JP2014157171A - コンタクトレンズ保存ケース - Google Patents

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Abstract

【課題】収容凹所に収容されたコンタクトレンズの内外面に対して保存液を接触させることができると共に、コンタクトレンズの取出時の汚染付着防止性や操作性の向上を図ることができ、さらに、蓋体によるレンズ保持安定性の確保と保存液の漏れ出し防止対策を、有利に図ることができる、改良されたコンタクトレンズ保存ケースを提供すること。
【解決手段】蓋体16には、容器本体14への装着状態で、収容凹所12に入り込んで保存液20の液面72より下方に入り込む下方突部44が設けられている一方、下方突部44には、コンタクトレンズ18の内面58を覆蓋し内面58との間に閉状の保存液充填領域76を画成することでコンタクトレンズ18を吸着保持して開蓋可能にする吸着保持部54が設けられており、吸着保持部54と収容凹所12の周壁内面との隙間を狭窄する狭窄突部32aを設けた。
【選択図】図6

Description

本発明は、コンタクトレンズ、特に常用型や定期交換型の含水性のソフトコンタクトレンズを保存液に浸漬せしめて保存する、コンタクトレンズ保存ケースに関するものである。
よく知られているように、常用型や定期交換型の含水性のソフトコンタクトレンズは、装用者の眼球から取り外されて、次に装着されるまでの間、殺菌成分等を含む生理食塩水等の保存液中に浸漬した状態で保存して、コンタクトレンズを乾燥や汚染から防御する必要がある。このような保存液とコンタクトレンズを簡便に収容保存できる構造体として、コンタクトレンズ保存ケースが従来から広く用いられている。このようなコンタクトレンズ保存ケースは、例えば、特開2002−6274号公報(特許文献1)に記載されているように、保存液とコンタクトレンズを収容する収容凹所を備えた容器本体と、収容凹所の上方開口部に装着されて該上方開口部を覆蓋する蓋体とを含む構造とされており、コンタクトレンズがその内面を上方に向けられた状態で保存液中に浸漬されて、密閉保存されるようになっている。
ところで、装用者がコンタクトレンズ保存ケースからコンタクトレンズを取り出して眼球上に装着するためには、例えば、以下のような操作が必要となる。先ず、コンタクトレンズ保存ケースの収容凹所内に一方の手の人差指を挿入して、上方に向けられたコンタクトレンズの内面を人差指の腹で押さえつつ、収容凹所の底面に沿ってスライドさせる。コンタクトレンズを収容凹所の上方開口部までスライド移動させ、コンタクトレンズを親指と人差指の間で把持して外部に取り出す。その後、他方の手の人差指の腹に一方の手の親指と人差指の間で把持したコンタクトレンズを、その外面が下方(人差指の腹側)に向くように置き換える一方、当該人差指を装用者の眼球上に接近させて、コンタクトレンズの内面を装用者の眼球上に涙液を介して被着させることにより、コンタクトレンズが眼球上に装着されるのである。
ところが、このような従来構造のコンタクトレンズ保存ケースでは、衛生面や操作性の観点から、様々な問題を招来することが指摘されていた。具体的には、コンタクトレンズ保存ケースからコンタクトレンズを取り出す際に、上述のとおり、コンタクトレンズの内面に指が触れることが避けられない。従って、角膜表面に直接接触するコンタクトレンズの内面が指に付着した雑菌等により汚染され、コンタクトレンズの汚れや目の炎症等が発生するおそれがあった。また、狭い収容凹所内に指を挿入してコンタクトレンズの取り出し操作をする際に、コンタクトレンズの内面や外周縁部を爪でひっかき破損させるおそれもあった。さらに、収容凹所の上方開口部から一方の手の指で摘まんで外部に取り出したコンタクトレンズを、他方の手の指の腹に載せ替える操作は、煩雑であると共に、コンタクトレンズの内面および外面の広い範囲が指に接触されることとなり、せっかく保存液内で清浄に保たれたコンタクトレンズが、広い領域で汚染されるおそれがあった。
このような問題に対処すべく、特公昭52−35540号公報(特許文献2)には、収容凹所の上方開口部を覆蓋する蓋体に球状の支持部材を突設して、球状支持部材の先端面にコンタクトレンズを密接に吸着させた状態で、収容凹所内の保存液中に浸漬して保存する構造が提案されている。これによれば、コンタクトレンズを収容凹所から取り出す際に、球状支持部の先端面にコンタクトレンズを密接したまま外部に取り出すことができ、狭い収容凹所内での指先の作業は不要となり、コンタクトレンズの破損のおそれを低減できる。また、球状支持部の先端面に密着したコンタクトレンズの外面を手指で挟んで保持することができることから、コンタクトレンズの内面に接触することなくコンタクトレンズを人差指の腹等に載せ替えて、角膜上に載置することが可能となり、コンタクトレンズ内面の汚染も防止することができる。
しかしながら、特許文献2に記載の従来構造のコンタクトレンズ保存ケースでは、装用者の眼球から取り外されたコンタクトレンズの内面が、球状支持部の先端面に密着されたまま収容凹所に収容されて、次に装着される際に、球状支持部の先端面から取り外されて眼球に装着されることとなる。そうすると、収容凹所に収容されている間に、コンタクトレンズの内面が保存液と接触することがなく、保存液によるコンタクトレンズ内面の殺菌効果を得ることが困難となる。その結果、コンタクトレンズ内面の清浄性が確保できず、当該コンタクトレンズ保存ケースの使用を続けることで、コンタクトレンズの汚染やそれによる目の炎症の問題を招来することが避けられず、実際に採用することは困難であった。
