JP2012106384A - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェットヘッドのパス数にかかわらず最適な条件で露光を行う。
【解決手段】活性光線の照射によって硬化するインクを吐出するインクジェットヘッド24と、記録媒体上に付着したインク滴を不完全に硬化させる程度の活性光線を照射する仮硬化光源32A,32Bと、インク滴を本硬化させる活性光線を照射する本硬化光源34A,34Bと、インクジェットヘッド、仮硬化光源及び本硬化光源が搭載されたキャリッジを記録媒体に対して走査させる走査手段と、インクジェットヘッドを記録媒体の各領域に対して所定の走査回数だけ走査させて、記録媒体上に画像を形成する際の、設定された走査回数に応じて、記録媒体に付着したインク滴が受光する活性光線の積算露光量が目標露光量の範囲内となるように、本硬化光源の照射光量を調整する光量調整手段を備える。
【選択図】図6
【解決手段】活性光線の照射によって硬化するインクを吐出するインクジェットヘッド24と、記録媒体上に付着したインク滴を不完全に硬化させる程度の活性光線を照射する仮硬化光源32A,32Bと、インク滴を本硬化させる活性光線を照射する本硬化光源34A,34Bと、インクジェットヘッド、仮硬化光源及び本硬化光源が搭載されたキャリッジを記録媒体に対して走査させる走査手段と、インクジェットヘッドを記録媒体の各領域に対して所定の走査回数だけ走査させて、記録媒体上に画像を形成する際の、設定された走査回数に応じて、記録媒体に付着したインク滴が受光する活性光線の積算露光量が目標露光量の範囲内となるように、本硬化光源の照射光量を調整する光量調整手段を備える。
【選択図】図6
Description
本発明は、画像形成装置及び画像形成方法に係り、特に紫外線等の活性光線の照射によって硬化するインクを用いるインクジェット方式の画像形成技術に関する。
従来、汎用の画像形成装置として、インクジェットヘッドからカラーインクを打滴して、記録媒体上に所望の画像を形成するインクジェット記録装置が知られている。近年、紙などの浸透性を有する媒体だけでなく、樹脂フィルムなどの非浸透性(難浸透性)媒体が使用されるようになり、媒体上に着弾したインクに紫外線を照射して硬化させる装置が提案されている。かかる装置に適用される紫外線硬化型インク(UVインク)は、紫外線に対して所定の感度を有する光開始剤が含有されている。
このようなインクジェット記録装置は、UVインクの仮硬化(ピニング)と本硬化が同一光源で行われている。したがって、インクジェットヘッドから吐出したUVインクを記録媒体上で硬化させる際に、紫外線光源から硬化に必要な総露光量を一度に照射すると、ピニング光量が過大となることによりインク滴の濡れ広がりが小さくなり、出力画像の表面凹凸が大きくなるという課題があった。
このような課題に対し、特許文献1や特許文献2には、ピニング用の紫外線光源と本硬化用の紫外線光源とをそれぞれ設けることにより、ピニング工程と本硬化工程を分離する方法が開示されている。この方法によれば、ピニング光量と本硬化光量を独立に調整することが可能となる。
紫外線光源がインクジェットヘッドと共にキャリッジ上に搭載される装置では、作画モード毎にインクジェットヘッドのパス数が異なるために、パス数の多いモードでは露光回数も多くなる。その結果、パス数の多いモードにおいては過露光状態となり、熱の発生、無駄な電力の消費、光源寿命の低下という問題が発生する。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、インクジェットヘッドのパス数にかかわらず最適な条件で露光を行う画像記録装置及び画像記録方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために請求項1に記載の画像形成装置は、活性光線の照射によって硬化するインクを吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドから吐出され、記録媒体上に付着したインク滴を不完全に硬化させる程度の活性光線を照射する仮硬化光源と、前記仮硬化光源とは別に設けられ、前記仮硬化光源によって露光されたインク滴に対して追加露光を行い、前記インク滴を本硬化させる活性光線を照射する本硬化光源と、前記インクジェットヘッド、前記仮硬化光源及び前記本硬化光源が搭載されたキャリッジを記録媒体に対して走査させる走査手段と、前記インクジェットヘッドを前記記録媒体の各領域に対して所定の走査回数だけ走査させて前記記録媒体上に画像を形成する際の、前記所定の走査回数を設定する設定手段と、前記設定手段によって設定された走査回数に応じて、前記記録媒体の各領域に付着したインク滴が受光する活性光線の積算露光量が予め設定された目標露光量の範囲内となるように、前記本硬化光源の照射光量を調整する光量調整手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、インクジェットヘッド、仮硬化光源及び本硬化光源が搭載されたキャリッジを記録媒体に対して走査させる走査手段によりインクジェットヘッドを記録媒体の各領域に対して所定の走査回数だけ走査させながら記録媒体上に画像を形成し、設定手段によって設定された走査回数に応じて、記録媒体の各領域に付着したインク滴が受光する活性光線の積算露光量が予め設定された目標露光量の範囲内となるように、本硬化光源の照射光量を調整するようにしたので、形成しようとする画像の解像度等に応じて適切な走査回数を設定できるとともに、設定された走査回数にかかわらず、最適な条件で露光を行うことができる。
請求項2に示すように請求項1に記載の画像形成装置において、前記目標露光量の範囲は、前記インクの本硬化に必要な光量の100%〜200%であることを特徴とする。
これにより、使用するインクの本硬化に必要な光量に対して最適な光量で露光を行うことができる。
請求項3に示すように請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記目標露光量の範囲は、前記設定手段によって設定された走査回数に応じて異なることを特徴とする。
これにより、走査回数に応じて適切な光量で露光を行うことができる。
請求項4に示すように請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、作画モードを選択するモード選択手段を備え、前記設定手段は、前記選択された作画モードに応じた走査回数を設定することを特徴とする。
これにより、選択された作画モードに応じて最適な光量で露光を行うことができる。
請求項5に示すように請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記本硬化光源はLEDであることを特徴とする。
LEDは、光量の電流応答性がよく、また光量が安定するまでの時間ロスがほとんどないため、本発明の本硬化光源に適している。
請求項6に示すように請求項5に記載の画像形成装置において、前記光量調整手段は、前記LEDの駆動電圧値を変更することにより前記本硬化光源の照射光量を調整することを特徴とする。
LEDの駆動電圧値を変更することで、適切に光源の照射光量を調整することができる。
