JP2014150034A - 蓄電デバイス用電極および蓄電デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】電極活物質層の表面に形成された無機フィラーおよびバインダを含む多孔膜層から無機フィラーが脱落しにくく、かつ多孔膜層のバインダが高電圧下であっても酸化しにくい蓄電デバイス用電極、および耐高電圧性、長期充放電サイクル特性に優れた蓄電デバイスを提供する。
【解決手段】集電体12と、集電体12の少なくとも一方の表面に形成された電極活物質を含む電極活物質層14と、電極活物質層14の表面に形成された無機フィラーおよびバインダを含む多孔膜層16とを有し、バインダが、テトラフルオロエチレンに基づく構成単位およびプロピレンに基づく構成単位を有する含フッ素共重合体である蓄電デバイス用電極10。
【選択図】図1
【解決手段】集電体12と、集電体12の少なくとも一方の表面に形成された電極活物質を含む電極活物質層14と、電極活物質層14の表面に形成された無機フィラーおよびバインダを含む多孔膜層16とを有し、バインダが、テトラフルオロエチレンに基づく構成単位およびプロピレンに基づく構成単位を有する含フッ素共重合体である蓄電デバイス用電極10。
【選択図】図1
Description
本発明は、蓄電デバイス用電極および蓄電デバイスに関する。
無停電電源、移動体通信機器、携帯機器、ハイブリッド自動車、電気自動車等の開発、普及に伴い、その電源として用いられる二次電池等の蓄電デバイスの高性能化への要求が非常に高まっている。具体的には、高出力、高容量、および優れたサイクル特性を有する高性能な蓄電デバイスが要求されている。
蓄電デバイスは、電極活物質を含む電極活物質層が集電体の表面に形成された電極(正極および負極)、電極間に配置されたセパレータ、電解液等を有して構成される。蓄電デバイスには、たとえば、下記の問題がある。
・電極活物質層から電極活物質が脱落しやすい。
・脱落した電極活物質がセパレータを貫通した場合、短絡が発生することがある。
・電極活物質層と接しているセパレータの表面が酸化し、セパレータが劣化しやすい。
・電極活物質層から電極活物質が脱落しやすい。
・脱落した電極活物質がセパレータを貫通した場合、短絡が発生することがある。
・電極活物質層と接しているセパレータの表面が酸化し、セパレータが劣化しやすい。
該問題を解決するために、電極活物質層の表面に無機フィラーおよびバインダを含む多孔膜層を形成することによって、電極活物質の脱落を抑えたり、セパレータが電極活物質層に接しないように保護したりしている。
多孔膜層を有する電極としては、たとえば、下記のものが提案されている。
(1)集電体と、該集電体の少なくとも一方の表面に形成された電極活物質を含む電極活物質層と、該電極活物質層の表面に形成された無機フィラー(アルミナ等)およびバインダ(ポリフッ化ビニリデン等)を含む多孔膜層とを有する電極(特許文献1)。
(2)集電体と、該集電体の少なくとも一方の表面に形成された電極活物質を含む電極活物質層と、該電極活物質層の表面に形成された無機フィラー(アルミナ、シリカ等)およびバインダ(アクリル系ゴム、ジエン系ゴム等)を含む多孔膜層とを有する電極(特許文献2)。
(1)集電体と、該集電体の少なくとも一方の表面に形成された電極活物質を含む電極活物質層と、該電極活物質層の表面に形成された無機フィラー(アルミナ等)およびバインダ(ポリフッ化ビニリデン等)を含む多孔膜層とを有する電極(特許文献1)。
(2)集電体と、該集電体の少なくとも一方の表面に形成された電極活物質を含む電極活物質層と、該電極活物質層の表面に形成された無機フィラー(アルミナ、シリカ等)およびバインダ(アクリル系ゴム、ジエン系ゴム等)を含む多孔膜層とを有する電極(特許文献2)。
しかし、(1)、(2)の電極には、下記の問題がある。
・多孔膜層の柔軟性が低いため、電極の折り曲げ、電極の切削加工等の際に多孔膜層から無機フィラーが脱落しやすい。
・近年の高出力、高容量化の要求に伴い高電圧化される電池においては、電極活物質層に接する多孔膜層のバインダが酸化されやすいため、該電極を有する蓄電デバイスにおいては、多孔膜層が劣化し、本来の電極活物質層やセパレータの保護の役割が失われ、長期充放電サイクル特性における容量の劣化が顕著である。
・多孔膜層の柔軟性が低いため、電極の折り曲げ、電極の切削加工等の際に多孔膜層から無機フィラーが脱落しやすい。
・近年の高出力、高容量化の要求に伴い高電圧化される電池においては、電極活物質層に接する多孔膜層のバインダが酸化されやすいため、該電極を有する蓄電デバイスにおいては、多孔膜層が劣化し、本来の電極活物質層やセパレータの保護の役割が失われ、長期充放電サイクル特性における容量の劣化が顕著である。
本発明は、電極活物質層の表面に形成された無機フィラーおよびバインダを含む多孔膜層から無機フィラーが脱落しにくく、かつ多孔膜層のバインダが高電圧下であっても酸化しにくい蓄電デバイス用電極、および耐高電圧性、長期充放電サイクル特性に優れた蓄電デバイスを提供する。
本発明の蓄電デバイス用電極は、集電体と、該集電体の少なくとも一方の表面に形成された電極活物質を含む電極活物質層と、該電極活物質層の表面に形成された無機フィラーおよびバインダを含む多孔膜層とを有し、前記バインダが、テトラフルオロエチレンに基づく構成単位およびプロピレンに基づく構成単位を有する含フッ素共重合体であることを特徴とする。
前記含フッ素共重合体は、テトラフルオロエチレンに基づく構成単位およびプロピレンに基づく構成単位からなる含フッ素共重合体、またはテトラフルオロエチレンに基づく構成単位、プロピレンに基づく構成単位およびフッ化ビニリデンに基づく構成単位からなる含フッ素共重合体であることが好ましい。
本発明の蓄電デバイスは、正極と、負極と、電解液とを有し、前記正極および負極のいずれか一方または両方が、本発明の蓄電デバイス用電極であることを特徴とする。
本発明の蓄電デバイス用電極においては、電極活物質層の表面に形成された無機フィラーおよびバインダを含む多孔膜層から無機フィラーが脱落しにくく、かつ多孔膜層のバインダが高電圧下であっても酸化しにくい。
本発明の蓄電デバイスは、耐高電圧性、長期充放電サイクル特性に優れる。
本発明の蓄電デバイスは、耐高電圧性、長期充放電サイクル特性に優れる。
<蓄電デバイス用電極>
図1は、本発明の蓄電デバイス用電極の一例を示す断面図である。蓄電デバイス用電極10は、集電体12と、集電体12の一方の表面に形成された電極活物質層14と、電極活物質層14の表面に形成された多孔膜層16とを有する。
本発明の蓄電デバイス用電極は、図2に示すように、集電体12の両面に電極活物質層14が形成され、各電極活物質層14の表面に多孔膜層16が形成されたものであってもよい。
図1は、本発明の蓄電デバイス用電極の一例を示す断面図である。蓄電デバイス用電極10は、集電体12と、集電体12の一方の表面に形成された電極活物質層14と、電極活物質層14の表面に形成された多孔膜層16とを有する。
本発明の蓄電デバイス用電極は、図2に示すように、集電体12の両面に電極活物質層14が形成され、各電極活物質層14の表面に多孔膜層16が形成されたものであってもよい。
(集電体)
集電体は、電気導電性を有し、かつ電気化学的に耐久性のある材料からなるものであればよい。集電体の材料としては、耐熱性を有する点から、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、タンタル、金、白金等の金属材料が好ましく、非水電解質二次電池の正極用としてはアルミニウムが特に好ましく、非水電解質二次電池の負極用としては銅が特に好ましい。
集電体の形状は、特に制限されない。集電体としては、厚さ0.001〜0.5mm程度のシート状のものが好ましい。
集電体は、電気導電性を有し、かつ電気化学的に耐久性のある材料からなるものであればよい。集電体の材料としては、耐熱性を有する点から、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、タンタル、金、白金等の金属材料が好ましく、非水電解質二次電池の正極用としてはアルミニウムが特に好ましく、非水電解質二次電池の負極用としては銅が特に好ましい。
集電体の形状は、特に制限されない。集電体としては、厚さ0.001〜0.5mm程度のシート状のものが好ましい。
(電極活物質層)
電極活物質層は、電極活物質を必須成分として含む。電極活物質層は、電極活物質層用バインダ、導電性付与材、補強材等を含んでいてもよい。
電極活物質としては、公知の正極活物質、負極活物質が挙げられる。
電極活物質層は、電極活物質を必須成分として含む。電極活物質層は、電極活物質層用バインダ、導電性付与材、補強材等を含んでいてもよい。
電極活物質としては、公知の正極活物質、負極活物質が挙げられる。
