JP2014213148A - ミシンおよびミシンの制御方法 - Google Patents

ミシンおよびミシンの制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光学式の情報読取り部を備え、配線の取り回しが容易なミシンを提供する。
【解決手段】ミシン1は、作業台5に設けた貫通穴506の下方に配置したバーコードリーダ50を備える。貫通穴506は透明板507で塞ぐ。バーコードリーダ50の読取り面は上向きである。保持体を前後左右に移動可能な保持体支持部65が原点位置にある時、バーコードリーダ50は、保持体に設けたバーコードに下方から対向し、バーコードが示す特定の模様の識別情報を読み取る。CPU101は、識別情報に応じた縫製データに従って移動機構6を駆動制御することで、保持体を移動しながら縫製を行う。ミシン1は、例えば保持体支持部65にバーコードリーダ50を設ける構成に比べ、配線の取り回しが容易である。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学式の情報読取り部を備えたミシンと、該ミシンの制御方法に関する。
情報読取り部を備えたミシンがある。該ミシンは、例えばミシンの部品に付した指標部から情報を読取り、該情報に基づいた動作を行う。例えば、特許文献1に記載のミシンは、水平移動可能な可動フレームを有する。該ミシンは、可動フレームに着脱可能な複数種類の刺繍枠の夫々に関するデータ(形状、大きさ、可動フレームに対する枠位置等)を記憶する。各刺繍枠の取付アームは、枠の種類に応じたパターンのバーコードを有する。可動フレームに設けたバーコードリーダは、可動フレームに取り付けた刺繍枠のバーコードを読み取る。ミシンは、バーコードリーダの読取り信号に基づいて、可動フレームに取り付けた刺繍枠のデータを検索する。ミシンは、検索したデータを用いて刺繍枠の枠域を演算し、表示する。
特開平3−146758号公報
ミシンの制御部は、通常、ミシン内部又はミシンを設置した台の下方に設ける。上記文献のミシンでは、バーコードリーダは水平移動可能な可動フレームに設ける。ミシンの制御部とバーコードリーダを接続する配線は、可動フレームの移動と共に移動する。故に、上記文献のミシンは、配線の取り回しが煩雑である。
本発明の目的は、光学式の情報読取り部を備え、配線の取り回しが容易なミシンと、該ミシンの制御方法を提供することにある。
請求項1のミシンは、縫針を下端に着脱可能、且つ上下動可能な針棒と、前記針棒よりも下方に設け、前記縫針が上下に通過可能な針穴を有し、水平方向に延びる上面を有する作業台と、縫製対象物を保持する保持体と、前記作業台の前記上面よりも上方に設け、前記保持体を着脱可能に構成し、装着した前記保持体を水平移動可能な第一移動機構と、前記縫製対象物に縫製可能な複数の模様の夫々を縫製する為の複数種類の縫製データを記憶する記憶部と、前記第一移動機構を駆動制御することで、前記保持体を移動する第一制御部とを備えたミシンにおいて、前記保持体に設け、前記複数の模様のうち何れか一つの模様に関する情報を示す指標部と、前記指標部が示す前記情報を読取り可能な光学式の情報読取り部とを備え、前記指標部は、前記保持体を前記第一移動機構に装着した時、下方向から認識可能に配置し、前記情報読取り部は、情報の読取り方向が上方向である状態で、前記作業台の前記上面よりも下方に配置し、前記第一制御部は、前記情報読取り部が前記指標部から読み取った前記情報に基づき、前記記憶部が記憶する前記複数種類の縫製データのうち、前記一つの模様に対応する縫製データに従って前記第一移動機構を駆動制御することを特徴とする。
前記ミシンでは、作業台の上面よりも下方に設けた光学式の情報読取り部は、保持体に設けた指標部の情報を下方から読み取る。第一制御部は、情報読取り部が読み取った情報に応じた縫製データに従って第一移動機構を駆動制御することで、保持体を移動する。前記ミシンは、第一移動機構に情報読取り部を設ける構成に比べ、配線の取り回しが容易である。
請求項2のミシンでは、前記保持体が予め定めた原点位置にある時、前記情報読取り部は、前記指標部から前記情報を読取る位置に配置することを特徴とする。該場合、ミシンは、保持体を原点位置に移動するだけで、指標部から情報を読み取ることができ、情報読取りに要する時間を短縮できる。
請求項3のミシンでは、前記記憶部は、予め定めた原点位置にある前記保持体を、前記情報読取り部が前記指標部から前記情報を読取る位置まで移動する為に必要な前記第一移動機構の駆動量を示す第一データを記憶し、前記第一制御部は、前記第一データに従って前記第一移動機構を駆動制御することを特徴とする。該場合、ミシンは、第一データに従って保持体を原点位置から情報を読み取る位置まで移動することで、迅速に情報の読取りを行うことができる。
請求項4のミシンは、前記情報読取り部を水平移動可能な第二移動機構と、前記第二移動機構を駆動制御することで、前記情報読取り部を移動する第二制御部とを更に備え、前記記憶部は、初期位置にある前記情報読取り部を、前記情報読取り部が前記指標部から前記情報を読取る位置まで移動する為に必要な前記第二移動機構の駆動量を示す第二データを記憶し、前記第二制御部は、前記第二データに従って前記第二移動機構を駆動制御することを特徴とする。該場合、ミシンは、第二データに従って情報読取り部を初期位置から情報を読み取る位置まで移動することで、迅速に情報の読取りを行うことができる。
請求項5のミシンでは、前記情報読取り部は、前記作業台に形成した穴又は透明部を通して、上方に配置した前記指標部の前記情報を読み取ることを特徴とする。該場合、情報読取り部を作業台の側方に設ける構成に比べ、ミシンは全体の構成を小型化できる。情報読取り部は、作業台の側方にある時に比べ、作業者の邪魔にならない。
請求項6のミシンでは、保持体は、板状の下板と、前記下板の上方に配置し、前記下板との間に前記縫製対象物を挟んだ状態で少なくとも一部を前記下板に装着可能に構成した、板状の上板とを備え、前記指標部は、前記下板に対向する前記上板の下面に設け、前記下板は、少なくとも前記指標部が対向する位置に、前記指標部を下方向から認識可能とする貫通穴、切欠、透明部のうち何れか一つを有することを特徴とする。該場合、指標部は上板の下面にあるが、貫通穴、切欠、又は透明部を通して下板の下方から認識可能である。指標部は、保持体が移動しても、作業台との摩擦で損傷することがない。
