JP2013133164A - 植物由来のポリオレフィンを含有する弾性片を備えるヒンジキャップ - Google Patents
植物由来のポリオレフィンを含有する弾性片を備えるヒンジキャップ Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】キャップ本体1、オーバーキャップ2、及び、キャップ本体1とオーバーキャップ2を揺動可能に連結するヒンジ本体と弾性片からなるヒンジ機構3を備え、かつ、ASTM D6866-11によるモダン炭素比率が56.7〜118pMCのポリオレフィンを含有する、合成樹脂材料から一体成形されたヒンジキャップであって、弾性片の端部の厚みが中央部の厚みより大きく、弾性片の厚みが最小となる位置が記中央部と端部との間に存在し、かつ、ヒンジ機構3が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂材料からなる、植物由来のポリオレフィンを含有し、弾性片を備えるヒンジキャップ。
【選択図】図2
Description
これら各種容器は、容積比で家庭ゴミの過半を占めることや、循環型社会構築の世論の高まりにより、リサイクルや分別処理が進んでいる。容器包装リサイクル法や資源有効利用促進法の制定も相まって、アルミニウム容器やPETボトル等のリサイクル率は向上し、資源の再利用率も向上している。
ポリオレフィン等の合成樹脂材料製のキャップを始め、有機物であるポリオレフィン等の合成樹脂を燃焼させると、二酸化炭素が発生する。二酸化炭素は、地球環境を温暖化するガス、すなわち温室効果ガス(「グリーンハウスガス」ともいう。)の一つであり、人による産業活動とともに増え続け、特に産業革命以後、急増し続けている。人の生存が持続可能な地球環境を維持するために、二酸化炭素については、地球の海や大気に循環する二酸化炭素の総量を現在以上に増やさない理念が共有されている。
瓶の開口部に取り付けられるキャップとしては、容器の内容物を注出するために容器から取り外すものと、容器から取り外すことなく容器の内容物を注出することができるものとがある。
a)該ヒンジ機構は、前記キャップ本体に対して前記オーバーキャップを回動自在に支持するヒンジ本体と、前記ヒンジ本体の両側に配置される一対の弾性片とを有し、
b)該弾性片は、
b−1)両端部が、それぞれ対応する前記キャップ本体の外周面及び前記オーバーキャップの外周面に沿って連結され、
b−2)端部における厚みが、中央部における厚みより大きく、
b−3)弾性片の厚みが最小となる位置が、中央部と端部との間に存在し、かつ、
c)前記ヒンジ機構が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂材料からなる、
ことを特徴とする、植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップが提供される。なお、本発明において、「合成樹脂材料から一体に成形された」とは、植物由来のポリオレフィン単独、または、植物由来のポリオレフィンと化石燃料由来のポリオレフィンに加えて、合成樹脂の成形に際して通常使用される添加剤や配合剤等を含有する合成樹脂材料(以下、「樹脂材料」または「樹脂組成物」ということがある。)から一体に成形されたことを意味する。
(1)前記のキャップ本体、オーバーキャップ及びヒンジ機構が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂材料からなる前記の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップ。
(2)前記の不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)が、以下の(A1)、(A2)及び(A3):
(A1)H2N−CO−(−CH2−)n−CH=CH−(−CH2−)n−CH3(ただし、nは、6≦n≦10の範囲の整数);
(A2)H2N−CO−(−CH2−)m−2−CH=CH−(−CH2−)m−CH3(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数);及び
(A3)H2N−CO−(−CH2−)k+4−CH=CH−(−CH2−)k−CH3(ただし、kは、6≦k≦10の範囲の整数);
からなる群より選ばれる一つの式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミドを含有する前記の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップ。
(3)前記の不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)が、前記の(A1)の式で表される脂肪酸アミドと、前記の(A2)または(A3)の式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミドとの混合物である前記の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップ。
(4)前記の(A2)の式で表される脂肪酸アミドにおけるmが、m=n+1またはm=n−1である前記の植物由来のポリオレフィンンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップ。
(5)前記の(A3)の式で表される脂肪酸アミドにおけるkが、k=nである前記の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップ。
(6)前記の不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)が、前記の(A1)の式で表される脂肪酸アミドと、以下の(A11):
(A11)H2N−CO−(−CH2−)j−CH=CH−(−CH2−)j−CH3(ただし、jは、6≦j≦10の範囲の整数であり、j≠nである。);
の式で表される脂肪酸アミドとの混合物である前記の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップ。
