JP2011230050A - 樹脂材料粉砕機用スクリーン及び樹脂材料の粉砕方法 - Google Patents

樹脂材料粉砕機用スクリーン及び樹脂材料の粉砕方法 Download PDF

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直之 浦崎
Isato Kotani
勇人 小谷
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亮介 神谷
Teruyuki Tsukada
輝之 塚田
Zenichi Kaneko
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Abstract

【課題】冷却しても柔らかいままの状態を維持している樹脂材料を効率的に粉砕するのに有用なスクリーンを提供すること。
【解決手段】本発明に係るスクリーン1は、樹脂材料粉砕機20が備える回転羽22の外側に設置されるものであり、筒状の本体部1aと、本体部1aの内面F1から外面F2にかけて貫通する複数の開口部1bとを備える。開口部1bは、本体部1aの内面F1から外面F2に向けて開口サイズが拡大するテーパ部1cを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂材料粉砕機が備える回転羽の外側に設置されるスクリーン及び樹脂材料の粉砕方法に関する。
半導体などの電子部品装置や光半導体パッケージの製造プロセスにおいては、封止用材料やモールド材が使用される。これらの材料は、電気特性、耐熱性、量産性等に優れるエポキシ樹脂とその硬化剤、触媒、離型剤、難燃剤、着色剤等の添加剤及び、組成比で70〜97質量%を占める充填剤から構成されている。最近の電子・電気機器の高性能化、小型薄型化の動向に対しパッケージの小型薄型化、面付け実装方式が主流となってきており、パッケージの耐リフロークラック性の向上が求められるようになった。そこでリードフレームとチップとの接着性向上、低吸湿化そして高強度化を図るため、エポキシ樹脂の低分子化、フィラーの高充填化が行われるようになってきている(特許文献1)。
封止用エポキシ樹脂成形材料や光半導体パッケージ用モールド材は、以下のような工程を経て製造される。まず、所定量の各成分を混合した後、混合物を混練して混練物を得る。溶融した混練物をシート状に圧延し、冷却固化させて冷却物を得る。この冷却物をパワーミル等の粉砕機を用いて粉砕した後、圧縮成形により例えば円柱状のタブレットを作製する。
特開2005−97350号公報
ところで、前述のエポキシ樹脂の低分子化により、冷却固化させて得た冷却物が柔らかい状態を維持していることがある。柔らかい樹脂材料は、従来の粉砕機では適切な粉砕処理が難しいという問題がある。特に、回転羽と、その外側に設けられ粉砕物の粒度を均一化するためのスクリーンとを備えた粉砕機を使用した場合、樹脂材料がスクリーンに付着してしまい、粉砕機から粉体が排出されにくくなる。このような状況が生じると、スクリーンの清掃作業が必要になり、この作業によって樹脂材料の生産性が悪化する。
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、冷却しても柔らかい状態を維持している樹脂材料を効率的に粉砕するのに有用なスクリーンを提供することを目的とする。また、本発明は、このスクリーンを備えた粉砕機を用いて樹脂材料を粉砕する方法を提供する。
本発明に係るスクリーンは、樹脂材料粉砕機が備える回転羽の外側に設置されるものであり、筒状の本体部と、本体部の内面から外面にかけて貫通する複数の開口部とを備える。開口部は、本体部の内面から外面に向けて開口サイズが拡大するテーパ部を有する。
本発明のスクリーンはテーパ部を有する。テーパ部を設けたことで開口部のエッジ部分が90°よりも鋭角になっている。本発明のスクリーンによれば、この部分の角度が90°である従来のスクリーン(図9,10参照)と比較し、材料が柔らかい場合であってもスクリーンに材料が付着したり凝集したりするのを抑制できる。また、仮にスクリーンの内面に衝突した材料のサイズが開口サイズよりも大きい場合であっても、テーパ部で材料が粉砕又は切断されて開口部を通過しやすくなる。これにより、開口部の閉塞が生じにくくなる。なお、図9,10に示す従来のスクリーン8は、本体部8aに設けられた開口部8bが一定であり、エッジ部分8cの角度が90°である。
開口部は、本体部の内面から外面への方向に対して垂直な断面の形状が円形であってもよいし、あるいは、スリット状であってもよい。開口部をスリット状に設けた場合、本体部の軸方向とスリット状の開口部の長手方向とのなす角度は0〜90°の任意の角度とすることができる。スリット状の開口部は、たとえスクリーンに材料が付着した場合であっても清掃作業が容易であり、メンテナンスにかかる時間を短縮できるという利点がある。
本発明に係る樹脂材料の粉砕方法は、回転羽と、回転羽の外側に設置された上記スクリーンとを備えた樹脂粉砕機に樹脂材料を供給する工程と、回転羽及びスクリーンのテーパ部において樹脂材料を粉砕する工程とを備える。この粉砕方法は、本発明に係る上記スクリーンを備えた樹脂粉砕機を使用するため、樹脂材料が回転羽によって粉砕されるのみならず、スクリーンに衝突した際にテーパ部によっても粉砕される。
本発明によれば、冷却しても柔らかい状態を維持している樹脂材料を効率的に粉砕することが可能となる。
本発明に係るスクリーンを備えた樹脂粉砕機の一例を示す模式断面図である。 本発明に係るスクリーンの第一実施形態を示す斜視図である。 図2に示すスクリーンが有する開口部を示す断面図である。 (a)は本発明に係るスクリーンに衝突した樹脂材料がテーパ部で粉砕される様子を示す図であり、(b)は従来のスクリーンに衝突した樹脂材料がスクリーンに付着する様子を示す図である。 本発明に係るスクリーンの第二実施形態を示す斜視図である。 図5に示すスクリーンの開口部の断面図であり、(a)はスクリーンの軸方向に垂直な断面を示す図であり、(b)はスクリーンの軸方向に平行な断面を示す図である。 本発明に係るスクリーンの第三実施形態を示す斜視図である。 本発明に係るスクリーンの第四実施形態を示す斜視図である。 従来のスクリーンを示す斜視図である。 図9に示すスクリーンが有する開口部を示す斜視図である。
