JP2010194998A - インクジェットインクセット及びインクジェット記録画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】非吸水性記録媒体や低吸水性記録媒体上に、高い耐擦過性を備え、かつ故障耐性、鮮鋭性及び粒状性に優れた高画質の画像を形成することができるインクジェットインクセットとそれを用いたインクジェット記録画像形成方法を提供する。
【解決手段】顔料、界面活性剤、定着樹脂及び水溶性溶媒を含有する水性顔料インクと、少なくとも有機酸を含有する水性処理液とから構成されるインクジェットインクセットであって、該水性顔料インクが含有する該定着樹脂が、カルボキシル基を有する不飽和ビニルをモノマー成分として重合した共重合体をアミンにより中和溶解した水溶性共重合物及び水分散型樹脂微粒子であり、該水性顔料インクが含有する水溶性溶媒が、グリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類であり、かつ該水性処理液がノニオン性水分散型樹脂微粒子を含有することを特徴とするインクジェットインクセット。
【選択図】なし

Description

本発明は、水性顔料インクと水性処理液とを含むインクジェットインクセットおよびそれを用いたインクジェット画像形成方法に関するものであり、詳しくは、水溶性共重合物と水分散型樹脂微粒子とを含む水性顔料インクと、有機酸を含有する水性処理液とを含むインクジェットインクセットおよびそれを用いたインクジェット画像形成方法に関するものである。
インクジェット記録方法は、比較的簡単な構成の装置で、高精細な画像記録が可能であり、近年、急速な発展を遂げている。また、インクジェット記録方式の用途も多岐にわたり、それぞれの目的にあった記録媒体あるいはインクジェットインクが使用されるようになってきている。
特に、近年では、インクジェット記録方式の高速化と高画質化の観点から、インクジェット記録ヘッドも、記録媒体の幅方向に複数のノズルを配列して、1ラインで短時間に記録することができる、いわゆるライン方式のインクジェット記録ヘッドが大きな注目を集めるようになってきている(例えば、特許文献1参照。)。このようなライン方式のインクジェット記録ヘッドの採用により、インクジェット記録速度の大幅な向上が見られ、軽印刷用途にも適用できる可能性も見出されてきている。しかしながら、オフセット印刷やグラビア印刷等の分野で、記録媒体として主に使用されているアート紙やコート紙などインク吸収性の低い印刷用紙や、インク吸収性を全く備えていないラスチックフィルム等に、通常の水性インクジェットインクを用いて記録すると、インクジェットインクが記録媒体上に一旦は付与されても、簡単に拭き取れてしまうといった、強固な定着状態を得ることが難しい。更に、インクジェットインクの液滴同士が、記録媒体上で合一・混合を起こすことにより、鮮明な画像を得ことができない。また、色相の異なるインクジェットインクの液滴同士が混ざり合うことにより色濁りを生じる、いわゆるカラーブリード等の課題があった。
上記課題に対し、ホットメルト型インクジェット記録方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法に用いるホットメルト型インクは、インクジェット記録時には溶融状態で、記録媒体に付着後直ちに固化するために、色にじみも少なく、紙質に関係なく良好な印刷品質を提供するといわれている。しかしながら、このような方法で形成された画像は、着弾ドットのインクジェットインク自身が柔らかいワックス状であるため、ドットの盛り上がりに起因する品質の劣化や、耐擦性の不足等の課題があった。
一方、非吸水性記録媒体に高画質で印字でき、高い耐久性を得ることを目的として、インク溶解性樹脂と水系分散型ポリマー微粒子を含有する水系顔料インクが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、近年プリント作成の更なる高速化が要求されるようになって、スキャン方式の高速インクジェット記録の場合や、さらに、前述のようなライン方式のインクジェット記録ヘッドを用いて画像記録するには、カラーブリード等の課題を解決しつつ、非吸水性記録媒体上に、高い耐久性を備えた画像を形成することは難しかった。
特開平6−183029号公報 米国特許第4,390,369号明細書 国際公開2008/105289号明細書
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、非吸水性記録媒体や低吸水性記録媒体上に、高い耐擦過性を備え、かつ故障耐性、鮮鋭性及び粒状性に優れた高画質の画像を形成することができるインクジェットインクセットとそれを用いたインクジェット記録画像形成方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.顔料、界面活性剤、定着樹脂及び水溶性溶媒を含有する水性顔料インクと、少なくとも有機酸を含有する水性処理液とから構成されるインクジェットインクセットであって、該水性顔料インクが含有する該定着樹脂が、カルボキシル基を有する不飽和ビニルをモノマー成分として重合した共重合体をアミンにより中和溶解した水溶性共重合物及び水分散型樹脂微粒子であり、該水性顔料インクが含有する水溶性溶媒が、グリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類であり、かつ該水性処理液がノニオン性水分散型樹脂微粒子を含有することを特徴とするインクジェットインクセット。
2.前記水性顔料インクが含有する水溶性共重合物の酸価が、80mgKOH/g以上、300mgKOH/g未満であることを特徴とする前記1に記載のインクジェットインクセット。
3.前記水性顔料インクが含有する水分散型樹脂微粒子が、ノニオン性樹脂であることを特徴とする前記1または2に記載のインクジェットインクセット。
4.記録媒体上に、少なくとも有機酸を含有する水性処理液を付与した後、顔料、界面活性剤、定着樹脂及び水溶性溶媒を含有する水性顔料インクを吐出して画像形成するインクジェット記録画像形成方法であって、該水性顔料インクが含有する該定着樹脂が、カルボキシル基を有する不飽和ビニルをモノマー成分として重合した共重合体をアミンにより中和溶解した水溶性共重合物及び水分散型樹脂微粒子であり、該水性顔料インクが含有する水溶性溶媒が、グリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類であり、かつ該水性処理液がノニオン性水分散型樹脂微粒子を含有することを特徴とするインクジェット記録画像形成方法。
5.前記記録媒体を40℃以上、90℃以下に加熱した状態で、前記水性顔料インクを吐出して画像形成することを特徴とする前記4に記載のインクジェット記録画像形成方法。
本発明により、非吸水性記録媒体や低吸水性記録媒体上に、高い耐擦過性を備え、かつ故障耐性、鮮鋭性及び粒状性に優れた高画質の画像を形成することができるインクジェットインクセットとそれを用いたインクジェット記録画像形成方法を提供することができた。
複数のライン方式のインクジェット記録ヘッドからなるインクジェット記録ヘッドユニットと乾燥工程とを配列したインクジェットプリンターの一例を示す概略図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、顔料、界面活性剤、定着樹脂及び水溶性溶媒を含有する水性顔料インクと、少なくとも有機酸を含有する水性処理液とから構成されるインクジェットインクセットであって、該水性顔料インクが含有する該定着樹脂が、カルボキシル基を有する不飽和ビニルをモノマー成分として重合した共重合体をアミンにより中和溶解した水溶性共重合物及び水分散型樹脂微粒子であり、該水性顔料インクが含有する水溶性溶媒が、グリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類であり、かつ該水性処理液がノニオン性水分散型樹脂微粒子を含有することを特徴とするインクジェットインクセット、あるいはそれを用いたインクジェット記録画像形成方法により、非吸水性記録媒体や低吸水性記録媒体上に、高耐擦過性を備え、かつ故障耐性、鮮鋭性及び粒状性に優れた高画質の画像を形成することができるインクジェットインクセットとそれを用いたインクジェット記録画像形成方法を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の詳細について説明する。
《インクジェットインクセット》
はじめに、本発明のインクジェットセットの詳細について説明する。
本発明のインクジェットインクセットは、顔料、界面活性剤、定着樹脂及び水溶性溶媒を含有する水性顔料インクと、少なくとも有機酸を含有する水性処理液とから構成されていることを特徴とする。
