しかしながら、従来の鉛直下方位置を特定する方法では、データコレクター等に表示される誘導指示に従ってもしくは現在の位置情報からの判断に基づいて移動し、その位置で気泡管を用いてポールを鉛直に立てた後に当該ポールに取り付けられたコーナーキューブプリズムの位置情報を取得し、そのコーナーキューブプリズムすなわちポールを立てた位置が所定の水平座標位置となっているか否かを確認し、その立てた位置が所定の水平座標位置となるまでこの作業を繰り返すことが必要であることから、時間がかかるとともに適切な指示位置を特定することが困難な場合がある。
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、その目的は、空間における所定の水平座標位置の鉛直下方位置を適切かつ簡易に把握することを可能とする鉛直指示機を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、撮像手段と、該撮像手段が取得した画像が表示される画像表示画面と、水平座標位置の特定のための位置出し基準部と、前記撮像手段の傾斜を検知する傾斜検知手段と、を備え、前記撮像手段が取得した画像を前記画像表示画面に表示するとともに、前記傾斜検知手段が検知した傾斜に応じて、前記画像における前記位置出し基準部の鉛直下方位置に鉛直位置標示記号を重ねて前記画像表示画面に表示することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鉛直指示機であって、さらに、現在位置情報を取得可能な位置情報取得手段を備え、前記鉛直位置標示記号を前記画像に重ねて前記画像表示画面に表示する際、前記位置情報取得手段が取得した現在位置情報に基づいて前記鉛直位置標示記号が指し示す鉛直位置情報を前記画像表示画面に表示することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の鉛直指示機であって、さらに、前記位置情報取得手段において取得する現在位置情報が指し示す取得基準部の前記位置出し基準部に対する方位を取得可能な方位取得手段と、前記取得基準部の現在位置情報に基づいて前記鉛直位置情報を算出する演算手段と、を備え、該演算手段は、前記方位取得手段が取得した方位および前記傾斜検知手段が検知した傾斜に基づいて、前記取得基準部から見た前記位置出し基準部のずれ方向を算出し、予め設定された前記取得基準部と前記位置出し基準部との間隔および前記ずれ方向で前記位置情報取得手段が取得した現在位置情報を補正することにより前記鉛直位置情報を算出することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の鉛直指示機であって、前記演算手段では、前記撮像手段の撮像素子において、前記撮像手段の傾斜が基準状態である際に前記鉛直位置標示記号を表示する位置を鉛直標示基準位置として設定し、前記演算手段は、前記傾斜検知手段が検知した傾斜を、前記撮像素子における前記鉛直標示基準位置からの位置ずれ量に換算して、前記画像における前記鉛直位置標示記号の表示位置を算出することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載の鉛直指示機であって、前記位置情報取得手段は、目標位置情報を取得可能とされ、前記演算手段は、前記目標位置情報と前記位置情報取得手段から取得した現在位置情報とに基づいて前記位置出し基準部から目標位置までの水平移動量およびその方向を算出し、前記鉛直位置標示記号を前記画像に重ねて前記画像表示画面に表示する際、前記画像における前記鉛直位置標示記号を基準とする前記目標位置への案内標示情報を重ねて前記画像表示画面に表示することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の鉛直指示機であって、前記位置情報取得手段は、前記取得基準部に視準目標を構成する視準目標部と、該視準目標部までの距離と方向とを測定可能な測量装置との通信を可能とする通信部と、を有することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の鉛直指示機であって、前記位置情報取得手段は、衛星から取得した測位データに基づいて前記取得基準部の測位が可能な測位システムを構成する測位端末部であることを特徴とする。
請求項8に記載のプログラムは、撮像手段と、該撮像手段が取得した画像が表示される画像表示画面と、水平座標位置の特定のための位置出し基準部と、前記撮像手段の傾斜を検知する傾斜検知手段と、を備える鉛直指示機の制御部に、前記撮像手段が取得した画像を前記画像表示画面に表示する機能と、前記傾斜検知手段からの出力信号に基づいて前記撮像手段の傾斜を判断する機能と、該撮像手段の傾斜に応じて、前記画像における前記位置出し基準部の鉛直下方位置に鉛直位置標示記号を重ねて前記画像表示画面に表示する機能と、を実現させることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のプログラムであって、前記鉛直指示機は、さらに、現在位置情報を取得可能な位置情報取得手段を備え、前記鉛直位置標示記号を前記画像に重ねて前記画像表示画面に表示する際、前記位置情報取得手段が取得した現在位置情報に基づいて前記鉛直位置標示記号が指し示す鉛直位置情報を表示する機能を実現させることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のプログラムであって、前記鉛直指示機は、さらに、前記位置情報取得手段において取得する現在位置情報が指し示す取得基準部の前記位置出し基準部に対する方位を取得可能な方位取得手段を備え、前記取得基準部での現在位置情報に基づいて前記鉛直位置情報を算出する機能と、前記方位取得手段からの出力信号に基づいて前記位置出し基準部に対する前記取得基準部の方位を判断する機能と、前記位置出し基準部に対する前記取得基準部の方位および前記撮像手段の傾斜に基づいて、前記取得基準部から見た前記位置出し基準部のずれ方向を算出する機能と、予め設定された前記取得基準部と前記位置出し基準部との間隔および前記ずれ方向で前記位置情報取得手段が取得した現在位置情報を補正することにより前記鉛直位置情報を算出する機能と、を実現させることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載のプログラムであって、前記撮像手段の撮像素子において、前記撮像手段の傾斜が基準状態である際に前記鉛直位置標示記号を表示する位置が鉛直標示基準位置として設定され、前記撮像手段の傾斜を、前記撮像素子における前記鉛直標示基準位置からの位置ずれ量に換算して、前記画像における前記鉛直位置標示記号の表示位置を算出する機能を実現させることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項10または請求項11に記載のプログラムであって、前記位置情報取得手段は、目標位置情報を取得可能とされ、前記目標位置情報と前記位置情報取得手段から取得した現在位置情報とに基づいて前記位置出し基準部から目標位置までの水平移動量およびその方向を算出する機能と、前記鉛直位置標示記号を前記画像に重ねて前記画像表示画面に表示する際、前記画像における前記鉛直位置標示記号を基準とする前記目標位置への案内標示情報を重ねて前記画像表示画面に表示する機能と、を実現することを特徴とする。
請求項13に記載の鉛直位置表示方法は、撮像手段と、該撮像手段が取得した画像が表示される画像表示画面と、水平座標位置の特定のための位置出し基準部と、前記撮像手段の傾斜を検知する傾斜検知手段と、前記画像表示画面での表示を制御する表示制御手段と、を備える鉛直指示機の鉛直位置表示方法であって、前記撮像手段が取得した画像を前記画像表示画面に表示する工程と、前記傾斜検知手段からの出力信号に基づいて前記撮像手段の傾斜を判断する工程と、該撮像手段の傾斜に応じて、前記画像における前記位置出し基準部の鉛直下方位置に鉛直位置標示記号を重ねて前記画像表示画面に表示する工程と、を含むことを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の鉛直位置表示方法であって、前記鉛直指示機は、さらに、現在位置情報を取得可能な位置情報取得手段を備え、前記鉛直位置標示記号を前記画像に重ねて前記画像表示画面に表示する際、前記位置情報取得手段が取得した現在位置情報に基づいて前記鉛直位置標示記号が指し示す鉛直位置情報を表示する工程を含むことを特徴とする。
