JP2009528289A - 対抗適応を誘発することにより神経伝達物質系を調節する方法 - Google Patents

対抗適応を誘発することにより神経伝達物質系を調節する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、対抗適応反応を誘発することにより神経伝達物質系を調節する方法に関する。本発明の一実施形態によれば、神経伝達物質を調節する方法は、投与間の期間に対する投与半減期の比率が1/2以下になるようにして、神経伝達物質系中の受容体に対するリガンドを反復投与する工程を備える。本発明の方法は、多くの望ましくない精神的状態、神経学的状態および生理学的状態に対処するために用いることができる。

Description

本出願は、米国特許法第120条の下、2005年9月23日に出願された米国特許出願番号第11/234,850号の一部継続出願であり、米国特許法第119条(e)の下、「うつ病および他の精神状態の治療のための対抗適応療法(COUNTER-ADAPTATION THERAPY FOR TREATMENT OF DEPRESSION AND OTHER MENTAL CONDITIONS)」と題された2004年9月23日に出願された米国仮特許出願番号第60/612,155号の利益を主張する。本出願は、「対抗適応を誘発することによりCRF系およびAVP系を調節する方法(METHOD OF REGULATING THE CRF AND AVP SYSTEMS BY INDUCING COUNTERADAPTATIONS)」と題された2006年2月27日に出願された米国仮特許出願番号第60/777,190号、および「対抗適応療法のためのオピエートアンタゴニスト(OPIATE ANATOGONISTS FOR COUNTERADAPTATION THERAPY)」と題された2006年11月9日に出願された米国仮特許出願番号第60/858,186号に対して優先権を主張する。上記で参照した仮出願は、参照によりその全容を本願に援用される。
本発明は、神経伝達物質系に関係する。本発明は特に、対抗適応的反応(counteradaptative responses)を誘発することにより、これらの神経伝達物質系を調節する方法に関する。
気分、気分障害および関連する状態は、多数の神経伝達物質系を相互に関連付ける複雑に絡み合った中枢神経系の事象の結果である。最も一般的な気分障害はうつ病である。うつ病は、多数の神経伝達物質系の変調による、多数の身体的および精神的な症状を伴う臨床診断である。うつ病と最も一般に関連している神経伝達物質系はノルエピネフリン系およびセロトニン系であるが、現在の研究では、サブスタンスP系、ダイノルフィン系(カッパ受容体)、内因性エンドルフィン系(ミューおよびデルタオピエート受容体)、コルチコトロピン放出因子系、およびアルギニンバソプレシン系のような他の系もまたうつ病に関係することが示されている。さらに、これらの神経伝達物質系は、双極性障害、強迫神経症、不安、恐怖症、ストレス障害、薬物濫用、性的障害、摂食障害、意欲障害(motivational disorders)、疼痛性障害、心臓血管障害、加齢関連障害、および免疫関連障害を含む多数の他の望ましくない精神的状態、神経学的状態および生理学的状態にもまた関係する。
神経伝達物質に関係した状態を治療するための従来の方策は、異常に高レベルまたは低レベルのシナプス神経伝達物質の改善を中心としている。従来の治療薬は、直接に神経伝達物質系の機能を調節するように作用する。そのような薬剤は、抗不安薬、催眠剤または選択的再取込み阻害剤であり、ベンゾジアゼピン(例えば、ジアゼパム、ロラゼパム、アルプラゾラム、テマゼパム、フルラゼパム、およびクロルジアゼポキシド(chlodiazepoxide))、TCA、MAOI、SSRI(例えば、塩酸フルオキセチン)、NRI、SNRI、CRF修飾薬(CRF modulating agent)、セロトニンシナプス前自己受容体アンタゴニスト、5HTアゴニスト、GABA−A修飾薬、セロトニン5H2cおよび/または5H2B修飾薬、ベータ−3アドレナリン受容体アゴニスト、NMDAアンタゴニスト、V1Bアンタゴニスト、GPCR修飾薬、ダイノルフィンアンタゴニスト、およびサブスタンスPアンタゴニストが挙げられる。
従来の治療薬および方法は、ある程度は有効であるが、いくつかの不都合を有する。例えば、多くの従来の治療薬の使用は、性機能不全、吐き気、神経過敏、疲労、口渇、視力障害および体重増加のような副作用を伴う。さらに、患者は、反復使用により、従来の治療薬に対して順応したり、耐性を有するようになったりすることがあり、それらの治療薬の効力は経時的に失われる。
本発明の一態様は、患者において対抗適応を誘発することにより、受容体の一種を含んだ神経伝達物質系を調節する方法に関する。前記方法は、前記一種の受容体に対するリガンドを患者に反復投与する工程であって、各投与は投与半減期を有し、各投与に関連する第1期間において前記リガンドをその種の受容体に結合させ、それにより対抗適応を誘発、維持または改善する工程を備える。前記対抗適応は前記神経伝達物質系の調節を引き起こす。投与間の期間に対する前記投与半減期の比率は1/2以下である。
本発明の一態様では、前記神経伝達物質系はSP系であり、前記一種の受容体はSP受容体であり、前記リガンドはSP受容体アゴニストであり、前記対抗適応はSP系のダウンレギュレーションを引き起こす。
本発明の別の態様では、前記神経伝達物質系は内因性エンドルフィン系であり、前記一種の受容体はミューオピエート受容体および/またはデルタオピエート受容体であり、前記リガンドはミューおよび/またはオピエート受容体アゴニストであり、前記対抗適応は内因性エンドルフィン系のアップレギュレートを引き起こす。
本発明のさらに別の態様では、前記神経伝達物質系はダイノルフィン系であり、前記一種の受容体はカッパ受容体であり、前記リガンドはカッパ受容体アゴニストであり、前記対抗適応はダイノルフィン系のダウンレギュレーションを引き起こす。
本発明のさらなる別の態様では、前記神経伝達物質系はセロトニン系であり、前記対抗適応はセロトニン系のアップレギュレーションを引き起こす。したがって、本発明のこの態様の一実施形態では、前記一種の受容体はセロトニンシナプス前自己受容体であり、前記リガンドはセロトニンシナプス前自己受容体アゴニストである。本発明のこの態様の別の一実施形態では、前記一種の受容体はセロトニンシナプス後受容体であり、前記リガンドはセロトニンシナプス後自己受容体アンタゴニストである。
本発明のさらなる別の態様では、前記神経伝達物質系はノルエピネフリン系であり、前記対抗適応はノルエピネフリン系のアップレギュレーションを引き起こす。したがって、本発明のこの態様の一実施形態では、前記一種の受容体はノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン作動性受容体であり、前記リガンドはノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン作動性受容体アゴニストである。本発明のこの態様の別の一実施形態では、前記一種の受容体はノルエピネフリンシナプス後アドレナリン作動性受容体であり、前記リガンドはノルエピネフリンシナプス後アドレナリン作動性受容体アンタゴニストである。
本発明のさらなる別の態様では、前記神経伝達物質系はCRF系であり、前記一種の受容体はCRF受容体であり、前記リガンドはCRF受容体アゴニストであり、前記対抗適応はCRF系のダウンレギュレーションを引き起こす。
本発明のさらなる別の態様では、前記神経伝達物質系はCRF系であり、前記一種の受容体はCRF受容体であり、前記リガンドはCRF受容体アンタゴニストであり、前記対抗適応はCRF系のアップレギュレーションを引き起こす。
本発明のさらなる別の態様では、前記神経伝達物質系はAVP系であり、前記一種の受容体はAVP受容体であり、前記リガンドはAVP受容体アゴニストであり、前記対抗適応はAVP系のダウンレギュレーションを引き起こす。
本発明のさらなる別の態様では、前記神経伝達物質系はAVP系であり、前記一種の受容体はAVP受容体であり、前記リガンドはAVP受容体アンタゴニストであり、前記対抗適応はAVP系のアップレギュレーションを引き起こす。
本発明のさらに別の実施形態では、望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関連する受容体の一種を含んだ神経伝達物質系の調節を誘発する方法が提供される。前記方法は、前記一種の受容体に対するリガンドを患者に反復投与する工程であって、各投与は投与半減期を有し、各投与に関連する第1期間において前記リガンドをその種の受容体のうちの相当数に結合させ、それにより対抗適応を誘発する工程を備える。前記対抗適応は、各投与に関連する第2期間において前記神経伝達物質系の調節を引き起こし、第2期間は第1期間に後続する。
本発明のさらなる別の態様では、ここで述べた方法は、前記受容体の種類の受容体に関係する患者の望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態を処置または治療するために用いられる。
本発明のさらなる別の態様では、ここで述べた方法は、それを必要とする患者の望ましくない免疫系が関連する状態を処置または治療するために用いられ、前記免疫系が関連する状態は前記受容体の種類の受容体に関連し、前記方法は、前記免疫系のアップレギュレーションを引き起こす。
本発明のさらなる別の態様では、ここで述べた方法は、それを必要とする患者の心臓血管または脂質もしくはコレステロール代謝が関連する状態を処置または治療するために用いられ、前記心臓血管または脂質もしくはコレステロール代謝が関連する状態は前記受容体の種類の受容体に関連する。
本発明のさらなる別の態様では、ここで述べた方法は、将来の競技活動に対する準備の不足を処置または治療するために用いられる。
本発明のさらなる別の態様では、ここで述べた方法は、Sirt1経路に関連する望ましくない状態を処置または治療するために用いられる。
本発明の方法は先行技術の方法に対して多くの利点をもたらす。例えば、本発明の方法を用いて、少ない副作用で、多くの望ましくない精神的状態、神経学的状態及び生理学的状態に対処することができる。本発明のある実施形態において、所望の治療上の効用を、一日のうちの希望時間または患者によって行なわれる作業と一致するように設定することができる。
本発明のさらなる特徴および利点は、後続の詳細な説明において述べられ、ある程度はその説明より当業者には容易に明らかとなり、あるいは明細書および特許請求の範囲、並びに添付図面に記載されている本発明を実施することにより認識されるであろう。
前述の概要および以下の詳細な説明は、いずれも本発明の代表的なものに過ぎず、請求される本発明の性質および特性を理解するために、概略または構成を提供することを意図している。
添付の図面は本発明についてのさらなる理解を提供するために備えられており、本明細書に組み込まれ、その一部を構成している。図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、明瞭にするために諸要素のサイズを変更していることがある。図面は、本発明の1つ以上の実施形態を図示し、記載と共に本発明の法則および動作について説明する役目を果たす。
本発明は、患者の臨床効果の改善ために、薬剤の直接効果に依存するのではなく、医薬品に対する患者の反応(「対抗適応」)を利用することによる神経伝達物質系の調節に関する。一般に、医薬品は、対抗適応が患者に有益であり、最終的に所望の長時間効果を提供することができるように選択される。本発明の方法は、薬剤の直接効果が、一般に症状の悪化に関係する神経伝達物質受容体の調節である点において従来の方法と異なる。しかしながら、薬剤の直接効果に応じて、脳は、薬剤の任意の直接効果が減少すると、神経伝達物質系の所望の調節をもたらす対抗適応によって応答する。その調節は神経伝達物質系の機能の任意の変化であり得、例えばアップレギュレーションであってもよいし、あるいはダウンレギュレーションであってもよい。所望の長時間効果を間接的に生じさせるために、特定の急性応答が直接誘発される。簡単な例えとしては、ちょうどモルヒネおよびコカインのような多幸感を刺激する薬剤(euphoria-stimulating agents)が離脱症状においてうつを生じ、不快感を刺激する薬剤(dysphoria-stimulating agents)は離脱症状において「抗うつ」をもたらす。
本発明の一実施形態は、神経伝達物質系の調節する方法に関係する。一般に、神経伝達物質系は、中枢神経系の信号伝達に関与する、天然の神経伝達物質化合物およびシナプス受容体の系である。神経伝達物質系は受容体の一種を含む。前記一種の受容体は、例えば、望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関係してもよい。図1は、本発明の一実施形態による方法におけるインビボのリガンド濃度対時間のグラフを含む。図1に示されるように、前記方法は、患者に前記一種の受容体に対するリガンドを反復投与し、それにより各投与に関連する第1期間においてその種の受容体をリガンドに結合させる工程を備える。本願において用いられる場合、リガンドとは、前記受容体の種類の受容体に結合する(例えば、共有結合的に、または非共有結合的に相互作用する)化合物であり、リガンドは、例えば、受容体に対するアゴニストであってもよいし、受容体に対するアンタゴニストであってもよい。リガンドが受容体に結合することにより対抗適応が誘発され、対抗適応は神経伝達物質系の調節を引き起こす。図1は、本方法の中間で行う何回かのリガンドの投与を示すものであり、初めの何回かの投与を示すものではない。各投与は、リガンドのインビボ濃度が、基線レベルから始まって、最大レベルに達し、基線レベルまで下降して戻る単一サイクルである。図1のグラフは2回のそのような投与を示す。リガンドの各投与は、投与計画によって、例えば、患者に対して、単一単位の投与(例えば錠剤、カプセル)または注射、複数単位の投与または注射、あるいは連続投与(例えば、静脈内投与または徐放性パッチ)を行うことにより実施され得る。
前記方法が実施され得る神経伝達物質系のタイプおよび受容体のタイプの例としては、一種の受容体がNK−1、NK−2および/またはNK−3受容体であり得るサブスタンスP系;一種の受容体がミューおよび/またはデルタオピエート受容体であり得る内因性エンドルフィン系;一種の受容体がカッパ受容体であり得るダイノルフィン系;一種の受容体が抑制性セロトニンシナプス前自己受容体(例えば、5HT1Aおよび/または5HT1B自己受容体)および/またはセロトニンシナプス後受容体(例えば、5HT、5HT、5HT、5HT、5HT、5HTおよび/または5HT受容体)であり得るセロトニン系;一種の受容体が抑制性ノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン受容体および/またはノルエピネフリンシナプス後アドレナリン受容体であり得るノルエピネフリン系;および一種の受容体がCRF受容体(例えば、CRF−1受容体および/またはCRF−2受容体)であり得るコルチコトロピン放出因子(CRF)系;および一種の受容体がAVP受容体(例えば、V1aとしても知られるV1R、V2R、および/またはV1bとしても知られるV3)であり得るアルギニンバソプレシン(AVP)系が挙げられる。当業者であれば認識できるように、これらの神経伝達物質系および受容体のタイプは、様々な望ましくない精神的状態、神経学的状態および生理学的状態に関係している。
本発明のある態様においては、望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、神経伝達物質系中の一種の受容体に関係している。受容体がその天然神経伝達物質に結合することによって、望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態が悪化する場合、その種の受容体に「ポジティブに関連する」という。反対に、受容体がその天然神経伝達物質に結合することによって、望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態が改善される場合、その種の受容体に「ネガティブに関連する」という。例えば、セロトニンシナプス後受容体はそれらの天然神経伝達物質のセロトニンに結合することによりうつ病を軽減するので、うつ病の望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、セロトニンシナプス後受容体にネガティブに関連する。カッパ受容体はそれらの天然神経伝達物質のダイノルフィンに結合することによりうつ病を増悪するので、うつ病の望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、カッパ受容体にポジティブに関連する。
本発明の方法は、神経伝達物質系を調節するために結合するリガンド受容体の直接的な効果に頼る代わりに、神経伝達物質系を増強または抑制するために間接的な対抗適応作用を利用する。対抗適応は、リガンドの結合に対する脳の自然な反応である。リガンドの結合による初期効果として、神経伝達物質系に関連する望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態が悪化することもある。しかしながら、系からリガンドが除去された後、対抗適応の効果は長期にわたって持続し、リガンドの反復投与を通じて増大し得るので、対抗適応は、神経伝達物質系の総体的な望ましい調節をもたらす。そして、神経伝達物質系の調節は、望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関して治療効果を提供し得る。神経伝達物質系の調節は、例えば、(以下に記載する図2に示されるような)対抗適応反応の増大であってもよいし、または(以下に記載する図6に示されるような)既に誘発されている対抗適応反応の維持であってもよい。
対抗適応は、中枢神経系が恒常性を維持する方法である。対抗適応とは、身体が、その過剰刺激または過少刺激を妨げるために、神経伝達物質系をその本来の定常レベルへ調節しようとする試みの結果である。天然の神経伝達物質は、それらの受容体とほんの短期間だけ結合し、ほぼ直ちにシナプスから除去されるため、対抗適応反応を引き起こさない。しかしながら、リガンドが(例えばリガンドがより長い結合時間を有するか、連続的に投与されるので)より長期間にわたって受容体と相互に作用する場合、リガンド−受容体結合の直接効果を打ち消すように作用する細胞の機構が受容体/神経伝達物質レベルで徐々に生じる(すなわち、対抗適応)。対抗適応は、例えば、前記一種の受容体に結合する天然神経伝達物質の生合成または放出の変化、前記一種の受容体に結合する天然神経伝達物質の再取込みの変化、前記一種の受容体の数および/または前記一種の受容体の受容体上における結合部位の数の変化、天然神経伝達物質および/または受容体アゴニストによる結合に対する前記一種の受容体の受容体の感受性の変化、あるいはそれらの組み合わせであり得る。リガンドの連用は、このようにリガンドの初期効果に対抗するプロセスを刺激することによって対抗適応を誘発する(すなわち、引き起こす)。そのような対抗適応は、経時的にリガンド−受容体結合の影響を低減する。
リガンドが受容体アゴニストである場合、対抗適応は神経伝達物質系の機能性を低下させるように作用する(すなわち「ダウンレギュレーション」)。ダウンレギュレーションは、例えば、前記一種の受容体に結合する天然神経伝達物質の生合成または放出の減少、前記一種の受容体に結合する天然神経伝達物質の再取込みの増加、前記一種の受容体の数および/または前記一種の受容体の受容体上における結合部位の数の減少、天然神経伝達物質および/または受容体アゴニストによる結合に対する前記一種の受容体の受容体の感受性の低下、またはそれらの組み合わせによって生じ得る。上記に列挙した対抗適応反応のいずれも、神経伝達物質系の機能を低下させるように作用し、よって神経伝達物質系にポジティブに関連する望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関して治療効果を提供することができる。
反対に、リガンドが受容体アンタゴニストである場合、対抗適応は神経伝達物質系の機能性を増強するように作用する(すなわち「アップレギュレーション」)。アップレギュレーションは、例えば、前記一種の受容体に結合する天然神経伝達物質の生合成または放出の増加、前記一種の受容体に結合する天然神経伝達物質の再取込みの減少、前記一種の受容体の数のおよび/または前記一種の受容体の受容体上における結合部位の数の増加、天然神経伝達物質および/または受容体アゴニストによる結合に対する前記一種の受容体の受容体の感受性の増大、あるいはそれらの組み合わせによって生じ得る。上記に列挙した対抗適応反応のいずれも、神経伝達物質系の機能性を増強するように作用し、よって神経伝達物質系にネガティブに関連する望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関して治療効果を提供する。
脳内の受容体は、一般に、シナプス前否定的抑制制御ループ(pre-synaptic negative inhibition control loop)によって調節される。したがって、気分を高揚させるシナプス後受容体(つまり望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態にネガティブに関連する受容体)については、関連する抑制シナプス前受容体における反復アゴニスト治療を用いることが望ましい。シナプス前抑制受容体におけるアゴニストの反復投与は、その受容体のダウンレギュレーションを生じ、その抑制反応を減少させることにより、気分を高揚させるシナプス後受容体における神経興奮(neural firing)を増大させて、気分を向上させる。
気分を憂うつにさせるシナプス後受容体(すなわち望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態にポジティブに関連する受容体)について用いるためには、反対の方策が望ましい。そのような受容体に対しては、関連する抑制シナプス前受容体における反復アンタゴニスト治療を用いることが望ましい。シナプス前抑制受容体におけるアンタゴニストの反復投与は、その受容体のアップレギュレーションを生じ、その抑制反応を減少させることにより、気分を憂うつにする後シナプス受容体における神経興奮を低減し、気分を向上させる。
第1期間において結合するリガンドの直接効果は、一種の受容体に関連する望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態の初期の増悪である場合が多い。例えば、投与されたリガンドが望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態にネガティブに関連する一種の受容体に対するアンタゴニストである場合、結合の短期的効果は、受容体をブロックし、それら受容体が天然神経伝達物質に結合して興奮する(firing)のを防止することである。同様に、投与されたリガンドが望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態にポジティブに関連する一種の受容体に対するアゴニストである場合、結合の短期的効果は、受容体を興奮させることである。望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態にポジティブに関連する受容体の興奮、および望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態にネガティブに関連する受容体の興奮の防止は、双方とも、初期における症状の悪化を引き起こすことがある。リガンド受容体結合の短期的効果が(例えば系からのリガンドの除去により)薄れると、対抗適応は神経伝達物質系の所望の調節を提供し続ける。反復投与により、神経伝達物質系の調節を徐々に増進させることができる。以下に記載する本発明のある実施形態においては、リガンド−受容体結合の直接効果の患者に対する影響を制限する対策が取られる。
図1は、部分(b)において、気分に関連する受容体に対する適切なリガンドの投与に対する気分対時間のグラフを含んでいる。図1の例で示されるように、リガンド投与の直接の効果は、各第1期間における気分の悪化であり得る。この気分の悪化は、リガンドのインビボ濃度がその定常状態レベルへと低下するにつれて漸減する。リガンド濃度がその低い定常状態レベルに戻った後、各投与に関連し第1期間に続く第2期間において、対抗適応はそのまま存続して、気分の全体的な向上をもたらす。図2は、本発明による方法の間におけるリガンドの数回の投与に対する気分対時間のグラフである。図2において上昇傾向にある気分(すなわち、グラフは概して時間に対して上向きに傾斜する)によって明示されるように、対抗適応の強さは、各投与が付加的な対抗適応反応を引き起こすことにより、時間と共に増大する。そのため、リガンドの反復間欠投与によって治療効果の増大が実現され得る。図1および図2は、対抗適応が気分の上昇を引き起こす例を示しているが、ここで述べる本方法が以下においてより詳細に説明されるものを含んだ神経伝達物質が関連するあらゆる状態を治療するのに有用であることを当業者は認識するであろう。
リガンドの各投与は、投与半減期を有する。図1の部分(a)のグラフに示されるように、リガンドのインビボ濃度は、投与の開始(例えば、錠剤の嚥下、経皮パッチの貼付、または静脈内投与の開始)の際には比較的低い基線レベルにあり、その後、ある最大レベルへと上昇する。最大値に達した後に、リガンドのインビボ濃度は(例えばリガンドの代謝/排泄により)低下して基線レベルに戻り、次の投与まで基線レベルのままとなる。図1に示されるように、投与半減期は、投与開始時と、その最大レベルから基線レベルまで濃度が低下する際にインビボ濃度が最大値の半分になる時点との間の期間として測定される。
投与半減期は、化合物半減期(すなわちリガンド化合物自体のインビボにおける半減期)並びに投与経路の関数になるであろう。例えば、図3は、比較的長い化合物半減期を有するリガンドの注射による単回投与におけるインビボ濃度対時間のグラフである。注射は非常に迅速にリガンドを血流に入れるので、投与半減期は化合物半減期に近似する。図4の例において、はるかに短い化合物半減期を有するリガンドは時限放出性の経皮パッチを用いて投与される。ここで、その濃度は、よりゆっくりと定常状態の最大濃度へと上昇し、次いで、パッチが消耗されるにつれて低下する。パッチを消耗する前に除去すると、図5に示されるように、インビボ濃度は基線レベルまで急速に低下するであろう。投与半減期は、例えば、約一週間未満であってもよいし、約3日未満であってもよいし、約1日未満であってもよい。より望ましくは、投与半減期は約16時間未満、約12時間未満、約8時間未満、あるいは約4時間未満であり得る。本発明のある実施形態、特に比較的長い化合物半減期を有するリガンドを使用する実施形態において、投与半減期は約4時間よりも長くてもよいし、約12時間よりも長くてもよいし、約16時間よりも長くてもよいし、あるいは約30時間よりも長くてもよい。
リガンドは、リガンドおよびその活性代謝物(すなわち、前記受容体の種類の受容体において活性である代謝物質)のインビボの半減期として定義される化合物半減期を有し、この化合物半減期は投与経路によるあらゆる影響には関係がない。本発明のある実施形態において、比較的短い化合物半減期を有する化合物を使用することが望ましいこともある。例えば、本発明のある実施形態において、化合物半減期は、約1週間未満、約3日未満、あるいは約1日未満である。より望ましくは、化合物半減期は、約16時間未満、約12時間未満、約8時間未満、約4時間未満、あるいは1時間未満であり得る。しかしながら、いくつかのリガンドは比較的より長い化合物半減期を有する。例えば、本発明のある実施形態において、リガンドの化合物半減期は、約4時間よりも長くてもよいし、約12時間よりも長くてもよいし、約16時間よりも長くてもよいし、約30時間よりも長くてもよい。
投与間の期間は、望ましくは、リガンド−受容体結合の直接効果を容認できるほど低く、許容可能に維持するとともに、リガンドに対する対抗適応反応を最大にするように選択される。例えば、リガンドの投与は毎日行なわれてもよい。本発明の他の実施形態において、投与間の期間は、2日以上、3日以上、5日以上、1週間以上、2週間以上、あるいは1か月以上であってもよい。同様に、各投与のリガンドの投与量は、対抗適応反応を引き起こすのに十分であるが、リガンド−受容体結合の直接効果が低く患者に耐えられるほど十分に低くなるように選択される。
約12時間よりも長い化合物半減期を有するリガンドを使用する場合、対抗適応を増大するためには、前記一種の受容体に対する第2リガンドを反復投与することが望ましいことがある。第2リガンドの各投与は約8時間未満の投与半減期を有する。本発明による方法の例において、24時間の化合物半減期を有するリガンドは24時間の投与半減期で3日ごとに投与され、第2リガンドは6時間の投与半減期で毎日投与される。そのような場合において、前記リガンドが受容体アゴニストであるとき、第2リガンドは望ましくは受容体アゴニストであり、前記リガンドが受容体アンタゴニストであるときには、第2リガンドは望ましくは受容体アンタゴニストである。
投与間の期間に対する投与半減期の比率は、望ましくは、第1期間において結合するリガンドの任意の直接効果を低く許容可能なレベルに維持する一方で、対抗適応を最大にするように選択される。本発明の一実施形態によれば、投与間の期間に対する投与半減期の比率は、1/2以下である。望ましくは、投与間の期間に対する投与半減期の比率は、1/3以下である。本発明のある実施形態において、投与間の期間に対する投与半減期の比率は、1/5以下、1/8以下、あるいは1/12以下である。しかしながら、対抗適応の所望のレベルを維持するためには、リガンドを比較的頻繁に投与することが望ましいこともある。例えば、本発明のある望ましい実施形態において、投与間の期間に対する投与半減期の比率は、1/100よりも大、1/50よりも大、1/24よりも大、1/12よりも大、1/8よりも大、1/5よりも大、1/4よりも大、あるいは1/3よりも大である。
前記一種の受容体のうちの相当数の受容体は、リガンド結合に対する対抗適応をもたらすように、望ましくは、各投与に関連する第1期間においてリガンドに結合される。例えば、前記受容体の種類の受容体のうちの少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、あるいは少なくとも約90%は、望ましくは、各第1期間においてリガンドによって結合される。
同様に、各投与に関連する第1期間は、望ましくは、実質的な対抗適応を引き起こすのに十分なほど長い。例えば、各第1期間の継続時間は、望ましくは、少なくとも約5分間、少なくとも約30分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、あるいは少なくとも約4時間である。本発明のある望ましい実施形態において、第1期間の継続時間は約8時間である。しかしながら、リガンド結合の直接効果が望ましくない状態の顕著な悪化である場合、第1期間を、許容可能なレベルの対抗適応を得るのに必要な期間以下に維持することが望ましいこともある。例えば、本発明のある実施形態において、第1期間の継続時間は、望ましくは、約24時間未満、約16時間未満、約12時間未満、約8時間未満、あるいは約6時間未満である。
本発明の望ましい実施形態において、各投与に関連し、第1期間の後に続く第2期間においては、相当数の受容体はリガンドに結合されないままである。低レベルのリガンド−受容体結合は、直接リガンド結合のあらゆる有害な作用によって妨げられることなく、患者が対抗適応の効果(例えば治療効果)を享受することを可能にする。例えば、各第2期間中において、望ましくは、受容体の約50%以下、約25%以下、約10%以下がリガンドに結合されている。
各投与に関連した第2の期間中において、前記一種の受容体のうちの相当数の受容体は、リガンドに結合されていない。各第2期間においては、直接的なリガンド−受容体結合の効果は残存しないので、患者は対抗適応の任意の治療効果を享受し得る。そのため、各第2期間はできるだけ長いことが望ましい。例えば、各第2期間の継続時間は、望ましくは、少なくとも約2時間、少なくとも約10時間、あるいは少なくとも約15時間である。しかしながら、投与間の期間を短縮することにより対抗適応を増大させるためには、各第2期間を比較的短くしておくことが望ましい場合もある。例えば、本発明のある実施形態において、各第2期間の継続時間は、望ましくは、約20時間以下、約30時間以下、約50時間以下である。
対抗適応を経時的に増大させ、かつあらゆる初期の望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態の増悪を最小限にするためには、各投与において比較的低投与量のリガンドで治療を開始して、経時的に投与量を増量することが望ましいこともある。投与量の増量は、患者がリガンドに対して増す耐性を補償するために用いることもできる。便宜上、投与量を経時的に断続して増量する(すなわち、投与間の期間より長い期間で投与量を増量する)ことが望ましいこともある。例えば、本発明のある実施形態において、投与量は、増量から増量までに1週間以上、2週間以上、3週間以上、1か月以上、2か月以上、3か月以上、6か月以上、あるいは1年以上の期間をおいて増量される。投与量の各増量においては、投与量は、望ましくは、初期量の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、あるいは少なくとも約100%を増量される。しかしながら、一定範囲内の最大投与量を維持することが望ましこともある。例えば、本発明のある実施形態において、最大投与量は、初期投与量の300倍以内、初期投与量の100倍以内、初期投与量の50倍以内、あるいは初期投与量の20倍以内であり得る。
服薬スケジュールの一例において、低量のリガンドが1週間、2週間、あるいは3週間にわたって与えられる。これらの初期量は、対抗適応反応を誘発するには十分に高いが、最小限のリガンド−受容体結合による直接効果のみを生じるように十分に低い。その後、投与量は増量される。増量は10%程度であってもよいが、対抗適応反応をより迅速に誘発するために、初期量の少なくとも2倍にすることが望ましい。4〜6週間後に、投与量を再び増量する。1か月、2か月、4か月、あるいは6か月毎にこのパターンに従う。最大投与量の終点は、リガンドに対する個々の耐性、並びにより多量の投与量による副作用および直接効果の発現に依存するであろう。
リガンド−受容体結合のあらゆる直接効果の影響を低減するためには、患者に対する悪影響が最小限となる時間の間に第1期間が起こるように、リガンドの投与の時間を決めることが望ましいこともある。患者は、眠っている場合には、リガンド−受容体結合の直接効果の多くに(例えば、気分の低下)に気づくことはないであろう。例えば、患者の睡眠中に、第1期間の相当部分が起こるように、リガンドの投与の時間を決めることが望ましいことがある。その結果、リガンド−受容体結合のいかなる直接効果も気づかれない。例えば、望ましくは、第1期間の少なくとも40%、少なくとも60%、あるいは少なくとも85%は患者の睡眠中に起こる。そのようなタイミングを達成するためには、患者が就寝する前の一定時間内にリガンドの投与の相当部分を行なうことが望ましいこともある。例えば、望ましくは、リガンド投与の少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、あるいは少なくとも95%は、患者が就寝する前の一定時間内に行なわれる。
しかしながら、昼間投与は禁忌ではなく、本発明の他の実施形態においては、リガンドの各投与は、患者が就寝する1時間より前に行なわれる。本発明による方法の一例において、2か月または3か月の間にわたってリガンドを毎日投与された患者は、対抗適応を発現し、例えば、いくらかの関連する気分の改善をみせた。患者が昼間の気分の改善を所望する特定の時刻がある場合には、所望の時刻がその投与に関連する第2期間内に入るように、リガンド投与の時刻を移動することができる。患者が午後6時に爽快な気分を望む場合、患者は午後2時に適切なリガンド(例えば、1時間の化合物半減期を有するナロキソン、ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニスト)を投与することができる。ナロキソン受容体−結合の直接効果(不快な気分)は2、3時間だけ続き、午後6時まで対抗適応によってもたらされるよい気分だけが残る。
リガンドの投与は、望ましくは、適切に大きな対抗適応効果を確立するのに十分な回数だけ反復される。そのため、本発明の方法において、望ましくは、投与は少なくとも5回、少なくとも10回、少なくとも25回、または少なくとも50回行われる。
リガンドの各投与は、経口投与、経皮投与、吸入投与、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、髄腔内投与、脊髄くも膜下腔内投与、経粘膜投与によって行われるか、あるいは浸透圧ポンプ、マイクロカプセル、インプラントまたは懸濁液を用いることによって行われ得る。当業者は、リガンドの独自性、その化合物半減期、所望の供与量、および所望の投与半減期に基づいて、投与経路を選択するであろう。
急速に吸収される負荷投与(速いリガンド−受容体結合を得るため)と、徐々に吸収される投与(所望の長さの第1期間以上にわたって結合するリガンド受容体を所望のレベルに維持するため)との双方を用いて、リガンドを投与することが望ましいことがある。そのような投与には、急速吸収性の外層とより遅い吸収性の中心部とを有する肛門坐剤を使用することができる。これに代わって、負荷投与を舌下に施し、徐々に吸収される投与をパッチによって経皮的に施すこともできる。
血液中におけるキャリアは、それが循環していれば、リガンドの投与半減期を増大させるために使用され得る。例えば、それぞれ参照によりその全容が本願に援用される米国特許第6,610,825号および同第6,602,981号は、リガンドの投与半減期を延長するために、リガンドが血球またはタンパク質に結合される方法を記載している。アデシ(Adessi)ら(Curr Med Chem, 9(9); 2002年5月;963−978頁)は、ペプチドリガンドを安定させる方法を記載している。
本発明の方法は、神経伝達物質系に関係している任意の望ましくない状態を処置または治療するために用いられ得る。そのような状態の例としては、慢性的疼痛、気分障害、摂食障害、不安障害、意欲および能力の問題、炎症状態、吐き気、嘔吐、尿失禁、皮疹、紅斑、発疹、心臓血管の状態、免疫系関連状態、および加齢の影響が挙げられる。望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態のより多くの例について、以下に記載する。
リガンド−受容体結合の任意の直接効果を低減するためには、リガンドと組み合わせて、抗不安薬を投与することが望ましいこともある。抗不安薬は、特に患者の睡眠について、リガンド−受容体結合の効果を緩和するのを助け得る。抗不安薬は、例えば、GABA経路に影響を与えてもよい。抗不安薬は、例えば、ジアゼパム、ロラゼパム、アルプラゾラム、テマゼパム、フルラゼパムおよびクロルジアゼポキシド(chlodiazepoxide)のようなベンゾジアゼピンであり得る。同様に、リガンド−受容体結合の任意の直接効果を低減するためには、リガンドと組み合わせて、催眠剤または選択的セロトニン再吸収阻害剤を投与することが望ましいこともある。これらの薬剤の各々は、リガンドと同時に投与されてもよいし、または異なる時に投与されてもよい。米国特許第4,377,595号および同第5,958,429号に記載されているように、患者の食事にトリプトファンを添加することも望ましい場合もある。それらの特許文献は、それぞれ参照によりその全容が本願に援用される。
