JP2009544736A - 小児患者における腫瘍の上皮増殖因子受容体アンタゴニストによる治療 - Google Patents

小児患者における腫瘍の上皮増殖因子受容体アンタゴニストによる治療 Download PDF

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Abstract

EGFRアンタゴニストと化学療法薬を投与することによる、小児腫瘍を処置する併用療法の方法が開示される。本方法はまた、難治性小児腫瘍を治療することも含む。

Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2006年7月27日出願の米国特許仮出願第60/833,487号の利益を主張するものであり、その内容は参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。
[発明の分野]
本発明は、EGFRアンタゴニストと化学療法薬の組合せを投与することによる、小児患者において腫瘍を処置することに関する。
米国において、2001年に11,900人の小児および20歳未満の青年が、がんと診断され、約2,200人がその疾病で死亡した。固形腫瘍は、小児がんのおよそ30%の症例を占める。浸潤性脳腫瘍および神経系がんは全ての小児がんの17%を占め、急性リンパ性白血病に次いで第2位である。脳腫瘍の診断症例の約半数は悪性である。その他の一般的な小児がんとしては、ユーイング肉腫、白血病、神経芽腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、軟部組織肉腫、およびウィルムス腫瘍が挙げられる。
小児の脳腫瘍を処置する際の主な障害の一つは、脳がまだ急速な成長を迎え、処置、例えば放射線または化学療法などからの毒性に対して脆弱であることである。障害は、その他の種類の小児がんを処置する際にも生じる。したがって、小児患者において腫瘍を処置するための新規な治療法が必要とされている。
上皮増殖因子受容体(EGFR)ファミリーは、様々ながんにおいて発現または過剰発現され、一般に腫瘍形成に関与する。EGFRファミリーには、EGF受容体(EGFR、erbB−1/HER1としても知られている)、HER2(c−neu/erB−2としても知られている)、erbB−3/HER3、およびerbB−4/HER4が含まれる。例えば、EGFRおよびHER2は、腫瘍細胞増殖および生存を調節するプロセスにおいて重要な役割を果たすと考えられている。特に、EGFRは、生存ならびにアポトーシス、脱分化、および転移(細胞遊走および浸潤を含む)からの保護に影響を及ぼすいくつかの経路に関与してきた。EGFRを発現するこれらのがんの中には、頭頚部がん、結腸直腸がん、膵がん、卵巣がん、腎細胞がん、非小細胞肺がん、および神経膠腫を含む、最も一般的ながんがいくつかある。早期に診断されていなければ、これらのがんのうち多くの予後は不良であり、進行した疾病の治療は制限される。
これらのがんのいくつかの処置のための様々なEGFR阻害剤が現在、臨床試験中である。このような例の1つは、ERBITUX(登録商標)(セツキシマブ)(ImClone Systems Inc.製造)であり、これはリガンドがEGFRと結合することを妨げ、受容体の活性化を防ぎ、培養中の細胞の増殖を阻害する、キメラ(ヒト/マウス)モノクローナル抗体である。別の例は、ABX−EGFであり、これは、報告によると、EGFRと結合することが知られている2つのリガンドである、トランスフォーミング増殖因子α(TGF−a)と上皮増殖因子(EGF)の結合を妨げる、EGFRに特異的な完全ヒトモノクローナル抗体である。HERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ)は、HER2陽性転移性乳がんの治療のために認可されたヒト化抗体であり、HER2タンパク質の過剰発現の機能をターゲットとし、阻害するよう設計されている。
加えて、様々な小分子EGFR阻害剤の臨床試験が現在行われている。チロシンキナーゼ阻害剤の一例は、IRESSA(商標)であり、これは、報告によると、EGFRチロシンキナーゼ活性を阻害する小分子EGFRチロシンキナーゼ阻害剤であり、機能性EGFRを発現する一連のヒトがん細胞に対して細胞増殖抑制性であり、p27のアップレギュレーションによって腫瘍細胞増殖を阻害することができる。
特定の実施形態では、本発明は、小児患者を有効量のEGFRアンタゴニストおよび化学療法薬で処置することによる、小児患者において腫瘍の増殖を阻害する方法を提供する。好ましい実施形態では、このEGFRアンタゴニストは、EGFRの細胞外ドメインと特異的に結合し、その活性化を中和するEGFR抗体である。好ましい実施形態では、この化学療法薬はイリノテカンである。
