JP2014034959A - 過給機付きエンジンの排気還流装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジン減速時にエンジンの減速失火や出力上昇をさせることなく吸気通路に残留するEGRガスを早めに排出して吸気通路を掃気すること。
【解決手段】エンジン1は、過給機7、電子スロットル装置14、EGR通路17及びEGR弁18を備える。過給機7は、一体回転可能なコンプレッサ8及びタービン9を含む。EGR通路17の入口17bは、タービン9より下流の排気通路5に接続され、出口17aはコンプレッサ8より上流の吸気通路3に接続される。電子スロットル装置14より上流であってコンプレッサ8より下流の吸気通路3には、その部分に残留したEGRガスを排気通路5へ流すエアバイパス通路41が設けられ、同通路41にはエアバイパスバルブ(ABV)42が設けられる。電子制御装置(ECU)50は、エンジン1の減速時に過給圧が背圧を上回る期間だけ、ABV42を開弁すると共にEGR弁18を閉弁する。
【選択図】 図1
【解決手段】エンジン1は、過給機7、電子スロットル装置14、EGR通路17及びEGR弁18を備える。過給機7は、一体回転可能なコンプレッサ8及びタービン9を含む。EGR通路17の入口17bは、タービン9より下流の排気通路5に接続され、出口17aはコンプレッサ8より上流の吸気通路3に接続される。電子スロットル装置14より上流であってコンプレッサ8より下流の吸気通路3には、その部分に残留したEGRガスを排気通路5へ流すエアバイパス通路41が設けられ、同通路41にはエアバイパスバルブ(ABV)42が設けられる。電子制御装置(ECU)50は、エンジン1の減速時に過給圧が背圧を上回る期間だけ、ABV42を開弁すると共にEGR弁18を閉弁する。
【選択図】 図1
Description
この発明は、エンジンの吸気を昇圧させる過給機を備えたエンジンに係り、エンジンから排気通路へ排出される排気の一部をEGRガスとして吸気通路へ流してエンジンへ還流させる過給機付きエンジンの排気還流装置に関する。
従来、この種の技術が、例えば、自動車用エンジンにおいて採用されている。排気還流装置(Exhaust Gas Recirculation(EGR)装置)は、エンジンの燃焼室から排気通路へ排出される燃焼後の排気の一部をEGR通路を介して吸気通路へ導き、吸気通路を流れる吸気と混合させて燃焼室へ還流させるようになっている。EGR通路を流れるEGRガスは、EGR通路に設けられるEGR弁により調節されるようになっている。このEGRによって、主として排気中の窒素酸化物(NOx)を低減させることができ、エンジンの部分負荷時における燃費向上を図ることができる。
エンジンの排気は、酸素が含まれていないか酸素が希薄な状態にある。従って、EGRにより排気の一部を吸気と混ぜることで、吸気中の酸素濃度が低下する。このため、燃焼室では、酸素濃度が低い状態で燃料が燃焼することから、燃焼時のピーク温度が低下し、NOxの発生を抑制することができる。ガソリンエンジンでは、EGRにより吸気中の酸素含有量を増加させることなく、スロットルバルブをある程度閉じた状態においても、エンジンのポンピングロスを低減することができる。
ここで、近時は、エンジンの更なる燃費向上を図るために、エンジンの全運転領域でEGRを行うことが考えられ、大量EGRを実現することが求められている。大量EGRを実現するためには、従前の技術に対し、EGR通路の内径を拡大したり、EGR弁の弁体や弁座の流路開口面積を大きくしたりする必要がある。
ところで、エンジンの吸気を過給圧により昇圧させる過給機を備えたエンジンにおいてもEGR装置が設けられることは周知である。下記の特許文献1には、この種のエンジンが記載されている。このエンジンは、排気通路に設けられたタービンと、吸気通路に設けられてタービンにより駆動されるコンプレッサとから構成される過給機を備える。また、タービンより下流の排気通路とコンプレッサより上流の吸気通路との間にEGR通路が配置され、EGR通路にEGR弁が設けられる(低圧ループ式EGR装置)。
この種のエンジンは、EGR通路の出口からスロットル弁までの吸気通路の経路が比較的長くなっている。そのため、スロットル弁が閉弁されるエンジンの減速時に、図10(a)に示すように、スロットル開度を全閉にし(時刻t1)、要求EGR率の急減に合わせてEGR弁を直ちに閉弁しても、EGR通路の出口からスロットル弁まで間の吸気通路に大量のEGRガスが残留してしまう。そのため、残留EGRガスが吸気に混じり、図10(b)に示すように、エンジン減速時からのEGR率の低下が遅れることになる(EGR減衰遅れ)。その結果、燃焼室に取り込まれる吸気中のEGR率が過剰となり、エンジンに減速失火が起きるおそれがあった。このことは、高過給圧からの減速ほど、或いは、エンジン回転速度が低くなるほど、EGRの減衰遅れ時間が長引く傾向があった。図10は、エンジン減速前後におけるスロットル開度及びEGR率の挙動をタイムチャートにより示す。
そこで、特許文献1に記載のエンジンでは、スロットル弁より下流の吸気通路に新気を導入する新気バイパス通路と、新気バイパス通路に配置されたバイパス弁とを備え、エンジンの要求EGR率が急減するときに、バイパス弁を開き側に制御すると共にスロットル弁を閉じ側に制御するようになっている。これにより、エンジン減速時に要求EGR率が急減する場合に、新気バイパス通路から吸気通路へ新気を導入することにより、吸気通路に残留するEGRガスを掃気すると共に、スロットル弁より下流の吸気通路へ流れたEGRガスと新気を合わせることで、EGR率を早期に減衰させるようになっている。
