JP2014218550A - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形時のフィルター背圧上昇が少なく、乾燥時や成形する際の熱安定性に良好で、ゲル状物などの異物成形体の外観異常及び、透明性の悪化等の発生が少なく、成形時の生産性に優れたポリアミド樹脂組成物およびそれを利用した成形体を提供すること。【解決手段】特定式のキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、特定式の直鎖脂肪族ジカルボン酸単位及び/又は特定式の芳香族ジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位を含有するポリアミドに、下記一般式(III)で表わされるリン系化合物を添加したポリアミド樹脂組成物。前記ポリアミドの分子量分布(Mw/Mn)が1.6〜4.0であり、前記リン系化合物(X)の添加量が、ポリアミドに対して50〜2000ppmであるポリアミド樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、成形安定性に優れたポリアミド樹脂組成物、及び当該樹脂組成物を利用してなる成形体に関する。
ポリアミドは物理的、機械的特性に優れていることから中空成形容器、フィルム、シート包装材料、エンジニアリングプラスチックス、繊維などの用途に幅広く使用されている。代表例なポリアミドとしては、ナイロン6 、ナイロン66などの脂肪族ポリアミドが挙げられる。また脂肪族ポリアミド以外のポリアミドとして、ジアミン構成単位がパラキシリレンジアミン(PXDA)やメタキシリレンジアミン(MXDA)などの芳香族ジアミンに由来するポリアミドや、ジカルボン酸構成単位がテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に由来するポリアミドが知られている。これらのいわゆる半芳香族ポリアミドは脂肪族ポリアミドの持つ優れた物性に加えて、低吸水性や高弾性率など優れた物性を示す。
しかし、一般的にポリアミドは、ポリエステル等よりも熱に対して比較的不安定であり、酸素の存在しない系の熱劣化や酸素の存在する系での熱酸化劣化によりゲル化や黄変等を起こすことがある。ポリアミドの酸素の存在しない系の熱劣化を抑える方法として、ポリアミド中にホスホン酸化合物もしくは亜リン酸化合物およびアルカリ金属を添加する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、ポリアミドの熱劣化を抑える方法として、ポリアミド中に(a)ホスフィン酸化合物、亜ホスホン酸化合物、ホスホン酸化合物又は亜リン酸化合物と、(b)アルカリ金属と、(c)フェニレンジアミン及び/ 又はその誘導体とを配合する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
ポリアミドの融点以下の温度で、かつ酸素の存在しない系での熱劣化を防止する方法として、ピロ亜燐酸塩、有機ホスフィン酸のアミド化合物、亜リン酸のモノもしくはジエステルのバリウム塩、オルトリン酸のモノもしくはジエステルの銅塩などを添加する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、特許文献4には、メタキシリレンジアミンとアジピン酸からなるポリアミドのゲル化物の発生防止対策として滑剤、有機リン系安定剤、ヒンダードフェノール類化合物、ヒンダードアミン類化合物から選ばれた少なくとも1種類以上を0.0005〜0.5重量部添加する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
また、特許文献4には、メタキシリレンジアミンとアジピン酸からなるポリアミドのゲル化物の発生防止対策として滑剤、有機リン系安定剤、ヒンダードフェノール類化合物、ヒンダードアミン類化合物から選ばれた少なくとも1種類以上を0.0005〜0.5重量部添加する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特許文献5にはテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンとからなるポリアミドを次亜リン酸塩の存在下に重合する方法することでポリアミドの重合度を向上させつつ、さらに色調に優れるポリアミドを得る方法が開示されている。特許文献6には、アジピン酸、テレフタル酸およびイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンを次亜リン酸塩の存在下に重合する方法が開示されている。
しかしながら、これらの技術は、ポリアミドのゲル化の防止には効果があるものの、満足の行くものではなく、特に成形時のフィルター背圧上昇に影響する詰まり物の減少は何ら解決されていない。さらに乾燥条件、成形時の温度、溶融時間などの成形条件によっては着色やゲル化の発生およびこれに起因する異物の発生、成形体の外観異常、あるいは透明性悪化が生じ、解決が望まれている。
そこで本発明は、成形時のフィルター背圧上昇、熱分解による異物やゲル状物等の異物発生を抑制することで成形安定性に優れたポリアミド樹脂組成物、及びポリアミド樹脂組成物からなる成形体を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、下記一般式(I)で表される芳香族ジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、下記一般式(II−1)で表される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位及び/又は下記一般式(II−2)で表わされる芳香族ジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位とを含有するポリアミドに、下記一般式(III)で表わされるリン系化合物(X)を添加したポリアミド樹脂組成物。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミドに特定のリン系化合物(X)を添加することにより重合速度が向上して重合時間が短くなることにより、その後の成形時のフィルター背圧上昇や異物発生が抑制されるため、生産性に優れる。また、乾燥時や成形時の熱安定性および熱酸化安定性が良好であるため、色調に優れており、かつ成形工程で着色し難く、さらにゲル状物などの異物の発生が少ないため、外観に優れ、フィルム、シ−トなどの成形体、飲料用ボトルをはじめとする中空成形容器、エンジニアリングプラスチックス材などの素材として好適に用いられる。
<ポリアミド樹脂組成物>
本発明のポリアミド樹脂組成物はポリアミドおよびリン系化合物(X)を含有する。
本発明のポリアミド樹脂組成物はポリアミドおよびリン系化合物(X)を含有する。
<ポリアミド>
本発明のポリアミド樹脂組成物を構成するポリアミドは、下記一般式(I−1)で表される芳香族ジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、下記一般式(II−1)で表される芳香族ジカルボン酸単位及び/又は下記一般式(II−2)で表わされる直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位とを含有するポリアミドである。
本発明のポリアミド樹脂組成物を構成するポリアミドは、下記一般式(I−1)で表される芳香族ジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、下記一般式(II−1)で表される芳香族ジカルボン酸単位及び/又は下記一般式(II−2)で表わされる直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位とを含有するポリアミドである。
本発明のポリアミドにおいて、ジアミン単位の含有量は25〜50モル%であり、ポリマー性状の観点から、好ましくは30〜50モル%である。同様に、本発明のポリアミドにおいて、ジカルボン酸単位の含有量は25〜50モル%であり、好ましくは30〜50モル%である。
ジアミン単位とジカルボン酸単位との含有量の割合は、重合反応の観点から、ほぼ同量であることが好ましく、ジカルボン酸単位の含有量がジアミン単位の含有量の±2モル%であることがより好ましい。ジカルボン酸単位の含有量がジアミン単位の含有量の±2モル%の範囲を超えると、ポリアミドの重合度が上がりにくくなるため重合度を上げるのに多くの時間を要し、熱劣化が生じやすくなる。
ジアミン単位とジカルボン酸単位との含有量の割合は、重合反応の観点から、ほぼ同量であることが好ましく、ジカルボン酸単位の含有量がジアミン単位の含有量の±2モル%であることがより好ましい。ジカルボン酸単位の含有量がジアミン単位の含有量の±2モル%の範囲を超えると、ポリアミドの重合度が上がりにくくなるため重合度を上げるのに多くの時間を要し、熱劣化が生じやすくなる。
[ジアミン単位]
本発明のポリアミド中のジアミン単位は、ポリアミドに優れたガスバリア性を付与することに加え、透明性や色調の向上や、成形性を容易にする観点から、前記一般式(I)で表される芳香族ジアミン単位をジアミン単位中に50モル%以上含み、当該含有量は、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であり、また、好ましくは100モル%以下である。
本発明のポリアミド中のジアミン単位は、ポリアミドに優れたガスバリア性を付与することに加え、透明性や色調の向上や、成形性を容易にする観点から、前記一般式(I)で表される芳香族ジアミン単位をジアミン単位中に50モル%以上含み、当該含有量は、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であり、また、好ましくは100モル%以下である。
前記一般式(I)で表される芳香族ジアミン単位を構成しうる化合物としては、オルトキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミン、及びパラキシリレンジアミンが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記式(I)で表される芳香族ジアミン単位以外のジアミン単位を構成しうる化合物としては、パラフェニレンジアミン等の芳香族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環族ジアミン;テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン等の脂肪族ジアミンを例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[ジカルボン酸単位]
