JP2015517524A - (4S,4aS,5aR,12aS)−4−ジメチルアミノ−3,10,12,12a−テトラヒドロキシ−7−[(メトキシ(メチル)アミノ)−メチル]−1,11−ジオキソ−1,4,4a,5,5a,6,11,12a−オクタヒドロ−ナフタセン−2−カルボン酸アミドの使用方法 - Google Patents

(4S,4aS,5aR,12aS)−4−ジメチルアミノ−3,10,12,12a−テトラヒドロキシ−7−[(メトキシ(メチル)アミノ)−メチル]−1,11−ジオキソ−1,4,4a,5,5a,6,11,12a−オクタヒドロ−ナフタセン−2−カルボン酸アミドの使用方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015517524A
JP2015517524A JP2015512752A JP2015512752A JP2015517524A JP 2015517524 A JP2015517524 A JP 2015517524A JP 2015512752 A JP2015512752 A JP 2015512752A JP 2015512752 A JP2015512752 A JP 2015512752A JP 2015517524 A JP2015517524 A JP 2015517524A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
methyl
crystalline
salt
naphthacene
tetrahydroxy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015512752A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015517524A5 (ja
Inventor
コールター,キャサリン
ジョンストン,ショーン,エム.
セイェディ,ファルザネー
デブリーズ,ティナ,エム.
Original Assignee
パラテック ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
パラテック ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
ワーナー・チルコット・カンパニー・エルエルシー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by パラテック ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド, パラテック ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド, ワーナー・チルコット・カンパニー・エルエルシー filed Critical パラテック ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
Publication of JP2015517524A publication Critical patent/JP2015517524A/ja
Publication of JP2015517524A5 publication Critical patent/JP2015517524A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/65Tetracyclines
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K33/00Medicinal preparations containing inorganic active ingredients
    • A61K33/24Heavy metals; Compounds thereof
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K45/00Medicinal preparations containing active ingredients not provided for in groups A61K31/00 - A61K41/00
    • A61K45/06Mixtures of active ingredients without chemical characterisation, e.g. antiphlogistics and cardiaca
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P1/00Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system
    • A61P1/04Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system for ulcers, gastritis or reflux esophagitis, e.g. antacids, inhibitors of acid secretion, mucosal protectants
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/04Antibacterial agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

細菌感染症、例えばメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)またはクラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumonia)による細菌感染症、を治療する方法であって、対象者に、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法が開示される。具体的には、対象者に、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ塩酸塩、結晶性モノメシル酸塩または結晶性モノ硫酸塩を投与することを含む、細菌感染症の治療方法が開示される。【選択図】図1