幾つかの例では、リガンド−受容体結合の一つの直接効果は、免疫系機能の低下である。したがって、リガンドと組み合わせて第1期間に自己免疫薬を投与することが望ましいこともある。適切な自己免疫療法の例としては、コルチコステロイド、クロラムブシル、シクロスポリン、シクロホスファミド、メトトレキサート(methotrexatate)、アザチオプリン、TNFαアンタゴニストなどの投薬、ならびに全身酵素療法、遺伝子療法および放射線療法などの治療法が挙げられる。もちろん、当業者には理解されるであろうが、今後開発されるものを含め、他の自己免疫薬も、本発明の方法で用いることができる。本発明の特定の実施形態において、自己免疫療法は、第2期間には行われない。
同様に、リガンドと組み合わせて第1期間に抗ウイルス剤を投与することが望ましいこともある。適切な抗ウイルス剤の例としては、インターフェロン、リバビリン、プロテアーゼ阻害剤、アマンタジン、リマンタジン、プレコナリル、抗体(モノクローナル、抗VAP、受容体抗イディオタイプ、外来受容体、および合成受容体模倣体)、アシクロビル、ジドブジン(AZT)、ラミブジン、RNAアーゼH阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、ウイルスDNAへの転写因子の吸着阻害剤、いわゆる「アンチセンス」分子、合成リボザイム、ザナミビル、およびオスレタミビルが挙げられる。もちろん、当業者には理解されるであろうが、今後開発されるものを含め、他の抗ウイルス剤を、本発明の方法に用いることができる。本発明の特定の実施形態において、抗ウイルス剤は第2期間には投与されない。
同様に、リガンドと組み合わせて第1期間に抗菌剤、抗真菌剤、および/または抗新生物剤を投与することが望ましいこともある。本発明の特定の実施形態において、抗菌剤、抗真菌剤、および/または抗真菌剤は第2期間には投与されない。
リガンドと組み合わせて第1期間に抗癌剤を投与することが望ましいこともある。適切な抗癌剤としては、例えば、アドリアマイシン、ブスルファン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、プロカルバジン、テモゾラミド、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ブレオマイシン、ミトマイシン、ミトキサトロン、プリカマイシン、シタラビン、フルオロウラシル、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、アスパラギナーゼ、ペガスパルガーゼ、イリノテカン、トポテカン、ビカルタミド、エストラムスチン、フルタミド、ロイプロリド、メゲストロール、ニルタミド、テストステロン、トリプトレリン、アナストラゾール、レトロゾール、アルデスロイキン、アレムツズマブ、ゲムツズマブ、トレミフェン、トラスツズマブ、エトポシド、ドセタキセル、パクリタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、アルトレタミン、エルロチニブ、グリーベック、クルクミン、タモキシフェン、ボルテゾミブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、3,4−メチレンジオキシ−5,4’−ジメトキシ−3’−アミノ−Z−スチルベン由来の癌細胞増殖阻害剤、ヒドロキシフェンスタチンおよびその二リン酸ナトリウムプロドラッグ、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、スベロイルアニリドヒドロキサム酸、トリコスタチンA、酪酸ナトリウム、メトホルミン、5−リポキシゲナーゼ(5−LO)アンタゴニスト、プロテインキナーゼAタイプIのRIα調節サブユニットを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド、ビタミンEおよびその類似体、ビタミンEスクシナート(VES)、ならびに遺伝子療法が挙げられる。もちろん、当業者には理解されるであろうが、今後開発されるものを含め、他の自己免疫薬を、本発明の方法に用いることができる。本発明の特定の実施形態において、抗ウイルス剤は第2期間には投与されない。
リガンドと組み合わせて、従来の医薬品を(例えば同時にまたは連続して)投与することが望ましいこともある。そのような薬剤は、その薬剤が対抗適応によって数および/または感受性が増している一種の受容体に対するアゴニストである場合、または対抗適応によって数および/または感受性が減少している一種の受容体に対するアンタゴニストである場合、特に望ましい。リガンドと組み合わせて投与される従来の医薬品の例としては、TCA、MAOI、SSRI、NRI、SNRI、CRF修飾薬、セロトニンシナプス前自己受容体アンタゴニスト、5HTアゴニスト、ダイノルフィンアンタゴニスト、GABA−A修飾薬、セロトニン5H2cおよび/または5H2B修飾薬、ベータ−3アドレナリン受容体アゴニスト、NMDAアンタゴニスト、V1Bアンタゴニスト、GPCR修飾薬、またはサブスタンスPアンタゴニストが挙げられる。望ましくは、付加的な医薬品は、その効果がリガンドの次の投与までにはほぼなくなるようにその医薬品を第2期間中に投与することができるように、比較的短い投与半減期を有する。そのような投薬計画は、第2期間中において医薬品の効果を最大としながら、高レベルの対抗適応を維持する。
所望の臨床効果を提供するために、受容体の直接結合による利点を活かすことが望ましい場合もある。例えば、リガンドが受容体アゴニストである場合、各投与に関連し第1期間に後続する第2期間のうちの1つ以上中に、一種の受容体に対するアンタゴニストを投与することが望ましいこともある。しかしながら、一種の受容体に対するアンタゴニストは、望ましくは、各投与に関連する第1期間においては投与されない。同様に、リガンドが受容体アンタゴニストである場合、各投与に関連し第1期間に後続する第2期間のうちの1つ以上において、一種の受容体に対するアゴニストを投与することが望ましいこともある。しかしながら、一種の受容体に対するアゴニストは、望ましくは、各投与に関連する第1期間においては投与されない。好ましくは、アンタゴニストは、該アンタゴニストが後のアゴニストの投与に影響しないように、12時間未満、8時間未満、または6時間未満のインビボの半減期を有する。
本発明の別の実施形態は、図6のインビボのリガンド濃度(部分a)および気分対時間(部分b)のグラフによって図示される。この方法においては、まず、患者に一種の受容体に対するリガンドの1回以上の投与を施すことにより対抗適応を誘発する。図6に示されるように、これは、高投与量のリガンドを反復してまたは連続的に投与することによって実施され得る。リガンドの比較的高く長期にわたる投与は、強い対抗適応効果を誘発するであろうが、図6の気分対時間のグラフに示されるように、患者にリガンド−受容体結合による著しい直接効果を我慢させることもある。そのような場合、初期における対抗適応反応の誘発の間、患者を入院させておくことが望ましいこともある。対抗適応反応が誘発された後、対抗適応反応は、投与間の期間に対する投与半減期の比率を1/2以下として、患者にリガンドを反復投与して維持される。反復投与は、上記に説明したようにほぼ行なわれ得る。
たとえ本発明の方法が望ましくない精神的状態、神経学的状態および生理学的状態を治癒することはできないとしても、本発明の方法を用いて、神経伝達物質系の機能の調節により、望ましくない精神的状態、神経学的状態および生理学的状態を改善することができる。本発明の方法は、望ましくない精神的状態、神経学的状態および生理学的状態を、伝統的療法に対して、より適するようにし得る。例えば、臨床的うつ病が治癒されなくても、本発明の方法を用いることによってもたらされる気分の向上は、うつ病を改善するのを助け得る。上述したように、従来の抗うつ薬の使用もより効果的になることもある。別の例において、癌は治癒されないとしても、神経伝達物質の調節は、腫瘍成長および/または転移を抑制するように作用し、従来の癌治療および/または免疫系が癌性増殖をより良好に排除できるようにし得る。神経伝達物質の調節によってもたらされる治療効果は、例えば、精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関連した症状の重症度の軽減、精神的状態、神経学的状態および生理学的状態に関連した症状の根絶、または精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関連した症状を隠す気分の上昇であり得る。
本発明による方法は、患者の望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に対処するために治療に使用され得る。例えば、本発明の方法は、患者に先在する望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態、例えば、気分障害、摂食障害、疼痛性障害、薬物濫用障害、不安障害、強迫神経症を治療するために使用され得る。本方法はまた、例えば、将来の身体運動、物理的外傷、精神的外傷、または医学的処置によって起こることが予想されるあらゆる将来の望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態を軽減するために使用され得る。本発明の方法を用いて対処されうる状態の多くの例は以下により詳細に記載する。
(サブスタンスP系)
本発明の一実施形態によれば、神経伝達物質系は、神経伝達物質としてニューロキニンサブスタンスP、NKAおよびNKBを含むサブスタンスP(「SP」)系である。SPはポリペプチドであり、痛覚に対する神経伝達物質および媒介物質として作用することが知られている。SPは、同様のC末端と、SP様活性に応じて変化するN末端とを有するポリペプチドの集合であるタヒキニン群の一つである。SP受容体は、NK−1、NK−2、およびNK−3受容体を含む。SPは、NK−1受容体に選択的に結合し、NKAはNK−2受容体に選択的に結合し、NKBはNK−3受容体に選択的に結合する。
SPおよびその受容体は、主として脳および脊髄組織に見られる。脊髄において、SP受容体は、脳に伝達される疼痛信号の原発部位である後角と呼ばれる領域に見られる。脳において、SPおよびその受容体は、視床下部および扁桃体、すなわち、情動行動、ストレスに対する不安および反応、並びに疼痛に関連する領域において高濃度で見られる。さらに、SPは、統合失調症、躁うつ病、性機能不全、薬物依存、認知障害、移動障害(locomotive disorders)およびうつ病のような多数の精神状態だけでなく、吐き気および嘔吐、防御行動、心血管の調子、唾液分泌、炎症、平滑筋の収縮および血管拡張にも関与している。
神経伝達物質系がSP系である場合、前記一種の受容体は、多くの望ましくない精神的状態および神経学的状態にポジティブに関係しているSP受容体であり、リガンドはSP受容体アゴニストである。対抗適応は、SP系のダウンレギュレーションを引き起こし、受容体末端における、または脳下垂体による、SP、NKAおよび/またはNKBの生合成または放出の減少、受容体の数および/または受容体上における結合部位の数の減少、またはSP受容体アゴニストおよび/またはSP、NKAおよび/またはNKBによる結合に対する前記受容体の感受性の低下のうちの少なくとも1つであり得る。
SP受容体アゴニストは、例えば、ペプチド系であってもよい。本発明のある実施形態において、SP受容体アゴニストは、SP、NKA、および/またはNKBの類似体、またはそれらの医薬として許容され得る塩もしくは誘導体である。例えば、SP受容体アゴニストは、サブスタンスP;サブスタンスP、遊離酸;ビオチンサブスタンスP;[Cys3,6、Tyr、Pro]−サブスタンスP;(ジスルフィド架橋:3−6)、[Cys3,6、Tyr、Pro10]−サブスタンスP;(ジスルフィド架橋:3−6)、[4−クロロ−Phe7’8]−サブスタンスP;[4−ベンゾイル−Phe]−サブスタンスP;[スクシニル−Asp,N−Me−Phe]−サブスタンスP(6−11)(センクチド);[Tyr]−サブスタンスP;[Tyr]−サブスタンスP;サメ サブスタンスPペプチド;GR73632[D−Ala−[L−Pro、Me−Leu]サブスタンスP(7−11)];[Sar、Met(O11]SP;GR73,632[デルタ−アミノバレリル[Pro9,Ν−Me−Leu10]−サブスタンスP(7−11)]、[Glu(OBzl)11]サブスタンスPおよびヘモキニン1(HK−1)(サブスタンスP同族体);またはそれらの医薬として許容され得る塩もしくは担体であり得る。
本発明の他の実施形態において、SP受容体アゴニストは、NKA(4−10)またはNKB(4−10)に類似したC末端ヘプタペプチド(heptapetpide)を有するNKAまたはNKB類似体、またはそれらの医薬として許容され得る塩もしくは担体であってもよい。例えば、SP受容体アゴニストは、[Gln]−NKA、[Gln]−NKA(4−10)、[Phe]−NKA、[Phe]−NKA(4−10)、[Ile]−NKA、[Ile7]−NKA(4−10)、[Lys,MeLeu、Nle10]−NKA(4−10)、[Nle10]−NKA(4−10)、β―Ala]−NKA(4−10)、[Ala]−NKA(4−10)、*[Gln]−NKB、[Gln]−NKB(4−10)、[Phe]−NKB、[Phe]−NKB(4−10)、[Ile]−NKB、[Ile7]−NKB(4−10)、[Lys,MeLeu,Nle10]−NKB(4−10)、[Nle10]−NKB(4−10)、β―Ala]−NKB(4−10)、[Ala]−NKB(4−10)またはそれらの医薬として許容され得る塩もしくは担体であり得る。同様に、SP受容体アゴニストは、MePheで置換されたValを有する[Arg]−NKB、NKAまたはNKB類似体、またはそれらの医薬として許容された塩もしくは担体であってもよい。
本発明において使用され得る他のSP受容体アゴニストは、SR48968、NK2受容体アンタゴニスト((S)−N−メチル−N[4−(4−アセチルアミノ−4−[(フェニルピペリジノ)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−ブチル)]ベンズアミド]、並びに米国特許第4,839,465号、同第4,472,305号、同第5,137,873号、同第4,638,046号、同第4,680,283号、同第5,166,136号、同第5,410,019号、および同第6,642,233号に記載のものであってもよい。上記の各特許文献は参照によりその全容を本願に援用される。
SP受容体アゴニストの初期投与量(すなわち最初の投与の投与量)は、望ましくは、対抗適応効果を誘発するためには十分に高いが、リガンド−受容体結合による耐え難い直接効果を引き起こすほどには高くない。例えば、SP受容体アゴニストの初期投与量は、第1期間における連続投与に対して、約0.5pmol/kg/分〜約20pmol/kg/分であり得る。本発明のある望ましい実施形態では、SP受容体アゴニストの初期投与量は、第1期間における連続投与に対して、3pmol/kg/分〜10pmol/kg/分であり得る。
本発明は、ペプチド系のSP受容体アゴニストの使用に限定されるものではない。本発明の方法において、実質的または完全に非ペプチド性SP受容体アゴニスト(例えば、コーレフ(Chorev)ら、Biopolymers、1991年5月、31(6)、725−33頁に記載のもの。この文献は参照によりその全容を本願に援用される)を含む他のSP受容体アゴニストを使用してもよい。
SP受容体アゴニストは、任意の適切な経路を用いて投与され得る。経粘膜投与はSP受容体アゴニストを投与するのに特に望ましい方法である。例えば、投与は、舌下投与であってもよいし、または肛門坐剤による投与であってもよい。(SP受容体の迅速な結合を得るために)急速に吸収される負荷投与と、(所望の長さの第1期間にわたって所望レベルのアゴニスト−受容体結合を維持するために)徐々に吸収される投与との双方を用いて、SP受容体アゴニストを投与することが望ましいことがある。そのような投与には、急速吸収性の外層とより遅い吸収性の中心部とを有する肛門坐剤を使用することができる。これに代わって、負荷投与を舌下に施し、徐々に吸収される投与をパッチによって経皮的に施すこともできる。他の経路としては、疼痛に対する髄腔内または脊髄くも膜下腔内投与が挙げられる。
望ましくは、SP受容体アンタゴニストは、各投与に関連する第1期間においては投与されない。しかしながら、本発明のある実施形態において、SP受容体アンタゴニストは複数の第2期間のうちの一つ以上において投与される。示唆した投与量と共に示されるSP受容体アンタゴニストの非限定的な例は、以下の通りである:SR 48968((S)−N−メチル−N(4−アセチルアミノ−4−フェニルピペリジノ−2−(3,4−ジクロロフェニル)−ブチル)ベンズアミド);米国特許第5,972,938号;同第6,576,638号;同第6,596,692号;同第6,509,014号;同第6,642,240号;同第6,841,551号;同第6,177,450号;同第6,518,295号;同第6,369,074号;および同第6,586,432号;並びに国際公開番号第WO95/16679号;同第95/18124号;および同第95/23798号に記載のオサネタントおよび化合物。
他のSP(NK1)受容体アンタゴニストとしては、L−760735([1−(5−{[(2R,3S)−2−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−3−(4−フェニル)モルホリン−4−イル]メチル}−2H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−N,N−ジメチルメタンアミン])(ボイス エス(Boyce, S)ら、Neuropharmacology、2001年7月、41(1):第130−7頁参照);CP−96,345[(2S,3S)−シス−2−(ジフェニルメチル)−N−[(2−メトキシ−フェニル)−メチル]−1−アザビシクロ[2.2.2]−オクタン−3−アミン](スナイダー(Snider)ら、Science、1991年1月25日、251(4992)、第435−7頁参照);SSR240600([(R)−2−(1―{2−[4−{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]アセチル}−2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−モルホリニル]エチル}−4−ピペリジニル)−2−メチルプロパンアミド](スタインバーグ アール(Steinberg, R.)ら、J Pharm Exper Ther、303(3)、1180−1188頁、2002年12月、「SSR240600[(R)−2−(1−{2−[4−{2−[3,5−(ビス(トリフルオロメチル)フェニル]アセチル}−2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−モルホリニル]エチル}−4−ピペリジニル)−2−メチルプロパンアミド],タキキニン ニューロキニン 1 受容体の中枢作用性非ペプチドアンタゴニスト:II.神経化学的および行動的キャラクタリゼーション("SSR240600 [(R)-2-(1-{2-[4-{2-[3,5-(Bis(trifluoromethyl)phenyl]acetyl}-2-(3,4-dichlorophenyl)-2-morholinyl]ethyl}-4-piperidinyl)-2-methylpropanamide],a Centrally Active Nonpeptide Antagonist of the Tachykinin Neurokinin 1 Receptor:II.Neurochemical and Behavioral Characterization)」参照);NKP608[キノリン−4−カルボキシル酸[トランス−(2R,4S)−1−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンゾイル)−2−(4−クロロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イル]−アミド)](スプーレン ダブリュピー(Spooren WP)ら、Eur J Pharmacol.、2002年1月25日、435(2−3)、161−70頁、およびファイル エスイー(File,SE)、Psychopharmacology(Berl).、2000年9月、152(1)、第105−9頁、表題「ラットにおける社会的相互関係試験において不安緩解作用を有するNKP608、NKl受容体アンタゴニスト(NKP608, an NKl receptor antagonist, has an anxiolytic action in the social interaction test in rats.)」参照);L−AT(N−アセチル−L−トリプトファン 3,5−ビスベンジルエステル)(クリスマン エイ(Crissman、A)ら、302巻、第2号、606−611頁、2002年8月、表題「中枢神経に投与したイソプレテノールを識別する訓練されたラットにおける抗うつ剤の効果(Effects of Antidepressants in Rats Trained to Discriminate Centrally Administered Isoproterenol)」参照);MK−869[アプレピタント](ヴァーティ ジービー(Varty、GB)ら、Neuropsychopharmacology(2002年)、27、371−379頁、「アレチネズミ高架式十字迷路II:選択的ニューロキニンNK1受容体アンタゴニストの不安緩解様効果(The Gerbil Elevated Plus-maze II: Anxiolytic-like Effects of Selective Neurokinin NKl Receptor Antagonists)」参照);L−742,694[2(S)−((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−オキシ)−(3(S)フェニル−4−((3−オキソ−1,2,4−トリアゾール−5−イル)メチル)モルホリン)](バーティ(Varty)ら参照);L−733060[(2S,3S)3−([3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ)−2−フェニルピペリジン](バーティら参照);CP−99,994[(+)−(2S,3S)−3−(2−メトキシベンジルアミノ)−2−フェニルピペリジン](マクレーン(McLean)ら、J Pharm Exp Ther、第267巻、第1号、472−479頁およびバーティらを参照);CP−122,721[(+)−(2S,3S)−3−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシベンジル)アミノ−2−フェニルピペリジン](マクレーン(McLean)ら、J Pharm Exp Ther、第277巻、第2号、900−908頁およびバーティらを参照);CP−96,345[(2S,3S)−シス−2−(ジフェニルメチル)−N−((2−メトキシフェニル)−メチル)−1−アザビシクロ(2.2.2.)−オクタン−3−アミン(バン(Bang)ら、J Pharmacol Exp Ther.、2003年4月、305(1)、31−9頁参照)GSK597599[ヴェスティピタント(Vestipitant)];GSK679769(ハンター(Hunter)らの米国特許公開番号第20050186245号参照);GSK823296(ハンター(Hunter)らの米国特許公開番号第20050186245号参照);サレズタント(Saredutant)(ヴァン スコアー(Van Schoor)ら、Eur Respir J、1998年、12:17−23頁参照)、タルネタント(Talnetant);オサネタント(カマリ エフ(Kamali, F)、Curr Opin Investig Drugs.、2001年7月、2(7)、950−6頁参照);SR−489686(ベンズアミド,N−[4−[4−(アセチルアミノ)−4−フェニル−1−ピペリジニル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)ブチル]−N−メチル−(S)−);SB−223412(ハンター(Hunter)ら米国特許公開番号第20050186245号を参照);SB−235375(4−キノリンカルボキサミド−,3−ヒドロキシ−2−フェニル−N−[(1S)−1−フェニルプロピル]−)、UK−226471(ハンター(Hunter)ら米国特許公開番号第20050186245号を参照)が挙げられる。
SP受容体アンタゴニストの適当だが非制限的な初期投与量としては、L−7607358では約12mg/kg/時間/8時間投与(静脈内投与による)、CP−96,345では約30μg/kg/時間/8時間投与(静脈内投与による)、SSR240600では約0.1〜10mg/kg/投与(腹腔内投与または経口投与による)、NKP608では約0.01〜0.1mg/kg/投与(経口投与による)、L−ATでは約1〜10mg/kg/投与、MK−869では約0.01〜3mg/kg/投与、L−742,694では約1〜30mg/kg、L−733,060では約1〜10mg/kg/投与、CP−99,994またはCP−122,721では約3〜30mg/kg/投与、およびサレズタントでは約100mg/投与(経口投与による)が挙げられる。
SP神経伝達物質系は、種々様々の望ましくない精神的状態および神経学的状態にポジティブに関連している。そのような状態の例には、慢性的疼痛、気分障害、摂食障害、不安障害、欲求異常(motivational problem)、薬物濫用障害、炎症状態、吐き気または嘔吐(例えば、化学療法から生じる)、尿失禁、皮疹、紅斑、発疹、線維筋痛、慢性疲労症候群、慢性背部痛および慢性頭痛、慢性癌性疼痛、帯状疱疹、反射性交感神経性ジストロフィー、神経病、炎症性疼痛、将来的に(例えば、医学的処置または身体運動により)起こることが予想される疼痛、大うつ病、外傷後うつ病、一時的な憂うつな気分、躁うつ病、気分変調性障害、全般性気分障害、無快感症、非器質性性機能不全、過食、肥満、拒食症、過食症、全般性不安状態、パニック障害、恐怖症、強迫性障害、注意欠陥多動性障害、トゥーレット症候群、ヒステリ性睡眠障害、呼吸関連睡眠障害、学習または記憶障害による意欲欠如、麻薬、アルコール、ニコチン、覚せい剤、抗不安薬、中枢神経抑制薬、幻覚剤およびマリファナのような薬物の濫用、喘息、関節炎、鼻炎、結膜炎、炎症性腸疾患、皮膚または粘膜の炎症、急性膵炎が含まれる。SP系のダウンレギュレーションは、望ましくは、望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関して治療効果をもたらす。
実際は、すべてのタイプの疼痛は、急性の鋭痛を例外として、SP系に関連している。SPは、刺し傷によって引き起こされる初期痛には関連しない。しかしながら、後に残る疼痛はSP経路による。同様に、外科的処置後の一定期間に残る疼痛は、SP経路によって伝達される。
気分はSP系によって媒介される。臨床的にうつ状態である患者には、SPレベルの上昇が見られる。薬物濫用者では、濫用物質を使用しておらず、一般に憂うつな気分および/または不快な気分であるとき、SPレベルが上昇する。このように臨床的うつ病および薬物濫用は双方とも、SP系のアップレギュレーションに関連している。SP受容体を欠くマウスにおいては、モルヒネの快適な経験は生じない。そのようなマウスは、モルヒネ中毒にはならない(マートラ(Murtra)ら、Nature 405、180−183頁、2000年5月11日)。オピエート(アヘン剤)は単独で多幸感を誘発することはできないので、マートラの研究は、SP系はそれによりオピエート多幸感が媒介される最終経路であることを示唆している。SPアンタゴニストが急性的に気分を改善することができるという事実は、この発見と一致している。不安、ストレスに対する反応、性機能不全および摂食障害は、主として気分と関係しているため、SP系によって影響される。
SP系はまた、喘息(クドラクツ イー.エム.(Kudlacz E.M.)、「呼吸器疾患の治療に対する組み合わせたタヒキニン受容体アンタゴニスト (Combined tachykinin receptor antagonists for the treatment of respiratory diseases)」、Expert Opinion on Investigational Drugs、第7巻、第7号、1998年7月、1055−1062頁)、吐き気/嘔吐、癌性腫瘍成長および転移(パルマ シー(Palma、C)ら、Br.J.Cancer、1999年1月、第79(2)巻、236−43頁、およびフリース(Friess)ら、Lab. Invest.、2003年5月、第83(5)巻、731−42頁)、および尿失禁(アンデルソン ケイイー(Andersson KE)、Experimental Physiology、第84(1)巻、195−213頁)にも関与している。
リガンドとしてSP受容体アゴニストを使用する本発明の方法は、患者の望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に対処するために使用され得る。例えば、本発明の本実施形態の方法は上記に列挙された状態のうちのいずれに対処するために使用されてもよい。本発明の本実施形態による方法はまた、癌に対する補助的な治療法として(例えば、腫瘍成長および転移を減少させるために)使用されてもよい。
片頭痛のような慢性的に繰り返される疼痛の状況においては、本発明の方法をSPアゴニストと共に用いることもできる。同様に、SP系は慢性疼痛症候群においてアップレギュレートされるので、それら慢性疼痛症候群は、SPアゴニストを有する本発明の方法を使用して治療されてもよい。そのような慢性疼痛症候群は、神経損傷、神経病、慢性腰痛、反射性交感神経性ジストロフィー、癌性疼痛、帯状疱疹および関節炎による疼痛を含む。
本発明の方法は、疼痛に関連する事象に先立った疼痛の予防において、SPアゴニストと共に使用することができる。本発明の方法は、術後痛を軽減するために使用されてもよいし、さらに麻酔性鎮痛剤に対する手術後の反応を増大させるために使用されてもよく、それにより鎮痛効果を得るための麻酔剤の投与量が低減される。同様に、フットボール、ホッケーおよびボクシングのようなそのような痛みを生じる競争競技の前に、本発明の方法においてSPアゴニストを使用してもよい。長距離走のような任意の競争競技の前に、そのような筋肉および脚の酷使動作において避けられない疼痛の知覚を低下させるために、SPアゴニストを使用してもよい。疼痛反応が低下することにより、最終的には、競技者が自己のより高い限界まで頑張ることを可能にし、成績の向上をもたらす。
本発明の方法はまた、SPアゴニストCATプロトコルで改善され得る不安、ストレス反応、性機能不全および摂食障害に対処するために、SPアゴニストと共に使用されてもよい、これらの状態は、気分に大きく関係する。よって、これらのような状態における改善は、直接効果とは対照的に、全体的な気分と間接的に関係する。
本発明の方法はまた、任意またはすべての習慣性障害に対処するために、SPアゴニストと共に使用され得る。例えば、本発明の方法は、麻酔剤、アルコール、ニコチン/たばこ、覚せい剤、抗不安薬、中枢神経抑制薬、幻覚剤およびマリファナのような薬物の濫用に対処するために使用することができる。更に、ギャンブルおよび電子賭博依存症は、薬物濫用の問題を引き起こすのと同じ脳の異常の結果として生じるものであり、本発明の方法を用いて対処することができる。
本発明の方法はまた、喘息の発作の重症度を軽減することにより喘息に対処するために、SPアゴニストと共に使用されてもよい。対抗適応効果をそれが最も必要とされる肺に集中させるために、吸入による投与経路が使用される。本発明の方法はまた、関節炎、鼻炎、結膜炎、炎症性腸疾患、皮膚および粘膜の炎症、並びに急性膵炎のような多数の炎症状態のいずれか1つにおける炎症反応を低減するために、SPアゴニストと共に使用され得る。本発明の方法はまた、吐き気/嘔吐、特に癌に対する化学療法に関連する吐き気/嘔吐、および尿失禁に対処するために、SPアゴニストと共に使用され得る。
(内因性エンドルフィン系)
本発明の別の実施形態によれば、神経伝達物質系は、神経伝達物質としてミューおよび/またはデルタオピエート受容体に選択的に結合するエンドルフィンを含む内因性エンドルフィン系である。エンドルフィンは、オピエート受容体の結合に対するそれらの影響を通じて作用する内因性のオピエート様化合物である。ミューおよびデルタ-オピエート受容体は調和して作用し、オピエートおよびオピエート様化合物によって刺激される。ミュー受容体は、主として疼痛を修飾するが、気分も修飾する。デルタ受容体は、反対の焦点を有し、主として気分を修飾するが、疼痛も修飾する。
神経伝達物質が内因性エンドルフィン系である場合、前記一種の受容体は、ミューおよび/またはデルタオピエート受容体である。これらの受容体は一般に、望ましくない精神的状態および神経学的状態にネガティブに関連している。ミューオピエート受容体は、刺激されると、主としてより低レベルの疼痛に関連付けられ、一方、デルタオピエート受容体は、刺激されると、主として多幸感に関連付けられる。リガンドは、ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストであり、対抗適応は、内因性エンドルフィン系のアップレギュレーションを生じる。対抗適応は、例えば、受容体末端における、かつ/または脳下垂体による、エンドルフィンの生合成または放出の増大、受容体の数および/または受容体上のエンドルフィン結合部位の数の増加、ミューおよび/またはデルタ受容体アゴニストおよび/またはエンドルフィンによる結合に対する前記受容体の感受性の増大、またはそれらの組み合わせであり得る。
本発明のこの実施形態による方法は、特異的なミュー受容体アンタゴニストまたは特異的なデルタ受容体アンタゴニストを使用して実施されてもよい。前記方法は、例えば、クロシンナモクス メシレート(clocinnamox mesylate)、CTAP、CTOP、エトニタゼニル イソチオシアネート(etonitazenyl isothiocyanate)、β−フナルトレキサミン塩酸塩(β-funaltrexamine hydrochloride)、ナロキサナジン二塩酸塩(naloxonazine dihydrochloride)、シプロジム(Cyprodime)、並びにそれらの医薬として許容され得る塩、類似体および誘導体のような特異的なミュー受容体アンタゴニストを使用して実施されてもよい。前記方法はまた、ナルトリンドール、N−ベンジルナルトリンドール塩酸塩(N-benzylnaltrindole HCl)、BNTXマレイン酸塩(BNTX maleate)、BNTX、ICI−154,129、ICI−174,864(N,N−ジアリル−Tyr−Aib−Aib−Phe−Leu−OH、前記式中、Aibはαアミノイソ酪酸である)、ナルトリベン メシレート(naltriben mesylate)、SDM25N HCl、7−ベンジリデンナルトレキソン(7-benzylidenenaltrexone)、並びにそれらの医薬として許容され得る塩、類似体および誘導体のような特異的なデルタ受容体アンタゴニストを使用して実施されてもよい。当業者は、さらに本発明のこの実施形態による方法において、ナロキソンおよびナルトレキソンのような非特異的なミューおよび/またはオピエートアンタゴニストを使用してもよい。非特異的オピエートアンタゴニストの非限定的な代表例としては、ナロルフィン、ナルブフィン、レバロルフィン(levallorphin)、チクラゾシン、ジプレノルフィンが挙げられる。
本発明の方法において使用可能な他のミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストは、米国特許第5,922,887号、同第4,518,711号、同第5,332,818号、同第6,790,854号、同第6,770,654号、同第6,696,457号、同第6,552,036号、同第6,514,975号、同第6,436,959号、同第6,306,876号、同第6,271,239号、同第6,262,104号、同第5,552,404号、同第5,574,159号、同第5,658,908号、同第5,681,830号、同第5,464,841号、同第5,631,263号、同第5,602.099号、同第5,411,965号、同第5,352,680号、同第5,332,818号、同第4,910,152号、同第4,816,586号、同第4,518,711号、同第5,872,097号、同第5,821,219号、同第5,326,751号、同第4,421,744号、同第4,464,358号、同第4,474,767号、同第4,476,117号、同第4,468,383号、同第6,825,205号、同第6,455,536号、同第6,740,659号、同第6,713,488号、同第6,838,580号、同第6,337,319号、同第5,965,701号、同第6,303,578号、同第4,684,620号、および国際特許出願WO/2004/026819に記載されたものを含む。上記各特許文献は参照によりその全容を本願に援用される。
本発明のある望ましい実施形態において、ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストは、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェンまたはナルブフィン、あるいはそれらの医薬として許容され得る塩もしくは誘導体である。ナルトレキソンは望ましいミューおよび/またはデルタ受容体アンタゴニストであるが、その長い化合物半減期(48〜72時間)により、すべての状況において使用可能ではない可能性がある。ナルトレキソン自体は9〜10時間の半減期を有するが、その活性代謝物(例えば、6−ベータ−ナルトレキソール(6-beta-naltrexol)および2−ヒドロキシ−3−メトキシナルトレキソール(2-hydroxy-3-methoxynaltrexol))ははるかに長い半減期を有する。ナロキソンは、本発明の本実施形態において使用するのに特に望ましいミューおよび/またはデルタ受容体アンタゴニストである。ナロキソンは、約1時間の化合物の半減期を有するが、経口で投与することはできない。ナロキソンは、望ましくは、時限放出性の製剤形態を用いて、静脈内に、または経皮パッチによって、投与することができる。適当な経皮パッチは米国特許4,573,995に記載されている。この特許文献は参照によりその全容を本願に援用される。
ナロキソンは、1〜1.5時間の半減期を有し、本発明の方法での使用に好適である。半減期1〜1.5時間は、対抗適応反応を誘導するのに適当であるが、本発明での使用により好ましいリガンドは、半減期2〜4時間を有する。その上、ナロキソンは、経口バイオアベイラビリティがわずか5%と非常に低いため、外来投与での利便性が低い。
つまり一態様において、本発明は、経口投与可能であって、本来のナロキソンよりも半減期が長く、ナルトレキソンまたはナルメフェンの半減期8時間よりも短いミューおよび/またはデルタオピエートアンタゴニストリガンドとして、3−ヒドロキシモルフィナン、ならびにその誘導体およびプロドラッグを使用する方法を提供する。好ましい化合物は、4時間以下、所望なら2〜4時間の範囲の半減期を有する。任意に、ミューおよび/またはデルタオピエートアンタゴニストリガンドとしての3−ヒドロキシモルフィナンを、経粘膜経路により投与してもよい。
3−ヒドロキシモルフィナン化合物の生物学的利用性(bioavailability)を、プロドラッグ製剤の使用により上昇させてもよい。本明細書の発明のプロドラッグ製剤は、3−OH部分を急速にグルクロン酸抱合させる第1の通過代謝工程を防止するために、化学基を本来の3−ヒドロキシモルフィナン化合物に結合させている。本明細書の発明のための結合した化学基は、非毒性である。さらに、結合した化学基は、一定期間内で除去されるものであり、ミューおよび/またはデルタオピエートアンタゴニストリガンドの全体的な化合物半減期は、4時間未満のままである。