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の鉛直位置表示方法であって、前記鉛直指示機は、さらに、前記位置情報取得手段において取得する現在位置情報が指し示す取得基準部の前記位置出し基準部に対する方位を取得可能な方位取得手段を備え、前記取得基準部での現在位置情報に基づいて前記鉛直位置情報を算出する工程と、前記方位取得手段からの出力信号に基づいて前記位置出し基準部に対する前記取得基準部の方位を判断する工程と、前記位置出し基準部に対する前記取得基準部の方位および前記撮像手段の傾斜に基づいて、前記取得基準部から見た前記位置出し基準部のずれ方向を算出する工程と、予め設定された前記取得基準部と前記位置出し基準部との間隔および前記ずれ方向で前記位置情報取得手段が取得した現在位置情報を補正することにより前記鉛直位置情報を算出する工程と、を含むことを特徴とする。
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の鉛直位置表示方法であって、前記撮像手段の撮像素子において、前記撮像手段の傾斜が基準状態である際に前記鉛直位置標示記号を表示する位置を鉛直標示基準位置として設定し、前記撮像手段の傾斜を、前記撮像素子における前記鉛直標示基準位置からの位置ずれ量に換算して、前記画像における前記鉛直位置標示記号の表示位置を算出する工程を含むことを特徴とする。
請求項17に記載の発明は、請求項15または請求項16に記載の鉛直位置表示方法であって、前記位置情報取得手段は、目標位置情報を取得可能とされ、前記目標位置情報と前記位置情報取得手段から取得した現在位置情報とに基づいて前記位置出し基準部から目標位置までの水平移動量およびその方向を算出する工程と、前記鉛直位置標示記号を前記画像に重ねて前記画像表示画面に表示する際、前記画像における前記鉛直位置標示記号を基準とする前記目標位置への案内標示情報を重ねて前記画像表示画面に表示する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の鉛直指示機によれば、画像における位置出し基準部の鉛直下方位置を、傾斜検知手段からの鉛直指示機すなわち撮像部の傾斜状態に基づいて、光景画像上に鉛直位置標示記号を表示させることで指示位置を標示するものであることから、気泡管を用いた鉛直状態の確認作業を行うことなく、直ちに指示位置を定めることができ、かつ適切に指示位置を定めることができる。
また、鉛直指示機すなわち位置出し基準部を移動させた場合であっても、画像表示画面の画像において、常に移動した位置出し基準部の鉛直下方位置に鉛直位置標示記号を重ねて表示することができる。
さらに、位置出し基準部を水平座標で見て一定の位置に留めておけば、当該鉛直指示機すなわち撮像部の傾斜状態の変化の影響を受けることなく、画像表示画面において画像が映し出す光景における定点に鉛直位置標示記号を表示することができる。
上記した構成に加えて、さらに、現在位置情報を取得可能な位置情報取得手段を備え、前記鉛直位置標示記号を前記画像に重ねて前記画像表示画面に表示する際、前記位置情報取得手段が取得した現在位置情報に基づいて前記鉛直位置標示記号が指し示す鉛直位置情報を前記画像表示画面に表示することとすると、位置出し基準部の鉛直下方位置(鉛直位置標示記号)を画像表示画面に表示させることに加えて、位置情報取得手段に基づく鉛直位置標示記号の水平座標を画像表示画面に表示することができるので、より位置情報取得手段からの現在位置情報に基づく任意の水平座標位置の鉛直下方位置を特定することができる。
上記した構成に加えて、さらに、前記位置情報取得手段において取得する現在位置情報が指し示す取得基準部の前記位置出し基準部に対する方位を取得可能な方位取得手段と、前記取得基準部の現在位置情報に基づいて前記鉛直位置情報を算出する演算手段と、を備え、該演算手段は、前記方位取得手段が取得した方位および前記傾斜検知手段が検知した傾斜に基づいて、前記取得基準部から見た前記位置出し基準部のずれ方向を算出し、予め設定された前記取得基準部と前記位置出し基準部との間隔および前記ずれ方向で前記位置情報取得手段が取得した現在位置情報を補正することにより前記鉛直位置情報を算出することとすると、より精度良く任意の水平座標位置の鉛直下方位置を特定することができる。
上記した構成に加えて、前記演算手段では、前記撮像手段の撮像素子において、前記撮像手段の傾斜が基準状態である際に前記鉛直位置標示記号を表示する位置を鉛直標示基準位置として設定し、前記演算手段は、前記傾斜検知手段が検知した傾斜を、前記撮像素子における前記鉛直標示基準位置からの位置ずれ量に換算して、前記画像における前記鉛直位置標示記号の表示位置を算出することとすると、簡易な制御で画像における鉛直位置標示記号の適切な表示位置、すなわち画像における位置出し基準部の鉛直下方位置を、適切に算出することができる。
上記した構成に加えて、前記位置情報取得手段は、目標位置情報を取得可能とされ、前記演算手段は、前記目標位置情報と前記位置情報取得手段から取得した現在位置情報とに基づいて前記位置出し基準部から目標位置までの水平移動量およびその方向を算出し、前記鉛直位置標示記号を前記画像に重ねて前記画像表示画面に表示する際、前記画像における前記鉛直位置標示記号を基準とする前記目標位置への案内標示情報を重ねて前記画像表示画面に表示することとすると、画像表示画面を見ながら案内標示情報の案内にしたがって移動することにより、現在位置情報に基づく目標位置の特定を容易に行うことができる。
上記した構成に加えて、前記位置情報取得手段は、前記取得基準部に視準目標を構成する視準目標部と、該視準目標部までの距離と方向とを測定可能な測量装置との通信を可能とする通信部と、を有することとすると、位置出し基準部の鉛直下方位置(鉛直位置標示記号)を画像表示画面に表示させることに加えて、測量装置の測定に基づく鉛直位置標示記号の水平座標を画像表示画面に表示することができる。
上記した構成に加えて、前記位置情報取得手段は、衛星から取得した測位データに基づいて前記取得基準部の測位が可能な測位システムを構成する測位端末部であることとすると、位置出し基準部の鉛直下方位置(鉛直位置標示記号)を画像表示画面に表示させることに加えて測位システムの測定に基づく鉛直位置標示記号の水平座標を画像表示画面に表示することができるとともに、より簡易な構成とすることができる。
以下に、本願発明に係る鉛直指示機の各実施例について図面を参照しつつ説明する。
本発明に係る鉛直指示機の一実施例としての鉛直指示機10の概略的な構成を、図1ないし図6を用いて説明する。図1は、鉛直指示機10を模式的に示す表面側から見た斜視図であり、図2は、鉛直指示機10を模式的に示す裏面側から見た斜視図である。図3は、鉛直指示機10の機能構成を示すブロック図である。
鉛直指示機10は、図1および図2に示すように、全体に直方体形状を呈する筐体11に、画像表示画面(表示部)12と操作部13と撮像部14と傾斜センサ15(図3参照)と制御部16が収容されて構成されている。
画像表示画面12は、筐体11の表面11aに設けられており、制御部16の制御下で適宜画像を表示する。この画像表示画面12は、少なくとも撮像部14で取得された光景画像Psを即時連続的に表示することが可能とされている。
操作部13は、鉛直指示機10における各種機能の選択操作や各種機能のための入力操作のために設けられ、実施例1では、筐体11の表面11aに設けられている。この操作部13は、画像表示画面12とは独立して設けられていてもよく、画像表示画面12にタッチパネルの機能を搭載して画像表示画面12に表示された画面として構成されているものであってもよい。
撮像部14は、図示は略すが少なくとも1つ以上のレンズを含む撮影光学系14a(図3参照)と、その撮影光学系14aの結像位置に設けられた撮像素子14b(図3参照)と、が筐体11に固定的に収容されて構成され、その筐体11の外方の光景(光景画像Ps)を取得することが可能とされている。実施例1では、撮像部14は、筐体11の裏面11bにおいて撮影光学系14aの対物レンズ14c(図2参照)が外方に露出されて設けられており、撮影光軸OA(図2参照)が裏面11bに対して直交する方向に設定されている。このため、実施例1では、撮像部14で取得した光景画像Psを画像表示画面12に表示させると、その画像表示画面12を見ている使用者の目線の延長線上の景色が光景画像Psとして画像表示画面12に表示される。また、撮像部14では、図示は略すが、撮像素子14bの中央位置が撮影光学系14aの撮影光軸OA上に位置するように設定されている。
