JP2010085934A - 投写型可変焦点レンズおよび投写型表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】変倍時およびフォーカシング時における移動レンズ群の総数を2つとすることで、レンズ系および装置の小型化、軽量化および低廉化を図るとともに、諸収差、特に変倍時における、収差バランスを良好なものとした投写型可変焦点レンズおよび投写型表示装置を提供する。
【解決手段】拡大側から順に、負の第1群G1、正の第2群G2、第3群G3、正の第4群G4を備え、縮小側が略テレセントリックに構成されている。変倍時には、第2群G2および第3群G3が、互いに間隔を変えながら光軸Xに沿って移動するように構成され、フォーカシング時には、第2群G2と第3群G3を一体的に、光軸Xに沿って移動するように構成されている。
【選択図】図1
【解決手段】拡大側から順に、負の第1群G1、正の第2群G2、第3群G3、正の第4群G4を備え、縮小側が略テレセントリックに構成されている。変倍時には、第2群G2および第3群G3が、互いに間隔を変えながら光軸Xに沿って移動するように構成され、フォーカシング時には、第2群G2と第3群G3を一体的に、光軸Xに沿って移動するように構成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、投写型表示装置等に搭載される4群構成の可変焦点レンズおよびその可変焦点レンズを搭載した投写型表示装置に関し、特に、透過型あるいは反射型の液晶表示装置やDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)表示装置等のライトバルブからの映像情報を担持した光束をスクリーン上に拡大投写する投写型可変焦点レンズおよび投写型表示装置に関するものである。
近年、液晶表示装置やDMD表示装置等のライトバルブを用いた投写型表示装置が広く普及しており、特に、このライトバルブを3枚用い、RGB3原色の照明光に各々対応させるようにすることでこれら各照明光を変調し、個々のライトバルブで変調された光をプリズム等で合成し、投写レンズを介してスクリーンに画像を表示する構成をとるものが広く利用されている。
このようなライトバルブにおいては小型化・高精細化が急激に進み、また、パソコンの普及と相俟って、このような投写型表示装置を用いてプレゼンテーションを行うことの需要も増加しており、利便性や設置性のよい態様のものが望まれているため、投写型表示装置に対して、より高性能かつ高変倍可能で、より小型・軽量なものへの要求が高まってきている。また、これに伴い投写レンズに関しても、より高性能かつ高変倍可能で、より小型、軽量なものであることが強く望まれている。また、その一方で、投写レンズに対する低廉化への要求も強いものがある。
さらに、光学系内に、複数のライトバルブからの変調光を合成するための色合成プリズムや、照明光と投写光の分離に用いられるTIRプリズムを配設した場合、前者では色むら発生を防止するため、後者では分離効率の低下を防止するため、投写レンズの縮小側を略テレセントリックとすることが要求される。
以上のような、種々の要求に応えることを目的とした投写レンズとして、種々の投写型ズームレンズが知られているが、このようなズームレンズでは、変倍時に連携して移動する2群以上の変倍群を有しており、一方、一般にフォーカシングは、変倍群とは異なるレンズ群を移動することによって行なうようにしており、結局、3群以上のレンズ群を移動群として駆動しなければならず、レンズ駆動部が複雑となるとともに、小型化、軽量化および低廉化を進める上で障害となっていた。
そこで、ズーミングを1つのレンズ群で行なうとともにフォーカシングを他の1つのレンズ群で行なうことを可能にした、下記特許文献1に記載された投写型ズームレンズが知られている。
しかしながら、上記特許文献1記載の投写型ズームレンズにおいては、1つのレンズ群によってズーム機能をもたせているが故に、変倍時における収差変動がどうしても大きくなってしまう。
また、特許文献1記載の投写型ズームレンズにおいては、上記変倍を行なうためのレンズ群の縮小側に配されたレンズ枚数が少なく、縮小側が略テレセントリックな系においては、大きな変倍比とすることが難しい、という課題がある。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、縮小側テレセントリックで、高変倍可能な構成でありながら、変倍時およびフォーカシング時における移動レンズ群の総数を2つとすることで、レンズ系および装置の小型化、軽量化および低廉化を図ることができるとともに、諸収差、特に変倍時において、収差がバランスよく良好に補正された投写型可変焦点レンズおよび投写型表示装置を提供することを目的とするものである。
本発明の投写型可変焦点レンズは、
拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群、からなり、
焦点距離の可変時には、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群とを、互いに間隔が変化するよう光軸方向に移動させるとともに、フォーカシング時には、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群とを光軸方向に一体的に移動させるように構成され、さらに縮小側が略テレセントリックに構成されていることを特徴とするものである。
拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群、からなり、
焦点距離の可変時には、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群とを、互いに間隔が変化するよう光軸方向に移動させるとともに、フォーカシング時には、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群とを光軸方向に一体的に移動させるように構成され、さらに縮小側が略テレセントリックに構成されていることを特徴とするものである。
なお、一般に、「可変焦点レンズ」と称するときは、バリフォーカルレンズを意味し、変倍時において共役長が変化し、ピントがずれるので、その際のフォーカシングが必要となるもの、とされるが、本願明細書においても、「可変焦点レンズ」と称する場合には、変倍時において共役長が一定となるように調整し、その共役長の若干のズレ量をフォーカシングレンズにより調整する、いわゆる「ズームレンズ」は含まれないものとする。
また、前記第2レンズ群が以下の条件式(1)を満足することが好ましい。
1.0 < f2/fw < 4.0 ・・・・(1)
ここで、
fw:ワイド端の全系焦点距離
f2:第2レンズ群の焦点距離
1.0 < f2/fw < 4.0 ・・・・(1)
ここで、
fw:ワイド端の全系焦点距離
f2:第2レンズ群の焦点距離
また、前記第2レンズ群が以下の条件式(2)を満足することが好ましい。
0.15 < D2/L < 0.55 ・・・・(2)
ここで、
D2:第2レンズ群中で最も長いレンズ面間隔
L :レンズ全長(最も拡大側のレンズ拡大側面頂点から最も縮小側のレンズ縮小側面頂点までの実際の長さ(空気換算は行なわれていない))
0.15 < D2/L < 0.55 ・・・・(2)
ここで、
D2:第2レンズ群中で最も長いレンズ面間隔
L :レンズ全長(最も拡大側のレンズ拡大側面頂点から最も縮小側のレンズ縮小側面頂点までの実際の長さ(空気換算は行なわれていない))
また、前記第2レンズ群は2枚の正レンズのみで構成することが好ましい。
また、前記第3レンズ群は、拡大側から順に、負の第31レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第32レンズ、および縮小側に凸面を向けた正の第33レンズのみで構成することが好ましい。
また、前記第4レンズ群は、拡大側に凸面を向けた1枚の正レンズのみで構成されていることが好ましい。
また、前記第3レンズ群が下記条件式(3)を満足することが好ましい。
f3/fw < −3.0 ・・・・(3)
ここで、
f3:第3レンズ群の焦点距離
fw:ワイド端の全系焦点距離
f3/fw < −3.0 ・・・・(3)
ここで、
f3:第3レンズ群の焦点距離
fw:ワイド端の全系焦点距離
また、前記第1レンズ群は、縮小側に凹面を向けた負レンズを含む2枚のレンズにより構成したり、縮小側に凹面を向けた1枚の負レンズのみにより構成することが好ましい。
また、前記第1レンズ群は、少なくとも1つの非球面を備えることが好ましい。
また、前記第1レンズ群が、縮小側に凹面を向けた1枚の負レンズを含む2枚のレンズからなり、前記第2レンズ群が、正レンズ2枚からなり、前記第3レンズ群が、拡大側より順に、負の第31レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第32レンズ、および縮小側に凸面を向けた正の第33レンズからなり、前記第4レンズ群が、拡大側に凸面を向けた1枚の正レンズからなり、系全体で8枚のレンズにより構成することが好ましい。
また、前記第1レンズ群が、縮小側に凹面を向けた1枚の負レンズからなり、前記第2レンズ群が正レンズ2枚からなり、前記第3レンズ群が、拡大側より順に、負の第31レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第32レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第33レンズからなり、前記第4レンズ群が、拡大側に凸面を向けた1枚の正レンズからなり、系全体で7枚のレンズにより構成することが好ましい。