(7)前記の不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)が、分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を2結合〜4結合有する化合物を含有する前記の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップ。
(8)前記の不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を含有する合成樹脂材料が、更に飽和脂肪酸アミドを含有する前記の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップ。
(9)前記の植物由来のポリオレフィンが、植物由来のエチレン系樹脂である前記の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップ。
(10)閉蓋状態で熱固定されてなる前記の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップ。
a)該ヒンジ機構は、前記キャップ本体に対して前記オーバーキャップを回動自在に支持するヒンジ本体と、前記ヒンジ本体の両側に配置される一対の弾性片とを有し、
b)該弾性片は、
b−1)両端部が、それぞれ対応する前記キャップ本体の外周面及び前記オーバーキャップの外周面に沿って連結され、
b−2)端部における厚みが、中央部における厚みより大きく、
b−3)弾性片の厚みが最小となる位置が、中央部と端部との間に存在し、かつ、
c)前記ヒンジ機構が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂材料からなる、
ことを特徴とする、植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップであることによって、カーボンオフセット性を有し、化石燃料由来の合成樹脂を含有する合成樹脂材料から一体に成形された弾性片を備えるヒンジキャップと遜色がない成形性を有するとともに、スナップ性、耐久性及び操作性が良好で、かつ、容器へのキャップの取り付け工程において、キャップ供給における移送性が良好である、合成樹脂材料から一体に成形された、植物由来の合成樹脂を含有する、三点ヒンジ機構の弾性片を備えるヒンジキャップを提供することができる、という効果を奏する。
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップは、容器の口頚部に取り付けられるキャップ本体(1)、該キャップ本体(1)の天部を覆うオーバーキャップ(2)、及び、前記キャップ本体(1)に対して前記オーバーキャップ(2)を閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動可能に連結するヒンジ機構(3)を備える、植物由来のポリオレフィンを含有する合成樹脂材料から一体に成形された、弾性片を備えるヒンジキャップである。なお、本発明を図面を参照しつつ説明するに当たっては、図面中の番号及び記号は、先に従来技術の説明において使用したものと同じものを用いる。
容器の口頚部に取り付けられるキャップ本体(1)は、容器の口頚部に、嵌合または螺合により、直接取り付けられるカップ状の部材である。キャップ本体(1)は、通常、図1及び2に示すように、口頚部を囲む略円筒状の部分と、口頚部の先端面(上端)に当接する天板部分とを、更に有してもよい。天板部分の中央部には開口部が形成されており、この開口部が、容器の内容物を注出するための注出口(4)を形成する。キャップ本体(1)の天板部分には、注出口(4)を囲むようにして略円筒状部材を突設してもよく、これにより、容器の内容物を注出することが容易となる。なお、容器の内容物の腐敗防止の観点から、必要に応じて、容器の内容物が接触する天板部分の内面に、酸素ガスバリヤー性の単層または多層のシートまたはフィルム(図示せず)を配設してもよい。キャップ本体(1)の内周面に、容器の口頚部外周面と螺合するためのネジ部(1a)を設け、外周面には、滑り防止のためのローレット加工(刻み加工)を施してもよい。
キャップ本体(1)の天部を覆うオーバーキャップ(2)は、キャップ本体(1)の天板部分を覆い、注出口(4)を閉じるためのものであり、ヒンジ機構(3)を介して、キャップ本体(1)に対して揺動可能に取り付けられている。図1及び2に示すように、オーバーキャップ(2)の内面(図1の閉蓋状態のキャップ本体(1)側の面)には、閉蓋時にキャップ本体(1)の天板部分に形成した開口部に嵌合され、容器の内容物が注出口(4)から漏出することを防止する円筒状の部材を設けてもよい。また、オーバーキャップ(2)を閉蓋状態で維持するために、係止手段(図示せず)を設けてもよい。係止手段は、限定されないが、例えば、キャップ本体(1)の天板部分の外周部に係止リングを設け、オーバーキャップ(2)の内周面とが、弾性変形を利用する係止関係となるようにしてもよい。
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップにおける、前記キャップ本体(1)に対して前記オーバーキャップ(2)を閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動可能に連結するヒンジ機構(3)は、いわゆる三点ヒンジ機構であり、前記キャップ本体(1)に対して前記オーバーキャップ(2)を回動自在に支持するヒンジ本体(3a)と、このヒンジ本体(3a)の両側に配置された一対の弾性片(3b)とから構成されている。
ヒンジ本体(3a)は、図4及び図5に略示するように、キャップ本体(1)の略円筒状の部分の上縁部に沿い外方に突設した部分(3a1)と、オーバーキャップ(2)の上縁部(閉蓋時にキャップ本体(1)と接する側の縁部)に沿い外方に突設した部分(3a2)とを備え、これらの部分(3a1)及び(3a2)は、略中央面の位置で一体結合されている。そして、オーバーキャップ(2)は、この結合面上の水平軸線を揺動軸として揺動されるようになっている。この実施形態では、図5に示すように、ヒンジ本体(3a)の各部分(3a1)及び(3a2)は、略三角柱形状をなし、結合部分が最も薄くなるようにしている。また、図5の例においては、結合部分の上面近傍に、揺動軸の方向に沿って凹部(3a3)が形成されており、この凹部(3a3)により、閉蓋時のヒンジ本体(3a)の折込みとオーバーキャップ(2)の係止に対する抵抗が小さくなる。ヒンジ本体(3a)の大きさ、厚み及び凹部(3a3)等は、キャップ本体(1)及びオーバーキャップ(2)の大きさに対応し、また、キャップ本体(1)及びオーバーキャップ(2)の回動を妨げない範囲で、適宜定めることができる。
