JP2012048373A - 医用データストレージ装置 - Google Patents

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寛太 小渕
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敬介 橋本
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Abstract

【課題】高速性と信頼性の要求される医用データストレージ装置に於いて、災害等の外的要因による障害に対し耐障害性を有する医用データストレージ装置を提供すること。
【解決手段】実施形態の医用データストレージ装置は、院内ネットワークに接続されるサーバ及びモダリティとの間で医用データを送受信するネットワーク制御部と、前記医用データを一時的に格納するキャッシュメモリおよび複数の不揮発性メモリで構成されるストレージ部と、災害または障害を検知する災害検知部と、この災害検知部により検知された災害または障害の信号から災害レベルを判定する災害レベル判定部と、前記災害レベルに応じて前記ストレージ部の縮退動作を行うストレージ制御部と、複数の通信回線から少なくとも1つの通信回線が利用可能な場合に、縮退動作開始以降に受信した医用データを、利用可能な回線容量に応じて、この医用データに付与された優先度情報に従い、遠隔地とレプリケーションを行う遠隔レプリケーション部とを有する。
【選択図】図2

Description

本発明の実施形態は、耐障害性に優れた医用データストレージ装置に関する。
医用データは、患者の個人情報、疾患状態を記録・保存し、治療履歴、現在の疾患程度、今後の治療計画など、消失してはならない非常に重要なデータである。従って、医用データストレージ装置においては、非常に高い信頼性が求められる。また、最近の画像診断データは、詳細な画像診断を可能にするために、扱うデータ量の大容量化、高速化が求められており、一旦データ消失という事態になればその影響は大きなものとなる。
データ消失の要因として、停電・電力障害、火災、洪水、テロなどの外的要因による災害と、データストレージ装置を構成するシステム本体、ハードディスク、あるいはネットワークエラー等の内的要因による障害がある。
医用データを保存するハードディスク装置などの故障によるデータ消失トラブルに対する保護策として、複数のハードディスクに分散して書き込み、冗長性を持たせるRAID(Redundant Arrays of Independent Disks)という技術があるが、外的要因による災害によってシステム全体が停止するような大災害に見舞われれば、RAID技術だけでは、余り効果が期待できない。
災害などへの外的要因の対策として、遠隔レプリケーションという技術がある。例えば、遠隔地に設置されたストレージ装置とデータを同期、または非同期にミラーリング等の技術を用いてバックアップするものである。
災害時に罹災病院に大きなダメージが生じた場合は、患者を非罹災病院に搬送して治療を継続して受けさせる必要が生じるため、遠隔レプリケーション技術は医用データの保護において非常に重要な技術である。遠隔地に医用データが保存・格納されることから、非罹災病院においては、搬送された患者の医用データを遠隔地のデータストレージ装置から入手可能である。しかし災害時には通信回線の寸断、輻輳により、罹災病院の大容量の医用データをデータ消失なく遠隔レプリケーションすることは非常に難しいという問題がある。
特開2006−293614号公報 特開2001−236258号公報
本発明が解決しようとする課題は、高速性と信頼性の要求される医用データストレージ装置に於いて、災害等の外的要因による障害に対し耐障害性を有する医用データストレージ装置を提供することである。
上記課題を達成するために、実施形態の医用データストレージ装置は、院内ネットワークに接続されるサーバ及びモダリティとの間で医用データを送受信するネットワーク制御部と、前記医用データを一時的に格納するキャッシュメモリおよび複数の不揮発性メモリで構成されるストレージ部と、災害または障害を検知する災害検知部と、この災害検知部により検知された災害または障害の信号から災害レベルを判定する災害レベル判定部と、前記災害レベルに応じて前記ストレージ部の縮退動作を行うストレージ制御部と、複数の通信回線から少なくとも1つの通信回線が利用可能な場合に、縮退動作開始以降に受信した医用データを、利用可能な回線容量に応じて、この医用データに付与された優先度情報に従い、遠隔地とレプリケーションを行う遠隔レプリケーション部とを有する。