また、本発明の投写型表示装置は、光源と、ライトバルブと、該光源からの光束を該ライトバルブへ導く照明光学部と、上記いずれかの投写型可変焦点レンズとを備え、前記光源からの光束を前記ライトバルブで光変調し、前記投写型可変焦点レンズによりスクリーンに投写することを特徴とするものである。
本発明の投写型可変焦点レンズによれば、拡大側から順に、負、正の2つのレンズ群が配設されるとともに、最も縮小側には正のレンズ群が配設された4群レンズ構成とされ、焦点距離の可変時には、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群とを、互いに間隔を変化させつつ光軸方向に移動するように構成されるとともに、フォーカシング時には、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群とを光軸方向に一体的に移動するように構成され、さらに縮小側が略テレセントリックに構成されている。
このように、変倍用の移動レンズ群とフォーカシング用の移動レンズ群を同一のレンズ群によって構成したことにより、縮小側テレセントリックで、高変倍可能な構成でありながら、変倍用とフォーカシング用の移動レンズ群の総計を2つとすることができ、レンズ系および装置の小型化、軽量化および低廉化を図ることができる。また、2つのレンズ群を変倍用の移動レンズ群として割り当てることができるので、1つのレンズ群を変倍用の移動レンズ群として割り当てた前述の従来技術と比べて、収差をバランスよく良好に補正することができる。
また、このような可変焦点レンズは、従来より、撮影レンズ等に用いられており、変倍時に、共役長が変化することから、ピント合わせのためにフォーカス調整が必要となり、撮影毎のフォーカス調整が煩わしいという点が指摘されていた。
しかしながら、投写レンズにおいては、一般に、投写型表示装置とスクリーンが一旦設定されてしまえば、投写操作毎に倍率を変更するものではないので、フォーカス調整も最初の一回だけ行なえば良いことから、撮影レンズ等において指摘されている上述したような点は、ほとんど問題とならない。
さらに、本発明の投写型可変焦点レンズにおいては、前述したような公報に記載の投写型ズームレンズとは異なり、変倍を行なうためのレンズ群を、4つのレンズ群のうち拡大側から2番目のレンズ群(主たる変倍用レンズ群)および3番目(従たる変倍用レンズ群)のレンズ群としているので、縮小側が略テレセントリックな系においても、大きな変倍比を得ることが可能である。
また、本発明の投写型表示装置は、本発明の投写型可変焦点レンズを用いていることにより、高変倍可能な構成でありながら、小型化、軽量化および低廉化を図ることができ、また、高い光学性能を維持することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示す実施形態(実施例1のものを代表させて示している)の投写型可変焦点レンズは、拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とを備え、縮小側が略テレセントリックに構成されており、その後段には、色合成プリズムを主とするガラスブロック(フィルタ部を含む)2および液晶表示パネル等ライトバルブの画像表示面1が配設される。なお、図中Xは光軸を表している。
また、変倍時(焦点距離の可変時)において、第2レンズ群G2(一体的にマスク(開口絞りとすることも可)3を有している)および第3レンズ群G3が、互いに間隔を変えながら光軸Xに沿って移動するように構成され、フォーカシング時には、前記第2レンズ群G2と第3レンズ群G3を一体的に、光軸Xに沿って移動させるように構成されている。
ここで、変倍時において、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3は連動せずに移動するように構成しても良いが、望ましくは、変倍時において、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3を連動させ、互いの間隔を変化させるようにして移動するように構成することが可能である。ただし、この場合でもフォーカシング時においては、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3が一体的に移動するように構成される。
図5は、上述した内容の一例を概念図として表したものであり、変倍時においては、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3がともに規制を受けながら移動し、一方、フォーカシング時においては、該規制を付与しているメカ機構20全体を光軸X方向に移動させることで、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3が互いの距離を一定に保ったまま、第1レンズ群G1と第4レンズ群G4の間を移動する、というメカニズムが示されている。