本発明のポリアミド中のジカルボン酸単位は、重合時の反応性、並びにポリアミドの結晶性及び成形性の観点から、前記一般式(II−1)で表される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位及び/又は前記一般式(II−2)で表される芳香族ジカルボン酸単位を、ジカルボン酸単位中に合計で50モル%以上含み、当該含有量は、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であり、また、好ましくは100モル%以下である。
[直鎖脂肪族ジカルボン酸単位]
本発明のポリアミドは、ポリアミドに適度なガラス転移温度や結晶性を付与することに加え、包装材料や包装容器として必要な柔軟性を付与する目的の場合、前記一般式(II−1)で表される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を含むことが好ましい。
前記一般式(II−1)中、nは2〜18の整数を表し、好ましくは3〜16、より好ましくは4〜12、更に好ましくは4〜8である。
前記一般式(II−1)で表される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を構成しうる化合物としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸等を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のポリアミド中のジカルボン酸単位は、重合時の反応性、並びにポリアミドの結晶性及び成形性の観点から、前記一般式(II−1)で表される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位及び/又は前記一般式(II−2)で表される芳香族ジカルボン酸単位を、ジカルボン酸単位中に合計で50モル%以上含み、当該含有量は、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であり、また、好ましくは100モル%以下である。
[直鎖脂肪族ジカルボン酸単位]
本発明のポリアミドは、ポリアミドに適度なガラス転移温度や結晶性を付与することに加え、包装材料や包装容器として必要な柔軟性を付与する目的の場合、前記一般式(II−1)で表される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を含むことが好ましい。
前記一般式(II−1)中、nは2〜18の整数を表し、好ましくは3〜16、より好ましくは4〜12、更に好ましくは4〜8である。
前記一般式(II−1)で表される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を構成しうる化合物としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸等を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記一般式(II−1)で表される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位の種類は用途に応じて適宜決定される。本発明のポリアミド中の直鎖脂肪族ジカルボン酸単位は、ポリアミドに優れたガスバリア性を付与することに加え、成形加工性の観点から、アジピン酸単位、セバシン酸単位、及び1,12−ドデカンジカルボン酸単位からなる群から選ばれる少なくとも1つを、直鎖脂肪族ジカルボン酸単位中に合計で50モル%以上含むことが好ましく、当該含有量は、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上であり、また、好ましくは100モル%以下である。
本発明のポリアミドの直鎖脂肪族ジカルボン酸単位は、ポリアミドのガスバリア性及び適切なガラス転移温度や融点等の熱的性質の観点からは、アジピン酸単位を直鎖脂肪族ジカルボン酸単位中に50モル%以上含むことが好ましい。また、本発明のポリアミド中の直鎖脂肪族ジカルボン酸単位は、ポリアミドに適度なガスバリア性及び成形加工適性を付与する観点からは、セバシン酸単位を直鎖脂肪族ジカルボン酸単位中に50モル%以上含むことが好ましく、ポリアミドが低吸水性、耐候性、耐熱性を要求される用途に用いられる場合は、1,12−ドデカンジカルボン酸単位を直鎖脂肪族ジカルボン酸単位中に50モル%以上含むことが好ましい。
[芳香族ジカルボン酸単位]
本発明のポリアミドは、ポリアミドに更なるガスバリア性を付与することに加え、包装材料や包装容器の成形加工性を容易にする目的の場合、前記一般式(II−2)で表される芳香族ジカルボン酸単位を含むことが好ましい。
前記一般式(II−2)中、Arはアリーレン基を表す。前記アリーレン基は、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜15のアリーレン基であり、例えば、フェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
前記一般式(II−2)で表される芳香族ジカルボン酸単位を構成しうる化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のポリアミドは、ポリアミドに更なるガスバリア性を付与することに加え、包装材料や包装容器の成形加工性を容易にする目的の場合、前記一般式(II−2)で表される芳香族ジカルボン酸単位を含むことが好ましい。
前記一般式(II−2)中、Arはアリーレン基を表す。前記アリーレン基は、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜15のアリーレン基であり、例えば、フェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
前記一般式(II−2)で表される芳香族ジカルボン酸単位を構成しうる化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記一般式(II−2)で表される芳香族ジカルボン酸単位の種類は用途に応じて適宜決定される。本発明のポリアミド中の芳香族ジカルボン酸単位は、イソフタル酸単位、テレフタル酸単位、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸単位からなる群から選ばれる少なくとも1つを、芳香族ジカルボン酸単位中に合計で50モル%以上含むことが好ましく、当該含有量は、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上であり、また、好ましくは100モル%以下である。また、これらの中でもイソフタル酸及び/又はテレフタル酸を芳香族ジカルボン酸単位中に含むことが好ましい。イソフタル酸単位とテレフタル酸単位との含有比(イソフタル酸単位/テレフタル酸単位)は、特に制限はなく、用途に応じて適宜決定される。例えば、適度なガラス転移温度や結晶性を下げる観点からは、両単位の合計を100としたとき好ましくは0/100〜100/0、より好ましくは0/100〜60/40、更に好ましくは0/100〜40/60、更に好ましくは0/100〜30/70である。
本発明のポリアミドのジカルボン酸単位において、前記直鎖脂肪族ジカルボン酸単位と前記芳香族ジカルボン酸単位との含有比(直鎖脂肪族ジカルボン酸単位/芳香族ジカルボン酸単位)は、特に制限はなく、用途に応じて適宜決定される。例えば、ポリアミドのガラス転移温度を上げて、ポリアミドの結晶性を低下させることを目的とした場合、直鎖脂肪族ジカルボン酸単位/芳香族ジカルボン酸単位は、両単位の合計を100としたとき好ましくは0/100〜60/40、より好ましくは0/100〜40/60、更に好ましくは0/100〜30/70である。また、ポリアミドのガラス転移温度を下げてポリアミドに柔軟性を付与することを目的とした場合、直鎖脂肪族ジカルボン酸単位/芳香族ジカルボン酸単位は、両単位の合計を100としたとき好ましくは40/60〜100/0、より好ましくは60/40〜100/0、更に好ましくは70/30〜100/0である。
前記一般式(II−1)又は(II−2)で表されるジカルボン酸単位以外のジカルボン酸単位を構成しうる化合物としては、シュウ酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸、1,3−ベンゼン二酢酸、1,4−ベンゼン二酢酸等のジカルボン酸を例示できるが、これらに限定されるものではない。
[3級水素含有カルボン酸単位]
本発明のポリアミド樹脂組成物に酸素吸収機能を付与する場合、ポリアミドに次の3級水素含有カルボン酸単位を共重合してもよい。3級水素含有カルボン酸単位は、ポリアミドの重合の観点から、アミノ基及びカルボキシル基を少なくとも1つずつ有するか、又はカルボキシル基を2つ以上有する。具体例としては、下記一般式(IV)で表される構成単位が挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂組成物に酸素吸収機能を付与する場合、ポリアミドに次の3級水素含有カルボン酸単位を共重合してもよい。3級水素含有カルボン酸単位は、ポリアミドの重合の観点から、アミノ基及びカルボキシル基を少なくとも1つずつ有するか、又はカルボキシル基を2つ以上有する。具体例としては、下記一般式(IV)で表される構成単位が挙げられる。
[前記一般式(IV)中、Rは炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数6〜10のアリール基を表す。]
前記一般式(IV)中における好ましいRの具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、メルカプトメチル基、メチルスルファニルエチル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、4−ヒドロキシベンジル基等を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、メチル基、エチル基、2−メチルプロピル基、及びベンジル基がより好ましい。
前記一般式(IV)で表される構成単位を構成しうる化合物としては、アラニン、2−アミノ酪酸、バリン、ノルバリン、ロイシン、ノルロイシン、tert−ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、2−フェニルグリシン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、プロリン等のα−アミノ酸を例示できる。なかでも供給しやすさ、安価な価格、重合しやすさ、ポリマーの黄色度(YI)の低さといった点から、アラニンが最も好ましい。