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2012年5月14日に出願された米国仮出願第61/646,754号からの優先権の利益を主張するものであり、その内容は全体が参照により本明細書に組み入れられる。
(発明の分野)
本開示は、細菌感染症またはそのような感染症に関連した疾患(例えば、消化性潰瘍およびクラミジア)を治療する方法に関し、この方法は、対象者に、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含んでなり、ここにおいて、細胞感染症は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)およびクラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)からなる群より選択される細菌によって引き起こされるものである。本発明の特定の実施形態では、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ塩酸塩、モノメシル酸塩、またはモノ硫酸塩が投与される。
テトラサイクリンは、「広域スペクトル」抗生物質として知られており、治療目的に広く使用されるようになってきている。テトラサイクリンは、リケッチア;多くのグラム陽性およびグラム陰性細菌;ならびに鼠径リンパ肉芽腫、封入体結膜炎、およびオウム病の原因となる病原体に対して薬理学的に非常に有効であることが見出されている。テトラサイクリン抗生物質の最初の使用は1948年にまでさかのぼる。薬学的に活性なテトラサイクリンおよびテトラサイクリン類似体組成物の例は、以下の米国特許に見出すことができる:米国特許第2,980,584号; 第2,990,331号; 第3,062,717号; 第3,165,531号; 第3,454,697号; 第3,557,280号; 第3,674,859号; 第3,957,980号; 第4,018,889号; 第4,024,272号; および第4,126,680号。テトラサイクリンはまた、皮膚炎、乾癬、壊疽性膿皮症、座瘡および酒さなどの炎症性皮膚疾患を治療するために用いることができる。
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、よく使用されるいくつかの抗生物質に対して耐性である、黄色ブドウ球菌の一菌株である。一般的に、MRSA感染症は、免疫力が弱った人々に病院や他の医療施設の現場で発生する(院内感染型MRSA)が、時に、他の点では健康な個人に病院外で発生することがある(市中感染型MRSA)。ほとんどのMRSA感染症は皮膚を侵すが、一部は重症になることがあり、血流、心臓もしくは肺、尿に、または最近の手術部位で広がる可能性がある。MRSAは、一般には、ドキシサイクリン、クリンダマイシン、リネゾリド、またはトリメトプリム/スルファメトキサゾール(TMP/SXT)の組み合わせなどの抗生物質で治療される。
クラミジアは、細菌クラミジア・トラコマチスによって引き起こされる性行為感染症である。これは米国で最も多く見られる性行為感染症であり、毎年300万を上回る症例の子宮頸管炎と尿道炎の原因である。女性でのクラミジア感染症は、多くの場合、子宮頸部の炎症につながり、治療しないまま放置すると、不妊の原因になり得る。男性での感染は、多くの場合、尿道の炎症を引き起こす。クラミジアの抗生物質による早期治療は、これらの長期合併症の発症を予防することができる。
クラミジア・ニューモニエは、小型のグラム陰性菌であり、成人および小児における肺炎や気管支炎などの、市中呼吸器感染症の原因となることが多い。
消化性潰瘍は、胃と十二指腸の粘膜の炎症を特徴とする疾患であり、これらの臓器の保護粘膜が破壊されて、胃の中で産生された酸による刺激を可能にさせる。保護粘膜破壊の一般的な原因は、ヘリコバクター・ピロリ菌による感染である。典型的な治療には、抗生物質と、プロトンポンプ阻害剤(例えば、オメプラゾール)および/またはビスマスなどの他の薬剤との併用が含まれる。
メジャーな疾患とマイナーな疾患の両方に対するテトラサイクリン類の広範な使用によってこれらの抗生物質への耐性がもたらされて以降、置換されたテトラサイクリン化合物が細菌感染症、炎症、新生物、およびその他の疾患を治療するために開発された。用語「テトラサイクリン化合物」には、テトラサイクリンと類似の環構造を有する多くの化合物が含まれる。こうしたテトラサイクリン化合物の例としては、以下が挙げられる:クロルテトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、メタサイクリン、サンサイクリン、ケロカルジン、ロリテトラサイクリン、リメサイクリン、アピサイクリン;クロモサイクリン、グアメシクリン、メグルサイクリン、メピルサイクリン、ペニメピサイクリン、ピパサイクリン、エタモサイクリン、ペニモサイクリン。例えば、置換テトラサイクリン化合物は、WO 2008/079339およびWO 2008/079363に開示されている。
1つの置換テトラサイクリン化合物は、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドであり、この化合物は米国特許出願公開第2008/0312193号および第2010/0305072号に記載されている。
一部には、特定の抗生物質に対する耐性の発生という理由で、当技術分野には病気や疾患の治療のための新たなテトラサイクリン系抗生物質の必要性が存在する。
本発明は、細菌感染症またはそのような感染症に関連した疾患(例えば、消化性潰瘍)を治療するための新規な方法に向けられており、この方法は、対象者に、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含んでなる。
本発明は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、細菌感染症を治療する方法に向けられており、該細菌は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、ヘリコバクター・ピロリ、クラミジア・トラコマチス、およびクラミジア・ニューモニエからなる群より選択される。本発明はまた、細菌感染症を治療するための医薬の製造における、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドまたはその薬学的に許容される塩の使用に関し、該細菌は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、ヘリコバクター・ピロリ、クラミジア・トラコマチス、およびクラミジア・ニューモニエからなる群より選択される。特定の実施形態では、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性塩が投与され、好ましくは、その結晶性塩は、モノ塩酸塩、モノメシル酸塩、およびモノ硫酸塩からなる群より選択することができる。
特定の実施形態では、前記MRSAは、市中感染型MRSA(community associated MRSA: MRSA-CA)または院内感染型MRSA(hospital acquired MRSA: MRSA-HA)である。
別の態様において、本発明は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、消化性潰瘍を治療する方法に向けられる。本発明はまた、消化性潰瘍を治療するための医薬の製造における、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドまたはその薬学的に許容される塩の使用に関する。一実施形態では、前記塩は結晶性塩であり、好ましくは、モノ塩酸塩、モノメシル酸塩、およびモノ硫酸塩からなる群より選択され得る。一実施形態では、消化性潰瘍を治療する方法はさらに、少なくとも1種の追加の活性成分、例えばプロトンポンプ阻害剤および/またはビスマス、を投与することを含む。
図1は、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ塩酸塩の合成後、および40℃、75%相対湿度(RH)で7日間貯蔵後、の粉末X線回折(XRPD)解析を示す。 図2は、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ塩酸塩の合成後の示差走査熱量測定(DSC)曲線である。 図3は、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ塩酸塩の合成後の熱重量分析(TGA)曲線である。 図4は、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノメシル酸塩の合成後、および40℃、75%RHで7日間貯蔵後、のXRPD解析を示す。 図5は、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノメシル酸塩の合成後のDSC曲線である。 図6は、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノメシル酸塩の合成後のTGAである。 図7は、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ硫酸塩の合成後、および40℃、75%RHで7日間貯蔵後、のXRPD解析を示す。 図8は、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ硫酸塩の合成後のDSC曲線である。 図9は、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ硫酸塩の合成後のTGAである。 図10は、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの非晶質ビス塩酸塩のXRPD解析を示す。 図11は、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの非晶質ビス塩酸塩のTGA曲線とDSC曲線を重ね合わせたものである。
本発明の方法
本発明の第1の実施形態は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、細菌感染症を治療するための方法に向けられており、ここにおいて、該細菌は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、ヘリコバクター・ピロリ、またはクラミジア・トラコマチスである。好ましい実施形態では、前記方法は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性塩を投与することを含む。好ましくは、結晶性塩はモノ塩酸塩、モノメシル酸塩およびモノ硫酸塩からなる群より選択され得る。これらの結晶性塩は、同時係属中の米国出願第13/471,275号に十分に説明されており、その内容は全体が参照により本明細書に組み入れられる。
特定の実施形態では、使用される(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドまたはその薬学的に許容される塩の量は、約10mg〜約2000mg、好ましくは約25mg〜約500mgである。特定の実施形態では、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドまたはその薬学的に許容される塩は、少なくとも月1回、好ましくは週1回、より好ましくは週2回、最も好ましくは毎日投与される。
一実施形態では、本発明は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を治療する方法に向けられる。本発明がMRSAを治療する方法に向けられる、その実施形態では、前記MRSAは院内感染型(MRSA-HA)または市中感染型(MRSA-CA)である。
別の実施形態では、本発明は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、ヘリコバクター・ピロリを治療する方法に向けられる。さらなる実施形態では、本発明は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、クラミジア・トラコマチスを治療する方法に向けられる。
本明細書で使用される用語「治療する」は、本明細書に記載される細菌感染症または他の疾患の治療的および/または予防的処置を包含する。この処置には、細菌感染症に関連した少なくとも1つの症状、または本明細書に記載の別の疾患に関連した少なくとも1つの症状の軽減または緩和が含まれる。
本明細書で使用される用語「治療有効量」は、妥当な医学的判断の範囲内で、治療されるべき症状および/または状態をかなり肯定的に改変するのに十分高いが、深刻な副作用を回避するのに十分低い(合理的なリスク/効果比での)化合物または組成物の量を意味する。本発明の方法で使用するための活性成分の治療有効量は、治療される特定の疾患、治療される患者の年齢および身体状態、疾患の重症度、治療期間、併用療法の性質、使用される特定の活性成分、利用される特定の薬学的に許容される添加剤、ならびに熟練した医師または獣医師の知識と経験の範囲内の同様の要因によって変化するだろう。種々の適切な治療有効量は、上記に記載されている。
本明細書で使用される用語「対象者」は動物である。「対象者」としては、限定するものではないが、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、サル、チンパンジー、ヒヒ、またはアカゲザルが挙げられる。一実施形態では、「対象者」は哺乳動物である。別の実施形態では、「対象者」はヒトである。
本明細書で使用される化合物の「薬学的に許容される塩」という語句は、薬学的に許容され、かつ親化合物の所望の薬理活性を保持する塩を意味する。薬学的に許容される塩には、本発明の化合物中に存在する酸性基または塩基性基の塩が含まれる。薬学的に許容される酸付加塩としては、限定するものではないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、メシル酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩))が挙げられる。適切な塩基塩としては、限定するものではないが、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛、およびジエタノールアミン塩が挙げられる。好ましくは、薬学的に許容される塩は結晶性の塩である。さらにより好ましくは、薬学的に許容される塩は、モノ塩酸塩、モノメシル酸塩、およびモノ硫酸塩から選択される結晶性の塩である。
