JP2009262835A - タイヤ - Google Patents

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JP2009262835A
JP2009262835A JP2008116332A JP2008116332A JP2009262835A JP 2009262835 A JP2009262835 A JP 2009262835A JP 2008116332 A JP2008116332 A JP 2008116332A JP 2008116332 A JP2008116332 A JP 2008116332A JP 2009262835 A JP2009262835 A JP 2009262835A
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和彦 三角
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Abstract

【課題】ゴムの耐亀裂性を損なうことなく、走行中のタイヤ温度の上昇を抑制して、プライ接着耐久性を大幅に改良したタイヤ、特に重荷重用空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】(A)プロトン性アミノ基及び/又は脱離可能基で保護されたアミノ基を有するアミン系官能基変性ポリブタジエンゴムを含むゴム成分と、(B)補強性充填材とを含有するゴム組成物をベルトアンダークッションゴムに用いることを特徴とするタイヤ、特に重荷重用空気入りタイヤである。
【選択図】図1

Description

本発明は、ゴム成分として特定の変性ポリブタジエンゴムを含むゴム組成物をベルトアンダークッションゴムに用いることにより、ゴムの耐亀裂性を損なうことなく、走行中のタイヤ温度の上昇を抑制して、プライ接着耐久性を大幅に改良したタイヤに関し、特に重荷重用空気入りタイヤに関するものである。
大型建設車両用等のオフ・ザ・ロード用空気入りタイヤや、トラック・バス用空気入りタイヤ等の重荷重用空気入りタイヤは、一般にトレッドと、このトレッドとカーカスとの間に介在されたトレッドベルトを有する。ベルトの内側には比較的低いモジュラスを有するエラストマー材により形成されたベルトアンダークッション(ベルトとカーカスとの間であって、場合によってはショルダーが一体となって含みベルト端部分から中央部分に至るエラストマー材)を有する。このクッションは、トレッドベルトとボディプライとの相対的な側方エッジ間のショックアブソーバとして機能し、また、トレッドの耐摩耗性とカーカスの寿命とを長くするために挿入されている。そして、該クッションは、トレッド面の全体に渡ってカーカスの内部ストレスを分布させる機能を有している。
近年、トラック・バス等に用いられる重荷重用空気入りタイヤに、故障の起因となりやすいベルト端部の歪み及びエンドを低減し、高いタイヤ耐久性を得るために、ベルトアンダークッションの他にベルトクッションゴム帯片(特に、ショルダー部付近)を配することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このような構造の提案があっても、ベルトアンダークッションの本質的なゴム特性の改良が望まれる。すなわち、トラック・バス等の重荷重用空気入りタイヤは、故障の起因と成り易いベルト端部の歪・温度を低減して、高いタイヤ耐久性を得るために、上述したようにベルトアンダークッションには低発熱性のゴムを配置することが望まれる。
特開2002−36815号公報
本発明は、このような状況下になされたものであり、特定のゴム組成物をベルトアンダークッションゴムに用いることにより、ゴムの耐亀裂性を損なうことなく、走行中のタイヤ温度の上昇を抑制して、プライ接着耐久性を大幅に改良したタイヤ、特に重荷重用空気入りタイヤを提供することを目的とするものである。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、アミン系官能基変性ポリブタジエンゴムを10質量%以上含むゴム成分と、補強性充填材とを含有するゴム組成物をベルトアンダークッションゴムに用いることにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1](A)プロトン性アミノ基及び/又は脱離可能基で保護されたアミノ基を有するアミン系官能基変性ポリブタジエンゴムを含むゴム成分と、(B)補強性充填材とを含有するゴム組成物をベルトアンダークッションゴムに用いることを特徴とするタイヤ、
[2]前記アミン系官能基変性ポリブタジエンゴムが、さらにケイ素原子を有する上記[1]に記載のタイヤ、
[3]前記ケイ素原子が、ヒドロカルビルオキシ基及び/又はヒドロキシ基と結合したケイ素原子である上記[2]に記載のタイヤ、
[4]前記アミン系官能基変性ポリブタジエンゴムが、その重合末端に、プロトン性アミノ基及び/又は脱離可能基で保護されたアミノ基と、ヒドロカルビルオキシ基及び/又はヒドロキシ基が結合したケイ素原子とを有する上記[3]に記載のタイヤ、
[5]同一の重合活性末端に、プロトン性アミノ基及び/又は脱離可能基で保護されたアミノ基と、ヒドロカルビルオキシ基及び/又はヒドロキシ基が結合したケイ素原子とを有する上記[4]に記載のタイヤ、
[6]前記プロトン性アミノ基が、第一アミノ基、第二アミノ基及びそれらの塩の中から選ばれる少なくとも1種である上記[1]〜[5]のいずれかに記載のタイヤ、
[7]前記脱離可能基で保護されたアミノ基が、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ基及び/又はN−(トリメチルシリル)イミノ基である上記[1]〜[5]のいずれかに記載のタイヤ、
[8]前記アミン系官能基変性ポリブタジエンゴムが、活性末端を有するポリブタジエンの該活性末端に、変性剤として、脱離可能基で保護された第一アミノ基及び/又は第二アミノ基含有基とヒドロカルビルオキシ基とが、同一ケイ素原子に結合してなるシラン化合物を反応させ、変性してなるものである上記[1]〜[7]のいずれかに記載のタイヤ、
