JP2011256094A - 軽量気泡コンクリート用アルミニウム粉末 - Google Patents
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Abstract
【課題】厚さ150mm以上のALCパネルの養生中にクラックが発生するのを抑制する。
【解決手段】粒径10μm〜90μmと100μm〜1000μmの範囲に2山のピークをも軽量気泡コンクリート(ALC)用アルミニウム粉末を使用する。粒度は45μm篩下50重量%以上、90μm篩上残分10重量%以下であるものが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】粒径10μm〜90μmと100μm〜1000μmの範囲に2山のピークをも軽量気泡コンクリート(ALC)用アルミニウム粉末を使用する。粒度は45μm篩下50重量%以上、90μm篩上残分10重量%以下であるものが好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は建築物の壁、屋根、床などに使用される軽量気泡コンクリート(ALC)に関するものである。
ALCは内部に気泡と細孔を含む絶乾かさ比重が0.5程度と非常に軽量でありながら、強度も比較的高いという優れた性質を持つ。ALCパネル内部には補強用の鉄筋が埋設されている。ALCパネル厚さは100mmが標準的であり、75〜125mmが主流となっているが、37〜50mmの住宅用薄方ALCパネルや150mm以上の厚いALCパネルもある。
ALCの製造方法は、硅酸質原料粉末、石灰質原料粉末、セメント、水などの原料を混合して原料スラリーとし、これに発泡剤としてアルミニウム粉末を加えて混合撹拌し、これを補強鉄筋を配した型枠に流し込み、アルミニウム粉末と原料スラリーとの化学反応で生成する水素ガスにより発泡させる。発泡後、ケーキ状半硬化体とし、ピアノ線で所定の大きさに切断したあと、オートクレーブで水蒸気養生して製造される。
ALCの最大の特徴である気泡を形成する発泡剤として使用されるアルミニウム粉末は、Al純度99.5%以上のアルミアトマイズ粉、アルミ箔などの原料地金を粉砕して得た金属アルミニウム粉末であり、ALCにおいてアルミニウム粉末はアルカリ溶液中で発生した水素ガスにより、生ケーキスラリーを発泡させる役割を持つ。
過去にもALC用発泡剤として粒径、粒度に特徴をもつことを規定したアルミニウム粉末が使用されている。例えば、比表面積が5.0〜6.0m2/g、かつ90μmふるい残分が10重量%以下、45μmふるい残分が55重量%以下にしたアルミニウム粉末が開示されており(例えば、特許文献1参照)、また、45μmのふるい通過分が65重量%未満であるアルミニウム粉末が知られており(例えば、特許文献2参照)、さらには44μmふるい通過分が50〜65重量%で、且つ比表面積が5.0〜6.5m2/gであり、好ましくは水面被覆面積が4500〜5000cm2/gのアルミニウム粉末なども提案されている(例えば、特許文献3参照)。
過去にもALC用発泡剤として粒径、粒度に特徴をもつことを規定したアルミニウム粉末が使用されている。例えば、比表面積が5.0〜6.0m2/g、かつ90μmふるい残分が10重量%以下、45μmふるい残分が55重量%以下にしたアルミニウム粉末が開示されており(例えば、特許文献1参照)、また、45μmのふるい通過分が65重量%未満であるアルミニウム粉末が知られており(例えば、特許文献2参照)、さらには44μmふるい通過分が50〜65重量%で、且つ比表面積が5.0〜6.5m2/gであり、好ましくは水面被覆面積が4500〜5000cm2/gのアルミニウム粉末なども提案されている(例えば、特許文献3参照)。
主なALC用アルミニウム粉末の製造方法には乾式粉砕法と湿式粉砕法がある。湿式粉砕法では原料のアルミ箔をシュレッダー加工後、油脂分を粉砕助剤として加えてボールミル等で粉砕して篩分けして製造される。但し、ALC用アルミニウム粉末は篩工程後に油脂残分除去の脱脂のため熱処理される。出来上がったアルミニウム粉末の粒子は非常に薄い鱗片状になる。アルミニウム粉末の工業利用としてはALC用発泡剤の他に、塗料、印刷、耐火金庫、耐火レンガ、花火等に使用されるが、ALC用発泡剤、触媒、セラミックス混和材等の需要が増えており、化学工業用の用途が主体となりつつある。
