JP2016216606A - 硬化性樹脂組成物及びその硬化物、並びに半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬化させることにより特に腐食性ガスに対するバリア性に優れた材料を形成できる硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明の硬化性樹脂組成物は、分子内に2個以上のアルケニル基を有するポリオルガノシロキサン(A-1)と、分子内に2個以上のヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサン(A-2)と、フッ素系界面活性剤(B)を含むことを特徴とする。本発明の硬化性樹脂組成物は、更に、ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)を含むことが好ましい。【選択図】なし
Description
本発明は、硬化性樹脂組成物及びその硬化物、上記硬化性樹脂組成物を使用した封止剤、並びに上記封止剤を使用して半導体素子を封止して得られる半導体装置に関する。
半導体装置において半導体素子を被覆して保護するための封止材としては、各種の樹脂材料が使用されている。特に、光半導体装置における封止材には、SOXやH2S等の硫黄化合物を代表とする腐食性ガスに対するバリア性に優れることが求められる。
現在、光半導体装置における封止材としては、腐食性ガスに対するバリア性が比較的良好なフェニルシリコーン系封止材が広く使用されている(特許文献1)。
しかしながら、フェニルシリコーン系封止材は、従来使用されていたメチルシリコーン系封止材に比べると腐食性ガスに対するバリア性は高いものの、その特性は未だ不十分である。実際に、フェニルシリコーン系封止材を使用した場合であっても、光半導体装置において腐食性ガスによる電極の腐食が経時で進行し、通電特性が悪化するという問題が生じている。
従って、本発明の目的は、硬化させることにより、腐食性ガス(例えば、SOxガス)に対するバリア性に優れた硬化物を形成できる硬化性樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、腐食性ガスに対するバリア性に優れた硬化物を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、上記硬化性樹脂組成物を使用した封止剤、及び該封止剤を使用して半導体素子(特に、光半導体素子)を封止することにより得られる、品質と耐久性に優れた半導体装置(特に、光半導体装置)を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、腐食性ガスに対するバリア性に優れた硬化物を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、上記硬化性樹脂組成物を使用した封止剤、及び該封止剤を使用して半導体素子(特に、光半導体素子)を封止することにより得られる、品質と耐久性に優れた半導体装置(特に、光半導体装置)を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、分子内に2個以上のアルケニル基を有するポリオルガノシロキサンと、分子内に2個以上のヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサンと、フッ素系界面活性剤を必須成分として含む硬化性樹脂組成物を硬化させると、腐食性ガスに対するバリア性に特に優れた硬化物を形成することができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、分子内に2個以上のアルケニル基を有するポリオルガノシロキサン(A-1)と、分子内に2個以上のヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサン(A-2)と、フッ素系界面活性剤(B)を含む硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明は、また、更に、ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)を含む前記の硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明は、また、更に、シリコーン系界面活性剤(C)を含む前記の硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明は、また、更に、ヒドロシリル化触媒(D)を含む前記の硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明は、また、更に、下記式(1)
[式(1)中、Ra、Rb、及びRcは、同一又は異なって、下記式(1a)で表される基、下記式(1b)で表される基、水素原子、又はアルキル基を示す。但し、Ra、Rb、及びRcのうち少なくとも1個は、下記式(1a)で表される基である。
(式中、Rd、Reは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示す。s、tは、同一又は異なって1〜10の整数を示す)]
で表されるイソシアヌレート化合物(E)を含む前記の硬化性樹脂組成物を提供する。
で表されるイソシアヌレート化合物(E)を含む前記の硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明は、また、前記ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)として、ラダー構造を有するポリオルガノシルセスキオキサンの分子鎖末端の一部又は全部に、下記式(V)
[式(V)中、R6は、脂肪族炭素−炭素二重結合を有する基を示す]
で表される単位構造及び下記式(VI)
[式(VI)中、R7は、同一又は異なって、炭化水素基を示す]
で表される単位構造を含むポリオルガノシルセスキオキサン残基を有するラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)を含む前記の硬化性樹脂組成物を提供する。
で表される単位構造及び下記式(VI)
で表される単位構造を含むポリオルガノシルセスキオキサン残基を有するラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)を含む前記の硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明は、また、前記ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)として、ラダー構造を有するポリオルガノシルセスキオキサンの分子鎖末端の一部又は全部に、下記式(VII)
[式(VII)中、Xは単結合、二価の炭化水素基、カルボニル基、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、カーボネート基、アミド基、又は、これらが複数個連結した基を示す。R8及びR9は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭化水素基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、エポキシ基、シアノ基、イソシアナート基、カルバモイル基、イソチオシアナート基、ヒドロキシル基、ヒドロパーオキシ基、アミノ基若しくは置換アミノ基、メルカプト基、スルホ基、又は下記式(s)
[式(s)中、R51は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭化水素基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、エポキシ基、シアノ基、イソシアナート基、カルバモイル基、イソチオシアナート基、ヒドロキシル基、ヒドロパーオキシ基、アミノ基若しくは置換アミノ基、メルカプト基、又はスルホ基を示す]
で表される基を示す。nは1〜100の整数を示す]
で表される単位構造及び下記式(VIII)
[式(VIII)中、R10は、同一又は異なって、炭化水素基を示す]
で表される単位構造を含むポリオルガノシルセスキオキサン残基を有するラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)を含む前記の硬化性樹脂組成物を提供する。
で表される基を示す。nは1〜100の整数を示す]
で表される単位構造及び下記式(VIII)
で表される単位構造を含むポリオルガノシルセスキオキサン残基を有するラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)を含む前記の硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明は、また、前記ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)が、側鎖の一部又は全部が置換若しくは無置換のアリール基であるラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)である前記の硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明は、また、さらに、シランカップリング剤(F)を含む前記の硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明は、また、前記の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物を提供する。
本発明は、また、封止剤である前記の硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明は、また、半導体素子と、該半導体素子を封止する封止材とを有する半導体装置であって、前記封止材が、前記の硬化性樹脂組成物の硬化物である半導体装置を提供する。
本発明は、また、光半導体装置である前記の半導体装置を提供する。
本発明の硬化性樹脂組成物は上記構成を有するため、硬化させることによって、腐食性ガス(例えば、SOxガス)に対するバリア性に特に優れた硬化物を形成できる。このため、上記硬化物を半導体装置における半導体素子の封止材として使用した場合、上記半導体装置の電極の腐食が高度に抑制され、上記半導体装置の耐久性が著しく向上する。従って、本発明の硬化性樹脂組成物は、特に光半導体装置における光半導体素子(例えば、LED素子)の封止材を形成するための材料(封止剤)として好ましく使用することができる。本発明の硬化性樹脂組成物を封止剤として使用して得られる光半導体装置は、優れた品質と耐久性とを備える。
本発明の硬化性樹脂組成物は、シロキサン化合物[シロキサン(Si−O−Si)結合を有する化合物]として、分子内に2個以上のアルケニル基を有するポリオルガノシロキサン(A-1)(単に「ポリオルガノシロキサン(A-1)」と称する場合がある)と、分子内に2個以上のヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサン(A-2)(単に「ポリオルガノシロキサン(A-2)」と称する場合がある)を含み、更にフッ素系界面活性剤(B)を含むことを特徴とする。
[ポリオルガノシロキサン(A-1)]
ポリオルガノシロキサン(A-1)は、分子内に2個以上のアルケニル基を有するポリオルガノシロキサンである。すなわち、ポリオルガノシロキサン(A-1)は、アルケニル基を有するポリシロキサンであり、ヒドロシリル基を有する成分(例えば、後述のポリオルガノシロキサン(A-2)等)とヒドロシリル化反応を生じる成分である。但し、ポリオルガノシロキサン(A-1)には、後述の「ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)」に該当する化合物は含まれない。
ポリオルガノシロキサン(A-1)は、分子内に2個以上のアルケニル基を有するポリオルガノシロキサンである。すなわち、ポリオルガノシロキサン(A-1)は、アルケニル基を有するポリシロキサンであり、ヒドロシリル基を有する成分(例えば、後述のポリオルガノシロキサン(A-2)等)とヒドロシリル化反応を生じる成分である。但し、ポリオルガノシロキサン(A-1)には、後述の「ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)」に該当する化合物は含まれない。
ポリオルガノシロキサン(A-1)としては、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、網目状の分子構造を有するものが挙げられる。尚、ポリオルガノシロキサン(A-1)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。具体的には、分子構造が異なるポリオルガノシロキサン(A-1)、例えば直鎖状のポリオルガノシロキサン(A-1)と分岐鎖状のポリオルガノシロキサン(A-1)、を2種以上を併用することができる。
ポリオルガノシロキサン(A-1)が分子内に有するアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の置換若しくは無置換アルケニル基が挙げられる。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基等が挙げられる。前記アルケニル基としては、なかでも、ビニル基が好ましい。また、ポリオルガノシロキサン(A-1)は、1種のアルケニル基を有するものであってもよいし、2種以上のアルケニル基を有するものであってもよい。ポリオルガノシロキサン(A-1)が有するアルケニル基は、ケイ素原子に結合した基であることが好ましい。
ポリオルガノシロキサン(A-1)は、ケイ素原子に結合した基としてアルケニル基以外の基を有していてもよく、例えば、水素原子、有機基等が挙げられる。有機基としては、例えば、アルキル基[例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等]、シクロアルキル基[例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基等]、アリール基[例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等]、シクロアルキル置換アルキル基[例えば、シクロへキシルメチル基、メチルシクロヘキシル基等]、アラルキル基[例えば、ベンジル基、フェネチル基等]、炭化水素基における1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたハロゲン化炭化水素基[例えば、クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等]や、ヒドロキシル基、アルコキシ基(好ましくはC1-6アルコキシ基、より好ましくはC1-4アルコキシ基)等が挙げられる。尚、本明細書において「ケイ素原子に結合した基」には、ケイ素原子は含まない。
ポリオルガノシロキサン(A-1)の性状は、特に限定されず、液状であってもよいし、固体状であってもよい。
ポリオルガノシロキサン(A-1)としては、下記平均単位式:
(R1SiO3/2)a1(R1 2SiO2/2)a2(R1 3SiO1/2)a3(SiO4/2)a4(X1O1/2)a5
で表されるポリオルガノシロキサンが好ましい。上記平均単位式中、R1は、同一又は異なって、一価の置換若しくは無置換炭化水素基であり、例えば、アルキル基[例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等]、シクロアルキル基[例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基等]、シクロアルキル−アルキル基[例えば、シクロへキシルメチル基、メチルシクロヘキシル基等]、炭化水素基における1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたハロゲン化炭化水素基[例えば、クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等]、アルケニル基[例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の置換又は無置換アルケニル基等]、アリール基[例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基]、及びアラルキル基[例えば、ベンジル基、フェネチル基等]が挙げられる。但し、R1の一部はアルケニル基(特に、ビニル基)であり、その割合は、分子内に2個以上となる範囲であり、R1の全量(100モル%)に対するアルケニル基の割合は、例えば0.1〜40モル%である。アルケニル基の割合を上記範囲に制御することにより、硬化性樹脂組成物の硬化性を向上する効果が得られる。また、アルケニル基以外のR1としては、アルキル基(特に、メチル基)、アリール基(特に、フェニル基)が好ましい。
(R1SiO3/2)a1(R1 2SiO2/2)a2(R1 3SiO1/2)a3(SiO4/2)a4(X1O1/2)a5
で表されるポリオルガノシロキサンが好ましい。上記平均単位式中、R1は、同一又は異なって、一価の置換若しくは無置換炭化水素基であり、例えば、アルキル基[例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等]、シクロアルキル基[例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基等]、シクロアルキル−アルキル基[例えば、シクロへキシルメチル基、メチルシクロヘキシル基等]、炭化水素基における1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたハロゲン化炭化水素基[例えば、クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等]、アルケニル基[例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の置換又は無置換アルケニル基等]、アリール基[例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基]、及びアラルキル基[例えば、ベンジル基、フェネチル基等]が挙げられる。但し、R1の一部はアルケニル基(特に、ビニル基)であり、その割合は、分子内に2個以上となる範囲であり、R1の全量(100モル%)に対するアルケニル基の割合は、例えば0.1〜40モル%である。アルケニル基の割合を上記範囲に制御することにより、硬化性樹脂組成物の硬化性を向上する効果が得られる。また、アルケニル基以外のR1としては、アルキル基(特に、メチル基)、アリール基(特に、フェニル基)が好ましい。
上記平均単位式中、X1は、水素原子又はアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、特にメチル基が好ましい。
上記平均単位式中、a1〜a5は同一又は異なって0又は正数であり、且つ(a1+a2+a3)は正数である。
