JP2017058589A - ズームレンズおよび撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的バックフォーカスが長く、小型かつ広画角で、諸収差が良好に補正された高性能なズームレンズおよびこのズームレンズを備えた撮像装置を提供する。
【解決手段】物体側から順に、正の第1レンズ群G1、正の第2レンズ群G2、負の第3レンズ群G3、負の第4レンズ群G4、正の第5レンズ群G5から実質的になり、変倍の際に、第1レンズ群G1および第5レンズ群G5は像面Simに対して固定され、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3および第4レンズ群G4は隣接するレンズ群同士の間隔を変化させるように移動し、下記条件式(1)を満足するものとする。
2.1<DL3/DL2<20 …(1)
【選択図】図1

Description

本発明は、デジタルカメラ、ビデオカメラや放送用カメラ、映画撮影用カメラ、監視用カメラ等の電子カメラに用いられるズームレンズおよびこのズームレンズを備えた撮像装置に関するものである。
デジタルカメラ、ビデオカメラや放送用カメラ、映画撮影用カメラ、監視用カメラ等の電子カメラに用いられるズームレンズとして、特許文献1〜3のズームレンズが提案されている。
特開2013−221999号公報 特開2012−013817号公報 特開2006−349947号公報
従来の放送用カメラはHD(High Definition)規格で撮影されており、最大でもフルHD(1920×1080画素)の解像度であったが、近年ではフルHDに対して画素数が4倍程度となる4K規格(例えば3840×2160画素)に対応したカメラが多く存在し、そのカメラでの撮影が増えている。さらに、4K以上の画素数を持ったスーパーハイビジョン規格のカメラもあり、これらの高画素カメラにはより高性能なレンズが求められている。
しかしながら、特許文献1のレンズは、比較的広画角のレンズが多いが、収差補正が十分なされているとは言いがたい。また、特許文献2のレンズは、十分広画角だが、イメージサイズに対しレンズが十分小型化されているとは言いがたい。また、特許文献3の実施例7,8のレンズは、ズーム群の屈折力が物体側から順に正負正の配置となっており、バックフォーカスが短く、また諸収差が良好に補正されているとは言いがたい。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、比較的バックフォーカスが長く、小型かつ広画角で、諸収差が良好に補正された高性能なズームレンズおよびこのズームレンズを備えた撮像装置を提供することを目的とするものである。
本発明のズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、正の屈折力を有する第2レンズ群、負の屈折力を有する第3レンズ群、負の屈折力を有する第4レンズ群、正の屈折力を有する第5レンズ群から実質的になり、変倍の際に、第1レンズ群および第5レンズ群は像面に対して固定され、第2レンズ群、第3レンズ群および第4レンズ群は隣接するレンズ群同士の間隔を変化させるように移動し、下記条件式(1)を満足することを特徴とする。
2.1<DL3/DL2<20 …(1)
ただし、
DL3:第3レンズ群の移動範囲量
DL2:第2レンズ群の移動範囲量
ここで、「移動範囲量」とは、広角端から望遠端までの間で最も物体側となる位置から最も像側となる位置までの変位量を意味する。
なお、下記条件式(1−1)を満足することがより好ましい。
2.2<DL3/DL2<17 …(1−1)
本発明のズームレンズにおいては、下記条件式(2)を満足することが好ましい。なお、下記条件式(2−1)を満足することがより好ましい。
0.4<f3/f4<0.8 …(2)
0.5<f3/f4<0.7 …(2−1)
ただし、
f3:第3レンズ群のd線における焦点距離
f4:第4レンズ群のd線における焦点距離
また、第3レンズ群は2つの接合レンズを有し、少なくとも1つの接合レンズは正レンズと負レンズから実質的になり、下記条件式(3)を満足することが好ましい。この場合、第3レンズ群の最も像側の接合レンズが条件式(3)を満足することが好ましい。なお、下記条件式(3−1)を満足することがより好ましい。
0<νd3p−νd3n<10 …(3)