しかしながら、これらのアルミニウム粉末は、パネル厚さ125mm以下のALCパネルの製造には適しているものの、ALCパネルの厚さが150mmを超えるとオートクレーブ養生中にALCパネルに大きなクラックが発生してしまうことがあった。
本発明者らは10〜90μmと100〜1000μmに2つの粒度ピークをもつALC用アルミニウム粉末を厚さ150mmを超えるALCパネルの製造において発泡剤とすることで、オートクレーブ養生中に発生するクラックの発生を抑えることが出来ることを見出した。
本発明者らは10〜90μmと100〜1000μmに2つの粒度ピークをもつALC用アルミニウム粉末を厚さ150mmを超えるALCパネルの製造において発泡剤とすることで、オートクレーブ養生中に発生するクラックの発生を抑えることが出来ることを見出した。
従来のALC用アルミニウム粉末発泡剤では、厚さ150mm以上のALCパネルの養生中にクラックが発生する。
本発明は、このクラックの発生を抑えることができるALCパネル製造用アルミニウム粉末を提供するものである。
本発明は、このクラックの発生を抑えることができるALCパネル製造用アルミニウム粉末を提供するものである。
本発明は、厚さ150mmを超えるALCパネル製造用の発泡剤として、粒径10μm〜90μmと100μm〜1000μmの範囲に2山のピークをもつアルミニウム粉末を使用することとした。
本発明のアルミニウム粉末は、粒度が45μm篩下50重量%以上、90μm篩上残分10重量%以下であるものが好ましい。
本発明のアルミニウム粉末は、粒度が45μm篩下50重量%以上、90μm篩上残分10重量%以下であるものが好ましい。
本発明はALCパネルの製造に関するものであり、厚さ150mmを超えるALCパネルの製造において、粒径10μm〜90μmと100μm〜1000μmに2つのピークをもつALC用アルミニウム粉末を発泡剤とすることで、連通性(連続してつながる)気泡を発生させてガスを抜け易くするため、ALCパネルのオートクレーブ養生中に発生するクラックの発生を抑えることが出来る。
ALCパネルの製造方法は、硅酸質原料粉末、石灰質原料粉末、セメント、水などの原料を混合攪拌し原料スラリーとし、これに発泡剤としてアルミニウム粉末を加えて混合攪拌し、これを補強鉄筋を配した型枠に流し込み、アルミニウム粉末と原料スラリー中のアルカリ性物質との化学反応で生成する水素ガスにより発泡させる。さらに、固体粉末原料中のカルシウム分が水和反応を起こすことで、その流動性を徐々に失い半硬化体へと移行する。この水和反応は発熱反応であるため、その温度上昇は発泡及び原料スラリーの半硬化体への移行を助長する。発泡の終了後、得られたケーキ状の半硬化体をピアノ線で所定の大きさに切断し、オートクレーブで水蒸気養生して硬化させるとALCパネルが得られる。
ここで、ALCパネルの厚さが150mmを超えると、オートクレーブ養生中にALCパネルの補強鉄筋近傍にクラックが発生してしまうことがある。
このクラックの発生原因を追及してみると、ALCの製造工程ではオートクレーブによる高温高圧水蒸気養生があり、この養生過程では混練スラリーが硬化したもの(生ケーキと呼称する。)をオートクレーブに入れて養生する。養生過程には真空工程という工程があり、真空工程では生ケーキは減圧下に置かれた状態となる。ここでは生ケーキには引張応力がかかるので、連通孔による圧力緩和が出来ないとクラックが発生してしまう。
このクラックの発生原因を追及してみると、ALCの製造工程ではオートクレーブによる高温高圧水蒸気養生があり、この養生過程では混練スラリーが硬化したもの(生ケーキと呼称する。)をオートクレーブに入れて養生する。養生過程には真空工程という工程があり、真空工程では生ケーキは減圧下に置かれた状態となる。ここでは生ケーキには引張応力がかかるので、連通孔による圧力緩和が出来ないとクラックが発生してしまう。
ALCスラリーを発泡させるためには、アルミニウム粉末と原料スラリー中のアルカリ性物質との化学反応を利用して水素ガスを発生させるが、この反応を促進させるには細かくて比表面積の大きなアルミニウム粉末が有利である。このような観点から従来のアルミニウム粉末の粒度分布が選択されてきたが、ALCパネルの厚さが厚くなると単に発泡反応を促進させるだけでなく、気泡に連通性を持たせて減圧下で引張応力を緩和できるかどうかを考慮して選択することが重要となる。
従来の最適と言われたアルミニウム粉末の粒度分布は、粒径60μm付近にピークを持つ正規分布に近い粒度分布パターンのアルミニウム粉末が使用されていた。
