JP2013071633A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ウェット制動性を維持しつつ車外騒音を低減する。
【解決手段】4本の主溝3により各ショルダー陸部4a,4bと3本のリブ4c,4d,4eとをトレッド面2aに形成し、車両内側ショルダー陸部に一端が車両最内側の主溝に連通する車両内側ショルダー陸部ラグ溝5aを設け、車両外側ショルダー陸部に車両最外側の主溝から離隔する車両外側ショルダー陸部ラグ溝5cを設け、中央リブに一端が車両内側の主溝に連通し他端が当該リブ内で終端する中央リブラグ溝5dを設け、車両外側リブに一端が車両内側の主溝に連通し他端が当該リブ内で終端する車両外側リブラグ溝5eを設け、車両内側のリブに一端が車両内側の主溝に連通し他端が当該リブ内で終端する車両内側リブ第一ラグ溝5fを設け、車両内側のリブに一端が車両外側の主溝に連通し他端が当該リブ内で終端する車両内側リブ第二ラグ溝5gを設け、車両内側のリブの幅W1を他のリブの幅W2,W3に対し1.2倍以上1.5倍以下に形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、ウェット制動性を維持しつつ車外騒音を低減する空気入りタイヤに関するものである。
従来、特許文献1では、制動性能を維持しながら、ウェット時およびスノー時の耐横滑り性能を改善することを目的とした空気入りタイヤが開示されている。この空気入りタイヤは、トレッド面にタイヤ周方向に延在する4本の主溝をタイヤ幅方向に所定の間隔で配置し、両外側の主溝間に位置するセンター領域に前記4本の主溝により3本のリブを区分形成したもので、各リブに一端のみが主溝に連通してタイヤ幅方向に延在する第1ラグ溝をタイヤ周方向に所定の間隔で配置し、各リブの各第1ラグ溝間に一端のみが第1ラグ溝に連通し、かつリブ幅を実質的に等分する位置にタイヤ周方向に延びる少なくとも1本のサイプをタイヤ周方向に対して0[°]〜5[°]の範囲で配設し、該サイプのタイヤ周方向長さを第1ラグ溝間の距離の40[%]〜60[%]の範囲にし、両外側の主溝より外側に位置する両ショルダー領域にタイヤ周方向に延在する補助溝をそれぞれ配置し、各補助溝と外側の主溝との間にリブを形成し、各補助溝からタイヤ幅方向外側に延在する第2ラグ溝をタイヤ周方向に所定の間隔で配置したものである。
特許第4581732号公報
上述した特許文献1に記載の空気入りタイヤは、ウェット制動性およびドライ制動性に優れている。しかしながら、第1ラグ溝は、一端がタイヤ幅方向外側の主溝に連通して配置されているため、車外騒音を低減する観点からさらなる改善が望まれている。
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ウェット制動性を維持しつつ車外騒音を低減することのできる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の空気入りタイヤは、車両装着時での車両内外の向きが指定されており、トレッド面に、タイヤ周方向に延在する4本の主溝をタイヤ幅方向に所定の間隔で配置することで、タイヤ幅方向最外側の各前記主溝のタイヤ幅方向外側の各ショルダー陸部と、タイヤ幅方向最外側の各前記主溝のタイヤ幅方向内側の3本のリブとを区分形成した空気入りタイヤであって、車両内側の前記ショルダー陸部に設けられており、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されて一端が車両最内側の前記主溝に連通する車両内側ショルダー陸部ラグ溝と、車両外側の前記ショルダー陸部に設けられており、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されて車両最外側の前記主溝に向く一端が当該ショルダー陸部内で終端し、車両最外側の前記主溝から離隔する車両外側ショルダー陸部ラグ溝と、中央の前記リブに設けられており、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されて一端が車両内側の前記主溝に連通し他端が当該リブ内で終端する中央リブラグ溝と、車両外側の前記リブに設けられており、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されて一端が車両内側の前記主溝に連通し他端が当該リブ内で終端する車両外側リブラグ溝と、車両内側の前記リブに設けられており、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されて一端が車両内側の前記主溝に連通し他端が当該リブ内で終端する車両内側リブ第一ラグ溝と、車両内側の前記リブに設けられており、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されて一端が車両外側の前記主溝に連通し他端が当該リブ内で終端する車両内側リブ第二ラグ溝と、を備え、車両内側の前記リブの幅が、中央および車両外側の各前記リブの幅に対し、1.2倍以上1.5倍以下に形成されていることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、車両外側のショルダー陸部において、車両外側ショルダー陸部ラグ溝を、当該車両外側のショルダー陸部の車両内側にある主溝から離隔して設け、中央のリブにおいて、中央リブラグ溝を、当該中央のリブの車両外側にある主溝から離隔して設け、車両外側のリブにおいて、車両外側リブラグ溝を、当該車両外側のリブの車両外側にある主溝から離隔して設けており、車両内側のリブにおいて、車両外側の主溝に連通する車両内側リブ第二ラグ溝を有する構成とした。このため、パターンノイズの車両外側への放射を抑制することができる。しかも、制動時においては、タイヤ幅方向最外側の主溝周辺のトレッド面の接地圧が上がって排水性が重要となるが、車両内側のショルダー陸部において、車両外側の主溝に連通する車両内側ショルダー陸部ラグ溝を設けたことにより、車両内側への排水性を改善することができる。
