JP2016519144A - 最小限の単量体の分離を伴う組換えポリクローナル多量体の分離 - Google Patents

最小限の単量体の分離を伴う組換えポリクローナル多量体の分離 Download PDF

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Abstract

本発明は、単量体の比を狭い範囲内に維持しながら、組換えポリクローナル抗体(rpAb)の製剤から多量体を除去する方法を提供する。本発明は、最小限の単量体の分離で、組換えポリクローナル抗体多量体を分離する方法であって、複数のモノクローナル抗体を含む混合物を、マルチモードクロマトグラフィー、アパタイトクロマトグラフィー、及び疎水性相互作用クロマトグラフィーからなる群から選択される少なくとも1つの分離プロセスに付すことにより、実質的に多量体を含まない抗体単量体製剤を製造するステップを含む方法を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、組換えポリクローナル抗体(rpAb)の製剤からの抗体多量体(多量体)の分離に関する。
組換え生物製剤中の様々な多量体の制御は、このような種が、潜在的に安全及び免疫原性上の懸念をもたらすことから、関心を集めている(Rosenberg,A.S.(2006)AAPSJ 8:59;G.Shankar,G,et al.(2007)Nat.Biotechnol.25:555;Cordoba−Rodriguez,R.(2008)Biopharm.Int.21:44)。組換えモノクローナル抗体(mAb)について、多量体の分離は、イオン交換クロマトグラフィーを用いて達成されることが多く、その場合、最終抗体製剤の単量体純度は、往々にして99%を超える(Suda,E.J.et al.(2009)J.Chrom.A.1216:5256;Zhou,J.X.et al.(2007)J.Chrom.A.1175:69;Yigzaw,Y.et al.(2009)Curr.Pharm.Biotechnol.10:421)。ヒト血漿から得られるポリクローナルIgG製剤の場合、IgG多量体のレベルは、より高く、IVIG製剤についてのある研究では5〜18%の範囲である(Knezevic−Maramica,I.et al.(2003)Transfusion 43:1460)。mAbと比較して、市販のポリクローナルIVIG製剤に、より高いレベルの多量体が認められるのは、一部には、材料の多様な性質(例えば、様々な等電点及びIgGサブクラス)のためである。血漿由来のIVIGの完全な多様性を維持することは治療のために重要であるが、またこれによって、電荷などの特徴に基づいて異なるIgG単量体を同時に分離することなく、多量体を分離することが極めて難しくなる(Forrer,N.et al.(2008)J.Chrom.A.1214:59)。
組換えポリクローナル抗体(rpAb)は、複数の抗原をターゲティングすることができる新規のクラスの生物製剤を指す。コストを削減するため、治療用途のrpAbは、単一バッチで製造することが考えられ、この場合、個々の成分mAbは、同じバイオリアクター内で共発現され、一緒に精製される(Rasmussen,S.K.et al.(2012)Arch.Biochem.Biophys.526:139)。
mAbと同様に、rpAbの場合、低レベルの多量体種を制御することが望ましい。mAbとは異なり、rpAbの精製には、個々の成分mAbの相対比を狭い範囲内で制御しなければならないというさらなる制約が加わる(T.P.Frandsen,T.P.et al.(2011)Biotech.Bioeng.108:2171)。この問題は、rpAb混合物を代表する多様なmAbを同時に分離することなく、不要な種(多量体)を分離し、これによって、抗体の相対比を狭い範囲内に維持することを確実にする必要があるため、大きな課題となる。別の言い方をすれば、ポリクローナル混合物の成分mAbを一緒に同時精製しなければならないが、多量体種はそうしてはならない。このように困難な分離のためには、イオン交換クロマトグラフィーなどの、mAbに用いられる従来の手法は適切ではない場合がある。
驚くことに、本発明者らは、最小限の単量体の分離で、組換えポリクローナル抗体多量体の分離を達成する方法をみいだした。
本発明は、最小限の単量体の分離で、組換えポリクローナル抗体多量体を分離する方法であって、複数のモノクローナル抗体を含む混合物を、マルチモードクロマトグラフィー、アパタイトクロマトグラフィー、及び疎水性相互作用クロマトグラフィーからなる群から選択される少なくとも1つの分離プロセスに付すことにより、実質的に多量体を含まない抗体単量体製剤を製造するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、混合物を、マルチモードクロマトグラフィー、アパタイトクロマトグラフィー、及び疎水性相互作用クロマトグラフィーからなる群から選択される少なくとも2つの分離プロセスに付すことにより、実質的に多量体を含まない抗体単量体製剤を製造する。
他の実施形態において、分離プロセスは、マルチモードクロマトグラフィー単独である。別の実施形態では、分離プロセスは、アパタイトクロマトグラフィー単独である。また別の実施形態では、分離プロセスは、疎水性相互作用クロマトグラフィー単独である。
一部の実施形態では、分離プロセスは、マルチモードクロマトグラフィーとアパタイトクロマトグラフィーである。一部の実施形態では、分離プロセスは、マルチモードクロマトグラフィーと疎水性相互作用クロマトグラフィーである。一部の実施形態では、分離プロセスは、アパタイトクロマトグラフィーと疎水性相互作用クロマトグラフィーである。一部の実施形態では、混合物を、マルチモードクロマトグラフィー、アパタイトクロマトグラフィー、及び疎水性相互作用クロマトグラフィーに付すことにより、最小限の単量体の分離で、組換えポリクローナル抗体多量体を分離する。
一部の実施形態では、本方法により製造される抗体製剤は、多量体を少なくとも90%〜91%含まない。別の実施形態では、抗体製剤は、多量体を少なくとも92%〜93%含まない。別の実施形態では、抗体製剤は、多量体を少なくとも94%〜95%含まない。別の実施形態では、抗体製剤は、多量体を少なくとも96%〜97%含まない。別の実施形態では、抗体製剤は、多量体を少なくとも98%〜99%含まない。別の実施形態では、抗体製剤は、多量体を100%含まない。
一部の実施形態では、rpAb混合物中の任意の抗体単量体の、他の任意の抗体単量体に対する量は、40%未満変化する。他の実施形態では、rpAb混合物中の任意の抗体単量体の、他の任意の抗体単量体に対する量は、30%未満変化する。別の実施形態では、rpAb混合物中の任意の抗体単量体の、他の任意の抗体単量体に対する量は、20%未満変化する。別の実施形態では、rpAb混合物中の任意の抗体単量体の、他の任意の抗体単量体に対する量は、10%未満変化する。別の実施形態では、rpAb混合物中の任意の抗体単量体の、他の任意の抗体単量体に対する量は、5%未満変化する。別の実施形態では、rpAb混合物中の任意の抗体単量体の、他の任意の抗体単量体に対する量は、0%変化する。
本発明はまた、最小限の単量体の分離で、組換えポリクローナル抗体多量体を分離する方法であって、複数のモノクローナル抗体を含む混合物を、マルチモードクロマトグラフィー樹脂と接触させるステップ、及びバッファー種と0〜1Mの塩とを含む少なくとも1つの溶出バッファーを用いて、前記樹脂から抗体単量体を溶出させるステップを含む方法も提供する。
