JP2011059497A - ズームレンズおよび撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】レンズ枚数を少なくし、全体として小型化を図る。
【解決手段】負の第1レンズ群G1と、正の第2レンズ群G2と、負の第3レンズ群G3と、正の第4レンズ群G4とを備える。第1レンズ群G1を負レンズL11と反射部材(直角プリズムLP)と正レンズL12とで構成し、第2レンズ群G2を2枚の正レンズで構成する。第3レンズ群G3は、像面側に凹面を向けた負レンズを含む2枚以下のレンズで構成する。第1レンズ群G1内の負レンズL11のd線に対するアッベ数をνd1n、正レンズL12のd線に対するアッベ数をνd1p、負レンズL11のd線に対する屈折率をNd1n、広角端における全系の焦点距離をfw、第2レンズ群G2の焦点距離をf2としたとき、以下の条件式を満足する。
νd1n>40 ……(1)
15<νd1p<30 ……(2)
Nd1n>1.55 ……(3)
0.9<f2/fw<2.5 ……(4)
【選択図】図1

Description

本発明は、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、および情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistance)等に好適に用いられるズームレンズおよび撮像装置に関する。
近年、デジタルスチルカメラ等の撮像装置においては、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子の小型化が進むにつれて、装置全体としての小型化が求められている。一方、デジタルスチルカメラや携帯端末装置に最適な小型のズームレンズ系として、従来より、レンズ系に直角プリズム等の反射部材を設け、光路を途中で直角に折り曲げた、いわゆる、屈曲式のズームレンズが知られている(特許文献1ないし5参照)。小型化や広角化に有利なタイプの屈曲式ズームレンズとしては、第1レンズ群が負の屈折力を有したいわゆるマイナスリードタイプが知られている。例えば特許文献1ないし3には、物体側より順に、負、正、負、正のレンズ群が配置され、第2レンズ群と第3レンズ群とを移動させて変倍を行う構成の屈曲式ズームレンズが開示されている。
特開2006−330349号公報 特開2006−284790号公報 特開2007−86307号公報 特開2003−302575号公報 特開2006−119324号公報
特許文献1ないし3に記載の屈曲式ズームレンズは小型化が図られているものの、特に携帯端末装置用のカメラに搭載するような場合には、さらに小型化する必要がある。特許文献1ないし3に共通する構成として、第1レンズ群の反射部材よりも像面側に2枚のレンズを有しているが、これらのレンズのうち1枚でも削減することができれば、小型化および低コスト化を実現できる。第1レンズ群に配置されるレンズは、外径が大きいため、コストに大きく影響する。また、第1レンズ群のレンズ枚数を削減することで、同じレンズ全長で考えた場合、第2レンズ群の移動量を大きくすることができる。これにより、個々のレンズが担うパワーを小さくでき、製造誤差や組立誤差に対する性能劣化の敏感度を下げることができる。さらに、変倍に伴う像面変動を抑えることができる。
特許文献1ないし3に共通するもう1つの構成として、第2レンズ群が2枚の正レンズと1枚の負レンズとから構成されている点が挙げられる。そこで、第2レンズ群についても、レンズ枚数を削減することが考えられる。しかしながら、正レンズを削減することは容易ではない。2枚の正レンズに分散していたパワーを1枚の正レンズで補う必要があるためである。1枚のレンズが担うパワーが強くなりすぎると、収差補正が困難になるとともに、製造誤差や組立誤差に対する性能劣化の敏感度が高くなり好ましくない。それを防止するためには、第2レンズ群のパワーを弱くする必要があり、むしろ、小型化には不利になる。そこで、負レンズを削減し、2枚の正レンズで構成することが考えられる。2枚の正レンズのパワーや、材料を工夫することによって、色収差を良好に補正することができる。第2レンズ群から負レンズを削減したことにより、3枚構成の場合における正レンズと同じパワーで、第2レンズ群全体のパワーを強くできるため、第2レンズ群の移動量を小さくでき、小型化に有利になる。