[9]前記変性剤が、一般式(1)
Figure 2009262835
[式中、Yはヒドロカルビルオキシ基、R1は一価の炭化水素基、R2は二価の炭化水素基、Xは脱離可能基で保護された第一アミノ基及び/又は第二アミノ基を示し、mは1〜3の整数を示す。ただし、分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない。]
で表されるシラン化合物及び/又はその部分縮合物である上記[8]に記載のタイヤ、
[10]一般式(1)において、Yが炭素数1〜18のヒドロカルビルオキシ基、R1が炭素数1〜18の一価の炭化水素基及びR2が炭素数1〜20の二価の炭化水素基である上記[9]に記載のタイヤ、
[11]一般式(1)におけるXにおいて、第一アミノ基又は第二アミノ基を保護する脱離可能基が、トリメチルシリル基である上記[9]又は[10]に記載のタイヤ、
[12]前記変性剤が、一般式(2)
Figure 2009262835
(式中、R3、R4は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R5〜R7は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R8は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、Aは反応性基、fは1〜10の整数を示す。)で表されるシラン化合物、一般式(3)
Figure 2009262835
(式中、R9〜R13は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R14は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、nは1又は2を示す。)で表されるシラン化合物及び、一般式(4)
Figure 2009262835
(式中、R3、R4は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R5〜R7は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R8は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、R15は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、Aは反応性基、fは1〜10の整数を示す。)で表されるシラン化合物の中から選ばれる、上記[8]に記載のタイヤ、
[13]一般式(2)及び一般式(4)におけるAがハロゲン原子又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基である上記[12]に記載のタイヤ、
[14]前記変性剤が、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)ジメトキシシラン又はN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)ジエトキシシランである上記[8]〜[13]のいずれかに記載のタイヤ、
[15]前記変性剤が、1−トリメチルシリル−2−エトキシ−2−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、1−トリメチルシリル−2−メトキシ−2−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、1−トリメチルシリル−2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン又は1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンである上記[12]に記載のタイヤ、
[16]前記活性末端を有するポリブタジエンが、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし、1,3−ブタジエンをアニオン重合させて得られたものである上記[8]〜[15]のいずれかに記載のタイヤ、
[17]前記アミン系官能基変性ポリブタジエンゴムが、活性末端を有するポリブタジエンの該活性末端に、変性剤として、脱離可能基で保護された第一アミノ基及び/又は第二アミノ含有基とヒドロカルビルオキシ基とが、同一ケイ素原子に結合してなるシラン化合物を反応させ、変性させたのち、周期表(長周期型)の4族、13族、14族及び15族のうちのいずれかに属する元素の化合物からなる縮合促進剤の存在下で、前記シラン化合物が関与する縮合反応を施して得られたものである上記[8]〜[16]のいずれかに記載のタイヤ、
[18]前記縮合促進剤が、チタン、ジルコニウム、ビスマス若しくはアルミニウムのアルコキシド、カルボン酸塩又はアセチルアセトナート錯塩である上記[17]に記載のタイヤ、
[19](A)ゴム成分が、(a)アミン系官能基変性ポリブタジエンゴム10〜100質量%と、(b)天然ゴム及び/又は合成共役ジエン系ゴム90〜0質量%とを含む上記[1]〜[18]のいずれかに記載のタイヤ、
[20](b)成分が天然ゴムである上記[19]に記載のタイヤ、
[21](B)成分の補強性充填材が、カーボンブラック及び/又はシリカであり、かつその含有量が、(A)ゴム成分100質量部に対して、30〜65質量部である上記[1]〜[20]のいずれかに記載のタイヤ、
[22]前記シリカに対して、シランカップリング剤を2〜20質量%の割合で含む上記[21]に記載のタイヤ、
[23]重荷重用空気入りタイヤである上記[1]〜[22]のいずれかに記載のタイヤ、及び
[24]オフ・ザ・ロード用又はトラック・バス用である上記[23]に記載のタイヤ
を提供するものである。
本発明によれば、ゴム成分として特定の変性ポリブタジエンゴムを含むゴム組成物をベルトアンダークッションゴムに用いることにより、ゴムの耐亀裂性を損なうことなく、走行中のタイヤ温度の上昇を抑制して、プライ接着耐久性を大幅に改良したタイヤ、特に重荷重用空気入りタイヤを提供することができる。