本発明はさらに、最小限の単量体の分離で、組換えポリクローナル抗体多量体を分離する方法であって、複数のモノクローナル抗体を含む混合物を、アパタイトクロマトグラフィー樹脂と接触させるステップ、及び導電率を、1mS/cm未満から90mS/cm超に、又は1mS/cm〜90mS/cmの間の任意の範囲で上昇させる塩の段階的変化又は直線勾配を用いて、前記樹脂から抗体単量体を溶出させるステップを含む方法も提供する。例えば、5mS/cmから20mS/cmまで導電率を上昇させる塩の段階的変化を用いて、カラムを溶出させてもよい。
さらにまた、本発明は、最小限の単量体の分離で、組換えポリクローナル抗体多量体を分離する方法であって、複数のモノクローナル抗体を含む混合物を、疎水性相互作用クロマトグラフィー樹脂と接触させるステップ、及び導電率を、200mS/cm超から1mS/cm未満に、又は200mS/cm〜1mS/cmの間の任意の範囲で低下させる塩の段階的変化又は直線勾配を用いて、前記樹脂から抗体単量体を溶出させるステップを含む方法も提供する。例えば、60mS/cmから10mS/cmまで導電率を低下させる塩の段階的変化を用いて、カラムを溶出させてもよい。
概略比1:1:1でmAbA、B、及びCを含有するrpAb混合物のPOROS 50HSクロマトグラフィーを示す。 概略比1:1:1でmAbA、B、及びCを含有するrpAb混合物のCapto Ahdereクロマトグラフィーを示す。 概略比1:1でmAbA及びBを含有するrpAb混合物のCapto Ahdereクロマトグラフィーを示す。 概略比1:1でmAbA及びBを含有するrpAb混合物のハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーを示す。 概略比1:1でmAbA及びBを含有するrpAb混合物のブチルクロマトグラフィーを示す。
概論
rpAbの精製は、複数のモノクローナル抗体を細胞培養物において共発現させると、様々な種の多量体、又は多量体が生成され得るという具体的課題を提示する。細胞培養物からモノクローナル抗体を精製するための様々な技術が知られているが、これらの技術のいずれも、モノクローナル抗体の相対比を狭い範囲内に維持しながら、等電点(pI)、疎水性、及びサイズなど、異なる化学的及び物理的性質を有するポリクローナル抗体混合物(admixture)(又は混合物(mixture)?)中のモノクローナル抗体の単量体を精製することができるとは考えられなかった。
定義
本明細書で用いる場合、「抗体」は、1抗原の抗原決定基の特徴と相補的な内面形状及び電荷分布を備えた3次元結合空間を有するポリペプチド鎖のフォールディングから形成される少なくとも1つの結合ドメインからなるポリペプチド又はポリペプチド群を意味する。抗原は、典型的に、ポリペプチド鎖の2つの同一の対を含む4量体の形態を有し、それぞれの対は、1つの軽鎖と1つの重鎖を有する。それぞれの軽/重鎖対の可変領域は、抗体結合部位を形成する。本明細書で用いる場合、「抗体」という用語は、二重特異性抗体も包含する。
本明細書で用いる場合、「アパタイトクロマトグラフィー」は、被検タンパク質と、固定相アパタイト樹脂上の陽荷電カルシウムイオン及び陰荷電リン酸イオンとの間の非特異的相互作用を利用するタイプの分離を意味する。このタイプのクロマトグラフィーとしては、例えば、ハイドロキシアパタイト及びフルオロアパタイトがあり、これらは、カルシウム及びリン酸イオンとの非特異的相互作用を通してタンパク質と相互作用する。
本明細書で用いる場合、「疎水性相互作用クロマトグラフィー」とは、高塩濃度条件下で、樹脂と結合するが、低塩濃度の条件下では溶出する被検タンパク質の疎水性部分を利用するタイプの分離を意味する。
本明細書で用いる場合、「最小限の単量体の分離」とは、元の混合物からの抗体単量体の除去が、該混合物中の任意の他の単量体に対して少量に過ぎないことを指す。一般に、この分離の量は、元の混合物からの単量体が、任意の他の単量体に対して40%未満である。好ましくは、上記の量は、30%未満である。より好ましくは、上記の量は、20%未満である。さらに好ましくは、上記の量は、10%未満である。さらにまた好ましくは、上記の量は、5%未満である。一部の実施形態では、単量体の分離はない(0%)。
本明細書で用いる場合、「モノクローナル抗体(mAb)」は、クローン製剤中の抗体を指し、ここで、製剤中の抗体の各々は、同一のエピトープに結合する単一特異性を有する。
本明細書で用いる場合、「単量体」とは、多量体を含まない単一の抗体分子を意味する。
本明細書で用いる場合、「多量体」とは、抗体の高分子量凝集体を意味する。
本明細書で用いる場合、「マルチモードクロマトグラフィー」とは、分離を実施するために、固定相と被検体との間の2モード以上の相互作用を利用する技術を指す。例えば、マルチモードクロマトグラフィーは、以下のタイプのクロマトグラフィーの1つ又は複数と、これら相互作用のうちのもう1つを組み合わせて用いてもよい:イオン交換クロマトグラフィー(IEC)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)、及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)。
本明細書で用いる場合、「組換えポリクローナル抗体(rpAb)」とは、混合物中の複数の単量体抗体を意味する。本発明の方法では、個々の成分mAbを同じバイオリアクター内で共発現させた後、一緒に精製するか、又は個別のバイオリアクター内で発現させた後、精製工程中の任意の時点でこれらを混合する。
本明細書で用いる場合、「段階的変化」とは、溶出条件に関するとき、rpAb混合物を樹脂から溶出させるために、典型的には1カラム体積未満で起こる、即時若しくは極めて急激な導電率の変化を意味する。
本明細書で用いる場合、「直線勾配」とは、溶出条件に関するとき、一定期間にわたって、典型的には、1〜50カラム体積で起こる、導電率の漸進的変化を意味する。
本明細書で用いる場合、「バッファー種」とは、pH変化に抵抗することができる弱酸及びその共役塩基又は弱塩基及びその共役塩基を指す。バッファー種は、限定するものではないが、酢酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、トリス、及びビス−トリスを含むリストから選択してよい。
本明細書で用いる場合、「塩」は、陰イオンと陽イオンとの組み合わせである。陽イオンは、限定するものではないが、ナトリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム及びカリウムを含むリストから選択してよい。陰イオンは、限定するものではないが、塩化物、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、及び硫酸塩を含むリストから選択してよい。
本明細書で用いる場合、「及び/又は」という用語は、記載された2つの特徴又は要素の各々を他方と一緒に、又は他方なしで明確に開示するものとして解釈すべきである。例えば、「A及び/又はB」は(i)A、(ii)B並びに(iii)A及びBの各々を、本明細書にそれぞれが個別に記載されているのと全く同様に、明確に開示するものとして解釈すべきである。
(A)rpAbの分離
多様なモノクローナル抗体を含む組換えポリクローナル抗体(rpAb)(各々は、その付随する化学的性質を有する)は、精製に関して重要な課題を提示する。驚くことに、いくつかの分離技術(具体的には、疎水性相互作用クロマトグラフィー、マルチモードクロマトグラフィー及びアパタイトクロマトグラフィー)が、単独で又は組み合わせて、高い単量体純度で個々のモノクローナル抗体の比を狭い範囲に維持しながら、上記抗体の多量体の種を含む混合物から単量体を分離することができることがわかった。