本発明では、顔料、界面活性剤、定着樹脂及び水溶性溶媒を含有する水性顔料インク(以下、本発明に係る水性顔料インクという)を高速で比較的多量に記録媒体上に吐出して画像記録する際に、本発明に係る水性顔料インクを記録媒体上に付与するまえに、少なくとも有機酸を含有する水性処理液(以下、本発明に係る水性処理液という)を予め記録媒体に付与することによって、非吸水性記録媒体や低吸水性記録媒体上であっても、高い耐擦過性を有し、かつ故障耐性、鮮鋭性及び粒状性に優れた高画質の画像を形成することができるものである。
本発明のインクジェットインクセットでは、水性顔料インクと水性処理液の双方に、水分散型樹脂微粒子を含有することを特徴の1つとし、耐久性(例えば、耐擦過性、故障耐性、鮮鋭性及び粒状性)に優れた画像を形成することができる。この際、水性顔料インクのインク滴がインクジェット記録方式によって記録媒体上に着弾すると、着弾した水性顔料インク液滴に水性処理液が作用して凝集させる。このとき、水性顔料インク中に溶解している状態で存在する水溶性共重合物が、顔料粒子および水分散型樹脂微粒子の間に入り込んだ状態で、顔料粒子や水分散型樹脂微粒子同士、及びこれらの粒子と記録媒体とを、より密に接触させて固着する。その結果、耐久性に優れた画像を形成することができるものと推測している。
更に、上記の様な画像耐久性を確保するため、本発明に係る水性顔料インクおよび水性処理液には水分散型樹脂微粒子を含有させ、水性処理液に含まれる水分散型樹脂微粒子としてはノニオン性樹脂微粒子であることを特徴とする。水性処理液にノニオン性樹脂微粒子を適用することにより、水性顔料インクを増粘または凝集させる目的で使用する有機酸のような化合物を含む溶液の優れた安定性を確保することができたものと推測している。
一方、水性顔料インクに含まれる水分散型樹脂微粒子としては、特に制限はないが、好ましくはノニオン性の水分散型樹脂微粒子である。水性顔料インクにノニオン性の水分散型樹脂微粒子を適用することにより、より高品位の画像を形成することができる。仮に、アニオン性の水分散型樹脂微粒子を水性顔料インクに適用した場合には、水性処理液が含有する有機酸が、水性顔料インク中に均一に溶解した状態の水溶性共重合物に作用するのみでなく、アニオン性の水分散型樹脂微粒子にも作用して凝集を起こすこととなるため、粒状性が十分でない画像を形成してしまう恐れがあり、従って、水性顔料インクにはノニオン性の水分散樹脂微粒子を用いることによって、有機酸は均一に溶解した状態の水溶性共重合物にのみ選択的に作用するので、粒状性が十分な画像を形成することができたものと推測している。
また、本発明に係る水性顔料インク中においては、水溶性共重合物のカルボキシル基がアミンによって中和されて安定した状態で存在しており、記録媒体に着弾して水性処理液の作用を受けると凝集して、インク粘度が増加する。また、記録媒体が加熱された状態で水性顔料インクが着弾すると、水分等の溶媒やアミンなどが蒸発して、水溶性共重合物の濃度が上昇する。その結果、インクの粘度がより増大してインクの流動性を低下させることができ、白スジの発生が抑えられるなどの、高品位の画像を得ることができたものと推測している。
特に、水性顔料インクの打ち込み量が多い領域では、記録媒体が加熱された状態での水性顔料インク記録により、顕著な効果を奏する。
特に、中和剤であるアミンは、揮発しているので、記録画像に再度水分が付与されたとしても、該水性性共重合物は水に再溶解することなく固化し、顔料を定着させるので、耐擦過性や耐水性といった画像耐久性に優れる画像が得られるという効果が発揮されたと本発明者は考えている。
〔水性顔料インク〕
次いで、本発明に係る水性顔料インクの各構成要素の詳細について説明する。
(定着樹脂)
本発明に係る水性顔料インクにおいては、定着樹脂として、カルボキシル基を有する不飽和ビニルをモノマー成分として重合した共重合体をアミンにより中和溶解した水溶性共重合物及び水分散型樹脂微粒子を含有することを特徴の1つとする。
〈水溶性共重合物〉
本発明に係る定着樹脂として用いるカルボキシル基を有する不飽和ビニルをモノマー成分として重合した共重合体をアミンにより中和溶解した水溶性共重合物(以下、単に水溶性共重合物ともいう)について説明する。
本発明に係る水溶性共重合物は、カルボキシル基である親水性成分と、疎水性成分とを適切なバランスで有するものを設計して用いる。この際、カルボキシル基を揮発可能な塩基成分で中和することで、水溶性を付与した本発明に係る水溶性共重合体は上記の機能を十分に発揮するものである。このような水溶性共重合物としては、アクリル系、スチレン−アクリル系、アクリロニトリル−アクリル系、酢酸ビニル−アクリル系、ポリウレタン系、ポリエステル系の各樹脂を例示することができる。
本発明に係る水溶性共重合物を構成する疎水性モノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、メタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル等)、スチレン等が挙げられる。
本発明に係る水溶性共重合物を構成する親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド等が挙げられる。
本発明に係る水溶性共重合物が有しているカルボキシル基のような酸性基は、部分的あるいは完全にアミンで中和されている必要がある。アミンとしては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジ−n−ブチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−メチルアミノエタノール等を好ましく用いることができる。
特に、沸点が200℃未満のアミンで中和することは、乾燥時にアミンが揮発し易く、疎水性を速く高めて画像の耐久性向上に寄与することから更に好ましい。
本発明に係る水溶性共重合物は、水性顔料インク総質量に対して1.0質量%以上、10質量%以下含有することが好ましく、より好ましくは2.0質量%以上、7.0質量%以下である。本発明に係る水溶性共重合物の含有量が1.0質量%以上であれば、顕著に滲みを防止して高画質画像を得ることができる。また、10質量%以下であれば、インクの保存安定性が良好で、安定出射が可能となり、長期に渡って安定にプリントを得ることができる。
また、本発明に係る水溶性共重合物は、その酸価が80mgKOH/g以上、300mgKOH/g未満であることが好ましいが、これによって該水溶性共重合物の乾燥時の粘度増加が顕著になるとともに、乾燥後も更に強固に固化して顔料の優れた定着性を実現することができる。更に好ましい酸価は90〜250mgKOH/g程度のものである。本発明で規定する酸価は、JIS K0070に準拠して測定できる。
本発明に係る水溶性共重合物の重合方法としては、溶液重合であることが好ましい。本発明に係る水溶性共重合物の分子量としては、平均分子量で3000〜30000のものを好ましく用いることができ、より好ましくは7000〜20000である。
本発明に係る水溶性共重合物のTgは、−30℃〜100℃程度のものを好ましく用いることができ、より好ましくは−10℃〜80℃である。
〈水分散型樹脂微粒子〉
次いで、本発明に係る定着樹脂として用いる水分散型樹脂微粒子について説明する。
水分散型樹脂微粒子としては、水系で重合された分散物をそのまま、あるいは処理したものを用いてもよいし、溶媒系で重合された樹脂を水系に分散したものを用いてもよく、アクリル系、ウレタン系、スチレン系、酢酸ビニル系、塩化ビニリデン系、塩化ビニル系、スチレンーブタジエン系、スチレンーアクリロニトリル系、ポリブタジエン系、ポリエチレン系、ポリイソブチレン系、ポリエステル系等から選択することができるが、これらには限定されない。
水性顔料インクの物性として、粘度に対するシェア依存性がないことが好ましく、この観点から、水分散性樹脂微粒子の分散形態としては、界面活性剤などの乳化剤を極力低濃度にして調製するか、乳化剤を用いないソープフリー型の分散樹脂微粒子が好ましい。
好ましい水分散型樹脂微粒子としては、カルボキシル基を有する不飽和ビニルを少なくとも単量体成分として重合した共重合体の自己分散型ディスパージョンであり、例えば、アクリル酸エチルなどのアクリル系モノマー単独もしくはアクリル系モノマーと共重合し得るエチレン性の不飽和モノマーからなる組成物に、カルボン酸モノマーとしてアクリル酸やマレイン酸などを乳化重合もしくは懸濁重合して得られた分散液をアルカリで膨潤後、機械的せん断により樹脂粒子を分割して得られるアクリルヒドロゾルである。なお、アクリルヒドロゾルの中でも、樹脂の屈折率を高め、高い光沢感が得られる観点で、モノマー組成にスチレンを含有することが好ましい。
アクリルヒドロゾルを得るに用いられるアルカリとしては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジ−n−ブチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−メチルアミノエタノールなどのアミンであることが好ましく、アンモニア、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールおよび2−メチルアミノエタノールが、水分散型樹脂微粒子の分散安定性において特に好ましい。