前記ヒンジ本体(3a)の両側に配置される一対の弾性片(3b)は、その両端部が、それぞれ対応する前記キャップ本体(1)の外周面及び前記オーバーキャップ(2)の外周面に沿って連結されている。開蓋状態において、キャップ本体(1)とオーバーキャップ(2)との間において、例えば、図4及び図6に略示するように、略円弧形状に延在している。また、各弾性片(3b)の両端部は、キャップ本体(1)及びオーバーキャップ(2)の外周面にそれぞれ形成されている段部に接合し、接合端部を形成する。各弾性片(3b)とキャップ本体(1)及びオーバーキャップ(2)との接合端部は、図4に示されるように、キャップ本体(1)及びオーバーキャップ(2)に対し、その外周面に沿って弧をなしている。ただし、この接合端部は、弧をなすようにする必要はなく、キャップ本体(1)またはオーバーキャップ(2)の外周面に沿う直線状としてもよい。弾性片(3b)の大きさ、及び、キャップ本体(1)及びオーバーキャップ(2)の外周面にそれぞれ形成されている前記段部の大きさや形状は、キャップ本体(1)及びオーバーキャップ(2)の大きさに対応し、また、キャップ本体(1)及びオーバーキャップ(2)の回動を妨げない範囲で、適宜定めることができる。
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップは、キャップ本体(1)、オーバーキャップ(2)、及び、ヒンジ機構(3)を備える、ASTM D6866−11に規定されるモダン炭素比率が56.7〜118pMCであるポリオレフィンを含有する、合成樹脂材料から一体に成形されたヒンジキャップである。なお、先に述べたとおり、「合成樹脂材料から一体に成形された」とは、ポリオレフィンに加えて、合成樹脂材料の成形に際して通常使用される添加剤や配合剤等を含有する合成樹脂材料から一体に成形されたことを意味する。
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップは、ASTM D6866−11に規定されるモダン炭素比率が56.7〜118pMCであるポリオレフィンを含有する、合成樹脂材料から一体に成形されたものである。
本発明の弾性片を備えるヒンジキャップに含有することができる植物由来のポリオレフィンは、植物由来のエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等の植物由来アルケンのオレフィン系単量体の単独重合体または共重合体である。
また、植物由来のエチレン系樹脂は、植物由来のエチレンの単独重合体、または、植物由来のエチレンを主成分とする植物由来のエチレン共重合体であり、該共重合体は、植物由来のエチレンと他の植物由来アルケン及び/または他の植物由来の不飽和単量体との共重合体である。好ましい植物由来のエチレン系樹脂としては、植物由来の高密度ポリエチレン、及び植物由来の低密度ポリエチレン等がある。
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップは、先に述べたとおり、植物由来のポリオレフィンに加え、本発明の目的を損なわない範囲内において、化石燃料由来のポリオレフィンを含有することができる。好ましくは、化石燃料由来のポリオレフィンとしては、以下のポリオレフィンが使用できる。
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップに含有することができる化石燃料由来の合成樹脂として、好ましく使用される化石燃料由来のポリオレフィンは、化石燃料由来のエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等の化石燃料由来アルケンのオレフィン系単量体の単独重合体または共重合体である。好ましくは、化石燃料由来のエチレン系樹脂または化石燃料由来のプロピレン系樹脂であり、耐繰返し疲労性を重視するときには、化石燃料由来のプロピレン系樹脂を用いることができる。
化石燃料由来のエチレン系樹脂は、化石燃料由来のエチレンの単独重合体、または、化石燃料由来のエチレンを主成分とする化石燃料由来のエチレン共重合体であり、該共重合体は、化石燃料由来のエチレンと他の化石燃料由来のオレフィン及び/または他の化石燃料由来の不飽和単量体との共重合体である。好ましい化石燃料由来のエチレン系樹脂としては、化石燃料由来の低密度ポリエチレン、化石燃料由来の高密度ポリエチレン及び化石燃料由来のメタロセン触媒エチレン系ポリオレフィン等がある。
化石燃料由来のプロピレン系樹脂は、化石燃料由来のプロピレンの単独重合体、または、化石燃料由来のプロピレンを主成分とする化石燃料由来のプロピレン共重合体であり、該共重合体は、化石燃料由来のプロピレンと、化石燃料由来のエチレン等の他の化石燃料由来のオレフィン(α−オレフィン)及び/または他の化石燃料由来の不飽和単量体との共重合体である。好ましい化石燃料由来のプロピレン系樹脂としては、化石燃料由来のチーグラー触媒プロピレンホモ重合体または化石燃料由来のチーグラー触媒プロピレンランダム共重合体、化石燃料由来のメタロセン触媒プロピレンホモ重合体または化石燃料由来のメタロセン触媒プロピレンランダム共重合体、化石燃料由来のメタロセン触媒プロピレン系ブロック共重合体等がある。
