JP2015031241A - 内燃機関の燃焼状態制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】排気エミッションが悪化するのを防止しつつ、早期燃焼の発生を回避することができる内燃機関の燃焼状態制御装置を提供すること。【解決手段】ECU51は、点火信号の出力時期と異なる時期に混合気の燃焼を検出したことを条件として、燃焼室10内に還流される排気ガス量を増加させるとともに、点火プラグ20に点火信号を出力するのを停止して自着火運転に移行させる燃焼状態制御を実行する。また、ECU51は、燃焼状態制御が実行された後に、所定の点火条件が成立したことを条件として、スロットル弁18の開度を閉じ側に制御してシリンダ6に吸入される吸入空気量を減少させた後、燃焼室10内に還流される排気ガス量を減少させて点火プラグ20に点火信号を出力する。【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の燃焼状態制御装置に関し、特に、点火プラグの点火による点火時期と異なる時期に混合気が燃焼されるのを抑制する内燃機関の燃焼状態制御装置に関する。
近時、車両に搭載された火花点火式のガソリンエンジンにあっては、燃費向上、出力向上の観点から高圧縮比化が進められている。このように高圧縮比化されたエンジンでは、例えば、低回転および高負荷運転時に、吸入空気量が大きくかつ高圧縮比に制御されることにより圧縮圧力が増大し、かつ低回転のため点火による正常な火炎伝播までに時間の余裕があることにより、自着火によるプレイグニッションといわれる早期燃焼が発生し易い。また、シリンダ内の吸気温度が高い場合にも早期燃焼が発生し易い。
早期燃焼が発生すると、ピストンやシリンダの一部の温度が異常上昇してシリンダを構成する金属の一部が溶融したり、ピストンが焼き付くおそれがある。
従来、早期燃焼を抑制するものとしては、例えば、特許文献1に記載されるように、燃料噴射量を増加して空燃比をリッチ化することで燃焼室内の温度を下げるようにしたものや、特許文献2に記載されるように、圧縮行程中に燃料が噴射されるように噴射時期を遅角させ、噴射時期から点火までの期間を短縮、すなわち、燃料の受熱期間を短縮するようにしたものが知られている。
特開2011−85098号公報 特開2002−339780号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたものは、空燃比をリッチ化することにより、特許文献2に記載されたものは、噴射時期を遅角させることにより、いずれも燃焼室内の温度を下げるようにしているため、不完全燃焼を起こし、未燃焼ガスが大量に排出されてしまい、排気エミッションが悪化してしまうという問題がある。
また、特許文献1、2に記載されたものは、重大な早期燃焼を誘発する条件下にあっては、空燃比のリッチ化や噴射時期の遅角化を行っても早期燃焼が発生するのを回避できないおそれがある。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、排気エミッションが悪化するのを防止しつつ、早期燃焼の発生を回避することができる内燃機関の燃焼状態制御装置を提供することを目的とするものである。
本発明の第1の態様は、内燃機関に設けられた気筒の燃焼室内の混合気に点火する点火プラグと、点火プラグに点火信号を出力する点火信号出力部とを備えた内燃機関の燃焼状態制御装置であって、燃焼室内で混合気が燃焼されたことを検出する燃焼検出部と、燃焼室内に還流される排気ガス量を調整する排気ガス還流量調整部材とを備え、点火信号の出力時期と異なる時期に混合気の燃焼を検出したことを条件として、燃焼室内に還流される排気ガス量を増加させるように排気ガス還流量調整部材を制御するとともに、点火信号出力部による点火信号の出力を停止して、自着火運転に移行する燃焼状態制御を実行する燃焼状態制御部とを含んで構成されている。
本発明の第2の態様としては、燃焼状態制御装置が、気筒に供給される吸入空気量を調整する吸入空気量調整部材を備え、燃焼状態制御部は、燃焼状態制御が実行された後に、所定の点火条件が成立したことを条件として、吸入空気量調整部材によって気筒に吸入される吸入空気量を減少させ、次いで、燃焼室内に還流される排気ガス量を減少させた後に、点火信号出力部による点火信号の出力を再開するようにしてもよい。
