JP2013088131A - 放射性物質除去用布帛及び、当該布帛を用いた放射性物質の除去方法 - Google Patents
放射性物質除去用布帛及び、当該布帛を用いた放射性物質の除去方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】簡単に放射性物質を除去するのに適した布帛、及び、当該布帛を用いて簡単に、ムラなく放射性物質を除去・回収することが可能な方法を提供する。
【解決手段】通気性及び通水性を有した基材布帛の少なくとも片面に、ポリビニルアルコール、澱粉糊及びポリ酢酸ビニルからなるグループより選ばれた再湿型接着剤が乾燥重量で3〜20g/m2の塗布量にて塗布されており、使用する際には、放射性物質が付着した汚染物の表面に、放射性物質除去用布帛を接着剤の塗布面が接するようにして載置し、当該布帛に水を散布した後、放置し、水分を蒸発させてから布帛を剥離する。この際、布帛を載置する前に、汚染物の表面に、再湿型接着剤を含む溶液を予め塗布しても良い。
【選択図】なし
【解決手段】通気性及び通水性を有した基材布帛の少なくとも片面に、ポリビニルアルコール、澱粉糊及びポリ酢酸ビニルからなるグループより選ばれた再湿型接着剤が乾燥重量で3〜20g/m2の塗布量にて塗布されており、使用する際には、放射性物質が付着した汚染物の表面に、放射性物質除去用布帛を接着剤の塗布面が接するようにして載置し、当該布帛に水を散布した後、放置し、水分を蒸発させてから布帛を剥離する。この際、布帛を載置する前に、汚染物の表面に、再湿型接着剤を含む溶液を予め塗布しても良い。
【選択図】なし
Description
本発明は、放射性物質を除去(除染)するための布帛(放射性物質除去用布帛)及び、当該布帛を用いて放射性物質を除去する方法に関するものである。
これまで、放射性セシウム等の放射性物質により汚染された土壌を除染する方法としては、汚染された土壌を一定の厚さで取り去って、汚染されていない土に置き換えるという方法が行われてきている。しかし、このような方法を実施するには重機が必要で、簡単に実施することが困難であり、土壌の表面層を剥ぎ取る際に、放射性物質が大気中に飛散する恐れがあるので、安全性の点で問題があった。
そこで、本発明者等は、下記の非特許文献1〜3において、汚染された土壌の表面に、粗く平織りにした綿布を被せてポリビニルアルコール(PVA)液をかけ、刷毛でならし、十分に乾燥させてから引き剥がすことにより、放射性物質を除去する方法や、汚染された土壌の上に粉状の澱粉を均等にふりかけ、上記綿布を被せてから散水し、刷毛でならし、十分に乾燥させてから引き剥がすことにより、放射性物質を除去する方法を提案した。
しかしながら、このような方法の場合には、PVA液や粉状澱粉を均等に散布する必要があり、散布が均一にできないと、放射性物質の除去にムラが生じ、除去効率が低下するという問題点があった。
しかしながら、このような方法の場合には、PVA液や粉状澱粉を均等に散布する必要があり、散布が均一にできないと、放射性物質の除去にムラが生じ、除去効率が低下するという問題点があった。
山田國廣、"放射能除染マニュアル(第2版)"、[online]、2011年8月7日、エントロピー学会、[2011年9月16日検索]、インターネット<URL:https://entropy.ac/download/yamada.pdf>
山田國廣、"放射能除染マニュアル第2版(その1)"、[online]、2011年8月14日、エントロピー学会、[2011年9月16日検索]、インターネット<URL:https://entropy.ac/download/josen_manual1.pdf>
山田國廣、"放射能除染マニュアル第2版(その2)"、[online]、2011年8月15日、エントロピー学会、[2011年9月16日検索]、インターネット<URL:https://entropy.ac/download/josen_manual2.pdf>
本発明は、上述の従来技術における問題点を解決し、簡単に放射性物質を除去するのに適した布帛、及び、当該布帛を用いて簡単に、ムラなく放射性物質を除去・回収することができる方法を提供することを課題とする。
