JP2015188195A - 万能スピーカ - Google Patents

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【課題】音声信号の電気エネルギーから変換された運動エネルギーを一つ以上の振動板に効率良く伝え、より音量が高く鮮明な放音によって難聴者と健聴者とが不自由なく共に聞き取ることができる万能スピーカを提供する。【解決手段】本発明の万能スピーカ10は、平板状をした振動板1と、入力された電気信号に応じて振動板を振動させるドライバユニット2と、振動板とドライバユニットとを収容する中空構造の筐体3と、を少なくとも備える。筐体は、一面に開口部39を有し、ドライバユニットは、振動板の面方向と同じ方向に駆動するように振動板の端縁部と当接し、かつ、筐体に固定して取り付けられている。また、振動板は、ドライバユニットが取り付けられた一端1a側から対向する他端1b側へ向かうにしたがって湾曲する曲面部を形成し、筐体の開口部を被覆するように配されている。【選択図】図2

Description

本発明は、難聴者と健聴者とが共に聞き取ることができる万能スピーカに係り、詳しくは、難聴者が補聴器をつけることなく健聴者と共に聞き取ることができる万能スピーカに関する。
「音」は、物体の振動が空気などの物質の中を伝わってきたものであり、人間が耳という聴覚器官で感知できるものとされている。つまり、音は振動している物体から生じ、空気を媒介として音が伝わる場合、物体が振動することで近くの空気が押されてその部分だけ空気が濃くなり、空気の濃い部分が近くの空気をさらに押して空気の濃い部分が移っていくことで耳に届く。そして、耳に届いた空気が耳の中の鼓膜を振動させ、この振動の信号が脳に伝わり、脳が音として判断して音が聞こえるものとなる。
このように音は、空気中の気体の分子が押されたり引かれたりして振れる方向、すなわち、進行方向と同じ向きに振れる縦波として進む。また、音が伝わるときには、空気の薄い部分(疎)と濃い部分が(密)が交互に波として伝わることで、この縦波は「疎密波(粗密波)」とも呼ばれている。
一般的な音響機器に組み込まれているスピーカは、ダイナミック型のスピーカユニットが多く、このスピーカユニットは、ドーナツ型をしたマグネット(永久磁石)と、このマグネットの内側の穴にあたる円筒形の空間に挿入されたボイスコイルと、このボイスコイルに取り付けられた円錐形に成形した振動板(コーン)とを少なくとも備えている。このようなスピーカでは、ボイスコイルに音声信号が流れると、その波形に合わせてボイスコイルが前後方向に振動し、ボイスコイルに取り付けられた振動板が一緒に振動することで、音声信号と等しい波形の縦波を発生して放音するものとなっている。
また、平板状をした振動板(平面振動板)が矩形のフレームに振動可能なように固定されている平面形スピーカも知られており、このような平面形スピーカは、平面振動板の振動によって空気を広い面積で平行に押して疎密波(縦波)を作り出し、放音するものである(たとえば、特許文献1を参照)。
一方で近年、加齢が原因とする老人性難聴や、外耳や中耳、内耳、蝸牛神経等に障害を有する器質性難聴、ストレスを要因とした機能性難聴、といった聴覚障害者が増えてきており、国内の難聴者の数は2,000万人ともいわれている。難聴の場合、音が聞こえなくなるだけでなく、聞こえた音であっても鮮明に聞き分けることが難しくなり、相手の言葉に反応出来なかったり、会話の内容がよくわかっていないのに返事をしてしまって相手に誤解を与えたり、途中で何度も聞き返すので会話が弾まなくなってしまったりすることがあり、スムーズなコミュニケーションができなくなることがある。そのため、難聴が原因で、知らず知らずのうちに人と話をするのが億劫になり人と会う機会が減ったり、外出しないで家に引きこもりがちになったりという現象が起き、社会からの孤立・疎外という問題が起きるおそれがあると言われている。
このような難聴の不便さを軽減する手段として、一般的に補聴器の使用がある。また、テレビを視聴する場合には、テレビのイヤホンジャックに接続して音声をFM電波で飛ばし、これを手持ちのFMラジオで受信してテレビの音声を取得するFMトランスミッタがある。
ところが補聴器は、「わずらわしい」「装着が恥ずかしい」といった理由であまり好んで使われておらず、仕方なく使っている場合が多い。また、補聴器には雑音も拾ってしまうものも少なくなく、却ってストレスが大きいものとなってしまう場合がある。
一方、FMトランスミッタを用いる場合、FMトランスミッタを準備し、テレビを視聴するたびにFMトランスミッタを設置しなければならないといった煩わしさがある。また、FMトランスミッタをイヤホンジャックに接続することで音声の出力先が切り替り、難聴者と健聴者とが共に不自由なくテレビを視聴することができないという問題がある。
ところで、音は粗密波(縦波)だけではなく、進行方向と垂直の向きに振れる横波も発生しているこがとが報告されている。この横波は、縦波と比較して音源からの距離による音の減衰が少なく、難聴の方にも聞こえる特徴がある。また、横波は、横波同士または横波と縦波との間で干渉は発生しないという特徴も有している。
そこで、難聴者が聞き取ることができる横波を発生するスピーカとして、中空構造の筐体と、筐体に収容したドライブユニットと、筐体の表面に平板を湾曲して立設した湾曲振動板とを具備し、ドライブユニットの振動板の振動を、湾曲振動板および筐体に伝えて、ドライブユニットの振動板、湾曲振動板および筐体より、放音するようにしたものが提案されている(たとえば、特許文献2を参照)。
しかしながら、上記特許文献2に記載されたスピーカは、ドライブユニットの振動板と筐体の表面に立設した湾曲振動板の二つの振動板を用い、ドライブユニットの振動板からは健聴者が聞くことのできる縦波を発生させ、湾曲振動板からは難聴者が聞くことのできる横波を発生させて、それぞれ放音するものとしている。ゆえに、上記特許文献2に記載されたスピーカは、一つの振動板によって難聴者と健聴者とが共に聞き取ることができるように放音可能としたものではない。
また、音量が高く鮮明な音を放射するためには、電気エネルギーから変換されたドライバの振動板を駆動する運動エネルギーを全て湾曲振動板側へ伝えることが理想である。ところが、上記特許文献2のスピーカは、音声信号の電気エネルギーから変換された運動エネルギーを湾曲振動板側へ伝える際に、エネルギーの伝達効率を低下させる種々の要因が存在している。そのため、上記特許文献2のスピーカでは、ドライブユニットの振動板の動き(振動)を効率良く湾曲振動板側へ伝えおらず、より音量が高く鮮明な放音をすることができないものと思料される。
