JP2012211233A - 樹脂組成物及び該樹脂組成物からなる成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のポリアリレート樹脂の耐熱性、耐衝撃性などの機械物性を損なうことなく、流動性を向上させることにより成形性が改善され、さらに視認性が向上された樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明の樹脂組成物は、(A)ポリアリレート樹脂、(B)ポリカーボネート樹脂、(C)メチルメタクリレート−スチレン共重合体を構成成分とし、各成分の質量比率が下記式(I)および(II)を満足することを特徴とする。
(A)/(B)=30/70〜100/0 (I)
(C)/{(A)+(B)+(C)}=5/100〜30/100 (II)
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物に関するものである。特に、ポリアリレート樹脂およびメチルメタクリレート−スチレン共重合体を含有する、またはポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂およびメチルメタクリレート−スチレン共重合体を含有する樹脂組成物に関するものである。
ビスフェノール類と芳香族カルボン酸とからなるポリアリレート樹脂は、エンジニアリングプラスチックとして広く知られている。かかるポリアリレート樹脂は耐熱性、機械的強度、透明性に優れるため、その成形体は電気・電子、自動車、機械等の分野において幅広く応用されている。しかしながら、ポリアリレート樹脂は溶融粘度が高いため、成形時の流動性が悪く、成形性が必ずしも良いとは言えないという問題点を有していた。
ポリアリレート樹脂の機械物性および耐熱性を維持したまま成形性を向上させる試みとして、特許文献1および特許文献2ではポリアリレート樹脂とポリカーボネート樹脂からなる樹脂組成物が開示されている。該樹脂組成物は、機械物性、外観に優れ、耐熱性の低下も少ないうえ、さらにポリアリレート樹脂の成形性が改善されている。しかしながら、近年では自動車、電気製品において軽量化、小型化が図られており、自動車や電気製品を構成する部品においても、小型化が図られている。このように小型化が図られたケース、特に薄肉成形品においては、非常に良好な成形性が強く求められている。しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載されたポリアリレート樹脂とポリカーボネート樹脂とからなる樹脂組成物では、要求される成形性を満たし切れない場合がある。さらに、特許文献1および特許文献2の場合は、得られる樹脂組成物の流動性が悪いため、その流動性を改善するために流動性改質剤を用いると、視認性が損なわれたり、滞留安定性が損なわれたりするという問題があった。
上記のような現状から、ポリアリレート樹脂の良好な機械物性、耐熱性を維持しつつ、成形性が十分に改善され、従来の流動性改質剤に見られた視認性欠如などの不具合のない樹脂組成物が強く望まれていた。
特公昭50−027061号公報 特開昭58−083050号公報
従って、本発明の目的は、視認性が向上され、従来のポリアリレート樹脂の耐熱性、機械物性を損なうことなく、流動性の向上により成形性が改善された樹脂組成物を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリアリレート樹脂(A)にメチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)を配合することにより、またはポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)に対してメチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)を配合することにより、視認性が向上され、耐熱性、機械物性を維持しつつ、成形体が肉薄化した際の流動長の低下が少ない樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は次の通りである。
(1)ポリアリレート樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)、メチルメタクリレート−スチレン共重合体(C)を構成成分とし、各成分の質量比率が下記式(I)および(II)を満足することを特徴とする樹脂組成物。
(A)/(B)=30/70〜100/0 (I)
(C)/{(A)+(B)+(C)}=5/100〜30/100 (II)
(2)メチルメタクリレート−スチレン共重合体(C)の共重合比率が、モル比で、メチルメタクリレート/スチレン=95/5〜75/25の範囲であることを特徴とする(1)の樹脂組成物。
(3)ポリカーボネート樹脂(B)のインヘレント粘度が0.3〜0.7dl/gであることを特徴とする(1)または(2)の樹脂組成物。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物を含む成形体。
本発明によれば、メチルメタクリレート−スチレン共重合体を含有させることにより、ポリアリレート樹脂が有している耐熱性、機械物性、滞留安定性を実使用に必要とされる程度に維持しつつ、流動性(成形性)を向上させることが可能である。さらに成形体が肉薄化した際の流動長低下も少なく、視認性が向上されているため、非常に有用である。加えて、ポリカーボネート樹脂を含有する場合には、ポリアリレート樹脂の機械物性を向上させ、成形性をより向上させることが可能である。
