JP2012126615A - フラットパネルディスプレイ用カバーガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】自発的に破壊しにくいフラットパネルディスプレイ用カバーガラスの提供。
【解決手段】フュージョン法により得られたガラスを化学強化して得られるフラットパネルディスプレイ用カバーガラスであって、化学強化前のガラスにおける粒子径が40μm以上の欠点を含まず、内部引張り応力が30MPa以上、且つ厚さが1.5mm以下であるフラットパネルディスプレイ用カバーガラス。
【選択図】なし

Description

本発明は、フラットパネルディスプレイ用カバーガラスおよびその製造方法に関する。
近年、フラットパネルディスプレイ(以下、FPDともいう)において、画像表示部分よりも広い領域となるように薄い板状のガラスをディスプレイ前面に設置することによって、枠の凸部を無くし美観を高めるという構成が採用されている。
ガラスをディスプレイ前面に設置するためには、カバーガラスとFPDパネルを離す方法がとられていたが、該方法では、ガラスと空気層との間での反射によって、美観が損なわれるため、ガラスとFPDパネルとを樹脂や粘着シートで接合し、界面での反射を低下させる構成が良い。
近年では家庭用テレビとしては大型のものが好まれているが、FPDパネルとカバーガラスを直接接合する方法を32インチ型以上の大型のFPDに用いる場合、カバーガラスの面積が大きくなるため、2.5mmなどのソーダライムガラスを用いると、本体そのものの重量が大きくなり、輸送や設置時の負荷が大きくなってしまう。
そこで、薄型化し、軽量化したガラス、例えば1.5mm、1.1mmおよび0.7mmのもの等が用いられる。ガラスを薄型化すると、強度が低下してしまうが、これを解決するためには、現在、化学強化法によって強化したガラスを用いるのが必須となっている(例えば、特許文献1および2)。
特開昭57−205343号 特開平9−236792号
しかしながら、化学強化ガラスは、内部に引張り応力を有しているため、引張り応力部分に異物などの欠点があると、破壊の起点となり、自発的な破壊をもたらす危険性があるという課題のあることが分かった。そのため、ガラス中に(特に板厚方向での中心部付近について)ガラスとの膨張率が異なり、引張り応力が常にかかり続けるような異物が存在すると、疲労によるクラック進展をもたらし、自発的な破壊をもたらす危険性がある。
携帯電話のカバーガラスでは、通話中に破壊が生じると、ケガする危険性が極めて高く、このような破壊が生じ、大型のテレビでは、面積が大きくなることからより自発的な破壊の可能性が高い。また、特に、携帯電話などのモバイル情報機器のカバーにおいては、落下しやすいため、その場合、これらの欠点が破壊の起点となり、カバーガラスが破損する可能性が高くなるという課題がある。
したがって、本発明の目的は、化学強化したガラスの引張り応力部分における欠点の発生を抑えた、自発的に破壊しにくいフラットパネルディスプレイ用カバーガラスを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を更に鋭意検討した結果、化学強化したガラスの自発的な破壊による危険性を低減するためには、引張り応力部分となる可能性が高い、ガラス中央部付近に異物、特にジルコニアが存在しないようにすることが必要であることを見出した。さらに、そのためには、化学強化に供するガラスの溶解・成形方法および/または組成の改善が有効であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
1.フュージョン法により得られたガラスを化学強化して得られるフラットパネルディスプレイ用カバーガラスであって、化学強化前のガラスにおける粒子径が40μm以上の欠点を含まず、内部引張り応力が30MPa以上、且つ厚さが1.5mm以下であるフラットパネルディスプレイ用カバーガラス。
2.前記化学強化前のガラスにおけるZrOの含有量が、モル%で表示した組成で、1.0%以下である前項1に記載のフラットパネルディスプレイ用カバーガラス。
3.前記化学強化前のガラスが、モル%で表示した組成で、SiOを50〜80%、Alを2〜25%、LiOを0〜10%、NaOを0〜18%、KOを0〜10%、MgOを0〜15%、CaOを0〜5%およびZrOを0〜5%を含むガラスである前項1または2に記載のフラットパネルディスプレイ用カバーガラス。
4.前項1〜3のいずれか1項に記載のフラットパネルディスプレイ用カバーガラスをカバーガラスとして用いるフラットパネルディスプレイ装置。