請求項7に示すように請求項5又は6に記載の画像形成装置において、前記光量調整手段は、PWM制御を用いて前記LEDの駆動波形のDuty比を変更することにより前記本硬化光源の照射光量を調整することを特徴とする。
PWM制御によりLEDの駆動波形のDuty比を変更することで、適切に光源の照射光量を調整することができる。
請求項8に示すように請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記走査手段による1回の走査において、前記仮硬化光源から前記記録媒体の各領域に付着したインク滴が受光する活性光線の光量をEp、前記インクジェットヘッドを前記記録媒体の各領域に対して所定の走査回数だけ走査させたときに前記仮硬化光源が前記記録媒体の各領域に対して走査される回数をNp、前記走査手段による1回の走査において、前記本硬化光源から前記記録媒体の各領域に付着したインク滴が受光する活性光線の光量をEc、前記インクジェットヘッドを前記記録媒体の各領域に対して所定の走査回数だけ走査させたときに前記本硬化光源が前記記録媒体の各領域に対して走査される回数をNc、としたときに、前記記録媒体の各領域に付着したインク滴が受光する活性光線の積算露光量は、Ep×Np+Ec×Ncで表されることを特徴とする。
この式から、記録媒体の各領域に付着したインク滴が受光する活性光線の積算露光量を算出することができる。
請求項9に示すように請求項1から8のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記活性光線が紫外線であることを特徴とする。
本発明の画像形成装置は、活性光線として、紫外線を用いることができる。
前記目的を達成するために請求項10に記載の画像形成方法は、活性光線の照射によって硬化するインクを吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドから吐出され、記録媒体上に付着したインク滴を不完全に硬化させる程度の活性光線を照射する仮硬化光源と、前記仮硬化光源とは別に設けられ、前記仮硬化光源によって露光されたインク滴に対して追加露光を行い、前記インク滴を本硬化させる活性光線を照射する本硬化光源と、前記インクジェットヘッド、前記仮硬化光源及び前記本硬化光源が搭載されたキャリッジを記録媒体に対して走査させる走査手段と、を用いて、前記インクジェットヘッドを前記記録媒体の各領域に対して所定の走査回数だけ走査させながら前記記録媒体上に画像を形成する画像形成方法において、前記所定の走査回数を設定する設定工程と、前記設定工程によって設定された走査回数に応じて、前記記録媒体の各領域に付着したインク滴が受光する活性光線の積算露光量が予め設定された目標露光量の範囲内となるように、前記本硬化光源の照射光量を調整する光量調整工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、形成しようとする画像の解像度等に応じて適切な走査回数を設定できるとともに、設定された走査回数にかかわらず、最適な条件で露光を行うことができる。
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について詳細に説明する。
<インクジェット記録装置の全体構成>
図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の外観斜視図である。このインクジェット記録装置10は、紫外線硬化型インク(UV硬化インク)を用いて記録媒体12上にカラー画像を形成するワイドフォーマットプリンタである。ワイドフォーマットプリンタとは、大型ポスターや商業用壁面広告など、広い描画範囲を記録するのに好適な装置である。ここでは、A3ノビ以上に対応するものを「ワイドフォーマット」と呼ぶ。
図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の外観斜視図である。このインクジェット記録装置10は、紫外線硬化型インク(UV硬化インク)を用いて記録媒体12上にカラー画像を形成するワイドフォーマットプリンタである。ワイドフォーマットプリンタとは、大型ポスターや商業用壁面広告など、広い描画範囲を記録するのに好適な装置である。ここでは、A3ノビ以上に対応するものを「ワイドフォーマット」と呼ぶ。
インクジェット記録装置10は、装置本体20と、この装置本体20を支持する支持脚22とを備えている。装置本体20には、記録媒体(メディア)12に向けてインクを吐出するドロップオンデマンド型のインクジェットヘッド24と、記録媒体12を支持するプラテン26と、ヘッド移動手段(走査手段)としてのガイド機構28及びキャリッジ30が設けられている。
ガイド機構28は、プラテン26の上方において、記録媒体12の搬送方向(X方向)に直交し且つプラテン26の媒体支持面と平行な走査方向(Y方向)に沿って延在するように配置されている。キャリッジ30は、ガイド機構28に沿ってY方向に往復移動可能に支持されている。キャリッジ30には、インクジェットヘッド24が搭載されるとともに、記録媒体12上のインクに紫外線を照射する仮硬化光源32A、32Bと、本硬化光源34A、34Bとが搭載されている。
仮硬化光源32A、32Bは、インクジェットヘッド24から吐出されたインク滴が記録媒体12に着弾した後に、隣接液滴同士が合一化しない程度にインクを仮硬化させるための紫外線を照射する光源である。本硬化光源34A、34Bは、仮硬化後に追加露光を行い、最終的にインクを完全に硬化(本硬化)させるための紫外線を照射する光源である。
キャリッジ30上に配置されたインクジェットヘッド24、仮硬化光源32A、32B及び本硬化光源34A、34Bは、ガイド機構28に沿ってキャリッジ30と共に一体的に(一緒に)移動する。キャリッジ30の往復移動方向(Y方向)を「主走査方向」、記録媒体12の搬送方向(X方向、以下、「メディア搬送方向」という。)を「副走査方向」と呼ぶ場合がある。
記録媒体12には、紙、不織布、塩化ビニル、合成化学繊維、ポリエチレン、ポリエステル、ターポリンなど、材質を問わず、また、浸透性媒体、非浸透性媒体を問わず、様々な媒体を用いることができる。記録媒体12は、装置の背面側からロール紙状態(図2参照)で給紙され、印字後は装置正面側の巻き取りローラ(図1中不図示、図2の符号44)で巻き取られる。プラテン26上に搬送された記録媒体12に対して、インクジェットヘッド24からインク滴が吐出され、記録媒体12上に付着したインク滴に対して仮硬化光源32A、32B、本硬化光源34A、34Bから紫外線が照射される。
図1において、装置本体20の正面に向かって左側の前面に、インクカートリッジ36の取り付け部38が設けられている。インクカートリッジ36は、紫外線硬化型インクを貯留する交換自在なインク供給源(インクタンク)である。インクカートリッジ36は、本例のインクジェット記録装置10で使用される各色インクに対応して設けられている。色別の各インクカートリッジ36は、それぞれ独立に形成された不図示のインク供給経路によってインクジェットヘッド24に接続される。各色のインク残量が少なくなった場合にインクカートリッジ36の交換が行われる。