しかし、詳細に検討してみると、単に90μm篩上残分や45μm篩上残分といった粒度分布だけではなく、連通性を発揮させる気泡を得るにはどのような粒度構成が適しているかを考慮することが重要であることが判った。
最適な粒度構成を見いだすべく、表1に示すような粒度分布ピークを有するアルミニウム粉末を発泡剤として使用し、厚さ150mmのALCパネルを作成した。
しかし、詳細に検討してみると、単に90μm篩上残分や45μm篩上残分といった粒度分布だけではなく、連通性を発揮させる気泡を得るにはどのような粒度構成が適しているかを考慮することが重要であることが判った。
最適な粒度構成を見いだすべく、表1に示すような粒度分布ピークを有するアルミニウム粉末を発泡剤として使用し、厚さ150mmのALCパネルを作成した。
アルミニウム粉末Aは60μm付近に粒度分布のピークを有する、従来からALCに使用されてきた一般的なアルミニウム粉末である。アルミニウム粉末Bは350μm付近に粒度分布のピークを有するもので、製品となるALCパネルの密度がALCのJIS規格外になってしまうアルミニウム粉末である。アルミニウム粉末Cは60μm付近と200μm付近に2つの粒度分布ピークを有するもので、2種類の粒度分布を持つものを混合したものである。
表1のアルミニウム粉末の粒度分布を図1に示す。
表1のアルミニウム粉末の粒度分布を図1に示す。
表1及び図1の結果から、正規分布型の粒度分布ではなく、細粒径側と粗粒径側に2つのピークを持つアルミニウム粉末が、連通性を備えた気泡発生作用を有するもので有ることが判った。
また、粒度分布を詳細に検討した結果、細粒径側の粒径10μm〜90μmと粗粒径側の100μm〜1000μmの範囲に、2山の粒度ピークをもつアルミニウム粉末が最適であることを見出した。細粒径側にピークを持つアルミニウム粉末は、水素を発生させる通常の気泡発生作用を、粗粒径側にピークを持つアルミニウム粉末が連通性を備えた気泡発生作用を有するものとなる。
すなわち、45μm篩下50重量%以上、90μm篩上残分10重量%以下で、粒径10μm〜90μmと100μm〜1000μmの範囲に2山の粒度ピークをもつアルミニウム粉末が最適であることがわかった。
また、粒度分布を詳細に検討した結果、細粒径側の粒径10μm〜90μmと粗粒径側の100μm〜1000μmの範囲に、2山の粒度ピークをもつアルミニウム粉末が最適であることを見出した。細粒径側にピークを持つアルミニウム粉末は、水素を発生させる通常の気泡発生作用を、粗粒径側にピークを持つアルミニウム粉末が連通性を備えた気泡発生作用を有するものとなる。
すなわち、45μm篩下50重量%以上、90μm篩上残分10重量%以下で、粒径10μm〜90μmと100μm〜1000μmの範囲に2山の粒度ピークをもつアルミニウム粉末が最適であることがわかった。
一般にALC用発泡剤としてのアルミニウム粉末の粉砕方法は、アトマイズアルミ粉またはアルミ箔等をシュレッダー加工して平均粒径2〜3mmのチップ状に切り刻んだものを原料として、ボールミル等の粉砕機で粉砕してアルミニウム粉末を得た後、篩工程、熱処理による油脂残分除去の脱脂工程をへて製造する方法が採用されている。
この方法には乾式法と湿式法がある。乾式法は粉砕機による粉砕を窒素ガス中で粉砕する方法であり、湿式法は粉砕機による粉砕を粉砕助剤として工業ガソリンであるミネラルスピリット中で粉砕し、粉砕後熱処理して粉砕助剤とアルミニウムとを分離する方法である。
この方法には乾式法と湿式法がある。乾式法は粉砕機による粉砕を窒素ガス中で粉砕する方法であり、湿式法は粉砕機による粉砕を粉砕助剤として工業ガソリンであるミネラルスピリット中で粉砕し、粉砕後熱処理して粉砕助剤とアルミニウムとを分離する方法である。
乾式粉砕で得られたアルミニウム粉末は粒子の表面に多くのひだが認められるのに対して、湿式粉砕で得られたアルミニウム粉末は粒子の表面形状が滑らかであるという特徴を呈する。
粒度分布の調整は、乾式法では主に原料アルミニウムと粉砕媒体との充填比率、粉砕機の回転数、粉砕時間を調整して行い、湿式法では上記に加えてミネラルスピリットの添加量を調整して行うことができる。細かい粒度のアルミニウム粉末を得るには、湿式粉砕法が適している。
本発明のアルミニウム粉末は、上記粉砕条件のうち主に原料アルミニウムと粉砕媒体との充填比率と粉砕時間を調整してピーク粒度をかえた、2種類のアルミニウム粉末を配合して得られたものを使用すればよい。
例えば、最大粒径は90μm篩上残量10%以下、45μm篩下50%以上で、10〜90μmと100〜1000μmにそれぞれピーク粒径を有する2種類のアルミニウム粉末を混合したものが適当である。