本発明者等は、種々検討を行った結果、通気性及び通水性を有する基材布帛に、予め再湿型接着剤を均一に一定量塗布したものを準備し、これを放射性物質により汚染された汚染物の表面に載置し、この上に散水して一定時間放置し、再湿型接着剤の膜を形成させ、引き剥がすことによって、簡単に放射性物質が除去できることを見い出して本発明を完成した。又、本発明者等は、この際、予め汚染物の表面に再湿型接着剤を塗布することにより、アスファルトや瓦等の凹凸のある表面にへばり付いた放射性物質を有効に除去できることも見い出した。
本発明者等は、種々検討を行った結果、通気性及び通水性を有する基材布帛に、予め再湿型接着剤を均一に一定量塗布したものを準備し、これを放射性物質により汚染された汚染物の表面に載置し、この上に散水して一定時間放置し、再湿型接着剤の膜を形成させ、引き剥がすことによって、簡単に放射性物質が除去できることを見い出して本発明を完成した。又、本発明者等は、この際、予め汚染物の表面に再湿型接着剤を塗布することにより、アスファルトや瓦等の凹凸のある表面にへばり付いた放射性物質を有効に除去できることも見い出した。
本発明の放射性物質除去用布帛は、放射性物質を除去する際に使用される布帛であって、前記布帛が、通気性及び通水性を有しており、当該布帛の少なくとも片面には、再湿型接着剤が乾燥重量で3〜20g/m2の塗布量にて塗布されており、前記再湿型接着剤が、ポリビニルアルコール、澱粉糊及びポリ酢酸ビニルからなるグループより選ばれたものであることを特徴とする。
又、本発明は、表面に放射性物質が付着した汚染物から放射性物質を除去するための方法でもあり、当該方法は、
工程a:通気性及び通水性を有する基材布帛の少なくとも片面に、ポリビニルアルコール、澱粉糊及びポリ酢酸ビニルからなるグループより選ばれた再湿型接着剤が乾燥重量で3〜20g/m2の塗布量にて塗布されている放射性物質除去用布帛を準備する工程、及び
工程b:放射性物質が付着した汚染物の表面に、前記放射性物質除去用布帛を前記再湿型接着剤の塗布面が接するようにして載置し、当該布帛に水を散布した後、放置し、水分を蒸発させてから前記布帛を剥離し、放射性物質を除去する工程
を含むことを特徴とする。
工程a:通気性及び通水性を有する基材布帛の少なくとも片面に、ポリビニルアルコール、澱粉糊及びポリ酢酸ビニルからなるグループより選ばれた再湿型接着剤が乾燥重量で3〜20g/m2の塗布量にて塗布されている放射性物質除去用布帛を準備する工程、及び
工程b:放射性物質が付着した汚染物の表面に、前記放射性物質除去用布帛を前記再湿型接着剤の塗布面が接するようにして載置し、当該布帛に水を散布した後、放置し、水分を蒸発させてから前記布帛を剥離し、放射性物質を除去する工程
を含むことを特徴とする。
更に、本発明は、上記の特徴を有した放射性物質の除去方法において、前記工程bを実施する前に、放射性物質が付着した汚染物の表面に、前記再湿型接着剤を含む溶液を予め塗布することを特徴とするものでもある。
本発明の放射性物質除去用布帛には、予め再湿型接着剤が塗布されており、布帛自体に通気性及び通水性があるので、表面を濡らすことにより再湿型接着剤にタックが生じ、乾燥させた後に引き剥がせば、汚染物の表面に付着した放射性物質を除去することができ、本発明では、当該布帛の上から水を散布するために、放射性物質の大気中への飛散を防止することができ、安全性の点でも優れている。
又、この放射性物質除去用布帛は、予め再湿型接着剤を汚染物の表面に塗布した後に使用しても良く、この場合には、凹凸のある表面を有したアスファルトの表面や、汚染された土壌や、家屋の窓ガラスや瓦等の表面の除染にも好適である。
又、この放射性物質除去用布帛は、予め再湿型接着剤を汚染物の表面に塗布した後に使用しても良く、この場合には、凹凸のある表面を有したアスファルトの表面や、汚染された土壌や、家屋の窓ガラスや瓦等の表面の除染にも好適である。
まず、本発明の放射性物質除去用布帛の構成について説明する。