特定の実施形態は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ塩酸塩を投与することを含む、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を治療する方法に向けられる。この実施形態では、使用されるモノ塩酸塩の量は、約10mg〜約2000mg、好ましくは約25mg〜約500mgである。特定の実施形態では、モノ塩酸塩は少なくとも月1回、好ましくは週1回、より好ましくは週2回投与され、最も好ましくは、モノ塩酸塩は毎日投与される。
別の実施形態は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノメシル酸塩を投与することを含む、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を治療する方法に向けられる。この特定の実施形態では、使用される結晶性モノメシル酸塩の量は、約10mg〜約2000mg、好ましくは約25mg〜約500mgである。特定の実施形態では、モノメシル酸塩は少なくとも月1回、好ましくは週1回、より好ましくは週2回投与され、最も好ましくは、モノメシル酸塩は毎日投与される。
さらなる実施形態は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ硫酸塩を投与することを含む、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を治療する方法に向けられる。この特定の実施形態では、使用される結晶性モノ硫酸塩の量は、約10mg〜約2000mg、好ましくは約25mg〜約500mgである。特定の実施形態では、モノ硫酸塩は少なくとも月1回、好ましくは週1回、より好ましくは週2回投与され、最も好ましくは、モノ硫酸塩は毎日投与される。
特定の実施形態は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ塩酸塩を投与することを含む、クラミジア・トラコマチスを治療する方法に向けられる。この実施形態では、使用されるモノ塩酸塩の量は、約10mg〜約2000mg、好ましくは約25mg〜約500mgである。特定の実施形態では、モノ塩酸塩は少なくとも月1回、好ましくは週1回、より好ましくは週2回投与され、最も好ましくは、モノ塩酸塩は毎日投与される。
別の実施形態は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノメシル酸塩を投与することを含む、クラミジア・トラコマチスを治療する方法に向けられる。この特定の実施形態では、使用される結晶性モノメシル酸塩の量は、約10mg〜約2000mg、好ましくは約25mg〜約500mgである。特定の実施形態では、モノメシル酸塩は少なくとも月1回、好ましくは週1回、より好ましくは週2回投与され、最も好ましくは、モノメシル酸塩は毎日投与される。
さらなる実施形態は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ硫酸塩を投与することを含む、クラミジア・トラコマチスを治療する方法に向けられる。特定の実施形態では、使用される結晶性モノ硫酸塩の量は、約10mg〜約2000mg、好ましくは約25mg〜約500mgである。特定の実施形態では、モノ硫酸塩は少なくとも月1回、好ましくは週1回、より好ましくは週2回投与され、最も好ましくは、モノ硫酸塩は毎日投与される。
特定の実施形態は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ塩酸塩を投与することを含む、ヘリコバクター・ピロリを治療する方法に向けられる。この実施形態では、使用されるモノ塩酸塩の量は、約10mg〜約2000mg、好ましくは約25mg〜約500mgである。特定の実施形態では、モノ塩酸塩は少なくとも月1回、好ましくは週1回、より好ましくは週2回投与され、最も好ましくは、モノ塩酸塩は毎日投与される。
別の実施形態は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノメシル酸塩を投与することを含む、ヘリコバクター・ピロリを治療する方法に向けられる。この特定の実施形態では、使用される結晶性モノメシル酸塩の量は、約10mg〜約2000mg、好ましくは約25mg〜約500mgである。特定の実施形態では、モノメシル酸塩は少なくとも月1回、好ましくは週1回、より好ましくは週2回投与され、最も好ましくは、モノメシル酸塩は毎日投与される。
さらなる実施形態は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ硫酸塩を投与することを含む、ヘリコバクター・ピロリを治療する方法に向けられる。特定の実施形態では、使用される結晶性モノ硫酸塩の量は、約10mg〜約2000mg、好ましくは約25mg〜約500mgである。特定の実施形態では、モノ硫酸塩は少なくとも月1回、好ましくは週1回、より好ましくは週2回投与され、最も好ましくは、モノ硫酸塩は毎日投与される。
本発明のさらなる実施形態は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、消化性潰瘍を治療する方法に向けられる。好ましい実施形態では、前記方法は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性塩を投与することを含む。この実施形態では、結晶性塩はモノ塩酸塩、モノメシル酸塩およびモノ硫酸塩からなる群より選択され得る。
特定の実施形態は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ塩酸塩を投与することを含む、消化性潰瘍を治療する方法に向けられる。この実施形態では、使用されるモノ塩酸塩の量は、約10mg〜約2000mg、好ましくは約25mg〜約500mgである。特定の実施形態では、モノ塩酸塩は少なくとも月1回、好ましくは週1回、より好ましくは週2回投与され、最も好ましくは、モノ塩酸塩は毎日投与される。
別の実施形態は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノメシル酸塩を投与することを含む、消化性潰瘍を治療する方法に向けられる。この特定の実施形態では、使用される結晶性モノメシル酸塩の量は、約10mg〜約2000mg、好ましくは約25mg〜約500mgである。特定の実施形態では、モノメシル酸塩は少なくとも月1回、好ましくは週1回、より好ましくは週2回投与され、最も好ましくは、モノメシル酸塩は毎日投与される。
さらなる実施形態は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ硫酸塩を投与することを含む、消化性潰瘍を治療する方法に向けられる。特定の実施形態では、使用される結晶性モノ硫酸塩の量は、約10mg〜約2000mg、好ましくは約25mg〜約500mgである。特定の実施形態では、モノ硫酸塩は少なくとも月1回、好ましくは週1回、より好ましくは週2回投与され、最も好ましくは、モノ硫酸塩は毎日投与される。
特定の実施形態では、消化性潰瘍を治療する方法はさらに、対象者に、プロトンポンプ阻害剤および/またはビスマスを含むがこれらに限定されない、少なくとも1種の追加の活性成分を投与することを含む。消化性潰瘍を治療するための種々の適切な追加の活性成分は、Bertram G. Katzung, “Basic and Clinical Pharmacology,” 1064-68 (第8版, 2001)に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
本発明のさらなる実施形態は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、クラミジア・ニューモニエを治療する方法に向けられる。好ましい実施形態では、前記方法は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性塩を投与することを含む。好ましくは、結晶性塩はモノ塩酸塩、モノメシル酸塩およびモノ硫酸塩からなる群より選択される。
特定の実施形態は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ塩酸塩を投与することを含む、クラミジア・ニューモニエを治療する方法に向けられる。この実施形態では、使用されるモノ塩酸塩の量は、約10mg〜約2000mg、好ましくは約25mg〜約500mgである。特定の実施形態では、モノ塩酸塩は少なくとも月1回、好ましくは週1回、より好ましくは週2回投与され、最も好ましくは、モノ塩酸塩は毎日投与される。
別の実施形態は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノメシル酸塩を投与することを含む、クラミジア・ニューモニエを治療する方法に向けられる。この特定の実施形態では、使用される結晶性モノメシル酸塩の量は、約10mg〜約2000mg、好ましくは約25mg〜約500mgである。特定の実施形態では、モノメシル酸塩は少なくとも月1回、好ましくは週1回、より好ましくは週2回投与され、最も好ましくは、モノメシル酸塩は毎日投与される。
さらなる実施形態は、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ硫酸塩を投与することを含む、クラミジア・ニューモニエを治療する方法に向けられる。特定の実施形態では、使用される結晶性モノ硫酸塩の量は、約10mg〜約2000mg、好ましくは約25mg〜約500mgである。特定の実施形態では、モノ硫酸塩は少なくとも月1回、好ましくは週1回、より好ましくは週2回投与され、最も好ましくは、モノ硫酸塩は毎日投与される。
結晶性の塩
(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドおよびその薬学的に許容される塩は、本明細書に開示した方法において使用される。特定の実施形態では、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ塩酸塩、結晶性モノメシル酸塩、または結晶性モノ硫酸塩は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、ヘリコバクター・ピロリ、クラミジア・トラコマチス、およびクラミジア・ニューモニエからなる群より選択される細菌感染症、またはこのような感染症と関連した疾患を治療するために使用される。
本明細書で使用される用語「結晶性」とは、結晶に特徴的な原子、イオンまたは分子の周期的に繰り返す三次元の内部配置を有する固体状態の化合物を指す。結晶性という用語は、化合物が結晶として存在することを必ずしも意味しておらず、それがこの結晶様内部構造配置を有することを意味している。本明細書で使用される用語「非晶質」とは、結晶性構造を欠いている化合物を指す:繰り返しパターンなし、短距離秩序のみ、広範囲に無秩序。
(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性塩は、以下の疾患を治療する、予防する、あるいは改善するために使用することができる:細菌、ウイルス、寄生虫、および真菌感染症;癌(例えば、前立腺、乳房、結腸、肺メラノーマおよびリンパ癌)および望ましくない細胞増殖を特徴とする他の疾患;関節炎;骨粗しょう症;糖尿病;脳卒中;急性心筋梗塞;大動脈瘤;神経変性疾患およびテトラサイクリン化合物が活性であることが見出されている他の疾患(例えば、米国特許第5,789,395号; 第5,834,450号; 第6,277,061号; および第5,532,227号を参照されたい;これらの各々は参照により本明細書に組み入れられる)。さらに、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの塩は、リケッチア感染症、性行為感染症、呼吸器感染症、細菌感染症、眼感染症、炭疽病などの、重要な哺乳動物疾患および獣医学的疾患を予防または抑制するために使用することができ;急性腸アメーバ症、座瘡、ライム病、および消化性潰瘍における治療として役立つことができ;マラリアなどの予防のために使用することができる。
本明細書で使用される用語「モノ塩酸塩」は、酸と塩基の中和反応から生じるイオン性化合物を指す。イオン性化合物(ここではHCl)は陽イオンと陰イオンから構成されるので、該化合物は中性である。
結晶性の塩を分析するための一般的な方法としては、粉末X線回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)および熱重量分析(TGA)による結晶解析が挙げられる。
本明細書に開示されるXRPD解析は、Cu Kα線(40kV, 40mA)、自動XYZステージ、自動サンプル位置決め用のレーザービデオ顕微鏡およびHiStar二次元領域検出器を用いるBruker AXS C2 GADDS回折装置で収集した。X線光学系は、0.3mmのピンホールコリメータに連結された単一のゲーベル多層膜ミラーからなるものであった。データ収集に使用されるソフトウェアはWNT 4.1.16のためのGADDSであり、データはDiffrac Plus EVA v 9.0.0.2またはv 13.0.0.2を用いて解析し、提示した。サンプルは、受け取ったままの粉末を用いて平板標本として周囲条件下で分析した。約1〜2mgのサンプルを、平らな表面を得るためにガラススライド上で軽くプレスした。非周囲条件下で分析されるサンプルは、熱伝導性化合物を有するシリコンウェハ上に載せた。次いで、サンプルを約20℃.min-1で適切な温度に加熱し、続いて等温的に約1分間保持してからデータ収集を開始した。
本発明で使用される(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ塩酸塩は、結晶性塩の合成後に、実質的に図1に示されるようなXRPDパターンを有する。
本明細書で使用される用語「XRPDパターン」とは、XRPD解析により収集されたデータのグラフ表示を指す。XRPD解析は、多結晶または粉末状固体サンプルにおける結晶構造、サイズ、および好ましい配向を特徴づけるために使用される技術である。この回折はまた、存在する結晶性化合物のパーセントを決定すべく不均質な固体混合物を特徴づけるために使用され、未知の物質に関する構造的情報を提供することができる。
XRPDパターンに関して本明細書で使用される用語「実質的に」および「約」は、記載されたピーク(複数可)が所与の2θ値の0.2度2θ以内、例えば0.1度2θ以内、に現れるXRPDパターンを指す。
結晶性モノ塩酸塩は、XRPDで測定して、回折角2θ度で少なくとも約13.4、約20.5および約23.3に現れる特徴的なピークを有し得る。より好ましくは、結晶性モノ塩酸塩は、XRPDで測定して、回折角2θ度で少なくとも約9.5、約13.4、約15.5、約20.5および約23.3に現れる特徴的なピークを有し、さらに好ましくは、結晶性モノ塩酸塩は、回折角2θ度で少なくとも約9.5、約13.4、約15.5、約16.6、約19.2、約20.5、約22.2、および約23.3に現れる特徴的なピークを有し得る。