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップは、先に例示した化石燃料由来のポリオレフィンの外に、さらに、所望により、改質剤または成形性改良剤として、化石燃料由来のエチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、無水マレイン酸変性ポリオレフィンなどの化石燃料由来の樹脂成分を含有することができる。これら改質剤または成形性改良剤として含有する化石燃料由来の樹脂成分の含有量は、合成樹脂材料中の樹脂成分において、通常20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップは、ヒンジ機構(3)が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂材料からなる。すなわち、本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップは、少なくともヒンジ機構(3)が、前記の植物由来のポリオレフィン単独、または、植物由来のポリオレフィン及び化石燃料由来のポリオレフィン等の合成樹脂(改質剤または成形性改良剤として含有する化石燃料由来の樹脂成分を含有してもよい。)に加えて、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を、ヒンジ機構(3)を形成する合成樹脂材料の全質量に対して、100〜4500ppm含有するものである。また、キャップ本体(1)、オーバーキャップ(2)及びヒンジ機構(3)が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂材料からなるものとすることが好ましい。不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)(以下、「(A)の不飽和脂肪酸アミド」ということがある。)とは、脂肪酸アミドの分子構造中に少なくとも1結合の炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸アミドであって、該炭素二重結合のすべてが不飽和cis構造の炭素二重結合である不飽和脂肪族アミドである。
不飽和cis構造の炭素二重結合を1結合有する(A)の不飽和脂肪酸アミドとしては、例えば、以下の式(A1)〜(A3):
(A1)H2N−CO−(−CH2−)n−CH=CH−(−CH2−)n−CH3(ただし、nは、6≦n≦10の範囲の整数);
(A2)H2N−CO−(−CH2−)m−2−CH=CH−(−CH2−)m−CH3(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数);及び
(A3)H2N−CO−(−CH2−)k+4−CH=CH−(−CH2−)k−CH3(ただし、kは、6≦k≦10の範囲の整数);
からなる群より選ばれる一つの式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミド化合物が挙げられる。(以下、(A1)の式で表される脂肪酸アミドを、「式(A1)の脂肪酸アミド」ということがあり、更に単に「式(A1)」ということがある。(A2)または(A3)の式で表される脂肪酸アミドについても同様である。)
cis−8,9−hexadecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)6−CH=CH−(−CH2−)6−CH3〕(n=6に相当)
cis−9,10−octadecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)7−CH=CH−(−CH2−)7−CH3〕(n=7に相当)
cis−10, 11−eicosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)8−CH=CH−(−CH2−)8−CH3〕(n=8に相当)
cis−11, 12− ethaeicosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)9−CH=CH−(−CH2−)9−CH3〕(n=9に相当)
cis−12, 13− tetraeicosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)10−CH=CH−(−CH2−)10−CH3〕(n=10に相当)
cis−6,7−tetradecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)4−CH=CH−(−CH2−)6−CH3〕(m=6に相当)
cis−7,8−hexadecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)5−CH=CH−(−CH2−)7−CH3〕(m=7に相当)
cis−8,9−octadecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)6−CH=CH−(−CH2−)8−CH3〕(m=8に相当)
cis−9,10−eicosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)7−CH=CH−(−CH2−)9−CH3〕(m=9に相当)
cis−10, 11− ethaeicosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)8−CH=CH−(−CH2−)10−CH3〕(m=10に相当)
cis−12,13− eicosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)10−CH=CH−(−CH2−)6−CH3〕(k=6に相当)
cis−13,14−docosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)11−CH=CH−(−CH2−)7−CH3〕(k=7に相当)
cis−14,15− tetracosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)12−CH=CH−(−CH2−)8−CH3〕(k=8に相当)
cis−15,16−hexacosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)13−CH=CH−(−CH2−)9−CH3〕(k=9に相当)
cis−16,17− octacosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)14−CH=CH−(−CH2−)10−CH3〕(k=10に相当)
また、分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を2結合〜4結合有する化合物である(A)の不飽和脂肪酸アミドとしては、例えば、分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を4結合有する以下の化合物が挙げられる。