一般に、rpAbの混合物を初めに1つ又は複数のクロマトグラフィー分離技術に付して、プロセス由来不純物を除去した後、多量体を除去する。当分野において一般的なクロマトグラフィー技術の選択肢としては、清澄化細胞培地からrpAb混合物を捕捉するためのプロテインAアフィニティクロマトグラフィー、さらなるプロセス由来種を除去するための陰イオン交換がある。これらの初期精製ステップは、個々のmAb成分の比を変化させないため、これによってrpAb混合物中の多量体のレベルが有意に低下することはない。
(B)分離技術
1.マルチモードクロマトグラフィー
マルチモードクロマトグラフィーは、市販の樹脂(例えば、「Capto Adhere」の名称でGE Healthcare Life Sciencesにより販売されているものなど)を用いて、当分野では公知の任意のマルチモードバッファー系により実施することができる。本発明の方法では、マルチモードクロマトグラフィーは、イオン交換及び疎水性相互作用基を含有する樹脂を使用する。用いる樹脂をカラムに充填し、流動床カラム又はバッチ調製物として調製してよい。マルチモードクロマトグラフィーは、単量体と多量体の両方をカラムに結合させた後、塩濃度及び/若しくはpHの変化により単量体を選択的に溶出させる結合及び溶出条件下か、又は、多量体は、カラムに結合するが、個々の単量体は、大部分がカラムフロースルー中に残るフロースルー条件下で操作することができる。当業者は、両選択肢のための条件を選択することができよう。
フロースルー条件下で操作される非限定的例として、平衡化バッファーは、25mM酢酸塩、100mM塩化ナトリウム(pH5.0)からなるものでよい。一部の実施形態では、バッファーは、5〜200mM酢酸塩を含む。一部の実施形態では、バッファーは、10〜100mM酢酸塩を含む。一部の実施形態では、バッファーは、15〜35mM酢酸塩を含む。一部の実施形態では、バッファーは、25mM酢酸塩を含む。一部の実施形態では、バッファーは、0〜1M塩を含む。一部の実施形態では、バッファーは、0〜1M塩化ナトリウムを含む。一部の実施形態では、バッファーは、50〜500M塩化ナトリウムを含む。一部の実施形態では、バッファーは、80〜120M塩化ナトリウムを含む。一部の実施形態では、バッファーは、90〜110M塩化ナトリウムを含む。一部の実施形態では、バッファーは、100M塩化ナトリウムを含む。一部の実施形態では、pHは、約3.0〜6.0の範囲である。一部の実施形態では、pHは、約4.5〜5.5の範囲である。一部の実施形態では、pHは、約5.0である。
フロースルー条件下で操作される別の非限定的例において、用いることができる平衡化バッファーは、50mMトリス、100mM塩化ナトリウム(pH=7.25)からなる。一部の実施形態では、バッファーは、5〜200mMトリスを含む。一部の実施形態では、バッファーは、10〜100mMトリスを含む。一部の実施形態では、バッファーは、40〜60mMトリスを含む。一部の実施形態では、バッファーは、50mMトリスを含む。一部の実施形態では、バッファーは、0〜1M塩を含む。一部の実施形態では、バッファーは、0〜1M塩化ナトリウムを含む。一部の実施形態では、バッファーは、50〜500M塩化ナトリウムを含む。一部の実施形態では、バッファーは、80〜120M塩化ナトリウムを含む。一部の実施形態では、バッファーは、90〜110M塩化ナトリウムを含む。一部の実施形態では、バッファーは、100M塩化ナトリウムを含む。一部の実施形態では、pHは、約6.0〜10.0の範囲である。一部の実施形態では、pHは、約7.0〜9.0の範囲である。一部の実施形態では、pHは、約7.1〜7.5の範囲である。一部の実施形態では、pHは、約7.25である。
ローディングバッファーは、平衡化バッファーと実質的に同じである(rpAbを含む)。
樹脂は、ローディングバッファーと実質的に同じバッファーで洗浄してもよい(rpAbは含まない)。
カラムフロースルー中のタンパク質は、生成物ピークのリーディング側及びテーリング側での25mAUの吸光度に基づいて収集してよい。
2.アパタイトクロマトグラフィー
アパタイトクロマトグラフィーは、ローディング、洗浄及び溶出に様々なバッファーを用いて実施してよい。用いる樹脂をカラムに充填し、流動床カラム又はバッチ調製物として調製してよい。アパタイトクロマトグラフィーは、単量体と多量体の両方をカラムに結合させた後、塩濃度及び/若しくはpHの変化により単量体を選択的に溶出させる結合及び溶出条件下か、又は、多量体は、カラムに結合するが、個々の単量体は、大部分がカラムフロースルー中に残るフロースルー条件下で操作することができる。当業者は、両選択肢のための条件を選択することができよう。
結合及び溶出条件下の非限定的例として、用いることができる平衡化バッファーは、10mMリン酸塩、100mMNaCl(pH7.0)からなる。一部の実施形態では、バッファーは、約1〜100mMリン酸ナトリウムを含む。一部の実施形態では、バッファーは、2〜50mMリン酸塩を含む。一部の実施形態では、バッファーは、約5〜15mMリン酸塩を含む。一部の実施形態では、バッファーは、約10mMリン酸塩を含む。一部の実施形態では、バッファーは、約0〜100mM塩を含む。一部の実施形態では、バッファーは、約0〜100mM塩化ナトリウムを含む。一部の実施形態では、バッファーは、1〜50mM塩化ナトリウムを含む。一部の実施形態では、バッファーは、5〜15mM塩化ナトリウムを含む。一部の実施形態では、バッファーは、10mM塩化ナトリウムを含む。一部の実施形態では、pHは、約6.2〜8.0の範囲である。一部の実施形態では、pHは、約6.8〜7.2の範囲である。一部の実施形態では、pHは、約7.0である。
ローディングバッファーは、平衡化バッファーと実質的に同じである(rpAbを含む)。
樹脂は、ローディングバッファーと実質的に同じバッファーで洗浄してもよい(rpAbは含まない)。
溶出のために、バッファーは、約0.05〜3M NaClを含み、約6.2〜8.0の範囲のpHを有する、イオン強度がより高い(平衡化及びローディングバッファーより高い)リン酸バッファーであってもよい。一部の実施形態では、バッファーは、約1〜100mMリン酸塩を含む。一部の実施形態では、バッファーは、2〜50mMリン酸塩を含む。一部の実施形態では、バッファーは、10mMリン酸塩を含む。一部の実施形態では、段階的又は直線勾配の塩を用いて溶出するが、その場合、段階的又は直線勾配は、約0M〜3M塩である。一部の実施形態では、段階的又は直線勾配の塩化ナトリウムを用いて溶出するが、その場合、段階的又は直線勾配は、約0M〜3M塩化ナトリウムである。一部の実施形態では、段階的又は直線勾配の塩化ナトリウムを用いて溶出するが、その場合、段階的又は直線勾配は、約1mM〜1M塩化ナトリウムである。一部の実施形態では、pHは、約6.5〜7.5の範囲である。一部の実施形態では、pHは、約6.8〜7.2の範囲である。一部の実施形態では、pHは、7.0である。
3.疎水性相互作用クロマトグラフィー
疎水性相互作用クロマトグラフィーは、ローディング、洗浄及び溶出に様々なバッファーを用いて実施してよい。用いる樹脂をカラムに充填し、流動床カラム又はバッチ調製物として調製してよい。疎水性相互作用クロマトグラフィーは、単量体と多量体の両方をカラムに結合させた後、塩濃度及び/若しくはpHの変化により単量体を選択的に溶出させる結合及び溶出条件下か、又は、多量体は、カラムに結合するが、個々の単量体は、大部分がカラムフロースルー中に残るフロースルー条件下で操作することができる。当業者は、両選択肢のための条件を選択することができよう。
