JP2014215472A - 偏光板製造用接着剤及び偏光板 - Google Patents

偏光板製造用接着剤及び偏光板 Download PDF

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Abstract

【課題】 保護フィルムの高い接着性を保ちつつ、耐候性の高い偏光板を製造できる偏光板製造用接着剤を提供する。
【解決手段】 脂環式エポキシ基を分子内に1個以上有し、且つエステル基を含む化合物(A)、
脂環式エポキシ基を分子内に1個以上有し、且つエステル基を含まない化合物(B)、
水酸基を分子内に3個有する水酸基含有化合物(C)、及び
光酸発生剤(E)、を含む放射線硬化性組成物であって、
前記放射線硬化性組成物は、オキセタン化合物(D)を含み、又は含まず、
[(A)及び(B)の全エポキシ基数と(D)の全オキセタニル基数との和]/[(C)の全水酸基数]が6.0以下で、
[(B)の全エポキシ基数]/[(A)及び(B)の全エポキシ基数と(D)の全オキセタニル基数との和]が0.4以下である放射線硬化性組成物からなる偏光板製造用接着剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、偏光板製造用接着剤及び偏光板に関する。また、放射線硬化性組成物、放射線硬化性組成物からなる接着剤、及び偏光板の製造方法についても述べる。
近年、文字、画像等を表示する表示装置として液晶表示装置が広く利用されている。このような液晶表示装置は、通常、2枚の偏光板と、その間に配置された、ガラス基板、透明電極、カラーフィルタ、配光膜、液晶等からなる液晶セルを含む。一般に、液晶表示装置に用いられる偏光板は、延伸配向したポリビニルアルコール系シートにヨウ素等を吸着させた偏光膜(偏光子)の片面又は両面に、トリアセチルセルロース系フィルム等の保護フィルムを、接着剤層を介して貼りあわせてなるものである。昨今、省電力化の観点から、液晶表示装置のバックライトをLED化する動きがあり、LEDの発熱のために、偏光板には耐湿熱性、耐熱衝撃性、耐高温保持性等の耐候性が求められてきている。特に、保護フィルムに透湿度の高いトリアセチルセルロース系フィルムを用いた偏光板は、前記の耐候性が十分でないため、透湿度の低いフィルムへの代替が進んでいる。
一方で、偏光板の製造に用いられる接着剤に好適な組成物としては、各種の硬化系を有するものが知られている。なかでも、加熱や紫外線照射等によって硬化反応が進行し、架橋密度の高い接着剤層や被膜を形成可能なものが、良好な接着強度や塗膜強度を発現可能であることが知られている。加熱や紫外線照射等によって硬化を進行可能な樹脂組成物としては、主としてラジカル重合性のものとカチオン重合性のものとが知られている。
樹脂組成物のラジカル重合は、硬化が十分に進行する前に停止したり、重合反応が進行するに従い硬化収縮を引き起こしたりする場合があった。これに対して、カチオン重合は、接着強度の点で不足はあるが、ラジカルの停止反応や失活を引き起こさず、硬化収縮の程度が少ないという利点があった。
そこで、基材のわずかなゆがみ等が問題となるような偏光板等の光学部材に適用可能な材料として、カチオン重合性化合物として脂環族エポキシ化合物、分子中に少なくとも2個の水酸基を有する化合物、及び光酸発生剤を含有する接着剤組成物が、短時間で硬化可能で、かつ接着強度等の性能に優れることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平10−330717号公報
しかしながら、前記接着剤を用いた偏光板では、湿熱試験、温度衝撃試験、及び高温保持試験で保護フィルムの剥離が起こるという問題があった。これは、偏光膜が放射線を吸収するため、接着剤が十分に硬化しないためであると考えられた。そのため、耐湿熱性、耐熱衝撃性、及び耐高温保持性に優れる耐候性の高い偏光板、並びにそのような偏光板の製造を可能にする偏光板製造用接着剤が求められている。
従って、本発明の目的は、保護フィルムの高い接着性を保ちつつ、耐候性の高い偏光板の製造を可能にする偏光板製造用接着剤を提供すること、又は、そのような偏光板を提供することにある。
そこで、本発明者らが、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、組成物中に含まれる特定のエポキシ化合物の全エポキシ基数と、組成物中に含まれる3官能アルコールの全水酸基数との比率を一定範囲とすることにより、接着性を保ちつつ、湿熱試験、及び温度衝撃試験後も偏光板の保護フィルムの剥離が起こらず、信頼性が確保できることを見いだした。さらに、上記特定のエポキシ化合物として、脂環式エポキシ基を分子内に2個以上有し、且つエステル基を含む化合物と、脂環式エポキシ基を分子内に1個以上有し、且つエステル基を含まない化合物との両方を用いることにより、接着性を保ちつつ、湿熱試験及び温度衝撃試験に加えて、高温保持試験後も偏光板の保護フィルムの剥離が起こらず、信頼性が確保できることを見いだし、本発明は完成に至った。
すなわち、本発明は、
脂環式エポキシ基を分子内に1個以上有し、且つエステル基を含む化合物(A)、
脂環式エポキシ基を分子内に1個以上有し、且つエステル基を含まない化合物(B)、
水酸基を分子内に3個有する水酸基含有化合物(C)、及び
光酸発生剤(E)、を含む放射線硬化性組成物であって、
前記放射線硬化性組成物は、分子内に1個以上のオキセタニル基を有するオキセタン化合物(D)を含み、又は含まず、
[組成物中の化合物(A)及び化合物(B)の全エポキシ基数とオキセタン化合物(D)の全オキセタニル基数との和]/[組成物中の水酸基含有化合物(C)の全水酸基数]が6.0以下であり、