特開2002−6274号公報 特公昭52−35540号公報
上述の如き従来構造のコンタクトレンズ保存ケースに内在する問題を解決すべく、本発明者は、先に国際特許出願第PCT/JP2012/001974号において、新規なコンタクトレンズ保存ケースを提案した。このコンタクトレンズ保存ケースは、コンタクトレンズと保存液を収容する収容凹所を備えた容器本体と、収容凹所の上方開口部を覆蓋する蓋体を有しており、蓋体に設けた下方突部を保存液の液面よりも下方に入り込ませて蓋体を容器本体に装着した状態で、下方突部の吸着保持部にコンタクトレンズの内面との間に閉状の保存液充填領域を画成することでコンタクトレンズを下方突部の吸着保持部に吸着保持するものである。
本発明者が先に提案したかかるコンタクトレンズ保存ケースによれば、下方突部の吸着保持部にコンタクトレンズの内面を吸着保持した状態で、容器本体から蓋体を離脱させることができ、コンタクトレンズを収容凹所から取り出す際に、コンタクトレンズの内面に指が触れることがなく、指の接触によるコンタクトレンズ内面の汚染を有利に防止できる。しかも、下方突部の吸着保持部に吸着保持されたコンタクトレンズの内面と吸着保持部との間には、保存液充填領域が画成されて保存液が充填されていることから、コンタクトレンズ保存ケースに収容されるコンタクトレンズの外面および内面の何れもが、保存液に接触される。従って、保存液によるコンタクトレンズ内面および外面の殺菌消毒効果を安定して確保することができ、コンタクトレンズの取出操作性とコンタクトレンズへの汚染付着防止性を、初めて両立して達成できたのである。
ところで、かかるコンタクトレンズ保存ケースについて、本発明者が更なる鋭意検討を行った結果、未だ改良の余地があることが見い出された。すなわち、かかるコンタクトレンズ保存ケースでは、蓋体に設けた下方突部を、収容凹所の内部に入り込ませる必要があることから、下方突部と収容凹所の対向面間に形成される保存液収容領域(レンズ浸漬領域)の容積が小さくなる傾向にある。それ故、かかる領域への保存液の注入量が少ないと、コンタクトレンズが充分に浸漬されないおそれがある。また、開蓋状態で保存液を多く注入してしまうと、閉蓋操作時に大きな湾曲保持面が保存液内に漬かることに伴って保存液が溢れ出してしまうという問題が考えられる。従って、使用者が保存液の注入量を適切に調節することが難しく、かかる点において、本出願人が先に提案したコンタクトレンズ保存ケースには、使用を容易とするために更なる改良の余地があったのである。
なお、上述の如き、本出願人が先に提案したコンタクトレンズ保存ケースの問題を解決するために、ケースを深底としたり、収容凹所の内径寸法を大きくして、保存液の溢れ出しを防止することも考えられる。しかしながら、保存液の溢れ出しを防止し得る程に深底にすると、容器の高さ寸法が大きくなって容器の収納や取り扱いに支障をきたすおそれがある。また、収容凹所の内径寸法を単に大きくすると、下方突部の吸着保持部の外周側において、収容凹所の内周面との間に大きな隙間が形成されることが避けられず、コンタクトレンズが吸着保持部から外れて上方に逃げ易くなるという問題もある。
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、収容凹所に収容されたコンタクトレンズの内外面に対して保存液を接触させることができると共に、収容凹所からのコンタクトレンズの取り出しの際の汚染付着防止性や操作性の向上を図ることができ、さらに、蓋体によるレンズ保持安定性の確保と、保存液の漏れ出し防止対策を、有利に達成することができる、改良されたコンタクトレンズ保存ケースを提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
すなわち、コンタクトレンズ保存ケースに関する本発明の第1の態様は、保存液と、該保存液中に内面を上方に向けた状態で浸漬されるコンタクトレンズを収容する収容凹所を備えた容器本体と、前記収容凹所の上方開口部に装着されて該上方開口部を覆蓋する蓋体とを備えたコンタクトレンズ保存ケースにおいて、前記蓋体には、前記容器本体への装着状態で、前記収容凹所に入り込んで前記保存液の液面より下方に入り込む下方突部が設けられている一方、前記下方突部の突出端面には、前記コンタクトレンズの前記内面の外周縁部に対して近接して該コンタクトレンズの前記内面を覆蓋して該内面との間に閉状の保存液充填領域を画成することで前記コンタクトレンズを吸着保持して開蓋可能にする吸着保持部が設けられており、前記容器本体の前記収容凹所には、前記下方突部の前記吸着保持部の外周部分と前記収容凹所の周壁内面との隙間を狭窄する狭窄突部が設けられている、ことを特徴とするものである。
本態様に従う構造とされたコンタクトレンズ保存ケースによれば、本発明者が先に提案したコンタクトレンズ保存ケースと同様、コンタクトレンズの内面と吸着保持部との間に画成された保存液充填領域により、下方突部の吸着保持部にコンタクトレンズの内面を吸着保持した状態で、容器本体から蓋体を離脱させることができる。これにより、コンタクトレンズの取出操作性とコンタクトレンズへの汚染付着防止性、更には、コンタクトレンズ内面および外面の殺菌消毒効果を安定して確保することができる。
しかも、収容凹所には、下方突部の吸着保持部の外周部分と収容凹所の周壁内面との隙間を狭窄する狭窄突部が設けられている。従って、下方突部を保存液の液面より下方に入れ込んで、収容凹所の底面に載置されたコンタクトレンズの内面に吸着保持部を近接させる際に、コンタクトレンズが吸着保持部の外周側に外れて上方に移動しようとする動きを、コンタクトレンズが狭窄突部に当接することにより阻止することができる。これにより、コンタクトレンズを安定して吸着保持部に保持させることができるのである。
