JP2015047646A - 電動工具 - Google Patents

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裕太 野口
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Abstract

【課題】電動工具における作業効率を向上させる。【解決手段】先端に工具が取り付けられる工具本体と、上記工具の駆動源であるモータと、上記工具本体と繋がる把持部と、上記把持部に可動するように設けられた操作部と、上記操作部からの信号に基づいて複数のモード間の切り替えを制御し、かつ上記モータの駆動を制御する制御部とを有するインパクトドライバ(電動工具)である。上記インパクトドライバは、上記操作部の操作に応じて上記制御部の制御により照明モード/動作モード等を切り替える。【選択図】図6

Description

本発明は、主に工具本体に操作部(例えばトリガ)を備えた電動工具に関する。
電動工具としては、例えば特許文献1に記載された技術が知られている。特許文献1に記載された電動工具は、本体部と略T字状の把持部とから構成されており、本体部には、照明となるLED(Light Emitting Diode)が設けられ、また、このLEDの点灯および消灯を切り替える切替スイッチが上記把持部に設けられている。
特開2009−226513号公報
照明モードや動作モードを有する電動工具においては、モード切り替え専用スイッチが設けられており、上記照明モードや動作モードを変更する際には、電動工具をON/OFFするトリガスイッチとは別のモード切り替え専用スイッチを操作してモードの切り替えを行っている。
上記特許文献1(特開2009−226513号公報)に記載された電動工具においても、例えば、LEDの点灯および消灯を切り替える際には、専用の照明切替スイッチを押して切り替える。
したがって、モード切り替えに手間がかかるという課題が発生する。すなわち、モード切り替え専用スイッチが設けられた電動工具の工具本体を片手で把持して作業をしている場合に、モード切り替えを行おうとすると、モード切り替え専用スイッチが設けられた箇所が作業者の方向に向くように工具本体の向きを変えたり、もしくは工具本体を一端置いて持ち直したりする等の手間がかかる。言い換えれば、片手でのモード切り替えは困難である。
また、モード切り替え専用スイッチが設けられている分、部品点数が増加し、その結果、コストも増加するという課題も発生する。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、作業効率を向上させることが可能な電動工具を提供することにある。
一実施の形態の電動工具は、先端に工具が取り付けられる工具本体と、上記工具本体に設けられ、かつ上記工具の駆動源であるモータと、上記工具本体と繋がる把持部と、上記把持部に可動するように設けられた操作部と、上記操作部からの信号に基づいて複数のモード間の切り替えを制御する制御部と、を有する。さらに、上記電動工具は、上記操作部の操作に応じて上記制御部の制御により上記モードを切り替える。
本発明によれば、電動工具における作業効率を向上させることができる。
本発明の実施の形態1の電動工具の構造の一例を示す斜視図である。 図1に示す電動工具の背面側の構造の一例を示す背面図である。 図1に示す電動工具の一部を破断して示す側面図である。 図1に示す電動工具の制御系の一例を示すブロック図である。 図1に示す電動工具のトリガ長押しにおけるタイミングチャートである。 図5に示すトリガ長押しにおけるフロー図である。 図1に示す電動工具のモード表示部の一例を示す平面図である。 図7に示すモード表示部の変形例を示す平面図である。 本発明の実施の形態2のトリガ長押しのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態3のトリガ連続操作のタイミングチャートである。 図10に示すトリガ連続操作におけるフロー図である。 本発明の実施の形態4のトリガ連続操作のタイミングチャートである。
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の電動工具の構造の一例を示す斜視図、図2は図1に示す電動工具の背面側(B矢視)の構造の一例を示す背面図、図3は図1に示す電動工具のA矢視における一部を破断して示す側面図、図4は図1に示す電動工具の制御系の一例を示すブロック図である。
本実施の形態1の電動工具は、先端に工具が取り付けられて使用するものであり、上記電動工具の一例として、インパクトドライバを取り上げて説明する。ただし、上記電動工具は、インパクトドライバに限定されるものではなく、工具本体の先端に工具(先端工具50)が取り付けられて作業を行うものであれば、他の電動工具であってもよい。
図1〜図3に示すように、電動工具としてのインパクトドライバ10は、充電可能なバッテリ(二次電池)11を備え、このバッテリ11を電源としてモータ(電動機)3が駆動されるようになっている。
本実施の形態1のインパクトドライバ(電動工具)10の構成について説明すると、ハウジング40の一部であるハウジング本体(工具本体)40aに設けられたモータ3と、ハンマ部4と、アンビル部5と、回路基板33に搭載されたインバータ回路と、制御回路基板70に搭載された制御部72と、から主に構成されている。なお、ハウジング40は、樹脂製であってインパクトドライバ10の外郭を成しており、ハウジング本体40aである略筒状の胴体部21と、胴体部21から下方へと延出されるグリップ(把持部、ハンドル部)22と、バッテリ11が装着されるバッテリ保持部(第1部分)47とから主に構成されている。
また、モータ3は、先端工具50の駆動源であり、ハウジング本体40aに設けられ、かつ回転自在な出力軸31を備えている。そして、出力軸31が先端工具50と係合している。また、モータ3は、スピンドル41cを駆動し、そしてスピンドル41cは出力軸31であるアンビル52に回転と打撃を与え、これによりドライバビット等の先端工具50に連続する回転力や断続的な打撃力を伝達するようになっている。このようにしてインパクトドライバ10は、強い力によりネジ締めやボルト締め等の作業を行えるようになっている。
インパクトドライバ10のハウジング40は、プラスチック等の樹脂材料を射出成形することにより、側面から見た形状が、図3に示すように略T字形状となるように形成されている。ハウジング40は、モータ3の出力軸31を挟む左右側(図2の中心より右側および左側、または図3の手前側および奥側)で分割されるようになっており、これらを組み付けた状態のもとでハウジング40の内部は空洞となっている。ハウジング40は、出力軸31の軸方向に沿って延びる図1、図2に示すハウジング本体(胴体部21)40aと、出力軸31の軸方向と略直交(交差)する方向に延びるグリップ(把持部、ハンドル部)22と、グリップ22を挟んでハウジング本体40aと対向するように設けられたバッテリ保持部47とを備え、これらは一体に設けられている。
