JP2014221491A - 強化ガラス板の応力割断 - Google Patents
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Abstract
【課題】加工速度ならびに加工品質に優れた脆性材料熱応力割断の長所を出来るだけ残したまま、強化材料の加工が困難であると云う同方法の短所低減をはかること。【解決手段】熱応力割断と同等の長所を有する脆性材料強化層に内在する圧縮機械応力の解放に基づく割断を、パルスレーザの焦点近傍で発生する割断位置の特定化や割断閾値低減などの非線形現象の併用によって利用可能なレベルまで技術改良をはかった。【選択図】図1
Description
本発明は、強化ガラス板に種々の高速高精度加工を施すことができるレーザ加工方法及び装置に関するものである。
最近情報機器に使用されるガラス板の切断において、過去数世紀にわたって使用されてきたダイアモンドチップによる機械的方法に代わって、CO2レーザビーム照射による熱応力割断が使用されるようになってきた。同技術を特許文献1,2,3および非特許文献1,2に示す。
この方法によれば、機械的切断方法に固有の欠点、すなわちマイクロクラック発生によるガラス強度の低下、カレット発生による汚染、低速加工、適用板厚の下限値の存在、などが一掃できる。
この結果、レーザ割断法によれば機械切断の後工程である研磨、洗浄が不要になり、面粗さ1μm以下の鏡面が得られ、製品外形寸法精度は業界仕様値の±25μmを凌駕するものになる。この方法は現在、板厚が0.33mmないし1mmのフラットパネルやタッチパネル用ガラスに用いられているが、今後はさらに広範囲の板厚ガラスに使用されることが期待されている。
Karube K.,Karube N.,Laser−induced cleavage of LCD glass as full body cutting,Proc.SPIE 6880,688007−1 2008.
Karube K.,Karube N.,Laser−induced full body cleavage of flat−panel−display glass,Journal of the SID 17/4,2009.
同方法はガラスなどの脆性素材に機械応力が印加されると瞬時に割断されることにヒントを得て発明者らを含む何人かの技術者らによって開発された。発明者らによる同技術の原理研究成果の概要を非特許文献1,2に示す。同技術は当初もっとも形状が簡単な直線割断に対しては十分な実用性が達成され加工品質および速度の向上に成功したが、実際のスマートフォンやタブレット等の携帯端末用基板ガラス全般の加工まで技術進歩が実現できず行き詰まってしまった。
その最大の理由として、熱応力割断技術は材料の熱的、機械的性質に依存するので加工ガラスが代わるたびに加工条件の最適化を変更させなければならないと云う宿命がある。最近同分野では米国コーニング社を初めとするガラスメーカ各社で強化ガラスを広く提供するようになったので、加工条件は大幅に変化してしまった。そしてこの強化ガラスの特性は熱応力割断には不向きなのである。
このためにこうした欠点が少ない、ガラスの材料除去加工に再度期待がよせられるようになってきた。しかしながら従来のレーザ加工のような熱加工では加工品質が不十分であると云う欠点がある。これを避けるには照射レーザのエネルギー密度を極端に増大させ、熱作用ではなくレーザビームの非線形現象によって直接材料の分子結合を切断する事が望まれた。
こうした非線形現象の実現にはナノ秒パルスレーザやピコ秒パルスレーザが使用できる。同レーザビーム(波長;1064nm,532nm)はガラスに対し透過性を有し、焦点近傍においてのみ非線形現象によって吸収される。前者は電界強度吸収であり、後者は多光子吸収である。最初裏面近傍に焦点をおいて加工を行い順次加工点を上部の表面に移していけばガラスは焦点近傍以外のビームに対して透明であるので、結像が常に自由空間なみの理想的に行われガラスの厚さ方向に理想的な微細加工を実現できると云う長所もある。すなわち裏面から表面に至る微小スポットサイズの穴加工が可能である。
