JP2016208562A - 電動モータおよび電動モータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、各分割コアへの巻線は、途中で巻線を切断することなく、一連に巻線を巻回する場合もある。このように構成することで、巻線作業時間を短縮することができる。
図1は、ステータ1がインサート成形されたモータケース50の斜視図、図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。
図1、図2に示すように、モータケース50は、樹脂により形成されたものであって、例えば、オイルポンプの駆動用の電動モータ100に用いられている。モータケース50は、略有底筒状のケース本体51と、ケース本体51の外周面に一体成形された基板収納部52と、により構成されている。
なお、以下の説明においては、モータケース50の径方向を単に径方向と称し、モータケース50の軸方向を単に軸方向と称して説明する。
また、基板収納部52の一側には、コネクタハウジング54が一体成形されている。このコネクタハウジング54には、外部機器から延びるコネクタ(何れも不図示)が嵌着される。外部機器は、基板を介してステータ1に電力を供給したり、基板に制御信号を出力したりする。
また、収納凹部53の底面53aには、ステータ1の後述する巻線5と不図示の基板とを電気的に接続するための結線端子56の一端56aが突出されている。結線端子56の他端56b(図8、図9参照)は、基板収納部52に埋設され、巻線5に接続されている。
また、ボルト座57には、不図示のボルトを挿通可能な貫通孔57aが軸方向に沿って形成されている。貫通孔57aには、例えば炭素鋼等により形成されたカラー58が一体成形されている。このカラー58を介して貫通孔57aに不図示のボルトが挿通される。このボルトは、不図示の外部機器に螺入される。これにより、この外部機器にモータケース50が締結固定される。
図3は、ステータ1の斜視図である。
同図に示すように、ステータ1は、ブラシレスモータを構成するものであって、略円筒状に形成されている。そして、ステータ1の軸方向とケース本体51の軸方向とが一致した状態でケース本体51内に埋設されている。また、ステータ1の径方向中央に、不図示のロータが回転自在に配置される。このロータの回転軸も、ステータ1の中心軸およびケース本体51の中心軸に一致している。
本実施形態のステータ1では、ティース3が6つ設けられており、3相(U相、V相、W相)構造になっている。各相のティース3は、U相、V相、W相の順に周方向に並んで配置されている。すなわち、2つのティース3を間に挟んで両側に位置するティース3同士が同相のティース3となる。
ここで、コア本体11のバックヨーク2は、周方向に分割可能な分割コア方式が採用されている。すなわち、コア本体11のバックヨーク2は、周方向に複数に分割された分割コア10を環状に連結して構成されている。
図4、図5に示すように、分割コア10は、例えば金属板を複数積層してなるものであって、周方向に延びる分割バックヨーク30を有している。分割バックヨーク30は、分割コア10を環状に連結したときにバックヨーク2の環状の磁路を形成する部分である。分割バックヨーク30は、断面略円弧状に形成されている。
なお、図3に示すように、連結部12a,12bを介して各分割コア10を連結した状態(バックヨーク2を形成した状態)では、バックヨーク2の外周面2aには、連結部12a,12bが形成されている箇所に、これら連結部12a,12bによって軸方向に沿う凹部2bが形成される。
ティース3は、径方向に沿って延びるティース本体13と、ティース本体13の径方向内側の端部、つまり、ティース本体13の先端部に一体成形され、周方向両側に沿って延びる鍔部14と、により構成されている。これらティース本体13と分割バックヨーク30と鍔部14とに囲まれて、巻線5を巻回するためのスロット15が形成されている。つまり、各分割コア10には、ティース3を挟んだ両側に一対のスロット15が設けられる。
すなわち、外周面30bは、ステータ1の径方向中央を中心にした円弧形状に形成されているのに対し、分割バックヨーク30の内周面30aは、ティース本体13の根元から周方向両端に向かうに従って外周面30bよりも径方向内側(ティース3側)に偏倚するように弧状に形成されている。つまり、分割バックヨーク30の内周面30aは、周方向両端に向かうに従って径方向内側に張り出すように、いわゆるオーバーハングしている。そして、このように形成されたティース3の周囲を被覆するようにインシュレータ4が装着されている。
外壁部18aは、ティース3の根元部に対応する位置に配置され、周方向に沿って延在するように断面弧状に形成されている。外壁部18aには、2つのスリット19a,19b(第1スリット19a、第2スリット19b)が周方向に等間隔で形成されている。これらスリット19a,19bは、ティース3に巻回された巻線5を径方向外側に引き出すためのものである。また、外壁部18aの周方向略中央には、後述の浮き防止リング7と係合する係合爪4aが、径方向外側に向かって突出形成されている。
また、これら外壁部18aおよび内壁部18bとの間に、ティース本体13を被覆するティース被覆部18cが一体成形されている。