また、図示を省略するが、装置本体20の正面に向かって右側には、インクジェットヘッド24のメンテナンス部が設けられている。該メンテナンス部は、非印字時におけるインクジェットヘッド24を保湿するためのキャップと、インクジェットヘッド24のノズル面(インク吐出面)を清掃するための払拭部材(ブレード、ウエブ等)が設けられている。インクジェットヘッド24のノズル面をキャッピングするキャップは、メンテナンスのためにノズルから吐出されたインク滴を受けるためのインク受けが設けられている。
<記録媒体搬送路の説明>
図2は、インクジェット記録装置10における記録媒体搬送路を模式的に示す説明図である。図2に示すように、プラテン26は逆樋状に形成され、その上面が記録媒体12の支持面(「媒体支持面」という。)となる。プラテン26の近傍における記録媒体搬送方向(X方向)の上流側には、記録媒体12を間欠搬送するための記録媒体搬送手段である一対のニップローラ40が配設される。このニップローラ40は記録媒体12をプラテン26上で記録媒体搬送方向(X方向)へ移動させる。
図2は、インクジェット記録装置10における記録媒体搬送路を模式的に示す説明図である。図2に示すように、プラテン26は逆樋状に形成され、その上面が記録媒体12の支持面(「媒体支持面」という。)となる。プラテン26の近傍における記録媒体搬送方向(X方向)の上流側には、記録媒体12を間欠搬送するための記録媒体搬送手段である一対のニップローラ40が配設される。このニップローラ40は記録媒体12をプラテン26上で記録媒体搬送方向(X方向)へ移動させる。
ロール・ツー・ロール方式の媒体搬送手段を構成する供給側のロール(「送り出し供給ロール」という。)42から送り出された記録媒体12は、印字部の入り口(プラテン26の記録媒体搬送方向の上流側)に設けられた一対のニップローラ40によって、X方向に間欠搬送される。インクジェットヘッド24の直下の印字部に到達した記録媒体12は、インクジェットヘッド24により印字が実行され、印字後に巻き取りロール44に巻き取られる。印字部の記録媒体搬送方向の下流側には、記録媒体12のガイド46が設けられている。
印字部においてインクジェットヘッド24と対向する位置にあるプラテン26の裏面(記録媒体12を支持する面と反対側の面)には、印字中の記録媒体12の温度を調整するための温調部50が設けられている。印字時の記録媒体12が所定の温度となるように調整されると、記録媒体12に着弾したインク液滴の粘度や、表面張力等の物性値が所望の値になり、所望のドット径を得ることが可能となる。なお、必要に応じて、温調部50の上流側にプレ温調部52を設けてもよいし、温調部50の下流側にアフター温調部54を設けてもよい。
<インクジェットヘッドの説明>
図3は、キャリッジ30上に配置されるインクジェットヘッド24と仮硬化光源32A、32B及び本硬化光源34A、34Bの配置形態の例を示す平面透視図である。
図3は、キャリッジ30上に配置されるインクジェットヘッド24と仮硬化光源32A、32B及び本硬化光源34A、34Bの配置形態の例を示す平面透視図である。
インクジェットヘッド24には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、透明インク(CL)、白(W)の各色のインク毎に、それぞれ色のインクを吐出するためのノズル列61Y、61M、61C、61K、61LC、61LM、61CL、61Wが設けられている。図3ではノズル列を点線により図示し、ノズルの個別の図示は省略されている。また、以下の説明では、ノズル列61Y、61M、61C、61K、61LC、61LM、61CL、61Wを総称して符号61を付してノズル列を表すことがある。
インク色の種類(色数)や色の組合せについては本実施形態に限定されない。例えば、LC、LMのノズル列を省略する形態、CLやWのノズル列を省略する形態、特別色のインクを吐出するノズル列を追加する形態などが可能である。また、色別のノズル列の配置順序も特に限定はない。
色別のノズル列61毎にヘッドモジュールを構成し、これらを並べることによって、カラー描画が可能なインクジェットヘッド24を構成することができる。例えば、イエローインクを吐出するノズル列61Yを有するヘッドモジュール24Yと、マゼンタインクを吐出するノズル列61Mを有するヘッドモジュール24Mと、シアンインクを吐出するノズル列61Cを有するヘッドモジュール24Cと、黒インクを吐出するノズル列61Kを有するヘッドモジュール24Kと、LC、LM、CL、Wの各色のインクを吐出するノズル列61LC、61LM、61CL、61Wをそれぞれ有する各ヘッドモジュール24LC、24LM、24CL、24Wとをキャリッジ30の往復移動方向(主走査方向)に沿って並ぶように等間隔に配置する態様も可能である。色別のヘッドモジュール24Y、24M、24C、24K、24LC、24LMを、それぞれ「インクジェットヘッド」と解釈することも可能である。或いはまた、1つのインクジェットヘッド24の内部で色別にインク流路を分けて形成し、1ヘッドで複数色のインクを吐出するノズル列を備える構成も可能である。
各ノズル列61は、複数個のノズルが一定の間隔で記録媒体搬送方向(副走査方向)に沿って1列に(直線的に)並んだものとなっている。本例のインクジェットヘッド24は、各ノズル列61を構成するノズルの配置ピッチ(ノズルピッチ)が254μm(100dpi)、1列のノズル列61を構成するノズルの数は256ノズル、ノズル列61の全長Lw(「ノズル列の長さ」に相当、「ノズル列幅」という場合がある。)は約65mm(254μm×255=64.8mm)である。また、吐出周波数は15kHzであり、駆動波形の変更によって10pl、20pl、30plの3種類の吐出液滴量を打ち分けることができる。
インクジェットヘッド24のインク吐出方式としては、圧電素子(ピエゾアクチュエータ)の変形によってインク滴を飛ばす方式(ピエゾジェット方式)が採用されている。吐出エネルギー発生素子として、静電アクチュエータを用いる形態(静電アクチュエータ方式)の他、ヒータなどの発熱体(加熱素子)を用いてインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばす形態(サーマルジェット方式)を採用することも可能である。
<紫外線照射装置の配置について>
図3に示したように、インクジェットヘッド24の走査方向(Y方向)の左右両脇に、仮硬化光源32A、32Bが配置される。さらに、インクジェットヘッド24の記録媒体搬送方向(X方向)の下流側に本硬化光源34A、34Bが配置されている。
図3に示したように、インクジェットヘッド24の走査方向(Y方向)の左右両脇に、仮硬化光源32A、32Bが配置される。さらに、インクジェットヘッド24の記録媒体搬送方向(X方向)の下流側に本硬化光源34A、34Bが配置されている。
インクジェットヘッド24のノズルから吐出されて記録媒体12上に着弾したインク滴は、その直後にその上を通過する仮硬化光源32A(又は32B)によって仮硬化のための紫外線が照射される。また、記録媒体12の間欠搬送に伴ってインクジェットヘッド24の印字領域を通過した記録媒体12上のインク滴は、本硬化光源34A、34Bにより本硬化のための紫外線が照射される。