図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。
<樹脂粉砕機>
図1に示す樹脂材料粉砕機20は、材料の投入口21a及び排出口21bを有する装置本体21と、樹脂を粉砕するための回転羽22と、複数の回転羽が固定された軸23と、軸23を回転させるためのモータ25と、回転羽22の外側を囲うように設けられた円筒形のスクリーン1とを備える。なお、スクリーン1の下端は底板26で閉鎖されている。図1に示す通り、投入口21aからの材料は主に回転羽22によって粉砕されて粒径が小さくなり、スクリーン1を通過した後、排出口21bから排出される。樹脂材料粉砕機20の具体例としては、パワーミル(株式会社ダルトン社製、商品名:P−5)などが挙げられる。
図2〜4を参照しながら、第一実施形態に係るスクリーン1の構成について説明する。スクリーン1は、円筒状の本体部1aと、本体部1aの内面F1から外面F2にかけて貫通する複数の開口部1bとを備える。開口部1bは、本体部1aの内面F1から外面F2に向けて開口サイズが拡大するテーパ部1cを有する。開口部1bの配置は、特に限定されるものではないが、最密充填の配置にすると多数の開口部1bを設けることができる。なお、スクリーン1の材質としては、金属や金属合金又はセラミックス材料等が挙げられる。
スクリーン1にテーパ部1cを設けたことで、内面F1側において開口部1bのエッジ部分が90°よりも鋭角になっている。スクリーン1によれば、材料が柔らかい場合であってもスクリーン1に材料が付着したり凝集したりするのを抑制できる。すなわち、回転羽22によって粉砕された材料Mがスクリーン1の内面F1に衝突した際、テーパ部1cにおいて更に粉砕又は切断されるため、当該箇所に付着しにくい。また、仮にスクリーン1の内面F1に衝突した材料Mのサイズが開口部1bの開口サイズよりも大きい場合であっても、テーパ部1cで材料Mが粉砕されて開口部1bを通過しやすくなる。これにより、開口部1bの閉塞が生じにくくなる(図4(a)参照)。これに対し、開口部の内径が一定でエッジ部分の角度が90°である従来のスクリーンでは、エッジ部分に材料が付着しやすい(図4(b)参照)。なお、図4において、矢印Fは材料の流れる方向を示す。
スクリーン1の開口部1bは、本体部1aの内面F1から外面F2への方向に対して垂直な断面の形状が円形である。開口部1bの内面F1側の内径は、材料の特性に応じて適宜設定すればよいが、10〜1mmであることが5〜3mmであることがより好ましい。
なお、内面F1側において開口部のエッジ部分が鋭角になるようにテーパ部が設けられた構成であれば、開口部の形状は円形に限定されるものではない。テーパ部の角度(角度α)は、本発明の効果を十分且つ安定的に達成する観点から、80〜10°であることが好ましく、60〜30°であることがより好ましい。開口部の形状は、楕円形や矩形であってもよく、後述の通り、スリット状であってもよい。スリット状の開口部は、たとえスクリーンに材料が付着した場合であっても清掃作業が容易であり、メンテナンスにかかる時間を短縮できるという利点がある。開口部がスリット状の場合、内面F1側の開口幅は、材料の特性に応じて適宜設定すればよいが、10〜1mmであることが5〜3mmであることがより好ましい。
図5,6を参照しながら、第二実施形態に係るスクリーン2の構成について説明する。スクリーン2は、円筒状の本体部2aと、本体部2aの内面F1から外面F2にかけて貫通する複数のスリット状の開口部2bとを備える。開口部2bは、本体部2aの内面F1から外面F2に向けて開口サイズが拡大するテーパ部2cを有する(図6(a)参照)。スクリーン2においては、本体部2aの軸方向Aとスリット状の開口部2bの長手方向Bとが一致している。
図7を参照しながら、第三実施形態に係るスクリーン3の構成について説明する。スクリーン3は、円筒状の本体部3aと、本体部3aの内面F1から外面F2にかけて貫通する複数のスリット状の開口部3bとを備える。開口部3bは、本体部3aの内面F1から外面F2に向けて開口サイズが拡大するテーパ部3cを有する。スクリーン3においては、本体部3aの軸方向Aとスリット状の開口部3bの長手方向Bとが角度βをなすように、開口部3bが設けられている。角度βは、0°より大きく90°以下とすることができ、スクリーン3への樹脂付着をより一層高いレベルで抑制する点から、80〜10°であることが好ましく、60〜30°であることがより好ましい。
図8を参照しながら、第四実施形態に係るスクリーン4の構成について説明する。スクリーン4は、円筒状の本体部4aと、本体部4aの内面F1から外面F2にかけて貫通する複数のスリット状の開口部4bとを備える。開口部4bは、本体部4aの内面F1から外面F2に向けて開口サイズが拡大するテーパ部4cを有する。スクリーン4においては、本体部4aの周方向に複数の開口部4bが並ぶように設けられており、この周方向の複数の開口部4bからなる組が本体部4aの軸方向に更に並ぶように設けられている。
<樹脂材料の粉砕方法>
樹脂材料粉砕機20を用いて樹脂材料を粉砕する方法について説明する。本実施形態に係る樹脂材料の粉砕方法は、樹脂材料粉砕機20に樹脂材料を供給する工程と、回転羽22及びスクリーン1のテーパ部1cにおいて樹脂材料を粉砕する工程とを備える。この粉砕方法は、スクリーン1を備えた樹脂材料粉砕機20を使用するため、樹脂材料が回転羽22によって粉砕されるのみならず、スクリーン1に衝突した際にテーパ部1cによっても粉砕される。なお、樹脂材料粉砕機20には、スクリーン1の代わりに、スクリーン2,3又は4を装着してもよい。
スクリーン1〜4は、冷却しても柔らかい状態を維持している樹脂材料を効率的に粉砕するのに特に有用である。冷却しても柔らかい状態を維持している樹脂材料とは、温度0〜30℃におけるショアA硬さが10〜100のものをいう。本実施形態においては、粉砕処理の対象となる材料は封止用エポキシ樹脂組成物及び光半導体パッケージ用モールド材組成物である。これらの材料に含まれる成分について説明する。
(封止用エポキシ樹脂組成物)