本発明で用いられる本明細書に記載された3−ヒドロキシモルフィナン化合物の幾つかは、高い親油性を有する。親油性が高いと膜貫通性吸収が高くなり、経口的および経粘膜的投与可能性が改善される。その結果、更に血液−脳関門で、より急速で効率的な輸送が得られる。そのような血液脳関門を通る輸送の改善は、ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストによる対抗適応反応を増大するのに好ましい。
ナルトレキソンまたはナルメフェンなどの他のオピエートアンタゴニストよりもナロキソン類似体の半減期が比較的短いという事実により、本発明の所望の実施形態において、ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストは、ナロキソン類似体である。
外来患者(または入院患者)に対してナロキソンを経口的および/または経粘膜的に投与可能な対抗適応治療の目的を実現するためには、所望なら、数多くのナロキソンプロドラッグ化学製剤を使用する。これらのプロドラッグとしては、3−OH部分、6−炭素、C−14炭素での修飾体およびN−オキシドプロドラッグ製剤が挙げられる。好ましい修飾は、3−OHおよび/または6−炭素部位での修飾である。
3−OH修飾
モルフィンの例
より親油性の構造を得る修飾およびそのような修飾を有利にする方法を実証するためには、モルフィン類似体を用いる。モルフィン構造は:
Figure 2009528289
である。
3−OHおよび6−OH基は、アセチル基に変換される場合、その化合物は、別の言い方でヘロインとして知られるジアセチルモルフィンになる。ジアセチルモルフィンは、より親油性であるモルフィンに好適な性質を有し、それゆえ粘膜表面を通してより急速かつ効率的に吸収される。例えば、モルフィンの経口投与利用性は、@25〜30%であるが(Hasselstrom, J et al., Clin. Pharmacokinet. 1993 Apr; 24(4): 344-54、およびGourlay, GK, et al., Pain. 1986 Jun; 25(3): 297-312)、ジアセチルモルフィンの経口投与利用性は@67%である(Girardin, F. et al., ”Pharmacokinetics of high doses of intranuscular and oral heroin in narcotic addicts. ”Clin Pharmacol Ther. 2003 Oct; 74(4): 341-52)。その上、そのジアセチル誘導体は、血液脳関門をより容易に通過する。
ナロキソン化合物では、3−OH基が3−アセチルナロキソン誘導体に変換されると、同様の親油性が生じる。こうして親油性が高められ、改善された生物学的利用性、高い能力、3−アセチルナロキソンへの作用の持続時間延長など、本来のナロキソン化合物を上回る顕著な利益が得られる。これらの利益は、LinderおよびFishmanにより実証された(”Narcotic Antagonists. 1… ”J Medicinal Chemistry, 1973, 16(5): 553)。
3−OHを3−プロパニル、3−ブタノイル、3−ヘキサノイルに変換するなど、炭素鎖をさらに延長すると、親油性がさらに高められる。例えば、モルフィンの3,5−ジエステルに関しては、そのような延長した炭素鎖基を添加すると、能力が同程度またはより高くなり、作用時間も20%から最大5倍まで延長する[Owen, JA, et al., ”Morphine Diesters. I…” Can J Physiol Pharmacol. 1984 Apr; 62(4): 446-51、および”Morphine Diesters. II…” 452-456]。
対抗適応反応を高める作用のある親油性を改善するため、経口投与利用性を改善するため、そしてナロキソン化合物の作用時間をいささか増加させるために本発明で用いられる所望の化合物としては、ナロキソンの類似の3−OHアセチル、ブタノイル、プロパノイル、ヘキサノイル誘導体が挙げられる。
ナルトレキソンの例:
ナルトレキソンは、ナロキソンの構造と類似しており、唯一の差異はN−部分である。これらの差異を、以下の図に示す。
Figure 2009528289
ナルトレキソン化合物の3−OH修飾を分析することにより、3−ヒドロキシモルフィナンの高い経口投与利用性を実証することができる。具体的には、ベンゾアート類似エステルからなるナルトレキソン化合物の3−OH修飾体は、生物学的利用性が高いことが実証された。例えば、生物学的利用性は、ナルトレキソンのアセチルサリチラートおよびアントラニラートエステルでは、それぞれ本来のナルトレキソン化合物に比較して28〜45倍高い(Hussain MA, et al., J. Pharm Sci. 1987 May;76(5):356−8;Hussain MA, et al., Pharm Res. 1988 Feb 5(2):113−5;US4,668,685およびUS4,673,679を参照)。ナルトレキソンのこれらのプロドラッグの代謝副産物は、アントラニル酸およびアセチルサリチラートである。アントラニル酸は、アミノ酸トリプトファンの通常の代謝副産物である。アセチルサリチル酸は、アスピリンとしてより公知である。これらの副産物は両者とも、対抗適応を誘導するのに必要な用量では、安全で非毒性であると判断される。
したがって、本発明の所望の実施形態において、そのようなアントラニル酸アセチルサリチル酸3−OHプロドラッグ修飾ナロキソン化合物が、本明細書に記載された方法で用いられる。その上、3−OH部位でのカルボニル結合の高い親油性および改善された経口バイオアベイラビリティに基づけば、本発明の他の所望の実施形態において、アルカノイル(炭素原子2〜6個)プロドラッグ修飾ナロキソン化合物が、本明細書に記載された方法で用いられる。
炭素−6修飾
本発明の特定の所望の実施形態において、本明細書に記載された方法は、6−炭素で修飾されたナロキソン誘導体を用いて実施される。そのような修飾の一つは、例えば、米国特許第3,814,768および米国特許第4,535,157に記載されたような、本来の6−=O化合物から6−デオキシ、6−メチレン誘導体(6−=CH)への変換を含む。
そのような変換は複数の利益をもたらすためには、6−メチレン修飾が好ましい。これらは、オピエート受容体での効果を高めること、経口投与利用性を改善すること、および分子をより親油性にすることを含む。これらの利益は、6−=CH置換がナルトレキソン分子に施されて、ナルメフェンと呼ばれる化合物になる場合に実証された。6−メチレンナルトレキソン類似体であるナルメフェンは、複数の理由、つまり1)生物学的利用性がより高いこと、2)アンタゴニスト作用がより長いこと、3)オピオイド受容体に対してより競合的に結合すること[より大きな対抗適応反応を生じること]、および4)肝臓毒性が用量依存性でないこと、によりナルトレキソンを上回る改善された性質を有する[Mason, BJ,et al, Arch Gen Psych 1999, Aug;56(8):719−24およびDixon, R,et al,J Clin Pharm 1987;27:233−239]。
6−=CH置換での改善された受容体活性のさらなる例は、モルフィンの6−メチレン誘導体により実証される。そのような類似体は、親モルフィン化合物よりも75倍強力である(Hahn and Fishman, J Med Chem. 1975, 18(3):259)。HahnおよびFishmanはさらに、6−メチレンナロキソン誘導体が、本来のナロキソン化合物に比較して、経口的能力がかなり優れていることを示した。
他のそのような修飾には、本来の6−=O化合物から6−デスオキシ化合物(即ち、6−(−H))類似体への変換がある。6−デスオキシ修飾は、6−=O基を上回る複数の潜在的利益を有する。第一にそれは、化合物をより親油性にする。第二にそれは、オピエート受容体活性を高める。例えば6−デオキシモルフィンは、本来のモルフィン化合物の10倍の活性を有する。同様に6−デオキシナロキソンは、本来のナロキソン化合物に比較して、アンタゴニスト活性が高い(Table 1,Materials & Methods, Minakami, et al., Life Sciences 1962, 10;503−507参照)。第三にそれは、活性期間、即ち半減期のわずかな延長を意図するものである。
他のそのような修飾には、本来の6−=O化合物から6−OH、6−アミンまたは6−アミド類似体への変換がある。米国特許第6,713,488には、修飾が6−炭素基で行われた「ニュートラルアンタゴニスト」が記載されている。これらの化合物は、6−炭素ケトン基が−OH官能基またはアミンもしくはアミドなどに変換されているため、「ニュートラル」と呼ばれる。
3−OHおよび6−C=O部位の両方で、同時修飾が行われていてもよい。そのような二重の修飾は、経口投与利用性および対抗適応反応をさらに高める意図がある。例えば、アントラニル酸3−OH置換は、経口投与利用性を45倍高め、6−C=O基から6−メチレンまたは6−デスオキシ部分のどちらかへの変換も、経口投与利用性を高めるため、その2種(3−OHおよび6C修飾)が一緒になれば、経口投与利用性をより高めると予測される。その上、2種の置換はさらに血液−脳関門を通る輸送を改善し、オピエート受容体活性を高める作用があり、両者は対抗適応反応を高める作用があるため、臨床効率を改善する。
他の修飾
3−ヒドロキシモルフィナンのN−オキシド誘導体も、本発明の方法に用いることができる。そのような誘導体は、米国特許第4,722,928および同第4,990,617に記載されている。
14−炭素で置換基を有するヒドロキシモルフィナンの誘導体も、本発明の方法で用いることができる。米国特許第4,912,114および米国特許第4,272,540は、本明細書に参考として援用されており、14−炭素基で置換された3−ヒドロキシモルフィナン化合物が記載されている。
したがって本発明の特定の実施形態において、ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストは、構造
Figure 2009528289
(式中、Rは、アリル、メチルアリル、シクロプロピルメチル、ジメチルアリル、テトラヒドロフルフリル、またはシクロブチルメチルであり、Rは、H、(C〜C18ヒドロカルビル)−、(C〜C18ヒドロカルビル)−CO−、(C〜C18ヒドロカルビル)N−CO−、(C〜C18ヒドロカルビル)−SO−、(C〜C18ヒドロカルビル)−O−CO−、Ph−CO−、Ph−SO−、Ph−NH−COであり、各Phは、(C〜C12ヒドロカルビル)、(C〜C12ヒドロカルビル)−O−、Cl、F、Br、I、CF、RO−、およびR N−からなる群から独立して選択される一以上の置換基で任意に置換されており、各Rは、H、(C〜Cアルキル)、H−CO−および(C〜Cアルキル)−CO−からなる群から独立して選択され、各R2aおよびR2bは、H、(C〜Cアルキル)、(C〜Cアルキル)−O−、(C〜Cアルキル)−CO−O−、R−O−、R N−、R−CO−NH−、R−S−、およびNOからなる群から独立して選択され、各Rは、H、(C〜Cアルキル)、(C〜C10シクロアルキル)、(C〜C10アリール)(C〜Cアルキル)−CO−、(C〜C10シクロアルキル)−CO−、(C〜C10アリール)−CO−、からなる群から独立して選択され、Rはそれぞれ、(C〜C12ヒドロカルビル)、(C〜C12ヒドロカルビル)−O−、Cl、F、Br、I、CF、RO−、およびR N−からなる群から選択される1〜3個の置換基で任意に置換されているか、あるいはR2aおよびR2bが一緒になってO=もしくはCH=を形成し、Rは、H、OH、CH、またはOCHである)を有する3−モルフィナン化合物、またはそのN−オキシドもしくは医薬として許容され得る塩である。これらの化合物は、本明細書に参考として援用された表題「OPIATE ANATOGONISTS FOR COUNERADAPTATION THERAPY」の米国仮特許出願番号60/868,186に詳細に記載されている。
上記構造を有する化合物は、化合物の半減期がナロキソンよりも長く、ナルトレキソンよりも短い2〜4時間になるように配合することができるため、望ましい場合がある。さらに、3−OHでの置換(即ち、HでなくRを含む化合物)により、3−OHでの代謝反応が遮断されるため、ナロキソンよりも経口投与利用性の大きい化合物を付与することができる。したがってこれらの化合物は、より簡便な経口投与形態で配合してもよい。R部分は、好ましくは3−OHから開裂されて対応するアルコール、酸またはアミドを形成する場合には非毒性である。その化合物は、より大きな親油性を有することで、膜貫通吸収を高めることができ、経口および経粘膜投与利用性を改善し、加えて血液−脳関門を通る輸送を高めることができるように配合させてもよい。
上記構造を有する化合物を製造する合成法は、当該技術分野で公知の方法、例えば、それぞれが本明細書に参考として援用された、米国特許第5,366,979号;同第6,713,488号;同第6,784,187号;同第4,912,114号;同第4,272,540号;同第4,322,426号;同第4,722,928号;同第4,990,617号;同第4,673,679号;同第4,668,685号;同第6,569,449号;同第4,535,157号および同第5,908,846号、ならびに2006年6月15日に出願された表題「ORALLY AVAILABLE NALOXONE DERIVATIVES AND METHODS OF SYNTHESIS」の米国仮特許出願第60/813,845号に記載された方法から、当業者により見出されるうる。
本発明の特定の実施形態において、Rはアリルである。Rがアリルである化合物は、望ましく短い化合物半減期を有する傾向がある。
本発明の特定の実施形態において、RはHではない。例えば、Rは、o−アミノベンゾイルまたはo−(アセチルオキシ)ベンゾイルであってもよい。Rは、(C〜C18アルキル)または(C〜C18アルキル)CO−であってもよい。Rに関する一つの特に望ましいものは(C〜Cアルキル)CO−である。本明細書で用いられるとおり、(C〜Cアルキル)基は、炭素原子がn〜m個の直鎖または分枝アルキル鎖である。
本発明の特定の実施形態において、R2aおよびR2bは一緒になってO=を生成していない。そのような化合物はより親和性であり、ナロキソン化合物よりもオピエート受容体活性が大きい。例えばR2aおよびR2bは、それぞれがHであってもよく、または一緒になってCH=を形成していてもよい。
本発明の特定の特に所望の実施形態において、RはHではなく、R2aおよびR2bは一緒になってO=を生成していない。そのような化合物は、経口投与利用性および血液−脳関門輸送が特に高い。
本発明の特定の実施形態において、RはOHではない。
適切なデルタ受容体の選択的アンタゴニストの一例は、構造:
Figure 2009528289
を有する。
ミューおよび/またはデルタオピエート受容体の初期投与量は、望ましくは、対抗適応効果を誘発するためには十分に高いが、患者に耐え難い直接効果をもたらすほどには高くない。例えば、ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストの初期投与量は、ナロキソンでは約2mg/投与〜約200mg/投与に相当し得る。本発明のある望ましい実施形態においては、ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストの初期投与量は、ナロキソンでは約10mg/投与〜約100mg/投与に相当し得る。
ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストとしてナロキソンを使用する場合、初期投与量は5〜500mg/投与であり得る。望ましくは、前記初期投与量は10〜50mg/投与である。本発明のある実施形態において、ナロキソンの各投与量は10mg/投与を超える、10.5mg/投与を超える、11mg/投与を超える、あるいは15mg/投与を超える。望ましくは、ナロキソンの初期量は、少なくとも約30mg/投与(8時間にわたる)であり、これはこの量がオピエート受容体の完全な遮断を生じるためである。望ましくは、ナロキソンの最大投与量は3000mg/投与以下である。
ナロキソンに対する1日の投与計画の一例において、ナロキソンの初期投与量は、30mg/8時間投与である。2週後に、投与量は2倍にされる。さらに2週間後には、投与量は120〜160mg/投与に増加される。さらに1月後には、投与量は300mg/投与に増加され、その後、さらに2か月後には500〜600mg/投与まで増加される。さらに2か月後には、投与量は1000mg/投与に増加され、その後、さらに2か月後には1500〜2000mg/投与まで増加される。これに代わって、対抗適応をより速やかに高めるために、はるかに大量の初期量(例えば、100〜500mg/投与)を用いることもできる。付加的な対抗適応効果を実現するために、ナロキソンと共に、低投与量(例えば、10〜25mg/投与)のナルトレキソンを使用することができる。
ナルトレキソンに対する投与計画の一例において、10〜25mgの初期投与量のナルトレキソンを毎日投与する。これに代わって、より大投与量(例えば25〜200mg/投与)を、週に1回、2回または3回投与する。より大投与量のナルトレキソンによって、第1期間は比較的長くなり、時には患者が覚醒している時間と重なることもある。
ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストは、経口投与、経皮投与、髄腔内投与、脊髄くも膜下腔内投与、吸入投与、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、または経粘膜投与されてもよく、あるいは浸透圧ポンプ、マイクロカプセル、インプラントもしくは懸濁液によって投与されてもよい。本発明のある実施形態(例えば、ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストが比較的短い化合物半減期を有する場合)において、十分な長さの投与半減期を提供するために、時限放出性または徐放性の製剤形態を用いて、または経皮的に(例えば、パッチを使用して)、前記受容体アンタゴニストを投与することが望ましい場合がある。ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストが経皮的に投与されるか、あるいは時限放出性または徐放性の製剤形態を用いて投与される場合、それらの受容体アンタゴニストは、望ましくは、2〜12時間、2〜6時間、または6〜12時間の継続期間にわたって放出される。リガンドの高いインビボ濃度を短時間で提供するために、急速に吸収される負荷投与を用いて、ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストを投与することが望ましいこともある。リガンドの高いインビボ濃度を速やかに提供するため、並びに望ましい長い投与半減期を提供するために、急速に吸収される負荷投与と、経皮投与または除放性もしくは持続放出性製剤との双方を用いることが望ましい場合もある。ナロキソン、ナルトレキソンおよびナルブフィン用の経皮パッチは、米国特許第4,573,995号に示されており、この特許文献は参照によりその全容を本願に援用される。本明細書の発明は、経口および経粘膜オピエートアンタゴニスト投与経路の同時使用をさらに包含する。この理由は、経粘膜利用により、オピエートアンタゴニスト化合物をやや即座に高レベルで循環させたいためである。前述のプロドラッグの一方を使用する場合、そのような投与では、頭蓋内オピエートアンタゴニストも、即座に高濃度になる。このようにオピエートアンタゴニストを急速に高レベルにすることは、最適な対抗適応反応を誘導したい場合には重要である。
本発明の別の態様は、オピエートアンタゴニストの経口投与を経粘膜投与と併用し得るという選択に関する。経粘膜投与により急速な循環レベルが得られ、それが短時間持続するが、経口化合物は徐々に循環レベルになるため、この投与形態は、比較的高い循環レベルのオピエートアンタゴニスト化合物を、より長期間、即ち最大8時間、循環させ続けるためのものである。例えば本来のナロキソン分子または3−OHアセチル修飾体を経粘膜経路で投与した場合、これらの化合物では本質的に1〜1.5時間の半減期になるため、効果は循環内で2〜4時間しか持続しない。オピエートアンタゴニストの効果がより長時間、例えば最大8時間−つまり、睡眠に費やす時間−延長すれば、対抗適応反応が最大になるため、経口ナロキソン類似体により、ナロキソンの高循環レベルがより長時間延長される。言い換えれば、経粘膜経路で投与される用量は急速に循環レベルに達し、それを短時間持続させるためのものであるが、経口投与では循環レベルが最大8時間持続する。
本発明の別の態様は、様々な投与経路の利用に関する。例えば、経粘膜投与経路により、上述の3−ヒドロキシモルフィナン化合物の一種での治療開始を選択してもよい。これは、急性副作用を低下させるために、より低用量の化合物で実施される。一定期間の後、経口投与に切り換えてもよく、その場合より大用量がより実用的であり、その時間までに患者は副作用に順応できるようになっている。
本発明のある実施形態において、特異的なミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストおよび非特異的なミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストの双方を投与することが望ましいことがある。二種類のアンタゴニストは、ほぼ同時に投与されてもよいし、連続して投与されてもよい。非特異的なアンタゴニストは一般に、特異的なミューまたはデルタオピエートアンタゴニストがもたらすより大きな対抗適応効果を提供するので、本方法の初期段階において非特異的なアンタゴニストを投与することが望ましい。
身体は1回目の投与の約8日後に抗オピエートに対する耐性を発現するので、ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストの投与量を経時的に増加させることが望ましいことがある。例えば、1〜2週間の期間で、投与量を増加させることが望ましい場合がある。
望ましくは、エンドルフィン受容体アゴニストは、各投与に関連する第1期間には投与されない。しかしながら、本発明のある実施形態において、エンドルフィン受容体アゴニストは第2期間のうちの1つ以上において投与される。エンドルフィンアゴニストの適切だが非限定的な例としては、モルヒネ、コデイン、ヒドロコドン、フェンタニルおよびオキシコドンのようなオピエートが挙げられる。モルヒネは、静脈内投与(i.v.)では1−20−50mgの投与量で投与されてもよいし、あるいは経皮投与、静脈内投与、皮下投与(SQ)、筋肉内投与(IM)、またはポンプのような任意の適切な手段による連続放出では1〜50mg/時間の投与量で投与されてもよい。フェンタニルは、経皮投与、皮下投与、筋肉内投与またはポンプのような任意の適切な手段による8時間にわたる徐放投与では0.1〜0.5mgの投与量で投与され得る。コデインは、4〜6時間あたり10〜100mgの経口投与量で投与され得る。ヒドロコドンは、4〜6時間あたり5〜25mgの経口投与量で投与され得る。オキシコドンは、4時間あたり5〜100mgの経口投与量で、4〜8時間にわたる徐放性の経皮投与、筋肉内投与または皮下投与のような任意の適切な手段によって投与され得る。
H−Tyr−Gly−Gly−Phe−Met−OHまたはH−Tyr−Gly−Gly−PheLeu−OHのアミノ酸配列、または薬理学的に容認された担体を有するこれらのアミノ酸配列の任意の活性類似体を有するエンケファリン。エンケファリンは、連続放出(経皮投与、静脈内投与、皮下投与、腹腔内投与(i.p.)、筋肉内投与、輸液ポンプ)では1.0μg/時間の投与量で投与され得る。
ベータエンドルフィン(31アミノ酸ペプチド)または任意の全ての活性類似体、例えば、薬理学的に許容された担体を有する、ベータ−エンドルフィン−(1−26)、[D−Ala2]β‐エンドルフィン、または[Leu5]β‐エンドルフィン。ベータエンドルフィンは、連続放出(例えば、経皮的、静脈内投与、皮下投与、腹腔内投与、筋肉内投与、輸液ポンプ)では、1.0μg/hrの投与量で投与され得る。
1〜25μg/kgの投与量で投与され得るカーフェンタニル(Carfentanil)のようなミュー選択的アゴニスト;[D−Ala2,NMe−Phe4,Gly−ol5]エンケファリンおよび薬理学的に容認された担体を有する任意の活性類似体。エンケファリンは、連続放出(例えば、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、ポンプ、あるいは経皮投与)では1.0μg/hrの示唆投与量で投与され得る。
DPDPE([D−Pen2,D−Pen5]エンケファリン)、SB−235863、およびSNC80のようなデルタ選択的アゴニスト。DPDPEは、連続放出(例えば静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、ポンプ、あるいは経皮投与)では1.0〜5.0μg/hrの示唆投与量で投与され得る。SB−235863([8R−(4bS,8aα,8aβ,12bβ)]7,10−ジメチル−1−メトキシ−11−(2−メチルプロピル)オキシカルボニル5,6,7,8,12,12b−ヘキサヒドロ−(9H)−4,8−メタノベンゾフロ[3,2−e]ピロロ[2,3−g]イソキノリン塩酸塩)は、70mg/kgの経口投与量で投与され得る。パオラ ペトリロ(Paola Petrillo)ら、J. Pharmacology and Experimental Therapeutics、2003年10月9日創刊;DOI:10.1124/jpet.103.055590を参照されたい。SNC80は、数時間にわたる徐放投与では(経皮投与、腹腔内投与、皮下投与、ポンプ等)50〜75mg/kgの投与量で投与され得る。イージェイ ビルスキー(EJ Bilsky)ら、Pharmacology and Experimental Therapeutics、第273巻、第1号(Issue 1)、pp.359-366、04/01/1995を参照されたい。
第2期にCRF受容体アンタゴニストを投与することが望ましい場合がある。適切なCRF受容体アンタゴニストとしては、R121919、DMP696、アンタラルミン、CP−154,526、SSR125543A、2−アリールアミノ−4−トリフルオロメチルアミノメチルチアゾールアンタゴニスト、アストレシン、α−らせんCRF化合物、ならびに米国特許第5,132,111号;同第5,278,146号;同第5,824,771号;同第5,844,074号;同第6,214,797号;同第6,670,371号;同第6,812,210号および同第6,953,838号(それぞれが本明細書に参考として援用される)に記載された化合物、ならびにそれらの医薬として許容され得る塩、類似体および誘導体が挙げられる。CRF系を、以下により詳細に記載する。
各投与が投与半減期を有し、投与間の期間に対する投与半減期の比が1/2以下になるようにして、CRF受容体アゴニストをミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストと組み合わせて投与することが望ましい場合がある。適切なCRF受容体アンタゴニストとしては、コルチコトロピン放出因子の類似体、ならびにそれの医薬として許容され得る塩および誘導体が挙げられる。
CRF受容体アゴニストおよび/またはAVP受容体アゴニストを、従来の投与計画で用いる場合、本明細書に記載されたミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストを反復投与することが望ましい可能性がある。CRF受容体アゴニストおよび/またはAVP受容体アゴニストを使用すると、下垂体前葉からのβ−エンドルフィン放出がダウンレギュレートされるという不本意な結果をもたらし得るという事実があるため、こうすることが望ましい。そのようなエンドルフィン放出の低下は、循環エンドルフィンのレベルと逆相関する有害な状態、例えばうつおよび不安症などの改善に必要なものに関しては逆効果を誘導する。オピエートアンタゴニストの反復投与は、2つの重要な効果:つまりCRF受容体アゴニストまたはAVP受容体アゴニストによるエンドルフィンダウンレギュレーションを阻害すること、そして上記のエンドルフィン系のアップレギュレーションを引き起こすこと、を有する可能性がある。したがって本発明の幾つかの実施形態において、CRF受容体アゴニストおよび/またはAVP受容体アゴニストは、ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストの各投与に関して第2期に投与する。
内因性エンドルフィン系およびそのミューおよび/またはデルタオピエート受容体は、様々の望ましくない精神状態および神経学的状態に否定的に関係している。そのような状態の例には、疼痛、気分障害、摂食障害、不安障害、欲求異常、薬物濫用障害、意欲または能力の不足、免疫系関連状態、治療が必要な創傷、将来的に(例えば将来の手術、または将来の身体運動により)起こることが予想される疼痛、慢性疼痛症候群、急性疼痛、線維筋痛、慢性疲労症候群、慢性背部痛、慢性頭痛、帯状疱疹、反射性交感神経性ジストロフィー、神経病、炎症性疼痛、慢性的な癌性疼痛、大うつ病、外傷後うつ病、一過性の憂うつな気分、躁うつ病、気分変調性障害、全般性気分障害、無快感症、非器質性性機能不全、過食、肥満、拒食症、過食症、全般性不安状態、パニック障害、トゥーレット症状群、ヒステリ睡眠障害、呼吸関連睡眠障害、学習または記憶障害による意欲喪失、麻酔剤、アルコール、ニコチン、覚せい剤、抗不安薬、中枢神経抑制薬、幻覚剤およびマリファナのような薬物濫用、所期の精神的または身体的活動(例えば体育、運動競技、学習または試験)に対する意欲または準備の不足、感染症、AIDSまたは癌のような免疫に関連する状態、また治療が必要な創傷が含まれる。内因性エンドルフィン系のアップレギュレーションは、望ましくは、望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関して治療効果をもたらす。
エンドルフィンは疼痛を媒介するオピエート受容体に結合することができ、痛みを誘発する物質であるSPの合成を低減することができるので、内因性エンドルフィン系は疼痛に関与している。内因性エンドルフィン系はまた、ストレス(米国特許第5,922,361号および同第5,175,144号)、創傷の治癒(ヴィノグラドフ ヴィエイ(Vinogradov VA)、スペバク エスイー(Spevak SE)ら、Biおよび米国特許第5,395,398号)、薬物濫用、摂食障害(Full & fulfilled :the science of eating to your soul's satisfaction、ナン アリソン(Nan Allison)、キャロル ベック(Carol Beck)著、出版社:ナッシュビル、テネシー:A&Bブックス、(著作権)1998年、ISBN:0965911799)、欲求異常(テジェドール−リアル(Tejedor-Real)ら、Eur J Pharmacol.、1998年7月31日、354(1):1−7)、免疫反応(ウィブラン(Wybran)、Fed Proc.、1985年1月、44(1 パート1):92−4、および米国特許第5,817,628号)、および癌(ザゴン、IS(Zagon, IS)ら、Cancer Lett、1997年、112:167−175;米国特許第6,737,397号;同第6,136,780号;および同第4,801,614号)にも関与している。
内因性エンドルフィン系はまた気分にも関与する。多幸感はオピオイドの最も認識し得る情緒的な効果であり、高い幸福感および気楽な気分を与える。多幸感は内因性エンドルフィンによって修飾される。エンドルフィンは、摂食、運動、試合に勝つ、ロマンチックな出会いのような楽しい経験によって放出される。エンドルフィン放出は、「報酬」として幸福感を生じるものと考えられる。そのような報酬は、個体を栄養上および生殖上の要件を満たすように促すためにやる気を起こさせる機構として作用する。気分に関する内因性エンドルフィン系の別の機能は、特にストレス応答について、不安を軽減することである。ラング エイチ.ピー.(Rang H. P.)(1995年)の「媒介物質としてのペプチド(Peptides as Mediators)」(ラング エイチ.ピー.(Rang H. P. )およびエム.エム.デール(M. M. Dale)、Pharmacology、チャーチル・リヴィングストン(Churchill Livingstone)、ニューヨーク州)では、情緒的ストレス時にエンドルフィンが放出され、不安が軽減されるように多幸感を誘発するように作用することがしめされている。
内因性エンドルフィンおよび合成オピエートの双方は多幸感を誘発し得る。その違いは、内因性エンドルフィンはそれらのシナプスおよび受容体部位において急速に分解されるので、その効果が短期的であるということである。効果が短期的であることにより、耐性または依存性の発現は見られない。麻酔剤のような合成オピエートは、はるかに長い反応性時間を有する。したがって、合成オピエートは、依存性の発現に関連している。強い鎮痛効果と、依存性を発現する可能性が殆どまたは全くないこととの双方を兼ね備える合成オピエートは開発されていない。内因性エンドルフィンは、オピエートが行うのと同様の多幸感を誘発する能力を有するので、爽快な気分を誘発するために内因性のエンドルフィンを使用することは有利である。しかしながら、合成エンドルフィンの比較的大量かつ長期間にわたる投与量の投与は、耐性および依存性の発現を伴う場合があるので、合成エンドルフィンは望ましい長期治療用の薬剤ではない。
ミューおよびデルタオピエート受容体の双方は、気分とある程度関わっている。これらの受容体がエンドルフィン/オピエート化合物によって結合される場合、ミュー受容体は主として疼痛知覚を媒介するだけでなく、多幸感を誘発する。疼痛調節におけるデルタ受容体の役割は明らかではないが、デルタ受容体は、多幸感により密接に関連しているものと思われる。デルタ受容体アゴニストは、ラットの強制水泳アッセイにおいて抗うつ性活性を示す。更に、動物研究からの証拠は、δ−オピオイド受容体が欲求活動に関与していることを示している。それらの選択的な関与はエンケファリン制御挙動(enkephalin-controlled behavior)によるものである。ブルーム(Broom)ら(Jpn J.Pharmacol.、2002年9月);90(1):1−6)は、デルタオピエート受容体がうつ病に重要な役割を果たすことを示している。
リガンドとしてミューおよび/またはデルタ受容体アンタゴニストを使用する本発明の方法は、患者の望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に対処するために使用され得る。例えば、本発明の本実施形態の方法は、上記に列挙した状態のうちのいずれに対処するために使用され得る。本発明の本実施形態による方法はまた、癌に対する補助的な治療法として使用されてもよい。
ミューおよび/またはデルタ受容体アンタゴニストを使用する本発明の方法は、将来的に起こることが予想される疼痛に対処するために使用されてもよい。例えば、患者が、例えば1か月以内に待機手術を予定されている場合、ミューおよび/またはデルタオピエート受容体を使用して、手術前までの期間において夜間に高投与量を用いて、本発明の方法を実施することができる。手術の後、患者は、アップレギュレートされた内因性エンドルフィン系により、疼痛に対する反応が改善されているであろう。さらに、患者は、ミューおよび/またはデルタオピエート受容体の感受性が増強されていることにより、手術後に、全体としてより少ない投与量の麻酔性鎮痛剤を必要とするだろう。本方法は、受容体対抗の直接効果により術後痛が増大しないように、手術直後に中断されることが最善であると思われる。一旦、疼痛がおさまったならば、対抗適応反応を維持するために、数日以内に本方法を再開してもよい。
本発明による手術前療法の例において、49歳の男性が6週間以内に膝の再建手術を予定されている。前記男性は、上記に説明したように6〜8時間にわたって急速に吸収されるように製剤されたナロキソンパッチ、200mgを毎晩貼付することから開始される。これが誘発する不安を和らげるために、前記男性は、ナロキソンパッチに加えて、抗不安薬としてジアゼパム(1−5mg)を夜間に投与される。この投与の2週間後、ナロキソンは毎晩400mgに増加される。必要により、抗不安薬が使用される。さらに2週間後、ナロキソンは毎晩60〜800mgに増加される。外科手術の夜、および手術直後の期間の数晩については、ナロキソンは投与されない。患者は、モルヒネおよびコデインのような標準的な手術後鎮痛剤のみを与えられる。これらの薬剤の投与量は、この患者のエンドルフィン系のアップレギュレーションにより、この種の手術を受ける平均的人物と比較して、著しく低減される。別法において、ナロキソン治療の最初の2週間後、同じ患者に、疼痛を修飾するミュー受容体のアップレギュレーションを増強するために、増量した投与量のナロキソンと共に、特異的なミュー受容体アンタゴニストを与える。
本発明の方法は、うつ病および関連する状態の治療において患者の気分を向上するために、ミューおよび/またはデルタアンタゴニストと共に使用されてもよい。最初は、対抗適応反応を誘発するために、非特異的なオピエート受容体アンタゴニスト(例えばナロキソン)が投与され得る。その後、治療において、デルタオピエート受容体は気分に大きく関係しているので、特異的なデルタオピエート受容体アンタゴニストを投与することが望ましいことがある。もちろん、特に慢性的疼痛が憂うつな気分に関連している場合には、ミューオピエート受容体アンタゴニストを使用することもできる。既にうつ状態の患者を治療する場合には、当業者は、アンタゴニスト−受容体結合によるあらゆる気分の急激な悪化による有害な作用に対して患者を注意深く監視するであろう。
本発明の方法を使用してうつ状態の患者を治療する方法の例において、臨床的うつ病の診断を有する35歳の男性は、従来の抗うつ性薬剤に対して反応が乏しく、副作用を有していた。前記男性は、自殺傾向を含む抑うつ状態の一時的な悪化の可能性について特に診察される。潜在的に自殺する危険性が高い患者に対する治療の開始においては、病院または適切な精神病院の入院による治療が検討される。これが行われた後、患者は、非特異的なオピエートアンタゴニストナロキソンを用いて対抗適応療法プロトコルを開始される。経粘膜のナロキソン製剤が、20mgの負荷投与量を用いて、就寝前に始められる。同時に、6時間にわたって吸収されるように製剤された30mgの経皮投与量が適用される。この8時間当たり50mgの投与量が2週間与えられる。2週間で、経粘膜投与量は50mgに増加される。6時間の経皮投与量は50mgであり、合計100mgとなる。この投与量は1か月間にわたって与えられる。治療開始後の6週間においては、負荷投与量は、経粘膜投与量で100mgであり、6時間の経皮投与量は100mgである。さらに4〜6週間後には、負荷投与に250mg、および6時間投与に250mgまでに増加され、合計で500mgにされる。さらに2か月までの後、この投与量は負荷投与に500mgおよび後続の6時間投与に500mgまで増加される。さらに1か月後、2か月後、または3か月後、この投与量は、負荷投与に1000mgおよび6時間経皮投与に1000mgまで増加される。最大投与量を、この2000mgの総投与量に長期間にわたって維持することができる。または、その翌年以降に、2,500mg、または3,000mgまたは4,000mgまで増量し続けることもできる。一たび、良好な臨床反応が得られるか、副作用があまりにも大きくなったならば、あるいは血液検査で肝機能酵素の上昇が見られた場合には、最大投与量は安定状態に達する。その後、維持療法のために、その最大許容投与量が長期間にわたって投与される。治療が中止される場合、患者は、気分障害の再発のあらゆる兆候について注意深く監視される。
