JP2014531321A - 改善された耐食性能を有するろう付け用プリフラックスコーティング - Google Patents

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Abstract

ろう付けで構成部品を製造するための、特にアルミニウム構成部品からなる熱交換器を製造するための、一種以上のフラックス及びフィラー材料を含むプリフラックスコーティングである。このコーティングは、フルオロアルミン酸カリウムK1〜3AlF4〜6、トリフルオロ亜鉛酸カリウムKZnF3、フルオロアルミン酸リチウムLi3AlF6の形態の1種以上のフラックスと、金属Si粒子、Al−Si粒子及び/又はフルオロケイ酸カリウムK2SiF6の形態のフィラー材料と、酸化アルミニウム及び/又はろう付け後セラミック層を形成する他の好適な酸化物若しくは材料の形態の添加剤とから構成され、溶剤と、メタクリル酸ホモポリマー又はメタクリル酸コポリマーを主成分とする合成樹脂を少なくとも10重量%含む結合材とを更に含む。

Description

本発明は、ろう付けで構成部品、特にアルミニウム構成部品からなる熱交換器を製造するための、改善された耐食性能を有するプリフラックスコーティングに関し、該コーティングは一種以上のフラックス及びフィラー材料を含む。
熱交換器は、機械的に組み立てられるか、又はろう付けされることができる。所謂CAB法(管理雰囲気ろう付け(Controlled Atmosphere Brazing)を表す)でアルミニウム熱交換器をろう付けすることが当該技術分野の状況である。ろう付けが不活性ガスの保護下で行われるので、管理された雰囲気と呼ばれる。一般的には、そのガスは窒素である。公知のプリフラックスコーティングは、フラックスとフィラー材料との組合せである。フラックスには、アルミニウム部品の表面を酸化物から清浄にすることが求められ、且つフィラー金属には、金属結合の形成が求められる。
炉の雰囲気(CAB法を管理するための主要な工程パラメーター)で酸素が殆ど排除されるという事実のために、攻撃性の小さいフラックスを使用することができる。腐食性フラックスを使用する従来のろう付け技術は、腐食性フラックス残渣を除去するために、ろう付け後の洗浄工程を必要とするものであった。除去されない場合、その領域で早期の腐食が起こり得る。非腐食性とも呼ばれる攻撃性の小さいフラックスは、フッ化カリウムアルミニウムのようなアルミニウムフッ化物から主として構成される。必要とされるフィラー金属は、通常、AA4XXXシリーズ(ケイ素を含有する)からの低融点アルミニウム合金である。
上述したように、アルミニウム熱交換器は、自動車用途によく使用されている。そのような熱交換器は、空調系統、エンジン冷却系統、エンジンオイル冷却系統及び自動車用エンジンターボチャージャー系統によく使用されている。
自動車用途に加えて、現在、アルミニウム熱交換器は、自動車用途と同じような機能を果たす工業用途及び住宅用途のような自動車以外の用途に用いられつつある。
管理雰囲気ろう付け法を用いる熱交換器のろう付けは、以下:
・フラックス(一般的にフッ化カリウムアルミニウム)
・フィラー(一般的にAA4XXXシリーズ)
・保護雰囲気(一般的に窒素)の特性、及び
・金属結合形成ためにフィラー材料を溶融するのに必要な高温での曝露
に大きく左右される。
工程パラメーターは、ろう付けされる熱交換器の種類/大きさ並びに使用されるフィラー金属及びフラックス化合物の種類に応じて変更される。熱交換器において金属結合を形成するための一般的な方法は、接合される2つの構成部品のうちの1つをAA4XXXシリーズでクラッドすることである(例えば、クラッドフィン及び非クラッドチューブ)。(これまでに規定したような)フラックスの一般的な塗布は、ろう付け前に熱交換器組立品全体に施される。
新しい種類のろう付けコーティングは、構成部品のうちの1つがクラッド材料(AlSi材料)で作られていることの必要性を取り除く。これらの種類のコーティング型は、Silflux(商標)(Solvay社製)及びHYBRAZ(登録商標)(本出願人によって導入されている)と呼ばれている。
ろう付けされたアルミニウム構成部品の腐食防止のために、保護層を用いることができる。この保護層は、一般的に、以下の2種類であり得る。
・不動態
・犠牲
犠牲層は、芯材よりも不活性でない層である。攻撃的な環境下に曝露した場合には内部の腐食がもたらされるであろう。アルミニウム上の一般的な犠牲層は、亜鉛層の塗布である。この亜鉛層は、亜鉛アーク溶射によってアルミニウム表面に塗布することができる。金属亜鉛は、押出工程の間に一般的にはインラインでマルチポートチューブ(MPE)のような製品の表面に塗布される。そのチューブがろう付けサイクルを経て、亜鉛拡散勾配がチューブに形成された後、完全な腐食防止が生じる。