結合及び溶出条件下の非限定的例として、用いることができる平衡化バッファーは、0.6M硫酸ナトリウム及びpH7.0を含むリン酸塩バッファーからなる。一部の実施形態では、バッファーは、約5〜200mMリン酸塩を含む。一部の実施形態では、バッファーは、約10〜100mMリン酸塩を含む。一部の実施形態では、バッファーは、約15〜25mMリン酸塩を含む。一部の実施形態では、バッファーは、20mMリン酸塩を含む。一部の実施形態では、バッファーは、約0.2〜2M塩を含む。一部の実施形態では、バッファーは、約0.3〜1M塩を含む。一部の実施形態では、バッファーは、約0.5〜0.7M塩を含む。一部の実施形態では、バッファーは、0.5〜0.7M硫酸ナトリウムを含む。一部の実施形態では、バッファーは、0.6M硫酸ナトリウムを含む。一部の実施形態では、pHは、約6.2〜8.0の範囲である。一部の実施形態では、pHは、約6.8〜7.2の範囲である。一部の実施形態では、pHは、約7.0である。
ローディングバッファーは、平衡化バッファーと実質的に同じである(rpAbを含む)。
樹脂は、ローディングバッファーと実質的に同じバッファーで洗浄してもよい(rpAbは含まない)。
溶出のために、バッファーは、約0〜0.6mM硫酸ナトリウムを含み、約7.0のpHを有する、イオン強度がより低い(すなわち、平衡化及びローディングバッファーより低い)リン酸バッファーであってもよい。一部の実施形態では、バッファーは、0.1〜0.5mM塩を含む。一部の実施形態では、段階的又は直線勾配の塩減少を用いて溶出するが、その場合、段階的又は勾配は、約1Mから0M塩である。一部の実施形態では、段階的又は直線勾配の硫酸ナトリウム減少を用いて溶出するが、その場合、階段又は勾配は、約0.8Mから0M塩である。一部の実施形態では、段階的又は直線勾配の硫酸ナトリウム減少を用いて溶出するが、その場合、階段又は勾配は、約0.6Mから0M塩である。一部の実施形態では、段階的又は直線勾配の硫酸ナトリウム減少を用いて溶出するが、その場合、階段又は勾配は、約0.6Mから0M硫酸ナトリウムである。一部の実施形態では、pHは、約6.2〜8.0の範囲である。一部の実施形態では、pHは、約6.8〜7.2の範囲である。一部の実施形態では、pHは、7.0である。
生成物は、ピークのリーディング側での25mAU及びピークのテーリング側での25mAUの吸光度に基づいて回収してよい。
本発明の方法において、抗体製剤が、多量体を少なくとも90%含まないように、多量体を除去する。一部の実施形態では、抗体製剤は、多量体を少なくとも91%含まない。一部の実施形態では、抗体製剤は、多量体を少なくとも92%含まない。一部の実施形態では、抗体製剤は、多量体を少なくとも93%含まない。一部の実施形態では、抗体製剤は、多量体を少なくとも94%含まない。一部の実施形態では、抗体製剤は、多量体を少なくとも95%含まない。一部の実施形態では、抗体製剤は、多量体を少なくとも96%含まない。一部の実施形態では、抗体製剤は、多量体を少なくとも97%含まない。一部の実施形態では、抗体製剤は、多量体を少なくとも98%含まない。一部の実施形態では、抗体製剤は、多量体を少なくとも99%含まない。一部の実施形態では、抗体製剤は、多量体を100%含まない。
本発明の方法で用いることができる樹脂は、当分野では公知であり、市販のものが入手可能である。
組換えポリクローナル抗体多量体を分離する方法では、マルチモードクロマトグラフィー樹脂を使用してもよく、その場合、rpAbを樹脂と接触させて、多量体を樹脂に結合させると共に、カラムフロースルー中で単量体を収集する。
組換えポリクローナル抗体多量体を分離する方法は、マルチモードクロマトグラフィー樹脂を使用してもよく、その場合、rpAbを樹脂に結合させると共に、少なくとも1種の溶出バッファーを用いて、樹脂から単量体を溶出させるが、ここで、溶出バッファーは、バッファー種と、0〜1Mの塩を含んでいる。
組換えポリクローナル抗体多量体を分離する方法では、マルチモードクロマトグラフィー樹脂を使用してもよく、その場合、rpAbを樹脂と接触させて、多量体を樹脂に結合させると共に、カラムフロースルー中で単量体を収集する。
組換えポリクローナル抗体多量体を分離する方法では、アパタイトクロマトグラフィー樹脂を使用してもよく、その場合、rpAbを樹脂に結合させると共に、少なくとも1種の溶出バッファーを用いて、樹脂から単量体を溶出させるが、ここで、溶出バッファーは、1mS/cm未満から90mS/cm超に、又は1mS/cm〜90mS/cmの間の任意の範囲で導電率を上昇させる塩の段階的変化又は直線勾配である。
組換えポリクローナル抗体多量体を分離する方法では、疎水性相互作用クロマトグラフィー樹脂を使用してもよく、その場合、rpAbを樹脂に結合させると共に、少なくとも1種の溶出バッファーを用いて、樹脂から単量体を溶出させるが、ここで、溶出バッファーは、200mS/cm超から1mS/cm未満に、又は200mS/cm〜1mS/cmの間の任意の範囲で導電率を低下させる塩の段階的変化又は直線勾配である。
本方法はまた、上記の具体的条件下での上記3つの分離技術の組み合わせを含んでもよい。
一般に、当業者には周知であるように、結合及び溶出条件並びにフロースルー条件を誘導するように、抗体のpI及び疎水性相互作用プロフィールを考慮する。
開示内容を概略的に説明するが、以下の実施例を参照にすることによって、より容易に理解されよう。尚、これらの実施例は、本発明の特定の態様及び実施形態を説明することを目的にするに過ぎず、開示を限定する意図はない。例えば、本発明に開示する特定の構造及び実験設計は、適切な機能を確認するための例示的手段及び方法を示すものである。
A.材料及び方法
1.化学物質
化学物質は全て、USPグレード又はそれと同等である。
2.mAb及びrpAb混合物
モノクローナル抗体を発現させた後、生物工学で一般に使用されている細胞培養物及び精製技術を用いて精製した。CHO又はNS0などの広く入手可能な細胞株を用いた標準的細胞培養手順の後、各mAbの精製は、少なくともプロテインA回収と、プロセス由来不純物除去のためのイオン交換カラムを含んだ。個々のmAb特性を以下の表1にまとめる。rpAb混合物を作製するために、個々のmAbを、2及び3mAb rpAb混合物について、それぞれ1:1又は1:1:1(質量)の概略比で混合した。rpAb混合物において要望されるレベルの個々のmAbの多量体を得るために、初めに高又は低多量体レベルを含む精製済みmAbを、正しい多量体レベルを得るように適切な比で合わせた後、個々のmAbと合わせる。これにより、mAb比及び多量体レベルの明確な組成を有するrpAb混合物が得られた。
Figure 2016519144
3.rpAbの総タンパク質濃度測定
rpAb混合物のタンパク質濃度は、Thermo(Wilmington,DE)製のNanodrop 2000cを用いて、280nmの吸光度で測定した。それぞれ混合物について、個々のmAb成分(1:1又は1:1:1混合物)の計量した重量平均を用いて、吸光係数を推定した。個々のmAbの吸光係数を表1に示す。
4.陽イオン交換クロマトグラフィー
POROS HS50(Life Technologies,所在地)を用いた陽イオン交換クロマトグラフィーを、20cmベンチ高さの小規模クロマトグラフィーカラムにおいて、典型的な結合及び溶出条件下で実施した。GE Healthcare(Piscataway,NJ USA)製のAKTA Explorer液体クロマトグラフィーシステムを用いて、全てのランを実施し、300cm/時でカラムを作動させた。25mM酢酸塩、25mM塩化ナトリウム、pH5.0でカラムを平衡化した後、総タンパク質濃度を用いて、樹脂1L当たり30gのタンパク質までロードした。ローディングの後、カラムを再平衡化してから、20カラム体積にわたって25mMから260mMへの塩化ナトリウムの直線勾配で溶出させた。生成物ピークのリーディング及びテーリング側での25mAUの吸光度基準に基づいて生成物ピークを収集した。
5.マルチモードクロマトグラフィー
