JP2015036523A - エンジンの排気還流装置のための故障検出装置 - Google Patents

エンジンの排気還流装置のための故障検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電動式EGR弁を大型化や高出力化することなく、EGR弁の自動車への搭載性悪化やEGR装置のコスト増を抑えながらEGR弁の故障検出を有効に行うこと。【解決手段】エンジン1のEGR装置のための故障検出装置は、エンジン1の減速燃料カット時に、EGR弁18の動作に応じて吸気圧センサ51により検出される吸気圧に基づきEGR弁18の故障を判定する電子制御装置(ECU)50を備える。ECU50は、吸気通路3に設けられた電子スロットル装置14(スロットル弁21)を制御することでスロットル弁21より下流の吸気通路3における吸気圧を負圧が減少する方向へ調整し、その調整後にEGR弁18を閉弁状態から強制的に開弁させると共に、その開弁の前と後で吸気圧センサ51により検出される吸気圧の負圧の変化に基づいてEGR弁18の故障を判定する。【選択図】 図1

Description

この発明は、エンジンの排気の一部を排気還流ガスとして吸気通路へ流してエンジンへ還流させる排気還流装置に係り、詳しくは、その排気還流装置の故障を検出するように構成した故障検出装置に関する。
従来、この種の技術が、例えば、自動車用エンジンにおいて採用されている。排気還流装置(Exhaust Gas Recirculation(EGR)装置)は、エンジンの燃焼室から排気通路へ排出される燃焼後の排気の一部をEGRガスとしてEGR通路を介して吸気通路へ導き、吸気通路を流れる吸気と混合させて燃焼室へ還流させるようになっている。EGR通路を流れるEGRガスは、EGR通路に設けられるEGR弁により調節されるようになっている。このEGRによって、主として排気中の窒素酸化物(NOx)を低減させることができ、エンジンの部分負荷時における燃費向上を図ることができる。
エンジンの排気は、酸素が含まれていないか酸素が希薄な状態にある。従って、EGRにより排気の一部を吸気と混ぜることで、吸気中の酸素濃度が低下する。このため、燃焼室では、酸素濃度が低い状態で燃料が燃焼することから、燃焼時のピーク温度が低下し、NOxの発生を抑制することができる。ガソリンエンジンでは、EGRにより吸気中の酸素含有量を増加させることなく、スロットルバルブをある程度閉じた状態においても、エンジンのポンピングロスを低減することができる。
ここで、近時は、エンジンの更なる燃費向上を図るために、エンジンの全運転領域でEGRを行うことが考えられ、大量EGRを実現することが求められている。大量EGRを実現するためには、従前の技術に対し、EGR通路の内径を拡大したり、EGR弁の弁体の外径や弁座の流路開口面積を大きくしたりする必要がある。
ところで、EGR装置に故障が発生すると、適確なEGR制御の妨げとなり、エンジンにノッキングが発生したり、エンジンの排気エミッションを悪化させたりするおそれがある。そこで、EGR装置の故障の有無を診断し、故障を検出したときはその事実を運転者に告知したり、記憶装置に記録を残したりするように構成した故障検出装置が従来から提案されている。
下記の特許文献1には、この種の故障検出の技術が開示されている。この技術では、エンジンが減速運転状態にあるときに、吸気量調節弁の開度を所定の開度に制限し、エンジンへの燃料供給を停止すると共に、吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧が所定の負圧より低くならないようエンジン回転速度に応じて吸気量調節弁の開度制限を緩和する緩和制御を行うようになっている。また、吸気量調節弁の開度が所定の開度に制限されているときにEGR弁を開弁させ、その開弁の前後で吸気圧センサにより検出される吸気圧の変化と、上記緩和制御の実行時及び非実行時のそれぞれに応じて設定された基準吸気圧とに基づき、EGR装置の故障を診断するようになっている。これにより、エンジンの減速運転時の燃料カット中(減速燃料カット時)に吸気圧が負圧側に大きくならないようにし、ピストンとシリンダとの間のオイル上がりを防止すると共に、EGR弁の故障診断をその実施頻度を減少させることなく精確かつ十分に実施するようにしている。
特開2008−208781号公報
ところが、特許文献1に記載の技術では、いずれにしても、エンジンの減速燃料カット時において、エンジンでオイル持ち去りが発生するほどの高い負圧が発生するときに、その高い負圧を緩和するために吸気量調節弁の開度制限につき緩和制御を行うと共に、EGR装置の故障診断を行っている。ここで、EGR弁を全閉状態から開弁しようとするとき、弁体の上流側(排気側)にかかる圧力と弁体の下流側(吸気側)にかかる圧力との圧力差が大きくなっている。このため、大量EGRの要請に伴いEGR通路の内径を大きくしたり、EGR弁の弁体の外径や弁座の流路開口面積を大きくしたりすると、弁体の排気側にかかる圧力と吸気側にかかる圧力との圧力差が更に増大してしまう。このため、電動式のEGR弁を全閉状態から開弁するには、増大した圧力差に打ち勝つだけの駆動力によって弁体を開弁する必要がある。その結果、弁体を開弁させるアクチュエータに高出力が要求され、高出力化のためにアクチュエータが大型化する傾向があり、EGR弁が大型化してEGR弁の自動車への搭載性悪化やEGR装置のコスト増が問題となった。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、電動式の排気還流弁を大型化したり高出力化したりする必要がなく、排気還流弁の自動車への搭載性悪化や排気還流装置のコスト増を抑えながら排気還流弁の故障検出を有効に行うことを可能としたエンジンの排気還流装置のための故障検出装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、エンジンの排気還流装置のための故障検出装置であって、エンジンは、燃焼室と、吸気通路と、排気通路と、燃焼室へ燃料を供給するための燃料供給手段と、吸気通路を流れる吸気量を調節するための吸気量調節弁とを含み、排気還流装置は、燃焼室から排気通路へ排出される排気の一部を排気還流ガスとして吸気通路へ流して燃焼室へ還流させる排気還流通路と、排気還流通路における排気還流ガスの流れを調節するための電動式の排気還流弁とを含み、エンジンには、吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧を調整するための吸気圧調整手段と、吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧を検出するための吸気圧検出手段とが設けられ、故障検出装置は、エンジンの減速運転時であって、燃料供給手段による燃料の供給が遮断されたときに、排気還流弁の動作に応じて吸気圧検出手段により検出される吸気圧に基づき排気還流弁の故障を判定する故障判定手段を備え、故障判定手段は、吸気圧調整手段を制御することにより吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧を負圧が減少する方向へ調整し、その調整後に排気還流弁を閉弁状態から強制的に開弁させると共に、その開弁の前と後で吸気圧検出手段により検出される吸気圧の負圧の変化に基づいて排気還流弁の故障を判定することを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、エンジンの減速運転時であって、燃料供給手段による燃料の供給が遮断されたときに、正常な排気還流弁が動作することにより、排気還流通路から吸気通路への排気還流ガスの流れが変化し、これにより吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧が変化する。ここで、排気還流弁が故障している場合は、排気還流弁を動作させても、排気還流ガスの流れに予想した変化が得られず、吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧にも予想した変化が得られない。そこで、上記発明の構成によれば、故障判定手段により、吸気圧調整手段が制御されて、吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧の負圧が緩和される方向へ調整され、その調整後に排気還流弁が閉弁状態から強制的に開弁される。そして、排気還流弁の開弁の前と後で吸気圧検出手段により検出される吸気圧の負圧の変化に基づいて排気還流弁の故障の有無が判定される。ここで、排気還流弁が強制的に開弁される前に、吸気圧の負圧が緩和されるので、排気還流弁が強制的に開弁されるときの排気還流弁にかかる負荷が小さくなる。
