下限臨界溶解温度を有するポリマーの下限臨界溶解温度の最低温度以下である前記<13>に記載の三次元細胞集合体の作製方法である。
<15> 前記組成物付与工程と、前記細胞付与工程とを、順次繰り返す前記<13>から<14>のいずれかに記載の三次元細胞集合体の作製方法である。
<16> 前記三次元細胞集合体作製用組成物をゾル状態からゲル状態に相変化させた後に、下限臨界溶解温度を有するポリマーの下限臨界溶解温度の最高温度を超える温度で細胞を培養する培養工程をさらに含む前記<13>から<15>のいずれかに記載の三次元細胞集合体の作製方法である。
<17> 前記細胞を培養後、前記三次元細胞集合体作製用組成物をゲル状態からゾル状態に相変化させ、前記少なくとも2種のポリマーを除去する除去工程をさらに含む前記<16>に記載の三次元細胞集合体の作製方法である。
<18> 前記<12>から<17>のいずれかに記載の三次元細胞集合体作製方法により作製されることを特徴とする三次元細胞集合体である。
<19> 平均厚みが、0.01mm以上20mm以下である前記<18>に記載の三次元細胞集合体である。
<20> 前記ポリマーの残存量が、3質量%以下である前記<18>から<19>のいずれかに記載の三次元細胞集合体である。
前記<1>から<4>のいずれかに記載の三次元細胞集合体作製用材料、前記<5>から<7>のいずれかに記載の三次元細胞集合体作製用組成物、前記<8>から<10>のいずれかに記載の三次元細胞集合体作製用セット、前記<11>に記載の組成物収容容器、前記<12>から<17>のいずれかに記載の三次元細胞集合体の作製方法、及び前記<18>から<20>のいずれかに記載の三次元細胞集合体によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特開2013−59312号公報 国際公開第2011/059112号パンフレット
1、10、100、300 基体
120、310、320 細胞
D、130 ゾル状態の三次元細胞集合体作製用組成物
D’、350 ゲル状態の三次元細胞集合体作製用組成物

Claims (17)

  1. 粒径変化率が異なる少なくとも2種のポリマーを含むことを特徴とする三次元細胞集合体作製用材料。
  2. 前記少なくとも2種のポリマーが、コアを構成するポリマーと、前記コア表面を被覆するシェルを構成するポリマーと、を含み、
    前記コアを構成するポリマーと、前記シェルを構成するポリマーと、がコアシェル構造を有するポリマー粒子を形成する請求項1に記載の三次元細胞集合体作製用材料。
  3. 前記シェルを構成するポリマーの粒径変化率が、前記コアを構成するポリマーの粒径変化率より大きい請求項2に記載の三次元細胞集合体作製用材料。
  4. 前記コアを構成するポリマーが、コラーゲン、ゼラチン、プロテオグリカン、ヒアルロン酸、フィブロネクチン、ラミニン、テネイシン、エンタクチン、エラスチン、及びフィブリリンから選択される少なくとも1種である請求項2から3のいずれかに記載の三次元細胞集合体作製用材料。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の三次元細胞集合体作製用材料を含むことを特徴とする三次元細胞集合体作製用組成物。
  6. 温度変化によりゾル状態からゲル状態に相変化する請求項5に記載の三次元細胞集合体作製用組成物。
  7. 前記相変化が、前記シェルを構成するポリマーの下限臨界溶解温度を超える温度に昇温させることにより行われる請求項6に記載の三次元細胞集合体作製用組成物。
  8. 請求項5から7のいずれかに記載の三次元細胞集合体作製用組成物と、
    細胞と、を有することを特徴とする三次元細胞集合体作製用セット。
  9. ゾル状態の前記三次元細胞集合体作製用組成物中における前記ポリマー粒子における体積平均粒径が、遊離状態における細胞の体積平均粒径よりも小さい請求項8に記載の三次元細胞集合体作製用セット。
  10. 前記細胞が、接着性細胞である請求項8から9のいずれかに記載の三次元細胞集合体作製用セット。
  11. 請求項5から7のいずれかに記載の三次元細胞集合体作製用組成物を容器中に収容してなることを特徴とする組成物収容容器。
  12. 請求項5から7のいずれかに記載の三次元細胞集合体作製用組成物に、刺激を印加し、基体上に前記三次元細胞集合体作製用組成物を付与させる組成物付与工程を含むことを特徴とする三次元細胞集合体の作製方法。
  13. 細胞を付与する細胞付与工程をさらに含む請求項12に記載の三次元細胞集合体の作製方法。
  14. 前記組成物付与工程における付与温度が、前記シェルを構成するポリマーの下限臨界溶解温度の最低温度以下である請求項13に記載の三次元細胞集合体の作製方法。
  15. 前記組成物付与工程と、前記細胞付与工程とを、順次繰り返す請求項13から14のいずれかに記載の三次元細胞集合体の作製方法。
  16. 前記三次元細胞集合体作製用組成物をゾル状態からゲル状態に相変化させた後に、前記シェルを構成するポリマーの下限臨界溶解温度の最高温度を超える温度で細胞を培養する培養工程をさらに含む請求項13から15のいずれかに記載の三次元細胞集合体の作製方法。
  17. 前記細胞を培養後、前記三次元細胞集合体作製用組成物をゲル状態からゾル状態に相変化させ、前記少なくとも2種のポリマーを除去する除去工程をさらに含む請求項16に記載の三次元細胞集合体の作製方法。
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