[組成物中の化合物(B)の全エポキシ基数]/[組成物中の化合物(A)及び化合物(B)の全エポキシ基数とオキセタン化合物(D)の全オキセタニル基数との和]が0.4以下である放射線硬化性組成物からなることを特徴とする偏光板製造用接着剤を提供する。
前記偏光板製造用接着剤において、
化合物(A)が、下記式(I)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2014215472
(上記式(I)中、Xは、エステル基を含有する連結基を示す。)
また、前記偏光板製造用接着剤において、水酸基含有化合物(C)はポリエステルトリオールであることが好ましい。
また、本発明は、
偏光膜の少なくとも一方の面に、前記偏光板製造用接着剤を用いて、保護フィルムを接着してなる偏光板、を提供する。
前記偏光板は、照射光量が300mJ/cm2以下の放射線照射によって、前記偏光板製造用接着剤が硬化してなる偏光板であることが好ましい。
本発明の偏光板製造用接着剤を用いて保護フィルムを接着してなる偏光板では、保護フィルムの高い接着性を保ちつつ、湿熱試験、温度衝撃試験、及び高温保持試験後も偏光板の保護フィルムの剥離が起こらず、信頼性が確保できる。
[1.放射線硬化性組成物]
前記放射線硬化性組成物は、
脂環式エポキシ基を分子内に1個以上有し、且つエステル基を含む化合物(A)、
脂環式エポキシ基を分子内に1個以上有し、且つエステル基を含まない化合物(B)、
水酸基を分子内に3個有する水酸基含有化合物(C)、及び
光酸発生剤(E)、を含む放射線硬化性組成物であって、
前記放射線硬化性組成物は、オキセタン化合物(D)を含み、又は含まず、
[組成物中の化合物(A)及び化合物(B)の全エポキシ基数とオキセタン化合物(D)の全オキセタニル基数との和]/[組成物中の水酸基含有化合物(C)の全水酸基数]が6.0以下であり、
[組成物中の化合物(B)の全エポキシ基数]/[組成物中の化合物(A)及び化合物(B)の全エポキシ基数とオキセタン化合物(D)の全オキセタニル基数との和]が0.4以下である放射線硬化性組成物からなれば良く、その他の点では特に制限されない。
前記放射線硬化性組成物において、[組成物中の化合物(A)及び化合物(B)の全エポキシ基数とオキセタン化合物(D)の全オキセタニル基数との和]/[組成物中の水酸基含有化合物(C)の全水酸基数]が6.0以下であることで、接着性が向上する。上記のような効果を奏する理由としては、前記比率が6.0以下の場合には、放射線硬化物中に残存する水酸基数が多く、被接着体と接着剤硬化物の界面にて水素結合効果が発現することが考えられる。なお、前記メカニズムは推定であり、発明の範囲を限定するものではない。また、前記放射線硬化性組成物がオキセタン化合物(D)を含まない場合は、組成物中のオキセタン化合物(D)の全オキセタニル基数は当然ゼロであるとし、以下も同様に考えるものとする。
前記放射線硬化性組成物における、[組成物中の化合物(A)及び化合物(B)の全エポキシ基数とオキセタン化合物(D)の全オキセタニル基数との和]/[組成物中の水酸基含有化合物(C)の全水酸基数]は6.0以下であるが、水酸基含有化合物(C)の全水酸基数が多すぎると耐候性が低下しやすくなることをも考慮すると、1.0〜6.0であることが好ましく、2.0〜4.0であることがより好ましく、2.6〜3.2であることが特に好ましい。
前記放射線硬化性組成物において、[組成物中の化合物(B)の全エポキシ基数]/[組成物中の化合物(A)及び化合物(B)の全エポキシ基数とオキセタン化合物(D)の全オキセタニル基数との和]が0.4以下であることで、接着性が向上する。上記のような効果を奏する理由としては、化合物(A)と化合物(D)がもたらす柔らかさと化合物(B)がもたらす硬さのバランスが上手く取れており、接着層が硬さと靱性を併せ持つものになっていることが考えられる。なお、前記メカニズムは推定であり、発明の範囲を限定するものではない。
前記放射線硬化性組成物における、[組成物中の化合物(B)の全エポキシ基数]/[組成物中の化合物(A)及び化合物(B)の全エポキシ基数とオキセタン化合物(D)の全オキセタニル基数との和]は0.4以下であるが、化合物(B)の全エポキシ基数が少なすぎると高温保持性が低下しやすくなることをも考慮すると、0.1〜0.4であることが好ましく、0.15〜0.4であることがより好ましく、0.2〜0.4であることが特に好ましい。
前記放射線硬化性組成物における、化合物(A)の含有量は、特に制限されないが、放射線照射量と硬化度の観点から、前記放射線硬化性組成物の総量に対して、例えば20〜60重量%であり、30〜50重量%であることが好ましく、35〜45重量%であることがより好ましい。
前記放射線硬化性組成物における、化合物(B)の含有量は、特に制限されないが、高温保持性及び接着力の観点から、前記放射線硬化性組成物の総量に対して、例えば1〜30重量%であり、5〜25重量%であることが好ましく、8〜20重量%であることがより好ましい。
前記放射線硬化性組成物における、水酸基含有化合物(C)の含有量は、特に制限されないが、接着力と硬化性の観点から、前記放射線硬化性組成物の総量に対して、例えば10〜50重量%であり、20〜45重量%であることが好ましく、35〜40重量%であることがより好ましい。
水酸基含有化合物(C)の含有量は、塗工性等の観点から、前記放射線硬化性組成物における、エポキシ基含有化合物[化合物(A)及び化合物(B)を含み、また前記エポキシ基は脂環式エポキシ基に限定されない]、光酸発生剤(E)、並びに後述するその他の成分の総量100重量部に対して、例えば、40〜70重量部であり、51〜70重量部であることが好ましく、61〜70重量部であることがより好ましい。