なお、仮硬化光源32A、32B、本硬化光源34A、34Bは、インクジェット記録装置10の印刷動作中は常時点灯しているものとする。
<仮硬化光源の構成例について>
図3に示したように、仮硬化光源32A、32Bは、それぞれ複数個のUV−LED素子33が並べられた構造を有している。2つの仮硬化光源32A、32Bは、共通の構成である。本例では、仮硬化光源32A、32Bとして、X方向に沿って6個のUV−LED素子33が1列に並べたLED素子配列を例示したが、LED素子数及びその配列形態はこの例に限定されない。例えば、複数個のLED素子をX/Y方向にマトリクス状に配置した構成も可能である。
図3に示したように、仮硬化光源32A、32Bは、それぞれ複数個のUV−LED素子33が並べられた構造を有している。2つの仮硬化光源32A、32Bは、共通の構成である。本例では、仮硬化光源32A、32Bとして、X方向に沿って6個のUV−LED素子33が1列に並べたLED素子配列を例示したが、LED素子数及びその配列形態はこの例に限定されない。例えば、複数個のLED素子をX/Y方向にマトリクス状に配置した構成も可能である。
この6個のUV−LED素子33は、インクジェットヘッド24のノズル列幅Lwと同じ幅の領域に対して一度にUV照射を行うことができるように並べられている。
<本硬化光源の構成例について>
図3に示したように、本硬化光源34A、34Bは、それぞれ複数個のUV−LED素子35が並べられた構造を有している。2つの本硬化光源34A、34Bは、共通の構成である。本例では、本硬化光源34A、34Bとして、Y方向に6個、X方向に2個のUV−LED素子35がマトリクス状に配置されたLED素子配列(6×2)を例示している。
図3に示したように、本硬化光源34A、34Bは、それぞれ複数個のUV−LED素子35が並べられた構造を有している。2つの本硬化光源34A、34Bは、共通の構成である。本例では、本硬化光源34A、34Bとして、Y方向に6個、X方向に2個のUV−LED素子35がマトリクス状に配置されたLED素子配列(6×2)を例示している。
UV−LED素子35のX方向の配置は、後述するスワス幅と関連し、キャリッジ30の一度の走査において、ノズル列幅Lwのn分の1(nは正の整数)に対応する幅の領域に対して一度にUV照射を行うことができるように決められる。図3の例では、ノズル列幅Lwの1/2(n=2)の幅の領域を一度に照射可能にUV−LED素子35が配置されている。
本硬化光源のLED素子数及びその配列形態は、図3の例に限定されない。例えば、図4(a)に示すように、複数個のLED素子をX方向に沿って1列に並べた構成も可能である。この場合、図3に示したLED素子配列と比較すると、キャリッジ30をY方向に走査した場合に、記録媒体の各領域に対する照射時間が減少することになる。
また、図4(b)に示すように、複数個のLED素子をY方向に沿って1列に並べた構成も可能である。この場合、図3に示したLED素子配列と比較すると、キャリッジ30をY方向に走査した場合に、X方向の一度の照射領域は減少するが、照射領域に対しては照射する時間が増加することになる。
なお、仮硬化光源32A、32B、本硬化光源34A、34Bの発光源としては、UV−LED素子33、35に限らず、UVランプなどを用いることも可能である。しかし、LEDは、光量の電流応答性がよく、また光量が安定するまでの時間ロスがほとんどないため、本発明の仮硬化光源32A、32B、本硬化光源34A、34Bに適している。
<作画モードについて>
上記のごとく構成されたインクジェット記録装置10は、マルチパス方式の描画制御が適用され、印字パス数の変更によって印字解像度を変更することが可能である。例えば、高生産モード、標準モード、高画質モードの3種類の作画モードが用意され、各モードでそれぞれ印字解像度が異なる。印刷目的や用途に応じて作画モードを選択することができる。
上記のごとく構成されたインクジェット記録装置10は、マルチパス方式の描画制御が適用され、印字パス数の変更によって印字解像度を変更することが可能である。例えば、高生産モード、標準モード、高画質モードの3種類の作画モードが用意され、各モードでそれぞれ印字解像度が異なる。印刷目的や用途に応じて作画モードを選択することができる。
高生産モードでは、600dpi(主走査方向)×400dpi(副走査方向)の解像度で印字が実行される。高生産モードの場合、主走査方向は2パス(2回の走査)によって600dpiの解像度が実現される。まず、1回目の走査(キャリッジ30の往路)では300dpiの解像度でドットが形成される。2回目の走査(復路)では、1回目の走査(往路)で形成されたドットの中間を300dpiで補間するようにドットが形成され、主走査方向について600dpiの解像度が得られる。
一方、副走査方向については、ノズルピッチが100dpiであり、1回の主走査(1パス)により副走査方向に100dpiの解像度でドットが形成される。したがって、4パス印字(4回の走査)により補間印字を行うことで400dpiの解像度が実現される。
なお、本明細書では、主走査方向のパス数と副走査方向のパス数との積を、その作画モードにおけるパス数と呼ぶ。したがって、高生産モードのパス数は、主走査2パス印字×副走査4パス印字=8パスとなる。
標準モードでは、600dpi×800dpiの解像度で印字が実行される。この解像度は、主走査方向は2パス印字、副走査方向は8パス印字とすることにより得られる。即ち、標準モードのパス数は、主走査2パス印字×副走査8パス印字=16パスとなる。
高画質モードでは、1200×1200dpiの解像度で印字が実行され、主走査方向は4パス、副走査方向は12パスによりこの解像度を得ている。即ち、高画質モードのパス数は、主走査4パス印字×副走査12パス印字=48パスとなる。
なお、キャリッジ30の主走査速度は、各モードとも1270mm/secである。
<シングリング走査によるスワス幅について>
ワイドフォーマット機の作画モードでは、解像度設定毎に、それぞれシングリング(インターレス)する作画条件が決定されている。具体的には、インクジェットヘッドのノズル列幅Lwをパス数だけ分割してシングリング作画する。したがって、これらの値によってスワス幅が異なる。なお、マルチパス方式によるシングリング作画の詳細については、例えば、特開2004−306617号公報に説明されている。
ワイドフォーマット機の作画モードでは、解像度設定毎に、それぞれシングリング(インターレス)する作画条件が決定されている。具体的には、インクジェットヘッドのノズル列幅Lwをパス数だけ分割してシングリング作画する。したがって、これらの値によってスワス幅が異なる。なお、マルチパス方式によるシングリング作画の詳細については、例えば、特開2004−306617号公報に説明されている。
一例として、FUJIFILM Dimatix社製のQS-10ヘッドを用いた場合のシングリング作画によるパス数とスワス幅の関係は下表(表1)の様になる。作画によって想定されるスワス幅は、使用するノズル列幅Lwを主走査方向パス数と副走査方向パス数の積(即ち、作画モードのパス数)で分割した値となる。
<仮硬化光源の光量>