正極活物質としては、金属酸化物(MnO2、V2O5、V6O13等)、金属硫化物(TiS2、MoS2、FeS等)、遷移金属(Co、Ni、Mn、Fe、Ti等)を含むリチウム複合金属酸化物(LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4等)、これらの化合物中の遷移金属の一部を他の金属で置換した化合物、導電性高分子(ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン等)等が挙げられる。正極活物質の表面の一部または全面に、炭素材料や無機化合物を被覆させてもよい。
負極活物質としては、リチウムを吸蔵、放出可能な炭素系材料(黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維等)の1種または2種以上の混合物、リチウムを吸蔵、放出可能な金属系材料(Si、Sn、Ge、Bi、Sb、In、それらを含む合金等)、リチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物(リチウム含有窒化物、リチウム含有酸化物等)、リチウム金属、リチウム/アルミニウム合金等が挙げられる。
電極活物質層が電極活物質層用バインダを含むことによって、電極活物質層の結着性が向上し、電極の撒回時等の工程においてかかる機械的な力に対する強度が上がる。また、電極活物質層から電極活物質が脱落しにくくなり、脱落した電極活物質による短絡等の発生が抑えられる。
電極活物質層用バインダとしては、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、(メタ)アクリル酸系重合体、アクリロニトリル系重合体、スチレン−ブタジエン系重合体、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体等が挙げられる。電極活物質層用バインダは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電極活物質層用バインダの量は、電極活物質100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.2〜10質量部がより好ましく、0.5〜5質量部が特に好ましい。電極活物質層用バインダの量が該範囲内であれば、電池反応を阻害せずに、電極活物質層からの電極活物質の脱落を抑えることができる。
電極活物質層が導電性付与材を含むことによって、電極活物質同士の電気的接触を向上させ、リチウムイオン二次電池に用いる場合に放電レート特性を改善できる。
導電付与材としては、導電性カーボン(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、グラファイト、気相成長カーボン繊維、カーボンナノチューブ等)、炭素粉末(黒鉛等)、各種金属のファイバー、各種金属の箔等が挙げられる。
導電性付与材の量は、電極活物質100質量部に対して、通常0〜20質量部であり、、1〜10質量部が好ましい。
導電付与材としては、導電性カーボン(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、グラファイト、気相成長カーボン繊維、カーボンナノチューブ等)、炭素粉末(黒鉛等)、各種金属のファイバー、各種金属の箔等が挙げられる。
導電性付与材の量は、電極活物質100質量部に対して、通常0〜20質量部であり、、1〜10質量部が好ましい。
電極活物質層は、電池反応に影響を及ぼさない他の成分(補強材、増粘剤等)を含んでいてもよい。
補強材としては、公知の電極活物質層用無機フィラー、有機フィラー等が挙げられる。
補強材の形状としては、球状、板状、棒状、繊維状等が挙げられる。
補強材としては、公知の電極活物質層用無機フィラー、有機フィラー等が挙げられる。
補強材の形状としては、球状、板状、棒状、繊維状等が挙げられる。
電極活物質層の厚さは、正極、負極とも、通常5〜300μmであり、10〜250μmが好ましい。
(多孔膜層)
多孔膜層は、多孔膜層用無機フィラーおよび多孔膜層用バインダを必須成分として含む。多孔膜層は、他の成分を含んでいてもよい。
多孔膜層は、多孔膜層用無機フィラーおよび多孔膜層用バインダを必須成分として含む。多孔膜層は、他の成分を含んでいてもよい。
多孔膜層用無機フィラーとしては、リチウムイオン二次電池の使用環境下で安定に存在し、電気化学的にも安定であるものが好ましい。多孔膜層用無機フィラーとしては、酸化物系セラミックス(アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄等)、窒化物系セラミックス(窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等)、シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリンクレー、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂、ガラス繊維等が挙げられる。多孔膜層用無機フィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多孔膜層用無機フィラーの形状としては、球状、略球状、板状、棒状、繊維状等が挙げられ、板状が好ましい。板状粒子は、多孔膜層中において平板面がセパレータの面に平行となるように配向するため、短絡の発生をさらに抑えることができる場合がある。板状粒子としては、各種市販品、たとえば、AGCエスアイテック社製「サンラブリー」(SiO2)、石原産業社製「NST−B1」(TiO2)、堺化学工業社製「Hシリーズ」(板状硫酸バリウム)、堺化学工業社製「HLシリーズ」(板状硫酸バリウム)、河合石灰社製「BMM」(ベーマイト)、河合石灰社製「BMT」(ベーマイト)、河合石灰社製「セラシュールBMT−B」(アルミナ(Al2O3))、キンセイマテック社製「セラフ」(アルミナ)等が挙げられる。
多孔膜層用無機フィラーの平均粒子径(体積平均のD50平均粒子径)は、5nm〜10μmが好ましく、10nm〜5μmがより好ましい。多孔膜層用無機フィラーの平均粒子径が該範囲内であれば、分散状態を制御しやすく、均質な所定の厚さの多孔膜層が得られやすい。多孔膜層用無機フィラーの平均粒子径は、分散、塗布の容易さ、空隙のコントロール性に優れる点から、50nm〜2μm以下が特に好ましい。
多孔膜層用無機フィラーのBET比表面積は、粒子の凝集を抑制し、多孔膜層形成用スラリーの流動性を好適化する点から、0.9〜200m2/gが好ましく、1.5〜150m2/gがより好ましい。
多孔膜層用バインダに用いる含フッ素共重合体は、テトラフルオロエチレン(以下、TFEとも記す。)に基づく構成単位およびプロピレン(以下、Pとも記す。)に基づく構成単位を有するが、必要に応じて、フッ化ビニリデン(以下、VdFとも記す。)に基づく構成単位を有していてもよい。また、多孔膜層用バインダは、本発明の効果を損なわない範囲内で、他のバインダを含んでいてもよい。他のバンダとしては、前記電極活物質用バインダが挙げられる。
多孔膜層用バインダが他のバインダを含む場合は、多孔膜層用バインダ中のTFEに基づく構成単位およびPに基づく構成単位を有する含フッ素共重合体の割合は、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
多孔膜層用バインダが他のバインダを含む場合は、多孔膜層用バインダ中のTFEに基づく構成単位およびPに基づく構成単位を有する含フッ素共重合体の割合は、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
含フッ素共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲内で他の単量体に基づく構成単位を有していてもよい。他の単量体としては、含フッ素単量体、炭化水素系単量体が挙げられる。
含フッ素単量体としては、含フッ素オレフィン(ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロブチルエチレン等)、含フッ素ビニルエーテル(ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、PAVEとも記す。)等)等が挙げられる。PAVEとしては、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)等が挙げられる。
炭化水素系単量体としては、α−オレフィン(エチレン、1−ブテン等)、ビニルエーテル(エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、ビニルエステル(酢酸ビニル、安息香酸ビニル等)等が挙げられる。
他の単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
他の単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