特許文献4には、第1レンズ群内で反射部材よりも像面側に配置されたレンズが1枚の例が開示されているが、変倍比が2倍程度と小さい。また、第1レンズ群には、低屈折率低分散の材料が用いられているため、高倍率化を図ったときに、第1レンズ群の最も物体側に配置された負レンズが大きくなり、屈曲後のレンズユニットの厚みが大きくなり好ましくない。また、特許文献5に記載のように、反射部材としてのプリズム自体がパワーを持っている例が多く提案されている。この場合、第1レンズ群内でプリズムよりも像面側にはレンズが配置されていない例が多いが、このようなプリズムを加工する場合、非常に手間とコストがかかり好ましくない。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、レンズ枚数が少なく、全体として小型化の図られたズームレンズおよび撮像装置を提供することにある。
本発明によるズームレンズは、物体側より順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群とから構成され、各レンズ群の光軸上の間隔を変化させることで変倍を行うようになっている。第1レンズ群は、物体側より順に、負レンズと、入射光を反射して光路を折り曲げる反射部材と、正レンズとから構成されている。第2レンズ群は2枚の正レンズから構成されている。第3レンズ群は、像面側に凹面を向けた負レンズを含む2枚以下のレンズで構成されている。そして、第1レンズ群内の負レンズのd線に対するアッベ数をνd1n、第1レンズ群内の正レンズのd線に対するアッベ数をνd1p、第1レンズ群内の負レンズのd線に対する屈折率をNd1n、広角端における全系の焦点距離をfw、第2レンズ群の焦点距離をf2としたとき、以下の条件式を満足するようにしたものである。
νd1n>40 ……(1)
15<νd1p<30 ……(2)
Nd1n>1.55 ……(3)
0.9<f2/fw<2.5 ……(4)
本発明によるズームレンズでは、第1レンズ群内に配置された反射部材によって光路が折り曲げられる屈曲式の光学系とされていることで、良好な光学性能を維持しつつ、光学系の厚さ方向の長さが抑えられ、撮像装置に組み込んだときの薄型化が容易となる。また、物体側から順に、屈折力が負、正、負、正の4つのレンズ群を配設し、各レンズ群の光軸上の間隔を変化させることで変倍を行うようになされた4群方式のズームレンズとすることで、全長の短縮化が容易となる。そして、第1レンズ群および第2レンズ群をそれぞれ2枚のレンズで構成するなどしてレンズ枚数を抑えつつ各レンズ群の構成の最適化を図ったことで、レンズ枚数を少なくし、光学系全体としての小型化が容易となる。
そして、さらに、次の好ましい構成を適宜採用して満足することで、レンズ系全体としての光学性能を良好に保ちつつ、さらなる小型化を図りやすくなる。
本発明によるズームレンズにおいて、第2レンズ群内の少なくとも1枚の正レンズのd線に対するアッベ数をνd2pとしたとき、以下の条件式を満足することが好ましい。
νd2p>60 ………(5)
第2レンズ群は、1枚のプラスチックレンズと、1枚のガラスレンズとから構成されていても良い。この場合、第2レンズ群内のプラスチックレンズの焦点距離をf2pとしたとき、以下の条件式を満足することが好ましい。
2.5<f2p/f2<6.0 ……(6)
また、第1レンズ群の焦点距離をf1、第1レンズ群内の正レンズの焦点距離をf1pとしたとき、以下の条件式を満足することが好ましい。
|f1p/f1|>4.0 ……(7)
また、第1レンズ群内の反射部材を構成する材料のd線に対する屈折率をNd1pとしたとき、以下の条件式を満足することが好ましい。
Nd1p>1.78 ……(8)
第1レンズ群は、少なくとも1枚の非球面レンズを有することが好ましい。また、反射部材が直角プリズムからなり、直角プリズムの入射面と出射面は屈折力を持たない構成であることが好ましい。
また、絞りが、第2レンズ群と第3レンズ群との間に配置されていても良い。この場合、変倍時に、絞りが第3レンズ群と一体で移動するようになされていても良い。
第4レンズ群は、変倍の際に固定されていていても良い。また、第3レンズ群または第4レンズ群を光軸上で移動させることにより合焦を行うようになされていても良い。
本発明による撮像装置は、本発明によるズームレンズと、このズームレンズによって形成された光学像に応じた撮像信号を出力する撮像素子とを備えたものである。
本発明による撮像装置では、本発明の小型化の図られた高性能のズームレンズを撮像レンズとして用いて、装置全体としての小型化が図られる。
本発明のズームレンズによれば、基本構成を小型化に有利な屈曲式の4群ズームの構成とし、第1レンズ群および第2レンズ群をそれぞれ2枚のレンズで構成するなどしてレンズ枚数を抑えつつ各レンズ群の構成の最適化を図るようにしたので、従来に比べてレンズ枚数が少なく、全体として小型化を図ることができる。
また、本発明の撮像装置によれば、上記本発明の小型化の図られた高性能のズームレンズを撮像レンズとして用いるようにしたので、良好な撮像性能を維持しつつ、装置全体としての小型化を図ることができる。