上述の患者に対する選択肢として、治療の最初の6週間後から3ヶ月までに、ナロキソンに、デルタオピエート受容体アンタゴニストを加えることがある。ナロキソンの投与量は増加され続けてもよし、あるいは、デルタアンタゴニストと組み合わされた場合には、ナロキソンの投与量はより早期に安定することもある。上記に議論された薬剤のナルトリンドール、ナトリベン(natriben)または上述した薬剤の一つのような非ペプチドデルタオピエート受容体アンタゴニストを使用することができる。ICI−154,129またはICI−174,864ペプチドのようなペプチドデルタアンタゴニストを使用することもできる。ナルトリンドールに対する開始投与量は、ナロキソンに対するそれよりも大きい。ナルトリンドールに対する開始投与量は、10mg/kg/投与もの高さになり得る。ナルトリンドールは経皮的化合物として投与されてもよいし、または他の有効な製剤形態も使用して投与されてもよい。
主な問題は、初期量が大きすぎる場合、自殺の危険性があり得る深刻なうつ病の人々に対する投薬である。本発明の望ましい実施形態において、臨床的うつ病を有する患者は、自殺の危険性であるので、そのような患者については、治療を行わないか、あるいは、その患者をより監視するために、入院病院または適切な施設で治療するかのいずれかとすべきである。これらの患者は、治療の初めにおいては比較的より低投与量で投薬され、投与量の増加はより遅い速度で行われる。したがって、うつ状態の患者のためには、わずか10mgのナロキソンの負荷量と、その後6時間にわたって吸収される10mgまたは20mgとの合計30mgの開始投与量で治療を開始する必要がある。同様に、2週間後の投与量の増加は、上記の例に対してよりもより緩やかである。2週間で、20mgの初期投与量と、その後の6時間にわたる20〜40mgとを投与するであろう。この段階的な増加は最大の臨床反応を得るために必要であるのと同じ月数にわたって継続される。
(ダイノルフィン系)
本発明の別の実施形態によれば、神経伝達物質系は、神経伝達物質としてダイノルフィンを含むダイノルフィン系である。ダイノルフィンはカッパ受容体に選択的に結合するエンドルフィン化合物の類である。ダイノルフィンは、一般にエンドルフィンとは反対の効果を有する。すなわち、ダイノルフィンのカッパ受容体への結合は一般的に、気分の悪化に関連している。
神経伝達物質系がダイノルフィン系である場合、一種の受容体はカッパ受容体である。カッパ受容体は望ましくない精神的状態、神経学的状態および生理学的状態にポジティブに関連している。カッパ受容体は、刺激されると、主として不快な気分に関連する。リガンドはカッパ受容体アゴニストであり、対抗適応は、ダイノルフィン系のダウンレギュレーションを引き起こす。対抗適応は、例えば、受容体末端における、かつ/または脳下垂体によるダイノルフィンの生合成または放出の減少、受容体の数および/または受容体上のダイノルフィン結合部位の数の減少、ミューおよび/またはデルタ受容体アゴニストおよび/またはダイノルフィンによる結合に対する前記受容体の感受性の低下、またはそれらの組み合わせであり得る。対抗適応はまた、うつ病に否定的に関係しているD2(ドーパミン)受容体をアップレギュレートし得る。
本発明において、様々なカッパ受容体アゴニストが使用され得る。例えば、カッパ受容体アゴニストは、ダイノルフィン[ダイノルフィン[A1−17],H−TYR−GLY−GLY−PHE−LEU−ARG−ARG−ILE8−ARG−PRO−LYS−LEU−LYS−TRP−ASP−ASN−GLN−OH]並びにそのすべての活性ペプチドフラグメントおよび類似体、またはそれらの医薬として許容され得る塩もしくは担体のようなペプチド系のアゴニストであってもよい。例えば、カッパ受容体アゴニストは、ダイノルフィンA(1−8)の活性C末端フラグメント、またはその医薬として許容された塩もしくは担体であり得る。
カッパ受容体アゴニストはさらに非ペプチド性であってもよい。例えば、カッパ受容体アゴニストは、ノンベンゾモルファン(nonbenzomorphan);エナドリン;PD117302;CAM569;PD123497;GR89,696;U69,593;TRK−820;トランス−3,4−ジクロロ−N−メチル−N−[1−(1−ピロリジニル)シクロヘキシル]ベンゼン−アセトアミド;アシマドリン(EMD−61753);ベンゼンアセトアミド;チオモルホリン;ピペリジン;ベンゾ[b]チオフェン−4−アセトアミド;トランス−(+/−)−(PD−117302);4−ベンゾフランアセトアミド(PD−129190);2,6−メタノ−3−ベンザゾシン−8−オール(MR−1268);モルヒナン−3−オール(KT−90);GR−45809;1−ピペラジンカルボン酸(GR−89696);GR−103545;ピペルザイン(piperzaine);GR−94839;キソルファンル(xorphanl);ベンゼンアセトアミド(RU−49679);フェドトジン;ベンゼンアセトアミド(Dup−747);HN−11608;アパドリン(RP−60180);メシル酸スピラドリン(spiradoline mesylate);ベンゼンアセトアミド トランス−U−50488メタン硫酸塩;3FLB;FE200665;FE200666;MPCB−GRRIまたはMPCB−RRIの類似体;ブレマゾシンおよびエチルケトシクラゾシンのようなベンゾモルファン カッパオピオイド;またはそれらの医薬として許容された塩もしくは担体であり得る。

カッパ受容体アゴニストは、U50,488(トランス−3,4−ジクロロ−N−[2−(1−ピロリジニル)シクロヘキシル]ベンズアセトアミド(benzeacetamide)およびスピラドリン(U62,066E)であり得る。エナドリンおよびPDl17302{(エナドリン[(5R)−5α,7α,8β)−N−メチル−N−[7−(1−ピロリジニル)−1−オキスピロ(oxzspiro)[4,5]デカ−8−イル]−4−ベンゾフランアセトアミド一塩酸塩]、PDl17302[(±)−トランス−N−メチル−N−[2−(1−ピロリジニル)−シクロヘキシル]ベンゾ[b]チオフェン−4−アセトアミド一塩酸塩]およびそれらの、各(+)−異性体(CAM569およびPD123497)(パーキーデービス リサーチ ユニット、ケンブリッジ、英国)}は、高選択性のアリールアセトアミドカッパオピオイドである。GR89,696(4−[(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−3−(1−ピロリジニルメチル)−1−ピペラジンカルボン酸メチルエステルフマレート)は、U50,488Hの構造から開発された典型的なアリールアセトアミドである。それはK1アゴニストとして高い効果を有している。U69,593[((5α,7α,8β))−(+)−N−メチル−N−(7−(1−ピロリジニル)―1−オキサスピロ(4,5)デカ−8−イル)ベンゼンアセトアミド]もまたK1選択性を有するカッパアゴニストである。TRK−820((−)−17−シクロプロピルメチル−3,14b−ジヒドロキシ−4,5a−エポキシ−6b−[N−メチル−トランス−3−(3−フリル)アクリルアミド]モルヒナン塩酸塩(東レ株式会社、日本)は、K1受容体アゴニストによって生じるものとは異なる薬理学的性質を有する有力なカッパアゴニストである。チフィウアドム(Tifiuadom)はベンゾジアゼピン カッパアゴニスト(サンド インコーポレイテッド(Sandoz, Inc.)、ニュージャージー州プリンストン)である。米国特許第US4,758,562号もまた、カッパアゴニスト:トランス−3,4−ジクロロ−N−メチルN−[1−(1−ピロリジニル)シクロヘキシル]ベンゼンアセトアミド)について記載している。
カッパ受容体アゴニストは、米国特許第5,051,428号、同第5,965,701号、同第6,146,835号、同第6,191,126号、同第6,624,313号、同第6,174,891号、同第6,316,461号、同第6,440,987号、同第4,758,562号、同第6,583,151号にも記載されている。これらの各特許文献は参照により本願に援用される。
カッパ受容体アゴニストの初期投与量は、望ましくは、対抗適応効果を誘発するのには十分に高いが、患者に耐え難い直接効果を引き起こすほどには高くない。例えば、カッパ受容体アゴニストの初期投与量は、ダイノルフィンでは0.0005〜0.05mg/kg/投与、エナドリンでは5〜700mg/投与、FE20665では1〜500μg/投与、0.5〜100μg/投与、U69,593では0.01〜1mg/kg/投与、TRK820では0.05〜5mg/kg/投与、U50488では0.01〜1mg/kg/投与、またはPD117302では0.01〜1mg/kg/投与に相当し得る。望ましくは、カッパ受容体アゴニストの初期投与量は、ダイノルフィンでは0.005〜0.02mg/kg/投与、エナドリンでは100〜500mg/投与、FE20665では3〜100μg/投与、FE20666では1〜80μg/投与;U69,593では0.1〜0.7mg/kg/投与、TRK820では0.5〜3mg/kg/投与、U50488では0.5〜7mg/kg/投与、またはPD117302では0.1〜0.7mg/kg/投与に相当し得る。
本発明の別の実施形態において、カッパ受容体アゴニストはサルビノリンAである。サルビノリンAは、近年、カッパアゴニスト活性を有することが見出だされた非常に強力な幻覚剤であるネオクレロダンジテルペン(neoclerodane diterpene)化合物である。サルビノリンAは、唯一既知の無窒素のカッパアゴニスト化合物にあたる。サルビノリンAは、シソ科の稀少種である植物のサルビア・ディヴィノルム(S. divinorum)(神聖なるセージ(Diviner's sage))の主な活性成分である。サルビア・ディヴィノルムは、メキシコ、オアハカ州原住のマザテック族によって伝統的な宗教儀式において数世紀にわたって使用されてきている。サルビノリンAの初期量は、望ましくは、5〜50μg/投与であり、最高投与量は、望ましくは5000μg/投与である。サルビノリンA(Salvornin A)は、経粘膜投与されてもよいし、望ましくは2〜6時間にわたる徐放性製剤として投与されてもよい。
本発明のある実施形態において、ペプチド性カッパ受容体アゴニストおよび非ペプチド性カッパ受容体アゴニストの双方を投与することが望ましいことがある。それら2種類のアゴニストは、ほぼ同時に投与されてもよいし、または連続して投与されてもよい。
他のペプチド性リガンドに関して上記で説明したように、ペプチド性カッパ受容体アゴニストは例えば、静脈内投与、経皮投与または経粘膜投与され得る。ナロキソンに関して上記に説明したように、経皮投与(広範なリガンド−受容体結合を提供するため)と共に、経粘膜投与(高レベルのリガンド受容体結合を迅速に行うため)を用いることが望ましい場合がある。
身体は1回目の投与の約8日後に抗オピエートに対する耐性を発現するので、カッパ受容体アゴニストの投与量を経時的に増加させることが望ましいことがある。例えば、1週間〜2週間の期間で投与量を増加させることが望ましいこともある。
サルビノリンAを使用する本発明の方法の例において、潜在的な副作用を低減するために、サルビノリンAの初期量は低量である。開始投与量は、5μg〜50μgである。2〜4週間後、投与量は特定のパーセンテージによって増加される。増加量は、5〜10%程度であってもよいし、50〜100%以上であってもよい。一般に、初期量の二倍が推奨される。したがって、2〜4週後に、患者は、20〜100μgのサルビノリンAを投与される。この投与量の増加は2週、4週、6週または8週ごとに継続される。さらに、投与量を四半期、半年、または1年の基準で増加し続けてもよい。200μgの投与量は、不快な効果の増大を生じることがある。これは急性投与によって生じる。投与量を慢性的に徐々に増加させることにより、副作用は徐々に抑えられるだろう。投与量を慢性的に徐々に増加させる場合、サルビノリンAの最高投与量は1000μg〜5000μg以上である。
ダイノルフィン類似体を使用する本発明の方法の例において、肛門坐剤(経粘膜)製剤が使用される。初期量は、対抗適応反応を誘発するためには十分に高いが、アゴニスト−受容体結合の不快な効果を最小限にするために十分に低い。2部構成の坐薬が存在する。外層は急速に溶解され、カッパ受容体アゴニスト化合物の初期の迅速な吸収を可能にする。第2の層は、徐々に吸収される付加的なカッパ受容体アゴニストをゆっくりと放出するために徐々に分解される。これは、ペプチドカッパ受容体アゴニスト化合物の連続的かつ徐放性の吸収をもたらす。対抗適応反応が誘発される時間である6〜8時間の間、カッパ受容体結合が存在するように、6〜8時間にわたって緩やかな吸収が続くことを目指している。この肛門坐剤は毎日(夜)投与される。2〜4週間後に、投与量は2倍にされる。その後、この投与量はさらに2−4−6−8週間にわたって与えられる。副作用の発現がさらなる増加を妨げるまで、投与量は断続的に増加される。投与量が増加されるにつれて、投与量を増加する時間間隔は延長され、その結果、投与量を増加するまでに数か月が経過し得る。加えて、一旦、高投与量が使用されると、初期のように投与量を倍増するのではなく、5〜10%程度の増加がなされるように、増加量はそれほど劇的ではない。
エナドリンは非ペプチド性カッパ受容体アゴニストである。エナドリンは、1〜10mg/kgの経口投与として摂取された場合、薬剤活性を有する。エナドリンを使用する本発明の方法の例においては、100〜200mgの初期量が、患者の就寝直前に毎日投与される。2〜4週間後、投与量は200〜500mgまで増加される。さらに2〜4週間後に、投与量は500〜1000mgに増加される。さらに2週間、4週間、または8週間以上後に、投与量は1500〜2000mgに増加される。副作用が抑制できなくならない限り、投与量は増加される。
望ましくは、カッパ受容体アンタゴニストは各投与に関連する第1期間には投与されない。しかしながら、本発明のある実施形態において、カッパ受容体アンタゴニストは第2期間のうちの1つ以上に投与される。代表的なカッパ受容体アンタゴニストは、米国特許第5,025,018号、同第5,922,887号、および同第6,284,769号に記載された化合物を含む。米国特許第5,025,018号に記載された化合物については、適切な投与量として、1日当たり0.1〜10mg/投与が挙げられ、米国特許第6,284,769号については、適切な投与量として、0.1〜500mg/投与が挙げられる。
ダイノルフィン神経伝達物質系およびそのカッパ受容体は、様々な望ましくない精神状態および神経学的状態に肯定的に関係している。そのような状態の例には、疼痛、気分障害、摂食障害、不安障害、欲求異常、薬物濫用障害、意欲または能力の不足、将来的に起こることが予想される疼痛(例えば将来の手術または将来の身体運動による)、慢性疼痛症候群、急性の疼痛、線維筋痛、慢性疲労症候群、慢性背部痛、慢性頭痛、帯状疱疹、反射性交感神経性ジストロフィー、神経病、炎症性疼痛、慢性の癌性疼痛、大うつ病、外傷後うつ病、一時的な憂うつな気分、躁うつ病、気分変調性障害、全身化性気分障害、無快感症、非器質性性機能不全、過食、肥満、拒食症、過食症、全身化性不安状態、パニック障害、トゥーレット症状群、ヒステリ睡眠障害、呼吸関連睡眠障害、学習または記憶の問題による意欲喪失、麻酔剤、アルコール、ニコチン、覚せい剤、抗不安薬、中枢神経抑制薬、幻覚剤およびマリファナなどの薬物濫用、および体育、運動競技、学習または試験のような所期の精神的または身体活動に対する意欲または準備の不足が含まれる。ダイノルフィン系のダウンレギュレーションは、望ましくは、望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関して治療効果をもたらす。
(セロトニン系)
本発明の別の実施形態によれば、神経伝達物質系は、神経伝達物質としてセロトニンを含むセロトニン系である。セロトニンはモノアミン神経伝達物質である。セロトニンレベルが低いことは、うつ病に関連している。対抗適応は、セロトニン系のアップレギュレーションを引き起こす。
多数のセロトニン受容体(少なくとも14)が同定されている。最大濃度のセロトニン(90%)は、胃腸管に位置する。身体のセロトニンの残りのほとんどは、血小板および中枢神経系(CNS)中に見られる。セロトニンの影響は、心血管系、呼吸器および腸において気が付かれる。血管収縮はセロトニンに対する代表的な反応である。
セロトニンの機能は、特異的な受容体とのその相互作用について発揮される。いくつかのセロトニン受容体はクローニングされており、5HT、5HT、5HT、5HT、5HT、5HTおよび5HTとして同定されている。5HTグループ内には、5HT1A、5HT1B、5HT1D、5HT1Eおよび5HT1Fのサブタイプがある。3つの5HTのサブタイプ、すなわち5HT2A、5HT2Bおよび5HT2C、並びに2つの5HTのサブタイプ、すなわち5HT5Aおよび5HT5Bがある。ほとんどのこれらの受容体は、アデニル酸シクラーゼまたはホスホリパーゼCgのいずれかの活性に影響するGタンパク質に結合される。5HT類の受容体はイオンチャネルである。
いくつかのセロトニン受容体は、シナプス前性あり、他のものはシナプス後性である。5HT2A受容体は、血小板の凝集および平滑筋の収縮を媒介する。この遺伝子を欠損したマウスは食物摂取の増大によって肥満になり、さらに、致命的な発作を起こすことがあるので、5HTC受容体は食物摂取を制御しているものと思われる。5HT受容体は胃腸管の中にあり、嘔吐と関係している。また、胃腸管の中にあるものとしては、分泌および蠕動に作用する5HT受容もある。5HT受容体および5HT受容体は、脳の大脳辺縁系の全体にわたって分布しており、5HT受容体は抗うつ剤に対して高い親和性を有する。
気分およびうつ病に関連している最も一般的なセロトニン受容体は、1番目および2番目のセロトニン受容体であり、とりわけ特に5HT1A受容体である。
セロトニンニューロンが刺激されて興奮すると、セロトニンがシナプスへ放出される。一部のセロトニン分子はシナプスを横断して、シナプス後受容体と結合し、その後、シナプス後セロトニンニューロンの興奮を引き起こす。セロトニンがシナプス後セロトニンニューロンへ結合することにより、そのニューロンを活性化させる。そのような活性化は、一般によい気分に関連する一連の神経事象を生じる。
セロトニンがシナプス間隙へ放出されると、実際には、セロトニンの一部のみがシナプス後受容体に結合する。大多数のセロトニン分子は、再取込み機構によってシナプスから除去される。このセロトニンのうちの一部は、セロトニンおよびノルエピネフリンの双方を分解する酵素であるモノアミンオキシダーゼによって分解される。
セロトニン分子の第3の標的は、シナプス前自己受容体である。シナプス前自己受容体は抑制性受容体である。シナプス前自己受容体は、神経伝達物質放出に対する制御機構として機能するフィードバック阻害ループにおいて作用する。フィードバック阻害ループは、身体がニューロンの活性化を制御する一般的な方法である。シナプス前自己受容体は、セロトニンまたはアゴニストによって結合されると、シナプス内へのセロトニンのさらなる放出を抑制する。シナプス前自己受容体は、5HT1Aおよび5HT1Bシナプス前自己受容体と称される。5HT1A自己受容体は、セロトニンの持続放出(tonic release)を抑制する。5HT1B自己受容体はセロトニンの誘発放出および合成を抑制するものと思われる。
神経伝達物質系がセロトニン系である場合、一種の受容体は、例えば、5HT1A自己受容体または5HT1B自己受容体のようなセロトニンシナプス前自己受容体であり得る。そのような場合、リガンドはセロトニンシナプス前自己受容体アゴニストであり、望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、受容体にポジティブに関連している。対抗適応は、例えば、シナプス間隙におけるセロトニンの生合成および/または放出の増加、セロトニンの再取込みの減少、セロトニンシナプス前自己受容体の数の減少、セロトニンおよび/またはセロトニンシナプス前自己受容体アゴニストに対するセロトニンシナプス前自己受容体の感受性の低下、セロトニンシナプス後受容体の数の増加、セロトニンまたはセロトニンシナプス後受容体アゴニストに対するセロトニンシナプス後受容体の感受性の増大、またはそれらの組み合わせであり得る。
本発明の方法においては、様々なセロトニン前シナプス自己受容体アゴニストが使用され得る。例えば、セロトニンシナプス前自己受容体アゴニストは、EMD−68843、バスピロン、ゲピロン、イプサピロン、タンドスピロン、レソピトロン、ザロスピロン、MDL−73005EF、またはBP−554であってよい。
セロトニンシナプス前自己受容体アゴニストの初期投与量は、望ましくは、対抗適応効果を誘発するためには十分に高いが、患者に耐え難い直接効果をもたらすほどは高くない。例えば、セロトニンシナプス前自己受容体アゴニストの初期投与量は、EMD−68843では1〜400mg/投与、バスピロンでは1〜500mg/投与、レソピトロンでは1〜500mg/投与、ゲピロンでは1〜500mg/投与、タンドスピロンでは5〜500mg、またはザロスピロンでは1〜200mgに相当する。望ましくは、セロトニンシナプス前自己受容体アゴニストの初期投与量は、EMD−68843では10〜100mg/投与、バスピロンでは10〜100mg/投与、レソピトロでは10〜200mg/投与、ゲピロンでは10〜100mg/投与、タンドスピロンでは20〜200mg、またはザロスピロンでは10〜100mgに相当する。
望ましくは、セロトニンシナプス前自己受容体アンタゴニストは、各投与に関連する第1期間には投与されない。しかしながら、本発明のある実施形態において、セロトニンシナプス前自己受容体アンタゴニストは第2期間のうちの1つ以上において投与される。代表的なセロトニンシナプス前自己受容体5HT1Aアゴニストおよびアンタゴニストとしては、エラゾナン(Elazonan)、AR−A2(アストラゼネカ(AstraZeneca)、英国ロンドン);AZD−1134(アストラゼネカ(英国ロンドン);ピンドロル、並びに米国特許第6,462,048号、同第6,451,803号、同第6,627,627号、同第6,602,874号、同第6,277,852号、および同第6,166,020号に記載された化合物が挙げられる。上記特許文献は参照により本願に援用される。
本発明の別の実施形態において、一種の受容体は、5HT受容体、5HT受容体、5HT受容体、5HT受容体、5HTs受容体、5HT受容体、5HT受容体、あるいはそれらのサブタイプの受容体のようなセロトニンシナプス後受容体である。リガンドは、セロトニンシナプス後受容体アンタゴニストである。望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は一般に、これらの受容体にネガティブに関連している。対抗適応は、シナプス間隙におけるセロトニンの生合成および/または放出の増加、セロトニンの再取込みの減少、セロトニンシナプス後受容体の数の増加、セロトニンおよび/またはセロトニンシナプス後受容体アゴニストに対するセロトニンシナプス後受容体の感受性の増大、セロトニンシナプス前自己受容体の数の減少、セロトニンおよび/またはセロトニンシナプス前自己受容体アゴニストに対するセロトニンシナプス前自己受容体の感受性の低下、またはそれらの組み合わせであり得る。
本発明の方法においては、セロトニンシナプス後受容体アンタゴニストとして様々な化合物が使用され得る。例えば、セロトニンシナプス後受容体アンタゴニストは、(S)−WAY−100135、WAY−100635、バスピロン、ゲピロン、イプサピロン、タンドスピロン、レソピトロン、ザロスピロン、MDL−73005EFまたはBP−554であってもよい。所望により、前述のセロトニン修飾薬と同時にまたは連続してSSRIを投与してもよい。これは、SSRI療法およびアゴニストシナプス前対抗適応療法の双方がシナプス前受容体のダウンレギュレーションを生じるので有益である。よって、SSRIの効果は、そのような対抗適応効果により増幅される。第2に、SSRI療によって生じ得るシナプス後セロトニン受容体のいかなるダウンレギュレーションも、シナプス後アンタゴニスト対抗適応療法によって相殺される。
セロトニンシナプス後アンタゴニストの初期投与量は、望ましくは、対抗適応効果を誘発するためには十分に高いが、患者に耐え難い直接効果をもたらすほどは高くない。例えば、セロトニンシナプス後受容体アンタゴニストの初期投与量は、WAY−100635では約0.01〜5mg/kg/投与に相当する。望ましくは、セロトニンシナプス後受容体アンタゴニストの初期投与量は、WAY−100635では約0.025〜1mg/kg/投与に相当する。
セロトニンシナプス後受容体アンタゴニストは、上記に記載したようなセロトニンシナプス前自己受容体アゴニストと組み合わせて投与されてもよい。さらに、セロトニンシナプス後受容体において結合する従来の抗うつ性薬剤がセロトニンシナプス前自己受容体アゴニストと組み合わせて投与される場合、対抗適応によってセロトニンシナプス後受容体の数および/感受性が増大しているので、その効果は大幅に増大され得る。
本発明のある望ましい実施形態においては、セロトニンシナプス後アンタゴニスト自体はまたセロトニンシナプス前自己受容体アゴニストでもある。セロトニンシナプス後アンタゴニストまたはセロトニンシナプス前自己受容体アゴニストと組み合わせて、ノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン受容体アゴニストおよび/またはノルエピネフリンシナプス後アドレナリン受容体アンタゴニスト(以下に記載)を投与することも望ましい場合がある。
望ましくは、セロトニンシナプス後受容体アゴニストは各投与に関連する第1期間には投与されない。しかしながら、本発明のある実施形態において、セロトニンシナプス後受容体アゴニストは第2期間の1つ以上において投与される。代表的なセロトニンシナプス後受容体アゴニストとしては、BIMT17(1−[2−[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン−1−イル]エチル]ベンゾイミダゾール−[1H]−2−オン)が挙げられ、その投与量は1〜10mg/kg(静脈内投与、または経皮投与、皮下投与など)である。ボルシーニ、エフ(Borsini,F)ら、Archives of Pharmacology、352(3);1995年9月:283−290を参照されたい。適切な投与量範囲としては、BIMT17では1〜10mg/kg/投与(静脈内投与、経皮投与、または皮下投与による)が挙げられる。
セロトニンシナプス後受容体は、様々な望ましくない精神的状態および神経学的状態に一般にネガティブに関連しおり、セロトニンシナプス前自己受容体は、様々な望ましくない精神的状態および神経学的状態に一般にポジティブに関連している。そのような状態の例には、疼痛、気分障害、摂食障害、不安障害、強迫性障害、欲求異常、薬物濫用障害、意欲または能力の不足、将来的に(例えば、将来の手術または将来の身体運動により)起こることが予想される疼痛、および慢性疼痛症候群、急性疼痛、線維筋痛、慢性疲労症候群、慢性背部痛、慢性頭痛、帯状疱疹、反射性交感神経性ジストロフィー、神経病、炎症性疼痛、慢性の癌性疼痛、大うつ病、外傷後うつ病、一時的な憂うつな気分、躁うつ病、気分変調性障害、全般性気分障害、無快感症、非器質性性機能不全、過食、肥満、拒食症、過食症、全般性不安状態、パニック障害、トゥーレット症状群、ヒステリ睡眠障害、呼吸関連睡眠障害、学習または記憶の問題による意欲喪失、麻酔剤、アルコール、ニコチン、覚せい剤、抗不安薬、中枢神経抑制薬、幻覚剤およびマリファナなどの薬物濫用、および体育、運動競技、学習または試験のような所期の精神または身体活動に対する意欲または準備の不足が含まれる。セロトニン系のアップレギュレーションは、望ましくは、望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関して治療効果をもたらす。
(ノルエピネフリン系)
本発明の別の実施形態において、神経伝達物質系は、神経伝達物質としてノルエピネフリンを含むノルエピネフリン系であり、対抗適応は、ノルエピネフリン(norepinephine)系のアップレギュレーションを引き起こす。
ノルエピネフリンは、エピネフリンとともに、中枢神経系における神経伝達物質として作用するカテコールアミンである。アドレナリン受容体には、二種類、すなわちアルファおよびベータが存在する。加えて、アドレナリン受容体には、少なくとも10種の異なるサブタイプが存在する。ノルエピネフリンは、一般に、交感神経の神経伝達が興奮性であり、アルファ受容体によって媒介される部位において、より有力である。アルファ受容体には、2つの主なサブクラス、すなわちアルファ1およびアルファ2が存在する。
ノルエピネフリンは、中枢神経系において神経修飾物質のように振舞う。他のインプットがない状態で、シナプス後ターゲットの活性に対するその影響ではなく、興奮性または抑制性のインプットを調節する場合、NEの中枢神経系作用は最も顕著である。ノルエピネフリンの伝達および制御はセロトニンに対するそれに類似している。ノルアドレナリン作動性シナプス(noradrenergic synapse)へのノルエピネフリンの放出後に、大部分のノルエピネフリンを除去する再取込み機構が存在する。アルファ−2アドレナリン受容体として知られるものには、シナプス前抑制性自己受容体がある。
神経伝達物質系がノルエピネフリン系である場合、一種の受容体は、例えば、ノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン受容体であり得る。そのような場合、リガンドはノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン受容体アゴニストである。望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は一般的に、前記受容体にポジティブに関連している。対抗適応は、シナプス間隙におけるノルエピネフリンの生合成および/または放出の増大、ノルエピネフリンの再取込みの減少、ノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン受容体の数の減少、ノルエピネフリンおよび/またはノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン受容体アゴニストに対するノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン受容体の感受性の低下、ノルエピネフリンシナプス後アドレナリン受容体の数の増加、ノルエピネフリンおよび/またはノルエピネフリンシナプス後アドレナリン受容体アゴニストに対するノルエピネフリンシナプス後アドレナリン受容体の感受性の増大、またはそれらの組み合わせであり得る。
本発明の方法において、ノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン受容体アゴニストとして様々な化合物が使用され得る。例えば、ノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン受容体アゴニストは、クロニジン、グアンファシン、ロフェキシジン、デトミジン、デキサメデトミジン、ミバゼロール、またはアルファ−メチルノルアドレニリン(methylnoradreniline)であり得る。
ノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン受容体アゴニストの初期投与量は、望ましくは、対抗適応効果を誘発するためには十分に高いが、患者に耐え難い直接効果をもたらすほどには高くない。例えば、初期投与量は、クロニジンでは0.1〜10μg/kg/投与、グアンファシンでは0.01〜10mg/投与、ロフェキシジンでは0.01〜1mg/投与、デトミジンでは1〜100μg/kg/投与、デキサメデトミジンでは0.05〜5μg/kg投与、ミバゼロールでは0.05〜10μg/kg/投与、またはアルファ−メチルノルアドレニリンでは5〜500ng/kg/投与に相当し得る。望ましくは、初期投与量は、クロニジンでは0.1〜0.5mg/投与、グアンファシンでは0.1〜5mg/投与、ロフェキシジンでは0.05〜0.5mg/投与、デトミジンでは10〜80μg/kg/投与、デキサメデトミジンでは0.1〜3μg/kg/投与、ミバゼロールでは0.5〜5μg/kg/投与、またはアルファ−メチルノルアドレニリンでは10〜100ng/kg/投与に相当し得る。
望ましくは、ノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン受容体アンタゴニストは、各投与に関連する第1期間には投与されない。しかしながら、本発明のある実施形態において、ノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン受容体アンタゴニストは、第2期間のうちの1つ以上において投与される。シナプス前およびシナプス後A2ARアンタゴニストの適切かつ非限定的な例としては、ミルタザピンが挙げられる。
本発明の別の実施形態によれば、一種の受容体は、アルファ受容体、ベータ受容体、またはそれらのサブタイプの受容体のようなノルエピネフリンシナプス後アドレナリン受容体である。そのような場合、リガンドはノルエピネフリンシナプス後アドレナリン受容体アンタゴニストである。望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は一般に、ノルエピネフリンシナプス後アドレナリン作動性受容体にネガティブに関連している。対抗適応は、シナプス間隙におけるノルエピネフリンの生合成または放出の増加、ノルエピネフリンの再取込みの減少、ノルエピネフリンシナプス後アドレナリン受容体の数の増加、ノルエピネフリンおよび/またはノルエピネフリンシナプス後アドレナリン受容体アゴニストに対するノルエピネフリンシナプス後アドレナリン受容体の感受性の増大、ノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン受容体の数の減少、ノルエピネフリンおよび/またはノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン受容体アゴニストに対するノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン受容体の感受性の低下、またはそれらの組み合わせであり得る。
本発明の方法において、ノルエピネフリンシナプス後アドレナリン受容体アンタゴニストとして様々な化合物が使用され得る。例えば、ノルエピネフリンシナプス後アドレナリン受容体アンタゴニストは、イダゾキサン、SKF104078またはSKF104856であり得る。ノルエピネフリンシナプス後アドレナリン受容体アンタゴニストの初期投与量は、望ましくは、対抗適応効果を誘発するためには十分に高いが、患者に耐え難い直接効果をもたらすほどには高くない。例えば、初期投与量は、イダゾキサンでは0.5〜100mg/投与に相当し得る。望ましくは、初期投与量は、イダゾキサンでは5〜50mg/投与に相当し得る。
望ましくは、ノルエピネフリンシナプス後アドレナリン受容体アゴニストは、各投与に関連する第1期間には投与されない。しかしながら、本発明のある実施形態において、ノルエピネフリンシナプス後アドレナリン受容体アゴニストは、第2期間のうちの1つ以上において投与される。
ノルエピネフリンシナプス後アドレナリン受容体アンタゴニストは、上記に記載したようなノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン受容体アゴニストと組み合わせて投与されてもよい。さらに、ノルエピネフリンシナプス後アドレナリン受容体において結合する従来の抗うつ性薬剤が、ノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン受容体アゴニストと組み合わせて投与される場合、対抗適応によってノルエピネフリンシナプス後アドレナリン受容体の数および/感受性が増大しているので、その効果は大幅に増大され得る。
本発明のある望ましい実施形態において、ノルエピネフリンシナプス後アドレナリン受容体アンタゴニスト自体もノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン受容体アゴニストである。ノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン受容体アゴニストまたはノルエピネフリンシナプス後アドレナリン受容体アンタゴニストと組み合わせて、(上記に記載したような)セロトニンシナプス後アンタゴニストおよび/または、セロトニンシナプス前自己受容体アゴニストを投与することも望ましいことがある。
ノルエピネフリンシナプス後アドレナリン作動性受容体は一般に、様々な望ましくない精神状態および神経学的状態にネガティブに関連しており、ノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン作動性受容体は、様々な望ましくない精神状態および神経学的状態にポジティブに関連している。そのような状態の例には、疼痛、気分障害、摂食障害、不安障害、強迫性障害、欲求異常、薬物濫用障害、意欲または能力の不足、それは、将来的に(例えば将来の手術または将来の身体運動により)起こることが予想される疼痛、および慢性疼痛症候群、急性疼痛、線維筋痛、慢性疲労症候群、慢性背部痛、慢性頭痛、帯状疱疹、反射性交感神経性ジストロフィー、神経病、炎症性疼痛、慢性の癌性疼痛、大うつ病、外傷後うつ病、一時的な憂うつな気分、躁うつ病、気分変調性障害、全般性気分障害、無快感症、非器質性性機能不全、過食、肥満、拒食症、過食症、全般性不安状態、パニック障害、トゥーレット症状群、ヒステリ睡眠障害、呼吸関連睡眠障害、学習または記憶の問題による意欲喪失、麻酔剤、アルコール、ニコチン、覚せい剤、抗不安薬、中枢神経抑制薬、幻覚剤およびマリファナのような薬物濫用、および体育、運動競技、学習または試験のような望ましい精神または身体活動に対する意欲または準備の不足が含まれる。ノルエピネフリン系のアップレギュレーションは、望ましくは、望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関して治療効果をもたらす。
(CRF系)
視床下部−下垂体−副腎(HPA)軸は、身体をストレスに応答させる調節メカニズムである。視床下部は、多くの身体ホルモンの全般的な制御中枢である。ストレスへの応答の際、下垂体がコルチコトロピン放出因子(CRF、コルチコトロピン放出ホルモンとしても知られる)を放出し、それが下垂体前葉に達して、ホルモンACTH(アドレノコルチコトロピックホルモン)およびβ−エンドルフィンが循環内に放出されるという変化を誘導する。ACTHは、腎臓に隣接する副腎に達して、コルチゾールの放出を刺激する。コルチゾールが循環内に放出されると、一連の代謝効果が開始され、ストレスの有害作用が軽減する。視床下部および下垂体前葉の両方への負のフィードバックも存在して、更なるコルチゾール放出が遮断される。
視床下部からのCRF放出の他に、CRFは、皮質の他の多くの領域に存在する。それは、視床下部から放出されると、ホルモンとして作用する。皮質においては、CRF分子は、神経伝達物質として作用する。CRFの神経伝達物質作用は、うつに共通する一部の挙動効果をもたらす。これらの影響の一部は、他の神経伝達物質系、例えばセロトニンおよびノルエピネフリン(NE)系へのCRF効果によるものである。このため、CRFのうつへの関連性は、極めて複雑であり、HPA軸への効果だけでなく、脳および他の神経伝達物質系への直接効果に関連する。
