JP2010150611A - 透明導電膜用焼結体及びスパッタリングターゲット並びにその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アーキング発生頻度を低減するスパッタリングターゲット及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明では、インジウム、スズ及び酸素を含んでなり、少なくともIn相と中間化合物相を有する焼結体であって、スズの含有量がSnO換算で、SnO/(In+SnO)で10重量%以上15重量%以下の場合、X線回折スペクトルにおける中間化合物相の(012)面又は(021)面とIn相の(211)面との回折ピーク強度の比をそれぞれ3.0%以下とし、スズの含有量がSnO換算で、SnO/(In+SnO)で15重量%より大きく20重量%以下の場合、X線回折スペクトルにおける中間化合物相の(012)面又は(021)面とIn相の(211)面との回折ピーク強度の比がそれぞれ9.0%以下とすることで、放電中のアーキングの発生率が低減する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、透明導電膜の製造に使用される透明導電膜用焼結体及びスパッタリングターゲット並びにその製造方法に関する。
ITO(Indium Tin Oxide)薄膜は高導電性、高透過率といった特徴を有し、更に微細加工も容易に行えることから、フラットパネルディスプレイ用表示電極、太陽電池用窓材、帯電防止膜等の広範囲な分野に渡って用いられている。
このような透明導電膜の成膜方法として、大面積に均一な膜厚で成膜可能である点でスパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法がよくされている。しかし、このスパッタリング法はスパッタリング中のアーキングにより、スパッタリング装置の稼働率の低下や、発生するパーティクルの影響による製品歩留まりの低下等の問題があった。
アーキングの低減には、スパッタリングターゲットに用いる透明導電膜用焼結体の密度向上が有効であり、焼結密度が90〜100%、焼結粒径が1〜20μmの高密度透明導電膜用焼結体(例えば、特許文献1参照)が提案されている。
また、アーキングの原因となる透明導電膜用焼結体中の中間化合物相(一般式InSn12で表される酸化インジウムと酸化スズの複合酸化物相であり、スズが固溶した酸化インジウム相とは異なる)を低減させる方法として、相対密度が90%以上で単相構造(SnO相及び中間化合物相が光学顕微鏡の写真における面積比で10%以下)を有し、比抵抗を1×10−3Ω・cm以下としたITOスパッタリングターゲット(例えば、特許文献2)が開示されている。
しかしながら、ITO薄膜に要求される性能は日々高まり、ターゲットのアーキング低減に対する更なる改善が求められている。
特開平05−311428号公報 特開平07−166341号公報
本発明の課題は、スパッタリング中のアーキングの発生を制御することができる透明導電膜用焼結体を提供することである。
上記課題を解決すべくITOスパッタリングターゲットのアーキング発生頻度の低減策について鋭意検討した結果、アーキングの発生頻度は中間化合物を高温構造にすることにより低減できることを見出した。
本発明の態様は以下の通りである。
(1)インジウム、スズ及び酸素を含んでなる、少なくともIn相と中間化合物相とを有する焼結体であって、スズの含有量がSnO換算で、SnO/(In+SnO)で10重量%以上15重量%以下の場合、X線回折スペクトルにおける中間化合物相の(012)面又は(021)面とIn相の(211)面との回折ピーク強度の比がそれぞれ3.0%以下であることを特徴とする透明導電膜用焼結体。
(2)インジウム、スズ及び酸素を含んでなる、少なくともIn相と中間化合物相とを有する焼結体であって、スズの含有量がSnO換算で、SnO/(In+SnO)で15重量%より大きく20重量%以下の場合、X線回折スペクトルにおける中間化合物相の(012)面又は(021)面とIn相の(211)面との回折ピーク強度の比がそれぞれ9.0%以下であることを特徴とする透明導電膜用焼結体。
(3)焼結体の平均の結晶粒径が4μm以下であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の透明導電膜用焼結体。
(4)相対密度が99%以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の透明導電膜用焼結体。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の透明導電膜用焼結体をターゲット材として用いることを特徴とするスパッタリングターゲット。
