JP2010261502A - キャビテーション損傷を軽減したスプール弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】スプール形式の多方向切換弁の流路切換エッジ部に発生するキャビテーションによる損傷を均一化し、損傷を分散させることにより切換弁を延命させる手段を提供する。
【解決手段】弁ハウジング20内に軸方向に摺動するスプール22を有する多方向切換弁において、スプール22のランド26の制御エッジ部23のキャビテーションによる損傷を均一化させるため、スプール22に回転付与手段40を設け、断続的または連続的な回転をスプール22に与え、流体流動を制御するためにポート33,34との相互作用に曝される、制御エッジ23の部分が、該制御エッジ部23の円周領域に均一に分散されるようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、スプール弁に関し、より具体的には、制御弁またはパイロット弁として使用可能な制御エッジ部を有するスプール弁に関する。
発明の背景
制御弁についてはよく知られており、具体的には、長手方向にスプールを有する型の方向制御弁が広く用いられている。このような弁は、ポンプ、タンク、および消費機器用の複数の接続ポートを有する。これらの複数のポートは、スプールの軸に対して横方向または半径方向にオフセットされて配置される。スプールのランド(軸隙間)の制御エッジ部は、ポートのエッジ部と相互作用して流体流動を制御する。多くの場合、これらの制御弁は、その動作期間の大部分において、その(クローズド)センタ位置付近において、ポートのエッジ部とランドの制御エッジ部との間の流路が比較的狭くなるように保たれているため、非常に大きな流率変化と急激な圧力低下を生じ、キャビテーションを発生させる。制御エッジ部は、このキャビテーションにより頻繁に損傷を受ける。これは、キャビテーションによる浸食に起因し、これによって弁は早くから機能しなくなる。損傷は、弁ハウジングのポート開口部に直接近接するスプール部分に生ずる。
このような背景から、本発明の目的は、上述の欠点を克服するか、または少なくとも軽減することにある。
円周状の制御エッジ部を有する弁スプールを備えるスプール弁であって、断続的または連続的な回転を弁スプールに付与する手段が設けられ、それによって、流体流動を制御するためのポートとの相互作用に曝される前記制御エッジ部の部分が、該制御エッジ部の円周領域に均一に分散されるようにすることによって達成される。
前記弁スプールの頻繁な任意もしくは非任意の回転または連続的な回転を導入することによって、摩耗負荷は、前記スプールの円周域で分散され、これによって、前記スプール弁の全体的な寿命を延ばすことができる。キャビテーション損傷を均一に分散させることは、制御エッジ部の摩耗を制御エッジ部の円周域で分散させるように回転しない弁スプールを有する従来の構造に比べて、局所的なキャビテーション損傷のレベルが、スプール弁の適切な動作のためには超えてはならないレベルに到達するのを遅くすることを意味する。
この回転は、以下のいくつかの方式で実装可能である。
弁スプールは、例えば、専用の電気モータによって連続的に駆動することができる。
弁スプールは、例えば、油圧で連続的に駆動することができる。
弁スプールを、例えば自由に回転することができるようにしておき、スプール自体に加工されるかスプールに取り付けられる翼や羽根が、弁の開放の毎に、又は連続的に、回転力を生むようにしてもよい。
好ましくは、弁スプールの断続的または連続的な回転は、前記少なくとも1つの制御エッジ部の円周の各部分が、前記スプール弁の動作中に、前記1つ以上の高圧ポートとの相互作用に同じように曝されるようにする。
前記回転付与手段は、前記弁スプールに連結される羽根または翼と、その羽根または翼に作用する、流動する油圧流体とを含んでいてもよい。前記羽根または翼は、弁スプールと不可分な構造であってもよく、タンクへの流れによって駆動されることが可能である。
あるいは、前記回転付与手段は、前記弁スプールに連結される羽根車と、前記羽根車に作用する油圧流体の流れとを含んでいてもよい。
また、前記弁スプールは、弁スプールの回転速度を制限するための回転油圧ダンパーをさらに備えてもよい。