本発明のタイヤは、(A)プロトン性アミノ基及び/又は脱離可能基で保護されたアミノ基を有するアミン系官能基変性ポリブタジエンゴムを含むゴム成分と、(B)補強性充填材とを含有するゴム組成物をベルトアンダークッションゴムに用いることを特徴とする。
なお、ベルトアンダークッションゴムについては、後で述べるタイヤ、特に重荷重用空気入りタイヤの説明において詳述する。
まず、本発明のタイヤに用いられるゴム組成物について説明する。
((A)ゴム成分)
本発明に係るベルトアンダークッションゴムに用いられるゴム組成物(以下、単に本発明に係るゴム組成物と称することがある。)においては、(A)成分として、アミン系官能基変性ポリブタジエンゴム10質量%以上を含むゴム成分が用いられることが好ましい。
<アミン系官能基変性ポリブタジエンゴム>
本発明において、(A)ゴム成分に用いられるアミン系官能基変性ポリブタジエンゴムとしては、分子内に、プロトン性アミノ基及び/又は脱離可能基で保護されたアミノ基を有するポリブタジエンゴムを挙げることができ、好ましくは、さらにケイ素原子を有するポリブタジエンゴムを挙げることができる。ここで、ケイ素原子としては、ヒドロカルビルオキシ基及び/又はヒドロキシ基が結合したケイ素原子が好ましい。
このような変性官能基は、ポリブタジエンゴムの重合開始末端、側鎖及び重合活性末端のいずれかに存在すればよいが、本発明においては、その重合末端、特に同一重合活性末端に、プロトン性アミノ基及び/又は脱離可能基で保護されたアミノ基と、ヒドロカルビルオキシ基及び/又はヒドロキシ基が結合したケイ素原子とを有することが、特に好ましい。
前記プロトン性アミノ基としては、第一アミノ基、第二アミノ基及びそれらの塩の中から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
一方、脱離可能基で保護されたアミノ基としては、例えばN,N−ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ基及びN−(トリヒドロカルビルシリル)イミノ基を挙げることができ、好ましくはヒドロカルビル基が炭素数1〜10のアルキル基であるトリアルキルシリル基を挙げることができ、特に好ましくはトリメチルシリル基を挙げることができる。
脱離可能基で保護された第一アミノ基の例としては、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ基を挙げることができ、脱離可能基で保護された第二アミノ基の例としてはN−(トリメチルシリル)イミノ基を挙げることができる。このN−(トリメチルシリル)イミノ基含有基としては、非環状イミン残基、及び環状イミン残基のいずれであってもよい。
本発明におけるアミン系官能基変性ポリブタジエンゴムは、活性末端を有するポリブタジエンの該活性末端に、変性剤として、脱離可能基で保護された第一アミノ基及び/又は第二アミノ基含有基とヒドロカルビルオキシ基とが、同一ケイ素原子に結合してなるシラン化合物を反応させ、変性してなるものであることが好ましい。
《活性末端を有するポリブタジエン》
前記変性反応を効果的に行うためには、活性末端を有するポリブタジエンとしては、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし、1,3−ブタジエンをアニオン重合させて得られたものであることが好ましい。
アニオン重合法としては、特に溶液重合法が好ましく、また重合形式は回分式及び連続式のいずれであってもよい。有機アルカリ金属化合物としては、特にリチウム化合物が好適である。
溶液重合法における溶媒中の1,3−ブタジエン濃度は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。
重合開始剤のリチウム化合物としては、特に制限はないが、ヒドロカルビルリチウム及びリチウムアミド化合物が好ましく用いられ、前者のヒドロカルビルリチウムを用いる場合には、重合開始末端にヒドロカルビル基を有し、かつ他方の末端が重合活性部位であるポリブタジエンが得られる。また、後者のリチウムアミド化合物を用いる場合には、重合開始末端に窒素含有基を有し、他方の末端が重合活性部位であるポリブタジエンが得られる。
上記ヒドロカルビルリチウムとしては、炭素数2〜20のヒドロカルビル基を有するものが好ましく、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチルーフエニルリチウム、4−フェニルーブチルリチウム、シクロへキシルリチウム、シクロベンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応性生物等が挙げられるが、これらの中で、特にn−ブチルリチウムが好適である。
一方、リチウムアミド化合物としては、例えばリチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピベラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド等が挙げられる。これらの中で、カーボンブラックに対する相互作用効果及び重合開始能の点から、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド等の環状リチウムアミドが好ましく、特にリチウムヘキサメチレンイミド及びリチウムピロリジドが好適である。
これらのリチウムアミド化合物は、一般に、二級アミンとリチウム化合物とから、予め調製したものを重合に使用することができるが、重合系中(in−situ)で調製することもできる。また、この重合開始剤の使用量は、好ましくは単量体100g当たり、0.2〜20ミリモルの範囲で選定される。
前記リチウム化合物を重合開始剤として用い、アニオン重合によってポリブタジエンを製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。