実施形態における医用データストレージ装置のシステム形態例の説明図。 同実施形態における医用データストレージ装置のブロック構成図。 同実施形態における遠隔レプリケーション部のブロック構成図。 同実施形態における医用データの種類とデータ優先度を示した図。(b)はさらに医用画像データの場合にデータ優先度設定した場合の図。 同実施形態に係る医用データストレージ装置の選択される通信回線と遠隔地へ転送する医用データの関係図。 同実施形態に係る医用データストレージ装置の災害発生時における動作を示すフローチャート。 同実施形態に係る医用データストレージ装置の災害終了時における動作を示すフローチャート。
以下、発明を実施するための実施形態について図1から図7に示す図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、医用データストレージ装置単体に限定されず、本実施形態の医用データストレージ装置が、サーバ、モダリティ内に内蔵されていても構わない。従って下記の実施形態がその構成を限定するものではない。
まず図1を用いて、本実施形態における医用データストレージ装置のシステム形態例を説明する。図1に示すように、災害が発生した病院10と、病院10の医用データを遠隔地にてレプリケーションするための遠隔レプリケーションセンタ11、非罹災地の病院12を想定する。
病院10では、災害発生以前から、遠隔レプリケーションセンタ11と医用データのレプリケーションを行っているが、災害発生時においては、通信回線の寸断や、輻輳が生じるため大容量の医用データは完全にレプリケーションできない可能性が生じる。従って、
病院10においては、自病院内での医用データストレージ装置の冗長性を増し、非災害時から医用データの保全に努める一方、災害発生時には、利用できる通信回線の容量に応じて医用データの優先度を決定し、遠隔レプリケーションセンタ11に優先度の高いデータからバックアップを行うものとする。さらに、大災害が発生する前には、その予兆を検知しておき、通信回線が寸断される前に優先度の高いデータから遠隔レプリケーションセンタ11にデータ転送を行う。
災害発生後、病院10の患者を点線矢印のように非罹災地の病院12に移送し、その患者の医用データを遠隔レプリケーションセンタ11から取得することで、患者の治療を継続するという形態を仮定している。
その後、災害終了後には遠隔レプリケーションセンタ11からバックアップしたデータを必要に応じて復元する。
図2は、同実施形態における医用データストレージ装置の構成図である。図2に示すように、医用データストレージ装置20は、災害または障害の予兆および発生を検知する災害検知部21、現在生じている災害の程度を判定する災害レベル判定部22、図示しない院内ネットワークに接続されたサーバ及びモダリティと通信し、医用データの送受信を行うネットワーク制御部23、ネットワーク制御部23で受信される医用データを一時的に格納するキャッシュメモリ部24と、不揮発的に医用データを記憶する不揮発メモリ25A、25B、およびストレージの動作の履歴情報を保存する不揮発性メモリ25Cから構成されるストレージ部26、このストレージ部26を災害時、非災害時に関係なく医用データの読み出し、書き込み制御を行うストレージ制御部27、および、ストレージ部26に保存されている医用データのレプリケーションを、遠隔地にある遠隔レプリケーションセンタ11と行う遠隔レプリケーション部28から構成される。
災害検知部21は、温度センサ、湿度センサ、振動センサ、電源電圧・電流センサなどの各種センサを有し、その検出出力を災害レベル判定部22に与える。さらに地震・台風・水害などの災害情報などを受信してもよい。また、本実施形態の医用データストレージ装置20自体の障害(以下、自装置20の障害と称する)、例えばストレージ部26の正常性なども検出する。
災害レベル判定部22は、災害検知部21の情報を総合的に判断し、現在自装置20に生じている災害・障害の程度を判定する。災害検知部21の各種センサ等の情報をもとに、できるだけ早く災害の発生を予知し、実際に被害が拡大する前に、刻々と変化する災害レベルを判定し、その災害レベルに応じた縮退動作を自装置20に対して行う。
また、ネットワーク制御部23に対して、院内ネットワークに接続されるサーバ、モダリティに対して災害レベルの通知を行う。通知を受けたサーバ、モダリティは、災害レベルに応じて停止措置を含んだ縮退動作をするなどの措置を行う。例えば、比較的大きな振動を検知し、停電等の物理的衝撃を受けたような場合は、X線CT(Computed Tomography)装置のようなモダリティであれば、スキャンを停止し、現在までに有しているデータの保護動作を行う。また、画像再構成装置であれば、新規画像の受け入れや、画像生成アプリケーションのプロセスなどを停止するなどの処置を行う。このように、院内ネットワークに接続されたサーバ、モダリティに対して災害レベルに応じて縮退動作を指示し、自装置20に対して新たに医用データを送信しないような措置を施す。