以下、実施例により詳細に説明する。
粒度分布の調整は、乾式法では主に原料アルミニウムと粉砕媒体との充填比率、粉砕機の回転数、粉砕時間を調整して行い、湿式法では上記に加えてミネラルスピリットの添加量を調整して行うことができる。細かい粒度のアルミニウム粉末を得るには、湿式粉砕法が適している。
本発明のアルミニウム粉末は、上記粉砕条件のうち主に原料アルミニウムと粉砕媒体との充填比率と粉砕時間を調整してピーク粒度をかえた、2種類のアルミニウム粉末を配合して得られたものを使用すればよい。
例えば、最大粒径は90μm篩上残量10%以下、45μm篩下50%以上で、10〜90μmと100〜1000μmにそれぞれピーク粒径を有する2種類のアルミニウム粉末を混合したものが適当である。
以下、実施例により詳細に説明する。
珪石45重量部、石灰質原料として生石灰5重量部、セメント30重量部、繰り返し原料20重量部を混合し、これらの固体原料合計100重量部に対して、水60重量部と図1Cに示す60μmと200μmに2つのピークを有するアルミニウム粉末を混合し、少量の界面活性剤を加えて混練してスラリーを作成した。
ここで、使用したアルミニウム粉末Cは、従来の粒径60μmにピークを持つALC用アルミニウム粉末に、粉砕時間を短くして得た粒径200μmにピークを持つアルミニウム粉末を等量加えて均一に混合したアルミニウム粉末である。
ここで、使用したアルミニウム粉末Cは、従来の粒径60μmにピークを持つALC用アルミニウム粉末に、粉砕時間を短くして得た粒径200μmにピークを持つアルミニウム粉末を等量加えて均一に混合したアルミニウム粉末である。
該スラリーを型枠に流し込み、石灰質原料の水和反応により硬化した後、180℃、10気圧のオートクレーブにおいて6時間高温高圧水蒸気養生を施し、厚さ150mmのALCパネルを製造して、パネルの出来上がり状態を調べた。
その結果、得られたALCパネルにはクラックの発生は認められず、不良品の発生は皆無であった。
その結果、得られたALCパネルにはクラックの発生は認められず、不良品の発生は皆無であった。
本発明は、建築物の壁や屋根、床などに使用されるALCパネルに関するものであり、厚さ150mmを超えるALCパネル製造においてクラックの発生を抑えることができるので、ALCパネルの製造歩留まりが向上し、ALCパネルを安価に提供することが可能となる。
Claims (2)
- 粒度分布において粒径10μm〜90μmと100μm〜1000μmの範囲に2山のピークをもつことを特徴とする軽量気泡コンクリート用アルミニウム粉末。
- 粒度が45μm篩下50重量%以上、90μm篩上残分10重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の軽量気泡コンクリート用アルミニウム粉末。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP3078437A1 (de) | 2015-04-09 | 2016-10-12 | Eckart GmbH | Verfahren zur herstellung von plastisch verformten metallpartikeln |
WO2017207025A1 (de) | 2016-05-31 | 2017-12-07 | Eckart Gmbh | Verfahren zur herstellung von plastisch verformten metallpartikeln |
JP2021165220A (ja) * | 2020-04-08 | 2021-10-14 | 住友金属鉱山シポレックス株式会社 | 軽量気泡コンクリートの製造方法 |
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JP2001089259A (ja) * | 1999-09-22 | 2001-04-03 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | Alcの製造方法 |
-
2010
- 2010-06-11 JP JP2010134420A patent/JP2011256094A/ja active Pending
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