傾斜センサ15(図3参照)は、鉛直指示機10(筐体11)の基準状態からの傾斜角度θ(図5参照)およびその傾斜方向(以下、傾斜状態ともいう)を検知するものであり、実施例1では、加速度を計測可能な加速度センサで構成され、重力方向を検出することすなわち重力方向に対する傾斜度合いを計測することが可能とされている。このため、傾斜センサ15は、筐体11に固定的に設けられた撮像部14(その撮影光軸OA(図2参照))の重力方向に対する傾斜状態(傾斜の度合い)を計測することが可能であり、傾斜検知手段として機能する。実施例1では、鉛直指示機10(筐体11)の基準状態が、撮像部14の撮影光軸OA(図2参照)が鉛直方向下方に一致する状態、すなわち筐体11の表面11aおよび裏面11bが水平面に平行な状態に設定されている。これにより、実施例1では、傾斜センサ15は、画像表示画面12を鉛直方向上側に向けた状態(図1参照)からの、水平面に沿う一方向周り(矢印A1参照(以下、ロール方向ともいう))における重力方向に対する鉛直指示機10(筐体11)の傾きと、水平面に沿う一方向と直交する他方向周り((矢印A2参照以下、ピッチ方向ともいう))における重力方向に対する鉛直指示機10(筐体11)の傾きと、を少なくとも検出することが可能とされている。なお、傾斜センサ15は、鉛直指示機10(筐体11)の基準状態からの傾斜状態を検知することができるものであれば、例えばジャイロセンサで構成してもよく、実施例1に限定されるものではない。
制御部16は、図3に示すように、撮像部14からの信号に基づく画像データの生成処理や、生成した画像データに基づく光景画像Psを画像表示画面12に表示させる表示処理や、傾斜センサ15からの信号に基づく鉛直指示機10(筐体11)の基準状態からの傾斜状態の判断処理等の鉛直指示機10における動作の制御を、記憶部16aに格納されたプログラムにより統括的に行うものである。この制御部16は、撮像部14の撮像素子14bからの信号に基づいて画像データを生成し、その画像データを適宜記憶部16aに格納するとともに、その画像データに基づく光景画像Psを鉛直指示機10(筐体11)の表面11a側に設けられた画像表示画面12に適宜表示させる。制御部16には、操作部13や傾斜センサ15から検出信号が入力される。
この制御部16は、上記した基本的な制御の他に、鉛直位置標示機能のための制御処理が可能とされている。この鉛直位置標示機能は、図4に示すように、撮像部14で取得した光景画像Psを画像表示画面12に表示させる際、その光景画像Psに重ねて鉛直位置標示記号17を画像表示画面12に表示させるものである。この鉛直位置標示記号17は、撮像部14で取得した光景画像Psにおいて、鉛直指示機10の位置出し基準部Bの鉛直下方にあたる位置の特定を可能とすべく当該鉛直下方位置を指し示すものであり、実施例1では十字の記号とされている。その位置出し基準部Bは、鉛直指示機10において鉛直下方を指示するための基準点であり、本発明に係る鉛直指示機10では撮像部14で取得した光景画像Psを用いて鉛直位置標示記号17を表示するものであることから、鉛直指示機10(その筐体11に固定された撮像部14)の基準状態において、水平座標で見て撮像部14により光景画像Psとして取得可能な範囲内(撮像部14の画角内)に鉛直下方位置が位置するように設定されている。位置出し基準部Bは、実施例1では、撮影光学系14aにおける撮影光軸OA上の所定の位置とされており、撮影光学系14aにおける撮影光軸OA上の焦点位置とされている(図2参照)。ここで、撮像部14において撮像素子14bの中央位置が撮影光学系14aの撮影光軸OA上に位置するように設定されていることから、位置出し基準部Bの鉛直下方位置は、鉛直指示機10が水平とされた基準状態、すなわち撮像部14の撮影光軸OA(図2参照)が鉛直方向に一致されて撮像部14が鉛直下方の光景(光景画像Ps)を取得すると、その光景画像Psの中央に位置する。このため、鉛直指示機10が水平とされた基準状態における画像表示画面12での鉛直位置標示記号17の表示位置は、光景画像Psの中央位置となり、当該中央位置が鉛直位置標示記号17の鉛直表示基準位置となる。
制御部16は、傾斜センサ15からの検出信号が入力されることにより、鉛直指示機10(筐体11)の基準状態からの傾斜状態、換言すると撮像部14において撮影光軸OAが鉛直方向に一致する状態からの傾斜角度θ(図5参照)および傾斜方向(ロール方向(矢印A1参照)およびピッチ方向(矢印A2参照)の各成分)を取得することができる。ここで、図5に示すように、撮像部14における画角(2つの直線clに挟まれた領域)を一定のものとすると、撮影光軸OA上での距離が異なる位置で取得された各画像(ps1、ps2、ps3)では、撮影光軸OAが交わる箇所(c1、c2、c3)から鉛直線vlが交わる箇所(v1、v2、v3)までの間隔の割合が等しいこととなる。このことから、鉛直指示機10すなわち撮影光軸OAの鉛直方向からの傾斜角度θは、画角を考慮した光景画像Ps上での距離、換言すると画角を考慮した撮像部14の撮像素子14b上での間隔に換算することができる。実施例1では、鉛直表示基準位置(鉛直指示機10が基準状態であるときの位置出し基準部Bの鉛直下方位置)が光景画像Psの中央に設定されていることから、傾斜角度θは、画角を考慮した光景画像Ps上での中央からの距離、換言すると画角を考慮した撮像部14の撮像素子14b上での中心位置(そこに相当する画素)からの間隔(画素数)に換算することができる。このため、制御部16では、傾斜センサ15から検出信号が入力されると、その検出信号から鉛直指示機10(撮影光軸OA)の傾斜状態(傾斜角度θおよびその傾斜方向)を判断し、中心位置からその傾斜方向とは反対側へと当該傾斜角度θに相当する間隔で変位させた位置を算出する。その算出した位置が、傾斜状態での鉛直指示機10における光景画像Psで見た位置出し基準部Bの鉛直下方位置、すなわち鉛直位置標示記号17の表示位置となる。
図6は、実施例1における制御部16にて実行される鉛直位置標示制御処理内容を示すフローチャートである。以下、図6のフローチャートの各ステップについて説明する。この鉛直位置標示機能は、操作部13において鉛直位置標示を実行する旨の操作が為されることにより開始される。
ステップS1では、撮像部14での画像の取得を開始させて、ステップS2へ進む。
ステップS2では、ステップS1での撮像部14での画像の取得の開始に続き、傾斜センサ15から傾斜情報を取得して、ステップS3へ進む。このステップS2では、傾斜センサ15からの出力信号に基づいて、鉛直指示機10すなわち撮像部14(撮影光軸OA)の傾斜状態(傾斜角度θおよびその傾斜方向)を判断する。
ステップS3では、ステップS2での傾斜センサ15からの傾斜情報の取得に続き、傾斜状態に応じた鉛直位置標示記号17の表示位置を算出して、ステップS4へ進む。このステップS3では、上述したように、鉛直指示機10(撮像部14)の傾斜状態から、光景画像Ps(撮像素子14b)における位置出し基準部Bの鉛直下方位置を算出する。その鉛直下方位置が、光景画像Psにおける傾斜状態に応じた鉛直位置標示記号17の表示位置となる。
ステップS4では、ステップS3での傾斜状態に応じた鉛直位置標示記号17の表示位置の算出に続き、その鉛直位置標示記号17を含む画像データを生成して、ステップS5へ進む。このステップS4では、撮像部14からの出力信号から取得した光景の画像データ(光景画像Ps)を生成するとともに、その画像データにおけるステップS3で算出した表示位置に鉛直位置標示記号17を重ねて表示する画像データ(鉛直位置標示記号17が重ねられた光景画像Ps)を生成する。
ステップS5では、ステップS4での鉛直位置標示記号17を含む画像データの生成に続き、その画像データに基づく光景画像Psを画像表示画面12に表示させて、ステップS6へ進む。
ステップS6では、ステップS5での光景画像Psの画像表示画面12での表示に続き、終了操作が為されたか否かを判断し、Yesの場合はステップS7へ進み、Noの場合はステップS1へ戻る。このステップS6では、操作部13からの入力信号から、操作部13において鉛直位置標示の実行を終了する旨の操作が為されたか否かを判断する。
ステップS7では、ステップS6での終了操作が為されたとの判断に続き、鉛直位置標示記号17の表示を終了して、鉛直位置標示制御処理を終了する。なお、このステップS7では、鉛直位置標示記号17の表示のみならず、画像表示画面12での光景画像Psの表示も併せて終了するものとしてもよい。