請求項7のミシンでは、保持体は、上面に前記縫製対象物を配置する、少なくとも一部が透明で板状の下板を少なくとも備え、前記指標部は、前記下板の透明部分の前記上面に、前記下板の下方向から認識可能に設けたことを特徴とする。該場合、指標部は下板の上面にあるが、透明部分を通して下板の下方から認識可能である。指標部は、保持体が移動しても、作業台との摩擦で損傷することがない。
請求項8のミシンの制御方法は、縫針を下端に着脱可能、且つ上下動可能な針棒と、前記針棒よりも下方に設け、前記縫針が上下に通過可能な針穴を有し、水平方向に延びる上面を有する作業台と、縫製対象物を保持する保持体と、前記作業台の前記上面よりも上方に設け、前記保持体を着脱可能に構成し、装着した前記保持体を水平移動可能な第一移動機構と、前記縫製対象物に縫製可能な複数の模様の夫々を縫製する為の複数種類の縫製データを記憶する記憶部と、前記保持体を前記第一移動機構に装着した時、下方向から認識可能に前記保持体に設け、前記複数の模様のうち何れか一つの模様に関する情報を示す指標部と、情報の読取り方向が上方向である状態で、前記作業台において、前記上面よりも下方に配置し、前記指標部が示す前記情報を読取り可能な光学式の情報読取り部とを備えたミシンが実行する制御方法であって、前記情報読取り部が前記指標部から読み取った前記情報を取得するステップと、取得した前記情報に基づき、前記記憶部が記憶する前記複数種類の縫製データのうち、前記一つの模様に対応する縫製データを特定するステップと、特定した前記縫製データに従って前記第一移動機構を駆動制御することで、前記保持体を移動するステップとを含むことを特徴とする。
前記制御方法を実行するミシンは、作業台の上面よりも下方に設け、且つ、保持体に設けた指標部の情報を下方から読み取る光学式の情報読取り部を備える。ミシンは、前記制御方法を実行することで、情報読取り部が読み取った情報に応じた縫製データに従って第一移動機構を駆動制御することで、保持体を移動する。前記ミシンは、第一移動機構に情報読取り部を設ける構成に比べ、配線の取り回しが容易である。
ミシン1の斜視図。 取付部70を保持体支持部65に取り付けたミシン1の一部と保持体80の斜視図。 上板82が離間位置にある保持体80の平面図。 ミシン1のブロック図。 第一実施形態の縫製処理の流れ図。 ミシン20の斜視図。 ミシン20のブロック図。 第二実施形態の縫製処理の流れ図。 変形例の保持体800の平面図。 別の変形例の保持体830の平面図。
図1〜図10を参照し、本発明の第一実施形態を説明する。図1の上側、下側、左斜め下側、右斜め上側、左斜め上側、右斜め下側は夫々ミシン1の上側、下側、前側、後側、左側、右側である。
図1〜図3を参照し、ミシン1の全体構造と保持体60、80を説明する。図1に示す如く、ミシン1はベッド部2、脚柱部3、アーム部4を備える。ベッド部2はテーブル95上に配置する。ベッド部2は前後方向に延び、内部に垂直釜(垂直回転釜/揺動釜、図示略)等を備える。脚柱部3はベッド部2後側から上方に延びる。脚柱部3は内部にミシンモータ112(図4参照)等を備える。アーム部4は脚柱部3上端からベッド部2の上面に対向して前方に延び、前端に前端部7を備える。アーム部4は内部に主軸、針棒駆動機構(図示略)等を備える。針棒10は前端部7の下端から下方へ延びる。縫針11は針棒10の下端に着脱可能である。
ミシン1はテーブル95上に設けた操作パネル8を備える。操作箱30はケーブル9を介して操作パネル8に接続可能である。操作パネル8、操作箱30は夫々、各種情報、各種指示を入力する為のキー群と情報表示用のディスプレイを備える。作業者は情報又は指示を入力する時、操作パネル8又は操作箱30を使用する。ミシン1は、テーブル95下方に制御装置100(図4参照)を格納する制御箱(図示略)を備える。操作パネル8はコード(図示略)を介して制御箱に接続する。
ミシン1はベッド部2の上方に作業台5と移動機構6を備える。作業台5は針棒10よりも下方に位置し、水平方向に延びる上面を有する。作業台5は針板501を備える。針板501上面と作業台5上面は略同一高さである。針板501は、針棒10に装着した縫針11直下の位置に縫針11が挿通可能な針穴502を有する。作業台5は、針板501の左前方に貫通穴506を有する。貫通穴506は、例えばガラス又は樹脂製の透明板507で塞ぐ。バーコードリーダ50は、情報の読取り方向が上方向である(読取り面が上面にある)状態で、作業台5の透明板507の下方に配置する。バーコードリーダ50は、透明板507上に下向きに配置したバーコードを、貫通穴506を通して読取り可能である。バーコードリーダ50は作業台5下方で制御箱に接続する。
移動機構6は、保持体支持部65、支持部67、X軸移動機構(図示略)、腕部68、Y軸移動機構(図示略)を備える。保持体支持部65は、作業台5よりも上方にあり、保持体60、取付部70(図2参照)等を着脱可能な構成を有する。支持部67は左右方向に延び、保持体支持部65をX軸方向(左右方向)に移動可能に支持する。X軸移動機構はベッド部2の内部に設ける。X軸移動機構は、X軸モータ114(図4参照)を駆動源として、保持体支持部65をX軸方向へ移動する。支持部67後側に連結する腕部68は、脚柱部3内に設けたY軸移動機構に接続する。Y軸移動機構はY軸モータ116(図4参照)を駆動源として、腕部68をY軸方向(前後方向)へ移動する。支持部67は、腕部68の移動に伴いY軸方向へ移動する。保持体支持部65は、支持部67と共にY軸方向へ移動する。
保持体60は、下板61と上板62を備える。下板61、上板62は、例えば金属製又は樹脂製である。下板61は水平方向に配置した板状部材であり、平面視矩形状の開口を有する。下板61の後端は螺子(図示略)で保持体支持部65下部に固定する。上板62は、下板61の開口と略同一形状の開口を有する矩形枠状の板部材である。上板62は、側面視L字状の連結部63下端に連結する。連結部63は、保持体支持部65に設けた昇降レバー(図示略)に連結し、エアシリンダ69の駆動に応じて上下動する。連結部63の下降に伴い上板62は下降し、上板62と下板61は縫製対象物を上下から挟んで保持する。