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、故障判定手段は、排気還流弁が故障であると判定した後、吸気圧調整手段による吸気圧の負圧の減少量を増加させてから排気還流弁の故障を再び判定することを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、排気還流弁が故障であると判定された後、排気還流弁に作用する吸気圧の負圧を更に減少させてから排気還流弁の故障が再び判定されるので、より精確に故障の有無が判定される。
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、エンジンには、エンジンの回転速度を検出するための回転速度検出手段と、大気圧を検出するための大気圧検出手段とが更に設けられ、故障判定手段は、エンジンの減速直前に検出された回転速度が高いほど吸気圧の負圧を大きく減少させるように、かつ、エンジンの減速直前に検出された大気圧が低いほど吸気圧の負圧を小さく減少させるように吸気圧調整手段を制御することを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項1又は2に記載の発明の作用に加え次のような作用を有する。すなわち、吸気通路における吸気圧はエンジンの回転速度や大気圧の違いにより変わり得る。上記発明の構成によれば、吸気圧調整手段が、エンジン回転速度と大気圧の違いに応じて制御されて吸気圧の負圧が調整されるので、排気還流弁にかかる負荷が過不足なくより好適に緩和される。
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明において、排気還流弁は、弁座と、弁座に着座可能に設けられた弁体と、弁体を駆動するための電動機とを含み、故障検出装置は、故障判定手段により排気還流弁の故障が判定された後、電動機の動作位置を弁体の全閉位置に対応するゼロ点として学習するためのゼロ点学習手段を更に備えたことを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の作用に加え次のような作用を有する。すなわち、故障を検出するために、排気還流弁は吸気圧が負圧となる中で閉弁状態から開弁されるので、排気還流弁の電動機に脱調のおそれがある。ここで、故障判定手段により排気還流弁の故障が判定された後に、ゼロ点学習手段により、電動機の動作位置が弁体の全閉位置に対応するゼロ点として学習されるので、その後の制御により排気還流弁が開弁されるときの開度のずれが解消される。
上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の発明において、吸気圧調整手段は、吸気量調節弁であり、故障判定手段は、吸気量調節弁を微少開弁させることにより吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧を負圧が減少する方向へ調整し、故障の判定完了後に吸気量調節弁の微少開弁を終了することを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項1乃至4の何れかに記載の発明の作用に加え、吸気通路に本来設けられる吸気量調節弁が吸気圧調整手段として適用されるので、他の手段を別途設ける必要がない。
上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の発明において、エンジンは、燃焼室にそれぞれ設けられて吸気通路に通じる吸気ポート及び排気通路に通じる排気ポートと、吸気ポートを開閉する吸気弁と、排気ポートを開閉する排気弁と、エンジンの回転に同期して吸気弁及び排気弁を開閉駆動させる動弁機構と、吸気弁及び排気弁の少なくとも一方の開閉特性を可変とする開閉特性可変機構とを更に含み、吸気圧調整手段は、開閉特性可変機構であり、故障判定手段は、開閉特性が変わるように開閉特性可変機構を動作させることにより吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧を負圧が減少する方向へ調整することを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項1乃至4の何れかに記載の発明の作用に加え、吸気圧調整手段として吸気量調節弁とは別の開閉特性可変機構が適用されるので、吸気量調節弁をある程度制御した状態でも開閉特性可変機構により吸気圧の調整が可能となる。
請求項1に記載の発明によれば、電動式の排気還流弁を大型化したり高出力化したりする必要がなく、排気還流弁の自動車への搭載性悪化や排気還流装置のコスト増を抑えながら排気還流弁の故障検出を有効に行うことができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、排気還流弁の故障検出精度を向上させることができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、排気還流弁の耐久性を向上させることができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の効果に加え、故障検出後における通常の排気還流制御で排気還流ガス流量にずれが生じることを防止することができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の何れかに記載の発明の効果に加え、排気還流弁の故障を検出するためにエンジンシステムが複雑化することを避けることができる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至4の何れかに記載の発明の効果に加え、故障検出時にも吸気量調節弁の制御性を向上させることができる。
第1実施形態に係り、エンジンの排気還流装置(EGR装置)を含むガソリンエンジンシステムを示す概略構成図。 第1実施形態に係り、EGR通路の一部であってEGR弁が設けられる部分を拡大して示す断面図。 第1実施形態に係り、(a),(b)は吸気弁と排気弁とのバルブオーバラップを示す模式図。 第1実施形態に係り、EGR弁の故障検出のための処理内容の一例を示すフローチャート。 第2実施形態に係り、EGR弁の故障検出のための処理内容の一例を示すフローチャート。 第3実施形態に係り、EGR弁の故障検出のための処理内容の一例を示すフローチャート。 第3実施形態に係り、エンジン回転速度に対応する基本微開度を求めるために参照されるマップ。 第3実施形態に係り、大気圧に対応する大気圧補正量を求めるために参照されるマップ。 第4実施形態に係り、エンジンのEGR装置を含むガソリンエンジンシステムを示す概略構成図。 第4実施形態に係り、EGR弁の故障検出のための処理内容の一例を示すフローチャート。 第4実施形態に係り、エンジン回転速度に対応する基本許可作用角を求めるために参照されるマップ。 第4実施形態に係り、大気圧に対応する大気圧補正量を求めるために参照されるマップ。 第5実施形態に係り、EGR弁の故障検出のための処理内容の一例を示すフローチャート。 第5実施形態に係り、図13のフローチャートの続きを示すフローチャート。 第5実施形態に係り、エンジン回転速度に対応する追加微開度を求めるために参照されるマップ。 第6実施形態に係り、EGR弁の故障検出のための処理内容の一例を示すフローチャート。 第7実施形態に係り、ゼロ点学習のための処理内容の一例を示すフローチャート。
<第1実施形態>
以下、本発明におけるエンジンの排気還流装置のための故障検出装置を具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
図1に、この実施形態におけるエンジンの排気還流装置(EGR装置)を含むガソリンエンジンシステムを概略構成図により示す。自動車に搭載されるこのガソリンエンジンシステムは、レシプロタイプのエンジン1を備える。エンジン1の吸気ポート2には、吸気通路3が接続され、排気ポート4には、排気通路5が接続される。吸気通路3の入口には、エアクリーナ6が設けられる。エアクリーナ6より下流の吸気通路3には、排気通路5との間に、吸気通路3における吸気を昇圧させるための過給機7が設けられる。
過給機7は、吸気通路3に配置されたコンプレッサ8と、排気通路5に配置されたタービン9と、コンプレッサ8とタービン9を一体回転可能に連結する回転軸10とを含む。過給機7は、排気通路5を流れる排気によりタービン9を回転させて回転軸10を介してコンプレッサ8を一体的に回転させることにより、吸気通路3における吸気を昇圧させる、すなわち過給を行うようになっている。
過給機7に隣接して排気通路5には、タービン9を迂回する排気バイパス通路11が設けられる。この排気バイパス通路11には、ウェイストゲートバルブ12が設けられる。ウェイストゲートバルブ12により排気バイパス通路11を流れる排気が調節されることにより、タービン9に供給される排気流量が調節され、タービン9及びコンプレッサ8の回転速度が調節され、過給機7による過給圧が調節されるようになっている。