仮硬化光源の32A、32Bの光量は、出力画像の画質に基づいて決定される。仮硬化時の発光量が少ないと隣接ドットの着弾干渉や混色、表面しわによる光沢低下の問題が発生し、発光量が多いとドットの濡れ広がりが抑制され、表面凹凸の大きい光沢の低い画像となる。このような画質上の問題から、仮硬化光源32A、32Bによる1回露光あたりの露光量の上限値は、本硬化に必要な露光量の1〜3%が好ましい。なお、本硬化に必要な露光量は、使用するUVインクに応じて決まる。
仮硬化光源の32A、32Bの光量は、出力画像の画質に基づいて決定される。仮硬化時の発光量が少ないと隣接ドットの着弾干渉や混色、表面しわによる光沢低下の問題が発生し、発光量が多いとドットの濡れ広がりが抑制され、表面凹凸の大きい光沢の低い画像となる。このような画質上の問題から、仮硬化光源32A、32Bによる1回露光あたりの露光量の上限値は、本硬化に必要な露光量の1〜3%が好ましい。なお、本硬化に必要な露光量は、使用するUVインクに応じて決まる。
<仮硬化光源による積算露光量>
作画モードにおけるパス数だけキャリッジ30が走査されたときに、仮硬化光源32A又は32Bが、記録媒体上のある領域における打滴後のインクを照射する回数をNp、この領域における仮硬化光源32A又は32Bの1回通過あたりの露光量をEpとすると、画像が完成するまでのこの領域における仮硬化光源による露光量(積算露光量)Esumpは、
Esump=Ep×Np…(式1)
で表される。
作画モードにおけるパス数だけキャリッジ30が走査されたときに、仮硬化光源32A又は32Bが、記録媒体上のある領域における打滴後のインクを照射する回数をNp、この領域における仮硬化光源32A又は32Bの1回通過あたりの露光量をEpとすると、画像が完成するまでのこの領域における仮硬化光源による露光量(積算露光量)Esumpは、
Esump=Ep×Np…(式1)
で表される。
ここで、ある領域における仮硬化光源32A又は32Bによる1回通過あたりの露光量Epは、仮硬化光源32A又は32Bから照射される紫外線のうち、この領域上を通過する際に記録媒体の単位面積当たりに受光される紫外線の照度と、受光時間との積で決まる。
記録媒体において受光される紫外線の照度は、仮硬化光源32A、32BのUV−LED素子33の発光量(照射光量)と関連する。仮硬化光源32A、32Bは同様に構成されており、それぞれのUV−LED素子33の発光量が同等となるように制御することで、仮硬化光源32A、32Bによる記録媒体における照度を同様の値とする。
また、記録媒体における単位面積当たりの受光時間は、キャリッジ30の停止状態における仮硬化光源32A(32B)のY方向の照射幅と、キャリッジ30の主走査速度(Y方向速度)から算出される。
これらの積が、仮硬化光源32A又は32Bによる1回通過あたりの露光量Epとなる。
また、仮硬化光源32A又は32Bがある領域における打滴後のインクを照射する回数Npは、副走査パス数分だけ1スワス内で分布が生じる。例えば、副走査パス数が8パスの標準モードであれば、その領域のインクが8パスのうちの何パス目に打滴されたのかによって、Np=15、13、11、9、7、5、3、1の違いが生じる。ここで、Npが奇数になるのは、インク打滴時のパスでは、仮硬化光源32A又は32Bのうちの下流側の光源のみから紫外線が照射され、その後のパスでは、仮硬化光源32A及び32Bの両方から照射されることによる。
このように、副走査パス数をPxとすると、Npは1スワス内において1〜(2×Px−1)の間で分布する。したがって、仮硬化露光による露光量Esumpは、最小値がEp、最大値がEp×(2×Px−1)、平均値がEp×Pxとなる。
<本硬化光源による積算露光量>
次に、本硬化光源34A及び34Bによる露光量Esumcについて説明する。
次に、本硬化光源34A及び34Bによる露光量Esumcについて説明する。
作画モードにおけるパス数だけキャリッジ30が走査されたときに、本硬化光源34A及び34Bが、記録媒体上のある領域における打滴後のインクを照射する回数をNc、この領域における本硬化光源34A及び34Bによる1回通過あたりの露光量をEcとすると、画像が完成するまでのこの領域における本硬化光源による露光量(積算露光量)Esumcは、
Esumc=Ec×Nc…(式2)
で表される。
Esumc=Ec×Nc…(式2)
で表される。
ある領域における本硬化光源34A及び34Bによる1回通過あたりの露光量Ecは、本硬化光源34A及び34Bから照射される紫外線のうち、この領域上を通過する際に記録媒体の単位面積当たりに受光される紫外線の照度と、受光時間との積で決まる。ここで、記録媒体において受光される紫外線の照度は、本硬化光源34A及び34BのUV−LED素子35の発光量と関連する。
また、キャリッジ30の停止状態における本硬化光源34A及び34BのY方向の照射幅と、キャリッジ30の主走査速度(Y方向速度)から、記録媒体における単位面積当たりの受光時間が算出される。
これらの積が、本硬化光源34A及び34Bによる1回通過あたりの露光量Ecとなる。
また、前述したように、本硬化光源34A、34Bは、キャリッジ30の副走査方向の一度のパスにおいて、ノズル列幅Lwのn分の1(Lw/n)に対応する幅の領域に対してUV照射を行うことができるようにそのX方向幅が決められる。
ここで、画像記録時のスワス幅は、ノズル列幅Lwを作画モードの全パス数(主パス数×副パス数)で分割した値となる。例えば、全パス数が16パス(2×8)である標準モードであれば、スワス幅はLw/16となる。したがって、標準モードの場合、スワス幅がLw/16であるのに対し、キャリッジ30の副走査方向の一度のパスにおいてLw/nの幅だけ本硬化光源34A、34Bから紫外線が照射されることになる。即ち、このとき本硬化光源34A及び本硬化光源34Bが画像のある領域を通過(照射)する回数は、16/n回となる。
<仮硬化光源及び本硬化光源による総積算露光量>
以上より、印字画像が完成するまでの記録媒体上のある領域における総積算露光量Esumは、
Esum=Esump+Esumc=Ep×Np+Ec×Nc…(式3)
で表される。
以上より、印字画像が完成するまでの記録媒体上のある領域における総積算露光量Esumは、
Esum=Esump+Esumc=Ep×Np+Ec×Nc…(式3)
で表される。
前述のように、作画モード毎にパス数が異なるが、作画モードが変更された場合であっても、このEsumが目標の露光量の範囲内となるように本硬化光源を調整すればよい。
目標の露光量の範囲としては、UVインクを硬化させるための露光量に対して許容される露光量(必要な最低限の露光量、過硬化による悪影響のない範囲の露光量)に基づいて設定され、本硬化に必要な露光量の100〜200%の範囲であることが好ましい。また、望ましくは100〜170%、より望ましくは100〜140%であることが好ましい。なお、目標の露光量の範囲は、パス数に応じて異なっていてもよい。
例えば、本硬化光源34A、34BのX方向幅がLw/2、使用するUVインクの本硬化に必要な露光量が200mJ/cm2、仮硬化光源32A、32Bによるそれぞれの1回露光あたりの露光量を200mJ/cm2の2%(4mJ/cm2)、作画モードを標準モード(2×8=16パス)とした場合に、1スワス内にばらつく総露光量Esumの最小値Esum(min)、最大値Esum(max)、平均値Exum(ave)はそれぞれ、