ところが、特許文献1に記載のエンジンでは、エンジン減速時にEGR率を早期に減衰できるものの、吸気通路へ新気を導入しているだけなので、減速時に燃料カットされない場合には、新気により燃焼室での燃焼圧力が高まり、エンジン出力が上昇してエンジンの減速性が悪化するおそれがあった。そのため、エンジン減速時には、スロットル弁より上流の吸気通路に残留するEGRガスを、エンジンの減速失火や出力上昇をさせることなく、早めに処理し吸気通路を掃気することが望まれている。特に、大量EGRを想定した場合、エンジン減速時に吸気通路に残留するEGRガスも多くなることから、その必要性が高くなる。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、エンジン減速時にエンジンの減速失火や出力上昇をさせることなく吸気通路に残留するEGRガスを早めに処理して吸気通路を掃気できる過給機付きエンジンの排気還流装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、エンジンの吸気通路と排気通路との間に設けられ、吸気通路における吸気を過給圧により昇圧させるための過給機と、過給機は、吸気通路に配置されたコンプレッサと、排気通路に配置されたタービンと、コンプレッサとタービンを一体回転可能に連結する回転軸とを含むことと、吸気通路を流れる吸気量を調節するための吸気量調節弁と、エンジンの燃焼室から排気通路へ排出される排気の一部を排気還流ガスとして吸気通路へ流して燃焼室へ還流させる排気還流通路と、排気還流通路は、その入口がタービンより下流の排気通路に接続され、その出口がコンプレッサより上流の吸気通路に接続されることと、排気還流通路における排気還流ガスの流れを調節するための排気還流弁とを備えた過給機付きエンジンの排気還流装置において、吸気量調節弁が閉弁されるエンジンの減速時に、吸気量調節弁より上流の吸気通路における過給圧が排気通路における背圧を上回る期間だけ、排気還流通路から吸気通路へ流れて吸気量調節弁より上流の吸気通路に残留する排気還流ガスを排気通路へ戻すための排気還流ガス戻し手段を備えたことを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、過給機付きエンジンにおいて、排気還流通路の入口がタービンより下流の排気通路に接続され、排気還流通路の出口がコンプレッサより上流の吸気通路に接続されることから、吸気通路に設けられる吸気量調節弁が閉弁されるエンジンの減速時には、排気還流通路から吸気通路へ流れた排気還流ガスが、吸気量調節弁より上流の吸気通路に残留することになる。また、エンジンの減速時には、コンプレッサの回転が低下するまでの間で、吸気量調節弁より上流の吸気通路における過給圧が高くなる。ここで、排気還流ガス戻し手段が、エンジンの減速時に、吸気量調節弁より上流の吸気通路における過給圧が排気通路における背圧を上回る期間だけ、吸気量調節弁より上流の吸気通路に残留する排気還流ガスを排気通路へ戻すことにより、吸気通路から残留する排気還流
ガスが除去され、代わりに吸気通路に吸気が流れ込んで掃気される。また、吸気通路に残留する排気還流ガス又は新気が燃焼室へ流れることがない。
ガスが除去され、代わりに吸気通路に吸気が流れ込んで掃気される。また、吸気通路に残留する排気還流ガス又は新気が燃焼室へ流れることがない。
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、排気還流ガス戻し手段は、吸気量調節弁より上流であってコンプレッサより下流の吸気通路に残留する排気還流ガスを排気通路へ流す戻し通路と、戻し通路を開閉する戻し開閉弁と、制御手段とを含み、制御手段は、エンジンの減速時に過給圧が背圧を上回る期間だけ、戻し開閉弁を開弁すると共に排気還流弁を閉弁することを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、制御手段が、エンジンの減速時に過給圧が背圧を上回る期間だけ、戻し開閉弁を開弁すると共に排気還流弁を閉弁することにより、コンプレッサより下流の吸気通路から戻し通路を介して、吸気通路に残留する排気還流ガスが排気通路へ流れて除去され、代わりに吸気通路に吸気が流れ込んで掃気される。また、吸気通路に残留する排気還流ガス又は新気が燃焼室へ流れることがない。
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、排気還流ガス戻し手段は、吸気量調節弁より上流であってコンプレッサより下流の吸気通路をコンプレッサより上流の吸気通路へバイパスするバイパス通路と、バイパス通路を開閉するバイパス開閉弁と、排気還流通路の出口より上流の吸気通路を開閉する吸気開閉弁と、制御手段とを含み、制御手段は、エンジンの減速時に過給圧が背圧を上回る期間だけ、バイパス開閉弁及び排気還流弁を開弁すると共に、吸気開閉弁を閉弁することを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、制御手段が、エンジンの減速時に過給圧が背圧を上回る期間だけ、バイパス開閉弁及び排気還流弁を開弁すると共に、吸気開閉弁を閉弁することにより、コンプレッサより下流の吸気通路からバイパス通路、コンプレッサより上流の吸気通路及び排気還流通路を介して、吸気通路に残留する排気還流ガスが排気通路へ流れて除去され、代わりに吸気通路に吸気が流れ込んで掃気される。また、吸気通路に残留する排気還流ガス又は新気が燃焼室へ流れることがない。