具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物等の炭化水素系溶剤中において、1,3−ブタジエンを、前記リチウム化合物を重合開始剤として、所望により、用いられるランダマイザーの存在下にアニオン重合させることにより、目的の活性末端を有するポリブタジエンが得られる。
前記炭化水素系溶剤としては、炭素数3〜8のものが好ましく、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、所望により用いられるランダマイザーは、ポリブタジエンのミクロ構造の制御、例えば1,2結合の制御等の機能を有している。このランダマイザーとしては、特に制限はなく、従来ランダマイザーとして一般に使用されている公知の化合物の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。具体的には、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2,2−ビス(2−テトラヒドロフリル)−プロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N、N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタン等のエーテル類及び三級アミン類等を挙げることができる。また、カリウム−t−アミレート、カリウム−t−ブトキシド等のカリウム塩類、ナトリウム−t−アミレート等のナトリウム塩類も用いることができる。
これらのランダマイザーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、リチウム化合物1モル当たり、好ましくは0.01〜1000モル当量の範囲で選択される。
この重合反応における温度は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜130℃の範囲で選定される。重合反応は、発生圧力下で行うことができるが、通常は単量体を実質的に液相に保つに十分な圧力で操作することが望ましい。すなわち、圧力は重合される個々の物質や、用いる重合媒体及び重合温度にもよるが、所望ならばより高い圧力を用いることができ、このような圧力は重合反応に関して不活性なガスで反応器を加圧する等の適当な方法で得られる。
この重合においては、重合開始剤、ランダマイザー、溶媒、単量体等、重合に関与する全ての原材料は、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物等の反応阻害物質を除去したものを用いることが望ましい。
《変性剤》
本発明においては、前記のようにして得られた、活性末端を有するポリブタジエンの該活性末端に反応させる変性剤として、脱離可能基で保護された第一アミノ基及び/又は第二アミノ基含有基とヒドロカルビルオキシ基とが同一ケイ素原子に結合してなるシラン化合物が好ましく用いられる。
このような変性剤としては、以下に示す一般式(1)で表されるシラン化合物I、あるいは、一般式(2)、一般式(3)及び一般式(4)の中から選ばれるシラン化合物II を好ましく挙げることができる。
(1)シラン化合物I
シラン化合物Iで表される変性剤としては、下記一般式(1)
Figure 2009262835
で表される構造を有するシラン化合物及び/又はその部分縮合物を用いることができる。
前記一般式(1)において、Yはヒドロカルビルオキシ基、R1は一価の炭化水素基、R2は二価の炭化水素基、Xは脱離可能基で保護された第一アミノ基及び/又は第二アミノ基を示し、mは1〜3の整数を示す。ただし、分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない。
前記Yで示されるヒドロカルビルオキシ基としては炭素数1〜18のものが好ましく、例えば炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数2〜18のアルケニロキシ基、炭素数6〜18のアリーロキシ基、炭素数7〜18のアラルキロキシ基等が挙げられるが、これらの中で、良好な反応性を有する観点から、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましい。このアルコキシ基を構成するアルキル基は、直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよい。このようなアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、各種ペントキシ基、各種ヘキソキシ基、各種ヘプトキシ基、各種オクトキシ基、各種デシロキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等を挙げることができ、これらの中で、反応性の観点から、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基及びエトキシ基が好ましい。
mは1〜3の整数を示し、Yが複数ある場合、複数のYはたがいに同一であっても異なっていてもよい。
1で示される一価の炭化水素基としては、炭素数1〜18のものが好ましく、例えば炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基等が挙げられるが、これらの中で、変性剤の反応性や性能の観点から、炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましい。このアルキル基は、直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。これらの中で、変性剤の反応性や性能の観点から、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
2で示される二価の炭化水素基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、変性剤の性能の観点から、炭素数1〜20のアルカンジイル基がより好ましく、炭素数2〜10のアルカンジイル基がさらに好ましく、炭素数2〜6のアルカンジイル基が特に好ましい。
