JP2017094626A - 立体物造形装置、立体物造形方法、及び、立体物造形装置の制御プログラム - Google Patents

立体物造形装置、立体物造形方法、及び、立体物造形装置の制御プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】造形される立体物の強度を向上させることが可能な技術を提供する。【解決手段】ドットが形成される液体を吐出するヘッドユニットと、硬化する前記ドットによる立体物の造形を制御する造形制御部と、を備える立体物造形装置であって、前記ヘッドユニットは、第一サイズの第一ドット、及び、前記第一サイズとは異なる第二サイズの第二ドットを含む複数サイズのドットが形成されるように液体を吐出可能であり、前記造形制御部は、前記立体物の内部に配置される前記第一ドットに隣接するドットに前記第二ドットが含まれるように前記立体物の造形を制御する、立体物造形装置。【選択図】図10

Description

本発明は、立体物造形装置、立体物造形方法、及び、立体物造形装置の制御プログラムに関する。
立体物造形装置として、3D(三次元)プリンターが知られている。紫外線照射により硬化するインクを使用する3Dプリンターは、例えば、紫外線硬化型インクの液滴を吐出して形成したドットを紫外線照射により硬化させて造形層を形成し、該造形層を積層することで立体物を造形する。特許文献1に記載される三次元造形装置(立体物造形装置)は、三次元造形物の内部側造形時には少なくとも内部造形用の樹脂を吐出させ、表面側造形時には少なくとも表面側造形用の着色樹脂を吐出させる。
特開2000−280354号公報
各造形層を構成するインクドットのサイズが均一である場合、ドットが大きければ紫外線照射による光重合が不十分となって立体物の強度が低下する可能性がある。一方、ドットが小さければ、ドット間の境界部が弱くなって立体物の強度が低下する可能性がある。これらの強度低下は、亀裂、剥離、等の原因となり得る。
尚、上記のような問題は、紫外線硬化型インクを使用する3Dプリンターに限らず、可視光照射により硬化する可視光線硬化型インクを使用する立体物造形装置、加熱により硬化する熱硬化型インクを使用する立体物造形装置、等、種々の技術についても同様に存在する。
以上を鑑み、本発明の目的の一つは、造形される立体物の強度を向上させることが可能な技術を提供することにある。
上記目的の一つを達成するため、本発明は、ドットが形成される液体を吐出するヘッドユニットと、
硬化する前記ドットによる立体物の造形を制御する造形制御部と、
を備える立体物造形装置であって、
前記ヘッドユニットは、第一サイズの第一ドット、及び、前記第一サイズとは異なる第二サイズの第二ドットを含む複数サイズのドットが形成されるように液体を吐出可能であり、
前記造形制御部は、前記立体物の内部に配置される前記第一ドットに隣接するドットに前記第二ドットが含まれるように前記立体物の造形を制御する、態様を有する。
また、本発明は、ドットが形成される液体を吐出するヘッドユニットを用い、硬化する前記ドットによる立体物を造形する立体物造形方法であって、
前記ヘッドユニットに、第一サイズの第一ドット、及び、前記第一サイズとは異なる第二サイズの第二ドットを含む複数サイズのドットが形成されるように液体を吐出させ、
前記立体物の内部に配置される前記第一ドットに隣接するドットに前記第二ドットが含まれるように前記立体物を造形する、態様を有する。
さらに、本発明は、ドットが形成される液体を吐出するヘッドユニットを備え、硬化する前記ドットによる立体物の造形を制御する立体物造形装置の制御プログラムであって、
前記ヘッドユニットに、第一サイズの第一ドット、及び、前記第一サイズとは異なる第二サイズの第二ドットを含む複数サイズのドットが形成されるように液体を吐出させ、前記立体物の内部に配置される前記第一ドットに隣接するドットに前記第二ドットが含まれるように前記立体物の造形を制御する機能をコンピューターに実現させる、態様を有する。
上述した態様は、造形される立体物の強度を向上させることが可能な技術を提供することができる。
さらに、本発明は、立体物造形装置を含む立体物造形システム、立体物造形装置の制御方法、この制御方法を含む立体物造形システムの制御方法、立体物造形システムの制御プログラム、立体物造形装置や立体物造形システムの制御プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な媒体、等に適用可能である。前述の装置は、分散した複数の部分で構成されてもよい。
立体物造形装置を含む立体物造形システムの構成例を示す機能ブロック図。 立体物の造形例を模式的に示す図。 立体物造形装置の例を模式的に示す図。 記録ヘッドのノズルの配置例を模式的に示す図。 図5Aは駆動信号生成部の構成例を模式的に示すブロック図、図5Bは駆動波形信号の波形の例を模式的に示すタイミングチャート。 単位造形体とドットとの関係の例を模式的に示す図。 造形処理の例を示すフローチャート。 造形層と造形層データの例を模式的に示す図。 q層目のデータ変換処理の例を示すフローチャート。 造形層データから変換データを生成する例を模式的に示す図。 造形層データから変換データを生成する別の例を模式的に示す図。 q層目のデータ変換処理の別の例を示すフローチャート。 q層目のデータ変換処理の別の例を示すフローチャート。 造形層データから変換データを生成する別の例を模式的に示す図。 q層目のデータ変換処理の別の例を示すフローチャート。 q層目のデータ変換処理の別の例を示すフローチャート。 粉体を利用する造形処理の例を示すフローチャート。 粉体を利用する立体物の造形例を模式的に示す図。
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
(1)本技術の概要:
まず、図1〜18を参照して本技術の概要を説明する。尚、図1〜18は模式的に示す図であり、各図は整合していないことがある。
[態様1]
図1〜4等に例示される立体物造形装置1は、ドットDTが形成される液体LQを吐出するヘッドユニット3と、硬化する前記ドットDTによる立体物Objの造形を制御する造形制御部U1と、を備える。図4等に例示するように、前記ヘッドユニット3は、第一サイズの第一ドットDT1、及び、前記第一サイズとは異なる第二サイズの第二ドットDT2を含む複数サイズのドットDTが形成されるように液体LQを吐出可能である。前記造形制御部U1は、前記立体物Objの内部に配置される前記第一ドットDT1に隣接するドットDTに前記第二ドットDT2が含まれるように前記立体物Objの造形を制御する。
上記態様1では、第一ドットDT1の強度が第二ドットDT2の強度よりも低くても、第一ドットDT1に隣接するドットDTに含まれる第二ドットDT2が第一ドットDT1を補強する。従って、本態様は、造形される立体物の強度を向上させることが可能な立体物造形装置を提供することができる。
ここで、第一ドット(第一サイズ)は、図8等に例示するように第二ドット(第二サイズ)よりも大きくてもよいし、図13,15等に例示するように第二ドット(第二サイズ)よりも小さくてもよい。
第一サイズと第二サイズの少なくとも一方は、ドットサイズが3種類以上ある場合、複数のサイズを含んでもよい。例えば、ドットに、最大サイズの大ドット、最小サイズの小ドット、及び、大ドットよりも小さく小ドットよりも大きい中ドットが含まれるとする。この場合、第一サイズが大ドットのサイズと中ドットのサイズを含んで第二サイズが小ドットのサイズでもよいし、第一サイズが大ドットのサイズで第二サイズが中ドットのサイズと小ドットのサイズを含んでもよい。
立体物の内部に配置される第一ドットは、立体物の表面に出ていない第一ドットを意味する。
立体物の表面に出ている第一ドットに隣接するドットに第二ドットが含まれることも、本技術に含まれる。
[態様2]
前記第一サイズは、前記複数サイズのドットDTのうち最も大きいドット(例えば大ドット)のサイズでもよい。前記第二サイズは、前記第一サイズよりも小さくてもよい。本態様は、より小さいドットの強度と比べて最も大きいドットの強度が比較的低い場合に立体物の強度を向上させる好適な技術を提供することができる。
また、前記第一サイズは、前記複数サイズのドットDTのうち最も小さいドット(例えば小ドット)のサイズでもよい。前記第二サイズは、前記第一サイズよりも大きくてもよい。本態様は、より大きいドットの強度と比べて最も小さいドットの強度が比較的低い場合に立体物の強度を向上させる好適な技術を提供することができる。