<ポリアミド樹脂組成物の重合度>
本発明のポリアミド樹脂組成物の好ましい相対粘度は、好ましくは1.8〜4.2である。相対粘度は、成形品の外観や成形加工性の観点から、好ましくは1.8〜4.2、より好ましくは2.0〜4.0、更に好ましくは2.2〜3.8である。
なおここでいう相対粘度は、ポリアミド樹脂組成物0.2gを96%硫酸20mLに溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計にて25℃で測定した落下時間(t)と、同様に測定した96%硫酸そのものの落下時間(t0)の比であり、次式で示される。
相対粘度=t/t0
本発明のポリアミド樹脂組成物の好ましい相対粘度は、好ましくは1.8〜4.2である。相対粘度は、成形品の外観や成形加工性の観点から、好ましくは1.8〜4.2、より好ましくは2.0〜4.0、更に好ましくは2.2〜3.8である。
なおここでいう相対粘度は、ポリアミド樹脂組成物0.2gを96%硫酸20mLに溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計にて25℃で測定した落下時間(t)と、同様に測定した96%硫酸そのものの落下時間(t0)の比であり、次式で示される。
相対粘度=t/t0
<リン系化合物(X)>
本発明のポリアミド樹脂組成物は、リン系化合物(X)を含む。本発明に用いられるリン系化合物(X)としては、前記一般式(III)で表わされるフェノール系のリン酸カルシウム化合物を用いることが好ましい。従来よりポリアミドを重縮合する際に、次亜リン酸ナトリウムや次亜リン酸カルシウムなどのリン系化合物がポリアミドの重縮合触媒として用いられてきた。しかし本発明において、従来のリン系化合物に加えて、上記一般式(III)で表わされる特定のリン系化合物(X)を重合系内に添加することにより、従来のリン系化合物よりも重合速度を向上させることができる。さらに下記一般式(III)で表わされるリン系化合物(X)を重合系内に添加することにより、その後の成形加工時に、フィルター背圧上昇や異物発生が抑制されるため、生産性を向上させることができる。
リン系化合物(X)として好適な化合物は、カルシウムビス[3,5-ジ(tert-ブチル)-4-ヒドロキシベンジル(エトキシ)ホスフィナート]が挙げられ、IRGANOX1425(商品名)としてBASF社より入手可能である。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、リン系化合物(X)を含む。本発明に用いられるリン系化合物(X)としては、前記一般式(III)で表わされるフェノール系のリン酸カルシウム化合物を用いることが好ましい。従来よりポリアミドを重縮合する際に、次亜リン酸ナトリウムや次亜リン酸カルシウムなどのリン系化合物がポリアミドの重縮合触媒として用いられてきた。しかし本発明において、従来のリン系化合物に加えて、上記一般式(III)で表わされる特定のリン系化合物(X)を重合系内に添加することにより、従来のリン系化合物よりも重合速度を向上させることができる。さらに下記一般式(III)で表わされるリン系化合物(X)を重合系内に添加することにより、その後の成形加工時に、フィルター背圧上昇や異物発生が抑制されるため、生産性を向上させることができる。
リン系化合物(X)として好適な化合物は、カルシウムビス[3,5-ジ(tert-ブチル)-4-ヒドロキシベンジル(エトキシ)ホスフィナート]が挙げられ、IRGANOX1425(商品名)としてBASF社より入手可能である。
本発明のリン系化合物(X)の添加量は、ポリアミドに対して50〜2000ppmが好ましい。またその下限値は100ppm以上が好ましく、より好ましくは200ppmであり、上限値は1500ppm以下が好ましく、より好ましくは1000ppm質量部である。リン系化合物の添加量が50ppm以上であれば、重合速度向上に効果がある。また、リン系化合物の添加量が2000ppm以下であれば、成形時のフィルター詰まりが軽減され、長時間の連続成形が可能となる。
本発明のリン酸系化合物(X)は、ポリアミドの重合触媒として従来から使用されている次亜リン酸ナトリウムや次亜リン酸カルシウムなどの触媒と併用してもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物のゲル化時間は、後述するゲル化試験により測定され、20時間以上、好ましく24は時間以上であることが好ましい。ゲル化時間が20時間未満のポリアミド樹脂組成物では、長時間の連続成形において溶融成形機内において次第にゲル化が起こり、溶融体の溶融粘度が上昇して行き、背圧上昇が非常に早くなるためフィルター交換周期が非常に短くなり、生産性および経済性の低下を来たすことになり問題である。また、このようなポリアミド樹脂組成物からの成形体は、ゲル化物による着色した異物状物を含み、また色も悪くなる。特に、延伸成形して得た延伸フィルムや二軸延伸中空成形体では、ゲル状物の存在する個所は正常に延伸されずに肉厚となって、厚みムラの原因となり、商品価値のない成形体が多く発生し、歩留まりを悪くする場合があり、最悪の場合は商品価値のない成形体しか得られないことがある。
ゲル化時間は理想的には無限大であるが、好ましくは500時間以下、さら好ましくは200時間以下、特に好ましくは100時間以下である。ゲル化時間が500時間以上のポリアミド樹脂組成物を製造しようとする際には、高度に精製した原料や、大量の劣化防止剤が必要になり経済的ではない。またその他の方法として、ポリアミド重縮合時の重合温度を低く保つ方法もあるが、重縮合に時間がかかるため生産性に問題が起こることがある。
本発明のリン系化合物(X)を添加したポリアミドは、重合速度が向上することで重合時間が短くなるため、得られるポリアミド樹脂組成物の黄色度が低くなる。好ましいポリアミド樹脂組成物の黄色度の範囲は、b値が−5以下である。b値が−5以下であれば、ポリアミド樹脂組成物からなる成形体の色相は実用上問題のないレベルにある。
<分子量分布(Mw/Mn)>
本発明のポリアミド樹脂組成物の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により実施例に記載の測定方法により求めることができる。分子量分布は、成形性や成形体の機械物性やその他の物性に影響を及ぼすため、適切な範囲である必要がある。好ましい範囲としては、1.6〜4.0、より好ましい範囲は、1.8〜3.0である。
本発明のポリアミド樹脂組成物の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により実施例に記載の測定方法により求めることができる。分子量分布は、成形性や成形体の機械物性やその他の物性に影響を及ぼすため、適切な範囲である必要がある。好ましい範囲としては、1.6〜4.0、より好ましい範囲は、1.8〜3.0である。
<ポリアミドの製造方法>
本発明のポリアミドは、前記ジアミン単位を構成しうるジアミン成分と、前記ジカルボン酸単位を構成しうるジカルボン酸成分とを重縮合させることで製造することができる。
本発明のリン系化合物(X)は、ポリアミドの重縮合反応中に添加することが好ましい。リン系化合物(X)を添加する時期としては、後述する常圧滴下法や加圧滴下法でポリアミドを製造する場合、反応容器にポリアミドの原料となるジカルボン酸成分やその他触媒を仕込むのと同時に添加する方法や、重縮合反応開始後、ジアミン成分の滴下終了後にリン系化合物(X)を添加する方法が挙げられる。リン系化合物(X)を添加する時期を上記時期とすることで、ポリアミドの重合速度を向上させることができ、その後の成形加工時の背圧上昇や異物発生を抑制することができる。
また、重縮合時に分子量調整剤として少量のモノアミンやモノカルボン酸を加えてもよい。また、重縮合反応を抑制して所望の重合度とするために、ポリアミドを構成するジアミン成分とカルボン酸成分との比率(モル比)を1からずらして調整してもよい。
本発明のポリアミドは、前記ジアミン単位を構成しうるジアミン成分と、前記ジカルボン酸単位を構成しうるジカルボン酸成分とを重縮合させることで製造することができる。
本発明のリン系化合物(X)は、ポリアミドの重縮合反応中に添加することが好ましい。リン系化合物(X)を添加する時期としては、後述する常圧滴下法や加圧滴下法でポリアミドを製造する場合、反応容器にポリアミドの原料となるジカルボン酸成分やその他触媒を仕込むのと同時に添加する方法や、重縮合反応開始後、ジアミン成分の滴下終了後にリン系化合物(X)を添加する方法が挙げられる。リン系化合物(X)を添加する時期を上記時期とすることで、ポリアミドの重合速度を向上させることができ、その後の成形加工時の背圧上昇や異物発生を抑制することができる。
また、重縮合時に分子量調整剤として少量のモノアミンやモノカルボン酸を加えてもよい。また、重縮合反応を抑制して所望の重合度とするために、ポリアミドを構成するジアミン成分とカルボン酸成分との比率(モル比)を1からずらして調整してもよい。
本発明のポリアミドの重縮合方法としては、反応押出法、加圧塩法、常圧滴下法、加圧滴下法等が挙げられるが、これらに限定されない。また、反応温度は出来る限り低い方が、ポリアミドの黄色化やゲル化を抑制でき、安定した性状のポリアミドが得られる。
本発明のポリアミドの重縮合方法としては、反応押出法、加圧塩法、常圧滴下法、加圧滴下法等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの重縮合方法の中でも、常圧滴下法、加圧滴下法が好ましい。
反応温度はポリアミドの融点以上であればよいが、出来る限り低い方が、ポリアミド(A)の黄色化やゲル化を抑制でき、安定した性状のポリアミドが得られる。具体的な反応温度としては、好ましくは180〜300℃、より好ましくは200〜270℃である。以下、本発明のポリアミドの重縮合方法として好適な常圧滴下法、及び加圧滴下法について説明する。
本発明のポリアミドの重縮合方法としては、反応押出法、加圧塩法、常圧滴下法、加圧滴下法等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの重縮合方法の中でも、常圧滴下法、加圧滴下法が好ましい。
反応温度はポリアミドの融点以上であればよいが、出来る限り低い方が、ポリアミド(A)の黄色化やゲル化を抑制でき、安定した性状のポリアミドが得られる。具体的な反応温度としては、好ましくは180〜300℃、より好ましくは200〜270℃である。以下、本発明のポリアミドの重縮合方法として好適な常圧滴下法、及び加圧滴下法について説明する。
<常圧滴下法>