(6)インジウム化合物の粉末とスズ化合物の粉末とを混合する工程と、当該混合粉末を成形して成形体を製造する工程と、当該成形体を20〜600℃/時間以上の昇温速度で1550〜1650℃まで加熱した後、1550℃から1300℃まで250℃/時間以上で冷却する工程とを含むことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の透明導電膜用焼結体の製造方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の透明導電膜用焼結体はインジウム、スズ及び酸素を含んでなり、少なくともIn相と中間化合物相とを有する焼結体である。In相は立方晶系の結晶構造をとり、中間化合物相は組成式InSn12で表されるインジウムとスズの複合酸化物である。
中間化合物であるInSn12は1550〜1650℃の高温域で構造変化が起こり、InSn12の回折ピーク強度が低下し、電気抵抗も低下する。
これは、InSn12が1550℃以上で相転移したためか、別の化合物に変化したものと推測されるが、その詳細構造は不明である。本発明においては、以下、透明導電膜用焼結体の中間化合物が1550℃以上の高温の状態で変化した相の構造を高温構造といい、組成変化を伴う構造変化も含むものとする。
走査型電子顕微鏡(SEM)で高温構造となっている中間化合物を観察したところ、回折ピーク強度が減少したInSn12焼結体の組織でも、InSn12の組成の結晶相の割合はほとんど変わっていないことが見出された。
本発明は、スズの含有量がSnO換算で、SnO/(In+SnO)で10重量%以上15重量%以下の場合に、透明導電膜用焼結体中の中間化合物相に帰属する(012)面及び(021)面とIn相に帰属する(211)面の回折ピーク強度の比がそれぞれ3.0%以下であることを特徴とする。回折ピーク強度の比が、この範囲だとスパッタリング中のアーキングを一層低減することが可能となる。
一方、スズの含有量がSnO換算で、SnO/(In+SnO)で15重量%より大きく20重量%以下の場合は、透明導電膜用焼結体中の中間化合物相に帰属する(012)面及び(021)面とIn相に帰属する(211)面の回折ピーク強度の比がそれぞれ9.0%以下であればよい。9.0%以下とする理由は上記と同様である。
なお、InとInSn12の主要なX線回折ピークは重複してしまい、定量化が困難であるため、高温構造を維持していることを示す尺度として、X線回折ピークが重複しない、InSn12の(012)面と(021)面とInの(211)面との回折ピーク強度を比較した。回折ピーク強度の比が小さいほど、InSn12の高温構造が維持されていると考えられる。
本発明の透明導電膜用焼結体の平均の結晶粒径は4μm以下であることが好ましい。平均の結晶粒径が4μmを超えるとアーキングが多く起きる場合があるからである。平均の結晶粒径が小さくなるほどアーキングの発生量が低減するため、より好ましくは3μm以下であり、さらに好ましくは2μm以下である。
平均の結晶粒径は、得られた焼結体の組織をSEMにより画像化し、その画像からコード法により各結晶粒径を求め、300個以上の測定点の平均から算出した。
本発明の透明導電膜用焼結体の相対密度は99%以上が好ましく、99.5%以上がより好ましい。相対密度が99%未満であるとアーキングが多く起きる場合があるからである。
本発明の透明導電膜用焼結体を板状、円状、円柱状等の所望の形状に研削加工した後、必要に応じて無酸素銅等からなるバッキングプレート、バッキングチューブにインジウム半田等を用いて接合することにより、本発明の焼結体をターゲット材としたスパッタリングターゲットを得ることができる。
また、本発明は付加機能を持たせることを目的として第3の元素を添加した透明導電膜用焼結体においても有効である。第3元素としては、例えば、Mg,Al,Si,Ti,Zn,Ga,Ge,Y,Zr,Nb,Hf,Ta等を例示することができる。これらの元素の添加量は、特に限定されるものではないが、全体の20重量%以下とすることが好ましい。
次に本発明の透明導電膜用焼結体の製造方法について工程毎に説明する。
(1)原料混合工程
原料粉末は特に限定されるものではなく、例えば、インジウム又はスズの金属塩粉末、塩化物、硝酸塩、炭酸塩等を用いることも可能であるが、取り扱い性を考慮すると酸化物粉末が好ましい。
各原料粉末の純度は、通常99%以上、好ましくは99.9%以上、より好ましくは99.99%以上である。純度が低いと、不純物物質により、本発明の透明導電膜用焼結体を用いたスパッタリングターゲットで形成された透明導電膜に影響が及ぼされることがあるからである。
これらの原料の配合は、酸化物換算でSnO/(In+SnO)で10〜20重量%となるように原料を混合することが好ましい。