スプール弁のスプールにおける円周状の制御エッジ部の円周域の一部がポートと相互作用することにより発生するキャビテーションに起因する、前記制御エッジ部の損傷の影響を軽減する方法であって、前記弁スプールを断続的または連続的に回転させることにより、前記制御エッジ部において前記ポートと相互作用する円周部分の位置が、前記スプール弁の動作中に常に変化するようにすることを含む、方法を提供することによっても達成される。
本発明に従うスプール弁および方法に関するさらなる目的、特徴、利点、および特性は、詳細な説明より明らかになるであろう。
本説明の以下の詳細部分において、図面に示される例示的実施形態を参照して、本発明についてより詳細に説明する
例示的実施形態に従うスプール弁の略断面図である。 図1に示される弁の弁スプールのランドの詳細図である。 図1のスプール弁の第1の断面図である。 図1のスプール弁の第2の断面図である。 別の例示的実施形態に従うスプール弁の略断面図である。 さらに別の例示的実施形態に従うスプール弁の略断面図である。 図6のスプール弁の断面図である。 図6のスプール弁の別の断面図である。
好適な実施形態の詳細な説明
図1から図4は、例示的実施形態に従う油圧スプール弁10を示す。スプール弁10は、例示的実施形態において、クローズドセンタ型制御弁である。
スプール弁20は、高圧流体供給ポート32および33を有する弁ハウジング20を含み、これらのポートは、高圧ポンプ等の適切な供給源(図示せず)から高圧流体を受けるように構成される。
弁ハウジング20には、軸方向に延在する、スプールを収容するための孔状の空間24が設けられ、この空間に弁スプール22が配置される。
弁スプール22は、孔24内における回転運動および孔の長手方向軸に沿った軸方向運動が可能又は許されるように取り付けられる。弁スプール22の軸方向運動は、弁ハウジング20の一端に取り付けられるソレノイド50の作用によって得られる。ソレノイド50には電子制御ユニット55が連結される。また、弁スプール22の軸方向位置を判断するための位置センサも設けられる。弦巻バネ37は、弁スプール22をソレノイド50側に付勢する。
弁スプール22には、2つのランド25および26が設けられる。ランド26には、高圧ポート33、34、および35と相互作用する2つの制御エッジ部23が設けられる。
高圧ポート34および35は、チャネル31を介して、高圧ポート33に連結される。制御エッジ部23は、ランド26の全周に亘って設けられる。しかしながら、図3から明確に理解できるように、ある瞬間に高圧ポート33や34,35と相互作用するのは、制御エッジ部23の円周域の一部のみである。この実施形態においては、ランド26の制御エッジ部23と相互作用する3つの高圧ポートが存在するため、ある瞬間にポートと相互作用する制御エッジ部23の円周部分は比較的広い。しかしながら、別の実施形態では、1つの制御エッジ部が、高圧ポート(図3のように2つまたは3つではない)が1つしかなく、高圧ポートと相互作用する制御エッジ部の部分も一箇所しかない。このような実施形態においては、ある瞬間に高圧ポートと相互作用するのは、制御エッジ部23の円周域のほんの一部だけである。かかる実施形態は、弁スプールの開放ストロークが同じであっても流路面積を小さくすることができるので、少ない流量をより精密に制御することが可能になるという利点を有している。
ランド25には、ランド26と全く同じように制御エッジ部が設けられ、ランド25の制御エッジ部は、ランド26が3つの高圧ポートと相互作用するのと同様に、3つの高圧ポート(ポート32および図示されていない他の2つのポート)と相互作用する。
ポート28は、消費機器(consumer)に連結され、ポート39および30はタンクに連結される。
羽根車40は、弁スプール22においてランド25とランド26との間に取り付けられる。羽根車は、ポート28に流動する流体によって駆動され、つまり、消費機器への流れによって、羽根車が駆動し、弁シャフト22が回転する。弁シャフトは、スプール弁20の開放時のみ回転するため、シャフトの回転は断続的である。
圧力ポート32、33、34、35と制御エッジ部23との相互作用により、制御エッジ部23および制御エッジ部23に近接する領域でキャビテーション損傷が発生しうる。