吸気通路3において、過給機7のコンプレッサ8とエンジン1との間には、インタークーラ13が設けられる。このインタークーラ13は、コンプレッサ8により昇圧されて高温となった吸気を適温に冷却するためのものである。インタークーラ13とエンジン1との間の吸気通路3には、サージタンク3aが設けられる。また、インタークーラ13より下流であってサージタンク3aより上流の吸気通路3には、電動式のスロットル弁である電子スロットル装置14が設けられる。本発明の吸気量調節弁及び吸気圧調整手段の一例に相当する電子スロットル装置14は、吸気通路3に配置されるバタフライ形のスロットル弁21と、そのスロットル弁21を開閉駆動するためのDCモータ22と、スロットル弁21の開度(スロットル開度)TAを検出するためのスロットルセンサ23とを備える。電子スロットル装置14は、運転者によるアクセルペダル26の操作に応じてスロットル弁21がDCモータ22により開閉駆動されることにより、スロットル弁21の開度が調節されるように構成される。電子スロットル装置14の構成として、例えば、特開2011−252482号公報の図1及び図2に記載される「スロットル装置」の基本構成を採用することができる。また、タービン9より下流の排気通路5には、排気を浄化するための排気触媒としての触媒コンバータ15が設けられる。
エンジン1には、燃焼室16に燃料を噴射供給するためのインジェクタ25が設けられる。インジェクタ25には、燃料タンク(図示略)から燃料が供給されるようになっている。インジェクタ25は、発明の燃料供給手段の一例に相当する。また、エンジン1には、各気筒に対応して点火プラグ29が設けられる。各点火プラグ29は、イグナイタ30から出力される高電圧を受けて点火動作する。各点火プラグ29の点火時期は、イグナイタ30による高電圧の出力タイミングにより決定される。
この実施形態において、大量EGRを実現するためのEGR装置は、高圧ループ式であって、エンジン1の燃焼室16から排気通路5へ排出される排気の一部をEGRガスとして吸気通路3へ流して燃焼室16へ還流させる排気還流通路(EGR通路)17と、EGR通路17におけるEGRガスの流れを調節するためにEGR通路17に設けられた電動式の排気還流弁(EGR弁)18とを備える。EGR通路17は、タービン9より上流の排気通路5と、サージタンク3aとの間に設けられる。すなわち、排気通路5を流れる排気の一部をEGRガスとしてEGR通路17を通じて吸気通路3へ流して燃焼室16へ還流させるために、EGR通路17の出口17aが、スロットル弁21より下流のサージタンク3aに接続される。また、EGR通路17の入口17bが、タービン9より上流の排気通路5に接続される。
EGR通路17の入口17bの近傍には、EGRガスを浄化するためのEGR用触媒コンバータ19が設けられる。また、EGR用触媒コンバータ19より下流のEGR通路17には、同通路17を流れるEGRガスを冷却するためのEGRクーラ20が設けられる。この実施形態で、EGR弁18は、EGRクーラ20より下流のEGR通路17に配置される。
図2に、EGR通路17の一部であってEGR弁18が設けられる部分を拡大して断面図により示す。図1、図2に示すように、EGR弁18は、ポペット弁として、かつ、電動弁として構成される。すなわち、EGR弁18は、電動機であるステップモータ31により開閉駆動される弁体32を備える。弁体32は、略円錐形状をなし、EGR通路17に設けられた弁座33に着座可能に設けられる。ステップモータ31は直進的に往復運動(ストローク運動)可能に構成された出力軸34を備え、その出力軸34の先端に弁体32が固定される。出力軸34は軸受35を介してEGR通路17を構成するハウジングに支持される。そして、ステップモータ31の出力軸34をストローク運動させることにより、弁座33に対する弁体32の開度が調節されるようになっている。EGR弁18の出力軸34は、弁体32が弁座33に着座する全閉状態から、弁体32が軸受35に当接する全開状態までの間で所定のストロークL1だけストローク運動可能に設けられる。この実施形態では、大量EGRを実現するために、従前の技術に比べて弁座33の開口面積が拡大されている。それに合わせて、弁体32が大型化されている。このEGR弁18の構成として、例えば、特開2010−275941号公報の図1に記載された「EGRバルブ」の基本構成を採用することができる。
図1に示すように、エンジン1のシリンダヘッド1bには、吸気ポート2を開閉する吸気弁41と、排気ポート4を開閉する排気弁42とがそれぞれ設けられる。吸気弁41及び排気弁42は、それぞれ異なるカムシャフト43,44の回転により動作するように構成される。各カムシャフト43,44の先端には、それぞれ異なるタイミングプーリ45,46が設けられる。各タイミングプーリ45,46は、タイミングベルト等(図示略)を介してクランクシャフト1aに駆動連結される。エンジン1の運転時には、クランクシャフト1aの回転力がタイミングベルト等及び各タイミングプーリ45,46を介して各カムシャフト43,44に伝達される。これにより、吸気弁41及び排気弁42が動作して吸気ポート2及び排気ポート4がそれぞれ開閉されるようになっている。このとき、吸気弁41及び排気弁42は、クランクシャフト1aの回転に同期して、すなわち、クランクシャフト1aに連結されたピストン47の上下動に対応した、エンジン1の吸気行程、圧縮行程、爆発・膨張行程及び排気行程に同期して、所定のタイミングで動作可能となっている。カムシャフト43,44及びタイミングプーリ44,45は、本発明の動弁機構の一例に相当する。
吸気側のカムシャフト43には、カム角センサ56が設けられる。このカム角センサ56は、カムシャフト43の回転角を検出するようになっている。吸気側のタイミングプーリ45には、電動式の可変バルブタイミング機構(以下、単に「VVT」という。)61が設けられる。本発明の開閉特性可変機構及び吸気圧調整手段の一例に相当するVVT61は、吸気弁41の開閉特性である開閉タイミング(バルブタイミング)を変更できるように構成される。すなわち、VVT61は、付属モータ(図示略)により駆動されることにより、吸気弁41のバルブタイミングを所定の範囲で進角及び遅角することができる。このバルブタイミングの変更により、吸気弁41と排気弁42とのバルブオーバラップを変更するようになっている。
VVT61は、吸気側のカムシャフト43とタイミングプーリ45との間に介在したリングギヤとヘリカルスプライン(それぞれ図示略)を含む。そして、VVT61は、モータを動作させてリングギヤを回動及びスライドさせることにより、カムシャフト43とタイミングプール45との間の回転位相を変える。この種のリングギヤ等を備えたVVT61の構造は既に周知であることから、ここでは詳しい説明は省略する。
ここで、VVT61によるバルブオーバラップの変更について説明する。図3(a),(b)に、吸気弁41と排気弁42とのバルブオーバラップを模式図により示す。「バルブオーバラップ」は、レシプロタイプのエンジンにおいて吸気ポートと排気ポートが同時に開いている状態を意味する。通常、4ストロークエンジンの排気行程の終了間際に吸気ポートを開き、吸気の充填効率を改善する目的で設定される。バルブオーバーラップを広めに取ると、エンジンの実質圧縮比が落ちることから、ノッキングなどの異常燃焼を防ぐことができる。逆にバルブオーバーラップを狭めに取ると、エンジンの低回転域での混合気の充填効率が高くなり、低負荷・低回転でも混合気に安定した燃焼が得られる。また、エンジンの出力面以外では、バルブオーバーラップを利用することにより、エンジンに内部EGRを行うことができ、排ガス浄化の他にポンピングロスを低減することができるなど燃費向上にも寄与する。エンジンの回転速度や負荷などによって内部EGRを行う適切なタイミングが異なるが、VVTにより最適なタイミングでバルブオーバラップを実施することができる。また、バルブオーバラップを拡大することにより、スロットル弁21より下流の吸気通路3における吸気圧の負圧を低減することが可能となる。
図1において、VVT61を動作させて吸気側のカムシャフト43の回転位相をタイミングプーリ45のそれよりも進めることにより、吸気弁41のバルブタイミングの位相がクランクシャフト1aの回転位相よりも進角される。この場合、図3(b)に示すように、吸気弁41のバルブタイミングが相対的に進角され、吸気行程における吸気弁41と排気弁42とのバルブオーバラップが相対的に大きくなる。このとき、VVT61により吸気弁41のバルブタイミングを最も進角させることにより、バルブオーバラップが最も大きくなる。これに対し、VVT61を動作させて吸気側のカムシャフト43の回転位相をタイミングプーリ45のそれよりも遅れさせることにより、吸気弁41のバルブタイミングの位相がクランクシャフト1aの回転位相よりも遅角される。この場合、図3(a)に示すように、吸気弁41のバルブタイミングが相対的に遅れ、吸気行程におけるバルブオーバラップが相対的に小さくなる。このとき、VVT61により吸気弁41のバルブタイミングを最も遅角させることにより、バルブオーバラップが最も小さく(ゼロに)なる。