以下、本発明について説明する。
本発明の樹脂組成物は、ポリアリレート樹脂(A)にメチルメタクリレート−スチレン共重合体(C)を配合することにより、あるいはポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)に対してメチルメタクリレート−スチレン共重合体(C)を配合することにより得られる。
本発明において、ポリアリレート樹脂(A)とは、芳香族ジカルボン酸残基と、ビスフェノール類残基とから構成されているポリエステルである。ポリアリレート樹脂(A)は、溶融重合、界面重合など公知慣用の方法により製造することができる。
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、メチルテレフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルフォンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)エタン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などが挙げられる。
上記のなかでも、芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸およびイソフタル酸が好ましく、溶融加工性および機械的特性の点から、両者を混合して用いることが特に好ましい。テレフタル酸とイソフタル酸のモル比率(テレフタル酸/イソフタル酸)は、100/0〜0/100の範囲の任意であるが、ポリアリレート樹脂(A)の製造方法として界面重合法を用いた場合は、重合性の観点から、好ましくは70/30〜30/70、より好ましくは60/40〜40/60である。上記テレフタル酸とイソフタル酸のモル比率の中でも、光、特に紫外線に対する耐変色性を向上させるためにはイソフタル酸を過剰に用いる方がよく、耐熱性を向上させるためにはテレフタル酸を過剰に用いることが好ましい。
ビスフェノール類の具体例として、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)、2−フェニル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(PPPBP)等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよいし、あるいは2種類以上混合して使用してもよい。
上記の中でも、コストパフォーマンスおよび重合性の観点から、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを使用することが好ましい。また、耐熱性の観点から、ビスフェノールTMC、PPPBPを用いることが好ましい。
上記ポリアリレート樹脂(A)のインヘレント粘度は、0.3〜1.0dl/gの範囲であることが好ましく、0.35〜0.6dl/gであることがより好ましく、0.40〜0.55dl/gであることがさらに好ましい。ポリアリレート樹脂(A)のインヘレント粘度が0.3dl/g未満となると、得られる樹脂組成物の分子量が低くなるため、機械的特性、耐熱性に劣る場合がある。逆に1.0dl/gを超えると、溶融粘度が高くなるため、溶融加工時の変色や流動性の低下が起こる場合がある。なお、本発明において、インヘレント粘度とは、1,1,2,2−テトラクロロエタン100mlに、試料1.0gを溶解し温度25℃の溶液を調製し、該溶液を用いて測定された値である。
本発明におけるポリカーボネート樹脂(B)とは、ビスフェノール類残基とカーボネート残基で構成されたものである。ポリカーボネート樹脂(B)は、上記のポリアリレート樹脂(A)と類似のビスフェノール類残基を有するため、ポリアリレート樹脂(A)と良好な相溶性を示し、さらに、ポリアリレート樹脂(A)の成形性、耐熱性および耐衝撃性を向上させるという利点がある。なお、本発明においては、ポリカーボネート樹脂(B)が配合されていなくても、所望の効果を達成することができる場合がある。
ビスフェノール類としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジチオジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジヒドロキシジフェニルエーテル等が挙げられる。
ビスフェノール類としては、その他にも、米国特許第2,999,835号明細書、米国特許第3,028,365号明細書、米国特許第3,334,154号明細書、米国特許第4,131,575号明細に記載されているジフェノールなどが使用できる。これらは単独で使用してもよいし、あるいは2種類以上混合して使用してもよい。これらの化合物の中でも、コストパフォーマンスの観点から、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを使用することが好ましく、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを単独で使用することが最も好ましい。