本明細書で使用される用語「特徴的なピーク」とは、ベースラインノイズよりも少なくとも20%、より好ましくは40%大きい強度を有するXRPDパターンのピークを指す。
TGAおよびDSC分析は、熱挙動を測定するために使用され、多形体を区別するために使用され得る。ある多形形態は、非晶質材料または別の多形形態とは異なる熱挙動を示し得る。
本明細書に開示されるDSC分析は、50ポジション・オートサンプラーを装備したTA Instruments社製のQ2000で収集した。この機器は、認証済インジウムを用いてエネルギーおよび温度についてキャリブレートした。熱容量についてのキャリブレーションは、サファイアを用いて行った。典型的には、0.5〜3.0mgの各サンプルを、ピンホール付きアルミニウムパン中で、10℃.min-1にて25℃から250℃まで加熱した。50ml.min-1での窒素パージをサンプル上に維持した。使用した機器制御ソフトウェアはAdvantage for Q Series v2.8.0.392およびThermal Advantage v4.8.3であり、データはUniversal Analysis v4.4Aを用いて解析した。
DSCは、サンプルと基準物質の温度を上昇させるのに必要な熱量の差を温度の関数として測定する熱分析技術である。DSCはサンプルに特徴的ないくつかの性質を測定するために使用され、結晶化現象の観察を可能にする。特に、DSCを用いて、固体から液晶への、および液晶から等方性液体への物質の転移として生じる小さなエネルギー変化を観察することが可能である。DSC曲線における現象の存在は、化合物の安定性、ならびに溶媒和物または水和物の存在を評価するために使用され得る。
TGAは、温度の変化に関連した重量の変化を測定するために使用され、化合物の分解、および溶媒和物または水和物の存在を明らかにすることができる。本明細書に開示されたTGA分析は、16ポジション・オートサンプラーを装備したTA Instruments社製のQ500 TGAで収集した。この機器は、認証済アルメルとニッケルを用いて温度についてキャリブレートした。典型的には、5〜30mgの各サンプルを、予め計量した白金るつぼおよびアルミニウムDSCパンに載せて、10℃.min-1で周囲温度から300℃まで加熱した。60ml.min-1での窒素パージをサンプル上に維持した。使用した機器制御・データ解析ソフトウェアはAdvantage for Q Series v2.8.0.392およびThermal Advantage v4.8.3であり、データはUniversal Analysis v4.4Aを用いて解析した。
本発明で使用される(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ塩酸塩は、実質的に図2に示されるようなDSC曲線を示すことができ、結晶性塩の分解までは何の現象も示さないことが好ましい。
本明細書で使用される用語「現象」とは、サーモグラムにおいてピークとして記録される示差熱流の変化を引き起こす、熱の吸収(吸熱)または発生(発熱)に関連したサンプルの変化を指す。サンプルのこうした変化には、形状もしくは形態、溶媒和物または水和物の分解、劣化および変化が含まれる。現象が何ら存在しないことは、その化合物が安定であり、低エネルギー形態にあることを示している。
DSC曲線に関して本明細書で使用される用語「実質的に」は、所与の温度の1℃以内、例えば0.5℃以内、にピーク(複数可)を示すDSC曲線を意味する。
(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ塩酸塩は、実質的に図3に示されるようなTGA曲線を示すことができ、好ましくは、約30℃から約200℃までに約1%〜約5%の重量損失、約200℃から約250℃までに約12%〜約16%の重量損失を示し、より好ましくは、約30℃から約200℃までに約3%の重量損失、約200℃から約250℃までに約14%〜約15%の重量損失を示す。
TGA曲線に関して本明細書で使用される用語「実質的に」は、温度変化に関連した所定の値の1%以内、例えば0.5%以内、の重量損失パーセントを示す曲線を意味する。
本明細書で使用される用語「安定な」および「安定性」とは、前記塩の物理的形態と化学的純度の両方を指す。本明細書で使用される「前記塩」は、本発明の開示された結晶性のモノ塩酸塩、モノメシル酸塩およびモノ硫酸塩を指す。
本明細書で使用される周囲条件とは、約20℃〜約25℃の温度および約40%のRHを意味する。
別の実施形態では、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノメシル酸塩が本発明の方法により使用され得る。
本明細書で使用される用語「モノメシル酸塩」は、酸と塩基の中和反応から生じるイオン性化合物を指す。この化合物は陽イオンと陰イオン(ここではCH3SO2 -)から構成されるので、該化合物は中性である。
(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノメシル酸塩は、結晶性塩の合成後に、実質的に図4に示されるようなXRPDパターンを有する。
結晶性モノメシル酸塩は、XRPDで測定して、回折角2θ度で少なくとも約9、約15および約23.8に現れる特徴的なピークを有し得る。好ましい実施形態では、結晶性モノメシル酸塩は、XRPDで測定して、回折角2θ度で少なくとも約9、約15、約22.7および約23.8に現れる特徴的なピークを有し、さらに好ましくは、結晶性モノメシル酸塩は、回折角2θ度で少なくとも約9、約15、約22、約22.7および約23.8に現れる特徴的なピークを有し得る。
(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノメシル酸塩は、実質的に図5に示されるようなDSC曲線を示すことができ、結晶性塩の分解までは何の現象も示さないことが好ましい。
(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノメシル酸塩は、実質的に図6に示されるようなTGA曲線を示すことができ、好ましくは、約30℃から約200℃までに約1%〜約4%の重量損失、約200℃から約250℃までに約3%〜約10%の重量損失を示し、より好ましくは、約30℃から約200℃までに約2%〜約3%の重量損失、約200℃から約250℃までに約6%〜約7%の重量損失を示す。
本発明のさらなる実施形態では、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ硫酸塩が本発明の方法で使用され得る。
本明細書で使用される用語「モノ硫酸塩」は、酸と塩基の中和反応から生じるイオン性化合物を指す。この化合物は陽イオンと陰イオン(ここではSO4 2-)から構成されるので、該化合物は中性である。
(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ硫酸塩は、結晶性塩の合成後に、実質的に図7に示されるようなXRPDパターンを有する。
結晶性モノ硫酸塩は、XRPDで測定して、回折角2θ度で少なくとも約15、約17.8および約23.5に現れる特徴的なピークを有し得る。より好ましい実施形態では、結晶性モノ硫酸塩は、XRPDで測定して、回折角2θ度で少なくとも約15、約17.8、約22.5および約23.5に現れる特徴的なピークを有し得る。さらに好ましい実施形態では、結晶性モノ硫酸塩は、XRPDで測定して、回折角2θ度で少なくとも約15、約17.8、約19.0、約22.5および約23.5に現れる特徴的なピークを有し得る。
(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ硫酸塩は、実質的に図8に示されるようなDSC曲線を示すことができ、DSCにより分析された結晶性モノ硫酸塩は、結晶性塩の分解までは何の現象も示さないことが好ましい。
(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性モノ硫酸塩は、実質的に図9に示されるようなTGA曲線を示すことができ、好ましくは、TGAにより分析された結晶性モノ硫酸塩は、約30℃から約200℃までに約1%〜約5%の重量損失、約200℃から約250℃までに約12%〜約16%の重量損失を示し、より好ましくは、約30℃から約200℃までに約3%〜約4%の重量損失、約200℃から約250℃までに約13%〜約14%の重量損失を示す。
医薬組成物
本発明の一実施形態は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA、例えばMRSA-CAおよびMRSA-HA)、ヘリコバクター・ピロリ、クラミジア・トラコマチス、およびクラミジア・ニューモニエからなる群より選択される細菌感染症、またはそのような感染症に関連した疾患(例えば、消化性潰瘍およびクラミジア)の治療に使用するための、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される添加剤を含有する医薬組成物に向けられる。したがって、一態様では、本発明の医薬組成物は消化性潰瘍を治療するために使用される。
好ましい実施形態では、医薬組成物は、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの結晶性塩を含有し、好ましくは、モノ塩酸塩、モノメシル酸塩およびモノ硫酸塩からなる群より選択され得る。
本発明の医薬組成物は、有効量の結晶性塩、薬学的に許容される添加剤を含有し、いくつかの実施形態では、さらに1種以上の追加の活性成分をも含有することができる。本発明の医薬組成物中の結晶性塩の含有量は、とりわけ、投与対象者、投与経路および標的疾患に応じて変化する。本発明の医薬組成物は、経口的、局所的(例えば、経皮的など)、膣内、直腸内、または非経口的(例えば、静脈内など)に投与することができる。好ましくは、本発明の医薬組成物は細菌感染症を治療するために使用される。
医薬組成物の局所投与の例には、経皮、口腔または舌下適用が含まれる。局所適用のために、医薬組成物は、好適には、ゲル、軟膏、ローションまたはクリームのように、薬理学的に不活性な局所担体中に混ぜ合わされる。このような薬理学的に不活性な局所担体としては、水、グリセロール、アルコール、プロピレングリコール、脂肪アルコール、トリグリセリド、脂肪酸エステル、または鉱油が挙げられる。他の可能な薬理学的に不活性な局所担体は、流動ワセリン、イソプロピルパルミテート、ポリエチレングリコール、エタノール95%、ポリオキシエチレンモノラウレート5%水溶液、ラウリル硫酸ナトリウム5%水溶液などである。さらに、酸化防止剤、保湿剤、粘度安定剤などの材料を添加してもよい。
経口投与のために、本発明の結晶性塩は、カプセル剤、錠剤または顆粒剤として投与され得る。錠剤は、微結晶性セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウムおよびグリシンなどの種々の賦形剤を、デンプン(好ましくはトウモロコシ、ジャガイモまたはタピオカデンプン)、アルギン酸およびある種の複合ケイ酸塩などの種々の崩壊剤と共に、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチンおよびアラビアゴムなどの造粒結合剤と一緒に、含むことができる。特定の実施形態では、錠剤はフィルムコーティングされていてよい。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクなどの滑沢剤はしばしば錠剤にとって非常に有用である。他の固体組成物もまた、ゼラチンカプセル剤中の充填剤として使用され得る;これとの関連で好ましい材料として、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。水性懸濁液剤および/またはエリキシル剤が経口投与のために望まれる場合には、結晶性塩を、種々の甘味剤または香味剤、着色物質または染料と、所望により、乳化剤および/または懸濁化剤と共に、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよび種々のこれらの混合物などの希釈剤と一緒に、組み合わせることができる。本発明の医薬組成物は、結晶性塩が投与後一定期間にわたって放出されるように製剤化することができる。
本発明の結晶性塩を、薬学的に許容される添加剤と、必要に応じて、追加の活性成分と共に含む、そのような医薬組成物を調製することは、当技術分野で公知の任意の従来技術によって行うことができる。
一実施形態では、医薬組成物中に存在する結晶性塩は、該組成物全体に対して約0.01〜約90重量%である。結晶性塩の適切な治療有効量は、典型的には、約0.01mg/kg〜約1g/kg体重/日の範囲であろう;別の実施形態では、約1mg/kg〜約600mg/kg体重/日;別の実施形態では、約1mg/kg〜約250mg/kg体重/日;別の実施形態では、約10mg/kg〜約400mg/kg体重/日;別の実施形態では、約10mg/kg〜約200mg/kg体重/日;別の実施形態では、約10mg/kg〜約100mg/kg体重/日;別の実施形態では、約10mg/kg〜約25mg/kg体重/日;別の実施形態では、約1mg/kg〜約10mg/kg体重/日;別の実施形態では、約0.001mg/kg〜約100mg/kg体重/日;別の実施形態では、約0.001mg/kg〜約10mg/kg体重/日;および別の実施形態では、約0.001mg/kg〜約1mg/kg体重/日。特定の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物が経口的に投与される場合、結晶性塩の適切な治療有効量は、約0.01〜約100mg/kgレシピエント体重/日、好ましくは約0.1〜約50mg/kgレシピエント体重/日、より好ましくは約0.1〜約20mg/kgレシピエント体重/日、さらに好ましくは約0.1〜約10mg/kgレシピエント体重/日である。望ましい用量は、1日1回、または数回の分割用量、例えば2〜5回の分割用量により、1日を通して適当な間隔で、または他の適切なスケジュールで、投与することができる。