常圧滴下法では、常圧下にて、ジカルボン酸成分と、その他の成分と、次亜リン酸ナトリウム及び酢酸ナトリウムとを仕込み加熱溶融した混合物に、ジアミン成分を連続的に滴下し、縮合水を除去しながら重縮合させる。なお、生成するポリアミドの融点よりも反応温度が下回らないように、反応系を昇温しながら重縮合反応を行うことが好ましい。常圧滴下法でポリアミドを製造する場合にリン系化合物(X)を添加する時期としては、反応容器にポリアミドの原料となるジカルボン酸成分やその他触媒を仕込むのと同時に添加する方法や、重縮合反応開始後、アミン成分の滴下終了後にリン系化合物(X)を添加する方法が挙げられる。
常圧滴下法は、加圧塩法と比較すると、塩を溶解するための水を使用しないため、バッチ当たりの収量が大きく、また、原料成分の気化・凝縮を必要としないため、反応速度の低下が少なく、工程時間を短縮できるため好ましい。
常圧滴下法では、常圧下にて、ジカルボン酸成分と、その他の成分と、次亜リン酸ナトリウム及び酢酸ナトリウムとを仕込み加熱溶融した混合物に、ジアミン成分を連続的に滴下し、縮合水を除去しながら重縮合させる。なお、生成するポリアミドの融点よりも反応温度が下回らないように、反応系を昇温しながら重縮合反応を行うことが好ましい。常圧滴下法でポリアミドを製造する場合にリン系化合物(X)を添加する時期としては、反応容器にポリアミドの原料となるジカルボン酸成分やその他触媒を仕込むのと同時に添加する方法や、重縮合反応開始後、アミン成分の滴下終了後にリン系化合物(X)を添加する方法が挙げられる。
常圧滴下法は、加圧塩法と比較すると、塩を溶解するための水を使用しないため、バッチ当たりの収量が大きく、また、原料成分の気化・凝縮を必要としないため、反応速度の低下が少なく、工程時間を短縮できるため好ましい。
<加圧滴下法>
加圧滴下法では、まず、重縮合缶にジカルボン酸成分と、その他の成分と、次亜リン酸ナトリウム及び酢酸ナトリウムとを仕込み、各成分を撹拌して溶融混合し混合物を調製する。次いで、缶内圧力を好ましくは0.3〜0.4MPaG程度に加圧しながら、混合物にジアミン成分を連続的に滴下し、縮合水を除去しながら重縮合させる。この際、生成するポリアミドの融点よりも反応温度が下回らないように、反応系を昇温しながら重縮合反応を行うことが好ましい。設定モル比に達したらジアミン成分の滴下を終了し、缶内を徐々に常圧に戻しながら、ポリアミドの融点+10℃程度まで昇温し、保持した後、更に、0.02MPaGまで徐々に減圧しつつ、そのままの温度で保持し、重縮合を継続することが好ましい。一定の撹拌トルクに達したら、缶内を窒素で0.3MPaG程度に加圧してポリアミド(A)を回収することができる。
加圧滴下法でポリアミドを製造する場合にリン系化合物(X)を添加する時期としては、反応容器にポリアミドの原料となるジカルボン酸成分やその他触媒を仕込むのと同時に添加する方法や、重縮合反応開始後、ジアミン成分の滴下終了後、反応容器内を常圧に戻す際にリン系化合物(X)を添加する方法が挙げられる。
加圧滴下法では、まず、重縮合缶にジカルボン酸成分と、その他の成分と、次亜リン酸ナトリウム及び酢酸ナトリウムとを仕込み、各成分を撹拌して溶融混合し混合物を調製する。次いで、缶内圧力を好ましくは0.3〜0.4MPaG程度に加圧しながら、混合物にジアミン成分を連続的に滴下し、縮合水を除去しながら重縮合させる。この際、生成するポリアミドの融点よりも反応温度が下回らないように、反応系を昇温しながら重縮合反応を行うことが好ましい。設定モル比に達したらジアミン成分の滴下を終了し、缶内を徐々に常圧に戻しながら、ポリアミドの融点+10℃程度まで昇温し、保持した後、更に、0.02MPaGまで徐々に減圧しつつ、そのままの温度で保持し、重縮合を継続することが好ましい。一定の撹拌トルクに達したら、缶内を窒素で0.3MPaG程度に加圧してポリアミド(A)を回収することができる。
加圧滴下法でポリアミドを製造する場合にリン系化合物(X)を添加する時期としては、反応容器にポリアミドの原料となるジカルボン酸成分やその他触媒を仕込むのと同時に添加する方法や、重縮合反応開始後、ジアミン成分の滴下終了後、反応容器内を常圧に戻す際にリン系化合物(X)を添加する方法が挙げられる。
加圧滴下法は、加圧塩法と同様に、揮発性成分をモノマーとして使用する場合に有用である。加圧滴下法は、その他の成分の蒸散を防ぎ、更にその他の成分同士の重縮合を抑制でき、重縮合反応をスムーズに進めることが可能であるため、性状に優れたポリアミドが得られるため好ましい。
さらに、加圧滴下法は、加圧塩法に比べて、塩を溶解するための水を使用しないため、バッチ当たりの収量が大きく、常圧滴下法と同様に反応時間を短くできることから、ゲル化等を抑制し、黄色度が低いポリアミドを得ることができる。
さらに、加圧滴下法は、加圧塩法に比べて、塩を溶解するための水を使用しないため、バッチ当たりの収量が大きく、常圧滴下法と同様に反応時間を短くできることから、ゲル化等を抑制し、黄色度が低いポリアミドを得ることができる。
<重合度を高める工程>
上記重縮合方法で製造されたポリアミドは、そのまま使用することもできるが、更に重合度を高めるための工程を経てもよい。更に重合度を高める工程としては、押出機内での反応押出や固相重合等が挙げられる。
固相重合で用いられる加熱装置としては、公知の装置を用いることができ、連続式の加熱乾燥装置やタンブルドライヤー、コニカルドライヤー、ロータリードライヤー等と称される回転ドラム式の加熱装置及びナウタミキサーと称される内部に回転翼を備えた円錐型の加熱装置が好ましい。
これらの中でも、系内を密閉化でき、着色の原因となる酸素を除去した状態で重縮合を進行させることが出来るとの観点から、回転ドラム式の加熱装置が好ましい。
上記重縮合方法で製造されたポリアミドは、そのまま使用することもできるが、更に重合度を高めるための工程を経てもよい。更に重合度を高める工程としては、押出機内での反応押出や固相重合等が挙げられる。
固相重合で用いられる加熱装置としては、公知の装置を用いることができ、連続式の加熱乾燥装置やタンブルドライヤー、コニカルドライヤー、ロータリードライヤー等と称される回転ドラム式の加熱装置及びナウタミキサーと称される内部に回転翼を備えた円錐型の加熱装置が好ましい。
これらの中でも、系内を密閉化でき、着色の原因となる酸素を除去した状態で重縮合を進行させることが出来るとの観点から、回転ドラム式の加熱装置が好ましい。
<リン原子含有化合物、アルカリ金属化合物>
本発明のポリアミドの重縮合においては、アミド化反応を促進する観点から、本発明のリン系化合物(X)と併用して、リン原子含有化合物を添加してもよい。
リン原子含有化合物としては、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸等のホスフィン酸化合物;次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸エチル等のジ亜リン酸化合物;ホスホン酸、ホスホン酸ナトリウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸リチウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸マグネシウム、ホスホン酸カルシウム、フェニルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム、フェニルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム等のホスホン酸化合物;亜ホスホン酸、亜ホスホン酸ナトリウム、亜ホスホン酸リチウム、亜ホスホン酸カリウム、亜ホスホン酸マグネシウム、亜ホスホン酸カルシウム、フェニル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム、フェニル亜ホスホン酸エチル等の亜ホスホン酸化合物;亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸リチウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等の亜リン酸化合物等が挙げられる。
これらの中でも特に次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩が、アミド化反応を促進する効果が高くかつ着色防止効果にも優れるため好ましく用いられ、特に次亜リン酸ナトリウムが好ましい。なお、本発明で使用できるリン原子含有化合物はこれらの化合物に限定されない。
本発明のポリアミドの重縮合においては、アミド化反応を促進する観点から、本発明のリン系化合物(X)と併用して、リン原子含有化合物を添加してもよい。
リン原子含有化合物としては、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸等のホスフィン酸化合物;次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸エチル等のジ亜リン酸化合物;ホスホン酸、ホスホン酸ナトリウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸リチウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸マグネシウム、ホスホン酸カルシウム、フェニルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム、フェニルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム等のホスホン酸化合物;亜ホスホン酸、亜ホスホン酸ナトリウム、亜ホスホン酸リチウム、亜ホスホン酸カリウム、亜ホスホン酸マグネシウム、亜ホスホン酸カルシウム、フェニル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム、フェニル亜ホスホン酸エチル等の亜ホスホン酸化合物;亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸リチウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等の亜リン酸化合物等が挙げられる。
これらの中でも特に次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩が、アミド化反応を促進する効果が高くかつ着色防止効果にも優れるため好ましく用いられ、特に次亜リン酸ナトリウムが好ましい。なお、本発明で使用できるリン原子含有化合物はこれらの化合物に限定されない。
本発明のポリアミド樹脂組成物中のリン原子濃度は1〜1000ppmが好ましく、より好ましくは3〜600ppmであり、さらに好ましくは5〜400ppmである。ポリアミド樹脂組成物中のリン原子濃度が1ppm以上であれば、重合中にポリアミド樹脂組成物が着色しにくく透明性が高くなる。1000ppm以下であれば、ポリアミド樹脂組成物がゲル化しにくく、また、リン原子含有化合物に起因すると考えられるフィッシュアイの成形品中への混入も低減でき、成形品の外観が良好となる。