保持体60は保持体支持部65から取り外し可能である。図2に示す如く、作業者は、保持体60に代えて、取付部70を保持体支持部65に装着することができる。取付部70は、保持体60と異なる種類の保持体80等を着脱可能な構成を有する。取付部70は、本体部71、エアシリンダ73、左右一対の連結部74、左右一対の把持部75、二つの保持体センサ76、支持板78を備える。
本体部71は左右方向に延びる。本体部71の左右両端部は、夫々前端から後方へ向けて平面視U字状に形成した支持溝72を有する。支持溝72は、後述の保持体80のピン811が嵌まる溝である。エアシリンダ73は、本体部71上面の左右方向中央部に設ける。尚、作業者は、保持体60に代えて取付部70を保持体支持部65に装着する時、エアシリンダ69に接続するエアチューブ(図示略)を取り外し、エアシリンダ73に付け替える。連結部74は、エアシリンダ73の左右両端から夫々左右に延びる。
把持部75の一端部は、連結部74の先端部に回動可能に連結する。把持部75の他端部は鉤状を呈する。把持部75は、本体部71の左右両端部の下方に夫々配置する。把持部75は中央部で本体部71に回動可能に固定する。エアシリンダ73の駆動に応じて一対の連結部74が夫々左右に移動すると、把持部75は本体部71の固定位置を中心に回動する。詳細は後述するが、把持部75は、支持溝72が本体部71前方に開放した状態となる開放位置と、支持溝72前端を塞ぐ把持位置に回動する。
二つの保持体センサ76は、夫々本体部71左右両端部よりも中央側に設ける。保持体センサ76は周知の近接センサであり、所定の検出範囲内で物体を検出するとON状態となる。支持板78は、取付部70に装着した保持体を下方から支持する為の、水平方向に配置した板部材である。支持板78後端部は本体部71下部に固定する。
保持体80は、矩形板状の下板81、下板81よりも小さい矩形板状の上板82を備える。本実施形態の下板81、上板82は金属製である。上板82は下板81の上方に配置し、後端の二箇所を蝶番812で下板81に固定する。上板82は、蝶番812を介して、上板82の下面と下板81の上面が接触する接触位置(図2参照)と、上板82の下面と下板81の上面が離間する離間位置(図3参照)の間で回動可能である。
下板81は、一対のピン811と検出板部810を有する。一対のピン811は、下板81後端部の左右両端部近傍に設け、下板81の上面から上方へ突出する。検出板部810は左右のピン811より中央側に設け、下板81後端に沿って下板81から僅かに上方へ延びる。検出板部810の左右方向の長さは、少なくとも二つの保持体センサ76を配置する位置に対応する。
図3に示す如く、下板81は、窪み部814、貫通穴815、貫通穴813を有する。窪み部814は、下板81の上面から下面へ向けて窪んだ部分であり、接触位置にある上板82と重なる領域Rの中央部にある。矩形状の貫通穴815は、窪み部814内に設け、窪み部814を上面から下面へ向けて貫通した部分である。矩形状の貫通穴813は、領域Rの左前端部に設ける。保持体80は、特定形状を有する縫製対象物に特定の模様を縫製する時に使用する部材である。故に、窪み部814は、縫製対象物の特定形状に対応する形状を有する。作業者は、窪み部814に縫製対象物を嵌め込むことで、縫製中の縫製対象物の位置ずれを防ぐ。貫通穴815は、縫製時に縫針11が通過する穴である。貫通穴813は、作業台5の貫通穴506(図1参照)と同じ大きさの穴である。
下板81は、領域Rの前端中央部で内部に埋め込んだ磁石818を備える。上板82が接触位置にある時、金属性の上板82は磁石818で下板81に装着する。故に、上板82は、窪み部814に配置した特定形状の縫製対象物を下板81との間に挟み、上方から押えることができる。
上板82は、中央部に特定の模様(図3の例は星型模様)に対応する形状の貫通穴821を有する。貫通穴821は、縫製時に縫針11が通過する穴であり、上板82が接触位置にある時、下板81の貫通穴815と重なる位置にある。上板82は、下面(上板82が接触位置にある時、下板81の上面と接触する面)の左前端部に貼り付けたバーコードラベル822を有する。バーコードラベル822は、特定の模様の識別情報を示すバーコード823を印刷したラベルである。バーコードラベル822のバーコード823の印刷面は下向きに配置する。バーコード823は、上板82が接触位置にある時、貫通穴813に対向する位置にある。故に、上板82が接触位置にある時、バーコード823は、貫通穴813を通して下方から認識可能である。
バーコードラベル822は、保持体80を装着した保持体支持部65が後述の原点位置にある時、バーコードリーダ50と特定の位置関係を満たす予め定めた保持体80の特定位置に貼り付ける。本実施形態では、バーコード823は、保持体支持部65が原点位置にある時、バーコードリーダ50(図1参照)に対向する位置に配置する。作業台5に埋め込んだバーコードリーダ50の針穴502に対する位置は固定である。保持体支持部65が原点位置にある時の保持体80における針穴502の真上位置(基準位置)は、保持体80のピン811の位置に応じて特定できる。故に、基準位置に対する特定位置は、針穴502に対するバーコードリーダ50の位置に応じて特定できる。
図4を参照しミシン1の電気的構成を説明する。ミシン1の制御装置100はCPU101、ROM102、RAM103、記憶装置104、入出力インターフェース(I/F)106、駆動回路113、115、117、電磁弁77、通信I/F127を備える。CPU101、ROM102、RAM103、記憶装置104はバス105を介して入出力I/F106に電気的に接続する。CPU101はミシン1の制御を司り、ROM102が記憶する各種プログラムに従って、縫製に関わる各種演算と処理を実行する。ROM102は各種プログラム、各種初期設定パラメータ等を記憶する。RAM103はCPU101の演算結果、ポインタ、カウンタ等を一時的に記憶する。不揮発性の記憶装置104は、複数の模様(縫目線、縫目模様、刺繍模様等)の縫製データ、作業者が入力した各種設定情報等を記憶する。