前記放射線硬化性組成物における、オキセタン化合物(D)の含有量は、特に制限されないが、保存安定性と硬化性の観点から、前記放射線硬化性組成物の総量に対して、例えば5〜30重量%であり、5〜20重量%であることが好ましく、5〜10重量%であることがより好ましい。
前記放射線硬化性組成物における、光酸発生剤(E)の含有量は、特に制限されないが、前記放射線硬化性組成物の総量に対して、例えば0.1〜10重量%であり、1〜10重量%であることが好ましく、2〜5重量%であることがより好ましい。光酸発生剤(E)の使用量が上記範囲を下回ると、硬化不良による接着力不足や耐候性の低下という問題が生じる場合がある。一方、光酸発生剤(E)の使用量が上記範囲を上回ると、硬化後のイオン性物質の濃度が高いため、耐水性が悪化する場合がある。
前記放射線硬化性組成物における、化合物(A)と化合物(B)との配合比率は、特に制限されないが、高温保持性及び硬化性の観点から、重量比で95:5〜40:60(前者:後者)であることが好ましく、90:10〜60:40(前者:後者)であることがより好ましく、80:20〜70:30(前者:後者)であることが特に好ましい。
前記放射線硬化性組成物における、化合物(A)及び化合物(B)の総量と、水酸基含有化合物(C)との配合比率は、特に制限されないが、硬化性等の観点から、重量比で30:70〜80:20(前者:後者)であることが好ましく、45:55〜70:30(前者:後者)であることがより好ましく、55:45〜60:40(前者:後者)であることが特に好ましい。
前記放射線硬化性組成物における、化合物(A)及び化合物(B)の総量と、オキセタン化合物(D)との配合比率は、特に制限されないが、硬化促進等の観点から、重量比で60:40〜95:5(前者:後者)であることが好ましく、65:35〜90:10(前者:後者)であることがより好ましく、70:30〜85:15(前者:後者)であることが特に好ましい。
前記放射線硬化性組成物の粘度としては、特に制限されないが、塗布作業性の観点から、40〜800mPa・sであることが好ましく、40〜500mPa・sであることがより好ましい。
[1−1.化合物(A)]
化合物(A)は、脂環式エポキシ基を分子内に1個又はそれ以上有し、且つエステル基を含む化合物であれば良く、その他の点では特に制限されない。なお、本明細書において、脂環式エポキシ基とは、脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基を意味する。また、化合物(A)としては、一種のみを用いてもよく、また、二種以上を混合して用いてもよい。化合物(A)としては、脂環式エポキシ基を分子内に2個以上(例えば、2〜6個)有する化合物がより好ましい。
化合物(A)としては、透明性、耐熱性の観点から、シクロヘキセンオキシド基を有する化合物が好ましく、特に、下記式(I)で表される化合物が好ましい。また、前記シクロヘキセンオキシド基のシクロヘキセン環は、例えば、C1-12アルキル基(特に、C1-4アルキル基)、C2-12アルケニル基(特に、C2-4アルケニル基)等の置換基を有していても良く、置換基は単数であっても、複数であっても良く、置換基が複数である場合は、これらの置換基は同一であっても異なっていても良い。
Figure 2014215472
上記式(I)中、Xは、エステル基を含有する連結基を示す。エステル基にはカーボネート基(炭酸エステル基)も含まれる。エステル基を含有する連結基としては、エステル基以外の化学基を含まなくても良いし、また例えば、エステル基以外にも、2価の炭化水素基、カルボニル基、エーテル結合、アミド基、これらが複数個連結した基等を含む連結基であっても良い。
上記2価の炭化水素基としては、炭素数が1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数が1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。上記2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等の2価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等が挙げられる。
上記式(I)で表される脂環式エポキシ化合物の代表的な例としては、下記式(I−1)〜(I−10)で表される化合物等が挙げられる。なお、下記式(I−5)、(I−7)中のl、mは、それぞれ1〜30の整数を表す。下記式(I−5)中のRは炭素数1〜8のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、s−ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。下記式(I−9)、(I−10)中のn1〜n6は、それぞれ1〜30の整数を示す。なかでも(I−1)の化合物(セロキサイド2021P等)を単独で用いること、又は(I−1)の化合物(セロキサイド2021P等)とその他の式(I)で表される脂環式エポキシ化合物とを併用することが好ましい。
Figure 2014215472
Figure 2014215472
[1−2.化合物(B)]
化合物(B)は、脂環式エポキシ基を分子内に1個又はそれ以上(例えば、1〜6個、好ましくは1〜3個)有し、且つエステル基を含まない化合物であれば良く、その他の点では特に制限されない。また、化合物(B)としては、一種のみを用いてもよく、また、二種以上を混合して用いてもよい。