なお、本発明でのポリアミド樹脂組成物中のリン原子濃度とは、本発明のリン系化合物(X)由来のリン原子のみならず、ポリアミド重合時の重合触媒であるリン原子含有化合物由来のリン原子も含む、ポリアミド樹脂組成物中の全リン原子濃度を示すものとする。
なお、本発明でのポリアミド樹脂組成物中のリン原子濃度とは、本発明のリン系化合物(X)由来のリン原子のみならず、ポリアミド重合時の重合触媒であるリン原子含有化合物由来のリン原子も含む、ポリアミド樹脂組成物中の全リン原子濃度を示すものとする。
また、ポリアミドの重縮合系内には、リン系化合物(X)及びリン原子含有化合物と併用してアルカリ金属化合物を添加することが好ましい。重縮合中のポリアミドの着色を防止するためには十分な量のリン系化合物(X)及びリン原子含有化合物を存在させる必要があるが、場合によってはポリアミドのゲル化を招くおそれがあるため、アミド化反応速度を調整するためにもアルカリ金属化合物を共存させることが好ましい。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属酢酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド等が好ましい。本発明で用いることのできるアルカリ金属化合物の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、炭酸ナトリウム等が挙げられるが、これらの化合物に限定されることなく用いることができる。なお、リン原子含有化合物とアルカリ金属化合物の比率は、重合速度制御の観点や、黄色度を低減する観点から、リン原子含有化合物/アルカリ金属化合物=1.0/0.05〜1.0/1.5の範囲が好ましく、より好ましくは、1.0/0.1〜1.0/1.2、さらに好ましくは、1.0/0.2〜1.0/1.1である。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属酢酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド等が好ましい。本発明で用いることのできるアルカリ金属化合物の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、炭酸ナトリウム等が挙げられるが、これらの化合物に限定されることなく用いることができる。なお、リン原子含有化合物とアルカリ金属化合物の比率は、重合速度制御の観点や、黄色度を低減する観点から、リン原子含有化合物/アルカリ金属化合物=1.0/0.05〜1.0/1.5の範囲が好ましく、より好ましくは、1.0/0.1〜1.0/1.2、さらに好ましくは、1.0/0.2〜1.0/1.1である。
<ポリアミド樹脂組成物>
本発明のポリアミド樹脂組成物には、要求される用途や性能に応じて、滑剤、結晶化核剤、白化防止剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、酸化防止剤、耐衝撃性改良材等の添加剤を添加させてもよい。これらの添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて添加することができる。また、本発明のポリアミド樹脂組成物を、要求される用途や性能に応じて、種々の樹脂と混合してポリアミド樹脂組成物としてもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、要求される用途や性能に応じて、滑剤、結晶化核剤、白化防止剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、酸化防止剤、耐衝撃性改良材等の添加剤を添加させてもよい。これらの添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて添加することができる。また、本発明のポリアミド樹脂組成物を、要求される用途や性能に応じて、種々の樹脂と混合してポリアミド樹脂組成物としてもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物と添加剤との混合は、従来公知の方法を用いることができるが、低コストでかつ熱履歴を受けない乾式混合が好ましく行われる。例えば、タンブラーにポリアミド樹脂組成物と上記の添加剤を入れ、回転させることで混合する方法が挙げられる。また本発明では乾式混合後のポリアミド樹脂組成物と添加剤との分級を防止するために粘性のある液体を展着剤としてポリアミド樹脂組成物に付着させた後、添加剤を添加、混合する方法を採ることもできる。展着剤としては、界面活性剤等が挙げられるが、これに限定されることなく公知のものを使用することができる。
<酸化反応促進剤>
本発明のポリアミド樹脂組成物に酸素吸収性能を付与ために、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の酸化反応促進剤を添加してもよい。酸化反応促進剤はポリアミドが有する酸素吸収性能を促進することで、酸素吸収バリア層の酸素吸収性能を高めることができる。酸化反応促進剤としては、鉄、コバルト、ニッケル等の周期律表第VIV族金属、銅や銀等の第I族金属、スズ、チタン、ジルコニウム等の第IV族金属、バナジウムの第V族、クロム等の第VI族、マンガン等の第VII族の金属の低価数の無機酸塩もしくは有機酸塩、又は上記遷移金属の錯塩を例示することができる。
本発明において、酸素反応促進剤の添加量は、ポリアミド樹脂組成物中に好ましくは金属原子濃度として10〜800ppm、より好ましくは50〜600ppm、さらに好ましくは100〜400ppmである。
本発明のポリアミド樹脂組成物に酸素吸収性能を付与ために、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の酸化反応促進剤を添加してもよい。酸化反応促進剤はポリアミドが有する酸素吸収性能を促進することで、酸素吸収バリア層の酸素吸収性能を高めることができる。酸化反応促進剤としては、鉄、コバルト、ニッケル等の周期律表第VIV族金属、銅や銀等の第I族金属、スズ、チタン、ジルコニウム等の第IV族金属、バナジウムの第V族、クロム等の第VI族、マンガン等の第VII族の金属の低価数の無機酸塩もしくは有機酸塩、又は上記遷移金属の錯塩を例示することができる。
本発明において、酸素反応促進剤の添加量は、ポリアミド樹脂組成物中に好ましくは金属原子濃度として10〜800ppm、より好ましくは50〜600ppm、さらに好ましくは100〜400ppmである。
<ポリアミド樹脂組成物の用途>
本発明のポリアミド樹脂組成物の代表的な利用例としては包装材料や包装容器等の成型体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明のポリアミド樹脂組成物を、その成型体の少なくとも一部として加工して使用することができる。例えば、本発明のポリアミド樹脂組成物をフィルム状又はシート状の包装材料の少なくとも一部として使用することができ、また、ボトル、トレイ、カップ、チューブ、平袋やスタンディングパウチ等の各種パウチ等の包装容器の少なくとも一部として使用することができる。本発明のポリアミド樹脂組成物からなる層の厚みは、特に制限はないが、1μm以上の厚みを有することが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物の代表的な利用例としては包装材料や包装容器等の成型体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明のポリアミド樹脂組成物を、その成型体の少なくとも一部として加工して使用することができる。例えば、本発明のポリアミド樹脂組成物をフィルム状又はシート状の包装材料の少なくとも一部として使用することができ、また、ボトル、トレイ、カップ、チューブ、平袋やスタンディングパウチ等の各種パウチ等の包装容器の少なくとも一部として使用することができる。本発明のポリアミド樹脂組成物からなる層の厚みは、特に制限はないが、1μm以上の厚みを有することが好ましい。
包装材料及び包装容器などの成形体の製造方法については特に限定されず、任意の方法を利用することができる。例えば、フィルム状若しくはシート状の包装材料、またはチューブ状の包装材料の成形については、Tダイ、サーキュラーダイ等を通して溶融させたポリアミド又はポリアミド樹脂組成物を、付属した押出機から押し出して製造することができる。なお、上述の方法で得たフィルム状の成形体はこれを延伸することにより延伸フィルムに加工することもできる。ボトル形状の包装容器については、射出成形機から金型中に溶融したポリアミド又はポリアミド樹脂組成物を射出してプリフォームを製造後、延伸温度まで加熱してブロー延伸することにより得ることができる。
また、トレイやカップ等の容器は射出成形機から金型中に溶融したポリアミド樹脂組成物を射出して製造する方法や、シート状の包装材料を真空成形や圧空成形等の成形法によって成形して得ることができる。包装材料や包装容器は上述の製造方法によらず、様々な方法を経て製造することが可能である。
また、トレイやカップ等の容器は射出成形機から金型中に溶融したポリアミド樹脂組成物を射出して製造する方法や、シート状の包装材料を真空成形や圧空成形等の成形法によって成形して得ることができる。包装材料や包装容器は上述の製造方法によらず、様々な方法を経て製造することが可能である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例で得られたポリアミドの相対粘度、黄色度、分子量及び分子量分布、ガラス転移温度及び融点、前リン原子含有量、及び得られたポリアミドから作成した無延伸フィルムのゲル化時間の測定は下記の方法で行った。
(1)相対粘度
ポリアミド0.2gを精秤し、96%硫酸20mlに20〜30℃で撹拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを取り、25℃の恒温漕中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落下時間(t0)も同様に測定した。t及びt0から次式により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0