本発明の一実施の形態に係るズームレンズの第1の構成例を示すものであり、実施例1に対応するレンズ断面図である。 本発明の一実施の形態に係るズームレンズの第2の構成例を示すものであり、実施例2に対応するレンズ断面図である。 本発明の一実施の形態に係るズームレンズの第3の構成例を示すものであり、実施例3に対応するレンズ断面図である。 本発明の一実施の形態に係るズームレンズの第4の構成例を示すものであり、実施例4に対応するレンズ断面図である。 本発明の一実施の形態に係るズームレンズの第5の構成例を示すものであり、実施例5に対応するレンズ断面図である。 図1に示したズームレンズを光路を折り曲げた状態で示したレンズ断面図である。 実施例1に係るズームレンズの広角端における諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)はディストーション、(D)は倍率色収差を示す。 実施例1に係るズームレンズの望遠端における諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)はディストーション、(D)は倍率色収差を示す。 実施例2に係るズームレンズの広角端における諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)はディストーション、(D)は倍率色収差を示す。 実施例2に係るズームレンズの望遠端における諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)はディストーション、(D)は倍率色収差を示す。 実施例3に係るズームレンズの広角端における諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)はディストーション、(D)は倍率色収差を示す。 実施例3に係るズームレンズの望遠端における諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)はディストーション、(D)は倍率色収差を示す。 実施例4に係るズームレンズの広角端における諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)はディストーション、(D)は倍率色収差を示す。 実施例4に係るズームレンズの望遠端における諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)はディストーション、(D)は倍率色収差を示す。 実施例5に係るズームレンズの広角端における諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)はディストーション、(D)は倍率色収差を示す。 実施例5に係るズームレンズの望遠端における諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)はディストーション、(D)は倍率色収差を示す。 本発明の一実施の形態に係る撮像装置としてのデジタルカメラの一構成例を示す前側外観図である。 本発明の一実施の形態に係る撮像装置としてのデジタルカメラの一構成例を示す背面側外観図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1(A),(B)は、本発明の一実施の形態に係るズームレンズの第1の構成例を示している。この構成例は、後述の第1の数値実施例のレンズ構成に対応している。なお、図1(A)は無限遠合焦状態でかつ広角端(最短焦点距離状態)での光学系配置、図1(B)は無限遠合焦状態でかつ望遠端(最長焦点距離状態)での光学系配置に対応している。同様にして、後述の第2ないし第5の数値実施例のレンズ構成に対応する第2ないし第5の構成例の断面構成を、図2(A),(B)〜図5(A),(B)に示す。図1(A),(B)〜図5(A),(B)において、符号Riは、最も物体側の構成要素の面を1番目として、像側(結像側)に向かうに従い順次増加するようにして符号を付したi番目の面の曲率半径を示す。符号Diは、i番目の面とi+1番目の面との光軸Z1上の面間隔を示す。なお符号Diについては、変倍に伴って変化する部分の面間隔(例えば第1の構成例についてはD6,D10,D13)のみ符号を付す。
このズームレンズは、光軸Z1に沿って物体側から順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4とを備えている。光学的な開口絞りStは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間に配置されている。