本発明は、有効量のEGFRアンタゴニストおよび化学療法薬を投与することによる、小児患者において腫瘍を処置する方法を提供する。本発明によれば、小児患者は、出生時から18歳までの患者である。処置には、(1)該疾病にかかりやすい可能性があるがまだ該疾病の症状を経験していないか示していない患者において、疾病が生じることを予防すること、例えば、臨床症状の発生の予防、(2)腫瘍の増殖を阻害すること、例えば、その進行を抑止すること、または(3)腫瘍を軽減すること、例えば、腫瘍の症状の退縮をもたらすことが含まれる。腫瘍増殖を阻害することには、増殖を遅延または停止させること、ならびに腫瘍の退縮をもたらすことが含まれる。疾病を処置及び治療するための有効量とは、それを必要とする患者に投与される場合に、上記に定義されるように疾病の治療をもたらすために十分な量を意味する。
本発明に従って処置される腫瘍は、EGFRを発現する腫瘍のいずれでもある。このような腫瘍としては、芽細胞腫(肝芽腫および神経芽腫を含む)、癌腫(腺がんを含む)、神経膠腫(上衣細胞腫、星状細胞腫、乏突起細胞腫および混合膠腫を含む)、肉腫(横紋筋肉腫および腺肉腫を含む)、ならびに腺腫が挙げられる。腫瘍は実質的には身体の全ての部位で起こり得、例えば、乳房、心臓、肺、食道、小腸、結腸、直腸、胃、脾臓、腎臓、膀胱、頭頚部、喉頭、卵巣、前立腺(prostrate)、脳、膵臓、皮膚、骨、骨髄、血液、胸腺、子宮、精巣、子宮頚部、または肝臓が含まれる。好ましい実施形態では、腫瘍は、神経系の腫瘍、例えば神経膠腫および神経芽腫である。治療される腫瘍としては、原発性腫瘍および転移性腫瘍、ならびに難治性腫瘍が挙げられる。「難治性腫瘍」には、化学療法薬単独で、抗体単独で、放射線単独でまたはそれらの組合せを用いた治療に応答しないか、抵抗性である腫瘍が含まれる。また、難治性腫瘍は、このような薬剤を用いた治療により阻害されると思われるが、治療を中止した後5年までに、時には10年までに、またはそれよりも後に再発する腫瘍を包含する。
EGFRアンタゴニストは、本発明によれば、細胞外アンタゴニストまたは細胞内アンタゴニストであってよく、1より多くのアンタゴニストが用いられてよい。細胞外アンタゴニストとしては、EGFRと結合するタンパク質またはその他の生体分子が挙げられるが、これに限定されない。本発明の特定の実施形態では、細胞外アンタゴニストはEGFRの細胞外ドメインと結合し、EGFRと1以上のそのリガンドの結合を阻害し、および/またはリガンドにより誘導されるEGFRの活性化を中和する。EGFRのリガンドとしては、EGF、TGF−a、アンフィレギュリン、ヘパリン結合EGFR(HB−EGF)およびベータセルリンが挙げられる。また、細胞外EGFRアンタゴニストには、その他のEGFR受容体サブユニットとのEGFR二量体化(すなわち、EGFRホモ二量体)またはその他の成長因子受容体(例えば、HER2)とのヘテロ二量体化を阻害する物質が含まれ得る。
好ましい実施形態では、EGFRアンタゴニストは、EGFRと結合し、リガンド結合を妨げる抗体である。EGFR抗体の一例は、キメラ(ヒト/マウス)IgGモノクローナル抗体である、セツキシマブ(IMC−C225)(GenBank受託番号1NQLA)である。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,943,533号(Mendelsohn et al.);米国特許第6,217,866号(Schlessinger et al.);米国特許出願第08/973,065号(Goldstein et al)および同第09/635,974号(Teufel);WO99/60023(Waksal et al.)およびWO00/69459を参照のこと。セツキシマブは、EGFRと特異的に結合し、リガンド、例えばEGFの結合を妨げる。セツキシマブFabは、セツキシマブのFab断片、すなわちネズミ抗体M225の重鎖および軽鎖可変領域配列(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第2004/0006212号)とヒトIgG1 C1重鎖およびκ軽鎖定常ドメインを含む(セツキシマブには3つ全てのIgG1重鎖定常ドメインが含まれる)。セツキシマブの重鎖のCDR領域は、次の配列を有する。NYGVHの配列を含むCDR1領域(配列番号1)、VIWSGGNTDYNTPFTSの配列を含むCDR2領域(配列番号2)、およびALTYYDYEFAYの配列を含むCDR3領域(配列番号3)。セツキシマブの軽鎖のCDR領域は、次の配列を有する。RASQSIGTNIHの配列を含むCDR1領域(配列番号4)、YASESISの配列を含むCDR2領域(配列番号5)、およびQQNNNWPTTの配列を含むCDR3領域(配列番号6)。
EGFR抗体のもう一つの例は、EGFRに特異的な完全ヒトIgGモノクローナル抗体である、ABX−EGFである。ABX−EGFは高い特異性でEGFRと結合し、EGFRとその両方のリガンド、EGFおよびTGF−aとの結合を妨げる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、2001年5月12〜15日、カリフォルニア州サンフランシスコにて、ASCOの第37回年次総会で発表されたFiglin et al.のAbstract 1102を参照のこと。以前はクローンE7.6.3の名前で知られていた、このABX−EGFの配列および特性決定は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,235,883号(Abgenix,Inc.)の第28欄第62行から第29欄第36行および図29〜34中に開示されている(参照により本明細書に組み込まれる、Yang et al.,Critical Rev.Oncol./Hematol.,38(1):17−23,2001も参照のこと)。