本発明の第3の態様としては、燃焼状態制御装置が、燃焼室内で燃焼された混合気の燃焼強度を検出する燃焼強度検出部を有し、燃焼状態制御部は、燃焼強度が所定強度以上であることを条件として、燃焼状態制御を実行するようにしてもよい。
本発明の第4の態様としては、燃焼状態制御部が、燃焼強度が所定強度以上である場合に、燃焼強度が所定強度未満となるまで燃焼状態制御を継続するようにしてもよい。
このように上記の第1の態様によれば、燃焼状態制御部が、点火信号の出力時期と異なる時期に混合気の燃焼を検出したことを条件として、燃焼室内に還流される排気ガス量を増加させるとともに、点火プラグに点火信号を出力するのを停止して自着火運転に移行させるので、燃焼室内に還流される排気ガスによって燃焼室内における混合気の燃焼温度を低下させて、混合気の燃焼によって発生する燃焼室内の燃焼強度の増加を抑制することができる。したがって、混合気の早期燃焼の発生を抑制することができる。これに加えて、点火プラグの点火を停止して自着火運転に移行させるので、燃焼室内の燃焼強度が増加するのをより効果的に抑制して、混合気の早期燃焼をより効果的に抑制することができる。
また、ストイキ運転状態で燃焼室内に還流される排気ガス量を増加させることができるため、不完全燃焼が生じるのを抑制することができるとともに、気筒内から排出される排気ガス中に占める窒素酸化物の割合を低減させることができ、排気エミッションが悪化するのを防止することができる。
上記の第2の態様によれば、燃焼状態制御部は、燃焼状態制御を実行した後に、所定の点火条件が成立したことを条件として、吸入空気量調整部材によって気筒に吸入される吸入空気量を減少させるので、自着火運転の移行後に、内燃機関に供給される吸入空気量を少なくすることができる。このため、内燃機関の負荷を軽減して混合気を燃焼し難くすることができ、早期燃焼の発生を抑制することができる。
また、燃焼状態制御部は、気筒に吸入される吸入空気量を減少させた後に、燃焼室内に還流される排気ガス量を減少させて点火プラグに点火信号を出力するので、火花点火運転に移行する直前に、燃焼室内における混合気の燃焼温度の低下を抑制して混合気の燃焼によって発生する燃焼室内の燃焼強度の低下を抑制することができる。このため、火花点火運転に移行したときに内燃機関の出力が低下するのを防止することができる。
上記の第3の態様によれば、燃焼状態制御部が、燃焼強度が所定強度以上であることを条件として、燃焼状態制御を実行するので、混合気の早期燃焼が発生したことを速やかに検出して燃焼室内に還流される排気ガス量を増加させることができる。このため、混合気の早期燃焼の発生を継続的に抑制することができる。
上記の第4の態様によれば、燃焼状態制御部が、燃焼強度が所定強度以上である場合に燃焼強度が所定強度未満となるまで燃焼状態制御を継続するので、混合気の燃焼強度が抑制されるまで燃焼室内に還流される排気ガス量を増加させて、混合気の早期燃焼が再発するのを防止することができる。
図1は、本発明の内燃機関の燃焼状態制御装置の一実施形態を示す図であり、燃焼状態制御装置が適用される内燃機関の断面図である。 図2は、本発明の内燃機関の燃焼状態制御装置の一実施形態を示す図であり、燃焼状態制御装置のブロック図である。 図3は、本発明の内燃機関の燃焼状態制御装置の一実施形態を示す図であり、燃焼状態制御プログラムのフローチャートである。 図4は、本発明の内燃機関の燃焼状態制御装置の一実施形態を示す図であり、燃焼状態制御処理のタイミングチャートである。
以下、本発明に係る内燃機関の燃焼状態制御装置の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1〜図4は、本発明に係る一実施形態の内燃機関の燃焼状態制御装置を示す図である。
まず、構成を説明する。図1において、内燃機関としてのエンジン1は、シリンダブロック2と、シリンダブロック2の上部に設けられたシリンダヘッド3と、シリンダヘッド3の下部に設けられたクランクケース4と、クランクケース4の下部に設けられ、図示しないオイルが貯留されたオイルパン5とを含んで構成される。