含フッ素共重合体の具体例としては、TFE/P共重合体(TFEに基づく構成単位とPに基づく構成単位とからなる共重合体を意味する。以下同様。)、TFE/P/VdF共重合体、TFE/P/E共重合体、TFE/P/PAVE共重合体、TFE/P/VdF/PAVE共重合体などが挙げられ、多孔膜層の耐電解液性、柔軟性に優れ、多孔膜層用無機フィラーの脱落等の問題が生じにくい点から、TFE/P共重合体、TFE/P/VdF共重合体が特に好ましい。
含フッ素共重合体のより好ましい組成は、下記のとおりである。含フッ素共重合体の組成が下記の範囲内でれば、多孔膜層の耐電解液性、柔軟性にさらに優れ、多孔膜層用無機フィラーの粉落ち等の問題がさらに生じにくい。また、高電圧安定性を有するため、耐高電圧性、長期充放電サイクル特性に優れる蓄電デバイスが得られる。
TFE/P共重合体:
TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位の比率が、30〜80/70〜20(モル%)(ただし合計で100モル%である。以下同じ。)であることが好ましく、40〜70/60〜30(モル%)であることがより好ましく、60〜50/40〜50(モル%)であることが特に好ましい。
TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位の比率が、30〜80/70〜20(モル%)(ただし合計で100モル%である。以下同じ。)であることが好ましく、40〜70/60〜30(モル%)であることがより好ましく、60〜50/40〜50(モル%)であることが特に好ましい。
TFE/P/VdF共重合体:
TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位/VdFに基づく構成単位の比率が、30〜85/15〜70/0.01〜50(モル%)であることが好ましく、30〜70/20〜60/1〜40(モル%)であることがより好ましい。
TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位/VdFに基づく構成単位の比率が、30〜85/15〜70/0.01〜50(モル%)であることが好ましく、30〜70/20〜60/1〜40(モル%)であることがより好ましい。
含フッ素共重合体のムーニー粘度は、10以上が好ましく、50以上がより好ましく、80以上がさらに好ましい。含フッ素共重合体のムーニー粘度は、200以下が好ましく、180以下がより好ましく、150以下がさらに好ましい。
ムーニー粘度は、高分子材料(主にゴム等)の分子量の目安となる。ムーニー粘度の値が大きいほど、間接的に高分子量であることを示す。ムーニー粘度が、該範囲内にあれば、多孔膜層を有する蓄電デバイス用電極の機械的強度を高めて、非水電解液二次電池の充放電サイクル特性をさらに向上できる。
ムーニー粘度は、JIS K 6300に準じ、直径38.1mm、厚さ5.54mmのL型ローターを用い、100℃で、予熱時間を1分間、ローター回転時間を10分間に設定して測定される。
ムーニー粘度は、高分子材料(主にゴム等)の分子量の目安となる。ムーニー粘度の値が大きいほど、間接的に高分子量であることを示す。ムーニー粘度が、該範囲内にあれば、多孔膜層を有する蓄電デバイス用電極の機械的強度を高めて、非水電解液二次電池の充放電サイクル特性をさらに向上できる。
ムーニー粘度は、JIS K 6300に準じ、直径38.1mm、厚さ5.54mmのL型ローターを用い、100℃で、予熱時間を1分間、ローター回転時間を10分間に設定して測定される。
含フッ素共重合体の製造方法は、特に限定されない。含フッ素共重合体は、たとえば、国際公開第2011/055760号等に記載の公知の製造方法によって製造できる。
多孔膜層用バインダの量は、多孔膜層用無機フィラー100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。多孔膜層用バインダの量が該範囲内にあれば、リチウムの移動を阻害して抵抗を増加させることなく、多孔膜層用無機フィラー同士の結着性および蓄電デバイス用電極への結着性と柔軟性を維持できる。
多孔膜層は、電池反応に影響を及ぼさない他の成分(分散剤、レベリング剤、消泡剤、電解液分解抑制等の機能を有する電解液添加剤、増粘剤等)を含んでいてもよい。
分散剤としては、アニオン性化合物、カチオン性化合物、非イオン性化合物、高分子化合物等が挙げられる。分散剤は、多孔膜層用無機フィラーに応じて選択される。分散剤の量は、電池特性に影響が及ばない範囲が好ましく、多孔膜層(100質量%)のうち10質量%以下が好ましい。
分散剤としては、アニオン性化合物、カチオン性化合物、非イオン性化合物、高分子化合物等が挙げられる。分散剤は、多孔膜層用無機フィラーに応じて選択される。分散剤の量は、電池特性に影響が及ばない範囲が好ましく、多孔膜層(100質量%)のうち10質量%以下が好ましい。
レベリング剤としては、界面活性剤(アルキル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、金属系界面活性剤等)、ナノ微粒子(フュームドシリカ、フュームドアルミナ等)が挙げられる。界面活性剤を含むことによって、塗工時に発生するはじきを防止したり、蓄電デバイス用電極の平滑性を向上したりできる。ナノ微粒子を含むことによって、多孔膜層形成用スラリーのチキソ性をコントロールでき、さらに得られる多孔膜層のレベリング性を向上できる。ナノ微粒子は、多孔膜層用無機フィラーとしても機能するため、多孔膜層用無機フィラーにも包含される。レベリング剤の量は、電池特性に影響が及ばない範囲が好ましく、多孔膜層(100質量%)のうち10質量%以下が好ましい。
多孔膜層は、多孔膜層用無機フィラーが多孔膜層用バインダを介して結着されたものであり、多孔膜層用無機フィラー間に空隙が形成された構造を有する。該空隙には電解液が浸透可能であるため、電池反応を阻害することはない。
多孔膜層は、電極活物質層の保護膜または蓄電デバイスのセパレータとして特に好ましく用いられる。多孔膜層が形成される電極は特に限定はされず、各種の蓄電デバイスの電極に多孔膜層を形成できる。また、多孔膜層は、リチウムイオン二次電池の正極、負極のいずれか一方の表面に形成されてもよく、正極、負極の両方に形成されてもよい。負極の電極活物質層の表面にセパレータが接する場合に比べ、正極の電極活物質層の表面にセパレータが接した場合の方が、セパレータが酸化されやすい点から、正極、負極のいずれか一方の表面に多孔膜層を形成する場合は、正極の電極活物質層の表面に形成することが好ましい。
多孔膜層の厚さは、蓄電デバイスの種類、用途に応じて適宜変更でき、通常0.1〜50μmが好ましく、0.2〜10μmがより好ましく、0.5〜10μmが特に好ましい。多孔膜層の厚さが0.1μm以上であれば、均一な多孔膜層を形成しやすい。多孔膜層の厚さが50μm以下であれば、蓄電デバイスの体積(質量)あたりの容量の低下が抑えられる。
(蓄電デバイス用電極の製造方法)
蓄電デバイス用電極は、集電体の表面に電極活物質層を形成し、電極活物質層の表面に多孔膜層を形成することによって製造できる。
蓄電デバイス用電極は、集電体の表面に電極活物質層を形成し、電極活物質層の表面に多孔膜層を形成することによって製造できる。
電極活物質層の形成方法:
電極活物質層は、電極活物質および分散媒を含むスラリー(以下、電極合剤スラリーとも記す。)を集電体に付着させて形成できる。電極活物質層の形成方法としては、たとえば、下記の方法が挙げられる。
電極合剤スラリーをドクターブレード法等によって集電体に塗布し、乾燥した後、100℃以上で1時間以上加熱処理する。ついで、金型プレス、ロールプレス等を用いて加圧処理して、電極活物質層をプレス処理する。
電極活物質層は、電極活物質および分散媒を含むスラリー(以下、電極合剤スラリーとも記す。)を集電体に付着させて形成できる。電極活物質層の形成方法としては、たとえば、下記の方法が挙げられる。
電極合剤スラリーをドクターブレード法等によって集電体に塗布し、乾燥した後、100℃以上で1時間以上加熱処理する。ついで、金型プレス、ロールプレス等を用いて加圧処理して、電極活物質層をプレス処理する。
電極合剤スラリーに用いる分散媒としては、水および有機溶媒のいずれも使用できる。有機溶媒としては、環状脂肪族炭化水素類(シクロペンタン、シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ケトン類(エチルメチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等)、アシロニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル等)、アミド類(N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等)等が挙げられる。分散媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、乾燥速度や環境上の観点から適宜選択して用いる。