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の発明において、エンジンの運転状態を検出するための運転状態検出手段を更に備え、制御手段は、運転状態検出手段により検出される、エンジンの減速前における吸気圧及びエンジンの回転速度、並びにエンジンの減速時における吸気量調節弁の開度に基づき、エンジンの減速時に過給圧が背圧を上回る期間を求めることを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項2又は3に記載の発明の作用に加え、制御手段が、エンジンの減速前における吸気圧及びエンジンの回転速度、並びにエンジンの減速時における吸気量調節弁の開度に基づき、エンジンの減速時に過給圧が背圧を上回る期間を求める。ここで、エンジンの減速前における吸気圧及びエンジンの回転速度は、エンジンの減速前の過給圧の大きさと相関性を有する。また、エンジンの減速時における吸気量調節弁の開度は、エンジンの減速時からの過給圧の減衰の程度と相関性を有する。従って、これらパラメータにより、過給圧が背圧を上回る期間を推定的に求めることが可能となる。
請求項1に記載の発明によれば、エンジン減速時にエンジンの減速失火や出力上昇をさせることなく吸気通路に残留する排気還流ガスを早めに処理して吸気通路を掃気することができる。
請求項2に記載の発明によれば、エンジン減速時にエンジンの減速失火や出力上昇をさせることなく吸気通路に残留する排気還流ガスを早めに処理して吸気通路を掃気することができる。
請求項3に記載の発明によれば、エンジン減速時にエンジンの減速失火や出力上昇をさせることなく吸気通路に残留する排気還流ガスを早めに処理して吸気通路を掃気することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項2又は3に記載の発明の効果に加え、吸気通路に残留する排気還流ガスを所定時間だけ一律に排出させる場合と比べ、減速前のエンジンの運転状態に応じて、吸気通路に残留する排気還流ガスを適正に処理することができる。
<第1実施形態>
以下、本発明における過給機付きエンジンの排気還流装置を具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
以下、本発明における過給機付きエンジンの排気還流装置を具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
図1に、この実施形態における過給機付きエンジンの排気還流装置(EGR装置)を含むエンジンシステムを概略構成図により示す。このエンジンシステムは、レシプロタイプのエンジン1を備える。エンジン1の吸気ポート2には、吸気通路3が接続され、排気ポート4には、排気通路5が接続される。吸気通路3の入口には、エアクリーナ6が設けられる。エアクリーナ6より下流の吸気通路3には、排気通路5との間に、吸気通路3における吸気を昇圧させるための過給機7が設けられる。
過給機7は、吸気通路3に配置されたコンプレッサ8と、排気通路5に配置されたタービン9と、コンプレッサ8とタービン9を一体回転可能に連結する回転軸10とを含む。過給機7は、排気通路5を流れる排気によりタービン9を回転させて回転軸10を介してコンプレッサ8を一体的に回転させることにより、吸気通路3における吸気を過給圧により昇圧させる、すなわち過給を行うようになっている。
過給機7に隣接して排気通路5には、タービン9を迂回する排気バイパス通路11が設けられる。この排気バイパス通路11には、ウェイストゲートバルブ12が設けられる。ウェイストゲートバルブ12により排気バイパス通路11を流れる排気が調節されることにより、タービン9に供給される排気流量が調節され、タービン9及びコンプレッサ8の回転速度が調節され、過給機7による過給圧が調節されるようになっている。
吸気通路3において、過給機7のコンプレッサ8とエンジン1との間には、インタークーラ13が設けられる。このインタークーラ13は、コンプレッサ8により昇圧されて高温となった吸気を適温に冷却するためのものである。インタークーラ13とエンジン1との間の吸気通路3には、サージタンク3aが設けられる。また、インタークーラ13より下流であってサージタンク3aより上流の吸気通路3には、電動式のスロットル弁である電子スロットル装置14が設けられる。本発明の吸気量調節弁に相当する電子スロットル装置14は、吸気通路3に配置されるバタフライ形のスロットル弁21と、そのスロットル弁21を開閉駆動するためのステップモータ22と、スロットル弁21の開度(スロットル開度)TAを検出するためのスロットルセンサ23とを備える。電子スロットル装置14は、運転者によるアクセルペダル26の操作に応じてスロットル弁21がステップモータ22により開閉駆動され、その開度が調節されるように構成される。電子スロットル装置14の構成として、例えば、特開2011−252482号公報の図1及び図2に記載される「スロットル装置」の基本構成を採用することができる。また、タービン9より下流の排気通路5には、排気を浄化するための排気触媒としての触媒コンバータ15が設けられる。
エンジン1には、燃焼室16に燃料を噴射供給するためのインジェクタ25が設けられる。インジェクタ25には、燃料タンク(図示略)から燃料が供給されるようになっている。また、エンジン1には、各気筒に対応して点火プラグ29が設けられる。各点火プラグ29は、イグナイタ30から出力される高電圧を受けて点火動作する。各点火プラグ29の点火時期は、イグナイタ30による高電圧の出力タイミングにより決定される。
この実施形態において、大量EGRを実現するためのEGR装置は、エンジン1の燃焼室16から排気通路5へ排出される排気の一部をEGRガスとして吸気通路3へ流して燃焼室16へ還流させる排気還流通路(EGR通路)17と、EGR通路17におけるEGRガスの流れを調節するためにEGR通路17に設けられた排気還流弁(EGR弁)18とを備える。EGR通路17は、触媒コンバータ15より下流の排気通路5と、コンプレッサ8より上流の吸気通路3との間に設けられる。すなわち、排気通路5を流れる排気の一部をEGRガスとしてEGR通路17を通じて吸気通路3へ流して燃焼室16へ還流させるために、EGR通路17の出口17aが、コンプレッサ8より上流の吸気通路3に接続される。また、EGR通路17の入口17bは、触媒コンバータ15より下流の排気通路5に接続される。