EGFR抗体のもう一つの例は、細胞系アッセイ(5nMのKd)においてヒトEGFR2タンパク質の細胞外ドメイン、HER2と高い親和性で選択的に結合する組換え型DNA由来ヒト化モノクローナル抗体である、HERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ)である。この抗体は、ヒトフレームワーク領域をHER2と結合するネズミ抗体(4D5)の相補性決定領域とともに含むIgGκである。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、国際特許公開公報第WO01/89566号(Mass)を参照のこと。
その他のEGFR抗体としては、ネズミ抗EGFRモノクローナル抗体EMD 55900のヒト化形態であるEMD 72000(Merck KGaA)、ヒト化抗EGFRモノクローナル抗体であるh−R3(TheraCIM)、ネズミモノクローナル抗体であり、ヒトEGFRvIII突然変異のネズミ相同体に対して作られたY10、およびMDX−447(Medarex)が挙げられる。その全てが参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,558,864号(Bendig et al.)、同第5,884,093号(Kettekeborough et al.)、および同第5,891,996号(Mateo de Acosta del Rio et al.)を参照のこと。
細胞内EGFRアンタゴニストは生体分子であってよいが、通常小分子、例えばEGFRの細胞質ドメインに直接作用してEGFRに媒介されるシグナル伝達を阻害する合成キナーゼ阻害剤などである。小分子EGFRアンタゴニストの一例は、ATP模倣物の役割を果たしEGFRを阻害するキノザリン誘導体である、IRESSA(商標)(ZD 1939)である。米国特許第5,616,582号(Zeneca Limited);WO96/33980号(Zeneca Limited)の4頁を参照のこと;また、2001年5月12〜15日、カリフォルニア州サンフランシスコにて、ASCOの第37回年次総会で発表されたRowinsky et al.のAbstract 5;2001年5月12〜15日、カリフォルニア州サンフランシスコにて、ASCOの第37回年次総会で発表されたAnido et al.のAbstract 1712も参照のこと。小分子EGFRアンタゴニストの別の例は、4−(置換フェニルアミノ)キノザリン誘導体[6,7−ビス(2−メトキシ−エトキシ)−キナゾリン−4−イル]−(3−エチニル−フェニル)アミンヒドロクロライド]EGFR阻害剤である、TARCEVA(登録商標)(OSI−774)である。WO96/30347(Pfizer Inc.)の例えば、第2頁第12行から第4頁第34行および第19頁第14〜17行を参照のこと。また、Moyer et al.,Cancer Res.,57:4838−48(1997);Pollack et al.,J.Pharmacol.,291:739−48(1999)も参照のこと。TARCEVA(登録商標)は、EGFRのリン酸化およびその下流のPI3/AktおよびMAP(マイトジェン活性化タンパク質)キナーゼシグナル伝達経路を阻害することにより機能し、その結果p27を介する細胞周期停止がもたらされ得る。2001年5月12〜15日、カリフォルニア州サンフランシスコにて、ASCOの第37回年次総会で発表されたHidalgo et al.のAbstract 281を参照のこと。
その他の小分子もEGFRを阻害すると報告され、その多くはEGFRのチロシンキナーゼドメインに特異的であると考えられている。このような小分子EGFRアンタゴニストのいくつかの例は、WO91/116051、WO96/30347、WO96/33980、WO97/27199(Zeneca Limited)、WO97/30034(Zeneca Limited)、WO97/42187(Zeneca Limited)、WO97/49688(Pfizer Inc.)、WO98/33798(Warner Lambert Company)、WO00/18761(American Cyanamid Company)、およびWO00/31048(Warner Lambert Company)に記載されている。