ここで第1レンズ群G1は、縮小側に凹面を向けた、少なくとも1面が非球面からなる非球面レンズ(プラスチック製が好ましい)よりなる第1レンズL1、および縮小側に凹面を向けた平凹レンズまたは両凹レンズよりなる第2レンズL2からなる(実施例2においては、縮小側に凹面を向けた、少なくとも1面が非球面からなる非球面レンズよりなる第1レンズL1からなる)。
上記第1レンズ群G1を、縮小側に凹面を向けた負レンズを含む2枚のレンズ、または縮小側に凹面を向けた1枚の負レンズのみにより構成することにより、レンズ系のコンパクト化および低廉化を図ることができる。特に、第1レンズ群G1には、非球面が形成されるので、外径を小さくできれば、大幅にコストダウンを図ることができる。
また、第2レンズ群G2は、2枚の正レンズによって構成されており、これによりレンズ系のコンパクト化および低コスト化を達成することができる。より好ましくは、両凸レンズよりなる第3レンズL3、マスク(開口絞りとすることも可:以下同じ)3および両凸レンズよりなる第4レンズL4によって構成する。マスク3を、上記2枚の正レンズの間の位置に配設することにより、縮小側のテレセントリック性を、より良好なものとすることができる。
なお、上記第2レンズ群G2において、上記2枚の正レンズは、ともに屈折率が1.65以上とすることが収差補正上好ましい。
また、第3レンズ群G3は、拡大側から順に、負レンズ、縮小側に凸面を向けた正(または負)レンズ、および縮小側に凸面を向けた正レンズによって構成されており、これによりフォーカシング時の収差変動を少なくすることができる。より好ましくは、両凹レンズよりなる第5レンズL5、縮小側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第6レンズL6および両凸レンズよりなる第7レンズL7によって構成する。
また、第4レンズ群G4は、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第8レンズL8のみからなる。
また、本実施形態の投写型可変焦点レンズにおいては、変倍時とフォーカシング時のいずれにおいても、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3を移動させるように構成されており、変倍時とフォーカシング時の移動レンズ群の総計が2つですむため、従来のものに比べて、小型化、軽量化および低廉化を図ることが可能である。
また、本実施形態の投写型可変焦点レンズにおいては、上述したように、ネガティヴリード型の可変焦点レンズとされているため、広角化を図り易く、また適正な長さのバックフォーカスを確保することが可能である。
また、本実施形態の投写型可変焦点レンズにおいては、熱的に弱い接合レンズを使用せず、全て単独のレンズにより構成することが好ましい。これにより、系内(特に光束が細くなる位置)が極めて高温となる投写レンズにおいても、熱的問題の発生を防止することができる。
また、本実施形態に係る投写型可変焦点レンズにおいては、第2レンズ群G2は、下記条件式(1)、(2)の少なくとも一方を満足することが好ましい。
1.0 < f2/fw < 4.0 ・・・・(1)
0.15 < D2/L < 0.55 ・・・・(2)
ここで、
fw:ワイド端の全系焦点距離
f2:第2レンズ群G2の焦点距離
D2:第2レンズ群G2中で最も長いレンズ面間隔
L :レンズ全長
1.0 < f2/fw < 4.0 ・・・・(1)
0.15 < D2/L < 0.55 ・・・・(2)
ここで、
fw:ワイド端の全系焦点距離
f2:第2レンズ群G2の焦点距離
D2:第2レンズ群G2中で最も長いレンズ面間隔
L :レンズ全長
また、第4レンズ群G4は、拡大側に凸面を向けた1枚の正レンズのみで構成されることが好ましい。
また、第3レンズ群G3が下記条件式(3)を満足することが好ましい。
f3/fw < −3.0 ・・・・(3)
ここで、
f3:第3レンズ群G3の焦点距離
f3/fw < −3.0 ・・・・(3)
ここで、
f3:第3レンズ群G3の焦点距離
次に、上述した条件式(1)〜(3)の技術的意義について説明する。
まず、条件式(1)は、変倍時およびフォーカシング時の移動群である第2レンズ群G2の焦点距離f2と、ワイド端の全系焦点距離fwとの比の値の範囲を規定したものであり、第2レンズ群G2のパワーの範囲を規定したものであり、各収差補正を良好にしつつ、レンズ系のコンパクト化を達成し得る範囲を規定したものである。すなわち、条件式(1)の下限値以下となった場合は収差補正が困難となる。一方、上限値以上となるとレンズの移動量が大きくなりレンズ全長が大型化してしまう。なお、条件式(1)の作用をさらに効果的に得るためには、下記条件式(1´)を満足することが好ましく、下記条件式(1´´)を満足することがより好ましい。