5.フュージョン法により得られたガラスを化学強化してフラットパネルディスプレイ用カバーガラスを製造する方法であって、化学強化前のガラスにおける粒子径が40μm以上の欠点を含まず、引張り応力が30MPa以上、且つ厚さが1.5mm以下である製造方法。
6.前記化学強化前のガラスにおけるZrOの含有量が、モル%で表示した組成で、1.0%以下である前項5に記載の製造方法。
7.前記化学強化前のガラスが、モル%で表示した組成で、SiOを50〜80%、Alを2〜25%、LiOを0〜10%、NaOを0〜18%、KOを0〜10%、MgOを0〜15%、CaOを0〜5%およびZrOを0〜5%を含むガラスである前項5または6に記載の製造方法。
本発明によれば、化学強化に供するガラスの製造工程におけるガラスの成形時において、ジルコニア含有部材にガラス融液を触れさせないことにより、化学強化に供するガラスにおける欠点の発生率を低減させることにより、化学強化したガラスの引張り応力部分における欠点の発生を抑え、ガラスの自発的な破壊を防ぐことができる。
欠点の粒子径頻度とクラック発生率との関係を示す図である。 本発明の一実施形態におけるディスプレイ装置の側面断面図である。 図2の正面図である。Lは対角画面サイズ(インチ)を示す。 図2の変形例の側面断面図である。
以下、本発明に関して詳細に説明する。
〔ガラス中の欠点とクラック発生率との相関性〕
ガラスを化学強化する目的は、十分な強度向上をもたらすことにある。そのため、表面圧縮応力Sと応力層深さtはいずれも大きくなくてはならない。ここで、化学強化の強さは、表面圧縮応力Sと応力層深さtから計算される内部引っ張り応力Tで代表することができる。
すなわち、ガラスの厚さをdとすると、内部引っ張り応力T、表面圧縮応力Sおよび応力層深さtの相関性は、下式(I)で表される。
T=(S×t)/(d−2×t) (I)
ここで、ディスプレイ用カバーガラスなどの用途には、軽量化のため、厚さdが1.5mm以下である薄板が用いられる。
厚さdが1.5mm以下の場合、内部引っ張り応力Tは30MPa以上とする。内部引っ張り応力が30MPa未満では、厚さdが1.5mm以下の薄板では実際的な表面圧縮応力Sを十分な応力層深さに入れることができないからである。
また、内部引っ張り応力Tが30MPa以上であると、表面圧縮応力Sあるいは応力層深さtが十分大きいことになり、十分な強度向上が認められる。そのため、内部引っ張り応力Tは30MPa以上であることが必要である。
化学強化用のガラスは、フュージョン法にて製造されることがあるが、フュージョン法により製造した化学強化用ガラスの内部を観察したところ、欠点が認められた。欠点の組成を解析したところZrOであった。
ZrOの欠点(以下、ZrO欠点ともいう。)の粒子径分布を図1に示す。また、ZrO欠点からクラックが発生しているか否かを観察したところ、図1の折れ線グラフに示すように、ZrOの欠点の粒子径(最大径)40μm以上で急激にクラックの発生率が高くなることがわかった。
化学強化ガラスでは、内部に圧縮応力層深さtよりも内部には引張り応力が生じているが、略球状の欠点があるだけでは応力集中は生じにくい。しかし、クラックが発生していれば、その引張り応力で、またはねじれなどの外力が加わることでクラック先端に応力集中が生じ、その結果、徐々にクラックが進展し、最終的には自発的な破壊に至ってしまう。
しかしながら、その化学強化ガラス板中に粒子径40μm以上の大きさの欠点がなければ、破壊が生じる可能性は非常に少ない。そのため、自発的な破壊を抑制するためには、粒子径40μm以上の大きさの欠点をなくすことが必要である。
なお、欠点をなくす方法としては、ジルコニア(ZrO)を含む部材に触れさせないようにすること、あるいは、ガラス組成中のジルコニア濃度を低くし、ジルコニアが溶解されて欠点とならないようにする方法が挙げられる。
本明細書において、化学強化に供するガラスにおける欠点の粒子径は、光学顕微鏡を用いて写真撮影を行い、その写真を用いて測定する。
化学強化したガラスの内部引っ張り応力Tは、折原製作所製表面応力計FSM−6000を用い、応力層深さtおよび表面圧縮応力Sを測定し、これらの数値とマイクロメータ等で測定したガラス板の厚みtから、(I)式を計算することにより求められる。
〔化学強化前のガラスを製造する方法〕
本発明のフラットパネルディスプレイ用カバーガラスは、フュージョン法により成形したガラスを化学強化して得られる。フュージョン法は、板ガラスを製造するためのガラス製造分野において用いられる基本技術の一つである(米国特許第3338696号明細書および米国特許第3682609号明細書)。