カーボネート残基を導入するための成分としては、例えば、ホスゲン、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。
本発明において、ポリカーボネート樹脂(B)についての前述のインヘレント粘度は、0.3〜0.7dl/gであることが好ましく、さらに好ましくは0.35〜0.65dl/gである。ポリカーボネート樹脂(B)のインヘレント粘度が0.3dl/g未満となると得られる樹脂組成物の機械的特性、耐熱性に劣る場合があり、逆に0.7dl/gを超えると溶融粘度が高くなるため溶融加工時の変色や、流動性の低下が起こる場合がある。
本発明において、ポリアリレート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)の配合比率は、樹脂組成物の耐熱性の観点から、質量比で、(A)/(B)=30/70〜100/0であることが必要であり、40/60〜90/10であることが好ましい。前記質量比においてポリアリレート樹脂(A)の比率が30質量%未満であると、十分な耐熱性が得られない場合がある。
本発明においては、メチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)を用いることにより、ポリアリレート樹脂の良好な耐熱性や機械物性を維持したまま成形性(流動性)を向上させる効果が発現する。つまり、メチルメタクリレート−スチレン共重合体(C)は、流動性改質剤としての役割を担う。さらに成形体が肉薄化した際の流動長低下も少なく、吸水や成形時の滞留劣化等の使用上の不具合のない樹脂組成物が得られるという利点がある。さらに、得られる樹脂組成物の視認性が顕著に向上するという利点がある。ポリアリレート樹脂、またはポリアリレート樹脂とポリカーボネート樹脂からなる樹脂組成物は、透明性に優れているものの、流動性において劣るものであった。そのため、流動性を改善するために、各種の流動性改良剤が用いられていた。しかしながら、従来の流動性改良剤を用いると、ポリアリレート樹脂の視認性、ポリアリレート樹脂とポリカーボネート樹脂からなる樹脂組成物の視認性は大きく損なわれるばかりでなく、滞留安定性を低下させていた。つまり、メチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)以外の流動性改質剤を用いると、視認性や流動性、滞留安定性が不十分なものとなった。滞留安定性を高めるためには、成形温度を下げることが有効的であるが、成形温度の低下は流動性の低下をまねき、また、成形時の外観が悪化したりするという問題が発現する。しかしながら、本発明においては、流動性改質剤としてメチルメタクリレート-スチレン共重合体を用いているため、視認性を向上させつつ(つまり、透明性を大きく損ねることなく)、流動性を改善することができるという顕著な効果を奏するのである。
本発明に用いられるメチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)は、公知慣用の製造方法で得ることができる。例えば、その製造方法としては、回分式の懸濁重合法、連続的な塊状重合法、ラジカル重合法、溶液重合法などが挙げられる。
本発明に用いられるメチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)の示差走査熱量測定法(DSC法)で測定されるガラス転移温度は、樹脂組成物の耐熱性と流動性のバランスの観点から、75〜110℃であることが好ましく、80〜100℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が75℃未満であると得られる樹脂組成物の耐熱性が低下する場合があり、一方110℃を超えると樹脂組成物の流動性が低下することがある。
本発明に用いられるメチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)のJIS K7112に従って測定された密度は、相溶性の確保、軽量化の観点から、1.10〜1.22g/cmであることが好ましく、1.12〜1.19g/cmであることがより好ましい。また、本発明に用いられるメチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)のJIS K7210に従って測定されたメルトフローレート(200℃、49N荷重)は、相溶性および流動性の確保の観点から、0.5〜2.5g/10分であることが好ましく、0.8〜2.0g/10分であることがより好ましい。
本発明に用いられるメチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)は、市販品も好適に使用することができ、例えば、電気化学工業社製 商品名「アクリスターKT−80」などを用いることができる。
上記メチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)の構造中におけるメチルメタクリレートとスチレンの共重合比率としては、質量比で、メチルメタクリレート/スチレン=95/5〜75/25の範囲内であることが好ましく、90/10〜80/20の範囲内であることがさらに好ましい。メチルメタクリレートの質量比が95質量%を超える場合、得られる樹脂組成物において十分な滞留安定性や成形性が得られない場合がある。スチレンの質量比が25質量%を超える場合、成形体の高温熱処理時に、成形体の歪み、亀裂、破断、剥離などの外観上の不具合が生じる場合があるため好ましくない。