本発明に係る水分散型樹脂微粒子としては、その特徴により、ノニオン性水分散型樹脂微粒子、アニオン性水分散型樹脂微粒子、カチオン性水分散型樹脂微粒子等に分類され、それらを制限無く用いることができるが、これらのなかでも、ノニオン性水分散型樹脂微粒子を好ましく用いることができる。
本発明に係る水分散型樹脂微粒子は、市販品として入手することができる。
ノニオン性水分散型樹脂微粒子としては、例えば、スーパーフレックスE4000、同500M(以上、第一工業化学社製、ウレタン樹脂);ハイドランWLI602(ポリエーテル系ウレタン樹脂)、同WLI611(ポリカーボネート系ウレタン樹脂)、DICNAL E−8203WH(アクリル樹脂)(以上、大日本インキ工業社製);モビニール731(日本合成化学社製、アクリル樹脂)等、
アニオン性水分散型樹脂微粒子としては、例えば、スーパーフレックス110、同130、同150、同410、同420、同460、同820(以上、第一工業化学社製、ウレタン樹脂);パーマリンUA−150、ユーコートUWS−145(以上、三洋化成社製、ウレタン樹脂);DICNAL E−240N(大日本インキ工業社製、スチレン・アクリル樹脂);アクリットSE−810A、同SE−909E、同SE−953A、同SE−1645E、同SE−2785E、同SE−2797E、同SE−2798E(以上、大成ファインケミカル社製、アクリル樹脂);SX8900C、SX8900D(以上、ジェイエスアール社製、アクリル樹脂);モビニール966A(日本合成化学社製、スチレン・アクリル樹脂)等、
カチオン性水分散型樹脂微粒子としては、例えば、スーパーフレックス620、同650(以上、第一工業化学社製、ウレタン樹脂)等を挙げることができる。
水分散型樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)は35℃以上であることが、画像の耐擦過性を高めるために好ましく、より好ましくは49℃以上である。Tgの上限は特に制限されるものではないが、概ね100℃未満であれば、柔軟なインク皮膜を得ることができ、プリント物の折り曲げ等による画像のひび割れ故障を容易に防止できる。
水分散型樹脂微粒子の酸価は、44mgKOH/g以上であると、インク乾燥皮膜の良好な溶解性が得られる点で好ましく、更には60mgKOH/g以上であるとより好ましい。酸価の上限は特に制限されるものではないが、より安定な分散物を得やすい観点で110mgKOH/g未満が好ましい。
水分散型樹脂微粒子の平均粒子径は、ヘッドのノズルにおける目詰まりがなく、良好な光沢感が得られる点で300nm以下であることが好ましく、より好ましくは130nm以下である。平均粒子径の下限は、該微粒子の製造安定性の観点から30nm以上が好ましい。尚、水分散型樹脂微粒子の平均粒子径は、光散乱方式やレーザードップラー方式を用いた市販の測定装置を使用して簡便に計測することが可能である。また、水分散型樹脂微粒子の分散物を凍結乾燥し、透過型顕微鏡で観察される粒子から平均粒子径を換算することもできる。
本発明に係る水性顔料インクにおける水分散型樹脂微粒子の含有量は、0.7質量%以上、6.0質量%以下が好ましく、良好な画像耐久性(耐擦過性等)とインクの長期保存安定性を得やすい。この観点から、より好ましくは1.0質量%以上、3.0質量%以下である。
(水溶性溶媒)
次いで、水性顔料インクに適用する水溶性溶媒について説明する。
本発明に係る水性顔料インクにおいては、水溶性溶媒として、グリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類を含有することを特徴の1つとする。
本発明に係る水性顔料インクにおいては、上記水溶性共重合物と共に、水溶性溶媒として、少なくともグリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類を用いることにより、これらの水溶性溶媒が、顔料分散体や水溶性共重合物と疎水的な相互作用を起こし、特に、加熱された記録媒体へ水性顔料インクが着弾した後、水分が減少してグリコールエーテル類の水性顔料インク中での濃度増加に伴ってより強く作用しあい、水性顔料インクの増粘効果をもたらす。従って、水溶性重合物と共に、少なくともグリコールエーテル類を併せて用いることにより、滲み防止効果が顕著に発揮される。
一方、グリコールエーテル類は比較的表面張力が小さい溶媒であり、併用する界面活性剤との相乗効果で、特に、低吸水性記録媒体や非吸水性記録媒体に対して十分な親和性を発揮する。これにより、記録媒体上に着弾した水性顔料インク液滴の液寄りが防止され、滲みの発生を抑制することができ、その結果、顔料は記録媒体上に十分に定着されると推測している。
本発明に係るグリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
また、1,2−アルカンジオール類としては、例えば、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール等が挙げられる。
本発明に係るグリコールエーテルまたは1,2−アルカンジオール系有機溶剤は、水性顔料インク総質量に対して2〜20質量%含有することが、本発明の効果を顕著に奏するという観点において特に好ましい。
(水分量)
本発明に係る水性顔料インクには、水を含ませることが好ましいが、乾燥性と水性顔料インクの保存安定性を高める観点から、水性顔料インク総量の50質量%以上含有することが好ましく、より好ましい含有量は60質量%以上である。
(顔料)
次に、本発明に係る水性顔料インクに適用する顔料について説明する。
本発明に適用可能な顔料は、水系で安定に分散できるものであればよく、高分子樹脂により分散した顔料分散体、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料、顔料表面を修飾し分散樹脂を用いなくても分散可能な自己分散顔料等から選択することができる。インクの保存性を特に重視する場合は、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料を選択することが好ましい。
高分子樹脂により分散した顔料分散体を用いる場合、高分子樹脂として好ましく用いられるのは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等のような樹脂である。
顔料の分散方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等各種を用いることができる。
本発明に係る顔料分散体を調製するには、顔料分散体の粗粒分を除去する目的で遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用することも好ましく用いられる。
また、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料を用いる場合の水不溶性樹脂とは、弱酸性ないし弱塩基性の水に対して不溶な樹脂であり、好ましくは、pH4〜10の水溶液に対する溶解度が2質量%未満の樹脂である。
このような樹脂としては、アクリル系、スチレン−アクリル系、アクリロニトリル−アクリル系、酢酸ビニル系、酢酸ビニル−アクリル系、酢酸ビニル−塩化ビニル系、ポリウレタン系、シリコン−アクリル系、アクリルシリコン系、ポリエステル系、エポキシ系の各樹脂を挙げることができる。
また、本発明では、顔料を分散するのに用いる樹脂として疎水性モノマーと親水性モノマーを構成成分として作成された樹脂を用いることができる。
疎水性モノマーとしては、アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、メタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル等)、スチレン等が挙げられる。
親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド等が挙げられ、アクリル酸のような酸性基を有するものは、重合後に塩基で中和したものを好ましく用いることができる。
樹脂の分子量としては、重量平均分子量Mwで、3000〜500000のものを用いることができる。好ましくは、7000〜200000のものを用いることができる。
樹脂のTgは−30〜100℃程度のものを用いることができ、好ましくは−10〜80℃程度のものを用いることができる。
重合方法としては、溶液重合、乳化重合を用いることができる。重合はあらかじめ顔料と別途行ってもよいし、顔料を分散した系内にモノマーを供給して重合してもよい。