上述したような亜鉛アーク溶射によるアルミニウム構成部品表面への亜鉛塗布の代替として、現在、アルミニウム表面に反応性Znフラックスを用いることが特に注目を集めている。反応性Znフラックスを含有するHYBRAZ(登録商標)コーティングされた製品は、ろう付け用のフラックス及び腐食防止のためのチューブへのZn拡散勾配を提供する。亜鉛フラックスは、ろう付けサイクルの間にろう付けフラックス及び金属亜鉛を生成する、フルオロ亜鉛酸カリウム類からの、所謂、反応性フラックスである。金属亜鉛は、犠牲層として、AlチューブにZn勾配を形成する。
一方、不動態層は、化学的に不活性(不活発)であり且つ表面を覆うコーティングである。
フラックスをアルミニウム製品の外表面に塗布して、その耐性を改善し且つ腐食を低減するアルミニウム製品の処理方法が、国際公開第2011/011251号から従来知られている。その製品の外表面は初めにろう付けされた後、陽極酸化されて、酸化層を形成し、その酸化層の一部はフラックスとアルミニウム製品の外表面との間に形成される。
本出願人による先のノルウェー特許出願第20101172号において、発明者らは、熱交換器で使用されるAlチューブ用のフラックスコーティングにLi含有フラックスを導入することによって、本出願人によるHYBRAZ(登録商標)でコーティングされた製品を更に改善した。その理由は、このフラックスが、ろう付け後、制限された水溶性を示しそれにより溶解フッ化物によるアルミニウム表面への攻撃を低減するフラックス残渣を製品表面にもたらすからである。
工業用途(HVAC&R)に関する状況は異なる。熱交換器は、寸法が異なり(はるかに大きく)、より長い耐用年数を有し且つ異なった環境で耐えなければならない。一例は、高pH環境あるいは低pH環境への暴露である。残存フラックス層は、むき出しのアルミニウム部品と比較した耐腐食性を改善するということも知られている。これは、フラックス残渣の水溶性が低いことによるものである。フラックス残渣の溶解性は、自動車用途の条件下では非常に低い。自動車以外の用途における水への曝露は異なる。アルミニウム部品は、様々な環境(乾燥、湿度の高い、低pH/高pH)に曝露される。
本発明は、ろう付けサイクルの間に作製され且つ動かない水(stationary water)の影響に対するより良好な耐腐食性に有用であるセラミック層を提供するという原則に基づいている。
従って、本発明によれば、特に自動車以外の用途において、
・投資の節約
・生産性向上
・より少ないエネルギー使用量
・品質向上
・軽量化
のような大きな利点が得られる。
本発明は、添付の独立請求項1に規定されるような構成によって特徴付けられる。
好ましい実施形態は、従属する請求項2〜9に更に規定される。
本発明は、例示として以下に更に記載されるであろう。
ろう付け材料を添加剤と組み合わせることにかかる出願人の研究では、上述したように自動車以外の用途が重要な焦点であった。特に、様々な環境が熱交換器に影響を与えるであろう用途に関しては、犠牲Zn保護を超える更なる腐食防止が求められている。
本出願人による先のノルウェー特許出願第20101172号において、発明者らは、熱交換器で使用されるAlチューブ用のフラックスコーティングにLi含有フラックスを導入することによって、本出願人によるHYBRAZ(登録商標)でコーティングされた製品を更に改善した。その理由は、このフラックスが、ろう付け後、制限された水溶性を示しそれにより溶解フッ化物によるアルミニウム表面への攻撃を低減するフラックス残渣を製品表面にもたらすからである。従って、先の発明は、犠牲及び不動態の両方の保護をもたらし、それに加えて、接合部形成のためのろう付け(フィラー)材料と酸化層除去のためのフラックスとをもたらす新規なプリフラックスコーティングを提供した。
本発明によれば、本発明者らは、工業用途における様々な環境の影響に対する耐腐食性を改善するために更にもう一歩踏み出した。従って、発明者らは、ろう付けされる基材(製品)上に、HVAC&R用途の要求にいっそう耐え得るろう付け後セラミック層(post-braze ceramic layer)を作製し且つ強化するという考えを思い付いた。この考えは、一般的なろう付け後フラックス残渣からの層の段階で止めずに、添加剤を含む該セラミック層の安定性を維持することであった。種々の材料をHYBRAZ(登録商標)コーティングに添加し、ろう付けされたミニコアの腐食挙動をSWAAT暴露によって評価した。
初めに、酸化アルミニウムを添加剤として用いたところ、以下の議論で更に示される明らかな改善が見られた。
第二段階では、他の材料が調査されるであろう。この研究は現在進行中であり、2011年内に終わるであろう。他の材料は、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム及びラッカー/ペイントにおいて腐食防止顔料として使用される公知の顔料である。