シリンダブロック2の内部には気筒としてのシリンダ6が設けられており、このシリンダ6の内部にはピストン7が上下方向に往復動自在に設けられている。ピストン7は、コネクティングロッド8を介してクランクシャフト9に連結されている。クランクシャフト9は、クランクケース4に回転自在に支持されており、ピストン7の上下方向の往復動は、コネクティングロッド8を介してクランクシャフト9の回転運動に変換されるようになっている。
ここで、図1では、1つのシリンダ6を図示しているが、シリンダ6の数は、例えば、4気筒エンジンであれば、4つ設けられている。但し、本実施形態のエンジン1は、気筒数が限定されるものではない。
シリンダ6の上部にはピストン7の頂部、シリンダ6およびシリンダヘッド3の底部によって囲まれる燃焼室10が形成されるようになっており、この燃焼室10は、シリンダヘッド3に形成された吸気ポート11および排気ポート12に連通している。
シリンダヘッド3には、吸気弁13および排気弁14が設けられており、吸気弁13および排気弁14は、図示しない吸気カムおよび排気カムによって上下方向に往復動されることにより、吸気ポート11および排気ポート12を開閉するようになっている。
シリンダヘッド3には吸気管15が接続されており、この吸気管15は、吸気ポート11に連通する吸気通路15aを有している。吸気管15の上流端には、エアクリーナ16が接続されており、このエアクリーナ16は、吸気通路15aに導入される外気を浄化するようになっている。また、吸気管15内にはステッピングモータ17によって駆動されるスロットル弁18が設けられており、このスロットル弁18は、吸気通路15aの開度を調整することにより、吸気ポート11を介してシリンダ6に導入される吸入空気量を調整するようになっている。本実施形態のステッピングモータ17およびスロットル弁18は、吸入空気量調整部材を構成している。
また、スロットル弁18の下流側の吸気管15の部位にはインジェクタ19が設けられており、このインジェクタ19は、吸気ポート11を通して燃焼室10内に燃料を噴射するようになっている。
また、シリンダヘッド3の底部には点火プラグ20が設けられており、この点火プラグ20は、インジェクタ19から燃焼室10内に噴射された燃料と吸気管15から燃焼室10内に供給される吸入空気との混合気に着火することにより、燃焼室10内で混合気を燃焼させるようになっている。このように本実施形態のエンジン1は、火花点火式エンジンである。
また、シリンダヘッド3には排気管21が設けられており、この排気管21は、排気ポート12に連通して、シリンダ6から排気ガスが排気される排気通路21aを有している。排気管21にはステッピングモータ22によって駆動される排気弁23が設けられており、この排気弁23は、排気通路23aの開度を調整することにより、燃焼室10内に還流される排気ガス量を調整するようになっている。
具体的には、排気弁23の開度が小さくなると、排気通路21aに排出される排気ガスの一部は、EGRガスとなって燃焼室10内に還流されることになる。また、排気ガスの排気が制限されることで、排気ガスが燃焼室10内に滞留することで、燃焼室10内にEGRガスが還流されるようになっている。そして、このEGRガスの量は、排気弁23の開度が小さくなるほど、増加する。
また、排気弁23の下流の排気管21の部位には三元触媒24が設けられており、この三元触媒24は、排気ガス中の窒素酸化物、一酸化炭素および炭化水素を浄化するようになっている。
また、エアクリーナ16の下流の吸気管15にはエアフローメータ31が設けられており、このエアフローメータ31は、単位時間当たりにエンジン1に吸入される吸入空気量を検出してECU(Engine control unit)51に検出信号を出力する。
クランクシャフト9の近傍にはクランク角センサ32が設けられており、このクランク角センサ32は、クランクシャフト9の回転に同期した信号をECU51に出力するようになっている。
図2に示すように、ECU51は、CPU(Central Processing Unit)52、ROM(Read Only Memory)53、RAM(Random Access Memory)54、入力インターフェース55、出力インターフェース56等を含んで構成されている。
ECU51は、クランク角センサ32から入力インターフェース55を介して入力したクランクパルス信号に基づいて、気筒の判別および単位時間当たりのエンジン回転数として、例えば、1分間当たりのエンジン回転数(rpm)を算出する。