顔料を樹脂で被覆する方法としては、公知の種々の方法を用いることができるが、好ましくは、転相乳化法や酸析法の他に、顔料を重合性界面活性剤を用いて分散し、そこへモノマーを供給し、重合しながら被覆する方法から選択することがよい。より好ましい方法としては、水不溶性樹脂をメチルエチルケトン等の有機溶剤に溶解し、さらに塩基にて樹脂中の酸性基を部分的または完全に中和後、顔料及びイオン交換水を添加し、分散した後、有機溶剤を除去、必要に応じて加水し調製する製造方法が好ましい。
顔料と樹脂の質量比率は、顔料/樹脂比で100/40〜100/150から選択することができる。特に画像耐久性と射出安定性やインク保存性が良好なのは100/60〜100/110である。
水不溶性樹脂で被覆された顔料粒子の平均粒子径は、80〜150nm程度がインク保存安定性、発色性の観点から好ましい。
顔料粒子の平均粒子径は、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることができる。また、透過型電子顕微鏡による粒子像撮影を少なくとも100粒子以上に対して行い、この像をImage−Pro(メディアサイバネティクス製)等の画像解析ソフトを用いて統計的処理を行うことによっても求めることが可能である。
また、自己分散顔料としては、表面処理済みの市販品を用いることもでき、例えば、CABO−JET200、CABO−JET300(以上、キャボット社製)、ボンジェットCW1(オリエント化学工業社製)等を挙げることができる。
本発明に使用できる顔料としては、従来公知の有機及び無機顔料が使用できる。例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機溶剤、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。
具体的な有機顔料を以下に例示する。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
(界面活性剤)
次に、本発明に係る界面活性剤について説明する。
本発明に係る水性顔料インクおいては、低吸水性記録媒体に対する浸透性や非吸水性記録媒体に対する十分なぬれ性を確保する観点から、水性顔料インクの表面張力を30mN/m以下とすることが好ましく、28mN/m以下に調整することがより好ましい。特に、界面活性剤として、シリコン系界面活性剤を用いることが好ましい。
本発明に用いることのできるシリコン系界面活性剤、とは、ジメチルポリシロキ酸の側鎖または末端をポリエーテル変性したものであり、例えば、信越化学工業製のKF−351A、KF−642やビッグケミー製のBYK347、BYK348などが市販されている。
本発明においてはシリコン系界面活性剤のほかに、アセチレン系界面活性剤やパーフルオロアルケニル基を有するフッ素系界面活性剤を用いることも好ましい。
アセチレン系界面活性剤とは、分子中に三重結合を有し、その隣接炭素原子に水酸基およびアルキル基を有し、三重結合に対して左右対称構造であるものが好ましい。本発明に用いることのできるアセチレングリコール化合物、アセチレンアルコール化合物は、市販品として入手することができ、例えば、日信化学工業株式会社製のサーフィノール、オルフィン、川研ファインケミカル社製のアセチレノールが挙げられる。
本発明に用いることのできるパーフルオロアルケニル基を有するフッ素系界面活性剤とは、4−フッ化エチレンやヘキサフルオロプロピレンをアニオン的に重合した2量体、3量体あるいは5量体に親水基を導入して合成することができ、親水基にポリオキシエチレンエーテルを有するノニオン型、スルホン酸やカルボン酸を有するアニオン型、4級アンモニウム塩とカルボン酸を有するベタイン型のいずれも好ましく用いることができ、株式会社ネオス製のフタージェントシリーズとして市販されている。
本発明にかかる水性顔料インクには、上記のシリコン系界面活性剤、アセチレン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤以外の活性剤を使用することもできる。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン縮合物、ソルビタン誘導体などのノニオン性界面活性剤、アルキルスルホコハク酸、燐酸エステル類などのアニオン活性剤、アルキルポリアミノエチルグリシン塩、アミドベタイン類などの両性界面活性剤などが挙げられる。
(その他の添加剤)
本発明に係る水性顔料インクにおいては、上記説明した以外に、必要に応じて、出射安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、多糖類、粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができ、例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤等を挙げることができる。
本発明に係る水性顔料インクでは、インクの粘度としては、25℃で1〜40mPa・sであることが好ましく、より好ましくは5〜40mPa・sであり、更に好ましくは5〜20mPa・sである。
《水性処理液》
次いで、本発明に係る水性処理液について説明する。
本発明に係る水性処理液は、少なくとも有機酸及びノニオン性水分散型樹脂微粒子を含有することを特徴とする。
水性処理液のpHとしては、1.0〜6.0の範囲であることが好ましく、更には2.0〜5.0であることがより好ましく、特には、3.0〜5.0であることが好ましい。
(ノニオン性水分散型樹脂微粒子)
本発明に係る水性処理液に適用しうるノニオン性水分散型樹脂微粒子としては、前述の水性顔料インクにて記載した水分散型樹脂微粒子の中から、ノニオン性の水分散型樹脂微粒子を適宜選択して用いることができる。
具体的には、スーパーフレックスE4000、同500M(以上、第一工業化学社製、ウレタン樹脂);ハイドランWLI602(ポリエーテル系ウレタン樹脂)、同WLI611(ポリカーボネート系ウレタン樹脂)、DICNAL E−8203WH(アクリル樹脂)(以上、大日本インキ工業社製);モビニール731(日本合成化学社製、アクリル樹脂)等を挙げることができる。
(有機酸)
本発明に係る水性処理液は有機酸を含有するが、これにより本発明に係る水性顔料インクを増粘または凝集させると考えている。
本発明に係る水性処理液に適用可能な有機酸としては、例えば、酢酸や乳酸などの一塩基酸、コハク酸やマレイン酸、クエン酸のような多塩基酸や、脂肪族や芳香族の有機酸、あるいは複素環を有する有機酸など、有機酸の種類に特に制限はないが、有機酸は水溶液として使用されるため、水溶性が高い有機酸が好ましい。具体的には、25℃の水100mlに対して5g以上溶解あるいは混和する有機酸が好ましく、10g以上溶解あるいは混和する有機酸がより好ましい。特に、カルボキシル基を有する有機酸を用いることが好ましい。
有機酸のpKaとしては、1.5以上、5.0以下であることが好ましい。1.5以上であればプリンターやヘッドの部材の酸による腐食が防げる観点から好ましい。
また、本発明のインクジェット記録画像形成方法においては、有機酸付与時に記録媒体を加熱する場合もあり、この加熱によって有機酸が揮発してしまわないほうが、効果を発揮でき、また、周辺の部材に揮発した有機酸が付着して故障につながるおそれを回避するためにも、揮発性が低い有機酸が好ましい。従って、20℃における有機酸の蒸気圧が、1.0Pa以下であるものが好ましい。
本発明に係る水性処理液に適用可能な有機酸としては、例えば、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、もしくはこれらの化合物の誘導体、またはこれらの塩等のなかから選ばれることが好ましい。これらのうちでも更に好ましいのは、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、フランカルボン酸、クマリン酸、もしくはこれらの化合物誘導体、またはこれらの塩である。
更に、具体的な有機酸を例示すると、2−ピロリドン−5−カルボン酸、4−メチル−4−ペンタノリド−3−カルボン酸、フランカルボン酸、2−ベンゾフランカルボン酸、5−メチル−2−フランカルボン酸、2,5−ジメチル−3−フランカルボン酸、2,5−フランジカルボン酸、4−ブタノリド−3−カルボン酸、3−ヒドロキシ−4−ピロン−2,6−ジカルボン酸、2−ピロン−6−カルボン酸、4−ピロン−2−カルボン酸、5−ヒドロキシ−4−ピロン−5−カルボン酸、4−ピロン−2,6−ジカルボン酸、3−ヒドロキシ−4−ピロン−2,6−ジカルボン酸、チオフェンカルボン酸、2−ピロールカルボン酸、2,3−ジメチルピロール−4−カルボン酸、2,4,5−トリメチルピロール−3−プロピオン酸、3−ヒドロキシ−2−インドールカルボン酸、2,5−ジオキソ−4−メチル−3−ピロリン−3−プロピオン酸、2−ピロリジンカルボン酸、4−ヒドロキシプロリン、1−メチルピロリジン−2−カルボン酸、5−カルボキシ−1−メチルピロリジン−2−酢酸、2−ピリジンカルボン酸、3−ピリジンカルボン酸、4−ピリジンカルボン酸、ピリジンジカルボン酸、ピリジントリカルボン酸、ピリジンペンタカルボン酸、1,2,5,6−テトラヒドロ−1−メチルニコチン酸、2−キノリンカルボン酸、4−キノリンカルボン酸、2−フェニル−4−キノリンカルボン酸、4−ヒドロキシ−2−キノリンカルボン酸、6−メトキシ−4−キノリンカルボン酸、フタル酸水素カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酒石酸、乳酸、これらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等の化合物が挙げられる。