具体的な小分子EGFRアンタゴニストの例としては、チロシンキナーゼ、特にEGFRのキノザリン(N−[4−(3−クロロ−4−フルオロ−フェニルアミノ)−7−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−キナゾリン−6−イル]−アクリルアミド)阻害剤であり、WO00/31048の第8頁第22〜6行に記載されている、Cl−1033(Pfizer);EGFRのピロロピリミジン阻害剤であり、WO97/27199の10〜12頁に記載されている、PKI166(Novartis);EGFRおよびHER2の阻害剤である、GW2016(GlaxoSmithKline);インビトロおよびインビボでEGFRまたはHER2を過剰発現する腫瘍細胞の増殖を阻害すると報告されている、EKB569(Wyeth);EGFRとerbB−2の両方からのシグナル伝達を阻害するキナゾリン小分子である、AG−1478(Tryphostin);プロテインキナーゼCK2をも阻害する二基質阻害剤である、AG−1478(Sugen);EGFRキナーゼ活性および腫瘍増殖を阻害し、培養細胞においてアポトーシスを誘導し、かつ細胞毒性化学療法薬の細胞毒性を強化すると報告されている、PD 153035(Parke−Davis);前立腺(prostrate)がんの処置に標的化されたチロシンキナーゼ阻害剤である、SPM−924(Schwarz Pharma);伝えられるところによると、固形腫瘍の処置のための脈管形成の阻害剤である、CP−546,989(OSI Pharmaceuticals);がんの処置のために標的化されたEGFRキナーゼ阻害剤である、ADL−681;マウスにおいてA4431異種移植片の腫瘍増殖速度を阻害すると報告されているピリドピリミジンである、PD 158780;マウスにおいてHN5異種移植片での自己リン酸化を阻害すると報告されているキンゾリン(quinzoline)である、CP−358,774;外陰がん、NSCLC、前立腺(prostrate)がん、卵巣がん、および結腸直腸がんを含むマウス異種移植片モデルにおいて抗腫瘍活性を有すると報告されているキンゾリン(quinzoline)である、ZD 1839;マウスにおいてEGFR−陽性の異種移植片の増殖を阻害すると報告されているピロロピリミジンである、CGP 59326A;PD 165557(Pfizer);ジアニリノフタルイミド(dianilnophthalimides)であるCGP54211およびCGP53353(Novartis)が挙げられる。天然由来のEGFRチロシンキナーゼ阻害剤としては、ゲニステイン、ハービマイシンA、ケルセチン、およびエルブスタチンが挙げられる。
EGFRを阻害することが報告され、したがって本発明の範囲内であるさらなる小分子は、三環系化合物、例えば米国特許第5,679,683号に記載される化合物;キナゾリン誘導体、例えば米国特許第5,616,582号に記載される誘導体;およびインドール化合物、例えば米国特許第5,196,446号に記載される化合物である。
本発明での使用に有用な小分子はEGFRの阻害剤であるが、EGFRに完全に特異的である必要のないことは理解される。
好ましい実施形態では、EGFRアンタゴニストは、以下の特性の1以上を示す抗EGFR抗体である。
1)抗体はEGFRの外部ドメインと結合し、リガンド結合を阻害する。阻害は、例えば、精製もしくは膜結合受容体を用いる直接結合アッセイにより決定することができる。本実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、EGFRの天然リガンド(EGF、TGF−a)と少なくとも同程度に強く、EGFRと結合することが好ましい。
2)抗体はEGFRを中和する。リガンドと外部のEGFRの細胞外ドメインの結合は、チロシンキナーゼ活性および受容体リン酸化ならびに/または様々なシグナル伝達経路に関与するその他のタンパク質のリン酸化を刺激する。EGFRの中和には、シグナル伝達に通常関連する1以上の活性の阻害、減少、不活性化および/または崩壊が含まれる。中和は、インビボ、エキソビボ、またはインビトロで、例えば、組織、培養細胞、または精製された細胞成分を用いて決定することができる。
EGFR中和の一つの尺度は、受容体のチロシンキナーゼ活性の阻害である。チロシンキナーゼ阻害は、周知の方法を用いて決定することができる;例えば、組換えキナーゼ受容体の自己リン酸化レベル、および/または天然もしくは合成基質のリン酸化を測定することによる。従って、リン酸化アッセイは、本発明の文脈において、抗体を中和することを決定する際に有用である。リン酸化は、例えば、ELISAアッセイまたはウエスタンブロットにおいてホスホチロシンに特異的な抗体を用いて検出することができる。チロシンキナーゼ活性のアッセイのいくつかがPanek et al.,J.Pharmacol.Exp.Thera.283:1433−44(1997)およびBatley et al.,Life Sci.62:143−50(1998)に記載されている。本発明の抗体は、リガンドに応答する細胞において、EGFRのチロシンリン酸化の少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%の低下をもたらす。
EGFR中和のもう一つの尺度は、EGFRの下流基質のリン酸化の阻害である。したがって、MEKおよびERKのリン酸化のレベルが測定され得る。リン酸化の低下は、少なくとも約40%であり、少なくとも約60%、または少なくとも約80%であってよい。