このズームレンズは、例えばビデオカメラ、およびデジタルスチルカメラ等の撮影機器のほか、PDA等の情報携帯端末にも搭載可能である。このズームレンズの像側には、搭載されるカメラの撮影部の構成に応じた部材が配置される。例えば、このズームレンズの結像面(撮像面)には、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子100が配置される。撮像素子100は、このズームレンズによって形成された光学像に応じた撮像信号を出力するものである。少なくとも、このズームレンズと撮像素子100とで、本実施の形態における撮像装置が構成される。最終レンズ群(第4レンズ群G4)と撮像素子100との間には、レンズを装着するカメラ側の構成に応じて、種々の光学部材GCが配置されていても良い。例えば撮像面保護用のカバーガラスや赤外線カットフィルタなどの平板状の光学部材が配置されていても良い。
このズームレンズは、各レンズ群の光軸上の間隔を変化させることにより変倍を行うようになされている。例えば第2レンズ群G2および第3レンズ群G3が変倍時に光軸Z1上で移動するようになっている。また、第3レンズ群G3または第4レンズ群G4を合焦時に移動させるようにしても良い。第1レンズ群G1は変倍および合焦時に常時固定であることが好ましい。第4レンズ群G4は変倍の際に固定であることが好ましい。開口絞りStは、例えば第3レンズ群G3と共に移動するようになっている。図1(A),(B)〜図5(A),(B)には、広角端から望遠端へと変倍させる際の各移動群の軌跡を実線の矢印で示している。
第1レンズ群G1は、全体として負の屈折力を有している。第1レンズ群G1は、物体側より順に、負レンズL11と、入射光を反射して光路を折り曲げる反射部材としての直角プリズムLPと、正レンズL12とから構成されている。第1レンズ群G1は、少なくとも1枚の非球面レンズを有することが好ましい。
ここで、本実施の形態に係るズームレンズは屈曲光学系であり、実際には、図6に示すように、第1レンズ群G1において、例えば直角プリズムLPの内部反射面で光路が略90°折り曲げられている。なお、図6は図1(A)に示した第1の構成例に対応するものであるが、他の構成例についても同様である。図1(A),(B)〜図5(A),(B)では、光軸Z1を直線状とし、直角プリズムLPの内部反射面を省略して同一方向に展開し、等価的に直線的な光学系として示している。なお、直角プリズムLPに代えて、反射ミラー等の他の反射部材を用いても良い。ただし、反射部材として直角プリズムLPを用いる方が、反射ミラーを用いる場合よりも見掛け上の光路長を短くできるので、第1レンズ群G1を小型化でき、引いては全体を小型化できるので好ましい。また、直角プリズムLPの入射面と出射面は光軸Z1に対して垂直(曲率半径∞)な平面とされ、屈折力を持たない構成であることが好ましい。これにより低コスト化を図ることができる。
第2レンズ群G2は、全体として正の屈折力を有している。第2レンズ群G2は、2枚の正レンズで構成されている。第2レンズ群G2の2枚の正レンズのうち、1枚はプラスチックレンズ、もう1枚はガラスレンズであることが好ましい。例えば、プラスチックレンズからなる第1の正レンズL21と、ガラスからなる第2の正レンズL22とから構成されていることが好ましい。第2レンズ群G2は、少なくとも1枚の非球面レンズを有することが好ましい。
第3レンズ群G3は、全体として負の屈折力を有している。第3レンズ群G3は、2枚以下のレンズ(第1のレンズL31のみ、または第1のレンズL31と第2のレンズL32)からなり、像面側に凹面を向けた負レンズを含んでいる。図1(A),(B)〜図2(A),(B)に示した第1〜第2の構成例では、第3レンズ群G3を第1のレンズL31のみで構成し、その第1のレンズL31を像面側に凹面を向けた負レンズとした例を示している。図3(A),(B)〜図5(A),(B)に示した第3〜第5の構成例では、第3レンズ群G3を第1のレンズL31と第2のレンズL32とで構成し、第2のレンズL32を像面側に凹面を向けた負レンズとした例を示している。
第4レンズ群G4は、全体として正の屈折力を有している。第4レンズ群G4は、2枚以下のレンズ(第1のレンズL41のみ、または第1のレンズL41と第2のレンズL42)より構成されている。
このズームレンズは、第1レンズ群G1内の負レンズL11のd線に対するアッベ数をνd1n、正レンズL12のd線に対するアッベ数をνd1p、負レンズL11のd線に対する屈折率をNd1n、広角端における全系の焦点距離をfw、第2レンズ群G2の焦点距離をf2としたとき、以下の条件式を満足するように構成されている。
νd1n>40 ……(1)
15<νd1p<30 ……(2)
Nd1n>1.55 ……(3)
0.9<f2/fw<2.5 ……(4)
また、第2レンズ群G2内の少なくとも1枚の正レンズのd線に対するアッベ数をνd2pとしたとき、以下の条件式を満足することが好ましい。
νd2p>60 ………(5)