加えて、収容凹所において、狭窄突部以外の部分、例えば、狭窄突部よりも上方開口部側の内径をおおきくすることにより、収容凹所の容積を有利に確保することができる。従って、保存ケースの高さ寸法を小さく抑えつつ保存液の収容凹所からの溢れ出しを有利に防止することができる。
なお、狭窄突部は、吸着保持部の外周部分との隙間を狭窄できるものであれば、如何なる形状を有していてもよい。例えば、収容凹所の周壁内面が、軸方向の一部において全周に亘って内方に突出する円筒形状の単一の狭窄突部であってもよいし、周方向で相互に隙間を隔てて複数の狭窄突部が配設されるようにしてもよい。或いは、収容凹所の底面から軸方向上方に突出する円環状の狭窄突部で構成してもよい。
また、コンタクトレンズ内面の保存液充填領域を介しての吸着保持部への吸着は、かかる吸着状態で蓋体を容器本体から離脱できるものであれば、何れも本発明に含まれる。例えば、コンタクトレンズを収容凹所に収容保存している間中、コンタクトレンズ内面の保存液充填領域を介して吸着保持部への吸着をしていても良いし、コンタクトレンズを収容凹所に収容保存している間は、コンタクトレンズ内面は、吸着保持部から離脱している一方、開蓋直前に、吸着保持部をコンタクトレンズの外周縁部に対して近接させて吸着し得るようにしたものであっても良い。
さらに、コンタクトレンズ内面の吸着保持部への吸着は、コンタクトレンズの内面の外周縁部が吸着保持部に保存液の表面張力により密着されることにより、コンタクトレンズ内面と吸着保持部との間に保存液充填領域を画成した状態で実現される。それ故、吸着保持部の形状は保存液の粘性や保存液充填領域の容積、コンタクトレンズ内面の外周縁部の曲率等、吸着保持部の表面粗さ等を考慮して適宜に設定し得るものである。要するに、保存液充填領域内の保存液の表面張力による吸着力が発揮され得る限り、吸着保持部を略平坦な突出面や、凹面、凸面等任意の形状で構成することができる。
コンタクトレンズ保存ケースに関する本発明の第2の態様は、第1の態様に記載されたコンタクトレンズ保存ケースにおいて、前記収容凹所の内部には、前記保存液の液面よりも下方に入り込む部分の前記下方突部の体積以上の容積を有する容積増大部が設けられており、該容積増大部が、前記収容凹所における前記狭窄突部が形成されていない部分であって、前記収容凹所の内径が拡大され拡径領域を含んで構成されているものである。
本態様によれば、保存液の液面よりも下方に入り込む下方突部の体積以上の容積を有する容積増大部が、収容凹所に設けられていることから、下方突部を有しない一般的なコンタクトレンズ保存ケースにおいて使用されている保存液と同程度の量を、収容凹所に注入しても、収容凹所からの保存液の溢れ出しを確実に防止できる。それ故、コンタクトレンズ保存ケースの使用性の向上と十分な保存液による保存性の向上の何れをも有利に向上させることができる。
しかも、収容凹所の容積増大部が、狭窄突部が形成されていない部分を利用して、かかる部分の内径を拡大した拡径部を含んで構成されていることから、コンタクトレンズ保存ケースの実質的な大型化を伴わず、デッドスペースを有効利用して収容凹所の容積増大を図ることができるのである。
コンタクトレンズ保存ケースに関する本発明の第3の態様は、第2の態様に記載されたコンタクトレンズ保存ケースにおいて、前記下方突部の基端部が前記吸着保持部よりも小さな断面形状を有しており、前記基端部の周囲の領域を含んで前記容積増大部が構成されているものである。
本態様によれば、下方突部の基端部を吸着保持部よりも小さな断面形状で形成することにより、下方突部の基端部の周囲を利用して、収容凹所の容積増大部を有利に形成することができる。これにより、コンタクトレンズ保存ケース全体の大型化を抑えつつ、収容凹所の容積増大部を設けることができ、ケースのコンパクト化と収容凹所からの保存液の溢れ出し防止効果の両立を図ることができる。
コンタクトレンズ保存ケースに関する本発明の第4の態様は、第1〜第3の何れかの態様に記載されたコンタクトレンズ保存ケースにおいて、前記下方突部の前記吸着保持部が球殻凸面形状を有しており、該吸着保持部の曲率半径が、前記コンタクトレンズの前記内面の曲率半径よりも大きくされているものである。
本態様によれば、吸着保持部が球殻凸面形状で、且つ略球殻凹面形状のコンタクトレンズの内面の曲率半径よりも大きな曲率半径で構成されていることから、コンタクトレンズ内面と吸着保持部との間に保存液充填領域を確実に画成しつつ、コンタクトレンズの内面の外周縁部が吸着保持部に保存液の表面張力により密着されることを、一層確実に実現することができる。これにより、コンタクトレンズの内面の清浄性の確保と、球殻凸面形状の吸着保持部へ吸着させることによるコンタクトレンズの取り出し操作性の向上を一層有利に実現することが可能となる。
本発明のコンタクトレンズ保存ケースによれば、コンタクトレンズの内面と吸着保持部との間に画成された保存液充填領域により、下方突部の吸着保持部にコンタクトレンズの内面を吸着保持した状態で、容器本体から蓋体を離脱させることができる。これにより、コンタクトレンズの取出操作性とコンタクトレンズへの汚染付着防止性、更には、コンタクトレンズ内面および外面の殺菌消毒効果を安定して確保することができる。加えて、収容凹所には、下方突部の吸着保持部の外周部分と収容凹所の周壁内面との隙間を狭窄する狭窄突部が設けられていることから、吸着保持部の外周部分と収容凹所の周壁内面との隙間からのコンタクトレンズの上方への移動を阻止することができ、コンタクトレンズを吸着保持部に安定して保持することが可能となる。さらに、狭窄突部以外の部分の内径が広い領域により収容凹所の容積を確保できることから、収容凹所からの保存液の溢れ出し問題を未然に防止することができる。