[態様3]
図8〜11等に例示するように、前記造形制御部U1は、前記第一ドットDT1及び前記第二ドットDT2を少なくとも含む造形層LYを重ね、且つ、該造形層LY内において前記立体物Objの内部に配置される前記第一ドットDT1に隣接するドットDTに前記第二ドットDT2が含まれるように前記立体物Objの造形を制御してもよい。この態様は、第一ドットDT1の強度が第二ドットDT2の強度よりも低くても、造形層LY内において、第一ドットDT1に隣接するドットDTに含まれる第二ドットDT2が第一ドットDT1を補強する。従って、本態様は、立体物に含まれる造形層の強度を向上させることが可能な技術を提供することができる。
[態様4]
図8,12等に例示するように、前記造形制御部U1は、前記第一ドットDT1と前記第二ドットDT2の少なくとも一方を含む造形層LYを複数重ね、且つ、該複数の造形層LYが前記立体物Objの内部に配置される前記第一ドットDT1を含む第一造形層LY1、及び、該第一造形層LY1とは異なる第二造形層LY2であって前記第一ドットDT1に隣接する前記第二ドットDT2を含む第二造形層LY2を含むように前記立体物Objの造形を制御してもよい。この態様は、第一ドットDT1の強度が第二ドットDT2の強度よりも低くても、第一ドットDT1を含む第一造形層LY1に隣接する第二造形層LY2に含まれる第二ドットDT2が第一造形層LY1の第一ドットDT1を補強する。従って、本態様は、立体物に含まれる造形層間の強度を向上させることが可能な技術を提供することができる。
[態様5]
図8等に例示するように、前記造形制御部U1は、前記複数サイズのドットDTの中から所定体積となるように1以上のドットを形成した単位造形体(例えばボクセルVx)を集合させて所定厚さΔZの前記造形層LYを形成し、前記単位造形体(Vx)が前記立体物Objの内部に配置される前記第一ドットDT1を含む第一単位造形体Vx1、及び、該第一単位造形体Vx1に隣接する前記第二ドットDT2を含む第二単位造形体Vx2を含むように前記立体物Objの造形を制御してもよい。この態様は、立体物の造形処理を容易にする技術を提供することができる。
[態様6]
図8等に例示するように、前記第二サイズが前記第一サイズよりも小さい場合において、前記第二ドットDT2は、前記第一サイズよりも小さい第三サイズの第三ドットDT3、及び、該第三サイズよりも小さい第四サイズの第四ドットDT4を含んでもよい。前記第二単位造形体Vx2は、前記第四ドットDT4を複数含んでもよい。本態様は、強度を向上させた立体物を造形する具体例を提供することができる。
また、前記第二サイズが前記第一サイズよりも大きい場合において、前記第二ドットDT2は、前記第一サイズよりも大きい複数サイズのドットを含んでもよい。
[態様7]
図1〜4等に例示される立体物造形方法は、前記ヘッドユニット3に、第一サイズの第一ドットDT1、及び、前記第一サイズとは異なる第二サイズの第二ドットDT2を含む複数サイズのドットDTが形成されるように液体LQを吐出させ、前記立体物Objの内部に配置される前記第一ドットDT1に隣接するドットDTに前記第二ドットDT2が含まれるように前記立体物Objを造形する。この態様は、造形される立体物の強度を向上させることが可能な立体物造形方法を提供することができる。
[態様8]
図1〜4等に例示される立体物造形装置1の制御プログラムPR0は、前記ヘッドユニット3に、第一サイズの第一ドットDT1、及び、前記第一サイズとは異なる第二サイズの第二ドットDT2を含む複数サイズのドットDTが形成されるように液体LQを吐出させ、前記立体物Objの内部に配置される前記第一ドットDT1に隣接するドットDTに前記第二ドットDT2が含まれるように前記立体物Objの造形を制御する機能をコンピューターに実現させる。この態様は、造形される立体物の強度を向上させることが可能な制御プログラムを提供することができる。
(2)立体物造形装置を含む立体物造形システムの具体例:
図1は、立体物造形装置を含むシステムの構成例として、立体物造形装置1とホスト装置9を備える立体物造形システム100の構成を示している。図2は、立体物Objの造形例を模式的に示している。図3は、立体物造形装置1の例を模式的に示している。図2,3に示すYは、イエローの意味ではなく、Y方向を表す。尚、図2,3に示すX,Y,Z方向は、互いに直交するものとするが、互いに交差していれば直交しない場合も本技術に含まれる。図1に示す立体物造形装置1は、吐出した液体LQにより形成されるドットDTにより層状の造形層LYを所定の厚さΔZで形成し、この造形層LYを積層することで立体物Objを造形する。図1に示すホスト装置9は、立体物Objの各造形層LYの形状及び色彩を定める造形層データFDを生成する。
ホスト装置9は、表示操作部91、形状データ生成部92、造形データ生成部93、図示しない記憶部、を備え、図示しないCPU(Central Processing Unit)により各部の動作が制御される。表示操作部91は、ディスプレイ、及び、キーボードやポインティングデバイスといった操作入力装置を含む。形状データ生成部92は、後述する形状データDatを生成する。造形データ生成部93は、形状データDatに基づいて造形層データFDを生成する。前記記憶部は、ホスト装置9の制御プログラム、立体物造形装置1のドライバープログラム、CAD(Computer Aided Design)ソフトといったアプリケーションプログラム、等を記憶する。ホスト装置9には、パーソナルコンピューターといったコンピューター等が含まれる。
形状データDatは、立体物Objを表す形状等を示すデータであり、立体物Objの形状等を指定するためのデータである。形状データDatは、少なくとも立体物Objの外部形状を特定可能な情報を含むものであればよく、立体物Objの色彩、立体物Objの内部の形状や材料、等も指定するものであってもよい。形状データDatのデータ形式には、AMF(Additive Manufacturing File Format)、STL(Standard Triangulated Language)、等を用いることができる。
形状データ生成部92は、例えば、CADアプリケーションで実現され、立体物造形システム100の利用者が表示操作部91を操作して入力した情報等に基づいて、立体物Objの形状及び色彩を指定する形状データDatを生成するものとする。
本具体例では、造形層LYがQ層(QはQ≧2を満たす自然数)形成された立体物Objを造形する方法を説明することにする。また、造形層LYを形成するQ回の積層処理のうちq回目(qは1≦q≦Qを満たす自然数)の積層処理で形成される造形層LYを造形層LY[q]と称し、造形層LY[q]の形状及び色彩を定める造形層データFDを造形層データFD[q]と称する。
造形データ生成部93は、まず、形状データDatの示す三次元の形状を厚さΔZ毎にスライスして得られる断面の形状及び色彩を示す断面形状データを生成する。その上で、造形データ生成部93は、断面形状データの示す形状及び色彩に対応する造形層LY[q]を形成するために、立体物造形装置1が形成すべきドットの配置を決定し、決定結果を造形層データFD[q]として出力する。造形層データFD[q]は、断面形状データの示す形状及び色彩を格子状の配置のボクセル(単位造形体)Vxに細分化することで、各ボクセルVxに形成すべきドットDTを指定する。ボクセルVxは、仮想の立体であり、本具体例では厚さがΔZで単位体積の直方体であるものとする。むろん、仮想のボクセルの形状は、直方体に限定されない。一つのボクセルVxには、1個のみドットが形成されてもよいし、2個以上のドットが形成されてもよい。
立体物造形装置1は、造形層データFD[q]に基づいて造形層LY[q]の積層処理を行う。図2には、造形層データFD[1]に基づいて造形層LY[1]を形成し、造形層データFD[2]に基づいて造形層LY[2]を積層する例を示している。立体物造形装置1は、造形層LY[q]を順番に積層することにより立体物Objを造形する。
尚、立体物Objを造形するためには、立体物Objが中実であることが好ましい。本具体例の造形データ生成部93は、形状データDatの指定する形状が中空形状である場合、形状データDatの示す形状の中空部分を補完して立体物Objが中実となるような造形層データFDを生成するものとする。また、中空部分を水溶性インク等といった、立体物造形後に容易に除去可能な材料で形成して該材料を除去してもよい。