ところで、車両内側のリブの幅が、中央および車両外側の各リブの幅に対し、1.5倍を越えると車両外側に主溝の配置が偏るため車両外側にて気柱共鳴音が目立ちやすく、1.2倍未満であると中央および車両外側の各リブの幅が広くなって排水性が悪化する傾向となる。この点、本発明の空気入りタイヤによれば、車両内側のリブの幅を、中央および車両外側の各リブの幅に対して1.2倍以上1.5倍以下に形成し、かつ比較的広い幅の車両内側のリブに、車両内側の主溝に連通する車両内側リブ第一ラグ溝を設けたことにより、気柱共鳴音が車両外側で目立つことがなく、かつ車両内側のリブでの排水性を改善している。
この結果、本発明の空気入りタイヤによれば、ウェット制動性を維持しつつ車外騒音を低減することができる。
また、本発明の空気入りタイヤは、各前記リブに設けられた各前記ラグ溝が、タイヤ周方向に対して30[°]以上60[°]以下の角度で延在していることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、各リブに設けられた各ラグ溝のタイヤ周方向に対する角度が、30[°]以上60[°]以下の範囲であれば、当該各ラグ溝による主溝への排水性が良好となり、ウェット制動性をより維持できる傾向となる。
また、本発明の空気入りタイヤは、前記トレッド面が複数の異なる曲率半径の円弧で形成されており、正規リムにリム組みし、かつ、正規内圧の5[%]を充填した状態において、前記トレッド面は、タイヤ幅方向の中央に位置する中央部円弧と、当該中央部円弧のタイヤ幅方向両端側2箇所に位置するとともに2箇所の円弧がほぼ同一の曲率半径となって形成されるショルダー側円弧と、前記トレッド面のタイヤ幅方向の端部に位置するショルダー部を形成するショルダー部円弧と、により形成されており、前記中央部円弧の曲率半径をTR1とし、タイヤ赤道面から前記中央部円弧のタイヤ幅方向における端部までの幅である輪郭範囲をL1とし、タイヤ幅方向における前記トレッド面の幅であるトレッド展開幅をTDWとし、タイヤ幅方向の両端に位置して対向するサイドウォール部のうちタイヤ幅方向の最も外方に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅である総幅をSWとし、前記トレッド面のうちタイヤ径方向における径が最も大きい部分の直径であるタイヤ外径をODとし、偏平率をβとした場合に、前記輪郭範囲L1と前記トレッド展開幅TDWとの関係式である下記の式(1)で求められたK1が0.6≦K1≦0.8の範囲内になるとともに、前記中央部円弧の曲率半径TR1と前記タイヤ外径ODとの比を求める式である下記の式(2)で求められたK2が0.9≦K2≦2.0の範囲内になり、前記偏平率βと前記トレッド展開幅TDWと前記総幅SWとの関係式である下記の式(3)で求められたK3が0.40≦K3≦0.48の範囲内になり、前記タイヤ赤道面から前記ショルダー陸部に設けられた前記ラグ溝の一端までの距離が、0.97×L1以上1.03×L1以下となることを特徴とする。
K1=L1/(TDW×0.5)・・・(1)
K2=TR1/OD・・・(2)
K3=(β×TDW)/(100×SW)・・・(3)
本発明では、上記の式によって輪郭範囲L1とトレッド展開幅TDWとの関係K1を算出し、K1が0.6≦K1≦0.8の範囲内になるとともに、中央部円弧の曲率半径TR1とタイヤ外径ODとの比K2が0.9≦K2≦2.0の範囲内になるようにすることにより、トレッド面のプロファイルが平坦な形状に近づく。これにより、例えば最大荷重の40[%]荷重等における低荷重時の接地面積を増大させることができ、低荷重時の最大コーナーリングフォースを増加させることができる。したがって、低荷重時の操縦安定性を確保できる。また、上記の式によって偏平率βとトレッド展開幅TDWと総幅SWとの関係であるK3を算出し、K3が0.40≦K3≦0.48の範囲内になるようにすることにより、トレッド展開幅を狭くできるので、例えば最大荷重時、すなわち100[%]荷重時などの高荷重時の接地面積を減少させることができ、高荷重時の最大コーナーリングフォースを低減できる。したがって、高荷重時の耐転覆性の向上を図ることができる。さらに、タイヤ赤道面からショルダー陸部に設けられたラグ溝開始位置までの距離を0.97×L1以上1.03×L1以下とすることにより、空気入りタイヤの接地面の接地前端が四角に近い形状からより円形に近づくので、ショルダー部近傍で空気入りタイヤが滑る領域が低減される。これらの結果、操縦安定性を維持しつつ耐転覆性能が向上し、かつ高周波ロードノイズを低減することができる。
本発明に係る空気入りタイヤは、ウェット制動性を維持しつつ車外騒音を低減することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッドパターンを示す平面図である。 図2は、図1の平面図の一部拡大図である。 図3は、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤの子午断面図である。 図4は、本発明の実施例に係る空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。 図5は、本発明の実施例に係る空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
図1は、本実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッドパターンを示す平面図である。以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ1の回転軸(図示せず)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とは、タイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ幅方向とは、前記回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とは、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、前記回転軸を中心軸とする周方向である。また、タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤ1の回転軸に直交すると共に、空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ1の周方向に沿う線をいう。本実施の形態では、タイヤ赤道線にタイヤ赤道面と同じ符号「CL」を付す。