4<νd3p−νd3n<10 …(3−1)
ただし、
νd3p:第3レンズ群の正レンズと負レンズから実質的になる接合レンズ中の正レンズのd線におけるアッベ数
νd3n:第3レンズ群の正レンズと負レンズから実質的になる接合レンズ中の負レンズのd線におけるアッベ数
また、第1レンズ群は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1aレンズ群、正の屈折力を有する第1bレンズ群、正の屈折力を有する第1cレンズ群から実質的になり、合焦の際に、第1aレンズ群および第1cレンズ群は像面に対して固定され、第1bレンズ群は移動することが好ましい。
この場合、第1aレンズ群は、下記条件式(4),(5),(6)を満足する負レンズを少なくとも1枚有することが好ましい。なお、条件式(4),(5),(6)を満足した上で、さらに下記条件式(4−1), (5−1),(6−1)のいずれか1つあるいは複数の組合せを満足することがより好ましい。
62<νd1an …(4)
70<νd1an<100 …(4−1)
0.64<θgF1an+0.001625×νd1an<0.7 …(5)
0.65<θgF1an+0.001625×νd1an<0.69 …(5−1)
3<f1an/f1a<7 …(6)
4<f1an/f1a<6 …(6−1)
ただし、
νd1an:第1aレンズ群中の負レンズのd線におけるアッベ数
θgF1an:第1aレンズ群中の負レンズの部分分散比
f1an:第1aレンズ群中の負レンズのd線における焦点距離
f1a:第1aレンズ群のd線における焦点距離
また、下記条件式(7)を満足することが好ましい。なお、下記条件式(7−1)を満足することがより好ましい。
12<f1c/fw<24 …(7)
14<f1c/fw<21 …(7−1)
ただし、
f1c:第1cレンズ群のd線における焦点距離
fw:広角端での全系のd線における焦点距離
また、下記条件式(8)を満足することが好ましい。なお、下記条件式(8−1)を満足することがより好ましい。
18<f1b/fw<30 …(8)
20<f1b/fw<27 …(8−1)
ただし、
f1b:第1bレンズ群のd線における焦点距離
fw:広角端での全系のd線における焦点距離
また、第1aレンズ群は、下記条件式(9),(10),(11)を満足する正レンズを少なくとも1枚有することが好ましい。なお、条件式(9),(10),(11)を満足した上で、さらに下記条件式(9−1), (10−1),(11−1)のいずれか1つあるいは複数の組合せを満足することがより好ましい。
νd1ap<40 …(9)
20<νd1ap<39 …(9−1)
0.62<θgF1ap+0.001625×νd1ap<0.67 …(10)
0.63<θgF1ap+0.001625×νd1ap<0.66 …(10−1)
0.4<f1ap/f1<2 …(11)
0.5<f1ap/f1<1.5 …(11−1)
ただし、
νd1ap:第1aレンズ群中の正レンズのd線におけるアッベ数
θgF1ap:第1aレンズ群中の正レンズの部分分散比
f1ap:第1aレンズ群中の正レンズのd線における焦点距離
f1:第1レンズ群のd線における焦点距離
本発明の撮像装置は、上記記載の本発明のズームレンズを備えたものである。
なお、上記「〜から実質的になる」とは、構成要素として挙げたもの以外に、実質的にパワーを有さないレンズ、絞りやマスクやカバーガラスやフィルタ等のレンズ以外の光学要素、レンズフランジ、レンズバレル、撮像素子、手ぶれ補正機構等の機構部分、等を含んでもよいことを意図するものである。
また、上記のレンズの面形状や屈折力の符号は、非球面が含まれている場合は近軸領域で考えるものとする。
本発明のズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、正の屈折力を有する第2レンズ群、負の屈折力を有する第3レンズ群、負の屈折力を有する第4レンズ群、正の屈折力を有する第5レンズ群から実質的になり、変倍の際に、第1レンズ群および第5レンズ群は像面に対して固定され、第2レンズ群、第3レンズ群および第4レンズ群は隣接するレンズ群同士の間隔を変化させるように移動し、下記条件式(1)を満足するものとしたので、比較的バックフォーカスが長く、小型かつ広画角で、諸収差が良好に補正された高性能なズームレンズとすることができる。
2.1<DL3/DL2<20 …(1)