この実施形態では、エンジン1の運転状態に応じて燃料噴射制御、点火時期制御、吸気量制御、EGR制御及びバルブタイミング制御等をそれぞれ実行するために、インジェクタ25、イグナイタ30、電子スロットル装置14のDCモータ22、EGR弁18のステップモータ31及びVVT61が、それぞれエンジン1の運転状態に応じて電子制御装置(ECU)50により制御されるようになっている。ECU50は、中央処理装置(CPU)と、所定の制御プログラム等を予め記憶したり、CPUの演算結果等を一時的に記憶したりする各種メモリと、これら各部と接続される外部入力回路及び外部出力回路とを備える。ECU50は、本発明の故障判定手段及びゼロ点学習手段の一例に相当する。外部出力回路には、イグナイタ30、インジェクタ25、DCモータ22、ステップモータ31及びVVT61等が接続される。外部入力回路には、エンジン1の運転状態を検出するための本発明の運転状態検出手段の一例に相当する各種センサ23,27,51〜56が接続され、各種エンジン信号が入力されるようになっている。
ここで、各種センサとして、スロットルセンサ23及びカム角センサ56の他に、アクセルセンサ27、吸気圧センサ51、回転速度センサ52、水温センサ53、エアフローメータ54及び空燃比センサ55が設けられる。アクセルセンサ27は、アクセルペダル26の操作量であるアクセル開度ACCを検出する。従って、この実施形態では、アクセルセンサ27は、運転者によるエンジン1の出力要求量を検出するようになっている。本発明の吸気圧検出手段の一例に相当する吸気圧センサ51は、スロットル弁21より下流の吸気通路3(サージタンク3aを含む。)における吸気圧PMを検出する。本発明の回転速度検出手段の一例に相当する回転速度センサ52は、エンジン1のクランクシャフト1aの回転角(クランク角)を検出するとともに、そのクランク角の変化をエンジン1の回転速度(エンジン回転速度)NEとして検出する。水温センサ53は、エンジン1の冷却水温THWを検出する。エアフローメータ54は、エアクリーナ6の直下流の吸気通路3を流れる吸気量Gaを検出する。空燃比センサ55は、触媒コンバータ15の直上流の排気通路5に設けられ、排気中の空燃比A/Fを検出する。
この実施形態で、ECU50は、エンジン1の全運転領域において、エンジン1の運転状態に応じてEGRを制御するためにEGR弁18を制御するようになっている。また、ECU50は、通常は、エンジン1の加速運転時又は定常運転時に検出される運転状態に基づきEGR弁18を開弁制御し、エンジン1の停止時、アイドル運転時又は減速運転時にEGR弁18を閉弁制御するようになっている。
この実施形態で、ECU50は、運転者の要求に応じてエンジン1を運転するために、アクセル開度ACCに基づいて電子スロットル装置14を制御するようになっている。また、ECU50は、エンジン1の加速運転時又は定常運転時には、アクセル開度ACCに基づき電子スロットル装置14を開弁制御し、エンジン1の停止時又は減速運転時には、電子スロットル装置14を閉弁制御するようになっている。これにより、スロットル弁21は、エンジン1の加速運転時又は定常運転時には開弁され、エンジン1の停止時又は減速運転時には閉弁されるようになっている。
ここで、この実施形態の高圧ループ式のEGR装置についても、適確なEGR制御を実施するために故障検出を行う必要がある。そこで、この実施形態では、ECU50が以下のような故障検出処理を実行するようになっている。
図4に、EGR弁18の故障検出のための処理内容の一例をフローチャートにより示す。処理がこのルーチンへ移行すると、先ず、ステップ100で、ECU50は、エンジン1の運転状態が減速燃料カット中であるか否かを判断する。すなわち、エンジン1が減速運転時であり、かつ、インジェクタ25によるエンジン1への燃料供給が遮断されているか否かを判断する。上記したようにエンジン1の減速運転時には、電子スロットル装置14とEGR弁18がそれぞれ一旦全閉に閉弁制御される。ECU50は、上記判断をアクセル開度ACCの変化に基づいて行うことができる。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ300へ移行する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ110へ移行する。
ステップ110で、ECU50は、故障判定フラグXegrobdが「0」であるか否かを判断する。ここで、故障判定フラグXegrobdは、EGR弁18につき故障判定が行われた場合に「1」に、故障判定が行われていない場合に「0」に設定される。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ100へ戻す。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ120へ移行する。
ステップ120で、ECU50は、電子スロットル装置14を制御することにより、スロットル弁21を所定の微開度A1だけ開弁制御する。これにより、一旦全閉状態となったスロットル弁21を強制的に微少開弁させる。このスロットル弁21の微少開弁により、スロットル弁21より下流の吸気通路3における吸気圧PMの負圧の大きさが減速直後よりも減少方向へ緩和されるように調整される。
次に、ステップ130で、ECU50は、所定時間が経過するのを待ってステップ140へ移行する。ここで、所定時間を、例えば「1秒」とすることができる。
そして、ステップ140で、ECU50は、吸気圧センサ51の検出値に基づきそのときの吸気圧PM(負圧)を取り込む。
次に、ステップ150で、ECU50は、閉弁フラグXegrobdoffが「0」であるか否かを判断する。閉弁フラグXegrobdoffは、後述するようにEGR弁18が閉弁されているときのEGR閉吸気圧PMoffが得られた場合に「1」に、そのEGR閉吸気圧PMoffが得られない場合に「0」に設定される。ステップ150の判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ180へ移行する。ステップ150の判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ160へ移行する。
ステップ160では、ECU50は、ステップ140で取り込まれた吸気圧PM(負圧)を、EGR閉吸気圧PMoffとしてメモリに記憶する。また、ステップ170で、ECU50は、閉弁フラグXegrobdoffを「1」に設定する。その後、ECU50は、処理をステップ150へ戻す。
一方、ステップ150から移行してステップ180では、ECU50は、EGR弁18を所定開度B1だけ開弁制御する。これにより、一旦全閉状態となったEGR弁18が強制的に開弁される。
次に、ステップ190で、ECU50は、所定時間が経過するのを待ってステップ200へ移行する。ここで、所定時間を、例えば「1秒」とすることができる。
そして、ステップ200で、ECU50は、吸気圧センサ51の検出値に基づき吸気圧PM(負圧)を取り込む。また、ステップ210で、ECU50は、その取り込まれた吸気圧PM(負圧)を、EGR開吸気圧PMonとしてメモリに記憶する。
次に、ステップ220で、ECU50は、EGR開吸気圧PMonとEGR閉吸気圧PMoffとの差が所定値C1より大きいか否かを判断する。すなわち、ECU50は、EGR弁18を開弁したときの吸気圧PMとEGR弁18を閉弁したときの吸気圧PMとの差がある程度大きいか否かを判断する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ230へ移行する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ240へ移行する。
ステップ230では、ECU50は、EGR弁18が正常であるとの判定をし、処理をステップ250へ移行する。ここで、ECU50は、正常である事実をメモリに記録することができる。
一方、ステップ240では、ECU50は、EGR弁18が閉弁状態で故障(閉弁故障)しているとの判定をし、処理をステップ250へ移行する。ここで、ECU50は、閉弁故障判定の事実を運転者に告知したり、メモリに記録したりすることができる。
そして、ステップ250では、ECU50は、閉弁フラグXegrobdoffを「0」にリセットする。また、ステップ260で、ECU50は、故障判定フラグXegrobdを「1」に設定する。更に、ステップ270で、ECU50は、EGR弁18の開弁制御を終了する。すなわち、ECU50は、EGR弁18をもとの閉弁状態へ戻す。
次に、ステップ280で、ECU50は、EGR弁18の閉弁が完了するのを待って処理をステップ290へ移行する。そして、ステップ290で、ECU50は、スロットル弁21の開弁制御を終了する。すなわち、ECU50は、スロットル弁21をもとの閉弁状態へ戻す。その後、ECU50は処理をステップ100へ戻す。
一方、ステップ100から移行してステップ300では、ECU50は、閉弁フラグXegrobdoffを「0」にリセットする。