本発明においては、メチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)と、ポリアリレート樹脂(A)、及びポリカーボネート樹脂(B)との質量比率は、下記式の関係にあることが必要である。
(C)/[(A)+(B)+(C)]=5/100〜30/100 (II)
上記式はポリアリレート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)とメチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)の配合量全体を100質量部とした時のメチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)の配合割合を表している。ただし、本発明においては、ポリカーボネート樹脂(B)を含まない場合もある。本発明においては、[(A)+(B)+(C)]を100質量部として、メチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)が5〜30質量部であることが必要であり、6〜28質量部であることが好ましく、成形性の観点から、7.5〜25質量部であることがさらに好ましい。メチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)の配合割合が5質量部未満では、本発明の樹脂組成物の流動性改善効果にもとづく成形性の向上がほとんど見られない。またメチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)の添加量が多いほど成形体が肉薄化した際の流動長低下も少なくなるが、30質量部を超えると、耐熱性や機械物性が悪化するという問題がある。
なお、[(A)+(B)+(C)]100質量部に対して、25質量部以上のメチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)を用いる場合には、樹脂組成物の機械物性、耐熱性を損なわないために、ポリアリレート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)の配合比率は、質量比で(A)/(B)=30/70〜90/10であることが好ましく、30/70〜80/20であることがより好ましい。25質量部以上のメチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)を用いる場合において、ポリアリレート樹脂(A)の比率が30質量%未満であると十分な耐熱性を得られにくい傾向があり、一方、80質量%を超えると十分な機械物性を得ることが難しくなる傾向がある。このような場合において、ポリアリレート樹脂(A)の比率が80質量%を超えると十分な機械物性を得ることが難しくなる理由は明確ではないが、以下のようなものであると推察される。つまり、メチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)を25質量部以上用いる場合は、特に樹脂組成物の流動性が顕著に良くなる傾向である反面、ポリアリレート樹脂(A)とメチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)との溶融粘度差が大きくなり、樹脂組成物の相溶性が不十分となる傾向が高まるからであると推察される。
また、[(A)+(B)+(C)]100質量部に対して25質量部以上のメチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)を用いる場合において、ポリカーボネート樹脂(B)のインヘレント粘度は、0.4〜0.7dl/gであることが好ましく、0.45〜0,65dl/gであることがさらに好ましい。このような場合に、インヘレント粘度が0,4dl/g未満であると、十分な機械物性を得ることが難しくなる場合があり、0.7dl/gを超えると樹脂組成物の流動性が低下する場合がある。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で、前記ポリアリレート樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)、メチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)の他に、熱や光に対する安定性の観点から、例えばホスファイト系化合物、フェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ビンダードアミン系化合物、イオウ化合物あるいはこれらの混合物などを含んでもよい。本発明の効果を損なわない範囲内で、上記以外の添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ブルーイング剤、顔料、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、滑剤、有機系充填剤、無機系充填剤などを含んでもよい。