次に、図1〜3等を参照して立体物造形装置1を説明する。図1,3に示す立体物造形装置1は、造形台45、キャリッジ41、ヘッドユニット3、硬化ユニット61、位置変化機構7、記憶部60、制御部6、等を備える。造形台45は、造形層LYの積載面を上面に有し、造形台昇降機構79aにより筐体40に対して昇降可能に設置されている。キャリッジ41は、ヘッドユニット3とインクカートリッジ(液体カートリッジ)48が搭載され、造形台45の上方に配置されている。ヘッドユニット3は、詳しくは後述するが、造形台45に向かって液滴(液体LQ)を吐出(噴射)する複数の吐出部Dを有する記録ヘッド30、及び、各吐出部Dへの駆動信号Vinを生成する駆動信号生成部31を備えている。尚、位置変化機構7と制御部6は、造形制御部U1の例である。
硬化ユニット61は、造形台45の上に吐出された液体LQによるドットDTを硬化させる。硬化ユニット61には液体LQを硬化させるために適切な波長の光源、または熱源を用いる。例えば液体LQとして紫外線硬化インクを用いるなら硬化ユニット61には液体LQの硬化効率の良い波長をもった紫外線光源で構成する。液体LQとして可視光硬化型インクを用いるなら硬化ユニット61には可視光光源を用い、熱硬化型インクを用いるなら硬化ユニット61には赤外線ヒーターなどの熱源を用いる。硬化ユニット61は、例えば、造形台45の上側(+Z方向)に設置することができる。本具体例では、硬化ユニット61が波長395nmを中心波長とした近紫外線のLED光源であって造形台45の+Z方向に配置される場合について説明する。
位置変化機構7は、駆動モーター71〜74、モータードライバー75〜78、等を備える。昇降機構駆動モーター71は、モータードライバー75で駆動されて造形台昇降機構79aを介して造形台45をZ方向(+Z方向及び−Z方向)へ移動させる。キャリッジ駆動モーター72は、モータードライバー76で駆動されてキャリッジ41をキャリッジガイド79bに沿ってY方向(+Y方向及び−Y方向)へ移動させる。尚、キャリッジ駆動モーター72とモータードライバー76は、駆動部U2の例である。キャリッジガイド駆動モーター73は、モータードライバー77で駆動されてキャリッジガイド79bをガイド79cに沿ってX方向(+X方向及び−X方向)へ移動させる。硬化ユニット駆動モーター74は、モータードライバー78で駆動されて硬化ユニット61をガイド79dに沿ってX方向(+X方向及び−X方向)へ移動させる。
記憶部60は、不揮発性メモリーとRAM(Random Access Memory)を備える。不揮発性メモリーには、立体物造形装置の制御プログラムPR0等が記憶される。不揮発性メモリーには、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリーといったデータの書き換え可能な不揮発性半導体メモリー、ハードディスクといったデータの書き換え可能な不揮発性磁気メモリー、等を用いることができる。RAMには、不揮発性メモリーから展開された制御プログラムPR0、ホスト装置9からの造形層データFD、等が格納される。
制御部6は、制御プログラムPR0等に従って立体物造形装置全体の制御処理を行うCPU等を備えている。制御部6は、ホスト装置9からの造形層データFDに基づいて、ヘッドユニット3及び位置変化機構7の動作を制御することにより、形状データDatに応じた立体物Objを造形する。例えば、制御部6は、造形層データFDに従って、吐出部Dを駆動させるためのアナログ駆動波形信号Comと波形指定信号SIを含む各種信号を生成し、これら生成した信号をヘッドユニット3へ出力する。また、制御部6は、造形層データFDに従って、モータードライバー75〜78の動作を制御するための各種信号を生成し、これら生成した信号を位置変化機構7へ出力する。
図4は、ヘッドユニット3に含まれる記録ヘッド30のノズルNZ(図1に示す吐出部Dの一部)の配置例を模式的に示している。図4の上側には、記録ヘッド30において複数のノズル列32がY方向(走査方向D1)へ並べられたノズル面33を示している。図4に示す記録ヘッド30は、移動していない造形台45に対して走査方向D1(往方向D2及び復方向D3)へ移動している最中にドット形成用の液体LQをノズルNZから吐出する双方向記録を行うものとする。むろん、単方向記録を行う記録ヘッドにも、本技術を適用可能である。複数のノズル列32は、往方向D2における遡る側D1uからその反対側D1dの順に、CLの液滴を吐出するノズルNZがX方向へ並んだノズル列32CL、Cの液滴を吐出するノズルNZがX方向へ並んだノズル列32C、Mの液滴を吐出するノズルNZがX方向へ並んだノズル列32M、Yの液滴を吐出するノズルNZがX方向へ並んだノズル列32Y、及び、Kの液滴を吐出するノズルNZがX方向へ並んだノズル列32Kを含んでいる。CLインクは、色材を添加していないインクであり、CMYKのインクよりも色材成分が少ない、あるいはまったく色材を含まない液体である。また、図4の下側に示すように、大ドットDTL、中ドットDTM、及び、小ドットDTSが液滴(液体LQ)から形成される。これらのドットDTL,DTM,DTSをドットDTと総称する。尚、各ノズルNZからドットDTL,DTM,DTSが形成される液滴を吐出可能であるため、図4は、例えば、CL及びYのノズルNZから大ドットDTLのみ形成されることを示している訳ではない。
各ノズル列32のノズルNZの配列は、ノズル面33内においてX方向からずれた方向でもよく、さらに、直線状のみならず、いわゆる千鳥状でもよい。
図1に示す吐出部Dは、ノズルNZに加えて、印加される駆動信号VinによりノズルNZから液滴を吐出させる駆動素子を有している。駆動素子には、ノズルNZに連通する圧力室内の液体LQに圧力を加える圧電素子、熱により圧力室内に気泡を発生させてノズルNZから液滴を吐出させるサーマル素子、等を用いることができるが、本実施形態ではピエゾ素子を圧電素子として駆動素子を構成する。前記圧力室には、インクカートリッジ48から液体LQが供給される。圧力室内の液体LQは、駆動素子によってノズルNZから造形台45に向かって液滴として吐出され、造形層LYに液滴のドットDTが形成される。記録ヘッド30と造形台45とが相対移動することにより、造形層データFDに対応した造形層LYが形成される。
駆動信号生成部31には、ノズルNZから液滴を吐出させる駆動素子に駆動信号を印加する種々の公知の回路を使用可能である。
図6は、大ドット相当の液滴の吐出、中ドット相当の液滴の吐出、小ドット相当の液滴の吐出、又は、液滴の非吐出を駆動信号Vinから生成する概念の一例を模式的に示している。尚、図6に示す駆動信号Vinの波形PL1,PL2,PL3は、あくまでも模式的なものであり、実際の波形とは限らない。
本例においてノズルNZから大ドット相当の液滴を吐出する場合、駆動信号生成部31は、制御部6から入力される駆動波形信号Comに基づいて所定の吐出単位期間に3個の波形PL1,PL2,PL3を駆動信号Vinとして吐出部Dに供給する。これにより、各波形PL1,PL2,PL3に合わせたタイミングでノズルNZから液滴が吐出され合体して大ドットが形成される。
また、ノズルNZから中ドット相当の液滴を吐出する場合、駆動信号生成部31は、制御部6から入力される駆動波形信号Comに基づいて上記吐出単位期間に2個の波形PL1,PL2を駆動信号Vinとして吐出部Dに供給する。これにより、各波形PL1,PL2に合わせたタイミングでノズルNZから液滴が吐出され合体して中ドットが形成される。
さらに、ノズルNZから小ドット相当の液滴を吐出する場合、駆動信号生成部31は、制御部6から入力される駆動波形信号Comに基づいて上記吐出単位期間に1個の波形PL1を駆動信号Vinとして吐出部Dに供給する。これにより、波形PL1に合わせたタイミングでノズルNZから液滴が吐出されて小ドットが形成される。
加えて、ノズルNZから液滴を吐出しない場合、駆動信号生成部31は、上記波形PL1,PL2,PL3のいずれも吐出部Dに供給しない、これにより、ノズルNZから液滴が吐出されずドットが形成されない。