炭素数2〜6のアルカンジイル基は、直鎖状、枝分かれ状のいずれであってもよく、例えばエチレン基、1,3−プロパンジイル基、1,2−プロパンジイル基、各種ブタンジイル基、各種ペンタンジイル基、各種ヘキサンジイル基等を挙げることができるが、これらの中で直鎖状のもの、例えばエチレン基、1,3−プロパンジイル基、1,4−ブタンジイル基、1,5−ペンタンジイル基、1,6−ヘキサンジイル基等が挙げられ、特に1,3−プロパンジイル基が好ましい。
Xは脱離可能基で保護された第一アミノ基及び/又は第二アミノ基であり、脱離可能基としては、トリヒドロカルビルシリル基を挙げることができ、好ましくはヒドロカルビル基が炭素数1〜10のアルキル基であるトリアルキルシリル基を挙げることができ、特に好ましくはトリメチルシリル基を挙げることができる。
脱離可能基で保護された第一アミノ基の例としては、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ基を挙げることができ、脱離可能基で保護された第二アミノ基の例としてはN−(トリメチルシリル)イミノ基を挙げることができる。このN−(トリメチルシリル)イミノ基含有基としては、非環状イミン残基、及び環状イミン残基のいずれであってもよい。
脱離可能基で保護された環状イミン残基としては、例えばN−(トリメチルシリル)ヘキサメチレンイミン残基、N−(トリメチルシリル)ピロリジン残基、N−(トリメチルシリル)ピペリジン残基、N−(トリメチルシリル)ヘプタメチレンイミン残基、N−(トリメチルシリル)ドデカメチレン残基、N−(トリメチルシリル)イミダゾール残基、N−(トリメチルシリル)−4,5−ジヒドロイミダゾール残基等を挙げることができる。
本発明においては、前記一般式(1)で表されるシラン化合物としては、mが2である二官能ヒドロカルビルオキシシラン化合物が好適である。変性剤として、このような二官能シラン化合物を用いることにより、得られる変性ポリブタジエンゴムは、高効率な変性末端の導入が可能であると共に、シリカ等の無機充填材に対する相互作用が大きくなる。
前記一般式(1)で表されるシラン化合物としては、部分縮合物を用いることができる。ここで、部分縮合物とは、ヒドロカルビルオキシシラン化合物のSiOR基の一部(全部ではない)が縮合によりSiOSi結合したものをいう。
前記一般式(1)で表されるシラン化合物としては、例えばXが脱離可能基で保護された第一アミノ基を有する場合、具体例として、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)ジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)ジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)ジプロポキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(エチル)ジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(エチル)ジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(エチル)ジプロポキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチル(メチル)ジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチル(メチル)ジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチル(メチル)ジプロポキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチル(エチル)ジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチル(エチル)ジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチル(エチル)ジプロポキシシラン等を挙げることができる。これらの中で、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)ジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)ジエトキシシラン及びN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)ジプロポキシシランが好適である。
また、前記一般式(1)で表される化合物としては、例えばXが脱離可能基で保護された第二アミノ基を有する場合、具体例として、N−メチル−N−トリメチルシリルアミノプロピル(メチル)ジメトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアミノプロピル(メチル)ジエトキシシラン、N−トリメチルシリル(ヘキサメチレンイミン−2−イル)プロピル(メチル)ジメトキシシラン、N−トリメチルシリル(ヘキサメチレンイミン−2−イル)プロピル(メチル)ジエトキシシラン、N−トリメチルシリル(ピロリジン−2−イル)プロピル(メチル)ジメトキシシラン、N−トリメチルシリル(ピロリジン−2−イル)プロピル(メチル)ジエトキシシラン、N−トリメチルシリル(ピペリジン−2−イル)プロピル(メチル)ジメトキシシラン、N−トリメチルシリル(ピペリジン−2−イル)プロピル(メチル)ジエトキシシラン、N−トリメチルシリル(イミダゾール−2−イル)プロピル(メチル)ジメトキシシラン、N−トリメチルシリル(イミダゾール−2−イル)プロピル(メチル)ジエトキシシラン、N−トリメチルシリル(4,5−ジヒドロイミダゾール−5−イル)プロピル(メチル)ジメトキシシラン、N−トリメチルシリル(4,5−ジヒドロイミダゾール−5−イル)プロピル(メチル)ジエトキシシラン等を挙げることができる。
(2)シラン化合物II
一方、シラン化合物IIで表される変性剤としては、下記一般式(2)、一般式(3)及び一般式(4)の中から選ばれるシラン化合物を挙げることができる。