本発明によるHYBRAZ(登録商標)プリフラックスコーティングは、異なる特性を有する1種以上のフラックスからのフラックス粒子と、フィラー材料としてのSi粒子と、ろう付け後セラミック層を形成する好適な酸化物若しくは材料とを含み、更に溶剤及び結合材を含む混合物に基づいている。より正確には、本発明は、フッ化カリウムアルミニウム(K1〜3AlF4〜6)、トリフルオロ亜鉛酸カリウム(KZnF)、フッ化リチウムアルミニウム(LiAlF)のようなフラックスと、金属Si粒子、Al−Si粒子及び/又はフルオロケイ酸カリウムKSiFの形態のフィラー材料と、酸化アルミニウム及び/又はろう付け後セラミック層を形成する他の好適な酸化物若しくは材料とから構成されてよく、コーティングは、溶剤と、メタクリル酸ホモポリマー又はメタクリル酸コポリマーを主成分とする合成樹脂を少なくとも10重量%含む結合材とを更に含む。
上述したフッ化カリウムアルミニウム(K1〜3AlF4〜6)は、KAlF、KAlF、KAlF又はこれらの組合せであることができる。これは、天然合成からの生成物である。ろう付けされた製品中にZn拡散勾配を形成することによる腐食防止のためにトリフルオロ亜鉛酸カリウムKZnFを添加することができる。
フルオロケイ酸カリウムKSiFは、Alと反応して、フィラー金属としてのAlSi12を形成するSi金属を生じる。
更に、フラックス残渣の水溶性を制限し、それにより動かない水からの攻撃を制限するために、フッ化リチウムアルミニウムLiAlFを選択肢として添加してもよい。
ろう付け後セラミック層を形成するために添加される粒子に関し、酸化アルミニウムを超えて、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム又はこれらの組み合わせのような他の好適な酸化物を添加してもよい。更に、ラッカー/ペイントにおいて腐食防止顔料として使用される公知の顔料を添加してもよい。
ろう付け後フラックス残渣の所望の効果を得るためには的確な組成が必要である。
Mg含有量の高い合金に対しては、任意でフッ化カリウムアルミニウム(上記参照)に機械的に混合されるフッ化セシウムアルミニウムCsAlFを添加してもよい。
コーティング材料の組成に関し、溶剤の含有量は、所望の用途特性にもよるが、好ましくは、約30重量%である。更に、粒子と結合材との比は、3:1〜4:1で変化する。
追加の増粘剤がコーティング材料に添加されてもよく(セルロース)、アクリルポリマーに関連して約14重量%の含有量。
異なるフラックスの粒子の比は、下記表から明らかであるように変化する。
アルミニウム構成部品上に塗布されるようなコーティングは、8g/m〜16g/mの間の様々な全塗布量により更に変化し得る。これに関しては下記表を参照。
Figure 2014531321
コーティングは、次の順序:
・適当な混合器内で攪拌することにより溶剤及び結合材を混合すること、及び
・攪拌を継続しながら溶剤及び結合材の組成物にフラックス粒子及びセラミック層を形成する酸化物若しくは他の材料粒子を添加すること、
・コーティング材料の特定のパラメーターに関わる所望の品質が得られるまで組成物を完全に混合すること
に基づいて混合することにより製造される。
ろう付けされる構成部品へのコーティングの塗布に際し、均質なコーティング材料を保証するためにコーティングは再度攪拌される。攪拌操作の際に、塗布法及び装置に応じてコーティングの粘度が調整される。
コーティングされた構成部品の乾燥は、別個の乾燥工程(例えばIR光又は他の加熱源を用いて)で行われてもよい。
特許請求の範囲に規定される本発明は上述した例示に制限されるものではないということが強調されるべきである。従って、コーティングは、混合されて、1層コーティング又は多層コーティングとして塗布されてもよい。
1層コーティングとは、本発明の好ましい実施形態を表し、全フラックス成分が結合材及び溶剤と混合されて1工程でアルミニウム表面に塗布されるということを意味する。
多層コーティングとは、コーティングが別々のコーティングとして結合材及び溶剤と混合されて以下のように2、3又は4層に塗布されたものであると理解される。
<2層コーティング>
・第一層でフラックス、フッ化カリウムアルミニウム、及びフィラー材料又はフィラー生成材料がアルミニウム表面に塗布される
・第二層で添加剤が塗布される
・第一層又は第二層のずれかに塗布されるコーティングがトリフルオロ亜鉛酸カリウム又はフッ化リチウムアルミニウムのような他の成分を含んでもよい
(2つの層が逆であること、第一層として添加剤/酸化物を有することも可能である。)
<3層コーティング>
・各成分が単一のコーティング層として塗布される