これら各粉末の混合は、特に限定されるものではないが、ジルコニア、アルミナ、ナイロン樹脂等のボールやビーズを用いた乾式、湿式のメディア撹拌型ミルやメディアレスの容器回転式混合、機械撹拌式混合等の混合方法が例示される。具体的には、ボールミル、ビーズミル、アトライタ、振動ミル、遊星ミル、ジェットミル、V型混合機、パドル式混合機、二軸遊星撹拌式混合機等が挙げられる。
また、粉末の混合と同時に粉砕が行われるが、粉末の平均粒径が大きいと焼結後の密度が充分に上昇しない場合があるので、粉砕後の粉末粒径は微細であるほど好ましい。粉末の平均粒径は1.0μm以下であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜1.0μmである。こうすることにより、焼結粒径が小さく、焼結密度の高い焼結体を得ることが可能となる。湿式法のボールミルやビーズミル、アトライタ、振動ミル、遊星ミル、ジェットミル等を用いる場合には、粉砕後のスラリーを乾燥する必要がある。この乾燥方法は特に限定されるものではないが、例えば、濾過乾燥、流動層乾燥、噴霧乾燥等が例示できる。
また、酸化物粉末以外の粉末を混合する場合は、混合後に500〜1000℃で仮焼を行い、仮焼粉末の粒径が大きくなった場合は粉砕することが好ましい。
なお、成形処理に際しては、ポリビニルアルコール、アクリル系ポリマー、メチルセルロース、ワックス類、オレイン酸等の成形助剤を原料粉末に添加しても良い。
(2)成形工程
成形方法は、各原料粉末の混合粉末(仮焼した場合には仮焼した混合粉末)を目的とした形状に成形できる成形方法を適宜選択することが可能であり、特に限定されるものではない。プレス成形法、鋳込み成形法、射出成形法等が例示できる。
成形圧力は成形体にクラック等の発生がなく、取り扱いが可能な成形体であれば特に限定されるものではないが、成形密度は可能な限り高めた方が好ましい。そのために冷間静水圧(CIP)成形等の方法を用いることも可能である。CIP圧力は充分な圧密効果を得るため1ton/cm以上、好ましくは2ton/cm以上、さらに好ましくは2〜3ton/cmであることが望ましい。
ここで始めの成形を鋳込法により行い、続いてCIPを行った場合には、CIP後の成形体中に残存する水分及びバインダー等の有機物を除去する目的で脱バインダー処理を施してもよい。また、始めの成形をプレス法により行った場合でも、原料混合工程でバインダーを添加したときは、同様の脱バインダー処理を行うこともできる。
(3)焼成工程
次に得られた成形体を焼結炉内に投入して焼結を行う。焼結方法としては、いかなる方法でも適用可能であるが、密度が高く、また、中間化合物の結晶粒径が小さな焼結体を得るためには電磁波加熱による焼結を行うことが好ましい。電磁波としてはマグネトロンまたはジャイロトロン等から発生する連続またはパルス状の2.45GHz等のマイクロ波、28GHz等のミリ波、またはサブミリ波が利用できる。電磁波の周波数の選択はITOの焼結挙動から適切なものを選択することができるが、発振器のコスト等の経済性を考慮すると2.45GHzのマイクロ波が好ましい。
使用される電磁波焼成炉としては、バッチ式、連続式、外部加熱式とのハイブリット式等の種々の焼成炉を使用することができる。
マイクロ波による焼成の場合、得られた成形体はセッターの上に置かれ、断熱材で囲まれる。この際、断熱材の内部に等温熱障壁のための材料を設置することも可能である。セッターや等温熱障壁の材質は焼成温度にて耐熱性を有する材料を選択すればよく、アルミナ、ムライト、ジルコニア、SiC等が挙げられる。
被焼成物の昇温速度については特に限定されないが、中間化合物の結晶粒径を小さくするため、20〜600℃/時間、好ましくは100〜600℃/時間、より好ましくは200〜600℃/時間、さらに好ましくは300〜600℃/時間とする。水分やバインダーを含む成形体の場合、特に大型の成形体では水分やバインダー成分が揮発する際に、急激な体積膨張を伴うと成形体が割れることがあるため、水分やバインダー成分が揮発している温度領域、例えば100〜400℃の温度域においては昇温速度を20〜100℃/時間とすることが好ましい。
加熱時の最高温度は、1550℃〜1650℃とする。この温度範囲で、中間化合物は高温構造へと変化するからである。
焼成時の保持時間は特に限定しないが、10時間以内で十分である。また、降温速度は1550℃から1300℃までは250℃/時間以上とし、好ましくは300℃/時間以上である。この温度域を250℃/時間以上で降温することで中間化合物の高温構造の維持率が高まるからである。それ以外の温度域では、降温速度の上限値については特に限定されず、焼結炉の容量、焼結体のサイズ及び形状、割れ易さなどを考慮して適宜決定することができる。