フュージョン法は、当該技術分野における他の公知の方法、例えば、スロットダウンドロー法と比較して、優れた平坦性と平滑性とを有する表面のガラスシートを生成させる。そのため、フュージョン法は、液晶ディスプレイ(LCD)の制作に用いられるガラス基板の製造に特に重要となってきた。
フュージョン法では、清澄、均質化したガラス融液をフュージョンパイプの上部の溝に流し込み、フュージョンパイプの両側に溢れ出たガラス融液をV字型のフュージョンパイプの外壁に沿って下方へ流す。両側から流れ出たガラス融液はフュージョンパイプの下部のルートと呼ばれる部分で融合して一体となり、1枚の薄板として連続的に成形される。
フュージョン法に用いられるフュージョンパイプは、溶融ガラスがフュージョンパイプの両側から溢れ出ると、高温かつかなりの機械的負荷にさらされる。これらの要求状態に耐えられるよう、フュージョンパイプは、耐火物から形成される。
耐火物として、通常ジルコン耐火物(例えば、ZrOおよびSiO、並びにZrSiO)を主成分とする耐火物が用いられている。しかしながら、ジルコンは、ジルコン結晶となり、完成したガラスシートにおける異物の原因となる。ジルコン結晶の発生は、高温で形成する必要がある失透が生じ易いガラスでより顕著となる。
本発明の製造方法においては、フュージョン法において、ガラス融液をジルコニア含有部材に接触させずに成形する。このことにより、ガラスにおける欠点の発生を抑制することができる。
フュージョン法において、ガラス融液をジルコニア含有部材に接触させずに成形するには、ガラス融液と接触する部材としてジルコニアを含有しない部材を用いる。具体的な手段としては、例えば、フュージョン法におけるブレードを白金系の部材とすること、およびフュージョンパイプにジルコニア成分を含まない耐火物を用いることが挙げられる。
本発明のフラットパネルディスプレイ用カバーガラスの製造方法では、フュージョン法においてガラス融液と接触する部材としてジルコニアを含有しない部材を用いる以外は特に限定されず適切に選択すればよく、典型的には従来公知の工程を適用できる。
例えば、各成分の原料を後述する組成となるように調合し、ガラス溶融窯で加熱溶融する。バブリング、撹拌、および清澄剤の添加等によりガラスを均質化し、フュージョン法により所定の厚さのガラス板に成形し、徐冷する。
成形したガラスを必要に応じて研削および研磨処理し、化学強化処理をした後、洗浄および乾燥する。
〔化学強化前のガラスの組成〕
化学強化処理に供するガラスの組成は、SiO、Al、LiO、NaO、KO、MgOおよびCaOを含むことが好ましい。
SiOは、ガラス骨格を形成する必須成分である。化学強化前のガラスにおけるSiOの含有量(モル%)は、熱的に安定なガラスを得るため、50%以上とすることが好ましく、溶解時の粘性を適切にするため、80%以下であることが好ましい。55〜75%とすることがより好ましい。
Alは、Tg、耐候性およびヤング率を高くする効果を有し、さらにガラス表面のイオン交換性能を向上させる成分である。化学強化前のガラスにおけるAlの含有量(モル%)は、耐侯性を向上させ、化学強化でのtおよびSを大きくするという観点から、2%以上とすることが好ましく、溶解時の粘性を適度に保つため、25%以下とすることが好ましい。4〜20%とすることがより好ましい。
LiOは、原料の溶融を促進する成分であり、任意成分である。化学強化前のガラスにおけるLiOの含有量(モル%)は、0〜10%とすることが好ましく、0〜5%とすることがより好ましい。
NaOは、イオン交換処理において主としてカリウムイオンと置換されることによってガラスを化学強化するとともに、熱膨張係数を制御し、ガラスの高温粘度を低下させて溶融性や成形性を高める成分であり、任意成分である。化学強化前のガラスにおけるNaOの含有量(モル%)は、ガラスの耐侯性を維持するという観点から、0〜18%とすることが好ましく、1〜16%とすることがより好ましい。
Oは、原料の溶融を促進する成分であり、任意成分である。化学強化前のガラスにおけるKOの含有量(モル%)は、0〜10%とすることが好ましく、0〜8%とすることがより好ましい。
MgOは、ガラスを傷つきにくくするとともに、ガラスの溶解性を向上させる成分であり、任意成分である。化学強化前のガラスにおけるMgOの含有量(モル%)は、失透温度を成形に必要な温度に維持するという観点から、0〜15%とすることが好ましく、1〜13%とすることがより好ましい。
CaOは、原料の溶融を促進し耐候性を改善する成分であり、任意成分である。化学強化前のガラスにおけるCaOの含有量(モル%)は、多すぎる場合には化学強化特性を阻害させるため、0〜5%とすることが好ましく、0〜4%とすることがより好ましい。