縫製データは、模様を縫製する為の複数の針落ち点が順に縫針11の直下に位置するように、保持体支持部65を移動する為のデータである。針落ち点は、針棒10と共に縫針11が下方に移動した時に縫針11が刺さる縫製対象物上の予定位置である。本実施形態の縫製データは、保持体支持部65を原点位置から順に針落ち点に対応する位置へ移動する為の、X軸モータ114、Y軸モータ116の夫々の駆動パルス数(回転方向を含む)を順に並べたデータである。本実施形態では、保持体支持部65の原点位置は、保持体60を装着した時、保持体60(詳細には上板62の開口内側の領域)の中心点が縫針11の直下にある位置(保持体60の中心点が針穴502の真上にある位置)である。保持体支持部65が原点位置にある時、保持体60、80も原点位置にある。保持体支持部65の原点位置は、本実施形態の例に限らず、保持体80の他の位置が針穴502の真上にある位置、保持体支持部65が可動範囲のうち左右方向の中心、且つ最も後方にある位置等、その他の位置に定めてもよい。X軸プラス方向はミシン1の右へ向かう方向である。Y軸プラス方向はミシン1の後ろへ向かう方向である。
駆動回路113、115、117は入出力I/F106に電気的に接続する。駆動回路113はミシンモータ112に電気的に接続する。CPU101は駆動回路113を介してミシンモータ112を制御する。ミシンモータ112は主軸を回転駆動する。駆動回路115はX軸モータ114に電気的に接続する。駆動回路117はY軸モータ116に電気的に接続する。CPU101は駆動回路115、117を介してX軸モータ114、Y軸モータ116を夫々制御する。X軸モータ114、Y軸モータ116は夫々パルスモータであり、X軸移動機構、Y軸移動機構を駆動することで、保持体60をX軸方向、Y軸方向に移動する。CPU101は縫製時にミシンモータ112を駆動して主軸を回転駆動することで、針棒10、押え棒12の上下動と垂直釜の駆動を制御する。CPU101は、ミシンモータ112の駆動と同時に縫製データに基づきX軸モータ114、Y軸モータ116を駆動することで、移動機構6を駆動制御し、縫製対象物上に縫製を行う。
電磁弁77は、CPU101からの制御信号に従って開閉する。CPU101は、電磁弁77を用いて、エアチューブ(図示略)を介したエアシリンダ69、73への吸気、エアシリンダ69、73からの排気を制御する。
通信I/F127は入出力I/F106に電気的に接続する。通信I/F127は例えばシリアル通信用のインターフェースである。ミシン1は通信I/F127を介して外部機器に接続可能である。本実施形態では操作箱30は通信I/F127に接続する。
X方向原点センサ118、Y方向原点センサ119、起動スイッチ121、押えスイッチ122、バーコードリーダ50、保持体センサ76、操作パネル8は、夫々入出力I/F106に電気的に接続する。X方向原点センサ118は原点設定用の周知の構成のセンサであり、X軸移動機構(図示略)に設ける。Y方向原点センサ119は原点設定用の周知の構成のセンサであり、Y軸移動機構(図示略)に設ける。詳細は後述するが、ミシン1は、X方向原点センサ118、Y方向原点センサ119を用いて、縫製開始前に保持体支持部65を原点位置へ移動する。
起動スイッチ121、押えスイッチ122は、夫々テーブル95下方に設置し、制御装置100にコードで接続するペダル式スイッチである。作業者は、ミシン1の各種動作(例えば縫製動作)をする時に起動スイッチ121を踏み込むことでON状態にする。作業者は、エアシリンダ69(図1参照)を介して保持体60を下降する時、又はエアシリンダ73を介して取付部70の把持部75を把持位置に回動する時、押えスイッチ122を踏み込むことでON状態にする。
バーコードリーダ50は、CPU101からの制御信号を受けて、バーコード823から情報を読取り、読取り信号を出力する。CPU101は、読取り信号を認識する。保持体センサ76は、保持体60の検出板部810(図2参照)が検出範囲内に進入したことを検出すると、検出信号を出力する。CPU101は、検出信号を認識する。
図5を参照し、ミシン1の縫製処理について説明する。作業者はまず、保持体60に代えて、取付部70(図2参照)を保持体支持部65に取り付ける。作業者は、操作パネル8から、ミシン1が取付部70を用いて縫製を実行するモードを設定する。作業者が設定を終了すると、CPU101は図5の縫製処理を開始する。具体的には、CPU101は、記憶装置104が記憶するプログラムをRAM103に読み出し、プログラムが含む指示に従って次の処理を実行する。
CPU101はまず、保持体センサ76がON状態であるか否か、即ち、二つの保持体センサ76からの検出信号を認識したか否か判断する(S1)。CPU101は、保持体センサ76がON状態でなければ待機する(S1:NO、S1)。図2に示す如く、作業者は、保持体80の後端部を取付部70へ向け、下板81が支持板78上にある状態とする。作業者は、本体部71の左右両端部にある支持溝72に、下板81の一対のピン811を嵌める。検出板部810は保持体センサ76の検出範囲に進入するので、CPU101は、二つの保持体センサ76からの検出信号を認識する(S1:YES)。
CPU101は、押えスイッチ122がON状態であるか否か、即ち、把持部75を把持位置へ回動する指示を受け付けたか否か判断する(S2)。CPU101は、押えスイッチ122がON状態でなければ待機する(S2:NO、S2)。作業者が押えスイッチ122を踏み込むと、CPU101は、押えスイッチ122がON状態であると判断する(S2:YES)。CPU101は、電磁弁77を開閉制御することで、エアシリンダ73を駆動する。把持部75は、エアシリンダ73の駆動に応じて開放位置から把持位置へ回動する。把持部75は、把持位置へ回動することで、支持溝72に嵌まったピン811を把持する(S3)。
CPU101は、起動スイッチ121がON状態であるか否か、即ち、縫製動作を開始する指示を受け付けたか否か判断する(S4)。尚、本実施形態では、CPU101は縫製前にバーコード823から識別情報を読み取る処理を自動的に行うので、上記指示は、バーコード823から識別情報を読み取る指示でもある。CPU101は、起動スイッチ121がON状態でなければ待機する(S4:NO、S4)。作業者が起動スイッチ121を踏み込むと、CPU101は、起動スイッチ121がON状態であると判断する(S4:YES)。