Capto Adhere(GE Healthcare,Piscataway,NJ USA)を用いたマルチモードクロマトグラフィー(MMC)を、20cmベッド高さまで充填した小型クロマトグラフィーカラムにおいて、典型的なフロースルー条件下で実施した。GE Healthcare(Piscataway,NJ USA)製のAKTA Explorer液体クロマトグラフィーシステムを用いて、全てのランを実施し、300cm/時でカラムを作動させた。25mM酢酸塩、100mM塩化ナトリウム、pH5.0(mAbA、B、及びCの混合物の場合)、又は50mMトリス、100mM塩化ナトリウム、pH7.25(mAbA及びB混合物の場合)でカラムを平衡化した。総タンパク質濃度を用いて、樹脂1L当たり50gのタンパク質までロードした。生成物ピークのリーディング及びテーリング側での25mAUの吸光度基準に基づいて生成物ピークを収集した。
6.疎水性相互作用クロマトグラフィー
Tosoh Bioscience(King of Prussia,PA USA)製のToyopearl Butyl 650Mを用いた疎水性相互作用クロマトグラフィーを、20cmベンチ高さの小規模クロマトグラフィーカラムにおいて、典型的な結合及び溶出条件下で実施した。GE Healthcare(Piscataway,NJ USA)製のAKTA Explorer液体クロマトグラフィーシステムを用いて、全てのランを実施し、300cm/時でカラムを作動させた。25mMリン酸塩、0.6M硫酸ナトリウム、pH7.4でカラムを平衡化した。1(容量)部のタンパク質溶液を1部の25mMリン酸塩、1.2M硫酸ナトリウム(pH7.4)で希釈することによりロードを調製した後、(前述の)総タンパク質濃度を用いて、カラムを樹脂1L当たり10gのタンパク質までロードした。ローディングの後、カラムを平衡化バッファーにより再平衡化してから、20カラム体積にわたって0.6Mから0mM硫酸ナトリウムへの硫酸ナトリウムの直線勾配で溶出させた。ピークのリーディング側での25mAU、及び生成物ピークのテーリング側での100mAUの吸光度基準に基づいて生成物ピークを収集した。
7.ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー
Bio−Rad Laboratories(Hercules,CA,USA)製のCeramic Hydroxyapatite Type Iを用いたハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーを、20cmベンチ高さの小規模クロマトグラフィーカラムにおいて、典型的な結合及び溶出条件下で実施した。GE Healthcare(Piscataway,NJ USA)製のAKTA Explorer液体クロマトグラフィーシステムを用いて、全てのランを実施し、300cm/hでカラムを作動させた。10mMリン酸塩、pH7.0でカラムを平衡化した後、(前述の)総タンパク質濃度を用いて、樹脂1L当たり20gのタンパク質までロードした。ローディングの後、カラムを再平衡化してから、20カラム体積にわたって0から1M塩化ナトリウムへの塩化ナトリウムの直線勾配で溶出させた。ピークのリーディング側での25mAU、及び生成物ピークのテーリング側での50mAUの吸光度基準に基づいて生成物ピークを収集した。
8.分析用サイズ排除クロマトグラフィー(SEC−HPLC)
Agilent 1200HPLCシステム(Palo Alto,CA,USA)により、Tosoh Biosciences(所在地)から得られたTSK−GEL G3000SWXLを用いて、分析用高性能サイズ排除クロマトグラフィー(SEC−HPLC)を実施した。移動相は、20分にわたり1mL/分で、0.1Mリン酸ナトリウム、0.1M硫酸ナトリウム、pH6.8であった。45ugのサンプルをそのまま注射し、Bio−Rad(Hercules,CA,USA)製の分子量標準を用いて、カラムを較正した。280nmで分光光度計を用いて、溶出プロフィールをモニターした後、データを収集し、Agilent製のChemStationソフトウエアを用いて分析した。
9.分析用逆相クロマトグラフィー(RP−HPLC)
Waters ACQUITY UPLC H−Class Bioシステム(Milford,MA,USA)に接続したMichrom Bioresources,Inc.(Auburn,CA,USA)から購入したPLRP−Sカラム(8μm粒子、4000A、2.0×150mm)を用いて、分析用RP−HPLCを実施した。各タイプのタンパク質混合物に合わせて調整した適切な移動相及び勾配を作製するために、3つの溶出剤を用いた。これらは、水(溶出剤A)、アセトニトリル(溶出剤B)及び水中の2%トリフルオロ酢酸(TFA)(溶出剤C)であった。それぞれの溶出の間、溶出剤Cの割合(%)を一定に維持した(TFA濃度:0.02〜0.1%)のに対し、要望される勾配を形成するように、溶出剤Aに対する溶出剤Bの割合を増加した。流速を0.2ml/分に設定し、カラム温度を70℃に維持した。各タンパク質混合物の溶出をフォトダイオードアレイ検出器でモニターし、280nm又は220nmのいずれかで取得したピーク応答を定量のために選択した。サンプル中の各タンパク質の濃度を、同じタンパク質の参照標準を用いて調製した標準溶液を注入することにより決定した。
実施例1:陽イオン交換クロマトグラフィー(mAb A/B/C)
陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)は、mAb多量体除去のために用いられることが多い。典型的な結合及び溶出条件下で、多量体種は、カラム上に単量体種より強度に保持されるため、溶出するのに、より高い濃度の塩を必要とする。単量体/多量体分離のために、最も一般的な溶出技術は、塩増加の段階的変化又は直線勾配であり、これを用いて、様々な種と樹脂との結合のわずかな差を利用することができる。あまり一般的ではない技術は、pHの上昇によって、単量体を溶出させた後、多量体を溶出させるものである。単量体/多量体分離の難度に応じて、多量体は、個別のピークとして(完全な分離)、又は単量体ピークのテーリング側でのショルダーとして(低分離度)出現し得る。いずれの場合にも、多量体は、多量体を含まないように生成物ピークを切断することにより、混合物から除去することができる。
CEXの場合、陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて、rpAb混合物中の単量体から多量体を除去するために、同じ技術を使用することができる。陽イオン交換を用いて、mAb A、B及びCの混合物を含むrpAb精製の例を図1に示し、表2にまとめる。このrpAb混合物の場合、個々のmAbは、1:1:1の適切な比で組み合わされ、多量体は、大部分がmAb Cに由来し、mAb B多量体は非常に低レベルであり、またmAb A多量体は無視できるレベルである。rpAb混合物をロードし、カラムから溶出すると、3つの主要ピークが観察され、それぞれのピークは、個々のmAbに対応する。このrpAb混合物の場合、mAb Cが最初に溶出し、続いてmAb A、最後にmAb Bが溶出した。rpAb混合物の代わりに個々のmAbを注入することにより、溶出の順序を確認した。図1のクロマトグラムでは、rpAb混合物中の多量体の分離(主に、mAb Cから)は容易に観察されないが、mAb C単独の注入によって、予想通り、勾配において、最初に単量体が溶出し、その後多量体が溶出したことが確認された。これらの条件下で、mAb Cの多量体は、mAb A及びmAb Bのモノマーと一緒に同時溶出するため、rpAb混合物中のmAb比を有意に変えることなく除去することが難しくなる。全溶出プールが収集された(溶出ピークの上昇及び下降側で、>25mAUの吸光度収集基準で)ことに留意すべきである。表2からわかるように、mAb A及びmAb B単量体とmAb C多量体の同時溶出のために予想された通り、多量体レベルは、ロードからプールまで比較的不変のままである。mAb Cの多量体を除去するためには、mAb A及び/又はmAb Bの単量体も除去しなければならないであろう(これらの種が、mAb Cの多量体と同時溶出するため)。これらの結果は、陽イオン交換クロマトグラフィーが、このrpAb混合物に関して実行可能な選択肢ではないことを示唆している。