EGR通路17には、同通路17を流れるEGRガスを冷却するためのEGRクーラ20が設けられる。この実施形態で、EGR弁18は、EGRクーラ20より下流のEGR通路17に配置される。
図2に、EGR通路17の一部であってEGR弁18が設けられる部分を拡大して断面図により示す。図1、図2に示すように、EGR弁18は、ポペット弁により、かつ、電動弁により構成される。すなわち、EGR弁18は、ステップモータ31により駆動される弁体32を備える。弁体32は、略円錐形状をなし、EGR通路17に設けられた弁座33に着座可能に設けられる。ステップモータ31は直進的に往復運動(ストローク運動)可能に構成された出力軸34を備え、その出力軸34の先端に弁体32が固定される。出力軸34は軸受35を介してEGR通路17を構成するハウジングに支持される。
そして、ステップモータ31の出力軸34をストローク運動させることにより、弁座33に対する弁体32の開度が調節されるようになっている。EGR弁18の出力軸34は、弁体32が弁座33に着座する全閉状態から、弁体32が軸受35に当接する全開状態までの間で所定のストロークL1だけストローク運動可能に設けられる。この実施形態では、大量EGRを実現するために、従前の技術に比べて弁座33の開口面積が拡大されている。それに合わせて、弁体32が大型化されている。このEGR弁18の構成として、例えば、特開2010−275941号公報の図1に記載された「EGRバルブ」の基本構成を採用することができる。
そして、ステップモータ31の出力軸34をストローク運動させることにより、弁座33に対する弁体32の開度が調節されるようになっている。EGR弁18の出力軸34は、弁体32が弁座33に着座する全閉状態から、弁体32が軸受35に当接する全開状態までの間で所定のストロークL1だけストローク運動可能に設けられる。この実施形態では、大量EGRを実現するために、従前の技術に比べて弁座33の開口面積が拡大されている。それに合わせて、弁体32が大型化されている。このEGR弁18の構成として、例えば、特開2010−275941号公報の図1に記載された「EGRバルブ」の基本構成を採用することができる。
図1に示すように、この実施形態では、電子スロットル装置14より上流であって過給機7のコンプレッサ8より下流の吸気通路3(電子スロットル装置14からコンプレッサ8までの間の吸気通路3)に残留するEGRガスを排気通路5へ戻してその吸気通路3の部分を掃気するためにエアバイパス通路41が設けられる。本発明の戻し通路に相当するエアバイパス通路41は、その入口41aが、インタークーラ13より上流であってコン
プレッサ8より下流の吸気通路3に接続され、その出口41bがEGRクーラ20より上流のEGR通路17に接続される。エアバイパス通路41の途中には、本発明の戻し開閉弁に相当する電動式のエア・バイパス・バルブ(ABV)42が設けられる。ABV42は、弁体をソレノイドにより開閉するように構成される。
プレッサ8より下流の吸気通路3に接続され、その出口41bがEGRクーラ20より上流のEGR通路17に接続される。エアバイパス通路41の途中には、本発明の戻し開閉弁に相当する電動式のエア・バイパス・バルブ(ABV)42が設けられる。ABV42は、弁体をソレノイドにより開閉するように構成される。
この実施形態では、エンジン1の運転状態に応じて燃料噴射制御、点火時期制御、吸気量制御、EGR制御及び「減速時残留EGRガス掃気制御」等をそれぞれ実行するために、インジェクタ25、イグナイタ30、電子スロットル装置14のステップモータ22、EGR弁18のステップモータ31及びABV42が、それぞれエンジン1の運転状態に応じて電子制御装置(ECU)50により制御されるようになっている。ECU50は、中央処理装置(CPU)と、所定の制御プログラム等を予め記憶したり、CPUの演算結果等を一時的に記憶したりする各種メモリと、これら各部と接続される外部入力回路及び外部出力回路とを備える。ECU50は、本発明の制御手段に相当する。外部出力回路には、イグナイタ30、インジェクタ25、各ステップモータ22,31及びABV42が接続される。外部入力回路には、スロットルセンサ23をはじめエンジン1の運転状態を検出するための本発明の運転状態検出手段に相当する各種センサ27,51〜55が接続され、各種エンジン信号が入力されるようになっている。
ここで、各種センサとして、スロットルセンサ23の他に、アクセルセンサ27、吸気圧センサ51、回転速度センサ52、水温センサ53、エアフローメータ54及び空燃比センサ55が設けられる。アクセルセンサ27は、アクセルペダル26の操作量であるアクセル開度ACCPを検出する。アクセルペダル26は、エンジン1の動作を操作するための操作手段に相当する。吸気圧センサ51は、サージタンク3aにおける吸気圧PMを検出する。すなわち、吸気圧センサ51は、EGR通路17から吸気通路3へEGRガスが流れ込む位置より下流の吸気通路3(サージタンク3a)における吸気圧PMを検出するようになっている。回転速度センサ52は、エンジン1のクランクシャフト1aの回転角(クランク角)を検出するとともに、そのクランク角の変化をエンジン1の回転速度(エンジン回転速度)NEとして検出する。水温センサ53は、エンジン1の冷却水温THWを検出する。すなわち、水温センサ53は、温度状態検出手段に相当し、エンジン1の温度状態を示す冷却水温THWを検出するようになっている。エアフローメータ54は、エアクリーナ6の直下流の吸気通路3を流れる吸気量Gaを検出する。空燃比センサ55は、触媒コンバータ15の直上流の排気通路5に設けられ、排気中の空燃比A/Fを検出する。
この実施形態において、ECU50は、エンジン1の全運転領域において、エンジン1の運転状態に応じてEGRを制御するためにEGR弁18を制御するようになっている。また、ECU50は、エンジン減速時に、後述する制御を実行するようになっている。