本発明の放射性物質除去用布帛を構成する基材布帛は、再湿型接着剤を塗布することが可能であり、乾燥を阻害しない様に適度な空隙率を保つ必要があり、材質については、綿等の天然繊維であっても、ポリエステル等の合成繊維であってもよく、織物以外に、ニットや不織布等であっても良い。又、通気性及び通水性を有する基材布帛に存在する目の大きさは、散布された水分が蒸発し易いように、目の粗いものが選択され、ポリエステル織物(平織物)では、太さ44〜165dtexの場合、タテヨコの密度が50〜120本/インチ程度のものが好ましく、糸が44dtexよりも細くなると、パディング法では適量の再湿型接着剤(PVA糊等)を塗布することが困難となり、糸が165dtexよりも太くなると、空隙率が低くなり、乾燥が阻害される。この際、太さ44〜82dtexの場合には、タテヨコの密度が70〜120本/インチ程度のものが特に好ましく、太さ66〜165dtexの場合には、タテヨコの密度が50〜100本/インチ程度のものが特に好ましい。
又、綿織物(平織物)では、太さ20〜80番手の場合、タテヨコの密度が40〜90本/インチ程度のものが好ましく、太さ20〜60番手の場合には、タテヨコの密度が40〜70本/インチ程度のものが特に好ましく、太さ40〜80番手の場合には、タテヨコの密度が60〜90本/インチ程度のものが特に好ましい。
本発明の放射性物質除去用布帛を構成する基材布帛は、再湿型接着剤を塗布することが可能であり、乾燥を阻害しない様に適度な空隙率を保つ必要があり、材質については、綿等の天然繊維であっても、ポリエステル等の合成繊維であってもよく、織物以外に、ニットや不織布等であっても良い。又、通気性及び通水性を有する基材布帛に存在する目の大きさは、散布された水分が蒸発し易いように、目の粗いものが選択され、ポリエステル織物(平織物)では、太さ44〜165dtexの場合、タテヨコの密度が50〜120本/インチ程度のものが好ましく、糸が44dtexよりも細くなると、パディング法では適量の再湿型接着剤(PVA糊等)を塗布することが困難となり、糸が165dtexよりも太くなると、空隙率が低くなり、乾燥が阻害される。この際、太さ44〜82dtexの場合には、タテヨコの密度が70〜120本/インチ程度のものが特に好ましく、太さ66〜165dtexの場合には、タテヨコの密度が50〜100本/インチ程度のものが特に好ましい。
又、綿織物(平織物)では、太さ20〜80番手の場合、タテヨコの密度が40〜90本/インチ程度のものが好ましく、太さ20〜60番手の場合には、タテヨコの密度が40〜70本/インチ程度のものが特に好ましく、太さ40〜80番手の場合には、タテヨコの密度が60〜90本/インチ程度のものが特に好ましい。
本発明における上記の基材布帛に塗布される再湿型接着剤は、塗布して乾燥を行った後にはベタツキがないが、表面を水で濡らすとタックが生じる接着剤であれば特に限定されないが、ポリビニルアルコール(PVA)、澱粉糊、酢酸ビニル系糊等が好ましく、いずれも市販品が利用できる。又、本発明における再湿型接着剤は、PVA溶液に澱粉糊を添加・混合されたものであっても良く、この場合、澱粉糊の添加量を変化させることで固まるのに要する時間を適宜調節することができる。
上記基材布帛表面への再湿型接着剤の塗布量は、乾燥重量において3〜20g/m2の範囲であることが好ましく、より好ましい範囲は3.5〜10g/m2であり、塗布量が3g/m2未満の場合には、乾燥後の再湿型接着剤層の厚さが薄く、放射性物質の除去率が低下し、逆に、塗布量が20g/m2を超えると、基材布帛の通気性及び通水性が損なわれ、水が浸透しにくく、水が蒸発しにくくなるので好ましくない。加えて、除染対象物と布帛の接着強度超過により、布帛を剥離する際、布帛の材料破壊が起こったり、接着剤の層間剥離により、除染対象物側へ布帛、再湿型接着剤の未剥離箇所が残り、汚染物の除去にムラができる可能性があり、又、剥離強度が高くなり過ぎることによって布帛を容易に剥離することが困難となり、屋根の上などの高所での作業が危険なものとなる点からも好ましくない。尚、基材布帛の表面に再湿型接着剤を塗布する際の方法は特に限定されるものではなく、パッディング法、浸漬法、スプレー法、その他各種コーティング法が適用できる。