図6は、所定厚さΔZの造形層LYに含まれるボクセル(単位造形体の例)Vx及びドットDTの例を模式的に示している。むろん、造形層LYに含まれるボクセルVxの数は、5×5個に限定されない。図6では、y=1におけるボクセルVxをボクセルVx11〜Vx15と示し、y=3におけるボクセルVxをボクセルVx31〜Vx35と示している。これらのボクセルには、ドットDTのサイズとそのインク種も示している。例えば、ボクセルVx12は、Kの大ドットDTLで形成されたことになる。ボクセルVx14,Vx32は、Yの大ドットDTLで形成されたことになる。ボクセルVx11は、Mの小ドットDTSの上にCLの中ドットDTMが形成されたことになる。ボクセルVx31は、Mの中ドットDTMの上にCLの小ドットDTSが形成されたことになる。ボクセルVx15は、Mの小ドットDTS、Cの小ドットDTS、及び、CLの小ドットDTSが下から順に形成されたことになる。図1に示す制御部6は、各ボクセルVxに、1個の大ドット、1個の中ドットと1個の小ドットの組合せ、又は、3個の小ドットの組合せを形成させて、造形層LYを所定厚さΔZにする。
(3)立体物造形装置の処理例:
図7は、図1に示す立体物造形装置1で行われる造形処理の例を示している。この処理は、制御部6が中心となって行う。制御部6は、ホスト装置9から造形層データFDを取得すると、ステップS102〜S110の造形処理において硬化するドットDTによる立体物Objの造形を制御する。以下、「ステップ」の記載を省略する。尚、立体物造形装置1は、マルチタスクにより複数の処理を並列して実行している。
造形層データFDを取得した制御部6は、ドットDTを形成する造形層LY[q]を設定する(S102)。この処理は、例えば、積層処理の実行回数を示す変数qにS102の処理回数(1,2,…,Q)を設定する処理とすることができる。次に、制御部6は、造形層LY[q]を形成するためのZ方向における位置に造形台45を移動させるように、モータードライバー75に昇降機構駆動モーター71を駆動させる(S104)。例えば、図2の造形層LY[1]を形成する場合、制御部6は、造形台45を硬化ユニット61に近い所定の近接位置に上昇させる。図2の造形層LY[2]を形成する場合、制御部6は、造形台45を前記近接位置よりも厚さΔZ下降させる。
造形台45の移動後、制御部6は、q層目の造形層データFD[q]に基づいて、立体物Objの内部に配置される第一ドットDT1に隣接するドットに第二ドットDT2が含まれるように変換データCD[q]を生成する(S106)。このS106のデータ変換処理の詳細は、後述する。
その後、制御部6は、q層目の変換データCD [q]に基づいて造形層LY[q]が形成されるように、ヘッドユニット3、位置変化機構7、及び、硬化ユニット61の動作を制御する(S108)。この処理は、例えば、ヘッドユニット3を走査方向D1(Y方向)へ走査させながらインク滴(液体LQ)をノズルNZから吐出させてヘッドユニット3をX方向へ送ることを繰り返す処理とすることができる。例えば、制御部6は、ヘッドユニット3を走査方向D1へ移動させるようにモータードライバー76にキャリッジ駆動モーター72を駆動させる。また、制御部6は、ヘッドユニット3とともにキャリッジガイド79bをX方向へ移動させるようにモータードライバー77にキャリッジガイド駆動モーター73を駆動させる。ここで、1回の走査方向D1への主走査で全ドットDTを形成することができないボクセルVxがある場合、該ボクセルVxの全ドットDTを2回以上の主走査で形成すればよい。
例えば、これから往方向D2への主走査を行うとする。図6のボクセルVx15のように下から順にM,C,CLの小ドットDTSを形成する場合、図4に示す記録ヘッド30では1回の主走査でM,C,CLのノズルNZから吐出するインク滴によりボクセルVx15に全ドットを形成可能である。図6のボクセルVx33のように下から順にY,K,CLの小ドットDTSを形成する場合、図4に示す記録ヘッド30では、1回目の主走査(往方向D2)でYの小ドットDTSしか形成することができず、2回目の主走査(復方向D3)でKの小ドットDTSしか形成することができず、3回目の主走査(往方向D2)でCLの小ドットDTSを形成可能である。そこで、q層目の造形層LY[q]を形成するために最大3回の主走査を行うものとする。
上側をヘッドユニット3が通り過ぎたドットDTL,DTM,DTSには、硬化ユニット61からの紫外線(UV)が上から照射される。これにより、CMYK及びCLのインクに含まれる成分が重合し、造形層LY[q]のドットDTL,DTM,DTSが硬化する。
造形層LY[q]の形成後、制御部6は、造形層LY[q]を全て設定した否かを判断する(S110)。q<Qである場合、制御部6は、S102〜S110の処理を繰り返す。例えば、q=1である場合、次のS102の処理において造形層LY[2]が設定される。q=Qである場合、制御部6は、造形処理を終了させる。これにより、造形層LY[q]が順に積層された立体物Objが造形台45に載置された状態となる。
ところで、ドットサイズに応じて、比較的大きいドット(例えば大ドットDTL)の方が低い強度となったり、比較的小さいドット(例えば小ドットDTS)の方が低い強度となったりすることがある。
比較的小さいドットよりも比較的大きいドットの方が弱くなり易いのは、以下の場合が考えられる。
例えば、処理速度を重視して高速の走査を行うと、紫外線が照射された造形層LY[q]の大ドットにおける重合(ポリマー化)が十分に進まず十分に硬化しないうちに次の造形層LY[q+1]のドットが形成され、造形層LY[q]への紫外線が遮断されて硬化が止まってしまうことがあり得る。また、紫外線の強度が十分に得られない装置構成であっても、同様に造形層LY[q]への紫外線が造形層LY[q+1]で遮断されて硬化が止まってしまうことがあり得る。比較的大きなドットは、光重合が均一にならず、特に、紫外線を照射する面の側はポリマーが繋がって強度が高い一方、反対側の強度はポリマーの繋がりが弱くなって強度が低くなることがある。
比較的大きいドットよりも比較的小さいドットの方が弱くなり易いのは、以下の場合が考えられる。
例えば、紫外線の強度が十分に得られる場合、比較的大きいドットは全体が十分に重合して硬化する。一方、比較的小さいドットでは、ドット毎に光重合が進み、ポリマーの鎖がドット間の境界面で途切れてしまう。このため、ドットの中でポリマーが繋がった内部よりも境界部の強度が低くなる。そのため、比較的小さいドットを集合させた立体物は、面積あたりの境界面が多く、比較的大きいドットを集合させた立体物と比べて強度的に弱くなる。
そこで、S106のデータ変換処理について、比較的大きいドットの方が低い強度となる場合に好適な処理と、比較的小さいドットの方が低い強度となる場合に好適な処理と、を順次、説明する。
尚、図8に例示するように造形層LYと造形層データFDを模式的に表すことにする。ここで、造形層LY[q](1≦q≦Q)のボクセル位置(x,y)における造形層データFD[q]をVX(q,x,y)で表している。X方向のボクセル位置xは1,2,…,XmaxのXmax箇所あり、Y方向のボクセル位置yは1,2,…,YmaxのYmax箇所あるものとする。図8ではXmax=5且つYmax=5であるが、ドット形成箇所Xmax,Ymaxは5箇所ずつに限定されない。造形層LY[q]のうち第一サイズの第一ドットDT1を含む或るボクセルVxを第一単位造形体Vx1とするとき、この第一単位造形体Vx1を含む造形層LY[q]が第一造形層LY1となり、X方向、Y方向、及び、Z方向において第一単位造形体Vx1に隣接するボクセルVxが第二サイズの第二ドットDT2を含む第二単位造形体Vx2の候補となる。また、第二ドットDT2を含む第二単位造形体Vx2を含む隣接造形層LY[q-1],LY[q+1]が第二造形層LY2となる。尚、q=1の場合には造形層LY[q-1]が無く、q=Qの場合は造形層LY[q+1]が無い。
(4)比較的大きいドットの方が低い強度となる場合に好適な処理例:
図8は、比較的大きいドットが第一サイズの第一ドットである例として、大ドットDTLが比較的低強度の第一ドットDT1であって中小ドットDTM,DTSが比較的高強度の第二ドットDT2である例を示している。この例では、中ドットDTMが第三サイズの第三ドットDT3であり、小ドットDTSが第四サイズの第四ドットDT4である。すなわち、第二サイズの第二ドットDT2は、第一サイズよりも小さい第三サイズの第三ドットDT3、及び、該第三サイズよりも小さい第四サイズの第四ドットDT4を含んでいる。