元来本技術は高エネルギーによる材料除去加工であるので、強化ガラスを含めたガラス全般に対して適用可能であると云う長所があった。また微小であるにせよ切り代があるので、中抜き加工も可能である。また全板厚加工を行うフルカットにすれば後工程が不要であるので曲線加工も可能であるなどの長所を有する。こうした期待に基づく研究がここ数年間続けられた。
しかしながらレ−ザによる材料除去加工は微小切り代であってもガラス除去量が割断加工に比較して桁違いに大きいので、同一の投入レーザエネルギー比では加工速度が大幅に低く産業界での実用レベルには到達し得ない。そのためには再び割断技術が有する高速性に期待せざるを得ない。併せて割断の有する加工品質、高速性も実現したい。しかしここでいう割断は、以前の割断の様に材料の温度特性や機械特性の制約を受けないものである必要がある。
こうした課題は次に述べる方法によって解決できる。携帯情報機器に使用されている強化ガラスは板厚1mm以下のもので、表裏面に深さが30〜70μmの化学強化層を有し同層の中には強い圧縮応力がありその他の領域には引っ張り応力がある。従来の熱応力割断ではガラス表面にCO2レーザビームを照射して加熱したり冷却水を噴霧して冷却を行い、こうして作った温度非均一性によって生ずる引っ張り応力によって表面割断を実現した。しかしながら表面に強度の圧縮応力層がある強化ガラスの場合には、表面に上記した方法で引っ張り応力を発生させようとしても同応力はガラスに内在する圧縮応力と打ち消し合ってしまい十分に大きな値にならない。それ故強化ガラスには従来の熱応力割断は実現できない。本発明では熱応力を加工の原動力にせず強化層中に存在する機械応力で割断を行う。この時所望の位置で容易に割断を実現するためには、次に挙げる諸条件を併用することが必要である。
加工時間の大半を占める主工程にこうした機械応力割断を充て、同割断発生のために必要な従工程にナノ秒やピコ秒パルスレーザを用いた非線形加工を用いるのである。本発明はこれら二種類のレーザのうち何れか一方のものを用いて可能であるが、以下の技術説明では簡単のためにピコ秒パルスレーザで代表させる。条件の第一は割断位置の特定である。第二は割断のための加工閾値の低減である。第三は応力拡大現象の活用である。これらの条件が備わるときにガラス板に機械応力による割断が発生し、応力割断の長所である加工速度の向上、加工品質の向上などが従来の熱応力割断技術では加工困難であった強化層のあるガラス板に於いても可能となるのである。
以上説明したように本発明によれば、従来の熱応力割断が実現困難であった現在流行の表面を化学強化した携帯情報機器用基板ガラスの加工が、強化層に内在する機械応力に基づく応力割断によって実現出来る。その場合熱応力割断を特徴づけた高品質性、高速加工性が利用できる。また熱応力割断の様な材料の温度特性や機械特性への依存も顕著ではない。割断後の後処理の必要性やツールの消耗もなく、産業上の利得は計り知れないものがある。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。従来技術である熱応力割断の物理原理ならびに応用指針は、発明者らによる2編の非特許文献に紹介してある。
図2に化学強化したガラス板の残留応力の大きさ(縦軸)をガラス面からの深さ(横軸)の関数として示す。縦軸でゼロレベルを境にして上側は圧縮応力、下側は引っ張り応力の領域を示す。残留応力が圧縮応力である斜線部が強化層である。この強化層内部ではガラスは膨張する方向に内部応力が働いているが、一般的には同値が割断破壊閾値より小さいので割断は発生しない。
図3に、本発明におけるピコ秒パルスレーザビームによる非熱加工である非線形現象を用いた加工の原理図を示す。ガラス板7の表裏面には強化層9,10が存在する。レーザビーム5は自由空間やガラス内部では透過する波長に選ばれており(1064nm,532nm)その伝搬ならびに結像特性は自由空間並みに理想的であり、光学顕微鏡レベルの小さな焦点スポット6が得られている。その近傍ではレーザビ−ムのエネルギー密度が増大し、ガラスはレーザビームに対する透明性を失ってパルス幅によって電界強度や多光子吸収の別が発生し、右側図に示すような非熱加工を生じ円筒形の中空領域11が生じる。そのためには加工閾値フルーエンスをJ、集光スポット面積をSとするとレーザのパルス出力をJS以上に選択すればよい。この加工閾値フルーエンスは波長1064nm、532nmのそれぞれの場合10J,5J程度であり所要のレーザパルスエネルギーとして100μJ、50μJあればよくそうしたレーザは市販されている。パルスエネルギーが小さいほど集光スポットを小さくしなければならない。