また、第2レンズ群G2内のプラスチックレンズ(第1の正レンズL21)の焦点距離をf2pとしたとき、以下の条件式を満足することが好ましい。
2.5<f2p/f2<6.0 ……(6)
また、第1レンズ群G1の焦点距離をf1、第1レンズ群G1内の正レンズL12の焦点距離をf1pとしたとき、以下の条件式を満足することが好ましい。
|f1p/f1|>4.0 ……(7)
また、第1レンズ群G1内の反射部材(直角プリズムLP)を構成する材料のd線に対する屈折率をNd1pとしたとき、以下の条件式を満足することが好ましい。
Nd1p>1.78 ……(8)
図17,図18は、このズームレンズが搭載される撮像装置の一例として、デジタルスチルカメラを示している。特に図17は、このデジタルスチルカメラ10を前側から見た外観を示し、図18は、このデジタルスチルカメラ10を背面側から見た外観を示している。このデジタルスチルカメラ10は、その前面側の中央上部に、ストロボ光を照射するストロボ発光部21を備えている。また、その前面側においてストロボ発光部21の側方部には、撮影対象からの光が入射する撮影開口22が設けられている。このデジタルスチルカメラ10はまた、上面側に、レリーズボタン23と電源ボタン24とを備えている。このデジタルスチルカメラ10はまた、背面側に、表示部25と操作部26,27とを備えている。表示部25は、撮像された画像を表示するためのものである。このデジタルスチルカメラ10では、レリーズボタン23を押圧操作することにより、1フレーム分の静止画の撮影が行われ、この撮影で得られる画像データがデジタルスチルカメラ10に装着されたメモリカード(図示せず)に記録される。
このデジタルスチルカメラ10は、筐体内部に撮像レンズ1を備えている。この撮像レンズ1として、本実施の形態に係るズームレンズが用いられている。撮像レンズ1は、前面側に設けられた撮影開口22に、最も物体側のレンズL11が位置するように配置されている。撮像レンズ1は、直角プリズムLPによる折り曲げ後の光軸Z1がカメラボディの縦方向と一致するようにして、デジタルスチルカメラ10の内部に全体として縦方向に組み込まれている。なお、折り曲げ後の光軸Z1がカメラボディの横方向となるようにして、デジタルスチルカメラ10の内部に全体として横方向に組み込まれていても良い。
次に、以上のように構成されたズームレンズの作用および効果を説明する。
このズームレンズでは、第1レンズ群G1内に配置された反射部材によって光路が折り曲げられる屈曲式の光学系とされていることで、良好な光学性能を維持しつつ、光学系の厚さ方向の長さが抑えられ、撮像装置に組み込んだときの薄型化が容易となる。また、物体側から順に、屈折力が負、正、負、正の4つのレンズ群を配設し、各レンズ群の光軸上の間隔を変化させることで変倍を行うようになされた4群方式のズームレンズとすることで、全長の短縮化が容易となる。そして、第1レンズ群G1および第2レンズ群G2をそれぞれ2枚のレンズで構成するなどしてレンズ枚数を抑えつつ各レンズ群の構成の最適化を図ったことで、レンズ枚数を少なくし、光学系全体としての小型化が容易となる。
このタイプのズームレンズは、広角端から望遠端への変倍によるFNo.の変動が大きい。従って、望遠端でのFNo.を明るくするためには、広角端でのFNo.を明るくしておく(開放径を大きくしておく)必要がある。しかしながら、広角端でのFNo.を必要以上に明るくすると、収差補正が困難になるとともに、レンズが大きくなってしまう。そこで、広角端での開放径を望遠端での開放径よりも小さくするなど、ズーム倍率ごとに異なる開放径になるように制御する(開放規制)ことで、明るさの変動を大きくできる。必要に応じて、このような制御を行ってもよい。
以下、上記した条件式に関する作用および効果をより詳細に説明する。
条件式(1)は、第1レンズ群G1における負レンズL11のアッベ数を規定している。条件式(2)は、第1レンズ群G1における正レンズL12のアッベ数を規定している。条件式(1),(2)は、ズーム全域にわたって色収差を良好に補正するための条件である。条件式(1)の下限を下回る、または条件式(2)の下限を下回るか上限を上回ると、ズーム全域にわたって色収差を良好に補正することが困難になり好ましくない。また、軸上色収差と倍率色収差のバランスをとることが困難になり好ましくない。
より高い光学性能を得るために、条件式(1),(2)の数値範囲は、
νd1n>45 ……(1’)
16<νd1p<29 ……(2’)
であることが望ましい。
条件式(3)は、第1レンズ群G1における負レンズL11の屈折率を規定している。条件式(3)の下限を下回ると、レンズの曲率が大きくなって、屈曲後の厚みが大きくなり好ましくない。
より高い光学性能を得るために、条件式(3)の数値範囲は、
Nd1n>1.56 ……(3’)
であることが望ましい。