また、入力インターフェース55には、アクセル開度センサ33から信号が入力するようになっており、ECU51は、アクセル開度センサ33からの入力信号に基づいて、運転者によって操作されるアクセルペダルの開度を検出する。
また、点火プラグ20にはイオンセンサ34が組み込まれており、イオンセンサ34は、点火プラグ20の点火により燃焼室10内で混合気が燃焼されたことを検出して、ECU51の入力インターフェース55にとイオン電流を出力するようになっている。
すなわち、混合気の燃焼時にはイオンが発生し、このイオンが点火プラグ20の電極に到達すると、このイオンにより点火プラグ20の電極間にイオン電流が流れることを利用して、イオンセンサ34がイオン電流を検出し、燃焼圧力に相当する燃焼強度の大きさに比例してイオン電流を入力インターフェース55に出力する。ここで、燃焼室10内で燃焼された混合気の燃焼強度が大きくなるにつれてイオン電流値が大きくなる。
このように本実施形態のイオンセンサ34は、燃焼室10内で混合気が燃焼されたことを検出するものであり、燃焼検出部を構成している。また、ECU51は、イオンセンサ34から入力されたイオン電流値の上昇率の大きさに基づいて、燃焼強度の大きさを判断するようになっており、ECU51は、イオンセンサ34と共に、燃焼室10内で燃焼された混合気の燃焼強度を検出する燃焼強度検出部61として機能するCPU52を備えている。
また、ECU51の出力インターフェース56には、ステッピングモータ17、22、インジェクタ19および点火プラグ20が接続されており、ECU51は、エアフローメータ31、クランク角センサ32、アクセル開度センサ33およびイオンセンサ34からの入力信号に基づいて燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期、スロットル弁18の開度および排気弁23の開度を制御するようになっている。
具体的には、ECU51は、エンジン1の運転状態を表すエアフローメータ31、クランク角センサ32およびアクセル開度センサ33の検出値からなるエンジンパラメータと基本噴射量との関係が予め定められた基本噴射量マップを用いて基本噴射量および噴射時期を算出し、基本噴射量および噴射時期に応じた噴射信号をインジェクタ19に出力する。この基本噴射量は、シリンダ6内の空燃比を目標空燃比であるストイキ値に設定されるようになっており、この基本噴射量マップは、ROM53の記憶領域に記憶されている。
また、ECU51は、上述したエンジンパラメータと点火時期との関係が予め定められた点火時期マップを参照して点火時期を算出し、この点火時期に応じた点火信号を点火プラグ20に出力する。なお、この点火時期は、通常、最大トルクが得られるような最大限進角したMBT付近に設定されている。また、この点火時期マップは、ROM53の記憶領域に記憶されている。ここで、本実施形態のECU51は、点火プラグ20に点火信号を出力する点火信号出力部62として機能するCPU52を備えている。
CPU52を備えている。
また、ECU51は、上述したエンジンパラメータと吸入空気量の関係が予め定められた吸入空気量マップを用いて吸入空気量を算出し、この算出した吸入空気量に応じた信号をステッピングモータ17に出力し、ステッピングモータ17によってスロットル弁18の開度を調整するようになっている。
一方、ECU51は、イオンセンサ34のイオン電流値が、ROM53の記憶領域に記憶されたイオン電流値の上昇率の閾値よりも大きい場合に、燃焼室10内の混合気の早期燃焼が発生したものと判断するようになっている。
早期燃焼とは、点火プラグ20の点火によって燃焼室10内の全体に燃え広がる本来の燃焼とは異なり、点火プラグ20の点火時期よりも前に発生する異常燃焼のことである。この早期燃焼が発生すると、点火プラグ20の点火による本来の燃焼よりも燃焼強度が大きくなり、イオン電流値の出力値の上昇率が大きくなる。
ECU51は、イオンセンサ34のイオン電流値の上昇率が閾値よりも大きい場合に、燃焼室10内の混合気の早期燃焼が発生したものと判断するようになっている。そして、ECU51は、イオンセンサ34が点火プラグ20の点火信号の出力時期と異なる時期に混合気の燃焼を検出したことを条件として、早期燃焼が発生したものと判断し、ステッピングモータ22を駆動して、排気弁23の開度が小さくなるように制御するとともに、点火プラグ20に点火信号を出力するのを停止する燃焼状態制御を実行する。