ポリオルガノシロキサン(A-1)の一例としては、例えば、分子内に2個以上のアルケニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンが挙げられる。この直鎖状ポリオルガノシロキサンが有するアルケニル基としてはビニル基が好ましい。また、上記直鎖状ポリオルガノシロキサンにおけるアルケニル基以外のケイ素原子に結合した基としては、アルキル基(特に、メチル基)、アリール基(特に、フェニル基)が好ましい。
上記直鎖状ポリオルガノシロキサンにおける、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルケニル基の割合は、0.1〜40モル%が好ましい。また、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルキル基の割合は、1〜20モル%が好ましい。さらに、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアリール基の割合は、30〜90モル%が好ましい。特に、上記直鎖状ポリオルガノシロキサンとして、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアリール基の割合が40モル%以上(例えば、45〜80モル%)であるものを使用することにより、腐食性ガスに対するバリア性に特に優れた硬化物が得られる傾向がある。また、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルキル基(特に、メチル基)の割合が90モル%以上(例えば、95〜99モル%)であるものを使用することにより、耐熱衝撃性に優れた硬化物が得られる傾向がある。
上記直鎖状ポリオルガノシロキサンは、例えば、下記式(I-1)で表される。
[式中、R11は同一又は異なって一価の置換若しくは無置換炭化水素基である。但し、R11の少なくとも2個はアルケニル基である。m1は、1〜1000(好ましくは、5〜1000)の整数である]
ポリオルガノシロキサン(A-1)の他の例としては、分子内に2個以上のアルケニル基を有し、[RSiO3/2]で表されるシロキサン単位(T単位)を有する分岐鎖状ポリオルガノシロキサンが挙げられる。但し、当該分岐鎖状ポリオルガノシロキサンには、後述の「ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)」に該当する化合物は含まれない。前記Rは、一価の置換若しくは無置換炭化水素基である。この分岐鎖状ポリオルガノシロキサンが有するアルケニル基としてはビニル基が好ましい。また、上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンにおけるアルケニル基以外のケイ素原子に結合した基としては、アルキル基(特に、メチル基)、アリール基(特に、フェニル基)が好ましい。さらに、上記T単位中のRとしては、なかでも、アルキル基(特に、メチル基)、アリール基(特に、フェニル基)が好ましい。
上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンにおける、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルケニル基の割合は、硬化性樹脂組成物の硬化性の観点で、0.1〜40モル%が好ましい。また、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルキル基の割合は、10〜40モル%が好ましい。さらに、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアリール基の割合は、5〜70モル%が好ましい。特に、上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンとして、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアリール基の割合が40モル%以上(例えば、45〜60モル%)であるものを使用することにより、腐食性ガスに対するバリア性に特に優れた硬化物が得られる傾向がある。また、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルキル基(特に、メチル基)の割合が50モル%以上(例えば、60〜99モル%)であるものを使用することにより、耐熱衝撃性に優れた硬化物が得られる傾向がある。
上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンとしては、上記平均単位式で表され、式中のa1が1以上の数である化合物が挙げられる。この場合、a2/a1は0〜10の数、a3/a1は0〜0.5の数、a4/(a1+a2+a3+a4)は0〜0.3の数、a5/(a1+a2+a3+a4)は0〜0.4の数であることが好ましい。また、上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンの分子量は、重量平均分子量(GPCによる、ポリスチレン換算)が500〜10000であることが好ましく、より好ましくは700〜3000である。
ポリオルガノシロキサン(A-1)のさらに他の例としては、例えば、下記平均単位式:
(R1a 2R1bSiO1/2)a6(R1a 3SiO1/2)a7(SiO4/2)a8(HO1/2)a9
で表されるポリオルガノシロキサンが挙げられる。上記平均単位式中、R1aは、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキル基(C1-10アルキル基)を示し、なかでもメチル基が好ましい。また、R1bは、同一又は異なって、アルケニル基を示し、なかでもビニル基が好ましい。さらに、a6、a7、a8及びa9はいずれも、a6+a7+a8=1、a6/(a6+a7)=0.15〜0.35、a8/(a6+a7+a8)=0.53〜0.62、a9/(a6+a7+a8)=0.005〜0.03を満たす正数である。但し、a7は0であってもよい。硬化性樹脂組成物の硬化性の観点で、a6/(a6+a7)は0.2〜0.3であることが好ましい。また、得られる硬化物の硬度や機械強度の観点で、a8/(a6+a7+a8)は0.55〜0.60であることが好ましい。さらに、得られる硬化物の接着性や機械強度の観点で、a9/(a6+a7+a8)は0.01〜0.025であることが好ましい。このようなポリオルガノシロキサンとしては、例えば、SiO4/2単位と(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位とで構成されるポリオルガノシロキサン、SiO4/2単位と(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位と(CH3)3SiO1/2単位とで構成されるポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
(R1a 2R1bSiO1/2)a6(R1a 3SiO1/2)a7(SiO4/2)a8(HO1/2)a9
で表されるポリオルガノシロキサンが挙げられる。上記平均単位式中、R1aは、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキル基(C1-10アルキル基)を示し、なかでもメチル基が好ましい。また、R1bは、同一又は異なって、アルケニル基を示し、なかでもビニル基が好ましい。さらに、a6、a7、a8及びa9はいずれも、a6+a7+a8=1、a6/(a6+a7)=0.15〜0.35、a8/(a6+a7+a8)=0.53〜0.62、a9/(a6+a7+a8)=0.005〜0.03を満たす正数である。但し、a7は0であってもよい。硬化性樹脂組成物の硬化性の観点で、a6/(a6+a7)は0.2〜0.3であることが好ましい。また、得られる硬化物の硬度や機械強度の観点で、a8/(a6+a7+a8)は0.55〜0.60であることが好ましい。さらに、得られる硬化物の接着性や機械強度の観点で、a9/(a6+a7+a8)は0.01〜0.025であることが好ましい。このようなポリオルガノシロキサンとしては、例えば、SiO4/2単位と(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位とで構成されるポリオルガノシロキサン、SiO4/2単位と(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位と(CH3)3SiO1/2単位とで構成されるポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
尚、ポリオルガノシロキサン(A-1)は、分子内に2個以上のアルケニル基を有していればよく、さらにヒドロシリル基を有していてもよい。この場合、ポリオルガノシロキサン(A-1)は、後述のポリオルガノシロキサン(A-2)でもあり得る。
本発明の硬化性樹脂組成物におけるポリオルガノシロキサン(A-1)の含有量(配合量)(2種以上含有する場合はその総量)は、硬化性樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、50〜99重量%が好ましく、より好ましくは60〜97重量%、さらに好ましくは70〜95重量%である。含有量を50重量%以上とすることにより、硬化物の強靭性、透明性がより向上する傾向がある。
また、本発明の硬化性樹脂組成物におけるポリオルガノシロキサン(A-1)の含有量(配合量)(2種以上含有する場合はその総量)は、硬化性樹脂組成物に含まれるシロキサン化合物全量(100重量%)の30〜70重量%が好ましく、より好ましくは35〜65重量%、さらに好ましくは40〜60重量%である。
[ポリオルガノシロキサン(A-2)]
ポリオルガノシロキサン(A-2)は、分子内に2個以上のヒドロシリル基(Si−H)を有するポリオルガノシロキサンである。すなわち、ポリオルガノシロキサン(A-2)は、ヒドロシリル基を有するポリシロキサンであり、アルケニル基を有する成分(例えば、ポリオルガノシロキサン(A-1)等)とヒドロシリル化反応を生じる成分である。但し、ポリオルガノシロキサン(A-2)には、後述の「ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)」に該当するものは含まれない。
ポリオルガノシロキサン(A-2)は、分子内に2個以上のヒドロシリル基(Si−H)を有するポリオルガノシロキサンである。すなわち、ポリオルガノシロキサン(A-2)は、ヒドロシリル基を有するポリシロキサンであり、アルケニル基を有する成分(例えば、ポリオルガノシロキサン(A-1)等)とヒドロシリル化反応を生じる成分である。但し、ポリオルガノシロキサン(A-2)には、後述の「ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)」に該当するものは含まれない。
ポリオルガノシロキサン(A-2)としては、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、網目状の分子構造を有するものが挙げられる。尚、ポリオルガノシロキサン(A-2)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。具体的には、分子構造が異なるポリオルガノシロキサン(A-2)[例えば直鎖状のポリオルガノシロキサン(A-2)と分岐鎖状のポリオルガノシロキサン(A-2)]を2種以上を併用することができる。
ポリオルガノシロキサン(A-2)は、ケイ素原子に結合した基として水素原子以外の基を有していてもよく、例えば、上述の一価の置換若しくは無置換炭化水素基の具体例が挙げられる。なかでも、アルキル基(特に、メチル基)、アリール基(特に、フェニル基)が好ましい。また、ポリオルガノシロキサン(A-2)は、ケイ素原子に結合した基として、アルケニル基(例えば、ビニル基)を有していてもよい。
ポリオルガノシロキサン(A-2)の性状は、特に限定されず、液状であってもよいし、固体状であってもよい。なかでも液状であることが好ましく、25℃における粘度が0.1〜1000000000mPa・sの液状であることがより好ましい。
ポリオルガノシロキサン(A-2)としては、下記平均単位式:
(R2SiO3/2)b1(R2 2SiO2/2)b2(R2 3SiO1/2)b3(SiO4/2)b4(X2O1/2)b5
で表されるポリオルガノシロキサンが好ましい。上記平均単位式中、R2は、同一又は異なって、水素原子、又は一価の置換若しくは無置換炭化水素基であり、水素原子、及び上述の一価の置換若しくは無置換炭化水素基の具体例が挙げられる。但し、R2の一部は水素原子(ヒドロシリル基を構成する水素原子)であり、その割合は、ヒドロシリル基が分子内に2個以上となる範囲に制御される。例えば、R2の全量(100モル%)に対する水素原子の割合は、0.1〜40モル%が好ましい。水素原子の割合を上記範囲に制御することにより、硬化性樹脂組成物の硬化性がより向上する傾向がある。また、水素原子以外のR2としては、アルキル基(特に、メチル基)、アリール基(特に、フェニル基)が好ましい。
(R2SiO3/2)b1(R2 2SiO2/2)b2(R2 3SiO1/2)b3(SiO4/2)b4(X2O1/2)b5
で表されるポリオルガノシロキサンが好ましい。上記平均単位式中、R2は、同一又は異なって、水素原子、又は一価の置換若しくは無置換炭化水素基であり、水素原子、及び上述の一価の置換若しくは無置換炭化水素基の具体例が挙げられる。但し、R2の一部は水素原子(ヒドロシリル基を構成する水素原子)であり、その割合は、ヒドロシリル基が分子内に2個以上となる範囲に制御される。例えば、R2の全量(100モル%)に対する水素原子の割合は、0.1〜40モル%が好ましい。水素原子の割合を上記範囲に制御することにより、硬化性樹脂組成物の硬化性がより向上する傾向がある。また、水素原子以外のR2としては、アルキル基(特に、メチル基)、アリール基(特に、フェニル基)が好ましい。
上記平均単位式中、X2は、水素原子又はアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、特にメチル基が好ましい。
上記平均単位式中、b1〜b5は同一又は異なって0又は正数であり、且つ(b1+b2+b3)は正数である。
ポリオルガノシロキサン(A-2)の一例としては、例えば、分子内に2個以上のヒドロシリル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンが挙げられる。上記直鎖状ポリオルガノシロキサンにおける水素原子以外のケイ素原子に結合した基としては、アルキル基(特に、メチル基)、アリール基(特に、フェニル基)が好ましい。
上記直鎖状ポリオルガノシロキサンにおける、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対する水素原子(ケイ素原子に結合した水素原子)の割合は、0.1〜40モル%が好ましい。また、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルキル基の割合は、20〜99モル%が好ましい。さらに、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアリール基の割合は、40〜80モル%が好ましい。特に、上記直鎖状ポリオルガノシロキサンとして、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアリール基の割合が40モル%以上(例えば、45〜70モル%)であるものを使用することにより、腐食性ガスに対するバリア性に特に優れた硬化物が得られる傾向がある。また、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルキル基(特に、メチル基)の割合が90モル%以上(例えば、95〜99モル%)であるものを使用することにより、耐熱衝撃性に優れた硬化物が得られる傾向がある。
上記直鎖状ポリオルガノシロキサンは、例えば、下記式(III-1)で表される。
[式中、R31は、同一又は異なって、水素原子、又は一価の置換若しくは無置換炭化水素基である。但し、R31の少なくとも2個は水素原子である。m2は1〜1000(好ましくは、5〜1000)の整数である]
ポリオルガノシロキサン(A-2)の他の例としては、分子内に2個以上のヒドロシリル基を有し、[RSiO3/2]で表されるシロキサン単位(T単位)を有する分岐鎖状ポリオルガノシロキサンが挙げられる。但し、当該分岐鎖状ポリオルガノシロキサンには、後述の「ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)」に該当する化合物は含まれない。前記Rは、水素原子、又は一価の置換若しくは無置換炭化水素基である。上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンにおける水素原子以外のケイ素原子に結合した基としては、アルキル基(特に、メチル基)、アリール基(特に、フェニル基)が好ましい。さらに、上記T単位中のRとしては、アルキル基(特に、メチル基)、アリール基(特に、フェニル基)が好ましい。上記T単位中のRの全量(100モル%)に対するアリール基(特に、フェニル基)の割合は、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性の観点で、30モル%以上が好ましい。
上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンにおける、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルキル基の割合は70〜95モル%が好ましい。さらに、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアリール基の割合は10〜70モル%が好ましい。特に、上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンとして、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアリール基(特に、フェニル基)の割合が10モル%以上(例えば、10〜70モル%)であるものを使用することにより、腐食性ガスに対するバリア性に特に優れた硬化物が得られる傾向がある。また、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルキル基(特に、メチル基)の割合が50モル%以上(例えば、50〜90モル%)であるものを使用することにより、耐熱衝撃性に優れた硬化物が得られる傾向がある。
上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンとしては、例えば、上記平均単位式で表され、式中のb1が正数である化合物が挙げられる。この場合、b2/b1は0〜10の数、b3/b1は0〜0.5の数、b4/(b1+b2+b3+b4)は0〜0.3の数、b5/(b1+b2+b3+b4)は0〜0.4の数であることが好ましい。また、上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンの分子量は、重量平均分子量(GPCによる、ポリスチレン換算)が300〜10000であることが好ましく、より好ましくは500〜3000である。