上記基材布帛表面への再湿型接着剤の塗布量は、乾燥重量において3〜20g/m2の範囲であることが好ましく、より好ましい範囲は3.5〜10g/m2であり、塗布量が3g/m2未満の場合には、乾燥後の再湿型接着剤層の厚さが薄く、放射性物質の除去率が低下し、逆に、塗布量が20g/m2を超えると、基材布帛の通気性及び通水性が損なわれ、水が浸透しにくく、水が蒸発しにくくなるので好ましくない。加えて、除染対象物と布帛の接着強度超過により、布帛を剥離する際、布帛の材料破壊が起こったり、接着剤の層間剥離により、除染対象物側へ布帛、再湿型接着剤の未剥離箇所が残り、汚染物の除去にムラができる可能性があり、又、剥離強度が高くなり過ぎることによって布帛を容易に剥離することが困難となり、屋根の上などの高所での作業が危険なものとなる点からも好ましくない。尚、基材布帛の表面に再湿型接着剤を塗布する際の方法は特に限定されるものではなく、パッディング法、浸漬法、スプレー法、その他各種コーティング法が適用できる。
次に、表面に放射性物質が付着した汚染物から放射性物質を除去するための本発明の方法について説明する。
最初の工程aでは、通気性及び通水性を有する基材布帛の少なくとも片面に、ポリビニルアルコール、澱粉糊及びポリ酢酸ビニルからなるグループより選ばれた再湿型接着剤が乾燥重量で3〜20g/m2の塗布量にて塗布されている放射性物質除去用布帛を準備するが、この際、再湿型接着剤の塗布面は、布帛の片面であっても両面であっても良い。
そして次工程の工程bでは、上記の工程aで作製した放射性物質除去用布帛を、放射性物質が付着した汚染物の表面に、接着剤が塗布された面を下にして載置し、当該布帛に水を均一に散布して再湿型接着剤がタックを示すようにし、一定時間放置して水分を蒸発させた後、汚染物の表面から布帛を剥離し、汚染物の表面に付着した放射性物質を再湿型接着剤により固めて除去する。本発明では、水を散布する際、散布する水の量を、塗布された再湿型接着剤が水を吸収する程度に調整する必要があり、あまり多量の水を散布すると基材布帛から再湿型接着剤が流れ落ちてしまうので注意する必要がある。
最初の工程aでは、通気性及び通水性を有する基材布帛の少なくとも片面に、ポリビニルアルコール、澱粉糊及びポリ酢酸ビニルからなるグループより選ばれた再湿型接着剤が乾燥重量で3〜20g/m2の塗布量にて塗布されている放射性物質除去用布帛を準備するが、この際、再湿型接着剤の塗布面は、布帛の片面であっても両面であっても良い。
そして次工程の工程bでは、上記の工程aで作製した放射性物質除去用布帛を、放射性物質が付着した汚染物の表面に、接着剤が塗布された面を下にして載置し、当該布帛に水を均一に散布して再湿型接着剤がタックを示すようにし、一定時間放置して水分を蒸発させた後、汚染物の表面から布帛を剥離し、汚染物の表面に付着した放射性物質を再湿型接着剤により固めて除去する。本発明では、水を散布する際、散布する水の量を、塗布された再湿型接着剤が水を吸収する程度に調整する必要があり、あまり多量の水を散布すると基材布帛から再湿型接着剤が流れ落ちてしまうので注意する必要がある。
本発明では、放射性物質の除去効率を高めるために、放射性物質除去用布帛を載置する前に、予め汚染物の表面に再湿型接着剤を塗布しておくことが好ましく、汚染物の表面に再湿型接着剤を直接塗布することにより、凹凸のある表面を有したアスファルトの表面や、汚染された家屋の窓ガラスや瓦等の表面に入り込んだ放射性物質を確実に再湿型接着剤層に取り込むことができ、除去効率を高めることができる。
尚、本発明の方法では、放射性物質で汚染された汚染物の表面を放射性物質除去用布帛で覆い、この上から水を散布するので、埃等が舞い上がるのを防止でき、これにより内部被爆を防止することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、本発明の方法では、放射性物質で汚染された汚染物の表面を放射性物質除去用布帛で覆い、この上から水を散布するので、埃等が舞い上がるのを防止でき、これにより内部被爆を防止することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1:本発明の放射性物質除去用布帛の製造例
〔本発明品1の製造〕
通気性及び通水性を有する基材布帛として、市販のポリエステルポンジ(素材:ポリエステル、経緯共に82dtex 32f、密度90本×80本、平織り、目付け90g/m2)を準備し、この基材布帛の片面に、PVA水溶液(分子量1500〜3000、濃度8%)をパッディング法により、溶液状態で約60 g/m2コーティングし、120℃にて乾燥を行い、PVAが乾燥重量で約4.8 g/m2塗布された本発明の放射性物質除去用布帛(本発明品1)を得た。