焼結時の雰囲気としては酸素気流中とすることが好ましく、焼成時に炉内に酸素を導入する際の酸素流量(L/min)と成形体の仕込み量(kg)の比(仕込み量/酸素流量)を1.0以下とすることが望ましい。
本発明では、インジウム、スズ及び酸素を含んでなり、少なくともIn相と中間化合物相を有する焼結体であって、スズの含有量がSnO換算で、SnO/(In+SnO)で10重量%以上15重量%以下の場合、X線回折スペクトルにおける中間化合物相の(012)面又は(021)面とIn相の(211)面との回折ピーク強度の比をそれぞれ3.0%以下とし、スズの含有量がSnO換算で、SnO/(In+SnO)で15重量%より大きく20重量%以下の場合、X線回折スペクトルにおける中間化合物相の(012)面又は(021)面とIn相の(211)面との回折ピーク強度の比がそれぞれ9.0%以下とすることで、放電中のアーキングの発生率が低減する。また、本発明の透明導電膜用焼結体をターゲット材として用いることにより、成膜工程でのアーキングの発生を低減できる品質の優れたターゲット材を得ることができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本実施例における各測定は以下のように行った。
(1)焼結体の密度
アルキメデス法により測定した。なお、相対密度(D)とは、InとSnOの真密度の相加平均から求められる理論密度(dITO)に対する相対値を示している。相加平均から求められる理論密度(dITO)とは、ターゲット組成において、InとSnO粉末の混合量をa(g)とb(g)とした時、それぞれの真密度7.18(g/cm)、6.95(g/cm)を用いて、dITO=(a+b)/((a/7.18)+(b/6.95))により求められる。焼結体の測定密度をdとすると、その相対密度Dは、D=d/dITO×100(%)で求められる。
(2)平均の結晶粒径
SEM写真からコード法により求めた。コード長は30μmで行い、測定した結晶粒子は300個以上とした。
(SEM測定条件)
加速電圧 :20kV
試料の前処理 :観察面を鏡面研磨した後、40℃の規定度12NのHCl水溶液で
1分間エッチング処理を施した
SEM写真の倍率 :3500倍〜5000倍
(3)中間化合物面積比
SEM写真から、写真全体における中間化合物面積の割合を求めた。
(4)X線回折測定
2θ=20〜30°の範囲のX線回折パターンを測定した。測定した回折ピーク強度から、中間化合物相の(012)面及び(021)面の回折ピーク強度とIn相の(211)面の回折ピーク強度との強度比を計算した。
(X線回折試験の測定条件)
走査方法 :ステップスキャン法(FT法)
X線源 :CUKα
パワー :40kV、40mA
ステップ幅 :0.02°
各ステップの測定時間 :5秒
(5)放電評価
125mm×175mm×6mm厚さのターゲット用焼結体をインジウム半田を用いて無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングしてターゲットとした。このターゲットを以下のスパッタリング条件で連続放電させてアーキング発生量を調べた。
(スパッタリング条件)
装置 :DCマグネトロンスパッタ装置
磁界強度 :500Gauss(ターゲット真上、水平成分)
基板温度 :25℃(無加熱)
到達真空度 :3×10−4Pa
スパッタリングガス :Ar+酸素
スパッタリングガス圧 :0.5Pa
DC電力 :300W
ガス圧 :7.0mTorr
酸素ガス濃度(O/Ar):0.05%
放電時間 :30時間
ここで、酸素ガス濃度は、得られる薄膜の抵抗率が最も低下する値に設定した。
(実施例1)
平均粒径0.8μmの酸化インジウム粉末90重量部と平均粒径0.6μmの酸化スズ粉末10重量部とをポリエチレン製のポットに入れ、乾式ボールミルにより16時間混合し、混合粉末を調製した。
この混合粉末を所定の焼結体厚みが得られるように粉末量を調整して金型に入れ、300kg/cmの圧力でプレスして成形体とした。この成形体を3ton/cmの圧力でCIPによる処理を行った。次にこの成形体をマイクロ波焼成炉(周波数=2.45GHz)にアルミナ製のセッターの上に設置して、以下の条件で焼結した。
(焼結条件)
焼成温度 :1600℃
昇温速度 :300℃/時間
1550℃での保持時間:1時間、
雰囲気 :昇温時の室温から降温時の100℃まで純酸素ガス導入
降温速度 :300℃/時間(1600℃から1300℃まで)
100℃/時間(1300℃から100℃まで)
得られた焼結体の密度、平均の結晶粒径、InSn12とInとの回折ピーク強度比、放電評価を実施した。結果を表1に示す。
(実施例2)
焼成温度=1650℃とし、昇温速度=400℃/時間とした以外は実施例1と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の密度、平均の結晶粒径、InSn12とInとの回折ピーク強度比を実施した。結果を表1に示す。