さらに、ハウジング本体40aの後方側には、図1、図2に示すように、ハウジング本体40a内に外気を導入するための複数の第1外気導入口40bが設けられている。また、グリップ22の後方側には、図2に示すように、グリップ22内に外気を導入するための複数の第2外気導入口22aが設けられている。さらに、ハウジング本体40aの長手方向に沿う略中央部分には、図1に示すように、ハウジング40の内部、つまりハウジング本体40aおよびグリップ22内に導入した外気をハウジング40の外部に排出するための複数の外気排出口40cが設けられている。
なお、グリップ22は、ハウジング本体40aに一体に設けられ、作業者により把持可能になっている。
また、ハウジング本体40aの内部で、モータ3およびハンマケース23のグリップ22寄りには、LEDライト15が設けられている。LEDライト15は、ハウジング本体40aのハンマケース23側、つまり先端工具50が取り付けられる前方側に配置され、スイッチのオン操作により、先端工具50の周辺(作業部分周辺)を照らせるようになっている。これにより、暗闇でのネジ締め等の作業性を向上させている。
また、図1に示すように、グリップ22の長手方向に沿うハウジング本体40a寄りには、トリガ25に近接して正逆切替レバー18が設けられている。この正逆切替レバー18は作業者により親指等でオンオフ操作されるようになっており、正逆切替レバー18をハウジング(グリップ22)に対してどちら側に突出させるかにより、出力軸31の回転方向を正回転または逆回転に切り替えられるようになっている。
バッテリ保持部47は、バッテリ11を保持するようになっている。バッテリ11には、図1に示すようにリリースボタン11aが設けられており、このリリースボタン11aを把持しつつバッテリ11をバッテリ保持部47に対して前方側へスライドさせることで、バッテリ11をバッテリ保持部47から取り外せるようになっている。また、バッテリ保持部47の後方側にはハンドストラップ47aが取り付けられ、バッテリ保持部47の左側(図1中手前側)には金属製のベルト掛け47bが取り付けられている。なお、ベルト掛け47bはバッテリ保持部47に対して着脱自在となっており、バッテリ保持部47の右側(図1中奥側)にも取り付けられるようになっている。
また、図3に示すように、胴体部21内には、その長手方向がモータ3の軸方向と一致するようにモータ3が配置されており、かつモータ3の軸方向の一端側に向かってハンマ部4、アンビル部5が並んで配置されている。以下の説明においては、アンビル部5側を前側、モータ3側を後側、モータ3の軸方向と平行な方向を前後方向と定義する。また、胴体部21側を上側、グリップ22側を下側、胴体部21からグリップ22が延びる方向を上下方向と定義する。また、前後方向及び上下方向と直交(交差)する方向を左右方向と定義する。
胴体部21の上部には第1孔21aが、胴体部21の後部の側面および後端には外気を導入するための図1に示す第1外気導入口40bが、胴体部21の中央部の側面には外気を排気するための外気排出口40cが、それぞれ形成されている。また、胴体部21内の前側位置には、ハンマ部4およびアンビル部5が内蔵される金属製のハンマケース23が配置されている。ハンマケース23は、前方に向かうに従って徐々に径が細くなる略漏斗形状を成しており、前端部分には開口23aが形成されている。開口23aを画成する内壁にはメタル23cが設けられている。ハンマケース23の下部には、第2孔23bが形成されている。また、第2孔23bの近傍には、後述するインパクトモードと電子パルスモードとを切替える切替スイッチ29が設けられている。
また、開口23a近傍の位置であってハンマケース23の下方位置には、後述の先端工具装着部51に装着されたビットを照射するためのLEDライト15が配置されている。LEDライト15は、暗所での作業時に前方を照らして作業箇所を明るくするために設けられている。そして、LEDライト15は、本来のLEDライト15の有する照明としての機能に加えてモータ3の温度が上昇した際に点滅して作業者に報知する機能も有している。
また、グリップ22は、ハウジング本体40aである胴体部21の前後方向の略中央位置から下側に向けて延出された部分と一体に構成されている。そして、胴体部21と繋がるグリップ22の上部には、グリップ22に引き込み・解放可能に(可動するように)設けられたトリガ(操作部)25と、モータ3の回転方向を切替える正逆切替レバー18とが設けられている。
トリガ25は、スイッチでもあり、引く操作を行うと信号が制御部72に伝達される。また、解放すると信号はOFFとなり、トリガ25は元の位置に戻る。
また、グリップ22の下端部には、モータ3等に電力を供給するために、繰り返し充電可能な蓄電池であるバッテリ11が着脱可能に装着されている。そして、グリップ22内の下方のバッテリ保持部47内には制御回路基板70が配置されており、また、グリップ22には、トリガ25の操作を制御回路基板70に伝達するスイッチ機構22bが内蔵されている。
制御回路基板70は、図示しないリブによってグリップ22(バッテリ保持部47)に支持されており、制御回路基板70上には、制御部72と、ジャイロセンサ26aと、LED26bとが設けられている。
また、モータ3は、出力軸31を有するロータ3aと、ロータ3aと対向配置されたステータ3bとから主に構成されるブラシレスモータであり、出力軸31の軸方向が前後方向と一致するように胴体部21内に配置されている。出力軸31は、ロータ3aの前後に突出しており、その突出した箇所でベアリングにより胴体部21に回転可能に支承されている。出力軸31の前側に突出している箇所には、出力軸31と同軸一体回転するファン32が設けられており、当該箇所の最前端位置には、ピニオンギヤ31aが出力軸31と同軸でかつ一体回転するように設けられている。
モータ3の後方には、電気素子を搭載するための回路基板33が配置されている。回路基板33の中央には、貫通孔が形成されており、出力軸31が貫通孔を貫通する。回路基板33の前面には、前方に突出するように3つの回転位置検出素子33aと、サーミスタ33bと、が設けられている。
ハンマ部4は、図3に示すように、減速機構であるギヤ機構41と、ハンマ42と、付勢バネ43と、規制バネ44と、環状部材45とから主に構成されており、ハンマケース23内のモータ3の前側に内蔵されている。ギヤ機構41は、1段遊星歯車機構であり、アウターギヤ41aと、2つの遊星歯車41bと、スピンドル41cとを備えている。
2つの遊星歯車41bは、太陽ギヤとしてのピニオンギヤ31aの周囲にピニオンギヤ31aと噛合するように配置され、かつ、アウターギヤ41a内にアウターギヤ41aと噛合するように配置されている。また、2つの遊星歯車41bは、太陽ギヤを有するスピンドル41cに固定されている。