Esum(min)=4×1+Ec×16/2 … (式4)
Esum(max)=4×(2×8−1)+Ec×16/2 … (式5)
Esum(ave)=4×8+Ec×16/2 … (式6)
と表される。ここで、目標露光量を本硬化に必要な露光量の120%(240mJ/cm2)とすると、本硬化光源34A及び34Bによる1回通過あたりの露光量の平均値Ec(ave)は、(式6)から、
Ec(ave)=26mJ/cm2
と算出される。この結果から、Ecを仮に26mJ/cm2として、(式4)、(式5)に代入すると、総露光量Esumの最小値Esum(min)及び最大値Esum(max)は、
Esum(min)=212mJ/cm2
Esum(max)=268mJ/cm2
となる。
Esum(min)=4×1+Ec×16/2 … (式4)
Esum(max)=4×(2×8−1)+Ec×16/2 … (式5)
Esum(ave)=4×8+Ec×16/2 … (式6)
と表される。ここで、目標露光量を本硬化に必要な露光量の120%(240mJ/cm2)とすると、本硬化光源34A及び34Bによる1回通過あたりの露光量の平均値Ec(ave)は、(式6)から、
Ec(ave)=26mJ/cm2
と算出される。この結果から、Ecを仮に26mJ/cm2として、(式4)、(式5)に代入すると、総露光量Esumの最小値Esum(min)及び最大値Esum(max)は、
Esum(min)=212mJ/cm2
Esum(max)=268mJ/cm2
となる。
ここで、Esum(min)=212mJ/cm2は、UVインクの本硬化に必要な露光量の106%、Esum(max)=268mJ/cm2は、UVインクの本硬化に必要な露光量の134%に該当する。
また、Ecを仮に25mJ/cm2とした場合には、総露光量Esumの最小値Esum(min)及び最大値Esum(max)は、
Esum(min)=204mJ/cm2
Esum(max)=260mJ/cm2
となる。
Esum(min)=204mJ/cm2
Esum(max)=260mJ/cm2
となる。
ここで、Esum(min)=204mJ/cm2は、UVインクの本硬化に必要な露光量の102%、Esum(max)=260mJ/cm2は、UVインクの本硬化に必要な露光量の130%に該当する。
次に、仮硬化光源32A、32Bのそれぞれの1回露光あたりの露光量を200mJ/cm2の2.5%(5mJ/cm2)、作画モードを高生産モード(2×2=4パス)に変更した場合について説明する。この場合、1スワス内にばらつく総露光量Esumの最小値Esum(min)と最大値Esum(max)はそれぞれ、
Esum(min)=5×1+Ec×4/2 … (式6)
Esum(max)=5×(1×8−1)+Ec×4/2 … (式7)
と表される。ここでも同様に、目標露光量を本硬化に必要な露光量の120%(240mJ/cm2)とすると、本硬化光源34A及び34Bによる1回通過あたりの露光量の最小値Ec(min)と最大値Ec(max)は、
Ec(min)=112.5mJ/cm2
Ec(max)=117.5mJ/cm2
となる。この結果から、Ecを115mJ/cm2と決定すると、1スワス内の総露光量のばらつきは、230〜250mJ/cm2となる。
Esum(min)=5×1+Ec×4/2 … (式6)
Esum(max)=5×(1×8−1)+Ec×4/2 … (式7)
と表される。ここでも同様に、目標露光量を本硬化に必要な露光量の120%(240mJ/cm2)とすると、本硬化光源34A及び34Bによる1回通過あたりの露光量の最小値Ec(min)と最大値Ec(max)は、
Ec(min)=112.5mJ/cm2
Ec(max)=117.5mJ/cm2
となる。この結果から、Ecを115mJ/cm2と決定すると、1スワス内の総露光量のばらつきは、230〜250mJ/cm2となる。
ここで、Esum(min)=230mJ/cm2は、UVインクの本硬化に必要な露光量の115%、Esum(max)=250mJ/cm2は、UVインクの本硬化に必要な露光量の125%に該当する。
このように、記録媒体上のインクの総積算露光量が目標の露光量の範囲内となるように、本硬化光源34A及び34Bの発光量(照射光量)を調整する。ここでは、まず最適な仮硬化の観点から仮硬化光源32A、32Bのそれぞれの1回露光あたりの露光量Epを決定し、その後想定される総積算露光量のばらつきを鑑みて本硬化光源34A及び34Bの1回通過あたりの露光量Ecを算出した。これら算出した露光量に基づいて、仮硬化光源32A、32B、本硬化光源34A、34Bの発光量を調整すればよい。
従来は、単一光源で露光していたため、画質を優先させるか、又は硬化性を優先させるか、いずれか一方にのみに適した光量で露光していた。本発明では、仮硬化光源と本硬化光源を分離し、本硬化光源の光量を作画モードのパス数に応じて調整することで、画質と硬化性の両方に対して最適な(過不足ない)露光条件での露光が可能となった。
なお、ここでは仮硬化光源32A、32Bの発光量(照射光量)は、画質上の観点から決定しているが、作画モードに応じて適宜変更可能にしてもよい。
このように、作画モードによってパス数が異なっても、適切な光量で仮硬化及び本硬化を行うことができる。
<インク供給系の説明>
図5は、インクジェット記録装置10のインク供給系の構成を示すブロック図である。同図に示すように、インクカートリッジ36に収容されているインクは、供給ポンプ70によって吸引され、サブタンク72を介してインクジェットヘッド24に送られる。サブタンク72には、内部のインクの圧力を調整するための圧力調整部74が設けられている。
図5は、インクジェット記録装置10のインク供給系の構成を示すブロック図である。同図に示すように、インクカートリッジ36に収容されているインクは、供給ポンプ70によって吸引され、サブタンク72を介してインクジェットヘッド24に送られる。サブタンク72には、内部のインクの圧力を調整するための圧力調整部74が設けられている。
圧力調整部74は、バルブ76を介してサブタンク72と連通される加減圧用ポンプ77と、バルブ76と加減圧用ポンプ77との間に設けられる圧力計78と、を具備している。
通常の印字時は、加減圧用ポンプ77がサブタンク72内のインクを吸引する方向に動作し、サブタンク72の内部圧力及びインクジェットヘッド24の内部圧力が負圧に維持される。一方、インクジェットヘッド24のメンテナンス時は、加減圧用ポンプ77がサブタンク72内のインクを加圧する方向に動作し、サブタンク72の内部及びインクジェットヘッド24の内部が強制的に加圧され、インクジェットヘッド24内のインクがノズルを介して排出される。インクジェットヘッド24から強制的に排出されたインクは、上述したキャップ(図示せず)のインク受けに収容される。
<インクジェット記録装置の制御系の説明>