CRFは、41アミノ酸ペプチドである。1981年にValeにより初めて単離され、配列決定された(Vale W, Spiess J, River C, Rivier J (1981):Characterization of a 41−residue ovine hypothalamic peptide that simulates secretion of corticotropin and β−endorphin. Science 213:1394−1397)。CRFの配列は、ヒツジ、ヒト、ラット、ブタ、ヤギおよびウシなど様々な種で決定された。全ての種で、CRFは41アミノ酸残基の単鎖ポリペプチドである。ラットおよびヒトCRFは、互いに同一であり、ヒツジのCRFとは7のアミノ酸残基が異なる。3種のCRFは全て、密接なアミノ酸同一性を有し、カエルの皮膚に存在する40アミノ酸ペプチドであるサウバギン、および魚の尾部下垂体から得られる41アミノ酸ペプチドであるウロテンシンIと幾つかの生物学的性質が共通する。ヤギおよびヒツジCRFは、同一であるが、ウシCRFとは一つのアミノ酸が異なる。ブタCRFは、ラット/ヒトCRFとより密接に類似している。CRFおよび関連ペプチドは、カルボキシ末端でアミド化されており、CRFのCOOH末端遊離酸は、本来のCRFの能力の0.1%未満であるため、そのペプチドの生物活性へのアミド化の重要性が示唆される。プロトン核磁気共鳴分光法を用いてCRFの溶液構造を決定する研究で、ヒトCRFが残基6〜36の確定されたα−らせんに結合する長いN−末端テトラペプチドを含むことが示唆された。α−らせんのoCRF(9−41)は、CRFのアンタゴニストであるため、受容体結合および生物活性のためにα−らせんコンホメーションの必要性が強調される。(Errol B. De Souza and Dimitri E. Grigoriadis, Corticotropin−Releasing Factor: Physiology,Pharmacology and Role in Central Nervous System and Immune Disorders, Psychopharmacology−Fourth Generation of Progress, 2000, http://www.acnp.org/g4/GN40100049/CH049.html)。
気分、気分障害および関連状態は、多くの神経伝達物質系と相互に関連する中枢神経系イベントの複雑なつながりにより生じる。最も一般的な気分障害が、うつである。うつは、数多くの身体的および精神的症状を伴う臨床診断であり、数多くの神経伝達系の変化を原因とする。CRF系以外の、うつに関連する他の系には、ノルエピネフリン、セロトニン、サブスタンスP、ジノルフィン(κ−受容体)および内因性エンドルフィン(ミューおよび/またはデルタオピエート受容体)がある。更にこれらの神経伝達物質系は、他の多くの有害な精神的および神経学的状態、例えば、双極性障害、強迫神経症、不安、恐怖症、ストレス障害、薬物濫用、性障害、摂食障害、意欲障害、および疼痛性障害などにも関連する。
ストレスは、大人のうつおよび不安の主な原因と思われる。患者が実際に臨床的に抑圧されているかどうかは、うつおよびいずれかの主たる初期生活ストレス状態の遺伝的素因にも依存する(Lott, Psychiatrin Times 1999 Oct; Vol. XVI,Issue 10)。
HPA軸は、ストレス状態における役割により、うつおよび不安症での重要な役割を演じる。CRFレベルがうつ(即ち、メランコリー型うつであり、非定型うつではない−以下参照)において増加していることは、確定されている。コルチゾールレベルも、うつでは一般に増加している。これは、HPA軸の活性亢進によるもので、大部分が負の阻害循環(negative inhibition loop)の障害によるものと思われる。言い換えれば、慢性ストレス状態の結果と思われる、循環内でのCRFの持続的放出および持続的上昇は、正常な非うつ患者で起こるため、コルチゾールレベルの上昇により阻害されない。
うつの研究では、一般に患者全員をひとつのカテゴリーに分類する。しかし、うつには異なる形態があり、HPA軸への異なる調節変化を有する傾向がある。うつには2種の注目すべきサブタイプ、メランコリー型および非定型がある。メランコリー型うつは、最も一般的な形態である。メランコリー型の患者は、一般に不安があり、将来の憂い、環境への応答性を喪失し、不眠で、食欲がなく(体重減少)、昼間は変動し、午前が最も悪いうつ状態である。非定型患者は、一般にこれらの領域では多くが逆である。非定型患者は、一般に嗜眠性で疲労感があり、食欲過剰で(体重増加)、睡眠過剰で、環境に対して反応性であり、日中は様々なうつ状態を示し、午前は最良である。(Gold et al,”Organization of the stress system and its dysregulation in melancholic and atypical depression: high vs. low CRH/NE states.”Mol Psychiatry,2002;7(3):254−75)。
メランコリー型患者は、中枢CRH系の活動亢進とHPA軸の過活動を特徴とする。その一方で、非定型うつは、中枢CRF系の活動低下およびHPA軸が活動不足であることを特徴とする。(Kasckow, JW et al,”Corticotropin−releasing hormone in depression and post−traumatic stress disorder.”Peptides, 2001 May; 22(5):845−51.)非定型うつは、HPA軸の過剰な抑制によるものと思われる。それはHPA軸の負のフィードバック調節の悪化に関連する可能性がある。(Levitan RD,”Low−dose dexamethasone challenge in women with atypical majpr depression:pilot study.” J Psych Neurosci, 2002 Jan; 27(1):47−51)
外傷後ストレス障害(PTSD)は、第3のカテゴリーであり、それも独特である。PTSDは、メランコリー型うつと同様に活動亢進性の中枢CRH系を特徴とするが、非定型うつと同様にHPA軸が活動不足である。(Levitan, 2002)
不安症は、HPA軸変化のパターンがメランコリー型うつと異なる。うつは、高コルチゾール血症、デキサメタソン後の非抑制およびグルココルチコイド受容体数の減少を特徴とする。不安は、低コルチゾール血症、デキサメタソン後の過剰抑制およびグルココルチコイド受容体数の増加を特徴とする。(Boyer, P,”Do Anxiety and depression have a common pathophysiological mechanism?”Acta Psychiatr Scand Suppl 2000;(406):24−9)
摂食障害は、気分および/またはストレスに大いに関係する。Dallan他(Chronic stress and obesity:a new view of ”comfort food”. Proc Natl Acad Sci USA 2003 Sep 30;100(20):11696−701)は、ラットでは一般に慢性ストレスに応答して体重が減少するが、ヒトの慢性ストレスでは快適な食事摂取量が増加して体重が増加するか、または摂食量が減少して体重も減少することを実証した。先に議論したとおり、メランコリー型うつは食欲低下および体重低下に関連する傾向があり、非定型うつは、食事量増加および体重増加に関連する傾向がある。
神経伝達物質に関連する条件を処理する従来の方策は、異常に高レベルまたは低レベルのシナプス神経伝達を改善することに注がれている。従来の治療薬は、神経伝達物質系の作用を直接調節する働きがある。そのような薬剤は、抗不安薬、催眠薬、または選択的再取込み阻害剤であってもよく、ベンゾジアゼピン(例えば、ジアゼパム、ロラゼパム、アルプラゾラム、テマゼパム、フルラゼパム、およびクロロジアゼポキシド)、TCA、MAOI、SSRI(例えば、フルオキセチン、ヒドロクロリド)、NRI、SNRI、セロトニンシナプス前自己受容体アンタゴニスト、5HTアゴニスト、GABA−A調整剤、セロトニン5HT2Cおよび/または5HT2B調整剤、β−3アドレノセプターアゴニスト、NMDAアンタゴニスト、V1Bアンタゴニスト、GPCR調整剤、ジノルフィンアンタゴニスト、およびサブスタンスPアゴニストが挙げられる。CRFアンタゴニストは、新しい分類の抗うつ薬と考えられる(Nielsen, Life Sci, 2006, Jan 25; 78(9):909−19)。
CRF系に関しては、うつの異なる型によりHPA軸が異なって変動するため、薬剤への応答は、治療を受けるうつまたは不安症の型に応じて変動すると予測される。事実、CRH産生を減少させるのに効果的な抗うつ剤、即ちTCAは、メランコリー型うつに良好な有効性を有する。この同薬剤は、CRH産生系の活性化に関連せず、むしろCRHの分泌を減少させる非定型うつの治療には特に効果的ではない(Licinio, J, et al,”Role of corticortophin releasing hormone 41 in depressive illness.” Baillieres Clin Endocrinol Metab, 1991 Mar; 5(1):51−8)。
数多くの研究により、抗うつ剤としてのCRFアンタゴニストの潜在能力が示された(O’brien, Hum Psychopharmacol, 2001, Jan; 16(1):81−87およびArborelius, et al, J Endocrinol 1999, 160:1−12)。それらは、活動亢進性CRF系の効果を遮断するため、CRFアンタゴニストは、活動亢進性CRF系を有する状態、例えば活動低下性CRF系を有する非定型うつよりもむしろメランコリー型うつに適応されると思われる。
β−エンドルフィンは、ストレス応答の際に有利な内因性オピエート化合物である。それは、疼痛の感覚を低下させる。エンドルフィンは、最初は生存を、後に回復を確保する、進化のメカニズムの産物である。疼痛は通常、生存の変化を損傷する挙動をもたらす。例えば、動物が攻撃を受け、傷をなめることを止めて、代わりに攻撃者から逃れると、動物の生命が危うくなる。しかし恐怖がエンドルフィン放出の引き金となり、疼痛の知覚が阻害される。その上、エンドルフィンは、免疫系への影響を有し、感染の防御をより良好に援助し、動物が傷害を受けた場合に有利となる。
β−エンドルフィンは、HPAに密接に関連する。脳の皮質の領域への作用、例えば疼痛応答の改善に加え、β−エンドルフィンは、視床下部での負の阻害を通してCRFの放出も調節する(図X)。
β−エンドルフィンおよび内因性オピオイドペプチドは一般に、CRFの放出を減少させることにより、HPAを阻害する(Burnett, J Affect Disord 1999 Jun; 53(3):263−8)。この後者の研究により、うつ病患者では阻害的オピオイドのトーン(tone)が低下していることが示された。言い換えれば、うつ病患者にはβ−エンドルフィン系のダウンレギュレーションが存在する。これは、うつがβ−エンドルフィンの循環レベル低下に関連することを実証する別の研究により確認される(Cohen, AMJ Psychiatry 1984; 141:629−32.,およびDjurovic, Farmaco 1999 Mar 31; 54(3):130−3)。
β−エンドルフィンは、うつ病患者で増加していることも実証された(Goodwin, J Affect Disord 1993 Dec; 29(4):281−9)。この発見は、うつでエンドルフィンレベルが低下した上記研究と矛盾するように見えるが、後者の研究は、実際には上記研究と一致している。これは、以下のように説明される。後者の研究(Goodwin)では、β−エンドルフィンはうつの症状の重症度と実際に負の関連があるため、β−エンドルフィンのダウンレギュレーションがうつに関連するという事実、および上記研究(Cohen & Djurovec)と一致している。Goodwinの研究では、急性の心理社会的降下剤(psychosocial precipitant)が、β−エンドルフィンレベルを急性期に上昇させ得ることが実証された。このことは、急性ストレス性イベントがそのようなCRFの上昇を引き起こし得るため、ダウンレギュレートされたβ−エンドルフィン系を覆し得ることを示している。しかし、Goodwinの研究では、まさしくCohenおよびDjurovicの研究で実証されたとおり、うつには一般的なβ−エンドルフィンのダウンレギュレーションが存在し、うつの重症度とβ−エンドルフィンの循環レベルとが逆相関するという事実も確認された。要約すると、β−エンドルフィンはストレス的降下イベントを受けるうつ病患者で急性期に上昇する場合があるが、一日の定常状態のレベルに関しては、うつ病患者は循環ドルフィンが正常レベルよりも低い。
Burnett(1999)の研究には、一部の臨床的うつ患者がオピエートを自己投薬し得ることが要約されている。それらの状態では、オピエートが、「損失された」またはダウンレギュレートされた内因性エンドルフィンの代わりになる。これらの自己投薬オピエートは、内因性エンドルフィンと同じ役割を担い、つまりHPAを阻害することにより、CRF放出を低下させる。
HPAの活動亢進は、うつに関連するが、近年になり、うつの治療にCRFアンタゴニストが使用されるようになった。うつの治療にCRFアンタゴニストを使用するには特定の制約がある。
したがって本発明の一実施形態において、神経伝達物質系はコルチコトロピン放出因子を神経伝達物質として含むCRF系であり、受容体の型はCRF受容体であり、リガンドはCRF受容体アゴニストであり、対抗適応はCRF系のダウンレギュレーションを引き起こす。対抗適応によるCRF系の調節は、2006年2月27日に出願された表題「METHOD OF REGULATING THE CRF AND AVP SYSTEMS BY INDUCING COUNTERADAPTATIONS」の米国仮特許出願番号60/777,190に記載されている。
CRF受容体は、例えば、CRF−1またはCRF−2であってもよい。CRF−1は一般に気分に関連するが、CRF−2は一般に記憶に関連する。
CRFアゴニストは、HPAと視床下部外系の両方に影響を及ぼす。HPAに関しては、CRFアゴニストは、ACTHおよびβ−エンドルフィンを循環内に放出させている。β−エンドルフィンは活動亢進性CRF状態、例えばうつおよび不安を改善することで知られるため、短期間の設定(即ち、各投与に関して第1期)では、β−エンドルフィンの放出は有利である。しかしCRFアゴニストはACTF放出も増加させて、短期間でのコルチゾール放出増加に影響を及ぼす。目的が活動亢進性CRF系の活性を抑制することならば、コルチゾールの増加は必要ではない。更にそのアゴニストは、視床下部外CRF系に直接作用する。まとめると、ACTH放出への影響ならびに視床下部外CRFおよびAVP系への影響により、短期での活動亢進性CRF状態が悪化する。しかし、本発明によれば、本明細書に記載された方法により、例えばACTH放出および視床下部外CRF系のダウンレギュレーションを通して、対抗適応およびCRF系の全体的なダウンレギュレーションが誘発される。
対抗適応は、視床下部によるコルチコトロピン放出因子の生合成もしくは放出の減少、CRF受容体数および/もしくはCRF受容体の結合部位数の減少、CRF受容体アゴニストおよび/もしくはコルチコトロピン放出因子による結合に対する受容体の感受性の低下、またはそれらの組合せの可能性がある。
様々な化合物が、CRF受容体アゴニストとして用いることができる。例えば多数のペプチド系化合物が、CRF受容体アゴニストである。例としては、コルチコトロフィン放出因子の類似体、ならびにそれの医薬として許容され得る塩および誘導体が挙げられる。コルタギン(cortagine)は、本発明の方法での使用に適したCRF受容体アゴニストであり、それぞれが本明細書に参考として援用された、Tezval, et al, PNAC, 101(25)(2004)およびTodorovic, C., et al., Neurosci Bobehav Rev., 2005, 29(8):1323−1333に記載されている。CRF受容体アゴニストの例は、更に、それぞれが本明細書に参考として援用された、米国特許第5,132,111号;同第5,278,146号;同第5,824,771号;同第5,844,074号;同第6,214,797号;同第6,670,371号;同第6,812,210号;同第6,953,838号に記載されている。
CRF受容体アゴニストの初期投与量は、望ましくは、対抗適応効果を誘発するためには十分に高いが、患者に耐えがたい直接効果をもたらすほどには高くない。例えば、初期投与量は、初期量として約0.1〜100μg/kg/日と、8時間の徐放による100〜1000μg/kg/日であってもよい。本発明の特定の実施形態において、CRF受容体アゴニストの初期投与量は、初期量として約1〜50μg/kg/日と、8時間の徐放による20〜50μg/kg/日であってもよい。
望ましくは、CRF受容体アンタゴニストおよびAVP受容体アンタゴニストのいずれも、CRF受容体アゴニストの各投与に関して第1期間には投与されない。しかし本発明の特定の実施形態において、CRF受容体アンタゴニストおよび/またはAVP受容体アンタゴニストは、CRF受容体アゴニストの各投与に関連する第2期間の1回以上において投与される。
CRFアンタゴニストの例としては、R121919(Zobel, J Paychiatr Res 2000 May−June; 34(3):171−81)、DMP696(Maciag, Neuropsyghopharmacol 2002; 26:574−582)、アンタラルミン(Willenberg, Mol Psychiatry 2000 Mar;5(2):137−41)、CP−154,526(Mansbach, Eur J Pharmacol 1997 Mar 26;323(1):21−6)、SSR125543A(Briebel, J Pharmacol Exp Ther 2002 Apr; 301(1)333−45)、2−アリールアミノ−4−トリフルオロメチルアミノメチルトリアゾールアンタゴニスト(Dubowchik, Bioorg Med Chem Lett 2004 Nov 17;13(22);3997−4000)、およびアストレシン(Spine, Neuropsychopharmacol 2000;22:230−239)、ならびにそれらの医薬として許容され得る塩、類似体および誘導体が挙げられる。
AVP受容体アンタゴニストの例としては、d(CH2)5Tyr(Me)AVP、Phaa−d−TYr(Me)−Phe−Gln−Asp−Pro−Arg−Tyr−NH、[Lys(3N、Phpa)]HO−LVA、[d(CH2)5,D−Ile2、Ile4]−AVP、および[125I]−d(CH2)5[D−Tyr(Et)2,Val4,Tyr−NH29]AVPなどのAVP受容体アンタゴニスト、ならびにAVPアンタゴニスト活性を有するAVPペプチド(Cys−Tyr−Phe−Gln−Asp−Cys−Pro−Arg−Gly)のいずれかの類似体が挙げられる。AVPペプチドアンタゴニストは、更に、酵素により活性AVPアンタゴニストに開裂されるプロペプチド分子を包含してもよい。AVP受容体アンタゴニストの例としては、OPC−21268(1−(1−[4−(3−アセチルアミノプロポキシ)ベンゾイル]−4−ピペリジル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン)、R49059(V1aアンタゴニスト)、OPC−31260(5−ジメチルアミノ−1−[4−(2−メチルベンゾイルアミノ]ベンゾイル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン)、コニバプタン(YM087−VIaおよびV2アンタゴニスト)、バプリゾール(Vaprisol)(コニバプタン)(V1aおよびV2アンタゴニスト)、VPA985(V2アンタゴニスト)、およびYM471[(Z)−4’−[4,4−ジフルオロ−5−[2−(4−ジメチルアミノピペリジノ]−2−オキソエチリデン]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−カルボニル]−2−フェニルベンズアニリド一塩酸)も挙げられる。AVP受容体アンタゴニストは、それぞれが本明細書に参考として援用された米国特許第6,627,649および同第6,495,542にも記載されている。
本発明の別の実施形態において、ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストは、投与間の期間に対する投与半減期の比が1/2以下になるようにして、第1期にCRFアゴニストと併用して投与される。ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストの投与方法は、本明細書の先に記載されたとおりである。CRFアゴニストの使用は、CRF系のダウンレギュレーションを引き起こす意図があるが、下垂体前葉からのβ−エンドルフィン放出もダウンレギュレートするという不本意な結果ももたらし得るという事実があるため、こうすることが望ましい場合がある。そのようなエンドルフィン放出の減少は循環エンドルフィンのレベルと逆相関する望ましくない状態、例えばうつおよび不安症などの改善に必要なものに関しては逆効果を誘発する。オピエートアンタゴニストの反復投与は、2つの重要な効果:つまりCRFアゴニストによりエンドルフィンダウンレギュレーションを阻害すること、そして上記のエンドルフィン系のアップレギュレーションを誘発すること、を有する可能性がある。内因性エンドルフィン系のアップレギュレーションを誘導するためのオピエートアンタゴニストの投与原理は、本明細書の先に記載されたとおりである。先に記載されたとおり、CRFアゴニストの各投与に関連する第2期間において、CRFおよび/またはAVPアンタゴニストを投与することが望ましい場合がある。望ましくは、CRF受容体アンタゴニストおよびAVP受容体アンタゴニストのいずれも、各投与に関連する第1期間には投与されない。
本発明のこの実施形態によるCRFアゴニスト投与を利用して、CRF受容体にポジティブに関連する望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態を処置してもよい。CRF受容体にポジティブに関連し、この方法を用いて処置することができる望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態の例としては、メランコリー型うつ病、記憶力の不足、将来的に起こることが予想される記憶力向上の必要性、不安および不安関連障害、食欲不振および摂食低下障害、例えば拒食症および多食症、ストレス、将来的に起こることが予想されるストレス、外傷後ストレス障害、ならびに学習または記憶の問題による意欲の欠如が挙げられる。本発明の望ましい実施形態において、CRF系のダウンレギュレーションは、CRF受容体にポジティブに関連する望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関して治療効果をもたらす。
CRF受容体アゴニストの間欠投与(ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストの間欠投与を伴う場合または伴わない場合)は、ストレス状態が今後起こるはずであれば、患者のストレス状態を処置する能力を改善するのに有利となろう。これは、少量の間欠的ストレスが生存する生物にとって実際に良好であるという事実により説明される。そのような少量の間欠的ストレスは、適切な適応性を刺激するため、生物が将来的に起こるストレス状態をより良好に処置することができる。間欠的ストレスは、事実、コルチゾールレベルを間欠的に上昇させる。そのようなコルチゾールレベルの間欠的上昇は、CRFおよび/またはAVPアゴニストの間欠的投与によっても起こる。つまりCRF受容体アゴニストの間欠的投与は、少量の間欠的ストレスにより起こるものに擬似している。それは、短期間ベースでは患者の生理学的ストレス(即ちCRF放出増加)を誘導し、ストレスとしては十分小さく、期間としては十分短いため、慢性的な大きなストレス(即ち、活動亢進性CRFおよび/またはAVP系)を起し得るほどの副作用を生じない。その方法は、将来的に起こるより大きなストレスをより良好に処置するためのものである。言い換えれば、少量の間欠的ストレス(即ち、CRFレベルの一時的上昇)を受ける生存生物は、そのような短期間の一時的ストレスを受けたことのない生物に比較して、今後そのような状態が生じた時の大きなストレス(即ち、CRFレベルの大きな上昇)により良好に対処することができる。急性のストレス状態が起これば、各投与に関連する第2期間において、CRF受容体アンタゴニストおよび/またはAVP受容体アンタゴニストを投与することが望ましい場合がある。
本発明の別の実施形態において、神経伝達物質系はコルチコトロピン放出因子を神経伝達物質として含むCRF系であり、受容体の種類はCRF受容体であり、リガンドはCRF受容体アンタゴニストであり、対抗適応はCRF系のアップレギュレーションを引き起こす。対抗適応によるCRF系の調節は、2006年2月27日に出願された表題「METHOD OF REGULATING THE CRF AND AVP SYSTEMS BY INDUCING COUNTERADAPTATIONS」の米国仮特許出願番号60/777,190に記載されている。
CRF受容体は、例えば、CRF−1またはCRF−2であってもよい。CRF−1は一般に気分に関連するが、CRF−2は一般に記憶に関連する。
対抗適応は、視床下部によるコルチコトロピン放出因子の生合成もしくは放出の増加、CRF受容体数および/もしくはCRF受容体の結合部位数の増加、CRF受容体アゴニストおよび/もしくはコルチコトロピン放出因子による結合に対する受容体の感受性の増大、またはそれらの組合せの可能性がある。
適切なCRFアンタゴニストは、本明細書の先に記載されている。CRF受容体アンタゴニストの初期投与量は、望ましくは、対抗適応効果を誘発するには十分に高いが、患者に耐えがたい直接効果をもたらすほどには高くない。例えば、初期投与量は、初期量として約0.1〜100μg/kg/日と、8時間の徐放による100〜1000μg/kg/日であってもよい。本発明の特定の実施形態において、CRF受容体アンタゴニストの初期投与量は、初期量として約1〜50μg/kg/日と、8時間の徐放による20〜50μg/kg/日であってもよい。
望ましくは、CRF受容体アゴニストおよびAVP受容体アゴニストのいずれも、CRF受容体アゴニストの各投与に関連する第1期間には投与されない。しかし本発明の特定の実施形態において、CRF受容体アゴニストおよび/またはAVP受容体アゴニストは、CRF受容体アンタゴニストの各投与に関連する第2期間のうちの1回以上に投与される。適切なCRF受容体アゴニストおよびAVP受容体アゴニストは、本明細書の先に記載されている。
本発明の別の実施形態において、ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストは、投与間の期間に対する投与半減期の比率が1/2以下になるようにして、CRFアンタゴニストと組み合わせて第1期間において投与される。ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストの投与方法ならびにその利益は、本明細書の先に記載されたとおりである。
本発明のこれらの実施形態によるCRFアンタゴニスト投与を利用して、CRF受容体にネガティブに関連する患者の望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態を処置してもよい。CRF受容体にネガティブに関連し、この方法を用いて処置することができる望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態の例としては、例えば、非定型うつ、体重増加および過食障害、倦怠、ならびに疲労が挙げられる。本発明の所望の実施形態において、CRF系のアップレギュレーションは、CRF受容体にネガティブに関連する望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関して治療効果をもたらす。
(AVP系)
AVPはADH(抗利尿ホルモン)とも呼ばれるホルモンで、環状構造を備えたノナペプチド(Cys−Tyr−Phe−Gln−Asn−Cys−Pro−Arg−Gly)であり、2個のシステイン残基の間のジスルフィド架橋を通して環状構造が形成されている。AVPは、最初はペプチドppAVPとして合成される、164アミノ酸長の活性ホルモンである。生物活性部分は、AVP(20−28)である。AVPノナペプチドは、特定の例では、より小さな生物活性フラグメント、即ちAVP(4−9)、AVP(4−8)、AVP(5−9)、AVP(5−8)に更に分解される。これらの小さなフラグメントは、末梢エンドクリン活性が欠如しているが、CNS内での選択的活性が実証されている。
AVPホルモンは、CRF(および他の複数の放出因子)と同様に視床下部で産生される。しかしAVPは、(下垂体前葉に直接流れる)CRFなどの放出因子を産生するものとは異なる分泌体から産生される。下垂体後葉は、事実上、視床下部の延長部分である。AVP産生細胞体は、視床下部内に存在する。AVPは、細胞体から、下垂体後葉に位置するこれらの神経細胞体の軸索末端に輸送される。AVPは、下垂体後葉から循環内に放出される。
環境内のAVPは、末梢および中枢の2種の基本的作用を有する。末梢作用は、血管収縮、グリコーゲン代謝および抗利尿に関連する。中枢作用は、学習および記憶、社会的行動、体温調節、自律機能および気分に関連する。
AVPは、CRFと協調的に作用して、下垂体前葉からのACTH放出を刺激する。AVPは、コルチゾールの放出に関する、腎臓への直接作用も有する。AVPは、β−エンドルフィンに対してCRFと同様の作用を有し、下垂体前葉からのβ−エンドルフィン放出を刺激する。
AVPは、ストレス、つまりうつおよび不安において役割を担う。特定の気分障害(即ち、うつおよび不安)が、活動亢進性CRF系に関連するのと同様に、うつおよび不安は、活動亢進性AVP系にも関連する。V1b受容体で作用するAVPアンタゴニストでは、動物試験において、潜在的抗うつ剤および抗不安薬として早期の好適な結果が実証された。加えて、Vla受容体で作用するアンタゴニストは、抗うつ剤および抗不安薬としての役割も担う可能性がある。
したがって本発明の一実施形態において、神経伝達物質系はコルチコトロピン放出因子を神経伝達物質として含むAVP系であり、受容体の種類はAVP受容体であり、リガンドはAVP受容体アゴニストであり、対抗適応はAVP系のダウンレギュレーションを引き起こす。対抗適応によるAVP系の調節は、2006年2月27日に出願された表題「METHOD OF REGULATING THE CRF AND AVP SYSTEMS BY INDUCING COUNTERADAPTATIONS」の米国仮特許出願番号60/777,190に記載されている。
AVP受容体は、例えば、V1R(V1aとしても知られる)、V2RまたはV3R(V1bとしても知られる)であってもよい。V3Rは、下垂体の主な受容体である。V1Rは主として肝臓および脳に存在し、V2Rは主として腎臓に存在する。本発明の望ましい実施形態において、AVP受容体は、VlR受容体またはV3R受容体である。
対抗適応は、視床下部によるアルギニンバソプレシンの生合成もしくは放出の減少、AVP受容体数および/もしくはAVP受容体の結合部位数の減少、AVP受容体アゴニストおよび/もしくはアルギニンバソプレシンによる結合に対する受容体の感受性の低下、またはそれらの組合せの可能性がある。
様々な化合物が、AVP受容体アゴニストとして用いることができる。例えば多数のペプチド系化合物がAVP受容体アゴニストである。ペプチドは、合成のものであるか、またはホ乳類源、例えばウシもしくはブタ、またはその他からのものであってもよい。ペプチドは、直鎖状または環状であってもよい。適切なペプチドAVPアゴニストとしては、例えば、フェリプレシン(2−L−Phe−8−L−Lys AVP)、デスモプレシン(1−(30−メルカプトプロピオン酸)−8−D−AVP)、およびAVPアゴニスト活性を有するAVPペプチド(Cys−Tyr−Phe−Gln−Asn−Cys−Pro−Arg−Gly)のいずれかのペプチド類似体が挙げられる。AVPペプチドアゴニストは、更に、酵素により活性AVPアゴニストに開裂されるプロペプチド分子を包含してもよい。AVPペプチドアゴニストは、更に、AVPノナペプチドのより小さな生物活性フラグメントを含むいずれかの化合物、例えばAVP(4−9)、AVP(4−8)、AVP(5−9)、AVP(5−8)を包含してもよい。本発明での使用に適した他のAVP受容体アゴニストとしては、それぞれが本明細書に参考として援用された、米国特許第6,090,803号;同第6,096,735号;同第6,096,736号;同第6,194,407号;同第6,235,900号;同第6,268,360号;同第6,297,234号;同第6,335,327号;同第6,344,451号;同第6,620,807号;同第6,642,223号;および同第6,831,079号に記載されている。当業者には理解されるであろうが、上記AVPアゴニストの薬学的に許容され得る塩または誘導体も、本発明の方法に用いることができる。
AVP受容体アゴニストの初期投与量は、望ましくは、対抗適応効果を誘発するためには十分に高いが、患者の耐えがたい直接効果をもたらすほどには高くない。例えば、初期投与量は、初期量として約0.1〜100μg/kg/日と、8時間の徐放による100〜1000μg/kg/日であってもよい。本発明の特定の実施形態において、AVP受容体アゴニストの初期投与量は、初期量として約1〜50μg/kg/日と、8時間の徐放による20〜50μg/kg/日であってもよい。
望ましくは、CRF受容体アンタゴニストおよびAVP受容体アンタゴニストのいずれも、CRF受容体アゴニストの各投与に関連する第1期間には投与されない。しかし本発明の特定の実施形態において、CRF受容体アンタゴニストおよび/またはAVP受容体アンタゴニストは、CRF受容体アゴニストの各投与に関連する第2期のうちの一つ以上において投与される。CRF受容体アンタゴニストおよびAVP受容体アンタゴニストは、本明細書の先に記載されている。
本発明の別の実施形態において、ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストは、投与間の期間に対する投与半減期の比が1/2以下になるようにして、AVPアゴニストと組み合わせて第1期間において投与される。ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストの投与方法は、本明細書の先に記載されている。AVPアゴニストの使用がAVP系のダウンレギュレーションを引き起こす意図があるが、下垂体前葉からのβ−エンドルフィン放出もダウンレギュレートするという不本意な結果ももたらし得るという事実があるため、こうすることが望ましい場合がある。そのようなエンドルフィン放出の減少は循環エンドルフィンのレベルと逆相関する望ましくない状態、例えばうつおよび不安症などの改善に必要なものに関しては逆効果を誘導する。オピエートアンタゴニストの反復投与は、2つの重要な効果:つまりAVPアゴニストによりエンドルフィンダウンレギュレーションを阻害すること、そして上記のエンドルフィン系のアップレギュレーションを誘発すること、を有する可能性がある。内因性エンドルフィン系のアップレギュレーションを誘導するためのオピエートアンタゴニストの投与原理は、本明細書の先に記載されている。先に記載されたとおり、AVPアゴニストの各投与に関連する第2期間において、CRFおよび/またはAVPアンタゴニストを投与することが望ましい場合がある。望ましくは、CRF受容体アンタゴニストおよびAVP受容体アンタゴニストのいずれも、各投与に関連する第1期間には投与されない。
本発明のこれらの実施形態によるAVPアゴニスト投与を利用して、AVP受容体にポジティブに関連する患者の望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態を処置してもよい。AVP受容体にポジティブに関連し、この方法を用いて処置することができる望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態の例としては、メランコリー型うつ病、記憶力の不足、および将来的に起こることが予想される記憶力向上の必要性、不安および不安関連障害、食欲不振および摂食量低下障害、例えば拒食症および多食症、ストレス、将来的に起こることが予想されるストレス、外傷後ストレス障害、ならびに学習または記憶の問題による意欲の欠如が挙げられる。本発明の望ましい実施形態において、AVP系のダウンレギュレーションは、AVP受容体にポジティブに関連する望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関して治療効果をもたらす。
AVP受容体アゴニストの間欠投与(ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストの間欠投与を伴う場合または伴わない場合)は、ストレス状態が今後起こるはずであれば、患者のストレス状態を処置する能力を改善するのに有利となろう。これは、少量の間欠的ストレスが生存する生物にとって実際に良好であるという事実により説明される。そのような少量の間欠的ストレスは、適切な適応性を刺激するため、生物が今後起こるストレス状態をより良好に処置することができる。間欠的ストレスは、事実、コルチゾールレベルを間欠的に上昇させる。そのようなコルチゾールレベルの間欠的上昇は、AVPアゴニストの間欠的投与によっても起こる。つまりAVP受容体アゴニストの間欠的投与は、少量の間欠的ストレスにより起こるものに擬似している。それは、短期間ベースでは患者の生理学的ストレス(即ち、AVP放出増加)を誘導し、ストレスとしては十分小さく、期間としては十分短いため、慢性的な大きなストレス(即ち、活動亢進性CRFおよび/またはAVP系)を起し得るほどの副作用を生じない。その方法は、今後起こるより大きなストレスをより良好に処置するためのものである。言い換えれば、少量の間欠的ストレス(即ち、AVPレベルの一時的上昇)を受ける生存生物は、そのような短期間の一時的ストレスを受けたことのない生物に比較して、今後そのような状態が生じた時に大きなストレス(即ち、AVPレベルの大きな上昇)をより良好に処置することができる。急性のストレス状態が起これば、各投与に関連する第2期間において、CRF受容体アンタゴニストおよび/またはAVP受容体アンタゴニストを投与することが望ましい場合がある。
本発明の別の実施形態において、神経伝達物質系はコルチコトロピン放出因子を神経伝達物質として含むAVP系であり、受容体の種類はAVP受容体であり、リガンドはAVP受容体アゴニストであり、対抗適応はAVP系のアップレギュレーションを引き起こす。対抗適応によるAVP系の調節は、2006年2月27日に出願された表題「METHOD OF REGULATING THE CRF AND AVP SYSTEMS BY INDUCING COUNTERADAPTATIONS」の米国仮特許出願番号60/777,190に記載されている。
AVP受容体は、例えば、V1R(V1aとしても知られる)、V2RまたはV3R(V1bとしても知られる)であってもよい。V3Rは、下垂体の主な受容体である。V1Rは主として肝臓および脳に存在し、V2Rは主として腎臓に存在する。本発明の望ましい実施形態において、AVP受容体は、VlR受容体またはV3R受容体である。
対抗適応は、視床下部によるコルチコトロピン放出因子の生合成もしくは放出の増加、AVP受容体数および/もしくはAVP受容体の結合部位数の減少、AVP受容体アゴニストおよび/もしくはアルギニンバソプレシンによる結合に対する受容体の感受性の増大、またはそれらの組合せの可能性がある。
適切なAVPアンタゴニストは、本明細書の先に記載されている。AVP受容体アゴニストの初期投与量は、望ましくは、対抗適応効果を誘発するためには十分に高いが、患者に耐えがたい直接効果をもたらすほどには高くない。例えば、初期投与量は、初期量として約0.1〜100μg/kg/日と、8時間の徐放による100〜1000μg/kg/日であってもよい。本発明の特定の実施形態において、AVP受容体アゴニストの初期投与量は、初期量として約1〜50μg/kg/日と、8時間の徐放による20〜50μg/kg/日であってもよい。