電極合剤スラリーは、電極活物質層用バインダ、導電性付与材、補強材、他の添加剤(増粘剤等)を含んでいてもよい。増粘剤としては、電極合剤スラリーに用いる分散媒に可溶な重合体が挙げられ、有機溶媒系ではアクリロニトリル−ブタジエン共重合体水素化物等が挙げられ、水系ではカルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
多孔膜層の形成方法:
多孔膜層の形成方法としては、たとえば、下記の方法が挙げられ、多孔膜層の厚さを制御しやすい点から、方法(α)が好ましい。
(α)多孔膜層形成用スラリーを電極活物質層の表面に塗布し、乾燥する方法。
(β)多孔膜層形成用スラリーに電極活物質層を浸漬した後、乾燥する方法。
(γ)多孔膜層形成用スラリーを剥離フィルムの表面に塗布して形成された多孔膜層を電極活物質層の表面に転写する方法。
多孔膜層の形成方法としては、たとえば、下記の方法が挙げられ、多孔膜層の厚さを制御しやすい点から、方法(α)が好ましい。
(α)多孔膜層形成用スラリーを電極活物質層の表面に塗布し、乾燥する方法。
(β)多孔膜層形成用スラリーに電極活物質層を浸漬した後、乾燥する方法。
(γ)多孔膜層形成用スラリーを剥離フィルムの表面に塗布して形成された多孔膜層を電極活物質層の表面に転写する方法。
多孔膜層形成用スラリーは、多孔膜層用無機フィラー、多孔膜層用バインダおよび分散媒を含む。
多孔膜層形成用スラリーに用いる分散媒としては、水および有機溶媒のいずれも使用できる。有機溶媒としては、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)、塩素系脂肪族炭化水素類(メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素等)、ピリジン、アセトン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、ジイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、n−ブチルフタレート、メチルフタレート、エチルフタレート、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチルアセテート、ブチルアセテート、1−ニトロプロパン、二硫化炭素、りん酸トリブチル、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。分散媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分散媒としては、多孔膜層用無機フィラーの分散性に優れるものが好ましく、また、短時間でかつ低温で分散媒を除去できる点から、沸点が低く揮発性が高いものが好ましい。具体的には、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、キシレン、水、N−メチルピロリドン、これらの混合溶媒が好ましく、揮発性が低く多孔膜層形成用スラリーの塗工時の作業性に優れる点から、シクロヘキサノン、キシレン、N−メチルピロリドン、これらの混合溶媒が特に好ましい。
分散媒が水の場合、含フッ素共重合体は、微粒子として分散または乳化していることが好ましく、ラテックス(エマルジョン)の状態にあることが特に好ましい。また、分散媒が水の場合、多孔膜層形成用スラリーの安定性、塗工性を向上させるために、公知の水溶性増粘剤を用いてもよい、水溶性増粘剤は、25℃において水に溶解し増粘性を示す重合体であればよい。水溶性増粘剤としては、セルロース系ポリマー(カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、セルロース系ポリマーのアンモニウム塩ならびにアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸のアンモニウム塩ならびにアルカリ金属塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、アクリル酸またはアクリル酸塩とビニルアルコールとの共重合体、無水マレイン酸、マレイン酸またはフマル酸と酢酸ビニルとの共重合体の完全または部分ケン化物、変性ポリビニルアルコール、変性ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリカルボン酸、エチレン−ビニルアルコール共重合体、酢酸ビニル重合体等の水溶性重合体等が挙げられる。
多孔膜層形成用スラリーの固形分濃度は、塗布、浸漬が可能で、かつ流動性を有する粘度となる濃度であり、通常20〜50質量%程度である。
多孔膜層形成用スラリーは、他の成分(分散剤、レベリング剤、消泡剤、電解液分解抑制等の機能を有する電解液添加剤、増粘剤)を含んでいてもよい。増粘剤としては、多孔膜層形成用スラリーに用いる分散媒に可溶な重合体が挙げられ、有機溶媒系ではアクリロニトリル−ブタジエン共重合体水素化物等が挙げられ、水系ではカルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
多孔膜層形成用スラリーは、混合装置を用いて、多孔膜層用無機フィラー、多孔膜層用バインダおよび分散媒、必要に応じて他の成分を混合することによって得られる。
混合装置は、各成分を均一に混合できる装置であればよい。混合装置としては、高分散装置(ビーズミル、ロールミル、フィルミックス等)、ボールミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、超音波分散機、ホモジナイザ、プラネタリーミキサ等が挙げられ、高い分散シェアを加えることができる点から、高分散装置が特に好ましい。
混合装置は、各成分を均一に混合できる装置であればよい。混合装置としては、高分散装置(ビーズミル、ロールミル、フィルミックス等)、ボールミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、超音波分散機、ホモジナイザ、プラネタリーミキサ等が挙げられ、高い分散シェアを加えることができる点から、高分散装置が特に好ましい。
多孔膜層形成用スラリーの塗布方法としては、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗り法等が挙げられ、均一な多孔膜層を形成できる点から、ディップ法、グラビア法が好ましい。
乾燥方法としては、温風、熱風、低湿風による乾燥法、真空乾燥法、(遠)赤外線、電子線等の照射による乾燥法等が挙げられる。乾燥温度は、分散媒の種類によってかわる。分散媒としてN−メチルピロリドン等の揮発性の低い分散媒を用いる場合、分散媒を完全に除去する点から、送風式の乾燥機を用いて120℃以上の高温で乾燥させることが好ましい。一方、揮発性の高い分散媒を用いる場合、100℃以下の低温において乾燥させることもできる。
乾燥方法としては、温風、熱風、低湿風による乾燥法、真空乾燥法、(遠)赤外線、電子線等の照射による乾燥法等が挙げられる。乾燥温度は、分散媒の種類によってかわる。分散媒としてN−メチルピロリドン等の揮発性の低い分散媒を用いる場合、分散媒を完全に除去する点から、送風式の乾燥機を用いて120℃以上の高温で乾燥させることが好ましい。一方、揮発性の高い分散媒を用いる場合、100℃以下の低温において乾燥させることもできる。
(作用効果)
以上説明した本発明の蓄電デバイス用電極にあっては、電極活物質層の表面に無機フィラーおよびバインダを含む多孔膜層が形成され、かつバインダが、TFEに基づく構成単位およびPに基づく構成単位を有する含フッ素共重合体であるため、従来のバインダを用いた場合に比べ、多孔膜層の柔軟性や強度が高く、多孔膜層から無機フィラーが脱落しにくい。また、TFEに基づく構成単位およびPに基づく構成単位を有する含フッ素共重合体は、従来のバインダに比べ、高電圧安定性に優れるため、多孔膜層のバインダが高電圧下であっても酸化しにくい。
以上説明した本発明の蓄電デバイス用電極にあっては、電極活物質層の表面に無機フィラーおよびバインダを含む多孔膜層が形成され、かつバインダが、TFEに基づく構成単位およびPに基づく構成単位を有する含フッ素共重合体であるため、従来のバインダを用いた場合に比べ、多孔膜層の柔軟性や強度が高く、多孔膜層から無機フィラーが脱落しにくい。また、TFEに基づく構成単位およびPに基づく構成単位を有する含フッ素共重合体は、従来のバインダに比べ、高電圧安定性に優れるため、多孔膜層のバインダが高電圧下であっても酸化しにくい。
<蓄電デバイス>
本発明の蓄電デバイスは、正極と、負極と、電解液とを有し、正極および負極のいずれか一方または両方が、本発明の蓄電デバイス用電極である。
本発明の蓄電デバイスは、該構成を有していればよく、他の構成や構造については特に制限はなく、公知の構成、構造を有する蓄電デバイスに適用できる。