(A)の不飽和脂肪酸アミドとしては、前記式(A1)〜(A3)の脂肪酸アミド、または、前記の分子構造中に2結合〜4結合の不飽和cis構造の炭素二重結合を有する脂肪酸アミド等から選ばれる1種類の不飽和脂肪酸アミドを使用すれば、十分所期の効果を奏することができるが、2種以上の(A)の不飽和脂肪酸アミドの混合物を使用してもよい。該(A)の不飽和脂肪酸アミドの混合物としては、前記の式(A1)の脂肪酸アミドを含有するものであることが好ましい。
式(A2)が、cis−6,7−tetradecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)4−CH=CH−(−CH2−)6−CH3〕(m=6=n−1に相当)、または、cis−8,9−octadecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)6−CH=CH−(−CH2−)8−CH3〕(m=8=n+1に相当)である組み合わせの混合物などが好ましく使用でき、更に、cis−10, 11−ethaeicosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)8−CH=CH−(−CH2−)10−CH3〕(m=10)との組み合わせの混合物も使用できる。
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップにおいて、少なくともヒンジ機構(3)に含有される(A)の不飽和脂肪酸アミドは、市販品を使用してもよいし、市販品が混合物であったり、不純物を含有する場合は、抽出等の操作により、所望の不飽和脂肪酸アミドを分離して得てもよい。また、例えば、前記の式(A2)の脂肪酸アミド、すなわち、(A2)H2N−CO−(−CH2−)m−2−CH=CH−(−CH2−)m−CH3(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数)は、以下の方法により製造することができるので、合成品として得てもよい。
(式a)CH3O−CO−(−CH2−)m−1−OH
(式b)[CH3O−CO−(−CH2−)m−1−PPh3]++Br−
(式c)CH3O−CO−(−CH2−)m−2−CH=CH−(−CH2−)m−CH3
(式d)H2N−CO−(−CH2−)m−2−CH=CH−(−CH2−)m−CH3
m(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数)を変更することにより、この合成経路を用いて所望の炭素数を有する不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミドを得ることができる。
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップのキャップ本体(1)、オーバーキャップ(2)、及び、ヒンジ機構(3)においては、少なくともヒンジ機構(3)が、(A)の不飽和脂肪酸アミドを100〜4500ppm含有することが必須であることの外、必要に応じて、その他の配合剤として、補強材、充填剤、抗酸化剤、光劣化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、または核剤などの添加剤を配合することができる。補強材または充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボンブラック、マイカ等を使用することができる。これら添加剤の配合量は、合成樹脂100質量部に対して、通常0.01〜100質量部の範囲で添加剤の目的に応じて最適な範囲の量を選定すればよい。例えば、補強材または充填剤は、通常10〜100質量部、好ましくは15〜80質量部、より好ましくは20〜60質量部配合することができる。添加剤の種類によっては、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部、より好ましくは0.1〜2質量部の配合でよいことがある。
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップは、スナップ性、耐久性及び操作性が良好で、かつ、容器へのキャップの取り付け工程において、キャップ供給における移送性が良好である、合成樹脂材料から一体に成形された、三点ヒンジ機構の弾性片を備えるヒンジキャップである。
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップが、容器へのキャップの取り付け工程においてキャップ供給の移送性が良好なものであることは、例えば図7に略示するように、以下の方法により評価することができる。すなわち、ホッパ(図示しない)に、1万個のあらかじめ閉蓋状態としたヒンジキャップ(c)を投入し、該ホッパから、縦40mm、横40mmの正方形の断面を持ち、長さ500mmの角柱状導管(シュート)に、閉蓋状態のヒンジキャップ(c)を、2個/秒の供給速度で連続的に投入し、受渡装置(D)を用いてキャッパー装置に移送する。この一連の移送工程において、シュートでのシュート詰まりが発生した回数(1万個中)を数える。測定は3回行い、その平均値をシュート詰まり回数として、以下の基準で、シュート詰まり評価を行う。シュート詰まり評価が「○」であれば、容器へのキャップの取り付け工程においてキャップ供給の移送性が良好であるといえる。
<シュート詰まり評価>
シュート詰まり評価 ○: シュート詰まり回数が、0〜2回
シュート詰まり評価 ×: シュート詰まり回数が、3回以上
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップのスナップ性は、以下のクリック感評価による判定によって行うことができる。すなわち、一体成形されたヒンジキャップのヒンジ機構(3)を、閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返す試験を、5名の被験者(年齢18〜60歳)が行い、快いクリック感が持続すると感じられるかどうかを感性評価する。過半数の被験者が、快いクリック感が持続すると評価した弾性片を備えるヒンジキャップを、クリック感が良好であると判定する。