ここで、この実施形態では、EGR通路17の出口17aから電子スロットル装置14までの吸気通路3の経路が比較的長いことから、エンジン1の減速時に電子スロットル装置14を閉弁制御することで、その経路にEGRガスが滞留又は残留することになる。このため、その残留EGRガスが燃焼室16へ流れ込むことでエンジン1の減速失火を招くおそれがある。そこで、この実施形態では、エンジン1の減速時に電子スロットル装置14からコンプレッサ8までの間の吸気通路3に残留するEGRガスを早めに排気通路5へ戻してその吸気通路3の部分を掃気するために、ECU50が「減速時残留EGRガス掃気制御」を実行するようになっている。この実施形態で、上記したエアバイパス通路41、ABV41及びECU50により、本発明の排気還流ガス戻し手段が構成される。
図3に「減速時残留EGRガス掃気制御」の処理内容の一例をフローチャートにより示す。
処理がこのルーチンへ移行すると、先ず、ステップ100で、ECU50は、各種センサ等51〜55の検出値等に基づき各種エンジン信号を取り込む。
次に、ステップ101で、ECU50は、EGRがオンか否か、すなわち、EGR実行中か否かを判断する。ECU50は、この判断結果が否定となる場合、処理をステップ100へ戻し、この判断結果が肯定となる場合、処理をステップ102へ移行する。
ステップ102で、ECU50は、アクセルセンサ27の検出値に基づき、アクセル開度変化ΔACCPを求める。ECU50は、所定の処理周期において今回検出されるアクセル開度ACCPと前回検出されたアクセル開度ACCPとの差からアクセル開度変化ΔACCPを求める。
次に、ステップ103で、ECU50は、EGRオンからのエンジン1の急減速要求が有るか否かを判断する。ECU50は、この急減速要求の有無を、アクセル開度変化ΔACCPに基づいて判断する。例えば、アクセル開度変化ΔACCPが所定値よりも大きいときに急減速要求が有ったと判断することができる。ECU50は、この判断結果が否定となる場合、処理をステップ100へ戻し、この判断結果が肯定となる場合、処理をステップ104へ移行する。
ステップ104で、ECU50は、EGR弁18を閉弁する。これにより、EGR通路17を遮断する。
次に、ステップ105で、ECU50は、回転速度センサ52の検出値に基づきエンジン回転速度NEを取り込む。
次に、ステップ106で、ECU50は、減速前の吸気圧PMin又はエンジン負荷KLを取り込む。ここで、ECU50は、エンジン1が減速される前の吸気圧PMを、減速前の吸気圧PMinとして取り込む。また、ECU50は、エンジン負荷KLを、エンジン回転速度NEと吸気量Ga又は吸気圧PMとの関係から求めることができる。
次に、ECU50は、ステップ107で、アクセル開度ACCPを取り込み、ステップ108で、アクセル開度ACCPに基づきエンジン減速時の目標スロットル開度TTAdを求める。ECU50は、予め設定された目標開度マップ(図示略)を参照することでこの処理を行うことができる。
次に、ステップ109で、ECU50は、減速時の目標スロットル開度TTAdに基づき電子スロットル装置14を制御する。これにより、スロットル弁21が目標スロットル開度TTAdへ閉弁され、吸気通路3から燃焼室16へ取り込まれる吸気量が絞られてエンジン1が減速される。
次に、ステップ110で、ECU50は、スロットルセンサ23の検出値に基づき、減速時のスロットル開度TAdを取り込む。
次に、ステップ111で、ECU50は、減速前の吸気圧PMin、エンジン回転速度NE及び減速時のスロットル開度TAdに基づき、エンジン減速時の掃気時間Tpmtaを求める。ここで、掃気時間Tpmtaとは、エンジン減速時にスロットル弁上流側吸気圧PMtaが、背圧PMexに所定値αを加算した値「PMex+α」を上回る時間を意味する。スロットル弁上流側吸気圧PMtaは、過給機7の動作に伴う過給圧を意味する。ECU50は、この掃気時間Tpmtaを、後述する図5に示す掃気時間マップを参照することで求めることができる。
ここで、図4に、スロットル開度TAと背圧PMexとの関係をグラフにより示す。図5に、急減速前のスロットル弁上流側吸気圧PMtaと、減速時のスロットル開度TAdと、掃気時間Tpmtaとの関係を3次元の掃気時間マップにより示す。背圧PMexは、エンジン1から排出される排気ガスの圧力を意味し、図4に示すように、スロットル開度TAが大きくなるに連れて曲線的に増える関係にある。図5に示すように、掃気時間Tpmtaは、急減速前のスロットル弁上流側吸気圧PMtaが、大気圧より大きくなるに連れて増大し、減速時のスロットル開度TAdが大きくなるに連れて減少するように設定される。
そして、ステップ112で、ECU50は、求められた掃気時間Tpmtaが「0」より大きいか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が否定となる場合、処理をステップ100へ戻し、この判断結果が肯定となる場合、処理をステップ113へ移行する。
ステップ113で、ECU50は、ABV42を開弁する。このABV42の開弁により、コンプレッサ8より下流の吸気通路3が、エアバイパス通路41等を介して排気通路5へ通じることになり、電子スロットル装置14からコンプレッサ8までの間の吸気通路3に残留していたEGRガスが、エアバイパス通路41を介して排気通路5へ排出されることとなる。
次に、ステップ114で、ECU50は、エンジン1が減速を開始してからの経過時間(減速時間)が掃気時間Tpmtaを超えたか否かを判断する。そして、ECU50は、この判断結果が否定となる場合、処理をステップ113へ戻し、この判断結果が肯定となる場合、処理をステップ115へ移行する。