CPU101は、X軸モータ114、Y軸モータ116を駆動することで、保持体支持部65を原点位置に移動する(S5)。具体的には、CPU101は、次の処理を行う。X方向原点センサ118とY方向原点センサ119(図4参照)は、保持体支持部65が原点位置に到達した時、検出信号を出力する。CPU101は、駆動回路115、117を介してX軸モータ114、Y軸モータ116に一パルスずつ与えることで、保持体支持部65を移動する。CPU101は、X方向原点センサ118とY方向原点センサ119からの検出信号を認識した時、保持体支持部65の原点位置への移動が完了したと判断し、保持体支持部65の移動を終了すればよい。
上述の如く、保持体支持部65が原点位置に到達すると、バーコード823は、貫通穴813を通してバーコードリーダ50(図1参照)の読取り面に対向する。CPU101は、バーコードリーダ50に制御信号を送信する。バーコードリーダ50は、バーコード823から特定の模様の識別情報を読取り、識別情報に応じた読取り信号を出力する(S10)。CPU101は、読取り信号に応じて、記憶装置104から、識別情報に対応する特定の模様の縫製データをRAM103に取得する(S15)。
CPU101は、縫製データに従って、特定の模様の縫製を行う(S16)。具体的には、CPU101は、作業者が設定した回転速度でミシンモータ112を駆動して主軸を回転駆動することで、針棒10の上下動と垂直釜の駆動を制御する。CPU101は、主軸の回転駆動と同期した速度で、縫製データが示す回転方向、駆動パルス数のパルスをX軸モータ114、Y軸モータ116に与えることで、保持体支持部65を移動する。ミシン1は該動作で縫製データに従って順に縫製対象物に縫目を形成することで、バーコード823の識別情報に対応する特定の模様を縫製する。
CPU101は、特定の模様の縫製を終了すると、電磁弁77を開閉制御することで、エアシリンダ73を駆動する。把持部75は、エアシリンダ73の駆動に応じて把持位置から開放位置へ回動する。把持部75は、開放位置へ回動することで、ピン811の把持を解除する(S17)。作業者は、保持体80を取付部70から取り外す。CPU101は、S1の処理に戻る。作業者は保持体80に装着した縫製対象物を交換し、又は別の保持体80を用意して、ピン811を支持溝72に嵌める。保持体センサ76はON状態になる(S1:YES)。作業者が他のモードを設定するまで、又は電源スイッチ(図示略)がOFFになるまで、CPU101は上述の処理を繰り返す。
以上説明した如く、ミシン1は、作業台5の上面よりも下方に設けたバーコードリーダ50を備える。バーコードリーダ50は、保持体80に設けたバーコード823が示す特定の模様の識別情報を下方から読み取る。CPU101は、識別情報に応じた縫製データに従って移動機構6を駆動制御することで、保持体80を移動する。故にミシン1は、操作パネル8、操作箱30等の入力機器から模様を特定する指示を受け付けなくても、バーコード823が示す情報に応じた模様を縫製できる。
ミシン1は、例えば、前端部7又は保持体支持部65(取付部70)にバーコードリーダ50を設ける構成に比べ、配線の取り回しが容易である。本実施形態では、テーブル95下方に制御装置100(図4参照)を格納する制御箱(図示略)がある。故に、前端部7にバーコードリーダ50を設ける構成は、より長い配線が必要となる。取付部70は、既にエアシリンダ73用のエアチューブ(図示略)と保持体センサ76の配線(図示略)を備える。故に、取付部70に更にバーコードリーダ50を設ける構成は、配線の処理が煩雑になる。本実施形態のミシン1は、バーコードリーダ50を作業台5下方に備えるので、上記例に比べて配線は短くでき、且つ配線の処理も容易である。
バーコードリーダ50は、作業台5に形成した貫通穴506の下方に配置する。故に、ミシン1は、バーコードリーダ50を前端部7又は作業台5の側方に設ける構成に比べ、全体の構成を小型化できる。バーコードリーダ50は、前端部7又は作業台5の側方から突出しないので、作業者の縫製作業の邪魔にならない。バーコードリーダ50の情報読取り面の上に配置した透明板507は、読取り面に糸屑等の汚れが付着するのを防止できる。故にミシン1は、バーコードリーダ50の読取り精度を良好に維持できる。
バーコードラベル822のバーコード823は、保持体支持部65が原点位置にある時、貫通穴813を通してバーコードリーダ50(図1参照)に対向する特定位置にある。故に、ミシン1は、縫製データに従った縫製を開始する為に保持体支持部65を原点位置に移動するだけで、バーコード823からの情報読取りが可能となる。故にミシン1は、原点位置以外の任意の位置でバーコード823からの情報を読み取る場合に比べ、情報読取りに要する時間を短縮できる。
バーコードラベル822は、バーコード823下方からの認識が可能な状態で上板82の下面に貼り付ける。故に、保持体80が移動しても、バーコードラベル822は、作業台5との摩擦に起因して剥離したり、損傷したりすることがない。故にミシン1は、バーコードリーダ50の読取り精度を良好に維持できる。
本実施形態では、保持体60とバーコード823は夫々本発明の「保持体」と「指標部」の一例である。保持体支持部65は「第一移動機構」の一例である。記憶装置104は「記憶部」の一例である。CPU101は「第一制御部」の一例である。バーコードリーダ50は「情報読取り部」の一例である。
図6〜図8を参照し、本発明の第二実施形態のミシン20を説明する。第二実施形態のミシン20は、第一実施形態のミシン1(図1参照)と大部分の構成が共通する。故に、ミシン1と同じ構成は同じ符号を付し、異なる構成のみを説明する。
ミシン20は、作業台5の上面より下方でバーコードリーダ50を移動可能な構成を有する。具体的には、図6に示す如く、作業台5は、前端部から後方へ延びるラック部材52を下方に備える。ラック部材52は、後部に歯部(図示略)を備え、前端部でバーコードリーダ50を支持する。バーコードリーダ50の上端(読取り面)は、作業台5よりも下方にある。バーコードリーダ50は、ラック部材52の移動に伴い、作業台5下方に完全に隠れる所定の初期位置と、作業台5前端から前方へ突出する突出位置(図6参照)の間で移動可能である。