すなわち、上記特許文献2のスピーカの場合、平板状をした湾曲振動板は起立棒によって保持されているものであることから、湾曲振動板が外力等の影響を受け易くエネルギーの伝達効率を低下させてしまうおそれが多分にあるものと思料される。また、ドライブユニットが筐体の上面に垂下状態で設置されていることから、ドライブユニットの設置は不安定なものとなっており、ドライバの振動板を駆動する運動エネルギーを湾曲振動板側へ十分に伝えることができないものと思料される。さらに、ドライブユニットを構成するフレームと振動板、及びフレームと磁気回路取付板とがそれぞれ固着されていることから、磁気回路取付板上に配設された磁気回路により生じたドライブユニットの振動板の動きが抑制されてしまうと共に、ドライブユニットの振動板の反動によって湾曲振動板側へ伝える運動エネルギーが低減(相殺)してしまうものと思料される。
特開昭62−278900号公報 特許第5393915号公報
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、音声信号の電気エネルギーから変換された運動エネルギーを一つの振動板に効率良く伝える技術を提供し、より音量が高く鮮明な放音によって難聴者と健聴者とが不自由なく共に聞き取ることができる万能スピーカを提供することを目的とする。
本発明に係る第一の万能スピーカは難聴者と健聴者とが共に聞き取ることができるものであって、平板状をした振動板と、入力された電気信号に応じて前記振動板を振動させるドライバユニットと、前記振動板と前記ドライバユニットとを収容する中空構造の筐体と、を少なくとも備え、前記筐体は、一面に開口部を有し、前記ドライバユニットは、前記振動板の面方向と同じ方向に駆動するように前記振動板の端縁部と当接し、かつ、前記筐体に固定して取り付けられ、前記振動板は、前記ドライバユニットが取り付けられた一端側から対向する他端側へ向かうにしたがって湾曲する曲面部を形成し、前記筐体の開口部を被覆するように配されていると共に、両側縁部が前記筐体に支持され、前記振動板の両側縁部は、前記筐体の左右の側板の内面にそれぞれ設けられた湾曲したスリット状のガイド凹部を用いて支持されていることを特徴とする。
また、本発明に係る第二の万能スピーカは、上記第一の万能スピーカにおいて、前記ガイド凹部内の上面及び下面に、振動板を部分的に点接触で支持するエッジ支持部材が多数配置されていることを特徴とする。
本発明に係る万能スピーカは、平板状をした振動板が、一端側から対向する他端側へ向かうにしたがって湾曲する曲面部を形成し、その面方向と同じ方向に駆動するように振動板の端縁部ドライバユニットと当接して取り付けられたものとなっている。ゆえに、音量が高く鮮明な放音をすることができるものとなる。
また、発明に係る万能スピーカは、ドライバユニットの本体部が筐体に固定して取り付けられたものとなっているので、ドライブユニットの筐体への設置が安定なものとなり、ドライバの駆動部より生じる運動エネルギーを湾曲振動板側へ十分に伝えることができるものとなっている。しかも、ドライブユニットの駆動部と本体部、及びドライブユニットの駆動部と筐体とは何れも固着されていることから、ドライブユニットの駆動部の動きが抑制されてしまうことが無いと共に、ドライブユニットの駆動部の反動によって湾曲振動板側へ伝える運動エネルギーが低減(相殺)してしまうおそれもない。ゆえに、音声信号の電気エネルギーから変換された運動エネルギーを一つの振動板に効率良く伝え、より音量が高く、鮮明に放音することができる。
さらに、発明に係る万能スピーカは、振動板が、一面に開口部を有する中空構造の筐体の開口部を被覆するように振動板が配されているので、外力等の影響を受け難くエネルギーの伝達効率を低下させてしまうおそれがない。ゆえに、放音性をより一層高めることができる。
しかも、振動板の両側縁部は、振動板の側縁部をガイド凹部に挟み込むことで支持されるので、振動板が筐体に固定されることなく比較的自由に振動することができる反面、ガイド凹部によって振動板の振動エネルギーが筐体へ伝わりにくく、エネルギーの損失が少ないものとすることができる。加えて、ガイド凹部内の上面及び下面に、振動板を部分的に点接触で支持するエッジ支持部材が多数配置されていることで、振動板が比較的自由に振動する反面、エッジ支持部材によって振動板の振動エネルギーを吸収もしくは逃がして、振動が筐体へ伝わりにくく、エネルギーの損失が少ないものとすることができる。これらにより、万能スピーカからの放音を最大音量とすることができる。
したがって、音声信号の電気エネルギーから変換された運動エネルギーを一つの振動板に効率良く伝え、より音量が高く鮮明な放音によって難聴者と健聴者の双方が不自由なく共に聞き取ることができる万能スピーカを提供することができる。また、音がずっと聴き続けられれば認知症になる率も下がるものと思料される。
しかも、本発明に係る万能スピーカは、健常者と難聴者が同じ音声を同時に聞くような場合においても、健常者にうるささを感じさせないで難聴者が聞き易いものとすることができる。
なぜ、本発明に係る万能スピーカにおいて健聴者と難聴者の双方が聞こえるのか明確なメカニズム(仕組み)は不明であるが、次のように推定される。
まず、固体中では縦波のほかに、横波や曲げ波・ねじり波など(以下、「剪断波」という。)が発生していると言われている。また、全ての物質やエネルギーは粒子的な性質と波動的な性質の両方を持つという、粒子と波動の二重性の考え方がある。ゆえに、本発明に係る万能スピーカでは、湾曲振動板の曲面部から空気中に放出される振動が、一方で、空気の分子の粗密波動に変換されて健聴者が聞こえるものとなると共に、他方で、空気の分子に摂動と呼ばれる新たな振動(剪断波動)を生じさせて難聴者が聞こえるものとなる。
本発明に係る万能スピーカの基本的な構造を示す正面図である。 図1に示す万能スピーカの正面中央縦断面図である。 本発明に係る万能スピーカの振動板の湾曲状態を説明する模式図である。 本発明に係る万能スピーカのドライバユニットの構造を説明する概略図である。 本発明に係る万能スピーカの筐体の構造を説明する、(a)正面図、(b)正面中央縦断面図である。 本発明に係る万能スピーカのドライバユニットに対して振動板を取り付ける第一の手段を説明する、(a)取り付け前の状態を示す部分拡大側面図、(b)取り付け後の状態を示す部分拡大正面図である。 本発明に係る万能スピーカのドライバユニットに対して振動板を取り付ける第二の手段を説明する、(a)取り付け前の状態を示す部分拡大側面図、(b)取り付け後の状態を示す部分拡大正面図である。 本発明に係る万能スピーカの筐体にガイド凸部を設けた状態を説明する、(a)正面図、(b)正面中央縦断面図である。 図8に示す筐体に設けたガイド凸部の上面に振動板の支持部材を設けた状態を説明する正面中央縦断面図である。 図8に示す筐体に設けたガイド凸部の上面に振動板の緩衝部材を設けた状態を説明する、(a)正面図、(b)正面中央縦断面図である。 本発明に係る万能スピーカの筐体にガイド凹部を設けた状態を説明する正面中央縦断面図である。 本発明に係る万能スピーカの筐体に支持部材用凹部を設け、その中に支持部材を配した状態を説明する正面中央縦断面図である。 本発明に係る万能スピーカの他の構造であって、一つのドライバユニットに対して二つの振動板を取り付けた状態を示す正面中央縦断面図である。 本発明に係る万能スピーカの他の構造であって、一つのドライバユニットに対して曲げ角度が異なる二つの振動板を取り付けた状態を示す正面中央縦断面図である。 