これらの有機酸は、1種類で使用されてもよく、2種類以上併用されてもよい。
本発明に係る水性処理液において、上記有機酸の記録媒体への付与量としては、特に制限は無いが、有機酸の種類にもよるが、概ね0.025g/m以上、4.0g/m以下であることが、水性顔料インクの顔料の変色や光沢低下などを引き起こすこともなく、高画質画像を得るためには好ましく、更には、0.1g/m以上、3.0g/m以下であることが好ましい。
本発明において、水性処理液中の有機酸の含有量は、水性処理液全質量に対し、0.01質量%以上、40質量%以下であることが好ましい。0.01質量%以上であれば水性顔料インクと接触するに十分な濃度拡散が得られ、凝集作用が十分に発揮される。また、40質量以下であれば、水性処理液からの析出などが起こり難く、水溶液が安定化され、インクジェット記録後の画質改善の効果がある。更に好ましくは、5.0質量%以上、20質量%以下である。有機酸の含有量が5質量%以上であれば、顕著に本発明の目的効果が発揮され、20質量%以下であればインクジェットヘッドからの吐出安定性が確保できる観点で好ましい。
(水溶性有機溶媒)
本発明に係る水性処理液に適用可能な水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が挙げられる。具体例としては、多価アルコール類では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等が挙げられる。多価アルコール誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が、アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類が、含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等を用いることもできる。
本発明において使用される水溶性有機溶媒は、単独で使用しても、2種類以上混合して使用してもよい。水溶性有機溶媒、その他添加剤の含有量は、水性処理液の全質量に対し、60質量%以下であることが好ましい。60質量%以上よりも多い場合は、水性処理液の粘度が増加し、インクジェットヘッドからの吐出性が悪化することがある。
(樹脂成分)
水性処理液には、定着性を向上させるため、樹脂成分をさらに含有してもよい。樹脂成分は、処理液をインクジェット方式によって打滴する場合、ヘッドからの吐出性を損なわないもの、保存安定性があるものであればよく、水溶性樹脂や樹脂エマルジョンなどを自由に用いることができる。
また、水性顔料インクに含まれる水分散型樹脂微粒子成分に対応した硬化剤を、水性処理液に含有させ、二液が接触した後、水性顔料インク成分中の水分散型樹脂微粒子が凝集するとともに、架橋又は重合するようにして、凝集性を高めてもよい。
(水性処理剤の液物性)
本発明に係る水性処理液の粘度としては、3mPa・s以上20mPa・s未満であることが好ましい。
(その他の添加剤)
更に、本発明に係る水性処理液は、その他の添加剤を含んでもよい。例えば、多糖類、粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、防ばい剤、防さび剤、蛍光増白剤等を適宜選択して用いることができ、例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子等を挙げることができる。
(水性処理剤の付与方法)
本発明に係る水性処理液の記録媒体上への付与方法としては、画像のプリント面積比率や紙種に合わせ必要に応じて塗布する場所や付き量をコントロールできる観点から、インクジェット方式による塗布方法が好ましい。
本発明に係る水性処理液の付与量は、特に制限は無いが、流れによる画像の乱れや、光沢の劣化などを引き起こさず、高品質な画像を得るという観点からは、0.5ml/m以上、10ml/m以下であり、更に好ましくは1.0ml/m以上、6.0ml/m以下である。
《インクジェット記録画像形成方法》
〔インクジェットプリンター〕
本発明のインクジェット記録画像形成方法においては、水性顔料インクを記録媒体に付与する際に、該記録媒体を加熱した状態で水性顔料インクを着弾させることは、本発明の効果を顕著に奏するという観点において好ましい。
本発明のインクジェット記録画像形成方法においては、記録媒体を40〜90℃に加熱した状態で水性顔料インクを付与することが好ましい。記録媒体を加熱することにより、水性顔料インクに含まれる溶媒が揮発し、水性顔料インクが乾燥することによって増粘速度が著しく向上し、高画質が得られる。また、画像の耐久性も向上する。40℃以上であれば十分な画質が得られ、また十分な画像耐久性が得られることができることに加え、乾燥時間も比較的短時間で済む。一方、90℃以下であれば、インクの安定性を確保し、安定にプリントすることができる。更に好ましくは、記録媒体の記録表面温度を40〜60℃とすることである。記録媒体の加熱方法としては、記録媒体搬送系もしくはプラテン部材に発熱ヒーターを組み込み、記録媒体背面から接触式で加熱する方法や、ランプ等により下方または上方から非接触で加熱する方法を選択することができる。また、本発明では、印字後の後処理として、120〜180℃に加熱し、最終画像とすることも、好ましく選択することができる。
本発明のインクジェット記録方法においては、本発明のインクジェットインクセットを構成する水性顔料インクと水性処理液を、インクジェット記録ヘッドより出射して記録媒体に付着させて画像を形成する工程を含むことを特徴とする。特に、インクジェット記録ヘッドが、ライン方式のインクジェット記録ヘッドであるときに、本発明の効果を顕著に発揮するという観点から好ましい態様である。
本発明のインクジェットインクセットを利用するに好適なインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェットプリンターの主なものは、画像形成手段が記録媒体に対し水平に配設され、記録媒体に向けて、インクジェットインクを複数のノズルから吐出するライン方式のインクジェット記録ヘッドを備えたものである。
〔インクジェット記録ヘッド〕
本発明に係るインクジェットインクセットを構成する水性顔料インクおよび水性処理液を、インクジェット記録ヘッドを用いて、記録媒体に吐出して画像を形成するが、該インクジェット記録ヘッドとしては、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でもよい。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)、及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができる。
(ライン方式のインクジェット記録ヘッド)
本発明のインクジェットインクセットを構成する水性顔料インク及び水性処理液は、ライン方式のインクジェット記録ヘッドを用いた記録方法を適用する場合に特に顕著に効果を奏する。ライン方式のインクジェット記録ヘッドとは、記録媒体の幅以上の長尺のインクジェット記録ヘッドであり、多数のノズルを備えた長尺のインクジェット記録ヘッドであってもよいし、複数のインクジェット記録ヘッドをユニット化して長尺化したインクジェット記録ヘッドであってもよい。ライン方式のインクジェット記録ヘッドを用いることで、インクジェット記録ヘッドを搭載したキャリッジが、記録媒体の搬送方向に対して垂直方向に走査して画像を形成するシリアル方式のインクジェット記録ヘッドに比べて、短時間で多くの記録を行い、生産性が飛躍的に向上する。
通常、ライン方式のインクジェット記録ヘッドを用いた画像記録においては、画像形成速度が大きくなるほどインク液滴が着弾した後、次に隣接するインク液滴が着弾するまでの時間が短いので、水性顔料インクの溶媒が蒸発して増粘するよりも先に、隣接する液滴が着弾するので、液寄りによる白スジ発生を引き起こし易くなるという課題を有していたが、本発明では、上記課題を解決したものである。
〔乾燥工程〕
本発明のインクジェットインクセットを用いたインクジェット記録画像形成方式においては、記録媒体上へ吐出したインクジェットインクセットを構成する水性顔料インクおよび水性処理液の着弾し、互いに作用した後は、不要の溶媒等を除去する目的で乾燥を行うことが好ましい。特に、低吸水性記録媒体や非吸水性記録媒体に記録した場合、乾燥工程を経ることにより、べたつきが解消されると共に、短時間で記録画像の定着性を向上させることができる観点で好ましい。