ポリアミド0.2gを精秤し、96%硫酸20mlに20〜30℃で撹拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを取り、25℃の恒温漕中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落下時間(t0)も同様に測定した。t及びt0から次式により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0
(2)黄色度(b値)
実施例および比較例で得られたポリアミド樹脂組成物のペレットについて、Z−Σ80色差計(日本電色工業株式会社製)を用いてASTM D1003に準じて透過法で測定した。
実施例および比較例で得られたポリアミド樹脂組成物のペレットについて、Z−Σ80色差計(日本電色工業株式会社製)を用いてASTM D1003に準じて透過法で測定した。
(3)分子量および分子量分布(Mw/Mn)
数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。具体的には、装置として東ソー社製「HLC−8320GPC」、カラムとして、東ソー社製「TSK gel Super HM−H」2本を使用した。また溶離液は、トリフルオロ酢酸ナトリウム濃度10mmol/lのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を溶媒として、試料濃度0.02質量%の溶離液を調製し、カラム温度40℃、流速0.3ml/分、屈折率検出器(RI)の条件で測定した。
また、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)は、標準ポリメチルメタクリレート換算の値として求めた。
数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。具体的には、装置として東ソー社製「HLC−8320GPC」、カラムとして、東ソー社製「TSK gel Super HM−H」2本を使用した。また溶離液は、トリフルオロ酢酸ナトリウム濃度10mmol/lのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を溶媒として、試料濃度0.02質量%の溶離液を調製し、カラム温度40℃、流速0.3ml/分、屈折率検出器(RI)の条件で測定した。
また、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)は、標準ポリメチルメタクリレート換算の値として求めた。
(4)示差走査熱量測定(ガラス転移温度及び融点)
示差走査熱量の測定はJIS K7121、K7122に準じて行った。示差走査熱量計((株)島津製作所製、商品名:「DSC−60」)を用い、各試料をDSC測定パンに仕込み、窒素雰囲気下にて昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し、急冷する前処理を行った後に測定を行った。測定条件は、昇温速度10℃/分で、300℃で5分保持した後、降温速度−5℃/分で100℃まで測定を行い、ガラス転移温度Tg及び融点Tmを求めた。
示差走査熱量の測定はJIS K7121、K7122に準じて行った。示差走査熱量計((株)島津製作所製、商品名:「DSC−60」)を用い、各試料をDSC測定パンに仕込み、窒素雰囲気下にて昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し、急冷する前処理を行った後に測定を行った。測定条件は、昇温速度10℃/分で、300℃で5分保持した後、降温速度−5℃/分で100℃まで測定を行い、ガラス転移温度Tg及び融点Tmを求めた。
(5)全リン原子含有量
実施例、比較例で得られたポリアミド樹脂組成物中のリン原子含有量は、以下に記載の方法で行った。
試料を炭酸ソーダ共存下において乾式灰化分解するか、または硫酸・硝酸・過塩素酸系または硫酸・過酸化水素水系において湿式分解し、リンを正リン酸とした。次いで、前記正リン酸を1mol /L 硫酸溶液中においてモリブデン酸塩と反応させて、リンモリブデン酸とし、これを硫酸ヒドラジンで還元して、生成ずるヘテロポリ青の830nmの吸光度を吸光光度計(島津製作所社製、UV−150−02)で測定して比色定量することにより、ポリアミド樹脂組成物中のリン原子含有量を求めた。
実施例、比較例で得られたポリアミド樹脂組成物中のリン原子含有量は、以下に記載の方法で行った。
試料を炭酸ソーダ共存下において乾式灰化分解するか、または硫酸・硝酸・過塩素酸系または硫酸・過酸化水素水系において湿式分解し、リンを正リン酸とした。次いで、前記正リン酸を1mol /L 硫酸溶液中においてモリブデン酸塩と反応させて、リンモリブデン酸とし、これを硫酸ヒドラジンで還元して、生成ずるヘテロポリ青の830nmの吸光度を吸光光度計(島津製作所社製、UV−150−02)で測定して比色定量することにより、ポリアミド樹脂組成物中のリン原子含有量を求めた。
(6)ゲル化試験(ゲル分率およびゲル化時間)
ポリアミドをL/D=15の急圧縮のフルフライトスクリューからなる単軸押出機とTダイからなる装置を使用して、265℃、回転数50rpmの成形条件にて、厚さ250μmの無延伸フィルムを試作した。続いて、このフィルムを4枚重ねにし、直径約40mmの円に切り取った後、テフロン(登録商標)シートに挟み、該シートを金属板にて上下を挟み、金属板同士をボルトで固定した。その後、290℃に加温した熱プレス機に50kg/cm2の圧力でプレスし、所定時間加熱した。所定時間加熱後、該金属板を取り出して、急冷後、室温にてサンプルを取り出した。
次に、このサンプルを100mg秤量後、密栓可能な試験管に入れ、サンプルを60℃で30分恒温乾燥機にて乾燥した(このときの質量を「サンプル質量」とする)。サンプル乾燥後、即座に試験管にヘキサフルオロイソプロパノール(純正化学(株)製、以下「HFIP」と記載することがある。)を10ml加え、蓋をし、24時間静置し、溶解させた。得られたHFIP溶液を、予め秤量した0.3μm孔径のテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターを通して減圧濾過し、メンブレンフィルターに残った残渣をHFIPにて洗浄した。その後、残渣の付着したフィルターを24時間自然乾燥した。
続いて、乾燥した残渣とフィルターの総質量を秤量し、予め秤量したメンブレンフィルター質量との差から、滞留サンプルのHFIP不溶成分量(ゲル質量)を求め、HFIP浸漬前の滞留サンプル(サンプル質量)で除した、下式(1)によりゲル分率を算出した。
ゲル分率(%)=(ゲル質量/サンプル質量)×100 (1)
また熱プレス機での加熱時間を変えて、ゲル分率が0%である最大時間をゲル化時間とした。
ポリアミドをL/D=15の急圧縮のフルフライトスクリューからなる単軸押出機とTダイからなる装置を使用して、265℃、回転数50rpmの成形条件にて、厚さ250μmの無延伸フィルムを試作した。続いて、このフィルムを4枚重ねにし、直径約40mmの円に切り取った後、テフロン(登録商標)シートに挟み、該シートを金属板にて上下を挟み、金属板同士をボルトで固定した。その後、290℃に加温した熱プレス機に50kg/cm2の圧力でプレスし、所定時間加熱した。所定時間加熱後、該金属板を取り出して、急冷後、室温にてサンプルを取り出した。
次に、このサンプルを100mg秤量後、密栓可能な試験管に入れ、サンプルを60℃で30分恒温乾燥機にて乾燥した(このときの質量を「サンプル質量」とする)。サンプル乾燥後、即座に試験管にヘキサフルオロイソプロパノール(純正化学(株)製、以下「HFIP」と記載することがある。)を10ml加え、蓋をし、24時間静置し、溶解させた。得られたHFIP溶液を、予め秤量した0.3μm孔径のテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターを通して減圧濾過し、メンブレンフィルターに残った残渣をHFIPにて洗浄した。その後、残渣の付着したフィルターを24時間自然乾燥した。
続いて、乾燥した残渣とフィルターの総質量を秤量し、予め秤量したメンブレンフィルター質量との差から、滞留サンプルのHFIP不溶成分量(ゲル質量)を求め、HFIP浸漬前の滞留サンプル(サンプル質量)で除した、下式(1)によりゲル分率を算出した。
ゲル分率(%)=(ゲル質量/サンプル質量)×100 (1)
また熱プレス機での加熱時間を変えて、ゲル分率が0%である最大時間をゲル化時間とした。
実施例1
撹拌機、分縮器、全縮器、圧力調整器、温度計、滴下槽及びポンプ、アスピレーター、窒素導入管、底排弁、ストランドダイを備えた内容積50Lの耐圧反応容器に、精秤したアジピン酸(AA)(旭化成ケミカルズ(株)製)13000g(88.95mol)、次亜リン酸ナトリウム11.3g(0.11mol)、酢酸ナトリウム5.85g(0.07mol)、およびカルシウムビス[3,5-ジ(tert-ブチル)-4-ヒドロキシベンジル(エトキシ)ホスフィナート]6.57g(ポリアミドの理論収量21.9kgに対して化合物(X)濃度として300ppm)を入れ、十分に窒素置換した後、反応容器内を密閉し、容器内を0.4MPaに保ちながら撹拌下170℃まで昇温した。170℃に到達した後、反応容器内の溶融した原料へ、滴下槽に貯めたメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学(株)製)12042.6g(88.42mol)の滴下を開始し、容器内を0.4MPaに保ちながら生成する縮合水を系外へ除きながら反応槽内を連続的に260℃まで昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、反応容器内を徐々に常圧に戻し、次いでアスピレーターを用いて反応槽内を80kPaに減圧して縮合水を除いた。減圧中に撹拌機の撹拌トルクを観察し、所定のトルクに達した時点で撹拌を止め、反応槽内を窒素で加圧し、底排弁を開け、ストランドダイからポリマーを抜き出してストランド化した後、冷却してペレタイザーによりペレット化した。リン酸カルシウム化合物を添加したことによるトルク上昇速度への影響はなかった。