本発明の硬化性樹脂組成物におけるポリオルガノシロキサン(A-2)の含有量(配合量)(2種以上含有する場合はその総量)は、硬化性樹脂組成物に含まれるシロキサン化合物全量(100重量%)の20〜60重量%が好ましく、より好ましくは25〜55重量%、さらに好ましくは30〜50重量%である。
また、本発明の硬化性樹脂組成物におけるポリオルガノシロキサン(A-2)の含有量(配合量)は、ポリオルガノシロキサン(A-1)の全量100重量部に対して、1〜200重量部が好ましい。ポリオルガノシロキサン(A-2)の含有量を上記範囲に制御することにより、硬化性樹脂組成物の硬化性がより向上し、効率的に硬化物を形成することができる傾向がある。ポリオルガノシロキサン(A-2)の含有量が上記範囲を外れると、硬化反応が十分に進行しない等の理由により、硬化物の耐熱性、耐熱衝撃性、耐リフロー性等の特性が低下する傾向がある。
更に、本発明の硬化性樹脂組成物(100重量%)におけるポリオルガノシロキサン(A-1)とポリオルガノシロキサン(A-2)の含有量の合計(合計含有量)は、60〜99重量%が好ましく、より好ましくは70〜96重量%、さらに好ましくは80〜90重量%である。上記合計含有量を上記範囲に制御することにより、硬化物の強靭性、耐熱性、透明性がより向上する傾向がある。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂組成物中に存在するヒドロシリル基1モルに対して、脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)が0.2〜4モルとなるような組成(配合組成)であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3.0モル、さらに好ましくは0.8〜2.0モルである。ヒドロシリル基と脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)との割合を上記範囲に制御することにより、硬化物の耐熱性、透明性、耐熱衝撃性及び耐リフロー性、並びに腐食性ガス(例えば、SOxガス等)に対するバリア性がより向上する傾向がある。
[ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)]
本発明の硬化性樹脂組成物は、シロキサン化合物として、更に、ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)を含んでいてもよい。尚、ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)は、ラダー状のSi−O−Si構造(ラダー構造)を少なくとも含むポリオルガノシルセスキオキサンである。
本発明の硬化性樹脂組成物は、シロキサン化合物として、更に、ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)を含んでいてもよい。尚、ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)は、ラダー状のSi−O−Si構造(ラダー構造)を少なくとも含むポリオルガノシルセスキオキサンである。
本発明の硬化性樹脂組成物がラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)を含む場合には、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性をより一層向上する効果が得られる。上記ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)は、実験式(基本構造式)RSiO1.5で表されるポリシロキサンであって、分子内にラダー構造を少なくとも含むポリオルガノシルセスキオキサンである。
上記ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)としては、上記構造を有する公知乃至慣用のポリオルガノシルセスキオキサンを使用することができ、分子内に1以上(特に、2以上)の脂肪族炭素−炭素二重結合を有するもの、分子内に1以上(特に、2以上)のヒドロシリル基を有するものが好ましい。また、上記ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)としては、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性の観点で、側鎖[主骨格(主鎖)であるラダー構造を有するポリオルガノシルセスキオキサン骨格(Si−O結合で形成された骨格)から枝分かれしている部分]の一部又は全部が、置換若しくは無置換のアリール基であるものが好ましい。置換若しくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等のアリール基(例えば、C6-14アリール基、特にC6-10アリール基)等が挙げられる。
なかでも、上記ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)としては、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性、機械強度等の観点で、以下に説明するラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)が特に好ましい。
・ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)
ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)は、ラダー構造を有するポリオルガノシルセスキオキサン(ポリオルガノシルセスキオキサン骨格)の分子鎖末端の一部又は全部に、後述の式(V)で表される単位構造及び式(VI)で表される単位構造を含むポリオルガノシルセスキオキサン残基(「ポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)」と称する場合がある)を有するポリオルガノシルセスキオキサンである。
ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)は、ラダー構造を有するポリオルガノシルセスキオキサン(ポリオルガノシルセスキオキサン骨格)の分子鎖末端の一部又は全部に、後述の式(V)で表される単位構造及び式(VI)で表される単位構造を含むポリオルガノシルセスキオキサン残基(「ポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)」と称する場合がある)を有するポリオルガノシルセスキオキサンである。
ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)におけるポリオルガノシルセスキオキサン(ポリオルガノシルセスキオキサン骨格)は、実験式(基本構造式)R5SiO1.5で表されるポリシロキサンである。上記ポリオルガノシルセスキオキサン中のR5は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、一価の有機基、一価の酸素原子含有基、一価の窒素原子含有基、又は一価の硫黄原子含有基を示すが、少なくとも一部は一価の有機基である。
上記R5におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
上記R5における一価の有機基としては、例えば、置換若しくは無置換の炭化水素基(一価の炭化水素基)、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、エポキシ基、シアノ基、イソシアナート基、カルバモイル基、イソチオシアナート基等が挙げられる。
前記炭化水素基(一価の炭化水素基)としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらが2以上結合した基が挙げられる。
前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、デシル基、ドデシル基等のC1-20アルキル基(好ましくはC1-10アルキル基、さらに好ましくはC1-4アルキル基)等が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、メタリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基等のC2-20アルケニル基(好ましくはC2-10アルケニル基、さらに好ましくはC2-4アルケニル基)等が挙げられる。アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基等のC2-20アルキニル基(好ましくはC2-10アルキニル基、さらに好ましくはC2-4アルキニル基)等が挙げられる。
前記脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基等のC3-12のシクロアルキル基;シクロヘキセニル基等のC3-12のシクロアルケニル基;ビシクロヘプタニル基、ビシクロヘプテニル基等のC4-15の架橋環式炭化水素基等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等のアリール基(例えば、C6-14アリール基、特にC6-10アリール基)等が挙げられる。
また、前記脂肪族炭化水素基と脂環式炭化水素基とが結合した基としては、例えば、シクロへキシルメチル基、メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが結合した基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等のC7-18アラルキル基(特に、C7-10アラルキル基)、シンナミル基等のC6-10アリール置換C2-6アルケニル基、トリル基等のC1-4アルキル置換アリール基、スチリル基等のC2-4アルケニル置換アリール基等が挙げられる。
前記炭化水素基が有していてもよい置換基の炭素数は0〜20が好ましく、より好ましくは0〜10である。前記置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基等のアルコキシ基(好ましくはC1-6アルコキシ基、より好ましくはC1-4アルコキシ基);アリルオキシ基等のアルケニルオキシ基(好ましくはC2-6アルケニルオキシ基、より好ましくはC2-4アルケニルオキシ基);フェノキシ基、トリルオキシ基、ナフチルオキシ基等の、芳香環にC1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、ハロゲン原子、C1-4アルコキシ基等の置換基を有していてもよいアリールオキシ基(好ましくはC6-14アリールオキシ基);ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアラルキルオキシ基(好ましくはC7-18アラルキルオキシ基);アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基(好ましくはC1-12アシルオキシ基);メルカプト基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基(好ましくはC1-6アルキルチオ基、より好ましくはC1-4アルキルチオ基);アリルチオ基等のアルケニルチオ基(好ましくはC2-6アルケニルチオ基、より好ましくはC2-4アルケニルチオ基);フェニルチオ基、トリルチオ基、ナフチルチオ基等の、芳香環にC1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、ハロゲン原子、C1-4アルコキシ基等の置換基を有していてもよいアリールチオ基(好ましくはC6-14アリールチオ基);ベンジルチオ基、フェネチルチオ基等のアラルキルチオ基(好ましくはC7-18アラルキルチオ基);カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基(好ましくはC1-6アルコキシ−カルボニル基);フェノキシカルボニル基、トリルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基(好ましくはC6-14アリールオキシ−カルボニル基);ベンジルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基(好ましくはC7-18アラルキルオキシ−カルボニル基);アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のモノ又はジアルキルアミノ基(好ましくはモノ又はジ−C1-6アルキルアミノ基);アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等のアシルアミノ基(好ましくはC1-11アシルアミノ基);グリシジルオキシ基等のエポキシ基含有基;エチルオキセタニルオキシ基等のオキセタニル基含有基;アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基;オキソ基;これらの2以上が必要に応じてC1-6アルキレン基を介して結合した基等が挙げられる。
上記R5における一価の酸素原子含有基としては、例えば、ヒドロキシル基、ヒドロパーオキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、イソシアナート基、スルホ基、カルバモイル基等が挙げられる。
上記R5における一価の窒素原子含有基としては、例えば、アミノ基又は置換アミノ基(モノ又はジアルキルアミノ基、アシルアミノ基等)、シアノ基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、カルバモイル基等が挙げられる。
上記R5における上記一価の硫黄原子含有基としては、例えば、メルカプト基(チオール基)、スルホ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、イソチオシアナート基等が挙げられる。
尚、上述の一価の有機基、一価の酸素原子含有基、一価の窒素原子含有基、一価の硫黄原子含有基は、相互に重複し得る。
上記式(s)中のR51は同一又は異なって水素原子、ハロゲン原子、一価の有機基、一価の酸素原子含有基、一価の窒素原子含有基、又は一価の硫黄原子含有基を示し、これらの基としては、上記R5として例示したものと同様の基が挙げられる。
上記式(s)で表される基において、各R51としては、水素原子;C1-10アルキル基(特に、C1-4アルキル基);C2-10アルケニル基(特に、C2-4アルケニル基);C3-12シクロアルキル基;C3-12シクロアルケニル基;芳香環にC1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、ハロゲン原子、C1-4アルコキシ基等の置換基を有していてもよいC6-14アリール基;C7-18アラルキル基;C6-10アリール−C2-6アルケニル基;ヒドロキシル基;C1-6アルコキシ基;ハロゲン原子から選択される基が好ましい。
上記のなかでも、R5としては、水素原子、又は置換若しくは無置換の炭化水素基が好ましく、より好ましくは置換若しくは無置換の炭化水素基、さらに好ましくは脂肪族炭化水素基(特に、アルキル基)、芳香族炭化水素基(特に、フェニル基)である。
上記式(L)において、vは1以上(例えば、1〜5000、好ましくは1〜2000、さらに好ましくは1〜1000)の整数である。式(L)中のR5は、上記R5と同じものを示す。Tは末端基を示す。
ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)におけるポリオルガノシルセスキオキサン中のケイ素原子に直接結合した基(上記実験式におけるR5、式(L)におけるR5(側鎖))の全量(100モル%)に対する置換若しくは無置換の炭化水素基の占める割合は、50モル%以上であることが好ましく、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。特に、上記基の全量(100モル%)に対する、置換若しくは無置換の直鎖状又は分岐鎖状のC1-10アルキル基(特に、メチル基、エチル基等の直鎖状又は分岐鎖状のC1-4アルキル基)、置換若しくは無置換のC6-10アリール基(特に、フェニル基)、置換若しくは無置換のC7-10アラルキル基(特に、ベンジル基)の合計量が、50モル%以上であることが好ましく、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。
特に、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性の観点で、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)は、側鎖[主骨格(主鎖)であるラダー構造を有するポリオルガノシルセスキオキサン骨格から枝分かれしている部分、例えば、上記式(L)におけるR5]の一部又は全部が置換若しくは無置換のアリール基(芳香族炭化水素基)であることが好ましい。
ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)は、上記ラダー構造を有するポリオルガノシルセスキオキサンの分子鎖末端の一部又は全部に、ポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)を少なくとも有することが好ましい。上記ラダー構造を有するポリオルガノシルセスキオキサンが上記式(L)で表される場合、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)は、式(L)中のTの一部又は全部が以下のポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)で置換された構造を有することが好ましい。
上記式(V)中のR6は、脂肪族炭素−炭素二重結合を有する基を示す。上記脂肪族炭素−炭素二重結合を有する基としては、例えば、ビニル基、アリル基、メタリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基等のC2-20アルケニル基(好ましくはC2-10アルケニル基、さらに好ましくはC2-4アルケニル基);シクロヘキセニル基等のC3-12のシクロアルケニル基;ビシクロヘプテニル基等のC4-15架橋環式不飽和炭化水素基;スチリル基等のC2-4アルケニル置換アリール基;シンナミル基等が挙げられる。尚、上記脂肪族炭素−炭素二重結合を有する基には、上記式(s)で表される基において、3つのR51のうち少なくとも1つが上記のC2-20アルケニル基、C3-12のシクロアルケニル基、C4-15の架橋環式不飽和炭化水素基、C2-4アルケニル置換アリール基、シンナミル基等である基も含まれる。R6としては、なかでも、アルケニル基が好ましく、より好ましくはC2-20アルケニル基、さらに好ましくはビニル基である。