条件式(4)は、第2レンズ群G2の焦点距離f2を広角端における全系の焦点距離fwで規格化したものである。条件式(4)の下限を下回ると、第2レンズ群G2内のレンズの曲率が大きくなって、収差補正が困難になるとともに、変倍に伴う収差変動が大きくなり好ましくない。また、第2レンズ群G2の正レンズには、低分散材料を用いることが好ましいが、分散の低い材料は、屈折率も低くなるため、条件式(4)の下限を下回る場合には、必要なコバ(縁肉)を確保するための中心厚が大きくなり、好ましくない。さらに、製造誤差や組立誤差による性能劣化の敏感度が高くなって好ましくない。逆に、条件式(4)の上限を上回ると、第2レンズ群G2の移動量が大きくなって、レンズが大型化してしまう。
より高い光学性能を得るために、条件式(4)の数値範囲は、
1.0<f2/fw<2.4 ……(4’)
であることが望ましい。
条件式(5)は、第2レンズ群G2を構成する正レンズのアッベ数の平均を規定しており、ズーム全域の倍率色収差補正に寄与している。条件式(5)の下限を下回ると、色収差が大きくなるとともに、変倍に伴う色収差の変動が大きくなり好ましくない。
より高い光学性能を得るために、条件式(5)の数値範囲は、
νd2p>65 ……(5’)
であることが望ましい。
条件式(6)は、第2レンズ群G2に配置されたプラスチックレンズ(第1の正レンズL21)の焦点距離f2pを、第2レンズ群G2の焦点距離f2で規格化したものである。条件式(6)の下限を下回ると、温度変化に伴って、像面位置変動などの特性変化が大きくなって、好ましくない。逆に、上限を上回ると、第2レンズ群G2の移動量が大きくなり、レンズ系が大型化するため、好ましくない。
より高い光学性能を得るために、条件式(6)の数値範囲は、
2.7<f2p/f2<5.9 ……(6’)
であることが望ましい。
条件式(7)は、第1レンズ群G1に配置された正レンズL12の焦点距離f1pを第1レンズ群G1の焦点距離f1で規格化したものである。条件式(7)の下限を下回ると、第1レンズ群G1に配置された正レンズL12、負レンズL11のパワーがともに強くなり、屈曲後のレンズ系の厚み、および、長さが大きくなり好ましくない。条件式(7)の範囲を満たす程度にレンズのパワーが弱ければ、レンズをプラスチックで構成してもよく、そのとき、低コスト化を実現できる。
より高い光学性能を得るために、条件式(7)の数値範囲は、
|f1p/f1|>4.5 ……(7’)
であることが望ましい。
条件式(8)は、第1レンズ群G1に配置された反射部材(直角プリズムLP)の屈折率を規定している。このズームレンズのように、第1レンズ群G1のパワーが負であるレンズタイプにおいては、最も物体側に配置された第1の負レンズL11を、ある程度分散の小さい材料で構成する必要がある。一般に分散の低い材料は、屈折率も低く、そのような材料で第1レンズ群G1を構成すると、レンズの曲率が大きくなってしまう。その場合、屈曲後のレンズユニットの厚みが大きくなってしまうという問題が生じる。そこで、反射部材を構成する材料を高屈折率材とすることによって、第1の負レンズL11の有効径を小さくしたり、反射部材を小さくしたりするなどの対策を施した方が好ましい。
より高い光学性能を得るために、条件式(8)の数値範囲は、
Nd1p>1.80 ……(8’)
であることが望ましい。
以上説明したように、本実施の形態に係るズームレンズによれば、基本構成を小型化に有利な屈曲式の4群ズームの構成とし、第1レンズ群G1および第2レンズ群G2をそれぞれ2枚のレンズで構成するなどしてレンズ枚数を抑えつつ各レンズ群の構成の最適化を図るようにしたので、従来に比べてレンズ枚数が少なく、全体として小型化を図ることができる。また、本実施の形態に係るズームレンズを搭載した撮像装置によれば、良好な撮像性能を維持しつつ、装置全体としての小型化を図ることができる。
次に、本実施の形態に係るズームレンズの具体的な数値実施例について説明する。以下では、複数の数値実施例を部分的にまとめて説明する。
[数値実施例1]
[表1]〜[表3]は、図1(A),(B)に示したズームレンズの構成に対応する具体的なレンズデータを示している。特に[表1]にはその基本的なレンズデータを示し、[表2]および[表3]にはその他のデータを示す。[表1]に示したレンズデータにおける面番号Siの欄には、実施例1に係るズームレンズについて、最も物体側の構成要素の面を1番目として、像側に向かうに従い順次増加するようにして符号を付したi番目の面の番号を示している。曲率半径Riの欄には、図1(B)において付した符号Riに対応させて、物体側からi番目の面の曲率半径の値(mm)を示す。面間隔Diの欄についても、同様に物体側からi番目の面Siとi+1番目の面Si+1との光軸上の間隔(mm)を示す。Ndjの欄には、物体側からj番目の光学要素のd線(587.6nm)に対する屈折率の値を示す。νdjの欄には、物体側からj番目の光学要素のd線に対するアッベ数の値を示す。