この鉛直指示機10では、使用者が操作部13において鉛直位置標示を実行する旨の選択を行うと、図6のフローチャートにおいてステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5へと進むことにより、図4に示すように、画像表示画面12に、撮像部14で取得した光景の光景画像Psを表示するとともに、その光景画像Psにおける位置出し基準部Bの鉛直下方位置に鉛直位置標示記号17を表示する。また、鉛直指示機10では、この動作を繰り返すことにより(ステップS6→ステップS1)、画像表示画面12に、光景画像Psにおける位置出し基準部Bの鉛直下方位置に常に鉛直位置標示記号17を表示する。ここで、位置出し基準部Bが水平座標で見て一定の位置にあるものとすると、光景画像Psは、鉛直指示機10すなわち撮像部14の傾斜状態に応じて変化するが(例えば、図4の(a)および(b)参照)、鉛直位置標示記号17は、光景画像Psが映し出す光景における定点に位置されることとなり、画像表示画面12での光景画像Psの移動に追従するように画像表示画面12上での位置が変化することとなる(例えば、図4(b)の矢印A3参照)。このため、鉛直指示機10では、当該鉛直指示機10すなわち撮像部14の傾斜状態の変化に拘らず、画像表示画面12において、位置出し基準部Bの鉛直下方位置を光景画像Ps上の鉛直位置標示記号17で標示することができる。このことから、鉛直指示機10において、図6のフローチャートが、撮像部14および傾斜センサ15との協働により、光景画像Psにおける位置出し基準部Bの鉛直下方位置に鉛直位置標示記号17を重ねて画像表示画面12に表示する鉛直位置標示手段となる。
このように、実施例1の鉛直指示機10では、撮像部14で取得した光景画像Psを表示するとともに、その光景画像Psにおける位置出し基準部Bの鉛直下方位置に常に鉛直位置標示記号17を重ねて画像表示画面12に表示することができる。このため、使用者は、画像表示画面12を見れば、鉛直指示機10における位置出し基準部Bの鉛直下方位置を容易に特定することができる。
また、鉛直指示機10では、光景画像Psにおける位置出し基準部Bの鉛直下方位置を、傾斜センサ15からの鉛直指示機10すなわち撮像部14の傾斜状態に基づいて算出し、その算出に基づいて光景画像Ps上に鉛直位置標示記号17を表示させることで指示位置を標示するものであることから、気泡管を用いた鉛直状態の確認作業を行うことなく、直ちに指示位置を定めることができ、かつ適切に指示位置を定めることができる。このため、使用者は、画像表示画面12を見れば、鉛直指示機10における位置出し基準部Bの鉛直下方位置を直ちにかつ適切に特定することができる。
さらに、鉛直指示機10では、当該鉛直指示機10すなわち位置出し基準部Bを移動させた場合であっても、画像表示画面12の光景画像Psにおいて、常に移動した位置出し基準部Bの鉛直下方位置に鉛直位置標示記号17を重ねて表示することができる。このため、使用者は、位置出し基準部Bを任意の地点に位置させることにより、その任意の地点の鉛直下方位置を特定することができる。
鉛直指示機10では、位置出し基準部Bを水平座標で見て一定の位置に留めておけば、当該鉛直指示機10すなわち撮像部14の傾斜状態の変化の影響を受けることなく、画像表示画面12において光景画像Psが映し出す光景における定点に鉛直位置標示記号17を表示することができる。このため、使用者は、画像表示画面12を見て位置出し基準部Bの鉛直下方位置を特定した後に、例えば、その特定位置に杭打ち等のマーキングをすべく屈んだりすることにより鉛直指示機10(撮像部14)の傾斜状態を変化させたりポールを測定点上から外してしまっても、画像表示画面12を見ることで位置出し基準部Bの鉛直下方位置を容易に特定することができる。
鉛直指示機10では、鉛直位置標示機能が実行されている間、光景画像Psおよび鉛直位置標示記号17をリアルタイムで画像表示画面12に表示することができる。このため、使用者は、画像表示画面12を見ながら移動することにより、位置出し基準部Bを任意の地点(任意の水平座標位置)に位置させる際、当該任意の地点への微調整を容易に行うことができ、その任意の地点の鉛直下方位置の特定をより適切なものとすることができる。
鉛直指示機10では、使用者側から見た画像表示画面12への正対方向の延長線上の光景を撮像部14で取得し光景画像Psとして画像表示画面12に表示させることができるとともに、その光景画像Psに鉛直位置標示記号17を重ねて表示することができる。このため、使用者は、画像表示画面12の光景画像Psにおいて表示された鉛直位置標示記号17により特定された位置から、実際の光景における特定位置を容易に把握することができる。
したがって、本願発明に係る鉛直指示機10では、空間における所定の水平座標位置の鉛直下方位置を適切かつ簡易に把握させることができる。
なお、実施例1では、鉛直位置標示制御処理として図6のフローチャートを実行するものとされていたが、画像表示画面12に、撮像部14で取得した光景の光景画像Psを表示するとともに、その光景画像Psにおける位置出し基準部Bの鉛直下方位置に鉛直位置標示記号17を表示することを可能とすべく各ステップ(ステップS1、ステップS2、ステップS3、ステップS4、ステップS5)の処理内容を実行するものであれば、各ステップ(その処理内容)の順番は適宜変更してもよく、実施例1に限定されるものではない。
次に、本発明の実施例2に係る鉛直指示機10Aについて、図7から図12を用いて説明する。この実施例2は、実施例1の鉛直指示機10において、さらに位置情報取得手段が搭載されている例である。この実施例2の鉛直指示機10Aは、基本的な構成は上記した実施例1の鉛直指示機10と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
実施例2の鉛直指示機10Aでは、図7および図8に示すように、鉛直指示機10の構成に加えて、視準目標部21と通信部22と方位センサ23とが設けられている。
視準目標部21は、測量装置50(図9参照)による3次元位置の測定のための視準目標を構成するものである。実施例2では、図9に示すように、測量装置50は、トータルステーションであり、測定点へ向けてパルスレーザ光線を照射し、その測定点からのパルス反射光を受光して、パルス毎に測距(光波距離測定)を行い、測距結果を平均化して高精度の距離測定を行うことができる。また、この測量装置50は、パルスレーザ光線の照射方向となる視準方向の水平角を検出(測角)することができるとともに、当該視準方向の鉛直角を検出(測角)することができる。視準目標部21は、その測定点に設置されることにより、測量装置50からのパルスレーザ光線を当該測量装置50へ向けて反射することが可能とされており、実施例2ではコーナーキューブプリズムで構成され筐体11に固定されている。このため、測量装置50は、視準目標部21における基準位置21a(図11参照)の3次元位置を測定することができるとともに、パルスレーザ光線の照射角度に基づいて、視準目標部21の高さ位置に拘らず基準位置21a(視準目標部21)の水平座標位置を測定することができる。また、測量装置50には、図示は略すが、通信部22とのデータ通信を可能とする通信手段が設けられている。
通信部22は、測量装置50の通信手段(図示せず)を介して、測量装置50の制御手段(図示せず)と制御部16とのデータの遣り取りを可能とするものである。この通信部22は、実施例2では、無線通信が可能とされており、少なくとも測量装置50が測定した視準目標部21の基準位置21a(図11参照)の水平座標位置データを、当該測量装置50(その制御手段)から制御部16が取得することを可能とする。
方位センサ23は、鉛直指示機10A(筐体11)の基準線が指し示す方位を検知するものである。実施例1では、地磁気に基づいて方位を計測可能な地磁気センサで構成され、視準目標部21の基準位置21aと撮像部14の位置出し基準部Bとを結ぶ線分(図11参照)が基準線として設定されている。このため、方位センサ23は、互いに筐体11に固定された基準位置21aと位置出し基準部Bとの位置関係、すなわち基準位置21aから見た位置出し基準部Bのずれ方向を検知することができる。なお、方位センサ23は、鉛直指示機10A(筐体11)の基準線が指し示す方位を検知するものであれば、他のセンサで構成してもよく、実施例1に限定されるものではない。この方位センサ23は、検出信号を制御部16へ向けて出力する。