エポキシ樹脂としては、封止用エポキシ樹脂成形材料で一般に使用されているエポキシ樹脂が挙げられる。例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、アルキル置換又は非置換のビスフェノール等のジグリシジルエーテル、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸などのポリアミンとエピクロロヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンとフェノール類の共縮合樹脂のエポキシ化物、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン環を有するエポキシ樹脂、ナフトール・アラキル樹脂のエポキシ化物、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、テルペン変性エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸などの過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、及び脂肪族エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂などが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記エポキシ樹脂の硬化剤としては、封止用エポキシ樹脂成形材料で一般に使用されている硬化剤が挙げられる。例えば、フェノール、クレゾール、レジルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類、これらのフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン、ジヒドロキシビフェニルなどの多種多価フェノール化合物、分子中にビフェニル誘導体および/またはナフタレン誘導体を含むノボラック構造のフェノール樹脂、下記一般式(I)で表されるフェノール化合物等のフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂、ビフェニル・アラルキル樹脂などのアラルキル型フェノール樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とシクロペンタジエンから共重合により合成される、シクロペンタジエン型フェノールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等のシクロペンタジエン型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸などの酸無水物、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族アミンなどが挙げられる。
Figure 2011230050

(式(I)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基、nは0以上の整数を示す。)
なお、これらの硬化剤は単独または2種以上併用して用いることができる。エポキシ樹脂に対する硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂中のエポキシ基数/硬化剤中の水酸基の比を0.7〜1.3の範囲に設定することが好ましい。
充填剤としては、特に限定はないが、無機充填剤が好ましく、溶融シリカ粉末、結晶シリカ粉末、アルミナ、ジルコン、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア等の粉体、またはこれらを球形化したビーズ、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ等の単結晶繊維、ガラス繊維等を1種類以上配合して用いることができる。さらに、難燃効果のある無機充填剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛等が挙げられ、これらを単独または併用して用いることができる。なお、無機充填剤の配合量は、吸湿性、線膨張係数の低減の点から成形材料全体の70〜97重量%であることが好ましく、より好ましくは80〜95重量%である。
エポキシ樹脂成形材料には、必要に応じて2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール化合物、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7などの3級アミン化合物、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラプロポキシド、テトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウム、トリ(アセチルアセトナト)アルミニウムなどの有機金属化合物およびトリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィンなどの有機ホスフィン化合物などの硬化促進剤を用いることができる。
エポキシ樹脂成形材料には、必要に応じてブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂などのブロム化エポキシ樹脂、ブロム化ポリカーボネート樹脂、ブロム化ポリスチレン樹脂、ブロム化ポリフェニレンオキサイド樹脂、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテルなどの難燃剤を用いることができる。また、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等の金属酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物や、2種以上の金属酸化物・水酸化物の複合体である複合金属水酸化物、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛等の金属化合物、含窒素化合物、含リン化合物なども難燃剤として使用できる。
また、エポキシ樹脂成形材料には、樹脂成分と充填剤との接着性を高めるために、必要に応じてエポキシシラン、アミノシラン、メルカプトシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物などのカップリング剤を用いることができる。