本発明の第1の実施形態としてのコンタクトレンズ保存ケースを示す平面図。 図1に示すコンタクトレンズ保存ケースの側面図。 図1に示すコンタクトレンズ保存ケースを構成する容器本体の平面図。 図1に示すコンタクトレンズ保存ケースを構成する蓋体の分解断面図。 図1に示すコンタクトレンズ保存ケースの開蓋時の側面図。 図5におけるVI−VI断面図。 図1に示すコンタクトレンズ保存ケースのコンタクトレンズ収容時の状態を示す断面説明図。 図1に示すコンタクトレンズ保存ケースのコンタクトレンズ取出時の状態を示す断面説明図。 本発明の第2の実施形態のコンタクトレンズ保存ケースにおけるコンタクトレンズ収容時の状態を示す断面図。 図9に示すコンタクトレンズ保存ケースのコンタクトレンズ取出時の状態を示す断面図。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1〜8には、本発明の第1の実施形態としてのコンタクトレンズ保存ケース10が、示されている。このコンタクトレンズ保存ケース10は、上方に開口する一対の収容凹所12、12が一体形成された容器本体14と、それぞれの収容凹所12、12を覆蓋する一対の蓋体16,16を含んで構成されている。なお、以下の説明において、特に断りの無い限り、上下方向とは、図2における上下方向をいうものとする。
より詳細には、容器本体14は、左右一対のコンタクトレンズ18と保存液20を収容する一対の収容凹所12,12、それぞれの収容凹所12,12の開口周縁部22から全周に亘って鍔状に広がるフランジ状部24,24、および収容凹所12,12間を連結する平板状の連結板部26を含んで構成されており、平面視においてアイマスクの如き形状を呈して(図3参照)、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等の合成樹脂により射出成形等によって一体形成されている。なお、図3には、収容凹所12,12に左右一対のコンタクトレンズ18と保存液20が収容された状態が示されている。また、本実施形態においては、これら一対の収容凹所12,12は互いに同様の構造とされていることから、以下、一方の収容凹所12について説明する。
収容凹所12は、上方に開口する上方開口部28が形成された略有底円筒形状とされており、上方に凹となる略球殻形状とされた底部30と、底部30の外周縁部から上方に立ち上がる略段付円筒形状の周壁部32を含んで形成されている。具体的には、周壁部32は、その内径寸法が下方側よりも上方側で大きくされており、底部30から小径の円筒形状で立ち上がる小径筒部32a と、小径筒部32a よりも大径の円筒形状で上方開口部28まで延びる大径筒部32bが段付状に連結された形状とされている。そして、図6に示すように、収容すべきコンタクトレンズ18のレンズ径寸法:aよりも小径筒部32a の内径寸法:bが大きくされていると共に、大径筒部32bの内径寸法:cがさらに大きくされている(a<b<c)。これにより、周壁部32の大径筒部32bおよび小径筒部32a を通って、収容凹所12の底部30にコンタクトレンズ18が収容配置されるようになっている。なお、小径筒部32aと大径筒部32bの間に形成される段差部分は、角部を持たない滑らかなR面とされている。
また、コンタクトレンズ18が収容配置される収容凹所12の底部30内面である底面34は、上方に凹となる湾曲面とされており、その曲率半径:r1は、底面34の全体に亘って、収容すべきコンタクトレンズ18の外面36の曲率半径:r2よりも大きくされている(r1>r2)。本実施形態では、収容凹所12の底面34の曲率半径:r1は、周辺部分から中央部分に行くに連れて大きくなっており、中央部分が平面に近づく湾曲面とされている。
一方、一対の蓋体16,16は互いに略同様の構造とされており、以下、左眼用の蓋体16(図1〜3中、左側)について説明する。図4に示すように、蓋体16は容器本体14における周壁部32の外径寸法よりもやや大きな内径寸法で下方に開口する略有底円筒形状の蓋本体38と、蓋本体38の上底面40の中央部分に突設されたボス部42に圧入固定されて、蓋体16の開口方向に向けて逆向の略きのこ形状で突出する下方突部44から構成されている。
蓋本体38の周壁部46の内周面には、雌ねじ部48が形成されている。蓋本体38の周壁部46の内周側には、上底面40から下方に向かって突出するリング状の壁部50が突設されている。一方、下方突部44は、略円筒形状に突出する基端部52と、基端部52の突出端面から一体的に突出する略球殻凸面形状の吸着保持部54を有している。下方突部44の基端部52の径方向中央部分には、蓋本体38のボス部42が圧入される圧入孔56が上方端面(図4中、上方)に開口して穿設されている。この圧入孔56に対して、蓋本体38の上底面40に突設されたボス部42を圧入することにより、蓋本体38の上底面40に同軸状に支持された下方突部44が、下方に向かって突出する蓋体16が構成されるのである。