また、胴体部21の内側にはインナカバー12が配置され、さらにインナカバー12の内側内方の出力軸31近傍にはこの出力軸31を回転自在に保持する軸受20が設けられている。
また、アンビル部5は、ハンマ部4の前方に配置されており、先端工具装着部51と、アンビル52とから主に構成されている。先端工具装着部51は、円筒状に構成され、ハンマケース23の開口23a内にメタル23cを介して回転可能に支持されている。先端工具装着部51には、先端工具50(ビット)が挿入される穿孔51aが前後方向へ穿設されている。
次に、本実施の形態1によるインパクトドライバ10において使用可能な動作モードおよび制御部72の制御について説明する。本実施の形態1によるインパクトドライバ10は、例えばトルクモード、電子パルスモードの2つの動作モードを備えており、後述するトリガ25の操作により、種々のモードを切り替えることが可能なものであるが、切替部46を操作して切替スイッチ29によりモード切り替えを行ってもよい。
トルクモードとは、モータ3を正転方向のみに回転させることにより、アンビル52にハンマ42を打撃させるモードである。具体的には、所定トルクまではハンマ42とアンビル52とを一体的に回転させて、所定トルク以上になるとハンマ42はアンビル52を打撃するといった構成を付勢バネ43に蓄えられた弾性エネルギーにより実現するモードである。
トルクモードでは、電子パルスモードと比較して大きなトルクで留め金具を締結することができるが、締結作業時の音が大きくなる。これは、ハンマ42がアンビル52と衝突する際、ハンマ42は付勢バネ43によって前方に押されながらアンビル52と衝突するため、アンビル52は回転方向の衝撃だけでなく前後方向(軸方向)にも衝撃を受けることになり、この軸方向の衝撃が、加工部材を介して反響するためである。トルクモードは主に屋外での作業時や大きなトルクが必要となる場合に使用される。
また、トルクモードでは、モータ3が回転すると、その回転はギヤ機構41を介してハンマ42に伝達される。これによってアンビル52もハンマ42と供回りする。締結作業が進んでアンビル52のトルクが所定値以上になると、ハンマ42は付勢バネ43の付勢力に抗して後退する。この時、ハンマ42は回転せず、スピンドル41cのみが回転し、この回転エネルギーは付勢バネ43に弾性エネルギーとして蓄えられる。そして、付勢バネ43に蓄えられた弾性エネルギーを解放することを利用して、モータ3の回転力をアンビル52に打撃力として伝達している。
なお、本実施の形態では、トルクモードに設定されている場合には、LED26bを点灯させないので、そのことによっても作業者はトルクモードに設定されていることを認識することができる。
一方、電子パルスモードとは、モータ3の回転速度及び回転方向(正転・逆転)を制御することにより、留め金具に応じた締結を行うモードである。電子パルスモード時には、切替部46は図3に示す状態にあり、この時、ハンマ42は前後方向に移動不能であるため、ハンマ42は常にスピンドル41cと一体回転する。
電子パルスモードでは、トルクモードと比較して留め金具を締結するトルクは小さくなるが、締結作業時の音も小さくなる。これは、ハンマ42は前後方向に移動不能であるため、ハンマ42がアンビル52と衝突する際、アンビル52は回転方向の衝撃のみを受け、軸方向の衝撃が加工部材を介して反響することがないからである。
したがって、電子パルスモードは主に屋内での作業時に使用される。このように、本実施の形態1のインパクトドライバ10では、切替部46を操作することにより上記トルクモードと電子パルスモードとを容易に切り替えることができるので、作業場所や必要トルクに応じたモードで作業を行うことが可能となる。
なお、電子パルスモードは、さらにドリルモード、クラッチモード、テクスモード、ボルトモード、パルスモードの5つの動作モードを備えており、後述するトリガ(操作部)25の操作により上記各モードの切り替えが可能である。これらの各モードについての説明は省略する。
本実施の形態1のインパクトドライバ10は、トリガ25からの信号に基づいて複数のモード間の切り替えを制御し、かつモータ3の駆動を制御する制御部72を備えており、トリガ25の操作に応じて制御部72の制御により、種々のモード(照明モードや動作モード等)を切り替えることが可能な工具である。すなわち、トリガ25の操作で複数のモード(例えば、照明モードや動作モード等)間の切り替えを行うことができる。
したがって、図1に示すように、作業中のモードがどのようなモードかを知らせる表示部(モード表示部)1が、バッテリ保持部47の上面に設けられている。なお、表示部1については、後で図7、図8を用いて詳細に説明するが、設けられていなくてもよい。
次に、図4を用いて、本実施の形態1のインパクトドライバ10の制御系について説明する。
図4に示すように、制御回路基板70は、マイコン(演算部)72aやその他複数の電気回路を有する制御部72を備えている。そして、制御回路基板70には、回路基板33(図3参照)に搭載され、複数のスイッチング素子(FET( Field Effect Transistor))Q1〜Q6を有するインバータ部71、モータ3の各コイル3c(U相、V相、W相)、図3に示す正逆切替レバー18、各LED(図8に示す表示部1におけるトルク用LED1a、ライト用LED1b、電池用LED1c)、バッテリ11および3つの回転子位置検出素子74a〜74cが電気的に接続されている。
モータ3は、インナーロータ型のブラシレスDCモータである。そして、複数組のN極およびS極を含むロータ3aと、スター結線したU相、V相、W相(3相)からなるコイル3cが巻装された図3のステータ3bと、ロータ3aの回転位置を検出するために、ステータ3bの周方向に所定間隔(例えば60°間隔)で配置された3つの回転子位置検出素子74a〜74c(図3の回転位置検出素子33aに相当する)とを備えている。
スイッチであるトリガ(操作部)25からの信号は、印加電圧設定回路72fを介してマイコン72aに入力されるか、あるいはスイッチ操作検出回路72gを介してマイコン72aに入力される。
各回転子位置検出素子74a〜74cからの検出信号は、制御部72の回転子位置検出回路72cに入力され、回転子位置検出回路72cからは、ロータ3aの回転位置データとしてマイコン72aに出力されるようになっている。また、各回転子位置検出素子74a〜74cからの検出信号は、回転子位置検出回路72cを介してモータ回転数検出回路72dに入力され、モータ回転数検出回路72dからは、ロータ3aの回転数データとしてマイコン72aに出力されるようになっている。これによりマイコン72aでは、作業中のモータ3の回転状態(回転位置や回転数)を把握して、これに基づいてその後のモータ3の回転状態を制御するようになっている。