・フラックスのコーティング層
・フィラー材料又はフィラー生成材料のコーティング層
・トリフルオロ亜鉛酸カリウムのコーティング層
・添加剤がそれぞれのコーティング層内に塗布され得る。各層がフッ化リチウムアルミニウムを含んでもよい。
<4層コーティング>
・各成分が上記3層コーティングのように別々のコーティング層として塗布される。
多層コーティングの場合、有機樹脂の含有量が多過ぎることによる不都合及びそれによるろう付けの不都合を回避するために、結合材の全量を制御することが重要であろう。
多層コーティングの場合、一部の層は不連続に塗布されてもよい。
プリフラックスコーティングをアルミニウム構成部品上にどのように提供するかに関しては、ロールコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、更にはスクリーン印刷法のような如何なる技術を用いてもよい。

Claims (9)

  1. ろう付けで構成部品を製造するための、特にアルミニウム構成部品からなる熱交換器を製造するための、一種以上のフラックス及びフィラー材料を含むプリフラックスコーティングであって、
    該コーティングが、フッ化カリウムアルミニウムK1〜3AlF4〜6、トリフルオロ亜鉛酸カリウムKZnF、フッ化リチウムアルミニウムLiAlFの形態の一種以上のフラックスと、金属Si粒子、Al−Si粒子及び/又はフルオロケイ酸カリウムKSiFの形態のフィラー材料と、酸化アルミニウム及び/又はろう付け後セラミック層を形成する他の好適な酸化物若しくは材料の形態の添加剤とから構成され、溶剤と、メタクリル酸ホモポリマー又はメタクリル酸コポリマーを主成分とする合成樹脂を少なくとも10重量%含む結合材とを更に含むことを特徴とするプリフラックスコーティング。
  2. 前記コーティングを1層コーティング又は多層コーティングとして混合することであって、1層コーティングとしては、全てのフラックス成分、フィラー材料及び添加剤を結合材及び溶剤と混合し、また、多層コーティングとしては、フラックス成分、添加剤及びフィラー材料を別々のコーティングとして結合材及び溶剤と混合することを特徴とする請求項1に記載のプリフラックスコーティング。
  3. 前記多層コーティングが、結合材及び溶剤を1種以上のフラックス成分、添加剤及び/又はフィラー材料若しくはフィラー生成材料と個々に混合したものにそれぞれが基づく2つ、3つ又は4つのコーティング要素を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のプリフラックスコーティング。
  4. 前記フルオロアルミン酸カリウムK1〜3AlF4〜6が、KAlF、KAlF、KAlFを含有するフラックスであるか、又はこれらのフラックスの組合せであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のプリフラックスコーティング。
  5. 前記アルミニウム構成部品が、Mg含有量の高いアルミニウム合金をベースとするものであり、フッ化セシウムアルミニウムCsAlFの形態の追加フラックスが添加されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のプリフラックスコーティング。
  6. 粒子と結合材との比が3:1〜4:1であることを特徴とする請求項1に記載のプリフラックスコーティング。
  7. 前記コーティング中の成分の異なる粒子の比が、0〜5.2g/mのSi、1.41〜16g/mのZnフラックス(KZnF)、2.2〜9.2g/mのカリウムフラックス(KAlF/KAlF)及び0.1〜5g/mの添加剤/酸化物の塗布量に対応することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のプリフラックスコーティング。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載のプリフラックスコーティングを、1層コーティング又は多層コーティングとして、アルミニウム構成部品上に塗布することであって、1層コーティングとしては、全てのフラックス成分及びフィラー材料を結合材及び溶剤と混合するがゆえに、1回の操作で前記構成部品上に提供され、また、多層コーティングとしては、フラックス成分及びフィラー材料を別々のコーティングとして結合材及び溶剤と混合するがゆえに、好ましくは中間硬化のときにそれぞれが個々に塗布されるアルミニウム構成部品上への塗布。
  9. 前記コーティングが、ロールコーティング法又はディップコーティング法により前記構成部品上に提供される請求項8に記載の塗布。
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