本発明において、乾燥工程に用いる乾燥手段としては、特に制限はないが、例えば、記録媒体の裏面を加熱ローラあるいはフラットヒータ等に接触させて乾燥させる方法や印字面にドライヤー等で温風を吹き付ける手段、あるいは減圧処理により揮発成分を除去する方法等を適宜選択あるいは組み合わせて用いることができる。例えば、加熱手段としては、記録媒体を加熱ローラあるいはフラットヒータ等に接触させる方法を適用する場合には、好ましい加熱温度は30〜70℃であり、30℃以上であれば印字物の光沢性が良好となり、70℃以下であれば記録媒体の変形などがなく搬送性が良好である。
〔インクジェットプリンターの具体的構成〕
次いで、本発明のインクジェットインクセットを構成する水性顔料インク及び水性処理液の出射に用いるインクジェットプリンター(プリンター部材、インクジェット記録ヘッド等)について、図を用いて具体的に説明する。尚、本発明では、これら図示する構成に限定されるものではない。
図1は、複数のライン方式のインクジェット記録ヘッドからなるインクジェット記録ヘッドユニットと乾燥工程とを配列したインクジェットプリンターの一例を示す概略図である。図1のa)はインクジェットプリンターの一例を示す概略上面図であり、図1のb)は、その概略側面図である。
図1のa)において、記録媒体Pを保持するプラテン2上に、水性顔料インクから構成される各色顔料インク群(図1では、イエロー顔料インク、マゼンタ顔料インク、シアン顔料インク、及びブラック顔料インクから構成されるインクセットの例を示してある)を搭載するライン記録ヘッドH、H、H及びHと、水性処理液を搭載するライン記録ヘッドHとから構成されるインクジェット記録ヘッドユニットHUと、乾燥工程3を備えるインクジェットプリンター1の例を示している。本発明のインクジェットインクセットを構成する顔料を含有する各色インク組成物としては、少なくとも1種類が本発明に係る水性顔料インクを含むものであれば、多色インクであっても単色インクであってもよく、また、濃インクと淡インクとを含むものであってもよい。
図1のa)では、プラテン2上に保持された記録媒体が上流方向から搬送され、第1ステップとして、ライン記録ヘッドHより記録媒体に水性処理液を出射し、次いで、画像形成を行う水性顔料インクを搭載したライン記録ヘッドH、H、H及びHより、各色インクを出射する。この時、予め記録媒体上に付与されている水性処理液と各色顔料インクとが接触することで、水性顔料インクの増粘あるいは凝集が生ずることにより、インク液滴の余分な広がりや、隣接するインク液滴同士の会合を防止することができる。
水性処理液と水性顔料インクとを出射した後、本発明においては、必要に応じて、画像中に残存している溶媒等を除去する目的で、更に下流側に乾燥工程3を設けても良い。
本発明に係る記録方法においては、インクセットに含まれる水性顔料インクと水性処理液の着弾順序は限定されない。
図1においては、一例として、特に好ましい構成として水性顔料インクを搭載したライン記録ヘッドと水性処理液を搭載したライン記録ヘッドHを、上流側から下記1)に示す構成として説明したが、1)に示した構成の他、必要に応じて、下記2)で示す様に、最も下流側に水性処理液を搭載したライン記録ヘッドHを配置する方法、下記3)で示す様に各水性顔料インクを搭載したライン記録ヘッドと水性処理液を搭載したライン記録ヘッドHとを一つの構成とし、交互に配置する方法、あるいは下記4)に示す様に、水性顔料インクを出射するノズル部と水性処理液搭載したノズル部とを一体化したライン記録ヘッドを用いても良い。
1)H/H/H/H/H
2)H/H/H/H/H
3)H/H/H/H/H/H/H/H
4)H+H/H+H/H+H/H+H
また、本発明のインクジェット記録画像形成方法における好ましい態様は、記録媒体を40℃以上、90℃以下に加熱した状態で、本発明に係る水性顔料インクを吐出して画像形成することである。図1のb)に示す様に、加熱方法の一例としては、前述の様に記録媒体Pを裏面より加熱するため、インクジェット記録ヘッドユニットHUの下部に、加熱媒体4としてフラットパネルヒータ等を配置して、記録媒体Pを40〜90℃を加熱する方法を採ることが好ましい。
《記録媒体》
本発明のインクジェットインクセットを用いて画像形成する記録媒体としては、塗工紙、非塗工紙のような紙の他に、低吸水性記録媒体や非吸水性記録媒体を用いることができる。特に、低吸水性記録媒体や非吸水性記録媒体にライン記録用ヘッドを用いて記録する場合には、インクが着弾した位置からずれて固着する液寄りの現象を引き起こしやすいが、本発明によれば、これを顕著に抑えることができる。
ここで低吸水性記録媒体や非吸水性記録媒体とは、水性顔料インクを用いるにあたって、インク吸収性のない材料、ないしインク吸収性の低い材料からなる記録媒体、インク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料からなる表面層(記録する面の表層)を有する記録媒体であり、例えば、オフセット印刷やグラビア印刷等の記録媒体として主に使用されているアート紙やコート紙などの他、各種プラスチックフィルムや金属、皮革等であって、一般に使用されているものはすべて使用できる。例えば、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルムなどがあり、また、写真用印画紙であるレジンコートペーパーや合成紙であるユポ紙なども使用できる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《顔料分散体の調製》
〔顔料分散体Cの調製〕
顔料分散剤としてスチレン−アクリル酸共重合体(ジョンクリル678、分子量:8500、酸価:215mgKOH/g)3部、ジメチルアミノエタノール1.3部、イオン交換水80.7部を70℃で攪拌混合して溶解した。
次いで、上記溶液に、C.I.ピグメントブルー15:3を15部添加してプレミックスした後、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、シアン顔料の含有量が15%の顔料分散体Cを調製した。
〔顔料分散体Y、M、Bkの調製〕
上記顔料分散体Cの調製において、シアン顔料C.I.ピグメントブルー15:3に代えて、イエロー顔料としてC.I.ピグメントイエロー−74、マゼンタ顔料としてC.I.ピグメントレッド122、ブラック顔料としてカーボンブラックをそれぞれ用いる以外は同様にして、顔料分散体Y、顔料分散体M、顔料分散体Bkを調製した。
《水溶性共重合物の合成》
〔水溶性共重合物1の合成〕
滴下ロート、窒素導入官、還流冷却官、温度計及び攪拌装置を備えたフラスコにメチルエチルケトン50gを加え、窒素バブリングしながら、75℃に加温した。
そこへ、メタクリル酸n−ブチル80g、アクリル酸20g、メチルエチルケトン50g、重合開始剤(AIBN)500mgからなる混合物を、滴下ロートより3時間かけ滴下した。滴下後、さらに6時間加熱還流した。放冷後、減圧下で加熱し、メチルエチルケトンを留去して重合物残渣を得た。
イオン交換水450mlに対して、モノマーとして添加したアクリル酸の1.05倍モル相当のジメチルアミノエタノールを溶解し、そこへ上記重合物残渣を添加して溶解した。次いで、イオン交換水で濃度を調整し、水溶性共重合物の含有量が20%である水溶性共重合物1(酸価117mgKOH/g)の水溶液1を得た。
〔水溶性共重合物2、3の合成〕
上記水溶性共重合物1の合成において、使用したモノマーを表1に記載のモノマーに代えた以外は同様にして、水溶性共重合物2(酸価155mgKOH/g)、水溶性共重合物3(酸価194mgKOH/g)を合成し、各水溶性共重合物の含有量が20%である水溶性共重合物2、3の水溶液2、3を得た。
〔水溶性共重合物Aの合成:比較例〕
滴下ロート、窒素導入官、還流冷却官、温度計及び攪拌装置を備えたフラスコにメチルエチルケトン50gを加え、窒素バブリングしながら、75℃に加温した。
そこへ、メタクリル酸n−ブチル80g、アクリル酸20g、メチルエチルケトン50g、重合開始剤(AIBN)500mgの混合物を滴下ロートより3時間かけ滴下した。滴下後さらに6時間、加熱還流した。放冷後、減圧下加熱しメチルエチルケトンを留去して重合物残渣を得た。
イオン交換水450mlに対して、モノマーとして添加したアクリル酸の1.05倍モル相当の水酸化ナトリウムを溶解し、そこへ上記重合物残渣を溶解した。イオン交換水で濃度を調整し、水溶性共重合物の含有量が20%である水溶性共重合物Aの水溶液4を得た。
〔水溶性共重合物の特性値測定〕
(酸価の測定)
水溶性共重合物の酸価は、JIS K0070に準拠して測定した。
(重量平均分子量Mwの測定)
水溶性共重合物の重量平均分子量Mwは、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。