制御部72には、インバータ部71に流れる電流値を検出するモータ電流検出回路72eが設けられ、これによりモータ3に供給されている現在の電流値がマイコン72aにフィードバックされるようになっている。そして、マイコン72aは、モータ3に対する負荷が大きくなる等して、モータ3に過電流が流れていることを検知すると、モータ3を非常停止(フェイルセーフ動作)するよう制御信号出力回路72hを制御するようになっている。
また、インバータ部71は、3相のブリッジ形式に電気的に接続された6つのスイッチング素子Q1〜Q6を備え、各スイッチング素子Q1〜Q6の各ゲートは、制御部72の制御信号出力回路72hにそれぞれ電気的に接続されている。さらに、各スイッチング素子Q1〜Q6の各ドレインまたは各ソースは、U相、V相、W相の各コイル3cにそれぞれ電気的に接続されている。これにより、各スイッチング素子Q1〜Q6は、制御信号出力回路72hからのスイッチング素子駆動信号H1〜H6により、それぞれスイッチング動作を行い、インバータ部71に印加されるバッテリ11の直流電圧を3相の電圧Vu、Vv、Vwとして各コイル3cにそれぞれ電力を供給するようになっている。そして、インバータ部71に印加されている電圧は、制御回路電圧供給回路73を介して制御部72にフィードバックされるようになっている。
各スイッチング素子Q1〜Q6の各ゲートを駆動する各スイッチング素子駆動信号H1〜H6のうち、3つの負電源側の各スイッチング素子Q4〜Q6をそれぞれパルス幅変調信号(PWM信号)H4〜H6として供給するようになっている。これにより、制御部72のマイコン72aによって、PWM信号のパルス幅(デューティ比)を変化させ、モータ3への電力供給量を調整し、トリガ25の引き量(引き込み量)に応じてモータ3の駆動および停止と回転速度とを制御するようにしている。
ここで、PWM信号は、インバータ部71の正電源側の各スイッチング素子Q1〜Q3または負電源側の各スイッチング素子Q4〜Q6の何れか一方に供給され、各スイッチング素子Q1〜Q3または各スイッチング素子Q4〜Q6を高速でスイッチング動作させることでバッテリ11の直流電圧から各電圧Vu、Vv、Vwを制御するようにしている。なお、本実施の形態1においては、負電源側の各スイッチング素子Q4〜Q6にPWM信号が供給されるため、PWM信号のパルス幅を制御することによって各コイル3cに供給する電力を調整してモータ3の回転速度を制御することができる。
次に、本実施の形態1のインパクトドライバ10におけるモード切り替えの操作について説明する。
図5は図1に示す電動工具のトリガ長押しにおけるタイミングチャート、図6は図5に示すトリガ長押しにおけるフロー図、図7は図1に示す電動工具のモード表示部の一例を示す平面図、図8は図7に示すモード表示部の変形例を示す平面図である。
インパクトドライバ10では、トリガ(操作部)25の操作量に応じて種々のモードを切り替えることができる。すなわち、トリガ25の操作のみでインパクトドライバ10の種々のモードを切り替えるものである。
本実施の形態1では、インパクトドライバ10においてトリガ25を引くことを、「押す」とも呼ぶことにする。これにより、例えばトリガ25を所定の引き込み量(操作量)より小さい引き込み量(操作量)で、かつ所定時間(閾値)より長い時間引き込む操作のことを、以降、トリガ25の長押しと呼ぶ。また、例えばトリガ25をそれぞれ所定時間より短い時間で複数回引き込む操作のことを、以降、トリガ25の連続操作と呼ぶ。
まず、トリガ25の長押しを用いたモード切り替えについて説明する。具体的には照明モードの切り替えについて説明する。図5に示すように、トリガ押し込み量(以降、単に、押し込み量(操作量)もしくは引き込み量(操作量)ともいう)として、A範囲と、A範囲より大きなB範囲とを設定し、トリガ押し込み量がA範囲の時にはモータ3は起動させずにB範囲に到達してからモータ3を起動させる。つまり、本実施の形態1のインパクトドライバ10では、トリガ25を所定の引き込み量Aより多く引き込むことで(B範囲の領域に到達した時点で)、モータ3が起動する。
そして、トリガ引き込み量が、モータ3が起動しないA範囲内の状態を維持し、この状態で所定時間より長い時間トリガ25を引き込む長押しを行う。
なお、モータ3が起動しないA範囲の設定値の一例は、例えば、トリガ25の全体の引き込み量の20〜30%ぐらいの範囲であることが好ましい。
また、トリガ25の長押しを行う際の上記所定時間は、例えば1秒である。すなわち、トリガ引き込み量がA範囲のまま、かつ1秒経過したら照明モードの切り替えが実行される。
このトリガ25の長押し操作を、制御部72のマイコン72aによって検出してインパクトドライバ10の照明モードが切り替わる。
上記長押し操作を、図5に示すタイミングチャートと図6のフロー図を用いて説明する。バッテリ11をインパクトドライバ10に接続する(図5の時刻t0)とバッテリ11から制御部72(マイコン72a)に駆動電圧が供給されることでモード切替処理が開始する。まず、図6に示す最初のステップS1では、トリガオンか否かを判定し、NOであれば、ステップS2のタイマTリセットを行い、さらにステップS3のモータ停止を行った後、ステップS4のモード切替許可となって、モード切り替えを行うことが可能な状態となる(ステップS1に戻る)。具体的には図5の時刻t0〜t1、t3〜t4、t5以降の領域における処理である。
ステップS1の判定がYESであれば、ステップS5のタイマTカウントを行う。このタイマTカウントによって、図5に示すタイマTスタートとなりタイマTのカウントが始まる(例えば図5の時刻t1)。そして、ステップS6に進む。ステップS6でトリガ引き込み量がA範囲内か否かを判定し、NOであれば(B範囲に到達済み)、ステップS7に進み、モード切替禁止の状態となり、さらにステップS8のタイマTリセットを行い、ステップS9によってモータ起動(図5の時刻t4)、すなわちモータ3を起動させる。
ステップS6の判定がYESであれば、ステップS10に進み、モータ3を停止させる。すなわち、ステップS9でモータ3を起動させた後にトリガ引き込み量がA範囲内となった場合にはモータ3を停止させる。その後、ステップS11に進み、タイマT>T1の判定を行う。ステップS11の判定がNO(図5の時刻t11、t3)であれば、ステップS1に戻る。すなわち、T1(所定時間)を、例えば1秒と設定した際にタイマTが1秒より大きくない場合(長押しではない状態)、モード切り替えとはならずにステップS1に戻る。
ステップS11の判定がYES(図5の時刻t2)であれば、ステップS12に進み、モード切替許可か否かを判定する。ステップS12の判定がNOの場合、ステップS1に戻り、YESの場合、ステップS13に進んでモード切替を行う。すなわち、最初の状態(作業開始時)ではトリガオフのためステップS1でNOの判定となりステップS4でモード切替許可となるため、ステップS12の判定はYESとなる。一方、一旦モータ3を起動するとステップS7でモード切替禁止となるため、ステップS12の判定はNOとなる。