通常この中空領域は、ガラス裏面から始まって高さを強化層より大きく選択する。これはレーザビームの焦点深度(集光光学素子の仕様による)と焦点位置(集光光学系の高精度位置制御による)を調節する事で可能である。強化層の深さを50μmとすると焦点位置、従ってガラスに対する集光系の位置精度はその10%の±5μmである必要がありこの程度の機構仕様は入手可能である。
ピコ秒レーザはパルスレーザであるので、同レーザビームを走査する時この中空穴は図4に示すように離反した列を作る。こうした中空穴の中心を結んだ面上で面に垂直な方向の割断破壊閾値はそれ以外の位置におけるよりも低い値になるであろう。極端な場合中空穴が連続すれば(直径が中心間距離より大きければ)破壊閾値はゼロになる。この場合には全加工は除去加工であり割断加工はゼロになるので加工速度は除去加工と同一で低い値になる。割断面から垂直方向にずれた位置の除去は閾値低減に寄与しないので、閾値を低くするためには穴の直径は小さい方がよい。この値を1μm以下にするには光学顕微鏡の光学系を使用すればよい。また円形焦点の代わりにビーム走査方向に長い長円か矩形焦点を用いてもよい。その場合は光学系に回折光学素子と集光系の組合せを用いればよい。レーザビームの走査速度を500mm/s、パルス繰り返し数を250kHzとすると穴列のピッチは2μmになる。孔直径が1μmであれば穴の存在占有率は50%になる。同値を制御するにはパルス繰り返し数を変えるか集光スポットを変えればよい。パルス幅を10ピコ秒にとればこの間のレーザビームの移動は無視することができる。
これらの中空穴列は強化層内部の割断面位置を特定するためにも必要である。これがなければ、もし割断が発生するとしてもその位置は制御できず、加工ではなく破壊になるだけである。
図4に示すようにガラスの端面12から同面の垂直方向に割断が進行する場合には最初の中空穴111が割断の初亀裂として動作する。応力は亀裂先端で著しく応力拡大をするので、割断が初期裂から連続して進行する場合には容易に割断閾値を超えて割断が発生する。この割断は中空穴が存在する限り進行し、条件を選べば同穴列の終点で停止する。
次にガラス板に対しレーザビームの焦点位置を上に挙げてガラス板厚の中央部分に制御し、前記と同様の加工を繰り返し、131,132,133、等の中空穴列を作成する。それが終了したら焦点位置を更に表面近傍に挙げて141,142,143等の中空穴列の加工を行う。この様子を図5に示す。レーザビームの進行方向に対しては前記同様割断が進行し連続断面が形成される。ところがそれだけで終わらず穴列11系列、13系列、14系列はガラス板の厚み方向にも割断が進行し、割断面はレーザビームの進行方向のみならずガラス板の厚み方向にも進行し、連続した単一の割断面になるのである。この場合先に発生した割断面が続く厚さ方向の割断に対する初期裂として働く。勿論ガラス板厚方向には3か所以上のレーザ非線形加工を行ってもよい。また割断進行に有効な初期裂を別に用意してもよい。図4および図5にはこの意味の初期裂15を示した。これはガラス板端面だけでなく裏面の16、表面の17等を設ければよい。亀裂は機械的方法のみならずレーザビーム照射によって準備することができる。
割断機構は、レーザビーム進行方向とガラス板厚方向では異なることに注意すべきである。後者は従来の熱応力割断の場合と同じく引っ張り応力(機械応力)領域内部の割断であって、強化層である圧縮応力層に挟まれた引っ張り応力に起因するものである。この引っ張り応力が材料破壊閾値より大きければ初期裂から出発し応力拡大に助けられて容易に割断が進行する。同割断は実験的に前者に比較して容易であった。同領域での割断は裏面、表面の割断が実現しておればそれらも初期裂として働くので何ら問題なく発生するものである。