1.3 < f2/fw < 3.0 ・・・・(1´)
1.5 < f2/fw < 2.5 ・・・・(1´´)
1.3 < f2/fw < 3.0 ・・・・(1´)
1.5 < f2/fw < 2.5 ・・・・(1´´)
また、条件式(2)は、レンズ全長Lに対する、第2レンズ群G2中で最も長いレンズ面間隔D2の割合の範囲を規定したものであり、各収差補正、特に像面補正やディストーション補正を良好にしつつ、レンズ系のコンパクト化を達成し得る範囲を規定したものである。すなわち、条件式(2)の下限値以下となった場合は収差補正、特に像面補正やディストーション補正が困難となる。一方、上限値以上となるとレンズの移動量が大きくなりレンズ全長が大型化してしまう。なお、条件式(2)の作用をさらに効果的に得るためには、下記条件式(2´)を満足することが好ましく、下記条件式(2´´)を満足することがより好ましい。
0.2 < D2/L < 0.5 ・・・・(2´)
0.25 < D2/L < 0.4 ・・・・(2´´)
0.2 < D2/L < 0.5 ・・・・(2´)
0.25 < D2/L < 0.4 ・・・・(2´´)
また、条件式(3)は、第3レンズ群G3の焦点距離f3と、ワイド端の全系焦点距離fwとの比の値の範囲を規定したものであり、収差補正を良好とし得る範囲を規定するものである。すなわち、条件式(3)の上限値以上となると良好な収差補正が困難となる。なお、条件式(3)の作用をさらに効果的に得るためには、下記条件式(3´)を満足することが好ましい。
f3/fw < −5.0 ・・・・(3´)
f3/fw < −5.0 ・・・・(3´)
また、下記条件式(4)を満足し、広角端の全系焦点距離fWの1.2倍より長いバックフォーカスBfを確保して、良好なテレセントリック性を確保することで、色合成や光束分離のためにプリズム等の光学系を縮小側に配設した場合にも、ダイクロイック膜特性の劣化に伴う色むらの発生や、照明光と投影光の分離効率低下、といった問題を解決することができる。
Bf/fw > 1.2 ・・・・(4)
Bf/fw > 1.2 ・・・・(4)
なお、条件式(4)の作用をさらに効果的に得るためには、下記条件式(4´)を満足することが好ましい。
Bf/fw > 1.45 ・・・・(4´)
Bf/fw > 1.45 ・・・・(4´)
ここで、下記各実施例の投写型可変焦点レンズは、いずれも、第1レンズ群G1中に、少なくとも1面の非球面を含むものであり、これによって、ディストーション補正を有利なものとすることができる。なお、その非球面形状は下記非球面式により表わされる。
次に、上述した投写型可変焦点レンズを搭載した投写型表示装置の一例を図6により説明する。図6に示す投写型表示装置は、ライトバルブとして透過型液晶パネル11a〜cを備え、投写型可変焦点レンズ10として上述した実施形態に係る投写型可変焦点レンズを用いている。また、光源とダイクロイックミラー12の間には、フライアイ等のインテグレータ(図示を省略)が配されており、光源からの白色光は照明光学部を介して、3つの色光光束(G光、B光、R光)にそれぞれ対応する液晶パネル11a〜cに入射されて光変調され、クロスダイクロイックプリズム14により、色合成され投写型可変焦点レンズ10により図示されないスクリーン上に投写される。この装置は、色分解のためのダイクロイックミラー12、13、色合成のためのクロスダイクロイックプリズム14、コンデンサレンズ16a〜c、全反射ミラー18a〜cを備えている。本実施形態の投写型表示装置は、本実施形態に係る投写型可変焦点レンズを用いているので、高変倍可能な構成でありながら、小型化、軽量化および低廉化を図ることができ、また、高い光学性能を維持することができる。
なお、本発明の投写型可変焦点レンズは透過型の液晶表示パネルを用いた投写型表示装置の投写型可変焦点レンズとしての使用態様に限られるものではなく、反射型の液晶表示パネルあるいはDMD等の他の光変調手段を用いた装置の投写型可変焦点レンズ等として用いることも可能である。
以下、具体的な実施例を用いて、本発明の投写型可変焦点レンズをさらに説明する。
<実施例1>