下方突部44の突出端面に設けられた吸着保持部54は、略球殻凸面形状を有しており、その曲率半径:Rは、コンタクトレンズ18の内面58の曲率半径:r3よりも大きくされている(図6参照)。より具体的には、吸着保持部54の曲率半径:Rは、10mm≦R≦15mmの範囲で設定されている。また、吸着保持部54の突出高さは、収容凹所12の上方開口部28を蓋体16で覆蓋した際に、収容凹所12の小径筒部32aまで入り込んで、収容凹所12の底面34に載置されたコンタクトレンズ18の内面58側の外周縁部60が吸着保持部54に近接されるように設定されている。
また、吸着保持部54は充分な滑面とされており、具体的には、表面粗さRaが25μm以下、より好ましくは、6.3μm以下の滑面とされる。なお、表面粗さRaは、表面粗さのJIS規格(JIS B 0601−2001)に基づくものである。
本実施形態では、下方突部44の基端部52の外径寸法:φ1が、吸着保持部54の外径寸法:φ2よりも小さくされており、基端部52の断面形状が、吸着保持部54の断面形状よりも小さくされている。これにより、基端部52の周囲に、略円環状の空間としての領域Aが設けられている。なお、吸着保持部54の基端部52側に広がる上面64が、下方に向かって傾斜する形状とされており、これにより、領域Aの拡大が図られている。
上述の如き形状とされた蓋体16は、容器本体14と同様の合成樹脂材料から形成されていてもよいし、容器本体14と異なる合成樹脂材料で形成されていてもよい。具体的には、ポリプロピレン(PP)の他、ポリエチレン(PE),ポリスチレン(PS),ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET),アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS)等の公知の合成樹脂材料が好適に用いられる。なお、特に本実施形態においては、蓋体16はプロピレン・エチレン共重合体から形成された透明の部材とされており、収容凹所12の覆蓋状態において蓋体16を通して外部から収容凹所12の内部が視認出来るようになっている。
また、収容凹所12には、コンタクトレンズ18と保存液20が収容されており、内面58を上方に向けた状態のコンタクトレンズ18を浸漬するのに十分な量の保存液20で充填されている。なお、収容されるコンタクトレンズ18や保存液20の種類や材質等は限定されるものでないが、本実施形態において、コンタクトレンズ18は、例えば、HEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)やシリコーンハイドロゲルを素材とする親水性ソフトコンタクトレンズとされると共に、保存液20は、コンタクトレンズ18の乾燥を防ぎ、且つコンタクトレンズ18をすぐに使用できる状態に維持せしめ得るものであって、無菌水溶液,等浸透圧食塩水等とされる。また、収容されるコンタクトレンズ18の形状も特に限定されたものではないが、例えばベースカーブの曲率半径が8.1〜9.0mmで、レンズ外形が13.8〜14.4mmのものが想定され得る。
また、周壁部32の大径筒部32bの外周面には、蓋体16の雌ねじ部48と嵌合する雄ねじ部66が一体的に突設されている。更に、底部30の外面には、下方に突出する板状の脚部68が適当な個数だけ一体的に突設されている。これら脚部68は、底部30の下端縁部よりも下方に突出せしめられており、複数の脚部68の突出先端縁部の高さ位置が互いに等しくされている。また、収容凹所12は、梁部70で互いに連結されている。梁部70は、連結板部26の下方に突出形成されて、互いの底部30の外周面の間に跨って形成されている。これら梁部70によって、容器本体14における収容凹所12の間の強度が向上せしめられている。
このような構造とされた容器本体14と蓋体16は、容器本体14における収容凹所12の上方開口部28を上方から、蓋体16で覆蓋すると共に、収容凹所12の雄ねじ部66と蓋体16の雌ねじ部48を相互に螺着することにより、相互に組み付けられる。そこにおいて、蓋体16の上底面40が収容凹所12の上方開口部28に接近せしめられ、蓋体16の周壁部46と壁部50の間に、大径筒部32bの先端部分が入り込むことにより、上方開口部28がシールされる。これにより、図7(c)に示すように、収容凹所12の上方開口部28が、蓋体16の上底面40で覆蓋された密閉状態とされる。
このような構造とされた本実施形態のコンタクトレンズ保存ケース10の使用手順について、図7(a)〜(c)および図8(a)〜(c)を用いて説明する。先ず、図7(a)〜(c)には、コンタクトレンズ18をコンタクトレンズ保存ケース10に収容する際の手順を示す。図7(a)に示すように、収容凹所12に保存液20を貯留せしめて、保存液20内に内面58を上方に向けた状態でコンタクトレンズ18を浸漬する。この時、収容凹所12の底面34の曲率半径r1は、収容されるコンタクトレンズ18の外面36の曲率半径r2よりも十分に大きくされていることから、収容凹所12の底面34は、コンタクトレンズ18の外面36側の外周縁部60から全周に亘って下方に大きく離隔しているのである。
次に、図7(b)に示すように、収容凹所12の上方開口部28から蓋体16の下方突部44を挿入し、上方開口部28の上端面に蓋体16の上底面40を載置する。この時、下方突部44の突出端面に設けた吸着保持部54が、収容凹所12の大径筒部32bを通過して、小径筒部32aに至るまで挿し入れられる。続いて、図7(c)に示すように、大径筒部32bの外周面に突設された雄ねじ部66に対して、蓋体16の周壁部46の内周面に形成された雌ねじ部48を螺合することにより、収容凹所12の上方開口部28が蓋体16によって覆蓋され、コンタクトレンズ18が収容凹所12内に保存液20への浸漬状態で密閉保存される。