また、本発明の撮像装置は、本発明のズームレンズを備えているため、装置を小型化できるとともに、広画角かつ高画質の画像を取得することができる。
本発明の一実施形態にかかるズームレンズ(実施例1と共通)のレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例2のズームレンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例3のズームレンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例4のズームレンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例1のズームレンズの各収差図 本発明の実施例2のズームレンズの各収差図 本発明の実施例3のズームレンズの各収差図 本発明の実施例4のズームレンズの各収差図 本発明の実施形態にかかる撮像装置の概略構成図
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態にかかるズームレンズのレンズ構成を示す断面図である。図1に示す構成例は、後述の実施例1のズームレンズの構成と共通である。図1においては、左側が物体側、右側が像面側であり、図示されている開口絞りStは必ずしも大きさや形状を表すものではなく、光軸Z上の位置を示すものである。また、図1では、広角端から望遠端への変倍の際の各レンズ群の移動軌跡、各像高の光束(軸上光束wa、中間画角の光束wb、最大画角の光束wc)を合わせて示している。
本実施形態のズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、正の屈折力を有する第2レンズ群G2、負の屈折力を有する第3レンズ群G3、負の屈折力を有する第4レンズ群G4、正の屈折力を有する第5レンズ群G5から実質的になり、変倍の際に、第1レンズ群G1および第5レンズ群G5は像面Simに対して固定され、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3および第4レンズ群G4は隣接するレンズ群同士の間隔を変化させるように移動するように構成されている。
このように、最も物体側のレンズ群の屈折力を正とすることにより、レンズ系全長の短縮が可能となり、小型化に有利となる。また、移動群を3つのレンズ群とすることで、2つの場合と比較してズーム中の球面収差や像面湾曲の変動を抑えるのに有利となる。また、3つの移動群の屈折力を物体側から順に正負負の配置とし、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2で正の屈折力を分担することで、第1レンズ群G1の小型化に有利となる。また、最も物体側の第1レンズ群G1と最も像面側の第5レンズ群G5が固定されているため、変倍の際にレンズ系全長が変化しないという効果を奏する。また、第4レンズ群G4の屈折力を負、第5レンズ群G5の屈折力を正とすることで、バックフォーカスを稼ぐのに有利となる。
このズームレンズを撮像装置に適用する際には、レンズを装着するカメラ側の構成に応じて、光学系と像面Simの間にカバーガラス、プリズム、赤外線カットフィルタやローパスフィルタなどの各種フィルタを配置することが好ましいため、図1では、これらを想定した平行平面板状の光学部材PP1,PP2をレンズ系と像面Simとの間に配置した例を示している。
また、下記条件式(1)を満足するように構成されている。条件式(1)の下限以下とならないようにすることで、第1レンズ群G1の小型化に有利となる。また、条件式(1)を満足することで、ズーム中の収差変動の抑制に有利となる。なお、下記条件式(1−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
2.1<DL3/DL2<20 …(1)
2.2<DL3/DL2<17 …(1−1)
ただし、
DL3:第3レンズ群の移動範囲量
DL2:第2レンズ群の移動範囲量
本実施形態のズームレンズにおいては、下記条件式(2)を満足することが好ましい。条件式(2)の下限以下とならないようにすることで、第3レンズ群G3の屈折力が大きくなり過ぎるのを抑えることができるため、ズーム中の収差変動を抑えるのに有利となる。条件式(2)の上限以上とならないようにすることで、第3レンズ群G3の屈折力が小さくなり移動量が大きくなり過ぎるのを抑えることができるため、小型化に有利となる。なお、下記条件式(2−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