実施例2の鉛直指示機10Aでは、その制御部16が、鉛直位置情報表示機能のための制御処理が可能とされている。この鉛直位置情報表示機能は、図10に示すように、鉛直位置標示機能により撮像部14で取得した光景画像Psに重ねて鉛直位置標示記号17を画像表示画面12に表示させている際、その鉛直位置標示記号17の鉛直位置情報25を画像表示画面12に表示させるものである。この鉛直位置情報25は、撮像部14の位置出し基準部Bの鉛直下方位置の水平座標位置を示すものであり、実施例2ではx座標およびy座標で表すものとされている。この鉛直位置情報25は、通信部22を介して得た、測量装置50での測定による視準目標部21の基準位置21aの水平座標位置情報に基づいて生成される。以下では、図11を用いて、鉛直位置情報25の生成について説明する。
鉛直指示機10Aでは、測量装置50による測定結果が視準目標部21の基準位置21aの水平座標位置情報であり、他方、画像表示画面12に表示させる鉛直位置標示記号17が光景画像Psにおける位置出し基準部Bの鉛直下方位置であることから、図11に示すように、水平座標で見て基準位置21aと位置出し基準部Bとの位置ずれ量が問題となる。このため、制御部16では、基準位置21aと位置出し基準部Bとの位置関係に基づいて、基準位置21aの水平座標位置情報を補正することにより、位置出し基準部Bすなわち鉛直位置標示記号17により指し示された位置の水平座標位置情報を生成する。
先ず、視準目標部21と撮像部14とは、互いに筐体11に固定されるものであることから、基準位置21aと位置出し基準部Bとの間隔は予め設定することができ、変化することはない。この間隔は、予め設定されて記憶部16aに格納されている。
次に、水平座標位置を算出することから、基準位置21aに対する位置出し基準部Bの位置関係が問題となる。このため、制御部16は、傾斜センサ15からの検出信号が入力されることにより、鉛直指示機10A(筐体11)の基準状態からの傾斜状態を判断するとともに、方位センサ23からの検出信号が入力されることにより、基準位置21aに対する位置出し基準部Bの位置関係(基準位置21aから見た位置出し基準部Bの方位と、基準位置21aと位置出し基準部Bとの間隔(空間座標における基準位置21aから見た位置出し基準部Bの位置))を正確に判断する。制御部16は、基準位置21aと位置出し基準部Bとの位置関係に基づいて、水平座標で見た基準位置21aと位置出し基準部Bとの位置ずれ量(オフセット量)を算出する。制御部16では、この水平座標で見た位置ずれ量(オフセット量)を、基準位置21aの水平座標位置情報への補正値とすることにより、位置出し基準部Bすなわち鉛直位置標示記号17により指し示された位置の水平座標位置情報を生成する。制御部16は、この水平座標位置情報に基づいて、鉛直位置情報25を生成する。
図12は、実施例2における制御部16にて実行される鉛直位置情報表示制御処理内容を示すフローチャートである。以下、図12のフローチャートの各ステップについて説明する。この鉛直位置情報表示機能は、操作部13において鉛直位置情報表示を実行する旨の操作が為されることにより開始される。この鉛直位置情報表示では、測量装置50による3次元位置測定を可能とすべく視準目標部21(基準位置21a)を当該測量装置50側に向ける。
ステップS11では、撮像部14での画像の取得を開始させて、ステップS12へ進む。
ステップS12では、ステップS11での撮像部14での画像の取得の開始に続き、傾斜センサ15から傾斜情報を取得して、ステップS13へ進む。このステップS12では、傾斜センサ15からの出力信号に基づいて、鉛直指示機10Aすなわち撮像部14(撮影光軸OA)の傾斜状態(傾斜角度θおよびその傾斜方向)を判断する。
ステップS13では、ステップS12での傾斜センサ15から傾斜情報の取得に続き、傾斜状態に応じた鉛直位置標示記号17の表示位置を算出して、ステップS14へ進む。このステップS13では、上述したように、鉛直指示機10A(撮像部14)の傾斜状態から、光景画像Ps(撮像素子14b)における位置出し基準部Bの鉛直下方位置を算出する。その鉛直下方位置が、光景画像Psにおける傾斜状態に応じた鉛直位置標示記号17の表示位置となる。
ステップS14では、ステップS13での傾斜状態に応じた鉛直位置標示記号17の表示位置の算出に続き、その鉛直位置標示記号17を含む画像データを生成して、ステップS15へ進む。このステップS14では、撮像部14からの出力信号から取得した光景の画像データ(光景画像Ps)を生成するとともに、その画像データにおけるステップS3で算出した表示位置に鉛直位置標示記号17を重ねて表示する画像データ(鉛直位置標示記号17が重ねられた光景画像Ps)を生成する。
ステップS15では、ステップS14での鉛直位置標示記号17を含む画像データの生成に続き、通信部22を介して水平座標位置情報を取得して、ステップS16へ進む。このステップS15では、通信部22を介する測量装置50(その通信手段)との無線通信により、測量装置50により測定された視準目標部21の基準位置21aの水平座標位置情報を取得する。
ステップS16では、ステップS15での通信部22を介する水平座標位置情報の取得に続き、方位センサ23から方位情報を取得して、ステップS17へ進む。このステップS16では、方位センサ23からの出力信号に基づいて、基準位置21aに対する位置出し基準部Bの方角を判断する。
ステップS17では、ステップS16での方位センサ23からの方位情報の取得に続き、鉛直位置情報25を生成して、ステップS18へ進む。このステップS17では、基準位置21aに対する位置出し基準部Bの方角と、鉛直指示機10Aの傾斜状態と、基準位置21aと位置出し基準部Bとの間隔と、から、基準位置21aと位置出し基準部Bとの位置関係を判断し、その位置関係から基準位置21aの水平座標位置情報への補正値を算出する。その後、この補正値を用いて、基準位置21aの水平座標位置情報から、位置出し基準部Bすなわち鉛直位置標示記号17により指し示された位置の水平座標位置情報を生成する。その後、その水平座標位置情報に基づいて鉛直位置情報25を生成し、ステップS14で生成した鉛直位置標示記号17を含む画像データに、当該鉛直位置情報25を重ねて表示する画像データ(鉛直位置標示記号17および鉛直位置情報25が重ねられた光景画像Ps)を生成する。
ステップS18では、ステップS17での鉛直位置情報25の生成に続き、ステップS17で生成した画像データに基づく光景画像Psを画像表示画面12に表示させて、ステップS19へ進む。これにより、画像表示画面12には、鉛直位置標示記号17および鉛直位置情報25が重ねられた光景画像Psが表示される。
ステップS19では、ステップS18での画像表示画面12の表示に続き、終了操作が為されたか否かを判断し、Yesの場合はステップS20へ進み、Noの場合はステップS11へ戻る。このステップS19では、操作部13からの入力信号から、操作部13において鉛直位置情報表示の実行を終了する旨の操作が為されたか否かを判断する。
ステップS20では、ステップS19での終了操作が為されたとの判断に続き、鉛直位置標示記号17および鉛直位置情報25の表示を終了して、鉛直位置情報表示制御処理を終了する。なお、このステップS20では、鉛直位置標示記号17および鉛直位置情報25の表示のみならず、画像表示画面12での光景画像Psの表示も併せて終了するものとしてもよい。
この鉛直指示機10Aでは、使用者が操作部13において鉛直位置情報表示を実行する旨の選択を行うと、図12のフローチャートにおいてステップS11→ステップS12→ステップS13→ステップS14→ステップS15→ステップS16→ステップS17→ステップS18へと進むことにより、図10に示すように、画像表示画面12に、撮像部14で取得した光景の光景画像Psを表示するとともに、その光景画像Psにおける位置出し基準部Bの鉛直下方位置に鉛直位置標示記号17を表示し、かつその鉛直位置標示記号17の水平座標を示す鉛直位置情報25を表示する。また、鉛直指示機10Aでは、この動作を繰り返すことにより(ステップS19→ステップS11)、画像表示画面12に、光景画像Psにおける位置出し基準部Bの鉛直下方位置に常に鉛直位置標示記号17を表示するとともに、その鉛直位置情報25を表示する。このことから、鉛直指示機10Aにおいて、図12のフローチャートが、撮像部14、傾斜センサ15、通信部22、方位センサ23および測量装置50との協働により、光景画像Psにおける位置出し基準部Bの鉛直下方位置に鉛直位置標示記号17を重ねて画像表示画面12に表示するとともに、その鉛直位置標示記号17の水平座標を示す鉛直位置情報25を表示する鉛直位置情報表示手段となる。このため、実施例2では、視準目標部21および通信部22が、測量装置50との協働により、視準目標部21の基準位置21aのその時点での水平座標位置情報を取得可能な位置情報取得手段として機能し、視準目標部21の基準位置21aが取得基準部として機能する。