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップの製造方法は、特に限定されないが、例えば、植物由来のポリオレフィン単独、または、植物由来のポリオレフィン及び化石燃料由来のポリオレフィン等の合成樹脂、並びに、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)、必要に応じて、その他の材料を含有する合成樹脂材料を、キャップ本体(1)、オーバーキャップ(2)、及び、ヒンジ機構(3)を備えるヒンジキャップに対応したキャビティ形状の金型を使用して、射出成形、圧縮成形、注型成形、真空成形、圧空成形、粉末成形その他の樹脂の成形方法によって製造することができる。
ポリオレフィンの密度及びMFRは、JIS K6922−2に準拠して測定した。
ポリオレフィンのモダン炭素比率は、ベータ・アナリティック社(日本における総合代理店である株式会社地球科学研究所)に委嘱し、ASTM D6866−11に準拠して測定した。
弾性片を備えるヒンジキャップが、容器へのキャップの取り付け工程においてキャップ供給の移送性が良好であることは、以下の方法によって評価した。すなわち、ホッパに、1万個のあらかじめ閉蓋状態とした弾性片を備えるヒンジキャップを投入し、該ホッパから、縦40mm、横40mmの正方形の断面を持ち、長さ500mmの角柱状導管(シュート)に、閉蓋状態の弾性片を備えるヒンジキャップ(c)を、2個/秒の供給速度で連続的に投入し、受渡装置(D)を用いてキャッパー装置に移送する。この一連の移送工程において、シュートでのシュート詰まりが発生した回数(1万個中)を数えた。測定は3回行い、その平均値をシュート詰まり回数として、以下の基準で、シュート詰まり評価を行った。
<シュート詰まり評価>
シュート詰まり評価 ○: シュート詰まり回数が、0〜2回
シュート詰まり評価 ×: シュート詰まり回数が、3回以上
一体成形されたヒンジキャップのヒンジ機構(3)を、閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返す試験を、5名の被験者(年齢18〜60歳)が行い、快いクリック感が持続すると感じられるかどうかを感性評価し、過半数の被験者が、快いクリック感が持続すると評価した弾性片を備えるヒンジキャップを、クリック感が良好であると判定した。
植物由来の高密度ポリエチレン〔ブラスケム社製、銘柄名SGF4950、密度0.956g/cm3、MFR(温度190℃、荷重21.18N)28g/10分、モダン炭素比率104pMC。以下、「植物由来ポリエチレン」ということがある。ポリオレフィンは、100%Corg.renewである。〕に対し、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)として、cis−9,10−octadecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)7−CH=CH−(−CH2−)7−CH3;式(A1)の不飽和脂肪酸アミド〕 (98.0質量%)、及び、cis-13,14-docosenoamide 〔H2N−CO−(−CH2−)11−CH=CH−(−CH2−)7−CH3;式(A3)の不飽和脂肪酸アミド〕(2.0質量%)の混合物を、植物由来の高密度ポリエチレンに対して、3500ppmとなるように配合して、(A)の不飽和脂肪酸アミドを含有する樹脂組成物を得た。
1)キャップ本体(1): 外径37mm、内径32mm、高さ27mmの略円筒形。注出口の開口径10mm
2)オーバーキャップ(2): 外径37mm、内径33mm、高さ9mmの略円筒形
3)ヒンジ機構(3)
ヒンジ本体(3a): 幅(揺動軸方向)10mm、長さ4mm、中央部(最小)厚み0.1mm、端部の厚み0.3mm
弾性片(3b): 幅2.5mm、長さ6mm
端部/中央部厚み比率: 1.50
最小部/中央部厚み比率: 0.890
厚み最小部距離比率: 0.45
熱固定後の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップについて、ヒンジ機構(3)を、閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返したところ、快いクリック感が持続し、クリック感が良好であると判定された。また、この弾性片を備えるヒンジキャップについて、シュート詰まり評価を行った結果を、表1に示す。
不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を、植物由来ポリエチレンに対して、130ppmとなるようにした配合の変更を除いて、実施例1と同様にして、射出成形によって、植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップを一体成形した。
熱固定後の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップについて、ヒンジ機構(3)を、閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返したところ、快いクリック感が持続し、クリック感が良好であると判定された。また、この弾性片を備えるヒンジキャップについて、シュート詰まり評価を行った結果を、表1に示す。
不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を、cis-13,14-docosenoamide 〔式(A3)の不飽和脂肪酸アミド〕(98.0質量%)、及び、cis−9,10−octadecenoamide〔式(A1)の不飽和脂肪酸アミド〕 (2.0質量%)の混合物に変更し、植物由来ポリエチレンに対して、4000ppmとなるようにした配合の変更を除いて、実施例1と同様にして、射出成形によって、植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップを一体成形した。
熱固定後の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップについて、ヒンジ機構(3)を、閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返したところ、快いクリック感が持続し、クリック感が良好であると判定された。また、この弾性片を備えるヒンジキャップについて、シュート詰まり評価を行った結果を、表1に示す。