本発明において、ポリアリレート樹脂(A)にメチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)を配合する方法、あるいはポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)に対してメチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)を配合する方法は特に限定されるものではなく、各成分が均一に分散されている状態になればよい。具体的には、例えば、タンブラーやヘンシェルミキサーを用いて均一にドライブレンドした後、溶融混練押出して、冷却・カッティング・乾燥工程に付して、ペレット化すればよい。溶融混練に際しては、単軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、ブラベンダー等の一般的な混練機を使用することが出来るが、分散性向上の観点から二軸押出機を使用することが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、任意の方法で各種成形体に成形されることができる。その成形方法は特に制限されず、射出成型法、押出成形法、圧縮成形法、ブロー成型法などが適用できる。
本発明の樹脂組成物からなる成形体は、耐熱性、機械物性を維持しつつ、成形体が肉薄化した際の流動長の低下が少ないため、薄型テレビ、パソコン、携帯電話、モバイル機器等の電子機器、OA機器等の筐体、各種部品、ランプリフレクター等の自動車用外装樹脂部品で用いることができる。また、視認性が要求される各種照明、表示灯、警告灯等のカバー樹脂部品として好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。以下に、実施例、比較例で実施した評価方法について述べる。
なお、本明細書において、「ベース樹脂組成物」とは、[(A)+(B)+(C)]からなる樹脂組成物に対して、(A)/(B)の配合比率が同一でかつ(C)を含まない樹脂組成物を示す。なお、ベース樹脂組成物としては、(B)の配合量が0質量部の場合も含まれる。例えば、実施例1、2に対しては、比較例1、2が、それぞれベース樹脂組成物に該当する。
(1)インヘレント粘度(dl/g):ISO1628−1に従って、ウベローデ型粘度管を使用し、1,1,2,2−テトラクロロエタンを溶媒とし、溶媒100mlに対し試料1gを添加し(すなわち、濃度1g/dlとして)、温度25℃において測定した。
(2)バーフロー流動長(mm):実施例および比較例で得られたペレット状の樹脂組成物を、120℃にて12時間以上熱風乾燥した後、射出成型機(FANUC社製、商品名「S2000i−100B」)にて、シリンダ温度320℃、金型温度120℃に設定し、射出圧力120MPa、射出時間4秒、設定射出速度100mm/秒で成形した際の試験片の流動長を測定した。これは、流動性の指標となるものである。金型は2mmt厚での測定の場合、厚み2mmt、幅20mm、長さ980mmのバーフロー試験金型を、1mmt厚での測定場合、厚み1mmt、幅20mm、長さ330mmのバーフロー試験金型を用いた。
(3)荷重たわみ温度(℃):ISO75−1に従って、厚み4mmの試験片を用いて、荷重1.8MPaで測定した。また荷重たわみ温度測定前には、アニール処理を施した。アニール処理は成形体の内部歪を除く目的で実施し、140℃にて、3時間熱風乾燥機内にて静置した。
本発明においては、荷重たわみ温度が145℃以上であり、かつ、ベース樹脂組成物の荷重たわみ温度との差が25℃以内であるものを実用に耐えうるものとした。
(4)曲げ弾性率(GPa):ISO178に従って、厚み4mmの試験片を用い曲げ試験を行い、曲げ弾性率を求めた。
(5)引張破断伸度(%):ISO527−1に従って、厚み4mmの試験片を用い引張試験を行い、引張破断伸度を求めた。
本発明においては、引張破断伸度が10%以上であるものを実用に耐えうるものとした。
(6)シャルピー衝撃値(J/m):ISO179−1eAに従って、厚み4mmのノッチ付きの試験片を用いて測定した。
本発明においては、シャルピー衝撃値が5kJ/m以上であるものを実用に耐えうるものとした。
(7)全光線透過率(%):射出成形機(東芝機械社製、「EC100N型」を用いた厚さ2mmのプレートを成形した。ISO13468−1に従って、濁度計(日本電色工業社製NDH2000型)を用い、光源D65/視野角2°条件下で、全光線透過率を測定した。
本発明においては全光線透過率が30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。なお、全光線透過率が30%以上であれば視認性を有すると判断した。
(8)イエローインデックス(%):ASTM D1925に従って、色差計(日本電色工業社製、「SE6000型」)を用い、反射法にて、光源D65/視野角2°条件下で、イエローインデックス(以下、YI値と称す)を測定した。なお、試験片として(7)と同様にして得られたプレートを用いた。
本発明においては、YI値が20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。
(8)吸水率(%):ISO62に従って、23℃の水中にて、24時間経過後での吸水率を測定した。
(9)アニール時成形品外観評価:(7)で用いたプレート(成形品)を試験片として使用した。