化合物(B)としては、透明性、耐熱性の観点から、シクロヘキセンオキシド基を有する化合物が好ましい。また、前記シクロヘキセンオキシド基のシクロヘキセン環は、メチル基等のC1-12アルキル基(特に、C1-4アルキル基)、ビニル基等のC2-12アルケニル基(特に、C2-4アルケニル基)、オキシラニル基、メチルオキシラニル基等のC1-12アルキルオキシラニル基(特に、C1-4アルキルオキシラニル基)、ホルミル基などの置換基を有していても、有していなくても良いが、有していることが好ましい。置換基を有している場合は、置換基は単数であっても、複数であっても良く、置換基が複数である場合は、これらの置換基は同一であっても異なっていても良い。
化合物(B)としては、透明性、耐熱性の観点から、特に、下記式(II)で表される化合物が好ましい。
Figure 2014215472
上記式(II)中、Yは、水素原子、又はC1-12アルキル基(特に、C1-4アルキル基)等の置換基を示し、Zは、水素原子、又はメチル基等のC1-12アルキル基(特に、C1-4アルキル基)、ビニル基等のC2-12アルケニル基(特に、C2-4アルケニル基)、オキシラニル基、メチルオキシラニル基等のC1-12アルキルオキシラニル基(特に、C1-4アルキルオキシラニル基)、ホルミル基等の置換基を示す。また、上記式(II)で表される化合物のシクロヘキセン環は、Y又はZ以外には置換基を有さないことが好ましい。また、Y及びZのうち少なくとも一方は水素原子でないことが好ましい。
化合物(B)の代表的な例としては、下記式(II−1)で表される1,2,8,9−ジエポキシリモネン[1,2−エポキシ−4−(2−メチルオキシラニル)−1−メチルシクロヘキサン、商品名「セロキサイド3000」、株式会社ダイセル製]、下記式(II−2)で表される1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(4−ビニルシクロヘキセンモノエポキサイド、商品名「セロキサイド2000」、株式会社ダイセル製)等が挙げられる。
Figure 2014215472
[1−3.水酸基含有化合物(C)]
水酸基含有化合物(C)としては、水酸基を分子内に3個有していれば良く、その他の点では特に制限されない。具体的には、例えば、ポリエステルトリオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、アダマンタントリオール等が挙げられ、特に制限されないが、エポキシ化合物との相溶性の観点からエステル基を含むポリエステルトリオールが好ましく、ポリカプロラクトントリオールが特に好ましい。
水酸基含有化合物(C)としては、一種のみを用いてもよく、また、二種以上を混合して用いてもよい。
ポリカプロラクトントリオールとしては、特に制限されないが、下記式(III)で表される化合物が好ましい。
Figure 2014215472
上記式(III)において、a、b、cは、何れも1以上の整数であり、それぞれ、例えば1〜30、好ましくは1〜10の範囲内であり、a+b+cは好ましくは3〜30の範囲内であり、R1は、3価の炭化水素基、好ましくは3価の脂肪族炭化水素基であり、R1の炭素数は好ましくは3〜20、より好ましくは3〜15、さらに好ましくは3〜10の範囲内であり、R1の代表例としては、以下の式(VI−1)〜(VI−4)で表される3価の炭化水素基等が挙げられる。
Figure 2014215472
ポリカプロラクトントリオールの市販品としては、例えば、プラクセル303、プラクセル305、プラクセル308、プラクセル312、プラクセルL312AL、プラクセル320、プラクセル320ML、プラクセルL320AL、プラクセルL330AL;以上何れも株式会社ダイセル製;商品名)等が挙げられるが、混合時の容易さと、析出の恐れがないという観点から、常温で液状であるポリカプロラクトントリオール、例えばプラクセル305が好ましい。
[1−4.オキセタン化合物(D)]
前記放射線硬化性組成物は、オキセタン化合物(D)を含んでいても良いし、含んでいなくても良い。オキセタン化合物(D)は、分子内に1個又はそれ以上(例えば、1〜6個、好ましくは1〜3個)のオキセタニル基を有していれば良く、その他の点では特に制限されない。
オキセタン化合物(D)としては、例えば、3,3−ビス(ビニルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3−エチル−3−(ヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(クロロメチル)オキセタン、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、ビス([1−エチル(3−オキセタニル)]メチル)エーテル、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロヘキシル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]シクロヘキサン、1,4−ビス([(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル)ベンゼン、3−エチル−3([(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル)オキセタン、キシリレンビスオキセタン等を挙げることができる。本発明においては、例えば、商品名「OXT221」、「OXT121」(以上、東亞合成社製)、商品名「OXBP」(宇部興産社製)等の市販品を使用することもできる。
[1−5.光酸発生剤(E)]
光酸発生剤(E)としては、特に制限されないが、紫外線照射により酸を発生し、発生した酸によりカチオン重合を開始させる作用を有するものが好ましい。