ティース3の鍔部14におけるスロット15側の内側面14aは、各層の巻線5が俵状に積層されるよう傾斜形成されている。また、各インシュレータ16,17も、鍔部14の内側面14aに沿うように形成されている。このため、巻線5は、確実に俵状に積層される。
図6は、各分割コア10への巻線5の巻回順序を示す説明図である。
本実施形態のステータ1は、3相(U相、V相、W相)で構成され、各分割コア10は、U相、V相、W相の順に割り振られるので、巻線5を巻回する際もこの順で並べられる。すなわち、図6では、左から順に1つ目のU相、V相、W相の分割コア10(U1),10(V1),10(W1)、次いで、2つ目のU相、V相、W相の分割コア10(U2),10(V2),10(W2)と並んでいる。
続いて、1つ目のV相の分割コア10(V1)に巻線5を引き込んで巻回し、V相のコイル6を形成する。続いて、1つ目のV相の分割コア10(V1)から引き出した巻線5を、2つ目のV相の分割コア10(V2)へ渡らせて同相渡り線61を形成する。続いて、2つ目のV相の分割コア10(V2)へ巻線5を引き込んで巻回し、V相のコイル6を形成する。
続いて、1つ目のU相の分割コア10(U1)に巻線5を引き込んで巻回し、U相のコイル6を形成する。続いて、1つ目のU相の分割コア10(U1)から引き出した巻線5を、2つ目のU相の分割コア10(U2)へ渡らせて同相渡り線61を形成する。そして、2つ目のU相の分割コア10(U2)から巻線5を引出し、各分割コア10への巻線5の巻回作業が完了する。
同図に示すように、各分割コア10への巻線5の巻回作業が完了した後、各分割コア10の分割バックヨーク30に形成されている連結部12a,12bを連結し、バックヨーク2を円環状に形成する。このとき、同相渡り線61、および切断された異相渡り線62は、2つのインシュレータ16,17のうちの一方のインシュレータ(本実施形態では、第1インシュレータ16)の外壁部18aに形成されたスリット19a,19bを介して径方向外側に引き出される。そして、同相渡り線61、および切断された異相渡り線62は、それぞれ第1インシュレータ16の外壁部18aの外周面に沿わせて配線される。
また、各分割コア10を略円環状に巻き取ることで、隣接する各分割コア10の間に位置する同相渡り線61に弛みが生じことになるが、その弛み分だけ同相渡り線61を径方向内側に押し込む。このようにすることで、ステータ1の第1インシュレータ16上に、後述の浮き防止リング7を取り付け易くすることができる。そして、これにより、ステータ1の組立が完了する。
図8、浮き防止リング7をステータ1側からみた斜視図、図9は、浮き防止リング7をステータ1とは反対側からみた斜視図である。
図3、図8、図9に示すように、ステータ1には、同相渡り線61、および切断された異相渡り線62が引き回されている第1インシュレータ16上に(図3における軸方向上端側に)、浮き防止リング7が設けられている。浮き防止リング7は、モータケース50にステータ1をインサート成形する際のコイル6や同相渡り線61、および切断された異相渡り線62の浮き上がりを防止するためのものであって、樹脂により形成されている。
次に、モータケース50と、このモータケース50へのステータ1のインサート成形について説明する。
まず、モータケース50にステータ1をインサート成形するにあたって、ステータ1を組み立てる(ステータ組立工程)。
ステータ1の組立工程にて、隣接する各分割コ10の間に位置する同相渡り線61を径方向内側に押し込むようにしているが、巻線5は弾性復元力によって僅かに径方向外側に膨らむことがある。
このような場合にも備えて、浮き防止リング7の渡り線押え73には、傾斜面73aが形成されている。このため、浮き防止リング7を第1インシュレータ16の上から装着すると、傾斜面73aに沿って径方向外側に膨らんだ各同相渡り線61が滑らかに、かつ僅かに径方向内側に変位させる。よって、第1インシュレータ16上に容易に浮き防止リング7を載置でき、かつ、弾性復元力に抗して同相渡り線61を押えることができる。
また、浮き防止リング7には、第1インシュレータ16の係合爪4aに係合可能な係合凹部74が形成されている。このため、第1インシュレータ16上に浮き防止リング7を載置するだけで、これら第1インシュレータ16と浮き防止リング7とをスナップフィット固定できる。
そして、この状態で不図示の金型内にステータ1、カラー58、結線端子56等をセットする。この後、金型内に溶融した樹脂を流し込み、モータケース50を形成すると共に、モータケース50にステータ1をインサート成形する(モータケース形成工程)。
同図に示すように、ゲート位置P1は、ケース本体51の外周面51bと底面51cとの接続部(角部)近傍に、周方向に等間隔で6箇所設定されている。このように設定することで、金型全体に万遍なく樹脂を行き渡らせることができる。
モータケース50にインサート成形されたステータ1は、図1に示すように、各ティース3の鍔部14の内周面だけが露出した状態になる。このため、ステータ1と図示しないロータとの間のエアギャップを必要最低限に詰められることで磁束の受け渡しを効果的に行いつつ、ステータ1の防水性も確保することができる。