図7に示す如く、ミシン20は、入出力I/F106に夫々電気的に接続する駆動回路54と初期位置センサ56、駆動回路54に電気的に接続するリーダ移動モータ55を更に備える。リーダ移動モータ55はパルスモータであり、出力軸に固定した小歯車(図示略)を備える。小歯車は、ラック部材52後部に形成した歯部と噛合する。CPU101からの制御信号に応じてリーダ移動モータ55が駆動すると、小歯車が回転する。故に、ラック部材52はバーコードリーダ50と共に前後方向に移動する。初期位置センサ56は、例えば周知の接触式センサであり、作業台5下方に設ける。バーコードリーダ50は、初期位置にある時、初期位置センサ56に接触する。初期位置センサ56は、接触を検知すると、検出信号を出力する。
本実施形態の記憶装置104は、バーコードリーダ50がバーコード823から識別情報を読取る情報読取り位置に関するデータを記憶する。具体的には、記憶装置104は次の二種類のデータ(第一データと第二データ)を記憶する。
第一データは、保持体支持部65を原点位置から情報読取り位置まで移動する為の、X軸モータ114、Y軸モータ116の駆動量を示すデータである。本実施形態の第一データは、X軸モータ114、Y軸モータ116の夫々の駆動パルス数(回転方向を含む)を示すデータである。情報読取り位置は、保持体支持部65が保持する保持体80のバーコード823が、突出位置にあるバーコードリーダ50に対向する時の保持体支持部65の位置である。本実施形態では、保持体80を装着した保持体支持部65が原点位置にある時、バーコード823は、突出位置にあるバーコードリーダ50からY軸プラス方向(後ろへ向かう方向)へ所定距離離れた保持体80の特定位置に配置する。故に、本実施形態の情報読取り位置は、保持体支持部65を原点位置からY軸マイナス方向(前へ向かう方向)へ所定量移動した位置である。即ち、CPU101は、保持体支持部65を原点位置から情報読取り位置へ移動する時、Y軸モータ116のみを駆動する。保持体80が情報読取り位置にある時、バーコードラベル822を含む保持体80の前端部分は、作業台5の前端よりも前方へ突出する。第二データは、バーコードリーダ50を初期位置から突出位置まで移動する為の、リーダ移動モータ55の駆動量を示すデータである。本実施形態の第二データは、リーダ移動モータ55の駆動パルス数(回転方向を含む)を示すデータである。
図8を参照し、第二実施形態の縫製処理を説明する。第二実施形態の縫製処理は、第一実施形態の縫製処理(図5参照)と大部分の処理が共通する。故に、第一実施形態と同じ処理は同じステップ番号を付し、異なる処理のみを説明する。
縫製処理開始からS1〜S4の処理は、第一実施形態と同じである。起動スイッチ121がON状態になると(S4:YES)、CPU101は、保持体支持部65を原点位置へ移動し、且つバーコードリーダ50を初期位置へ移動する(S7)。保持体支持部65の原点位置への移動方法は、第一実施形態のS5と同じである。CPU101は、駆動回路54を介してリーダ移動モータ55に一パルスずつ与えることで、ラック部材52と共にバーコードリーダ50を移動する。CPU101は、初期位置センサ56からの検出信号を認識した時、バーコードリーダ50の初期位置への移動が完了したと判断し、バーコードリーダ50の移動を終了すればよい。
CPU101は、記憶装置104が記憶する第一データと第二データに基づき、保持体支持部65を原点位置から情報読取り位置へ移動し、且つバーコードリーダ50を初期位置から突出位置へ移動する(S8)。その結果、保持体支持部65が保持する保持体80のバーコード823は、バーコードリーダ50の読取り面に対向する。CPU101は、バーコード823が示す識別情報を取得する(S10)。CPU101は、S7と同じ方法で、保持体支持部65を原点位置へ移動し、且つバーコードリーダ50を初期位置へ移動する(S11)。その後のS15〜S17の処理は、第一実施形態と同じである。
以上説明した如く、本実施形態では、バーコードリーダ50は、作業台5下方の初期位置と、作業台5前端から前方へ突出する突出位置の間で前後方向に移動可能である。保持体支持部65は、原点位置から情報読取り位置の間で前後方向に移動可能である。CPU101は、縫製開始前、第一データに従って保持体80を原点位置から情報読取り位置に移動し、且つ第二データに従ってバーコードリーダ50を初期位置から突出位置に移動する。故に、ミシン20は、迅速に情報の読取りを行うことができる。バーコードリーダ50は、情報読取り時以外は作業台5の下方にあるので、読取り面に糸屑等の汚れが付着するのを防止できる。故にミシン1は、バーコードリーダ50の読取り精度を良好に維持できる。ミシン20は、ミシン1と同じその他の効果も奏することができる。
本実施形態では、ラック部材52は、本発明の「第二移動機構」の一例である。CPU101は、「第二制御部」の一例である。
本発明は上記実施形態の他に種々の変更が可能である。例えば、取付部70を介して保持体支持部65に着脱可能な保持体は、上記実施形態の保持体80に限らない。図9、図10を参照し、取付部70を介して保持体支持部65に着脱可能な他の保持体の例を説明する。
図9に示す如く、保持体800は下板801と上板82を備える点で保持体80(図3参照)と同じである。下板801の構成は、保持体80の下板81(図3参照)の構成とほぼ同じであるが、次の点で異なる。下板801は、左前端部を矩形状に切り欠くことで形成した切欠部817を有する。切欠部817は、上板82が接触位置にある時、バーコード823と対向する領域を少なくとも含む。即ち、上板82が接触位置にある時、バーコード823は、切欠部817を通して下方から認識可能である。故に、作業者が保持体800を取付部70に装着した時も、ミシン1、20は、保持体80を装着した時と同様、バーコード823が示す識別情報に対応する特定模様を自動的に縫製できる。保持体800は、保持体80と同様、上板82の下面にバーコードラベル822を有する。故に、保持体800が移動しても、バーコードラベル822は、作業台5との摩擦に起因して剥離したり、損傷したりすることがない。