本実施の形態の空気入りタイヤ1は、車両(図示せず)に装着した場合、タイヤ幅方向において、車両の内側および外側に対する向きが指定されている。向きの指定は、図には明示しないが、例えば、後述するサイドウォール部11に設けられた指標により示される。以下、車両に装着した場合に車両の内側に向く側を車両内側、車両の外側に向く側を車両外側という。なお、車両内側および車両外側の指定は、車両に装着した場合に限らない。例えば、リム組みした場合に、タイヤ幅方向において、車両の内側および外側に対するリムの向きが決まっている。このため、空気入りタイヤ1は、リム組みした場合、タイヤ幅方向において、車両の内側(車両内側)および外側(車両外側)に対する向きが指定される。
この空気入りタイヤ1は、図1に示すように、トレッド部2を有している。トレッド部2は、ゴム材からなり、空気入りタイヤ1のタイヤ径方向の最も外側で露出し、その表面であるトレッド面2aが空気入りタイヤ1の輪郭となる。
トレッド面2aは、タイヤ周方向に沿って延在する主溝3が、タイヤ幅方向に4本並設されている。そして、トレッド面2aは、4本の主溝3によって、タイヤ幅方向最外側の各主溝3のタイヤ幅方向外側でタイヤ周方向に延在する各ショルダー陸部4a,4bと、タイヤ幅方向最外側の各主溝のタイヤ幅方向内側でタイヤ周方向に延在する3本のリブ4c,4d,4eとが区分形成されている。なお、主溝3は、溝幅が接地幅TWの3[%]以上6[%]以下の寸法を有するものである。また、車両内側のリブ4eの幅W1は、中央および車両外側の各リブ4c,4dの幅W2,W3に対し、1.2倍以上1.5倍以下に形成されている。
ここで、接地幅TWとは、空気入りタイヤ1を正規リムにリム組みし、かつ正規内圧を充填するとともに正規荷重の70[%]をかけたとき、この空気入りタイヤ1のトレッド面2aが路面と接地する領域のタイヤ幅方向の最大幅である。
なお、正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、あるいは、ETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。また、正規荷重とは、JATMAで規定する「最大負荷能力」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「LOAD CAPACITY」である。
車両内側のショルダー陸部4aは、車両内側ショルダー陸部ラグ溝5aが設けられている。車両内側ショルダー陸部ラグ溝5aは、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されており、一端が車両最内側の主溝3に連通する。この車両内側ショルダー陸部ラグ溝5aは、タイヤ周方向に湾曲して形成されている。また、車両内側のショルダー陸部4aは、車両内側ショルダー陸部副ラグ溝5bが設けられている。車両内側ショルダー陸部副ラグ溝5bは、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されており、車両最内側の主溝3に向く一端が車両内側のショルダー陸部4a内で終端し、車両最内側の主溝3から離隔して配置されている。この車両内側ショルダー陸部副ラグ溝5bは、車両内側ショルダー陸部ラグ溝5aと同様にタイヤ周方向に湾曲して形成され、車両内側ショルダー陸部ラグ溝5aの間に配置されている。
車両外側のショルダー陸部4bは、車両外側ショルダー陸部ラグ溝5cが設けられている。車両外側ショルダー陸部ラグ溝5cは、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されており、車両最外側の主溝3に向く一端が車両外側のショルダー陸部4b内で終端し、車両最内側の主溝3から離隔して配置されている。本実施の形態では、車両外側のショルダー陸部4bにおいて、車両最外側の主溝3のタイヤ幅方向外側に、タイヤ周方向に延在する1本の補助溝6が設けられており、この補助溝6に車両外側ショルダー陸部ラグ溝5cの一端が連通することで、当該車両外側ショルダー陸部ラグ溝5cが車両最内側の主溝3から離隔して配置されている。なお、補助溝6は、主溝3の溝幅の10[%]以上30[%]以下の溝幅を有する溝である。この車両外側ショルダー陸部ラグ溝5cは、車両内側ショルダー陸部ラグ溝5aとは逆のタイヤ周方向に湾曲して形成されている。また、車両外側のショルダー陸部4bは、ショルダー陸部サイプ7aが設けられている。ショルダー陸部サイプ7aは、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されており、車両最内側の主溝3に向く一端が補助溝6に連通することで、車両最外側の主溝3から離隔して配置されている。このショルダー陸部サイプ7aは、車両外側ショルダー陸部ラグ溝5cと同様にタイヤ周方向に湾曲して形成され、車両外側ショルダー陸部ラグ溝5cの間に配置されている。なお、本実施の形態において、サイプとは、溝幅が1.5[mm]以下の溝を指す。
中央のリブ4cは、中央リブラグ溝5dが設けられている。中央リブラグ溝5dは、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されており、一端が車両内側の主溝3に連通し、他端が中央のリブ4c内で終端して配置されている。この中央リブラグ溝5dは、タイヤ周方向に対して傾斜して設けられている。また、中央リブラグ溝5dは、他端から主溝3に連通する一端に向けて溝幅が漸次広く形成されており、溝内の水を主溝3に排水しやすく形成されている。なお、中央のリブ4cは、中央リブサイプ7bが設けられている。中央リブサイプ7bは、タイヤ周方向に延在しており、一端が中央リブラグ溝5dに連通し、他端が中央のリブ4c内で終端して配置されている。本実施の形態では、中央リブサイプ7bは、中央リブラグ溝5dの途中に連通し、そこから、一端から他端に傾斜する中央リブラグ溝5dの傾斜方向の反対側に向かってタイヤ周方向に延在して配置されている。中央リブサイプ7bを設けることで、エッジ効果をウェット走行時やスノー走行時での横滑りに対して効果的に発揮することが可能である。