上記式(VI)中のR7は、同一又は異なって、炭化水素基(一価の炭化水素基)を示す。上記炭化水素基としては、上記R5として例示したものと同様の炭化水素基が例示される。R7としては、なかでも、C1-20アルキル基が好ましく、より好ましくはC1-10アルキル基、さらに好ましくはC1-4アルキル基、特に好ましくはメチル基である。特に、式(VI)中のR7がいずれもメチル基であることが好ましい。
上記式(V')中のR6'は、脂肪族炭素−炭素二重結合を有する基を除く一価の基を示す。例えば、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭素−炭素二重結合を有する基を除く一価の有機基、一価の酸素原子含有基、一価の窒素原子含有基、又は一価の硫黄原子含有基等が挙げられる。
上記ポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)における式(V)に表された3つの酸素原子が結合したケイ素原子の割合は、ポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)を構成するケイ素原子の全量(100モル%)に対して、20〜80モル%が好ましく、より好ましくは25〜60モル%である。割合が20モル%未満であると、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)が有する脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)の量が不十分となって、硬化物の硬度が十分得られない場合がある。一方、割合が80モル%を超えると、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)中にシラノール基や加水分解性シリル基が多く残存するため、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)が液状で得られない場合がある。さらに縮合反応が進行して分子量が変化しやすくなるため、保存安定性が低下する場合がある。
上記ポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)における式(VI)に表された1つの酸素原子が結合したケイ素原子の割合は、ポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)を構成するケイ素原子の全量(100モル%)に対して、20〜85モル%が好ましく、より好ましくは30〜75モル%である。割合が20モル%未満であると、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)中にシラノール基や加水分解性シリル基が残存しやすく、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)が液状で得られない場合がある。さらに縮合反応が進行して分子量が変化しやすくなるため、保存安定性が低下する場合がある。一方、割合が85モル%を超えると、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)が有する脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)の量が不十分となって、硬化物の硬度が十分得られない場合がある。
上記ポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)が有するSi−O−Si構造(骨格)としては、特に限定されず、例えば、ラダー構造、カゴ構造、ランダム構造等が挙げられる。
ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)は、例えば、下記式(La)で表すことができる。式(La)中のv、R5としては、上記式(L)と同様のものが例示される。式(La)中のAは、ポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)、又は、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、若しくはアシルオキシ基を示し、Aの一部又は全部はポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)である。尚、式(La)中の複数(2〜4個)のAがポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)である場合、それぞれのAは互いに、又は他の式(La)で表される分子が有するAと、1以上のSi−O−Si結合を介して結合していてもよい。
尚、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)におけるポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)は、さらに、後述のラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)における式(VII)で表される単位構造を有するものであってもよい。この場合、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)は、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)として使用することも可能である。
ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、ラダー構造を有し、分子鎖末端にシラノール基及び/又は加水分解性シリル基(シラノール基及び加水分解性シリル基のいずれか一方又は両方)を有するポリオルガノシルセスキオキサンの分子鎖末端に対して、上記ポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)を形成する方法が挙げられる。具体的には、国際公開第2013/176238号等の文献に開示された方法等により製造できる。
ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)における、分子内の脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)の数は、2個以上(例えば、2〜50個)が好ましく、より好ましくは2〜30個である。上述の範囲で脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)を有することにより、耐熱性等の各種物性、耐クラック性、腐食性ガスに対するバリア性に優れた硬化物が得られやすい傾向がある。
ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)中の脂肪族炭素−炭素二重結合の含有量は、0.7〜5.5mmol/gが好ましく、より好ましくは1.1〜4.4mmol/gである。また、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)に含まれる脂肪族炭素−炭素二重結合の割合(重量基準)は、ビニル基換算で、2.0〜15.0重量%が好ましく、より好ましくは3.0〜12.0重量%である。
ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)の分子量は、100〜800000が好ましく、より好ましくは200〜100000、さらに好ましくは300〜10000、特に好ましくは500〜8000である。ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)の分子量がこの範囲にあると、室温で液体となりやすく、且つその粘度が比較的低くなりやすいため、取り扱いが容易となる場合がある。尚、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)は、上記範囲の種々の分子量を有するものの混合物であってもよい。尚、上記分子量は、GPCによる標準ポリスチレン換算の分子量として測定される。
ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)の重量平均分子量(Mw)(GPCによる、ポリスチレン換算)は、100〜800000が好ましく、より好ましくは200〜100000、さらに好ましくは300〜10000、特に好ましくは500〜8000である。重量平均分子量が100未満であると、硬化物の耐熱性が低下する場合がある。一方、分子量が800000を超えると、他の成分との相溶性が低下する場合がある。
ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)は、常温(約25℃)で液体であることが好ましい。より具体的には、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)の23℃における粘度は、100〜100000mPa・sが好ましく、より好ましくは500〜10000mPa・s、さらに好ましくは1000〜8000mPa・sである。粘度が100mPa・s未満であると、硬化物の耐熱性が低下する場合がある。一方、粘度が100000mPa・sを超えると、硬化性樹脂組成物の調製や取り扱いが困難となる場合がある。尚、本明細書における粘度は、レオーメーター(商品名「PhysicaUDS−200」、AntonPaar社製)とコーンプレート(円錐直径:16mm、テーパ角度=0°)を用いて、温度:23℃、回転数:20rpmの条件で測定される。
本発明の硬化性樹脂組成物においてラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物におけるラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)の含有量(配合量)は、硬化性樹脂組成物(100重量%)に対して、例えば40重量%以下、より好ましくは1〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは10〜20重量%である。含有量を1重量%以上とすることにより、腐食性ガスに対するバリア性に特に優れた硬化物が得られる傾向がある。一方、含有量を40重量%以下とすることにより、硬くなりすぎず、柔軟性に優れた硬化物が得られる傾向がある。
また、本発明の硬化性樹脂組成物におけるラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)の含有量(配合量)(2種以上含有する場合はその総量)は、硬化性樹脂組成物に含まれるシロキサン化合物全量(100重量%)の0〜30重量%が好ましく、より好ましくは5〜20重量%、さらに好ましくは10〜20重量%である。
・ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)
ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)は、ラダー構造を有するポリオルガノシルセスキオキサン(ポリオルガノシルセスキオキサン骨格)の分子鎖末端の一部又は全部に、後述の式(VII)で表される単位構造及び式(VIII)で表される単位構造を含むポリオルガノシルセスキオキサン残基(「ポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)」と称する場合がある)を有するポリオルガノシルセスキオキサンである。
ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)は、ラダー構造を有するポリオルガノシルセスキオキサン(ポリオルガノシルセスキオキサン骨格)の分子鎖末端の一部又は全部に、後述の式(VII)で表される単位構造及び式(VIII)で表される単位構造を含むポリオルガノシルセスキオキサン残基(「ポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)」と称する場合がある)を有するポリオルガノシルセスキオキサンである。
ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)におけるポリオルガノシルセスキオキサンは、実験式(基本構造式)R5SiO1.5で表されるポリシロキサンである。ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)におけるポリオルガノシルセスキオキサンとしては、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)におけるポリオルガノシルセスキオキサン(例えば、上記式(L)で表されるポリオルガノシルセスキオキサン)と同様のものが例示される。
ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)は、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)と同様に、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性の観点で、側鎖の一部又は全部が置換若しくは無置換のアリール基であることが好ましい。
上記ポリオルガノシルセスキオキサンが上記式(L)で表される場合、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)は、式(L)中のTの一部又は全部が以下のポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)で置換された構造を有する。
上記ポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)は、下記式(VII)
で表される単位構造(シロキサン単位構造)、及び下記式(VIII)
で表される単位構造(シロキサン単位構造)を少なくとも含む残基である。尚、上記式(VII)で表される単位構造中の有機基(−X−CHR8−CR8 2−[SiR9 2−O−]n−SiHR9 2)を、「SiH含有基」と称する場合がある。
上記式(VII)中、Xは、単結合又は連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、カルボニル基、エーテル基(エーテル結合)、チオエーテル基(チオエーテル結合)、エステル基(エステル結合)、カーボネート基(カーボネート結合)、アミド基(アミド結合)、及びこれらが複数個連結した基等が挙げられる。
上記二価の炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、二価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数が1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等が挙げられる。
上記式(VII)におけるR8、R9は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、一価の有機基、一価の酸素原子含有基、一価の窒素原子含有基、又は一価の硫黄原子含有基を示し、上記R5として例示したものと同様の基が挙げられる。尚、式(VII)中のnが2以上の整数の場合、nが付された各括弧内におけるR9は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。なかでも、R8としては、それぞれ、水素原子、又は、置換若しくは無置換の炭化水素基が好ましく、より好ましくは水素原子である。また、R9としては、それぞれ、水素原子、又は置換若しくは無置換の炭化水素基が好ましく、より好ましくは置換若しくは無置換の炭化水素基、さらに好ましくは脂肪族炭化水素基(特に、メチル基)、芳香族炭化水素基(特に、フェニル基)である。
上記式(VII)におけるnは1〜100の整数を示し、好ましくは1〜30の整数、より好ましくは1〜10の整数、さらに好ましくは1〜5の整数である。nが大きすぎる場合、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性が低下する傾向があるため、例えば、光半導体素子の封止剤としては適さない場合がある。
上記式(VIII)におけるR10は、同一又は異なって、炭化水素基(一価の炭化水素基)を示す。上記炭化水素基としては、上記R5において例示したものと同様の炭化水素基が例示される。R10としては、なかでも、C1-20アルキル基が好ましく、より好ましくはC1-10アルキル基、さらに好ましくはC1-4アルキル基、特に好ましくはメチル基である。特に、式(VIII)中のR10は、何れもメチル基であることが好ましい。
上記ポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)は、式(VII)で表される単位構造と式(VIII)で表される単位構造以外にも、例えば、上記式(V')で表される単位構造等を有していてもよい。
ポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)を構成するケイ素原子の全量(100モル%)に対して、上記ポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)における式(VII)中の3つの酸素原子が結合したケイ素原子(SiH含有基中のケイ素原子は含まない)の占める割合は、20〜80モル%が好ましく、より好ましくは25〜60モル%である。割合が20モル%未満であると、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)が有するヒドロシリル基の量が不十分となって、硬化物の十分な硬度が得られない場合がある。一方、割合が80モル%を超えると、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)中にシラノール基や加水分解性シリル基が多く残存するため、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)が液状で得られない場合がある。さらに縮合反応が進行して分子量が変化しやすくなるため、保存安定性が低下する場合がある。
ポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)を構成するケイ素原子の全量(100モル%)に対して、上記ポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)における式(VIII)中の1つの酸素原子が結合したケイ素原子の占める割合は、20〜85モル%が好ましく、より好ましくは30〜75モル%である。割合が20モル%未満であると、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)中にシラノール基や加水分解性シリル基が残存しやすく、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)が液状で得られない場合がある。さらに縮合反応が進行して分子量が変化しやすくなるため、保存安定性が低下する場合がある。一方、割合が85モル%を超えると、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)が有するヒドロシリル基の量が不十分となって、硬化物の硬度が十分得られない場合がある。