光酸発生剤(E)としては、例えば、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート(例えば、p−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等)、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のスルホニウム塩(特に、トリアリールスルホニウム塩);ジアリールヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ヨードニウム[4−(4−メチルフェニル−2−メチルプロピル)フェニル]ヘキサフルオロホスフェート等のヨードニウム塩;テトラフルオロホスホニウムヘキサフルオロホスフェート等のホスホニウム塩;N−ヘキシルピリジニウムテトラフルオロボレート等のピリジニウム塩等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
光酸発生剤(E)としては、例えば、商品名「CPI−100P」、「CPI−101A」(以上、サンアプロ社製)等の市販品を使用してもよい。
[1−6.その他の成分]
前記放射線硬化性組成物は、上記(A)〜(E)成分の他、必要に応じて、粘度を調整するための有機溶剤(カチオン硬化しうる有機溶剤が好ましく、具体的には、1,3−ブタンジオール等が挙げられる。何れも株式会社ダイセル製のものが市販品の具体例として挙げられる。)、接着強度及びスクリーン印刷性を向上させるための無機質充填剤(例えば、電気化学工業社製の球状シリカである、FB-5SDC、FB-3SDC等)、さらに接着強度を向上させるシランカップリング剤(例えば、エボニック・デグサ・ジャパン社製である、Dynasylan AMEO、Dynasylan GLYMO等)、塗布性能を向上させるレベリング剤(例えば、ビックケミー・ジャパン社製である、BYK-307、BYK-333等)、その他添加剤を本発明の効果を妨げない範囲で含有していても良い。
[2.接着剤]
本明細書で述べる接着剤としては、前記放射線硬化性組成物からなれば良く、その他の点では特に制限されない。前記接着剤の好ましい態様は、後述する本発明の偏光板製造用接着剤の好ましい態様と同様に考えることができる。前記接着剤の好ましい用途としては、偏光板製造用途以外には、液晶ディスプレイのバックライト導光板用途、フィルムコート用途が考えられる。
[3.偏光板製造用接着剤]
本発明の偏光板製造用接着剤は、前記放射線硬化性組成物からなれば良く、その他の点では特に制限されない。
特開2008−257199号公報、又は特開2011−28234号公報記載のように、接着剤に光増感剤を配合して硬化性を上げる試みがある。しかしながら、光増感剤は硬化性を上げるものの、作業時の室内照明による粘度上昇の恐れがある。本発明の偏光板製造用接着剤は、水酸基を分子内に3個有する水酸基含有化合物(C)を配合することで硬化性を上げているので、作業時の室内照明による粘度上昇が少なく、且つ、偏光板に用いる用途に特に有用なものとするという観点から、光増感剤を含まないことが好ましい。
本発明の偏光板製造用接着剤は、後述する方法によって評価される接着力が、例えば、2.0N/25mm以上(例えば、2.0〜4.0N/25mm)であり、好ましくは2.5N/25mm以上(例えば、2.5〜4.0N/25mm)であり、より好ましくは3.0N/25mm以上(例えば、3.0〜4.0N/25mm)である。
本発明の偏光板製造用接着剤は、後述する方法によって評価される湿熱試験、温度衝撃試験、及び高温保持試験後等の各種耐候性試験後の偏光板の偏光度が、それぞれ、例えば80%以上(例えば、80〜99%)であり、好ましくは85%以上(例えば、85〜99%)であり、より好ましくは90%以上(例えば、90〜99%)である。
[4.偏光板、及び偏光板の製造方法]
本発明の偏光板は、偏光膜の少なくとも一方の面に、前記偏光板製造用接着剤を用いて、保護フィルムを接着してなる偏光板であれば良く、その他の点では特に制限されない。
偏光膜の少なくとも一方の面に、前記偏光板製造用接着剤を用いて、保護フィルムを接着して偏光板を製造する方法としては、例えば、従来公知の方法により偏光膜と保護フィルムとの間に偏光板製造用接着剤を塗布し、ローラー等により偏光板製造用接着剤が塗られた保護フィルムと偏光膜とを圧着した後、i−線(365nm),h−線(405nm),g−線(436nm)等を含む光(放射線)を、照度10〜1200mW/cm2、照射光量20〜2500mJ/cm2で照射して光硬化型接着剤組成物を硬化させることで偏光板を得ることができる。保護フィルムと偏光膜の紫外線等の放射線による劣化を抑える観点と、生産性の観点から、好ましくは放射線の照射光量20〜600mJ/cm2、より好ましくは照射光量20〜300mJ/cm2が望ましい。特に、放射線の照射光量が300mJ/cm2以下の場合は、放射線による保護フィルムと偏光膜の劣化が劇的に低減するという大きな利点がある。また、偏光膜の少なくとも一方の面に、バーコータ、ロールコータ、グラビアロール等により偏光板製造用接着剤を塗工し保護フィルムを貼着した後、i−線、h−線、g−線等を含む放射線を上記の場合と同様に照射して光硬化型接着剤組成物を硬化させることで偏光板を得ることもできる。保護フィルムと偏光膜の間(上下2層)に偏光板製造用接着剤を塗布して、片面から放射線を上記の場合と同様に照射して、接着させることで偏光板を得ることもできる。放射線をあてる側からみて、偏光膜の下面には、紫外線領域の光は約三分の一しか届かないため、水酸基を分子内に3個有する水酸基含有化合物(C)を配合することで硬化性が向上している本発明の偏光板製造用接着剤は特に有用である。