災害レベルは、複数のレベルを有する。ここでは説明のため軽度、中程度、重度の3レベルを想定して説明する。例えば、電力会社からの送電が停止していてもUPS(Uninterruptible Power Supply)電源などの予備電源が稼働中であれば、災害レベルは重度とは判断されず、予備電源が稼働中の間は中程度とするか、好ましくは予備電源の稼働時間を加味して時間とともに中程度から重度へと災害レベルが変化するように判断される。このような災害レベルは、各種センサやシステムの動作環境仕様等に基づきシステムごとに決定され、災害・障害の予知と密接な関係を構築する。
ネットワーク制御部23は、主として院内ネットワークに接続されるサーバ、モダリティとの通信を行うが、災害時においては、災害レベルに応じてサーバ、モダリティとの通信を制限してもよいし、院内ネットワークを介して後述の遠隔レプリケーションを行う実施形態もあり得る。
ストレージ部26は、正常時には、院内ネットワークに接続されるサーバ、モダリティと医用データの送受信を行い、医用データを一時的に格納するキャッシュメモリ24と、
ハードディスクドライブ(HDD)、SSD(Solid State Drive)などの不揮発性メモリ25A、25Bで構成される。不揮発性メモリ25A、25Bは、ミラーリング動作がなされており、主メモリを25A、副メモリを25Bとして以下説明を行う。
図2では、不揮発性メモリ25A、25Bを2つ記載しているが、ミラーリング動作がなされることを示すためのものであって、実際の不揮発性メモリ25A、25Bは、それぞれ複数の不揮発性メモリから構成されていて、例えばRAID5などの冗長構成を有していてもよい。また、さらにストレージ部26の履歴情報を保存するためのフラッシュメモリなどの不揮発メモリを使用して履歴部25Cを構成する。
ストレージ制御部27は、災害レベルに応じてストレージ部26の縮退動作を行う。縮退動作を行うに当たり、その縮退動作についての履歴情報をログとして履歴部25Cに保存する。停止措置を含めた縮退動作例の詳細については、フローチャートを用いて後述する。
遠隔レプリケーション部28は、正常時は、高速回線を用いて、ストレージ部26の医用データを遠隔地へレプリケーションを行っている。災害時においては、使用できる通信回線に応じて、医用データのデータ優先度情報に従い、可能な限りレプリケーションを行うものである。
図3に遠隔レプリケーション部28の構成を示している。遠隔レプリケーション部28は、医用データに付与されたデータ優先度情報にしたがって、医用データの遠隔地への転送処理を制御する優先データ制御部31と、このデータ優先度情報と医用データの種類が記された優先マップ32と、使用できる通信回線を選択し、遠隔地にある遠隔レプリケーションセンタ11と医用データをレプリケーションする通信回線選択部33から構成されている。
本実施形態においては、非災害時の遠隔レプリケーションは、自装置20のミラーリング処理とほぼ同期して行われていると仮定して説明する。
優先データ制御部31では、ストレージ処理部27からレプリケーションすべき医用データを受け取り、医用データに付与されているデータ優先度情報と優先マップ32に従い、レプリケーションすべき医用データの転送順を決定する。
図4(a)は、優先マップ32において、医用データの種類とデータ優先度を示した図であり、図4(b)はさらに医用データが医用画像データの場合にデータ優先度を設定した場合の図である。
図4(a)に示すように、医用データの種類は、患者データ、診察データ、画像再構成データ、シーケンスデータおよび生データの5種類に分けられており、それぞれデータ優先度として1から5までの優先度情報が付与されている。このデータ優先度情報は、遠隔レプリケーションにおける転送順序と考えてもよし、実施形態によっては他の情報と組み合わせて使用してもよい。
患者データとは、患者の氏名、年齢、既往歴、処方薬、食事の管理など、主としてHIS(Hospital Information System)関係の情報であり、1患者当たり数KBオーダーのデータ容量である。
診察データとは、患者の病名、読影レポート、検査内容、治療実績など一般にはカルテとよばれる情報である。主としてRIS(Radiology Information System)関係の情報であり、1患者当たり数MBオーダーのデータ容量である。
画像再構成データとは、各種画像診断装置から得た検査画像で、診断に必要な画像である。主としてPACS(Picture Archiving and Communication System)関係の情報であり、1スキャン当たり100MBオーダーのデータ容量である。
シーケンスデータとは、モダリティでの撮影条件、例えばスキャンタイミング、撮影位置等を記録した設定条件である。後述の生データから画像を再構成するためなどに使用される。1スキャン当たり数百KBオーダーのデータ容量である。