各水溶性重合物のモノマー構成及び上記により得られた測定結果を、表1に示す。
Figure 2010194998
《水性顔料インクセットの調製》
〔水性顔料インクセット1の調製〕
下記に記載の方法により水性顔料シアンインク1、水性顔料イエローインク1、水性顔料マゼンタインク1及び水性顔料ブラックインク1を調製し、これを水性顔料インクセット1とした。
(水性顔料シアンインク1の調製)
前記顔料分散体Cの26.7部を攪拌しながら、水溶性共重合物1を含む水溶液1を10部添加し、次いで、下記に示す各化合物を順に添加してインク組成物を調製した後、0.8μmのフィルターによりろ過して、水性顔料シアンインク1を得た。
顔料分散体C 26.7部
水溶性共重合物1を含む水溶液1 10.0部
ノニオン性の水分散型樹脂微粒子1(SFE4000と略記) 7.3部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGBEと略記) 5.0部
1,2−ヘキサンジオール(1,2−HDと略記) 7.0部
ジエチレングリコール(DEGと略記) 11.2部
フッ素系界面活性剤(フタージェント251、(株)ネオス製) 0.3部
イオン交換水 32.5部
上記ノニオン性の水分散型樹脂微粒子1(SFE4000)は、スーパーフレックスE4000(第一工業製薬(株)製、固形分濃度45%)を用いた。なお、水分散型樹脂微粒子1(SFE4000)のインク中での含有量は、3.3質量%である。
(水性顔料イエローインク1、水性顔料マゼンタインク1、水性顔料ブラックインク1の調製)
上記水性顔料シアンインク1の調製において、顔料分散体Cをそれぞれ同量の顔料分散体Y、M、Bkに変更した以外は同様にして、水性顔料イエローインク1、水性顔料マゼンタインク1、水性顔料ブラックインク1を調製した。
〔水性顔料インクセット2の調製〕
上記水性顔料インクセット1の調製において、各水性顔料インク1の調製に用いたノニオン性の水分散型樹脂微粒子1(SFE4000)の7.3部に代えて、それぞれノニオン性の水分散型樹脂微粒子2としてモビニール731(日本合成化学(株)製、固形分濃度46%、MV731と略記する)を7.2部使用し、全体を100部とするためのイオン交換水を使用した以外は同様にして、水性顔料シアンインク2、水性顔料イエローインク2、水性顔料マゼンタインク2及び水性顔料ブラックインク2を調製し、これを水性顔料インクセット2とした。
〔水性顔料インクセット3の調製〕
上記水性顔料インクセット1の調製において、各水性顔料インク1の調製に用いたノニオン性の水分散型樹脂微粒子1(SFE4000)の添加量を7.3部から11.1部(インク中での含有量:5.0質量%)にそれぞれ変更し、かつ全体を100部とするためのイオン交換水を使用した以外は同様にして、水性顔料シアンインク3、水性顔料イエローインク3、水性顔料マゼンタインク3及び水性顔料ブラックインク3を調製し、これを水性顔料インクセット3とした。
〔水性顔料インクセット4の調製〕
上記水性顔料インクセット1の調製において、各水性顔料インク1の調製に用いたノニオン性の水分散型樹脂微粒子1(SFE4000)の7.3部に代えて、それぞれアニオン性の水分散型樹脂微粒子3としてスーパーフレックス110(第一工業製薬(株)製、固形分濃度30%、SF110と略記する)を11.0部使用し、全体を100部とするためのイオン交換水を使用した以外は同様にして、水性顔料シアンインク4、水性顔料イエローインク4、水性顔料マゼンタインク4及び水性顔料ブラックインク4を調製し、これを水性顔料インクセット4とした。
〔水性顔料インクセット5の調製〕
上記水性顔料インクセット1の調製において、各水性顔料インク1の調製に用いたノニオン性の水分散型樹脂微粒子1(SFE4000)を除き、全体を100部とするためのイオン交換水を使用した以外は同様にして、水性顔料シアンインク5、水性顔料イエローインク5、水性顔料マゼンタインク5及び水性顔料ブラックインク5を調製し、これを水性顔料インクセット5とした。
〔水性顔料インクセット6の調製〕
上記水性顔料インクセット1の調製において、各水性顔料インク1の調製に用いた水溶性共重合物1を含む水溶液1(10部)に代えて、同量の上記調製した水溶性共重合物2を含む水溶液2を用いた以外は同様にして、水性顔料シアンインク6、水性顔料イエローインク6、水性顔料マゼンタインク6及び水性顔料ブラックインク6を調製し、これを水性顔料インクセット6とした。
〔水性顔料インクセット7の調製〕
上記水性顔料インクセット1の調製において、各水性顔料インク1の調製に用いた水溶性共重合物1を含む水溶液1(10部)に代えて、同量の上記調製した水溶性共重合物3を含む水溶液3を用いた以外は同様にして、水性顔料シアンインク7、水性顔料イエローインク7、水性顔料マゼンタインク7及び水性顔料ブラックインク7を調製し、これを水性顔料インクセット7とした。
〔水性顔料インクセット8の調製〕
上記水性顔料インクセット1の調製において、各水性顔料インク1の調製に用いた水溶性共重合物1を含む水溶液1(10部)に代えて、同量の上記調製した水溶性共重合物Aを含む水溶液4を用いた以外は同様にして、水性顔料シアンインク8、水性顔料イエローインク8、水性顔料マゼンタインク8及び水性顔料ブラックインク8を調製し、これを水性顔料インクセット8とした。
〔水性顔料インクセット9の調製〕
上記水性顔料インクセット1の調製において、各水性顔料インク1の調製に用いた水溶性溶媒(TEGBE:5.0部、1,2−HD:7.0部、DEG:11.2部)に代えて、プロピレングリコール(PGと略記)を7.7部、ジエチレングリコール(DEGと略記)を15.5部に変更した以外は同様にして、水性顔料シアンインク9、水性顔料イエローインク9、水性顔料マゼンタインク9及び水性顔料ブラックインク9を調製し、これを水性顔料インクセット9とした。
〔水性顔料インクセット10の調製〕
上記水性顔料インクセット1の調製において、各水性顔料インク1の調製に用いた水溶性共重合物1を含む水溶液1を除き、全体を100部とするためのイオン交換水を使用した以外は同様にして、水性顔料シアンインク10、水性顔料イエローインク10、水性顔料マゼンタインク10及び水性顔料ブラックインク10を調製し、これを水性顔料インクセット10とした。
上記調製した各水性顔料インクセットを構成する各水性顔料インクについて、プレート法で測定した25℃における表面張力は、26〜28mN/mの範囲であった。
《水性処理液の調製》
〔水性処理液1の調製〕
下記の各添加剤を混合し、十分攪拌した後、この混合液を#3500のメッシュの金属フィルターで濾過し、中空糸膜による脱気を行って、水性処理液1を調製した。
有機酸:2−ピロリドン−5−カルボン酸(OA1と略記) 20.0部
ノニオン性の水分散型樹脂微粒子1(SFE4000と略記) 7.3部
グリセリン(Gly) 15.0部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGBE) 15.0部
オルフィンE1010(界面活性剤) 0.5部
イオン交換水 42.2部
上記ノニオン性の水分散型樹脂微粒子1(SFE4000)は、スーパーフレックスE4000(第一工業製薬(株)製、固形分濃度45%)を用いた。また、オルフィンE1010は、アセチレングリコール系界面活性剤(日信化学社製)である。
〔水性処理液2の調製〕
上記水性処理液1の調製において、有機酸である2−ピロリドン−5−カルボン酸(OA1)に代えて、同量の2−フランカルボン酸(OA2と略記する)を用いた以外は同様にして、水性処理液2を調製した。
〔水性処理液3の調製〕
上記水性処理液1の調製において、ノニオン性の水分散型樹脂微粒子1(SFE4000)を除き、全体を100部とするためのイオン交換水を使用した以外は同様にして、水性処理液3を調製した。
〔水性処理液4の調製〕
上記水性処理液1の調製において、ノニオン性の水分散型樹脂微粒子1(SFE4000)に代えて、同量のアニオン性の水分散型樹脂微粒子としてスーパーフレックス110(第一工業製薬(株)製、固形分濃度30%、SF110と略記する)を用いた以外は同様にして、水性処理液4を調製した。ただし、水性処理液4は、調製した段階で、水性処理液としては不安定であり、後述の水性顔料インクと共に用いる評価に使用することができなかった。
〔水性処理液5の調製〕
上記水性処理液1の調製において、有機酸である2−ピロリドン−5−カルボン酸(OA1)に代えて、同量の酢酸を用いた以外は同様にして、水性処理液5を調製した。
〔水性処理液6の調製〕
上記水性処理液1の調製において、有機酸である2−ピロリドン−5−カルボン酸(OA1)に代えて、同量の乳酸を用いた以外は同様にして、水性処理液6を調製した。
〔水性処理液7の調製〕
上記水性処理液1の調製において、有機酸である2−ピロリドン−5−カルボン酸(OA1)に代えて、同量の無機酸である硫酸を用いた以外は同様にして、水性処理液7を調製した。ただし、水性処理液7は、調製した段階で、水性処理液として不安定であり、後述の水性顔料インクと共に用いる評価に使用することができなかった。