一定温度制御された熱風乾燥機中に成形品を静置し2hアニール処理し、処理後の成形品の外観を目視で判断した。アニール処理は、130℃、140℃、150℃の各温度条件下で同様に行った。成形品の歪み、亀裂、破断、剥離を生じたものを異常ありとし、以下の評価基準で判断した。
◎:150℃で処理した場合に、成形品の歪み、亀裂、破断、剥離のいずれもが確認されなかった。
○:150℃で処理した場合に、成形品の歪み、亀裂、破断、剥離の少なくともいずれか一つが確認されたが、140℃で処理した場合に、成形品の歪み、亀裂、破断、剥離のいずれもが確認されなかった。
△:140℃試験で処理した場合に、成形品の歪み、亀裂、破断、剥離の少なくともいずれか一つが確認されたが、130℃処理した場合に、成形品の歪み、亀裂、破断、剥離のいずれもが確認されなかった。
×:130℃試験で処理した場合に、成形品の歪み、亀裂、破断、剥離の少なくともいずれか一つが確認された。
(10)滞留安定性試験
(10)−1.インヘレント粘度保持率(%)
成形前に樹脂組成物ペレットのインヘレント粘度を測定した。次いで、樹脂組成物ペレットを、120℃にて12時間以上熱風乾燥した後、射出成型機(FANUC製、商品名「S2000i−100B」)に成形金型(縦200mm、横53mm、深さ8mm平均肉厚1.5mm;箱型形状)を取り付け、シリンダ温度を330℃、金型温度120℃に設定し、成形サイクル3.0分にて射出成形を実施した。成形は数ショット繰り返し、成形が安定した時点で成形体を採取した。得られた成形体のインヘレント粘度を測定し、下記式よりインヘレント粘度保持率を算出した。
インヘレント粘度保持率=(成形体のインヘレント粘度)/(成形前樹脂組成物ペレットのインヘレント粘度)×100
なお、インヘレント粘度保持率は数値が大きいほど樹脂組成物が熱劣化を起こさず、滞留安定性があると判断した。インヘレント粘度保持率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上が最も好ましい。
(10)−2.成形時外観(シルバーの有無)
上述の(10)−1.記載の手法にて成形体を得、該成形体の外観を確認した。以下の基準で評価した。
○:成形体表面にシルバーが発生しない。
×:成形体表面にシルバーが発生する。
(10)−3.成形時外観(黄色味)
上述の(10)−1.記載の手法にて成形体を得、該成形体の外観を確認した。以下の基準で評価した。
○:成形ショットを10回繰り返した場合であっても、成形体の色目が変化しない。
△:成形ショットを10回繰り返した場合に、成形体の色目が黄色味に変化し、やや着色する。
×:成形ショットを10回繰り返した場合に、成形体の色目が著しく変化し、黄色味が増す。
(11)バーフロー流動長向上率(%):上記(2)の測定方法に従ってバーフロー流動長を測定し、下記式によりバーフロー流動長向上率を算出した。これはメチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)を添加することによるバーフロー流動長の変化度合いを示す値である。
バーフロー流動長向上率(%)={[(A)+(B)+(C)]からなる樹脂組成物のバーフロー流動長}/{ベース樹脂組成物のバーフロー流動長}×100
本発明においては、2mmt評価では130%以上、また1mmt評価では150%以上であるものを実用に耐えうるものとした。
(12)肉薄時バーフロー流動長保持率(%):上記(2)の測定方法に従ってバーフロー流動長を測定し、下記式により肉薄時バーフロー流動長保持率を算出した。これはメチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)を添加することによる成形時の厚み依存性の変化を示すものである。
肉薄時バーフロー流動長保持率(%)={1mmtバーフロー流動長}/{2mmtバーフロー流動長}×100
肉薄時バーフロー流動長保持率は、数値が大きいほど好ましく、肉薄時の流動性低下が少ないことを示す。
(13)流動性改良化率
(12)の肉薄時バーフロー流動長保持率において、下記式により求められる値を流動性改良化率とした。
流動性改良化率(%)={[(A)+(B)+(C)]からなる樹脂組成物の肉薄時バーフロー流動長保持率}−{ベース樹脂組成物の肉薄時バーフロー流動長保持率}×100
流動性改良化率は、数値が大きいほど流動性改質剤による、流動性改良効果が高いことを示し、5%以上であることが好ましく、8%以上であることがより好ましい。
(14)引張破断伸度保持率(%):上記(5)の測定方法に従って引張破断伸度を測定し、下記式により引張破断伸度保持率を算出した。これはメチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)を添加することによる引張破断伸度の変化度合いを示す値である。
引張破断伸度保持率(%)={[(A)+(B)+(C)]の樹脂組成物の引張破断伸度}/(ベース樹脂組成物の引張破断伸度)×100
本発明においては、引張破断伸度保持率が50%以上であるものを実用に耐えうるものと判断したが、65%以上保持することが好ましく、80%以上保持することがより好ましい特性である。
(15)シャルピー衝撃値保持率(%):上記(6)の測定方法に従ってシャルピー衝撃値を測定し、下記式によりシャルピー衝撃値保持率を算出した。これはメチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)を添加することによるシャルピー衝撃値の変化度合いを示す値である。