0.4<f3/f4<0.8 …(2)
0.5<f3/f4<0.7 …(2−1)
ただし、
f3:第3レンズ群のd線における焦点距離
f4:第4レンズ群のd線における焦点距離
また、第3レンズ群G3は2つの接合レンズを有し、少なくとも1つの接合レンズは正レンズと負レンズから実質的になり、下記条件式(3)を満足することが好ましい。条件式(3)を満足することで、倍率色収差を良好に補正することができる。この場合、第3レンズ群G3の最も像側の接合レンズが条件式(3)を満足するものとすれば、軸上色収差と倍率色収差のバランスをとるのに有利となる。さらに、下記条件式(3−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
0<νd3p−νd3n<10 …(3)
4<νd3p−νd3n<10 …(3−1)
ただし、
νd3p:第3レンズ群の正レンズと負レンズから実質的になる接合レンズ中の正レンズのd線におけるアッベ数
νd3n:第3レンズ群の正レンズと負レンズから実質的になる接合レンズ中の負レンズのd線におけるアッベ数
また、第1レンズ群G1は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1aレンズ群G1a、正の屈折力を有する第1bレンズ群G1b、正の屈折力を有する第1cレンズ群G1cから実質的になり、合焦の際に、第1aレンズ群G1aおよび第1cレンズ群G1cは像面に対して固定され、第1bレンズ群G1bは移動することが好ましい。このような構成とすることで、フォーカス時の画角変化を抑えることができる。
この場合、第1aレンズ群G1aは、下記条件式(4),(5),(6)を満足する負レンズを少なくとも1枚有することが好ましい。条件式(4)を満足することで、広角側の倍率色収差や望遠側の軸上色収差の補正に有利となる。条件式(4)と合わせて条件式(5)を満足することで、2次スペクトルを良好に補正することができる。条件式(6)を満足することで、色収差の補正に必要な適正な屈折力が得られるため、色収差を良好に補正することができる。なお、条件式(4),(5),(6)を満足した上で、さらに下記条件式(4−1), (5−1),(6−1)のいずれか1つあるいは複数の組合せを満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
62<νd1an …(4)
70<νd1an<100 …(4−1)
0.64<θgF1an+0.001625×νd1an<0.7 …(5)
0.65<θgF1an+0.001625×νd1an<0.69 …(5−1)
3<f1an/f1a<7 …(6)
4<f1an/f1a<6 …(6−1)
ただし、
νd1an:第1aレンズ群中の負レンズのd線におけるアッベ数
θgF1an:第1aレンズ群中の負レンズの部分分散比
f1an:第1aレンズ群中の負レンズのd線における焦点距離
f1a:第1aレンズ群のd線における焦点距離
また、下記条件式(7)を満足することが好ましい。条件式(7)の下限以下とならないようにすることで、第1cレンズ群G1cの屈折力が大きくなり過ぎるのを抑えることができるため、特に望遠側の球面収差の補正に有利となる。条件式(7)の上限以上とならないようにすることで、第1cレンズ群G1cを射出する光線の角度が光軸に対して平行に近くなり過ぎるのを抑えることができるため、移動群である第2レンズ群G2の径の増大を抑え小型化に有利となる。なお、下記条件式(7−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
12<f1c/fw<24 …(7)
14<f1c/fw<21 …(7−1)
ただし、
f1c:第1cレンズ群のd線における焦点距離
fw:広角端での全系のd線における焦点距離