実施例2の鉛直指示機10Aでは、基本的に実施例1の鉛直指示機10と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
それに加えて、実施例2の鉛直指示機10Aでは、光景画像Psにおける位置出し基準部Bの鉛直下方位置に重ねて表示される鉛直位置標示記号17の水平座標を示す鉛直位置情報25を画像表示画面12に表示することができる。すなわち、鉛直指示機10Aでは、位置出し基準部Bの鉛直下方位置(鉛直位置標示記号17)を画像表示画面12に表示させることに加えて、測量装置50の測定に基づく鉛直位置標示記号17の水平座標を画像表示画面12に表示することができる。このため、使用者は、測量装置50の測定に基づいて、位置出し基準部Bを任意の水平座標位置とすることができ、その鉛直下方位置を特定することができる。
また、鉛直指示機10Aでは、鉛直位置情報表示機能が実行されている間、光景画像Ps、鉛直位置標示記号17および鉛直位置情報25をリアルタイムで画像表示画面12に表示することができる。このため、使用者は、画像表示画面12を見ながら移動することにより、測量装置50の測定に基づく任意の水平座標位置への微調整を容易に行うことができる。すなわち、光景画像Psにおいて鉛直位置標示記号17で指し示された箇所が当該任意の水平座標位置となることから、使用者は、鉛直位置情報25の表示が任意の水平座標となる位置へと鉛直指示機10(位置出し基準部B)を移動させるだけで、実際の光景における当該任意の水平座標位置を容易に特定することができる。このことは、特に、測設作業において、実際の光景における測設点の特定を容易とすることができ、そこへの杭打ち等のマーキングを容易なものとすることができる。
したがって、本願発明に係る鉛直指示機10Aでは、空間における所定の水平座標位置の鉛直下方位置を適切かつ簡易に把握することを可能とすることができる。
なお、実施例2では、鉛直位置情報表示制御処理として図12のフローチャートを実行するものとされていたが、画像表示画面12に、撮像部14で取得した光景の光景画像Psを表示するとともに、その光景画像Psにおける位置出し基準部Bの鉛直下方位置に鉛直位置標示記号17を表示することを可能とすべく各ステップ(ステップS11、ステップS12、ステップS13、ステップS14、ステップS15、ステップS16、ステップS17、ステップS18)の処理内容を実行するものであれば、各ステップ(その処理内容)の順番は適宜変更してもよく、実施例2に限定されるものではない。
また、実施例2では、位置情報取得手段の一部として測量装置50が用いられていたが、この位置情報取得手段は、鉛直指示機10Aの現在位置情報を取得することができるものであればよく、望ましくは測量に適合する(測量において要求される解析度を有している)ものであればよく、実施例2に限定されるものではない。ここで、測量に適合するとは、基準位置21aと位置出し基準部Bとの位置ずれ量が問題となるくらいの解析度を有していることをいう。
次に、本発明の実施例3に係る鉛直指示機10Bについて、図13を用いて説明する。この実施例3は、実施例2の鉛直指示機10Aにおいて、位置情報取得手段の構成が異なる例である。この実施例3の鉛直指示機10Bは、基本的な構成は上記した実施例2の鉛直指示機10Aと同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
実施例3の鉛直指示機10Bでは、図13に示すように、位置情報取得手段として、視準目標部21および通信部22に変えて測位端末部24が設けられている。
測位端末部24は、GNSS(全地球的航法衛星システム(Global Navigation Satellite System))を利用した測位システムおよびそれに用いられる受信端末機であり、実施例3ではGNSSのうちの1つとしてのGPS(全地球的測位システム(Global Positioning System))を利用して測位する構成とされている。その測位端末部24は、GPS信号受信アンテナ24aとGPS信号受信部24bとを有する。測位端末部24では、GPS信号受信アンテナ24aで受信されたGPS信号がGPS信号としてGPS信号受信部24bに入力され、そのGPS信号受信部24bがGPS信号に基づいて測位を行って3次元位置情報を生成する。この3次元位置情報は、制御部16に出力される。このため、測位端末部24では、GPS信号を受信するGPS信号受信アンテナ24aが取得基準部として機能する。
この実施例3の鉛直指示機10Bでは、取得基準位置が視準目標部21の基準位置21aから測位端末部24のGPS信号受信アンテナ24aへと変わり、かつその水平座標位置が測量装置50を用いた測定からGPS機能を用いた測位に変わることを除くと、実施例2の鉛直指示機10Aと同様の鉛直位置情報表示を実行することができる。このことから、実施例3の鉛直指示機10Bでは、鉛直位置情報表示を実行する際、GPS機能を用いた測位を可能とすべく、測位端末部24のGPS信号受信アンテナ24aでGPS信号を受信可能な状態とする必要がある。
実施例3の鉛直指示機10Bでは、基本的に実施例2の鉛直指示機10Aと同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
それに加えて、実施例3の鉛直指示機10Bでは、測量装置50を用いることなく、単独で光景画像Psにおける位置出し基準部Bの鉛直下方位置に重ねて表示される鉛直位置標示記号17とその水平座標を示す鉛直位置情報25とを画像表示画面12に表示することができる。このため、使用者は、より簡易に任意の水平座標位置を特定することができる。
したがって、本願発明に係る鉛直指示機10Bでは、空間における所定の水平座標位置の鉛直下方位置を適切かつ簡易に把握することを可能とすることができる。
なお、実施例3では、位置情報取得手段の一部として測位端末部24が用いられていたが、この位置情報取得手段は、鉛直指示機10Bの現在位置情報を取得することができるものであればよく、望ましくは測量に適合する(測量において要求される解析度を有している)ものであればよく、実施例3に限定されるものではない。
次に、本発明の実施例4に係る鉛直指示機10Cについて、図14および図15を用いて説明する。この実施例4は、実施例2の鉛直指示機10Aにおいて、鉛直位置情報表示機能に目標位置案内標示機能が付加されている例である。この実施例4の鉛直指示機10Cは、基本的な構成は上記した実施例2の鉛直指示機10Aと同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
実施例4の鉛直指示機10Cでは、その制御部16が、目標位置案内標示機能のための制御処理が可能とされている。この目標位置案内標示機能は、図14に示すように、鉛直位置情報表示機能により撮像部14で取得した光景画像Psに重ねて鉛直位置標示記号17および鉛直位置情報25を画像表示画面12に表示させている際、その鉛直位置標示記号17から目標位置への案内標示情報26を画像表示画面12に表示させるものである。この目標位置は、任意の水平座標位置であり、例えば、測設点として設定されている位置を示すものである。この目標位置の水平座標位置情報は、鉛直指示機10Cの制御部16の記憶部16a(図8参照)に予め格納(登録)されていてもよく、測量装置50(図9参照)の記憶部に予め格納(登録)されていてもよい。
案内標示情報26は、光景画像Psにおいて、鉛直位置標示記号17を基準として、当該鉛直位置標示記号17を目標位置とすることを容易とするものである。実施例3では、鉛直位置標示記号17を基準として目標位置への変位方向を指し示す方向標示26aと、鉛直位置標示記号17から目標位置までの距離を示す間隔標示26bと、を有する。この案内標示情報26は、通信部22を介して得た、測量装置50での測定による視準目標部21の基準位置21aの水平座標位置情報に基づいて生成される。以下では、案内標示情報26の生成について説明する。