上記ポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)が有するSi−O−Si構造(骨格)としては、特に限定されず、例えば、ラダー構造、カゴ構造、ランダム構造等が挙げられる。
ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)は、例えば、下記式(Lb)で表すことができる。式(Lb)中のv、R5としては、上記式(L)と同様のものが例示される。式(Lb)中のBは、ポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)、又はヒドロキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、若しくはアシルオキシ基を示し、式(Lb)中のBの一部又は全部はポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)である。尚、式(Lb)中の複数(2〜4個)のRbがポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)である場合、それぞれのBは互いに又は他の式(Lb)で表される分子が有するBと1以上のSi−O−Si結合を介して結合していてもよい。
尚、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)におけるポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)は、さらに、上述のラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)における式(V)で表される単位構造を有するものであってもよい。この場合、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)は、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)として使用することも可能な場合がある。
ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)の製造方法は、例えば、ラダー構造を有し、分子鎖末端にシラノール基及び/又は加水分解性シリル基を有するポリオルガノシルセスキオキサン(原料ラダーポリマー)の分子鎖末端に対して、上記ポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)を形成する方法が挙げられる。具体的には、国際公開第2013/176238号等の文献に開示された方法等により製造できる。
ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)における、分子内(一分子中)の上記SiH含有基の数は、2個以上(例えば、2〜50個)が好ましく、より好ましくは2〜30個である。上述の範囲で上記SiH含有基を有することにより、硬化性樹脂組成物の硬化物の耐熱性が向上する傾向がある。
ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)が有するヒドロシリル基の含有量は、0.01〜0.5mmol/gが好ましく、より好ましくは0.08〜0.28mmol/gである。また、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)が有するヒドロシリル基の重量基準の含有量は、ヒドロシリル基におけるH(ヒドリド)の重量換算(H換算)で、0.01〜0.50重量%が好ましく、より好ましくは0.08〜0.28重量%である。ヒドロシリル基の含有量が少なすぎると(例えば、0.01mmol/g未満、H換算で0.01重量%未満の場合)、硬化性樹脂組成物の硬化が進行しない場合がある。一方、ヒドロシリル基の含有量が多すぎると(例えば、0.50mmol/gを超え、H換算で0.50重量%を超える場合)、硬化物の硬度が高くなり、割れやすくなる場合がある。尚、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)におけるヒドロシリル基の含有量は、例えば、1H−NMRスペクトル測定等により算出することができる。
尚、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)が有するヒドロシリル基の全量(100モル%)に対するSiH含有基の割合は、硬化度の観点で、50〜100モル%が好ましく、より好ましくは80〜100モル%である。
ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)の分子量は、100〜800000が好ましく、より好ましくは200〜100000、さらに好ましくは300〜10000、特に好ましくは500〜9000である。ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)の分子量がこの範囲にあると、室温で液体となりやすく、粘度が比較的低くなりやすいため、取り扱いが容易である。尚、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)は、上記範囲の種々の分子量を有するものの混合物であってもよい。尚、上記分子量は、GPCによる標準ポリスチレン換算の分子量として測定される。
ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)の重量平均分子量(Mw)(GPCによる、ポリスチレン換算)は、100〜800000が好ましく、より好ましくは200〜100000、さらに好ましくは300〜10000、特に好ましくは500〜9000である。重量平均分子量が100未満であると、硬化物の耐熱性が低下する場合がある。一方、分子量が800000を超えると、他の成分との相溶性が低下する場合がある。
ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)は、常温(約25℃)で液体であることが好ましい。より具体的には、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)の23℃における粘度は、100〜100000mPa・sが好ましく、より好ましくは500〜10000mPa・s、さらに好ましくは1000〜8000mPa・sである。粘度が100mPa・s未満であると、硬化物の耐熱性が低下する場合がある。一方、粘度が100000mPa・sを超えると、硬化性樹脂組成物の調製や取り扱いが困難となる場合がある。
尚、本発明の硬化性樹脂組成物においてラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物におけるラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)の含有量(配合量)は、硬化性樹脂組成物(100重量%)に対して、1〜30重量%が好ましく、より好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは5〜15重量%である。含有量を1重量%以上とすることにより、腐食性ガスに対するバリア性に特に優れた硬化物が得られる傾向がある。また、硬化性樹脂組成物におけるヒドロシリル基の量が多くなり、硬化反応が十分に進行することでより硬度の高い硬化物が得られる傾向がある。一方、含有量を30重量%以下とすることにより、硬化物が硬くなりすぎず、柔軟性に優れる硬化物が得られる傾向がある。
・その他のラダー型シルセスキオキサン(A-3-3)
上記ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)としては、上述のラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)以外のラダー型シルセスキオキサン(「その他のラダー型シルセスキオキサン(A-3-3)」と称する場合がある)を使用することもできる。その他のラダー型シルセスキオキサン(A-3-3)は、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)やラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)と併用することが好ましい。
上記ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)としては、上述のラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)以外のラダー型シルセスキオキサン(「その他のラダー型シルセスキオキサン(A-3-3)」と称する場合がある)を使用することもできる。その他のラダー型シルセスキオキサン(A-3-3)は、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)やラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)と併用することが好ましい。
その他のラダー型シルセスキオキサン(A-3-3)としては、例えば、25℃において固体であり、且つ脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)を有するラダー型シルセスキオキサン(「ラダー型シルセスキオキサン(S1)」と称する場合がある);25℃において固体であり、且つヒドロシリル基を有するラダー型シルセスキオキサン(「ラダー型シルセスキオキサン(S2)」と称する場合がある)が挙げられる。本発明の硬化性樹脂組成物がラダー型シルセスキオキサン(S1)及び/又は(S2)を含む場合には、特に、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性が向上し、さらに、強靭性(特に、耐クラック性)が向上する傾向がある。
ラダー型シルセスキオキサン(S1)における、分子内の脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)の数は、2個以上(例えば、2〜50個)が好ましく、より好ましくは2〜30個である。また、ラダー型シルセスキオキサン(S1)における脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)の位置は、特に限定されず、側鎖であってもよいし、末端であってもよい。
ラダー型シルセスキオキサン(S2)における、分子内のヒドロシリル基の数は、2個以上(例えば、2〜50個)が好ましく、より好ましくは2〜30個である。また、ラダー型シルセスキオキサン(S2)におけるヒドロシリル基の位置は、特に限定されず、側鎖であってもよいし、末端であってもよい。
ラダー型シルセスキオキサン(S1)、(S2)のそれぞれの重量平均分子量(Mw)(GPCによる、ポリスチレン換算)は、2000〜800000が好ましく、より好ましくは6000〜100000である。重量平均分子量が2000未満であると、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性が低下する場合がある。一方、分子量が800000を超えると、他の成分との相溶性が低下する場合がある。
ラダー型シルセスキオキサン(S1)、(S2)は、公知乃至慣用のラダー型シルセスキオキサンの製造方法(例えば、3官能シラン化合物を原料としたゾルゲル法)により製造することができる。
ラダー型シルセスキオキサン(S1)、(S2)の各含有量は、特に限定されず、例えば、硬化性樹脂組成物(100重量%)に対して、例えば0.1〜30重量%、好ましくは0.1〜15重量%の範囲で適宜調整可能である。
上記その他のラダー型シルセスキオキサン(A-3-3)としては、例えば、国際公開第2013/176238号に開示された、分子内に2個以上の脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)又は分子内に2個以上のヒドロシリル基を有し、GPCによる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が500〜1500、分子量分散度(Mw/Mn)が1.00〜1.40であるラダー型シルセスキオキサン等も使用できる。このようなラダー型シルセスキオキサンを使用することによって、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性が著しく向上する傾向がある。
本発明の硬化性樹脂組成物においてラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。特に、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性の観点で、ラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)及びラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)を併用することが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物におけるラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、硬化性樹脂組成物(100重量%)に対して、1〜50重量%が好ましく、より好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%である。ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)の含有量を1重量%以上とすることにより、腐食性ガスに対するバリア性に特に優れた硬化物が得られる傾向がある。一方、ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)の含有量を50重量%以下とすることにより、硬化物の靱性等の機械強度がより向上する傾向がある。
本発明の硬化性樹脂組成物は、特に硬化物の腐食性ガスに対するバリア性を著しく高くする観点で、上記ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)及び、後述のイソシアヌレート化合物(E)からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
[フッ素系界面活性剤(B)]
本発明におけるフッ素系界面活性剤は、非イオン性基(若しくは、ノニオン性基)、アニオン性基、及びカチオン性基から選択される極性基と、非極性基としてのフッ素化アルキル基を有する化合物である。本発明においては、なかでも極性基として非イオン性基を有する化合物が、上述のシロキサン化合物との相溶性に優れる点で好ましく、前記非イオン性基としてポリオキシアルキレン基を有する化合物が好ましい。フッ素系界面活性剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明におけるフッ素系界面活性剤は、非イオン性基(若しくは、ノニオン性基)、アニオン性基、及びカチオン性基から選択される極性基と、非極性基としてのフッ素化アルキル基を有する化合物である。本発明においては、なかでも極性基として非イオン性基を有する化合物が、上述のシロキサン化合物との相溶性に優れる点で好ましく、前記非イオン性基としてポリオキシアルキレン基を有する化合物が好ましい。フッ素系界面活性剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記フッ素化アルキル基は、例えば、下記式(b-1)
−CmF2m+1 (b-1)
で表される。前記式中、mは1〜30の整数を示し、好ましくは1〜25、特に好ましくは1〜20である。
−CmF2m+1 (b-1)
で表される。前記式中、mは1〜30の整数を示し、好ましくは1〜25、特に好ましくは1〜20である。
前記ポリオキシアルキレン基は、例えば、下記式(b-2)
−(A1O)p−H (b-2)
で表される。前記式中、A1は炭素数1〜20(好ましくは、2〜5)の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基を示す。pは1〜5000の整数を示し、好ましくは2〜2000、特に好ましくは5〜1000である。
−(A1O)p−H (b-2)
で表される。前記式中、A1は炭素数1〜20(好ましくは、2〜5)の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基を示す。pは1〜5000の整数を示し、好ましくは2〜2000、特に好ましくは5〜1000である。
前記フッ素系界面活性剤の重量平均分子量(GPCによる、ポリスチレン換算)は、例えば500〜100000、好ましくは1000〜50000、特に好ましくは2000〜15000、最も好ましくは2000〜10000である。重量平均分子量が上記範囲を上回ると、ポリオルガノシロキサンとの相溶性が低下する傾向がある。一方、重量平均分子量が上記範囲を下回ると、硬化時に揮発してしまい、添加効果が得られにくくなる傾向がある。
前記フッ素系界面活性剤は、例えば、フッ素化アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとポリオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリル酸エステルを共重合(ブロック共重合、グラフト共重合、ランダム共重合、又は交互共重合)することにより製造することができる。また、前記フッ素系界面活性剤は前記モノマー由来の構成単位以外の構成単位を有していてもよく、前記モノマーと、前記モノマーと共重合可能な他のモノマー(例えば、スチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ブタジエン、アクリル酸等のビニル系共重合体等)を共重合して得られる共重合体であってもよい。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えば、商品名「メガファックF−444」、「メガファックF−477」、「メガファックF−553」、「メガファックF−554」、「メガファックF−556」(以上、DIC(株)製)、商品名「FC−4430」、「FC−4432」(以上、住友3M(株)製)等の市販品を使用することができる。
前記フッ素系界面活性剤の使用量(2種以上含有する場合はその総量)は、本発明の硬化性樹脂組成物に含まれるシロキサン化合物100重量部に対して、例えば0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、特に好ましくは0.1〜3重量部、最も好ましくは0.3〜2重量部である。フッ素系界面活性剤を前記範囲で含有すると、腐食性ガスに対するバリア性に優れた硬化物が得られる。
[シリコーン系界面活性剤(C)]
本発明におけるシリコーン系界面活性剤は、下記式(c-1)
(式中、aは1〜100の整数を示す)
で表されるシリコーン鎖と、下記式(c-2)
−(A2O)b−H (c-2)