本例が好適であるのは、例えば、大ドットに対する紫外線照射時間が十分でないため大ドットの強度が中小ドットと比べて低くなる一方、中小ドットを中心に使うと前述したように走査回数が増えてスループットが低下しやすい場合や、大ドットと比べて中小ドットの厚みの制御に難があるため大ドットも混在させないと寸法精度が出ない場合である。
図9は、ドットDTL,DTM,DTSをそれぞれドットDT1,DT3,DT4に対応させる場合において、q層目の造形層LY[q]内において第一ドットDT1のそれぞれに隣接するドットDTの少なくとも一つは必ずドットDT3,DT4(第二ドットDT2)のいずれかとなるようにするデータ変換処理の例を示している。この処理が開始されると、制御部6は、造形層LY[q]に含まれる全ボクセル位置の中から判定対象のボクセル位置(x,y)を設定する(S202)。例えば、図9の右上に示すように、y=1においてx=1,2,…,Xmaxの順にボクセル位置を設定し、y=2においてx=1,2,…,Xmaxの順にボクセル位置を設定し、このような繰り返しをy=1,2,…,Ymaxの順に行ってもよい。この場合、Xmax×Ymax箇所のボクセル位置の中から未設定であった1箇所のボクセル位置(x,y)が設定される。むろん、ボクセル位置の設定順は、図9に示す例に限定されない。
尚、図10,11,14に示す例のように、造形層データFD[q]から設定済のボクセル位置のドットを必要に応じて変換したデータを変換データCD[q]と呼ぶことにする。図10,11,14において、図8の各断面をY方向から見るように各ボクセルのデータを示している。変換データCD[q]の初期データは、造形層データFD[q]とする。
ボクセル位置の設定後、制御部6は、ボクセル位置(x,y)の造形層データFD[q]が大ドットDTL(第一ドットDT1)のみ形成されるデータであるか否かを変換データCD[q]に基づいて判断する(S204)。例えば、図10に示す造形層データVX(q,2,2)等は大ドットDTLのみ形成される造形層データであるので、条件成立となる。この場合、制御部6は、造形層LY[q]内においてボクセル位置(x,y)に面で接する4箇所の隣接ボクセル位置(x−1,y),(x+1,y),(x,y−1),(x,y+1)の変換データCD[q]が全て大ドットDTLのみであるか否かを判断する(S206)。設定されたボクセル位置(x,y)が造形層LY[q]の縁部(x=1、x=Xmax、y=1、又は、y=Ymax)である場合、存在しないボクセル位置は判断をスキップすればよい。図10に示すように造形層データFD[q]から変換データCD[q]を生成する例において、ボクセル位置(2,2)の判断時に、ボクセル位置(2,1),(1,2)は設定済であり、ボクセル位置(3,2),(2,3)は未設定である。造形層LY[q]のボクセル位置(2,2)に隣接するボクセル位置の変換データVX(q,2,1),(q,1,2)、及び、造形層データVX(q,3,2),(q,2,3)が全て大ドットDTLのみ形成されるデータであるので、条件成立となる。この場合、制御部6は、ボクセル位置(x,y)について、ボクセル位置(x,y)の大ドットDTLと同一色の小ドットDTS(第四ドットDT4)が3個形成されるように造形層データFD[q]を変換し(S208)、処理をS210に進める。例えば、図10に示す造形層データVX(q,2,2)のCLの大ドットDTLからは、CLの小ドットDTSが3個形成される変換データVX(q,2,2)が生成される。
S206において条件不成立である場合、制御部6は、S208の処理を行わずに処理をS210に進める。例えば、図10の例において、造形層LY[q]のボクセル位置(3,2)に隣接するボクセル位置の変換データVX(q,3,1),(q,2,2)は小ドットDTS(第二ドットDT2)が形成されるデータであるので、条件不成立となる。この場合、ボクセル位置(x,y)の大ドットDTLは変換されない。
S204において条件不成立である場合、制御部6は、S206〜S208の処理を行わずに処理をS210に進める。例えば、図11に示す造形層データVX(q,2,3)は中小ドットDTM,DTS(第二ドットDT2)が形成されるデータであるので、条件不成立となる。この場合、ボクセル位置(x,y)の中小ドットDTM,DTSは変換されない。
ボクセル位置(x,y)についての処理の後、制御部6は、ボクセル位置を全て設定した否かを判断する(S210)。設定していないボクセル位置が残っている場合、制御部6は、S202〜S210の処理を繰り返す。ボクセル位置が全て設定された場合、制御部6は、データ変換処理を終了させる。その後、図7で示した造形処理が引き続き行われる。
以上の処理により、大ドットDTL(第一ドットDT1)及び中小ドットDTM,DTS(第二ドットDT2)を少なくとも含む造形層LYがZ方向へ重ねられ、且つ、該造形層LY内において立体物Objの内部に配置される大ドットDTL(第一ドットDT1)に面で接する(隣接する)ドットDTに必ず中小ドットDTM,DTS(第二ドットDT2)が含まれるように立体物Objの造形が制御される。
例えば、図10に示すように、全ボクセルに大ドットDTLが形成される造形層データFD[q]が上記データ変換処理により変換されると仮定する。この場合、変換データCD[q]は、大ドットDTLのみが形成されるボクセルと、小ドットDTSが3個形成されるボクセルと、がX方向及びY方向において交互に配置されたデータとなる。例えば、立体物Objの内部となるボクセル位置(2,2)〜(4,4)において大ドットDTLが形成される変換データVX(q,3,2)のボクセルを第一単位造形体Vx1とする。この第一単位造形体Vx1に隣接する小ドットDTSを含む変換データ(q,3,1),(q,2,2),(q,4,2),(q,3,3)のボクセルが第二単位造形体Vx2となる。 また、図11に示すように、中小ドットDTM,DTSも形成される造形層データFD[q]が上記データ変換処理により変換されると仮定する。この場合も、造形層LY内において大ドットDTL(第一ドットDT1)に隣接するドットDTに中小ドットDTM,DTS(第二ドットDT2)が含まれるように立体物Objが造形される。例えば、立体物Objの内部となるボクセル位置(2,2)〜(4,4)において大ドットDTLが形成される変換データVX(q,2,2)のボクセルを第一単位造形体Vx1とする。この第一単位造形体Vx1に隣接する中小ドットDTM,DTSを含む変換データ(q,2,1),(q,3,2),(q,2,3)のボクセルが第二単位造形体Vx2となる。
以上より、十分な照射時間がとれず重合が不十分となることで大ドットDTLの強度が中小ドットDTM,DTSの強度よりも低くても、造形層LY内において、大ドットDTLに面で接するドットDTに含まれる中小ドットDTM,DTSが大ドットDTLを補強する。従って、本具体例は、立体物の造形にかかる時間を長引かせることなく立体物に含まれる造形層の強度を向上させることができる。なお、本実施形態では図9に示した処理を制御部6で実行したが、造形データ生成部93で実施する形態であっても構わない。この場合、造形データ生成部93で造形層データFD[q]から変換データCD[q]に図9に従って変換を行い、変換データCD[q]を造形データ生成部93から制御部6へ転送すればよい。
図12は、第一ドットDT1を含む第一造形層LY1(図8参照。)に隣接する第二造形層LY2に第一ドットDT1のそれぞれに隣接するドットDT3,DT4(第二ドットDT2)が含まれるようにするデータ変換処理の例を示している。この処理は、図9で示した処理と比べて、S206がS222に置き換わっている。すなわち、ボクセル位置(q,x,y)の造形層データFD[q]が大ドットDTL(第一ドットDT1)のみ形成されるデータである場合(S204)、制御部6は、ボクセル位置(q,x,y)に面で接する6箇所の隣接ボクセル位置の変換データCD[q]が全て大ドットDTLのみであるか否かを判断する(S222)。ボクセル位置(q,x,y)に隣接する6箇所のボクセル位置は、X方向におけるボクセル位置(q,x−1,y),(q,x+1,y)、Y方向における隣接ボクセル位置(q,x,y−1),(q,x,y+1)、及び、Z方向における隣接ボクセル位置(q−1,x,y),(q+1,x,y)である。設定されたボクセル位置(q,x,y)が立体物Objの表面に出る位置(q=1、q=Q、x=1、x=Xmax、y=1、又は、y=Ymax)である場合、存在しないボクセル位置は判断をスキップすればよい。条件成立時、制御部6は、ボクセル位置(x,y)について、ボクセル位置(x,y)の大ドットDTLと同一色の小ドットDTSが3個形成されるように造形層データFD[q]を変換し(S208)、処理をS210に進める。条件不成立時、制御部6は、S208の処理を行わずに処理をS210に進める。