ZrOは、イオン交換速度を向上させ、ガラスの化学的耐久性や硬さを向上させる成分であり、任意成分である。しかしながら、上記したようにジルコンは、ジルコニア結晶となり、完成したガラスシートにおける異物の原因となるため、化学強化前のガラスにおけるZrOの含有量(モル%)は、0モル%に近づくほど好ましく、5モル%以下であることが好ましく、1.0モル%以下であることがより好ましい。
〔化学強化〕
化学強化処理とは、ガラスの表面のイオン半径が小さいアルカリイオン(例えば、ナトリウムイオン)をイオン半径の大きなアルカリイオン(例えば、カリウムイオン)に置換する処理をいう。例えば、ナトリウムイオンを含有するガラスを、カリウムイオンを含む溶融処理塩で処理することにより行うことができる。このようなイオン交換処理が行われることにより、ガラス表面の圧縮応力層の組成はイオン交換処理前の組成と若干異なるが、基板深層部の組成はイオン交換処理前の組成とほぼ同じである。
〔溶融塩〕
化学強化に供するガラスとして、上記組成のものを用いる場合、化学強化処理を行うための溶融塩としては、例えば、硝酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウムおよび塩化カリウム等のアルカリ硫酸塩およびアルカリ塩化塩などが挙げられる。これらの溶融塩は単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
〔化学強化処理の条件〕
本発明において、化学強化処理の処理条件は、特に限定されず、従来公知の方法から適宜選択することができる。
(1)溶融塩の加熱温度
溶融塩の加熱温度は、350℃以上が好ましく、380℃以上がより好ましい。また、500℃以下が好ましく、480℃以下がより好ましい。
溶融塩の加熱温度を350℃以上とすることにより、イオン交換速度の低下により化学強化が入りにくくなるのを防ぐ。また、500℃以下とすることにより溶融塩の分解・劣化を抑制することができる。
(2)処理時間
ガラスを混合溶融塩に接触させる時間は、十分な圧縮応力を付与するためには、1時間以上が好ましく、2時間以上がより好ましい。また、長時間のイオン交換では、生産性が落ちるとともに、緩和により圧縮応力値が低下するため、24時間以下が好ましく、20時間以下がより好ましい。
本発明のカバーガラスは、厚さが1.5mm以下であり、大きさが対角22インチ以上であることが好ましい。すなわち、本発明のカバーガラスは、厚さを1.5mm以下と薄くし、且つ大きさを対角22インチ以上と大面積としても、十分な強度を有するとともに自発的に破壊しにくく、ディスプレイ装置の美観や表示品質などを向上できるという利点を有する。典型的な大きさは対角32インチ以上である。
本発明のカバーガラスは、フラットパネルディスプレイ装置のカバーガラスとして用いる。
図2は、本発明の一実施形態におけるフラットパネルディスプレイ装置(以下、単にディスプレイ装置ということがある。)の概略側面図である。図3に示すように、ディスプレイ装置10は、表示パネル20と、カバーガラス30とを備える。
カバーガラス30は、主として、ディスプレイ装置10の美観や強度の向上、衝撃破損防止などを目的として設置する。カバーガラス30は、表示パネル20の前方に設置する。
例えば、カバーガラス30は、図2に示すように、表示パネル20の表示側(前側)から離間するように(空気の層を有するように)設置してもよい。この場合、カバーガラス30と、表示パネル20とは筐体12を介して一体化してもよい。
また、カバーガラス30は、図4に示すように、表示パネル20の表示側(前側)に貼り付けてもよい。例えば、カバーガラス30は、透光性を有する接着膜(図示せず)を介して、表示パネル20の表示側に貼り付ける。接着膜は、一般的な構成であってよく、その材質および形状は適宜選定される。
図4に示すように、カバーガラス30と表示パネル20との間に空隙がない構成とすることによって、カバーガラス30(または、表示パネル20)と空隙との界面における光の反射を抑えることができる。その結果、ディスプレイ装置10の画質を高めることができる。また、ディスプレイ装置10の薄型化にも貢献することができる。
カバーガラス30は、表示パネル20からの光を出射する前面31と、表示パネル20からの光が入射する背面32とを有する。前面31または/および背面32には、機能膜40が設けてもよい。なお、機能膜40は、図2では前面31および背面32に設けられており、図4では前面31に設けられている。