《インクジェットインクセットの調製》
上記調製した各水性顔料インクセット及び水性処理液(ただし、水性処理液4、7は使用しなかった)を、表2に記載の様に組み合わせて、インクジェットインクセット1〜14を構成した。
以上により調製したインクジェットインクセット及びそれを構成する各水性顔料インクセット、水性処理液の詳細を、表2に示す。
Figure 2010194998
なお、表2に略称で記載した各添加剤の詳細は、以下の通りである。
〈樹脂微粒子〉
SFE4000:ノニオン性の水分散型樹脂微粒子、スーパーフレックスE4000、第一工業製薬(株)製、固形分濃度45%
MV731:ノニオン性の水分散型樹脂微粒子、モビニール731、日本合成化学(株)製、固形分濃度46%
SF110:アニオン性の水分散型樹脂微粒子、スーパーフレックス110(第一工業製薬(株)製、固形分濃度30%
〈水溶性溶媒〉
TEGBE:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
1,2−HD:1,2−ヘキサンジオール
DEG:ジエチレングリコール
Gly:グリセリン
〈有機酸〉
OA1:2−ピロリドン−5−カルボン酸
OA2:2−フランカルボン酸
《インクジェット画像記録方法》
〔画像1の形成〕
インクジェット記録装置として、図1に記載の構成からなるライン記録ヘッド群を用いて画像記録を行った。図1に記載のライン記録ヘッドユニットHUには、ノズル口径25μm、ノズル数512、最小液滴量14pl、ノズル密度180dpi(尚、dpiは2.54mm当たりのドット数を表す)である5基のピエゾ型のインクジェット記録ヘッドが、記録媒体の搬送方向に対し垂直に印字巾をカバーするように配置してある。また、ライン記録ヘッドユニットHUの下部のプラテン上にフラットパネルヒータを設置し、記録媒体の印字面が50℃となるように加熱した。ライン記録ヘッドユニットHUを構成するライン記録ヘッドH、H、H、H、及びHには、それぞれ水性処理液1、水性顔料インクセット1(水性顔料イエローインク1、水性顔料マゼンタインク1、水性顔料シアンインク1及び水性顔料ブラックインク1)を装着した。この構成からなるライン記録ヘッドユニットHUにより、記録媒体としてコート紙(OKトップコート 王子製紙社製)及びポリ塩化ビニル製の記録媒体であるJT5929PM(Mactac社製)を用い、搬送速度300mm/秒で後述する画像1を作成した。
〔画像2〜14の形成〕
上記画像1の作成において、インクジェットインクセット1に代えて、それぞれインクジェットインクセット2〜14を用いた以外は同様にして、画像2〜17を作成した。
〔画像15〜17の作成〕
上記画像1〜3の作成において、記録媒体の加熱を行わず、室温(25℃)で画像形成を行った以外は同様にして、画像15〜17を作成した。
《形成画像の評価》
上記インクジェット画像記録方法で作成した画像1〜17について、下記の方法に従って各評価を行った。
〔白スジ抑制の評価〕
記録媒体としてコート紙(OKトップコート 王子製紙社製)及びポリ塩化ビニル製の記録媒体であるJT5929PM(Mactac社製)に、10cm×10cmの面積で、水性処理液と、水性顔料マゼンタインク及び水性顔料イエローインクを用いてレッドのベタ画像を形成し、形成したベタ画像について白スジの有無を目視観察し、下記の基準に従って白スジ抑制の評価を行った。
◎:白スジの発生が、全く認められない
○:白スジの発生が、ほぼ認められない
△:搬送方向で、垂直にわずかな縞が発生しているが、実用上許容できる
×:搬送方向で、強い垂直な縞の発生が明瞭に認められる
〔鮮鋭性の評価〕
記録媒体としてコート紙(OKトップコート 王子製紙社製)及びポリ塩化ビニル製の記録媒体であるJT5929PM(Mactac社製)に、水性処理液と組み合わせて、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色水性顔料インクで4ポイント及び6ポイントのMS明朝体で、漢字「口、四、日、回、因、困、固、国、目、図」の文字を白抜き印字し、印字した文字画像を目視観察し、下記の評価基準に従って鮮鋭性の評価を行った。ここで白抜き文字とは、背景部分に各色インクを吐出し、文字部分には吐出しない印字方式をいう。
◎:各色画像共、4ポイントの文字画像が明瞭に判読可能である
○:各色画像共、4ポイントの文字画像が判読可能である
△:各色画像共、4ポイントの文字画像の判読は難しいが、6ポイントの文字画像は判読可能である
×:各色画像共、6ポイントでも文字画像の判読は難しい
〔粒状性の評価〕
記録材料としてポリ塩化ビニル製の記録媒体であるJT5929PM(Mactac社製)を用い、解像度1440dpi×1440dpiで、一辺が50mmの10段からなるウェッジ画像を作成した。ウェッジ画像は濃度0から最大濃度となるまで、出力信号を均等に10分割して作成した。得られた画像の濃度が低いほうから2、3、4段目の画像の粒状の度合いを目視観察し、下記の基準に従って粒状性を評価した。
◎:ほとんど粒状性を認識しない
○:画像に目を近づけて見ると粒状性を認識できるが、30cm以上離して見るとほとんど粒状性を認識しない。
△:30cm以上離して見ても粒状性を認識できるが、実用上は問題ない
×:30cm以上離して見ても粗い粒状性を認識でき、実用上は問題となる品質である
〔耐擦過性の評価〕
鮮鋭性の評価において、記録媒体としてポリ塩化ビニル製の記録媒体であるJT5929PM(Mactac社製)上に形成した画像について、乾いた木綿(カナキン3号)で擦り、下記基準に従って耐擦過性を評価した。
◎:50回以上擦っても画像はほとんど変化しない
○:50回擦った段階でわずかに傷が残るが、画像濃度にはほとんど影響しない
△:20〜50回擦る間に、画像濃度がやや低下するが、実用上許容される品質である
×:20回未満擦る間に、画像濃度が低下し、実用上は問題となる品質である
以上により得られた結果を、表3に示す。
Figure 2010194998
表3に記載した結果より明らかな様に、本発明のインクジェットインクセットを用いてライン記録ヘッドで形成した画像は、比較例に対し、白スジ抑制、鮮鋭性、粒状性及び耐擦過性に優れていることが分かる。
1 インクジェットプリンター
2 プラテン
3 乾燥工程
4 加熱媒体
HU インクジェット記録ヘッドユニット
イエロー顔料インク用ライン記録ヘッド
マゼンタ顔料インク用ライン記録ヘッド
シアン顔料インク用ライン記録ヘッド
ブラック顔料インク用ライン記録ヘッド
水性処理液用ライン記録ヘッド
P 記録媒体

Claims (5)

  1. 顔料、界面活性剤、定着樹脂及び水溶性溶媒を含有する水性顔料インクと、少なくとも有機酸を含有する水性処理液とから構成されるインクジェットインクセットであって、該水性顔料インクが含有する該定着樹脂が、カルボキシル基を有する不飽和ビニルをモノマー成分として重合した共重合体をアミンにより中和溶解した水溶性共重合物及び水分散型樹脂微粒子であり、該水性顔料インクが含有する水溶性溶媒が、グリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類であり、かつ該水性処理液がノニオン性水分散型樹脂微粒子を含有することを特徴とするインクジェットインクセット。
  2. 前記水性顔料インクが含有する水溶性共重合物の酸価が、80mgKOH/g以上、300mgKOH/g未満であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットインクセット。
  3. 前記水性顔料インクが含有する水分散型樹脂微粒子が、ノニオン性樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットインクセット。
  4. 記録媒体上に、少なくとも有機酸を含有する水性処理液を付与した後、顔料、界面活性剤、定着樹脂及び水溶性溶媒を含有する水性顔料インクを吐出して画像形成するインクジェット記録画像形成方法であって、該水性顔料インクが含有する該定着樹脂が、カルボキシル基を有する不飽和ビニルをモノマー成分として重合した共重合体をアミンにより中和溶解した水溶性共重合物及び水分散型樹脂微粒子であり、該水性顔料インクが含有する水溶性溶媒が、グリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類であり、かつ該水性処理液がノニオン性水分散型樹脂微粒子を含有することを特徴とするインクジェット記録画像形成方法。
  5. 前記記録媒体を40℃以上、90℃以下に加熱した状態で、前記水性顔料インクを吐出して画像形成することを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録画像形成方法。
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