図7(b)〜(c)に示す使用態様において、下方突部44は収容凹所12に貯留された保存液20の液面72より下方に入り込み、下方突部44の突出端面に設けられた吸着保持部54がコンタクトレンズ18の内面58側の外周縁部60に近接される。その際、保存液20の液面72よりも下方に入り込む部分の下方突部44の体積(下方突部44の一部の体積)に対応する量の保存液20が、図7(b),(c)の矢印に示す上方に向かって押し出されることとなる。このような保存液20の上方への流れに伴って、コンタクトレンズ18が上方に浮上して下方突部44の吸着保持部54側に接近し、さらに吸着保持部54の外周部分よりも外方に外れようとする動きが生じ得る。
本実施形態のコンタクトレンズ保存ケース10においては、収容凹所12の小径筒部32aにおいては、下方突部44の吸着保持部54の外周部分と、収容凹所12の周壁内面(小径筒部32aの周壁内面)との隙間:gが狭窄されている(図7(b)参照)。これにより、万が一、吸着保持部54の外周側から下方突部44の上方に向かってコンタクトレンズ18が変位した場合にも、コンタクトレンズ18の外周縁部60が小径筒部32aと干渉して、かかる隙間:gからコンタクトレンズ18が下方突部44の上方に回り込むことが阻止されている。従って、コンタクトレンズ18の吸着保持部54からの離脱をより確実に阻止できるのである。このことから明らかなように、本実施形態では、小径筒部32aにより、下方突部44の吸着保持部54の外周部分と、収容凹所12の周壁内面との隙間:gを狭窄する狭窄突部が構成されている。なお、本実施形態では、狭窄突部が小径筒部32aにより構成されており、全周に亘って突出する形状とされていたが、周方向で分断された複数の突起により構成されてもよい。
加えて、本実施形態では、図7(c)の矢印A,Bで示すように、下方突部44の基端部52の断面形状が、吸着保持部54の断面形状よりも小さくされることにより、基端部52の周囲に、略円環状の空間としての領域A(矢印A参照)が設けられていると共に、収容凹所12において、狭窄突部を構成する小径筒部32aが設けられていない部分であって、小径筒部32aよりも内径寸法が拡大された大径筒部32bの内側に形成される拡径領域B(矢印B参照)が設けられている。従って、図7(b),(c)の矢印に示す上方に向かって押し出された保存液20は、これらの領域A,Bに巧く吸収されることから、保存液20が収容凹所12から外部に溢れ出す不具合が防止される。要するに、本実施形態では、基端部52の周囲に設けられた領域Aと、収容凹所12において内径が拡大された大径筒部32bの内側に設けられた拡径領域Bを含んで、収容凹所12の内部に設けられた容積増大部74が構成されているのである。なお、容積増大部74は、保存液20の液面72よりも下方に入り込む部分の下方突部44の体積以上の容積を有するように設定されており、収容凹所12からの保存液20の溢れ出しが確実に防止されるようになっている。
上述のように、吸着保持部54の外周部分と収容凹所12との隙間:gを通じて、コンタクトレンズ18が吸着保持部54から離脱することが防止された状態で、図7(c)に示すように、収容凹所12の上方開口部28を蓋体16で覆蓋する。これにより、下方突部44の突出端面に設けられた吸着保持部54がコンタクトレンズ18の内面58側の外周縁部60に近接されると、保存液20の表面張力が働いて、コンタクトレンズ18の内面58と吸着保持部54の間に閉状の保存液充填領域76を画成した状態で吸着保持部54に吸着保持される。
保存液充填領域76の容量は、保存液20の粘弾性や、保存液20にかかる重力等を考慮して、コンタクトレンズ18の内面58側の外周縁部60と吸着保持部54の表面張力による密着が破られない程度に、任意に設定され得る。そして、保存液充填領域76に充填された保存液20により、コンタクトレンズ18の内面58の殺菌効果等が発揮されることとなる。より具体的には、ベースカーブ8.6mmで直径14.2mmのコンタクトレンズ18の場合、吸着保持部54の曲率半径R10mmでは保存液充填領域76の容量77μlとなり、吸着保持部54の曲率半径R15mmでは保存液充填領域76の容量180μlとなり、さらに、吸着保持部54の曲率半径Rが非常に大きく略平坦面では保存液充填領域76の容量325μlとなる。
次に、図8(a)〜(c)には、コンタクトレンズ18をコンタクトレンズ保存ケース10から取り出す際の手順を示す。コンタクトレンズ18をコンタクトレンズ保存ケース10から取り出して使用する際には、図8(a),(b)に示すように、蓋体16と容器本体14の螺合を解除して、蓋体16を容器本体14から取り外す。この時、コンタクトレンズ18は、コンタクトレンズ18の内面58と吸着保持部54の間の保存液充填領域76に充填された保存液20の表面張力により、吸着保持部54に吸着保持されたままの状態で取り出される。次に、図8(c)に示すように蓋体16を裏返し、親指78と人差指79等でコンタクトレンズ18の外面36側の外周縁部60を押し、表面張力を破る。これにより、保存液充填領域76に収容された保存液20が流れ出すことにより、表面張力による密着が速やかに解消され、下方突部44の吸着保持部54からコンタクトレンズ18を取り外すことができる。そして、コンタクトレンズ18の外面36側の外周縁部60を親指78と人差指79等の間で挟んで保持したまま、他の指の腹にコンタクトレンズ18を載せ替えて、角膜上に装着する。なお、コンタクトレンズ保存ケース10は、収容凹所12内からコンタクトレンズ18を取り出した後は、保存液20を廃棄して、繰り返して頻回使用される。