前者は圧縮層内部の割断であるので通常の割断とは異なる機構のものである。圧縮応力内では通常割断は起きないと想像されるがそれは間違いである。1枚のガラス板で線状加熱を行うとこの加熱領域の中央部分で割断が発生する事は容易に観察できる。この加熱領域は圧縮応力領域であるのに割断が発生するのである。実は加熱領域は線方向に膨張し非膨張の周囲に対してバイメタル効果を生じて、その結果発生する直交方向の応力で割断するのである。この様に圧縮応力による膨張の結果でも周囲との力関係によって割断が発生するのである。
以上の機構によって、図5右端図に示す単一の機械応力割断面18がガラス板表裏面に存在する圧縮応力10および9の存在に起因し、ピコ秒パルスレーザ照射による非線形効果に助けられて発生するのである。同現象は、加工品質と加工速度において従来型の熱応力割断に準ずる特性を持ち、従来の熱応力割断が不得意とする強化ガラスにおいても問題なく活用する事が出来る。
むしろこれまでの説明からも理解できるように本技術は強化層が深ければ深いほど、同強度が強ければ強いほど、割断が安定かつ容易に実現出来るのである。
以上の説明は便宜上加工軌跡が直線の場合で行ったが、本発明の技術は曲線軌跡や閉曲線加工にも適用でき、後者の場合中抜き加工をすることも出来る。従来型の熱応力割断は基本的に切り代がゼロであるので中抜きには特殊な技術が必要であったが、切り代が厳密にはゼロでない本発明技術では同加工はそれに比較して容易である。
図6にスマートフォンなどの携帯端末用ガラス基板形状の一例を示す。外形はデザイン重視とスマートフォンを手中に握る時の握り感覚によっても決められ、とくにスマートフォンが女性や子供に多く用いられることを考慮して決定しなければならない。これらの要求を考慮すると図6に示すガラス基板19の寸法としては、基板の板厚は0.2〜1.0mm程度であり、大きさは長辺が100mm以下、横幅が50mm以下であり、その外形形状は図6の20に示すように自由曲線に加工する必要がある。さらに図6に示すようにスマートフォンのガラス基板19にはスピーカ/マイクロフォンや基板の組み立て用等の目的のために大小の中抜き貫通穴21、22や両端が半円形のスリット23を加工する必要がある。これらの貫通穴やスリットは装置の機能によって決められるものである。本発明技術は従来の熱応力割断と異なってこれらの形状加工が可能である。
本発明の実施形態によれば、次のような効果を実現できる。
1)従来技術の熱応力割断は完璧な加工品質を有する。本発明技術はそれに準ずる加工品質を提供する。
2)加工速度においてもピコ秒パルスレーザの非線形効果を用いた材料除去加工の場合を大幅に凌駕し、スマートフォンの量産技術として十分に使用出来る。
3)熱応力割断と異なり加工条件が材料の熱特性や機械特性に依存しない。従って被加工素材の種類の変更や材料特性の変更を加工条件の大幅な変更なしに行うことが出来る。スマートフォンで使用されている強化ガラスの加工も出来る。むしろ強化深さが深いほど、強化度が大きければ大きい程加工が容易になる。
4)脆性材料の外周加工だけでなく中抜き加工が可能である。
5)切断後の研磨、洗浄などの後工程が不要である。
6)切断面近傍におけるマイクロクラック発生が少なくワークの材料強度が高い値になる。
7)切断位置精度が高い。
8)切断面がガラス表面に対して十分に垂直である。
9)切断面の目粗さが良好である。
10)レーザは非接触加工でありツール摩耗がない。
11)レーザ加工は複雑形状加工も可能であるので大盤ガラス板からの直接製品加工ができる。
12)レーザは非接触エネルギー加工であり、ガラス以外の材料に適用できる。
1)従来技術の熱応力割断は完璧な加工品質を有する。本発明技術はそれに準ずる加工品質を提供する。
2)加工速度においてもピコ秒パルスレーザの非線形効果を用いた材料除去加工の場合を大幅に凌駕し、スマートフォンの量産技術として十分に使用出来る。
3)熱応力割断と異なり加工条件が材料の熱特性や機械特性に依存しない。従って被加工素材の種類の変更や材料特性の変更を加工条件の大幅な変更なしに行うことが出来る。スマートフォンで使用されている強化ガラスの加工も出来る。むしろ強化深さが深いほど、強化度が大きければ大きい程加工が容易になる。
4)脆性材料の外周加工だけでなく中抜き加工が可能である。
5)切断後の研磨、洗浄などの後工程が不要である。