図10に示す如く、保持体830は、保持体80(図3参照)と異なり、下板802を備えるが、上板を備えない。下板802は、下板81(図3参照)と同様の矩形板状であり、検出板部810、一対のピン811、窪み部814、貫通穴815を有する。下板802は、全体を透明素材(例えば樹脂、ガラス)で形成する。バーコードラベル822は、下板802上面の特定位置(保持体支持部65が原点位置にある時、バーコードリーダ50に対向する位置)に貼り付ける。バーコード823の印刷面を下板802の下方から認識可能とする為に、バーコードラベル822は、印刷面が下板802上面に接触する向きで貼り付ける。
保持体830は一対の押え部材819を備える。一対の押え部材819は、例えば、基端部を下板802の左右両側に固定した板バネである。各押え部材819の先端部は、窪み部814に重なり且つ貫通穴815に重ならない位置に配置する。押え部材819は、窪み部814に嵌めた縫製対象物を上方から下板802に押し付けることで、縫製対象物を固定する。
作業者が保持体830を取付部70に装着した時も、ミシン1、20は、保持体80を装着した時と同様、バーコード823が示す識別情報に対応する特定模様を自動的に縫製できる。保持体830は、下板802の上面にバーコードラベル822を有する。故に、保持体830が移動しても、バーコードラベル822は、作業台5との摩擦に起因して剥離したり、損傷したりすることがない。
縫製対象物を上面に配置する下板81、801、802の下方からバーコード823が認識可能である限り、保持体80、800、830の構成はその他の変更も可能である。保持体80(図3参照)の貫通穴813は透明板で塞いでもよい。貫通穴813の大きさ、形状は変更可能である。保持体800(図9参照)の切欠部817の大きさ、形状も変更可能である。切欠部817は透明板で塞いでもよい。保持体80の下板81、保持体800の下板801は、全体を透明素材で形成してもよい。保持体830(図10参照)の下板802は、少なくともバーコードラベル822の貼付部分が透明であればよい。
同様に、バーコードリーダ50は、保持体80、800、830に設けたバーコード823を下方から読み取り可能であればよい。ミシン1のように、バーコードリーダ50が貫通穴506下方に固定配置する場合、貫通穴506は透明板507で塞がなくてもよい。作業台5は、全体が透明素材(例えばガラス、樹脂)の板状部材であってもよい。作業台5がある程度の厚みを有する場合、バーコードリーダ50は、作業台5上面から下方へ延びる穴に埋め込んでもよい。
下板81、801、802、上板82の形状は、矩形以外の形状(例えば円形、楕円形、台形等)であってもよい。下板81、801、802は、上面に縫製対象物を配置可能、且つ縫製時に縫針11が通過可能な貫通穴815を有する限り、窪み部814を備えなくてもよい。貫通穴815の位置、大きさ、形状は、模様に応じて変更可能である。上板82の貫通穴821の位置、大きさ、形状も、模様に応じて変更可能である。上板82は磁石を内蔵しなくてもよい。下板81、801、802、上板82は金属製でなく、例えば樹脂製でもよい。保持体830の押え部材819の数、位置、大きさ、形状は変更可能である。保持体830は、押え部材819に代えて板状の上板を備えてもよい。
特定の模様の識別情報を読取る機器は、光学式の情報読取り機器であればよい。例えば、ミシン1、20は、バーコードリーダ50に代えて二次元コードリーダを備えてもよい。該場合、保持体80、800、830は、バーコードラベル822に代えて特定の模様の識別情報を示す二次元コードを有すればよい。バーコード823又は二次元コードを保持体80、800、830に設ける方法は、ラベルとして貼り付ける方法以外に、例えば直接印刷する方法、刻印する方法等でもよい。
バーコードラベル822は、保持体80の特定位置に必ずしも配置しなくてもよい。該場合、第一実施形態のミシン1は、図5の縫製処理のS5〜S10において、保持体支持部65を駆動制御することで、バーコードリーダ50がバーコード823を読取り可能な位置に保持体80を移動すればよい。具体的には、CPU101は、保持体80をX軸方向(左右方向)、Y軸方向(前後方向)に微小距離ずつ移動し、バーコードリーダ50が出力した読取り信号を取得できたか否かを判断する処理を繰り返す。CPU101は、バーコードリーダ50が出力した読取り信号を取得できたら、S15の処理に進む。第二実施形態のミシン20は、図8の縫製処理のS8〜S10において、バーコードリーダ50を突出位置に移動した後、バーコードリーダ50が読取り信号を出力するまで、上記と同様の処理で保持体80を移動すればよい。
第一実施形態のミシン1は、作業台5を透明板で形成し、バーコードリーダ50を作業台5の下方でX軸方向とY軸方向の両方に移動可能な構成としてもよい。該場合、バーコード823が保持体80の任意の位置に配置されていても、ミシン1は、バーコードリーダ50をX軸方向(左右方向)、Y軸方向(前後方向)に微小距離ずつ移動することで、バーコード823が示す情報を読み取ることができる。
針穴502に対するバーコードリーダ50の配置位置は、図1の例に限らない。例えばバーコードリーダ50は、図6に示す突出位置に固定してもよい。該場合、CPU101は、図8の縫製処理のS7〜S8、S11でバーコードリーダ50を移動せず、第一データに従って保持体支持部65のみを駆動制御すればよい。
第一、第二実施形態の縫製処理(図5、図8参照)では、取付部70の保持体センサ76が保持体80の装着を検出し、且つ押えスイッチ122がON状態になると、CPU101は把持部75でピン811を把持する(図5、図8のS1〜S3)。CPU101は、S2の処理を行わず、保持体センサ76が保持体80の装着を検出したら(S1:YES)、自動的に把持部75でピン811を把持してもよい(S3)。更に、CPU101はS4の処理を行わず、自動的にS5の処理に進んでもよい。即ち、CPU101は、保持体センサ76が保持体80の装着を検出したら(S1:YES)、自動的にバーコード823の識別情報を読取って(S5)、特定模様を縫製してもよい(S15〜S16)。取付部70は保持体センサ76を備えなくてもよい。該場合、CPU101は、縫製処理のS1は行わず、押えスイッチ122がON状態になったら(S2:YES)、把持部75でピン811を把持すればよい(S3)。