次に、ステップ310で、ECU50は、EGR弁18の故障検出からの復帰であるか否かを判断する。この判断結果が否定である場合、ECU50は処理をステップ100へ戻す。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ320へ移行する。
ステップ320で、ECU50は、スロットル弁21の開弁制御を中止する。また、ステップ330で、ECU50は、EGR弁18の開弁制御を中止する。その後、ECU50は処理をステップ100へ戻す。
上記制御によれば、ECU50は、エンジン1の減速燃料カット時に、電子スロットル装置14のスロットル弁21を微少開弁させることによりスロットル弁21より下流の吸気通路3における吸気圧PMを負圧が減少する(負圧が緩和される)方向へ調整し、その調整後にEGR弁18を閉弁状態から強制的に開弁させると共に、その開弁の前と後で吸気圧センサ51により検出される吸気圧PMの負圧の変化に基づいてEGR弁18の故障を判定するようになっている。また、ECU50は、その故障判定完了後に、EGR弁18の強制的な開弁を終了してEGR弁18をもとの閉弁状態へ戻すと共に、スロットル弁21の微少開弁を終了してもとの閉弁状態へ戻すようになっている。
以上説明したこの実施形態の故障検出装置によれば、エンジン1が減速燃料カットの状態にあるときに、正常なEGR弁18が動作することにより、EGR通路17から吸気通路3へのEGRガスの流れが変化し、これによりスロットル弁21より下流の吸気通路3における吸気圧PMが変化する。ここで、EGR弁18が故障している場合は、EGR弁18を動作させても、EGRガスの流れに予想した変化が得られず、スロットル弁21より下流の吸気通路3における吸気圧PMにも予想した変化が得られない。そこで、この実施形態では、エンジン1の減速燃料カット時に、ECU50により、電子スロットル装置14が制御されてスロットル弁21が微少開弁され、スロットル弁21より下流の吸気通路3における吸気圧PMの負圧が緩和される方向へ調整され、その調整後にEGR弁18が閉弁状態から強制的に開弁される。そして、EGR弁18が開弁される前と後で吸気圧センサ51により検出される吸気圧PMの負圧の変化に基づいてEGR弁18の故障の有無が判定される。また、その故障判定完了後に、ECU50により、EGR弁18の強制的な開弁が終了してEGR弁18がもとの閉弁状態へ戻されると共に、スロットル弁21の微少開弁が終了してスロットル弁21がもとの閉弁状態へ戻される。ここで、EGR弁18が強制的に開弁される前に、吸気圧PMの負圧が緩和されるので、EGR弁18が強制的に開弁されるときに、その弁体32の上流側(排気側)にかかる圧力と弁体32の下流側(吸気側)にかかる圧力との圧力差が小さくなり、EGR弁18にかかる負荷が小さくなる。この結果、電動式のEGR弁18を大型化したり高出力化したりする必要がなく、EGR弁18の自動車への搭載性悪化やEGR装置のコスト増を抑えながらEGR弁18の故障検出を有効に行うことができる。
この実施形態によれば、電子スロットル装置14(スロットル弁21)が吸気圧調整手段として適用され、ECU50により、スロットル弁21を微少開弁させることによりスロットル弁21より下流の吸気通路3における吸気圧PMを負圧が減少する方向へ調整し、故障の判定完了後にスロットル弁21の微少開弁を終了するようにしている。従って、吸気通路3に本来設けられる電子スロットル装置14(スロットル弁21)が吸気圧調整手段として適用されるので、他の手段を別途設ける必要がない。このため、EGR弁18の故障を検出するためにエンジンシステムが複雑化することを避けることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明におけるエンジンの排気還流装置のための故障検出装置を具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の各実施形態において、前記第1実施形態と同等の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に説明する。
この実施形態では、電子スロットル装置14(スロットル弁21)に代わってVVT61が吸気圧調整手段として適用される点とEGR弁18の故障検出のための処理内容の点で第1実施形態と構成が異なる。図5に、この実施形態におけるEGR弁18の故障検出のための処理内容の一例をフローチャートにより示す。図5のフローチャートでは、図4のフローチャートにおけるステップ120、ステップ290及びステップ320の処理に代えて、ステップ125、ステップ295及びステップ325の処理が設けられた点で図4のフローチャートと異なる。
すなわち、処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ100とステップ110の判断結果が肯定になる場合、ステップ125で、ECU50は、VVT61によりバルブオーバラップを拡大制御する。すなわち、ECU50は、VVT61を制御することにより、吸気弁41のバルブタイミングを標準タイミングよりも進角させることにより、吸気弁41のバルブタイミングと排気弁42のバルブタイミングとのバルブオーバラップを拡大する。このバルブオーバラップの拡大制御により、スロットル弁21より下流の吸気通路3における吸気圧PMの負圧の大きさが減速直後よりも緩和されるように調整される。その後、ECU50は処理をステップ130へ移行する。
一方、ステップ280の判断結果が肯定となる場合、ECU50は、ステップ295で、VVT61によるバルブオーバラップの拡大制御を終了する。すなわち、ECU50は、VVT61を制御してバルブオーバラップをもとの進角しない状態へ戻す。その後、ECU50は処理をステップ100へ戻す。
また、ステップ310の判断結果が肯定となる場合、ECU50は、ステップ325で、VVT61によるバルブオーバラップの拡大制御を中止する。すなわち、ECU50は、VVT61を制御してバルブオーバラップをもとの進角しない状態へ戻す。
上記制御によれば、ECU50は、エンジン1の減速燃料カット時に、スロットル弁21を制御する代わりに、バルブオーバラップが拡大するようにVVT61を動作させることにより、スロットル弁21より下流の吸気通路3における吸気圧PMを負圧が減少する(負圧が緩和される)方向へ調整し、その負圧の調整後にEGR弁18を閉弁状態から強制的に開弁させると共に、その開弁の前と後で吸気圧センサ51により検出される吸気圧PMの負圧の変化に基づいてEGR弁18の故障を判定するようになっている。また、ECU50は、その故障判定完了後に、VVT61の作動を終了してバルブオーバラップをもとの拡大しない状態へ戻すようになっている。
以上説明したこの実施形態の故障検出装置によれば、減速燃料カット時に、ECU50により、VVT61によるバルブオーバラップが拡大制御され、スロットル弁21より下流の吸気通路3における吸気圧PMの負圧が緩和される方向へ調整される。そして、その負圧調整後に、ECU50により、EGR弁18が閉弁状態から強制的に開弁されると共に、その開弁の前と後で吸気圧センサ51により検出される吸気圧PMの負圧の変化に基づいてEGR弁18の故障の有無が判定される。また、その故障判定完了後に、ECU50により、EGR弁18の強制的な開弁が終了されてEGR弁18が閉弁状態へ戻されると共に、VVT61によるバルブオーバラップの拡大制御が終了されてバルブオーバラップがものと拡大しない状態へ戻される。ここで、EGR弁18が強制的に開弁される前に、吸気圧PMの負圧が緩和されるので、EGR弁18を強制的に開弁するときに、その弁体32の上流側(排気側)にかかる圧力と弁体32の下流側(吸気側)にかかる圧力との圧力差が小さくなり、EGR弁18にかかる負荷が小さくなる。この結果、電動式のEGR弁18を大型化したり高出力化したりする必要がなく、EGR弁18の自動車への搭載性悪化やEGR装置のコスト増を抑えながらEGR弁18の故障検出を有効に行うことができる。
また、この実施形態では、電子スロットル装置14(スロットル弁21)とは別のVVT61が吸気圧調整手段として適用されるので、電子スロットル装置14をある程度制御した状態でも、VVT61によりスロットル弁21より下流の吸気通路3における吸気圧PMの調整が可能となる。このため、故障検出時にも電子スロットル装置14の制御性を向上させることができる。
<第3実施形態>
次に、本発明におけるエンジンの排気還流装置のための故障検出装置を具体化した第3実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、EGR弁18の故障検出のための処理内容の点で第1実施形態と構成が異なる。図6に、この実施形態におけるEGR弁18の故障検出のための処理内容の一例をフローチャートにより示す。図6のフローチャートでは、図4のフローチャートのステップ100の前にステップ400とステップ410の処理が加わり、図4のフローチャートにおけるステップ120の処理に代えて、ステップ420、ステップ430及びステップ440の処理が設けられた点で図4のフローチャートと異なる。