本発明に係る万能スピーカの他の構造であって、一つのドライバユニットに対して大きさが異なる二つの振動板を取り付けた状態を示す正面中央縦断面図である。 本発明に係る万能スピーカの他の構造であって、一つの振動板に対して三つのドライバユニットを取り付けた状態を示す正面中央縦断面図である。 本発明に係る万能スピーカの他の構造であって、一つの振動板の一端側と他端側にそれぞれドライバユニットを取り付け、各ドライバユニットに入力される電気信号を二つの周波数帯域に分割する手段を備えた状態を示す正面中央縦断面図である。 本発明に係る万能スピーカの他の構造であって、一つの振動板の一端側と他端側にそれぞれ構造が異なるドライバユニットを取り付け、各ドライバユニットに入力される電気信号を二つの周波数帯域に分割する手段を備えた状態を示す正面中央縦断面図である。 本発明に係る万能スピーカの他の構造であって、大きさが異なる二つの振動板を設けると共に、各振動板に対してドライバユニットをそれぞれ取り付け、各ドライバユニットに入力される電気信号を二つの周波数帯域に分割する手段を備えた状態を示す正面中央縦断面図である。 本発明に係る万能スピーカの他の構造であって、大きさが異なる二つの振動板を設けると共に、各振動板に対して構造が異なるドライバユニットをそれぞれ取り付け、各ドライバユニットに入力される電気信号を二つの周波数帯域に分割する手段を備えた状態を示す正面中央縦断面図である。
次に、本発明の実施の形態の一例を説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるため技術的に種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
図1及び図2に示すように、本発明の万能スピーカ10は、難聴者と健聴者とが共に聞き取ることができるものであり、振動板1と、ドライバユニット2と、筐体3とを少なくとも備えることにより構成されている。
振動板1は、平板状をし、図2に示すように、一端1a側から対向する他端1b側へ向かうにしたがって湾曲する曲面部を形成し、筐体3の開口部39を被覆するように配されている。すなわち、振動板1は、フィルムやシートのように平たい薄厚の部材であって、予め湾曲する曲面部を有するように成形されているもののほか、柔軟性を有すると同時に張りのある性質を備えて湾曲する曲面部を形成することができるものをいう。
この振動板1における少なくとも一方の端部が、ドライバユニット2に取り付けられるものとなっている。
振動板1は、予め湾曲する曲面部を有するように成形された部材の場合は、この湾曲凸面が前方を向くように筐体3に取り付けるものであり、柔軟性を有する部材の場合は、起立した平板状態でドライバユニット2に取り付け、この状態から弾性的に曲げて変形させることにより曲面を形成し、この変形した湾曲凸面側を前方に向けて筐体3に取り付けるものである。この湾曲した振動板(以下、「湾曲振動板」という。)1は、曲面部の曲げ角度が90°乃至これより少し大きいと望ましく、具体的には、曲げ角度が90°乃至130°であると良い。
すなわち、剪断波は湾曲振動板1の曲げにより発生するが、曲げ角度により発生音圧が変化する。具体的には、発生音圧が一番大きくなるのは、110°±20°の曲げ角度を有する曲面部を持った湾曲振動板1である。
ここで曲面部の曲げ角度は、図3に示すように、湾曲振動板1の一端1a側に対する垂線と他端1b側に対する垂線とが交わることによって示される角度をいう。
図3において、平面状態の振動板1は点線で示され、この振動板1が、図中矢印一点鎖線で示すように、一端1a側から対向する他端1b側へ向かうにしたがって湾曲する曲面部を形成するように折り曲げられた状態が実線で示されている。ゆえに、この時の湾曲振動板1の曲面部の曲げ角度は、その一端1a側に対する垂線と他端1b側に対する垂線とが交わる点Oでの角度θで示され、その角度θは90°乃至130°となっている。
また、図2において、湾曲振動板1は筐体3の開口部39を被覆するように配されると共に、その端縁部(一端1a側)が、筐体3に固定して取り付けられたドライバユニット2の後述する振動板駆動部26上面と略直角(90°)に当接して取り付けられた状態が示されている。
この湾曲振動板1の材料は、カーボン紙などの紙、ポリイミドやポリエステルなどの可撓性を有するプラスチック、バルサ材などの木材、アルミやベリリウム、ボロンなどの金属を用いることができる。また、湾曲振動板1の厚みは、予め湾曲する曲面部を有するように成形したり、弾性的に曲げて変形させたりすることができれば特に限定されない。
ドライバユニット2は、入力(通電)された電気信号(音声信号)に応じて湾曲振動板1を振動させるアクチュエータであり、湾曲振動板1の面方向と同じ方向に駆動するように、湾曲振動板1の端縁部と当接して取り付けられている。すなわち、ドライバユニット2は、湾曲振動板1の端面部に接続され、湾曲振動板1の端面部に対して振動を加えるように取り付けられている。また、ドライバユニット2に入力される電気信号は、たとえば、テレビやラジオ、オーディオプレイヤー、パーソナルコンピュータ、スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイス、等より出力した音声信号を挙げることができる。
ここで、大音量を発生させるためには、大きな振動板や大きな電力を必要とするが、湾曲振動板1に対してドライバユニット2より大きな力(振動)を付与することによっても達成することができる。このようなドライバユニット(以下、単に「ドライバ」という場合がある。)2としては、たとえば、ムービングマグネット方式のアクチュエータや、ムービングコイル方式のアクチュエータを挙げることができる。
すなわち、湾曲振動板1の曲面部から剪断波が発生する現象を実現するために、ムービングマグネット方式のアクチュエータや、ムービングコイル方式のアクチュエータにより音の再生を行う。ムービングマグネット方式のアクチュエータは、ムービングコイル方式のアクチュエータと同じ大きさの電気信号を入力しても、より大きな質量の振動板を駆動することができると共に、質量が大きい振動板を駆動するときにはムービングコイル奉仕のアクチュエータより小型化し易い点で設計上有利である。一方、ムービングコイル方式のアクチュエータは、湾曲振動板1を駆動する際のストロークが大きく、広い周波数帯域(音域)が得られる点で設計上有利である。
ムービングマグネット型のドライバ2は、マグネット周囲のボイスコイルに音声信号を流し、中心に置いたマグネットが、ボイスコイルの磁界変化によって比較的強い駆動力を得て振動し、湾曲振動板1の曲面部から発生する音圧を大きくすることができる。
このムービングマグネット型のドライバ2は、たとえば、図4に示すことができる。
図4に示すムービングマグネット型のドライバ2は、カップ状のヨーク21の内壁面にボイスコイル23が配されると共に、その内側にマグネット(永久磁石)25が設けられた円柱状のポールピース24が配されている。さらに、ヨーク21の内部に、外部より電気信号の供給を受けるドライバ回路22が配されたものとなっている。