生データとは、撮影時にモダリティのセンサから取得されるデータであり、画像再構成前のデータである。1スキャン当たり数GBオーダーのデータ容量である。
シーケンスデータを除き、データ容量の小さい順に優先順位が決められているが、診断においても必要な順を加味して優先度が決定される。
また、図4(b)に示すように、画像再構成データ、シーケンスデータ及び生データの医用画像データにおいては、その画像データが、X線などの放射線被爆を伴うかどうかによってもデータ優先度が決定される。これは、災害発生病院10と搬送先病院12において同様の検査が連続してなされると放射線などの被爆の問題が生じるためである。災害時に利用できる通信回線が大容量であれば、画像データの中でも被爆を伴う画像を優先して転送することとする。また、被爆量に応じて細かくデータ優先度を設定してもよい。
通信回線選択部33では、接続可能な通信回線、即ち光ファイバ網、メタル有線網、公衆無線網、および携帯無線網などに対して通信回線毎に遠隔レプリケーション先にポーリングを行い、通信回線が寸断されていないか、輻輳状態はどれ位かなどの回線利用状況を把握する。また、本実施形態における通信回線とは、公衆通信回線の他に専用線にて接続されている通信回線も含む。
光ファイバ網の通信速度は、およそ100MbpsからGbps程度であり、メタル有線網では、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)が最大約50Mbps、ISDN(Integrated Services Digital Network)が128Kbps、アナログモデムが54Kbps程度の通信速度を有する。無線通信網では、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)が約70Mbps、IEEE802.11無線LAN(Local Area Network)系で54Mbpsの通信速度である。
また携帯無線網は、第3世代W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)で384Kbps(上り)、PHS(Personal Handy-phone System)では64Kbps(128Kbps)、PDC(Personal Digital Cellular)では9.6Kbps程度の通信速度である。
図5は、通信回線選択部33で選択される通信回線の種類と、レプリケーションする医用データの種類の関係を示した図である。選択された通信回線の種類に関わらず、図4に示したデータ優先度に基づき順番に医用データを転送してもよいが、携帯通信網のような低速通信網に対して、生データのような大容量の医用データを転送することは好ましくない。ただでさえ災害時には、携帯通信網は一般の電話としての使用頻度が増すため輻輳を起こしやすく、ここに大容量のデータを転送すれば、輻輳を助長することになる。従って、選択された通信回線毎の容量に応じてレプリケーション可能な医用データの種類を設定する。この場合は、少なくとも最小限診断が可能な医用データを転送することになる。
図5に示す例では、光ファイバ網が選択できる場合には、患者データ、診察データ、画像再構成データ、シーケンスデータ、生データのすべてとするが、メタル通信網(ADSL)もしくは無線通信網(IEEE802.11)においては、患者データ、診察データ、画像再構成データの3種類とする。また、携帯通信網では、患者データ、診察データの2種類にとどめる。
図6は、災害発生時における医用データストレージ装置の動作を示すフローチャートである。図6に示すように、まず、ステップST601では、災害検知部21により、その各種センサの検出出力により災害または障害の予兆・発生を検知する。この検出出力をもとに、災害レベル判定部22では災害レベルを判定する(ステップST602)。
災害レベルが軽度、または無災害の場合には(ST602:軽度または無災害)、通常動作を行い、ステップST601に戻る。災害レベルが保守程度の軽度の場合であれば、保守を行う。
災害の程度が重度の場合は(ST602:重度)、ストレージ制御部27は、ストレージ部26の不揮発性メモリ25A,25B(図中においては、それぞれストレージA,ストレージBと記載する。)の動作を強制的に停止する(ステップST603)。そして、院内ネットワークに接続されているサーバ、もしくはモダリティに対して災害が発生していることを通知する。この通知を受けたサーバ、もしくはモダリティは、停止を含んだ縮退動作を行う。そして、ステップST601に戻り継続して災害を検知する。
災害の程度が中程度の場合は(ST602:中程度)、ストレージ制御部27はストレージ26の不揮発性メモリ25A、25Bのミラーリング動作を停止する。そして縮退モードの動作を開始する(ステップST604)。