しかしながら、ステータ1には、浮き防止リング7が取り付けられているので、各渡り線61,62が樹脂注入時の樹脂圧を受けた場合でも浮き上がりが規制される。しかも、浮き防止リング7がステータ1の第1インシュレータ16にスナップフィット固定されている。このため、浮き防止リング7によって確実に各渡り線61,62の浮き上がりが規制される。
また、浮き防止リング7は、各分割コア10の間に対応する位置に設けられた渡り線押え73を備えている。このため、最も弛みやすい各分割コア10の間の同相渡り線61の変位を確実に規制できる。
例えば、上述の実施形態では、モータケース50は、樹脂により形成されたものであって、例えば、オイルポンプの駆動用の電動モータ100に用いられている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、さまざまな電動モータに上述の実施形態の構成を採用することができる。
2…バックヨーク(コア本体)
3…ティース
4…インシュレータ
4a…係合爪
5…巻線
7…浮き防止リング(渡り線規制部)
10…分割コア
10a,10b…端部(端面)
11…コア本体
16…第1インシュレータ(インシュレータ)
17…第2インシュレータ(インシュレータ)
50…モータケース
61…同相渡り線(渡り線)
62…異相渡り線(渡り線)
71…本体部(規制部本体)
72…溝部
73…渡り線押え(規制片)
74…係合凹部
100…電動モータ
P1…ゲート位置
Claims (10)
- リング状のコア本体と、
前記コア本体から径方向に沿って延びる複数のティースと、
前記複数のティースを被覆するインシュレータと、
前記インシュレータの上から各前記ティースに巻回される巻線と、
各前記ティースに巻回された前記巻線を引出し、前記コア本体に沿って引き回されてなる渡り線と、
前記インシュレータとは別体に設けられ、前記渡り線の変位を規制する渡り線規制部と、
を備えたことを特徴とする電動モータ。 - 前記渡り線規制部は、前記コア本体に沿うようにリング状に形成された規制部本体を有し、
該規制部本体は、前記渡り線の前記コア本体における軸方向の変位を規制することを特徴とする請求項1に記載の電動モータ。 - 前記コア本体、前記規制部本体、および前記インシュレータによって前記渡り線を配線するための溝部が形成されることを特徴とする請求項2に記載の電動モータ。
- 前記規制部本体は、周方向に隣接する各前記ティース間に対応する位置から前記コア本体に向かって突出形成された複数の規制片を備え、
該規制片は、周方向に隣接する各前記ティース間に跨る箇所の前記渡り線の変位を規制することを特徴とする請求項3に記載の電動モータ。 - 前記規制片は、前記規制部本体から前記規制片の先端に至る間に、前記規制部本体における径方向外側に向かって傾斜する傾斜面を有することを特徴とする請求項4に記載の電動モータ。
- 前記規制片は、先端が前記コア本体の端面に当接するように形成されており、これにより前記コア本体と前記規制部本体との間に形成される隙間と前記インシュレータとにより、前記溝部が形成されることを特徴とする請求項4または請求項5の何れか1項に記載の電動モータ。
- 前記規制部本体は、前記インシュレータと係合可能に形成されていることを特徴とする請求項2〜請求項6の何れか1項に記載の電動モータ。
- 前記コア本体は、前記ティースごとに周方向に分割可能とされており、
樹脂により形成されるモータケースに、前記コア本体、前記ティース、前記インシュレータ、前記巻線、前記渡り線、および前記渡り線規制部が埋設されていることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の電動モータ。 - 前記モータケースを形成する際の金型のゲート位置は、前記コア本体の周囲で、かつ前記渡り線が引き回されている箇所よりも前記コア本体側に設定されていることを特徴とする請求項8に記載の電動モータ。
- 樹脂製のモータケースと、
前記モータケースに埋設されるステータと、を備え、
前記ステータは、
リング状のコア本体と、
前記コア本体から径方向に沿って延びる複数のティースと、
前記複数のティースを被覆するインシュレータと、
前記インシュレータの上から各前記ティースに巻回される巻線と、
各前記ティースに巻回された前記巻線を引出し、前記コア本体に沿って引き回されてなる渡り線と、
を有し、
前記インシュレータに取付けられ、前記渡り線の変位を規制する渡り線規制部を備えた電動モータの製造方法であって、
前記複数のティースにそれぞれ前記インシュレータを取付け、該インシュレータの上から前記巻線を巻回して前記渡り線を引き出すステータ組立工程と、
前記ステータの前記渡り線が引き回された側の端部に、前記渡り線規制部をセットする規制部セット工程と、
規制部セット工程の後に、前記ステータを金型にセットし、前記ステータの周囲で、かつ前記渡り線が引き回されている箇所よりも前記コア本体側から前記金型内に樹脂を注入し、前記モータケースを形成するモータケース形成工程と、
を有することを特徴とする電動モータの製造方法。
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