更にエポキシ樹脂成形材料には、必要に応じて離型剤、着色剤、シリコーン系応力緩和剤あるいはイオントラップ剤等の各種添加剤を用いることができる。離型剤としては、カルナバワックス、モンタン酸、ステアリン酸、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス、ポリエチレン、酸化ポリエチレン等の酸化型又は非酸化型のポリオレフィン系ワックスなどが挙げられる。
無機質微粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコン、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ酸、ベリリア、ジルコニア等が挙げられ、純度が高いこと、熱的、化学的に安定していることから、シリカを用いることが好ましい。
(光半導体パッケージ用モールド材組成物)
光半導体パッケージ用モールド材組成物は、(A)エポキシ樹脂及び(B)硬化剤を含有する熱硬化性樹脂組成物である。
である。
<(A)エポキシ樹脂>
(A)エポキシ樹脂としては、電子部品封止用エポキシ樹脂成形材料で一般に使用されているものを用いることができる。エポキシ樹脂として、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のフェノール類とアルデヒド類のノボラック樹脂をエポキシ化したもの、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS及びアルキル置換ビスフェノール等のジグリシジルエーテル、ジアミノジフェニルメタン及びイソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、並びに脂環族エポキシ樹脂が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのうち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート、及び、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸から誘導されるジカルボン酸ジグリシジルエステルが、比較的着色が少ないことから好ましい。同様の理由から、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ナジック酸及びメチルナジック酸等のジカルボン酸のジグリシジルエステルも好適である。芳香環が水素化された脂環式構造を有する核水素化トリメリット酸、核水素化ピロメリット酸等のグリシジルエステルも挙げられる。シラン化合物を有機溶媒、有機塩基及び水の存在下に加熱して、加水分解・縮合させることにより製造される、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンも挙げられる。また、(A)成分として、グリシジル(メタ)アクリレート単量体と、これと重合可能な単量体との共重合体である、下記式(7)で示されるエポキシ樹脂を用いることもできる。
Figure 2011230050
式(7)中、Rはグリシジル基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜6の飽和若しくは不飽和の1価の炭化水素基を示し、Rは1価の飽和炭化水素基を示す。a及びbは正の整数を示す。
硬化物の着色を抑制するために、エポキシ樹脂は、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロへプタン、シクロオクタン、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、アダマンタン、水素化ナフタレン及び水素化ビフェニルから選ばれる環式脂肪族炭化水素から水素原子を除くことにより誘導される脂肪族炭化水素基を有する脂環式エポキシ樹脂であることも好ましい。上記環式脂肪族炭化水素は、ハロゲン原子又は直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基で置換されていてもよい。
樹脂汚れを抑制する観点から、エポキシ樹脂として、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロへキサン付加物を用いることができ、ダイセル化学社製、製品名「EHPE3150」を市販品として入手可能である。
<(B)硬化剤>
硬化剤としては、カルボキシル基含有化合物を分子間で縮合した多価カルボン酸縮合体を含むものが好ましい。(B)硬化剤が、このような多価カルボン酸縮合体を含むことで、熱硬化性樹脂組成物から形成された硬化物のアルカリ性の脱脂液に対する耐性が向上する。
(多価カルボン酸縮合体)
多価カルボン酸縮合体は、下記一般式(1)で表される成分を主成分として含むことが好ましい。
Figure 2011230050
式(1)中、Rは2価の有機基を示し、飽和炭化水素環を有する2価の飽和炭化水素基であることが好ましい。Rが飽和炭化水素環を有する飽和炭化水素基であることにより、当該多価カルボン酸縮合体はエポキシ樹脂の透明な硬化物を形成させることが可能である。同一分子中の複数のRは同一でも異なっていてもよい。Rの飽和炭化水素環はハロゲン原子又は直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基で置換されていてもよい。飽和炭化水素環を置換する炭化水素基は好ましくは飽和炭化水素基である。飽和炭化水素環は単環でもよいし、2以上の環から構成される縮合環、ポリシクロ環、スピロ環又は環集合であってもよい。Rの炭素数は好ましくは3〜15である。また、nは0以上の整数を示し、0〜200であることが好ましく、0〜100であることがより好ましい。
は式(1)の重合体を得るために用いられるモノマーとしての多価カルボン酸からカルボキシル基を除いて誘導される基である。モノマーとしての多価カルボン酸は、重縮合の反応温度よりも高い沸点を有することが好ましい。