車両外側のリブ4dは、車両外側リブラグ溝5eが設けられている。車両外側リブラグ溝5eは、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されており、一端が車両内側の主溝3に連通し、他端が車両外側のリブ4d内で終端して配置されている。この車両外側リブラグ溝5eは、タイヤ周方向に傾斜して設けられている。本実施の形態では、車両外側リブラグ溝5eは、一端から他端へ中央リブラグ溝5dと同じ方向に傾斜して設けられている。また、車両外側リブラグ溝5eは、他端から主溝3に連通する一端に向けて溝幅が漸次広く形成されており、溝内の水を主溝3に排水しやすく形成されている。なお、車両外側のリブ4dは、車両外側リブサイプ7cが設けられている。車両外側リブサイプ7cは、タイヤ周方向に延在しており、一端が車両外側リブラグ溝5eに連通し、他端が車両外側のリブ4d内で終端して配置されている。本実施の形態では、車両外側リブサイプ7cは、車両外側リブラグ溝5eの途中に連通し、そこから、一端から他端に傾斜する車両外側リブラグ溝5eの傾斜方向の反対側に向かってタイヤ周方向に延在して配置されている。車両外側リブサイプ7cを設けることで、エッジ効果をウェット走行時やスノー走行時での横滑りに対して効果的に発揮することが可能である。
車両内側のリブ4eは、車両内側リブ第一ラグ溝5fと、車両内側リブ第二ラグ溝5gとが設けられている。車両内側リブ第一ラグ溝5fは、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されており、一端が車両内側の主溝3に連通し、他端が車両内側のリブ4e内で終端して配置されている。この車両内側リブ第一ラグ溝5fは、タイヤ周方向に傾斜して設けられている。本実施の形態では、車両内側リブ第一ラグ溝5fは、一端から他端へ中央リブラグ溝5dと逆方向に傾斜して設けられている。また、車両内側リブ第一ラグ溝5fは、他端から主溝3に連通する一端に向けて溝幅が漸次広く形成されており、溝内の水を主溝3に排水しやすく形成されている。
車両内側リブ第二ラグ溝5gは、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されており、一端が車両外側の主溝3に連通し、他端が車両内側のリブ4e内で終端して配置されている。この車両内側リブ第二ラグ溝5gは、タイヤ周方向に傾斜して設けられている。本実施の形態では、車両内側リブ第二ラグ溝5gは、一端から他端へ中央リブラグ溝5dと同じ方向に傾斜して設けられている。また、車両内側リブ第二ラグ溝5gは、他端から主溝3に連通する一端に向けて溝幅が漸次広く形成されており、溝内の水を主溝3に排水しやすく形成されている。
なお、車両内側のリブ4eは、車両内側リブ第一サイプ7dと、車両内側リブ第二サイプ7eとが設けられている。車両内側リブ第一サイプ7dは、タイヤ周方向に延在しており、一端が車両内側リブ第一ラグ溝5fに連通し、他端が車両内側のリブ4e内で終端して配置されている。本実施の形態では、車両内側リブ第一サイプ7dは、車両内側リブ第一ラグ溝5fの終端する他端に連通し、そこから、一端から他端に傾斜する車両内側リブ第一ラグ溝5fの傾斜方向に向かってタイヤ周方向に延在して配置されている。また、車両内側リブ第二サイプ7eは、タイヤ周方向に延在しており、一端が車両内側リブ第二ラグ溝5gに連通し、他端が車両内側のリブ4e内で終端して配置されている。本実施の形態では、車両内側リブ第二サイプ7eは、車両内側リブ第二ラグ溝5gの終端する他端に連通し、そこから、一端から他端に傾斜する車両内側リブ第二ラグ溝5gの傾斜方向に向かってタイヤ周方向に延在して配置されている。車両内側リブ第一サイプ7dおよび車両内側リブ第二サイプ7eを設けることで、エッジ効果をウェット走行時やスノー走行時での横滑りに対して効果的に発揮することが可能である。
このように、本実施の形態の空気入りタイヤ1は、車両装着時での車両内外の向きが指定されており、トレッド面2aに、タイヤ周方向に延在する4本の主溝3をタイヤ幅方向に所定の間隔で配置することで、タイヤ幅方向最外側の各主溝3のタイヤ幅方向外側の各ショルダー陸部4a,4bと、タイヤ幅方向最外側の各主溝3のタイヤ幅方向内側の3本のリブ4c,4d,4eとを区分形成したものである。そして、車両内側のショルダー陸部4aに設けられており、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されて一端が車両最内側の主溝3に連通する車両内側ショルダー陸部ラグ溝5aと、車両外側のショルダー陸部4bに設けられており、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されて車両最外側の主溝3から離隔する車両外側ショルダー陸部ラグ溝5cと、中央のリブ4cに設けられており、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されて一端が車両内側の主溝3に連通し他端が中央のリブ4c内で終端する中央リブラグ溝5dと、車両外側のリブ4dに設けられており、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されて一端が車両内側の主溝3に連通し他端が車両外側のリブ4d内で終端する車両外側リブラグ溝5eと、車両内側のリブ4eに設けられており、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されて一端が車両内側の主溝3に連通し他端が車両内側のリブ4e内で終端する車両内側リブ第一ラグ溝5fと、車両内側のリブ4eに設けられており、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されて一端が車両外側の主溝3に連通し他端が車両内側のリブ4e内で終端する車両内側リブ第二ラグ溝5gと、を備え、車両内側のリブ4eの幅W1が、中央および車両外側の各リブ4c,4dの幅W2,W3に対し、1.2倍以上1.5倍以下に形成されている。