シャルピー衝撃値保持率(%)={[(A)+(B)+(C)]の樹脂組成物のシャルピー衝撃値}/(ベース樹脂組成物のシャルピー衝撃値)×100
本発明においては、シャルピー衝撃値保持率が本発明においては、シャルピー衝撃値保持率が10%以上であるものを実用に耐えうるものと判断したが、20%以上であることが好ましく、30%以上保持することがより好ましい。
(16)総合評価
耐熱性(荷重たわみ温度)、機械物性(引張破断伸度またはシャルピー衝撃値)、光学特性(全光線透過率、YI値)、流動性改良化率がバランス良く優れているものを○、一つでも劣っている特性を有するものを×と判断した。
なお、本発明の樹脂組成物においては、引張破断伸度保持率、シャルピー衝撃値保持率のいずれもが優れていることは好ましいが、いずれか一方でも優れている場合であっても、機械物性が優れていると判断した。
実施例、比較例で使用した原材料について、以下に述べる。
・ポリアリレート樹脂(A)
・(A−1)
ビスフェノールA、テレフタル酸、イソフタル酸からなり、インヘレント粘度が0.54dl/gである。
・ポリカーボネート樹脂(B)
・(B−1)
住友ダウ社製 商品名「カリバー200−3」
インヘレント粘度が0.645dl/gである。
・(B−2)
住友ダウ社製 商品名「カリバー200−30」
インヘレント粘度が0.435dl/gである。
・メチルメタクリレート−スチレン共重合体(C)
・(C−1)
電気化学工業社製、商品名「アクリスター KT−80」
メチルメタクリレートとスチレンの共重合比率が、モル比で、メチルメタクリレート/スチレン=90/10である。
・(C−2)
ダイセル社製、商品名「セビアンMAS 30F」
メチルメタクリレートとスチレンの共重合比率が、モル比で、メチルメタクリレート/スチレン=60/40である。
・(C−3)
ダイセル社製、商品名「セビアンMAS 10F」
メチルメタクリレートとスチレンの共重合比率が、モル比で、メチルメタクリレート/スチレン=40/60である。
・その他の流動性改質剤(D)
・(D−1)
UMG ABS社製、商品名「UMG AXSレジン S900」
メチルメタクリレート/アクリロニトリル/スチレン共重合体
共重合比率が、モル比で、メチルメタクリレート/アクリロニトリル/スチレン=15/21/64である。
・(D−2)
電気化学工業社製、商品名「デンカTHポリマー TH−21」
メチルメタクリレート/ブタジエン/スチレン樹脂
・(D−3)
三菱レイヨン社製、商品名「アクリペット VH−001」
ポリメチルメタクリレート樹脂
・(D−4)
東洋スチレン社製、商品名「トーヨースチロールGP G210C」
ポリスチレン樹脂
・(D−5)
UMG ABS社製、商品名「UMG AXSレジン S202N」
アクリロニトリルとスチレンの共重合比率が、モル比で、アクリロニトリル/スチレン=27/73であり、インヘレント粘度が0.668dl/gである。
・(D−6)
ポリプラスチックス社製、商品名「TOPAS 6015」
ガラス転移点が160℃であり、エチレンとノルボルネンからなり、構造中にノルボルネンが質量比で79%含まれるシクロオレフィン系樹脂である。
・(D−7)
相対粘度2.5、アミノ末端基濃度62mol/ton、融点220℃、重合時の末端封鎖剤が添加されていないポリアミド6である。
・(D−8)
ソルーシアジャパン社製、商品名「50BWFS」
相対粘度2.68、アミノ末端基濃度35mol/ton、融点260℃のポリアミド66である。
実施例1
ポリアリレート樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)、ポリアミド樹脂(C)を、表1に記載された配合割合で、総仕込み量3kgとしてドライブレンド混合した後、ロスインウェイト式連続定量供給装置(クボタ社製、商品名「CE−W−1」)を用いて、ベント部を一か所有するスクリュー径26mmの二軸押出機(東芝機械社製、商品名「TEM26SS」)の主供給口に供給した。そして、押出機のバレル温度設定320℃、ベント減圧度−0.099MPa(ゲージ圧)、吐出量20kg/h、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、ダイスからストランド状に引き取った樹脂組成物を温浴槽にて冷却固化し、ペレタイザでカッティングした後、120℃で熱風乾燥することにより樹脂組成物ペレットを得た。なお、実施例1においては、ポリカーボネート樹脂(B)は配合されていない。
得られた樹脂組成物ペレットを用い、上記した評価方法に基づいて、評価を実施した。結果を表1に記載する。なお、バーフロー流動長向上率、流動性改良化率、引張破断伸度保持率、シャルピー衝撃値保持率等の算出時に用いたベース樹脂の特性値は、比較例1〜7、および比較例19で得られた樹脂組成物(P−1)〜(P−8)、および(P−8)の各特性の値を用いた。
Figure 2012211233
実施例2〜16
表1に示す配合とした他は実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得、評価を実施した。評価結果を表1に示す。
比較例1〜19