排気弁23の開度が小さくなると、燃焼室10内に還流される排気ガス量、すなわち、EGRガス量が増加する。また、早期燃焼状態では、燃焼室10内の混合気の燃焼強度が大きくなるため、点火プラグ20の点火を行わなくても、自着火運転に移行する。
ここで、本実施形態のステッピングモータ22および排気弁23は、排気ガス還流量調整部材を構成し、ECU51は、燃焼状態制御部63として機能するCPU52を備えている。
また、ECU51は、イオンセンサ34のイオン電流値の上昇率が閾値以上である状態が継続すると、燃焼室10内の燃焼強度が所定強度以上であるものと判断して、上述した燃焼状態制御を実行する。
また、ECU51は、上述した燃焼状態制御の実行後に、エアフローメータ31、クランク角センサ32、アクセル開度センサ33およびイオンセンサ34からの信号をエンジンパラメータとして、排気弁開度マップを用いて排気弁23の開度を算出し、この開度信号をステッピングモータ22に出力する。なお、排気弁開度マップは、ROM53の記憶領域に記憶されている。
また、ECU51は、上述した燃焼状態制御が実行された後に、所定の点火条件としてイオンセンサ34のイオン電流値の上昇率が閾値未満の状態が所定時間継続された場合には、ステッピングモータ17を駆動してスロットル弁18の開度を閉じ側に制御してシリンダ6に吸入される吸入空気量を減少させる。次いで、ステッピングモータ22を駆動して排気弁23の開度を開き側に制御して燃焼室10内に還流される排気ガス量を減少させた後に、点火時期において点火プラグ20に点火信号を出力する。
したがって、ECU51は、イオンセンサ34のイオン電流値の上昇率が閾値以上である場合には、イオンセンサ34のイオン電流値の上昇率が閾値未満、すなわち、燃焼室10内の燃焼強度が所定強度未満となるまで燃焼状態制御を継続することになる。
次に、図3、図4に基づいて燃焼状態制御処理を説明する。
図3は、ROM53の記憶領域に記憶された燃焼状態制御プログラムのフローチャートであり、この燃焼状態制御プログラムは、CPU52によって実行される。
図3において、CPU52は、点火時期であるか否かを判別する(ステップS1)。ステップS1でCPU52は、点火時期マップを参照し、エアフローメータ31、クランク角センサ32およびアクセル開度センサ33からの入力信号に基づいて点火時期を算出し、点火時期であるものと判断すると、点火時期に応じた点火信号iを点火プラグ20に出力する(ステップS10)。
ステップS1で、CPU52は、点火時期でないものと判断すると、イオンセンサ34からの入力信号に基づいてイオン電流値の上昇率が閾値P以上であるか否かを判別する(ステップS2)。CPU52は、イオン電流値の上昇率が閾値P未満であるものと判断すると、燃焼室10内の燃焼強度が小さく、点火時期と異なる時期の燃焼である早期燃焼が発生していないものと判断し、ステップS1に戻る。したがって、CPU52は、早期燃焼が発生していない場合には、通常の点火時期制御を実行する。
ステップS2において、CPU52は、図4に示すように、点火信号iの出力前にイオン電流値の上昇率が閾値P以上であるものと判断すると、燃焼室10内の燃焼強度が大きく、早期燃焼が発生しているものと判断して燃焼状態制御に移行する。
燃焼状態制御では、CPU52は、排気弁開度マップを参照し、エアフローメータ31、クランク角センサ32およびアクセル開度センサ33からの入力信号、すなわち、エンジン負荷とイオンセンサ34から入力した燃焼強度の大きさに応じた開度となるように排気弁23を閉じ側に制御する(ステップS3)。このため、燃焼室10から排気管21に排気された排気ガスの一部がEGRガスとなって燃焼室10内に還流される。
次いで、CPU52は、点火信号iの出力を停止する(ステップS4)。なお、図4では、イオンセンサ34のイオン電流の出力時期と点火信号の出力時期とを比較するため、出力が停止された時期の点火信号を破線で示す。
また、早期燃焼が発生すると、燃焼室10内の燃焼強度が大きいことから、排気弁23を閉じ側に制御された後に、エンジン1は、火花点火運転から自着火運転に移行する。