〔本発明品2の製造〕
通気性及び通水性を有する基材布帛として、市販の寒冷紗(素材:綿、経緯共に40番手、密度60本×60本、平織り)を準備し、この基材布帛の片面に、PVA水溶液(分子量1500〜3000、濃度8%)をパッディング法により、溶液状態で約60 g/m2コーティングし、120℃にて乾燥を行い、PVAが乾燥重量で約4.8 g/m2塗布された本発明の放射性物質除去用布帛(本発明品2)を得た。
〔本発明品1の製造〕
通気性及び通水性を有する基材布帛として、市販のポリエステルポンジ(素材:ポリエステル、経緯共に82dtex 32f、密度90本×80本、平織り、目付け90g/m2)を準備し、この基材布帛の片面に、PVA水溶液(分子量1500〜3000、濃度8%)をパッディング法により、溶液状態で約60 g/m2コーティングし、120℃にて乾燥を行い、PVAが乾燥重量で約4.8 g/m2塗布された本発明の放射性物質除去用布帛(本発明品1)を得た。
〔本発明品2の製造〕
通気性及び通水性を有する基材布帛として、市販の寒冷紗(素材:綿、経緯共に40番手、密度60本×60本、平織り)を準備し、この基材布帛の片面に、PVA水溶液(分子量1500〜3000、濃度8%)をパッディング法により、溶液状態で約60 g/m2コーティングし、120℃にて乾燥を行い、PVAが乾燥重量で約4.8 g/m2塗布された本発明の放射性物質除去用布帛(本発明品2)を得た。
実施例2:本発明の放射性物質除去用布帛を用いた放射性物質の除去方法の具体例
〔実験No.1〕
福島市内の住宅より入手した窓ガラスの表面に、上記実施例1で作製した本発明の放射性物質除去用布帛(本発明品1)を、接着面が窓ガラス側になるように載置し、当該布帛にスプレーを用いて1m2当たり100mlの水を散布し、PVAに水を吸収させた後、自然乾燥(日中晴天下で3〜4時間放置)を行い、水分を蒸発させた。その後、窓ガラスから布帛を剥離し、剥離後の布帛に付着した放射性セシウムの量を測定した。
〔実験No.2〕
福島市内の住宅より入手した窓ガラスの表面に、上記実施例1で使用したPVA水溶液を下塗り材として1m2当たり100g刷毛を用いて塗布し、その表面に、上記実施例1で作製した本発明の放射性物質除去用布帛(本発明品1)を、接着面が窓ガラス側になるように載置し、その後、上記と同様の操作を行い、布帛へ付着した放射性セシウムの量を測定した。
〔実験No.3〕
福島市内の住宅より入手した屋根(スレート)の表面に、上記実施例1で使用したPVA水溶液を下塗り材として1m2当たり200g刷毛を用いて塗布し、その表面に、市販品のポリエステルポンジ(未処理)を載置し、当該布帛にスプレーを用いて1m2当たり100mlの水を散布し、PVAに水を吸収させた後、自然乾燥(日中晴天下で3〜4時間放置)を行い、水分を蒸発させた。その後、屋根から布帛を剥離し、剥離後の布帛に付着した放射性セシウムの量を測定した。
〔実験No.4〕
福島市内の住宅より入手した屋根(スレート)の表面に、上記実施例1で作製した本発明の放射性物質除去用布帛(本発明品1)を、接着面が屋根側になるように載置し、その後、上記と同様の操作を行い、布帛へ付着した放射性セシウムの量を測定した。
〔実験No.5〕
福島市内の住宅より入手した屋根(スレート)の表面に、上記実施例1で使用したPVA水溶液を下塗り材として1m2当たり200g刷毛を用いて塗布し、その表面に、上記実施例1で作製した本発明の放射性物質除去用布帛(本発明品1)を、接着面が屋根側になるように載置し、その後、上記と同様の操作を行い、布帛へ付着した放射性セシウムの量を測定した。
〔実験No.6〕
放射性物質除去用布帛として、上記実施例1で作製した本発明品2を使用する以外、実験No.5と同様の操作を行い、本発明の方法を実施後の布帛へ付着した放射性セシウムの量を測定した。
〔実験No.7〕
福島市内の住宅より入手した屋根瓦の表面に、上記実施例1で使用したPVA水溶液を下塗り材として1m2当たり200g刷毛を用いて塗布し、その表面に、市販品のポリエステルポンジ(未処理)を載置し、その後、上記と同様の操作を行い、布帛へ付着した放射性セシウムの量を測定した。