鉛直指示機10Cでは、鉛直指示機10Aと同様に、制御部16が、基準位置21aの水平座標位置情報から、位置出し基準部Bすなわち鉛直位置標示記号17により指し示された位置の水平座標位置情報を生成する。その後、制御部16は、その水平座標位置情報と、基準位置21aから見た位置出し基準部Bの位置関係と、目標位置情報(目標位置の水平座標位置)と、に基づいて、位置出し基準部B(鉛直位置標示記号17により指し示された位置)から見た目標位置への方向を算出する。これにより、光景画像Psにおいて、案内標示情報26としての方向標示26aの表示が可能となる。また、制御部16は、生成した位置出し基準部Bの水平座標位置情報と、目標位置の水平座標位置情報と、に基づいて、鉛直位置標示記号17から目標位置までの距離を算出する。これにより、案内標示情報26としての間隔標示26bの表示が可能となる。この撮像部14で取得した光景画像Psにおける目標位置への方向と、鉛直位置標示記号17から目標位置までの距離と、を算出することが、案内標示情報26を生成することとなる。
図15は、実施例4における制御部16にて実行される目標位置案内標示機能を付加した制御処理内容を示すフローチャートである。以下、図15のフローチャートの各ステップについて説明する。この目標位置案内標示機能は、操作部13において目標位置案内標示を実行する旨の操作が為されることにより開始される。
ステップS31では、撮像部14での画像の取得を開始させて、ステップS32へ進む。
ステップS32では、ステップS31での撮像部14での画像の取得の開始に続き、傾斜センサ15から傾斜情報を取得して、ステップS33へ進む。このステップS32では、傾斜センサ15からの出力信号に基づいて、鉛直指示機10Cすなわち撮像部14(撮影光軸OA)の傾斜状態(傾斜角度θおよびその傾斜方向)を判断する。
ステップS33では、ステップS32での傾斜センサ15から傾斜情報の取得に続き、傾斜状態に応じた鉛直位置標示記号17の表示位置を算出して、ステップS34へ進む。このステップS33では、上述したように、鉛直指示機10C(撮像部14)の傾斜状態から、光景画像Ps(撮像素子14b)における位置出し基準部Bの鉛直下方位置を算出する。その鉛直下方位置が、光景画像Psにおける傾斜状態に応じた鉛直位置標示記号17の表示位置となる。
ステップS34では、ステップS33での傾斜状態に応じた鉛直位置標示記号17の表示位置の算出に続き、その鉛直位置標示記号17を含む画像データを生成して、ステップS35へ進む。このステップS34では、撮像部14からの出力信号から取得した光景の画像データ(光景画像Ps)を生成するとともに、その画像データにおけるステップS33で算出した表示位置に鉛直位置標示記号17を重ねて表示する画像データ(鉛直位置標示記号17が重ねられた光景画像Ps)を生成する。
ステップS35では、ステップS34での鉛直位置標示記号17を含む画像データの生成に続き、通信部22を介して水平座標位置情報を取得して、ステップS36へ進む。このステップS35では、通信部22を介する測量装置50(その通信手段)との無線通信により、測量装置50により測定された視準目標部21の基準位置21aの水平座標位置情報を取得する。
ステップS36では、ステップS35での通信部22を介する水平座標位置情報の取得に続き、方位センサ23から方位情報を取得して、ステップS37へ進む。このステップS36では、方位センサ23からの出力信号に基づいて、基準位置21aに対する位置出し基準部Bの方角を判断する。
ステップS37では、ステップS36での方位センサ23からの方位情報の取得に続き、鉛直位置情報25を生成して、ステップS38へ進む。このステップS37では、基準位置21aに対する位置出し基準部Bの方角と鉛直指示機10Cの傾斜状態と基準位置21aと位置出し基準部Bとの間隔とから、基準位置21aと位置出し基準部Bとの位置関係を判断し、その位置関係から基準位置21aの水平座標位置情報への補正値を算出する。その後、この補正値を用いて、基準位置21aの水平座標位置情報から、位置出し基準部Bすなわち鉛直位置標示記号17により指し示された位置の水平座標位置情報を生成する。その後、その水平座標位置情報に基づいて鉛直位置情報25を生成し、ステップS34で生成した鉛直位置標示記号17を含む画像データに、当該鉛直位置情報25を重ねて表示する画像データ(鉛直位置標示記号17および鉛直位置情報25が重ねられた光景画像Ps)を生成する。
ステップS38では、ステップS37での鉛直位置標示記号17の水平座標位置情報の生成に続き、案内標示情報26を生成して、ステップS39へ進む。このステップS38では、ステップS37で生成した水平座標位置情報と、基準位置21aと位置出し基準部Bとの位置関係と、目標位置情報(目標位置の水平座標位置)と、を併せて勘案して、鉛直位置標示記号17から目標位置への案内標示情報26を生成する。この目標位置情報は、測量装置50の記憶部(図示せず)に予め格納されている場合、ステップS35で通信部22を介して測量装置50から水平座標位置情報を取得する際、併せて取得するものとしてもよく、このステップS38で取得してもよい。その後、ステップS37で生成した鉛直位置標示記号17および鉛直位置情報25を含む画像データに、当該案内標示情報26を重ねて表示する画像データ(鉛直位置標示記号17、鉛直位置情報25および案内標示情報26が重ねられた光景画像Ps)を生成する。
ステップS39では、ステップS38での案内標示情報26の生成に続き、ステップS37で生成した画像データに基づく光景画像Psを画像表示画面12に表示させて、ステップS40へ進む。これにより、画像表示画面12には、鉛直位置標示記号17、鉛直位置情報25および案内標示情報26が重ねられた光景画像Psが表示される。
ステップS40では、ステップS39での画像表示画面12の表示に続き、終了操作が為されたか否かを判断し、Yesの場合はステップS41へ進み、Noの場合はステップS31へ戻る。このステップS40では、操作部13からの入力信号から、操作部13において目標位置案内標示の実行を終了する旨の操作が為されたか否かを判断する。
ステップS41では、ステップS40での終了操作が為されたとの判断に続き、鉛直位置標示記号17、鉛直位置情報25および案内標示情報26の表示を終了して、目標位置案内標示制御処理を終了する。なお、このステップS41では、鉛直位置標示記号17、鉛直位置情報25および案内標示情報26の表示のみならず、画像表示画面12での光景画像Psの表示も併せて終了するものとしてもよい。
この鉛直指示機10Cでは、使用者が操作部13において鉛直位置情報表示機能および目標位置案内標示を実行する旨の選択を行うと、図15のフローチャートにおいてステップS31→ステップS32→ステップS33→ステップS34→ステップS35→ステップS36→ステップS37→ステップS38→ステップS39へと進むことにより、図14に示すように、画像表示画面12に、撮像部14で取得した光景の光景画像Psを表示するとともに、その光景画像Psにおける位置出し基準部Bの鉛直下方位置に鉛直位置標示記号17を表示し、かつその鉛直位置標示記号17の水平座標を示す鉛直位置情報25を表示し、しかも鉛直位置標示記号17を基準とする目標位置への案内標示情報26を表示する。また、鉛直指示機10Cでは、この動作を繰り返すことにより(ステップS39→ステップS40→ステップS31)、画像表示画面12に、光景画像Psにおける位置出し基準部Bの鉛直下方位置に常に鉛直位置標示記号17を表示するとともに、その鉛直位置情報25を表示し、そこから目標位置への案内標示情報26を表示する。このことから、鉛直指示機10Cにおいて、図15のフローチャートが、撮像部14、傾斜センサ15、通信部22、方位センサ23および測量装置50との協働により、光景画像Psにおける位置出し基準部Bの鉛直下方位置に鉛直位置標示記号17を重ねて画像表示画面12に表示し、その鉛直位置標示記号17の水平座標を示す鉛直位置情報25を表示し、その鉛直位置標示記号17を基準とする目標位置への案内標示情報26を表示する目標位置案内標示手段となる。このため、実施例4では、視準目標部21および通信部22が、測量装置50との協働により位置情報取得手段として機能し、視準目標部21の基準位置21aが取得基準位置として機能する。
実施例4の鉛直指示機10Cでは、基本的に実施例2の鉛直指示機10Aと同様の構成であることから、基本的に実施例2と同様の効果を得ることができる。
それに加えて、実施例4の鉛直指示機10Cでは、光景画像Psに重ねて表示される鉛直位置標示記号17を基準とする目標位置への案内標示情報26を画像表示画面12に表示することができる。このため、使用者は、測量装置50の測定に基づいて、目標位置を容易に特定することができる。