より具体的には、Rはシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロへプタン、シクロオクタン、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、アダマンタン、水素化ナフタレン及び水素化ビフェニルから選ばれる環式脂肪族炭化水素から水素原子を除くことにより誘導される2価の基であることが好ましい。Rがこれらの基であることにより、透明で熱による着色の少ない硬化物が得られるという効果がより一層顕著に奏される。これら環式飽和炭化水素は、ハロゲン原子又は直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基(好ましくは飽和炭化水素基)で置換されていてもよい。
特に、Rは1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸又はこれらの誘導体からカルボキシル基を除いて誘導される基であることが好ましい。すなわち、Rは下記一般式(10)で表される2価の基であることが好ましい。式(10)中、mは0〜4の整数を示す。Rはハロゲン原子又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜4の炭化水素基を示す。mが2〜4であるとき、複数のRは同一でも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。
Figure 2011230050
多価カルボン酸縮合体の重量平均分子量Mwは、好ましくは200〜20000であり、より好ましくは300〜10000である。重量平均分子量Mwが200よりも小さいと粘度が低くなりすぎて熱硬化性樹脂組成物の硬化剤として用いた際、トランスファー成形時の樹脂汚れの発生を抑制し難くなる傾向があり、20000よりも大きいとエポキシ樹脂等との相溶性が低下するや、熱硬化性樹脂組成物のトランスファー成形時の流動性が低下する傾向がある。
重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により標準ポリスチレンによる検量線を用いて下記条件で測定することで得られる。
(GPC条件)
ポンプ:L−6200型(株式会社日立製作所製、商品名)
カラム:TSKgel―G5000HXL及びTSKgel−G2000HXL(東ソー株式会社製、商品名)
検出器:L−3300RI型(株式会社日立製作所製、商品名)
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:30℃
流量:1.0mL/分
ICIコーンプレート型粘度計によって測定される多価カルボン酸縮合体の粘度は、150℃で10〜30000mPa・sであることが好ましく、10〜10000mPa・sであることがより好ましい。多価カルボン酸縮合体の粘度が10mPa・s未満では、例えば多価カルボン酸縮合体を配合したエポキシ樹脂組成物をトランスファー成形時の樹脂汚れの発生を抑える効果が低くなる傾向にあり、30000mPa・sを超えると、トランスファー成形時の金型内で熱硬化性樹脂組成物の流動性が低下する傾向にある。多価カルボン酸縮合体の粘度は、例えばReseach Equipment(London)LTD.製のICIコーンプレート型粘度計を用いて測定することができる。
多価カルボン酸縮合体の軟化点は、20〜200℃であることが好ましい。これにより、多価カルボン酸縮合体を含む樹脂組成物中に2本ロールミル等を用いて無機フィラーを分散させる際に、良好な分散性及び作業性が得られる。無機フィラーの分散性に優れることは、トランスファー成形用の熱硬化性樹脂組成物等において特に重要である。
また、ロールミルを用いて熱硬化性樹脂組成物を製造する際の混練性の観点から、多価カルボン酸縮重合体の軟化点は30〜100℃であることが好ましく、30〜80℃であることがより好ましい。軟化点が20℃未満では熱硬化性樹脂組成物の製造時においてハンドリング性、混練性及び分散性が低下し、トランスファー成形時の樹脂汚れの発生を効果的に抑え難くなる傾向がある。軟化点が200℃を超えると、トランスファー成形によって100〜200℃に加熱した場合に樹脂組成物中に硬化剤が溶け残る可能性があり、均一な成形体が得られ難くなる傾向がある。
多価カルボン酸縮重合体の軟化点は、主鎖の構造の選択と重量平均分子量の調整で所望の範囲にすることができる。一般に、モノマーとして長鎖の二価カルボン酸を用いると軟化点を低くすることができ、また、極性の高い構造を導入すると軟化点を高くすることができる。また、一般に、重量平均分子量を大きくすれば軟化点を低下させることができる。
多価カルボン酸縮合体は、縮合反応前の多価カルボン酸とモノカルボン酸の仕込み組成比で生成物のICIコーンプレート粘度、重量平均分子量及び軟化点を目的に応じて調整することができる。多価カルボン酸の比率が多くなるほど、ICIコーンプレート粘度、重量平均分子量、軟化点が増加する傾向にある。但し、縮合反応の条件によっては必ずしも上記のような傾向を示すわけではなく、脱水縮合反応の条件である反応温度、減圧度、反応時間の要素も加味する必要がある。
多価カルボン酸縮合体は、例えば、下記一般式(5)で表される多価カルボン酸及び下記一般式(6)で表されるモノカルボン酸を含む反応液中で、それぞれが有するカルボキシル基を分子間で脱水縮合させる工程を備える方法によって得ることができる。
Figure 2011230050
式(5)中、Rは、上記式(1)中のRと同義である。また、式(6)中、Rは、酸無水物基又はカルボン酸エステル基で置換されていてもよい1価の炭化水素基を示す。
脱水縮合の反応液は、例えば、多価カルボン酸及びモノカルボン酸と、これらを溶解する無水酢酸又は無水プロピオン酸、塩化アセチル、脂肪族酸塩化物及び有機塩基(トリメチルアミン等)から選ばれる脱水剤とを含有する。例えば、反応液を5〜60分間にわたって窒素雰囲気下で還流した後、反応液の温度を180℃まで上昇させて窒素気流下の開放系で、生成する酢酸及び水を留去することにより重縮合を進行させる。揮発成分の発生が認められなくなった時点で、反応容器内を減圧しながら180℃の温度で3時間にわたって、より好ましくは8時間にわたって溶融状態で重縮合を進行させる。生成した多価カルボン酸縮合体を、無水酢酸等の非プロトン性溶媒を用いた再結晶や再沈殿法によって精製してもよい。