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される添加剤」には、限定するものではないが、以下の1つ以上が含まれる:ポリマー、樹脂、可塑剤、充填剤、滑沢剤、希釈剤、結合剤、崩壊剤、溶媒、共溶媒、界面活性剤、緩衝系、防腐剤、甘味剤、香味剤、医薬グレードの染料または顔料、キレート剤、粘度調整剤、およびこれらの組み合わせ。薬学的に許容される添加剤は、剤形、すなわち核錠またはコーティング、を製造する際の任意の構成成分中で使用され得る。本明細書でとりわけ有用な香味剤ならびに染料および顔料には、限定するものではないが、Handbook of Pharmaceutical Excipients(第4版, Pharmaceutical Press 2003)に記載のものが含まれる。適切な共溶媒としては、限定するものではないが、エタノール、イソプロパノール、アセトン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。適切な界面活性剤としては、限定するものではないが、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル、スクロースモノエステル、シメチコンエマルジョン、ラウリル硫酸ナトリウム、Tween 80(登録商標)、およびラノリンエステル、エーテル、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。適切な防腐剤としては、限定するものではないが、フェノール、パラヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、安息香酸とその塩、ホウ酸とその塩、ソルビン酸とその塩、クロルブタノール、ベンジルアルコール、チメロサール、酢酸および硝酸フェニル水銀、ニトロメルゾール、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。適切な充填剤としては、限定するものではないが、デンプン、ラクトース、スクロース、マルトデキストリン、および微結晶性セルロースが挙げられる。適切な可塑剤としては、限定するものではないが、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、フタル酸ジブチル、ヒマシ油、アセチル化モノグリセリド、トリアセチン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。適切なポリマーとしては、限定するものではないが、エチルセルロース、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、Eudragit(登録商標)L 30-D、Eudragit(登録商標)L 100-55、Eudragit(登録商標)F530DおよびEudragit(登録商標)S 100(Rohm Pharma GmbH and Co. KG, Darmstadt, ドイツ)、Acryl-EZE(登録商標)およびSureteric(登録商標)(Colorcon社, West Point, ペンシルベニア州)、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。適切な滑沢剤としては、限定するものではないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
本明細書で使用される用語「追加の活性成分」には、前記医薬組成物により治療される疾患を治療する、予防する、またはその症状を軽減することが当技術分野で知られている任意の薬剤が含まれる。このような薬剤には、限定するものではないが、細菌感染症および炎症性皮膚疾患を治療する、予防する、またはその症状を軽減することが知られている薬剤が含まれる。本発明の医薬組成物が消化性潰瘍の治療に用いられる一実施形態では、追加の活性成分として、限定するものではないが、プロトンポンプ阻害剤および/またはビスマスが挙げられる。消化性潰瘍を治療するためのさらなる薬剤は、Bertram G. Katzung, “Basic and Clinical Pharmacology,” 1064-68 (第8版, 2001)に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
特定の実施形態では、医薬組成物は、細菌感染症、例えばメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA、例えばMRSA-CAおよびMRSA-HA)、ヘリコバクター・ピロリ、クラミジア・トラコマチス、クラミジア・ニューモニエ、またはそのような感染症に関連した疾患(例えば、消化性潰瘍およびクラミジア)の治療に使用するための、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドのモノ塩酸塩および薬学的に許容される添加剤を含有する。別の実施形態では、医薬組成物は、細菌感染症、例えばメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA、例えばMRSA-CAおよびMRSA-HA)、ヘリコバクター・ピロリ、クラミジア・トラコマチス、クラミジア・ニューモニエ、またはそのような感染症に関連した疾患(例えば、消化性潰瘍およびクラミジア)の治療に使用するための、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドのモノメシル酸塩および薬学的に許容される添加剤を含有する。さらなる実施形態では、医薬組成物は、細菌感染症、例えばメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA、例えばMRSA-CAおよびMRSA-HA)、ヘリコバクター・ピロリ、クラミジア・トラコマチス、クラミジア・ニューモニエ、またはそのような感染症に関連した疾患(例えば、消化性潰瘍およびクラミジア)の治療に使用するための、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドのモノ硫酸塩および薬学的に許容される添加剤を含有する。
以下の実施例は、好ましい実施形態のいくつかにおいて本発明の実施を例示するものである。特許請求の範囲内の他の実施形態は、当業者には明らかであろう。
以下の実施例は、本明細書に記載される化合物の合成を例示する。
(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミド(「遊離塩基」)の合成
Figure 2015517524
N,N-ジメチルアセトアミド(15mL)中の7-ホルミルサンサイクリンTFA塩(2.23g)とN,O-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(780mg)の溶液を、アルゴン雰囲気下に室温で10分間撹拌した。この溶液にシアノ水素化ホウ素ナトリウム(302mg)を添加した。この溶液を5分間撹拌して、LC-MSによってモニタリングした。反応混合物をジエチルエーテルの中に注ぎ、生じた沈殿物を真空下でろ過により集めた。この粗生成物を、C18カラム(20mMトリエタノールアミン水溶液中の10〜40%アセトニトリルの直線勾配、pH7.4)を用いた分取HPLCにより精製した。分取HPLCの画分を集めて、有機溶媒(アセトニトリル)を減圧下で蒸発させた。得られた水性溶液をクリーンなPDVB SPEカラムにロードし、蒸留水で洗浄し、次に0.1M酢酸ナトリウム溶液、続いて蒸留水で洗浄した。生成物をアセトニトリルで溶出させた。溶出液を減圧下で濃縮すると、385mgが遊離塩基として得られた。
(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸の結晶性モノ塩酸塩(「結晶性モノ塩酸塩」)の合成
Figure 2015517524
粗製の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミド(100g, 含量約35%)を分取カラムクロマトグラフィーで精製した。目的の画分(8〜10リットル)を一緒に合わせて、水酸化アンモニウムを用いてpHを7.0〜7.5に調整した。この水性溶液をジクロロメタンで3回抽出した(各回4リットル)。ジクロロメタン相を一緒に合わせて、減圧下で濃縮した。残留物をエタノール(800ml)中に懸濁させ、20mlの水を加えた。メタノール中の1.25M塩酸を用いてpHをpH1.6〜1.3に徐々に調整し、その混合物を20〜60分間撹拌した。この時点で遊離塩基は完全に溶解した。その溶液を200〜250mlへと減圧下で濃縮し、(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミド・モノHCl結晶(100〜200mg)を種晶として加えた。スラリーを≦5℃に保ちながら、撹拌を2〜18時間続けた。得られた結晶をろ過し、エタノール(50mL)で洗浄し、一定の重量になるまで減圧下で乾燥させた。20gの結晶性(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミド・モノ塩酸塩が純度≧90%、含量≧90%で単離された。
(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸の結晶性モノメシル酸塩(「結晶性メシル酸塩」)の合成
(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミド遊離塩基(74mg)をエタノール(740μl)中に懸濁させ、撹拌しながら60℃(浴温度)に加熱した。メタンスルホン酸(1.1当量, 1M THF溶液として167μl)を加えたところ、固体のほとんどが溶解した。5分後、この懸濁液を(油浴で制御しないで)約1.75時間かけて周囲温度にまで冷やした。53℃までに固体が沈殿し、これを減圧下に周囲温度でろ過した。この懸濁液は粘性であったので、ろ過を助けるために追加のエタノール(200μl)を加えた。ケーキをn-ヘキサン(400μl)で洗浄し、フィルター上で約30分間空気乾燥させると、59mg(収率67%)の黄色の固体が得られた。
(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸の結晶性モノ硫酸塩(「結晶性硫酸塩」)の合成
(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミド遊離塩基(86mg)をエタノール(500μl)中に懸濁させ、撹拌しながら63℃(浴温度)に加熱した。この温度で遊離塩基の大部分が溶解した。硫酸(1.1当量, 1M水溶液として194μl)を加えたところ、全部の固体が溶解した。この溶液を(油浴で制御しないで)約1.75時間かけて周囲温度にまで冷やした。この温度では固体はまったく析出してこなかった。メチルt-ブチルエーテル(MtBE)を貧溶媒(4×50μl)として添加した。各添加は曇り点を生じさせたが、撹拌すると固体は再溶解した。この溶液をストッパーで約3時間撹拌した後に固体が析出した。その固体を減圧下にろ過し、MtBE (3×200μl)で洗浄し、フィルター上で約45分間空気乾燥させると、93mg(収率90%)の黄色の固体が得られた。
(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの非晶質ビス塩酸塩の合成
(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミド遊離塩基(1g)をメタノール(50mL)中に懸濁させた。過剰のメタノール性HClを加えることによって遊離塩基を塩酸塩に変換し、続いて減圧下で蒸発させたところ、1.1gの黄色の固体が得られた:MS (Mz+1 = 488). 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.46 (d, 1H, J = 8.6 Hz), 6.81 (d, 1H, J = 8.6 Hz), 4.09 (d, 1H, J = 1.0 Hz), 3.79 (d, 1H, J = 13.1 Hz), 3.73 (d, 1H, J = 13.1 Hz), 3.36 (m, 1H), 3.27 (s, 3H), 3.08-2.95 (8H), 2.61 (s, 3H), 2.38 (t, 1H, J = 14.8), 2.22 (m, 1H), 1.64 (m, 1H)。XRPDパターンは図10に示されており、TGAおよびDSC曲線は重ね合わせて図11に示されている。
(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドの非晶質モノ塩酸塩の合成
結晶性モノ塩酸塩のサンプル(2.09g)を水(250ml, 120倍容)に溶解し、ろ過し、-78℃浴中で凍結させた。凍結乾燥機を用いて、固化したサンプルから水を110時間かけて除去すると、非晶質のモノ塩酸塩がフワフワした黄色の固体として得られ、これはXRPD解析により非晶質であることが確認された。
抗菌活性試験
結晶性モノ塩酸塩の抗菌活性は、本明細書に詳述される抗嫌気性菌活性および作用機序試験に従って評価した。
下記の試験では、サンプルはビス塩酸塩を用いて調製したものであり、データは遊離塩基(「活性物質」)に基づいて表されている。結晶性モノ塩酸塩の全体的な抗嫌気性菌活性は、37の代表的な嫌気性菌株に対する活性物質のin vitro試験から見ることができ、その結果を表1にまとめてある。活性物質は、P.アクネス(P. acnes)をはじめとする、グラム陽性菌の多くの種に対して比較的強力な活性(すなわち、4μg/mL以下の最小阻止濃度(MIC))を示した。全体として、活性物質の活性は、テトラサイクリンおよびドキシサイクリンの活性と同様であったが、ミノサイクリンの活性よりは劣った。活性物質について高いMIC値(MIC≧16μg/mL)を示した生物としては、ウエルシュ菌(C. perfringens)およびS.コンステラタス(S. constellatus)が挙げられる。
グラム陰性嫌気性菌に対するMIC値は表1に示される。テトラサイクリン耐性株は活性物質に交差耐性を示した。活性物質と他のテトラサイクリン類は、E.コロデンス(E. corrodens)およびフゾバクテリウム属菌種(Fusobacterium spp.)に対する強力な活性、P.メラニノゲニカ(P. melaninogenica)(2株のうちの1つ)およびV.パルブラ(V. parvula)に対する中程度の活性、P.アサッカロリティカ(P. asaccharolytica)に対する弱い活性を示した。
Figure 2015517524
Figure 2015517524
活性の抗菌スペクトル
活性物質の活性の抗菌スペクトルの評価は、種々のグラム陽性およびグラム陰性の好気性および嫌気性生物についてのin vitro MIC測定により、いくつかの試験で判定された。これらのアッセイの結果(表2に要約)から、活性物質は臨床的に使用されるテトラサイクリン類よりも狭い活性スペクトルで、プロピオン酸菌と他のグラム陽性菌に対する活性を明示したことが示される。テトラサイクリンに耐性の菌株は、活性物質に交差耐性を示す。各生物グループに対する活性は、表の後の本文中で説明される。
Figure 2015517524
Figure 2015517524
Figure 2015517524
Figure 2015517524
Figure 2015517524
Figure 2015517524
Figure 2015517524