本発明の蓄電デバイスは、正極と、負極と、電解液とを有し、正極および負極のいずれか一方または両方が、本発明の蓄電デバイス用電極である。
本発明の蓄電デバイスは、該構成を有していればよく、他の構成や構造については特に制限はなく、公知の構成、構造を有する蓄電デバイスに適用できる。
蓄電デバイスとしては、リチウムイオン一次電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー電池、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等が挙げられる。蓄電デバイスとしては、多孔膜層の密着性、耐電解液性、蓄電デバイスの充放電サイクル特性等をより効果的に発現できる点から、リチウムイオン二次電池が特に好ましい。
以下、リチウムイオン二次電池について説明する。
以下、リチウムイオン二次電池について説明する。
(リチウムイオン二次電池)
リチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、電解液とを有し、正極および負極のいずれか一方または両方が、本発明の蓄電デバイス用電極である。
リチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、電解液とを有し、正極および負極のいずれか一方または両方が、本発明の蓄電デバイス用電極である。
電解液は、電解質と溶媒を含む。
電解質としては、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF5、CF3SO3Li、(CF3SO2)2NLi等のリチウム塩が挙げられる。
電解質としては、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF5、CF3SO3Li、(CF3SO2)2NLi等のリチウム塩が挙げられる。
溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が挙げられる。非プロトン性有機溶媒としては、、アルキルカーボネート類(ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、メチルエチルカーボネート(MEC)等)、エステル類(γ−ブチロラクトン、ギ酸メチル等)、エーテル類(1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等)、含硫黄化合物類(スルホラン、ジメチルスルホキシド等)等が挙げられる。。非プロトン性有機溶媒としては、高いイオン伝導性を得やすく、使用温度範囲が広い点から、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートが好ましい。非プロトン性有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
リチウムイオン二次電池は、セパレータを有していてもよい。セパレータとしては、微孔膜、不織布等の公知のものが挙げられる。セパレータの材料としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、芳香族ポリアミド等が挙げられる。本発明の蓄電デバイス用電極における多孔膜層は、セパレータとしての機能も有するため、リチウムイオン二次電池においては、セパレータの使用を省略できる。
リチウムイオン二次電池の具体的な製造方法としては、たとえば、下記の方法が挙げられる。
正極および負極を、必要に応じてセパレータを介して重ね合わせ、これを電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口する方法。
正極および負極を、必要に応じてセパレータを介して重ね合わせ、これを電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口する方法。
リチウムイオン二次電池は、電池内部の圧力上昇、過充放電の防止を目的に、必要に応じて、エキスパンドメタル、ヒューズ、PTC素子等の過電流防止素子、リード板等を有していてもよい。
リチウムイオン二次電池の形状としては、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角筒型、扁平型等が挙げられる。
リチウムイオン二次電池の形状としては、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角筒型、扁平型等が挙げられる。
(作用効果)
以上説明した本発明の蓄電デバイスにあっては、正極および負極のいずれか一方または両方が、電極活物質層の表面に形成された多孔膜層から無機フィラーが脱落しにくく、かつ多孔膜層のバインダが高電圧下であっても酸化しにくい本発明の蓄電デバイス用電極であるため、耐高電圧性、長期充放電サイクル特性に優れる。
以上説明した本発明の蓄電デバイスにあっては、正極および負極のいずれか一方または両方が、電極活物質層の表面に形成された多孔膜層から無機フィラーが脱落しにくく、かつ多孔膜層のバインダが高電圧下であっても酸化しにくい本発明の蓄電デバイス用電極であるため、耐高電圧性、長期充放電サイクル特性に優れる。
以下に本発明を、実施例を挙げて説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されない。
実施例および比較例中の試験および評価は、以下の方法で行った。
実施例および比較例中の試験および評価は、以下の方法で行った。
(1)含フッ素重合体のムーニー粘度:
含フッ素重合体のムーニー粘度は、JIS K 6300に準じて、直径38.1mm、厚さ5.54mmのL型ローターを用い、100℃で、予熱時間を1分間、ローター回転時間を10分間に設定して測定した。ムーニー粘度の値が大きいほど、間接的に高分子量であることを示す。
含フッ素重合体のムーニー粘度は、JIS K 6300に準じて、直径38.1mm、厚さ5.54mmのL型ローターを用い、100℃で、予熱時間を1分間、ローター回転時間を10分間に設定して測定した。ムーニー粘度の値が大きいほど、間接的に高分子量であることを示す。
(2)蓄電デバイス用電極の柔軟性および耐粉落ち性:
蓄電デバイス用電極を幅2cm×長さ10cmの短冊状に切って試験片とした。試験片の多孔膜層側を外側にして、直径1mmのステンレス製棒に巻きつけるようにして折り曲げた。20枚の各試験片の多孔膜層の折り曲げ部分について、ひび割れ、粉落ちの有無を目視観察して、以下の基準により評価した。ひび割れ、粉落ちが少ないほど、多孔膜層が柔軟性に優れ、バインダの結着性に優れることを示す。
A:20枚の試験片のすべてに、ひび割れや粉落ちが認められない。
B:20枚中1〜4枚の試験片に、ひび割れや粉落ちが認められる。
C:20枚中5〜8枚の試験片に、ひび割れや粉落ちが認められる。
D:20枚中9〜14枚の試験片に、ひび割れや粉落ちが認められる。
E:20枚中15枚以上の試験片に、ひび割れや粉落ちが認められる。
蓄電デバイス用電極を幅2cm×長さ10cmの短冊状に切って試験片とした。試験片の多孔膜層側を外側にして、直径1mmのステンレス製棒に巻きつけるようにして折り曲げた。20枚の各試験片の多孔膜層の折り曲げ部分について、ひび割れ、粉落ちの有無を目視観察して、以下の基準により評価した。ひび割れ、粉落ちが少ないほど、多孔膜層が柔軟性に優れ、バインダの結着性に優れることを示す。
A:20枚の試験片のすべてに、ひび割れや粉落ちが認められない。
B:20枚中1〜4枚の試験片に、ひび割れや粉落ちが認められる。
C:20枚中5〜8枚の試験片に、ひび割れや粉落ちが認められる。
D:20枚中9〜14枚の試験片に、ひび割れや粉落ちが認められる。
E:20枚中15枚以上の試験片に、ひび割れや粉落ちが認められる。
(3)充放電サイクル特性:
コイン型非水電解液二次電池の充放電サイクル特性の評価は、以下に示す方法により行った。
60℃において、0.2Cに相当する定電流で4.5V(電圧はリチウムに対する電圧を表す。)までコイン型非水電解液二次電池に充電し、さらに充電上限電圧において電流値が0.02Cになるまでコイン型非水電解液二次電池に充電した後、0.2Cに相当する定電流で3Vまでコイン型非水電解液二次電池から放電するサイクルを1サイクルとした。1サイクル目の放電時の放電容量に対する、300サイクル目の放電時の放電容量の容量維持率(%)を求め、コイン型非水電解液二次電池の充放電サイクル特性の指標とした。容量維持率の値が高いほど充放電サイクル特性に優れる。
なお、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
コイン型非水電解液二次電池の充放電サイクル特性の評価は、以下に示す方法により行った。