また、下記条件式(8)を満足することが好ましい。条件式(8)の下限以下とならないようにすることで、第1bレンズ群G1bの屈折力が大きくなり過ぎるのを抑えることができるため、特に望遠側の球面収差の補正に有利となる。条件式(8)の上限以上とならないようにすることで、第1bレンズ群G1bの屈折力が小さくなり過ぎるのを抑えることができるため、無限遠から最至近の物体に合焦するときの移動量を抑え、小型化に有利となる。なお、下記条件式(8−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
18<f1b/fw<30 …(8)
20<f1b/fw<27 …(8−1)
ただし、
f1b:第1bレンズ群のd線における焦点距離
fw:広角端での全系のd線における焦点距離
また、第1aレンズ群G1aは、下記条件式(9),(10),(11)を満足する正レンズを少なくとも1枚有することが好ましい。条件式(9)を満足することで、広角側の倍率色収差や望遠側の軸上色収差の補正に有利となる。条件式(9)と合わせて条件式(10)を満足することで、2次スペクトルを良好に補正することができる。条件式(11)を満足することで、色収差の補正に必要な適正な屈折力が得られるため、色収差を良好に補正することができ、また、球面収差や像面湾曲、歪曲収差の補正にも有利となる。なお、条件式(9),(10),(11)を満足した上で、さらに下記条件式(9−1), (10−1),(11−1)のいずれか1つあるいは複数の組合せを満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
νd1ap<40 …(9)
20<νd1ap<39 …(9−1)
0.62<θgF1ap+0.001625×νd1ap<0.67 …(10)
0.63<θgF1ap+0.001625×νd1ap<0.66 …(10−1)
0.4<f1ap/f1<2 …(11)
0.5<f1ap/f1<1.5 …(11−1)
ただし、
νd1ap:第1aレンズ群中の正レンズのd線におけるアッベ数
θgF1ap:第1aレンズ群中の正レンズの部分分散比
f1ap:第1aレンズ群中の正レンズのd線における焦点距離
f1:第1レンズ群のd線における焦点距離
また、図1に示す例では、レンズ系と像面Simとの間に光学部材PP1,PP2を配置した例を示したが、ローパスフィルタや特定の波長域をカットするような各種フィルタ等をレンズ系と像面Simとの間に配置する代わりに、各レンズの間にこれらの各種フィルタを配置してもよく、あるいは、いずれかのレンズのレンズ面に、各種フィルタと同様の作用を有するコートを施してもよい。
次に、本発明のズームレンズの数値実施例について説明する。
まず、実施例1のズームレンズについて説明する。実施例1のズームレンズのレンズ構成を示す断面図を図1に示す。なお、図1および後述の実施例2〜4に対応した図2〜4においては、左側が物体側、右側が像面側であり、図示されている開口絞りStは必ずしも大きさや形状を表すものではなく、光軸Z上の位置を示すものである。また、図1では、広角端から望遠端への変倍の際の各レンズ群の移動軌跡、各像高の光束(軸上光束wa、中間画角の光束wb、最大画角の光束wc)を合わせて示している。
実施例1のズームレンズは、物体側から順に、レンズL1a〜レンズL1kの11枚のレンズからなる第1レンズ群G1、レンズL2aのみの1枚のレンズからなる第2レンズ群G2、レンズL3a〜レンズL3eの5枚のレンズからなる第3レンズ群G3、レンズL4a,レンズL4bの2枚のレンズからなる第4レンズ群G4、レンズL5a〜レンズL5kの11枚のレンズからなる第5レンズ群G5から構成されている。
なお、第1レンズ群G1は、レンズL1a〜レンズL1eの5枚のレンズからなる第1aレンズ群G1a、レンズL1f〜レンズL1hの3枚のレンズからなる第1bレンズ群G1b、レンズL1i〜レンズL1kの3枚のレンズからなる第1cレンズ群G1cから構成されている。
実施例1のズームレンズの基本レンズデータを表1に、諸元に関するデータを表2に、変化する面間隔に関するデータを表3に、非球面係数に関するデータを表4に示す。以下では、表中の記号の意味について、実施例1のものを例にとり説明するが、実施例2〜4についても基本的に同様である。
表1のレンズデータにおいて、面番号の欄には最も物体側の構成要素の面を1番目として像面側に向かうに従い順次増加する面番号を示し、曲率半径の欄には各面の曲率半径を示し、面間隔の欄には各面とその次の面との光軸Z上の間隔を示す。また、ndの欄には各光学要素のd線(波長587.6nm)における屈折率を示し、νdの欄には各光学要素のd線(波長587.6nm)におけるアッベ数を示し、θgFの欄には各光学要素の部分分散比を示す。