以上の処理により、複数の造形層LYが大ドットDTL(第一ドットDT1)を含む第一造形層LY1、及び、該第一造形層LY1とは異なる第二造形層LY2であって前記大ドットDTL(第一ドットDT1)に面で接する中小ドットDTM,DTS(第二ドットDT2)を含む第二造形層LY2を含むように立体物Objの造形が制御される。このため、大ドットDTLの強度が中小ドットDTM,DTSの強度よりも低くても、大ドットDTLを含む第一造形層LY1に面で接する第二造形層LY2に含まれる中小ドットDTM,DTSが前記大ドットDTLを補強する。従って、本具体例は、立体物に含まれる造形層間の強度を向上させることができる。
尚、S222では、Z方向においてのみボクセル位置(q,x,y)に隣接する2箇所のボクセル位置(q−1,x,y),(q+1,x,y)の変換データCD[q]がいずれも大ドットDTLのみであるか否かを判断してもよい。すると、第一造形層LY1に含まれる大ドットDTLに対して面で接する中小ドットDTM,DTSが必ず第二造形層LY2に含まれるように立体物Objが造形される。
また、図9,12のS208では、ボクセル位置(x,y)について、ボクセル位置(x,y)の大ドットDTLと同一色の中ドットDTMと小ドットDTSの組合せが形成されるように造形層データFD[q]が変換されてもよい。この例は、中ドットDTMの強度も大ドットDTLより高い場合に好適である。
(5)比較的小さいドットの方が低い強度となる場合に好適な処理例:
図13の上部は、比較的小さいドットが第一サイズの第一ドットである例として、中小ドットDTM,DTSが比較的低強度の第一ドットDT1であって大ドットDTLが比較的高強度の第二ドットDT2である例を示している。
本例が好適であるのは、例えば、中小ドットだけでは界面が剥離し易く強度が低い一方、大ドットのみでは立体物の外観に粒状感が出て見映えが低下する場合である。
図13は、q層目の造形層LY[q]内において第一ドットDT1のそれぞれに隣接するドットDTの少なくとも一つは必ず第二ドットDT2となるようにするデータ変換処理の例を示している。この処理は、図9で示した処理と比べて、S204〜S208がS242〜S250に置き換わっている。制御部6は、判定対象のボクセル位置(x,y)を設定すると(S202)、ボクセル位置(x,y)に大ドットDTL(第一ドットDT1)が存在しないかするかを変換データCD[q]に基づいて判断する(S242)。例えば、図14に示す造形層データVX(q,2,2)のボクセルは大ドットDTLが存在しないので、条件成立となる。この場合、制御部6は、造形層LY[q]内においてボクセル位置(x,y)に面で接する4箇所の隣接ボクセル位置(x−1,y),(x+1,y),(x,y−1),(x,y+1)の変換データCD[q]に大ドットDTLが存在しないかするかを判断する(S244)。設定されたボクセル位置(x,y)が造形層LY[q]の縁部である場合、存在しないボクセル位置は判断をスキップすればよい。
条件成立時、制御部6は、ボクセル位置(x,y)に中ドットDTMが存在するか否かを判断する(S246)。例えば、図14に示す造形層データVX(q,1,1)は中ドットDTMが形成されるので、条件成立となる。この場合、制御部6は、ボクセル位置(x,y)について、小ドットDTSを削除し中ドットDTMを大ドットDTLに変換するように造形層データ[q]を変換し(S248)、処理をS210に進める。例えば、図14に示す造形層データVX(q,1,1)からは、Cの小ドットDTSが削除されてMの大ドットDTLが形成される変換データVX(q,1,1)が生成される。一方、図14に示す造形層データVX(q,4,1)は中ドットDTMが形成されないので、条件不成立となる。この場合、制御部6は、ボクセル位置(x,y)について、一番下の小ドットDTSを大ドットDTLに変換し他の小ドットDTSを削除するように造形層データ[q]を変換し(S250)、処理をS210に進める。例えば、図14に示す造形層データVX(q,4,1)からは、C及びCLの小ドットDTSが削除されてMの大ドットDTLが形成される変換データVX(q,4,1)が生成される。
S244において条件不成立である場合、制御部6は、S246〜S250の処理を行わずに処理をS210に進める。例えば、図14の例において、造形層LY[q]のボクセル位置(2,2)に隣接するボクセル位置の造形層データVX(q,3,2)は大ドットDTL(第二ドットDT2)が形成されるデータであるので、条件不成立となる。この場合、ボクセル位置(x,y)の中小ドットDTM,DTSは変換されない。
S242において条件不成立である場合、制御部6は、S244〜S250の処理を行わずに処理をS210に進める。例えば、図14に示す造形層データVX(q,3,2)は大ドットDTL(第二ドットDT2)が形成されるデータであるので、条件不成立となる。この場合、ボクセル位置(x,y)の大ドットDTLは変換されない。
上述したS202,S242〜S250の処理は、全ボクセル位置が設定されるまで繰り返される(S210)。図13に示すデータ変換処理は、全造形層が設定されるまで繰り返される(図7)。
以上の処理により、中小ドットDTM,DTS(第一ドットDT1)及び大ドットDTL(第二ドットDT2)を少なくとも含む造形層LYがZ方向へ重ねられ、且つ、該造形層LY内において立体物Objの内部に配置される中小ドットDTM,DTS(第一ドットDT1)に面で接するドットDTに必ず大ドットDTL(第二ドットDT2)が含まれるように立体物Objの造形が制御される。
例えば、図14に示す造形層データFD[q]が上記データ変換処理により変換されると仮定する。この場合、変換データCD[q]は、造形層LY内において中小ドットDTM,DTS(第一ドットDT1)に隣接するドットDTに大ドットDTL(第二ドットDT2)が含まれるように立体物Objが造形される。例えば、立体物Objの内部となるボクセル位置(2,2)〜(4,4)において中小ドットDTM,DTSが形成される変換データVX(q,4,2)のボクセルを第一単位造形体Vx1とする。この第一単位造形体Vx1に隣接する大ドットDTLを含む変換データ(q,4,1),(q,3,2),(q,5,2)のボクセルが第二単位造形体Vx2となる。
以上より、中小ドットDTM,DTSの強度が大ドットDTLの強度よりも低くても、造形層LY内において、中小ドットDTM,DTSに面で接するドットDTに含まれる大ドットDTLが中小ドットDTM,DTSを補強する。従って、本具体例は、立体物に含まれる造形層の強度を向上させることができる。
尚、S248,S250では、ボクセル(x,y)の一部のドットを単純に削除する以外にも、色ずれを抑制するためボクセル(x,y)に隣接するボクセルに前記削除したドットを入れる処理を行うことが可能である場合、前記処理を加えてもよい。例えば、隣接するボクセルの造形層データが無彩色(クリア等)のドットを形成するためのデータである場合、この無彩色のドットを前記削除したドットに置き換える処理を加えてもよい。
また、S244では、X方向、Y方向、及び、Z方向においてボクセル位置(q,x,y)に隣接する6箇所のボクセル位置の変換データCD[q]に大ドットDTLが存在しないかするかを判断してもよい。むろん、Z方向においてのみボクセル位置(q,x,y)に隣接する2箇所のボクセル位置(q−1,x,y),(q+1,x,y)の変換データCD[q]に大ドットDTLが存在しないかするかを判断することも可能である。すると、第一造形層LY1に含まれる中小ドットDTM,DTSに対して隣接する大ドットDTLが第二造形層LY2に含まれるように立体物Objが造形される。
図15の上部は、小ドットDTSが第一サイズの第一ドットDT1であって大中ドットDTL,DTMが第二サイズの第二ドットDT2である例を示している。この例は、中ドットDTMの強度も高い場合に好適である。