実施例1に係るズームレンズは、変倍に伴って第2レンズ群G2、および第3レンズ群G3が光軸上を移動するため、それらの各移動群の前後の面間隔D6,D10,D13の値は可変となっている。[表2]には、これらの可変面間隔D6,D10,D13の変倍時のデータとして、広角端および望遠端における値を示す。[表2]にはまた、諸データとして、広角端および望遠端における全系の近軸焦点距離f(mm)、画角(2ω)およびFナンバー(FNo.)の値についても示す。
[表1]のレンズデータにおいて、面番号の左側に付された記号「*」は、そのレンズ面が非球面形状であることを示す。実施例1に係るズームレンズは、第1レンズ群G1内の正レンズL12の像側の面S6と、第2レンズ群G2内の第1の正レンズL21の両面S7,S8と、第4レンズ群G4内の第1のレンズL41の両面S14,S15とが非球面形状となっている。[表1]の基本レンズデータには、これらの非球面の曲率半径として、光軸近傍の曲率半径の数値を示している。
[表3]には実施例1に係るズームレンズにおける非球面データを示す。非球面データとして示した数値において、記号“E”は、その次に続く数値が10を底とした“べき指数”であることを示し、その10を底とした指数関数で表される数値が“E”の前の数値に乗算されることを示す。例えば、「1.0E−02」であれば、「1.0×10-2」であることを示す。
実施例1に係るズームレンズの非球面データとしては、以下の式(A)によって表される非球面形状の式における各係数RAi,KAの値を記す。Zは、より詳しくは、光軸から高さhの位置にある非球面上の点から、非球面の頂点の接平面(光軸に垂直な平面)に下ろした垂線の長さ(mm)を示す。
Z=C・h2/{1+(1−KA・C2・h21/2}+ΣRAi・hi ……(A)
(i=n,n:3以上の整数)
ただし、
Z:非球面の深さ(mm)
h:光軸からレンズ面までの距離(高さ)(mm)
KA:非球面定数
C:近軸曲率=1/R
(R:近軸曲率半径)
RAi:第i次の非球面係数
Figure 2011059497
Figure 2011059497
Figure 2011059497
[数値実施例2〜5]
以上の実施例1に係るズームレンズと同様にして、図2(A),(B)に示したズームレンズの構成に対応する具体的なレンズデータを実施例2として、[表4]〜[表6]に示す。また同様にして、図3(A),(B)〜図5(A),(B)に示したズームレンズの構成に対応する具体的なレンズデータを実施例3〜5として、[表7]〜[表15]に示す。
Figure 2011059497
Figure 2011059497
Figure 2011059497
Figure 2011059497
Figure 2011059497
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Figure 2011059497
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Figure 2011059497
Figure 2011059497
Figure 2011059497
Figure 2011059497
[表16]には、上述の各条件式に関する値を、各実施例についてまとめたものを示す。[表16]から分かるように、各実施例について条件式(1)〜(8)の条件を満足している。
Figure 2011059497
[収差図]
図7(A)〜(D)はそれぞれ、実施例1に係るズームレンズにおける広角端での球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)および倍率色収差を示している。図8(A)〜(D)は、望遠端における同様の各収差を示している。各収差図には、d線(587.6nm)を基準波長とした収差を示す。球面収差図および倍率色収差図には、波長460nm、波長615nmについての収差も示す。非点収差図において、実線はサジタル方向、破線はタンジェンシャル方向の収差を示す。FNO.はF値、ωは半画角を示す。
同様に、実施例2に係るズームレンズについての諸収差を図9(A)〜(D)(広角端)、図10(A)〜(D)(望遠端)に示す。同様にして、実施例3〜7に係るズームレンズについての諸収差を図11〜図16の(A)〜(D)に示す。
以上の各数値データおよび各収差図から分かるように、各実施例について、各変倍域で諸収差が良好に補正され、高変倍比でありながら、レンズ全長が短く、小型化の図られたズームレンズが実現できている。