係る方法によって得られる多価カルボン酸縮合体は、式(6)のモノカルボン酸2分子の縮合物、式(5)の多価カルボン酸と式(6)のモノカルボン酸との縮合物、多価カルボン酸及びモノカルボン酸の未反応物、並びに、無水酢酸及び無水プロピオン酸等の反応試薬と多価カルボン酸又はモノカルボン酸とが縮合反応して生成する酸無水物のような副生成物を含んでいる場合がある。これら副生成物は、精製によって除いてもよく、また、混合物のまま硬化剤として用いることもできる。
なお、(B)硬化剤は、多価カルボン酸が分子内で閉環縮合してなる酸無水物を更に含んでいてもよい。この場合、(A)エポキシ樹脂中に含まれるエポキシ基と、エポキシ基と反応可能な(B)硬化剤中の酸無水物基との当量比が、1:0.3〜1:1.2であることが好ましい。これにより、熱硬化性樹脂組成物の成形時における樹脂汚れをより一層低減することができる。
熱硬化性樹脂組成物において、(B)硬化剤として、上記多価カルボン酸縮合体と共に、電子部品封止用エポキシ樹脂成形材料で一般に使用されている硬化剤を併用することができる。このような硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応するものであれば、特に限定されないが、無色又は淡黄色であることが好ましい。このような硬化剤として、例えば、酸無水物系硬化剤、イソシアヌル酸誘導体系硬化剤、フェノール系硬化剤が挙げられる。酸無水物系硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、無水グルタル酸、無水ジメチルグルタル酸、無水ジエチルグルタル酸、無水コハク酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸が挙げられる。イソシアヌル酸誘導体としては、1,3,5−トリス(1−カルボキシメチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3−カルボキシプロピル)イソシアヌレート、1,3−ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートが挙げられる。これらの硬化剤の中では、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸、無水ジメチルグルタル酸、無水ジエチルグルタル酸又は1,3,5−トリス(3−カルボキシプロピル)イソシアヌレートを用いることが好ましい。また、上記硬化剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせてもよい。これらの併用可能な硬化剤を含む場合、多価カルボン酸縮合体との配合比率を変えることによって、(B)硬化剤の全体としての粘度を調整することができ、好ましい。
熱硬化性樹脂組成物から形成される硬化物のアルカリ耐性をより一層向上する観点から、(B)硬化剤は、下記式(2)で表される化合物であるテトラヒドロ無水フタル酸又は下記式(3)で表される化合物であるトリメリット酸無水物を更に含むことができる。
Figure 2011230050
上述の併用可能な硬化剤は、分子量が100〜400であることが好ましい。また、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の芳香環を有する酸無水物よりも、芳香環の不飽和結合のすべてを水素化した無水物が好ましい。酸無水物系硬化剤として、ポリイミド樹脂の原料として一般的に使用される酸無水物を用いてもよい。
ICIコーンプレート型粘度計によって測定される硬化剤の粘度は、150℃で1.0〜1000mPa・sであることが好ましく、10〜200mPaであることがより好ましい。硬化剤の粘度が係る特定範囲内にあることにより、硬化剤を配合した熱硬化性樹脂組成物をトランスファー成形に用いたときに、バリ発生が抑制されるなど、良好な成形性が得られる。硬化剤の粘度は、例えばReseach Equipment(London)LTD.製のICIコーンプレート型粘度計を用いて測定することができる。硬化剤の粘度を調整する方法としては、多価カルボン酸縮合体の平均分子量を制御することで多価カルボン酸縮合体自体の粘度を調整する方法や、多価カルボン酸縮合体と併用可能な他の硬化剤との配合比を調整する方法が挙げられる。
なお、(B)硬化剤は、上記一般式(1)で表される化合物、上記式(2)で表される化合物及び上記式(3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸無水物であってもよい。(B)硬化剤が、上記(1)〜(3)で表される化合物のうち少なくとも一つを含むことで、熱硬化性樹脂組成物は、成形性に十分に優れると共にアルカリ耐性に優れ、樹脂成分の溶出を十分に低減した硬化物を形成できる。
熱硬化性樹脂組成物において、(B)硬化剤の配合量は、(A)エポキシ樹脂100質量部に対して、10〜150質量部であることが好ましく、樹脂汚れを抑制するという観点から、50〜120質量部であることがより好ましい。
また、(B)硬化剤は、(A)エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して、当該エポキシ基との反応可能な(B)硬化剤中の活性基(酸無水物基又は水酸基)が0.5〜0.9当量となるように配合することが好ましく、0.7〜0.8当量となることがより好ましい。上記活性基が0.5当量未満では、熱硬化性樹脂組成物の硬化速度が遅くなると共に、得られる硬化体のガラス転移温度が低くなり、充分な弾性率が得られ難くなる傾向がある。一方、上記活性基が0.9当量を超えると、硬化後の強度が低下する傾向がある。
<(C)硬化促進剤>