6)切断面近傍におけるマイクロクラック発生が少なくワークの材料強度が高い値になる。
7)切断位置精度が高い。
8)切断面がガラス表面に対して十分に垂直である。
9)切断面の目粗さが良好である。
10)レーザは非接触加工でありツール摩耗がない。
11)レーザ加工は複雑形状加工も可能であるので大盤ガラス板からの直接製品加工ができる。
12)レーザは非接触エネルギー加工であり、ガラス以外の材料に適用できる。
次に、本発明の実施例について説明する。
以上の条件を実現するための実施例について説明する。本発明によるガラス切断を図1に模式的に示す装置を用いて実行することができる。レーザ発振器1にはYAGレーザ基本波あるいは2倍波のナノ秒パルスレーザあるいはピコ秒パルスレーザを使用する。このレーザの本発明技術に関連した仕様は[0019][0021]に説明を行った。本発明に必要な発振器およびレーザビーム特性の制御は、図には省略したレーザ制御装置による。
発振器からのレーザビーム2は反射鏡3によって集光およびレーザビーム成型用光学系4に導かれる。それからの出射光5は[0021]に述べられた仕様のものになっている。光学系4は光学顕微鏡級の集光系と場合によってはビーム断面形状を変更する回折格子光学素子系の組合せになっている。
レーザビーム5は自由空間と透明体であるガラス板6内部を自由空間内部同様に伝搬、結像され所定の位置に焦点6を結ぶ。焦点近傍で初めて高いレーザエネルギー密度による非線形現象の結果[0019][0021]に説明した材料加工が発生する。その場所は所定の場所でなければならず、そのためにガラス板を搭載する加工テーブル8が所定の速度、精度でガラス面内のX,Y方向および同面に垂直方向のZ方向の移動をする。以上は静止光学系に対する加工テーブルの動作がある場合の説明であったが、ここで必要なのはガラス板に対する焦点位置の相対的な動きであるので静止ガラス板に対するスキャナーなどの移動光学系を用いてもよい。
これらのガラス板とレーザビーム焦点の相互移動とビーム制御が実現した時に、[発明を実施するための最良の形態]に述べた割断が実現するのである。レーザビーム走査速度を500mm/s、スポット直径を1μm、加工対象を図6に示す厚さ1mmの強化ガラス板に選び、加工性能と同品質を評価すると次のようになる。切断全長は500mm以下であるので、直接の加工時間は3回のレーザ加工と応力割断に対して最大3秒である。実際はこれにマテハンなどのシステム時間が加わる。加工品質は、切断面の約70%は純割断であって理想的である。その他の30%は割断面に直径約10μmの条痕が残る。この程度であれば研磨などの後工程は不要である。以上の加工時間および加工品質は、携帯情報機器用ガラス加工に許容されるものである。なお閉曲線の中抜きについては、割断面に若干のテ−パをつけるか穴部のガラス表面への加圧によって実行できる。
以上説明したのは本発明の機能を実現するための代表的な実施例であって、本発明の精神はその他の多くの方法で実現可能であることは言を俟たない。
本発明のピコ秒パルスレーザなどによる非線形ガラス加工技術に誘起された強化ガラス板の機械応力割断技術がスマートフォンやタブレット等の携帯端末用強化ガラス基板の切断加工用手段として導入されれば、加工速度、加工品質、経済性などの向上、さらに従来技術の弱点克服において、その効果ははかり知れないものになる。これらの加工が現在はダイアモンドカッターなどの機械方法で行われており、カレット発生のための切断後の洗浄工程の必要性や、マイクロクラックの存在による材料強度低下などの問題を呈している。本発明による広義の機械応力割断技術の高度化によって、こうした問題を一掃することができる。
1 レーザ発振器
2 射出レーザビーム
3 反射鏡
4 集光および/あるいはビーム成型用光学系
5 集光および/あるいはビーム成型されたレーザビーム
6 レーザビーム焦点
7 ガラス板
8 加工テーブル
9 強化層(裏面)
10 強化層(表面)
11 非線形効果で生成される中空穴
111 裏面の中空穴列の一つ
112 同
113 同
114 同
−−−−−−−
12 ガラス端面
131 中段の中空穴列の一つ
132 同
133 同
134 同
−−−−−−−