Figure 2015517524
クラミジア・トラコマチスに対する活性
下記の試験では、サンプルは結晶性モノ塩酸塩を用いて調製したものであり、データは遊離塩基(「活性物質」)に基づいて表されている。クラミジア・トラコマチスに対する該化合物のin vitro活性を、アジスロマイシン、レボフロキサシン、およびドキシサイクリンのそれと比較した。in vitro感受性試験はHEp-2細胞で実施した。C.トラコマチスの菌株の90%が阻止される活性物質のMIC(MIC90)は、0.125μg/mL(範囲0.06〜0.125μg/mL)であった。菌株の90%が阻止される最小殺菌濃度(MBC90)も0.125μg/mLであった。これらのデータは、比較薬剤から得られたデータと類似していた(アジスロマイシン、レボフロキサシンおよびドキシサイクリンのMIC90は、それぞれ0.015、0.25および0.125μg/mLであった)。MICは、試験した分離株の地理的分布に関係なく、分離株間で非常に一致していた。
ヘリコバクター・ピロリ(H.ピロリ)に対する活性
下記の試験では、サンプルは結晶性モノ塩酸塩を用いて調製したものであり、データは遊離塩基(「活性物質」)に基づいて表されている。H.ピロリのさまざまな菌株に対する該化合物のin vitro活性をアモキシシリン、テトラサイクリンおよびメトロニダゾールのそれと比較した(表3参照)。活性物質は、試験した菌株に対して一致した活性を示し、すべての試験菌株を8μg/mL以下で阻止し、13のうち12の菌株は1〜2μg/mLで阻止された。臨床分離株については、MIC90値は2μg/mLであった。活性物質は3種の比較薬剤よりも一般的に低い活性であった;しかしながら、活性のレベルは、経口投与後に上部消化管で達成され得る薬物レベルを考慮すると、顕著である。
Figure 2015517524
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対する活性
下記の試験では、サンプルは結晶性モノ塩酸塩を用いて調製したものであり、データは遊離塩基(「活性物質」)に基づいて表されている。メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)、院内感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA-HA)または市中感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA-CA)のさまざまな菌株に対する該化合物のin vitro活性を、MRSAの治療によく用いられる経口抗菌剤であるドキシサイクリン、オキサシリン、クリンダマイシン、リネゾリド、およびトリメトプリム/スルファメトキサゾール(TMP/SXT)の組み合わせのそれと比較した。MICの結果を表4にまとめてある。活性物質はMSSAに対して非常に活性であり、0.25〜16μg/mLのMIC範囲、0.25μg/mLのMIC50、および1μg/mLのMIC90を示した;これらの値はドキシサイクリンおよびオキサシリンのそれに類似していた。ドキシサイクリン耐性MSSAの単一の菌株(8μg/mLのDOX MIC)はまた、活性物質に対しても上昇したMIC(16μg/mL)を有していた。活性物質は、MSSAに対してTMP/SXTよりも活性が低かったが、クリンダマイシンまたはリネゾリドよりも活性であった。試験生物のすべてがリネゾリドに感受性であった。
活性物質は、ドキシサイクリンと同等の、MRSA-HAに対する強力な活性を示し、MIC50およびMIC90値が、それぞれ0.25μg/mLおよび0.5μg/mLであった。活性物質はTMP/SXTよりも活性が低く、残りの比較薬剤よりも活性であった。生物のすべてがリネゾリドに感受性であった。
最後に、活性物質はMRSA-CAに対する強力な活性を示し、ドキシサイクリンおよびクリンダマイシンのMIC90と類似する0.5μg/mLのMIC90値を有していた。ドキシサイクリン耐性MRSA-CAの単一の菌株(8μg/mLのDOX MIC)はまた、活性物質に対しても上昇したMIC(8μg/mL)を有していた。活性物質はTMP/SXTよりも活性が低かったが、オキサシリンおよびリネゾリドよりも活性であった。試験生物のすべてがリネゾリドに感受性であった。
Figure 2015517524
クラミジア・トラコマチスおよびクラミジア・ニューモニエに対する活性
この試験では、サンプルは結晶性モノ塩酸塩を用いて調製したものであり、データは遊離塩基(「活性物質」)に基づいて表されている。クラミジア・トラコマチス(C.トラコマチスともいう)およびクラミジア・ニューモニエ(C.ニューモニエともいう)の10分離株に対する活性物質のin vitro活性を試験して、3種の比較薬剤:レボフロキサシン、アジスロマイシンおよびドキシサイクリンの活性と比較した。
この試験では次の材料を使用した:
1. クラミジア分離株
・ C.トラコマチスの分離株には、ATCC(登録商標)からの標準分離株:D-UW-57Cx (VR-878)、E-BOUR (VR-348B)、F-IC-CAL3 (VR-346)、H-UW-43Cx (VR-879)、I-UW-12Ur (VR-880)、J-UW-36Cx (VR-886)、L2-434 (VR-902B)および臨床分離株N18(子宮頚部)、N19(子宮頚部)、7015(幼児の目)が含まれていた。
・ 試験したC.ニューモニエの分離株には、ATCCからの標準分離株由来の5分離株:TW 183、AR 39 (53592)、CM-1 (VR-1360)、T 2040、および米国のヒト免疫不全ウイルス感染患者と肺炎患者から得られた気管支肺胞洗浄試料からの6分離株(BAL15、BAL16、BAL 18、BAL 19、BAL 37、BAL 62)が含まれていた。
2. HEp2細胞:ATCC(登録商標)[Manassas, VA] ATCC(登録商標)番号: CCL-23(商標) ロット# 58978772
3. 抗生物質
a. 活性物質
b. Sigma-Aldrich(登録商標)社製の3種の比較薬剤
i. レボフロキサシン カタログ番号28266-1G-F ロット# BCBF7004V
ii. ドキシサイクリン カタログ番号D9891-1G ロット# BCBD5187V
iii. アジスロマイシン カタログ番号75199-25MG-F ロット# E446421/1V
4. L-グルタミンとフェノールレッドを含むIMDM:Gibco(登録商標)社カタログ番号12440-061 ロット# 1153614
5. FBS:Gibco(登録商標)社カタログ番号10438-026 ロット# 1140649
6. シクロヘキシミド:Sigma-Aldrich(登録商標)社カタログ番号C4859 ロット# 090M4009
7. PBS:Gibco(登録商標)社カタログ番号10010-072 Gibco社ロット# 1144930
8. Pathfinder(登録商標)クラミジア培養確認システム(Chlamydia Culture Confirmation System):Biorad(登録商標)社カタログ番号30701 ロット# 109515
活性物質、アジスロマイシン、レボフロキサシン、およびドキシサイクリンは、粉末として提供され、メーカーの使用説明書に従って可溶化した。1280μg/mlのストック溶液を作り、-80℃で凍結した。アッセイを実施するたびにストック薬物懸濁液のアリコートを希釈した。クラミジア分離株は、抗生物質が含まれていない培地を用いる組織培養での連続継代により107〜108封入体形成単位(inclusion-forming unit: IFU)/mlの濃度へと増殖させた。分離株を500rpmで遠心分離にかけて細胞破片を沈降させることにより精製した。クラミジア含有上清を17,000×gで1時間ペレット化した。次に、クラミジアを含むペレットを、スクロース・リン酸・グルタミン酸培地(SPG)中に再懸濁させて、不連続レノグラフィン勾配を通して遠心分離した。SPGは、スクロース(250mM)、グルタミン酸(5mM)、リン酸ナトリウム(10mM)、および20%ウシ胎児血清で構成され、7.4のpHを有する。その後、クラミジア基本小体(elementary body: EB)を含むバンドを3回洗浄して、SPG中に再懸濁させた。このEB懸濁液をHEp-2細胞において力価測定する。
C.ニューモニエとC.トラコマチスの感受性試験は、96ウェルマイクロタイタープレートで増殖させたHEp-2細胞を用いる細胞培養で行った。各ウェルに、104封入体形成単位/mlとなるように希釈した試験菌株0.2mlを接種した;このプレートを1,700×gで1時間遠心分離し、35℃で1時間インキュベートした。次に、ウェルを吸引し、1μg/mlのシクロヘキシミドを含む培地および試験薬物の連続2倍希釈物を重層した。35℃で72時間インキュベートした後、培養物を固定して、クラミジアリポ多糖体の属特異的抗原に対するフルオレセイン結合抗体を用いて封入体について染色した(Pathfinder; Biorad社, Redmond, ワシントン州)。最小阻止濃度(MIC)は、封入体が見られなかった最低の抗生物質濃度とした。最小殺菌濃度(MBC)は、抗生物質含有培地を吸引し、ウェルをリン酸緩衝生理食塩水で2回洗浄し、抗生物質不含培地を添加することによって測定した。感染細胞を-70℃で凍結し、解凍し、新しい細胞に継代し、72時間インキュベートし、その後上記のように固定して染色した。MBCは、継代後に封入体を形成させない最低の抗生物質濃度とした。すべての試験を2つ組で行った(Roblin, P.M. et al., “In vitro activity of CEM-101, a new fluoroketolide antibiotic, against Chlamydia trachomatis and Chlamydia (Chlamydophila) pneumonia,” Antimicrob Agents Chemother., Vol. 54, No. 3, pp. 1358-1359 (2010))。この試験のC.トラコマチスとC.ニューモニエについてのMICおよびMIB結果は、表5および6に示されている。
Figure 2015517524
Figure 2015517524
活性物質について、C.トラコマチスの分離株の90%が阻止されたMICは、0.125μg/ml(範囲0.03〜0.125μg/ml)であった。C.ニューモニエの分離株のMIC90は、0.5μg/ml(範囲0.125〜0.5μg/ml)であった。分離株の90%が活性物質によって死滅した最小殺菌濃度(MBC90)は、C.トラコマチスについて0.125μg/ml(範囲0.03〜0.125μg/ml)であり、C.ニューモニエについて0.25μg/ml(範囲0.125〜0.5μg/ml)であった。レボフロキサシン、ドキシサイクリン、およびアジスロマイシンのMBC90は、それぞれ2、0.5、および0.25μg/mlであった。
したがって、これらの結果は、C.トラコマチスとC.ニューモニエに対する活性物質のin vitro活性がドキシサイクリンに匹敵していたことを示している。
作用機序
下記の試験では、サンプルはビス塩酸塩を用いて調製したものであり、データは遊離塩基(「活性物質」)に基づいて表されている。結晶性モノ塩酸塩の作用機序は、以下に記載されるように、活性物質の試験を介して2つの異なるアプローチによって決定した。
第1のアプローチである「抗菌作用機序:細菌の転写および翻訳のin vitro阻害」では、細菌のタンパク質合成を阻害する活性物質の能力がin vitro細胞フリー細菌転写・翻訳アッセイ(Promega社(Madison, ウィスコンシン州)から販売されている)を用いて評価された(Beckler, G., Promega Notes 31 (1991) pp. 3-6)。活性物質は、8.3±0.18μMのIC50でレポータータンパク質の合成を阻害した。この値は、比較薬剤テトラサイクリン、ドキシサイクリンおよびミノサイクリンについて測定されたIC50値(それぞれ4.7±0.48および2.4±0.22μMのIC50値)に匹敵していた。これらの結果は、活性物質が細菌のタンパク質合成を阻害することによって古典的なテトラサイクリンとして機能するという証拠を提供する。
第2のアプローチである「抗菌作用機序:黄色ブドウ球菌における巨大分子合成の阻害」では、細菌のタンパク質合成を標的とする活性物質の能力が、グラム陽性菌である黄色ブドウ球菌における巨大分子合成の全細胞アッセイでさらに確認された。活性物質は、増殖中の生物のタンパク質への[3H]-ロイシンの取り込みをMICの0.25〜8倍(0.063〜2μg/mL)の濃度範囲内で、用量依存的に、阻害した。80%の最大阻止はMICの8倍で観察され、これはテトラサイクリン比較薬剤のドキシサイクリンおよびミノサイクリンについて観察された値に匹敵していた。対照的に、MICの8倍の活性物質は、試験細菌の細胞壁、DNA、RNAおよび脂質成分の合成について20%未満の阻害を示した。この試験の結果は、活性物質が公知のテトラサイクリン類に匹敵する濃度で細菌のタンパク質合成の選択的阻害剤として作用することを示している。
上記のin vitro感受性試験には、特性評価されたテトラサイクリン耐性遺伝子を有するテトラサイクリン耐性株が含まれていた。菌株は、最も普通に見られるテトラサイクリン耐性遺伝子:排出(efflux)(tetK、tet38、tetL、tetS、tetB、およびtetD)、リボソームの保護(tetMおよびtetO)を保有するもの、ならびにrRNA点変異により耐性のP.アクネスが選択された。これらの選択菌株についてのMIC値は、表7に示されるように、活性物質と他のテトラサイクリン類とのある程度の交差耐性を示した。テトラサイクリン耐性遺伝子の存在は、(黄色ブドウ球菌におけるtetKを除いて)感受性株と比較して活性物質のMICを増加させ、そのMIC値はドキシサイクリンおよび/またはミノサイクリンのそれと同様であったが、テトラサイクリンのそれよりも一般に低かった。
Figure 2015517524
本明細書に開示された好ましい実施形態の多数の変更、修飾、および変形は当業者には明らかであろう。それらはすべて、特許請求された本発明の精神および範囲内であると予想され、かつ考えられる。例えば、特定の実施形態が詳細に説明されているが、当業者であれば、前述の実施形態および変形形態はさまざまなタイプの代用の、追加の、または代替の材料を組み込むために改変され得ることが理解されよう。したがって、本発明のほんのわずかな変形形態しか本明細書に記載されていないとしても、そのような追加の変更および変形形態ならびにそれらの均等形態の実施は、以下の特許請求の範囲に定義される本発明の精神および範囲内にあることが理解されるべきである。本明細書に引用された全ての特許出願、特許および他の刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。