機能膜40は、例えば、周囲光の反射防止、衝撃破損防止、電磁波遮蔽、近赤外線遮蔽、色調補正、または/および耐傷性向上などの機能を有する。機能膜40は、例えば樹脂製の膜をカバーガラス30に貼り付けることにより形成する。あるいは、機能膜40は、蒸着法、スパッタ法およびCVD法などの薄膜形成法により形成してもよい。機能膜40は、一般的な構成であってもよく、その厚さおよび形状などは、用途に応じて適宜選択する。
カバーガラス30の背面32には、周縁部の少なくとも一部に沿って、加飾層50が設けられている。この加飾層50は、表示パネル20の外周を取り囲むように配置してもよい。加飾層50は、カバーガラス板30、ひいてはディスプレイ装置10のデザイン性および装飾性を高めるために設置する。
例えば、加飾層50を黒色に着色すると、ディスプレイ装置10がオフ状態のときに、カバーガラス30の周縁部を含めて、カバーガラス30の前面31から全く光が出射されなくなる。従って、ディスプレイ装置10の外観がシャープな印象をユーザに与えるようになり、美観が向上する。
加飾層50の形成方法に制限はなく、例えば、顔料粒子を含むインクをカバーガラス30に塗布し、これを紫外線照射、または加熱焼成した後、冷却することによって形成する方法がある。
顔料粒子は、有機顔料、無機顔料などで構成され、顔料粒子を有機ビヒクルに混合、分散させることによりインクを調製する。
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
フュージョン法により製造したガラス〔組成(モル%):SiO 66.6%、Al 10.8%、NaO 13.2%、KO 2.4%、MgO 6.2%、CaO 0.6%〕における欠点の粒子径(直径)を、38サンプルの光学顕微鏡写真を用いて測定し、各粒子径範囲での頻度を算出した。欠点の粒子径は、最大部分の長さを、対物マイクロメータの写真と比較することにより測定した。結果を図1の棒グラフに示す。
また、前記ガラスにおけるクラックの発生率を測定した。ここで、クラックの発生率は、顕微鏡写真において、クラックが発生しているかどうかを目視で判定することにより測定した。結果を図1の折れ線グラフに示す。
図1の折れ線グラフに示すように、欠点の粒子径(直径)が40μm以上で、急激にクラックの発生率が高くなった。また、欠点の組成をEPMAにより解析したところ、ZrOであった。この結果から、化学強化に供するガラス中に粒子径40μm以上の大きさの欠点がなければ、化学強化した場合に自発的な破壊が生じる可能性が非常に低いことが分かった。
10 ディスプレイ装置
20 表示パネル
30 カバーガラス
31 前面
32 背面
40 機能膜
50 加飾層

Claims (7)

  1. フュージョン法により得られたガラスを化学強化して得られるフラットパネルディスプレイ用カバーガラスであって、化学強化前のガラスにおける粒子径が40μm以上の欠点を含まず、内部引張り応力が30MPa以上、且つ厚さが1.5mm以下であるフラットパネルディスプレイ用カバーガラス。
  2. 前記化学強化前のガラスにおけるZrOの含有量が、モル%で表示した組成で、1.0%以下である請求項1に記載のフラットパネルディスプレイ用カバーガラス。
  3. 前記化学強化前のガラスが、モル%で表示した組成で、SiOを50〜80%、Alを2〜25%、LiOを0〜10%、NaOを0〜18%、KOを0〜10%、MgOを0〜15%、CaOを0〜5%およびZrOを0〜5%を含むガラスである請求項1または2に記載のフラットパネルディスプレイ用カバーガラス。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のフラットパネルディスプレイ用カバーガラスをカバーガラスとして用いるフラットパネルディスプレイ装置。
  5. フュージョン法により得られたガラスを化学強化してフラットパネルディスプレイ用カバーガラスを製造する方法であって、化学強化前のガラスにおける粒子径が40μm以上の欠点を含まず、引張り応力が30MPa以上、且つ厚さが1.5mm以下である製造方法。
  6. 前記化学強化前のガラスにおけるZrOの含有量が、モル%で表示した組成で、1.0%以下である請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記化学強化前のガラスが、モル%で表示した組成で、SiOを50〜80%、Alを2〜25%、LiOを0〜10%、NaOを0〜18%、KOを0〜10%、MgOを0〜15%、CaOを0〜5%およびZrOを0〜5%を含むガラスである請求項5または6に記載の製造方法。
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