表2に示す配合とした他は実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得、評価を実施した。評価結果を表2に示す。なお、比較例1〜7および19については、透明度が優れて過ぎていたため(透明であったため)、YI値の評価を行うことができなかった。
Figure 2012211233
実施例1〜9、12〜16にて得られた樹脂組成物は、表1から明らかなように、耐熱性、機械物性、成形時の厚み依存性、成形時の滞留安定性、吸水特性に優れるものであった。加えて、視認性を有していた。さらに、バーフロー流動長および流動性改良化率のいずれにおいても優れており、つまり、成形性(流動性)に優れるものであった。
実施例10、11は、メチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)のメチルメタクリレートとスチレンの共重合比が、本発明の特に好ましい範囲から外れていたため、成形性(アニール時成形品外観)に改善の余地を残すものであったが、十分に実使用に耐えうるものであった。
実施例16は、メチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)の配合量が、本発明の特に好ましい範囲から外れていたため、機械物性、特に引張破断伸度に改善の余地を残すものであったが、十分に実使用に耐えうるものであった。
比較例1〜6および19ではメチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)を配合しなかったため、バーフロー流動長が低い値となり、つまり成形性(流動性)が劣るものとなった。
比較例7は、ポリカーボネート樹脂(B)の配合量が過大であったために、流動性は良好(つまり、実施例7と同程度)であったが、メチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)の配合による流動性付与でなく、耐熱性と流動性のバランスが劣った。
比較例8は、ポリアリレート樹脂(A)の配合量が過少であったため、荷重たわみ温度が145℃未満となり、耐熱性に劣るものとなった。
比較例9は、メチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)の配合量が過少であったため、バーフロー流動長向上率(1mmt)および流動性改良化率が低いものとなった。つまり、十分な成形性(流動性)が発現しないものとなった。
比較例10は、メチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)の配合量が過多であっため、成形性(流動性)、曲げ特性、外観には問題がないが、耐熱性に劣るものとなった。加えて、シャルピー衝撃値およびシャルピー衝撃値保持率が低い値となり、つまり機械強度に劣るものとなった。
比較例11、12は、メチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)以外の流動性改質剤を用いたため、インヘレント粘度保持率が低く、成形時の外観も悪化していた。つまり、滞留安定性が不十分なものであった。加えて、全光線透過率が低くなり、YI値が高くなり、視認性においても劣っていた。
比較例13は、メチルメタクリレート-スチレン共重合体(C)以外の流動性改質剤を用いたため、インヘレント粘度保持率が低く、成形時の外観も悪化していた。つまり、滞留安定性が不十分なものであった。加えて、全光線透過率が低くなり、視認性においても劣っていた。
比較例14は、スチレンのみからなる流動性改質剤を用いたため、アニール処理時に剥離が生じてしまい、実使用に適さないものであった。
比較例15は、流動性改質剤としてアクリロニトリル−スチレン樹脂を用いたため、YI値が劣り、視認性に劣るものであった。
比較例16は、流動性改質剤としてシクロオレフィン系樹脂を用いたため、全光線透過率が低下し、視認性に劣るものであった。加えて、バーフロー流動長(1mmt)および流動性改良化率が低い値となり、つまり成形性(流動性)が低下していた。さらに、引張破断伸度および引張破断伸度保持率が低い値となり、つまり機械強度に劣るものであった。
比較例17および比較例18は、流動性改質剤としてポリアミド樹脂を用いたため、全光線透過率が低下し、視認性に劣るものとなった。加えて、滞留安定性および成形時の外観変化に劣るものであった。

Claims (4)

  1. ポリアリレート樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)、メチルメタクリレート−スチレン共重合体(C)を構成成分とし、各成分の質量比率が下記式(I)および(II)を満足することを特徴とする樹脂組成物。
    (A)/(B)=30/70〜100/0 (I)
    (C)/{(A)+(B)+(C)}=5/100〜30/100 (II)
  2. メチルメタクリレート−スチレン共重合体(C)の共重合比率が、モル比で、メチルメタクリレート/スチレン=95/5〜75/25の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. (B)ポリカーボネート樹脂のインヘレント粘度が0.3〜0.7dl/gであることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物を含む成形体。
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