以上述べてきたように、本実施形態のコンタクトレンズ保存ケース10によれば、下方突部44の吸着保持部54にコンタクトレンズ18の内面58を吸着保持した状態で、容器本体14から蓋体16を離脱させることができる。これにより、コンタクトレンズ18を取り出す際に、コンタクトレンズ18の内面58に指が触れることがなく、指の接触によるコンタクトレンズ18の内面58の汚染を有利に防止できる。しかも、狭い収容凹所12内に指を挿し入れて操作する必要がなく、コンタクトレンズ18を爪等で傷付ける可能性を低減できる。また、下方突部44の吸着保持部54に吸着保持されたコンタクトレンズ18の外面36側の外周縁部60を親指78と人差指79等の間で挟んで保持することにより、下方突部44の吸着保持部54からコンタクトレンズ18を取り外すと共に、他の指の腹にコンタクトレンズ18を載せ替えて、角膜上に装着できる。従って、コンタクトレンズ18の内面58に指が接触することなく、少ない操作回数でコンタクトレンズ18を角膜上に装着できることから、操作性の向上と、コンタクトレンズ18への汚れ付着防止を達成することができる。
また、コンタクトレンズ18の内面58の吸着保持部54への吸着は、コンタクトレンズ18の内面58側の外周縁部60が吸着保持部54に保存液20の表面張力により密着されることにより、コンタクトレンズ18の内面58と吸着保持部54との間に保存液充填領域76を画成した状態で実現される。本実施形態によれば、吸着保持部54が球殻凸面形状で且つ略球殻凹面形状のコンタクトレンズ18の内面58の曲率半径(例えば8.6mm等)よりも大きな曲率半径(例えば10mm〜15mm)で構成されていること、また吸着保持部54の表面粗さがRa25.0μm以下に設定されていることから、コンタクトレンズ18の内面58と吸着保持部54との間に保存液充填領域76を確実に画成しつつ、コンタクトレンズ18の内面58側の外周縁部60が吸着保持部54に保存液20の表面張力により密着されることを、一層確実に実現することができる。さらに、コンタクトレンズ18の外面36側の外周縁部60が全周に亘って保存液20中で収容凹所12の底面34から上方に離隔して拘束されずフリー状態とされていることから、収容凹所12に下方突部44が入り込まされた際に、外周縁部60が吸着保持部54へ吸着され易くなり、一層確実にコンタクトレンズ18を吸着保持部54へ吸着させることができる。
さらに、収容凹所12には、下方突部44の吸着保持部54の外周部分と収容凹所12の周壁部32の内面との隙間:gを狭窄する狭窄突部としての小径筒部32aが設けられている。これにより、下方突部44を保存液20の液面72より下方に入れ込んで、収容凹所12の底面34に載置されたコンタクトレンズ18の内面58に吸着保持部54を近接させる際に、コンタクトレンズ18が吸着保持部54の外周側に外れて、上記隙間:gから上方に移動しようとしても、コンタクトレンズ18が小径筒部32a(狭窄突部)の角部等に当接することにより、かかる移動を防止することができる。それ故、コンタクトレンズ18を吸着保持部54に対して確実に対向配置させて表面張力による吸着保持を安定して行うことができる。
しかも、収容凹所12において、大径筒部32bを利用して拡径領域Bを設けると共に、基端部52の周囲に領域Aを設け、これらにより、収容凹所12に容積増大部74を設けていることから、保存液20の溢れ出しを確実に防止することができる。従って、コンタクトレンズ保存ケース10の実質的な大型化を伴うことなく、コンタクトレンズ保存ケース10の使用性の向上を図ることができると共に、十分な量の保存液20でコンタクトレンズ18を浸漬してコンタクトレンズ18の保存性の向上も図ることができるのである。
加えて、下方突部44の吸着保持部54に吸着保持されたコンタクトレンズ18の内面58と吸着保持部54との間には、保存液充填領域76が画成されて保存液20が充填されていることから、コンタクトレンズ保存ケース10に収容されるコンタクトレンズ18の外面36および内面58の何れもが、保存液20に接触される。従って、保存液20によるコンタクトレンズ18の内面58および外面36の殺菌消毒効果を安定して確保することができる。これにより、コンタクトレンズ18の取出操作性とコンタクトレンズ18への汚染付着防止性を、効率よく両立して達成できるのである。
次に、図9〜図10には、本発明の第2の実施形態としてのコンタクトレンズ保存ケース80が示されている。かかるコンタクトレンズ保存ケース80は、(i)収容凹所12の覆蓋状態においてコンタクトレンズ18が吸着保持部54に吸着されずにフリー状態とされている点と、(ii)蓋体16において、蓋本体38と下方突部44の連結部分が、ばね部材82を介して上下方向に変位可能に組み付けられている点に関して、第1の実施形態と異なる実施形態を示すものである。
より詳細には、図9に示すように、本実施形態のコンタクトレンズ保存ケース80では、蓋本体38の中央部分に貫通孔84が貫設されており、下方突部44の基端部52の上端面に設けられたボタン部86が、貫通孔84に挿通状態で配設されている。そして、下方突部44の基端部52の周囲には、ばね部材82が配設されており、ばね部材82の弾性力により下方突部44のボタン部86が、蓋体16の上面88上に突出した状態で付勢されている。なお、ばね部材82の一方の端部は基端部52に、もう一方の端部は蓋本体38に、それぞれ固定されている。