そして、ステップ115で、ECU50は、ABV42を閉弁した後、処理をステップ100へ戻す。このABV42の閉弁により、エアバイパス通路41が遮断される。
この実施形態の上記制御によれば、ECU50は、エンジン1の減速時に、スロットル弁上流側吸気圧PMta(過給圧)が背圧PMexを上回る期間だけ、ABV42を開弁すると共にEGR弁18を開弁するようになっている。
ここで、上記制御に関する各種パラメータの挙動を図6にタイムチャートにより示す。図6において、時刻t1以前のエンジン1の定常運転時には、スロットル弁上流側吸気圧PMta(過給圧)が背圧PMexを上回っている(同図(b))。そして、時刻t1で、アクセル開度ACCPが全閉になると、スロットル開度TAが全閉へ向けて閉弁する(同図(a))と共に、EGR弁18が全閉に閉弁する(同図(d))。
その後、時刻t2で、スロットル開度TAが全閉になると(同図(a))、ABV42が全開へ向けて開弁する(同図(c))。その後、時刻t2〜t3の間で、スロットル弁上流側吸気圧PMta(過給圧)は一旦上昇した後、徐々に低下する(同図(b)太線)。また、背圧PMexは、時刻t2から徐々に低下し、やがて一定値となる(同図(b))。このとき、電子スロットル装置14からコンプレッサ8までの間の吸気通路3に滞留又は残留していたEGRガスは、エアバイパス通路41を通じて排気通路3へ排出され、その吸気通路3の部分が掃気される。これに対し、時刻t2で、ABV42が開弁しない場合は、スロットル弁上流側吸気圧PMta(過給圧)が急上昇した後、徐々に低下する(同図(b)2点鎖線)。このとき、電子スロットル装置14からコンプレッサ8までの間の吸気通路3では、EGRガスが残留したままとなる。
そして、時刻t3で、時刻t2からの減速時間が掃気時間Tpmtaを超えると、ABV42が全閉へ向けて閉弁する(同図(c))。
以上説明した本実施形態における過給機付きエンジンの排気還流装置によれば、過給機7を備えたエンジン1において、EGR通路17の入口17bがタービン9より下流の排気通路5に接続され、EGR通路17の出口17aがコンプレッサ8より上流の吸気通路3に接続される。従って、電子スロットル装置14が閉弁されるエンジン1の減速時には、EGR通路17から吸気通路3へ流れたEGRガスが、電子スロットル装置14からコンプレッサ8までの間の吸気通路3に残留することになる。また、エンジン1の減速時には、コンプレッサ8の回転が低下するまでの間で、電子スロットル装置14からコンプレッサ8までの間の吸気通路3における過給圧が高くなる。ここで、排気還流ガス戻し手段は、エンジン1の減速時に、電子スロットル装置14からコンプレッサ8までの間の吸気通路3におけるスロットル弁上流側吸気圧PMta(過給圧)が排気通路5における背圧PMexを上回る期間だけ、その吸気通路3の部分に残留するEGRガスを排気通路5へ戻す。より詳細には、ECU50は、エンジン1の減速時に、スロットル弁上流側吸気圧PMta(過給圧)が背圧PMexを上回る期間だけ、ABV42を開弁すると共にEGR弁18を閉弁する。これにより、電子スロットル装置14からコンプレッサ8までの間の吸気通路3からエアバイパス通路41を介して残留EGRガスが排気通路5へ流れて除去され、代わりにその吸気通路3の部分に吸気が流れ込んで掃気される。また、吸気通路3に残留するEGRガス又は新気が燃焼室16へ流れることがない。このため、エンジン1の減速時に、エンジン1の減速失火や出力上昇をさせることなく、吸気通路3に残留するEGRガスを早めに処理して吸気通路3を掃気することができる。
この実施形態では、ECU50が、吸気圧センサ51、回転速度センサ52及びスロットルセンサ23により検出される、エンジン1の減速前における吸気圧PMin及びエンジン回転速度NE、並びにエンジン1の減速時におけるスロットル開度TAに基づき、エンジン1の減速時にスロットル弁上流側吸気圧PMta(過給圧)が背圧PMexを上回る期間を求める。ここで、エンジン1の減速前における吸気圧PMin及びエンジン回転速度NEは、減速前のスロットル弁上流側吸気圧PMta(過給圧)の大きさと相関性を有する。また、エンジン1の減速時におけるスロットル開度TAは、エンジン1の減速時からのスロットル弁上流側吸気圧PMta(過給圧)の減衰の程度と相関性を有する。従って、これらパラメータにより、スロットル弁上流側吸気圧PMta(過給圧)が背圧PMexを上回る期間、すなわち掃気時間Tpmtaを推定的に求めることが可能となる。このため、残留EGRガスを所定時間だけ一律に排出させる場合と比べ、減速前のエンジン1の運転状態に応じて残留EGRガスを適正に処理することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明における過給機付きエンジンの排気還流装置を具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
次に、本発明における過給機付きエンジンの排気還流装置を具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の各実施形態において、前記第1実施形態と同等の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に説明する。
この実施形態では、本発明の排気還流ガス戻し手段の構成と「減速時残留EGRガス掃気制御」の処理内容の点で第1実施形態と構成が異なる。図7に、この実施形態におけるエンジンシステムを概略構成図により示す。図7に示すように、この実施形態では、エアバイパス通路41の出口41bが、コンプレッサ8より上流の吸気通路3に接続される。すなわち、この実施形態のエアバイパス通路41は、電子スロットル装置14からコンプレッサ8までの間の吸気通路3を、コンプレッサ8より上流の吸気通路3へバイパスするように構成される。エアバイパス通路41は、本発明のバイパス通路に相当し、ABV42は、本発明のバイパス開閉弁に相当する。また、エアクリーナ6より下流であってEGR通路17の出口17aより上流の吸気通路3には、同吸気通路3を開閉する本発明の吸気開閉弁としての逆止弁43が設けられる。この逆止弁43は、吸気通路3に配置されるバタフライ形のスロットル弁44と、そのスロットル弁44を開閉駆動するためのステップモータ45とを備える。このステップモータ45は、ECU50により制御されるように構成される。