この空気入りタイヤ1によれば、車両外側のショルダー陸部4bにおいて、車両外側ショルダー陸部ラグ溝5cを、当該車両外側のショルダー陸部4bの車両内側にある主溝3から離隔して設け、中央のリブ4cにおいて、中央リブラグ溝5dを、当該中央のリブ4cの車両外側にある主溝3から離隔して設け、車両外側のリブ4dにおいて、車両外側リブラグ溝5eを、当該車両外側のリブ4dの車両外側にある主溝3から離隔して設けており、車両内側のリブ4eにおいて、車両外側の主溝3に連通する車両内側リブ第二ラグ溝5gを有する構成とした。このため、パターンノイズの車両外側への放射を抑制する。しかも、制動時においては、タイヤ幅方向最外側の主溝3周辺のトレッド面2aの接地圧が上がって排水性が重要となるが、車両内側のショルダー陸部4aにおいて、車両外側の主溝3に連通する車両内側ショルダー陸部ラグ溝5aを設けたことにより、車両内側への排水性を改善する。
さらに、車両内側のリブ4eの幅W1が、中央および車両外側の各リブ4c,4dの幅W2,W3に対し、1.5倍を越えると車両外側に主溝3の配置が偏るため車両外側にて気柱共鳴音が目立ちやすく、1.2倍未満であると中央および車両外側の各リブ4c,4dの幅W2,W3が広くなって排水性が悪化する傾向となる。この点、本実施の形態の空気入りタイヤ1によれば、車両内側のリブ4eの幅W1を、中央および車両外側の各リブ4c,4dの幅W2,W3に対して1.2倍以上1.5倍以下に形成し、かつ比較的広い幅W1の車両内側のリブ4eに、車両内側の主溝3に連通する車両内側リブ第一ラグ溝5fを設けたことにより、気柱共鳴音が車両外側で目立つことがなく、かつ車両内側のリブ4eでの排水性を改善している。
この結果、本実施の形態の空気入りタイヤ1によれば、ウェット制動性を維持しつつ車外騒音を低減することが可能になる。
また、本実施の形態の空気入りタイヤ1は、図1の平面図の一部拡大図である図2に示すように、各リブ4c,4d,4eに設けられた各ラグ溝5d,5e,5f,5gが、タイヤ周方向に対して30[°]以上60[°]以下の角度θで延在していることが好ましい。
ここで、図2に示すように、ラグ溝5d,5e,5f,5gは、主溝3に連通する鋭角部分において、欠けを防ぐ目的で広口に形成されている。そして、角度θは、一端側においてラグ溝5d,5e,5f,5g本来の溝幅が主溝3(タイヤ周方向)に連通する部分の中心P1と、他端側において終端する部分の中心P2とを結ぶ仮想線と、タイヤ周方向との角度として定義する。
ラグ溝5d,5e,5f,5gのタイヤ周方向に対する角度θが、30[°]以上60[°]以下の範囲であれば、ラグ溝5d,5e,5f,5gによる主溝3への排水性が良好となり、ウェット制動性をより維持できる傾向となる。
図3は、本実施の形態に係る空気入りタイヤの子午断面図である。なお、本実施の形態の空気入りタイヤ1は、上述したトレッド部2のトレッドパターンを除き、タイヤ赤道面CLを中心としてほぼ対称になるように構成されていることから、空気入りタイヤ1の回転軸を通る平面で該空気入りタイヤを切った場合の子午断面図(図3)においては、タイヤ赤道面CLを中心とした一側(図3において右側)のみを図示して当該一側のみを説明し、他側(図3において左側)の説明は省略する。
図3に示すように、空気入りタイヤ1は、子午面断面で見た場合、トレッド部2のタイヤ幅方向の端部、すなわち、トレッド部2のタイヤ幅方向外側の端部でタイヤ径方向内側に肩落ちするショルダー部10が形成されている。また、ショルダー部10付近からタイヤ径方向内側の所定の位置までは、サイドウォール部11が設けられている。つまり、空気入りタイヤ1におけるタイヤ幅方向の両端には、サイドウォール部11が設けられている。さらに、このサイドウォール部11のタイヤ径方向内側には、ビード部12が設けられている。このビード部12は、当該空気入りタイヤ1の2箇所に設けられており、タイヤ赤道面CLを中心として対称になるように、タイヤ赤道面CLの反対側にも設けられている。このビード部12は、ビードコア13が設けられており、ビードコア13のタイヤ径方向外側にビードフィラー14が設けられている。
また、トレッド部2は、そのタイヤ径方向内側に、複数のベルト層20が設けられている。このベルト層20のタイヤ径方向内側、およびサイドウォール部11のタイヤ赤道面CL側は、カーカス21が連続して設けられている。このカーカス21は、ビード部12でビードコア13に沿ってタイヤ幅方向外側に折り返されている。このカーカス21が折り返された部分にビードフィラー14が設けられている。また、カーカス21の内側、あるいは、当該カーカス21の、空気入りタイヤ1における内部側には、インナーライナ22がカーカス21に沿って形成されている。
また、トレッド部2は、当該空気入りタイヤ1を子午面断面で見た場合に、トレッド面2aが複数の異なる曲率半径の円弧で形成されている。詳細には、トレッド面2aは、空気入りタイヤ1を正規リムにリム組みし、かつ、正規内圧の5[%]を内圧充填した状態において、中央部円弧31と、ショルダー側円弧32と、ショルダー部円弧33とにより形成されている。
トレッド面2aを形成する複数の円弧のうち、中央部円弧31は、トレッド面2aにおけるタイヤ幅方向の中央に位置しており、タイヤ赤道面CLを含み、タイヤ赤道面CLを中心としてタイヤ赤道面CLのタイヤ幅方向の両側に形成されている。その形状は、タイヤ径方向外側に凸で、タイヤ赤道面CL付近のタイヤ径方向における径が最も大きくなる円弧となっている。
また、ショルダー側円弧32は、中央部円弧31のタイヤ幅方向両外側2箇所に位置している。この2箇所のショルダー側円弧32は、ともにタイヤ径方向外側に凸となり、曲率半径がほぼ同一の円弧となっている。