なお、本発明は、上記実施の形態および各実施例に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、各レンズ成分の曲率半径、面間隔および屈折率の値などは、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得る。
GC…光学部材、G1…第1レンズ群、G2…第2レンズ群、G3…第3レンズ群、G4…第4レンズ群、LP…直角プリズム(反射部材)、St…開口絞り、Ri…物体側から第i番目のレンズ面の曲率半径、Di…物体側から第i番目と第i+1番目のレンズ面との面間隔、Z1…光軸、100…撮像素子。

Claims (12)

  1. 物体側より順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群とから構成され、各レンズ群の光軸上の間隔を変化させることで変倍を行うようになされ、
    前記第1レンズ群は、物体側より順に、負レンズと、入射光を反射して光路を折り曲げる反射部材と、正レンズとから構成され、
    前記第2レンズ群は2枚の正レンズから構成され、
    前記第3レンズ群は、像面側に凹面を向けた負レンズを含む2枚以下のレンズで構成され、
    前記第1レンズ群内の負レンズのd線に対するアッベ数をνd1n、前記第1レンズ群内の正レンズのd線に対するアッベ数をνd1p、前記第1レンズ群内の負レンズのd線に対する屈折率をNd1n、広角端における全系の焦点距離をfw、前記第2レンズ群の焦点距離をf2としたとき、以下の条件式を満足する
    ことを特徴とするズームレンズ。
    νd1n>40 ……(1)
    15<νd1p<30 ……(2)
    Nd1n>1.55 ……(3)
    0.9<f2/fw<2.5 ……(4)
  2. 前記第2レンズ群内の少なくとも1枚の正レンズのd線に対するアッベ数をνd2pとしたとき、以下の条件式を満足する
    ことを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
    νd2p>60 ………(5)
  3. 前記第2レンズ群は、1枚のプラスチックレンズと、1枚のガラスレンズとから構成されている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のズームレンズ。
  4. 前記第2レンズ群内の前記プラスチックレンズの焦点距離をf2pとしたとき、以下の条件式を満足する
    ことを特徴とする請求項3に記載のズームレンズ。
    2.5<f2p/f2<6.0 ……(6)
  5. 前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記第1レンズ群内の正レンズの焦点距離をf1pとしたとき、以下の条件式を満足する
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のズームレンズ。
    |f1p/f1|>4.0 ……(7)
  6. 前記第1レンズ群内の反射部材を構成する材料のd線に対する屈折率をNd1pとしたとき、以下の条件式を満足する
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のズームレンズ。
    Nd1p>1.78 ……(8)
  7. 前記第1レンズ群は、少なくとも1枚の非球面レンズを有する
    ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  8. 前記反射部材が直角プリズムからなり、前記直角プリズムの入射面と出射面は屈折力を持たない構成である
    ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  9. 絞りが、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間に配置されている
    ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  10. 変倍時に、前記絞りが前記第3レンズ群と一体で移動するようになされている
    ことを特徴とする請求項9に記載のズームレンズ。
  11. 前記第4レンズ群は、変倍の際に固定されている
    ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  12. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載のズームレンズと、
    前記ズームレンズによって形成された光学像に応じた撮像信号を出力する撮像素子と
    を備えたことを特徴とする撮像装置。
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