ステップS12の判定がYESの場合、ステップS13で照明モードの切り替えを行う。なお、本実施の形態1の照明モードには、ハウジング本体40aに設けられたLEDライト(照明)15の点灯・消灯をトリガ25の操作で切り替え可能な点灯モードと、LEDライト15を常時消灯する消灯モードと、LEDライト15を常時点灯する常時点灯モードとがある。すなわち、トリガ25を引いたらLEDライト15が点灯するモード(上記点灯モード)や、トリガ25を引いても点灯しないモード(上記消灯モード)等を設定することができる。上記消灯モードは、例えば明るい場所で作業をする場合等に用いるものであり、トリガ25を引いてもLEDライト15が点灯することはない。ここで、現在のモードが点灯モードの場合には消灯モードに切り替えられる。モード切替実施後、ステップS14では更なるモード切替を禁止し、ステップS15のタイマTリセット(図5の時刻t2)を行う。
ここで、ステップS14で更なるモード切替の禁止について説明する。トリガ25が所定時間T1を超える長い間(例えば、T1の2倍の時間)長押しされた場合、T1が2回カウントされてしまい、例えば点灯モードから消灯モードに切り替えたいにもかかわらず、点灯モードから常時点灯モードに切り替わってしまうことが考えられる。そこで、ステップS14では、ステップS13でモードが1回切り替わったらその後の切り替えを禁止している。再度モードを切り替える場合には、トリガを一旦オフにし(ステップS1)、モード切替許可(ステップS4)の後に、再度A範囲内での長押し操作を行えばよい。
なお、図5に示すように、長押し状態でタイマTのカウントが、設定された所定時間T1に到達すると、その時点でモード切替を行える状態(モード切替許可の場合のみ)となり、その後、タイマTはリセットされる。
以上のようにトリガ25の長押し操作を行うことで、図4に示すトリガ25からの信号が制御部72のマイコン72aに伝達され、マイコン72aの制御によってインパクトドライバ10の照明モードを上述のように切り替えることができる。
すなわち、初期状態では点灯モードに設定されている、あるいは、トリガ25を1回長押しして上記点灯モードに設定する。この状態で作業を行う場合、トリガ25と連動してLEDライト15が点灯し、その後、トリガ25を離す(解放する)と、数秒後にLEDライト15は消える。
一方でLEDライト15が不要になった際には、再度トリガ25を長押し操作することで、上記消灯モードに設定される。このモードでは、トリガ25を引いてもLEDライト15は点灯しない。さらに、トリガ25の操作にかかわらず常にLEDライト15を点灯したい場合には再度トリガ25の長押し操作を行う。このモードでは、トリガ25の操作にかかわらずバッテリ11を接続すれば常にLEDライト15を点灯する。すなわち、照明モードではトリガ25を長押しする毎に上記した3つのモードを順に切り替えることができる。
以上のように、インパクトドライバ10では、この照明モードの切り替えを、トリガ25の操作(引き込み量や引き込み時間等)のみで行うことができ、したがって、作業中に片手でモード切り替え操作を行うことができる。
なお、照明モード以外のモード切替に適用することもできる。例えば、モード切替を動作モードの切り替えとした場合には、動作モードのうち、上述したトルクモードにおいては、トリガ25の操作(トリガ25の引き込み量や引き込み時間等)により、トルク(打撃力)の大きさを、例えば4段階〜5段階程度で、片手で切り替えることができる。なお、トリガ25のB範囲内での引き込み量に応じてモータ3の回転数が変更でき、トリガ25の引き込み量が大きいほどモータ3を高速で回転することができるが、上記設定により、トリガ25の引き込み量がB範囲内に到達したら設定したトルクになるようにしてもよい。
さらに、動作モードのうち、上述した電子パルスモードにおいては、ドリルモード、クラッチモード、テクスモード、ボルトモード、パルスモードの5つの動作モードを、トリガ25の操作(トリガ25の引き込み量や引き込み時間等)により切り替えることも可能である。
また、図1に示すように、インパクトドライバ10には、ハウジング本体40aと繋がるバッテリ保持部47の上面に、インパクトドライバ10の種々のモードを表示する表示部(モード表示部)1が設けられている。
なお、表示部1は、照明モードおよび動作モードそれぞれの表示を有していることが好ましい。例えば、図7に示す表示部1には、動作モード用の表示として、トルク用LED1aが設けられており、照明モード用の表示として、ライト用LED1bが設けられている。
トルク用LED1aによって、その時の設定での打撃力(トルク)の大きさを知ることができる。また、ライト用LED1bによって、その時の設定が、上述の点灯モード、消灯モード、常時点灯モード等の何れかを知ることができる。
また、図8に示す表示部1のように、電池残量の表示を示す電池用LED1cが設けられていてもよく、この電池用LED1cによって、その時の電池残量を知ることができる。
そして、上記照明モード用の表示(ライト用LED1b)、上記動作モード用の表示(トルク用LED1a)および上記電池残量の表示(電池用LED1c)が設けられていることで、トリガ25の操作でモードが切り替わった際にも、作業者に報知することができ、作業者はモード切り替えをその場で認識することができる。
これらトルク用LED1a、ライト用LED1bおよび電池用LED1cは、図4に示すようにトリガ25からの信号に基づいて制御部72の制御により点灯または点滅を行う。
なお、上記照明モード用の表示、上記動作モード用の表示および上記電池残量の表示のうち、少なくとも上記照明モード用の表示(ライト用LED1b)が設けられていることが好ましい。これは、打撃力の切り替えの頻度はあまり高くなく、照明モードの切り替えの方が切り替えの頻度が高いためである。
例えば、上記照明モードにおいて、LEDライト15を常時消灯する消灯モードに高い頻度で切り替えることにより、消費電力を大幅に削減することができ、省エネ効果を高めることができる。
なお、ライト用LED1b、トルク用LED1aまたは電池用LED1cによるモード切り替えの報知方法としては、各LEDの点灯であってもよいし、あるいは点滅であってもよい。また、動作モード用LED(電子パルス用LED)を設けて、設定されているモードがどのモードか(ドリルモード、クラッチモード、テクスモード、ボルトモード、パルスモード)を報知するようにしてもよい。
本実施の形態1の電動工具(インパクトドライバ10)によれば、トリガ25の操作のみでインパクトドライバ10の照明モード(常時点灯モード、点灯モード、消灯モード)、あるいは動作モード(トルクモード、或いは電子パルスモード)を切り替えることができるため、作業中であっても片手で容易にモード切り替えを行うことが可能になる。
その結果、インパクトドライバ10における作業効率を向上させることができる。
また、モード切り替え専用スイッチを設けることが無いため、インパクトドライバ10における部品点数を削減することができ、インパクトドライバ10のコストの低減化を図ることができる。