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ400で、ECU50は、回転速度センサ52の検出値に基づきエンジン回転速度NEを取り込む。
次に、ステップ410で、ECU50は、大気圧PAを取り込む。ここで、ECU50は、例えば、吸気圧PM、エンジン回転速度NE及びスロットル開度TAの値から大気圧PAを推定して求めることができる。この実施形態で、スロットルセンサ23、吸気圧センサ51及び回転速度センサ52により本発明の大気圧検出手段が構成される。
その後、ステップ100とステップ110の判断結果が肯定となる場合、ステップ420で、ECU50は、減速直前に取り込まれたエンジン回転速度NEと大気圧PAより基本微開度A0と大気圧補正量kpaを求める。ECU50は、例えば、図7に示すマップを参照することにより、エンジン回転速度NEに対応する基本微開度A0を求めることができる。このマップでは、エンジン回転速度NEが高くなるほど基本微開度A0が曲線的に増加するように設定される。エンジン回転速度NEが高くなるほど吸気圧PMの負圧が大きくなることから、その負圧を減少させるために大きい基本微開度A0が求められるようになっている。また、ECU50は、例えば、図8に示すマップを参照することにより、大気圧PAに対応する大気圧補正量kpaを求めることができる。このマップにおいて、平地の大気圧では、大気圧補正量kpaが「1.0」で一定となり、高地で大気圧PAが低くなるに連れて大気圧補正量kpaが「1.0」から下限値へ向けて直線的に小さくなるように設定される。大気圧PAが低くなるほど吸気圧PMの負圧が小さくなることから、その負圧の減少を適度に抑えるために小さい大気圧補正量kpaが求められるようになっている。
次に、ステップ430では、ECU50は、基本微開度A0に大気圧補正量kpaを乗算することにより、目標微開度A2を求める。これにより、エンジン回転速度NEと大気圧PMに応じて補正された好適な目標開度A2が得られる。
次に、ステップ440で、ECU50は、電子スロットル装置14を制御することにより、スロットル弁21を目標微開度A2だけ開弁制御する。これにより、一旦全閉状態となったスロットル弁21が強制的に微少開弁される。このスロットル弁21の微少開弁により、スロットル弁21より下流の吸気通路3における吸気圧PMの負圧の大きさが減速直後よりも緩和されるように調整される。その後、ECU50は処理をステップ130へ移行する。
上記制御によれば、ECU50は、エンジン1の減速燃料カット時に、電子スロットル装置14のスロットル弁21を微少開弁させることによりスロットル弁21より下流の吸気通路3における吸気圧PMを負圧が減少する(負圧が緩和される)方向へ調整し、その調整後にEGR弁18を閉弁状態から強制的に開弁させると共に、その開弁の前と後で吸気圧センサ51により検出される吸気圧PMの負圧の変化に基づいてEGR弁18の故障を判定するようになっている。また、ECU50は、その故障判定完了後に、EGR弁18の強制的な開弁を終了してEGR弁18を閉弁状態へ戻すと共に、スロットル弁21の微少開弁を終了してもとの閉弁状態へ戻すようになっている。
しかも、上記制御によれば、ECU50は、エンジン1の減速直前に検出されたエンジン回転速度NEが高くなるほど吸気圧PMの負圧を減少させるように、かつ、同じく減速直前に検出された大気圧PAが低くなるほど吸気圧PMの負圧の減少を抑えるようにスロットル弁21の微少開弁を調整するようになっている。
以上説明したこの実施形態の故障検出装置によれば、第1実施形態の作用効果に加えて次のような作用効果を有する。すなわち、スロットル弁21を開弁制御するために、ECU50により、エンジン回転速度NEに応じた基本開度A0と大気圧PAに応じた大気圧補正量kpaが求められ、それら基本開度A0と大気圧補正量kpaが乗算されるとにより目標微開度A2が求められる。そして、電子スロットル装置14が、ECU50により、目標微開度A2に基づいて制御されることにより、スロットル弁21が微少開弁される。従って、スロットル弁21の微少開弁が、エンジン1の減速直前におけるエンジン回転速度NEと大気圧PAに応じた目標微開度A2に調整されるので、EGR弁18にかかる負荷が過不足なく好適に緩和される。この意味で、EGR弁18の耐久性、より具体的にはステップモータ31の耐久性を向上させることができる。
<第4実施形態>
次に、本発明におけるエンジンの排気還流装置のための故障検出装置を具体化した第4実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、開閉特性可変機構とEGR弁18の故障検出のための処理内容の点で第2実施形態と構成が異なる。図9に、この実施形態におけるエンジンのEGR装置を含むガソリンエンジンシステムを概略構成図により示す。図10に、この実施形態におけるEGR弁18の故障検出のための処理内容の一例をフローチャートにより示す。
図9に示すように、この実施形態のエンジンシステムは、図1に示すVVT61の代わりに、吸気側のカムシャフト43のカム作用角を可変とする電動式の作用角可変機構(以下、単に「VOA」という。)66を設けた点で図1のエンジンシステムと構成が異なる。このVOA66を動作させることにより、吸気弁41の開弁タイミング又は閉弁タイミングを固定したまま吸気弁41の開弁量(リフト量)を可変とすることができる。この種のVOA66の構成として、例えば、特開2010-249002公報に記載される技術を採用することができる。このVOA66は、本発明の吸気圧調整手段及び開閉特性可変機構の一例に相当する。
図10のフローチャートでは、図6のフローチャートにおけるステップ290とステップ320の処理が無くなり、図6のフローチャートにおけるステップ400の処理の代わりにステップ500及びステップ510の処理が設けられ、図6のフローチャートにおけるステップ420〜ステップ440の処理の代わりにステップ520〜ステップ560の処理が設けられた点で図6のフローチャートと異なる。
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ500で、ECU50は、吸気圧センサ51及び回転速度センサ52の検出値に基づき、エンジン回転速度NEとエンジン負荷KLをそれぞれ取り込む。ここで、ECU50は、エンジン負荷KLをエンジン回転速度NEと吸気圧PMとに基づいて求めることができる。
次に、ステップ510で、ECU50は、エンジン回転速度NEとエンジン負荷KLに応じて目標作用角TVVTcaを求め、VOA66を制御することにより、吸気側のカムシャフト43を目標作用角TVVTcaに制御する。
その後、ステップ410の処理を経て、ステップ100とステップ110の判断結果が肯定となる場合、ステップ520で、ECU50は、エンジン回転速度NEと大気圧PAより基本許可作用角vtcaと大気圧補正量kpa1を求める。ECU50は、例えば、図11に示すマップを参照することにより、エンジン回転速度NEに対応する基本許可作用角vtcaを求めることができる。このマップでは、エンジン回転速度NEが高くなるほど基本許可作用角vtcaが曲線的に減少するように設定される。また、ECU50は、例えば、図12に示すマップを参照することにより、大気圧PAに対応する大気圧補正量kpa1を求めることができる。このマップにおいて、平地の大気圧は、大気圧補正量kpa1が「1.0」となり、高地へ向けて大気圧PAが低くなるに連れて大気圧補正量kpa1が「1.0」から上限値へ向けて直線的に大きくなるように設定される。
次に、ステップ530では、ECU50は、基本許可作用角vtcaに大気圧補正量kpa1を乗算することにより、最終許可作用角VTcaを求める。
次に、ステップ540で、ECU50は、カム角センサ56の検出値に基づき実作用角VVTcaを取り込む。
そして、ステップ550で、ECU50は、最終許可作用角VTcaが実作用角VVTca以下であるか否かを判断する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ140へジャンプする。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ560へ移行する。
ステップ560で、ECU50は、VOA66を制御することにより、実作用角VVTcaを最終許可作用角VTcaに制御する。その後、ECU50は、所定時間の経過を待って処理をステップ140へ移行し、ステップ140〜ステップ330の処理を実行する。
上記制御によれば、ECU50は、エンジン1の減速燃料カット時に、最終許可作用角VTcaが実作用角VVTca以下となるときに、VOA66により実作用角VVTcaを最終許可作用角VTcaに制御することにより、スロットル弁21より下流の吸気通路3における吸気圧PMを負圧が減少する(負圧が緩和される)方向へ調整し、その負圧の調整後にEGR弁18を閉弁状態から強制的に開弁させると共に、その開弁の前と後で吸気圧センサ51により検出される吸気圧PMの負圧の変化に基づいてEGR弁18の故障を判定するようになっている。