[式中、A2は炭素数1〜20(好ましくは、2〜5)の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基を示し、bは1〜5000(好ましくは2〜2000、特に好ましくは5〜1000)の整数を示す]
で表されるポリオキシアルキレン鎖を有する共重合体である。
本発明におけるシリコーン系界面活性剤は、下記式(c-1)
で表されるシリコーン鎖と、下記式(c-2)
−(A2O)b−H (c-2)
[式中、A2は炭素数1〜20(好ましくは、2〜5)の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基を示し、bは1〜5000(好ましくは2〜2000、特に好ましくは5〜1000)の整数を示す]
で表されるポリオキシアルキレン鎖を有する共重合体である。
前記シリコーン鎖とポリオキシアルキレン鎖の結合方法には、例えば、ブロック共重合、グラフト共重合、ランダム共重合、及び交互共重合が含まれる。すなわち、前記シリコーン系界面活性剤には、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体、又は交互共重合体が含まれる。
前記シリコーン系界面活性剤の重量平均分子量(GPCによる、ポリスチレン換算)は、例えば500〜100000、好ましくは1000〜50000、特に好ましくは2000〜10000である。重量平均分子量が上記範囲を上回ると、相溶性が低下する傾向がある。一方、重量平均分子量が上記範囲を下回ると、硬化時に揮発してしまい、添加効果が得られにくくなる傾向がある。
前記シリコーン系界面活性剤は、例えば、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン系重合体の末端にラジカル重合性基を有するシリコーン系モノマーを共重合させることにより製造することができる。
前記シリコーン系界面活性剤としては、例えば、商品名「BYK−307」、「BYK−310」、「BYK−330」、「BYK−333」、「BYK−377」、「BYK−378」(以上、ビックケミー・ジャパン製)、商品名「ACFS180」、「ACFS360」、「ACS20」(以上、Alginchemie製)、商品名「ポリフロー KL−400X」、「ポリフロー KL−400HF」、「ポリフロー KL−401」、「ポリフロー KL−402」、「ポリフロー KL−403」、「ポリフロー KL−404」(以上、共栄社化学(株)製)、商品名「KP−323」、「KP−326」、「KP−341」、「KP−104」、「KP−110」、「KP−112」(以上、信越化学工業(株)製)、商品名「LP−7001」、「LP−7002」、「L−7604」、「FZ−2110」、「FZ−2105」、「3 ADDITIVE」、「56 ADDITIVE」、「57 ADDITIVE」、「67 ADDITIVE」、「8032 ADDITIVE」、「8618 ADDITIVE」(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)等の市販品を使用することができる。
前記シリコーン系界面活性剤の使用量(2種以上含有する場合はその総量)は、本発明の硬化性樹脂組成物に含まれるシロキサン化合物100重量部に対して、例えば0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、特に好ましくは0.1〜3重量部、最も好ましくは0.3〜2重量部である。シリコーン系界面活性剤を前記範囲で含有すると、腐食性ガスに対するバリア性に優れた硬化物が得られる。
また、前記フッ素系界面活性剤とシリコーン系界面活性剤を併用する場合、その使用割合(前者/後者:重量比)は、例えば30/70〜70/30、好ましくは40/60〜60/40、特に好ましくは45/55〜55/45である。前記フッ素系界面活性剤とシリコーン系界面活性剤を上記範囲で併用すると、腐食性ガスに対するバリア性に特に優れた硬化物が得られる点で好ましい。
[ヒドロシリル化触媒(D)]
本発明の硬化性樹脂組成物は、ヒドロシリル化触媒を1種又は2種以上含んでいてもよい。本発明の硬化性樹脂組成物がヒドロシリル化触媒を含む場合、加熱により、硬化性樹脂組成物中の脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)とヒドロシリル基の間のヒドロシリル化反応をより効率的に進行させることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、ヒドロシリル化触媒を1種又は2種以上含んでいてもよい。本発明の硬化性樹脂組成物がヒドロシリル化触媒を含む場合、加熱により、硬化性樹脂組成物中の脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)とヒドロシリル基の間のヒドロシリル化反応をより効率的に進行させることができる。
上記ヒドロシリル化触媒としては、白金系触媒、ロジウム系触媒、パラジウム系触媒等の周知のヒドロシリル化反応用触媒が例示され、具体的には、白金微粉末、白金黒、白金担持シリカ微粉末、白金担持活性炭、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金のオレフィン錯体、白金−カルボニルビニルメチル錯体等の白金のカルボニル錯体、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体や白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体等の白金ビニルメチルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−ホスファイト錯体等の白金系触媒、並びに上記白金系触媒において白金原子の代わりにパラジウム原子又はロジウム原子を含有するパラジウム系触媒又はロジウム系触媒が挙げられる。なかでも、ヒドロシリル化触媒としては、白金−ビニルメチルシロキサン錯体や白金−カルボニルビニルメチル錯体や塩化白金酸とアルコール、アルデヒドとの錯体が、反応速度が良好であるため好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物におけるヒドロシリル化触媒の含有量(配合量)は、硬化性樹脂組成物に含まれる脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)の全量1モルに対して、1×10-8〜1×10-2モルが好ましく、より好ましくは1.0×10-6〜1.0×10-3モルである。含有量を1×10-8モル以上とすることにより、より効率的に硬化物を形成できる傾向がある。一方、含有量を1×10-2モル以下とすることにより、より色相に優れた(着色の少ない)硬化物が得られる傾向がある。
また、本発明の硬化性樹脂組成物におけるヒドロシリル化触媒の含有量(配合量)は、例えば、ヒドロシリル化触媒中の白金、パラジウム、又はロジウムが重量単位で、0.01〜1000ppmの範囲内となる量が好ましく、0.1〜500ppmの範囲内となる量がさらに好ましい。ヒドロシリル化触媒の含有量がこのような範囲にあると、より効率的に硬化物を形成させることができ、また、より色相に優れた硬化物が得られる傾向がある。
[イソシアヌレート化合物(E)]
本発明の硬化性樹脂組成物は、更にイソシアヌレート化合物(E)を含有することが好ましい。本発明の硬化性樹脂組成物がイソシアヌレート化合物(E)を含有すると、他の成分と反応した状態及び未反応の状態に関わらず、その硬化物中でイソシアヌレート化合物(E)におけるイソシアヌレート骨格がSOxガス等の腐食性ガスをトラップするためか、腐食性ガスに対するバリア性をより一層向上する効果が得られる。また、イソシアヌレート化合物(E)は、本発明の硬化性樹脂組成物における溶解性が良好であるため、増量した場合や硬化性樹脂組成物を加熱しない場合にも、固体として析出を生じない。
本発明の硬化性樹脂組成物は、更にイソシアヌレート化合物(E)を含有することが好ましい。本発明の硬化性樹脂組成物がイソシアヌレート化合物(E)を含有すると、他の成分と反応した状態及び未反応の状態に関わらず、その硬化物中でイソシアヌレート化合物(E)におけるイソシアヌレート骨格がSOxガス等の腐食性ガスをトラップするためか、腐食性ガスに対するバリア性をより一層向上する効果が得られる。また、イソシアヌレート化合物(E)は、本発明の硬化性樹脂組成物における溶解性が良好であるため、増量した場合や硬化性樹脂組成物を加熱しない場合にも、固体として析出を生じない。
上記式(1)中、Ra、Rb、及びRcは、同一又は異なって、下記式(1a)で表される基、下記式(1b)で表される基、水素原子、又はアルキル基を示す。但し、Ra、Rb、及びRcのうち少なくとも1個は、下記式(1a)で表される基である。
(式中、Rd、Reは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示す。s、tは、同一又は異なって1〜10の整数を示す)
前記炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基(直鎖状又は分岐鎖状のC1-8アルキル基)としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、エチルヘキシル基等が挙げられる。なかでも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の直鎖状又は分岐鎖状のC1-3アルキル基が好ましい。
Rd、Reとしては、特に水素原子が好ましい。
Ra、Rb、及びRcとしてのアルキル基は、直鎖状、分岐鎖、環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、エチルヘキシル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基(例えば、直鎖状又は分岐鎖状のC1-8アルキル基);シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基等の置換基として直鎖状アルキル基(例えば、C1-3アルキル基)を有していてもよい環状のアルキル基(すなわち、シクロアルキル基)等が挙げられる。
尚、式(1)におけるRa、Rb、及びRcのうち2個又は3個が式(1a)で表される基である場合、これらの式(1a)で表される基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、式(1)におけるRa、Rb、及びRcのうち2個が式(1b)で表される基である場合、これらの式(1b)で表される基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。更に、イソシアヌレート化合物(E)は、式(1b)で表される基を有していなくてもよい。
イソシアヌレート化合物(E)は、例えば、アルコールや酸無水物等のエポキシ基と反応する化合物と反応させて、変性した上で使用することもできる。
イソシアヌレート化合物(E)の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、硬化性樹脂組成物に含まれるシロキサン化合物100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.03〜3重量部、さらに好ましくは0.05〜1重量部、特に好ましくは0.1〜0.5重量部である。イソシアヌレート化合物(E)を上記範囲で含有することにより、固体析出の問題を生じることなく、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性を著しく向上する効果が得られる。
本発明においては、イソシアヌレート化合物(E)として、なかでも、上記式(1)中の式(1a)で表される基が下記式(1a')で表される基であり、式(1b)で表される基が下記式(1b’)で表される基であり、Ra、Rb、及びRcとして、式(1a')で表される基と式(1b')で表される基を有するイソシアヌレート化合物(E-1)を少なくとも含有することが、硬化物の被着体に対する密着性が向上して、腐食性ガスに対するバリア性が向上する効果が得られる点で好ましい。尚、下記式中のRd、Reは前記に同じ。
すなわち、イソシアヌレート化合物(E-1)は、上記式(1)で表され、式(1)中、Ra、Rb、及びRcは、同一又は異なって、式(1a')で表される基、式(1b')で表される基、水素原子、又はアルキル基を示す。但し、Ra、Rb、及びRcのうち少なくとも1個は、式(1a')で表される基であり、少なくとも1個は式(1b')で表される基である化合物である。
イソシアヌレート化合物(E-1)としては、例えば、式(1)におけるRa、Rb、及びRcのうち1個が式(1b')で表される基である化合物(「モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物」と称する場合がある)、式(1)におけるRa、Rb、及びRcのうち2個が式(1b')で表される化合物(「ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート化合物」と称する場合がある)が挙げられる。
上記モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物としては、例えば、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、1−アリル−3,5−ビス(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート、1−(2−メチルプロペニル)−3,5−ジグリシジルイソシアヌレート、1−(2−メチルプロペニル)−3,5−ビス(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
上記ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート化合物としては、例えば、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジアリル−5−(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート、1,3−ビス(2−メチルプロペニル)−5−グリシジルイソシアヌレート、1,3−ビス(2−メチルプロペニル)−5−(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物においてイソシアヌレート化合物(E-1)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、イソシアヌレート化合物(E-1)としては、例えば、商品名「MA−DGIC」(四国化成工業(株)製)等の市販品を使用してもよい。
イソシアヌレート化合物(E-1)は式(1b')で表される基を有するため、例えば、ヒドロシリル基を有する化合物とあらかじめ反応(ヒドロシリル化反応)させた上で使用することもできる。例えば、上記モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物と前述のラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)とをヒドロシリル化触媒の存在下で反応させたものを、本発明の硬化性樹脂組成物の構成成分として使用することもできる。
イソシアヌレート化合物(E-1)は、他の成分との相溶性を向上させる観点から、後述のシランカップリング剤(F)とあらかじめ混合してから、他の成分に配合することもできる。
イソシアヌレート化合物(E-1)の含有量(配合量)は、硬化性樹脂組成物に含まれるシロキサン化合物100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.03〜3重量部、さらに好ましくは0.05〜1重量部である。イソシアヌレート化合物(E-1)の含有量を0.01重量部以上とすることにより、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性、被着体に対する密着性がより向上する傾向がある。一方、イソシアヌレート化合物(E-1)の含有量を10重量部以下とすることにより、硬化性樹脂組成物における固体析出の問題を抑制することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記イソシアヌレート化合物(E-1)と共に、上記式(1)中の式(1a)で表される基が下記式(1a")で表される基であるイソシアヌレート化合物(E-2)を組み合わせて含有することが好ましい。
すなわち、イソシアヌレート化合物(E-2)は、上記式(1)で表され、式(1)中、Ra、Rb、及びRcは、同一又は異なって、式(1a")で表される基、式(1b)で表される基、水素原子、又はアルキル基を示す。但し、Ra、Rb、及びRcのうち少なくとも1個は、式(1a")で表される基である化合物である。
前記式(1a")におけるs’は2〜10(好ましくは2〜8、特に好ましくは2〜6、最も好ましくは2〜4)の整数を示す。式(1b)におけるtは1〜10の整数であり、好ましくは1〜6の整数である。
イソシアヌレート化合物(E-2)は、分子内に上述の式(1a")で表される基を有するためか、当該基を有しないもの(例えば、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等)と同等、又はそれ以上の腐食性ガスに対するバリア性の向上効果を有しながら、上記基を有しないものに比べて、本発明の硬化性樹脂組成物における他の成分(特に、ポリオルガノシロキサン(A-1)、ポリオルガノシロキサン(A-2))との相溶性が非常に良好である。そのため、本発明の硬化性樹脂組成物にイソシアヌレート化合物(E-2)を添加することにより、固体析出の問題を生じること無く、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性を著しく向上することが可能である。
イソシアヌレート化合物(E-2)としては、例えば、式(1)におけるRa、Rb、及びRcのうち1個が式(1a")で表される基である化合物、式(1)におけるRa、Rb、及びRcのうち2個が式(1a")で表される基である化合物、式(1)におけるRa、Rb、及びRcの全てが式(1a")で表される基である化合物が挙げられる。特に固体析出の問題が生じにくい点で、式(1)におけるRa、Rb、及びRcのうち2個又は3個が式(1a")で表される基である化合物が好ましく、より好ましくは式(1)におけるRa、Rb、及びRcの全てが式(1a")で表される基である化合物である。
イソシアヌレート化合物(E-2)が式(1b)で表される基を有するものである場合は、例えば、ヒドロシリル基を有する化合物とあらかじめ反応(ヒドロシリル化反応)させた上で使用することもできる。例えば、前述のラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)とともにヒドロシリル化触媒の存在下で反応させたものを、本発明の硬化性樹脂組成物の構成成分として使用することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物においてイソシアヌレート化合物(E-2)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、イソシアヌレート化合物(E-2)としては、商品名「TEPIC−VL」(日産化学工業(株)製)等の市販品を使用しても良い。