また、ショルダー部円弧33は、2箇所のショルダー側円弧32のうちの双方のショルダー側円弧32のタイヤ幅方向外側に位置している。ショルダー部円弧33は、前記ショルダー部10を形成し、タイヤ径方向外側に凸となる円弧となっている。
つまり、トレッド面2aは、タイヤ幅方向における中央部に位置する中央部円弧31のタイヤ幅方向の両側2箇所にショルダー側円弧32が位置し、2箇所のショルダー側円弧32のそれぞれのタイヤ幅方向外側にショルダー部円弧33が位置している。中央部円弧31とショルダー側円弧32、およびショルダー側円弧32とショルダー部円弧33は、それぞれ接続されて連続的に形成されている。そして、このように位置している中央部円弧31の曲率半径TR1と、ショルダー側円弧32の曲率半径TR2と、ショルダー部円弧33の曲率半径SHRとは、大きさがすべて異なっている。
また、ショルダー部円弧33のタイヤ幅方向外側には、サイド部円弧34が形成されている。このサイド部円弧34は、ショルダー部円弧33のタイヤ幅方向外側に位置するとともにショルダー部円弧33に接続され、ショルダー部円弧33からサイドウォール部11の方向に向けて形成されている。
また、トレッド部2のタイヤ径方向内側で、当該空気入りタイヤ1のタイヤ幅方向における両端の2箇所には、上述したサイドウォール部11が設けられているが、この2箇所のサイドウォール部11は、子午面断面の形状が、ともにタイヤ幅方向外側に凸となるように湾曲している。また、このように2箇所のサイドウォール部11は、タイヤ幅方向外側に凸となるように湾曲しているため、双方のサイドウォール部11のうちタイヤ幅方向において最もタイヤ赤道面CLから離れている部分同士のタイヤ幅方向における距離は、当該空気入りタイヤ1の総幅となる。
このように形成される空気入りタイヤ1は、図3に示すように、中央部円弧31のタイヤ幅方向における端部である中央部円弧端点35からタイヤ赤道面CLまでのタイヤ幅方向における幅である輪郭範囲をL1とし、当該空気入りタイヤ1の外径、つまり、トレッド面2aのうちタイヤ径方向における径が最も大きい部分の直径であるタイヤ外径をODとし、タイヤ幅方向におけるトレッド面2aの幅であるトレッド展開幅をTDWとした場合に、輪郭範囲L1とトレッド展開幅TDWとの関係を下記式(1)で求め、式(1)によって求められたK1が0.6≦K1≦0.8の範囲内になるとともに、中央部円弧31の曲率半径TR1とタイヤ外径ODとの比を下記式(2)で求め、式(2)によって求められたK2が0.9≦K2≦2.0の範囲内になるように、トレッド面2aは形成されている。
K1=L1/(TDW×0.5)・・・(1)
K2=TR1/OD・・・(2)
ここで、トレッド展開幅TDWは、トレッド部2のタイヤ幅方向における両端側に位置する仮想トレッド端40同士の距離をトレッド展開幅TDWとする。すなわち、図3に示すように、空気入りタイヤ1の子午面断面において、タイヤ幅方向の両側に位置するショルダー側円弧32のうち、一方のショルダー側円弧32をタイヤ幅方向外方に延長した仮想線であるショルダー側円弧延長線41と、当該ショルダー側円弧32と連続するショルダー部円弧33に接続されるサイド部円弧34をタイヤ径方向外方に延長した仮想線であるサイド部円弧延長線42との交点を仮想トレッド端40とする。この仮想トレッド端40は、タイヤ幅方向における両端側に形成されるため、タイヤ幅方向における仮想トレッド端40同士の距離を、トレッド展開幅TDWとする。
さらに、空気入りタイヤ1の偏平率をβとし、当該空気入りタイヤ1のタイヤ幅方向における前記総幅をSWとした場合に、偏平率βとトレッド展開幅TDWと総幅SWとの関係を下記式(3)で求め、式(3)によって求められたK3が0.40≦K3≦0.48の範囲内になるように、当該空気入りタイヤ1は形成されている。
K3=(β×TDW)/(100×SW)・・・(3)
この空気入りタイヤ1を車両に装着して走行すると、トレッド面2aのうち下方に位置するトレッド面2aが路面(図示省略)に接触しながら当該空気入りタイヤ1は回転する。車両走行時には、このようにトレッド面2aが路面に接触するため、トレッド面2aには車両の重量などよる荷重が作用する。このトレッド面2aに作用する荷重は、車両の走行状態によって変化し、低速走行をしている際のコーナーリング時などには、トレッド面2aに作用する荷重は比較的低く、高速走行をしている際のレーンチェンジ時やコーナーリング時などには、トレッド面2aに作用する荷重は比較的高くなる。
車両走行時には、このように作用する荷重が変化しながらトレッド面2aが路面に接地するが、トレッド面2aは作用する荷重によって変形するため、そのトレッド面2aの変形に応じて各状態におけるコーナーリングフォースの最大値、すなわち、最大コーナーリングフォースは変化する。
具体的には、トレッド面2aに作用する荷重が低い場合には、トレッド面2aは変形し難いが、本実施の形態の空気入りタイヤ1のトレッド面2aは、輪郭範囲L1とトレッド展開幅TDWとの関係であるK1が、0.6≦K1≦0.8の範囲内になるようになっており、中央部円弧31の曲率半径TR1とタイヤ外径ODとの比K2が0.9≦K2≦2.0の範囲内になるようになっている。これにより、低荷重時、例えば、当該空気入りタイヤ1の最大荷重の40[%]荷重時などのトレッド面2aの形状が、平坦な形状に近くなり、低荷重時の接地面積が広くなる。
つまり、中央部円弧31の曲率半径TR1とタイヤ外径ODとの比K2が0.9以上になるようにすることにより、中央部円弧31の曲率半径TR1を適度に大きくすることができ、K2が2.0以下になるようにすることにより、中央部円弧31とショルダー側円弧32との曲率半径の差が大きくなり過ぎることを抑制し、中央部円弧端点35付近に大きな応力が作用することを抑制できる。
また、輪郭範囲L1とトレッド展開幅TDWとの関係であるK1が0.6以上になるようにすることにより、曲率半径の大きい中央部円弧31がタイヤ幅方向において形成されている範囲を大きくすることができ、K1が0.8以下になるようにすることにより、タイヤ幅方向におけるショルダー側円弧32の形成範囲を確保することができ、中央部円弧31からショルダー部円弧33にかけて曲率半径をなだらかに小さくできる。