〔実験No.8〕
放射性物質除去用布帛として、上記実施例1で作製した本発明の放射性物質除去用布帛(本発明品1)を使用する以外、実験No.7と同様の操作を行い、本発明の方法を実施後の布帛へ付着した放射性セシウムの量を測定した。
上記の実験No.1〜No.8に使用した除染対象物はいずれも、同じ家屋において同じ条件に曝されていたものとした。
尚、除染処理後の布帛の放射線量測定には、いずれの場合も、ゲルマニウム検出器(CANBRRA社製)を使用した。
以下の表1に上記の実験結果を示す。
〔実験No.1〕
福島市内の住宅より入手した窓ガラスの表面に、上記実施例1で作製した本発明の放射性物質除去用布帛(本発明品1)を、接着面が窓ガラス側になるように載置し、当該布帛にスプレーを用いて1m2当たり100mlの水を散布し、PVAに水を吸収させた後、自然乾燥(日中晴天下で3〜4時間放置)を行い、水分を蒸発させた。その後、窓ガラスから布帛を剥離し、剥離後の布帛に付着した放射性セシウムの量を測定した。
〔実験No.2〕
福島市内の住宅より入手した窓ガラスの表面に、上記実施例1で使用したPVA水溶液を下塗り材として1m2当たり100g刷毛を用いて塗布し、その表面に、上記実施例1で作製した本発明の放射性物質除去用布帛(本発明品1)を、接着面が窓ガラス側になるように載置し、その後、上記と同様の操作を行い、布帛へ付着した放射性セシウムの量を測定した。
〔実験No.3〕
福島市内の住宅より入手した屋根(スレート)の表面に、上記実施例1で使用したPVA水溶液を下塗り材として1m2当たり200g刷毛を用いて塗布し、その表面に、市販品のポリエステルポンジ(未処理)を載置し、当該布帛にスプレーを用いて1m2当たり100mlの水を散布し、PVAに水を吸収させた後、自然乾燥(日中晴天下で3〜4時間放置)を行い、水分を蒸発させた。その後、屋根から布帛を剥離し、剥離後の布帛に付着した放射性セシウムの量を測定した。
〔実験No.4〕
福島市内の住宅より入手した屋根(スレート)の表面に、上記実施例1で作製した本発明の放射性物質除去用布帛(本発明品1)を、接着面が屋根側になるように載置し、その後、上記と同様の操作を行い、布帛へ付着した放射性セシウムの量を測定した。
〔実験No.5〕
福島市内の住宅より入手した屋根(スレート)の表面に、上記実施例1で使用したPVA水溶液を下塗り材として1m2当たり200g刷毛を用いて塗布し、その表面に、上記実施例1で作製した本発明の放射性物質除去用布帛(本発明品1)を、接着面が屋根側になるように載置し、その後、上記と同様の操作を行い、布帛へ付着した放射性セシウムの量を測定した。
〔実験No.6〕
放射性物質除去用布帛として、上記実施例1で作製した本発明品2を使用する以外、実験No.5と同様の操作を行い、本発明の方法を実施後の布帛へ付着した放射性セシウムの量を測定した。
〔実験No.7〕
福島市内の住宅より入手した屋根瓦の表面に、上記実施例1で使用したPVA水溶液を下塗り材として1m2当たり200g刷毛を用いて塗布し、その表面に、市販品のポリエステルポンジ(未処理)を載置し、その後、上記と同様の操作を行い、布帛へ付着した放射性セシウムの量を測定した。
〔実験No.8〕
放射性物質除去用布帛として、上記実施例1で作製した本発明の放射性物質除去用布帛(本発明品1)を使用する以外、実験No.7と同様の操作を行い、本発明の方法を実施後の布帛へ付着した放射性セシウムの量を測定した。
上記の実験No.1〜No.8に使用した除染対象物はいずれも、同じ家屋において同じ条件に曝されていたものとした。
尚、除染処理後の布帛の放射線量測定には、いずれの場合も、ゲルマニウム検出器(CANBRRA社製)を使用した。
以下の表1に上記の実験結果を示す。
実験No.1と実験No.2の結果からわかるように、表面が平滑なガラスの様な素材に対しては、下塗り材を塗布しなくても本発明品を用い、適量の水を噴霧することで、十分な除染性能が得られることがわかる。
実験No.3では、凹凸のある表面に対して、本発明品に処理(塗布)されている量よりも多い、PVA液の下塗りを行ったが、十分な接着強力は得られず、乾燥後生地は剥がれ落ちた。剥がれ落ちた生地の測定を行ったが、測定値は検出限界以下(0.1Bq/m2以下)であった。