望ましくは、CRF受容体アゴニストおよびAVP受容体アゴニストのいずれも、AVP受容体アンタゴニストの各投与に関連する第1期間には投与されない。しかし本発明の特定の実施形態において、CRF受容体アゴニストおよび/またはAVP受容体アゴニストは、CRF受容体アンタゴニストの各投与に関連する第2期間のうちの1つ以上において投与される。適切なCRF受容体アゴニストおよびAVP受容体アゴニストは、本明細書の先に記載されている
本発明のこの実施形態によるAVPアンタゴニスト投与を利用して、AVP受容体にネガティブに関連する患者の望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態を処置してもよい。AVP受容体にネガティブに関連し、この方法を用いて処置することができる望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態の例としては、例えば、非定型うつ、体重増加および過食症、倦怠、ならびに疲労が挙げられる。本発明の望ましい実施形態において、AVP系のアップレギュレーションは、AVP受容体にネガティブに関連する望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関して治療効果をもたらす。
本発明の別の実施形態において、ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストは、投与間の期間に対する投与半減期の比が1/2以下になるようにして、AVPアンタゴニストと組み合わせて第1期間において投与される。ミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストの投与方法ならびにその利益は、本明細書の先に記載されたとおりである。
免疫系関連の状態
本発明の方法は、神経伝達物質系の一種の受容体に関連する免疫関連状態を処置および/または治療するのに有用である。これらの方法において、免疫系はアップレギュレートされる。本発明の方法を用いて治療または処置され得る免疫関連状態の例としては、癌、特に、自己免疫疾患、先天性免疫不全、免疫抑制剤療法による免疫不全、および後天性免疫不全が挙げられる。特定の自己免疫疾患の例としては、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、全般性紅斑性狼瘡、アジソン病、ALS(ロウ・ゲーリッヒ病)、アルツハイマー病、強直性脊椎炎、自閉症スペクトラム障害、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性プロゲステロン皮膚炎、ベーチェット病、セリアック病、慢性疲労症候群、チャーグ・ストラウス病(アレルギー性肉芽腫性血管炎)、クレスト症候群、クローン病、皮膚筋炎、糖尿病、気腫(COPD)、子宮内膜症、線維筋痛症、グッドパスチャー病、グレーブス病、ハシモト甲状腺炎、間質性肉芽腫性皮膚炎、過敏性腸症候群(IBS)、混合性結合組織病、自己免疫関連の結合組織病、重力筋無力症、パーキンソン病、類天疱瘡、悪性貧血、原発性側索硬化症(PLS)、多発性軟骨炎(再発性)、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎、乾癬、類肉腫症、硬皮症、シェーグレン症候群、横断脊髄炎、潰瘍性大腸炎、脈管炎、ウェゲナー肉芽腫、および感染工程に続く自己免疫疾患、ワクチン投与、または環境反応(例えば、シリコーンなどの化学物質への反応)が挙げられる。本発明の一実施形態によれば、該方法により処置される状態は、感染性微生物、例えば、細菌、真菌、寄生虫、ミコバクテリア、酵母、クラミジア、原生動物、蠕虫、リケッチア、または例えばHIV、インフルエンザ、肝炎(A、B、C型)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、胃腸性ウイルス感染、脳炎、および心筋炎などのウイルスに感染する可能性があるものである。本発明の別の実施形態によれば、免疫系関連状態はワクチンの投与であり、免疫系のアップレギュレーションにより、ワクチンが標的とする物質に対する抗体の生成が増加する。
本発明の特に望ましい実施形態において、神経伝達物質系は内因性エンドルフィン系であり、受容体の種類は一般に望ましくない免疫系関連状態にネガティブに関連するデルタオピエート受容体である。リガンドはデルタオピエート受容体アンタゴニストであり、対抗適応は免疫系のアップレギュレーションを引き起こす。本明細書の先に記載されたデルタオピエート受容体アンタゴニストのいずれも、本発明この実施形態において有用となり得る。本発明の幾つかの実施形態において、デルタオピエート受容体アンタゴニストは、ナルトレキソンまたはナロキソンではない。本発明の幾つかの望ましい実施形態において、デルタオピエート受容体アンタゴニストの初期投与量は、10mg/投与を超えるか、10.5mg/投与を超えるか、11mg/投与を超えるか、または15mg/投与を超える。デルタオピエート受容体アンタゴニストは、望ましくは、デルタ受容体選択性アンタゴニストであり、望ましくは、ミュー受容体に対して活性が実質的に低い。適切なデルタ受容体アンタゴニストの一例は、構造:
Figure 2009528289
を有する。
気分に関連して先に記載されたとおり、リガンドの各投与に関連する第1期間に免疫系機能を低下させてもよい。更に、図6に照らして記載されたものと類似の方法で実行される場合、連続投与の初期期間に免疫系機能を低下させてもよい。したがって、これらの期間に更なる医薬を1種以上投与することが望ましい場合がある。例えば、第1期間および/または連続リガンド投与の期間に、免疫薬をリガンドと組み合わせて投与することが望ましい場合がある。適切な自己免疫療法の例としては、コルチコステロイド、クロラムブシル、シクロスポリン、シクロホルファミド、メトトレキサート、アザチオプリン、TNFαアンタゴニストなどの投薬、ならびに全身酵素療法、遺伝子療法および放射線療法などの治療が挙げられる。もちろん、当業者には理解されるであろうが、今後開発されるものを含め、他の自己免疫薬を、本発明の方法で用いることができる。本発明の特定の実施形態において、自己免疫療法は第2期間には行われない。
同様に、第1期間および/または連続リガンド投与の期間に抗ウイルス剤をリガンドと組み合わせて投与することが望ましい場合がある。適切な抗ウイルス剤の例としては、インターフェロン、リバビリン、プロテアーゼ阻害剤、アマンタジン、リマンタジン、プレコナリル、抗体(モノクローナル、抗VAP、受容体抗イディオタイプ、外来受容体、および合成受容体模倣体)、アシクロビル、ジドブジン、ラミブジン、RNAアーゼH阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、ウイルスDNAへの転写因子の吸着阻害剤、いわゆる「アンチセンス」分子、合成リボザイム、ザナミビル、およびオスレタミビルが挙げられる。もちろん、当業者には理解されるであろうが、今後開発されるものを含め、他の抗ウイルス剤を、本発明の方法に用いることができる。本発明の特定の実施形態において、抗ウイルス剤は第2期間には投与されない。
同様に、第1期間および/または連続リガンド投与の期間に抗菌剤、抗真菌剤、および/または抗新生物剤をリガンドと組み合わせて投与することが望ましい場合がある。本発明の特定の実施形態において、抗菌剤、抗真菌剤、および/または抗新生物剤は第2期間には投与されない。
第1期間および/または連続リガンド投与の期間に、抗癌剤をリガンドと組み合わせて投与することが望ましい場合がある。適切な抗癌剤としては、例えば、アドリアマイシン、ブスルファン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、プロカルバジン、テモゾラミド、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ブレオマイシン、ミトマイシン、ミトキサトロン、プリカマイシン、シタラビン、フルオロウラシル、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、アスパラギナーゼ、ペガスパルガーゼ、イリノテカン、トポテカン、ビカルタミド、エストラムスチン、フルタミド、ロイプロリド、メゲストロール、ニルタミド、テストステロン、トリプトレリン、アナストラゾール、レトロゾール、アルデスロイキン、アレムツズマブ、ゲムツズマブ、トレミフェン、トラスツズマブ、エトポシド、ドセタキセル、パクリタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、アルトレタミン、エルロチニブ、グリーベック、クルクミン、タモキシフェン、ボルテゾミブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、3,4−メチレンジオキシ−5,4’−ジメトキシ−3’−アミノ−Z−スチルベン由来の癌細胞増殖阻害剤、ヒドロキシフェンスタチンおよびその二リン酸ナトリウムプロドラッグ、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、スベロイルアニリドヒドロキサム酸、トリコスタチンA、酪酸ナトリウム、メトホルミン、5−リポキシゲナーゼ(5−LO)アンタゴニスト、プロテインキナーゼAタイプIのRIα調節サブユニットを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド、ビタミンEおよびその類似体、ビタミンEスクシナート(VES)、ならびに遺伝子療法が挙げられる。もちろん、当業者には理解されるであろうが、今後開発されるものを含め、他の抗免疫薬を、本発明の方法に用いることができる。本発明の特定の実施形態において、抗ウイルス剤は第2期間には投与されない。
癌は、本明細書に記載された方法を用いて治療および/または処置され得る望ましくない免疫関連状態の1つである。本発明の望ましい一実施形態において、免疫系のアップレギュレーションは、癌を治療または処置するために、本明細書の先に記載されたデルタオピエート受容体アンタゴニストの反復投与を利用して、内因性エンドルフィン系をアップレギュレートすることにより実現される。癌細胞および免疫細胞(即ち、キラー細胞)は、両者ともオピエート受容体を有する。免疫系がアップレギュレーションを受けると、キラー細胞が癌細胞を「攻撃」する能力を高める。更なる利益は、アップレギュレートされた癌細胞が細胞死を更に受けやすくすることである。望ましくは、図6に照らして記載された方法を用い、その場合、最初にリガンドの連続投与を施し、比較的迅速な手法で免疫法のアップレギュレートを誘導する。この連続投与の時間は、例えば、癌の重症度に応じて、1日〜数週間〜数ヶ月の範囲内であってもよい。
抗癌剤により癌細胞増殖の上昇を単に阻害することに加えて、オピエートアンタゴニストを抗癌剤と同時に使用することには更なる利点が存在する。癌細胞が誘導されるとより急速に増殖するため、癌細胞は抗癌剤の効果をより受けやすくなる。つまり抗癌剤は、癌細胞が急速に増殖するこの期間に、癌細胞に対する毒性効果を高めることができる。抗癌剤は、この方法により癌細胞死の誘導をより効率的に行う。
本発明に記載された方法を用いて、免疫疾患および感染症を治療および/または処置することもできる。本発明の望ましい一実施形態において、免疫系のアップレギュレーションは、癌を治療または処置するために、本明細書の先に記載されたデルタオピエート受容体アンタゴニストの反復投与を利用して、内因性エンドルフィン系をアップレギュレートすることにより実現される。癌治療の開始と同様の手法で、図6を参照しながら先に記載されたとおり、短期間の連続受容体阻害での治療開始を選択してもよい。
例えばオピエートアンタゴニストへの対抗適応反応は、免疫系のアップレギュレーションである。アップレギュレートされた免疫系により、キラー細胞などの免疫細胞、および他の免疫細胞により免疫応答が高まる。そのようなアップレギュレートされた免疫系を利用して、異常な免疫系を有する状態を治療することができる。これらの免疫疾患は、非限定的に、自己免疫疾患、先天性免疫不全、免疫抑制剤療法(即ち、癌、移植のためのもの)による免疫不全、および後天性免疫不全(即ち、AIDS)から選択することができる。アップレギュレートされた免疫系は、細菌感染およびウイルス感染などの感染を撃退する身体能力を高めるための更なる利益であってもよい。
自己免疫疾患は、身体の自己組織に対して免疫応答を生じる、免疫系が異常に機能するものである。自己免疫疾患は、免疫系が正常な細胞および細胞成分に対して活性を生じた結果であるため、免疫系が高まると自己組織への活性が高まるため、そのような疾患が悪化するはずと思われた。これに反して自己免疫系疾患は、免疫系の強化に対して好適に応答することが示された。
本発明の一実施形態は、内因性エンドルフィン系の比較的強いアップレギュレーションのために、デルタオピエートアンタゴニストを比較的高用量(即ち、ナロキソンまたはナルトレキソン、更に数多くの類似体などを10mgを超える量に相当する量)使用し、これにより免疫系を比較的強度にアップレギュレートすることに関する。
多くの感染では、連続受容体阻害の初期に、図6に照らして記載されたものと類似方法を実施する場合には、第2の更なる利益が実現される。例えば、受容体阻害のこの期間にウイルス感染すると、免疫系の抑制により、ウイルス粒子の増殖が高まる。複製の期間にウイルスを死滅または阻害する薬剤を投与することにより、この利益を得ることができる。ウイルス粒子はより急速に増殖していくため、増殖を阻害して死滅させる薬剤に対してより感受性になる。この場合、ウイルスが受攻性であれば複製時にウイルスを攻撃するため、抗ウイルス剤がより強力になる。連続受容体阻害の期間を利用すれば、アップレギュレートされた免疫系では免疫細胞が残留するウイルス粒子をより強力に破壊することが、更なる利益になる。そのような随伴する抗ウイルス剤は、インターフェロン、リバビリン、多数のプロテアーゼ阻害剤の一種、アマンタジン、リマンタジン、プレコナリル、抗体(モノクローナル抗VAP、受容体抗イディオタイプ外来受容体および合成受容体模倣物質)、アシクロビル、ジドブジン(AZT)、ラミブジン、RNAアーゼH阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、ウイルスDNAへの転写因子の吸着阻害剤、いわゆる「アンチセンス」分子、合成リボザイム、ザナミビル(リレンザ(Relenza)(登録商標))、およびオスレタミビル(タミフル(Tamiflu)(登録商標))の群から選択することができる。当業者には理解されるであろうが、いずれの適切な抗ウイルス剤も、用いることができる。
本発明の方法を、予防的手法、即ち潜在的な感染性微生物またはウイルスに感染する可能性を低くするために用いてもよい。本発明の方法は、例えば手術前に実施して、手術時および手術後に感染のリスクを低下させてもよい。本発明の方法は、事実上いずれの感染性の物質、例えば、HIV、肝炎、インフルエンザ、RSV、結核、原生動物、リケッチア、マラリアおよびブドウ球菌に対しても、予防的手段として用いることができる。
その他の状態
本発明の別の態様によれば、本発明の先に記載された方法を用いて、心臓血管または脂質もしくはコレステロール代謝が関連する状態、例えば心臓血管障害(例えば、心臓血管、末梢血管および卒中)を処置または治療する。本発明の方法は、糖尿病(例えば、I型およびII型)を治療または処置するのにも有用である。
脂質またはコレステロール代謝の障害は、一般にCVおよび糖尿病障害の素因をつくる。本発明の方法を用いて処置または治療され得る脂質またはコレステロール代謝関連障害としては、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症(全般的なコレステロール上昇および/または低比重リポ蛋白質[LDL]コレステロール上昇、または異常に低レベルの高比重リポ蛋白質[HDL]コレステロール)が挙げられる。脂質代謝障害としては、更に、HIV(AIDSウイルス)感染による脂肪異栄養症が挙げられる。
先に記載されたとおり、AVP神経伝達物質系は、ストレス、ACTH/コルチゾール経路、および気分障害、例えばうつおよび不安に関与する。ストレスの異なる、そして非常に特異的な型は、「栄養ストレス」と呼ばれる。栄養ストレスは、絶食、飢餓、またはインスリン性低血糖により起こるストレス状態である。栄養ストレスは、グルココルチコイドレベル(コルチゾール)の上昇をもたらす。しかし、伝統的なストレスとは異なり、栄養ストレスでは、CRF放出は、コルチゾール放出における重要な役割を担わない。その代わり、AVPが栄養ストレスに応答するコルチゾール放出の主な調整物質である。
栄養ストレスは、長寿に関連する要因を議論する際に不可欠である。カロリー制限(栄養ストレスを誘発する)が生物の寿命を約30%延長し得ることが、70年前に発見された。この現象は、ラット、マウス、イヌおよびおそらく霊長類などの数多くのホ乳類でも起こることが実証された。事実、カロリー制限は、生物の寿命を延長し得ることが証明された唯一の方法である。
カロリー制限は、酵母ではSIR2と呼ばれ、ホ乳類ではSIRT1として知られる遺伝子を活性化することにより作用すると思われる。SITRT1遺伝子は、アポトーシス(細胞死)、細胞防御および代謝などの重大な工程を制御する蛋白質を標的とする酵素Sirt1をコード化する。つまりSirt1は、ストレスにより活性化される、加齢の調節系の主幹制御物質と思われる。
例えば、Sirt1は、肝臓、筋肉および脂肪細胞中の中心的代謝調節物質である。これは、Sirt1が脂肪蓄積に関与し、こうしてそれが2型糖尿病などの加齢疾患および代謝疾患に関連することを示している。Sirt1により改変される別の重大な工程が、炎症である。カロリー制限は、心臓病および神経変性などの加齢工程に関連する過剰な炎症を抑制することで知られている。Sirt1は更に、IGF−1(インスリン様増殖因子)の産生を調節する。IGF−1は、様々な生物、つまりぜん虫、ハエ、マウスおよびおそらくヒトの寿命を左右することで知られる。
Sir2およびそのヒト同類物の活性を調整する化合物は、集合的に「サーチュイン」と呼ばれる。サーチュイン活性化化合物は、「STAC」と略してもよい。そのようなSTACの1種が、リザーバトロル(reservatrol)である。赤ワインおよびストレスを与えた様々な植物に共通して見出される。事実、赤ワインからの健康に対する有益効果の一部は、リザーバトロルおよび/または他のSTACによるものと思われる。ストレスに応答してサーチュインを調整する植物により生成される更なる化合物は、数多く(少なくとも18種)存在する。
本発明の一態様は、Sirt1経路を活性化させるために、カロリー制限による生理的制御機構を模倣した方法に関する。本発明のいずれの方法でも、患者に断続的なストレスが加えられ、したがって、本発明のいずれの方法も、Sirt1経路を活性化して、それによりSirt1経路に関連する有害な状態、例えば加齢、脂肪代謝、炎症およびIGF−1系に関係する状態を治療または処置するのに有用となろう。そのような状態としては、例えば癌、関節炎、ぜん息、心臓疾患、および神経変性が挙げられる。本発明の方法は、加齢により起こる生理学的変化の予防手段として用いてもよい。先に記載された神経伝達物質系のいずれも、当業者が用いてSirt1経路を活性化することができる。
カロリー制限は、「ホルメティック」効果またはモルミシスと呼ばれるものを誘導する一手法である。1904年に、スターリング(Starling)が、少量産生されて血中で輸送され、他の器官に影響を及ぼす物質を呼称するのに、「ホルモン」という言葉を創り出した。ギリシャ語で「興奮する」を意味する「ホルモ」から来ている。SouthamおよびErlichにより、高濃度のオーク樹皮抽出液が真菌の増殖を阻害するが、低用量では真菌増殖を刺激することが見出された(Phytopathology 33:517,1943)。彼らは、スターリンの言葉を、低用量の毒が健康的になるという注意を示す「ホルミシス」に改良した。ホルミシスは、軽度の反復するストレスまたは刺激の長期利益を指す言葉として更に一般化された。
ホルミシスの一つの特徴は、特定の刺激を利用して活性化され得ることである。軽度ストレス、例えば、外部温度の上昇、軽度の放射線暴露または過重力、および栄養ストレス(即ち、カロリー制限[Frame L.T.et al.,”Caloric Restriction as a Mechanism Mediating Resistance to Environmental Disease”,Environ Health Perspect 1998、106(Suppl 1):303−324])は、全て、加齢に関するある範囲のパラメータを改善することが示された。カロリー制限は、容易に達成できないため、カロリー制限の効果を模倣した化合物を開発する流れがあった。そのような化合物は、「カロリー制限模倣剤」と呼ばれた(Weindruch R., et al.,”Caloric Restriction Mimetics−Metabolic Interventions”,Journals of Gerotology Series A:Biological Sciences and Medical Sciences, 2001, 56:20−33)。
つまり、年齢関連状態を改善する生理学的パラメータを誘導するのは、カロリー制限だけではない。低度の間欠的ストレスも、防御機構として作用する生理学的パラメータを誘導することができる。これに関連して、軽度の間欠的ストレスは、生理学的パラメータを誘導して宿主防御機構の改善を付与するため、生物にとって有利となろう。
本発明の一態様によれば、神経伝達物質受容体リガンドの間欠的投与を利用して、軽度の間欠的ストレスを誘導し、一方で防御機構を活性化して、生物が複数回のストレスを受けるのを予防する。不快につながる神経伝達物質系を利用し、本明細書の先に記載された方法を用いてカロリー制限を模倣してもよい。例えば、本明細書の先に記載された神経系の全てが、不快のストレス状態に関連する。したがって、本明細書の先に記載された方法、神経伝達物質系およびリガンドの全てを利用して、軽度の一過性ストレスを誘導してもよく、それによりホルメティック効果を誘導し、カロリー制限の効果を模倣してもよい。本発明の特定の実施形態において、これらの防御機構は、生物の複数回のストレスを予防して、加齢、脂肪代謝、炎症およびIGF−1系、例えば、癌、関節炎、ぜん息、心臓疾患および神経変性を改善する働きがある。
運動性能は、様々な神経伝達物質系、例えば内因性エンドルフィン系に関連する。身体は、運動に応答してエンドルフィンを産生する。強度および運動訓練のレベルが、エンドルフィン応答に直接関連する(Mougin et al,Eur J App Physiol,1998;Doiron, et al, J Str Cond Res,1999;Sforzo, Sport Med,1989;およびGolbfarb, et al, Sport Med,1997)。高度に訓練された運動選手および高レベルの運動強度が、エンドルフィン放出に直接関連するため、それはアップレギュレートされたエンドルフィン系により運動性能を改善するのに有利である。したがって、本発明の一態様は、本明細書の先に記載された方法、神経伝達物質系およびリガンドを使用して運動性能を改善することに関する。加えて、短期間での連続的受容体阻害が、先に記載された癌治療、感染症治療および自己免疫療法に有利となり得るため、当業者は、運動訓練時に、例えば図6に照らして記載されたとおり、短期間での連続受容体阻害を利用してもよい。本発明の一実施形態によれば、神経伝達物質系は内因性エンドルフィン系であり、リガンドはミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストであり、対抗適応は内因性エンドルフィン系のアップレギュレーションである。
認知(例えば、学習および記憶)も、神経伝達物質系、例えば内因性エンドルフィン系に直接関連する。(Riley, et al, Neurosci Biobehav Rev,1980;Getsova, et al, Neurosci Behav Physiol, Biomed & Life Sci & Russian Library of Sci,1986)。デルタオピエート受容体アンタゴニスト(例えば、ナルトレキソン)の急性期投与は、学習および記憶を阻害する(Chaves, et al., Neuropsychologia、1988)。循環内のグルココルチコイドのレベルが、認知機能に関連し、持続的に高レベルのコルチゾールが、記憶障害に関連するという事実により、神経伝達物質系と認知との関連が更に示された(Li, et al., Neurobio Aging, 2005)。その一方で、グルココルチコイドの一時的上昇は、学習および記憶課題を改善する(Patel, et al., Neurol Aging、2002)。したがって本発明の一態様は、本明細書の先に記載された方法、神経伝達物質系およびリガンドを使用して、認知を改善することに関する。例えば、これらの方法を用いて、グルココルチコイドの一時的上昇のみを起こしてもよい。本明細書の先に記載されたいずれかの方法、神経伝達物質系およびリガンドを用いて、軽度の間欠的ストレスを引き起こし、一方でグルココルチコイドの一時的上昇も引き起こす。本明細書の先に記載された方法、神経伝達物質系およびリガンドのいずれかを使用して、認知を改善することができる。別の実施例において、認知を改善するために、当業者は本明細書の先に記載されたミューおよび/またはデルタオピエート受容体アンタゴニストを用いて、内因性の系のアップレギュレートを実行することができる。加えて、短期間の連続受容体阻害は、先に記載された癌治療、感染症治療および自己免疫療法に有利となり得るため、認知機能をより急速に改善するためには、当業者は、例えば図6に照らして記載されたとおり、短期間の連続受容体阻害を利用してもよい。
本発明の精神および範囲を逸脱することなく、様々な改良および変更を本発明に施してもよいことは、当業者には理解されよう。つまり、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内に含まれることを条件に、本発明は本発明の改良および変更を包含するものとする。本明細書に引用された参考資料は全て、全体が本明細書に参考として援用される。
本発明の一実施形態に係るインビボにおけるリガンド濃度(部分a)および気分対時間(部分b)のグラフ。 本発明の別の実施形態に係るリガンドの数回の投与における気分対時間のグラフ。 比較的長い化合物半減期を有するリガンドの単回投与による投与におけるインビボのリガンド濃度対時間のグラフ。 比較的短い化合物半減期を有するリガンドの時限放出性経皮パッチによる投与におけるインビボのリガンド濃度対時間のグラフ。 比較的短い化合物半減期を有するリガンドの時限放出性経皮パッチによる投与において投与の間にパッチを除去した場合のインビボにおけるリガンド濃度対時間のグラフ。 本発明の別の実施形態に係るインビボにおけるリガンド濃度(部分a)および気分対時間(部分b)のグラフ。

Claims (374)

  1. 患者において対抗適応を誘発することにより、受容体の一種を含んだ神経伝達物質系を調節する方法であって、
    前記一種の受容体に対するリガンドを患者に反復投与する工程であって、各投与は投与半減期を有し、各投与に関連する第1期間において前記リガンドをその種の受容体に結合させ、それにより対抗適応を誘発、維持または改善する工程を備え、
    前記対抗適応は前記神経伝達物質系の調節を引き起こし、
    投与間の期間に対する前記投与半減期の比率は1/2以下である方法。
  2. 前記リガンドを患者に反復投与する前に前記一種の受容体に対するリガンドを患者に投与することにより対抗適応を誘発し、前記リガンドの反復投与によってその対抗適応を維持または改善する請求項1に記載の方法。
  3. 前記神経伝達物質系の調節は、前記一種の受容体に関係する望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関して治療効果をもたらす請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記リガンドは前記受容体の種類の受容体に対するアゴニストであり、前記調節は前記神経伝達物質系のダウンレギュレーションである請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は前記一種の受容体にポジティブに関連する請求項4に記載の方法。
  6. 前記対抗適応は、
    前記受容体の種類の受容体に結合する神経伝達物質の生合成または放出の減少、
    前記受容体の種類の受容体に結合する神経伝達物質の再取込みの増加、
    前記一種の受容体の数および前記受容体の種類の受容体上における結合部位の数の少なくともいずれかの減少、ならびに、
    天然の神経伝達物質および受容体アゴニストの少なくともいずれかによる結合に対する前記受容体の種類の受容体の感受性の低下
    のうちの少なくとも一つである請求項4〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記受容体の種類の受容体に対するアンタゴニストは、各投与に関連する第1期間には投与されない請求項4〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 各投与はその投与に関連する第2期間を有し、第2期間はその投与に関連する第1期間に後続し、前記受容体の種類の受容体に対するアンタゴニストは、それら第2期間のうちの1つ以上において投与される請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記リガンドは前記受容体の種類の受容体に対するアンタゴニストであり、前記調節は前記神経伝達物質系のアップレギュレーションである請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  10. 望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は前記一種の受容体にネガティブに関連する請求項9に記載の方法。
  11. 前記対抗適応は、
    前記受容体の種類の受容体に結合する神経伝達物質の生合成または放出の増加、
    前記受容体の種類の受容体に結合する神経伝達物質の再取込みの減少、
    前記一種の受容体の数および前記受容体の種類の受容体上における結合部位の数の少なくともいずれかの増加、ならびに、
    リガンドおよび受容体アゴニストの少なくともいずれかによる結合に対する前記受容体の感受性の増大
    のうちの少なくとも一つである請求項9または10に記載の方法。
  12. 前記受容体の種類の受容体に対するアゴニストは、各投与に関連する第1期間には投与されない請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 各投与はその投与に関連する第2期間を有し、第2期間はその投与に関連する第1期間に後続し、前記受容体の種類の受容体に対するアゴニストは、それら第2期間のうちの1つ以上において投与される請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記受容体の種類の受容体のうちの相当数は各第1期間において前記リガンドによって結合される請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記受容体の少なくとも約30%は各第1期間において前記リガンドによって結合される請求項14に記載の方法。
  16. 前記受容体の少なくとも約50%は各第1期間において前記リガンドによって結合される請求項14に記載の方法。
  17. 前記受容体の少なくとも約75%は各第1期間において前記リガンドによって結合される請求項14に記載の方法。
  18. 前記受容体の少なくとも約90%は各第1期間において前記リガンドによって結合される請求項14に記載の方法。
  19. 各第1期間の継続時間は少なくとも約5分間である請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 各第1期間の継続時間は少なくとも約30分間である請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  21. 各第1期間の継続時間は少なくとも約1時間である請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  22. 各第1期間の継続時間は少なくとも約2時間である請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  23. 各第1期間の継続時間は少なくとも約4時間である請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  24. 各第1期間の継続時間は約24時間未満である請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 各第1期間の継続時間は約16時間未満である請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
  26. 各第1期間の継続時間は約12時間未満である請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
  27. 各第1期間の継続時間は約8時間未満である請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
  28. 各第1期間の継続時間は約6時間未満である請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
  29. 各投与はその投与に関連する第2期間を有し、第2期間はその投与に関連する第1期間に後続し、各第2期間において前記受容体の相当数はリガンドによって結合されないままである請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 前記受容体の約50%以下は各第2期間においてリガンドによって結合される請求項29に記載の方法。
  31. 前記受容体の約25%以下は各第2期間においてリガンドによって結合される請求項29に記載の方法。
  32. 前記受容体の約10%以下は各第2期間においてリガンドによって結合される請求項29に記載の方法。
  33. 各第2期間の継続時間は少なくとも約2時間である請求項13〜18または29〜32のいずれか1項に記載の方法。
  34. 各第2期間の継続時間は少なくとも約10時間である請求項13〜18または29〜32のいずれか1項に記載の方法。
  35. 各第2期間の継続時間は少なくとも約15時間である請求項13〜18または29〜32のいずれか1項に記載の方法。
  36. 各第2期間の継続時間は約20時間以下である請求項13〜18または29〜32のいずれか1項に記載の方法。
  37. 各第2期間の継続時間は約30時間以下である請求項13〜18または29〜32のいずれか1項に記載の方法。
  38. 各第2期間の継続時間は約50時間以下である請求項13〜18または29〜32のいずれか1項に記載の方法。
  39. 投与間の期間に対する前記投与半減期の比率は1/3以下である請求項1〜39のいずれか1項に記載の方法。
  40. 投与間の期間に対する前記投与半減期の比率は1/5以下である請求項1〜39のいずれか1項に記載の方法。
  41. 投与間の期間に対する前記投与半減期の比率は1/8以下である請求項1〜39のいずれか1項に記載の方法。
  42. 投与間の期間に対する前記投与半減期の比率は1/12以下である請求項1〜39のいずれか1項に記載の方法。
  43. 投与間の期間に対する前記投与半減期の比率は1/24よりも大きい請求項1〜42のいずれか1項に記載の方法。
  44. 投与間の期間に対する前記投与半減期の比率は1/12よりも大きい請求項1〜42のいずれか1項に記載の方法。
  45. 投与間の期間に対する前記投与半減期の比率は1/8よりも大きい請求項1〜42のいずれか1項に記載の方法。
  46. 投与間の期間に対する前記投与半減期の比率は1/5よりも大きい請求項1〜42のいずれか1項に記載の方法。
  47. 投与間の期間に対する前記投与半減期の比率は1/4よりも大きい請求項1〜42のいずれか1項に記載の方法。
  48. 投与間の期間に対する前記投与半減期の比率は1/3よりも大きい請求項1〜42のいずれか1項に記載の方法。
  49. 各投与時のリガンドの投与量は時間と共に増加する請求項1〜48のいずれか1項に記載の方法。
  50. 各投与時のリガンドの投与量は時間と共に断続的に増加する請求項1〜49のいずれか1項に記載の方法。
  51. 前記投与量は増加の間に1週間以上の期間を有して増加する請求項50に記載の方法。
  52. 前記投与量は増加の間に2週間以上の期間を有して増加する請求項50に記載の方法。
  53. 前記投与量は増加の間に3週間以上の期間を有して増加する請求項50に記載の方法。
  54. 前記投与量は増加の間に1ヶ月以上の期間を有して増加する請求項50に記載の方法。
  55. 前記投与量は増加の間に2ヶ月以上の期間を有して増加する請求項50に記載の方法。
  56. 前記投与量は増加の間に3ヶ月以上の期間を有して増加する請求項50に記載の方法。
  57. 前記投与量は増加の間に6ヶ月以上の期間を有して増加する請求項50に記載の方法。
  58. 前記投与量は増加の間に1年以上の期間を有して増加する請求項50に記載の方法。
  59. 投与量の各増加時、投与量は初期投与量の少なくとも5%だけ増加する請求項50〜58のいずれか1項に記載の方法。
  60. 投与量の各増加時、投与量は初期投与量の少なくとも10%だけ増加する請求項50〜58のいずれか1項に記載の方法。
  61. 投与量の各増加時、投与量は初期投与量の少なくとも25%だけ増加する請求項50〜58のいずれか1項に記載の方法。
  62. 投与量の各増加時、投与量は初期投与量の少なくとも50%だけ増加する請求項50〜58のいずれか1項に記載の方法。
  63. 投与量の各増加時、投与量は初期投与量の少なくとも100%だけ増加する請求項50〜58のいずれか1項に記載の方法。
  64. 最大投与量は初期投与量の300倍以内である請求項50〜63のいずれか1項に記載の方法。
  65. 最大投与量は初期投与量の100倍以内である請求項50〜63のいずれか1項に記載の方法。
  66. 最大投与量は初期投与量の50倍以内である請求項50〜63のいずれか1項に記載の方法。
  67. 最大投与量は初期投与量の20倍以内である請求項50〜63のいずれか1項に記載の方法。
  68. 前記リガンドの投与は毎日実施される請求項1〜67のいずれか1項に記載の方法。
  69. 前記投与間の期間は2日以上である請求項1〜68のいずれか1項に記載の方法。
  70. 前記投与間の期間は3日以上である請求項1〜68のいずれか1項に記載の方法。
  71. 前記投与間の期間は5日以上である請求項1〜68のいずれか1項に記載の方法。
  72. 前記投与間の期間は1週間以上である請求項1〜68のいずれか1項に記載の方法。
  73. 前記投与間の期間は2週間以上である請求項1〜68のいずれか1項に記載の方法。
  74. 前記投与間の期間は1ヶ月以上である請求項1〜68のいずれか1項に記載の方法。
  75. 前記投与半減期は約16時間未満である請求項1〜74のいずれか1項に記載の方法。
  76. 前記投与半減期は約12時間未満である請求項1〜74のいずれか1項に記載の方法。
  77. 前記投与半減期は約8時間未満である請求項1〜74のいずれか1項に記載の方法。
  78. 前記投与半減期は約4時間未満である請求項1〜74のいずれか1項に記載の方法。
  79. 前記投与半減期は約4時間よりも長い請求項1〜78のいずれか1項に記載の方法。
  80. 前記投与半減期は約12時間よりも長い請求項1〜78のいずれか1項に記載の方法。
  81. 前記投与半減期は約16時間よりも長い請求項1〜78のいずれか1項に記載の方法。
  82. 前記投与半減期は約30時間よりも長い請求項1〜78のいずれか1項に記載の方法。