[4−1.偏光膜]
偏光膜としては、特に制限されないが、具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性染料を吸着させ、これを一軸延伸して製造されるポリビニルアルコール系偏光膜等が挙げられる。
偏光膜に用いるポリビニルアルコール系樹脂としては、通常、酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン化して得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと、これに共重合可能な他の単量体との共重合体等が例示される。酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、不飽和スルホン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類等が挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、特に制限されないが、好ましくは、85〜100モル%程度である。ポリビニルアルコール系樹脂はさらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタール等も使用し得る。またポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、特に制限されないが、好ましくは1,000〜10,000程度である。
ただし、ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン化して得られるものに限定されるものではなく、少量の不飽和カルボン酸(塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、炭素数2〜30のオレフィン類(エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等を含む)、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等、酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有させた変性ポリビニルアルコール系樹脂等であっても良い。
ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は特に制限されないが、60000〜300000であることが好ましい。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光膜の原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は特に限定されるものでなく、公知の方法で製膜することができる。
偏光膜の製造方法としては、特に制限されないが、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色してその二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程等を含む製造方法等により製造される。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色してその二色性色素を吸着させる工程と、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程とは、同時に行っても良い。
一軸延伸は、二色性色素による染色の前に行ってもよいし、染色と同時に行ってもよいし、染色の後に行ってもよい。一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行う等の乾式延伸であってもよいし、溶剤にて膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、好ましくは1.5〜10倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの二色性色素による染色は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬することにより行われる。二色性色素としては、特に制限されないが、例えば、ヨウ素、二色性の有機染料等が用いられる。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合の染色方法としては、特に制限されないが、例えば、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、水100重量部に対し、好ましくは0.01〜0.5重量部程度であり、また、ヨウ化カリウムの含有量は、水100重量部に対し、好ましくは0.5〜10重量部程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、好ましくは30〜300秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行われる。ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の含有量は、水100重量部に対し、通常2〜15重量部程度である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、ホウ酸含有水溶液は、ヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの含有量は、水100重量部に対し、通常1〜20重量部程度である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常10〜1200秒程度である。