60℃において、0.2Cに相当する定電流で4.5V(電圧はリチウムに対する電圧を表す。)までコイン型非水電解液二次電池に充電し、さらに充電上限電圧において電流値が0.02Cになるまでコイン型非水電解液二次電池に充電した後、0.2Cに相当する定電流で3Vまでコイン型非水電解液二次電池から放電するサイクルを1サイクルとした。1サイクル目の放電時の放電容量に対する、300サイクル目の放電時の放電容量の容量維持率(%)を求め、コイン型非水電解液二次電池の充放電サイクル特性の指標とした。容量維持率の値が高いほど充放電サイクル特性に優れる。
なお、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
(4)高温充電保存特性:
コイン型非水電解液二次電池の高温充電保存特性の評価は、以下に示す方法により行った。
60℃において、0.2Cに相当する定電流で4.5V(電圧はリチウムに対する電圧を表す。)までコイン型非水電解液二次電池に充電し、さらに充電上限電圧において電流値が0.02Cになるまでコイン型非水電解液二次電池に充電した後、0.2Cに相当する定電流で3Vまでコイン型非水電解液二次電池から放電した。その後、0.2Cに相当する定電流で4.5V(電圧はリチウムに対する電圧を表す。)までコイン型非水電解液二次電池に充電し、さらに充電上限電圧において電流値が0.02Cになるまでコイン型非水電解液二次電池に充電した。コイン型非水電解液二次電池を、60℃で20日間保存した。保存後、コイン型非水電解液二次電池の電圧を測定し、さらに0.2Cに相当する定電流で3Vまでコイン型非水電解液二次電池から放電して放電容量C1を測定した。保存をまったく行わなかったコイン型非水電解液二次電池の容量C0に対する比率を求めて、これを残存容量率(%)とし、高温充電保存特性の目安とした。保存後の電圧が高いほど、また残存容量率が高いほど、耐高電圧性が高いことを示す。
コイン型非水電解液二次電池の高温充電保存特性の評価は、以下に示す方法により行った。
60℃において、0.2Cに相当する定電流で4.5V(電圧はリチウムに対する電圧を表す。)までコイン型非水電解液二次電池に充電し、さらに充電上限電圧において電流値が0.02Cになるまでコイン型非水電解液二次電池に充電した後、0.2Cに相当する定電流で3Vまでコイン型非水電解液二次電池から放電した。その後、0.2Cに相当する定電流で4.5V(電圧はリチウムに対する電圧を表す。)までコイン型非水電解液二次電池に充電し、さらに充電上限電圧において電流値が0.02Cになるまでコイン型非水電解液二次電池に充電した。コイン型非水電解液二次電池を、60℃で20日間保存した。保存後、コイン型非水電解液二次電池の電圧を測定し、さらに0.2Cに相当する定電流で3Vまでコイン型非水電解液二次電池から放電して放電容量C1を測定した。保存をまったく行わなかったコイン型非水電解液二次電池の容量C0に対する比率を求めて、これを残存容量率(%)とし、高温充電保存特性の目安とした。保存後の電圧が高いほど、また残存容量率が高いほど、耐高電圧性が高いことを示す。
(製造例1)
含フッ素共重合体Aを含むバインダ水分散液の製造:
撹拌用アンカー翼を備えた内容積3200mLのステンレス鋼製の耐圧反応器の内部を脱気した後、該反応器に、1700gのイオン交換水、58gのリン酸水素二ナトリウム12水和物、1.0gの水酸化ナトリウム、9gのラウリル硫酸ナトリウム、4.4gの過硫酸アンモニウムを加えた。さらに、200gのイオン交換水に0.4gのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・2水和物(以下、EDTAと記す。)および0.3gの硫酸第一鉄7水和物を溶解させた水溶液を、反応器に加えた。このときの反応器内の水性媒体のpHは9.5であった。
ついで、25℃で、TFE/P=88/12(モル比)の単量体混合ガスを、反応器の内圧が2.50MPaGになるように圧入した。アンカー翼を300rpmで回転させ、水酸化ナトリウムでpHを10.0に調整したヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム2水和物(以下、ロンガリットと記す。)の2.5質量%水溶液(以下、ロンガリット2.5質量%水溶液と記す。)を反応器に加え、重合反応を開始させた。以降、ロンガリット2.5質量%水溶液を、高圧ポンプを用いて連続的に反応器に加えた。
重合の進行に伴い、反応器内の圧力が低下するため、反応器の内圧が2.49MPaGに降下した時点で、TFE/P=56/44(モル比)の単量体混合ガスを自圧で圧入し、反応器の内圧を2.51MPaGまで昇圧させた。これを繰り返し、反応器の内圧を2.49〜2.51MPaGに保持し、重合反応を続けた。TFE/Pの単量体混合ガスの圧入量の総量が900gとなった時点で、ロンガリット2.5質量%水溶液の添加を停止し、反応器の内温が10℃になるまで冷却し、重合反応を停止し、含フッ素共重合体Aを含むラテックスであるバインダ水分散液を得た。ロンガリット2.5質量%水溶液の添加量は63gであった。重合時間は8時間であった。バインダ水分散液中の固形分濃度(含フッ素共重合体Aの質量割合)は34質量%であり、含フッ素共重合体Aのムーニー粘度は110であり、共重合組成は、TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位=56/44(モル比)であった。
含フッ素共重合体Aを含むバインダ水分散液の製造:
撹拌用アンカー翼を備えた内容積3200mLのステンレス鋼製の耐圧反応器の内部を脱気した後、該反応器に、1700gのイオン交換水、58gのリン酸水素二ナトリウム12水和物、1.0gの水酸化ナトリウム、9gのラウリル硫酸ナトリウム、4.4gの過硫酸アンモニウムを加えた。さらに、200gのイオン交換水に0.4gのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・2水和物(以下、EDTAと記す。)および0.3gの硫酸第一鉄7水和物を溶解させた水溶液を、反応器に加えた。このときの反応器内の水性媒体のpHは9.5であった。
ついで、25℃で、TFE/P=88/12(モル比)の単量体混合ガスを、反応器の内圧が2.50MPaGになるように圧入した。アンカー翼を300rpmで回転させ、水酸化ナトリウムでpHを10.0に調整したヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム2水和物(以下、ロンガリットと記す。)の2.5質量%水溶液(以下、ロンガリット2.5質量%水溶液と記す。)を反応器に加え、重合反応を開始させた。以降、ロンガリット2.5質量%水溶液を、高圧ポンプを用いて連続的に反応器に加えた。
重合の進行に伴い、反応器内の圧力が低下するため、反応器の内圧が2.49MPaGに降下した時点で、TFE/P=56/44(モル比)の単量体混合ガスを自圧で圧入し、反応器の内圧を2.51MPaGまで昇圧させた。これを繰り返し、反応器の内圧を2.49〜2.51MPaGに保持し、重合反応を続けた。TFE/Pの単量体混合ガスの圧入量の総量が900gとなった時点で、ロンガリット2.5質量%水溶液の添加を停止し、反応器の内温が10℃になるまで冷却し、重合反応を停止し、含フッ素共重合体Aを含むラテックスであるバインダ水分散液を得た。ロンガリット2.5質量%水溶液の添加量は63gであった。重合時間は8時間であった。バインダ水分散液中の固形分濃度(含フッ素共重合体Aの質量割合)は34質量%であり、含フッ素共重合体Aのムーニー粘度は110であり、共重合組成は、TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位=56/44(モル比)であった。
(製造例2)
含フッ素共重合体Bを含むバインダ水分散液の製造:
撹拌用アンカー翼を備えた内容積3200mLのステンレス鋼製の耐圧反応器の内部を脱気した後、該反応器に、1700gのイオン交換水、58gのリン酸水素二ナトリウム12水和物、1.0gの水酸化ナトリウム、9gのラウリル硫酸ナトリウム、4.4gの過硫酸アンモニウムを加えた。さらに、200gのイオン交換水に0.4gのEDTAおよび0.3gの硫酸第一鉄7水和物を溶解させた水溶液を、反応器に加えた。このときの反応器内の水性媒体のpHは9.5であった。
ついで、25℃で、TFE/P/VdF=25/6/69(モル比)の単量体混合ガスを、反応器の内圧が2.50MPaGになるように圧入した。アンカー翼を300rpmで回転させ、水酸化ナトリウムでpHを10.0に調整したロンガリットの6.9質量%水溶液(以下、ロンガリット6.9質量%水溶液と記す。)を反応器に加え、重合反応を開始させた。以降、ロンガリット6.9質量%水溶液を、高圧ポンプを用いて連続的に反応器に加えた。