また、インパクトドライバ10に報知用のLED等からなる表示部1が設けられていることにより、モードが切り替わった際に、作業者がモードの切り替えを認識し易くなる。なお、モード切り替えを音で報知することにより、作業者がモードの切り替えをさらに認識し易くなる。
(実施の形態2)
図9は本発明の実施の形態2のトリガ長押しのタイミングチャートである。
ここでは、トリガ25の長押し操作においてイレギュラー操作を行った場合の電動工具の動作について説明する。図9は、トリガ25を長押し操作を行っている途中で、トリガ25の引き込み量が所定の引き込み量を越えた場合を示しており、この際には、図4に示す制御部72の制御により、トリガ25の引き始めからカウントしているタイマTをリセットする。
すなわち、図9に示すように、トリガ25の長押し中に、トリガ25の引き込み量(押し込み量)がB範囲に到達してしまった場合を示すものである。
トリガ25の引き込み量がB範囲に到達すると、その時点(時刻t6)でモータ3が起動する。しかしながら、その時点では、T<T1であり、トリガ25を引いてる時間Tが、長押しの所定時間T1より小さいため、長押しとは判断されない。したがって、その時点でタイマTリセットを行う。すなわち、図6において、ステップS1〜S4の処理を行った後にステップS1でYES判定となり、ステップS5でタイマTカウントを開始した後にトリガ25の引き込み量がB範囲となった場合に相当する。この場合、ステップS6でNO判定となるため、モード切替禁止(ステップS7)とし、タイマTをリセットした上でモータ3を起動させる(ステップS8およびS9)。
その後、トリガ25の引き込み量をA範囲に戻した時点(時刻t7)でモータ3は停止し(図6のステップS10)、かつタイマTが再スタートする。なお、モータ3の停止とタイマの再スタートの順番は逆であってもよい。すなわち、図6において、ステップS9でモータ3を起動した後にステップS1でトリガ操作の判定が行われる。トリガ25が継続して操作されている場合(ステップS1でYES判定)にはタイマTのカウントを再スタートするが、トリガ25の引き込み量がA範囲(ステップS6でYES判定)で、かつタイマTがT>T1(ステップS11でYES判定)の場合であっても、ステップS7でモード切替禁止となっているため、ステップS12ではNO判定となってしまい、モード切替を行うことができない。したがって、図9の時刻t6(ステップS9)でモータ3を起動させてしまった場合には、一旦トリガ25をオフにしてモード切替許可(ステップS4)としてから再度トリガ25の長押し操作を行う必要がある。
したがって、一旦トリガ25をオフにした後に再度トリガ25の長押し操作を行う(図9の時刻t7)。その後、タイマTがT>T1となった時点(時刻t8)で長押しと判断し(ステップS11およびS12がともにYES判定)、モード切り替えを行う。この時点でタイマTをリセットする(ステップS15)。モード切り替え後、ステップS5でタイマTを再びスタートさせ、トリガ25をさらに引き込み、引き込み量がB範囲に到達した時点(時刻t9、ステップS6でNO判定)でモータ3が起動する(ステップS9)。さらにこの時点でモード切替を禁止し(ステップS7)、タイマTリセット(ステップS8)となる。その後、トリガ25の引き込み量がA範囲もしくは0に戻るとモータ停止となる。
なお、トリガ25の長押し中に、トリガ25の引き込み量がB範囲に到達してしまった場合の電動工具の動作として、B範囲に到達する時点より以前(直前)の操作から長押しと判断することもできる。すなわち、トリガ25の引き込み量がB範囲に到達してしまった時点のタイマTがT1に近い場合には、長押し操作と判断することもできる。
以上により、トリガ25の長押し操作において、イレギュラー操作が行われた場合であっても、インパクトドライバ10のモード切り替えを行うことができる。
(実施の形態3)
図10は本発明の実施の形態3のトリガ連続操作のタイミングチャート、図11は図10に示すトリガ連続操作におけるフロー図である。
本実施の形態3では、トリガ25を所定の引き込み量より小さい量で、かつそれぞれ所定時間より短い時間で複数回引き込む操作(トリガ25を、チョン、チョンと引く操作)、すなわちトリガ25の連続操作を用いたモード切り替えについて説明する。
なお、図10に示すように、トリガ引き込み量として、A範囲と、A範囲より大きなB範囲とを設定し、トリガ引き込み量がA範囲の時にはモータ3は起動させずにB範囲に到達してからモータ3を起動させることは、実施の形態1と同様である。図10において、上段がトリガ引き込み量、中段がタイマT4のカウント、下段がタイマT2のカウントを示す。なお、タイマT4はトリガ25がオフ状態となっている時間をカウントするタイマであり、タイマT2はトリガ25がオン状態となっている時間をカウントするタイマである。
バッテリ11をインパクトドライバ10に接続することによりモード切替処理が開始する(図10の時刻t0)。まず、図11に示す最初のステップS21では、トリガオンか否かを判定し、NOであれば、ステップS22のタイマT4のカウントを行い(図10の時刻t0〜t1)、さらにステップS23のモータ停止を行った後、ステップS24でトリガオフのフラグを1とすることでモード切り替えを行うことが可能な状態となる(ステップS21に戻る)。
初期状態(作業開始前)ではトリガ25はオフ状態であるからステップS22〜S24を実行し(図10の時刻t0〜t1)、その後、作業開始時にトリガ25がオンされる(図10の時刻t1)。ステップS21の判定がYESであれば、ステップS25でトリガ引き込み量がA範囲内か否かを判定し、NO(B範囲に到達)であれば、ステップS26に進み、モード切替禁止の状態とし、さらにステップS27のタイマT2及びT4をリセットし、ステップS28でモータ3を起動させる。なお、作業開始時であればタイマT2はカウントされていない。
ステップS25の判定がYESであれば、ステップS29に進みモータ3を停止させ、ステップS30のタイマT2のカウントを開始し(図10の時刻t1)、ステップS31に進む。ステップS31ではトリガオフのフラグが1となっているか否かを判定する。
トリガオフのフラグが1か否かの判定がNOの場合(フラグが1となっていない場合)、ステップS32でトリガオフのフラグをリセットしてステップS21に戻る。なお、ステップS31において、作業を開始した後の最初の判断の場合にはステップS24でフラグを1にセットしているため、YES判定となり、ステップS33に進むことになる。ステップS32は2回目以降のトリガ操作の場合に必要な処理である。すなわち、最初の判断では、作業開始前の状態からトリガ25を操作することになるため必ずS24の処理が行われる。
一方、上記したように最初の判断ではステップS31でYES判定となり、ステップS33に進む。作業を開始した後の最初の判断では初期状態としてモータ切替禁止となっているため、NO判定となり、ステップS34に進む。