次いで、CPU52は、イオンセンサ34から入力信号に基づいてイオン電流値の上昇率が閾値P未満であるか否かを判別し(ステップS5)、イオン電流値の上昇率が閾値P以上であるものと判断すると、ステップS3に処理を戻す。
ステップS5で、CPU52は、イオン電流値の上昇率が閾値P未満であるものと判断すると、イオン電流値の上昇率が閾値P未満である時間が一定時間Tだけ継続したか否かを判別する(ステップS6)。
CPU52は、一定時間T内にイオン電流値の上昇率が閾値P以上となった場合には、ステップS3に処理を戻す。また、CPU52は、イオン電流値の上昇率が閾値P未満である時間が一定時間Tだけ継続したものと判断した場合には、所定の点火条件が成立したものと判断し、ステッピングモータ17を駆動し、エンジン負荷とイオンセンサ34から入力した燃焼強度の大きさに応じた開度となるようにスロットル弁18の開度Q1を閉じ側に制御する(ステップS7)。このため、シリンダ6内に供給される吸入空気量が減少する。ここで、CPU52は、イオン電流値の上昇率が閾値P以上である時間が一定時間Tだけ継続したか否かを判別する代わりに、イオン電流値の上昇率が閾値P以上である回数が何回継続したか否かを判別するようにしてもよい。
次いで、CPU52は、ステッピングモータ22を駆動し、エンジン負荷とイオンセンサ34から入力した燃焼強度の大きさに応じた開度となるように排気弁23の開度Q2を開き側に制御する(ステップS8)。このため、燃焼室10内に還流されるEGRガス量が減少してシリンダ6内から排出される排気ガス量が増大する。
CPU52は、排気弁23を開き側に制御すると、点火信号iの出力停止の解除を行った後(ステップS9)、ステップS1に処理を戻し、通常の点火時期制御に移行する。
このように本実施形態のECU51は、点火信号iの出力時期と異なる時期に混合気の燃焼を検出したことを条件として、燃焼室10内に還流される排気ガス量を増加させるとともに、点火プラグ20に点火信号を出力するのを停止して自着火運転に移行させるので、燃焼室10内に還流される排気ガスによって燃焼室10内における混合気の燃焼温度を低下させることができる。このため、混合気の燃焼によって発生する燃焼室10内の燃焼強度の増加を抑制することができ、混合気の早期燃焼の発生を抑制することができる。これに加えて、点火プラグ20の点火を停止して自着火運転に移行させるので、燃焼室10内の燃焼強度が増加するのをより効果的に抑制して、混合気の早期燃焼をより効果的に抑制することができる。
また、ストイキ運転状態で燃焼室10内に還流される排気ガス量を増加させるようにしたので、不完全燃焼が生じるのを抑制することができるとともに、シリンダ6内から排出される排気ガス中に占める窒素酸化物の割合を低減させることができ、排気エミッションが悪化するのを防止することができる。
また、本実施形態のECU51は、燃焼状態制御が実行された後に、所定の点火条件が成立したことを条件として、スロットル弁18の開度を閉じ側に制御してシリンダ6に吸入される吸入空気量を減少させるので、自着火運転の移行後に、エンジン1に供給される吸入空気量を少なくすることができる。このため、エンジン1の負荷を軽減して混合気を燃焼し難くすることができ、早期燃焼の発生を抑制することができる。
また、本実施形態のECU51は、シリンダ6に吸入される吸入空気量を減少させた後に、燃焼室10内に還流される排気ガス量を減少させて点火プラグ20に点火信号を出力するので、火花点火運転に移行する直前に、燃焼室10内における混合気の燃焼温度の低下を抑制して混合気の燃焼によって発生する燃焼室10内の燃焼強度の低下を抑制することができる。このため、火花点火運転に移行したときにエンジン1の出力が低下するのを防止することができる。
また、本実施形態のECU51は、イオンセンサ34のイオン電流値の上昇率が閾値P以上であること、すなわち、燃焼強度が所定強度以上であることを条件として、燃焼状態制御を実行するので、混合気の早期燃焼が発生したことを速やかに検出して燃焼室10内に還流される排気ガス量を増加させることができる。このため、混合気の早期燃焼の発生を継続的に抑制することができる。