このムービングマグネット型のドライバ2は、ボイスコイル23がドライバ回路22から電気エネルギーを受けることによって、ボイスコイル23とポールピース24の外周面との間に磁気ギャップを形成し、これらによって磁気回路を構成している。
また、ポールピース24の上部には円盤状をした金属製の振動板駆動部26が設けられ、ポールピース24の下端部は磁気ギャップ内に配置されている。すなわち、ドライバ2の上部先端部に振動板駆動部26が設けられ、ポールピース24の下端部が磁気回路の磁気ギャップに配置されたものとなっている。
このようにドライバ2は、ムービングマグネット型として大きな質量を持つポールピース24を駆動することができ、ムービングコイル方式のアクチュエータが軽い質量のコイルを駆動するのに比較して、より大きな力で振動板を振動させることができる。すなわち、ムービングマグネット方式のアクチュエータは、ムービングコイル方式のアクチュエータに比べて大きな質量の振動板を駆動する場合にはアクチュエータ筐体の寸法を小さくすることができてサイズ上有利であり、また、マグネットドライブのアンプ(ドライバ回路22)を一体化することがし易くなる。なお、ドライバ回路22は、アクチュエータの筐体であるヨーク21の外部に設けるものとしても良く、これによって一層小型化することができる。
このドライバ2によって電気信号のエネルギーがマグネット25(ポールピース24)の往復動としての運動エネルギーに変換され、この運動エネルギーが振動板駆動部26を介して湾曲振動板1の面方向に対して平行な振動を加えて、音声を発生させることができる。図4中、振動板駆動部26の振動方向は矢印で示されている。
なお、電気信号は、発生させる音に応じて図示せぬテレビやラジオ、オーディオプレイヤー、パーソナルコンピュータ、スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイス、等より供給するアンプ駆動用の信号であり、通常のアンプを駆動するための電気信号と同じである。
筐体3は、湾曲振動板1とドライバユニット2とを収容する箱型をした中空構造体であって、図5に示すように、底板31と、前板32と、背板33と、左右の側板34,34とを備え、一面に開口部39を有する。
図5において、筐体3は、底面部を覆う矩形状をした底板31と、正面部下方を部分的に覆う横長矩形状をした前板32と、背面部を全面的に覆う矩形状をした背板33と、前板32と背板33の間における側面部を上縁が弧状となるように覆う略イチョウ形をした左右の側板34,34とによって形成されたものとして示されている。また、筐体3は、前板部32が設けられた正面部から天面部にかけて全体的開放されたものとなっており、一面に開口部39を有するものとして示されている。
また、前板32の上縁には、収容されたドライバユニット2の振動板駆動部26側を部分的に覆う庇部35が設けられていると共に、背板33の上端付近には左右の側板34とそれぞれ接するように固定片36,36がそれぞれ設けられている。
なお、図示しないが、筐体2の背板33の下方には横長矩形をした隙間部が設けられており、湾曲振動板1の背面側の空間を開放状態として低音域が放音されるように配慮されている。
このような筐体3の内部には、ドライバユニット2が固定して取り付けられている。すなわち、ドライバユニット2は、湾曲振動板1の駆動時にマグネット25の駆動による反作用を受けることとなるが、ドライバユニット2を筐体3に接触させて固定することにより、湾曲振動板1の駆動と反作用によって筐体3を振動させ、外部に出る音圧を高めることができる。
また、湾曲振動板1は、筐体3の内部に固定して取り付けられたドライバ2の上部先端部の振動板駆動部26に当接して結合されている。ドライバ2の振動板駆動部26に対する湾曲振動板1の取り付けは、湾曲振動板1の端面部がドライバ2の振動板駆動部26に当接していれば斜めであっても放音されるので問題は無いが、音量の減少を防ぐために湾曲振動板1の端面部がドライバ2の振動板駆動部26に対して略直角に当接することが望ましく、このときに最大音量になる。
ドライバ2の振動板駆動部26と、湾曲振動板1との結合は、両者が略直角に当接して結合されることとなるのであれば特に限定されない。ゆえに、たとえば、図6に示す挟持具4を用いて振動板駆動部26に湾曲振動板1の端縁部が当接して結合されるものとしても良い。この挟持具4は、バネ弾性のある挟み込み構造を有し、ドライバ2の振動板駆動部26からの振動を湾曲振動板1へ効率良く伝える振動伝達固定具である。
図6において、挟持具4は、バネ弾性によって常時閉じた状態を維持し、湾曲振動板1の端縁部が挿入されることで適宜開口して湾曲振動板1を挟み込んで支持する挟持口41を備えるものとして示されている。したがって、図6では、ドライバ2の振動板駆動部26の上面に挟持具4が固定され、この挟持具4における挟持口41の上方より湾曲振動板1の端縁部を挿入し(図6(a)を参照)、ドライバ2の振動板駆動部26と湾曲振動板1の端縁部とが、略直角に当接して結合されるように挟持具4によって支持される状態を示している(図6(b)を参照)。
このようにバネ弾性のある素材または構造を持つ挟持具4を用いることにより、振動板駆動部26と湾曲振動板1との接続部での伝達ロスを防ぐため、長年の使用においても振動板駆動部26と湾曲振動板1との間に緩み等が発生せず初期のエネルギー伝達効率を持続することができる。
また、振動板駆動部26と湾曲振動板1との接合方法において、たとえば、図7に示す挟持具14を用いて振動板駆動部26に湾曲振動板1の端縁部が当接して結合されるものとしても良い。この挟持具14は、湾曲振動板1の端面部の横方向を全体的に挟み込みと共に、その挟み込む間隔の調節が可能な構造を有し、ドライバ2の振動板駆動部26からの振動を湾曲振動板1へ効率良く伝える振動伝達固定具である。
図7において、挟持具14は、底面部と側面部とが略L字状に連設された金具であって、二つが対となってその側面部同士が対向して適宜間隔を有して配されることで、湾曲振動板1の端縁部を挿入可能とする挟持口42を備えるものとして示されている。したがって、図7では、ドライバ2の振動板駆動部26の上面に挟持具14,14が固定され、この挟持具14,14における挟持口42の上方より湾曲振動板1の端縁部を挿入し(図7(a)を参照)、その後、止め具17(17A,17B)によって側面部同士の間隔が狭まるように締め付けることで、ドライバ2の振動板駆動部26と湾曲振動板1の端縁部とが略直角に当接して結合されるように挟持具14,14によって支持される状態を示している(図7(b)を参照)。すなわち、まるで二枚の板の間に湾曲振動板1の端縁部が挟まり、この端縁部がドライバ2の振動板駆動部26に対して略直角に当接するようにビス止めされたものとして示されている。