縫製データ、第一データ、第二データは、記憶装置104でなくROM102に記憶してもよい。縫製データ、第一データ、第二データは、記憶装置104とROM102に分散して記憶してもよい。縫製データ、第一データ、第二データは、ミシン1、20に接続した外部記憶装置に記憶してもよい。作業者は、把持部75を把持位置へ回動する指示、縫製開始(情報読取り開始)の指示等を、押えスイッチ122、起動スイッチ121からでなく、操作パネル8又は操作箱30から入力してもよい。
1、20 ミシン
5 作業台
10 針棒
11 縫針
50 バーコードリーダ
52 ラック部材
65 保持体支持部
80、800、830 保持体
81、801、802 下板
82 上板
101 CPU
104 記憶装置
506 貫通穴
507 透明板
823 バーコード
813 貫通穴
816 透明板
817 切欠部

Claims (8)

  1. 縫針を下端に着脱可能、且つ上下動可能な針棒と、
    前記針棒よりも下方に設け、前記縫針が上下に通過可能な針穴を有し、水平方向に延びる上面を有する作業台と、
    縫製対象物を保持する保持体と、
    前記作業台の前記上面よりも上方に設け、前記保持体を着脱可能に構成し、装着した前記保持体を水平移動可能な第一移動機構と、
    前記縫製対象物に縫製可能な複数の模様の夫々を縫製する為の複数種類の縫製データを記憶する記憶部と、
    前記第一移動機構を駆動制御することで、前記保持体を移動する第一制御部とを備えたミシンにおいて、
    前記保持体に設け、前記複数の模様のうち何れか一つの模様に関する情報を示す指標部と、
    前記指標部が示す前記情報を読取り可能な光学式の情報読取り部とを備え、
    前記指標部は、前記保持体を前記第一移動機構に装着した時、下方向から認識可能に配置し、
    前記情報読取り部は、情報の読取り方向が上方向である状態で、前記作業台の前記上面よりも下方に配置し、
    前記第一制御部は、前記情報読取り部が前記指標部から読み取った前記情報に基づき、前記記憶部が記憶する前記複数種類の縫製データのうち、前記一つの模様に対応する縫製データに従って前記第一移動機構を駆動制御することを特徴とするミシン。
  2. 前記保持体が予め定めた原点位置にある時、前記情報読取り部は、前記指標部から前記情報を読取る位置に配置することを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  3. 前記記憶部は、予め定めた原点位置にある前記保持体を、前記情報読取り部が前記指標部から前記情報を読取る位置まで移動する為に必要な前記第一移動機構の駆動量を示す第一データを記憶し、
    前記第一制御部は、前記第一データに従って前記第一移動機構を駆動制御することを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  4. 前記情報読取り部を水平移動可能な第二移動機構と、
    前記第二移動機構を駆動制御することで、前記情報読取り部を移動する第二制御部とを更に備え、
    前記記憶部は、初期位置にある前記情報読取り部を、前記情報読取り部が前記指標部から前記情報を読取る位置まで移動する為に必要な前記第二移動機構の駆動量を示す第二データを記憶し、
    前記第二制御部は、前記第二データに従って前記第二移動機構を駆動制御することを特徴とする請求項1又は3に記載のミシン。
  5. 前記情報読取り部は、前記作業台に形成した穴又は透明部を通して、上方に配置した前記指標部の前記情報を読み取ることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載のミシン。
  6. 保持体は、
    板状の下板と、
    前記下板の上方に配置し、前記下板との間に前記縫製対象物を挟んだ状態で少なくとも一部を前記下板に装着可能に構成した、板状の上板とを備え、
    前記指標部は、前記下板に対向する前記上板の下面に設け、
    前記下板は、少なくとも前記指標部が対向する位置に、前記指標部を下方向から認識可能とする貫通穴、切欠、透明部のうち何れか一つを有することを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載のミシン。
  7. 保持体は、上面に前記縫製対象物を配置する、少なくとも一部が透明で板状の下板を少なくとも備え、
    前記指標部は、前記下板の透明部分の前記上面に、前記下板の下方向から認識可能に設けたことを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載のミシン。
  8. 縫針を下端に着脱可能、且つ上下動可能な針棒と、
    前記針棒よりも下方に設け、前記縫針が上下に通過可能な針穴を有し、水平方向に延びる上面を有する作業台と、
    縫製対象物を保持する保持体と、
    前記作業台の前記上面よりも上方に設け、前記保持体を着脱可能に構成し、装着した前記保持体を水平移動可能な第一移動機構と、
    前記縫製対象物に縫製可能な複数の模様の夫々を縫製する為の複数種類の縫製データを記憶する記憶部と、
    前記保持体を前記第一移動機構に装着した時、下方向から認識可能に前記保持体に設け、前記複数の模様のうち何れか一つの模様に関する情報を示す指標部と、
    情報の読取り方向が上方向である状態で、前記作業台において、前記上面よりも下方に配置し、前記指標部が示す前記情報を読取り可能な光学式の情報読取り部とを備えたミシンが実行する制御方法であって、
    前記情報読取り部が前記指標部から読み取った前記情報を取得するステップと、
    取得した前記情報に基づき、前記記憶部が記憶する前記複数種類の縫製データのうち、前記一つの模様に対応する縫製データを特定するステップと、
    特定した前記縫製データに従って前記第一移動機構を駆動制御することで、前記保持体を移動するステップとを含むことを特徴とするミシンの制御方法。
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