  83. 前記リガンドの化合物半減期は約16時間未満である請求項1〜82のいずれか1項に記載の方法。
  84. 前記リガンドの化合物半減期は約12時間未満である請求項1〜82のいずれか1項に記載の方法。
  85. 前記リガンドの化合物半減期は約8時間未満である請求項1〜82のいずれか1項に記載の方法。
  86. 前記リガンドの化合物半減期は約4時間未満である請求項1〜82のいずれか1項に記載の方法。
  87. 前記リガンドの化合物半減期は約4時間よりも長い請求項1〜86のいずれか1項に記載の方法。
  88. 前記リガンドの化合物半減期は約16時間よりも長い請求項1〜86のいずれか1項に記載の方法。
  89. 前記リガンドの化合物半減期は約30時間よりも長い請求項1〜86のいずれか1項に記載の方法。
  90. 前記リガンドの化合物半減期は約12時間よりも長い請求項1〜86のいずれか1項に記載の方法。
  91. 前記リガンドの化合物半減期は約12時間よりも長く、前記方法は、
    前記一種の受容体に対する第2のリガンドを、2日毎よりも短い周期で反復投与する工程をさらに備え、前記第2のリガンドの各投与は約8時間未満の投与半減期を有する請求項90に記載の方法。
  92. 約12時間よりも長い化合物半減期を有する前記リガンドはアゴニストであり、前記第2のリガンドはアゴニストである請求項91に記載の方法。
  93. 約12時間よりも長い化合物半減期を有する前記リガンドはアンタゴニストであり、前記第2のリガンドはアンタゴニストである、請求項91に記載の方法。
  94. 前記投与は少なくとも5回にわたって反復される請求項1〜93のいずれか1項に記載の方法。
  95. 前記投与は少なくとも10回にわたって反復される請求項1〜93のいずれか1項に記載の方法。
  96. 前記投与は少なくとも25回にわたって反復される請求項1〜93のいずれか1項に記載の方法。
  97. 前記投与は少なくとも50回にわたって反復される請求項1〜93のいずれか1項に記載の方法。
  98. 前記リガンドの投与量は、対抗適応反応を引き起こすのには十分であるが、リガンド−受容体結合の直接効果が低くかつ患者にとって許容可能であるように十分に低い請求項1〜97のいずれか1項に記載の方法。
  99. 第1期間の相当部分は患者の睡眠中に起こる請求項1〜98のいずれか1項に記載の方法。
  100. 第1期間の少なくとも40%は患者の睡眠中に起こる請求項1〜99のいずれか1項に記載の方法。
  101. 第1期間の少なくとも60%は患者の睡眠中に起こる請求項1〜99のいずれか1項に記載の方法。
  102. 第1期間の少なくとも85%は患者の睡眠中に起こる請求項1〜99のいずれか1項に記載の方法。
  103. 前記リガンドの各投与は、患者が就寝する前の一定時間内に実施される請求項1〜102のいずれか1項に記載の方法。
  104. 前記リガンドの各投与は、患者が就寝する1時間前よりも前に実施される請求項1〜102のいずれか1項に記載の方法。
  105. 前記リガンドの各投与は、経口投与、経皮投与、吸入投与、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、脊椎内投与、髄腔内投与、経粘膜投与のいずれかによって実施されるか、あるいは浸透圧ポンプ、マイクロカプセル、インプラント、懸濁液のいずれかを用いて実施される請求項1〜104のいずれか1項に記載の方法。
  106. 前記リガンドと組み合わせて抗不安薬を投与する工程をさらに備える請求項1〜105のいずれか1項に記載の方法。
  107. 前記抗不安薬はGABA経路に影響を与える請求項106に記載の方法。
  108. 前記抗不安薬はベンゾジアゼピンである請求項106に記載の方法。
  109. 前記ベンゾジアゼピンが、ジアゼパム、ロラゼパム、アルプラゾラム、テマゼパム、フルラゼパム、およびクロルジアゼポキシド(chlodiazepoxide)からなる群から選択される請求項108に記載の方法。
  110. 前記リガンドと組み合わせて睡眠薬を投与する工程をさらに備える請求項1〜109のいずれか1項に記載の方法。
  111. 前記リガンドと組み合わせて、TCA、MAOI、SSRI、NRI、SNRI、CRF調整剤、セロトニンシナプス前自己受容体アンタゴニスト、5HTアゴニスト、ダイノルフィンアンタゴニスト、GABA−A修飾薬、セロトニン5H2Cおよび5H2B修飾薬の少なくともいずれか、ベータ−3アドレナリン受容体アゴニスト、NMDAアンタゴニスト、V1Bアンタゴニスト、GPCR修飾薬、およびサブスタンスPアンタゴニストからなる群から選択される化合物を投与する工程をさらに備える請求項1〜110のいずれか1項に記載の方法。
  112. 前記化合物は、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、フルボキサミン、シタロプラム、エスシタロプラム、ベンラファキシン、およびレボキセチンからなる群から選択される請求項111に記載の方法。
  113. 前記リガンドと組み合わせて第1期間に自己免疫療法を行う工程をさらに備える請求項1〜112のいずれか1項に記載の方法。
  114. 前記自己免疫療法が、コルチコステロイド、クロラムブシル、シクロスポリン、シクロホスファミド、メトトレキサート(methotrexatate)、アザチオプリン、TNFαアンタゴニスト、全身酵素療法、遺伝子療法、および放射線療法からなる群から選択される請求項113に記載の方法。
  115. 自己免疫投薬は第2期間には行われない請求項113に記載の方法。
  116. 前記リガンドと組み合わせて第1期間に抗ウイルス剤を投与する工程をさらに備える請求項1〜112のいずれか1項に記載の方法。
  117. 前記抗ウイルス剤は、インターフェロン、リバビリン、プロテアーゼ阻害剤、アマンタジン、リマンタジン、プレコナリル、抗体(モノクローナル、抗VAP、受容体抗イディオタイプ、外来受容体、および合成受容体模倣体)、アシクロビル、ジドブジン(AZT)、ラミブジン、RNAアーゼH阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、ウイルスDNAへの転写因子の吸着阻害剤、アンチセンス分子、合成リボザイム、ザナミビル、およびオスレタミビルからなる群から選択される請求項116に記載の方法。
  118. 自己免疫投薬は第2期間には行われない請求項116に記載の方法。
  119. 前記リガンドと組み合わせて第1期間に抗微生物剤を投与する工程をさらに備える請求項1〜112のいずれか1項に記載の方法。
  120. 前記抗微生物剤は第2期間には投与されない請求項119に記載の方法。
  121. 前記リガンドと組み合わせて第1期間に抗真菌剤を投与する工程をさらに備える請求項1〜112のいずれか1項に記載の方法。
  122. 前記抗微生物剤は第2期間には投与されない請求項121に記載の方法。
  123. 前記リガンドと組み合わせて第1期間に抗腫瘍剤を投与する工程をさらに備える請求項1〜112のいずれか1項に記載の方法。
  124. 前記抗腫瘍剤は第2期間には投与されない請求項123に記載の方法。
  125. 前記リガンドと組み合わせて第1期間に抗癌剤を投与する工程をさらに備える請求項1〜112のいずれか1項に記載の方法。
  126. 前記抗癌剤は第2期間には投与されない請求項125に記載の方法。
  127. 前記抗癌剤は、アドリアマイシン、ブスルファン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、プロカルバジン、テモゾラミド、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ブレオマイシン、ミトマイシン、ミトキサトロン、プリカマイシン、シタラビン、フルオロウラシル、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、アスパラギナーゼ、ペガスパルガーゼ、イリノテカン、トポテカン、ビカルタミド、エストラムスチン、フルタミド、ロイプロリド、メゲストロール、ニルタミド、テストステロン、トリプトレリン、アナストラゾール、レトロゾール、アルデスロイキン、アレムツズマブ、ゲムツズマブ、トレミフェン、トラスツズマブ、エトポシド、ドセタキセル、パクリタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、アルトレタミン、エルロチニブ、グリーベック、クルクミン、タモキシフェン、ボルテゾミブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、3,4−メチレンジオキシ−5,4’−ジメトキシ−3’−アミノ−Z−スチルベン由来の癌細胞増殖阻害剤、ヒドロキシフェンスタチンおよびその二リン酸ナトリウムプロドラッグ、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、スベロイルアニリドヒドロキサム酸、トリコスタチンA、酪酸ナトリウム、メトホルミン、5−リポキシゲナーゼ(5−LO)アンタゴニスト、プロテインキナーゼAタイプIのRIα調節サブユニットを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド、ビタミンEおよびその類似体、ビタミンEスクシナート(VES)、ならびに遺伝子療法からなる群から選択される請求項126に記載の方法。
  128. 前記神経伝達物質系はSP系であり、
    前記一種の受容体はSP受容体であり、
    前記リガンドはSP受容体アゴニストであり、
    前記対抗適応は前記SP系のダウンレギュレーションを引き起こす請求項1〜127のいずれか1項に記載の方法。
  129. 前記対抗適応は、
    受容体末端におけるか、または脳下垂体によるかのSP、NKA、およびNKBの少なくともいずれかの生合成または放出の減少、
    前記受容体の数および前記受容体上における結合部位の数の少なくともいずれかの減少、ならびに、
    SP受容体アゴニスト、SP、NKA、およびNKBの少なくともいずれかによる結合に対する前記受容体の感受性の低下
    のうちの少なくとも一つである請求項128に記載の方法。
  130. 前記SP受容体アゴニストはペプチド系である請求項128〜129のいずれか1項に記載の方法。
  131. 前記SP受容体アゴニストは、SP、NKA、およびNKBの少なくともいずれかの類似体、またはそれらの医薬として許容された塩もしくは誘導体である請求項128〜129のいずれか1項に記載の方法。
  132. 前記SP受容体アゴニストは、サブスタンスP;サブスタンスP、遊離酸;ビオチン−サブスタンスP;[Cys3,6,Tyr,Pro]−サブスタンスP;(ジスルフィド架橋:3−6),[Cys3,6,Tyr,Pro10]−サブスタンスP;(ジスルフィド架橋:3−6),[4−クロロ−Phe7,8]−サブスタンスP;[4−ベンゾイル−Phe]−サブスタンスP;[スクシニル−Asp,N−Me−Phe]−サブスタンスP(6−11)(センクチド);[Tyr]−サブスタンスP;[Tyr]−サブスタンスP;またはサメ・サブスタンスPペプチドである、請求項128〜129のいずれか1項に記載の方法。
  133. 前記SP受容体アゴニストは、NKA(4−10)およびNKB(4−10)のいずれかに類似したC末端ヘプタペプチドを有するNKA類似体もしくはNKB類似体、あるいはそれらの医薬として許容され得る塩もしくは担体である請求項128〜129のいずれか1項に記載の方法。
  134. 前記SP受容体アゴニストは、[Gln]−NKA、[Gln]−NKA(4−10)、[Phe]−NKA、[Phe]−NKA(4−10)、[Ile]−NKA、[Ile7]−NKA(4−10)、[Lys,MeLeu,Nle10]−NKA(4−10)、[Nle10]−NKA(4−10)、β−Ala8]−NKA(4−10)、[Ala]−NKA(4−10)、[Gln]−NKB、[Gln]−NKB(4−10)、[Phe]−NKB、[Phe]−NKB(4−10)、[Ile]−NKB、[Ile]−NKB(4−10)、[Lys,MeLeu,Nle10]−NKB(4−10)、[Nle10]−NKB(4−10)、β−Ala8]−NKB(4−10)、[Ala]−NKB(4−10)、GR73,632[デルタ−アミノバレリル[Pro9,N−Me−Leu10]−サブスタンスP(7−11)]、[Glu(OBzl)11]サブスタンスP、およびヘモキニン1(HK−1)(サブスタンスP同族体)、またはそれらの医薬として許容され得る塩もしくは担体である請求項128〜129のいずれか1項に記載の方法。
  135. 前記SP受容体アゴニストは、[Arg]−NKB、またはそれの医薬として許容され得る塩もしくは担体である請求項128〜129のいずれか1項に記載の方法。
  136. 前記SP受容体アゴニストは、MePheで置換したValを有するNKA類似体もしくはNKB類似体、あるいはそれらの医薬として許容され得る塩もしくは担体である請求項128〜129のいずれか1項に記載の方法。
  137. 前記SP受容体アゴニストの初期投与量は、初期量として約0.1〜100μg/kg/日と、8時間の徐放による100〜1000μg/kg/日である請求項128〜136のいずれか1項に記載の方法。
  138. 前記SP受容体アゴニストの初期投与量は、初期量として約1〜50μg/kg/日と、8時間の徐放による20〜50μg/kg/日である請求項128〜136のいずれか1項に記載の方法。
  139. 前記方法は、患者の望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態を処置するために用いられる請求項128〜136のいずれか1項に記載の方法。
  140. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、慢性的疼痛、気分障害、摂食障害、不安障害、欲求異常、薬物濫用障害、炎症状態、悪心もしくは嘔吐、尿失禁、皮疹、紅斑、または発疹である請求項139に記載の方法。
  141. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、線維筋痛症、慢性疲労症候群、慢性背痛、慢性頭痛、慢性の癌性疼痛、帯状疱疹、反射性交感神経ジストロフィー、神経障害、または炎症性疼痛である請求項139に記載の方法。
  142. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、将来的に起こることが予想される疼痛である請求項139に記載の方法。
  143. 前記将来的に起こることが予想される疼痛は、医学的処置による疼痛または身体運動による疼痛である請求項141に記載の方法。
  144. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、大うつ病、外傷後うつ病、一過性の憂うつな気分、躁うつ病、気分変調性障害、全般性気分障害、無快感症、または非器質性性機能障害である請求項139に記載の方法。
  145. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、過食、肥満、拒食症または多食症である請求項139に記載の方法。
  146. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、全般性不安状態、パニック障害、恐怖症、強迫神経症、注意欠陥多動性障害、トゥーレット症候群、ヒステリー睡眠障害、または呼吸関連睡眠障害である請求項139に記載の方法。
  147. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、学習または記憶の問題による意欲の欠如である請求項139に記載の方法。
  148. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、睡眠薬、アルコール、ニコチン、覚醒剤、抗不安薬、中枢神経抑制薬、幻覚剤およびマリファナからなる群から選択される薬物の濫用である請求項139に記載の方法。
  149. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、ぜん息、関節炎、鼻炎、結腸炎、炎症性腸疾患、皮膚もしくは粘膜の炎症、あるいは急性膵炎である請求項139に記載の方法。
  150. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、化学療法によって生じる悪心または嘔吐である請求項139に記載の方法。
  151. 前記方法は、癌に対する補助的な治療法として用いられる請求項128〜150のいずれか1項に記載の方法。
  152. SP受容体アンタゴニストは、各投与に関連する第1期間には投与されない請求項128〜151のいずれか1項に記載の方法。
  153. SP受容体アンタゴニストは、第2期間のうちの1つ以上において投与される請求項128〜152のいずれか1項に記載の方法。
  154. 前記SP受容体アンタゴニストは、SR48968、L−760735、CP−96,345、NKP608、L−AT、MK−869、L−742,694、L−733060、CP−99,994、P−122,721、CP122,171、GSK597599、GSK679769、GSK823296、サレデュタント、タルネタント、オサネタント、ならびにそれらの医薬として許容され得る塩、類似体および誘導体である請求項153に記載の方法。
  155. SP受容体アンタゴニストの初期投与量は、L−760735では8時間に対して12mg/kg/時間、CP−96,345では約30μg/kg/時間、SSR240600では0.1〜10mg/kg/投与、NKP608では0.01〜0.1mg/kg/投与、L−ATでは1〜10mg/kg/投与、MK−869では0.01〜3mg/kg/投与、L−742,694では1〜30mg/kg/投与、L−733,060では1〜10mg/kg/投与、CP−99,994またはCP−122,721では3〜30mg/kg/、およびサレデュタントでは約100mg/投与に相当する請求項154に記載の方法。
  156. 前記SP系のダウンレギュレーションは、望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関して治療効果をもたらす請求項128〜155のいずれか1項に記載の方法。
  157. 前記神経伝達物質系は内因性エンドルフィン系であり、
    前記一種の受容体はミューオピエート受容体およびデルタオピエート受容体の少なくともいずれかであり、
    前記リガンドはミューオピエート受容体アンタゴニストおよびデルタオピエート受容体アンタゴニストの少なくともいずれかであり、
    前記対抗適応は内因性エンドルフィン系のアップレギュレートを引き起こす請求項1〜127のいずれか1項に記載の方法。
  158. 前記対抗適応は、
    受容体末端におけるか、脳下垂体によるかの少なくともいずれかのエンドルフィンの生合成または放出の増加、
    前記受容体の数および前記受容体上のエンドルフィン結合部位の数の少なくともいずれかの増加、ならびに
    ミューオピエートアゴニスト、デルタオピエートアゴニストおよびエンドルフィンの少なくともいずれかによる結合に対する前記受容体の感受性の増大
    のうちの少なくとも一つである、請求項157に記載の方法。
  159. 前記対抗適応は、
    受容体末端におけるエンドルフィンの生合成または放出の増加と脳下垂体によるエンドルフィンの生合成または放出の増加、ならびに
    前記受容体の数および前記受容体上のエンドルフィン結合部位の数の少なくともいずれかの増加
    のうちの少なくとも一つである請求項157〜158のいずれか1項に記載の方法。
  160. 前記ミューオピエート受容体アンタゴニストおよびデルタオピエート受容体アンタゴニストの少なくともいずれかは、特異的なミュー受容体アンタゴニストまたは特異的なデルタ受容体アンタゴニストである請求項157〜159のいずれか1項に記載の方法。
  161. 前記ミューオピエート受容体アンタゴニストおよびデルタオピエート受容体アンタゴニストの少なくともいずれかは、メシル酸クロシンナモクス、CTAP、CTOP、エトニタゼニルイソチオシアネート、β−フナルトレキサミン塩酸塩、ナロキソナジン二塩酸塩、シプロジム、ならびにそれらの医薬として許容され得る塩、類似体および誘導体からなる群から選択される特異的なミューオピエート受容体アンタゴニストである請求項157〜159のいずれか1項に記載の方法。
  162. 前記ミューオピエート受容体アンタゴニストおよびデルタオピエート受容体アンタゴニストの少なくともいずれかは、ナルトリンドール、N−ベンジルナルトリンドールHCl、BNTXマレイン酸塩、ICI−154,129、ICI−174,864、メシル酸ナルトリベン、SDM25N HCl、7−ベンジリデンナルトレキソン、ならびにそれらの医薬として許容され得る塩、類似体および誘導体からなる群から選択される特異的なデルタオピエート受容体アンタゴニストである請求項157〜159のいずれか1項に記載の方法。
  163. 前記ミューオピエート受容体アンタゴニストおよびデルタオピエート受容体アンタゴニストの少なくともいずれかは、非特異的なオピエートアンタゴニストである請求項157〜159のいずれか1項に記載の方法。
  164. 前記ミューオピエート受容体アンタゴニストおよびデルタオピエート受容体アンタゴニストの少なくともいずれかは、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェンもしくはナルブフィン、またはそれらの医薬として許容され得る塩もしくは誘導体である請求項157〜159のいずれか1項に記載の方法。
  165. 前記デルタオピエート受容体アンタゴニストは、以下の構造を有する化合物
    Figure 2009528289
    (式中、Rは、アリル、メチルアリル、シクロプロピルメチル、ジメチルアリル、テトラヒドロフルフリル、またはシクロブチルメチルであり、
    は、H、(C〜C18ヒドロカルビル)−、(C〜C18ヒドロカルビル)−CO−、(C〜C18ヒドロカルビル)N−CO−、(C〜C18ヒドロカルビル)−SO−、(C〜C18ヒドロカルビル)−O−CO−、Ph−CO−、Ph−SO−、Ph−NH−COであり、各Phは、(C〜C12ヒドロカルビル)、(C〜C12ヒドロカルビル)−O−、Cl、F、Br、I、CF、RO−、およびR N−からなる群から独立して選択される一以上の置換基で任意に置換されており、各Rは、H、(C〜Cアルキル)、H−CO−、および(C〜Cアルキル)−CO−からなる群から独立して選択され、
    各R2aおよびR2bは、H、(C〜Cアルキル)、(C〜Cアルキル)−O−、(C〜Cアルキル)−CO−O−、R−O−、R N−、R−CO−NH−、R−S−、およびNOからなる群から独立して選択され、各Rは、H、(C〜Cアルキル)、(C〜C10シクロアルキル)、(C〜C10アリール)(C〜Cアルキル)−CO−、(C〜C10シクロアルキル)−CO−、(C〜C10アリール)−CO−からなる群から独立して選択され、Rはそれぞれ、(C〜C12ヒドロカルビル)、(C〜C12ヒドロカルビル)−O−、Cl、F、Br、I、CF、RO−、およびR N−からなる群から選択される1〜3個の置換基で任意に置換されているか、あるいはR2aおよびR2bが一緒になってO=もしくはCH=を形成し、
    は、H、OH、CH、またはOCHである)、
    またはそれのN−オキシドもしくは医薬として許容され得る塩である請求項157〜159のいずれか1項に記載の方法。
  166. Rはアリルである請求項165に記載の方法。
  167. はHではない請求項165または166に記載の方法。
  168. はo−アミノベンゾイルまたはo−(アセチルオキシ)ベンゾイルである請求項165または166に記載の方法。
  169. は(C〜C18アルキル)または(C〜C18アルキル)CO−である請求項165または166に記載の方法。
  170. は(C〜Cアルキル)CO−である請求項165または166に記載の方法。
  171. 2aおよびR2aは一緒になってO=を形成していない請求項165〜170のいずれか1項に記載の方法。
  172. 2aおよびR2aはHであるか、あるいは一緒になってCH=を形成している請求項165〜170のいずれか1項に記載の方法。
  173. はOHではない請求項165〜172のいずれか1項に記載の方法。
  174. 前記ミューオピエート受容体アンタゴニストおよびデルタオピエート受容体アンタゴニストの少なくともいずれかの初期投与量は、ナロキソンでは約2mg/投与と約200mg/投与の間に相当する請求項161〜173のいずれか1項に記載の方法。
  175. 前記ミューオピエート受容体アンタゴニストおよびデルタオピエート受容体アンタゴニストの少なくともいずれかの初期投与量は、ナロキソンでは約10mg/投与と約100mg/投与の間に相当する、請求項161〜173のいずれか1項に記載の方法。
  176. 前記ミューオピエート受容体アンタゴニストおよびデルタオピエート受容体アンタゴニストの少なくともいずれかはナロキソン、またはそれの医薬として許容され得る塩もしくはプロドラッグである請求項157〜158のいずれか1項に記載の方法。
  177. ナロキソンの各投与量は10mg/投与よりも多いか、10.5mg/投与よりも多いか、11mg/投与よりも多いか、あるいは15mg/投与よりも多い請求項176に記載の方法。
  178. ナロキソンの初期投与量は10〜50mg/投与である請求項176〜177に記載の方法。
  179. ナロキソンの初期投与量は5〜500mg/投与である請求項176〜177に記載の方法。
  180. ナロキソンの最大投与量は3000mg/投与以下である請求項176〜179に記載の方法。
  181. 前記ミューオピエート受容体アンタゴニストおよびデルタオピエート受容体アンタゴニストの少なくともいずれかは、時限放出製剤または徐放製剤を用いて投与される、請求項157〜180のいずれか1項に記載の方法。
  182. 前記ミューオピエート受容体アンタゴニストおよびデルタオピエート受容体アンタゴニストの少なくともいずれかは、経口投与、経皮投与、脊椎内投与、髄腔内投与、吸入投与、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、経粘膜的投与のいずれかで投与されるか、あるいは浸透圧ポンプ、マイクロカプセル、インプラント、懸濁液のいずれかを介して投与される請求項157〜180のいずれか1項に記載の方法。
  183. 前記ミューオピエート受容体アンタゴニストおよびデルタオピエート受容体アンタゴニストの少なくともいずれかは経皮投与される請求項157〜180のいずれか1項に記載の方法。
  184. 前記ミューオピエート受容体アンタゴニストおよびデルタオピエート受容体アンタゴニストの少なくともいずれかは、2〜12時間、2〜6時間、あるいは6〜12時間の継続期間にわたって放出される請求項181〜183のいずれか1項に記載の方法。
  185. 前記ミューオピエート受容体アンタゴニストおよびデルタオピエート受容体アンタゴニストの少なくともいずれかは、急速に吸収される負荷投与として投与される請求項157〜180のいずれか1項に記載の方法。
  186. 前記ミューオピエート受容体アンタゴニストおよびデルタオピエート受容体アンタゴニストの少なくともいずれかは、急速に吸収される負荷投与と、経皮投与、時限放出製剤、または徐放製剤形態との双方を用いて投与される請求項157〜180のいずれか1項に記載の方法。
  187. 特異的なミュー受容体アンタゴニストおよびデルタ受容体アンタゴニストの少なくともいずれか、ならびに非特異的なミュー受容体アンタゴニストおよびデルタ受容体アンタゴニストの少なくともいずれかは、ほぼ同時に投与される請求項157〜186のいずれか1項に記載の方法。
  188. 特異的なミュー受容体アンタゴニストおよびデルタ受容体アンタゴニストの少なくともいずれか、ならびに非特異的なミュー受容体アンタゴニストおよびデルタ受容体アンタゴニストの少なくともいずれかは、連続して投与される請求項157〜186のいずれか1項に記載の方法。
  189. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、疼痛、気分障害、摂食障害、不安障害、欲求異常、薬物濫用障害、意欲または能力の不足、免疫系関連の状態、および治療が必要な創傷である請求項157〜188のいずれか1項に記載の方法。
  190. 前記方法は、患者の望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態を処置するために用いられる請求項157〜189のいずれか1項に記載の方法。
  191. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、将来的に起こることが予想される疼痛、慢性的疼痛症候群、または急性疼痛である請求項190に記載の方法。
  192. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、将来の手術により起こることが予想される疼痛、将来の身体運動により起こることが予想される疼痛、線維筋痛症、慢性疲労症候群、慢性背痛、慢性頭痛、帯状疱疹、反射性交感神経ジストロフィー、神経障害、炎症性疼痛、または慢性的癌性疼痛である請求項190に記載の方法。
  193. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、大うつ病、外傷後うつ病、一過性の憂うつな気分、躁うつ病、気分変調性障害、全般性気分障害、無快感症、または非器質性性機能障害である請求項190に記載の方法。
  194. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、過食、肥満、拒食症または多食症である請求項190に記載の方法。
  195. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、全般性不安状態、パニック障害、トゥーレット症候群、ヒステリー睡眠障害、または呼吸関連睡眠障害である請求項190に記載の方法。
  196. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、学習または記憶の問題による意欲の欠如である請求項190に記載の方法。
  197. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、睡眠薬、アルコール、ニコチン、覚醒剤、抗不安薬、中枢神経抑制薬、幻覚剤およびマリファナからなる群から選択される薬物の濫用である請求項190に記載の方法。
  198. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、所期の精神的または身体的活動に対する意欲または準備の不足である請求項190に記載の方法。
  199. 前記所期の活動は、体育、運動競技、学習、または試験である請求項198に記載の方法。
  200. 前記方法は、癌、感染症、AIDS、または創傷に対する補助的な治療法として用いられる請求項157〜199のいずれか1項に記載の方法。
  201. ミューオピエート受容体アゴニストおよびデルタオピエート受容体アゴニストの少なくともいずれかは、各投与に関連する第1期間には投与されない請求項157〜200のいずれか1項に記載の方法。
  202. ミューオピエート受容体アゴニストおよびデルタオピエート受容体アゴニストの少なくともいずれかは、第2期間のうちの1つ以上において投与される請求項157〜201のいずれか1項に記載の方法。
  203. CRF受容体アンタゴニストは、第2期間のうちの1つ以上において投与される請求項157〜201のいずれか1項に記載の方法。
  204. 前記CRF受容体アンタゴニストは、R121919、DMP696、アンタラルミン、CP−154,526、SSR125543A、2−アリールアミノ−4−トリフルオロメチルアミノメチルチアゾールアンタゴニスト、アストレシン、アルファ−らせんCRF化合物、ならびにそれらの医薬として許容され得る塩、類似体、および誘導体からなる群から選択される請求項203に記載の方法。
  205. CRF受容体アゴニストは、前記ミューオピエート受容体アンタゴニストおよびデルタオピエート受容体アンタゴニストの少なくともいずれかと組み合わせて反復投与され、前記CRF受容体アゴニストの各投与は投与半減期を有し、投与間の期間に対する前記投与半減期の比率は1/2以下である請求項157〜204のいずれか1項に記載の方法。
  206. CRF受容体アゴニストは、第2期間のうちの1つ以上において投与される請求項157〜204のいずれか1項に記載の方法。
  207. 前記内因性エンドルフィン系のアップレギュレーションは、ミューオピエート受容体およびデルタオピエート受容体の少なくともいずれかに関係する望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関して治療効果をもたらす請求項157〜206のいずれか1項に記載の方法。
  208. 前記神経伝達物質系はダイノルフィン系であり、
    前記一種の受容体はカッパ受容体であり、
    前記リガンドはカッパ受容体アゴニストであり、
    前記対抗適応は前記ダイノルフィン系のダウンレギュレーションを引き起こす請求項1〜127のいずれか1項に記載の方法。
  209. 前記対抗適応は、
    受容体末端におけるか、または脳下垂体によるかのダイノルフィンの生合成または放出の減少、
    前記カッパ受容体の数および前記カッパ受容体上における結合部位の数の少なくともいずれかの減少、ならびに、
    カッパ受容体アゴニストおよびダイノルフィンの少なくともいずれかによる結合に対する前記カッパ受容体の感受性の低下
    のうちの少なくとも一つである請求項208に記載の方法。
  210. 前記カッパ受容体アゴニストはペプチド系である請求項208〜209のいずれか1項に記載の方法。
  211. 前記カッパ受容体アゴニストは、ダイノルフィン、またはそれの医薬として許容され得る塩、担体、もしくは類似体である請求項208〜209のいずれか1項に記載の方法。
  212. 前記カッパ受容体アゴニストは、ノンベンゾモルファン;エナドリン;PD117302;CAM569;PD123497;GR89,696;U69,593;TRK−820;トランス−3,4−ジクロロ−N−メチル−N−[1−(1−ピロリジニル)シクロヘキシル]ベンゼン−アセトアミド;アシマドリン(EMD−61753);ベンゼンアセトアミド;チオモルホリン;ピペリジン;ベンゾ[b]チオフェン−4−アセトアミド;トランス−(+/−)−(PD−117302);4−ベンゾフランアセトアミド(PD−129190);2,6−メタノ−3−ベンズアゾシン−8−オール(MR−1268);モルフィナン−3−オール(KT−90);GR−45809;1−ピペラジンカルボン酸(GR−89696);GR−103545;ピペラジン(piperzaine);GR−94839;クソルファノール(xorphanl);ベンゼンアセトアミド(RU−49679);フェドトジン;ベンゼンアセトアミド(DuP−747);HN−11608;アパドリン(RP−60180);メシル酸スピラドリン;ベンゼンアセトアミド トランス−U−50488メタン硫酸塩;3FLB;FE200665;FE200666;MPCB−GRRIおよびMPCB−RRIのいずれかの類似体、ダイノルフィンA(1−8)のC−末端フラグメントの類似体、またはそれらの医薬として許容された塩もしくは担体である請求項208〜209のいずれか1項に記載の方法。
  213. 前記カッパ受容体アゴニストの初期投与量は、ダイノルフィンでは0.0005〜0.05mg/kg/投与、エナドリンでは5〜700mg/投与、FE20665では1〜500μg/投与、0.5〜100μg/投与;U69,593では0.01〜1mg/kg/投与、TRK−820では0.05〜5mg/kg/投与、U50,488では0.01〜1mg/kg/投与、PD117302では0.01〜1mg/kg/投与に相当する請求項208〜212のいずれか1項に記載の方法。
  214. 前記カッパ受容体アゴニストの初期投与量は、ダイノルフィンでは0.005〜0.02mg/kg/投与、エナドリンでは100〜500mg/投与、FE20665では3〜100μg/投与、FE20666では1〜80μg/投与、U69,593では0.1〜0.7mg/kg/投与、TRK−820では0.5〜3mg/kg/投与、U50,488では0.5〜7mg/kg/投与、PD117302では0.1〜0.7mg/kg/投与に相当する請求項208〜212のいずれか1項に記載の方法。
  215. 前記カッパ受容体アゴニストはサルビノリンAまたはその類似体もしくはプロドラッグである請求項208〜212のいずれか1項に記載の方法。
  216. サルビノリンAの初期投与量は5〜200μg/投与である請求項215に記載の方法。
  217. サルビノリンAの最大投与量は少なくとも5000μg/投与である請求項215〜216のいずれか1項に記載の方法。
  218. サルビノリンAは経粘膜投与される請求項215〜217のいずれか1項に記載の方法。
  219. サルビノリンAは徐放製剤として投与される請求項215〜218のいずれか1項に記載の方法。
  220. サルビノリンAは2〜6時間の継続期間にわたって投与される請求項219に記載の方法。
  221. ペプチド系のカッパ受容体アゴニストおよび非ペプチド系のカッパ受容体アゴニストは、ほぼ同時に投与される請求項208〜220のいずれか1項に記載の方法。
  222. ペプチド系のカッパ受容体アゴニストおよび非ペプチド系のカッパ受容体アゴニストは、連続して投与される請求項208〜220のいずれか1項に記載の方法。
  223. 前記方法は、患者の望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態を処置するために用いられる請求項208〜222のいずれか1項に記載の方法。
  224. 前記状態は、疼痛、気分障害、摂食障害、不安障害、欲求異常、薬物濫用障害、および意欲または能力の不足のいずれかである請求項223に記載の方法。
  225. 前記状態は、将来的に起こることが予想される疼痛、慢性的疼痛症候群、または急性疼痛である請求項223に記載の方法。
  226. 前記状態は、将来の手術により起こることが予想される疼痛、将来の身体運動により起こることが予想される疼痛、線維筋痛症、慢性疲労症候群、慢性背痛、慢性頭痛、帯状疱疹、反射性交感神経ジストロフィー、神経障害、炎症性疼痛、または慢性的癌性疼痛である請求項223に記載の方法。
  227. 前記状態は、大うつ病、外傷後うつ病、一過性の憂うつな気分、躁うつ病、気分変調性障害、全般性気分障害、無快感症、または非器質性性機能障害である請求項223に記載の方法。
  228. 前記状態は、過食、肥満、拒食症または多食症である請求項223に記載の方法。
  229. 前記状態は、全般性不安状態、パニック障害、トゥーレット症候群、ヒステリー睡眠障害、または呼吸関連睡眠障害である請求項223に記載の方法。
  230. 前記状態は、学習または記憶の問題による意欲の欠如である請求項223に記載の方法。
  231. 前記状態は、睡眠薬、アルコール、ニコチン、覚醒剤、抗不安薬、中枢神経抑制薬、幻覚剤およびマリファナからなる群から選択される薬物の濫用である請求項223に記載の方法。
  232. 前記状態は、所期の精神的または身体的活動に対する意欲または準備の不足である請求項223に記載の方法。
  233. 前記所期の活動は、体育、運動競技、学習、または試験である請求項232に記載の方法。
  234. 前記方法は、癌に対する補助的な治療法として用いられる請求項208〜233のいずれか1項に記載の方法。
  235. カッパ受容体アンタゴニストは、各投与に関連する第1期間には投与されない請求項208〜234のいずれか1項に記載の方法。