重合の進行に伴い、反応器内の圧力が低下するため、反応器の内圧が2.49MPaGに降下した時点で、TFE/P/VdF=39/26/35(モル比)の単量体混合ガスを自圧で圧入し、反応器の内圧を2.51MPaGまで昇圧させた。これを繰り返し、反応器の内圧を2.49〜2.51MPaGに保持し、重合反応を続けた。TFE/P/VdFの単量体混合ガスの圧入量の総量が900gとなった時点で、ロンガリット6.9質量%水溶液の添加を停止し、反応器の内温が10℃になるまで冷却し、重合反応を停止し、含フッ素共重合体Bを含むラテックスであるバインダ水分散液を得た。ロンガリット6.9質量%水溶液の添加量は60gであった。重合時間は8時間であった。バインダ水分散液の固形分濃度(含フッ素共重合体Bの質量割合)は34質量%であり、含フッ素共重合体Bのムーニー粘度は130であり、共重合組成は、TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位/VdFに基づく構成単位=39/26/35(モル比)であった。
含フッ素共重合体Bを含むバインダ水分散液の製造:
撹拌用アンカー翼を備えた内容積3200mLのステンレス鋼製の耐圧反応器の内部を脱気した後、該反応器に、1700gのイオン交換水、58gのリン酸水素二ナトリウム12水和物、1.0gの水酸化ナトリウム、9gのラウリル硫酸ナトリウム、4.4gの過硫酸アンモニウムを加えた。さらに、200gのイオン交換水に0.4gのEDTAおよび0.3gの硫酸第一鉄7水和物を溶解させた水溶液を、反応器に加えた。このときの反応器内の水性媒体のpHは9.5であった。
ついで、25℃で、TFE/P/VdF=25/6/69(モル比)の単量体混合ガスを、反応器の内圧が2.50MPaGになるように圧入した。アンカー翼を300rpmで回転させ、水酸化ナトリウムでpHを10.0に調整したロンガリットの6.9質量%水溶液(以下、ロンガリット6.9質量%水溶液と記す。)を反応器に加え、重合反応を開始させた。以降、ロンガリット6.9質量%水溶液を、高圧ポンプを用いて連続的に反応器に加えた。
重合の進行に伴い、反応器内の圧力が低下するため、反応器の内圧が2.49MPaGに降下した時点で、TFE/P/VdF=39/26/35(モル比)の単量体混合ガスを自圧で圧入し、反応器の内圧を2.51MPaGまで昇圧させた。これを繰り返し、反応器の内圧を2.49〜2.51MPaGに保持し、重合反応を続けた。TFE/P/VdFの単量体混合ガスの圧入量の総量が900gとなった時点で、ロンガリット6.9質量%水溶液の添加を停止し、反応器の内温が10℃になるまで冷却し、重合反応を停止し、含フッ素共重合体Bを含むラテックスであるバインダ水分散液を得た。ロンガリット6.9質量%水溶液の添加量は60gであった。重合時間は8時間であった。バインダ水分散液の固形分濃度(含フッ素共重合体Bの質量割合)は34質量%であり、含フッ素共重合体Bのムーニー粘度は130であり、共重合組成は、TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位/VdFに基づく構成単位=39/26/35(モル比)であった。
(製造例3)
含フッ素共重合体Bを含むN−メチルピロリドン溶液の製造:
製造例2で得られたフッ素共重合体Bを含むラテックスに塩化カルシウムの1.5質量%水溶液を添加して、含フッ素共重合体Bのラテックスを凝集し、含フッ素共重合体Bを析出させ、ろ過し、回収した。ついで、含フッ素共重合体Bをイオン交換水により洗浄し、100℃のオーブンで15時間乾燥させ、白色の含フッ素共重合体Bを得た。含フッ素共重合体Bを含水率20ppmのN−メチルピロリドン溶液に溶解し、含フッ素共重合体Bの濃度を10質量%としたN−メチルピロリドン溶液を調製した。
含フッ素共重合体Bを含むN−メチルピロリドン溶液の製造:
製造例2で得られたフッ素共重合体Bを含むラテックスに塩化カルシウムの1.5質量%水溶液を添加して、含フッ素共重合体Bのラテックスを凝集し、含フッ素共重合体Bを析出させ、ろ過し、回収した。ついで、含フッ素共重合体Bをイオン交換水により洗浄し、100℃のオーブンで15時間乾燥させ、白色の含フッ素共重合体Bを得た。含フッ素共重合体Bを含水率20ppmのN−メチルピロリドン溶液に溶解し、含フッ素共重合体Bの濃度を10質量%としたN−メチルピロリドン溶液を調製した。
(製造例4)
正極の製造:
正極活物質としてLiNi0.5Co0.2Mn0.3O2(AGCセイミケミカル社製、セリオンL、タップ密度2.4g/cm3、平均粒子径12μm)の100質量部、導電付与材としてアセチレンブラックの2.5質量部を混合し、50質量部のN−メチルピロリドンを加えた後、自転・公転式ミキサー(シンキー社製、あわとり練太郎ARE−310)を用いて2000rpmにて、10分間混練した。バインダ溶液として、10質量%のPVdFのN−メチルピロリドン溶液の25質量部を加え、10分間混練し、正極合剤スラリーを得た。正極合剤スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔(集電体)に、ドクターブレードで塗布し、120℃の真空乾燥機に入れて乾燥した後、ロールプレスにて80μmになるように圧延し、正極を得た。
正極の製造:
正極活物質としてLiNi0.5Co0.2Mn0.3O2(AGCセイミケミカル社製、セリオンL、タップ密度2.4g/cm3、平均粒子径12μm)の100質量部、導電付与材としてアセチレンブラックの2.5質量部を混合し、50質量部のN−メチルピロリドンを加えた後、自転・公転式ミキサー(シンキー社製、あわとり練太郎ARE−310)を用いて2000rpmにて、10分間混練した。バインダ溶液として、10質量%のPVdFのN−メチルピロリドン溶液の25質量部を加え、10分間混練し、正極合剤スラリーを得た。正極合剤スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔(集電体)に、ドクターブレードで塗布し、120℃の真空乾燥機に入れて乾燥した後、ロールプレスにて80μmになるように圧延し、正極を得た。
(製造例5)
負極の製造:
負極活物質として黒鉛の100質量部、N−メチルピロリドンの50質量部を加えた後、自転・公転式ミキサー(シンキー社製、あわとり練太郎ARE−310)を用いて2000rpmにて、10分間混練した。バインダ溶液として、10質量%のPVdFのN−メチルピロリドン溶液の25質量部を加え、10分間混練し、負極合剤スラリーを得た。負極合剤スラリーを厚さ20μmの銅箔(集電体)に、ドクターブレードで塗布し、120℃の真空乾燥機に入れて乾燥した後、ロールプレスにて70μmになるように圧延し、負極を得た。
負極の製造:
負極活物質として黒鉛の100質量部、N−メチルピロリドンの50質量部を加えた後、自転・公転式ミキサー(シンキー社製、あわとり練太郎ARE−310)を用いて2000rpmにて、10分間混練した。バインダ溶液として、10質量%のPVdFのN−メチルピロリドン溶液の25質量部を加え、10分間混練し、負極合剤スラリーを得た。負極合剤スラリーを厚さ20μmの銅箔(集電体)に、ドクターブレードで塗布し、120℃の真空乾燥機に入れて乾燥した後、ロールプレスにて70μmになるように圧延し、負極を得た。
(実施例1)
無機フィラーとしてアルミナ(平均粒子径0.5μm)の100質量部に、増粘剤として2質量%のカルボキシメチルセルロース水溶液の20質量部を加え、自転・公転式ミキサー(シンキー社製、あわとり練太郎ARE−310)を用いて2000rpmにて、10分間混練した後、カルボキシメチルセルロース水溶液の20質量部を添加し、10分間混練した。製造例1で得た含フッ素共重合体Aを含むバインダ水分散液(含フッ素共重合体Aの濃度34質量%)の20質量部を加えて10分間混練し、多孔膜層形成用スラリー1を得た。
多孔膜層形成用スラリー1を、製造例4で得た正極に、正極活物質層が完全に覆われるように厚さ5μmで塗布し、100℃で30分間乾燥させることによって多孔膜層を形成し、多孔膜層付き電極1(正極)を得た。多孔膜層付き電極1の評価結果を表1に示す。
多孔膜層付き電極1を18mmφの円形に切りぬき、これと同面積の製造例5で得た負極、およびポリエチレン製セパレータを、負極、ポリエチレン製セパレータ、多孔膜層付き電極1の順に、セパレータと多孔膜層とが接するように2016型コインセル内に積層して電池要素を作製し、1M−LiPF6のエチルメチルカーボネート−エチレンカーボネート(体積比1:1)の非水電解液を添加し、これを密封することによってコイン型非水電解液二次電池1を製造した。コイン型非水電解液二次電池1の評価結果を表1に示す。
無機フィラーとしてアルミナ(平均粒子径0.5μm)の100質量部に、増粘剤として2質量%のカルボキシメチルセルロース水溶液の20質量部を加え、自転・公転式ミキサー(シンキー社製、あわとり練太郎ARE−310)を用いて2000rpmにて、10分間混練した後、カルボキシメチルセルロース水溶液の20質量部を添加し、10分間混練した。製造例1で得た含フッ素共重合体Aを含むバインダ水分散液(含フッ素共重合体Aの濃度34質量%)の20質量部を加えて10分間混練し、多孔膜層形成用スラリー1を得た。
多孔膜層形成用スラリー1を、製造例4で得た正極に、正極活物質層が完全に覆われるように厚さ5μmで塗布し、100℃で30分間乾燥させることによって多孔膜層を形成し、多孔膜層付き電極1(正極)を得た。多孔膜層付き電極1の評価結果を表1に示す。