ステップST605では、不揮発性メモリ25Bの動作を停止し、医用データの保護を図る。そして、院内ネットワークに接続されているサーバ、もしくはモダリティに対して災害が発生していることを通知する。この通知を受けたサーバ、もしくはモダリティは、停止を含んだ縮退動作を行う。このような縮退動作処理を行うことで災害発生後の新たな医用データの送受信を全く禁止するか、または必要最低限のものとすることができるので、サーバやモダリティ間との無駄な通信エラーの発生を少なくすることができる。
一方、不揮発性メモリ25Aは、リスクを承知で、遠隔地とのレプリケーションを試みることになる。ステップST606では、不揮発性メモリ25Aに、キャッシュメモリ24内のデータを保存する。従って災害発生以後、キャッシュメモリ24内に格納された医用データが、不揮発性メモリ25Aと25Bとの差分医用データとなる。
ステップST607では、遠隔レプリケーションを行うために、利用できる通信回線を選択する。通信回線選択部33は、接続可能な通信回線、即ち光ファイバ網、メタル有線網、無線通信網、および携帯無線網などに対して通信回線毎に遠隔レプリケーション先にポーリングを行い、回線が寸断されていないか、輻輳状態はどれ位かなどの回線利用状況を把握する。
利用できる通信回線がない場合は(ST607:No)、少なくとも1つの通信回線が利用できるようになるまで待機する。利用できる通信回線が少なくとも2つ以上ある場合には(ST607:Yes)、1番回線容量の高い通信回線を選択するか、並行して複数の通信回線を用いて上記差分医用データのレプリケーションを試みる。
優先データ制御部31では、ストレージ処理部27からレプリケーションすべき医用データ(ここでは差分医用データ)を受け取り、医用データに付与されている優先度情報と優先マップ32に従い、レプリケーションすべき医用データの転送順を決定する(ステップST608)。
ステップST609では、遠隔地へ差分医用データをバックアップし、レプリケーションを完了する。
図7は、災害終了時における医用データストレージ装置の動作を示すフローチャートである。図7に示すように、まずステップST701では、災害検知部21の各種センサ等の検出出力により災害または障害の終了を検知する。この検出出力をもとに、災害レベル判定部22では災害が終了しているか否かを判定する(ステップST702)。
災害が終了していないと判断される場合(ST702:No)、災害検知部21は、災害の検知をステップST701に戻り継続する。災害が終了したと判断される場合(ST702:Yes)、自装置10の縮退モードを解除し、さらに院内ネットワークに接続されているサーバ、もしくはモダリティに対して災害が終了したことを通知する(ステップST703)。この通知を受けたサーバ、もしくはモダリティは、今まで行っていた停止措置を含んだ縮退動作を解除する。
ステップST704からは、医用データの復元動作を行う。まず、不揮発性メモリ25Aが正常であるかどうかを検査する。検査として例えば、不揮発性メモリ25Aが自装置20に正常に認識され、不良ブロック、不良セクタがない等のディスク検査や、実際に医用データの読み出し書き込みが可能かどうか、災害発生前と災害終了後の医用データファイルの数やデータの容量が履歴部25Cの情報と比較して間違いはないか等などの照合を行う。
不揮発性メモリ25Aが正常であると判断されれば(ST704:Yes)、さらに不揮発性メモリ25Bの正常性を同様に判断し、正常であれば、ミラーリング動作を開始することで不揮発性メモリ25Aのデータが不揮発性メモリ25Bに書き込まれる(ステップST705)。
不揮発性メモリ25Aが異常であると判断されれば(ST704:Yes)、不揮発性メモリ25Aを正常な物と交換を行う。
ステップST706では通信回線が選択できるか、通信回線選択部33にて判断を行う。少なくとも1つの通信回線が選択可能であれば(ステップST706:Yes)、次のステップに進んでもよいが、少なくとも50Mbps以上の高速回線が選択できるまで待っても良い。高速回線の復旧がしばらく望めない場合には(ステップST706:No)、以下のステップで示す通信回線で行う医用データの復旧をせず、遠隔レプリケーションセンタ11よりハードディスクや、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク(登録商標)等の物理的なメディアに書き込み、災害が発生した病院10に輸送することで復旧を行ってもよい。
高速回線が選択できる場合は(ST706:Yes)、不揮発性メモリ25Bの正常性を検査する。不揮発性メモリ25Bが正常な場合は(ST707:Yes)、遠隔レプリケーションセンタ11から、災害時に転送した差分医用データを返送してもらう(ステップST708)。不揮発性メモリ25Bが異常な場合は(ST707:No)、不揮発性メモリ25Bを正常な物と交換を行い、遠隔レプリケーションセンタ11からはすべての医用データを返送してもらう(ステップST709)。