このように挟み込む間隔の調節が可能な構造を持つ挟持具4を用いることにより、湾曲振動板1の厚さが異なる場合でも締め付け具合を調整することで、適切な力でかつ確実に保持することが出来る。また、振動板駆動部26と湾曲振動板1との接続部での伝達ロスを防ぎ、長年の使用においても振動板駆動部26と湾曲振動板1との間に緩み等が発生せず初期のエネルギー伝達効率を持続することができる。
以上により湾曲振動板1は、ドライバ2の振動板駆動部26に取り付けられた挟持具4(14)と、筐体3の背板33に設けられた左右の固定片36,36により2点で保持され、湾曲振動板1は、筐体3の正面部から天面部にかけてアーチ状に架け渡され、開口部39を覆うように配されたものとなる。
本発明において、湾曲振動板1は、筺体3の一部を構成するものとしても良い。すなわち、湾曲振動板1を筺体3と同じ部材で別途構成して組み合わせたり、もしくは筺体3と一体的に湾曲振動板1を成形したりするものとしても良い。
このように湾曲振動板1を筺体3の一部にすると、湾曲振動板1となる筺体3の一部は、他の筺体3部分と同じ部材を使用することになるので、製造工程が省力化され、かつ部材のコストを抑えつつ、より音量が高く鮮明な放音によって難聴者と健聴者の双方が不自由なく共に聞き取ることができる効果を有する万能スピーカを得ることができる。
また、湾曲振動板1は、両側縁部が筐体3に支持されるように配されていると望ましい。すなわち、湾曲振動板1を支持するため、筐体3の側板34に湾曲したガイド凸部を設け、この湾曲面に沿う様に平たい振動板1を取り付けるようにしても良い。ゆえに、このガイド凸部は、起立した平板状態の振動板1を効率良く曲折する振動板曲折補助具でもある。ここで両側縁部とは、一端側から他端側へ向かう方向に沿った側縁部をいう。また、このようなガイド凸部5は、たとえば、図8に示すことができる。
図8において、ガイド凸部5は、筐体3の正面部から天面部にかけて斜め上方を向く弧を描くような形状に成形された弧状凸片が、筐体3の左右の側板34,34の内面にそれぞれ取り付けられたものとして示されている。
したがって、剪断波発生のために平らな起立状態の振動板1を湾曲させるとき、所定の曲面を有するように曲折形状に成形されたガイド凸部5を筐体3の側板34の内面に取り付け、振動板1が一端側から対向する他端側へ向かうにしたがって容易に湾曲されたとき、その側縁部が筐体3に取り付けたガイド凸部5の上面によって支持されるものとすると望ましい。
このようにガイド凸部5を用いることにより、ドライバ2に取り付けられた起立状態の振動板1がガイド凸部5の上面に沿って容易に曲折され、一端側から対向する他端側へ向かうにしたがって湾曲する曲面部の形成を容易なものとして湾曲振動板1を配することができるものとなる。また、曲振動板1の両側縁部が筐体3に支持されることで、湾曲振動板1が外力等の影響を受けることなく、エネルギーの伝達効率を低下させてしまうおそれを低減させることができるものとなる。
また、湾曲振動板1の両側縁部が筐体3に支持されるようにガイド凸部5を設ける場合、たとえば、図9に示すように、スパイクやインシュレータと呼ばれる円錐状、三角錐状、半球状をしたエッジ支持部材6をガイド凸部5の上面に多数配置し、湾曲振動板1をエッジ支持部材6により部分的に点接触で支持するものとしても良い。すなわち、湾曲振動板1の両側縁部が、エッジ支持部材6とガイド凸部5を介して筐体3に支持されるものとすることができる。このエッジ支持部材6は、ゴム等の弾性素材、又は木材や石材、金属等の硬質素材から構成されている。
図9において、エッジ支持部材6は、円錐状をしたものとして示され、筐体3の側板34に取り付けられたガイド凸部5の上面に突出するように、均等間隔に17個配されたものとして示されている。なお、エッジ支持部材6の数は特に限定されるものではなく、適宜配することができる。
このようにエッジ支持部材6を介して湾曲振動板1を筐体3で支持することで、湾曲振動板1が比較的自由に振動する反面、エッジ支持部材6によって湾曲振動板1の振動エネルギーを吸収もしくは逃がして、振動が筐体3へ伝わりにくく、エネルギーの損失が少ないものとすることができる。
なお、図示しないが、湾曲振動板1を部分的に点接触で支持するものとする場合、筐体3の側板34から内側に向かって突出するように、側板34にエッジ支持部材6を直接取り付けるものとしても良い。この場合、エッジ支持部材6は、円錐状、三角錐状、半球状に限らず、円筒状とすることもできる。
また、湾曲振動板1の両側縁部が筐体3に支持されるようにガイド凸部5を設ける場合、たとえば、図10に示すように、ガイド凸部5の上面には、湾曲振動板とガイド部との接触による異音の発生等を防止するべく機能する振動緩衝部材16を設け、湾曲振動板1を振動緩衝部材16により線接触で支持するものとしても良い。
この振動緩衝部材16には、軟質でかつ振動を伝えにくい材料を適用することができ、湾曲振動板1の側縁部と、ガイド凸部5上の振動緩衝部材16とは密接したものとなっている。このような振動緩衝部材16としては、たとえば、発泡ウレタン樹脂やゴム、不織布等のような弾力性に富むシート材を挙げることができる。
図10において、振動緩衝部材16は、帯状をしたものとして示され、筐体3の側板34に取り付けられたガイド凸部5の上面を覆うように配され、湾曲振動板1と筐体3との間の密閉された空間が形成されたものとして示されている。
このように振動緩衝部材16を介して湾曲振動板1を支持することで、湾曲振動板1が比較的自由に振動する反面、振動緩衝部材16によって湾曲振動板1の振動エネルギーが筐体3へ伝わりにくく、エネルギーの損失が少ないものとなる。また、湾曲振動板1と筐体3との間の密閉された空間が形成されたものとなるので、振動板の表面(前面)から出た音波と裏面(背面)から出た音波は振動緩衝部材16により遮断され、表面や裏面での音波の干渉減衰が起こらないものとすることができ、安定した音圧と広い周波数帯域特性が得られるものとすることができる。
また、湾曲振動板1の両側縁部が筐体3に支持されるようにする場合、たとえば、図11に示すように、ガイド凸部5に代わって筐体3の側板34内面に、スリット状のガイド凹部15を設け、そこに湾曲振動板1の側縁部を差込む様にして支持するものとしても良い。すなわち、ガイド凹部15は湾曲振動板1の厚みより少し大きく、その間に湾曲振動板1の側縁部を挟み込むことで、湾曲振動板1はガイド凹部15を介して筐体3に支持されるものとなる。
図11において、ガイド凹部15は、ガイド凸部5と同様に、筐体3の正面部から天面部にかけて斜め上方を向く弧を描くような形状に成形された弧状溝が、筐体3の左右の側板34,34の内面にそれぞれ形成されたものとして示されている。
このようにガイド凹部15を介して湾曲振動板1を支持することで、湾曲振動板1が筐体3に固定されることなく比較的自由に振動することができる反面、ガイド凹部15によって湾曲振動板1の振動エネルギーが筐体3へ伝わりにくく、エネルギーの損失が少ないものとなる。
なお、図示しないが、ガイド凹部15を介して湾曲振動板1を支持するものとする場合、側板34にガイド凹部15と共にガイド凸部5を設け、ガイド凹部15とガイド凸部5を介して湾曲振動板1の両側縁部を筐体3で支持するものとしても良い。