前記の植物由来ポリエチレンの単独使用に代えて、該植物由来ポリエチレン 90質量%、及び、化石燃料由来の高密度ポリエチレン〔ブラスケム社製、銘柄名IE59U3、密度0.959g/cm3、MFR(温度190℃、荷重2.12N)5g/10分、モダン炭素比率0pMC。以下、「化石燃料由来ポリエチレン」ということがある。〕 10質量%とした配合の変更(合成樹脂材料は、90%Corg.renewであり、モダン炭素比率は、93pMCである。)、並びに、ヒンジ機構(3)の弾性片(3b)における最小部/中央部厚み比率を0.920としたヒンジキャップの形状の変更を除いて、実施例1と同様にして、射出成形によって、植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップを一体成形した。
熱固定後の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップについて、ヒンジ機構(3)を、閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返したところ、快いクリック感が持続し、クリック感が良好であると判定された。また、この弾性片を備えるヒンジキャップについて、シュート詰まり評価を行った結果を、表1に示す。
前記の植物由来ポリエチレン58質量%、及び、前記の化石燃料ポリエチレン 42質量%とした配合の変更(合成樹脂材料は、58%Corg.renewであり、モダン炭素比率は、60pMCである。)を除いて、実施例4と同様にして、射出成形によって、植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップを一体成形した。
前記の植物由来ポリエチレンを配合せず、前記の化石燃料ポリエチレンの単独使用とした配合の変更(合成樹脂材料は、0%Corg.renewであり、モダン炭素比率は、0pMCである。)を除いて、実施例4と同様にして、射出成形によって、弾性片を備えるヒンジキャップを一体成形した。
成形された弾性片を備えるヒンジキャップについて、ヒンジ機構(3)を、閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返したところ、快いクリック感が持続し、クリック感が良好であると判定された。また、この弾性片を備えるヒンジキャップについて、シュート詰まり評価を行った結果を、表1に示す。
不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を、植物由来ポリエチレンに対して、5500ppmとなるようにした配合の変更、並びに、ヒンジ機構(3)の弾性片(3b)の厚みが最小となる位置が、弾性片(3b)の中央部と端部との間に存在しない、すなわち、弾性片(3b)の厚みが最小となる位置が弾性片(3b)の中央部にあり、したがって、弾性片における最小部/中央部厚み比率を1.000としたヒンジキャップの形状の変更を除いて、実施例1と同様にして、射出成形によって、植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップを一体成形した。
熱固定後の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップについて、ヒンジ機構(3)を、閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返したところ、やや強めのクリック感が感じられた。また、この弾性片を備えるヒンジキャップについて、シュート詰まり評価を行った結果を、表1に示す。
不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を、trans−9,10−octadecenoamide〔式(A1)の不飽和脂肪酸アミドのtrans構造に相当する。〕(単独使用)に変更し、植物由来ポリエチレンに対して、2000ppmとなるようにした配合の変更を除いて、比較例1と同様にして、植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップを一体成形した。
成形された植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップについて、ヒンジ機構(3)を、閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返したところ、やや強めのクリック感が感じられた。また、この弾性片を備えるヒンジキャップについて、シュート詰まり評価を行った結果を、表1に示す。
i)カーボンオフセット性を有し、
ii)植物由来のポリエチレンを含有せず、化石燃料由来のポリエチレンからなる参考例の弾性片を備えるヒンジキャップと同等に、射出成形及び熱処理によって形状の歪み等が生じない形状安定性を有するとともに、
iii)快いクリック感が持続して得られることからスナップ性に優れ、シュート詰まり評価が「○」であり、容器へのキャップの取り付け工程においてキャップ供給の移送性が良好であるものであることが分かった。
a)該ヒンジ機構は、前記キャップ本体に対して前記オーバーキャップを回動自在に支持するヒンジ本体と、前記ヒンジ本体の両側に配置される一対の弾性片とを有し、
b)該弾性片は、
b−1)両端部が、それぞれ対応する前記キャップ本体の外周面及び前記オーバーキャップの外周面に沿って連結され、
b−2)端部における厚みが、中央部における厚みより大きく、
b−3)弾性片の厚みが最小となる位置が、中央部と端部との間に存在し、かつ、
c)前記ヒンジ機構が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂材料からなる、
ことを特徴とする、植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップであることによって、カーボンオフセット性を有し、化石燃料由来のポリオレフィンを含有する合成樹脂材料から一体に成形された弾性片を備えるヒンジキャップと遜色がない成形性を有するとともに、スナップ性、耐久性及び操作性が良好で、かつ、容器へのキャップの取り付け工程において、キャップ供給における移送性が良好である、植物由来のポリオレフィンを含有する、合成樹脂材料から一体に成形された、三点ヒンジ機構の弾性片を備えるヒンジキャップを提供することができるので、産業上の利用可能性が高い。