動作中、弁スプール22の位置は、ソレノイド50によって制御される。ソレノイド50が作動して弁スプール22を押出すると(図の左側方向に)、圧力ポート33はポート30に連結され、圧力ポート32はポート28に連結される。ソレノイド50が作動して図の右側方向に弁スプール22を引張すると、圧力ポート33はポート28に連結され、圧力ポート32はポート29に連結される。種々の型の消費機器をポート28や29、30に連結できるだろう。スプール弁10は、より大きな油圧(サーボ)弁を制御するためのパイロット弁として使用可能である。弁スプール22のこのような種類の動作によって、大部分の時間において、そのセンタ位置周辺に保たれており、大きく開放するのは時々である。したがって、スプール弁10は、この種類の動作において、大部分の時間において小さな流率を制御している。
弁スプール22の回転によって、制御エッジ部23の円周の各部分が、高圧ポートとの相互作用に同じように曝されるようになる。弁スプールは、キャビテーション損傷が部分的にでも限度を超えた場合には取り替える必要がある。しかし、制御エッジ部が高圧ポートとの相互作用に曝されることによって生じるキャビテーション損傷を、制御エッジ部の全範囲に分散させることによって、制御エッジ部の各部分のキャビテーション損傷が許容最大レベルを上回るには時間がかかるようになり、弁スプールの寿命が延びる。
図5は、スプール弁10の別の実施形態を示す。本実施形態は、弁スプール22の並進運動および回転運動の両方を提供する2つのソレノイド50および60によって回転が付与されること以外は、図1から4の実施形態と本質的に同一である。ソレノイド60には電子制御ユニット65が連結される。本実施形態において、ソレノイド50及び60のうちの1つには、軸方向位置センサが設けられ、また回転位置センサも設けられてもよい。
弁スプール22がソレノイド50側に移動しなければならない場合、ソレノイド50が作動して弁スプール22を引張し、同時に、所定の角度で一方向に弁スプールを回転させる。同時的な並進および回転は、例えば、傾斜アンカを有するソレノイドを使用することによって実現可能である。弁スプール22がソレノイド60側に移動する場合、ソレノイド60が作動して弁スプール22を引張し、同時に、所定の角度で同じ一方向に弁スプールを回転させる。このようにして、ソレノイド50、60のうちのいずれかの各作動によって、弁スプール22は、同一方向に所定の角度で回転する。
図6から図8は別の実施形態を示す。これらの実施形態は、孔22の他の部分から羽根車40を隔離する役割を果たす追加のランド42および43を弁スプール22が有すること以外は、図1の実施形態と本質的に同一である。羽根車40は、スプール弁10の動作中に回転させるために弁スプール22に取り付けられる。羽根車40は、圧力ポート38からの圧力流体によって駆動され、戻し流体は、ポート39を介してタンクに排出される。圧力ポート38への圧力および流れは、シャフトの回転に使用される油圧油の量が過剰にならなうように制限される。あるいは、回転は、タンクへの流れによって駆動することができる。
動作中、圧力ポート38を介して流入する油圧流体は、羽根車40を駆動し、ポート39を介して羽根車室を出る。油圧流体の羽根車への流れは、連続的な流動または断続的な流動であることが可能である(ポート38への流体の流入に依存する)。
ランド44および45は、孔22の他の部分から回転ダンパーを隔離する役割を果たす。回転ダンパーは、弁スプール22に取り付けられる羽根47を含む。羽根47が回転するダンパー室48には3つのリブ46が設けられる。圧力ポート41は、油圧油または他の適切なダンパー流体でダンパー室48が充填されるように制御する。回転ダンパーは、スプール弁22の回転速度が悪影響を生じうるほど早くならないように、スプール弁22の回転速度を抑制する。
図1の実施形態も、必要に応じて、回転ダンバーと組み合わせることが可能である。
別の実施形態によると、弁スプールの回転は、弁スプールに連結される電気モータを使用して得られる。
さらに別の実施形態によると、弁スプールの回転は、弁スプールに連結される任意の油圧モータを使用して得られる。
その他の実施形態には、弁の開放時のみ圧力流体によって駆動される羽根がある。
本書の教示は、多数の利点を有する。異なる実施形態または実装によって、以下の利点のうちの1つ以上がもたらされ得る。これは、包括的なリストではなく、また、本明細書に記載されない他の利点も存在し得ることに留意されたい。
本書の教示の一つの利点には、弁スプールの円周上にポートを1つしか有さないスプール弁を作製できることがある。これによって、同じ開放ストロークでも流路面積を小さくすることができるので、小さな流れを良好に制御することが可能になる。