この実施例1にかかる投写型可変焦点レンズは、前述したように図1に示す如き構成とされている。すなわちこの投写型可変焦点レンズは、拡大側から順に、第1レンズ群G1が、両面非球面レンズよりなる第1レンズL1と、縮小側に凹面を向けた、負のメニスカスレンズよりなる第2レンズL2とからなる。また、第2レンズ群G2は、両凸レンズよりなる第3レンズL3、マスク3および両凸レンズよりなる第4レンズL4からなる。また、第3レンズ群G3は、両凹レンズよりなる第5レンズL5、縮小側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第6レンズL6、および両凸レンズよりなる第7レンズL7からなる。また、第4レンズ群G4は、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第8レンズL8のみからなる。
この実施例1にかかる投写型可変焦点レンズは、前述したように図1に示す如き構成とされている。すなわちこの投写型可変焦点レンズは、拡大側から順に、第1レンズ群G1が、両面非球面レンズよりなる第1レンズL1と、縮小側に凹面を向けた、負のメニスカスレンズよりなる第2レンズL2とからなる。また、第2レンズ群G2は、両凸レンズよりなる第3レンズL3、マスク3および両凸レンズよりなる第4レンズL4からなる。また、第3レンズ群G3は、両凹レンズよりなる第5レンズL5、縮小側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第6レンズL6、および両凸レンズよりなる第7レンズL7からなる。また、第4レンズ群G4は、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第8レンズL8のみからなる。
また、変倍時には、広角端から望遠端への移行に伴い、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3が互いに連携しつつ、互いの間隔を変えながら光軸Xに沿って拡大側に移動する。
また、フォーカシングは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3を一体的に光軸X方向に移動させることにより行われる。
また、フォーカシングは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3を一体的に光軸X方向に移動させることにより行われる。
この実施例1における各レンズ面の曲率半径R(レンズ全系の焦点距離を1.0として規格化されている;以下の各表において同じ)、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔D(上記曲率半径Rと同様に規格化されている;以下の各表において同じ)、各レンズのd線における屈折率Ndおよびアッベ数νdを表1の上段に示す。なお、この表1および後述する表2において、各記号R、D、Nd、νdに対応させた数字は拡大側から順次増加するようになっている。
また、表1の中段には各非球面に対応する各定数K、A3〜A12の値が示されており、表1の下段には、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)の各々における、投写距離109.74および470.31の各場合について、可変間隔1(第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔)、可変間隔2(第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔)および可変間隔3(第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔)が示されている。
また、表3に実施例1における上記各条件式に対応する数値を示す。
図3は実施例1の投写型可変焦点レンズの広角端(ワイド:投写距離109.74)および望遠端(テレ:投写距離109.74)における諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図である。なお、図3および以下の図4において、各球面収差図にはd線、F線、C線に対する収差が示されており、各非点収差図にはサジタル像面およびタンジェンシャル像面についての収差が示されており、各倍率色収差図にはd線に対するF線およびC線についての収差が示されている。
この図3から明らかなように、実施例1の投写型可変焦点レンズによれば、広角端での画角2ωが57.6度と広角で、F値が2.11と明るく、各収差が良好に補正されている。
また、表3に示すように実施例1の投写型可変焦点レンズによれば、条件式(1)〜(4)、条件式(1´)〜(4´)、さらには(1´´)、(2´´)が全て満足されている。
<実施例2>
実施例2に係る投写型可変焦点レンズの概略構成を図2に示す。この実施例2にかかる投写型可変焦点レンズは、実施例1のものと略同様の構成とされているが、主として、第1レンズ群G1が、縮小側に凹面を向けた両面非球面レンズからなる第1レンズL1のみからなる点において相違している。