図8に、この実施形態の「減速時残留EGRガス掃気制御」の処理内容の一例をフローチャートにより示す。
この図8のフローチャートでは、図3のフローチャートにおけるステップ104の処理が省略され、ステップ113とステップ114との間にステップ201とステップ202の処理が加えられ、ステップ114とステップ115との間にステップ203とステップ204の処理が加えられる点で第1実施形態における図3のフローチャートの処理内容と異なる。
すなわち、ステップ103の判断結果が肯定となる場合、ECU50は、EGR弁18を閉弁することなく、ステップ105へ移行してエンジン回転速度NEを取り込む。
また、ステップ112の判断結果が肯定となる場合、ECU50は、ステップ113で、ABV42を開弁すると共に、ステップ201で、逆止弁43を閉弁し、ステップ202で、EGR弁18を開弁する。すなわち、ステップ201で、ECU50は、逆止弁43を閉弁するためにステップモータ45を駆動制御する。また、ステップ202で、EGRオン状態からの処理であることから、既に開弁しているEGR弁18の開弁を継続させる。これらABV42、逆止弁43及びEGR弁18の制御により、コンプレッサ8より下流の吸気通路3が、エアバイパス通路41、吸気通路3及びEGR通路17を介して排気通路5へ通じることになり、電子スロットル装置14からコンプレッサ8までの間の吸気通路3に残留していたEGRガスが、これら各通路41,3,17を介して排気通路5へ排出されることとなる。このとき、逆止弁43が閉弁されているので、残留EGRガスがエアクリーナ6へ逆流することがなく、エアフローメータ54をEGRガスから保護することができる。
一方、ステップ114の判断結果が肯定となる場合、ECU50は、ステップ203で、EGR弁18を閉弁し、ステップ204で、逆止弁43を開弁し、ステップ115で、ABV42を閉弁する。すなわち、ステップ203で、ECU50は、エンジン1の減速時に合わせて開弁していたEGR弁18を全閉に閉弁させる。また、ステップ204で、ECU50は、逆止弁43を開弁するためにステップモータ45を駆動制御する。こ
れらABV42、逆止弁43及びEGR弁18の制御により、エアバイパス通路41が遮断されると共に、EGR通路17が遮断される。また、逆止弁43が開弁されるので、エアクリーナ6から吸気通路3への空気の取り込みが可能となる。
れらABV42、逆止弁43及びEGR弁18の制御により、エアバイパス通路41が遮断されると共に、EGR通路17が遮断される。また、逆止弁43が開弁されるので、エアクリーナ6から吸気通路3への空気の取り込みが可能となる。
この実施形態の上記制御によれば、ECU50は、エンジン1の減速時に、スロットル弁上流側吸気圧PMta(過給圧)が背圧PMexを上回る期間だけ、ABV42及びEGR弁18を開弁すると共に、逆止弁43を閉弁するようになっている。
ここで、上記制御に関する各種パラメータの挙動を図9にタイムチャートにより示す。図9において、時刻t1以前のエンジン1の定常運転時には、スロットル弁上流側吸気圧PMta(過給圧)が背圧PMexを上回っている(同図(b))。そして、時刻t1で、アクセル開度ACCPが全閉になると、スロットル開度TAが全閉へ向けて閉弁する(同図(a))。このときEGR弁18は開弁状態にある(同図(d))。
その後、時刻t2で、スロットル開度TAが全閉になると(同図(a))、ABV42が全開へ向かって開弁する(同図(c))と共に、EGR弁18が開弁状態を維持する(同図(d))。また、逆止弁43が、全開状態から全閉へ向けて閉弁する(同図(e))。その後、時刻t2〜t3の間で、スロットル弁上流側吸気圧PMta(過給圧)は一旦上昇した後、徐々に低下する(同図(b)太線)。また、背圧PMexは、時刻t2から徐々に低下し、やがて一定値となる(同図(b))。このとき、電子スロットル装置14からコンプレッサ8までの間の吸気通路3に滞留又は残留していたEGRガスは、エアバイパス通路41、吸気通路3及びEGR通路17を通じて排気通路3へ排出され、その吸気通路3の部分が掃気される。これに対し、時刻t2で、ABV42が開弁しない場合は、スロットル弁上流側吸気圧PMta(過給圧)が急上昇した後、徐々に低下する(同図(b)2点鎖線)。このとき、電子スロットル装置14からコンプレッサ8までの間の吸気通路3では、EGRガスが残留したままとなる。
そして、時刻t3で、時刻t2からの減速時間が掃気時間Tpmtaを超えると、ABV42が全閉へ向けて閉弁する(同図(c))と共に、EGR弁18が全閉へ向けて閉弁する(同図(d))。また、逆止弁43が、全開へ向けて開弁する(同図(e))。
以上説明した本実施形態における過給機付きエンジンの排気還流装置によれば、ECU50は、エンジン1の減速時に、スロットル弁上流側吸気圧PMta(過給圧)が背圧PMexを上回る期間だけ、ABV42及びEGR弁18を開弁すると共に、逆止弁43を閉弁する。これにより、電子スロットル装置14からコンプレッサ8までの間の吸気通路3からエアバイパス通路41、コンプレッサ8より上流の吸気通路3及びEGR通路17を介して残留EGRガスが排気通路5へ流れて除去され、代わりにその吸気通路3の部分に吸気が流れ込んで掃気される。また、吸気通路3に残留するEGRガス又は新気が燃焼室16へ流れることがない。このため、エンジン1の減速時に、エンジン1の減速失火や出力上昇をさせることなく、吸気通路3に残留するEGRガスを早めに排気通路5へ処理して吸気通路3を掃気することができる。