図6はインクジェット記録装置10の構成を示すブロック図である。同図に示すように、インクジェット記録装置10は、制御手段としての制御装置102が設けられている。制御装置102としては、例えば、中央演算処理装置(CPU)を備えたコンピュータ等を用いることができる。制御装置102は、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。制御装置102には、記録媒体搬送制御部104、キャリッジ駆動制御部106、光源制御部108、画像処理部110、吐出制御部112が含まれる。これらの各部は、ハードウエア回路又はソフトウエア、若しくはこれらの組合せによって実現される。
図6はインクジェット記録装置10の構成を示すブロック図である。同図に示すように、インクジェット記録装置10は、制御手段としての制御装置102が設けられている。制御装置102としては、例えば、中央演算処理装置(CPU)を備えたコンピュータ等を用いることができる。制御装置102は、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。制御装置102には、記録媒体搬送制御部104、キャリッジ駆動制御部106、光源制御部108、画像処理部110、吐出制御部112が含まれる。これらの各部は、ハードウエア回路又はソフトウエア、若しくはこれらの組合せによって実現される。
記録媒体搬送制御部104は、記録媒体12(図1参照)の搬送を行うための搬送駆動部114を制御する。搬送駆動部114は、図2に示すニップローラ40駆動する駆動用モータ、及びその駆動回路が含まれる。プラテン26(図1参照)上に搬送された記録媒体12は、インクジェットヘッド24による主走査方向の往復走査(印刷パスの動き)に合わせて、スワス幅単位で副走査方向へ間欠送りされる。
図6に示すキャリッジ駆動制御部106は、キャリッジ30(図1参照)を主走査方向に移動させるための主走査駆動部116を制御する。主走査駆動部116は、キャリッジ30の移動機構に連結される駆動用モータ、及びその制御回路が含まれる。
光源制御部108は、LED駆動回路118を介して仮硬化光源32A、32BのUV−LED素子33の発光量を調整するとともに、LED駆動回路119を介して本硬化光源34A、34BのUV−LED素子35の発光量を調整する制御手段である。
LED駆動回路118は、光源制御部108からの指令に応じた電圧値の電圧を出力して、UV−LED素子33の発光量を調整する。また、LED駆動回路119は、光源制御部108からの指令に応じた電圧値の電圧を出力して、UV−LED素子35の発光量を調整する。LEDの発光量の調整は、電圧を変更するのではなく、PWM(Pulse Width Modulation)を用いて駆動波形のDuty比を変更することによって行ってもよいし、電圧値とDuty比の両方を変更してもよい。
なお、本実施形態におけるインクの露光量の調整は、光源制御部108からの指令に応じた発光量の制御に限定されるものではない。例えば、パス数に応じた露光が行えるように、作画モード毎に仮硬化光源32A、32Bや本硬化光源34A、34Bを交換して露光量を調整するようにしてもよい。
制御装置102は、操作パネル等の入力装置120、表示装置122が接続されている。
入力装置120は、手動による外部操作信号を制御装置102へ入力する手段であり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、操作ボタンなど各種形態を採用しうる。表示装置122には、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRTなど、各種形態を採用し得る。オペレータは、入力装置120を操作することにより、作画モードの選択、印刷条件の入力や付属情報の入力・編集などを行うことができ、入力内容や検索結果等の各種情報は、表示装置122の表示を通じて確認することができる。
また、インクジェット記録装置10には、各種情報を格納しておく情報記憶部124と、印刷用の画像データを取り込むための画像入力インターフェース126が設けられている。画像入力インターフェースには、シリアルインターフェースを適用してもよいし、パラレルインターフェースを適用してもよい。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
画像入力インターフェース126を介して入力された画像データは、画像処理部110にて印刷用のデータ(ドットデータ)に変換される。ドットデータは、一般に、多階調の画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って生成される。色変換処理は、sRGBなどで表現された画像データ(例えば、RGB各色について8ビットの画像データ)をインクジェット記録装置10で使用するインク各色の色データに変換する処理である。
ハーフトーン処理は、色変換処理により生成された各色の色データに対して、誤差拡散法や閾値マトリクス等の処理で各色のドットデータに変換する処理である。ハーフトーン処理の手段としては、誤差拡散法、ディザ法、閾値マトリクス法、濃度パターン法など、各種公知の手段を適用できる。ハーフトーン処理は、一般にM値(M≧3)の階調画像データをN値(N<M)の階調画像データに変換する。最も簡単な例では、2値(ドットのオンオフ)のドット画像データに変換するが、ハーフトーン処理において、ドットサイズの種類(例えば、大ドット、中ドット、小ドットなどの3種類)に対応した多値の量子化を行うことも可能である。
こうして得られた2値又は多値の画像データ(ドットデータ)は、各ノズルの駆動(オン)/非駆動(オフ)、さらに、多値の場合には液滴量(ドットサイズ)を制御するインク吐出データ(打滴制御データ)として利用される。
吐出制御部112は、画像処理部110において生成されたドットデータに基づいて、ヘッド駆動回路128に対して吐出制御信号を生成する。また、吐出制御部112は、不図示の駆動波形生成部を備えている。駆動波形生成部は、インクジェットヘッド25の各ノズルに対応した吐出エネルギー発生素子(本例では、ピエゾ素子)を駆動するための駆動電圧信号を生成する手段である。駆動電圧信号の波形データは、予め情報記憶部124に格納されており、必要に応じて使用する波形データが出力される。駆動波形生成部から出力された信号(駆動波形)は、ヘッド駆動回路128に供給される。なお、駆動波形生成部から出力される信号はデジタル波形データであってもよいし、アナログ電圧信号であってもよい。
ヘッド駆動回路128を介してインクジェットヘッド25の各吐出エネルギー発生素子に対して、共通の駆動電圧信号が印加され、各ノズルの吐出タイミングに応じて各エネルギー発生素子の個別電極に接続されたスイッチ素子(不図示)のオンオフを切り換えることで、対応するノズルからインクが吐出される。
情報記憶部124は、制御装置102のCPUが実行するプログラム、及び制御に必要な各種データなどが格納されている。情報記憶部124は、作画モードに応じた解像度の設定情報、パス数(スキャンの繰り返し数)、仮硬化光源32A、32B及び本硬化光源34A、34Bの発光量情報などが格納されている。
エンコーダ130は、主走査駆動部116の駆動用モータ、及び搬送駆動部114の駆動用モータに取り付けられており、該駆動モータの回転量及び回転速度に応じたパルス信号を出力し、該パルス信号は制御装置102に送られる。エンコーダ130から出力されたパルス信号に基づいて、キャリッジ30の位置、及び記録媒体12(図1参照)の位置が把握される。