なお、部分分散比θgFは下記式で表される。
θgF=(ng−nF)/(nF−nC)
ただし、
ng:g線における屈折率
nF:F線における屈折率
nC:C線における屈折率
ここで、曲率半径の符号は、面形状が物体側に凸の場合を正、像面側に凸の場合を負としている。基本レンズデータには、開口絞りSt、光学部材PP1,PP2も含めて示している。開口絞りStに相当する面の面番号の欄には面番号とともに(絞り)という語句を記載している。また、表1のレンズデータにおいて、変倍の際に間隔が変化する面間隔の欄にはそれぞれDD[面番号]と記載している。このDD[面番号]に対応する数値は表3に示している。
表2の諸元に関するデータに、ズーム倍率、焦点距離f´、F値FNo.、全画角2ωの値を示す。
基本レンズデータ、諸元に関するデータ、および変化する面間隔に関するデータにおいて、角度の単位としては度を用い、長さの単位としてはmmを用いているが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても使用可能なため他の適当な単位を用いることもできる。
表1のレンズデータでは、非球面の面番号に*印を付しており、非球面の曲率半径として近軸の曲率半径の数値を示している。表4の非球面係数に関するデータには、非球面の面番号と、これら非球面に関する非球面係数を示す。非球面係数は、下記式で表される非球面式における各係数KA、Am(m=3…20)の値である。
Zd=C・h/{1+(1−KA・C・h1/2}+ΣAm・h
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸に垂直な平面に下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸からの距離)
C:近軸曲率半径の逆数
KA、Am:非球面係数(m=3…20)
実施例1のズームレンズの各収差図を図5に示す。なお、図5中の上段左側から順に広角端での球面収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を示し、図5中の中段左側から順に中間位置での球面収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を示し、図5中の下段左側から順に望遠端での球面収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を示す。これらの収差図は、物体距離を無限遠としたときの状態を示す。球面収差、非点収差、歪曲収差を表す各収差図には、d線(波長587.6nm)を基準波長とした収差を示す。球面収差図にはd線(波長587.6nm),C線(波長656.3nm) ,g線(波長435.8nm)についての収差をそれぞれ実線,長破線,短破線で示す。非点収差図にはサジタル方向,タンジェンシャル方向の収差をそれぞれ実線と短破線で示す。倍率色収差図にはC線(波長656.3nm) ,g線(波長435.8nm)についての収差をそれぞれ長破線,短破線で示す。なお、球面収差図のFNo.はF値、その他の収差図のωは半画角を意味する。
次に、実施例2のズームレンズについて説明する。実施例2のズームレンズのレンズ構成を示す断面図を図2に示す。実施例2のズームレンズは、実施例1のズームレンズと同じレンズ枚数構成である。また、実施例2のズームレンズの基本レンズデータを表5に、諸元に関するデータを表6に、変化する面間隔に関するデータを表7に、非球面係数に関するデータを表8に、各収差図を図6に示す。
次に、実施例3のズームレンズについて説明する。実施例3のズームレンズのレンズ構成を示す断面図を図3に示す。実施例3のズームレンズは、実施例1のズームレンズと同じレンズ枚数構成である。また、実施例3のズームレンズの基本レンズデータを表9に、諸元に関するデータを表10に、変化する面間隔に関するデータを表11に、非球面係数に関するデータを表12に、各収差図を図7に示す。
次に、実施例4のズームレンズについて説明する。実施例4のズームレンズのレンズ構成を示す断面図を図4に示す。実施例4のズームレンズは、実施例1のズームレンズと同じレンズ枚数構成である。また、実施例4のズームレンズの基本レンズデータを表13に、諸元に関するデータを表14に、変化する面間隔に関するデータを表15に、非球面係数に関するデータを表16に、各収差図を図8に示す。