イソシアヌレート化合物(E-2)の含有量(配合量)は、硬化性樹脂組成物に含まれるシロキサン化合物100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.03〜3重量部、さらに好ましくは0.05〜1重量部である。イソシアヌレート化合物(E-2)の含有量を0.01重量部以上とすることにより、腐食性ガスに対するバリア性に特に優れた硬化物が得られる傾向がある。一方、イソシアヌレート化合物(E-2)の含有量を10重量部以下とすることにより、耐熱性、強靭性、透明性等により優れる硬化物が得られる傾向がある。
[シランカップリング剤(F)]
本発明の硬化性樹脂組成物は、シランカップリング剤(F)を含んでいてもよい。シランカップリング剤(F)を含有することにより、特に、硬化物の被着体に対する密着性を一層向上する効果が得られる。さらに、シランカップリング剤(F)は、イソシアヌレート化合物(E)(特に、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物)やラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)等との相溶性が良好であるため、イソシアヌレート化合物(E)を使用する場合には、例えば、あらかじめイソシアヌレート化合物(E)とシランカップリング剤(F)との組成物を形成した上で、その他の成分と配合させると、均一な硬化性樹脂組成物が得られやすい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、シランカップリング剤(F)を含んでいてもよい。シランカップリング剤(F)を含有することにより、特に、硬化物の被着体に対する密着性を一層向上する効果が得られる。さらに、シランカップリング剤(F)は、イソシアヌレート化合物(E)(特に、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物)やラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)等との相溶性が良好であるため、イソシアヌレート化合物(E)を使用する場合には、例えば、あらかじめイソシアヌレート化合物(E)とシランカップリング剤(F)との組成物を形成した上で、その他の成分と配合させると、均一な硬化性樹脂組成物が得られやすい。
シランカップリング剤(F)としては、公知乃至慣用のシランカップリング剤を使用することができ、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシシラン)、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メルカプトプロピレントリメトキシシラン、メルカプトプロピレントリエトキシシラン、アルコキシオリゴマー(例えば、商品名「X−41−1053」、「X−41−1059A」、「X−41−1056」、「X−41−1085」、「X−41−1818」、「X−41−1810」、「X−40−2651」、「X−40−2665A」、「KR−513」、「KC−89S」、「KR−500」、「X−40−9225」、「X−40−9246」、「X−40−9250」;以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。なかでも、エポキシ基含有シランカップリング剤(特に、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)を好ましく使用できる。
本発明の硬化性樹脂組成物においてシランカップリング剤(F)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、シランカップリング剤(F)としては、例えば、商品名「XIAMETER OFS−6040」(ダウコーニング社製)等の市販品を使用することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物におけるシランカップリング剤(F)の含有量(配合量)は、硬化性樹脂組成物(100重量%)に対して、0.01〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。シランカップリング剤(F)の含有量を0.01重量%以上とすることにより、硬化物の被着体に対する密着性がより向上する傾向がある。また、イソシアヌレート化合物(E)の硬化性樹脂組成物中での溶解性を向上させることができるため、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性のさらなる向上が可能となる場合がある。一方、シランカップリング剤(F)の含有量を15重量%以下とすることにより、十分に硬化反応が進行し、硬化物の靱性、耐熱性、腐食性ガスに対するバリア性がより向上する傾向がある。
さらに、本発明の硬化性樹脂組成物は、上述の成分以外の成分(「その他の成分」と称する場合がある)を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、上記以外のシロキサン化合物(例えば、環状シロキサン化合物、低分子量直鎖状又は分岐鎖状シロキサン化合物等)、ヒドロシリル化反応抑制剤、溶媒、各種添加剤等が挙げられる。添加剤としては、例えば、沈降シリカ、湿式シリカ、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、酸化チタン、アルミナ、ガラス、石英、アルミノケイ酸、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、カーボンブラック、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の無機質充填剤、これらの充填剤をオルガノハロシラン、オルガノアルコキシシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物により処理した無機質充填剤;上述以外のシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等の有機樹脂微粉末;銀、銅等の導電性金属粉末等の充填剤、溶剤、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤等)、難燃剤(リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤等)、難燃助剤、補強材(他の充填剤等)、核剤、カップリング剤、滑剤、ワックス、可塑剤、離型剤、耐衝撃性改良剤、色相改良剤、流動性改良剤、着色剤(染料、顔料等)、分散剤、消泡剤、脱泡剤、抗菌剤、防腐剤、粘度調整剤、増粘剤、蛍光体等が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。尚、その他の成分の含有量(配合量)は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択することが可能である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、例えば、上記の各成分を室温で撹拌・混合することにより調製することができる。尚、本発明の硬化性樹脂組成物は、各成分があらかじめ混合されたものをそのまま使用する1液系の組成物として使用することもできるし、例えば、別々に保管しておいた2以上の成分を使用前に所定の割合で混合して使用する多液系(例えば、2液系)の組成物として使用することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、固体、液体のいずれの状態を有するものであってもよく、特に限定されないが、通常、常温(約25℃)で液体である。
本発明の硬化性樹脂組成物の23℃における粘度は、300〜20000mPa・sが好ましく、より好ましくは500〜10000mPa・s、さらに好ましくは1000〜8000mPa・sである。上記粘度を300mPa・s以上とすることにより、硬化物の耐熱性がより向上する傾向がある。一方、上記粘度を20000mPa・s以下とすることにより、硬化性樹脂組成物の調製がしやすく、その生産性や取り扱い性がより向上し、また、硬化物に気泡が残存しにくくなるため、硬化物(特に、封止材)の生産性や品質がより向上する傾向がある。
<硬化物>
本発明の硬化性樹脂組成物を硬化(特に、ヒドロシリル化反応により硬化)させることによって、硬化物(「本発明の硬化物」と称する場合がある)が得られる。硬化(特に、ヒドロシリル化反応による硬化)の際の条件は、特に限定されず、従来公知の条件より適宜選択することができるが、例えば、反応速度の点から、温度(硬化温度)は25〜180℃(より好ましくは60〜150℃)が好ましく、時間(硬化時間)は5〜720分が好ましい。尚、硬化は一段階で実施することもできるし、多段階で実施することもできる。本発明の硬化物は、ポリシロキサン系材料特有の高い耐熱性及び透明性を有するのみならず、特に、腐食性ガス(例えば、SOxガス等)に対するバリア性に優れる。
本発明の硬化性樹脂組成物を硬化(特に、ヒドロシリル化反応により硬化)させることによって、硬化物(「本発明の硬化物」と称する場合がある)が得られる。硬化(特に、ヒドロシリル化反応による硬化)の際の条件は、特に限定されず、従来公知の条件より適宜選択することができるが、例えば、反応速度の点から、温度(硬化温度)は25〜180℃(より好ましくは60〜150℃)が好ましく、時間(硬化時間)は5〜720分が好ましい。尚、硬化は一段階で実施することもできるし、多段階で実施することもできる。本発明の硬化物は、ポリシロキサン系材料特有の高い耐熱性及び透明性を有するのみならず、特に、腐食性ガス(例えば、SOxガス等)に対するバリア性に優れる。
<封止剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、半導体装置における半導体素子の封止用の組成物(封止剤)(「本発明の封止剤」と称する場合がある)として好ましく使用することができる。具体的には、本発明の封止剤は、光半導体装置における光半導体素子(LED素子)の封止用途に(すなわち、光半導体用封止剤として)特に好ましく使用できる。本発明の封止剤を硬化させることにより得られる封止材(硬化物)は、ポリシロキサン系材料特有の高い耐熱性及び透明性を有するのみならず、特に、腐食性ガス(例えば、SOxガス等)に対するバリア性に優れる。このため、本発明の封止剤は、特に、高輝度、短波長の光半導体素子の封止剤等として好ましく使用できる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、半導体装置における半導体素子の封止用の組成物(封止剤)(「本発明の封止剤」と称する場合がある)として好ましく使用することができる。具体的には、本発明の封止剤は、光半導体装置における光半導体素子(LED素子)の封止用途に(すなわち、光半導体用封止剤として)特に好ましく使用できる。本発明の封止剤を硬化させることにより得られる封止材(硬化物)は、ポリシロキサン系材料特有の高い耐熱性及び透明性を有するのみならず、特に、腐食性ガス(例えば、SOxガス等)に対するバリア性に優れる。このため、本発明の封止剤は、特に、高輝度、短波長の光半導体素子の封止剤等として好ましく使用できる。
<半導体装置>
本発明の封止剤を使用して半導体素子を封止することにより、半導体装置(「本発明の半導体装置」と称する場合がある)が得られる。すなわち、本発明の半導体装置は、半導体素子とこれを封止する封止材とを少なくとも有する半導体装置であって、上記封止材が本発明の封止剤の硬化物である半導体装置である。本発明の半導体装置の製造は、公知乃至慣用の方法により実施でき、例えば、本発明の封止剤を所定の成形型内に注入し、所定の条件で加熱硬化して実施できる。硬化温度と硬化時間は、硬化物の調製時と同様の範囲で設定することができる。本発明の封止剤は、上記半導体装置が光半導体装置である場合、すなわち、光半導体装置における光半導体素子の封止剤(光半導体用封止剤)として使用する場合に特に効果的である。本発明の封止剤を光半導体用封止剤として使用することにより、光半導体装置(「本発明の光半導体装置」と称する場合がある)が得られる。本発明の光半導体装置の一例を図1に示す。図1において、100はリフレクター(光反射用樹脂組成物)、101は金属配線(電極)、102は光半導体素子、103はボンディングワイヤ、104は硬化物(封止材)を示す。
本発明の封止剤を使用して半導体素子を封止することにより、半導体装置(「本発明の半導体装置」と称する場合がある)が得られる。すなわち、本発明の半導体装置は、半導体素子とこれを封止する封止材とを少なくとも有する半導体装置であって、上記封止材が本発明の封止剤の硬化物である半導体装置である。本発明の半導体装置の製造は、公知乃至慣用の方法により実施でき、例えば、本発明の封止剤を所定の成形型内に注入し、所定の条件で加熱硬化して実施できる。硬化温度と硬化時間は、硬化物の調製時と同様の範囲で設定することができる。本発明の封止剤は、上記半導体装置が光半導体装置である場合、すなわち、光半導体装置における光半導体素子の封止剤(光半導体用封止剤)として使用する場合に特に効果的である。本発明の封止剤を光半導体用封止剤として使用することにより、光半導体装置(「本発明の光半導体装置」と称する場合がある)が得られる。本発明の光半導体装置の一例を図1に示す。図1において、100はリフレクター(光反射用樹脂組成物)、101は金属配線(電極)、102は光半導体素子、103はボンディングワイヤ、104は硬化物(封止材)を示す。
特に、本発明の硬化性樹脂組成物は、従来の樹脂材料では対応することが困難であった、高輝度・短波長の光半導体装置において光半導体素子を被覆する封止材を形成するための封止剤、高耐熱・高耐電圧の半導体装置(パワー半導体等)において半導体素子を被覆する封止材を形成するための封止剤等の用途に好ましく使用できる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述の封止剤用途(特に、光半導体素子の封止剤用途)に限定されず、例えば、機能性コーティング剤、耐熱プラスチックレンズ、透明機器、接着剤(耐熱透明接着剤等)、電気絶縁材(絶縁膜等)、積層板、コーティング、インク、塗料、シーラント、レジスト、複合材料、透明基材、透明シート、透明フィルム、光学素子、光学レンズ、光学部材、光造形、電子ペーパー、タッチパネル、太陽電池基板、光導波路、導光板、ホログラフィックメモリ等の光学関連や半導体関連の用途にも好ましく使用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
生成物及び製品の1H−NMR分析は、JEOL ECA500(500MHz)により行った。また、生成物並びに製品の数平均分子量及び重量平均分子量の測定は、以下の条件で行った。
Alliance HPLCシステム 2695(Waters製)
Refractive Index Detector 2414(Waters製)
カラム:Tskgel GMHHR−M(東ソー(株)製)×2個
ガードカラム:Tskgel guard column HHRL(東ソー(株)製)
カラムオーブン:COLUMN HEATER U−620(Sugai製)
溶媒:THF
測定条件:40℃
Alliance HPLCシステム 2695(Waters製)
Refractive Index Detector 2414(Waters製)
カラム:Tskgel GMHHR−M(東ソー(株)製)×2個
ガードカラム:Tskgel guard column HHRL(東ソー(株)製)
カラムオーブン:COLUMN HEATER U−620(Sugai製)
溶媒:THF
測定条件:40℃
製造例1
[末端にビニル基とトリメチルシリル基(TMS基)とを有するラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3-1)の合成]
200mL四つ口フラスコに、メチルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製)40.10g、フェニルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製)3.38g、及びメチルイソブチルケトン(MIBK)17.69gを仕込み、これらの混合物を10℃まで冷却した。上記混合物に水240ミリモル(4.33g)及び5Nの塩酸0.48g(塩化水素として2.4ミリモル)を1時間かけて同時に滴下した。滴下後、これらの混合物を10℃で1時間保持した。その後、MIBKを80.0g添加して、反応溶液を希釈した。
次に、反応容器の温度を70℃まで昇温し、70℃になった時点で水606ミリモル(10.91g)を添加し、同温度で重縮合反応を窒素下で9時間行った。さらに、ビニルトリエトキシシラン6.25gを添加し、同温度で3時間反応(熟成)を行った。
続いて、得られた反応溶液にヘキサメチルジシロキサン15.0gを添加して、シリル化反応を70℃で3時間行った。その後、反応溶液を冷却し、下層液が中性になるまで水洗を行い、その後、上層液を分取した。次に、当該上層液から、1mmHg、60℃の条件で溶媒を留去し、末端にビニル基とTMS基とを有するラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3-1)[上述のラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)に該当する]を無色透明の液状の生成物として19.0g得た。
上記末端にビニル基とTMS基とを有するラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3-1)の重量平均分子量(Mw)は3000、1分子当たりのビニル基の含有量(平均含有量)は4.00重量%、フェニル基の含有量(平均含有量)は3.85重量%であり、フェニル基/メチル基/ビニル基(モル比)は5/80/15であった。
1H-NMR(JEOL ECA500(500MHz、CDCl3)):δ 0.3-0.3ppm(br), 5.7-6.2ppm(br), 7.1-7.7ppm(br)
[末端にビニル基とトリメチルシリル基(TMS基)とを有するラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3-1)の合成]
200mL四つ口フラスコに、メチルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製)40.10g、フェニルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製)3.38g、及びメチルイソブチルケトン(MIBK)17.69gを仕込み、これらの混合物を10℃まで冷却した。上記混合物に水240ミリモル(4.33g)及び5Nの塩酸0.48g(塩化水素として2.4ミリモル)を1時間かけて同時に滴下した。滴下後、これらの混合物を10℃で1時間保持した。その後、MIBKを80.0g添加して、反応溶液を希釈した。