(実施例3)
酸化インジウム粉末85重量部と酸化スズ粉末15重量部とし、昇温速度=200℃/時間とした以外は、実施例1と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の密度、平均の結晶粒径、InSn12とInとの回折ピーク強度比、放電評価を実施した。結果を表1に示す。
(実施例4)
酸化インジウム粉末80重量部と酸化スズ粉末20重量部とし、実施例1と同様の条件で焼成を行った得られた焼結体の密度、平均の結晶粒径、InSn12とInとの回折ピーク強度比、放電評価を実施した。結果を表2に示す。
(比較例1)
電気炉(発熱体=モリブデンシリサイトヒーター)を使用し、室温から1600℃まで、昇温速度=50℃/時間、1600℃での保持温度=2時間、1600℃から1300℃までの降温速度=100℃/時間とした以外は実施例1と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の密度、平均の結晶粒径、InSn12とInとの回折ピーク強度比、放電評価を実施した。結果を表1に示す。
(比較例2)
1600℃から1300℃までの降温速度=200℃/時間とした以外は実施例1と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の密度、平均の結晶粒径、InSn12とInとの回折ピーク強度比、放電評価を実施した。結果を表1に示す。
(比較例3)
酸化インジウム粉末85重量部と酸化スズ粉末15重量部とし、1600℃から1300℃までの降温速度=200℃/時間とした以外は比較例1と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の密度、中間化合物の平均の結晶粒径、InSn12とInとの回折ピーク強度比、放電評価を実施した。結果を表1に示す。
(比較例4)
酸化インジウム粉末80重量部と酸化スズ粉末20重量部とし、1300℃までの降温温度=200℃/時間とした以外は比較例1と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の密度、中間化合物の平均の結晶粒径、InSn12とInとの回折ピーク強度比、放電評価を実施した。結果を表2に示す。
Figure 2010150611
Figure 2010150611
実施例1で得られた透明導電膜用焼結体のX線回折結果である。 実施例3で得られた透明導電膜用焼結体のX線回折結果である。 比較例1で得られた透明導電膜用焼結体のX線回折結果である。 比較例3で得られた透明導電膜用焼結体のX線回折結果である。

Claims (6)

  1. インジウム、スズ及び酸素を含んでなる、少なくともIn相と中間化合物相とを有する焼結体であって、スズの含有量がSnO換算で、SnO/(In+SnO)で10重量%以上15重量%以下の場合、X線回折スペクトルにおける中間化合物相の(012)面又は(021)面とIn相の(211)面との回折ピーク強度の比がそれぞれ3.0%以下であることを特徴とする透明導電膜用焼結体。
  2. インジウム、スズ及び酸素を含んでなる、少なくともIn相と中間化合物相とを有する焼結体であって、スズの含有量がSnO換算で、SnO/(In+SnO)で15重量%より大きく20重量%以下の場合、X線回折スペクトルにおける中間化合物相の(012)面又は(021)面とIn相の(211)面との回折ピーク強度の比がそれぞれ9.0%以下であることを特徴とする透明導電膜用焼結体。
  3. 焼結体の平均の結晶粒径が4μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明導電膜用焼結体。
  4. 相対密度が99%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電膜用焼結体。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電膜用焼結体をターゲット材として用いることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  6. インジウム化合物の粉末とスズ化合物の粉末とを混合する工程と、当該混合粉末を成形して成形体を製造する工程と、当該成形体を20〜600℃/時間以上の昇温速度で1550〜1650℃まで加熱した後、1550℃から1300℃まで250℃/時間以上で冷却する工程とを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電膜用焼結体の製造方法。
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