Claims (23)

  1. メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)感染症を治療するための方法であって、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法。
  2. 薬学的に許容される塩が結晶性モノ塩酸塩、結晶性モノメシル酸塩、および結晶性モノ硫酸塩からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  3. 前記塩がモノ塩酸塩である、請求項2記載の方法。
  4. 前記塩がモノメシル酸塩である、請求項2記載の方法。
  5. 前記塩がモノ硫酸塩である、請求項2記載の方法。
  6. MRSAが市中感染型MRSA(MRSA-CA)および院内感染型MRSA(MRSA-HA)から選択される、請求項1記載の方法。
  7. 消化性潰瘍を治療するための方法であって、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法。
  8. 薬学的に許容される塩が結晶性モノ塩酸塩、結晶性モノメシル酸塩、および結晶性モノ硫酸塩からなる群より選択される、請求項7記載の方法。
  9. 前記塩がモノ塩酸塩である、請求項8記載の方法。
  10. 前記塩がモノメシル酸塩である、請求項8記載の方法。
  11. 前記塩がモノ硫酸塩である、請求項8記載の方法。
  12. 前記方法が対象者に少なくとも1種の追加の活性成分を投与することをさらに含む、請求項7記載の方法。
  13. 少なくとも1種の追加の活性成分がプロトンポンプ阻害剤およびビスマスから選択される、請求項12記載の方法。
  14. ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染症を治療するための方法であって、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法。
  15. 薬学的に許容される塩が結晶性モノ塩酸塩、結晶性モノメシル酸塩、および結晶性モノ硫酸塩からなる群より選択される、請求項14記載の方法。
  16. 前記塩がモノ塩酸塩である、請求項15記載の方法。
  17. 前記塩がモノメシル酸塩である、請求項15記載の方法。
  18. 前記塩がモノ硫酸塩である、請求項15記載の方法。
  19. クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)感染症を治療するための方法であって、対象者に、治療有効量の(4S,4aS,5aR,12aS)-4-ジメチルアミノ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-7-[(メトキシ(メチル)アミノ)-メチル]-1,11-ジオキソ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボン酸アミドまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法。
  20. 薬学的に許容される塩が結晶性モノ塩酸塩、結晶性モノメシル酸塩、および結晶性モノ硫酸塩からなる群より選択される、請求項19記載の方法。
  21. 前記塩がモノ塩酸塩である、請求項20記載の方法。
  22. 前記塩がモノメシル酸塩である、請求項20記載の方法。
  23. 前記塩がモノ硫酸塩である、請求項20記載の方法。
JP2015512752A 2012-05-14 2013-05-14 (4S,4aS,5aR,12aS)−4−ジメチルアミノ−3,10,12,12a−テトラヒドロキシ−7−[(メトキシ(メチル)アミノ)−メチル]−1,11−ジオキソ−1,4,4a,5,5a,6,11,12a−オクタヒドロ−ナフタセン−2−カルボン酸アミドの使用方法 Pending JP2015517524A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201261646754P 2012-05-14 2012-05-14
US61/646,754 2012-05-14
PCT/US2013/040933 WO2013173326A1 (en) 2012-05-14 2013-05-14 Methods of using (4s,4as,5ar,12as)-4- dimethylamino-3,10,12,12a-tetrahydroxy-7-[(methoxy(methyl)amino)-methyl]-1,11-dioxo-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-octahydro-naphthacene-2-carboxylic acid amide