さらに、側板34にガイド凹部15及びガイド凸部5を設けると共に、ガイド凸部5の上面にエッジ支持部材6を多数配置し、ガイド凹部15によって湾曲振動板1の側縁部を差込む様にして支持しながら、エッジ支持部材6により湾曲振動板1の側縁部下方を部分的に点接触で支持するものとしても良い。
また、湾曲振動板1の側縁部を凹部内に差込む様にして筐体3で支持する場合、たとえば、図12に示すように、筐体3の側板34の内面に幅広の凹状ガイド部(広幅ガイド凹部)18を設けると共に、この広幅ガイド凹部18内の上面及び下面に、上述したエッジ支持部材6を多数配置し、湾曲振動板1をエッジ支持部材6の間に挟み込んで点接触で支持するものとしても良い。
図12において、広幅ガイド凹部18は、ガイド凹部15と同様に、筐体3の正面部から天面部にかけて斜め上方を向く弧を描くような形状に成形された広幅弧状凹溝が、筐体3の左右の側板34,34の内面にそれぞれ形成されたものとして示されている。また、エッジ支持部材6は、この広幅弧状凹溝内の上面から下向きに17個が均等間隔に配されると共に、同広幅弧状凹溝内の下面から上向きに17個が均等間隔に配されたものとして示されている。
このように広幅ガイド凹部18内に上下二列に設けられたエッジ支持部材6の間で湾曲振動板1の両側縁部を支持することで、湾曲振動板1が比較的自由に振動する反面、エッジ支持部材6によって湾曲振動板1の振動エネルギーが筐体3へ伝わりにくく、エネルギーの損失が少ないものとなる。
また、本発明の万能スピーカは、上述した構成より、一つのドライバユニットと一つの湾曲振動板との組み合わせに限らず、種々の組み合わせとすることができる。
たとえば、ドライバユニット2に湾曲振動板1が複数取り付けられ、各湾曲振動板1の素材がそれぞれ異なるものであるものとしても良い。すなわち、図13に示すように、ドライバ2の振動板駆動部26に対して、大きさは同じであるが互いに素材が異なる二つの湾曲振動板11A,11Bをそれぞれ取り付けた構造を有する万能スピーカ20とすることができる。
図13において、ドライバ2は筺体3の背板33に固定して取り付けられ、また、二つの湾曲振動板11A,11Bは何れも、筐体3の開口部39を被覆し、かつ、その端縁部はドライバ2の振動板駆動部26と略直角に当接するように配されたものとして示されている。
このような万能スピーカ20によれば、硬い素材の湾曲振動板1より高音域から中音域の音を再生し、軟らかい素材の湾曲振動板1より低音域の音を再生するものとしたり、重さの軽い素材の湾曲振動板1より高音域から中音域の音を再生し、同重い素材の湾曲振動板1より中音域から低音域の音を再生するものとしたりすることが期待できる。
また、本発明の万能スピーカは、ドライバユニット2に湾曲振動板1が複数取り付けられ、各湾曲振動板1の曲げ角度がそれぞれ異なるものであるものとしても良い。すなわち、図14に示すように、ドライバ2の振動板駆動部26に対して、素材は同じであるが互いに曲げ角度が異なる二つの湾曲振動板11A,11Cをそれぞれ取り付けた構造を有する万能スピーカ30とすることができる。
図14において、ドライバ2は筺体3の底板31に固定して取り付けられ、また、曲げ角度が異なる二つの湾曲振動板11A,11Cは何れも、筐体3の開口部39を被覆し、かつ、その端縁部はドライバ2の振動板駆動部26と略直角に当接するように配されたものとして示されている。
このような万能スピーカ30によれば、曲げ角度が大きい湾曲振動板11Cより高音域から中音域の音を再生し、曲げ角度が小さい湾曲振動板11Aより中音域から低音域の音を再生するものとすることが期待できる。
また、本発明の万能スピーカは、ドライバユニット2に湾曲振動板1が複数取り付けられ、各湾曲振動板1の大きさがそれぞれ異なるものとしても良い。すなわち、湾曲振動板1の寸法によって再生周波数帯域は異なるので、図15に示すように、ドライバ2の振動板駆動部26に対して、素材は同じであるが互いに大きさが異なる二つの湾曲振動板11A,11Dをそれぞれ取り付けた構造を有する万能スピーカ40とすることができる。
図15において、ドライバ2は筺体3の背板33に固定して取り付けられ、また、大きさが異なる二つの湾曲振動板11A,11Dは何れも、筐体3の開口部39を被覆し、かつ、その端縁部はドライバ2の振動板駆動部26と略直角に当接するように配されたものとして示されている。
このような万能スピーカ40は、湾曲振動板1材質や曲げ角度により音の再生領域が充分に広がらない場合に、異なった寸法の湾曲振動板1を同じドライバユニットに2に取り付けることで再生周波数の領域を広げるものとする。ゆえに、大きさが小さい湾曲振動板11Dより高音域から中音域の音を再生し、同大きい湾曲振動板11Aより中音域から低音域の音を再生するものとすることが期待できる。
また、本発明の万能スピーカは、湾曲振動板1の一端側に、ドライバユニット2が複数取り付けられているものとしても良い。すなわち、図16に示すように、湾曲振動板1に対して3つのドライバユニット2をそれぞれ取り付けた構造を有する万能スピーカ50とすることができる。
図16において、3つのドライバ2は何れも筺体3の底板31に固定して取り付けられ、また、湾曲振動板1は、筐体3の開口部39を被覆し、かつ、その端縁部は全てのドライバ2の振動板駆動部26と略直角に当接するように配されたものとして示されている。
このような万能スピーカ50は、同一の湾曲振動板1の端面部を、3つのドライバユニット2によって駆動することにより、一つのドライバユニット2では上限のある音声エネルギーを複数のドライバユニット2で駆動し、より大きな剪断波、粗密波を湾曲振動板1から発生させることが出来る。ゆえに、音量が高く鮮明な放音をすることが期待できるものとなる。
また、本発明の万能スピーカは、湾曲振動板1の他端側にもさらにドライバユニット2が取り付けられているものとしても良い。すなわち、図17に示すように、湾曲振動板1の一方の端縁部に対して第一のドライバ12Aを取り付け、同他方の端縁部に対して第二のドライバ12Bを取り付けた構造を有する万能スピーカ60とすることができる。具体的には、第一のドライバ12Aと第二のドライバ12Bとを共にムービングマグネット方式のアクチュエータとしたり、第一のドライバ12Aと第二のドライバ12Bとを共にムービングコイル方式のアクチュエータとしたり、第一のドライバ12Aと第二のドライバ12Bの何れか一方をムービングマグネット方式のアクチュエータとし、他方をムービングコイル方式のアクチュエータとしても良い。
図17において、第一のドライバ12Aは筺体3の底板31に、また、第二のドライバ12Bは筺体3の背板33に、それぞれ固定して取り付けられ、さらに、湾曲振動板1は、筐体3の開口部39を被覆し、かつ、その一方の端縁部は第一のドライバ12Aの振動板駆動部26と、他方の端縁部は第二のドライバ12Bの振動板駆動部26とそれぞれ略直角に当接するように配されたものとして示されている。