以上のようにして、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向された偏光膜を作製することができる。偏光膜の厚さは10〜40μm程度とすることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
[1.放射線硬化性組成物の調製]
攪拌装置付きの容器に、表1に示す配合割合で、成分(A)〜(E)を投入し、4時間攪拌し均一に混合した。攪拌を停止し、24時間静置して、実施例1〜4に用いる放射線硬化性組成物を得た。同様に、比較例1〜5に用いる放射線硬化性組成物を得た。なお、表1中の各成分の化合物名は、次のとおりである。
(A)成分:
セロキサイド2021P:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4-エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート
(株式会社ダイセル製、エポキシ当量=126)
(B)成分:
セロキサイド3000:1,2,8,9−ジエポキシリモネン
(株式会社ダイセル製、エポキシ当量=84)
セロキサイド2000:1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン
(株式会社ダイセル製、エポキシ当量=62)
(C)成分:
プラクセル305:ポリカプロラクトントリオール、分子量550
(株式会社ダイセル製、水酸基当量=183)
(C′)成分(水酸基を分子内に2個有する水酸基含有化合物):
プラクセル205:ポリカプロラクトンジオール、分子量530
(株式会社ダイセル製、水酸基当量=265)
プラクセルCD205PL:ポリカーボネートジオール、分子量500
(株式会社ダイセル製、水酸基当量=250)
(D)成分:
OXT−221:アロンオキセタン221
(東亜合成株式会社製、オキセタニル当量=107)
(E)成分:
CPI−100P:ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロホスファート(サンアプロ株式会社製)
[2.接着用基材の製造又は準備]
[PVAフィルム(偏光膜)]
ホウ酸20重量部、ヨウ素0.2重量部、ヨウ化カリウム0.5重量部を水480重量部に溶解させて染色液を調製した。この染色液にPVA(ポリビニルアルコール)フィルム(ビニロンフィルム#40、アイセロ社製)を、30秒浸漬した後、フィルムを一方向に2倍に延伸し、乾燥させて、膜厚30μmのPVAフィルムを作製した。
[保護フィルム]
保護フィルムとして、PMMA(ポリメチルメタクリレート)フィルムを使用した。なお、保護フィルムは、コロナ表面処理装置(春日電機株式會社製の「コロナ表面改質評価装置(TEC−4AX)」)を用い、320W・分/m2の放電量でフィルム表面にコロナ放電処理を行い、表面処理後1時間以内に接着を実施した。
[3.偏光板の製造]
[実施例1〜4、比較例1〜5]
得られた放射線硬化性組成物を、ワイヤーバーコーター#3を用いてPMMAフィルム(保護フィルム)上に塗工し、その上にPVAフィルムを気泡等の欠陥が入らないように金属ローラーを用いて貼合した。次にPMMAフィルム(保護フィルム)上に、上記放射線硬化性組成物を、ワイヤーバーコーター#3を用いて塗工し、上記貼合したPVAフィルム上に、気泡等の欠陥が入らないように貼合した。ガラス板上に、張り合わせたものの四方をテープで固定し、高圧水銀ランプ(UVC-02516S1AA02:ウシオ電機株式会社製、照度120mW/cm2、照射光量199mJ/cm2)で光照射した。
[4.評価]
得られた放射線硬化性組成物の粘度、及び偏光板の剥離強度(接着性)を下記の方法により評価した。結果を表1に示す。なお、得られた放射線硬化性組成物における、[組成物中の化合物(A)及び化合物(B)の全エポキシ基数とオキセタン化合物(D)の全オキセタニル基数との和]/[組成物中の水酸基含有化合物(C)の全水酸基数]、並びに[組成物中の化合物(B)の全エポキシ基数]/[組成物中の化合物(A)及び化合物(B)の全エポキシ基数とオキセタン化合物(D)の全オキセタニル基数との和]もあわせて表1に示す。なお、比較例2、3の場合、[組成物中の化合物(A)及び化合物(B)の全エポキシ基数とオキセタン化合物(D)の全オキセタニル基数との和]/[組成物中の水酸基含有化合物(C′)の全水酸基数]の値を括弧[ ]内に記載した。
(偏光板の剥離強度)
作製した偏光板の剥離強度は、「JISK6854?4接着剤−剥離接着強さ試験法第4部:浮動ローラ法」に準じて測定した。作製した偏光板を金属板(ステンレス製、寸法:長さ200mm、幅25mm、厚み1.5mm)上に両面粘着テープ(ST−416P、住友スリーエム社製)で固定した。偏光板中、PVAフィルムと保護フィルムの間において、カッターナイフを用いて長手方向の端を剥離した。JIS法に従い、浮動ローラにサンプルを取り付け、剥離したフィルムサンプルの端を引っ張り試験機のつかみ具に固定し、引っ張り試験機にてつかみ具を300mm/分の速度で上昇させ、フィルムが剥離するときの平均剥離力(N/25mm)を測定した。
UV照射面と反対側のPMMAとPVAの接着力を測定した。○は2.5N/25mm以上、△は2〜2.5/25mm、×は2N/25mm未満の接着力であったことを表す。
(耐湿熱性、耐熱衝撃性、及び耐高温保持性の評価)