多孔膜層付き電極1を18mmφの円形に切りぬき、これと同面積の製造例5で得た負極、およびポリエチレン製セパレータを、負極、ポリエチレン製セパレータ、多孔膜層付き電極1の順に、セパレータと多孔膜層とが接するように2016型コインセル内に積層して電池要素を作製し、1M−LiPF6のエチルメチルカーボネート−エチレンカーボネート(体積比1:1)の非水電解液を添加し、これを密封することによってコイン型非水電解液二次電池1を製造した。コイン型非水電解液二次電池1の評価結果を表1に示す。
(実施例2)
多孔膜層形成用スラリーに用いるバインダを製造例2で得た含フッ素共重合体Bを含むバインダ水分散液に変更した以外は、実施例1と同様にして、多孔膜層付き電極2を得た。多孔膜層付き電極2の評価結果を表1に示す。
実施例1と同様にしてコイン型非水電解液二次電池2を製造した。コイン型非水電解液二次電池2の評価結果を表1に示す。
多孔膜層形成用スラリーに用いるバインダを製造例2で得た含フッ素共重合体Bを含むバインダ水分散液に変更した以外は、実施例1と同様にして、多孔膜層付き電極2を得た。多孔膜層付き電極2の評価結果を表1に示す。
実施例1と同様にしてコイン型非水電解液二次電池2を製造した。コイン型非水電解液二次電池2の評価結果を表1に示す。
(実施例3)
無機フィラーとしてアルミナ(平均粒子径0.5μm)の100質量部に、含フッ素共重合体BのN−メチルピロリドン溶液(含フッ素共重合体Bの濃度10質量%)の50質量部を添加した後、自転・公転式ミキサー(シンキー社製、あわとり練太郎ARE−310)を用いて2000rpmにて、10分間混練した。含フッ素共重合体BのN−メチルピロリドン溶液(含フッ素共重合体Bの濃度10質量%)の50質量部を添加し、多孔膜層形成用スラリー3を得た。
多孔膜層形成用スラリー3を、製造例4で得た正極に、正極活物質層が完全に覆われるように厚さ5μmで塗布し、100℃で30分間乾燥させることによって多孔膜層を形成し、多孔膜層付き電極3(正極)を得た。多孔膜層付き電極3の評価結果を表1に示す。
実施例1と同様にしてコイン型非水電解液二次電池3を製造した。コイン型非水電解液二次電池3の評価結果を表1に示す。
無機フィラーとしてアルミナ(平均粒子径0.5μm)の100質量部に、含フッ素共重合体BのN−メチルピロリドン溶液(含フッ素共重合体Bの濃度10質量%)の50質量部を添加した後、自転・公転式ミキサー(シンキー社製、あわとり練太郎ARE−310)を用いて2000rpmにて、10分間混練した。含フッ素共重合体BのN−メチルピロリドン溶液(含フッ素共重合体Bの濃度10質量%)の50質量部を添加し、多孔膜層形成用スラリー3を得た。
多孔膜層形成用スラリー3を、製造例4で得た正極に、正極活物質層が完全に覆われるように厚さ5μmで塗布し、100℃で30分間乾燥させることによって多孔膜層を形成し、多孔膜層付き電極3(正極)を得た。多孔膜層付き電極3の評価結果を表1に示す。
実施例1と同様にしてコイン型非水電解液二次電池3を製造した。コイン型非水電解液二次電池3の評価結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1で得た多孔膜層形成用スラリー1を、製造例5で得た負極に、負極活物質層が完全に覆われるように厚さ5μmで塗布し、100℃で30分間乾燥させることによって多孔膜層を形成し、多孔膜層付き電極4(負極)を得た。多孔膜層付き電極4の評価結果を表1に示す。
多孔膜層付き電極4を18mmφの円形に切りぬき、これと同面積の製造例4で得た正極、およびポリエチレン製セパレータを、多孔膜層付き電極4、ポリエチレン製セパレータ、正極の順に2016型コインセル内に積層して電池要素を作製し、1M−LiPF6のエチルメチルカーボネート−エチレンカーボネート(体積比1:1)の非水電解液を添加し、これを密封することによってコイン型非水電解液二次電池4を製造した。コイン型非水電解液二次電池4の評価結果を表1に示す。
実施例1で得た多孔膜層形成用スラリー1を、製造例5で得た負極に、負極活物質層が完全に覆われるように厚さ5μmで塗布し、100℃で30分間乾燥させることによって多孔膜層を形成し、多孔膜層付き電極4(負極)を得た。多孔膜層付き電極4の評価結果を表1に示す。
多孔膜層付き電極4を18mmφの円形に切りぬき、これと同面積の製造例4で得た正極、およびポリエチレン製セパレータを、多孔膜層付き電極4、ポリエチレン製セパレータ、正極の順に2016型コインセル内に積層して電池要素を作製し、1M−LiPF6のエチルメチルカーボネート−エチレンカーボネート(体積比1:1)の非水電解液を添加し、これを密封することによってコイン型非水電解液二次電池4を製造した。コイン型非水電解液二次電池4の評価結果を表1に示す。
(比較例1)
多孔膜層形成用スラリーに用いるバインダをスチレン−ブタジエン共重合体水分散液(スチレン−ブタジエン共重合体の濃度35質量%)に変更した以外は、実施例1と同様にして、多孔膜層付き電極5を得た。多孔膜層付き電極5の評価結果を表1に示す。
実施例1と同様にしてコイン型非水電解液二次電池5を製造した。コイン型非水電解液二次電池5の評価結果を表1に示す。
多孔膜層形成用スラリーに用いるバインダをスチレン−ブタジエン共重合体水分散液(スチレン−ブタジエン共重合体の濃度35質量%)に変更した以外は、実施例1と同様にして、多孔膜層付き電極5を得た。多孔膜層付き電極5の評価結果を表1に示す。
実施例1と同様にしてコイン型非水電解液二次電池5を製造した。コイン型非水電解液二次電池5の評価結果を表1に示す。
(比較例2)
多孔膜層形成用スラリーに用いるバインダ溶液をPVdFのN−メチルピロリドン溶液(PVdFの濃度10質量%)に変更した以外は、実施例3と同様にして、多孔膜層付き電極6を得た。多孔膜層付き電極6の評価結果を表1に示す。
実施例1と同様にしてコイン型非水電解液二次電池6を製造した。コイン型非水電解液二次電池6の評価結果を表1に示す。
多孔膜層形成用スラリーに用いるバインダ溶液をPVdFのN−メチルピロリドン溶液(PVdFの濃度10質量%)に変更した以外は、実施例3と同様にして、多孔膜層付き電極6を得た。多孔膜層付き電極6の評価結果を表1に示す。
実施例1と同様にしてコイン型非水電解液二次電池6を製造した。コイン型非水電解液二次電池6の評価結果を表1に示す。
特定の含フッ素重合体をバインダとして用いた実施例1〜4の多孔膜層付き電極は、無機フィラーの粉落ちが生じにくい。該多孔膜層付き電極を用いた二次電池は、高電圧の充電状態での高温充電保存特性、長期充放電サイクル特性に優れている。
従来のバインダを用いた比較例1、2の多孔膜層付き電極は、無機フィラーの粉落ちが生じやすい。該多孔膜層付き電極を用いた二次電池は、高電圧の充電状態での高温充電保存性、長期充放電サイクル特性が劣る。
従来のバインダを用いた比較例1、2の多孔膜層付き電極は、無機フィラーの粉落ちが生じやすい。該多孔膜層付き電極を用いた二次電池は、高電圧の充電状態での高温充電保存性、長期充放電サイクル特性が劣る。
本発明の蓄電デバイス用電極は、蓄電デバイス(リチウムイオン一次電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー電池、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等)の電極として有用である。
10 蓄電デバイス用電極
12 集電体
14 電極活物質層
16 多孔膜層
12 集電体
14 電極活物質層
16 多孔膜層
Claims (3)
- 集電体と、該集電体の少なくとも一方の表面に形成された電極活物質を含む電極活物質層と、該電極活物質層の表面に形成された無機フィラーおよびバインダを含む多孔膜層とを有し、
前記バインダが、テトラフルオロエチレンに基づく構成単位およびプロピレンに基づく構成単位を有する含フッ素共重合体であることを特徴とする蓄電デバイス用電極。 - 前記含フッ素共重合体が、テトラフルオロエチレンに基づく構成単位およびプロピレンに基づく構成単位からなる含フッ素共重合体、またはテトラフルオロエチレンに基づく構成単位、プロピレンに基づく構成単位およびフッ化ビニリデンに基づく構成単位からなる含フッ素共重合体である、請求項1記載の蓄電デバイス用電極。
- 正極と、負極と、電解液とを有し、
前記正極および負極のいずれか一方または両方が、請求項1または2に記載の蓄電デバイス用電極である、蓄電デバイス。
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2013
- 2013-02-04 JP JP2013019602A patent/JP2014150034A/ja active Pending
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