Figure 2016519144
実施例2:マルチモードクロマトグラフィー(mAb A/B/C)
マルチモードクロマトグラフィーは、2つ(又はそれ以上)の異なるモードのクロマトグラフィーのハイブリッドであるユニークなモードのクロマトグラフィーであり、どのようにカラムを操作するかに応じていずれのモードで使用することもできる。文献において、最も一般的なマルチモードクロマトグラフィー樹脂は、両方のイオン交換特性、並びに広範囲のpH値にわたって疎水性相互作用特性を備えるリガンドを含有する。これらのリガンドのユニークなイオン及び疎水性相互作用特性のために、マルチモード樹脂は、mAbモノマーからのmAb多量体の分離に用いられてきた。典型的なmAbは、塩基性等電点を有することから、CEX/HICリガンドを有するマルチモード樹脂は、典型的に、結合及び溶出モードで操作され、その場合、低pH及びより低い塩濃度で生成物をカラムに結合させた後、塩濃度の増加及び/又はpHの上昇によって溶出させる。ミニボディ精製についての一例では、二量体及び多量体を強度に結合させ、高塩濃度ストリップピークで溶出させたことが示されている(P.Gagnon,P.et al.(2010)Bioprocess Int.8:26)。AEX/HICリガンドを有するマルチモード樹脂の場合、mAbは、結合及び溶出モード又はフロースルーモードで処理することができる。フロースルーモードで操作する場合、mAb単量体は樹脂に結合しないが、多量体は強度に結合し、これにより、供給流から多量体を除去するように、操作条件を選択する。文献中の例はよく知られており、例えば、Chen et al.及びErikccon et al.はいずれも、高分子量種を除去するためのCapto Adhereフロースルーステップを記載している(J.Chen,J(2020)J.Chrom.A.1217:216;Erikccon,K.et al.(2009)Bioprocess Int.7:52)。マルチモードクロマトグラフィーを用いた多量体の除去は、mAb精製において一般的ではあるが、rpAb混合物中の多量体を除去するためのマルチモードクロマトグラフィーの適用は、それほど簡単ではない。rpAb混合物中の個々のmAb種とマルチモードリガンドとの相互作用の複雑な性質のために、mAb比を一定に保ちながら、単量体から多量体を選択的に除去するように条件を最適化できるかは明らかではない。
rpAb混合物中の多量体を除去するマルチモードクロマトグラフィーの能力を試験するために、フロースルーモードのCapto Ahdereを用いて、mAb A、B及びC(概略比1:1:1)の混合物の精製を調べた。この混合物の場合、多量体は、大部分がmAb Cに由来し、mAb B多量体は非常に低レベルであり、またmAb Aは無視できるレベルである。この混合物は、CEXクロマトグラフィーのために実施例1で用いた混合物とほぼ同じである。図2は、rpAb混合物のCapto Ahdereクロマトグラムを示す。結合及び溶出CEXとは異なり、図2のCapto Ahdereクロマトグラムは、mAb種の分離のはっきりとした兆候を全く示さないが、このことは、mAb比が比較的一定のままでなければならないため、rpAb精製において重要である。表3に、Capto Ahdereクロマトグラフィーランについてのロード及びプール分析データをまとめる。表3からわかるように、多量体は、ロードの3.4%から、Capto Ahdereプールの0.8%へと減少した。これらの最適化条件(pH5.0、100mM NaCl)下で、多量体は、より強度に保持され、クロマトグラムに認められる低pHストリップピークに出現するようだ。表3からわかるように、mAb B及びCとmAb Aの比(B:A及びC:A)は、Capto Ahdere精製の前後に1.00に極めて近いままである。これらの比は、個々のmAbのRP−HPLC濃度に基づくものであり、単量体及び多量体のいずれの寄与も含むことは留意すべきである。従って、Capto Ahdereクロマトグラフィー工程中のmAb C多量体の除去は、Capto Ahdereクロマトグラフィー前後のC:Aの比の若干の減少に表れている。
Figure 2016519144
実施例3:マルチモードクロマトグラフィー(mAb A/B)
フロースルーモードのマルチモードクロマトグラフィーを用いたrpAb混合物からの多量体の除去のためのマルチモードクロマトグラフィーの使用をさらに明らかにするために、第2のrpAb混合物を調べた。図3は、mAb及びBの1:1混合物についてのCapto Ahdereクロマトグラムを示す。図3からわかるように、クロマトグラムは、選択した操作条件(pH7.25、100mM NaCl)下で観察される個々のmAb種の明瞭な分離がなく、典型的なフロースルークロマトグラムのように見える。図2と比較すると、再生ステップ(0.1M酢酸)に吸光度ピーク(主に多量体を表す)を有し、プロフィールが酷似している。
表4に、Capto Ahdereクロマトグラフィーについてのロード及びプールサンプルをまとめる。この実施例では、総多量体レベルが、前の実施例より高く、混合物中の多量体は、同様のレベルで(すなわち、各mAbから約3.5%の多量体)両方のmAbに由来する。ロード中に測定した合計多量体レベルは、6.9%であった。前の実施例と同様に、Capto Ahdereクロマトグラフィーは、このmAb混合物について多量体の除去に非常に有効である。表4からわかるように、多量体レベルは、SEC−HPLCにより、6.9%から0.4%に減少しており、単量体収率は高い(96.1%)。これは、様々なmAb(この場合、mAb A又はB)からの多量体を、単量体ステップの収率を損なうことなく、同時に除去できることを示している。同時に、mAb BとmAb Aの比は、比較的一定のままである(ロード中の0.99に対しプール中の0.97)。この分離の実施例は、個々のmAb比を一定に保ちながら、rpAb混合物から多量体を除去するためのマルチモードクロマトグラフィーの新規性及び重要性をさらに裏打ちするものである。
Figure 2016519144
実施例4:ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー(mAb C/D)
ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーは、カルシウムとリン酸塩からなるユニークなクロマトグラフィー媒体であり、これは、陽イオン交換(樹脂中のリン酸イオンを介して)により、並びに金属配位を通して(樹脂中のカルシウムイオンを介して)、タンパク質と結合することができる。ハイドロキシアパタイトは、しばらく前から、タンパク質の精製に広く使用され、近年では、ハイドロキシアパタイトは、mAb精製において多量体を除去する上で人気の高い選択肢となっている(Gagnon,P.(2009)New Biotechnol.25:287;Gagnon,P.et al.(2009)J.Sep.Sci.32:3857)。mAb精製で用いる場合、典型的には、中性又はほぼ中性pHで、低濃度の塩化ナトリウムを含むリン酸バッファーを用いて、カラムを平衡化する。これらの条件下で、単量体及び多量体は、一般に、カラムに結合し、その際、多量体はより強度に結合する。勾配又は段階的にリン酸塩若しくはNaCl濃度(NaClの方が、溶出技術において広く用いられる傾向がある)を増加することにより、生成物をカラムから溶出させる。最適化されていれば、モノマー及び多量体の分離は非常に有効となり得る。ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーを用いた多量体の除去は、mAb精製において一般的であるが、rpAb混合物中の多量体を除去するためのマルチモードクロマトグラフィーの適用は、それほど簡単ではない。CEXと同様に、陽イオン相互作用だけに基づいて多量体mAb又は他のmAb種からの単量体mAbの分離を先験的に予測するのは難しい。ハイドロキシアパタイト中の金属配位相互作用の複雑さが加わると、どのようにしてrpAb分離が起こるかを予測するのはさらに困難になる。従って、mAb比を一定に保ちながら、多量体を除去するように、最適な条件を選択することができるかは明らかではない。