以上説明したこの実施形態の故障検出装置によれば、EGR弁18の故障検出につき、前記第2実施形態と同等の作用効果を得ることができる。
<第5実施形態>
次に、本発明におけるエンジンの排気還流装置のための故障検出装置を具体化した第5実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、EGR弁18の故障検出のための処理内容の点で第3実施形態と構成が異なる。図13及び図14に、この実施形態におけるEGR弁18の故障検出のための処理内容の一例をフローチャートにより示す。図13及び図14のフローチャートでは、図6のフローチャートのステップ290及びステップ320の処理に代えて、ステップ295及びステップ325の処理が設けられ、ステップ130と、ステップ220と、ステップ240との間にステップ600〜ステップ680の処理が加わった点で図6のフローチャートと異なる。
このルーチンのステップ220の判断結果が否定になると、ECU50は処理をステップ600へ移行する。ステップ600で、ECU50は、再閉弁フラグXegrcが「0」か否かを判断する。この再閉弁フラグXegrcは、後述するようにEGR弁18を開弁状態から再び閉弁させた場合に「1」に、再び閉弁させない場合に「0」に設定される。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ240へ移行する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ610へ移行する。
そして、ステップ240では、ECU50は、EGR弁18が閉弁状態で故障(閉弁故障)しているとの判定をし、処理をステップ250へ移行する。ここで、ECU50は、閉弁故障判定の事実を運転者に告知したり、メモリに記録したりすることができる。
一方、ステップ610では、ECU50は、回転速度センサ52の検出値に基づきエンジン回転速度NEを取り込む。次に、ステップ620で、ECU50は、エンジン回転速度NEより追加微開度E1を求める。ECU50は、例えば、図15に示すようなマップを参照することにより、エンジン回転速度NEに対応する追加微開度E1を求めることができる。このマップにおいて、エンジン回転速度NEが高くなるほど追加微開度E1が緩やかに増加するように設定される。
次に、ステップ630で、ECU50は、目標微開度A2に追加微開度E1を加算することにより再目標微開度A3を求める。その後、ステップ640で、ECU50は、電子スロットル装置14を制御することにより、スロットル弁21を再目標微開度A3だけ開弁制御する。すなわち、ECU50は、目標微開度A2に一旦開弁制御したスロットル弁21を、電子スロットル装置14を再び制御することにより、再目標微開度A3に再び開弁制御し、追加微開度E1の分だけスロットル弁21の微少開度を増加させる。このスロットル弁21の微少開弁により、スロットル弁21より下流の吸気通路3における吸気圧PMの負圧の大きさが更に緩和される。
次に、ステップ650で、ECU50は、EGR弁18を閉弁制御する。また、ステップ660で、ECU50は、EGR弁18のゼロ点学習を実行する。すなわち、ECU50は、EGR弁18の弁体32が全閉となったときのステップモータ31の動作位置としてのステップ数を、弁体32の全閉位置に対応するゼロ点として学習(記憶)する。
そして、ステップ670で、ECU50は、再閉弁フラグXegrcを「1」に設定する。また、ステップ680で、ECU50は、所定時間が経過するのを待って処理をステップ140へ移行する。
また、上記ステップ600〜ステップ650の処理に対応して、ステップ295で、ECU50は、スロットル弁21の再目標微開度A3の開弁制御を終了する。一方、ステップ325では、ECU50は、スロットル弁21の再目標微開度A3の開弁制御を中止する。
上記制御によれば、ECU50は、第3実施形態の処理に加えて次のような処理を実行する。すなわち、ECU50は、EGR弁18が故障であると判定した後、スロットル弁21による吸気圧PMの負圧の減少量を増加させてからEGR弁18の故障を再び判定するようになっている。また、ECU50は、吸気圧PMの負圧の減少量を増加させたときに、EGR弁18の弁体32のゼロ点学習を実行するようになっている。すなわち、弁体32が全閉となったときのステップモータ31のステップ数を全閉位置に対応するゼロ点として学習(記憶)するようになっている。
以上説明したこの実施形態の故障検出装置によれば、第3実施形態の作用効果に加えて次のような作用効果を有する。すなわち、この実施形態では、ECU50により、EGR弁18が故障であると一旦仮判定された後に、ECU50により、スロットル弁21による吸気圧PMの負圧の減少量が増加されてからEGR弁18の故障が再び判定される。ここで、1回目の故障検出では、EGR弁18を開弁する前に、スロットル弁21の微少開弁による吸気圧PMの負圧の緩和が足らずにEGR弁18が閉弁故障と誤判定されたときに、その誤判定がEGR弁18の故障による誤判定なのか、ステップモータ31の脱調による誤判定なのか判断できない。そこで、スロットル弁1の微少開弁の微開度が追加微開度E1の分だけ増加され、吸気圧PMの負圧が更に緩和される。従って、より精確にEGR弁18の故障の有無が判定される。この結果、EGR弁18の故障検出精度を向上させることができる。
また、この実施形態では、EGR弁18の故障検出が再度行われた後、EGR弁18の弁体32のゼロ点学習が行われるので、EGR弁18のステップモータ31に脱調があっても、その脱調を修正することができる。
<第6実施形態>
次に、本発明におけるエンジンの排気還流装置のための故障検出装置を具体化した第6実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、EGR弁18の故障検出のための処理内容の点で第1実施形態と構成が異なる。図16に、この実施形態におけるEGR弁18の故障検出のための処理内容の一例をフローチャートにより示す。図16のフローチャートでは、図4のフローチャートにおけるステップ120〜ステップ130の処理に代えて、ステップ700〜ステップ720の処理が設けられた点で図4のフローチャートと異なる。
すなわち、処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ10
0とステップ110の判断結果が肯定になる場合、ステップ700で、ECU50は、吸気圧センサ51の検出値に基づき吸気圧PM(負圧)を取り込む。
次に、ステップ710で、ECU50は、吸気圧PMが所定の目標圧力P1よりも大きいか否かを判断する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ720へ移行する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ140へ移行する。ここで、所定の目標圧力P1は、スロットル弁21よりも下流の吸気通路3における吸気圧PMの負圧として、ある程度緩和された状態に相当する。
ステップ720では、ECU50は、電子スロットル装置14を制御することによりスロットル弁21を開弁制御した後、処理をステップ700へ戻す。すなわち、ECU50は、ステップ700〜ステップ720の処理を繰り返すことにより、吸気圧PMを目標圧力P1より大きくなるように調整する。そして、吸気圧PMが目標圧力P1よりも大きくなったところで、ECU50は、処理をステップ140へ移行し、ステップ140〜ステップ330の処理を実行する。
上記制御によれば、ECU50は、エンジン1の減速燃料カット時に、EGR弁18を閉弁状態から強制的に開弁し、その開弁前後で得られる吸気圧PM(負圧)の変化量に基づいてEGR弁18が閉弁故障しているか否かを判定するようになっている。ここで、ECU50は、EGR弁18の故障を判定するために、EGR弁18を開弁させる前に、スロットル弁21より下流の吸気通路3における吸気圧PMが所定の目標圧力P1よりも大きくなるようにスロットル弁21を開弁制御する。また、EGR弁18の閉弁故障の判定を終えてEGR弁18をもとの閉弁状態に戻してからスロットル弁21の開弁制御を終了するようになっている。
以上説明したこの実施形態の故障検出装置によれば、第1実施形態と同等の作用効果を得ることができる。特に、この実施形態では、EGR弁18を強制的に開弁する前に、スロットル弁21よりも下流の吸気通路3における吸気圧PMの負圧を、所定の目標圧力P1より大きくして確実に緩和することができるので、EGR弁18のステップモータ31にかかる負荷をより確実に軽減することができる。
<第7実施形態>
次に、本発明におけるエンジンの排気還流装置のための故障検出装置を具体化した第7実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