実施例1〜4のズームレンズの条件式(1)〜(11)に対応する値を表17に示す。なお、全実施例ともd線を基準波長としており、下記の表17に示す値はこの基準波長におけるものである。
以上のデータから、実施例1〜4のズームレンズは全て、条件式(1)〜(11)を満たしており、Bf´/fwが1以上と比較的バックフォーカスが長く、全長/イメージサイズが35以下と小型で、かつ広角端での半画角が40度以上と広画角で、諸収差が良好に補正された高性能なズームレンズであることが分かる。
次に、本発明の実施形態にかかる撮像装置について説明する。図9に、本発明の実施形態の撮像装置の一例として、本発明の実施形態のズームレンズを用いた撮像装置の概略構成図を示す。なお、図9では各レンズ群を概略的に示している。この撮像装置としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を記録媒体とするビデオカメラや電子スチルカメラ等を挙げることができる。
図9に示す撮像装置10は、ズームレンズ1と、ズームレンズ1の像面側に配置されたローパスフィルタ等の機能を有するフィルタ6と、フィルタ6の像面側に配置された撮像素子7と、信号処理回路8とを備えている。撮像素子7はズームレンズ1により形成される光学像を電気信号に変換するものであり、例えば、撮像素子7としては、CCDやCMOS等を用いることができる。撮像素子7は、その撮像面がズームレンズ1の像面に一致するように配置される。
ズームレンズ1により撮像された像は撮像素子7の撮像面上に結像し、その像に関する撮像素子7からの出力信号が信号処理回路8にて演算処理され、表示装置9に像が表示される。
本実施形態の撮像装置10は、本発明のズームレンズ1を備えたものであるから、装置を小型化できるとともに、広画角かつ高画質の画像を取得することができる。
以上、実施形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズ成分の曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数等の値は、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得るものである。
1 ズームレンズ
6 フィルタ
7 撮像素子
8 信号処理回路
9 表示装置
10 撮像装置
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群
PP1,PP2 光学部材
L1a〜L5k レンズ
Sim 像面
St 絞り
wa 軸上光束
wb 中間画角の光束
wc 最大画角の光束
Z 光軸

Claims (17)

  1. 物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、正の屈折力を有する第2レンズ群、負の屈折力を有する第3レンズ群、負の屈折力を有する第4レンズ群、正の屈折力を有する第5レンズ群から実質的になり、
    変倍の際に、前記第1レンズ群および前記第5レンズ群は像面に対して固定され、前記第2レンズ群、前記第3レンズ群および前記第4レンズ群は隣接するレンズ群同士の間隔を変化させるように移動し、
    下記条件式(1)を満足する
    ことを特徴とするズームレンズ。
    2.1<DL3/DL2<20 …(1)
    ただし、
    DL3:前記第3レンズ群の移動範囲量
    DL2:前記第2レンズ群の移動範囲量
  2. 下記条件式(2)を満足する
    請求項1記載のズームレンズ。
    0.4<f3/f4<0.8 …(2)
    ただし、
    f3:前記第3レンズ群のd線における焦点距離
    f4:前記第4レンズ群のd線における焦点距離
  3. 前記第3レンズ群は2つの接合レンズを有し、
    少なくとも1つの接合レンズは正レンズと負レンズから実質的になり、下記条件式(3)を満足する
    請求項1または2記載のズームレンズ。
    0<νd3p−νd3n<10 …(3)
    ただし、
    νd3p:前記第3レンズ群の前記正レンズと前記負レンズから実質的になる前記接合レンズ中の前記正レンズのd線におけるアッベ数