熱硬化性樹脂組成物には必要に応じて(C)硬化促進剤を配合することができる。(C)硬化促進剤としては、(A)及び(B)成分間の硬化反応を促進させるような触媒機能を有するものであれば、特に限定されることなく用いることができる。硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物、イミダゾール化合物、有機リン化合物、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、第4級アンモニウム塩が挙げられる。これらの硬化促進剤の中でも、アミン化合物、イミダゾール化合物又は有機リン化合物を用いることが好ましい。アミン化合物としては、例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、トリ−2,4,6−ジメチルアミノメチルフェノールが挙げられる。また、イミダゾール化合物として、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾールが挙げられる。更に、有機リン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロジチオエート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−テトラフルオロボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−テトラフェニルボレートが挙げられる。これらの硬化促進剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記(C)硬化促進剤の配合量は、(A)エポキシ樹脂100質量部に対して、0.01〜8質量部であることが好ましく、0.1〜3質量部であることがより好ましい。硬化促進剤の含有量が、0.01質量部未満では、十分な硬化促進効果を得られない場合があり、8質量部を超えると、得られる成形体に変色が見られる場合がある。
<(D)白色顔料>
光半導体装置などに利用可能な白色の成形樹脂として用いる場合には、熱硬化性樹脂組成物に更に(D)白色顔料を含むことが好ましい。(D)白色顔料としては、公知のものを使用することができ、特に限定されない。白色顔料として、例えば、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化ジルコニウム及び無機中空粒子が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上併用することができる。無機中空粒子としては、例えば、珪酸ソーダガラス、アルミ珪酸ガラス、硼珪酸ソーダガラス、シラス(白砂)が挙げられる。白色顔料の粒径は、中心粒径が0.1〜50μmであることが好ましい。この中心粒径が0.1μm未満であると粒子が凝集しやすく分散性が低下する傾向があり、50μmを超えると熱硬化性樹脂組成物からなる硬化物の反射特性が十分に得られ難くなる。
(D)白色顔料の配合量は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物全体に対して、10〜85体積%であることが好ましく、20〜75体積%であることがより好ましい。この配合量が10体積%未満であると硬化後の熱硬化性樹脂組成物の光反射特性が十分に得られ難い傾向があり、85体積%を超えると熱硬化性樹脂組成物の成形性が低下する傾向がある。
また、熱硬化性樹脂組成物が(D)白色顔料と共に後述する無機充填剤を含有する場合、(D)白色顔料と無機充填材との合計配合量が、熱硬化性樹脂組成物全体に対して、10〜85体積%であると、熱硬化性樹脂組成物の成形性をより一層向上することができる。
<その他の成分>
(無機充填材)
熱硬化性樹脂組成物は成形性を調整するために、無機充填材を含むことが好ましい。なお、無機充填剤として、上記白色顔料と同様のものを用いてもよい。無機充填材として、例えば、シリカ、酸化アンチモン、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、アルミナ、マイカ、ベリリア、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、炭酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、焼成クレー等のクレー、タルク、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素が挙げられる。熱伝導性、光反射特性、成形性及び難燃性の点から、無機充填剤は、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムからなる群から選ばれる2種以上の混合物であることが好ましい。無機充填材の平均粒径は、白色顔料とのパッキング性を向上させる観点から、1〜100μmであることが好ましく、1〜40μmであることがより好ましい。熱硬化性樹脂組成物における無機充填剤の配合量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、1〜1000質量部であることが好ましく、1〜800質量部であることがより好ましい。
(カップリング剤)
熱硬化性樹脂組成物には、熱硬化性樹脂成分である(A)〜(C)成分と、(D)白色顔料及び必要に応じて添加される無機充填材との接着性を向上させる観点からカップリング剤を添加することが好ましい。カップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、シランカップリング剤及びチタネート系カップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、一般にエポキシシラン系、アミノシラン系、カチオニックシラン系、ビニルシラン系、アクリルシラン系、メルカプトシラン系及びこれらの複合系が挙げられ、任意の添加量で用いることができる。なお、カップリング剤の配合量は、熱硬化性樹脂組成物全体に対して5質量%以下であることが好ましい。
また、樹熱硬化性脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、離型剤、イオン捕捉剤等の添加剤を添加してもよい。
以下、本発明について実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<多価カルボン酸縮合体の作製>
合成例A1およびA2の合成は、下記の繰り返し単位用モノマーと両末端用のモノマーとを、無水酢酸中で5〜60分にわたって窒素雰囲気下で還流した後、温度を180℃まで上昇させ、窒素気流下、開放系で反応によって生成した酢酸及び水を留去した。揮発成分が認められなくなったところで、反応容器内を減圧しながら、180℃の温度で1〜15時間にわたって溶融縮合し、多価カルボン酸縮合体を得た。