ステップS34では、トリガ25の操作が最初の操作か否か(1回目の操作か否か)を判定する。すなわち、図10に示すように、時刻t1でトリガ25が最初に操作された場合、時刻t0〜時刻t1の時間はトリガ25の連続操作の時間(時刻t1〜t3)よりも長い。そのため、ステップS34ではタイマT5によってトリガオフ時間T4が所定時間T5(例えば1秒)より大きいか否かを判定する。YES判定の場合、トリガ25の操作が最初(1回目、図10の時刻t1)と判断してステップS35でモード切替許可とし、ステップS36でタイマT2およびT4をリセット、ステップS32でトリガオフのフラグをリセットしてステップS21に戻る。一方、ステップS34でNO判定の場合にはトリガ25の操作が2回目以降の操作と判断して、ステップS36およびS32を経由してステップS21に戻る。
ステップS21でトリガ25がオンか否かを判定し、NO判定であればステップS22でタイマT4のカウントをスタートし(図10の時刻t2)、ステップS23およびS24を経由して再びトリガS25のオン判定をおこなう。ステップS21でYES判定の場合、ステップS29でモータ3を停止し、ステップS30でタイマT2のカウントをスタートする(図10の時刻t3)。ステップS31およびS33では、ステップS24でトリガオフのフラグが1にセットされ、ステップS35でモード切替許可となっているため、YES判定となり、ステップS37に進む。ステップS37では、トリガ25をオフした時間(タイマT2)とトリガ25をオンした時間(タイマT4)とが連続操作検出時間T3より短いか否かを判断する。すなわち、短い時間にトリガ25のオン、オフ操作を繰り返したか否かを判断する。YES判定の場合にはステップS38でモードを切り替え(図10の時刻t3)、ステップS39でモード切替を禁止して、ステップS36およびS32を経由してステップS21に戻る(図10の時刻t3)。ここで、ステップS38でのモード切替は、2回目にトリガ25が操作された瞬間に行われる(図10の時刻t3)。なお、ステップS30からステップS39を経由してステップS21に戻るまでの時間は短時間のため図10には表れていないが、実際にはタイマT2のカウントが上昇した後に両タイマをリセットしている。
ステップS21に戻り再度ステップS30になったらタイマT2のカウントを開始する(図10の時刻t3)。ステップS31ではNO判定となり、ステップS21でNO判定となればタイマT4のカウントを開始する(図10の時刻t4)。そして、ステップS21でトリガ25が操作され、ステップS25でトリガ25の引き込み量がB範囲に到達すると(図10の時刻t5)、モード切替を禁止し(ステップS26)、タイマT2およびT4をリセットし(ステップS27)、モータ3を起動させる(ステップS28)。その後、トリガ25の操作をやめる(トリガ25から手を離す)と(ステップS21でNO判定)、モータ3を停止する(図10の時刻t6)。
以上のようにトリガ25の連続操作を行うことで、図4に示すトリガ25からの信号が制御部72のマイコン72aに伝達され、マイコン72aの制御によってインパクトドライバ10のモードを、実施の形態1と同様に照明モードを切り替えることができる。
本実施の形態3によれば、トリガ25の連続操作を用いた場合であっても、トリガ25の操作のみでインパクトドライバ10の照明モードを切り替えることができるため、作業中であっても片手で容易にモード切り替えを行うことができる。
その結果、実施の形態1と同様に、インパクトドライバ10における作業効率を向上させることができる。
また、モード切り替え専用スイッチを設けることが無いため、インパクトドライバ10における部品点数を削減することができ、実施の形態1と同様にインパクトドライバ10のコストの低減化を図ることができる。
なお、本実施の形態3におけるその他の効果については、実施の形態1のものと同様であるため、その重複説明は省略する。
(実施の形態4)
図12は本発明の実施の形態4のトリガ連続操作のタイミングチャートである。
ここでは、トリガ25の連続操作において、実施の形態2と同様にイレギュラー操作を行った場合の電動工具の動作について説明する。
図12は、トリガ25の連続操作における1回目のトリガ操作の後、2回目のトリガ操作を行うまでの間に所定時間T3(連続操作検出時間)を越える時間が経過してしまった場合を示すものである。
詳細には、A範囲のトリガ操作で、かつトリガ25の連続操作において、1回目のトリガ操作により、タイマT2のカウントがスタートした後、2回目のトリガ操作が行われる前に、タイマT4のカウントが所定時間T3を経過してしまった場合を示すものである。すなわち、図12において、時刻t0〜t2は実施の形態3と同じであるが、その後の時刻t2〜t3において、トリガ25のオフ時間(タイマT4のカウント)が連続操作検出時間T3を超えてしまった場合である。
この場合、1回目のトリガ操作の後、何もしないで所定時間T3が経過すると(タイマT4>T3)、図11のステップS37の判断でNO判定となりモード切替を行うことができず、タイマT2およびT4のカウントおよびトリガオフのフラグをリセットすることになる。
そして、時刻t3で再びトリガ操作されると、図11のステップS34でYES判定となって最初(1回目)の操作と判断され、モード切替が許可される。
そして、A範囲のトリガ操作で、1回目のトリガ操作と2回目のトリガ操作が正常に行われた時(時刻t3〜t5)、実施の形態3と同様に、その2回目のトリガ操作が行われた時点でトリガ25の連続操作と判断し、モード切り替えを行う。さらにこの時点でタイマT2およびT4がリセットされる。
モード切り替え後、トリガ25の引き込み量をB範囲に到達させることで(時刻t7)モータ3を起動させることができる。その後、トリガ25の引き込み量がA範囲もしくは0に戻る(時刻t8)とモータ停止となる。
以上により、トリガ25の連続操作において、イレギュラー操作が行われた場合であっても、インパクトドライバ10のモード切り替えを行うことができる。
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
上記実施の形態では、電動工具の一例としてインパクトドライバ10を取り上げて説明したが、上記電動工具はこれに限らず、操作部であるトリガを備え、かつ先端工具の駆動源としてのモータ等を備えたものであれば、他の電動工具、例えば、ドリル、ドライバ、ハンマ、ハンマドリル、ハンマドライバ等であってもよい。
また、上記実施の形態では、トリガ25の操作(長押し、連続操作)に応じて、照明モードを切り替えるようにしたが、トリガ25の長押しによって照明モードを切り替え、連続操作によって動作モードを切り替えるようにしてもよい。その逆であってもよい。また、連続操作の場合には動作モードを切り替え、さらに、連続操作2回の場合には2回押される毎にトルクを4段階で切り替えるトルクモードとし、連続操作3回の場合には3回押される毎に駆動モード(ドリルモード、クラッチモード等)を切り替える電子パルスモードとしてもよい。この場合、マイコン72aは図6および図11のフローチャートを並列に処理すればよい。