141 表面の中空穴列の一つ
142 同
143 同
144 同
−−−−−−−
15 ガラス端面の初期裂
16 裏面の初期裂
17 表面の初期裂
18 単一割断面
19 携帯端末用ガラス基板
20 同外周
21 同穴大
22 同穴小
23 同スリット
2 射出レーザビーム
3 反射鏡
4 集光および/あるいはビーム成型用光学系
5 集光および/あるいはビーム成型されたレーザビーム
6 レーザビーム焦点
7 ガラス板
8 加工テーブル
9 強化層(裏面)
10 強化層(表面)
11 非線形効果で生成される中空穴
111 裏面の中空穴列の一つ
112 同
113 同
114 同
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12 ガラス端面
131 中段の中空穴列の一つ
132 同
133 同
134 同
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141 表面の中空穴列の一つ
142 同
143 同
144 同
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15 ガラス端面の初期裂
16 裏面の初期裂
17 表面の初期裂
18 単一割断面
19 携帯端末用ガラス基板
20 同外周
21 同穴大
22 同穴小
23 同スリット
Claims (8)
- 板の表裏面に強化層のある強化脆性材料において、強化層内に内在する圧縮機械応力の解放に基づく割断を、パルスレーザビームの焦点近傍に発生する非線形現象による穴列形成によって割断面位置の特定および割断閾値の低減を図るレーザ加工方法において、レーザビーム焦点走査を最初に板裏面近傍で実行し順次表面近傍に接近をはかりながら複数層において行い、割断をレーザビーム走査方向と板厚方向を含む割断面に拡大することを特徴とするもの。
- 請求項1においてレーザビームの焦点における断面形状をビーム進行方向に長大にしたもの。
- 請求項1において板端面、同表面、あるいは同裏面の何れかにおいて割断予定位置に初期裂があるもの。
- 請求項1において閉曲線割断の場合同面がテーパつきであるもの。
- 板の表裏面に強化層のある強化脆性材料において、強化層内に内在する圧縮機械応力の解放に基づく割断を、パルスレーザビームの焦点近傍に発生する非線形現象による穴列形成によって割断面位置の特定および割断閾値の低減を図るレーザ加工装置において、レーザビーム焦点走査を最初に板裏面近傍で実行し順次表面近傍に接近をはかりながら複数層において行い、割断をレーザビーム走査方向と板厚方向を含む割断面に拡大することを特徴とするもの。
- 請求項5においてレーザビームの焦点における断面形状をビーム進行方向に長大にしたもの。
- 請求項5において板端面、同表面、あるいは同裏面の何れかにおいて割断予定位置に初期裂があるもの。
- 請求項5において閉曲線割断の場合同面がテーパつきであるもの。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016194032A1 (ja) * | 2015-05-29 | 2016-12-08 | 株式会社日立製作所 | 光学デバイス、光学デバイス製造方法 |
CN106808086A (zh) * | 2015-11-27 | 2017-06-09 | 南京魔迪多维数码科技有限公司 | 多轴运动激光系统中的三维脆硬材料定位方法和加工系统 |
CN107552979A (zh) * | 2017-10-30 | 2018-01-09 | 扬中市惠丰包装有限公司 | 一种可手持式激光切割装置 |
-
2013
- 2013-05-13 JP JP2013113461A patent/JP2014221491A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2016194032A1 (ja) * | 2015-05-29 | 2016-12-08 | 株式会社日立製作所 | 光学デバイス、光学デバイス製造方法 |
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