    νd3n:前記第3レンズ群の前記正レンズと前記負レンズから実質的になる前記接合レンズ中の前記負レンズのd線におけるアッベ数
  4. 前記第3レンズ群の最も像側の接合レンズが前記条件式(3)を満足する
    請求項3記載のズームレンズ。
  5. 前記第1レンズ群は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1aレンズ群、正の屈折力を有する第1bレンズ群、正の屈折力を有する第1cレンズ群から実質的になり、
    合焦の際に、前記第1aレンズ群および前記第1cレンズ群は像面に対して固定され、前記第1bレンズ群は移動する、
    請求項1から4のいずれか1項記載のズームレンズ。
  6. 前記第1aレンズ群は、下記条件式(4),(5),(6)を満足する負レンズを少なくとも1枚有する
    請求項5記載のズームレンズ。
    62<νd1an …(4)
    0.64<θgF1an+0.001625×νd1an<0.7 …(5)
    3<f1an/f1a<7 …(6)
    ただし、
    νd1an:前記第1aレンズ群中の前記負レンズのd線におけるアッベ数
    θgF1an:前記第1aレンズ群中の前記負レンズの部分分散比
    f1an:前記第1aレンズ群中の前記負レンズのd線における焦点距離
    f1a:前記第1aレンズ群のd線における焦点距離
  7. 下記条件式(7)を満足する
    請求項5または6記載のズームレンズ。
    12<f1c/fw<24 …(7)
    ただし、
    f1c:前記第1cレンズ群のd線における焦点距離
    fw:広角端での全系のd線における焦点距離
  8. 下記条件式(8)を満足する
    請求項5から7のいずれか1項記載のズームレンズ。
    18<f1b/fw<30 …(8)
    ただし、
    f1b:前記第1bレンズ群のd線における焦点距離
    fw:広角端での全系のd線における焦点距離
  9. 前記第1aレンズ群は、下記条件式(9),(10),(11)を満足する正レンズを少なくとも1枚有する
    請求項5から8のいずれか1項記載のズームレンズ。
    νd1ap<40 …(9)
    0.62<θgF1ap+0.001625×νd1ap<0.67 …(10)
    0.4<f1ap/f1<2 …(11)
    ただし、
    νd1ap:前記第1aレンズ群中の前記正レンズのd線におけるアッベ数
    θgF1ap:前記第1aレンズ群中の前記正レンズの部分分散比
    f1ap:前記第1aレンズ群中の前記正レンズのd線における焦点距離
    f1:前記第1レンズ群のd線における焦点距離
  10. 下記条件式(1−1)を満足する
    請求項1記載のズームレンズ。
    2.2<DL3/DL2<17 …(1−1)
  11. 下記条件式(2−1)を満足する
    請求項2記載のズームレンズ。
    0.5<f3/f4<0.7 …(2−1)
  12. 下記条件式(3−1)を満足する
    請求項3記載のズームレンズ。
    4<νd3p−νd3n<10 …(3−1)
  13. 下記条件式(4−1),(5−1),(6−1)のうち少なくとも1つを満足する
    請求項6記載のズームレンズ。
    70<νd1an<100 …(4−1)
    0.65<θgF1an+0.001625×νd1an<0.69 …(5−1)
    4<f1an/f1a<6 …(6−1)
  14. 下記条件式(7−1)を満足する
    請求項7記載のズームレンズ。
    14<f1c/fw<21 …(7−1)
  15. 下記条件式(8−1)を満足する
    請求項8記載のズームレンズ。
    20<f1b/fw<27 …(8−1)
  16. 下記条件式(9−1),(10−1),(11−1)のうち少なくとも1つを満足する
    請求項9記載のズームレンズ。
    20<νd1ap<39 …(9−1)
    0.63<θgF1ap+0.001625×νd1ap<0.66 …(10−1)
    0.5<f1ap/f1<1.5 …(11−1)
  17. 請求項1から16のいずれか1項記載のズームレンズを備えた撮像装置。
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