実験No.4の結果からわかるように、予めPVA糊を生地に処理することにより、スレートの様な凹凸のある表面に対しても、布帛は接着し除染性能が得られる。
また実験No.5と実験No.6の結果からわかるように、凹凸のある表面に対しては、PVA糊の下塗りと本発明品を組み合わせることにより、除染性能は飛躍的に向上することがわかる。
実験No.7では、実験No.3とは異なり、十分な接着力が得られ除染性能が見られるが、本発明品を用いた実験No.8では除染性能はさらに約20%向上した。
実験No.3では、凹凸のある表面に対して、本発明品に処理(塗布)されている量よりも多い、PVA液の下塗りを行ったが、十分な接着強力は得られず、乾燥後生地は剥がれ落ちた。剥がれ落ちた生地の測定を行ったが、測定値は検出限界以下(0.1Bq/m2以下)であった。
実験No.4の結果からわかるように、予めPVA糊を生地に処理することにより、スレートの様な凹凸のある表面に対しても、布帛は接着し除染性能が得られる。
また実験No.5と実験No.6の結果からわかるように、凹凸のある表面に対しては、PVA糊の下塗りと本発明品を組み合わせることにより、除染性能は飛躍的に向上することがわかる。
実験No.7では、実験No.3とは異なり、十分な接着力が得られ除染性能が見られるが、本発明品を用いた実験No.8では除染性能はさらに約20%向上した。
本発明の放射性物質除去用布帛は、除染対象箇所に載置して水を噴霧し、乾燥させてから剥離することにより簡単に放射性物質を除去することができ、平滑な表面部分だけでなく、表面凹凸のある部分に入り込んだ放射性物質の除染にも有用である。
Claims (3)
- 放射性物質を除去する際に使用される布帛であって、前記布帛が、通気性及び通水性を有しており、当該布帛の少なくとも片面には、再湿型接着剤が乾燥重量で3〜20g/m2の塗布量にて塗布されており、前記再湿型接着剤が、ポリビニルアルコール、澱粉糊及びポリ酢酸ビニルからなるグループより選ばれたものであることを特徴とする放射性物質除去用布帛。
- 表面に放射性物質が付着した汚染物から放射性物質を除去するための方法であって、当該方法が、
工程a:通気性及び通水性を有する基材布帛の少なくとも片面に、ポリビニルアルコール、澱粉糊及びポリ酢酸ビニルからなるグループより選ばれた再湿型接着剤が乾燥重量で3〜20g/m2の塗布量にて塗布されている放射性物質除去用布帛を準備する工程、及び
工程b:放射性物質が付着した汚染物の表面に、前記放射性物質除去用布帛を前記再湿型接着剤の塗布面が接するようにして載置し、当該布帛に水を散布した後、放置し、水分を蒸発させてから前記布帛を剥離し、放射性物質を除去する工程
を含むことを特徴とする放射性物質の除去方法。 - 前記工程bを実施する前に、放射性物質が付着した汚染物の表面に、前記再湿型接着剤を含む溶液を予め塗布することを特徴とする請求項2に記載の放射性物質の除去方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011225819A JP2013088131A (ja) | 2011-10-13 | 2011-10-13 | 放射性物質除去用布帛及び、当該布帛を用いた放射性物質の除去方法 |
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DE102014205024A1 (de) | 2013-04-19 | 2014-10-23 | Fujitsu Ten Ltd. | Radareinrichtung und signalverarbeitungsverfahren |
KR102091344B1 (ko) * | 2019-01-21 | 2020-03-19 | 류길수 | 방사선 차폐용 다층 시트 및 이를 포함하는 점접착성 특수지 |
-
2011
- 2011-10-13 JP JP2011225819A patent/JP2013088131A/ja active Pending
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