さらに、タンパク質発現を検出するための方法を利用してEGFR中和を決定することができ、この場合、測定されるタンパク質はEGFRチロシンキナーゼ活性により調節されている。これらの方法には、タンパク質発現の検出のための免疫組織化学(IHC)、遺伝子増幅の検出のための蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)、競合的放射性リガンド結合アッセイ、固体マトリックスブロッティング法、例えばノザンブロットおよびサザンブロット、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)およびELISAなどが挙げられる。例えば、Grandis et al.,Cancer,78:1284−92(1996);Shimizu et al.,Japan J.Cancer Res.,85:567−71(1994);Sauter et al.,Am.J.Path.,148:1047−53(1996);Collins,Glia 15:289−96(1995);Radinsky et al.,Clin.Cancer Res.1:19−31(1995);Petrides et al.,Cancer Res.50:3934−39(1990);Hoffmann et al.,Anticancer Res.17:4419−26(1997);Wikstrand et al.,Cancer Res.55:3140−48(1995)参照。
エキソビボアッセイを利用してEGFR中和を決定することもできる。例えば、受容体チロシンキナーゼ阻害は、阻害剤の存在下および不在下で、受容体リガンドにより刺激された細胞株を用いる細胞分裂促進アッセイにより観察することができる。そのような細胞分裂促進アッセイの一例は、3T3細胞分裂促進アッセイ(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(Manassas,VA)からの3T3(クローンA31−714)細胞)である。別の方法は、EGFRを発現する腫瘍細胞またはEGFRを発現するようトランスフェクトされた細胞の増殖の阻害についての試験を含む。また、阻害は腫瘍モデル、例えば、マウスに注入されたヒト腫瘍細胞を用いて観察することもできる。
本発明の抗体は、EGFR中和の任意の特定の機構に制限されるものではない。本発明の抗EGFR抗体は、外部からEGFR細胞表面受容体と結合し、リガンドの結合およびそれに続く受容体関連チロシンキナーゼにより媒介されるシグナル伝達を妨げ、EGFRおよびシグナル伝達カスケードにおけるその他の下流タンパク質のリン酸化を予防することができる。
3)抗体は、EGFRを下方調節する。細胞の表面に存在するEGFRの量は、受容体タンパク質生成、内部移行、および分解によって決まる。細胞の表面に存在するEGFRの量は、間接的に、受容体または該受容体と結合している分子の内部移行を検出することにより、測定することができる。例えば、受容体の内部移行は、EGFRを発現する細胞を標識された抗体と接触させることにより測定することができる。次に、膜結合抗体を剥がし、回収し、計数する。内部移行した抗体は、細胞を溶解し、溶解物中の標識を検出することにより決定される。
別の方法は、抗EGFR抗体またはその他の基質で処置した後、細胞上に存在する受容体の量を直接測定することである(例えば、EGFRの表面発現について染色した細胞の蛍光活性化セルソーティング分析)。染色した細胞を37℃にてインキュベートし、蛍光強度を経時的に測定する。対照として、染色した集団の一部を、4℃にて(受容体内部移行が停止する条件下で)インキュベートしてもよい。
下方調節のもう一つの尺度は、細胞中に存在する総受容体タンパク質の減少であり、内部受容体の分解を反映する。したがって、細胞(特にがん細胞)を本発明の抗体により処理することにより、総細胞EGFRの減少がもたらされる。好ましい実施形態では、この減少は、少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、さらにより好ましくは少なくとも約90%である。
ヒト被験体の処置のため、本発明に従う抗体は、ヒト抗体であることが好ましい。あるいは、抗体は非ヒト霊長類またはその他の哺乳類由来であるか、またはヒト化もしくはキメラ抗体であってよい。
本発明に従う抗体フラグメントは、全抗体を切断することにより、またはフラグメントをコードするDNAを発現させることにより作製することができる。抗体のフラグメントは、Lamoyi et al.,J.Immunol.Methods,56:235−243(1983)およびParham,J.Immunol 131:2895−2902(1983)に記載される方法により調製されてよい。このようなフラグメントは、FabフラグメントまたはF(ab’)フラグメントの一方または両方を含み得る。このようなフラグメントはまた、一本鎖フラグメント可変領域抗体、すなわちscFv、ダイアボディー(dibodies)、またはその他の抗体フラグメントを含み得る。このような機能同等物を作製する方法は、PCT出願第WO93/21319号、欧州特許出願第EP239400号;PCT出願第WO89/09622号;欧州特許出願第EP338745号;および欧州特許出願第EP332424号に開示されている。