これらにより、輪郭範囲L1とトレッド展開幅TDWとの関係であるK1が0.6≦K1≦0.8の範囲内になるようにし、中央部円弧31の曲率半径TR1とタイヤ外径ODとの比K2が0.9≦K2≦2.0の範囲内になるようにすることにより、トレッド面2aのプロファイルを平坦な形状に近付けることができる。このため、最大荷重の40%荷重などの低荷重時の接地面積を増大させることができ、低荷重時の最大コーナーリングフォースを増加させることができる。したがって、低荷重時の操縦安定性を確保できる。なお、ここでいう最大荷重とは、JATMAで規定する「最大負荷能力」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「LOAD CAPACITY」である。
また、トレッド面2aに作用する荷重が大きい場合いは、トレッド面2aは変形し易くなるが、本実施の形態の空気入りタイヤ1は、偏平率βとトレッド展開幅TDWと総幅SWとの関係であるK3が0.40≦K3≦0.48の範囲内になるようになっているので、高荷重時においても接地面積があまり広くならないようになっている。
つまり、偏平率βとトレッド展開幅TDWと総幅SWとの関係であるK3が0.40以上になるようにすることにより、空気入りタイヤ1の総幅SWに対するトレッド展開幅TDWが狭くなるようにすることができ、K3が0.48以下になるようにすることにより、総幅SWに対する必要最低限のトレッド展開幅TDWを確保できる。このため、100[%]荷重時、つまり、空気入りタイヤ1の最大荷重時など、高荷重がトレッド面2aに作用している場合における接地面積の増大を低減でき、高荷重時の最大コーナーリングフォースを低減させることができる。したがって、高荷重時の耐転覆性の向上を図ることができる。これらの結果、操縦安定性を維持しつつ耐転覆性能の向上を図ることができる。
ところで、子午面断面で見た場合に、キャップトレッドの表面であるトレッド面2aが、上述したような複数の異なる曲率半径の円弧で形成され、かつ上記式(1)〜式(3)を満たすような形状(以下、耐転覆プロファイルという)の空気入りタイヤ1は、接地面の形状が四角に近くなる。すると、ショルダー部10の近傍で空気入りタイヤ1が滑る領域が大きくなり、その結果、高周波ロードノイズが大きくなる。
そこで、本実施の形態の空気入りタイヤ1は、図1に示すように、トレッド面2aにおいて、各ショルダー陸部4a,4bに、ショルダー陸部ラグ溝5a,5cが設けられている。ショルダー陸部ラグ溝5a,5cは、溝幅が1.5[mm]以上である。そして、この空気入りタイヤ1は、タイヤ赤道面CLから、ショルダー陸部ラグ溝5a,5cの一端である開始位置RSまでの距離を、0.97×L1以上1.03×L1以下とする。すなわち、タイヤ赤道面CLからショルダー陸部ラグ溝5a,5cの開始位置RSまでの距離が、L1±ΔL(ΔL=0.03×L1)の範囲に入るようにする。つまり、L1と、タイヤ赤道面CLからショルダー陸部ラグ溝5a,5cの開始位置RSまでの距離との差が、L1の±3%となる。このようにすることで、ショルダー陸部ラグ溝5a,5cは、中央部円弧31の曲率半径TR1が、ショルダー側円弧32の曲率半径TR2に変化する位置の近傍(中央部円弧端点35を基準として、L1の±3%の領域)から開始する。これによって、空気入りタイヤ1の接地面の接地前端側が四角に近い形状から円形に近づくので、ショルダー部10近傍で空気入りタイヤ1が滑る領域が低減される。その結果、本実施の形態の空気入りタイヤ1によれば、操縦安定性および耐転覆性能を維持したまま、高周波ロードノイズが低減される。なお、接地前端側とは、空気入りタイヤ1のタイヤ周方向における接地面の端部のうち、空気入りタイヤ1の回転方向側における端部であって、車両に装着した空気入りタイヤ1が路面に接地した状態での車両の後方側の端部である。
本実施例では、条件が異なる複数種類の空気入りタイヤについて、ウェット制動性や通過音に関する性能試験が行われた(図4および図5参照)。
この性能試験では、タイヤサイズ175/65R15の空気入りタイヤを、正規リムにリム組みし、正規内圧を充填して試験車両(国産FF小型車)に装着した。
ウェット制動性の性能試験は、上記試験車両にて、水深3[mm]の路面で100[km/h]から制動したときに停止するまでの距離が測定される。そして、この測定を5回行い、最大および最小を除いた3回の平均値を算出して、従来例を基準(100)とした指数評価が行われる。この指数評価は、基準に対して数値が大きいほどウェット制動性が優れている。
通過音の性能試験は、上記試験車両にて、ISO路面のテストコースを53[km/h]で走行したときの通過音(車外騒音)の測定を実施した。そして、従来例の測定値(通過音[dB])を基準値(±0.0[dB])とし評価が行われる。この評価は、基準値に対して小さいほどの通過音が小さい。
従来例、比較例、および実施例の空気入りタイヤは、図4および図5のトレッドパターン図において、図中の左側を車両内側とし、右側を車両外側とする。そして、図4のトレッドパターン図に示すように、従来例の空気入りタイヤは、上述した特許文献1の空気入りタイヤである。また、比較例1の空気入りタイヤは、従来例に対し、車両外側のリブのラグ溝が、車両内側の主溝に連通している。比較例2の空気入りタイヤは、従来例に対し、車両内側のリブと、中央のリブとを入れ替えている。比較例3の空気入りタイヤは、比較例2に対し、車両外側のリブのラグ溝が、車両内側の主溝に連通している。比較例4の空気入りタイヤは、比較例3に対し、車両外側のショルダー部のラグ溝が、車両内側の主溝に連通している。比較例5の空気入りタイヤは、トレッドパターンは実施例と同じであるが、車両内側のリブ幅と他のリブ幅との比が1.1倍で規定の範囲外である。比較例6の空気入りタイヤは、トレッドパターンは実施例と同じであるが、車両内側のリブ幅と他のリブ幅との比が1.6倍で規定の範囲外である。