以下のように、湿熱試験、温度衝撃試験、又は高温保持試験の各種耐候性試験を行い、試験前後の偏光板を目視により観察することで、それぞれ、偏光板の耐湿熱性、耐熱衝撃性、及び耐高温保持性を評価した。耐湿熱性、耐熱衝撃性、耐高温保持性の評価基準として、以下のように、各種耐候性試験後の偏光板の偏光度を測定することにより、各種試験後における偏光板の外観を判定した。結果を表1に示す。
(偏光度の測定)
楕円偏光測定装置(KOBRA−WPR、王子計測機器株式会社製)を用いて、各種耐候性試験後の偏光板の偏光度を測定した。表1中には、波長748nmにおける偏光度を示した。なお、偏光度が80%未満である場合には、目視で偏光板の色抜けが分かるが、85%以上であれば、目視では変化は認められない。本検討では、他の波長(446、498、548、630nm)では試験前後で偏光度の差異は微小であった。
湿熱試験を温度60℃、相対湿度90%、500時間の条件で行い、試験後の偏光板の偏光度(波長748nm)で評価し、その結果を表1に記載した。◎は90%以上、○は85%以上90%未満、△は80%以上85%未満、×は80%未満を示す。
温度衝撃試験を温度−40℃〜80℃、1サイクル30分、100サイクルの条件で行い、試験後の偏光板の偏光度(波長748nm)で評価し、その結果を表1に記載した。◎は90%以上、○は85%以上90%未満、△は80%以上85%未満、×は80%未満を示す。
高温保持試験を温度80℃、100時間の条件で行い、試験後の偏光板の偏光度(波長748nm)で評価し、その結果を表1に記載した。◎は90%以上、○は85%以上90%未満、△は80%以上85%未満、×は80%未満を示す。
Figure 2014215472
<表1について>
[組成物中の化合物(A)及び化合物(B)の全エポキシ基数とオキセタン化合物(D)の全オキセタニル基数との和]/[組成物中の水酸基含有化合物(C)の全水酸基数]が6.0以下であり、且つ[組成物中の化合物(B)の全エポキシ基数]/[組成物中の化合物(A)及び化合物(B)の全エポキシ基数とオキセタン化合物(D)の全オキセタニル基数との和]が0.4以下である実施例1〜4は2.5N/25mm以上の接着力を有しており、各種耐候性試験の結果が良好であった。
脂環式エポキシ化合物がエステル基を含むセロキサイド2021Pのみの比較例1は、接着力と湿熱試験、温度衝撃試験結果は良好であったが、高温保持試験結果は好ましくなかった。上記結果の理由としては、実施例においては、セロキサイド2021Pのような化合物(A)の添加量が比較例1より少なくなり、エステル部分の加水分解が抑制された結果、光学特性が向上したものと考えられる。なお、前記メカニズムは推定であり、発明の範囲を限定するものではない。
水酸基を分子内に3個持つ水酸基含有化合物(C)の代わりに、水酸基を分子内に2個のみ持つ化合物(C′)を用いた比較例2及び3は接着力と耐候性が芳しくなかった。
化合物(B)の添加量を増やし、[組成物中の化合物(B)の全エポキシ基数]/[組成物中の化合物(A)及び化合物(B)の全エポキシ基数とオキセタン化合物(D)の全オキセタニル基数との和]を0.4を超える値とした比較例4は、初期接着力が2N/25mm未満(1.5N/25mm)であり、偏光板製造用接着剤としては適さない結果となった。
また、化合物(C)の添加量を減らし、[組成物中の化合物(A)及び化合物(B)の全エポキシ基数とオキセタン化合物(D)の全オキセタニル基数との和]/[組成物中の水酸基含有化合物(C)の全水酸基数]を6.0を超える値とした比較例5は、接着性、湿熱試験後の偏光板の外観、温度衝撃試験後における偏光板の外観、高温保持試験後における偏光板の外観のいずれについても劣るという結果となった。
本発明の偏光板製造用接着剤によれば、これを用いて保護フィルムを接着してなる偏光板について、保護フィルムの高い接着性を保ちつつ、湿熱試験、温度衝撃試験、及び高温保持試験の各種耐候性試験後も偏光板の保護フィルムの剥離が起こらず、信頼性が確保できるため、特に偏光板等の光学部材に適用可能な材料として有用である。

Claims (5)

  1. 脂環式エポキシ基を分子内に1個以上有し、且つエステル基を含む化合物(A)、
    脂環式エポキシ基を分子内に1個以上有し、且つエステル基を含まない化合物(B)、
    水酸基を分子内に3個有する水酸基含有化合物(C)、及び
    光酸発生剤(E)、を含む放射線硬化性組成物であって、
    前記放射線硬化性組成物は、分子内に1個以上のオキセタニル基を有するオキセタン化合物(D)を含み、又は含まず、
    [組成物中の化合物(A)及び化合物(B)の全エポキシ基数とオキセタン化合物(D)の全オキセタニル基数との和]/[組成物中の水酸基含有化合物(C)の全水酸基数]が6.0以下であり、
    [組成物中の化合物(B)の全エポキシ基数]/[組成物中の化合物(A)及び化合物(B)の全エポキシ基数とオキセタン化合物(D)の全オキセタニル基数との和]が0.4以下である放射線硬化性組成物からなることを特徴とする偏光板製造用接着剤。
  2. 化合物(A)が下記式(I)で表される化合物である、請求項1記載の偏光板製造用接着剤。
    Figure 2014215472
    (上記式(I)中、Xは、エステル基を含有する連結基を示す。)
  3. 水酸基含有化合物(C)がポリエステルトリオールである、請求項1又は2記載の偏光板製造用接着剤。
  4. 偏光膜の少なくとも一方の面に、請求項1〜3の何れか1項に記載の偏光板製造用接着剤を用いて、保護フィルムを接着してなる偏光板。
  5. 照射光量が300mJ/cm2以下の放射線照射によって、前記偏光板製造用接着剤が硬化してなる請求項4記載の偏光板。
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