ベクターの形質転換および本発明の抗体の発現のために好ましい宿主細胞は、哺乳類細胞、例えば、COS−7細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、およびリンパ系起源、例えばリンパ腫、骨髄腫(例えばNS0)、またはハイブリドーマ細胞などの培養細胞株である。その他の真核生物宿主、例えば酵母なども、その代わりに使用されてよい。
形質転換宿主細胞は、炭素(炭水化物、例えばグルコースまたはラクトースなど)、窒素(アミノ酸、ペプチド、タンパク質またはそれらの分解産物、例えば、ペプトン、アンモニウム塩など)、および無機塩(硫酸塩、リン酸塩ならびに/または、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムの炭酸塩)の同化できる供給源を含有する液体培地中で、当分野で公知の方法により培養される。この培地は、例えば、増殖促進物質、例えば微量元素など、例えば鉄、亜鉛、マンガンなどをさらに含有する。
本発明に従う高親和性抗EGFR抗体は、ヒト重鎖および軽鎖可変領域遺伝子から構築されたファージディスプレイライブラリーから単離することができる。例えば、本発明の可変ドメインは、再配列された可変領域遺伝子を含有する末梢血リンパ球から得ることができる。あるいは、可変ドメイン部分、例えばCDRおよびFW領域などは、異なる供給源から得て、組み換えてよい。さらに、可変ドメインの部分(例えば、FW領域)は合成コンセンサス配列であってよい。
本発明の抗体および抗体フラグメントは、例えば、天然に存在する抗体から、またはFabもしくはscFvファージディスプレイライブラリーから得ることができる。VおよびVドメインを含む抗体から単一ドメイン抗体を作成するため、CDRの外部での特定のアミノ酸置換が結合、発現または溶解度を増強するために望まれ得ることは当然理解される。例えば、本来ならV−Vの界面で埋没するはずのアミノ酸残基を修飾することは望ましいことであり得る。
さらに、本発明の抗体および抗体フラグメントは、ヒト免疫グロブリンγ重鎖およびκ軽鎖を作製するトランスジェニックマウス(例えば、カリフォルニア州サンノゼのMedarexのKMマウス)を用いる標準的なハイブリドーマ技術(参照により本明細書に組み込まれる、Harlow & Lane,ed.,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,211−213(1998))により得ることができる。好ましい実施形態では、ヒト抗体産生ゲノムの実質的な部分が、マウスのゲノムに挿入され、内因性ネズミ抗体の産生を欠乏させる。このようなマウスは、必要に応じて追加免疫でPDGFRa(通常完全フロイントアジュバント中)を用いて皮下に(s.c.)免疫化されてよい。免疫化法は当分野で周知である。
本発明に従って使用することのできる抗体としては、完全な免疫グロブリン、免疫グロブリンの抗原結合フラグメント、ならびに免疫グロブリンの抗原結合ドメインを含む抗原結合タンパク質が挙げられる。免疫グロブリンの抗原結合フラグメントとしては、例えば、Fab、Fab’、およびF(ab’)が挙げられる。結合特異性を保持するが、例えば、二重特異性、多価性(2以上の結合部位)、小型(例えば、結合ドメインのみ)を含む、望ましい可能性のあるその他の特性を有するその他の抗体フォーマットが開発されている。
一本鎖抗体は、それが由来する全抗体の定常ドメインの一部または全部を欠く。したがって、一本鎖抗体は、全抗体の使用に関連するいくつかの問題を克服することができる。例えば、一本鎖抗体は、重鎖定常領域とその他の生体分子との間の特定の望ましくない相互作用が取り除かれる傾向がある。その上、一本鎖抗体は全抗体よりも相当に小さく、全抗体よりも大きい透過性を有し得、一本鎖抗体を局在させ、標的抗原結合部位とより効率的に結合させる。さらに、比較的小型の一本鎖抗体は、レシピエントにおいてそれらを全抗体よりも不要な免疫応答を誘発し難くする。
各々の一本鎖が第1のペプチドリンカーにより共有結合された、1つのVおよび1つのVドメインを有する、複数の一本鎖抗体は、少なくとも1以上のペプチドリンカーにより共有結合されて多価の一本鎖抗体を形成することができ、それは単一特異性であっても多重特異性であってもよい。多価の一本鎖抗体の各鎖には可変軽鎖フラグメントおよび可変重鎖フラグメントが含まれ、ペプチドリンカーにより少なくとも1つのその他の鎖と連結されている。このペプチドリンカーは、少なくとも15アミノ酸残基からなる。アミノ酸残基の最大数は、約100である。
2つの一本鎖抗体は、合成されて二価二量体としても知られているダイアボディーを形成することができる。ダイアボディーは2本の鎖と2つの結合部位を有し、単一特異性であっても二重特異性であってもよい。ダイアボディーの各鎖には、Vドメインと連結されたVドメインが含まれる。これらのドメインは、同じ鎖上のドメイン間の対形成を防ぐために十分短く、よって異なる鎖上の相補ドメイン間の対形成を推進して2つの抗原結合部位を再形成する、リンカーで連結されている。