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015517524A true JP2015517524A (ja) 2015-06-22
JP2015517524A5 JP2015517524A5 (ja) 2016-06-30

Family

ID=49548796

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015512752A Pending JP2015517524A (ja) 2012-05-14 2013-05-14 (4S,4aS,5aR,12aS)−4−ジメチルアミノ−3,10,12,12a−テトラヒドロキシ−7−[(メトキシ(メチル)アミノ)−メチル]−1,11−ジオキソ−1,4,4a,5,5a,6,11,12a−オクタヒドロ−ナフタセン−2−カルボン酸アミドの使用方法

Country Status (6)

Country Link
US (1) US20130302442A1 (ja)
EP (1) EP2849757A4 (ja)
JP (1) JP2015517524A (ja)
AU (1) AU2013262991A1 (ja)
CA (1) CA2873412A1 (ja)
WO (1) WO2013173326A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3574908B8 (en) * 2011-05-12 2024-09-11 Almirall LLC Pharmaceutical composition for oral administration comprising crystalline salts of (4s, 4as, 5ar, 12as)-4-dimethylamino-3,10,12,12a-tetrahydroxy-7-[(methoxy(methyl)amino)-methyl]-1,11-dioxo-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-octahydro-naphthacene-2carboxylic acid amide
ES2959665T3 (es) * 2015-03-24 2024-02-27 Paratek Pharm Innc Compuestos de minociclina para biodefensa
AU2019248350B2 (en) * 2018-04-06 2023-07-27 Almirall, Llc Process for making sarecycline hydrochloride

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0375068A1 (en) * 1988-12-23 1990-06-27 Gist-Brocades N.V. Combining bismuth compounds and tetracyclines
JP2007524693A (ja) * 2004-02-20 2007-08-30 ザ バーナム インスティチュート 抗菌性の糖質及びそれを用いた方法
JP2010513527A (ja) * 2006-12-21 2010-04-30 パラテック ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド 細菌感染、ウイルス感染、および寄生虫感染の治療のためのテトラサイクリン誘導体
WO2011025982A2 (en) * 2009-08-28 2011-03-03 Tetraphase Pharmaceuticals, Inc. Tetracycline compounds
WO2012021829A1 (en) * 2010-08-12 2012-02-16 Tetraphase Pharmaceuticals, Inc. Methods of treating bacterial infections

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
LT2120963T (lt) * 2006-12-21 2019-01-10 Paratek Pharmaceuticals, Inc. Pakeistieji tetraciklino junginiai uždegiminių odos ligų gydymui
EP3574908B8 (en) * 2011-05-12 2024-09-11 Almirall LLC Pharmaceutical composition for oral administration comprising crystalline salts of (4s, 4as, 5ar, 12as)-4-dimethylamino-3,10,12,12a-tetrahydroxy-7-[(methoxy(methyl)amino)-methyl]-1,11-dioxo-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-octahydro-naphthacene-2carboxylic acid amide

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0375068A1 (en) * 1988-12-23 1990-06-27 Gist-Brocades N.V. Combining bismuth compounds and tetracyclines
JP2007524693A (ja) * 2004-02-20 2007-08-30 ザ バーナム インスティチュート 抗菌性の糖質及びそれを用いた方法
JP2010513527A (ja) * 2006-12-21 2010-04-30 パラテック ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド 細菌感染、ウイルス感染、および寄生虫感染の治療のためのテトラサイクリン誘導体
WO2011025982A2 (en) * 2009-08-28 2011-03-03 Tetraphase Pharmaceuticals, Inc. Tetracycline compounds
WO2012021829A1 (en) * 2010-08-12 2012-02-16 Tetraphase Pharmaceuticals, Inc. Methods of treating bacterial infections

Also Published As

Publication number Publication date
AU2013262991A1 (en) 2014-12-04
CA2873412A1 (en) 2013-11-21
EP2849757A1 (en) 2015-03-25
WO2013173326A1 (en) 2013-11-21
EP2849757A4 (en) 2015-11-18
US20130302442A1 (en) 2013-11-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6876082B2 (ja) (4s,4as,5ar,12as)−4−ジメチルアミノ−3,10,12,12a−テトラヒドロキシ−7−[(メトキシ(メチル)アミノ)−メチル]−1,11−ジオキソ−1,4,4a,5,5a,6,11,12a−オクタヒドロ−ナフタセン−2−カルボン酸アミドの結晶塩及びそれを使用する方法
JP2017533187A (ja) 非β−ラクタム系抗生物質
US9302012B2 (en) Anti-bacterial siderophore-aminopenicillin conjugates
JP2015517524A (ja) (4S,4aS,5aR,12aS)−4−ジメチルアミノ−3,10,12,12a−テトラヒドロキシ−7−[(メトキシ(メチル)アミノ)−メチル]−1,11−ジオキソ−1,4,4a,5,5a,6,11,12a−オクタヒドロ−ナフタセン−2−カルボン酸アミドの使用方法
TWI815820B (zh) 2-(5-(4-(2-嗎啉乙氧基)苯基)吡啶-2-基)-n-芐乙醯胺之固態形式
JP2011528354A (ja) 抗生物質
US20160368878A1 (en) Reduction-triggered antibacterial sideromycins
US9862680B2 (en) Peripherally substituted monocyclic beta-lactams
US10717757B2 (en) Ketolides having antibacterial activity
WO2011085606A1 (zh) 用于抗感染的普卢利沙星的光学活性化合物和制备方法
KR20030027094A (ko) 신규 에스테르 또는 아미드 유도체
US10888566B1 (en) Chemosensitization of resistant Pseudomonas aeruginosa by synthetically related compounds
JP2024522985A (ja) 環状ペプチド抗生物質
JP2014503578A (ja) Mdrポンプ阻害活性を有する新規なアザクマリン誘導体
JPH08104638A (ja) Il−5産生抑制剤

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7426

Effective date: 20150515

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20150515

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160513

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160513

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170228

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20171003