一方、図5に示すように、実施例1〜実施例9の空気入りタイヤは、トレッドパターンが規定のもので、車両内側のリブ幅と他のリブ幅との比が規定の範囲内である。そして、実施例5〜実施例9の空気入りタイヤは、リブに設けられるラグ溝の角度が規定の範囲内である。さらに、実施例9の空気入りタイヤは、プロファイルが耐転覆プロファイルに規定されている。
そして、図4および図5の試験結果に示すように、実施例1〜実施例9の空気入りタイヤは、ウェット制動性および通過音が改善されていることが分かる。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
2a トレッド面
3 主溝
4a 車両内側のショルダー陸部
4b 車両外側のショルダー陸部
4c 中央のリブ
4d 車両外側のリブ
4e 車両内側のリブ
5a 車両内側ショルダー陸部ラグ溝
5b 車両内側ショルダー陸部副ラグ溝
5c 車両外側ショルダー陸部ラグ溝
5d 中央リブラグ溝
5e 車両外側リブラグ溝
5f 車両内側リブ第一ラグ溝
5g 車両内側リブ第二ラグ溝
10 ショルダー部
11 サイドウォール部
31 中央部円弧
32 ショルダー側円弧
33 ショルダー部円弧
CL タイヤ赤道面
L1 輪郭範囲
OD タイヤ外径
SW 総幅
TDW トレッド展開幅
TR1 中央部円弧の曲率半径
W1 車両内側のリブの幅
W2 中央のリブの幅
W3 車両外側のリブの幅
β 偏平率
θ ラグ溝の角度

Claims (3)

  1. 車両装着時での車両内外の向きが指定されており、トレッド面に、タイヤ周方向に延在する4本の主溝をタイヤ幅方向に所定の間隔で配置することで、タイヤ幅方向最外側の各前記主溝のタイヤ幅方向外側の各ショルダー陸部と、タイヤ幅方向最外側の各前記主溝のタイヤ幅方向内側の3本のリブとを区分形成した空気入りタイヤであって、
    車両内側の前記ショルダー陸部に設けられており、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されて一端が車両最内側の前記主溝に連通する車両内側ショルダー陸部ラグ溝と、
    車両外側の前記ショルダー陸部に設けられており、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されて車両最外側の前記主溝に向く一端が当該ショルダー陸部内で終端し、車両最外側の前記主溝から離隔する車両外側ショルダー陸部ラグ溝と、
    中央の前記リブに設けられており、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されて一端が車両内側の前記主溝に連通し他端が当該リブ内で終端する中央リブラグ溝と、
    車両外側の前記リブに設けられており、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されて一端が車両内側の前記主溝に連通し他端が当該リブ内で終端する車両外側リブラグ溝と、
    車両内側の前記リブに設けられており、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されて一端が車両内側の前記主溝に連通し他端が当該リブ内で終端する車両内側リブ第一ラグ溝と、
    車両内側の前記リブに設けられており、タイヤ幅方向に延在してタイヤ周方向に複数並設されて一端が車両外側の前記主溝に連通し他端が当該リブ内で終端する車両内側リブ第二ラグ溝と、
    を備え、
    車両内側の前記リブの幅が、中央および車両外側の各前記リブの幅に対し、1.2倍以上1.5倍以下に形成されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 各前記リブに設けられた各前記ラグ溝が、タイヤ周方向に対して30[°]以上60[°]以下の角度で延在していることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記トレッド面が複数の異なる曲率半径の円弧で形成されており、正規リムにリム組みし、かつ、正規内圧の5[%]を充填した状態において、前記トレッド面は、タイヤ幅方向の中央に位置する中央部円弧と、当該中央部円弧のタイヤ幅方向両端側2箇所に位置するとともに2箇所の円弧がほぼ同一の曲率半径となって形成されるショルダー側円弧と、前記トレッド面のタイヤ幅方向の端部に位置するショルダー部を形成するショルダー部円弧と、により形成されており、
    前記中央部円弧の曲率半径をTR1とし、
    タイヤ赤道面から前記中央部円弧のタイヤ幅方向における端部までの幅である輪郭範囲をL1とし、
    タイヤ幅方向における前記トレッド面の幅であるトレッド展開幅をTDWとし、
    タイヤ幅方向の両端に位置して対向するサイドウォール部のうちタイヤ幅方向の最も外方に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅である総幅をSWとし、
    前記トレッド面のうちタイヤ径方向における径が最も大きい部分の直径であるタイヤ外径をODとし、
    偏平率をβとした場合に、
    前記輪郭範囲L1と前記トレッド展開幅TDWとの関係式である下記の式(1)で求められたK1が0.6≦K1≦0.8の範囲内になるとともに、
    前記中央部円弧の曲率半径TR1と前記タイヤ外径ODとの比を求める式である下記の式(2)で求められたK2が0.9≦K2≦2.0の範囲内になり、
    前記偏平率βと前記トレッド展開幅TDWと前記総幅SWとの関係式である下記の式(3)で求められたK3が0.40≦K3≦0.48の範囲内になり、
    前記タイヤ赤道面から前記ショルダー陸部に設けられた前記ラグ溝の一端までの距離が、0.97×L1以上1.03×L1以下となることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
    K1=L1/(TDW×0.5)・・・(1)
    K2=TR1/OD・・・(2)
    K3=(β×TDW)/(100×SW)・・・(3)
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