3つの一本鎖抗体は、合成されて、三価三量体としても知られているトリアボディーを形成することができる。トリアボディーは、VまたはVドメインのカルボキシル末端と直接融合した、すなわちリンカー配列を何ら含まない、VまたはVドメインのアミノ酸末端で構築される。このトリアボディーは、ポリペプチドが環状の頭−尾の様式で配置された3つのFv頭部を有する。トリアボディーの起こり得る立体構造は、その3つの結合部位が互いに120度の角度で一平面内に位置している平面である。トリアボディーは単一特異性、二重特異性、または三重特異性であってよい。
よって、本発明の抗体およびそのフラグメントとしては、天然に存在する抗体、(Fab’)などの二価フラグメント、Fabなどの一価フラグメント、一本鎖抗体、一本鎖Fv(scFv)、単一ドメイン抗体、多価一本鎖抗体、ダイアボディー、トリアボディー、および抗原と特異的に結合する同種類のものが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明によれば、EGFRアンタゴニストは、1以上の抗悪性腫瘍薬と組み合わせて投与される。本明細書で用いられる用語「抗悪性腫瘍」薬には、特に断りのない限り、EGFRアンタゴニストは除外される。任意の適した抗悪性腫瘍薬、例えば、化学療法薬、放射線、またはそれらの組合せを用いることができる。抗悪性腫瘍薬は、アルキル化剤または代謝拮抗薬であってもよい。アルキル化剤の例としては、シスプラスチン(cisplastin)、シクロホスファミド、メルファラン、およびダカルバジンが挙げられる。代謝拮抗薬の例としては、限定されるものではないが、ドキソルビシン、ダウノルビシン(dunorubicin)、パクリタキセル、およびゲムシタビンが挙げられるが、これらに限定されない。
好ましい実施形態では、抗悪性腫瘍薬は、化学療法薬である。好ましい化学療法薬としては、アミフォスチン(エチヨル)、シスプラチン、ダカルバジン(DTIC)、ダクチノマイシン、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ドキソルビシンリポソーマル(lipo)(ドキシル)、ゲムシタビン(ジェムザール)、ダウノルビシン、ダウノルビシンリポソーム(lipo)(ダウノキソーム)、プロカルバジン、マイトマイシン、シタラビン、エトポシド、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ブレオマイシン、パクリタキセル(タキソール)、ドセタキセル(タキソテール)、アルデスロイキン、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、クラドリビン、カンプトテシン、CPT−11、10−ヒドロキシ−7−エチル−カンプトテシン(SN38)、ダカルバジン、フロクスウリジン、フルダラビン、ヒドロキシ尿素、イホスファミド、イダルビシン、メスナ、インターフェロンα、インターフェロンβ、イリノテカン、ミトキサントロン、トポテカン、ロイプロリド、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、プリカマイシン、ミトタン、ペグアスパルガーゼ、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、ウラシルマスタード、ビノレルビン、クロラムブシルおよびそれらの組合せが挙げられる。より好ましい実施形態では、化学療法薬はイリノテカンである。
化学療法薬および/または代謝拮抗薬を含む、抗悪性腫瘍薬は、パッケージの指示および/または患者の臨床応答に従う用量およびスケジュールで投与される。そのような用量は、当業者には明白であり、過度の説明は必要ではない。例えば、イロノテカン(Ironotecan)は、推奨される約50〜約350mg/mの用量範囲を超えて投与されることが好ましいが、この用量は患者の臨床応答によって多くても低くてもよい。その他の薬剤の投薬範囲は、1回の投与および/または治療計画あたり約1〜約1,000mg/mである。放射線治療は、適当な臨床治療プロトコールおよび/または当業者の臨床経験に基づいて投与される。
併用療法では、EGFRアンタゴニストは、別の薬剤での治療開始前、治療期間中、または治療後に、ならびにその任意の組合せ、すなわち抗悪性腫瘍薬治療を開始する前および治療期間中、治療前および治療後、治療期間中および治療後、あるいは、治療前、治療期間中および治療後に投与される。例えば、EGFR抗体は、放射線療法を開始する前の1〜30日の間、好ましくは3〜20日、より好ましくは5〜12日の間に投与されてよい。本発明の好ましい実施形態では、化学療法は、抗体療法と同時に、または、より好ましくは、抗体療法に続いて投与される。
本発明では、任意の適した方法または経路を用いて本発明のアンタゴニストを投与し、かつ、所望により抗悪性腫瘍薬および/またはその他の受容体のアンタゴニストを同時投与することができる。本発明に従って利用される抗悪性腫瘍薬の投薬計画には、患者の腫瘍の処置に最も有利に適していると考えられる任意の投薬計画が含まれる。異なる腫瘍は、特異的な抗腫瘍抗体および特異的な抗悪性腫瘍薬の使用を必要とする可能性があるが、それらは患者ごとに決定される。投与の経路としては、例えば、経口、静脈内、腹腔内、皮下、または筋肉内投与が挙げられる。投与されるアンタゴニストの用量は多数の因子によって決まり、それには、例えば、アンタゴニストの種類、処置される腫瘍の種類および重篤度ならびにアンタゴニストの投与経路が含まれる。しかし、本発明が任意の特定の投与の方法または経路に限定されないことは強調されるべきである。