実施例2に係る投写型可変焦点レンズの概略構成を図2に示す。この実施例2にかかる投写型可変焦点レンズは、実施例1のものと略同様の構成とされているが、主として、第1レンズ群G1が、縮小側に凹面を向けた両面非球面レンズからなる第1レンズL1のみからなる点において相違している。
この実施例2における各レンズ面の曲率半径R、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔D、各レンズのd線における屈折率Ndおよびアッベ数νdを表2の上段に示す。
また、表2の中段には各非球面に対応する各定数K、A3〜A12の値が示されており、表2の下段には、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)の各々における、投写距離125.64および543.88の各場合について、可変間隔1(第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔)、可変間隔2(第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔)および可変間隔3(第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔)が示されている。
また、表3に実施例2における上記各条件式に対応する数値を示す。
図4は実施例2の投写型可変焦点レンズの広角端(ワイド:投写距離125.64)および望遠端(テレ:投写距離125.64)における諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図である。
この図4から明らかなように、実施例2の投写型可変焦点レンズによれば、広角端での画角2ωが54.0度と広角で、F値が2.05と明るく、各収差が良好に補正されている。
また、表3に示すように実施例2の投写型可変焦点レンズによれば、条件式(1)〜(4)、条件式(1´)〜(4´)、さらには(1´´)、(2´´)が全て満足されている。
G1〜G4 レンズ群
L1〜L8 レンズ
R1〜R19 レンズ面等の曲率半径
D1〜D18 レンズ面間隔(レンズ厚)
X 光軸
1 画像表示面
2 ガラスブロック(フィルタ部を含む)
3 マスク(開口絞り)
10 投写型可変焦点レンズ
11a〜c 透過型液晶パネル
12、13 ダイクロイックミラー
14 クロスダイクロイックプリズム
16a〜c コンデンサレンズ
18a〜c 全反射ミラー
20 メカ機構
L1〜L8 レンズ
R1〜R19 レンズ面等の曲率半径
D1〜D18 レンズ面間隔(レンズ厚)
X 光軸
1 画像表示面
2 ガラスブロック(フィルタ部を含む)
3 マスク(開口絞り)
10 投写型可変焦点レンズ
11a〜c 透過型液晶パネル
12、13 ダイクロイックミラー
14 クロスダイクロイックプリズム
16a〜c コンデンサレンズ
18a〜c 全反射ミラー
20 メカ機構
Claims (13)
- 拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群、からなり、
焦点距離の可変時には、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群とを、互いに間隔が変化するよう光軸方向に移動させるとともに、フォーカシング時には、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群とを光軸方向に一体的に移動させるように構成され、さらに縮小側が略テレセントリックに構成されていることを特徴とする投写型可変焦点レンズ。 - 前記第2レンズ群が以下の条件式(1)を満足することを特徴とする請求項1記載の投写型可変焦点レンズ。
1.0 < f2/fw < 4.0 ・・・・(1)
ここで、
fw:ワイド端の全系焦点距離
f2:第2レンズ群の焦点距離 - 前記第2レンズ群が以下の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1または2記載の投写型可変焦点レンズ。
0.15 < D2/L < 0.55 ・・・・(2)
ここで、
D2:第2レンズ群中で最も長いレンズ面間隔
L :レンズ全長 - 前記第2レンズ群は2枚の正レンズのみで構成されたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の投写型可変焦点レンズ。
- 前記第3レンズ群は、拡大側から順に、負の第31レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第32レンズ、および縮小側に凸面を向けた正の第33レンズのみで構成されたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載の投写型可変焦点レンズ。