次に、反応容器の温度を70℃まで昇温し、70℃になった時点で水606ミリモル(10.91g)を添加し、同温度で重縮合反応を窒素下で9時間行った。さらに、ビニルトリエトキシシラン6.25gを添加し、同温度で3時間反応(熟成)を行った。
続いて、得られた反応溶液にヘキサメチルジシロキサン15.0gを添加して、シリル化反応を70℃で3時間行った。その後、反応溶液を冷却し、下層液が中性になるまで水洗を行い、その後、上層液を分取した。次に、当該上層液から、1mmHg、60℃の条件で溶媒を留去し、末端にビニル基とTMS基とを有するラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3-1)[上述のラダー型シルセスキオキサン(A-3-1)に該当する]を無色透明の液状の生成物として19.0g得た。
上記末端にビニル基とTMS基とを有するラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3-1)の重量平均分子量(Mw)は3000、1分子当たりのビニル基の含有量(平均含有量)は4.00重量%、フェニル基の含有量(平均含有量)は3.85重量%であり、フェニル基/メチル基/ビニル基(モル比)は5/80/15であった。
1H-NMR(JEOL ECA500(500MHz、CDCl3)):δ 0.3-0.3ppm(br), 5.7-6.2ppm(br), 7.1-7.7ppm(br)
製造例2
[末端にSiH含有基とTMS基とを有するラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3-2)の合成]
反応容器に、製造例1で得られたラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3-1)12gと、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(東京化成工業(株)製)24gと、2.0%白金−シクロビニルシロキサン錯体ビニルシクロシロキサン溶液(和光純薬工業(株)製)10μLとを仕込んだ。次いで、70℃で8時間加熱して、反応終了とした。続いて、エバポレーターで濃縮した後、真空ポンプを用いて0.2Torrで3時間減圧し、末端にSiH含有基とTMS基とを有するラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3-2)[上述のラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)に該当する]を液状の生成物として得た。
上記ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3-2)の重量平均分子量(Mw)は3300、1分子当たりのヒドロシリル基の含有量(平均含有量)は、ヒドロシリル基におけるH(ヒドリド)の重量換算で0.12重量%であった。
1H-NMR(JEOL ECA500(500MHz、CDCl3)):δ 0.3-0.3ppm(br), 4.7ppm(s), 7.1-7.7ppm(br)
[末端にSiH含有基とTMS基とを有するラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3-2)の合成]
反応容器に、製造例1で得られたラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3-1)12gと、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(東京化成工業(株)製)24gと、2.0%白金−シクロビニルシロキサン錯体ビニルシクロシロキサン溶液(和光純薬工業(株)製)10μLとを仕込んだ。次いで、70℃で8時間加熱して、反応終了とした。続いて、エバポレーターで濃縮した後、真空ポンプを用いて0.2Torrで3時間減圧し、末端にSiH含有基とTMS基とを有するラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3-2)[上述のラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)に該当する]を液状の生成物として得た。
上記ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3-2)の重量平均分子量(Mw)は3300、1分子当たりのヒドロシリル基の含有量(平均含有量)は、ヒドロシリル基におけるH(ヒドリド)の重量換算で0.12重量%であった。
1H-NMR(JEOL ECA500(500MHz、CDCl3)):δ 0.3-0.3ppm(br), 4.7ppm(s), 7.1-7.7ppm(br)
実施例1
[硬化性樹脂組成物の製造]
まず、表1に示すように、GD1012A(50重量部)、F−556(1重量部)、及びBYK−333(1重量部)を混合し、80℃で1時間撹拌してA剤を調製した。
次に、上記で得たA剤(50.3重量部)に対して、B剤としてのGD1012B(50重量部)を混合し、室温で1時間撹拌したところ、均一な液状の硬化性樹脂組成物(23℃における粘度:3200mPa・s)が得られた。
[硬化性樹脂組成物の製造]
まず、表1に示すように、GD1012A(50重量部)、F−556(1重量部)、及びBYK−333(1重量部)を混合し、80℃で1時間撹拌してA剤を調製した。
次に、上記で得たA剤(50.3重量部)に対して、B剤としてのGD1012B(50重量部)を混合し、室温で1時間撹拌したところ、均一な液状の硬化性樹脂組成物(23℃における粘度:3200mPa・s)が得られた。
[光半導体装置の製造]
図1に示す態様のLEDパッケージ(InGaN素子、3.5mm×2.8mm)に、上記で得られた硬化性樹脂組成物を注入し、100℃で1時間、続いて150℃で5時間加熱することで、上記硬化性樹脂組成物の硬化物により光半導体素子が封止された光半導体装置を製造した。
図1に示す態様のLEDパッケージ(InGaN素子、3.5mm×2.8mm)に、上記で得られた硬化性樹脂組成物を注入し、100℃で1時間、続いて150℃で5時間加熱することで、上記硬化性樹脂組成物の硬化物により光半導体素子が封止された光半導体装置を製造した。
実施例2〜11、比較例1〜2
[硬化性樹脂組成物の製造]
硬化性樹脂組成物の配合組成を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物を製造した。
[硬化性樹脂組成物の製造]
硬化性樹脂組成物の配合組成を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物を製造した。
[光半導体装置の製造]
また、上記で得られた各硬化性樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、光半導体装置を製造した。
また、上記で得られた各硬化性樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、光半導体装置を製造した。
(評価)
上記で得られた光半導体装置について、下記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
[硫黄腐食試験]
上記で製造した各光半導体装置を試料として用いた。
まず、上記試料について、全光束測定機(オプトロニックラボラトリーズ社製、マルチ分光放射測定システム「OL771」)を用いて、20mAの電流を流した際の全光束(単位:lm)を測定し、これを「試験前の全光束」とした。
次に、上記試料と硫黄粉末(キシダ化学(株)製)0.3gとを450mLのガラス瓶に入れ、さらに上記ガラス瓶をアルミ製の箱の中に入れた。続いて、上記アルミ製の箱を80℃のオーブン(ヤマト科学(株)製、型番「DN−64」)に入れ、8時間後に取り出した。このようにして得られた試料について、上記と同様に全光束(単位:lm)を測定し、これを「試験後の全光束」とした。
上記で測定した全光束の値から、次式に従って光度維持率を算出した。
光度維持率(%)=(試験後の全光束/試験前の全光束)×100
光度維持率が高いほど、硬化物(封止材)が腐食性ガスに対するバリア性に優れることを示す。
尚、硬化性樹脂組成物ごとに(各実施例、比較例ごとに)10個の光半導体装置について光度維持率を測定・算出し、表1にはこれらの光度維持率の平均値(N=10)を示した。
上記で得られた光半導体装置について、下記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
[硫黄腐食試験]
上記で製造した各光半導体装置を試料として用いた。
まず、上記試料について、全光束測定機(オプトロニックラボラトリーズ社製、マルチ分光放射測定システム「OL771」)を用いて、20mAの電流を流した際の全光束(単位:lm)を測定し、これを「試験前の全光束」とした。
次に、上記試料と硫黄粉末(キシダ化学(株)製)0.3gとを450mLのガラス瓶に入れ、さらに上記ガラス瓶をアルミ製の箱の中に入れた。続いて、上記アルミ製の箱を80℃のオーブン(ヤマト科学(株)製、型番「DN−64」)に入れ、8時間後に取り出した。このようにして得られた試料について、上記と同様に全光束(単位:lm)を測定し、これを「試験後の全光束」とした。
上記で測定した全光束の値から、次式に従って光度維持率を算出した。
光度維持率(%)=(試験後の全光束/試験前の全光束)×100
光度維持率が高いほど、硬化物(封止材)が腐食性ガスに対するバリア性に優れることを示す。
尚、硬化性樹脂組成物ごとに(各実施例、比較例ごとに)10個の光半導体装置について光度維持率を測定・算出し、表1にはこれらの光度維持率の平均値(N=10)を示した。
尚、実施例及び比較例では下記成分を使用した。
[シロキサン化合物]
<ポリオルガノシロキサン(A-1)>
GD1012A:商品名「ETERLED GD1012A」、長興材料工業製、ビニル基含有量1.33重量%、フェニル基含有量0重量%、ヒドロシリル基含有量(ヒドリド換算)0重量%、数平均分子量5108、重量平均分子量23385、ヒドロシリル化触媒を含む。
KER−2500A:商品名「KER−2500A」、信越化学工業(株)製、ビニル基含有量1.53重量%、フェニル基含有量0重量%、ヒドロシリル基含有量(ヒドリド換算)0.03重量%、数平均分子量4453、重量平均分子量19355、ヒドロシリル化触媒を含む。
<ポリオルガノシロキサン(A-2)>
GD−1012B:商品名「ETERLED GD1012B」、長興材料工業製、ビニル基含有量1.65重量%、フェニル基含有量0重量%、ヒドロシリル基含有量(ヒドリド換算)0.19重量%、数平均分子量4563、重量平均分子量21873
KER−2500B:商品名「KER−2500B」、信越化学工業(株)製、ビニル基含有量1.08重量%、フェニル基含有量0重量%、ヒドロシリル基含有量(ヒドリド換算)0.13重量%、数平均分子量4636、重量平均分子量18814
<ラダー型シルセスキオキサン(A-3)>
A-3-1:製造例1で得られた化合物
A-3-2:製造例2で得られた化合物
[フッ素系界面活性剤(B)]
F−556:ノニオン系、重量平均分子量9000、商品名「メガファックF−556」、DIC(株)製
F−477:ノニオン系、重量平均分子量12000、商品名「メガファックF−477」、DIC(株)製
[シリコーン系界面活性剤(C)]
BYK−307:重量平均分子量12000、商品名「BYK−307」、ビックケミー・ジャパン製
BYK−310:重量平均分子量3500、商品名「BYK−310」、ビックケミー・ジャパン製
BYK−330:重量平均分子量12000、商品名「BYK−330」、ビックケミー・ジャパン製
BYK−333:重量平均分子量5000、商品名「BYK−333」、ビックケミー・ジャパン製
BYK−377:重量平均分子量18000、商品名「BYK−377」、ビックケミー・ジャパン製
BYK−378:重量平均分子量5000、商品名「BYK−378」、ビックケミー・ジャパン製
[イソシアヌレート化合物(E)]
MA−DGIC:モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、商品名「MA−DGIC」、四国化成工業(株)製
TEPIC−VL:トリス−(4,5−エポキシペンチル)−イソシアヌレート、商品名「TEPIC−VL」、日産化学工業(株)製
[シランカップリング剤(F)]
OFS−6040:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、商品名「XIAMETER OFS−6040」、ダウコーニング社製
[シロキサン化合物]
<ポリオルガノシロキサン(A-1)>
GD1012A:商品名「ETERLED GD1012A」、長興材料工業製、ビニル基含有量1.33重量%、フェニル基含有量0重量%、ヒドロシリル基含有量(ヒドリド換算)0重量%、数平均分子量5108、重量平均分子量23385、ヒドロシリル化触媒を含む。
KER−2500A:商品名「KER−2500A」、信越化学工業(株)製、ビニル基含有量1.53重量%、フェニル基含有量0重量%、ヒドロシリル基含有量(ヒドリド換算)0.03重量%、数平均分子量4453、重量平均分子量19355、ヒドロシリル化触媒を含む。
<ポリオルガノシロキサン(A-2)>
GD−1012B:商品名「ETERLED GD1012B」、長興材料工業製、ビニル基含有量1.65重量%、フェニル基含有量0重量%、ヒドロシリル基含有量(ヒドリド換算)0.19重量%、数平均分子量4563、重量平均分子量21873
KER−2500B:商品名「KER−2500B」、信越化学工業(株)製、ビニル基含有量1.08重量%、フェニル基含有量0重量%、ヒドロシリル基含有量(ヒドリド換算)0.13重量%、数平均分子量4636、重量平均分子量18814
<ラダー型シルセスキオキサン(A-3)>
A-3-1:製造例1で得られた化合物
A-3-2:製造例2で得られた化合物
[フッ素系界面活性剤(B)]
F−556:ノニオン系、重量平均分子量9000、商品名「メガファックF−556」、DIC(株)製
F−477:ノニオン系、重量平均分子量12000、商品名「メガファックF−477」、DIC(株)製
[シリコーン系界面活性剤(C)]
BYK−307:重量平均分子量12000、商品名「BYK−307」、ビックケミー・ジャパン製
BYK−310:重量平均分子量3500、商品名「BYK−310」、ビックケミー・ジャパン製
BYK−330:重量平均分子量12000、商品名「BYK−330」、ビックケミー・ジャパン製
BYK−333:重量平均分子量5000、商品名「BYK−333」、ビックケミー・ジャパン製
BYK−377:重量平均分子量18000、商品名「BYK−377」、ビックケミー・ジャパン製
BYK−378:重量平均分子量5000、商品名「BYK−378」、ビックケミー・ジャパン製
[イソシアヌレート化合物(E)]
MA−DGIC:モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、商品名「MA−DGIC」、四国化成工業(株)製
TEPIC−VL:トリス−(4,5−エポキシペンチル)−イソシアヌレート、商品名「TEPIC−VL」、日産化学工業(株)製
[シランカップリング剤(F)]
OFS−6040:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、商品名「XIAMETER OFS−6040」、ダウコーニング社製
100:リフレクター(光反射用樹脂組成物)
101:金属配線(電極)
102:光半導体素子
103:ボンディングワイヤ
104:硬化物(封止材)
101:金属配線(電極)
102:光半導体素子
103:ボンディングワイヤ
104:硬化物(封止材)
Claims (13)
- 分子内に2個以上のアルケニル基を有するポリオルガノシロキサン(A-1)と、分子内に2個以上のヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサン(A-2)と、フッ素系界面活性剤(B)を含む硬化性樹脂組成物。
- 更に、ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)を含む請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
- 更に、シリコーン系界面活性剤(C)を含む請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
- 更に、ヒドロシリル化触媒(D)を含む請求項1〜3の何れか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)として、ラダー構造を有するポリオルガノシルセスキオキサンの分子鎖末端の一部又は全部に、下記式(VII)
で表される基を示す。nは1〜100の整数を示す]
で表される単位構造及び下記式(VIII)
で表される単位構造を含むポリオルガノシルセスキオキサン残基を有するラダー型シルセスキオキサン(A-3-2)を含む請求項2〜6の何れか1項に記載の硬化性樹脂組成物。 - 前記ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)が、側鎖の一部又は全部が置換若しくは無置換のアリール基であるラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン(A-3)である請求項2〜7の何れか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- さらに、シランカップリング剤(F)を含む請求項1〜8の何れか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜9の何れか1項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物。
- 封止剤である請求項1〜9の何れか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 半導体素子と、該半導体素子を封止する封止材とを有する半導体装置であって、前記封止材が、請求項11に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物である半導体装置。
- 光半導体装置である請求項12に記載の半導体装置。
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JP7027025B2 (ja) | 2015-11-10 | 2022-03-01 | ナミックス株式会社 | 導電性組成物 |
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-
2015
- 2015-05-20 JP JP2015103218A patent/JP2016216606A/ja active Pending
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