また、本実施形態のECU51は、イオンセンサ34のイオン電流値の上昇率が閾値P以上である場合に、イオンセンサ34のイオン電流値の上昇率が閾値P未満となるまで、すなわち、燃焼強度が所定強度未満となるまで燃焼状態制御を継続するので、混合気の燃焼強度が抑制されるまで燃焼室10内に還流される排気ガス量を増加させて、混合気の早期燃焼が再発するのを防止することができる。
なお、本実施形態のエンジン1は、燃焼検出部および燃焼強度検出部として、イオンセンサ34を用いているが、イオンセンサ34に代えて、シリンダ6内の圧力を直接検出する筒内圧センサを用いてもよく、燃焼室10内で混合気が燃焼されたときの振動を検出するノックセンサを用いてもよい。
また、本実施形態のエンジン1は、排気管21の途中に排気弁23を設けた内部EGR方式を採用しているが、これに限定されるものではない。例えば、吸気管15と排気管21とを接続するEGR配管と、EGR配管上に設けられたEGR弁とを設け、排気管21に導入された排気ガスの一部を、EGR配管を通して吸気管15に還流させる外部EGR方式を採用してもよい。この場合には、排気弁23およびステッピングモータ22を制御するのと同様にして、EGR弁を駆動するステッピングモータを駆動してEGR弁を制御すればよい。
また、本実施形態のエンジン1は、排気管21に排気弁23を設けて燃焼室10内に還流されるEGRガス量を調整するようにしているが、これに限らず、可変バルブリフト機構を設け、排気弁14のリフト量を低下させて、燃焼室10内の残留ガス量を増加させるようにしてもよい。
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
1…エンジン(内燃機関)、6…シリンダ(気筒)、10…燃焼室、17…ステッピングモータ(吸入空気量調整部材)、18…スロットル弁(吸入空気量調整部材)、20…点火プラグ、22…ステッピングモータ(排気ガス還流量調整部材)、23…スロットル弁(排気ガス還流量調整部材)、34…イオンセンサ(燃焼検出部,燃焼強度検出部)、52…CPU(燃焼強度検出部,点火信号出力部, 燃焼状態制御部)、61…燃焼強度検出部、62……点火信号出力部、63…燃焼状態制御部

Claims (4)

  1. 内燃機関に設けられた気筒の燃焼室内の混合気に点火する点火プラグと、前記点火プラグに点火信号を出力する点火信号出力部とを備えた内燃機関の燃焼状態制御装置であって、
    前記燃焼室内で混合気が燃焼されたことを検出する燃焼検出部と、
    前記燃焼室内に還流される排気ガス量を調整する排気ガス還流量調整部材と、
    前記点火信号の出力時期と異なる時期に前記混合気の燃焼を検出したことを条件として、前記燃焼室内に還流される排気ガス量を増加させるように前記排気ガス還流量調整部材を制御するとともに、前記点火信号出力部による点火信号の出力を停止して、自着火運転に移行する燃焼状態制御を実行する燃焼状態制御部とを含んで構成されることを特徴とする内燃機関の燃焼状態制御装置。
  2. 前記気筒に供給される吸入空気量を調整する吸入空気量調整部材を備え、
    前記燃焼状態制御部は、前記燃焼状態制御が実行された後に、所定の点火条件が成立したことを条件として、前記吸入空気量調整部材によって前記気筒に吸入される吸入空気量を減少させ、次いで、前記燃焼室内に還流される排気ガス量を減少させた後に、前記点火信号出力部による点火信号の出力を再開することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃焼状態制御装置。
  3. 前記燃焼室内で燃焼された混合気の燃焼強度を検出する燃焼強度検出部を有し、
    前記燃焼状態制御部は、前記燃焼強度が所定強度以上であることを条件として、前記燃焼状態制御を実行することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の燃焼状態制御装置。
  4. 前記燃焼状態制御部は、前記燃焼強度が所定強度以上である場合に、前記燃焼強度が所定強度未満となるまで前記燃焼状態制御を継続することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の燃焼状態制御装置。
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