次に、このような構造とされた本実施形態のコンタクトレンズ保存ケース80の使用手順について説明する。コンタクトレンズ18を収容凹所12に収容して収容凹所12の上方開口部28を蓋体16で封止するまでの手順は、第1の実施形態の図7(a)〜(b)で説明したものと同様である。本実施形態では、収容凹所12の上方開口部28への蓋体16の螺合が完了した状態で、図9に示すように、コンタクトレンズ18が吸着保持部54に吸着されずにフリー状態とされていると共に、ボタン部86が、蓋本体38の貫通孔84から突出した状態とされている。一方コンタクトレンズ18使用時には、図10に示すように、まず貫通孔84より突出されたボタン部86を人差指79等で下方に押すことにより、ばね部材82の付勢力に抗して下方突部44の突出端面に設けられた吸着保持部54をコンタクトレンズ18の内面58側の外周縁部60に近接される。これにより、保存液20の表面張力が働いて、コンタクトレンズ18の内面58と吸着保持部54の間に閉状の保存液充填領域76を画成した状態で、コンタクトレンズ18が吸着保持部54に吸着保持される。なお、これ以降の手順については、第1の実施形態で図7及び図8を用いて説明した手順と同様である。
本実施形態のコンタクトレンズ保存ケース80によれば、コンタクトレンズ18を収容凹所12に収容保存している間は、コンタクトレンズ18の内面58を、吸着保持部54から離隔したフリーな状態とする一方、開蓋直前に、吸着保持部54をコンタクトレンズ18の外周縁部60に対して近接させて吸着することが可能となる。これにより、コンタクトレンズ18の内面58に接触する保存液20を収容凹所12内で対流させることが可能となり、コンタクトレンズ18の内面58の保存液20による殺菌・消毒作用を一層有利に実現することができる。
また、貫通孔84より突出されたボタン部86を人差指79等で下方に押すことにより、下方突部44が保存液20の液面72より下方に入り込み、保存液20が収容凹所12の上方に押し出されることとなるが、本実施形態においても、狭窄突部たる小径筒部32aが設けられていることから、第1の実施形態と同様、吸着保持部54の外周側へコンタクトレンズ18が変位して、吸着保持部54と周壁部32との隙間:gを介してコンタクトレンズ18が上方に移動してしまう不具合が阻止される。それ故、吸着保持部54にコンタクトレンズ18を確実に吸着保持することができる。また、領域Aおよび領域Bによって構成される容積増大部74も収容凹所12の内部に設けられていることから、保存液20の収容凹所12からの溢れ出し防止効果も同様に得ることができる。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、これら実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでない。
例えば、収容凹所12に設ける狭窄突部は、収容凹所12の全周に亘って連続する突部である必要は無く、周方向で分断された状態で複数の狭窄突部を設けるようにしてもよい。或いは、収容凹所12の底面34から軸方向上方に突出するリング突起により狭窄突部を構成してもよい。これにより、狭窄突部が設けられていない部分を利用して、容積増大部74を構成する領域を増やすことができる。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
10,80:コンタクトレンズ保存ケース、12:収容凹所、14:容器本体、16:蓋体、18:コンタクトレンズ、20:保存液、28:上方開口部、32a:小径筒部(狭窄突部)、44:下方突部、52:基端部、54:吸着保持部、58:内面、60:外周縁部、72:液面、74:容積増大部、76:保存液充填領域

Claims (4)

  1. 保存液と、該保存液中に内面を上方に向けた状態で浸漬されるコンタクトレンズを収容する収容凹所を備えた容器本体と、
    前記収容凹所の上方開口部に装着されて該上方開口部を覆蓋する蓋体とを備えたコンタクトレンズ保存ケースにおいて、
    前記蓋体には、前記容器本体への装着状態で、前記収容凹所に入り込んで前記保存液の液面より下方に入り込む下方突部が設けられている一方、
    前記下方突部の突出端面には、前記コンタクトレンズの前記内面の外周縁部に対して近接して該コンタクトレンズの前記内面を覆蓋して該内面との間に閉状の保存液充填領域を画成することで前記コンタクトレンズを吸着保持して開蓋可能にする吸着保持部が設けられており、
    前記容器本体の前記収容凹所には、前記下方突部の前記吸着保持部の外周部分と前記収容凹所の周壁内面との隙間を狭窄する狭窄突部が設けられている
    ことを特徴とするコンタクトレンズ保存ケース。
  2. 前記収容凹所の内部には、前記保存液の液面よりも下方に入り込む部分の前記下方突部の体積以上の容積を有する容積増大部が設けられており、該容積増大部が、前記収容凹所における前記狭窄突部が形成されていない部分であって、前記収容凹所の内径が拡大され拡径領域を含んで構成されている請求項1に記載のコンタクトレンズ保存ケース。
  3. 前記下方突部の基端部が前記吸着保持部よりも小さな断面形状を有しており、前記基端部の周囲の領域を含んで前記容積増大部が構成されている請求項2に記載のコンタクトレンズ保存ケース。
  4. 前記下方突部の前記吸着保持部が球殻凸面形状を有しており、該吸着保持部の曲率半径が、前記コンタクトレンズの前記内面の曲率半径よりも大きくされている請求項1〜3の何れか1項に記載のコンタクトレンズ保存ケース。
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