  236. カッパ受容体アンタゴニストは、第2期間のうちの1つ以上において投与される請求項208〜234のいずれか1項に記載の方法。
  237. 前記ダイノルフィン系のダウンレギュレーションは、カッパ受容体に関係する望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関して治療効果をもたらす請求項208〜236のいずれか1項に記載の方法。
  238. 前記神経伝達物質系はセロトニン系であり、
    前記対抗適応はセロトニン系のアップレギュレーションを引き起こす請求項1〜127のいずれか1項に記載の方法。
  239. 前記一種の受容体はセロトニンシナプス前自己受容体であり、
    前記リガンドはセロトニンシナプス前自己受容体アゴニストである請求項238に記載の方法。
  240. 前記対抗適応は、
    シナプス間隙におけるセロトニンの生合成および放出の少なくともいずれかの増加、
    セロトニンの再取込みの減少、
    セロトニンシナプス前自己受容体の数の減少、
    セロトニンおよびセロトニンシナプス前自己受容体アゴニストの少なくともいずれかに対するセロトニンシナプス前自己受容体の感受性の低下、
    セロトニンシナプス後受容体の数の増加、ならびに、
    セロトニンおよびセロトニンシナプス後受容体アゴニストのいずれかに対するセロトニンシナプス後受容体の感受性の増大
    のうちの少なくとも一つである請求項239に記載の方法。
  241. 前記セロトニンシナプス前自己受容体は、5HT1A自己受容体および5HT1B自己受容体の少なくともいずれかである請求項239〜240のいずれか1項に記載の方法。
  242. 前記セロトニンシナプス前自己受容体アゴニストは、EMD−68843、バスピロン、ゲピロン、イプサピロン、タンドスピロン、レソピトロン、ザロスピロン、MDL−73005EF、およびBP−554のいずれかである請求項239〜242のいずれか1項に記載の方法。
  243. 前記セロトニンシナプス前自己受容体アゴニストの初期投与量は、EMD−68843では1〜400mg/投与、ブスピロンでは1〜500mg/投与、レソピトロンでは1〜500mg/投与、ゲピロンでは1〜500mg/投与、タンドスピロンでは5〜500mg、ザロスピロンでは1〜200mgに相当する請求項239〜242のいずれか1項に記載の方法。
  244. 前記セロトニンシナプス前自己受容体の初期投与量は、EMD−68843では10〜100mg/投与、ブスピロンでは10〜100mg/投与、レソピトロンでは10〜200mg/投与、ゲピロンでは10〜100mg/投与、タンドスピロンでは20〜200mg、ザロスピロンでは10〜100mgに相当する請求項239〜242のいずれか1項に記載の方法。
  245. セロトニンシナプス前自己受容体アンタゴニストは、各投与に関連する第1期間には投与されない請求項239〜244のいずれか1項に記載の方法。
  246. セロトニンシナプス前自己受容体アンタゴニストは、第2期間のうちの1つ以上において投与される請求項239〜244のいずれか1項に記載の方法。
  247. 前記一種の受容体はセロトニンシナプス後受容体であり、
    前記リガンドはセロトニンシナプス後受容体アンタゴニストである請求項238に記載の方法。
  248. 前記対抗適応は、
    シナプス間隙におけるセロトニンの生合成および放出の少なくともいずれかの増加、
    セロトニンの再取込みの減少、
    セロトニンシナプス後受容体の数の増加、
    セロトニンおよびセロトニンシナプス後受容体アゴニストの少なくともいずれかに対するセロトニンシナプス後受容体の感受性の増大、
    セロトニンシナプス前自己受容体の数の減少、ならびに、
    セロトニンおよびセロトニンシナプス前自己受容体アゴニストの少なくともいずれかに対するセロトニンシナプス前自己受容体の感受性の低下
    のうちの少なくとも1つである、請求項247に記載の方法。
  249. 前記セロトニンシナプス後受容体は、5HT受容体、5HT受容体、5HT受容体、5HT受容体、5HT受容体、5HT受容体、5HT受容体、およびそれらのサブタイプの受容体のうちのいずれかである請求項247〜248のいずれか1項に記載の方法。
  250. 前記セロトニンシナプス後受容体アンタゴニストは、(S)−WAY−100135、WAY−100635、バスピロン、ゲピロン、イプサピロン、タンドスピロン、レソピトロン、ザロスピロン、MDL−73005EF、およびBP−554のいずれかである請求項247〜249のいずれか1項に記載の方法。
  251. 前記セロトニンシナプス後受容体アンタゴニストの初期投与量は、WAY−100635では約0.01〜5mg/kg/投与に相当する請求項247〜250のいずれか1項に記載の方法。
  252. 前記セロトニンシナプス後受容体アンタゴニストの初期投与量は、WAY−100635では約0.025〜1mg/kg/投与に相当する請求項247〜250のいずれか1項に記載の方法。
  253. 前記セロトニンシナプス後受容体アンタゴニストと組み合わせて、セロトニンシナプス前自己受容体アゴニストを投与する工程をさらに備える請求項247〜252のいずれか1項に記載の方法。
  254. 前記セロトニンシナプス後受容体アンタゴニストは、セロトニンシナプス前受容体アゴニストでもある請求項247〜252のいずれか1項に記載の方法。
  255. セロトニンシナプス後受容体アゴニストは、各投与に関連する第1期間には投与されない請求項247〜254のいずれか1項に記載の方法。
  256. セロトニンシナプス後受容体アゴニストは、第2期間のうちの1つ以上において投与される請求項247〜255のいずれか1項に記載の方法。
  257. 前記リガンドと組み合わせて、ノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン作動性受容体アゴニストおよびノルエピネフリンシナプス後アドレナリン作動性受容体アゴニストの少なくともいずれかを投与する工程をさらに備える請求項238〜256のいずれか1項に記載の方法。
  258. 前記セロトニン系のアップレギュレーションは、前記受容体に関係する望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関して治療効果をもたらす請求項238〜257のいずれか1項に記載の方法。
  259. 前記神経伝達物質系はノルエピネフリン系であり、
    前記対抗適応はノルエピネフリン系のアップレギュレーションを引き起こす請求項1〜127のいずれか1項に記載の方法。
  260. 前記一種の受容体はノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン作動性受容体であり、
    前記リガンドはノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン作動性受容体アゴニストである請求項259に記載の方法。
  261. 前記対抗適応は、
    シナプス間隙におけるノルエピネフリンの生合成および放出の少なくともいずれかの増加、
    ノルエピネフリンの再取込みの減少、
    ノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン作動性受容体の数の減少、
    ノルエピネフリンおよびノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン作動性受容体アゴニストの少なくともいずれかに対するノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン作動性受容体の感受性の低下、
    ノルエピネフリンシナプス後アドレナリン作動性受容体の数の増加、ならびに、
    ノルエピネフリンおよびノルエピネフリンシナプス後アドレナリン作動性受容体アゴニストの少なくともいずれかに対するノルエピネフリンシナプス後アドレナリン作動性受容体の感受性の増大
    のうちの少なくとも一つである請求項260に記載の方法。
  262. 前記ノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン作動性受容体アゴニストは、クロニジン、グアンファシン、ロフェキシジン、デトミジン、デキシメデトミジン、ミバゼロール、およびアルファ−メチルノルアドレニリンのいずれかである請求項260〜261のいずれか1項に記載の方法。
  263. 前記ノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン作動性受容体アゴニストの初期投与量は、クロニジンではの0.1〜10μg/kg/投与、グアンファシンでは0.01〜10mg/投与、ロフェキシジンでは0.01〜1mg/投与、デトミジンでは1〜100μg/投与、デキシメデトミジンでは0.05〜5μg/投与、ミバゼロールの0.05〜10μg/kg/投与、アルファ−メチルノルアドレニリンでは5〜500ng/kg/投与に相当する請求項260〜262のいずれか1項に記載の方法。
  264. 前記ノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン作動性受容体アゴニストの初期投与量は、クロニジンでは0.1〜0.5mg/投与、グアンファシンでは0.1〜5mg/投与、ロフェキシジンでは0.05〜0.5mg/投与、デトミジンでは10〜80μg/kg/投与、デキシメデトミジンでは0.1〜3μg/kg/投与、ミバゼロールでは0.5〜5μg/kg/投与、アルファ−メチルノルアドレニリンでは10〜100ng/kg/投与に相当する請求項260〜262のいずれか1項に記載の方法。
  265. ノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン作動性受容体アンタゴニストは、各投与に関連する第1期には投与されない請求項260〜262のいずれか1項に記載の方法。
  266. ノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン作動性受容体アンタゴニストは、第2期間のうちの1つ以上において投与される請求項260〜263のいずれか1項に記載の方法。
  267. 前記一種の受容体はノルエピネフリンシナプス後アドレナリン作動性受容体であり、
    前記リガンドはノルエピネフリンシナプス後アドレナリン作動性受容体アンタゴニストであり、
    前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、ノルエピネフリンシナプス後アドレナリン作動性受容体にネガティブに関連する請求項259に記載の方法。
  268. 前記対抗適応は、
    シナプス間隙におけるノルエピネフリンの生合成および放出のいずれかの増加、
    ノルエピネフリンの再取込みの減少、;
    ノルエピネフリンシナプス後アドレナリン作動性受容体の数の増加、
    ノルエピネフリンおよびノルエピネフリンシナプス後アドレナリン作動性受容体アゴニストの少なくともいずれかに対するノルエピネフリンシナプス後アドレナリン作動性受容体の感受性の増大、
    ノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン作動性受容体の数の減少、ならびに、
    ノルエピネフリンおよびノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン作動性受容体アゴニストの少なくともいずれかに対するノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン作動性受容体の感受性の低下
    のうちの少なくとも1つである請求項267に記載の方法。
  269. 前記ノルエピネフリンシナプス後アドレナリン作動性受容体は、アルファ受容体、ベータ受容体、およびそれらのサブタイプの受容体のいずれかである請求項267〜268のいずれか1項に記載の方法。
  270. 前記ノルエピネフリンシナプス後アドレナリン作動性受容体アンタゴニストは、イダゾキサン、SKF104078、およびSKF104856のいすれかである請求項267〜269のいずれか1項に記載の方法。
  271. 前記ノルエピネフリンシナプス後アドレナリン作動性受容体アンタゴニストの初期投与量は、イダゾキサンでは0.5〜100mg/投与に相当する請求項267〜270のいずれか1項に記載の方法。
  272. 前記ノルエピネフリンシナプス後アドレナリン作動性受容体アンタゴニストの初期投与量は、イダゾキサンでは5〜50mg/投与に相当する請求項267〜270のいずれか1項に記載の方法。
  273. 前記ノルエピネフリンシナプス後アドレナリン作動性受容体アンタゴニストと組み合わせて、ノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン作動性受容体アゴニストを投与する工程をさらに備える請求項267〜272のいずれか1項に記載の方法。
  274. 前記ノルエピネフリンシナプス後アドレナリン作動性受容体アンタゴニストは、ノルエピネフリンシナプス前アルファ−2アドレナリン作動性受容体アゴニストでもある請求項267〜272のいずれか1項に記載の方法。
  275. ノルエピネフリンシナプス後アドレナリン作動性受容体アゴニストは、各投与に関連する第1期間には投与されない請求項267〜274のいずれか1項に記載の方法。
  276. ノルエピネフリンシナプス後アドレナリン作動性受容体アゴニストは、第2期間のうちの1つ以上において投与される請求項267〜275のいずれか1項に記載の方法。
  277. 前記リガンドと組み合わせて、セロトニンシナプス前自己受容体アゴニストおよびセロトニンシナプス後受容体アンタゴニストのいずれかを投与する工程をさらに備える請求項267〜276のいずれか1項に記載の方法。
  278. 前記方法は、セロトニン受容体に関連する患者の望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態を処置するために用いられる請求項259〜277のいずれか1項に記載の方法。
  279. 前記状態は、気分障害、摂食障害、疼痛性障害、薬物濫用障害、不安障害、および強迫神経症のいずれかである請求項278に記載の方法。
  280. 前記方法は、癌に対する補助的な治療法として用いられる請求項259〜278のいずれか1項に記載の方法。
  281. 前記ノルエピネフリン系のアップレギュレーションは、前記受容体に関係する望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関して治療効果をもたらす請求項259〜279のいずれか1項に記載の方法。
  282. 前記神経伝達物質系はCRF系であり、
    前記一種の受容体はCRF受容体であり、
    前記リガンドはCRF受容体アゴニストであり、
    前記対抗適応はCRF系のダウンレギュレーションを引き起こす請求項1〜127のいずれか1項に記載の方法。
  283. 前記対抗適応は、
    視床下部によるコルチコトロピン放出因子の生合成および放出のいずれかの減少;
    前記CRF受容体の数および前記CRF受容体上の結合部位の数の少なくともいずれかの減少、ならびに、
    CRF受容体アゴニストおよびコルチコトロピン放出因子の少なくともいずれかによる結合に対する前記受容体の感受性の低下
    のうちの少なくとも一つである請求項282に記載の方法。
  284. 前記CRF受容体アゴニストはペプチド系である請求項282〜283のいずれか1項に記載の方法。
  285. 前記CRF受容体アゴニストは、コルチコトロピン放出因子の類似体、またはそれの医薬として許容され得る塩もしくは誘導体である請求項282〜283のいずれか1項に記載の方法。
  286. 前記CRF受容体アゴニストはコルタギン(cortagine)である請求項282〜283のいずれか1項に記載の方法。
  287. 前記CRF受容体アゴニストの初期投与量は、初期量として約0.1〜100μg/kg/日と、8時間の徐放による100〜1000μg/kg/日である請求項282〜286のいずれか1項に記載の方法。
  288. 前記CRF受容体アゴニストの初期投与量は、初期量として約1〜50μg/kg/日と、8時間の徐放による20〜50μg/kg/日である請求項282〜286のいずれか1項に記載の方法。
  289. 前記方法は、CRF受容体にポジティブに関連する患者の望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態を処置するために用いられる請求項282〜288のいずれか1項に記載の方法。
  290. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態はメランコリー型うつ病である請求項289に記載の方法。
  291. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は記憶力の不足である請求項289に記載の方法。
  292. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は不安または不安関連障害である請求項289に記載の方法。
  293. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は小食症である請求項289に記載の方法。
  294. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、将来的に起こることが予想される記憶力向上の必要性である請求項289に記載の方法。
  295. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、将来的に起こることが予想されるストレスである請求項289に記載の方法。
  296. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は外傷後ストレス障害である請求項289に記載の方法。
  297. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は食欲不振である請求項289に記載の方法。
  298. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は、学習または記憶の問題による意欲の欠如である請求項289に記載の方法。
  299. 前記方法は、投与間の期間に対する投与半減期の比率が1/2以下になるようにして、ミューオピエート受容体アンタゴニストおよびデルタオピエート受容体アンタゴニストの少なくともいずれかを、前記CRFアゴニストと組み合わせて第1期間に投与することをさらに備える請求項282〜298のいずれか1項に記載の方法。
  300. CRF受容体アンタゴニストおよびAVP受容体アンタゴニストのいずれも、各投与に関連する第1期間には投与されない請求項282〜299のいずれか1項に記載の方法。
  301. CRF受容体アンタゴニストおよびAVP受容体アンタゴニストの少なくともいずれかは、各投与に関連する第2期間のうちの1つ以上において投与される請求項282〜300のいずれか1項に記載の方法。
  302. 前記CRF受容体アンタゴニストは、R121919、DMP696、アンタラルミン、CP−154,526、SSR125543A、2−アリールアミノ−4−トリフルオロメチルアミノメチルトリアゾールアンタゴニスト、アストレシン、アルファ−らせんCRF化合物、ならびにそれらの医薬として許容され得る塩、類似体および誘導体からなる群から選択される請求項301に記載の方法。
  303. 前記CRF系のダウンレギュレーションは、CRF受容体にポジティブに関連する望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関して治療効果をもたらす請求項282〜302のいずれか1項に記載の方法。
  304. 前記神経伝達物質系はCRF系であり、
    前記一種の受容体はCRF受容体であり、
    前記リガンドはCRF受容体アンタゴニストであり、
    前記対抗適応はCRF系のアップレギュレーションを引き起こす請求項1〜127のいずれか1項に記載の方法。
  305. 前記対抗適応は、
    視床下部によるコルチコトロピン放出因子の生合成および放出のいずれかの増加、
    前記CRF受容体の数および前記CRF受容体上の結合部位の数の少なくともいずれかの増加、ならびに、
    CRF受容体アゴニストおよびコルチコトロピン放出因子の少なくともいずれかによる結合に対する前記受容体の感受性の増大
    のうちの少なくとも一つである請求項304に記載の方法。
  306. 前記CRF受容体アンタゴニストは、R121919、DMP696、アンタラルミン、CP−154,526、SSR125543A、2−アリールアミノ−4−トリフルオロメチルアミノメチルトリアゾールアンタゴニスト、アストレシン、アルファ−らせんCRF化合物、ならびにそれらの医薬として許容され得る塩、類似体および誘導体からなる群から選択される請求項304〜305のいずれか1項に記載の方法。
  307. 前記CRF受容体アンタゴニストの初期投与量は、初期量として約0.1〜100μg/kg/日と、8時間の徐放による100〜1000μg/kg/日である請求項304〜306のいずれか1項に記載の方法。
  308. 前記CRF受容体アンタゴニストの初期投与量は、初期量として約1〜50μg/kg/日と、8時間の徐放による20〜50μg/kg/日である請求項304〜306のいずれか1項に記載の方法。
  309. 前記方法は、CRF受容体にネガティブに関連する患者の望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態を処置するために用いられる請求項304〜308のいずれか1項に記載の方法。
  310. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は非定型うつ病である請求項309に記載の方法。
  311. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は体重の増加または過食症である請求項309に記載の方法。
  312. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は倦怠または疲労である請求項309に記載の方法。
  313. 前記方法は、投与間の期間に対する投与半減期の比率が1/2以下になるようにして、ミューオピエート受容体アンタゴニストおよびデルタオピエート受容体アンタゴニストの少なくともいずれかを、前記CRFアゴニストと組み合わせて第1期間に投与することをさらに備える請求項304〜312のいずれか1項に記載の方法。
  314. CRF受容体アゴニストおよびAVP受容体アゴニストのいずれも、各投与に関連する第1期間には投与されない請求項304〜313のいずれか1項に記載の方法。
  315. CRF受容体アゴニストおよびAVP受容体アゴニストの少なくともいずれかは、各投与に関連する第2期間のうちの1つ以上において投与される請求項304〜314のいずれか1項に記載の方法。
  316. 前記CRF受容体アゴニストは、コルチコトロピン放出因子の類似体、コルタギン、またはそれらの医薬として許容され得る塩もしくは誘導体である請求項315に記載の方法。
  317. 前記CRF系のダウンレギュレーションは、CRF受容体にネガティブに関連する望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関して治療効果をもたらす請求項304〜316のいずれか1項に記載の方法。
  318. 前記神経伝達物質系はAVP系であり、
    前記一種の受容体はAVP受容体であり、
    前記リガンドはAVP受容体アゴニストであり、
    前記対抗適応はAVP系のダウンレギュレーションを引き起こす請求項1〜127のいずれか1項に記載の方法。
  319. 前記対抗適応は、
    視床下部によるアルギニンバソプレシンの生合成および放出のいずれかの減少、
    前記AVP受容体の数およびAVP受容体上の結合部位の数の少なくともいずれかの減少、ならびに、
    AVP受容体アゴニストおよびアルギニンバソプレシンの少なくともいずれかによる結合に対する前記受容体の感受性の低下
    のうちの少なくとも一つである請求項318に記載の方法。
  320. 前記AVP受容体アゴニストはペプチド系である請求項318〜319のいずれか1項に記載の方法。
  321. 前記AVP受容体アゴニストは、フェリプレシン、デスモプレシン、ならびにそれらの医薬として許容され得る塩、類似体、および誘導体からなる群から選択される請求項318〜319のいずれか1項に記載の方法。
  322. 前記AVP受容体アゴニストの初期投与量は、初期量として約0.1〜100μg/kg/日と、8時間の徐放による100〜1000μg/kg/日である請求項318〜321のいずれか1項に記載の方法。
  323. 前記AVP受容体アゴニストの初期投与量は、初期量として約1〜50μg/kg/日と、8時間の徐放による20〜50μg/kg/日である請求項318〜321のいずれか1項に記載の方法。
  324. 前記方法は、AVP受容体にポジティブに関連する患者の望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態を処置するために用いられる請求項318〜323のいずれか1項に記載の方法。
  325. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態はメランコリー型うつ病である請求項324に記載の方法。
  326. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は記憶力の不足である請求項324に記載の方法。
  327. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は不安または不安関連障害である請求項324に記載の方法。
  328. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は小食症である請求項324に記載の方法。
  329. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は将来的に起こることが予想される記憶力向上の必要性である請求項324に記載の方法。
  330. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は将来的に起こることが予想されるストレスである請求項324に記載の方法。
  331. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は外傷後ストレス障害である請求項324に記載の方法。
  332. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は食欲不振である請求項324に記載の方法。
  333. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は学習または記憶の問題による意欲の欠如である請求項324に記載の方法。
  334. 前記方法は、投与間の期間に対する投与半減期の比率が1/2以下になるようにして、ミューオピエート受容体アンタゴニストおよびデルタオピエート受容体アンタゴニストの少なくともいずれかを、前記AVP受容体アゴニストと組み合わせて投与することをさらに備える請求項318〜333のいずれか1項に記載の方法。
  335. 前記方法は、投与間の期間に対する投与半減期の比率が1/2以下になるようにして、前記AVP受容体アゴニストと組み合わせてCRF受容体アゴニストを投与することをさらに備える請求項318〜334のいずれか1項に記載の方法。
  336. CRF受容体アンタゴニストおよびAVP受容体アンタゴニストのいずれも、各投与に関連する第1期間には投与されない請求項318〜325のいずれか1項に記載の方法。
  337. CRF受容体アンタゴニストおよびAVP受容体アンタゴニストの少なくともいずれかは、各投与に関連する第2期間のうちの1つ以上において投与される請求項318〜336のいずれか1項に記載の方法。
  338. 前記AVP受容体アンタゴニストは、d(CH2)5Tyr(Me)AVP、Phaa−d−Tyr(Me)−Phe−Gln−Asn−Arg−Pro−Arg−Tyr−NH、[Lys(3N、Phpa)]HO−LVA、[d(CH2)5,D−Ile2、Ile4]−AVP、[125I]−d(CH2)5[D−Tyr(Et)2,Val4,Tyr−NH29]AVP、OPC−21268(1−(1−[4−(3−アセチルアミノプロポキシ)ベンゾイル]−4−ピペリジル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン)、R49059、OPC−31260(5−ジメチルアミノ−1−[4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンズアゼピン)、コニバプタン、VPA985、およびYM471[(Z)−4’−[4,4−ジフルオロ−5−[2−(4−ジメチルアミノピペリジノ]−2−オキソエチリデン]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−カルボニル]−2−フェニルベンズアニリド一塩酸塩)、ならびにそれらの医薬として許容され得る塩、類似体および誘導体からなる群から選択される請求項337に記載の方法。
  339. 前記AVP系のダウンレギュレーションは、AVP受容体に関連する望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関して治療効果をもたらす請求項318〜338のいずれか1項に記載の方法。
  340. 前記神経伝達物質系はAVP系であり、
    前記一種の受容体はAVP受容体であり、
    前記リガンドはAVP受容体アンタゴニストであり、
    前記対抗適応はAVP系のアップレギュレーションを引き起こす請求項1〜127のいずれか1項に記載の方法。
  341. 前記対抗適応は、
    視床下部によるアルギニンバソプレシンの生合成および放出のいずれかの増加、
    前記AVP受容体の数および前記AVP受容体上の結合部位の数の少なくともいずれかの増加、ならびに、
    AVP受容体アゴニストおよびアルギニンバソプレシンの少なくともいずれかによる結合に対する前記受容体の感受性の増大
    のうちの少なくとも一つである請求項340に記載の方法。
  342. 前記AVP受容体アンタゴニストは、d(CH2)5Tyr(Me)AVP、Phaa−d−Tyr(Me)−Phe−Gln−Asn−Arg−Pro−Arg−Tyr−NH、[Lys(3N、Phpa)]HO−LVA、[d(CH2)5,D−Ile2、Ile4]−AVP、[125I]−d(CH2)5[D−Tyr(Et)2,Val4,Tyr−NH29]AVP、OPC−21268(1−(1−[4−(3−アセチルアミノプロポキシ)ベンゾイル]−4−ピペリジル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン)、R49059、OPC−31260(5−ジメチルアミノ−1−[4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンズアゼピン)、コニバプタン、VPA985、およびYM471[(Z)−4’−[4,4−ジフルオロ−5−[2−(4−ジメチルアミノピペリジノ]−2−オキソエチリデン]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−カルボニル]−2−フェニルベンズアニリド一塩酸塩)、ならびにそれらの医薬として許容され得る塩、類似体および誘導体からなる群から選択される請求項340〜341のいずれか1項に記載の方法。
  343. 前記AVP受容体アンタゴニストの初期投与量は、初期量として約0.1〜100μg/kg/日と、8時間の徐放による100〜1000μg/kg/日である請求項340〜342のいずれか1項に記載の方法。
  344. 前記AVP受容体アンタゴニストの初期投与量は、初期量として約1〜50μg/kg/日と、8時間の徐放による20〜50μg/kg/日である請求項340〜342のいずれか1項に記載の方法。
  345. 前記方法は、AVP受容体にネガティブに関連する患者の望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態を処置するために用いられる請求項340〜344のいずれか1項に記載の方法。
  346. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は非定型うつ病である請求項345に記載の方法。
  347. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は体重の増加または過食症である請求項345に記載の方法。
  348. 前記望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態は倦怠または疲労である請求項345に記載の方法。
  349. 前記方法は、投与間の期間に対する投与半減期の比率が1/2以下になるようにして、ミューオピエート受容体アンタゴニストおよびデルタオピエート受容体アンタゴニストの少なくともいずれかを、前記AVPアゴニストと組み合わせて第1期間に投与することをさらに備える請求項340〜348のいずれか1項に記載の方法。
  350. AVP受容体アゴニストおよびAVP受容体アゴニストのいずれも、各投与に関連する第1期間には投与されない請求項340〜350のいずれか1項に記載の方法。
  351. AVP受容体アゴニストおよびAVP受容体アゴニストの少なくともいずれかは、各投与に関連する第2期間のうちの1つ以上において投与される請求項340〜350のいずれか1項に記載の方法。
  352. 前記AVP受容体アゴニストは、フェリプレシン、デスモプレシン、ならびにそれらの医薬として許容され得る塩、類似体、および誘導体からなる群から選択される請求項351に記載の方法。
  353. 前記AVP系のダウンレギュレーションは、AVP受容体にネガティブに関連する望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態に関して治療効果をもたらす請求項340〜352のいずれか1項に記載の方法。
  354. 前記方法は、前記受容体の種類の受容体に関連する患者の望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態を処置するために用いられる請求項1〜127のいずれか1項に記載の方法。
  355. 前記状態は、気分障害、摂食障害、疼痛性障害、薬物濫用障害、不安障害、および強迫神経症のいずれかである請求項354に記載の方法。
  356. 前記方法は、それを必要とする患者の望ましくない免疫系が関連する状態を処置または治療するために用いられ、前記免疫系が関連する状態は前記受容体の種類の受容体に関連し、前記方法は、前記免疫系のアップレギュレーションを引き起こす請求項1〜353のいずれか1項に記載の方法。
  357. 前記神経伝達物質系は内因性エンドルフィン系であり、前記一種の受容体はデルタオピエート受容体であり、前記リガンドはデルタオピエート受容体アンタゴニストである請求項356に記載の方法。
  358. 前記望ましくない免疫系が関連する状態は癌である請求項356〜357のいずれか1項に記載の方法。
  359. 前記望ましくない免疫系が関連する状態は、ゼータ受容体が実質的に存在しない癌細胞を含んだ癌である請求項356〜357のいずれか1項に記載の方法。
  360. 前記望ましくない免疫系が関連する状態は、自己免疫疾患、先天性免疫不全、免疫抑制剤療法による免疫不全、および後天性免疫不全のいずれかである請求項356〜357のいずれか1項に記載の方法。
  361. 前記自己免疫疾患は、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、全般性紅斑性狼瘡、アジソン病、ALS(ロウ・ゲーリッヒ病)、アルツハイマー病、強直性脊椎炎、自閉症スペクトラム障害、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性プロゲステロン皮膚炎、ベーチェット病、セリアック病、慢性疲労症候群、チャーグ・ストラウス病(アレルギー性肉芽腫性血管炎)、クレスト症候群、クローン病、皮膚筋炎、糖尿病、気腫(COPD)、子宮内膜症、線維筋痛症、グッドパスチャー病、グレーブス病、ハシモト甲状腺炎、間質性肉芽腫性皮膚炎、過敏性腸症候群(IBS)、混合性結合組織病、自己免疫関連の結合組織病、重力筋無力症、パーキンソン病、類天疱瘡、悪性貧血、原発性側索硬化症(PLS)、多発性軟骨炎(再発性)、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎、乾癬、類肉腫症、硬皮症、シェーグレン症候群、横断脊髄炎、潰瘍性大腸炎、脈管炎、ウェゲナー肉芽腫、および感染工程、ワクチン投与、または環境反応に続く自己免疫疾患からなる群から選択される請求項356〜357のいずれか1項に記載の方法。
  362. 前記望ましくない免疫系が関連する状態は感染症である請求項356〜357のいずれか1項に記載の方法。
  363. 前記方法は、感染性微生物またはウイルスによる感染の可能性を低下させるために用いられる請求項356〜357のいずれか1項に記載の方法。
  364. 前記方法は、細菌、ウイルス、真菌、寄生虫、ミコバクテリア、酵母、クラミジア、原生動物、蠕虫、およびリケッチアのいずれかによる感染の可能性を低下させるために用いられる請求項363に記載の方法。
  365. 前記免疫系が関連する状態はワクチンの投与であり、前記免疫系のアップレギュレーションは、ワクチンが標的とする物質に対する抗体の生成の増加を引き起こす請求項356〜357のいずれか1項に記載の方法。
  366. 前記方法は、それを必要とする患者の心臓血管または脂質もしくはコレステロール代謝が関連する状態を処置または治療するために用いられ、前記心臓血管または脂質もしくはコレステロール代謝が関連する状態は前記受容体の種類の受容体に関連する請求項1〜353のいずれか1項に記載の方法。
  367. 前記心臓血管または脂質もしくはコレステロール代謝が関連する状態は心臓血管障害である請求項366に記載の方法。
  368. 前記心臓血管または脂質もしくはコレステロール代謝が関連する状態は、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、およびHIV感染による脂肪異栄養症のいずれかである請求項366に記載の方法。
  369. 前記方法は、将来の競技活動に対する準備の不足を処置または治療するために用いられる請求項1〜127のいずれか1項に記載の方法。
  370. 前記方法は、前記受容体の種類の受容体に関連する患者の望ましくない精神的状態、神経学的状態または生理学的状態を処置するために用いられる請求項1〜127のいずれか1項に記載の方法。
  371. 前記方法は、Sirt1経路に関連する望ましくない状態を処置または治療するために用いられる請求項1〜353のいずれか1項に記載の方法。
  372. 前記方法は、患者の加齢が関連する状態を処置するために用いられる請求項371に記載の方法。
  373. 前記方法は、脂肪代謝、炎症、癌、関節炎、心臓疾患、および神経変性からなる群から選択される請求項371に記載の方法。
  374. 前記方法は、加齢により起こる生理学的変化に対する予防的手段として用いられる請求項371〜373のいずれか1項に記載の方法。
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