また、鉛直指示機10Cでは、目標位置案内標示機能が実行されている間、光景画像Ps、鉛直位置標示記号17、鉛直位置情報25および案内標示情報26をリアルタイムで画像表示画面12に表示することができる。このため、使用者は、画像表示画面12を見ながら案内標示情報26の案内にしたがって移動することにより、測量装置50の測定に基づく目標位置の特定を容易に行うことができる。このことは、特に、測設作業において、実際の光景における測設点の特定をより容易とすることができ、そこへの杭打ち等のマーキングをより容易なものとすることができる。
したがって、本願発明に係る鉛直指示機10Cでは、空間における所定の水平座標位置の鉛直下方位置を適切かつ簡易に把握することを可能とすることができる。
なお、実施例4では、目標位置案内標示制御処理として図15のフローチャートを実行するものとされていたが、画像表示画面12に、撮像部14で取得した光景の光景画像Psを表示するとともに、その光景画像Psにおける位置出し基準部Bの鉛直下方位置に鉛直位置標示記号17を重ねて画像表示画面12に表示し、その鉛直位置標示記号17の水平座標を示す鉛直位置情報25を表示し、その鉛直位置標示記号17を基準とする目標位置への案内標示情報26を表示することを可能とすべく各ステップ(ステップS31、ステップS32、ステップS33、ステップS34、ステップS35、ステップS36、ステップS37、ステップS38、ステップS39)の処理内容を実行するものであれば、各ステップ(その処理内容)の順番は適宜変更してもよく、実施例2に限定されるものではない。
また、実施例4では、位置情報取得手段の一部として測量装置50が用いられていたが、この位置情報取得手段は、鉛直指示機10Aの現在位置情報を取得することができるものであれば、望ましくは測量に適合する(測量において要求される解析度を有している)ものであれば、例えば、実施例3の測位端末部24を用いるものであってもよく、実施例2に限定されるものではない。
さらに、実施例4では、案内標示情報26として方向標示26aと間隔標示26bとを表示するものとされていたが、位置出し基準部Bの地面からの高さ位置の情報を取得可能とすることにより、光景画像Psにおける目標位置の表示位置を算出することができるので、案内標示情報26として目標位置を指し示す標示を併せて行うものとしてもよい。
次に、実施例5に係る鉛直指示機10Dについて、図16および図17を用いて説明する。この実施例5は、鉛直指示機10Dが測量装置50Dの設置基部51に対する測量部52の傾斜角の調整のために設けられた例である。この実施例5の鉛直指示機10Dは、基本的な構成は上記した実施例1の鉛直指示機10と同様であり、測量装置50Dは、基本的な構成は上記した実施例2の測量装置50と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この測量装置50Dは、図16に示すように、設置基部51に傾斜角を変更可能に測量部52が設けられて構成されている。設置基部51は、三脚53に取付けられる箇所である。測量部52は、光波距離測定等を行うための機構が設けられる箇所である。その測量部52には、鉛直指示機10Dとしての画像表示画面12Dと操作部13Dと、図示は略すが撮像部と傾斜センサと制御部(図1から図3参照)とが設けられている。
鉛直指示機10Dの撮像部(図2および図3参照)は、測量部52が水平状態とされると、撮影光軸OAが鉛直方向に一致するように、測量部52の下方の光景を取得可能に設けられている。鉛直指示機10Dの傾斜センサおよび制御部は、実施例1の鉛直指示機10の傾斜センサ15および制御部16と同様である。鉛直指示機10Dの画像表示画面12Dおよび操作部13Dは、実施例5では測量部52の側面に設けられている。
鉛直指示機10Dでは、図17に示すように、画像表示画面12Dにおいて、光景画像Psに重ねて鉛直位置標示記号17に加えて、許容円54を重ねて表示することが可能とされている。この許容円54は、三脚53に取付けられて所望の地点(例えば、測量のための基準地点)に設置された設置基部51に対する測量部52の傾斜角度の許容範囲を示すものである。その傾斜角度の許容範囲とは、測量部52における角度補正機能により補正可能な傾斜角度をいう。許容円54は、画像表示画面12Dの中央を中心として、撮像部の画角と傾斜角度の許容範囲とを勘案して設定されている。
この鉛直指示機10Dでは、光景画像Psに重ねて鉛直位置標示記号17を表示する際に、画像表示画面12Dの中央を中心とする許容円54を光景画像Psに重ねて当該画像表示画面12Dに表示することを除くと、実施例1の図6のフローチャートと同様の鉛直位置標示制御処理を行うことが可能とされている。
鉛直指示機10Dでは、三脚53により設置基部51を所望の地点に設置した後、画像表示画面12Dを見ながら設置基部51に対する測量部52の傾斜角を調整する。このとき、測量部52の傾斜角が大きい場合、鉛直位置標示記号17が許容円54の外方に位置することとなるので、当該鉛直位置標示記号17が許容円54の内方に位置するように傾斜角の調整を行えばよい。
この実施例5の鉛直指示機10Dが搭載された測量装置50Dでは、光景画像Psにおける位置出し基準部Bの鉛直下方位置に常に鉛直位置標示記号17を重ねて画像表示画面12Dに表示することができるとともに、その鉛直位置標示記号17の調整目標位置となる許容円54を重ねて画像表示画面12Dに表示することができる。このため、使用者は、画像表示画面12Dを見れば、設置基部51に対する測量部52の傾斜角を容易に調整することができる。
また、鉛直指示機10Dが搭載された測量装置50Dでは、光景画像Psにおける位置出し基準部Bの鉛直下方位置を、傾斜センサからの鉛直指示機10D(撮像部)の傾斜状態に基づいて算出し、その算出に基づいて光景画像Ps上に鉛直位置標示記号17を表示させるものであることから、直ちに鉛直位置標示記号17が指し示す位置を定めることができるとともに、周辺の影響(例えば風等)を受けることなく適切に指示位置を定めることができる。このため、使用者は、画像表示画面12Dを見れば、設置基部51に対する測量部52の傾斜角を直ちにかつ適切に調整することができる。
したがって、鉛直指示機10Dでは、空間における所定の水平座標位置の鉛直下方位置を適切かつ簡易に把握させることができる。
なお、上記した各実施例では、本発明に係る鉛直指示機について説明したが、撮像手段と、該撮像手段が取得した画像が表示される画像表示画面と、水平座標位置の特定のための位置出し基準部と、前記撮像手段の傾斜を検知する傾斜検知手段と、を備え、前記撮像手段が取得した画像を前記画像表示画面に表示するとともに、前記傾斜検知手段が検知した傾斜に応じて、前記画像における前記位置出し基準部の鉛直下方位置に鉛直位置標示記号を重ねて前記画像表示画面に表示する鉛直指示機であればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
また、上記した各実施例では、本発明に係るプログラムおよび鉛直位置標示方法(各フロ−チャートにおける制御処理)について説明したが、撮像手段と、該撮像手段が取得した画像が表示される画像表示画面と、水平座標位置の特定のための位置出し基準部と、前記撮像手段の傾斜を検知する傾斜検知手段と、を備える鉛直指示機の制御部に、前記撮像手段が取得した画像を前記画像表示画面に表示する機能と、前記傾斜検知手段からの出力信号に基づいて前記撮像手段の傾斜を判断する機能と、該撮像手段の傾斜に応じて、前記画像における前記位置出し基準部の鉛直下方位置に鉛直位置標示記号を重ねて前記画像表示画面に表示する機能と、を実現させるプログラム、もしくは、撮像手段と、該撮像手段が取得した画像が表示される画像表示画面と、水平座標位置の特定のための位置出し基準部と、前記撮像手段の傾斜を検知する傾斜検知手段と、前記画像表示画面での表示を制御する表示制御手段と、を備える鉛直指示機の鉛直位置表示方法であって、前記撮像手段が取得した画像を前記画像表示画面に表示する工程と、前記傾斜検知手段からの出力信号に基づいて前記撮像手段の傾斜を判断する工程と、該撮像手段の傾斜に応じて、前記画像における前記位置出し基準部の鉛直下方位置に鉛直位置標示記号を重ねて前記画像表示画面に表示する工程と、を含む鉛直位置表示方法であればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
以上、本発明の鉛直指示機、プログラムおよび鉛直位置標示方法を各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの各実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。