撹拌機、分縮器、全縮器、圧力調整器、温度計、滴下槽及びポンプ、アスピレーター、窒素導入管、底排弁、ストランドダイを備えた内容積50Lの耐圧反応容器に、精秤したアジピン酸(AA)(旭化成ケミカルズ(株)製)13000g(88.95mol)、次亜リン酸ナトリウム11.3g(0.11mol)、酢酸ナトリウム5.85g(0.07mol)、およびカルシウムビス[3,5-ジ(tert-ブチル)-4-ヒドロキシベンジル(エトキシ)ホスフィナート]6.57g(ポリアミドの理論収量21.9kgに対して化合物(X)濃度として300ppm)を入れ、十分に窒素置換した後、反応容器内を密閉し、容器内を0.4MPaに保ちながら撹拌下170℃まで昇温した。170℃に到達した後、反応容器内の溶融した原料へ、滴下槽に貯めたメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学(株)製)12042.6g(88.42mol)の滴下を開始し、容器内を0.4MPaに保ちながら生成する縮合水を系外へ除きながら反応槽内を連続的に260℃まで昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、反応容器内を徐々に常圧に戻し、次いでアスピレーターを用いて反応槽内を80kPaに減圧して縮合水を除いた。減圧中に撹拌機の撹拌トルクを観察し、所定のトルクに達した時点で撹拌を止め、反応槽内を窒素で加圧し、底排弁を開け、ストランドダイからポリマーを抜き出してストランド化した後、冷却してペレタイザーによりペレット化した。リン酸カルシウム化合物を添加したことによるトルク上昇速度への影響はなかった。
次にこのペレットをステンレス製の回転ドラム式の加熱装置に仕込み、5rpmで回転させた。十分窒素置換し、さらに少量の窒素気流下にて反応系内を室温から140℃まで昇温した。反応系内温度が140℃に達した時点で0.3torrまで減圧を行い、更に系内温度を110分間で180℃まで昇温した。系内温度が180℃に達した時点から、同温度にて180分間、固相重合反応を継続した。途中、30分ごとにサンプル抜き出しバルブから100gペレットを抜き出し、重合の進行度を測定した。ポリアミド樹脂組成物の重合度は、キャピログラフ(東洋精機(株)キャピログラフ1D)にて、260℃で6分間滞留させた後、せん断速度、61sec−1〜3648sec−1までの範囲で溶融粘度を測定し、122sec−1時点での溶融粘度が650Pa・sを超えた時点で反応を終了した。反応時間は、2時間40分であった。反応終了後、減圧を終了し窒素気流下にて系内温度を下げ、60℃に達した時点でペレットを取り出すことにより、MXDA/AA重合体(ポリアミド樹脂組成物1)を得た。なお、各モノマーの仕込み組成比は、メタキシリレンジアミン:アジピン酸=49.8:50.2(mol%)であった。
実施例2
撹拌機、分縮器、全縮器、圧力調整器、温度計、滴下槽及びポンプ、アスピレーター、窒素導入管、底排弁、ストランドダイを備えた内容積50Lの耐圧反応容器に、精秤したアジピン酸(AA)(旭化成ケミカルズ(株)製)13000g(88.95mol)、次亜リン酸ナトリウム11.3g(0.11mol)、酢酸ナトリウム5.85g(0.07mol)入れ、十分に窒素置換した後、反応容器内を密閉し、容器内を0.4MPaに保ちながら撹拌下170℃まで昇温した。170℃に到達した後、反応容器内の溶融した原料へ滴下槽に貯めたメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学(株)製)12042.6g(88.42mol)の滴下を開始し、容器内を0.4MPaに保ちながら生成する縮合水を系外へ除きながら反応槽内を連続的に260℃まで昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、反応容器内を徐々に常圧に戻した。その後、予想収量21.9Kgに対して、カルシウムビス[3,5-ジ(tert-ブチル)-4-ヒドロキシベンジル(エトキシ)ホスフィナート]19.71g(ポリアミド樹脂組成物の理論収量21.9kgに対する化合物(X)濃度として900ppm)添加して、10分間撹拌後、次いでアスピレーターを用いて反応槽内を80kPaに減圧して縮合水を除いた。減圧中に撹拌機の撹拌トルクを観察し、所定のトルクに達した時点で撹拌を止め、反応槽内を窒素で加圧し、底排弁を開け、ストランドダイからポリマーを抜き出してストランド化した後、冷却してペレタイザーによりペレット化した。リン酸カルシウム化合物を添加したことによるトルク上昇速度への影響はなかった。次にこのペレットをステンレス製の回転ドラム式の加熱装置に仕込み、5rpmで回転させた。十分窒素置換し、さらに少量の窒素気流下にて反応系内を室温から140℃まで昇温した。反応系内温度が140℃に達した時点で0.3torrまで減圧を行い、更に系内温度を110分間で180℃まで昇温した。系内温度が180℃に達した時点から、同温度にて180分間、固相重合反応を継続した。途中、30分ごとにサンプル抜き出しバルブから100gペレットを抜き出し、キャピログラフ(東洋精機(株)キャピログラフ1D)にて、260℃6分間滞留させた後、せん断速度、61sec−1〜3648sec−1までの範囲で溶融粘度を測定し、122sec−1時点での溶融粘度が650Pa・sを超えた時点で反応を終了した。反応時間は、2時間20分であった。反応終了後、減圧を終了し窒素気流下にて系内温度を下げ、60℃に達した時点でペレットを取り出すことにより、MXDA/AA重合体(ポリアミド2)を得た。なお、各モノマーの仕込み組成比は、メタキシリレンジアミン:アジピン酸=49.8:50.2(mol%)であった。
撹拌機、分縮器、全縮器、圧力調整器、温度計、滴下槽及びポンプ、アスピレーター、窒素導入管、底排弁、ストランドダイを備えた内容積50Lの耐圧反応容器に、精秤したアジピン酸(AA)(旭化成ケミカルズ(株)製)13000g(88.95mol)、次亜リン酸ナトリウム11.3g(0.11mol)、酢酸ナトリウム5.85g(0.07mol)入れ、十分に窒素置換した後、反応容器内を密閉し、容器内を0.4MPaに保ちながら撹拌下170℃まで昇温した。170℃に到達した後、反応容器内の溶融した原料へ滴下槽に貯めたメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学(株)製)12042.6g(88.42mol)の滴下を開始し、容器内を0.4MPaに保ちながら生成する縮合水を系外へ除きながら反応槽内を連続的に260℃まで昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、反応容器内を徐々に常圧に戻した。その後、予想収量21.9Kgに対して、カルシウムビス[3,5-ジ(tert-ブチル)-4-ヒドロキシベンジル(エトキシ)ホスフィナート]19.71g(ポリアミド樹脂組成物の理論収量21.9kgに対する化合物(X)濃度として900ppm)添加して、10分間撹拌後、次いでアスピレーターを用いて反応槽内を80kPaに減圧して縮合水を除いた。減圧中に撹拌機の撹拌トルクを観察し、所定のトルクに達した時点で撹拌を止め、反応槽内を窒素で加圧し、底排弁を開け、ストランドダイからポリマーを抜き出してストランド化した後、冷却してペレタイザーによりペレット化した。リン酸カルシウム化合物を添加したことによるトルク上昇速度への影響はなかった。次にこのペレットをステンレス製の回転ドラム式の加熱装置に仕込み、5rpmで回転させた。十分窒素置換し、さらに少量の窒素気流下にて反応系内を室温から140℃まで昇温した。反応系内温度が140℃に達した時点で0.3torrまで減圧を行い、更に系内温度を110分間で180℃まで昇温した。系内温度が180℃に達した時点から、同温度にて180分間、固相重合反応を継続した。途中、30分ごとにサンプル抜き出しバルブから100gペレットを抜き出し、キャピログラフ(東洋精機(株)キャピログラフ1D)にて、260℃6分間滞留させた後、せん断速度、61sec−1〜3648sec−1までの範囲で溶融粘度を測定し、122sec−1時点での溶融粘度が650Pa・sを超えた時点で反応を終了した。反応時間は、2時間20分であった。反応終了後、減圧を終了し窒素気流下にて系内温度を下げ、60℃に達した時点でペレットを取り出すことにより、MXDA/AA重合体(ポリアミド2)を得た。なお、各モノマーの仕込み組成比は、メタキシリレンジアミン:アジピン酸=49.8:50.2(mol%)であった。
実施例3
撹拌機、分縮器、全縮器、圧力調整器、温度計、滴下槽及びポンプ、アスピレーター、窒素導入管、底排弁、ストランドダイを備えた内容積50Lの耐圧反応容器に、精秤したアジピン酸(旭化成ケミカルズ(株)製)13000g(88.95mol)、高純度イソフタル酸((エイ・ジイ・インタナショナル・ケミカル(株)製)943.3g(5.68mol)、次亜リン酸ナトリウム2.40g(0.023mol)、酢酸ナトリウム1.25g(0.015mol)を入れ、十分に窒素置換した後、反応容器内を密閉し、容器内を0.4MPaに保ちながら撹拌下170℃まで昇温した。170℃に到達した後、反応容器内の溶融した原料へ滴下槽に貯めたメタキシリレンジアミン(三菱ガス化学(株)製)12811.8g(94.07mol)の滴下を開始し、容器内を0.4MPaに保ちながら生成する縮合水を系外へ除きながら反応槽内を連続的に260℃まで昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、反応容器内を徐々に常圧に戻した。その後、予想収量23.3Kgに対して、カルシウムビス[3,5-ジ(tert-ブチル)-4-ヒドロキシベンジル(エトキシ)ホスフィナート]21.05g(ポリアミドの理論収量23.3kgに対する化合物(X)濃度として900ppm)添加して、10分間撹拌後、次いでアスピレーターを用いて反応槽内を80kPaに減圧して縮合水を除いた。減圧中に撹拌機の撹拌トルクを観察し、所定のトルクに達した時点で撹拌を止め、反応槽内を窒素で加圧し、底排弁を開け、ストランドダイからポリマーを抜き出してストランド化した後、冷却してペレタイザーによりペレット化した。リン酸カルシウム化合物を添加したことによるトルク上昇速度への影響はなかった。次にこのペレットをステンレス製の回転ドラム式の加熱装置に仕込み、5rpmで回転させた。十分窒素置換し、さらに少量の窒素気流下にて反応系内を室温から140℃まで昇温した。反応系内温度が140℃に達した時点で0.3torrまで減圧を行い、更に系内温度を110分間で180℃まで昇温した。系内温度が180℃に達した時点から、同温度にて180分間、固相重合反応を継続した。途中、30分ごとにサンプル抜き出しバルブから100gペレットを抜き出し、キャピログラフ(東洋精機(株)キャピログラフ1D)にて、260℃6分間滞留させた後、せん断速度、61sec−1〜3648sec−1までの範囲で溶融粘度を測定し、122sec−1時点での溶融粘度が650Pa・sを超えた時点で反応を終了した。反応時間は、2時間30分であった。反応終了後、減圧を終了し窒素気流下にて系内温度を下げ、60℃に達した時点でペレットを取り出すことにより、MXDA/AA/PIA重合体(ポリアミド3)を得た。
なお、各モノマーの仕込み組成比は、メタキシリレンジアミン:アジピン酸:高純度イソフタル酸=49.9:44.1:6.0(mol%)であった。
