JP2012211233A - 樹脂組成物及び該樹脂組成物からなる成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の樹脂組成物は、(A)ポリアリレート樹脂、(B)ポリカーボネート樹脂、(C)メチルメタクリレート−スチレン共重合体を構成成分とし、各成分の質量比率が下記式(I)および(II)を満足することを特徴とする。
(A)/(B)=30/70〜100/0 (I)
(C)/{(A)+(B)+(C)}=5/100〜30/100 (II)
【選択図】なし
Description
すなわち本発明の要旨は次の通りである。
(1)ポリアリレート樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)、メチルメタクリレート−スチレン共重合体(C)を構成成分とし、各成分の質量比率が下記式(I)および(II)を満足することを特徴とする樹脂組成物。
(A)/(B)=30/70〜100/0 (I)
(C)/{(A)+(B)+(C)}=5/100〜30/100 (II)
(2)メチルメタクリレート−スチレン共重合体(C)の共重合比率が、モル比で、メチルメタクリレート/スチレン=95/5〜75/25の範囲であることを特徴とする(1)の樹脂組成物。
(3)ポリカーボネート樹脂(B)のインヘレント粘度が0.3〜0.7dl/gであることを特徴とする(1)または(2)の樹脂組成物。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物を含む成形体。
本発明の樹脂組成物は、ポリアリレート樹脂(A)にメチルメタクリレート−スチレン共重合体(C)を配合することにより、あるいはポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)に対してメチルメタクリレート−スチレン共重合体(C)を配合することにより得られる。
(C)/[(A)+(B)+(C)]=5/100〜30/100 (II)
本発明においては、荷重たわみ温度が145℃以上であり、かつ、ベース樹脂組成物の荷重たわみ温度との差が25℃以内であるものを実用に耐えうるものとした。
本発明においては、引張破断伸度が10%以上であるものを実用に耐えうるものとした。
本発明においては、シャルピー衝撃値が5kJ/m2以上であるものを実用に耐えうるものとした。
本発明においては全光線透過率が30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。なお、全光線透過率が30%以上であれば視認性を有すると判断した。
本発明においては、YI値が20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。
一定温度制御された熱風乾燥機中に成形品を静置し2hアニール処理し、処理後の成形品の外観を目視で判断した。アニール処理は、130℃、140℃、150℃の各温度条件下で同様に行った。成形品の歪み、亀裂、破断、剥離を生じたものを異常ありとし、以下の評価基準で判断した。
◎:150℃で処理した場合に、成形品の歪み、亀裂、破断、剥離のいずれもが確認されなかった。
○:150℃で処理した場合に、成形品の歪み、亀裂、破断、剥離の少なくともいずれか一つが確認されたが、140℃で処理した場合に、成形品の歪み、亀裂、破断、剥離のいずれもが確認されなかった。
△:140℃試験で処理した場合に、成形品の歪み、亀裂、破断、剥離の少なくともいずれか一つが確認されたが、130℃処理した場合に、成形品の歪み、亀裂、破断、剥離のいずれもが確認されなかった。
×:130℃試験で処理した場合に、成形品の歪み、亀裂、破断、剥離の少なくともいずれか一つが確認された。
(10)−1.インヘレント粘度保持率(%)
成形前に樹脂組成物ペレットのインヘレント粘度を測定した。次いで、樹脂組成物ペレットを、120℃にて12時間以上熱風乾燥した後、射出成型機(FANUC製、商品名「S2000i−100B」)に成形金型(縦200mm、横53mm、深さ8mm平均肉厚1.5mm;箱型形状)を取り付け、シリンダ温度を330℃、金型温度120℃に設定し、成形サイクル3.0分にて射出成形を実施した。成形は数ショット繰り返し、成形が安定した時点で成形体を採取した。得られた成形体のインヘレント粘度を測定し、下記式よりインヘレント粘度保持率を算出した。
インヘレント粘度保持率=(成形体のインヘレント粘度)/(成形前樹脂組成物ペレットのインヘレント粘度)×100
なお、インヘレント粘度保持率は数値が大きいほど樹脂組成物が熱劣化を起こさず、滞留安定性があると判断した。インヘレント粘度保持率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上が最も好ましい。
上述の(10)−1.記載の手法にて成形体を得、該成形体の外観を確認した。以下の基準で評価した。
○:成形体表面にシルバーが発生しない。
×:成形体表面にシルバーが発生する。
上述の(10)−1.記載の手法にて成形体を得、該成形体の外観を確認した。以下の基準で評価した。
○:成形ショットを10回繰り返した場合であっても、成形体の色目が変化しない。
△:成形ショットを10回繰り返した場合に、成形体の色目が黄色味に変化し、やや着色する。
×:成形ショットを10回繰り返した場合に、成形体の色目が著しく変化し、黄色味が増す。
バーフロー流動長向上率(%)={[(A)+(B)+(C)]からなる樹脂組成物のバーフロー流動長}/{ベース樹脂組成物のバーフロー流動長}×100
本発明においては、2mmt評価では130%以上、また1mmt評価では150%以上であるものを実用に耐えうるものとした。
肉薄時バーフロー流動長保持率(%)={1mmtバーフロー流動長}/{2mmtバーフロー流動長}×100
肉薄時バーフロー流動長保持率は、数値が大きいほど好ましく、肉薄時の流動性低下が少ないことを示す。
(12)の肉薄時バーフロー流動長保持率において、下記式により求められる値を流動性改良化率とした。
流動性改良化率(%)={[(A)+(B)+(C)]からなる樹脂組成物の肉薄時バーフロー流動長保持率}−{ベース樹脂組成物の肉薄時バーフロー流動長保持率}×100
流動性改良化率は、数値が大きいほど流動性改質剤による、流動性改良効果が高いことを示し、5%以上であることが好ましく、8%以上であることがより好ましい。