このような万能スピーカ60は、湾曲振動板1の異なる端面をそれぞれ異なるドライバユニット12A,12Bで駆動することにより、一つのドライバユニットでは上限のある発音エネルギーを複数のドライバユニット2(12A,12B)で駆動し、より大きな剪断波、粗密波を湾曲振動板1から発生させることが出来る。ゆえに、音量が高く鮮明な放音をすることが期待できるものとなる。
また、このような万能スピーカ60では、電気信号を幾つかの周波数帯域に分割する手段をさらに備え、分割した各電気信号を互いに異なるドライバユニット12A,12Bにそれぞれ入力するものとなっている。すなわち、図17において矢印で示すように、ドライバユニット2(12A,12B)入力される単一の音声信号の帯域を、アナログまたは電子的フィルター等の音声信号分割装置8によって二つの周波数帯域に分割する。そして、出力の一方を第一のドライバ12Aに入力し、出力の他方を第二のドライバ12Bに入力して、一つの湾曲振動板1を駆動することで、湾曲振動板1における一端側と他端側とで異なる再生帯域の剪断波、粗密波を同時に得て、全体的に再生帯域の広い剪断波、粗密波を得ることが出来る。
また、本発明の万能スピーカは、ドライバユニット2の何れか一方が圧電体を利用したアクチュエータを備えたものとしても良い。圧電体は、圧力を加えると、圧力に比例して自体変形する圧電効果を有する物質であり、アクチュエータは、加えられた電圧を力に変換する圧電効果を利用した圧電素子である。圧電素子は、電圧をかけることで一方向に伸縮(振動)する。ゆえに、図18に示すように、湾曲振動板1の一方の端縁部に対してムービングマグネット型等のドライバユニット2を取り付け、同他方の端縁部に対して圧電素子12を貼り付けた構造を有する万能スピーカ70とすることができる。具体的には、第一のドライバ12Aと第二のドライバ12Bの何れか一方をムービングマグネット方式のアクチュエータとし、他方を圧電体としたり、第一のドライバ12Aと第二のドライバ12Bの何れか一方をムービングコイル方式のアクチュエータとし、他方を圧電体としても良い。この圧電素子12は、セラミックスや、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等の高分子、セラミックスと高分子との複合体などからなるものとすることができる。
図18において、一方のドライバ2は筺体3の底板31に固定して取り付けられ、また、湾曲振動板1は、筐体3の開口部39を被覆し、かつ、その一方の端縁部は一方のドライバ2の振動板駆動部26と略直角に当接するように配されたものとして示されている。
また、このような万能スピーカ70では、電気信号を幾つかの周波数帯域に分割する音声信号分割装置8をさらに備え、分割した各電気信号を互いに異なるドライバユニット12A,12Bにそれぞれ入力するものとなっている。すなわち、図18において矢印で示すように、ドライバユニット2,12入力される単一の音声信号の帯域を音声信号分割装置8によって二つの周波数帯域に分割し、出力の一方を第一のドライバ2に入力し、出力の他方を第二のドライバ12に入力して、一つの湾曲振動板1を駆動する。
このように湾曲振動板1の端縁部に圧電素子を貼り付けることで、圧電素子の変化が効率良く湾曲振動板1に伝わり、特に高音域での再生に効果が得られる。ゆえに、湾曲振動板1の一方の端縁部にムービングマグネット型等のドライバユニット2を取り付け、同他方の端縁部に圧電素子12を貼り付けることで、ムービングマグネット型等のドライバユニット2が取り付けられた側の湾曲振動板1からは中音域から低音域の音を再生し、圧電素子12が取り付けられた側の湾曲振動板1からは高音域から中音域の音を再生することで、全体的に再生帯域の広い剪断波、粗密波を得ることが期待出来るものとなる。
また、本発明の万能スピーカは、二つのドライバユニットと二つの湾曲振動板を備え、一つのドライバユニットに対して一つの湾曲振動板が組み合わされたものが一つの筐体内に二組配されたものとしても良い。すなわち、図19に示すように、第一のドライバユニット12Aに対して大きさが大きい第一の湾曲振動板11Aを取り付けると共に、第二のドライバユニット12Bに対して同小さい第二の湾曲振動板11Dを取り付けた構造を有する万能スピーカ80とすることができる。
また、このような万能スピーカ80では、電気信号を幾つかの周波数帯域に分割する音声信号分割装置8をさらに備え、分割した各電気信号を互いに異なるドライバユニット12A,12Bにそれぞれ入力するものとなっている。
図19において、二つのドライバ12A,12Bは何れも筺体3の背板33に固定して取り付けられ、また、二つの湾曲振動板11A,11Dは何れも、筐体3の開口部39を被覆し、かつ、大きい第一の湾曲振動板11Aの端縁部は第一のドライバユニット12Aの振動板駆動部26と略直角に当接し、小さい第二の湾曲振動板11Dの端縁部は第二のドライバユニット12Bの振動板駆動部26と略直角に当接するようにそれぞれ配されたものとして示されている。
このような万能スピーカ80は、形状の異なる湾曲振動板11A,11Dの各端面を、それぞれ異なる固有のドライバユニット12A,12Bで駆動することにより、一つのドライバユニットと一つの湾曲振動板では上限のある発音エネルギーの変換を、複数のドライバユニット2(12A,12B)と複数の湾曲振動板11A,11Dでそれぞれ適切に変換し、より大きな剪断波、粗密波をそれぞれの湾曲振動板11A,11Dから発生させることが出来る。ゆえに、音域に応じて音量が高く鮮明な放音をすることが期待できるものとなる。
さらに、本発明の万能スピーカは、二つのドライバユニットと二つの湾曲振動板を備え、一つのドライバユニットに対して一つの湾曲振動板が組み合わされたものが一つの筐体内に二組配されたものであって、ドライバユニットの何れか一方が圧電体を利用したアクチュエータを備えたものとしても良い。すなわち、図20に示すように、第一のドライバユニットをムービングマグネット型とし、このドライバユニット2に対して大きさが大きい第一の湾曲振動板11Aを取り付けると共に、第二のドライバユニットを圧電素子12とし、このドライバユニット12に対して大きさが小さい第二の湾曲振動板11Dを取り付けた構造を有する万能スピーカ90とすることができる。
また、このような万能スピーカ90では、電気信号を幾つかの周波数帯域に分割する音声信号分割装置8をさらに備え、分割した各電気信号を互いに異なるドライバユニット2,12にそれぞれ入力するものとなっている。
図20において、第一のドライバユニット2は筺体3の背板33に固定して取り付けられ、また、二つの湾曲振動板11A,11Dは何れも、筐体3の開口部39を被覆し、かつ、大きい第一の湾曲振動板11Aの端縁部は第一のドライバユニット2の振動板駆動部26と略直角に当接するように配されたものとして示されている。