当業者であれば、投薬量および処置の頻度は、個々の患者の耐性、ならびに用いる遮断薬もしくは阻害剤の薬理学的特性および薬物動態特性によって決まることを理解する。理想的には、用いる薬剤に関して飽和薬物動態を達成したいと願う。抗EGFR抗体に関する負荷用量は、例えば、約10〜約1000mg/m、好ましくは約200〜約400mg/mの範囲であってよい。この後に、例えば、約200〜約400mg/mの範囲の数回のさらなる1日投与量または週投与量が続いてよい。患者は副作用についてモニターされ、このような副作用が重篤な場合は処置が停止される。
また、当業者であれば、有効量を決定するために処置の進展をどのようにモニターするかを知っている。例えば、そのような一方法は、MRI、CT、またはその他の脳スキャンをモニターすることである。
実施例1:以下の実施例は、イリノテカンとEGFR抗体の組合せを投与することによる難治性固形腫瘍を治療する方法を開示する。
2005年8月から2006年3月まで、難治性固形腫瘍を有し、平均余命が少なくとも8週の20名の小児患者にイリノテカンおよび異なる用量レベルのセツキシマブを投与した。患者は2つの群に分けられ(年齢1〜12=アームA、13〜18=アームB)、次の腫瘍型を有した。脳幹神経膠腫/星状細胞腫(10)、肝芽腫、骨肉腫(1)、上衣細胞腫(1)、神経芽腫(1)、横紋筋肉腫(1)およびその他(5)。イリノテカンを20mg/m/日の用量で60分の点滴を5日間×2週間として21日おきに投与した。用量スケジュールおよび用量規定毒性(DLT)の被験体の数を表1に記載する。
Figure 2009544736
アームA、用量レベル2中の6名の患者のうち2名の経験したDLTのため(イリノテカンに関連するとみなされた)、イリノテカンは16mg/mに減少された。アームB中の1名の被験体がグレード3の点滴反応を経験し、処置を中断した。その他の観察された毒性にはグレード1の発疹が含まれた。
1名のEGFR陰性の高悪性度の神経膠腫の被験体(A群用量レベル1)は部分応答を達成し、現在13周期である。1名の神経芽腫の被験体(A群用量レベル1)は、軽微な応答を経験し、現在9周期を受けている。7名の被験体は平均3.4ヶ月間の安定な疾病という最高の応答を有した(2〜7+月の範囲)。
結論として、セツキシマブとイリノテカンの組合せは、小児固形腫瘍において有望な抗がん活性を示す。
以上の説明および実施例は、単に本発明を説明するために示されているものであり、制限することを意図するものではない。開示された本発明の態様および実施形態の各々は、個々に、または本発明のその他の態様、実施形態、および変形形態と組み合わせて考慮されてよい。さらに、本発明の実施形態の特定の特徴は特定の図にのみ示されているが、このような特徴は、本発明の範囲内にある間は、その他の図に示されるその他の実施形態に組み込むことができる。さらに、特に断りのない限り、本発明の方法のステップはいずれも、任意の特定の実行順序に制限されない。本発明の精神および物質を組み込んでいる、開示される実施形態の変更形態は、当業者に思い当たるものであってよく、このような変更形態は本発明の範囲内である。さらに、本明細書において引用されたすべての参照文献は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。

Claims (14)

  1. 有効量の上皮増殖因子受容体(EGFR)アンタゴニストおよび化学療法薬によって、小児患者を処置するステップを含む、小児患者において腫瘍の増殖を阻害する方法。
  2. 腫瘍が難治性腫瘍である、請求項1に記載の方法。
  3. 腫瘍が神経膠腫である、請求項1に記載の方法。
  4. 腫瘍が神経芽腫である、請求項1に記載の方法。
  5. アンタゴニストが抗体またはそのフラグメントである、請求項1に記載の方法。
  6. 抗体またはそのフラグメントが、EGFRの細胞外ドメインと特異的に結合する、請求項5に記載の方法。
  7. 抗体またはそのフラグメントが、EGFRリガンドとEGFRの結合を阻害し、その活性化を中和する、請求項5に記載の方法。
  8. 抗体がセツキシマブである、請求項5に記載の方法。
  9. 抗体またはそのフラグメントがモノクローナルである、請求項5に記載の方法。
  10. 抗体またはそのフラグメントがキメラである、請求項5に記載の方法。
  11. 抗体またはそのフラグメントがヒト化されている、請求項5に記載の方法。
  12. 抗体またはそのフラグメントがヒトである、請求項5に記載の方法。
  13. 化学療法薬がイリノテカンである、請求項1に記載の方法。
  14. 小児患者に放射線を投与するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
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