(合成例A1)
繰り返し単位:水素化テレフタル酸 (東京化成社製) ;125g、
両末端:1,2−無水トリメリット酸 (三菱ガス化学社製) ;126g。
(合成例A2)
繰り返し単位:水素化テレフタル酸 (東京化成社製) ;125g、
両末端:水素化−1,2−無水トリメリット酸 (三菱ガス化学社製) ;126g。
<材料1の調製>
材料1は、以下の成分を混合することによって調製した。
トリエポキシプロピルイソシアヌレート(エポキシ当量100,日産化学社製,商品名:TEPIC−S):20質量部、
合成例A1:3.6質量部、
テトラヒドロフタル酸無水物(新日本理化株式会社製、商品名リカシッドTH):8.6質量部、
ヘキサヒドロフタル酸無水物(新日本理化株式会社製、商品名リカシッドHH):8.6質量部、
テトラ−n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート(日本化学工業社製、商品名:PX−4PB):0.7質量部、
トリメトキシエポキシシラン(東レダウコーニング社製、商品名:S6040):0.5質量部、
溶融シリカA(電気化学工業社製、商品名:FB−950):75質量部、
溶融シリカB(電気化学工業社製、商品名:S0−25R):19質量部、
中空粒子(住友3M社製、商品名:S60−HS):26質量部、
酸化チタン(石原産業社製、商品名:CR63):89質量部。
<材料2の調製>
材料2は、以下の成分を混合することによって調製した。
トリエポキシプロピルイソシアヌレート(エポキシ当量100,日産化学社製,商品名:TEPIC−S):20質量部、
合成例A2:3.7質量部
ヘキサヒドロフタル酸無水物(新日本理化株式会社製、商品名リカシッドHH):21質量部、
テトラ−n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート(日本化学工業社製、商品名:PX−4PB):0.7質量部、
トリメトキシエポキシシラン(東レダウコーニング社製、商品名:S6040):0.5質量部、
溶融シリカA(電気化学工業社製、商品名:FB−950):75質量部、
溶融シリカB(電気化学工業社製、商品名:S0−25R):19質量部、
中空粒子(住友3M社製、商品名:S60−HS):26質量部、
酸化チタン(石原産業社製、商品名:CR63)89質量部。
<樹脂材料の粉砕処理>
(実施例1)
図2に示す構成のスクリーン(内径250mm、本体部の厚さ2mm、開口部φ3mm、穴ピッチ4.5mm、テーパ部角度(角度α)60°)を準備した。このスクリーンをパワーミル(株式会社ダルトン社製、商品名:P−5)に装着し、材料1,2の粉砕処理をそれぞれ行った。
(実施例2)
図1に示す構成のスクリーンの代わりに、図5に示す構成のスクリーン(内径250mm、本体部の厚さ2mm、開口スリット幅3mm、スリットピッチ4.5mm、テーパ部角度60°)をパワーミルに装着したことの他は、実施例1と同様にして材料1,2の粉砕処理をそれぞれ行った。
(実施例3)
図1に示す構成のスクリーンの代わりに、図7に示す構成のスクリーン(内径250mm、本体部の厚さ2mm、開口スリット幅3mm、スリットピッチ4.5mm、テーパ部角度60°、スリット傾斜角(角度β)30°)をパワーミルに装着したことの他は、実施例1と同様にして材料1,2の粉砕処理をそれぞれ行った。
(実施例4)
図1に示す構成のスクリーンの代わりに、図8に示す構成のスクリーン(内径250mm、本体部厚さ2mm、開口スリット幅3mm、スリットピッチ4.5mm、テーパ部角度60°)をパワーミルに装着したことの他は、実施例1と同様にして材料1,2の粉砕処理をそれぞれ行った。
(比較例1)
図1に示す構成のスクリーンの代わりに、図9に示す構成の従来のスクリーン(内径250mm、本体部厚さ2mm、開口部φ3mm、穴ピッチ4.5mm)をパワーミルに装着したことの他は、実施例1と同様にして材料1,2の粉砕処理をそれぞれ行った。
<評価項目>
以下の項目について、実施例1〜4及び比較例1において使用したスクリーンをそれぞれ評価した。なお、表1に結果を示す。
(1)樹脂材料の排出性
パワーミルから排出された樹脂材料の量に基づいて評価を行った。
A:非常に良好、
B:良好、
C:悪い。
(2)スクリーンの目詰まりの有無
粉砕処理後にパワーミルからスクリーンを取り出し、スクリーンの表面を目視によって観察した。
A:付着なし、
B:わずかに付着あり、
C:大量に付着あり。
(3)スクリーンの清掃性
パワーミルからスクリーンを取り出したスクリーンの清掃に要した時間に基づいて評価を行った。
A:清掃の必要なし、
B:清掃容易、
C:清掃困難。
Figure 2011230050
1,2,3,4…スクリーン、1a,2a,3a,4a…本体部、1b,2b,3b,4b…開口部、1c,2c,3c,4c…テーパ部、20…樹脂材料粉砕機、22…回転羽、F1…スクリーンの内面、F2…スクリーンの外面。

Claims (5)

  1. 樹脂材料粉砕機が備える回転羽の外側に設置されるスクリーンであって、
    筒状の本体部と、
    前記本体部の内面から外面にかけて貫通する複数の開口部と、
    を備え、
    前記開口部は、前記本体部の内面から外面に向けて開口サイズが拡大するテーパ部を有するスクリーン。
  2. 前記開口部は、前記本体部の内面から外面への方向に対して垂直な断面の形状が円形である、請求項1に記載のスクリーン。
  3. 前記開口部がスリット状に設けられている、請求項1に記載のスクリーン。
  4. 前記本体部の軸方向とスリット状の前記開口部の長手方向とのなす角度が0〜90°である、請求項3に記載のスクリーン。
  5. 樹脂材料の粉砕方法であって、
    回転羽と、前記回転羽の外側に設置された請求項1〜4のいずれか一項に記載のスクリーンとを備えた樹脂粉砕機に樹脂材料を供給する工程と、
    前記回転羽及び前記スクリーンの前記テーパ部において前記樹脂材料を粉砕する工程と、
    を備える方法。
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