これにより災害終了時には、災害が発生した病院10の医用データの復旧・保護が可能となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、遠隔リプリケーションを行う医用データにデータ優先度情報を付与し、これに応じてバックアップを行うので、データ優先度の高い医用データの消失を最大限防止することが可能となる。これにより高速性と信頼性の要求される医用データストレージ装置に於いて、災害等の外的要因による障害に対し耐障害性の高い医用データストレージ装置を提供することができる。そして院内ネットワークに接続されたサーバ、モダリティに対して発生した災害レベルを通知することができるので、院内ネットワーク全体に対しても統一的な縮退動作を達成できる。
また、災害発生後、患者を非罹災地の病院に移送しても、その患者の医用データを遠隔レプリケーションセンタ11から取得することが可能となるため、患者の治療を継続することが可能である。被爆量に応じたデータ優先度を画像データに付与しているので、災害地と非罹災地の病院で同じ被爆を伴う検査を連続して行うことを防止できる。
さらに、本実施形態の医用データストレージ装置は、HIS、RIS、PACSの医用データとの連携が可能であり、さらに高速化、大容量化の進む種々の医用データストレージ装置に対しても適用可能である。例えば、サーバ、モダリティに直接接続されるDAS(Direct Attached Storage)と呼ばれるストレージ形態に対しても適用可能であり、さらにNAS(Network Attached Storage)のように医用データストレージ装置がネットワーク上に配置されている形態、またSAN(Storage Area Network)のように複数のサーバ、医用データストレージ装置をファイバチャネルのような光高速ネットワークで接続した形態に対しても適用が可能である。
本発明は、上記実施態様に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上記実施形態では、災害時に特化して説明したが、正常時においてもデータ優先情報に応じた遠隔レプリケーションを行っていてもよい。その場合には、急な災害の発生に対しても、優先度の高い医用データのデータ消失を最小とすることが可能である。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
21…災害検知部
22…災害レベル判定部
23…ネットワーク制御部
24…キャッシュメモリ部
25A,25B、25C…不揮発性メモリ
26…ストレージ部
27…ストレージ制御部
28…遠隔レプリケーション部
31…優先データ制御部
32…優先マップ
33…通信回線選択部

Claims (6)

  1. 院内ネットワークに接続されるサーバ及びモダリティとの間で医用データを送受信するネットワーク制御部と、
    前記医用データを一時的に格納するキャッシュメモリおよび複数の不揮発性メモリで構成されるストレージ部と、
    災害または障害を検知する災害検知部と、
    この災害検知部により検知された災害または障害の信号から災害レベルを判定する災害レベル判定部と、
    前記災害レベルに応じて前記ストレージ部の縮退動作を行うストレージ制御部と、
    複数の通信回線から少なくとも1つの通信回線が利用可能な場合に、縮退動作開始以降に受信した医用データを、利用可能な回線容量に応じて、この医用データに付与された優先度情報に従い、遠隔地とレプリケーションを行う遠隔レプリケーション部と、
    を有する医用データストレージ装置。
  2. 前記医用データの優先度情報は、災害または障害発生時に行う遠隔レプリケーションの転送順位情報であり、少なくとも患者の個人情報を示す患者データ、医師または検査技師による診断データ、および診断画像データを含む医用データのデータ種別に基づく優先度情報を有する請求項1記載の医用データストレージ装置。
  3. 前記医用データの優先度情報は、さらに前記診断画像データに対して被爆量に基づく優先度情報が付与されている請求項2記載の医用データストレージ装置。
  4. 前記災害レベル判定部はさらに、判定された災害レベルに応じて、前記院内ネットワークに接続されるサーバ及びモダリティに対し、この災害レベルを通知し、これらサーバ及びモダリティに対しても縮退動作を指示する手段を有する請求項2記載の医用データストレージ装置。
  5. 前記ストレージ部は、ミラーリング構成を有する請求項4記載の医用データストレージ装置。
  6. 前記災害検知部は、温度センサ、湿度センサ、電源電圧・電流センサ、および振動センサを含む各種センサを有し、災害または障害の予兆および発生を検知する手段を有する請求項5記載の医用データストレージ装置。
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