なお、この発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
例えば、前記第1実施形態では、エアバイパス通路41の出口41bをEGR通路17に接続したが、エアバイパス通路の出口を排気通路へ直接接続することもできる。
この発明は、例えば、ガソリンエンジン又はディーゼルエンジンにかかわらず自動車用エンジンに利用することができる。
1 エンジン
3 吸気通路
3a サージタンク(吸気通路)
5 排気通路
7 過給機
8 コンプレッサ
9 タービン
10 回転軸
14 電子スロットル装置(吸気量調節弁)
16 燃焼室
17 EGR通路(排気還流通路)
17a 出口
17b 入口
18 EGR弁(排気還流弁)
23 スロットルセンサ(運転状態検出手段)
27 アクセルセンサ(運転状態検出手段)
41 エアバイパス通路(戻し通路、バイパス通路)
41a 入口
41b 出口
42 ABV(戻し開閉弁、バイパス開閉弁)
43 逆止弁(吸気開閉弁)
50 ECU(制御手段)
51 吸気圧センサ(運転状態検出手段)
52 回転速度センサ(運転状態検出手段)
53 水温センサ(運転状態検出手段)
54 エアフローメータ(運転状態検出手段)
55 空燃比センサ(運転状態検出手段)
TA スロットル開度
NE エンジン回転速度
PMin 減速前の吸気圧
Tpmta 掃気時間
3 吸気通路
3a サージタンク(吸気通路)
5 排気通路
7 過給機
8 コンプレッサ
9 タービン
10 回転軸
14 電子スロットル装置(吸気量調節弁)
16 燃焼室
17 EGR通路(排気還流通路)
17a 出口
17b 入口
18 EGR弁(排気還流弁)
23 スロットルセンサ(運転状態検出手段)
27 アクセルセンサ(運転状態検出手段)
41 エアバイパス通路(戻し通路、バイパス通路)
41a 入口
41b 出口
42 ABV(戻し開閉弁、バイパス開閉弁)
43 逆止弁(吸気開閉弁)
50 ECU(制御手段)
51 吸気圧センサ(運転状態検出手段)
52 回転速度センサ(運転状態検出手段)
53 水温センサ(運転状態検出手段)
54 エアフローメータ(運転状態検出手段)
55 空燃比センサ(運転状態検出手段)
TA スロットル開度
NE エンジン回転速度
PMin 減速前の吸気圧
Tpmta 掃気時間
Claims (4)
- エンジンの吸気通路と排気通路との間に設けられ、前記吸気通路における吸気を過給圧により昇圧させるための過給機と、
前記過給機は、前記吸気通路に配置されたコンプレッサと、前記排気通路に配置されたタービンと、前記コンプレッサと前記タービンを一体回転可能に連結する回転軸とを含むことと、
前記吸気通路を流れる吸気量を調節するための吸気量調節弁と、
前記エンジンの燃焼室から前記排気通路へ排出される排気の一部を排気還流ガスとして前記吸気通路へ流して前記燃焼室へ還流させる排気還流通路と、
前記排気還流通路は、その入口が前記タービンより下流の前記排気通路に接続され、その出口が前記コンプレッサより上流の前記吸気通路に接続されることと、
前記排気還流通路における前記排気還流ガスの流れを調節するための排気還流弁と
を備えた過給機付きエンジンの排気還流装置において、
前記吸気量調節弁が閉弁される前記エンジンの減速時に、前記吸気量調節弁より上流の前記吸気通路における前記過給圧が前記排気通路における背圧を上回る期間だけ、前記排気還流通路から前記吸気通路へ流れて前記吸気量調節弁より上流の前記吸気通路に残留する前記排気還流ガスを前記排気通路へ戻すための排気還流ガス戻し手段を備えたことを特徴とする過給機付きエンジンの排気還流装置。 - 前記排気還流ガス戻し手段は、前記吸気量調節弁より上流であって前記コンプレッサより下流の前記吸気通路に残留する排気還流ガスを前記排気通路へ流す戻し通路と、前記戻し通路を開閉する戻し開閉弁と、制御手段とを含み、
前記制御手段は、前記エンジンの減速時に前記過給圧が前記背圧を上回る期間だけ、前記戻し開閉弁を開弁すると共に前記排気還流弁を閉弁する
ことを特徴とする請求項1に記載の過給機付きエンジンの排気還流装置。 - 前記排気還流ガス戻し手段は、前記吸気量調節弁より上流であって前記コンプレッサより下流の前記吸気通路を前記コンプレッサより上流の前記吸気通路へバイパスするバイパス通路と、前記バイパス通路を開閉するバイパス開閉弁と、前記排気還流通路の前記出口より上流の前記吸気通路を開閉する吸気開閉弁と、制御手段とを含み、
前記制御手段は、前記エンジンの減速時に前記過給圧が前記背圧を上回る期間だけ、前記バイパス開閉弁及び前記排気還流弁を開弁すると共に、前記吸気開閉弁を閉弁する
ことを特徴とする請求項1に記載の過給機付きエンジンの排気還流装置。 - 前記エンジンの運転状態を検出するための運転状態検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記運転状態検出手段により検出される、前記エンジンの減速前における吸気圧及び前記エンジンの回転速度、並びに前記エンジンの減速時における前記吸気量調節弁の開度に基づき、前記エンジンの減速時に前記過給圧が前記背圧を上回る期間を求める
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の過給機付きエンジンの排気還流装置。
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- 2012-08-10 JP JP2012178272A patent/JP2014034959A/ja active Pending
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