図15に示すデータ変換処理は、図13で示した処理と比べて、S242〜S248がS262〜S264に置き換わっている。制御部6は、判定対象のボクセル位置(x,y)を設定すると(S202)、ボクセル位置(x,y)の造形層データFD[q]が小ドットDTS(第一ドットDT1)のみ形成されるデータであるか否かを変換データCD[q]に基づいて判断する(S262)。条件成立時、制御部6は、造形層LY[q]内においてボクセル位置(x,y)に面で接する4箇所の隣接ボクセル位置(x−1,y),(x+1,y),(x,y−1),(x,y+1)の変換データCD[q]が全て小ドットDTSのみであるか否かを判断する(S264)。設定されたボクセル位置(x,y)が造形層LY[q]の縁部である場合、存在しないボクセル位置は判断をスキップすればよい。条件成立時、制御部6は、ボクセル位置(x,y)について、一番下の小ドットDTSを大ドットDTLに変換し他の小ドットDTSを削除するように造形層データ[q]を変換し(S250)、処理をS210に進める。
S264において条件不成立である場合、制御部6は、S250の処理を行わずに処理をS210に進める。この場合、ボクセル位置(x,y)の小ドットDTSは変換されない。
S262において条件不成立である場合、制御部6は、S264,S250の処理を行わずに処理をS210に進める。この場合、ボクセル位置(x,y)の大中ドットDTL,DTMは変換されない。
上述したS202,S262〜S264,S250の処理は、全ボクセル位置が設定されるまで繰り返される(S210)。図15に示すデータ変換処理は、全造形層が設定されるまで繰り返される(図7)。
以上の処理により、小ドットDTS(第一ドットDT1)及び大中ドットDTL,DTM(第二ドットDT2)を少なくとも含む造形層LYがZ方向へ重ねられ、且つ、該造形層LY内において立体物Objの内部に配置される小ドットDTS(第一ドットDT1)に面で接するドットDTに必ず大ドットDTL(第二ドットDT2)が含まれるように立体物Objの造形が制御される。むろん、小ドットDTS(第一ドットDT1)に隣接するドットDTに中ドットDTM(第二ドットDT2)が含まれるように立体物Objの造形が制御されてもよい。
以上より、ドットの境界で重合が小ドットDTSの強度が大中ドットDTL,DTMの強度よりも低くても、造形層LY内において、小ドットDTSに面で接するドットDTに含まれる大中ドットDTL,DTMが小ドットDTSを補強する。従って、本具体例は、立体物に含まれる造形層の強度を向上させることができる。
尚、図13,15のS250では、一番下の小ドットDTSを大ドットDTLに変換する以外にも、一番上又は中間の小ドットDTSを大ドットDTLに変換してもよい。むろん、大ドットDTLに変換する小ドットDTSを3個の中からランダムあるいは一定の法則(例えば、qを3で割った剰余が0の層では一番下、剰余が1の層では真ん中、剰余が2の層では一番上、など)に従って選択してもよい。
(6)立体物の表面に出ている第一ドットを除外する処理例:
上述した具体例では立体物Objの表面に出ている第一ドットDT1に隣接するドットDTの少なくとも一つは第二ドットDT2となるようにしたが、この過程で小ドットDTSを削除することがあるため、造形データFD[q]で本来意図した色とずれが生じるケースがある。色再現性を重視したり立体物Objの表面に保護層を形成して強度的に問題がなかったりするような場合は立体物Objの表面に出ている第一ドットDT1を除外してもよい。
図16は、立体物Objの表面に出ている第一ドットDT1を除外するためのデータ変換処理の例を示している。この処理は、図7のS106において図9,12,13,15の代わりに実行可能である。図16に示すデータ変換処理は、図9,12,13,15と比べて、S202の設定範囲が変わり、このS202の前にS200が追加されている。
図16に示すデータ変換処理が開始されると、制御部6は、図7のS102において設定されている造形層LY[q]が造形層LY[1](q=1)又は造形層LY[Q](q=Q)であるか否かを判断する(S200)。造形層LY[1],LY[Q]は立体物Objの表面となるので、q=1又はQである場合、制御部6は、S202以降の処理を行わずにデータ変換処理を終了させる。一方、2≦q≦Q−1である場合、制御部6は、造形層LY[q]に含まれる全ボクセル位置のうち立体物Objの表面を除くボクセル位置の中から判定対象のボクセル位置(x,y)を設定する(S202)。例えば、y=2においてx=2,3,…,Xmax−1の順にボクセル位置を設定し、y=3においてx=2,3,…,Xmax−1の順にボクセル位置を設定し、このような繰り返しをy=2,3,…,Ymax−1の順に行ってもよい。この場合、(Xmax−2)×(Ymax−2)箇所のボクセル位置の中から未設定であった1箇所のボクセル位置(x,y)が設定される。
その後、制御部6は、図9のS204〜S210の処理、図12のS204,S222,S208〜S210、図13のS242〜S250,S210、又は、図15のS262〜S264,S250,S210の処理を行う。
以上より、立体物Objの内部に配置される第一ドットDT1に隣接するドットDTに必ず第二ドットDT2が含まれるように立体物Objが造形される。一方、立体物Objの表面に出るドットDTについては、サイズが維持される。従って、本具体例は、色再現性の良好な立体物の強度を向上させることができる。
尚、データ変換処理で設定を除外するボクセル位置は、立体物Objの全表面とする以外にも、立体物Objの表面の一部のみとしてもよい。
(7)粉体層を形成する処理例:
立体物造形装置1は、層状に敷き詰められた粉体を硬化性の液体LQにより固めることで造形層LYを形成し、形成された造形層LYを積層することで立体物Objを造形してもよい。この場合、立体物造形装置1は、造形台45上に粉体を所定の厚さΔZで敷き詰めて粉体層Pwを形成するための粉体層形成部(図示省略)、及び、立体物Objの形成後に立体物Objを構成しない粉体(液体LQにより固められた粉体以外の粉体)を廃棄するための粉体廃棄部(図示省略)を有するとよい。尚、造形層LY[q]を形成するための粉体層Pwを粉体層Pw[q]と称する。
図17は、粉体を利用する造形処理の例を示している。この処理は、図7で示した処理と比べて、S108がS302〜S304に置き換わり、S306が追加されている。図18は、粉体を利用する立体物Objの造形例を模式的に示している。
造形層データFDを取得した制御部6は、ドットDTを形成する造形層LY[q]を設定し(S102)、造形層LY[q]を形成するためのZ方向における位置に造形台45を移動させ(S104)、造形層データFD[q]に基づいて変換データCD[q]を生成する(S106)。次に、制御部6は、粉体層形成部に粉体層Pw[q]形成させる(S302)。図18の最上段には、まず、造形台45上に粉体層Pw[1]が形成された様子が示されている。q≧2の粉体層Pw[q]は、造形層LY[q-1]上に形成される。
粉体層形成後、制御部6は、q層目の変換データCD [q]に基づいて粉体層Pw[q]に造形層LY[q]が形成されるように、ヘッドユニット3、位置変化機構7、及び、硬化ユニット61の動作を制御する(S304)。この処理も、例えば、ヘッドユニット3を走査方向D1(Y方向)へ走査させながらインク滴(液体LQ)をノズルNZから吐出させてヘッドユニット3をX方向へ送ることを繰り返す処理とすることができる。例えば、図6に示すボクセルVx33に3個の小ドットDTSを形成する場合、同じボクセルVx33に対して、Yのノズルからのインク滴が粉体層Pw[q]に着弾し、次にKのノズルからのインク滴が粉体層Pw[q]に着弾した後に、CLのノズルからのインク滴が粉体層Pw[q]に着弾する。このため、粉体層Pw[q]のボクセルVx33において、Yの小ドットDTSの上にKの小ドットDTSが重ねられ、さらにCLの小ドットDTSが重ねられる。
上側をヘッドユニット3が通り過ぎたドットDTには、硬化ユニット61からの紫外線が上から照射される。これにより、CMYK及びCLのインクに含まれる成分が重合し、粉体層Pw[q]に染み込んだドットDTが硬化する。このようにして、造形層LY[q]のドットDTが硬化して粉体層Pw[q]を固める。
粉体層Pw[q]に造形層LY[q]を形成した後、制御部6は、造形層LY[q]を全て設定するまでS102〜S106,S302〜S304の処理を繰り返す(S110)。q=2である場合にS302では、図18の上から3段目に示すように、粉体層Pw[1]上に粉体層Pw[2]が形成される。q=Qである場合、余分な粉体を含めて、造形層LY[1]、造形層LY[2]、…、造形層LY[q]の順に含むように形成された立体物Objが造形台45に載置された状態となる。この場合、制御部6は、立体物Objを構成しない粉体を粉体廃棄部に廃棄させ(S306)、造形処理を終了させる。