rpAb混合物中の多量体を除去するハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーの能力を試験するために、NaCl直線勾配溶出法による結合及び溶出モードのセラミックハイドロキシアパタイト(タイプI)を用いて、mAb C及びD(概略比1:1)の混合物の精製を調べた。この混合物の場合、多量体は、ほとんどがmAb Cに由来し、mAb D由来の多量体はわずかな寄与しかもさない。図4は、rpAb混合物のCapto Ahdereクロマトグラムを示す。クロマトグラムからわかるように、mAb単量体は、単一ピークで同時溶出し、mAbの分離は全く観察されない。個々のmAbの分離があれば、ほぼ同様の面積を有する複数のピークが観察されるはずである(図1のCEXプロフィールに見られるように)。個々のmAbの注入により、NaCl勾配内の類似した溶出位置を確認する(データは示していない)。単量体ピーク後に溶出する小さなピークが観察されたが、このピークは、SEC−HPLCにより多量体であることがわかった。クロマトグラムに基づき、ハイドロキシアパタイトは、個々のmAbを分離することなく、単量体から多量体を分離することができる。また、分離は、依然として高い単量体収率(96.8%)をもたらした条件下でこのように実施されたことにも留意すべきである。表5に、ロード及びプール分析データをまとめる。表5からわかるように、多量体は、ロード中の4.1%から、ハイドロキシアパタイトプール中の0.4%に減少した。同時に、mAb DとmAb Cの比(D:C)は、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーの前(0.96)と後(1.01)で比較的一定を維持した。前述したように、単量体及び多量体種の両方を含むRP−HPLC濃度を用いて、上記比を決定したことから、多量体の除去によって上記比には幾分の変化がある。全体として、ハイドロキシアパタイトは、rpAb混合物中の多量体の除去に有効な手段であることが明らかにされた。
Figure 2016519144
実施例5:疎水性相互作用クロマトグラフィー(mAb A/B)
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)は、疎水性の差に基づいてタンパク質を分離する一般的モードのクロマトグラフィーである。HICは、しばらく前からタンパク質の精製に広く用いられ、mAb精製を目的とする多量体除去のための選択肢として記載されている(Chen,J.et al.(2008)J.Chrom.A.1177:272)。mAb多量体の除去に用いられる場合、典型的には、カオトロピック塩(硫酸アンモニウム又は硫酸ナトリウムが最も一般的である)を含有する中性バッファーで、カラムを平衡化する。また、同様の濃度のカオトロピック塩を有するように、ロードも調整し、これらの条件下で、単量体及び多量体は、HIC樹脂に結合することができる。典型的には、より低い濃度のカオトロピック塩を含有する(若しくは塩を全く含まない)バッファーまでの直線勾配又は階段を用いて、生成物をカラムから溶出させる。一般に、多量体は、カラムにより強力に結合し、個別の分離ピーク又は単量体ピークのテーリング側のショルダーのいずれかとして、より低い塩濃度で溶出する。HICはまた、多量体がカラムに強度に結合するのに対し、単量体生成物は、ほとんど又は全く結合せずにカラムを通過する条件下で、フロースルーモードで操作することもできる。HICクロマトグラフィーを用いた多量体の除去は、mAb精製において一般的であるが、rpAb混合物中の多量体除去のためのHICモードクロマトグラフィーの適用は、それほど簡単ではない。それぞれのmAbは、異なる数の疎水性アミノ酸、又はまちまちの表面疎水性プロフィールを有することから、多量体は除去されるが、個々のmAbはrpAb混合物から選択的に除去されないように、最適な条件を選択することができるかは明らかではない。
rpAb混合物中の多量体を除去するHICクロマトグラフィーの能力を試験するために、Thoyoperl Butyl 650M樹脂を用いて、mAb A及びB(概略比1:1)の混合物の精製を調べた。0.6Mから0M硫酸ナトリウムに減少する硫酸ナトリウム濃度の直線勾配を有する結合及び溶出モードで、カラムを操作した。この実施例では、混合物中の多量体は、両mAbに由来し、同様のレベル(すなわち、それぞれのmAbから約3.2%の多量体)である。ロード中で促成した合計多量体レベルは、6.3%であった。図5は、rpAb混合物のブチル(Butyl)クロマトグラムを示す。クロマトグラムからわかるように、個々のmAbは、単一ピークで同時溶出し、mAbの分離は全く観察されない。個々のmAbの分離があれば、ほぼ同様の面積を有する複数のピークが観察されるはずである(図1のCEXプロフィールに認められるように)。モノマーピークのテーリング側で溶出する小さなピークが観察されるが、このピークは、SEC−HPLCにより多量体であることがわかった。この実施例は、93.2%の単量体収率を有した。表6に、ロード及びプール分析データをまとめる。表6からわかるように、多量体は、ロード中の6.3%から、HICプール中の0.3%に減少した。同時に、mAb BとmAb Aの比(B:A)は、ブチル(Butyl)650Mクロマトグラフィーの前(0.98)と後(1.00)で比較的一定を維持した。従って、HICは、個々のmAbを同時に分離することなく、単量体から多量体を分離することができる。
Figure 2016519144
mAb精製中の多量体種の制御は、多量体種の免疫原性が知られているために重要である。多量体種の制御は、ヒトに使用するためのrpAbの製造に必要となると考えられる。mAbとは異なり、rpAb治療薬は、個々のmAbの比を狭い範囲に制御しなければならないという別の制約を有することが予想される。従って、個々の成分mAbの比を維持しながら、様々な多量体を除去しなければならない。
mAbの製造のために、多量体のレベルは、イオン交換クロマトグラフィーを用いて、常用の方法で制御する;しかし、CEXを用いたrpAb混合物中の多量体の制御は、個々のmAb同士の電荷不均質性のために、多くの場合実現不可能であろう。これまで、疎水性相互作用、アパタイト、及びマルチモードクロマトグラフィーなどの他のクロマトグラフィー技術が、mAb多量体除去のために使用されてきたが、これらの様式は、イオン交換より選択性が高い傾向があるため、上記の技術では、多量体種を分離しようとすると、rpAb混合物の成分単量体が分離されるであろうと考えられた。かなり意外なことに、本発明者らは、逆の結果が観測されることをみいだした。実験により、疎水性相互作用、アパタイト、及びマルチモードクロマトグラフィーは、不要な多量体を分離すると同時に、rpAb混合物中の個々のmAb比を狭い範囲内に保持できることが立証された。