撹拌機、分縮器、全縮器、圧力調整器、温度計、滴下槽及びポンプ、アスピレーター、窒素導入管、底排弁、ストランドダイを備えた内容積50Lの耐圧反応容器に、精秤したアジピン酸(旭化成ケミカルズ(株)製)13000g(88.95mol)、高純度イソフタル酸((エイ・ジイ・インタナショナル・ケミカル(株)製)943.3g(5.68mol)、次亜リン酸ナトリウム2.40g(0.023mol)、酢酸ナトリウム1.25g(0.015mol)を入れ、十分に窒素置換した後、反応容器内を密閉し、容器内を0.4MPaに保ちながら撹拌下170℃まで昇温した。170℃に到達した後、反応容器内の溶融した原料へ滴下槽に貯めたメタキシリレンジアミン(三菱ガス化学(株)製)12811.8g(94.07mol)の滴下を開始し、容器内を0.4MPaに保ちながら生成する縮合水を系外へ除きながら反応槽内を連続的に260℃まで昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、反応容器内を徐々に常圧に戻した。その後、予想収量23.3Kgに対して、カルシウムビス[3,5-ジ(tert-ブチル)-4-ヒドロキシベンジル(エトキシ)ホスフィナート]21.05g(ポリアミドの理論収量23.3kgに対する化合物(X)濃度として900ppm)添加して、10分間撹拌後、次いでアスピレーターを用いて反応槽内を80kPaに減圧して縮合水を除いた。減圧中に撹拌機の撹拌トルクを観察し、所定のトルクに達した時点で撹拌を止め、反応槽内を窒素で加圧し、底排弁を開け、ストランドダイからポリマーを抜き出してストランド化した後、冷却してペレタイザーによりペレット化した。リン酸カルシウム化合物を添加したことによるトルク上昇速度への影響はなかった。次にこのペレットをステンレス製の回転ドラム式の加熱装置に仕込み、5rpmで回転させた。十分窒素置換し、さらに少量の窒素気流下にて反応系内を室温から140℃まで昇温した。反応系内温度が140℃に達した時点で0.3torrまで減圧を行い、更に系内温度を110分間で180℃まで昇温した。系内温度が180℃に達した時点から、同温度にて180分間、固相重合反応を継続した。途中、30分ごとにサンプル抜き出しバルブから100gペレットを抜き出し、キャピログラフ(東洋精機(株)キャピログラフ1D)にて、260℃6分間滞留させた後、せん断速度、61sec−1〜3648sec−1までの範囲で溶融粘度を測定し、122sec−1時点での溶融粘度が650Pa・sを超えた時点で反応を終了した。反応時間は、2時間30分であった。反応終了後、減圧を終了し窒素気流下にて系内温度を下げ、60℃に達した時点でペレットを取り出すことにより、MXDA/AA/PIA重合体(ポリアミド3)を得た。
なお、各モノマーの仕込み組成比は、メタキシリレンジアミン:アジピン酸:高純度イソフタル酸=49.9:44.1:6.0(mol%)であった。
比較例1
撹拌機、分縮器、全縮器、圧力調整器、温度計、滴下槽及びポンプ、アスピレーター、窒素導入管、底排弁、ストランドダイを備えた内容積50Lの耐圧反応容器に、精秤したアジピン酸(AA)(旭化成ケミカルズ(株)製)13000g(88.95mol)、次亜リン酸ナトリウム11.3g(0.11mol)、酢酸ナトリウム5.85g(0.07mol)を入れ、十分に窒素置換した後、反応容器内を密閉し、容器内を0.4MPaに保ちながら撹拌下170℃まで昇温した。170℃に到達した後、反応容器内の溶融した原料へ滴下槽に貯めたメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学(株)製)12042.6g(88.42mol)の滴下を開始し、容器内を0.4MPaに保ちながら生成する縮合水を系外へ除きながら反応槽内を連続的に260℃まで昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、反応容器内を徐々に常圧に戻し、次いでアスピレーターを用いて反応槽内を80kPaに減圧して縮合水を除いた。減圧中に撹拌機の撹拌トルクを観察し、所定のトルクに達した時点で撹拌を止め、反応槽内を窒素で加圧し、底排弁を開け、ストランドダイからポリマーを抜き出してストランド化した後、冷却してペレタイザーによりペレット化した。次にこのペレットをステンレス製の回転ドラム式の加熱装置に仕込み、5rpmで回転させた。十分窒素置換し、さらに少量の窒素気流下にて反応系内を室温から140℃まで昇温した。反応系内温度が140℃に達した時点で0.3torrまで減圧を行い、更に系内温度を110分間で180℃まで昇温した。途中、60分ごとにサンプル抜き出しバルブから100gペレットを抜き出し、アルミ袋に入れてヒートシールした。系内温度が180℃に達した時点から、同温度にて180分間、固相重合反応を継続した。途中、30分ごとにサンプル抜き出しバルブから100gペレットを抜き出し、キャピログラフ(東洋精機(株)キャピログラフ1D)にて、260℃6分間滞留させた後、せん断速度、61sec−1〜3648sec−1までの範囲で溶融粘度を測定し、122sec−1時点での溶融粘度が650Pa・sを超えた時点で反応を終了した。反応時間は、3時間であった。反応終了後、減圧を終了し窒素気流下にて系内温度を下げ、60℃に達した時点でペレットを取り出すことにより、MXDA/AA重合体(ポリアミド4)を得た。なお、各モノマーの仕込み組成比は、メタキシリレンジアミン:アジピン酸=49.8:50.2(mol%)であった。
撹拌機、分縮器、全縮器、圧力調整器、温度計、滴下槽及びポンプ、アスピレーター、窒素導入管、底排弁、ストランドダイを備えた内容積50Lの耐圧反応容器に、精秤したアジピン酸(AA)(旭化成ケミカルズ(株)製)13000g(88.95mol)、次亜リン酸ナトリウム11.3g(0.11mol)、酢酸ナトリウム5.85g(0.07mol)を入れ、十分に窒素置換した後、反応容器内を密閉し、容器内を0.4MPaに保ちながら撹拌下170℃まで昇温した。170℃に到達した後、反応容器内の溶融した原料へ滴下槽に貯めたメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学(株)製)12042.6g(88.42mol)の滴下を開始し、容器内を0.4MPaに保ちながら生成する縮合水を系外へ除きながら反応槽内を連続的に260℃まで昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、反応容器内を徐々に常圧に戻し、次いでアスピレーターを用いて反応槽内を80kPaに減圧して縮合水を除いた。減圧中に撹拌機の撹拌トルクを観察し、所定のトルクに達した時点で撹拌を止め、反応槽内を窒素で加圧し、底排弁を開け、ストランドダイからポリマーを抜き出してストランド化した後、冷却してペレタイザーによりペレット化した。次にこのペレットをステンレス製の回転ドラム式の加熱装置に仕込み、5rpmで回転させた。十分窒素置換し、さらに少量の窒素気流下にて反応系内を室温から140℃まで昇温した。反応系内温度が140℃に達した時点で0.3torrまで減圧を行い、更に系内温度を110分間で180℃まで昇温した。途中、60分ごとにサンプル抜き出しバルブから100gペレットを抜き出し、アルミ袋に入れてヒートシールした。系内温度が180℃に達した時点から、同温度にて180分間、固相重合反応を継続した。途中、30分ごとにサンプル抜き出しバルブから100gペレットを抜き出し、キャピログラフ(東洋精機(株)キャピログラフ1D)にて、260℃6分間滞留させた後、せん断速度、61sec−1〜3648sec−1までの範囲で溶融粘度を測定し、122sec−1時点での溶融粘度が650Pa・sを超えた時点で反応を終了した。反応時間は、3時間であった。反応終了後、減圧を終了し窒素気流下にて系内温度を下げ、60℃に達した時点でペレットを取り出すことにより、MXDA/AA重合体(ポリアミド4)を得た。なお、各モノマーの仕込み組成比は、メタキシリレンジアミン:アジピン酸=49.8:50.2(mol%)であった。
表1に、ポリアミドの相対粘度、黄色度(b値)、分子量及び分子量分布、ガラス転移温度及び融点、全リン原子濃度、及び得られたポリアミド樹脂組成物から作成した無延伸フィルムのゲル化試験の結果を示す。
本発明のリン系化合物(X)としてカルシウムビス[3,5-ジ(tert-ブチル)-4-ヒドロキシベンジル(エトキシ)ホスフィナート]を添加した実施例1〜3のポリアミド樹脂組成物は、添加しなかった比較例1と比べて、重合反応時間が短いことに起因して、良好な黄色度、分子量分布であった。また、本発明のポリアミド樹脂組成物はゲル化までの時間も長く、性状に優れたものであった。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、成形時のフィルター背圧上昇が少なく、乾燥時や成形時の熱安定性および熱酸化安定性が良好であるため、色調に優れており、かつ成形工程で着色し難く、またゲル状物などの異物の発生が少ないので、あらゆる用途に利用できる。
Claims (9)
- リン系化合物(X)の添加量が、ポリアミドに対して50〜2000ppmである請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
- リン原子濃度が1〜1000ppmである請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物
- 分子量分布(Mw/Mn)が1.6以上4.0以下となる請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- b値が−5以下である請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- 相対粘度が1.8以上4.2以下である請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- 溶融滞留試験のゲル化時間が20時間以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を利用してなる包装材料及び包装容器。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を利用してなる工業材料及び工業用部品。
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JP2013096918A JP2014218550A (ja) | 2013-05-02 | 2013-05-02 | ポリアミド樹脂組成物 |
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- 2013-05-02 JP JP2013096918A patent/JP2014218550A/ja active Pending
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