本具体例も、造形される立体物の強度を向上させることが可能な技術を提供することができる。
(8)その他変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、Kの液体を使用しない立体物造形装置にも、本技術を適用可能である。また、W(ホワイト)、V(バイオレット)、等、CMYK以外の液体を使用する立体物造形装置にも、本技術を適用可能である。
ヘッドユニットから吐出される液体は、熱可塑性樹脂等といった熱可塑性の液体でもよい。この場合、ヘッドユニットは、液体を加熱して溶融状態で吐出してもよい。また、硬化ユニットは、立体物造形装置においてヘッドユニットからの液体によるドットが冷却されて固化する部位でもよい。本技術において、「硬化」は「固化」を含む。
硬化ユニットは、キャリッジに搭載されてもよい。この場合、ノズルNZよりも走査方向D1において遡る側D1uに硬化ユニットが配置されると、ヘッドユニット3からの液体LQによるドットDTを速やかに硬化ユニットで硬化させることができるので、好ましい。
形状データから造形層データを生成する造形データ生成部は、ホスト装置に無く、立体物造形装置に有ってもよい。形状データを生成する形状データ生成部も、ホスト装置に無く、立体物造形装置に有ってもよい。表示操作部も、ホスト装置に無く、立体物造形装置に有ってもよい。
ドットサイズの種類は、大中小の3種類以外にも、2種類でもよいし、4種類以上でもよい。
上述した実施形態では、一つの単位造形体を、1個の大ドット、1個の中ドットと1個の小ドット、又は、3個の小ドットで形成したが、これに限定されない。例えば、一つの単位造形体を、1個の大ドット、2個の中ドット、1個の中ドットと2個の小ドット、又は、4個の小ドットで形成してもよい。この場合において、大中ドットの強度が小ドットの強度よりも低いとき、立体物Objの内部に配置される中ドット(第一ドット)に隣接するドットに小ドット(第二ドット)が含まれるように立体物の造形を制御してもよい。
また、造形層の厚さは均一でなくてもよく、外見上、単位造形体に分けることができない場合も本技術に含まれる。
さらに、比較的大きいドットの方が低い強度となる場合に好適な処理(例えば図9,12に示す処理)と、比較的小さいドットの方が低い強度となる場合に好適な処理(例えば図13,15に示す処理)と、を同時に実行することも可能である。例えば、図9のS204の判断処理でボクセル位置(x,y)が大ドットのみでないと判断された場合に図13のS244以降の処理を行うと、大ドットに隣接するドットに小ドットが含まれ、且つ、中小ドットに隣接するドットに大ドットが含まれるように立体物が造形される。
また、qが奇数である場合の造形層LY[q]については全て小ドットが形成される変換データCD[q]を造形層データFD[q]に基づいて生成し、qが偶数である場合の造形層LY[q]については全て大ドットが形成される変換データCD[q]を造形層データFD[q]に基づいて生成してもよい。この例でも、大ドット(第一ドット)に隣接するドットに小ドット(第二ドット)が含まれるように立体物が造形される。この例では、造形層毎に強度や寸法精度が異なるため、特定方向からの衝撃に弱くなったり、ある面だけギザギザになったりする可能性はあるものの、造形される立体物の強度を向上させる効果が得られる。
また、図9のS206、図12のS222、図15のS264において隣接するボクセルいずれかに強度の強い第2ドットDT2があるかで判断する代わりに、隣接だけでなく2個先の隣接するボクセルまでみて強度の強い第2ドットDT2があるかで判断してもよいし、3個以上先まで見ても構わない。また、第2ドットDT2があるかどうかでなく、第2ドットDT2がn個以上含まれているかで判断しても良いし、第2ドットDT2が一定数の割合r以上含まれているかどうかで判断しても良い。また、強度的に大きな問題がない箇所、例えば立体物の中で比較的太い形状の部分では本実施形態をとらず、強度的に脆弱と想定される箇所、例えば立体物の中で比較的細長い形状の部分にだけ本実施形態を適用しても良い。
(9)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、造形される立体物の強度を向上させることが可能な技術等を提供することができる。むろん、従属請求項に係る構成要件を有しておらず独立請求項に係る構成要件のみからなる技術等でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
1…立体物造形装置、3…ヘッドユニット、6…制御部、9…ホスト装置、30…記録ヘッド、32…ノズル列、45…造形台、48…インクカートリッジ(液体カートリッジ)、61…硬化ユニット、100…立体物造形システム、CD[q]…q層目の変換データ、D…吐出部、DT…ドット、DT1…第一ドット、DT2…第二ドット、DT3…第三ドット、DT4…第四ドット、DTL…大ドット、DTM…中ドット、DTS…小ドット、Dat…形状データ、FD…造形層データ、LQ…液体、LY…造形層、LY1…第一造形層、LY2…第二造形層、NZ…ノズル、Obj…立体物、U1…造形制御部、U2…駆動部、Vin…駆動信号、Vx…ボクセル(単位造形体)。

Claims (6)

  1. ドットが形成される液体を吐出するヘッドユニットと、
    硬化する前記ドットによる立体物の造形を制御する造形制御部と、
    を備える立体物造形装置であって、
    前記ヘッドユニットは、第一サイズの第一ドット、及び、前記第一サイズとは異なる第二サイズの第二ドットを含む複数サイズのドットが形成されるように液体を吐出可能であり、
    前記造形制御部は、前記立体物の内部に配置される前記第一ドットに隣接するドットに前記第二ドットが含まれるように前記立体物の造形を制御する、立体物造形装置。
  2. 前記造形制御部は、前記第一ドット及び前記第二ドットを少なくとも含む造形層を重ね、且つ、該造形層内において前記立体物の内部に配置される前記第一ドットに隣接するドットに前記第二ドットが含まれるように前記立体物の造形を制御する、請求項1に記載の立体物造形装置。
  3. 前記造形制御部は、前記第一ドットと前記第二ドットの少なくとも一方を含む造形層を複数重ね、且つ、該複数の造形層が前記立体物の内部に配置される前記第一ドットを含む第一造形層、及び、該第一造形層とは異なる第二造形層であって前記第一ドットに隣接する前記第二ドットを含む第二造形層を含むように前記立体物の造形を制御する、請求項1又は請求項2に記載の立体物造形装置。
  4. 前記造形制御部は、前記複数サイズのドットの中から所定体積となるように1以上のドットを形成した単位造形体を集合させて所定厚さの前記造形層を形成し、前記単位造形体が前記立体物の内部に配置される前記第一ドットを含む第一単位造形体、及び、該第一単位造形体に隣接する前記第二ドットを含む第二単位造形体を含むように前記立体物の造形を制御する、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の立体物造形装置。
  5. ドットが形成される液体を吐出するヘッドユニットを用い、硬化する前記ドットによる立体物を造形する立体物造形方法であって、
    前記ヘッドユニットに、第一サイズの第一ドット、及び、前記第一サイズとは異なる第二サイズの第二ドットを含む複数サイズのドットが形成されるように液体を吐出させ、
    前記立体物の内部に配置される前記第一ドットに隣接するドットに前記第二ドットが含まれるように前記立体物を造形する、立体物造形方法。
  6. ドットが形成される液体を吐出するヘッドユニットを備え、硬化する前記ドットによる立体物の造形を制御する立体物造形装置の制御プログラムであって、
    前記ヘッドユニットに、第一サイズの第一ドット、及び、前記第一サイズとは異なる第二サイズの第二ドットを含む複数サイズのドットが形成されるように液体を吐出させ、前記立体物の内部に配置される前記第一ドットに隣接するドットに前記第二ドットが含まれるように前記立体物の造形を制御する機能をコンピューターに実現させる、立体物造形装置の制御プログラム。
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