前記第1〜第6の実施形態では、エンジン1の減速燃料カット時であって、スロットル弁21より下流の吸気通路3における吸気圧PMの負圧が大きくなるときに、EGR弁18を強制的に開弁してEGR弁18の故障を検出するようになっている。そのため、EGR弁18の開弁時に、そのステップモータ31に負圧による負荷がかかり脱調が生じるおそれがあった。そこで、この実施形態では、万が一ステップモータ31に脱調が生じた場合に、通常のEGR制御におけるEGRガス流量にずれが生じるのを防止するために、EGR弁18の故障検出を実行してからステップモータ31のゼロ点学習を実行するようになっている。
図17に、ゼロ点学習のための処理内容の一例をフローチャートにより示す。処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ800で、ECU50は、故障検出の実行条件が成立したか否かを判断する。例えば、ECU50は、エンジン1の減速燃料カット時であるか否かなどを判断する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ800へ戻す。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ810へ移行する。
ステップ810で、ECU50は、故障検出のためのEGR弁18の開閉制御を実行した後か否かを判断する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ800へ戻す。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ820へ移行する。
ステップ820で、ECU50は、EGR弁18のゼロ点学習を実行する。すなわち、ECU50は、ステップモータ31の動作位置である現在のステップ数を弁体32の全閉位置に対応するゼロ点として記憶(学習)する。
次に、ステップ830で、ECU50は、ゼロ点学習フラグXegrobdzeを「1」に設定した後、処理をステップ700へ戻す。
以上説明したこの実施形態の故障検出装置によれば、EGR弁18の故障を検出するために、EGR弁18が吸気圧PMが負圧となる中で閉弁状態から開弁されるので、EGR弁18のステップモータ31に脱調が生じるおそれがある。ここで、ECU50により、EGR弁18の故障が判定された後に、ECU50により、ステップモータ31のその時点のステップ数が弁体32の全閉位置に対応するゼロ点として学習されるので、その後の制御によりEGR弁18が開弁されるときの開度のずれが解消される。このため、EGR弁18の故障検出後における通常のEGR制御でEGRガス流量にずれが生じることを防止することができる。
なお、この発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
(1)前記第2実施形態では、VVT61を吸気側のタイミングプーリ45のみに対応して設けたが、VVTを吸気側のタイミングプーリと排気側のタイミングプーリの両方に対応して設けることもできる。
(2)前記第4実施形態では、VOA66を吸気側のカムシャフト43のみに対応して設けたが、VOAを吸気側のカムシャフトと排気側のカムシャフトの両方に対応して設けることもできる。
(3)前記各実施形態では、本発明の故障検出装置を過給機7を備えたエンジン1に具体化したが、本発明の故障検出装置を過給機を備えていないエンジンに具体化することもできる。
(4)前記各実施形態では、本発明の故障検出装置をガソリンエンジンシステムに具体化したが、本発明をディーゼルエンジンシステムに具体化することもできる。
この発明は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンに設けられる排気還流装置(EGR装置)の故障検出に利用できる。
1 エンジン
2 吸気ポート
3 吸気通路
3a サージタンク
4 排気ポート
5 排気通路
14 電子スロットル装置(吸気量調節弁、吸気圧調整手段)
16 燃焼室
17 EGR通路(排気還流通路)
18 EGR弁(排気還流弁)
21 スロットル弁
23 スロットルセンサ(大気圧検出手段)
25 インジェクタ(燃料供給手段)
31 ステップモータ(電動機)
32 弁体
33 弁座
41 吸気弁
42 排気弁
43 カムシャフト(動弁機構)
44 カムシャフト(動弁機構)
45 タイミングプーリ(動弁機構)
46 タイミングプーリ(動弁機構)
50 ECU(故障判定手段、ゼロ点学習手段)
51 吸気圧センサ(吸気圧検出手段、大気圧検出手段)
52 回転速度センサ(回転速度検出手段、大気圧検出手段)
61 VVT(吸気圧調整手段、開閉特性可変機構)
66 VOA(吸気圧調整手段、開閉特性可変機構)

Claims (6)

  1. エンジンの排気還流装置のための故障検出装置であって、
    前記エンジンは、燃焼室と、吸気通路と、排気通路と、前記燃焼室へ燃料を供給するための燃料供給手段と、前記吸気通路を流れる吸気量を調節するための吸気量調節弁とを含み、
    前記排気還流装置は、前記燃焼室から前記排気通路へ排出される排気の一部を排気還流ガスとして前記吸気通路へ流して前記燃焼室へ還流させる排気還流通路と、前記排気還流通路における排気還流ガスの流れを調節するための電動式の排気還流弁とを含み、
    前記エンジンには、前記吸気量調節弁より下流の前記吸気通路における吸気圧を調整するための吸気圧調整手段と、前記吸気量調節弁より下流の前記吸気通路における吸気圧を検出するための吸気圧検出手段とが設けられ、
    前記故障検出装置は、前記エンジンの減速運転時であって、前記燃料供給手段による前記燃料の供給が遮断されたときに、前記排気還流弁の動作に応じて前記吸気圧検出手段により検出される吸気圧に基づき前記排気還流弁の故障を判定する故障判定手段を備え、
    前記故障判定手段は、前記吸気圧調整手段を制御することにより前記吸気量調節弁より下流の前記吸気通路における吸気圧を負圧が減少する方向へ調整し、その調整後に前記排気還流弁を閉弁状態から強制的に開弁させると共に、その開弁の前と後で前記吸気圧検出手段により検出される前記吸気圧の負圧の変化に基づいて前記排気還流弁の故障を判定する
    ことを特徴とするエンジンの排気還流装置のための故障検出装置。
  2. 前記故障判定手段は、前記排気還流弁が故障であると判定した後、前記吸気圧調整手段による前記吸気圧の負圧の減少量を増加させてから前記排気還流弁の故障を再び判定することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの排気還流装置のための故障検出装置。
  3. 前記エンジンには、前記エンジンの回転速度を検出するための回転速度検出手段と、大気圧を検出するための大気圧検出手段とが更に設けられ、
    前記故障判定手段は、前記エンジンの減速直前に検出された前記回転速度が高いほど前記吸気圧の負圧を大きく減少させるように、かつ、前記エンジンの減速直前に検出された前記大気圧が低いほど前記吸気圧の負圧を小さく減少させるように前記吸気圧調整手段を制御する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの排気還流装置のための故障検出装置。
  4. 前記排気還流弁は、弁座と、前記弁座に着座可能に設けられた弁体と、前記弁体を駆動するための電動機とを含み、
    前記故障検出装置は、前記故障判定手段により前記排気還流弁の故障が判定された後、前記電動機の動作位置を前記弁体の全閉位置に対応するゼロ点として学習するためのゼロ点学習手段を更に備えた
    ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のエンジンの排気還流装置のための故障検出装置。
  5. 前記吸気圧調整手段は、前記吸気量調節弁であり、
    前記故障判定手段は、前記吸気量調節弁を微少開弁させることにより前記吸気量調節弁より下流の前記吸気通路における吸気圧を負圧が減少する方向へ調整し、前記故障の判定完了後に前記吸気量調節弁の微少開弁を終了する
    ことを特徴とする請求項1乃至4に記載のエンジンの排気還流装置のための故障検出装置。
  6. 前記エンジンは、前記燃焼室にそれぞれ設けられて前記吸気通路に通じる吸気ポート及び前記排気通路に通じる排気ポートと、前記吸気ポートを開閉する吸気弁と、前記排気ポートを開閉する排気弁と、前記エンジンの回転に同期して前記吸気弁及び前記排気弁を開閉駆動させる動弁機構と、前記吸気弁及び前記排気弁の少なくとも一方の開閉特性を可変とする開閉特性可変機構とを更に含み、
    前記吸気圧調整手段は、前記開閉特性可変機構であり、
    前記故障判定手段は、前記開閉特性が変わるように前記開閉特性可変機構を動作させることにより前記吸気量調節弁より下流の前記吸気通路における吸気圧を負圧が減少する方向へ調整する
    ことを特徴とする請求項1乃至4に記載のエンジンの排気還流装置のための故障検出装置。
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