上述の実施形態は、クローズドセンタ型制御弁を参照して説明された。しかしながら、本発明は、キャビテーションに曝される制御エッジ部を含む任意の他の型のスプール弁に関しても適用可能である。
前述の説明において記載された特徴は、明示的に記載された組み合わせ以外の組み合わせで使用されてもよい。
請求項において使用される用語の「有する」は、他の要素またはステップを除外しない。請求項において使用される単数形の用語は、複数形を除外しない。
請求項において使用される引用符号は、範囲を限定するものとして解釈されないものとする。
上の説明において、特別に重要であると考えられる本書の教示の特徴に留意するよう試みたが、本明細書において参照および/または図示されたいかなる特許可能な特徴または特徴の組み合わせに関しても、それに関して特に強調されたか否かに関わらず、本出願人は保護を主張することを理解されたい。
本発明は、説明目的で詳細に記載されたが、このような詳細は、単にその目的のためのものであって、当業者が、本発明の範囲を逸脱することなくその詳細に変更を加えること可能であることを理解されたい。

Claims (10)

  1. 軸方向に延在するスプール受容孔(24)が設けられる弁ハウジング(20)を有するスプール弁であって、
    弁スプール(22)は、前記孔(24)内における回転運動および前記孔(24)の長手方向軸に沿った軸方向運動が可能であるように前記孔(24)に受け入れられ、
    前記弁スプール(22)には、少なくとも1つの円周状の制御エッジ部(23)が設けられ、
    前記少なくとも1つの制御エッジ部(23)のキャビテーションによる浸食を該制御エッジ部(23)の円周域で分散させるために、前記スプール弁(10)の動作中に前記弁スプール(22)の断続的または連続的な回転を生じさせる回転付与手段(40、50、60)を有することを特徴とする、
    スプール弁(10)。
  2. 前記少なくとも1つの制御エッジ部(23)は、その円周沿いの部分で、1つ以上の高圧供給ポート(32、33、34、35)と相互作用する、請求項1に記載のスプール弁(10)。
  3. 前記弁スプール(22)の前記断続的または連続的な回転は、前記少なくとも1つの制御エッジ部(23)の前記円周の各部分が、前記スプール弁(10)の動作中に、前記1つ以上の高圧ポート(32、33、34、35)との相互作用に同じように曝されるようにする、請求項2に記載のスプール弁(10)。
  4. 前記回転付与手段(40)は、前記弁スプール(22)に連結される羽根または翼を有する、請求項1に記載のスプール弁(10)。
  5. 前記回転付与手段は、前記弁スプール(22)に連結される羽根車(40)、および、前記羽根車(40)に作用する、流動する油圧流体を有する、請求項1に記載のスプール弁(10)。
  6. 前記弁スプール(22)の回転速度を制限するための回転ダンパー(46、47)をさらに有する、請求項1または5に記載のスプール弁(10)。
  7. 前記回転付与手段は、ソレノイド(50、60)、電気モータ、または油圧モータを有する、請求項1に記載のスプール弁(10)。
  8. 前記制御エッジ部(23)と相互作用する少なくとも1つのポート(32、33)をさらに備え、前記少なくとも1つのポート(32、33)は、任意の瞬間に前記制御エッジ部(23)の前記円周領域の一部のみと相互作用し、前記弁スプール(22)の前記断続的または連続的な回転は、前記少なくとも1つのポート(32、33)との相互作用へ前記制御エッジ部(23)の各部分が曝される範囲を前記制御エッジ部(23)の円周の全域に分散させる、請求項1に記載のスプール弁(10)。
  9. 前記回転付与手段は、タンクへの流れによって駆動される、請求項1に記載のスプール弁(10)。
  10. スプール弁(10)の弁スプール(22)における円周状の制御エッジ部(23)の円周域の一部がポート(32、33、34、35)と相互作用することにより発生するキャビテーションに起因する前記制御エッジ部(23)の損傷の影響を軽減する方法であって、
    前記弁スプール(22)を断続的または連続的に回転させることにより、前記制御エッジ部(23)において前記ポート(32、33、34、35)と相互作用する円周部分の位置が、前記スプール弁(10)の動作中に常に変化するようにすることを含む、方法。
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