引張破断伸度保持率(%)={[(A)+(B)+(C)]の樹脂組成物の引張破断伸度}/(ベース樹脂組成物の引張破断伸度)×100
本発明においては、引張破断伸度保持率が50%以上であるものを実用に耐えうるものと判断したが、65%以上保持することが好ましく、80%以上保持することがより好ましい特性である。
シャルピー衝撃値保持率(%)={[(A)+(B)+(C)]の樹脂組成物のシャルピー衝撃値}/(ベース樹脂組成物のシャルピー衝撃値)×100
本発明においては、シャルピー衝撃値保持率が本発明においては、シャルピー衝撃値保持率が10%以上であるものを実用に耐えうるものと判断したが、20%以上であることが好ましく、30%以上保持することがより好ましい。
耐熱性(荷重たわみ温度)、機械物性(引張破断伸度またはシャルピー衝撃値)、光学特性(全光線透過率、YI値)、流動性改良化率がバランス良く優れているものを○、一つでも劣っている特性を有するものを×と判断した。
なお、本発明の樹脂組成物においては、引張破断伸度保持率、シャルピー衝撃値保持率のいずれもが優れていることは好ましいが、いずれか一方でも優れている場合であっても、機械物性が優れていると判断した。
・ポリアリレート樹脂(A)
・(A−1)
ビスフェノールA、テレフタル酸、イソフタル酸からなり、インヘレント粘度が0.54dl/gである。
・(B−1)
住友ダウ社製 商品名「カリバー200−3」
インヘレント粘度が0.645dl/gである。
・(B−2)
住友ダウ社製 商品名「カリバー200−30」
インヘレント粘度が0.435dl/gである。
・(C−1)
電気化学工業社製、商品名「アクリスター KT−80」
メチルメタクリレートとスチレンの共重合比率が、モル比で、メチルメタクリレート/スチレン=90/10である。
・(C−2)
ダイセル社製、商品名「セビアンMAS 30F」
メチルメタクリレートとスチレンの共重合比率が、モル比で、メチルメタクリレート/スチレン=60/40である。
・(C−3)
ダイセル社製、商品名「セビアンMAS 10F」
メチルメタクリレートとスチレンの共重合比率が、モル比で、メチルメタクリレート/スチレン=40/60である。
・(D−1)
UMG ABS社製、商品名「UMG AXSレジン S900」
メチルメタクリレート/アクリロニトリル/スチレン共重合体
共重合比率が、モル比で、メチルメタクリレート/アクリロニトリル/スチレン=15/21/64である。
・(D−2)
電気化学工業社製、商品名「デンカTHポリマー TH−21」
メチルメタクリレート/ブタジエン/スチレン樹脂
・(D−3)
三菱レイヨン社製、商品名「アクリペット VH−001」
ポリメチルメタクリレート樹脂
・(D−4)
東洋スチレン社製、商品名「トーヨースチロールGP G210C」
ポリスチレン樹脂
・(D−5)
UMG ABS社製、商品名「UMG AXSレジン S202N」
アクリロニトリルとスチレンの共重合比率が、モル比で、アクリロニトリル/スチレン=27/73であり、インヘレント粘度が0.668dl/gである。
・(D−6)
ポリプラスチックス社製、商品名「TOPAS 6015」
ガラス転移点が160℃であり、エチレンとノルボルネンからなり、構造中にノルボルネンが質量比で79%含まれるシクロオレフィン系樹脂である。
・(D−7)
相対粘度2.5、アミノ末端基濃度62mol/ton、融点220℃、重合時の末端封鎖剤が添加されていないポリアミド6である。
・(D−8)
ソルーシアジャパン社製、商品名「50BWFS」
相対粘度2.68、アミノ末端基濃度35mol/ton、融点260℃のポリアミド66である。
ポリアリレート樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)、ポリアミド樹脂(C)を、表1に記載された配合割合で、総仕込み量3kgとしてドライブレンド混合した後、ロスインウェイト式連続定量供給装置(クボタ社製、商品名「CE−W−1」)を用いて、ベント部を一か所有するスクリュー径26mmの二軸押出機(東芝機械社製、商品名「TEM26SS」)の主供給口に供給した。そして、押出機のバレル温度設定320℃、ベント減圧度−0.099MPa(ゲージ圧)、吐出量20kg/h、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、ダイスからストランド状に引き取った樹脂組成物を温浴槽にて冷却固化し、ペレタイザでカッティングした後、120℃で熱風乾燥することにより樹脂組成物ペレットを得た。なお、実施例1においては、ポリカーボネート樹脂(B)は配合されていない。
表1に示す配合とした他は実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得、評価を実施した。評価結果を表1に示す。
表2に示す配合とした他は実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得、評価を実施した。評価結果を表2に示す。なお、比較例1〜7および19については、透明度が優れて過ぎていたため(透明であったため)、YI値の評価を行うことができなかった。
Claims (4)
- ポリアリレート樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)、メチルメタクリレート−スチレン共重合体(C)を構成成分とし、各成分の質量比率が下記式(I)および(II)を満足することを特徴とする樹脂組成物。
(A)/(B)=30/70〜100/0 (I)
(C)/{(A)+(B)+(C)}=5/100〜30/100 (II) - メチルメタクリレート−スチレン共重合体(C)の共重合比率が、モル比で、メチルメタクリレート/スチレン=95/5〜75/25の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- (B)ポリカーボネート樹脂のインヘレント粘度が0.3〜0.7dl/gであることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物を含む成形体。
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