この研究において、本発明者らは、マルチモード、アパタイト、及び疎水性相互作用クロマトグラフィーは、rpAb多量体除去に用いることができることを明らかにした。2つ又は3つのmAb混合物を用いて、本発明者らは、それぞれのモードのクロマトグラフィーが、2.5%超の多量体除去(場合によっては、複数のmAb種からの多量体)を除去して、>99%単量体であるrpAb生成物を製造することができることを明らかにした。同時に、本発明者らは、要望されるmAb比(クロマトグラフィーの前及び後に)を10%以内に維持することができる。
本明細書に記載する全ての刊行物及び特許は、それぞれの刊行物又は特許が、参照により本明細書に組み込まれると具体的かつ個別に記載されているのと同様に、その全体を参照により本明細書に組み込むものとする。
主題の開示の具体的実施形態について論じてきたが、以上の記載内容は、例示的であって、限定的ではない。本明細書及び以下の特許請求の範囲を吟味すれば、本開示の様々な変更形態が当業者には明らかであろう。本開示の全範囲は、特許請求の範囲、及びそれらの均等物の全範囲、並びに本明細書、及び上記のような変更形態を参照にすることにより決定すべきである。

Claims (31)

  1. 最小限の単量体の分離で、組換えポリクローナル抗体多量体を分離する方法であって、複数のモノクローナル抗体を含む混合物を、マルチモードクロマトグラフィー、アパタイトクロマトグラフィー、及び疎水性相互作用クロマトグラフィーからなる群から選択される少なくとも1つの分離プロセスに付すことにより、実質的に多量体を含まない抗体単量体製剤を製造するステップを含む方法。
  2. 前記混合物を、マルチモードクロマトグラフィー、アパタイトクロマトグラフィー、及び疎水性相互作用クロマトグラフィーからなる群から選択される少なくとも2つの分離プロセスに付すことにより、実質的に多量体を含まない抗体単量体製剤を製造する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記分離プロセスが、マルチモードクロマトグラフィーである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記分離プロセスが、アパタイトクロマトグラフィーである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記分離プロセスが、疎水性相互作用クロマトグラフィーである、請求項1に記載の方法。
  6. 前記分離プロセスが、マルチモードクロマトグラフィーとアパタイトクロマトグラフィーである、請求項2に記載の方法。
  7. 前記分離プロセスが、マルチモードクロマトグラフィーと疎水性相互作用クロマトグラフィーである、請求項2に記載の方法。
  8. 前記分離プロセスが、アパタイトクロマトグラフィーと疎水性相互作用クロマトグラフィーである、請求項2に記載の方法。
  9. 前記混合物を、マルチモードクロマトグラフィー、アパタイトクロマトグラフィー、及び疎水性相互作用クロマトグラフィーに付すことにより、最小限の単量体の分離で、組換えポリクローナル抗体多量体を分離する、請求項1に記載の方法。
  10. 前記抗体製剤が、多量体を少なくとも90%〜91%含まない、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記抗体製剤が、多量体を少なくとも92%〜93%含まない、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記抗体製剤が、多量体を少なくとも94%〜95%含まない、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記抗体製剤が、多量体を少なくとも96%〜97%含まない、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記抗体製剤が、多量体を少なくとも98%〜99%含まない、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記抗体製剤が、多量体を100%含まない、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記rpAb混合物中の任意の抗体単量体の、他の任意の抗体単量体に対する量が、40%未満変化する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記rpAb混合物中の任意の抗体単量体の、他の任意の抗体単量体に対する量が、30%未満変化する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記rpAb混合物中の任意の抗体単量体の、他の任意の抗体単量体に対する量が、20%未満変化する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記rpAb混合物中の任意の抗体単量体の、他の任意の抗体単量体に対する量が、10%未満変化する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記rpAb混合物中の任意の抗体単量体の、他の任意の抗体単量体に対する量が、5%未満変化する、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記rpAb混合物中の任意の抗体単量体の、他の任意の抗体単量体に対する量が、0%変化する、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 最小限の単量体の分離で、組換えポリクローナル抗体多量体を分離する方法であって、複数のモノクローナル抗体を含む混合物を、マルチモードクロマトグラフィー樹脂と接触させるステップ、及びバッファー種と0〜1Mの塩とを含む少なくとも1つの溶出バッファーを用いて、前記樹脂から抗体単量体を溶出させるステップを含む方法。
  23. 前記マルチモードクロマトグラフィー樹脂が、疎水性及びイオン交換部分の両方を備えるリガンドを含む、請求項22に記載の方法。
  24. 前記マルチモードクロマトグラフィー樹脂が、Capto Adhereクロマトグラフィー樹脂である、請求項23に記載の方法。
  25. 前記単量体を直線又は段階的勾配の塩で溶出させる、請求項22〜24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記単量体を、単一濃度の塩を用いて前記カラムから溶出させる、請求項22〜24のいずれか一項に記載の方法。
  27. 単量体の分離なしで、組換えポリクローナル抗体多量体を分離する方法であって、複数のモノクローナル抗体を含む混合物をアパタイトクロマトグラフィー樹脂と接触させるステップ、及び導電率を、1mS/cm未満から90mS/cm超に、又は1mS/cm〜90mS/cmの間の任意の範囲で上昇させる塩の段階的変化又は直線勾配を用いて、前記樹脂から抗体単量体を溶出させるステップを含む方法。
  28. 前記アパタイトクロマトグラフィーが、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーである、請求項27に記載の方法。
  29. 前記塩が、塩化ナトリウムである、請求項27又は28に記載の方法。
  30. 最小限の単量体の分離で、組換えポリクローナル抗体多量体を分離する方法であって、複数のモノクローナル抗体を含む混合物を、疎水性相互作用クロマトグラフィー樹脂と接触させるステップ、及び導電率を、200mS/cm超から1mS/cm未満に、又は200mS/cm〜1mS/cmの間の任意の範囲で低下させる塩の段階的変化又は直線勾配を用いて、前記樹脂から抗体単量体を溶出させるステップを含む方法。
  31. 前記塩が、硫酸ナトリウムである、請求項30に記載の方法。
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