- 前記第4レンズ群は、拡大側に凸面を向けた1枚の正レンズのみで構成されたことを特徴とする請求項5記載の投写型可変焦点レンズ。
- 前記第3レンズ群が下記条件式(3)を満足することを特徴とする請求項5または6記載の投写型可変焦点レンズ。
f3/fw < −3.0 ・・・・(3)
ここで、
f3:第3レンズ群の焦点距離
fw:ワイド端の全系焦点距離 - 前記第1レンズ群は、縮小側に凹面を向けた負レンズを含む2枚のレンズにより構成されたことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項記載の投写型可変焦点レンズ。
- 前記第1レンズ群は、縮小側に凹面を向けた1枚の負レンズのみにより構成されたことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項記載の投写型可変焦点レンズ。
- 前記第1レンズ群は、少なくとも1つの非球面を備えたことを特徴とする請求項8または9記載の投写型可変焦点レンズ。
- 前記第1レンズ群は、縮小側に凹面を向けた1枚の負レンズを含む2枚のレンズからなり、前記第2レンズ群は、正レンズ2枚からなり、前記第3レンズ群は、拡大側より順に、負の第31レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第32レンズ、および縮小側に凸面を向けた正の第33レンズからなり、前記第4レンズ群は、拡大側に凸面を向けた1枚の正レンズからなり、系全体が8枚のレンズにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の投写型可変焦点レンズ。
- 前記第1レンズ群は、縮小側に凹面を向けた1枚の負レンズからなり、前記第2レンズ群は、正レンズ2枚からなり、前記第3レンズ群は、拡大側より順に、負の第31レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第32レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第33レンズからなり、前記第4レンズ群は、拡大側に凸面を向けた1枚の正レンズからなり、系全体が7枚のレンズにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の投写型可変焦点レンズ。
- 光源と、ライトバルブと、該光源からの光束を該ライトバルブへ導く照明光学部と、請求項1〜12のうちいずれか1項記載の投写型可変焦点レンズとを備え、前記光源からの光束を前記ライトバルブで光変調し、前記投写型可変焦点レンズによりスクリーンに投写することを特徴とする投写型表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008257878A JP2010085934A (ja) | 2008-10-02 | 2008-10-02 | 投写型可変焦点レンズおよび投写型表示装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008257878A JP2010085934A (ja) | 2008-10-02 | 2008-10-02 | 投写型可変焦点レンズおよび投写型表示装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010085934A true JP2010085934A (ja) | 2010-04-15 |
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ID=42249915
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2008257878A Withdrawn JP2010085934A (ja) | 2008-10-02 | 2008-10-02 | 投写型可変焦点レンズおよび投写型表示装置 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2010085934A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102269864A (zh) * | 2010-06-03 | 2011-12-07 | 富士胶片株式会社 | 投影用变焦镜头和投影型显示设备 |
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-
2008
- 2008-10-02 JP JP2008257878A patent/JP2010085934A/ja not_active Withdrawn
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