センサ132は、キャリッジ30に取り付けられており、センサ132から得られたセンサ信号に基づいて記録媒体12の幅が把握される。
上記実施形態では、描画ヘッド部(インクジェットヘッド24)が色別に1列のノズル列を有する例を説明したが、ノズルの配列形態はこの例に限定されない。例えば、各色について、2列の千鳥配列、或いは、さらに多列のマトリクス配列その他の2次元配列でもよい。
図3のインクジェットヘッド24は、色別のノズル列61が主走査方向(Y方向)に沿って一定のノズル列間ピッチで複数列(インク色数と同数の列)配列されているが、Y方向のノズル列間隔は必ずしも一定でなくてもよい。
上記実施形態では、主走査方向についてインクジェットヘッド24の両側に仮硬化光源32A、32Bと本硬化光源34A、34Bを対称的に配置し(中心線に対して線対称に配置)、往復走査(双方向)で打滴及びUV露光を行う例を述べたが、インクジェットヘッド24の片側のみに仮硬化光源、本硬化光源を配置して、一方向走査時に描画を行う態様も可能である。
また、上記実施形態では、紫外線硬化型インクを用いて画像を形成したが、紫外線以外の活性光線により硬化するインクを用いる態様も可能である。この場合は、仮硬化光源及び本硬化光源として、当該活性光線を照射可能な光源を用いればよい。
上述の実施形態では、ワイドフォーマットインクジェット記録装置を例示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。ワイドフォーマット以外のインクジェット記録装置への適用も可能である。また、本発明は、グラフフィック印刷用途に限らず、電子回路基板の配線描画装置、各種デバイスの製造装置、吐出用の機能性液体(「インク」に相当)として樹脂液を用いるレジスト印刷装置、微細構造物形成装置など、各種の画像パターンを形成し得る様々な画像形成装置に適用可能である。
10…インクジェット記録装置、12…記録媒体、24…インクジェットヘッド、26…プラテン、28…ガイド機構、30…キャリッジ、32A,32B…仮硬化光源、33,35…紫外線発光ダイオード(UV−LED)素子、34A,34B…本硬化光源、36…インクカートリッジ
Claims (10)
- 活性光線の照射によって硬化するインクを吐出するインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドから吐出され、記録媒体上に付着したインク滴を不完全に硬化させる程度の活性光線を照射する仮硬化光源と、
前記仮硬化光源とは別に設けられ、前記仮硬化光源によって露光されたインク滴に対して追加露光を行い、前記インク滴を本硬化させる活性光線を照射する本硬化光源と、
前記インクジェットヘッド、前記仮硬化光源及び前記本硬化光源が搭載されたキャリッジを記録媒体に対して走査させる走査手段と、
前記インクジェットヘッドを前記記録媒体の各領域に対して所定の走査回数だけ走査させて前記記録媒体上に画像を形成する際の、前記所定の走査回数を設定する設定手段と、
前記設定手段によって設定された走査回数に応じて、前記記録媒体の各領域に付着したインク滴が受光する活性光線の積算露光量が予め設定された目標露光量の範囲内となるように、前記本硬化光源の照射光量を調整する光量調整手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 前記目標露光量の範囲は、前記インクの本硬化に必要な光量の100%〜200%であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記目標露光量の範囲は、前記設定手段によって設定された走査回数に応じて異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 作画モードを選択するモード選択手段を備え、前記設定手段は、前記選択された作画モードに応じた走査回数を設定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記本硬化光源はLEDであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記光量調整手段は、前記LEDの駆動電圧値を変更することにより前記本硬化光源の照射光量を調整することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
- 前記光量調整手段は、PWM制御を用いて前記LEDの駆動波形のDuty比を変更することにより前記本硬化光源の照射光量を調整することを特徴とする請求項5又は6に記載の画像形成装置。
- 前記走査手段による1回の走査において、前記仮硬化光源から前記記録媒体の各領域に付着したインク滴が受光する活性光線の光量をEp、
前記インクジェットヘッドを前記記録媒体の各領域に対して所定の走査回数だけ走査させたときに前記仮硬化光源が前記記録媒体の各領域に対して走査される回数をNp、
前記走査手段による1回の走査において、前記本硬化光源から前記記録媒体の各領域に付着したインク滴が受光する活性光線の光量をEc、
前記インクジェットヘッドを前記記録媒体の各領域に対して所定の走査回数だけ走査させたときに前記本硬化光源が前記記録媒体の各領域に対して走査される回数をNc、
としたときに、前記記録媒体の各領域に付着したインク滴が受光する活性光線の積算露光量は、
Ep×Np+Ec×Nc
で表されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記活性光線が紫外線であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 活性光線の照射によって硬化するインクを吐出するインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドから吐出され、記録媒体上に付着したインク滴を不完全に硬化させる程度の活性光線を照射する仮硬化光源と、
前記仮硬化光源とは別に設けられ、前記仮硬化光源によって露光されたインク滴に対して追加露光を行い、前記インク滴を本硬化させる活性光線を照射する本硬化光源と、
前記インクジェットヘッド、前記仮硬化光源及び前記本硬化光源が搭載されたキャリッジを記録媒体に対して走査させる走査手段と、
を用いて、前記インクジェットヘッドを前記記録媒体の各領域に対して所定の走査回数だけ走査させながら前記記録媒体上に画像を形成する画像形成方法において、
前記所定の走査回数を設定する設定工程と、
前記設定工程によって設定された走査回数に応じて、前記記録媒体の各領域に付着したインク滴が受光する活性光線の積算露光量が予め設定された目標露光量の範囲内となるように、前記本硬化光源の照射光量を調整する光量調整工程と、
を備えたことを特徴とする画像形成方法。
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2010
- 2010-11-16 JP JP2010256150A patent/JP2012106384A/ja active Pending
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