このような万能スピーカ90は、形状の異なる湾曲振動板11A,11Dの各端面を、それぞれ異なる固有のドライバユニット2,12で駆動することにより、一つのドライバユニットと一つの湾曲振動板では上限のある発音エネルギーの変換を、複数のドライバユニット2,12と複数の湾曲振動板11A,11Dでそれぞれ適切に変換し、より大きな剪断波、粗密波をそれぞれの湾曲振動板11A,11Dから発生させることが出来る。ゆえに、第一の湾曲振動板11Aの端縁部にムービングマグネット型等のドライバユニット2を取り付け、第二の湾曲振動板11Dの端縁部に圧電素子12を貼り付けることで、ムービングマグネット型のドライバユニット2が取り付けられた側の湾曲振動板11Aからは中音域から低音域の音を再生し、圧電素子12が取り付けられた側の湾曲振動板11Dからは高音域から中音域の音を再生することで、音域に応じて音量が高く鮮明な放音をすることが期待できるものとなる。
なお、図示しないが、本発明では、ドライバユニット2を筐体3の側面部、底面部等の板に堅牢に固定する金具を設け、ドライバユニット2のセンター位置で設置後も、ドライバユニット2を左右に×mm、前後に×mmの範囲で自在に調整し、堅固に保持継続するようにしても良い。
次に、本発明の万能スピーカの効果を確認するための評価を行った。
[実施例1]
本実施例では、ガイド凸部を備えた中空構造の木製筐体内の底板部に、ムービングマグネット型のドライバユニットを固定して取り付けると共に、ドライバユニットの振動板駆動部に平板状をしたセルロイド製の振動板の端縁部を当接して取り付けた。また、この振動板をガイド凸部に沿って折り曲げることで、110°に湾曲する曲面部を形成し、筐体の開口部を被覆するように配された湾曲振動板を備える万能スピーカを作成した。そして、この万能スピーカを用いて難聴者及び健聴者によって聞き取ることができる音声が放音されているか否かの評価試験を行った。
評価試験は、難聴者31名と健聴者193名を合わせた計124名をパネラーとし、本実施例の万能スピーカのドライバユニットに対してオーディオプレイヤーのイヤホンジャックより出力した音声信号を入力し、放音された音声の印象について評価を行った。
評価は、はっきりと良く聞こえる場合を「◎」、聞こえるが音量が小さい感じがする場合を「○」、聞こえるときと聞こえないときがある場合を「△」、殆ど聞こえない又は全く聞こえない場合を「×」とした。その評価結果を[表1]に示す。
なお、このときの難聴者の年齢別の内訳は、90歳代が21名、80歳代が6名、60歳代が3名、及び30歳代が1名であった。
Figure 2015188195
表1の結果より、本発明の万能スピーカは、音量が高く鮮明な放音によって難聴者と健聴者とが不自由なく共に良く聞き取ることができるものであることが分かる。
[実施例2]
次に、湾曲振動板の曲面部の曲げ角度が90°より少し大きい角度であると望ましいことを確認するために、実施例1の万能スピーカにおいて、湾曲振動板の曲面部の曲げ角度を、0°、45°、90°、110°、130°、180°とそれぞれ変えたものとし、これらの万能スピーカにおいて難聴者及び健聴者によって聞き取ることができる音声が湾曲振動板の曲面部の曲げ角度によってどのように変化するか評価試験を行った。その評価結果を[表2]に示す。
なお、パネラー数、評価方法は上記実施例1と同様とした。また、湾曲振動板の曲面部の曲げ角度が110°のときの評価は、上記実施例1の結果を用いた。
Figure 2015188195
表2の結果より、本発明の万能スピーカでは、湾曲振動板の曲面部の曲げ角度が90°乃至130°である場合において、音声信号の電気エネルギーから変換された運動エネルギーを湾曲振動板に効率良く伝え、より音量が高く鮮明な放音をするものとなることが分かる。
[実施例3]
次に、上記実施例1と同様の万能スピーカを用いて、老人性難聴の方に対して個別に放音された音声の印象について評価を行った。対象者は、日常的に補聴器を使用している82歳の老人性難聴の男性である。
対象者に補聴器を外してもらった状態で、万能スピーカのドライバユニットに対してオーディオプレイヤーのイヤホンジャックより出力した音声信号を入力して放音したところ、きちんと高音が聴こえるとの回答を得た。
また、同じ対象者に対してテレビのイヤホンジャックより出力した音声信号を入力して放音したところ、やはりはっきりと聴こえるとの回答を得た。そして、その後にイヤホンジャックから万能スピーカのジャックを引き抜き、テレビのスピーカから放音されるものとしたところ、全く聴こえず人の声の認識ができないとの回答を得た。
[実施例4]
次に、上記実施例1と同様の万能スピーカを用いて、器質性難聴の方に対して個別に放音された音声の印象について評価を行った。対象者は、小さい時からの器質障害の難聴を有する30代の女性である。
万能スピーカのドライバユニットに対してオーディオプレイヤーのイヤホンジャックより出力した音声信号を入力して放音したところ、どの音域でもストレスなく聴こえるとの回答を得た。しかも、対象者は相当嬉しかったようで、興奮してとても希望が湧いたとの回答を得た。
[実施例5]
次に、上記実施例1と同様の万能スピーカを用いて、遺伝性難聴の方に対して個別に放音された音声の印象について評価を行った。対象者は、生まれつき聴力が弱く、若い時より補聴器を付けている65歳の遺伝性難聴の男性である。
対象者に補聴器を外してもらった状態で、万能スピーカのドライバユニットに対してラジオのイヤホンジャックより出力した音声信号を入力して放音したところ、アナウンサーの声も音楽もはっきりと聴こえるとの回答を得た。
1,11(A,B,C,D) 振動板、1a 一端、1b 他端、2,12 ドライバユニット、3 筐体、4,14 挟持具、5 ガイド凸部、6 エッジ支持部材、8 音声信号分割手段、10,20,30,40,50,60,70,80,90 万能スピーカ、15 ガイド凹部、16 振動緩衝部材、17(17A,17B) 止め具、18 広幅ガイド凹部、21 ヨーク、22 ドライバ回路、23 ボイスコイル、24 ポールピース、25 マグネット(永久磁石)、26 振動板駆動部、31 底板、32 前板、33 背板、34 側板、35 庇部、36 固定片、39 開口部、41,42 挟持口。



Claims (2)

  1. 平板状をした振動板と、入力された電気信号に応じて前記振動板を振動させるドライバユニットと、前記振動板と前記ドライバユニットとを収容する中空構造の筐体と、を少なくとも備え、
    前記筐体は、一面に開口部を有し、
    前記ドライバユニットは、前記振動板の面方向と同じ方向に駆動するように前記振動板の端縁部と当接し、かつ、前記筐体に固定して取り付けられ、
    前記振動板は、前記ドライバユニットが取り付けられた一端側から対向する他端側へ向かうにしたがって湾曲する曲面部を形成し、前記筐体の開口部を被覆するように配されていると共に、両側縁部が前記筐体に支持され、
    前記振動板の両側縁部は、前記筐体の左右の側板の内面にそれぞれ設けられた湾曲したスリット状のガイド凹部を用いて支持されている、
    ことを特徴とする万能スピーカ。
  2. 前記ガイド凹部内の上面及び下面に、振動板を部分的に点接触で支持するエッジ支持部材が多数配置されていることを特徴とする請求項1に記載の万能スピーカ。
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