また、上記実施の形態では、トリガ操作により種々のモードを切り替える制御部と、トリガ操作によりモータの駆動を制御する制御部とが同一の制御部の場合を説明したが、モードを切り替える制御を行う制御部と、モータの駆動を制御する制御部とは、それぞれ別々に設けられた制御部であってもよい。
1…表示部(モード表示部)、1a…トルク用LED、1b…ライト用LED、1c…電池用LED、3…モータ、3a…ロータ、3b…ステータ、3c…コイル、4…ハンマ部、5…アンビル部、10…インパクトドライバ(電動工具)、11…バッテリ、11a…リリースボタン、12…インナカバー、15…LEDライト(照明)、18…正逆切替レバー、20…軸受、21…胴体部、21a…第1孔、22…グリップ(把持部)、22a…第2外気導入口、22b…スイッチ機構、23…ハンマケース、23a…開口、23b…第2孔、23c…メタル、25…トリガ(操作部)、26a…ジャイロセンサ、26b…LED、29…切替スイッチ、31…出力軸、31a…ピニオンギヤ、32…ファン、33…回路基板、33a…回転位置検出素子、33b…サーミスタ、40…ハウジング、40a…ハウジング本体(工具本体)、40b…第1外気導入口、40c…外気排出口、41…ギヤ機構、41a…アウターギヤ、41b…遊星歯車、41c…スピンドル、42…ハンマ、43…付勢バネ、44…規制バネ、45…環状部材、46…切替部、47…バッテリ保持部(第1部分)、47a…ハンドストラップ、47b…ベルト掛け、50…先端工具、51…先端工具装着部、51a…穿孔、52…アンビル、70…制御回路基板、71…インバータ部、72…制御部、72a…マイコン(演算部)、72c…回転子位置検出回路、72d…モータ回転数検出回路、72e…モータ電流検出回路、72f…印加電圧設定回路、72g…スイッチ操作検出回路、72h…制御信号出力回路、73…制御回路電圧供給回路、74a,74b,74c…回転子位置検出素子

Claims (16)

  1. 先端に工具が取り付けられる工具本体と、
    前記工具本体に設けられ、かつ前記工具の駆動源であるモータと、
    前記工具本体と繋がる把持部と、
    前記把持部に可動するように設けられた操作部と、
    前記操作部からの信号に基づいて複数のモード間の切り替えを制御する制御部と、
    を有し、
    前記操作部の操作に応じて前記制御部の制御により前記モードを切り替える、電動工具。
  2. 前記操作部の前記操作として、前記操作部を所定の操作量より多く操作することで前記モータが起動する、請求項1に記載の電動工具。
  3. 前記操作部の前記操作として、前記操作部を前記所定の操作量より小さい量で、かつ所定時間より長い時間操作することで前記複数のモード間の切り替えを行う、請求項2に記載の電動工具。
  4. 前記操作部を前記所定時間より長い時間操作を行っている途中で、前記操作量が前記所定の操作量を越えた際には、前記制御部において前記操作部の操作開始からカウントしているタイマをリセットする、請求項3に記載の電動工具。
  5. 前記操作部の前記操作として、前記操作部を前記所定の操作量より小さい量で、かつ所定時間内に前記操作部を複数回操作することで前記複数のモード間の切り替えを行う、請求項2に記載の電動工具。
  6. 前記所定の操作量は前記モータが起動する操作量である、請求項2乃至5のいずれかに記載の電動工具。
  7. 前記モードは照明モードを有し、
    前記照明モードは、前記工具本体に設けられた照明の点灯・消灯を前記操作部の操作で切り替え可能な点灯モードと、前記照明を常時消灯する消灯モードと、前記照明を常時点灯する常時点灯モードとを含む、請求項3または6に記載の電動工具。
  8. 前記制御部は、前記操作部の操作に応じて前記3つの照明モードを順次切り替える、請求項7に記載の電動工具。
  9. 前記モードは動作モードを有し、
    前記制御部は、前記操作部の操作に応じて前記モータのトルクを切り替える、請求項3または6に記載の電動工具。
  10. 前記モードは動作モードを有し、
    前記制御部は、前記操作部の操作に応じて前記モータの動作モードを切り替える、請求項3または6に記載の電動工具。
  11. 前記操作部の前記操作によって前記モードが切り替わった際に、作業者に報知する、請求項1乃至10のいずれかに記載の電動工具。
  12. 前記工具本体と繋がる第1部分に、種々の前記モードを表示するモード表示部が設けられている、請求項1乃至11のいずれかに記載の電動工具。
  13. 前記モータの駆動源となるバッテリと、
    前記把持部の前記工具本体と反対側に設けられ、前記バッテリが接続されるバッテリ保持部と、を有し、
    前記モード表示部は前記バッテリ保持部に設けられている、請求項12に記載の電動工具。
  14. 前記モード表示部は、照明モードおよび動作モードそれぞれの表示を有している、請求項12または13に記載の電動工具。
  15. 前記モード表示部は、電池残量の表示を有している、請求項13に記載の電動工具。
  16. 先端に工具が取り付けられる工具本体と、
    複数の動作モードを有し、前記工具本体に設けられ、かつ前記工具の駆動源であるモータと、
    前記工具本体と繋がる把持部と、
    前記把持部に可動するように設けられた操作部と、
    複数の照明モードを有し、前記工具本体または前記把持部に設けられた照明体と、
    前記操作部からの信号に基づいて複数のモード間の切り替えを制御する制御部と、
    を有し、
    前記操作部の操作として、前記操作部を前記モータが起動する操作量より小さい量で、かつ所定時間より長い時間操作することで、前記動作モードおよび前記照明モードの一方のモード間を切り替え、前記操作部の操作として、前記操作部を前記モータが起動する操作量より小さい量で、かつ所定時間内に前記操作部を複数回操作することで前記動作モードおよび前記照明モードの他方のモード間を切り替える、電動工具。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017024167A (ja) * 2015-07-22 2017-02-02 エイシー (マカオ コマーシャル オフショアー) リミテッドAc (Macao Commercial Offshore) Limited 医療用衝撃工具
JP2018202568A (ja) * 2017-06-07 2018-12-27 株式会社マキタ 電動工具
KR101971902B1 (ko) * 2018-09-05 2019-04-24 최대규 멀티 공구툴을 갖는 전동 드라이버

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