1a: ネジ部
2: オーバーキャップ
3: ヒンジ機構
3a: ヒンジ本体
3a1: キャップ本体の略円筒状の部分の上縁部に沿い外方に突設した部分
3a2: オーバーキャップの上縁部に沿い外方に突設した部分
3a3: 凹部
3b: 弾性片
4: 注出口
D: キャップ支持装置(受渡装置)
b: 容器
c: キャップ
d: キャップ供給手段
e: キャッパー
f: グリッパー
Claims (11)
- 容器の口頚部に取り付けられるキャップ本体、該キャップ本体の天部を覆うオーバーキャップ、及び、前記キャップ本体に対して前記オーバーキャップを閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動可能に連結するヒンジ機構を備え、かつ、ASTM D6866−11に規定されるモダン炭素比率が56.7〜118pMCであるポリオレフィンを含有する、合成樹脂材料から一体に成形されたヒンジキャップであって、以下のa)〜c):
a)該ヒンジ機構は、前記キャップ本体に対して前記オーバーキャップを回動自在に支持するヒンジ本体と、前記ヒンジ本体の両側に配置される一対の弾性片とを有し、
b)該弾性片は、
b−1)両端部が、それぞれ対応する前記キャップ本体の外周面及び前記オーバーキャップの外周面に沿って連結され、
b−2)端部における厚みが、中央部における厚みより大きく、
b−3)弾性片の厚みが最小となる位置が、中央部と端部との間に存在し、かつ、
c)前記ヒンジ機構が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂材料からなる、
ことを特徴とする、植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップ。 - 前記のキャップ本体、オーバーキャップ及びヒンジ機構が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂材料からなる請求項1記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップ。
- 前記の不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)が、以下の(A1)、(A2)及び(A3):
(A1)H2N−CO−(−CH2−)n−CH=CH−(−CH2−)n−CH3(ただし、nは、6≦n≦10の範囲の整数);
(A2)H2N−CO−(−CH2−)m−2−CH=CH−(−CH2−)m−CH3(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数);及び
(A3)H2N−CO−(−CH2−)k+4−CH=CH−(−CH2−)k−CH3(ただし、kは、6≦k≦10の範囲の整数);
からなる群より選ばれる一つの式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミドを含有する請求項1または2記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップ。 - 前記の不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)が、前記の(A1)の式で表される脂肪酸アミドと、前記の(A2)または(A3)の式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミドとの混合物である請求項3記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップ。
- 前記の(A2)の式で表される脂肪酸アミドにおけるmが、m=n+1またはm=n−1である請求項4記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップ。
- 前記の(A3)の式で表される脂肪酸アミドにおけるkが、k=nである請求項4記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップ。
- 前記の不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)が、前記の(A1)の式で表される脂肪酸アミドと、以下の(A11):
(A11)H2N−CO−(−CH2−)j−CH=CH−(−CH2−)j−CH3(ただし、jは、6≦j≦10の範囲の整数であり、j≠nである。);
の式で表される脂肪酸アミドとの混合物である請求項4記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップ。 - 前記の不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)が、分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を2結合〜4結合有する化合物を含有する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップ。
- 前記の不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を含有する合成樹脂材料が、更に飽和脂肪酸アミドを含有する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップ。
- 前記の植物由来のポリオレフィンが、植物由来のエチレン系樹脂である請求項1乃至9のいずれか1項に記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップ。
- 閉蓋状態で熱固定されてなる請求項1乃至10のいずれか1項に記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、弾性片を備えるヒンジキャップ。
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