Figure 2009262835
(式中、R3、R4は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R5〜R7は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R8は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、Aは反応性基、fは1〜10の整数を示す。)
Figure 2009262835
(式中、R9〜R13は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R14は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、nは1又は2を示す。)
Figure 2009262835
(式中、R3、R4は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R5〜R7は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R8は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、R15は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、Aは反応性基、fは1〜10の整数を示す。)
上記式(2)〜(4)において、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の炭化水素基の具体例としては、例えばメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基,各種ペンチル基,各種ヘキシル基,各種オクチル基,各種デシル基,各種ドデシル基,各種テトラデシル基,各種ヘキサデシル基,各種オクタデシル基,各種イコシル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基,ビニル基,プロぺニル基,アリル基,ヘキセニル基,オクテニル基,シクロペンテニル基,シクロヘキセニル基,フェニル基,トリル基,キシリル基,ナフチル基,ベンジル基,フェネチル基,ナフチルメチル基等が挙げられる。中でも炭素数1〜4のメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基等が好ましく、エチル基、メチル基、tert−ブチル基がより好ましい。
炭素数1〜12の2価の炭化水素基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、炭素数7〜12のアリーレンアルキレン基等が挙げられる。
上記炭素数1〜12アルキレン基は、直鎖状、分枝状のいずれであってもよく、具体的には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基等の直鎖状アルキレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、2−メチルトリメチレン基、イソペンチレン基、イソへキシレン基、イソオクチレン基、2−エチルへキシレン基、イソデシレン基等の分枝状のアルキレン基が挙げられる。
炭素数6〜12のアリーレン基としては、例えばフェニレン基、メチルフェニレン基、ジメチルフェニレン基、ナフチレン基、等が挙げられ、炭素数7〜12のアリーレンアルキレン基としては、例えばフェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、キシリレン基等が挙げられる。中でも炭素数1〜4のアルキレン基が好ましく、特にトリメチレン基が好ましい。
Aの反応性基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基が好ましく、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられるが、中でも塩素が好ましい。
炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基としては、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリーロキシ基、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基等を挙げることができる。
上記炭素数1〜20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基,n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基,sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、各種ヘキソキシ基、各種オクトキシ基、各種デシロキシ基、各種ドデシロキシ基,各種テトラデシロキシ基、各種ヘキサデシロキシ基、各種オクタデシロキシ基、各種イコシロキシ基等が挙げられる。炭素数6〜20のアリーロキシ基としては、例えばフェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられ、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジロキシ基、フェネチロキシ基、ナフチルメトキシ基等が挙げられる。これらの中で1〜4のアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基及びエトキシ基が好ましい。
その他の反応性基としては、カルボニル基、酸無水物残基、各ジヒドロイミダゾリニル基、N−メチルピロリドニル基、イソシアネート基等を含有する基が挙げられる。
また、式(2)のR5,R6及びR7の2つが結合してそれらが結合している珪素原子と一緒になって、4〜7員環を形成してもよく、同様に式(3)のR11,R12及びR13の2つが結合してそれらが結合している珪素原子と一緒になって、4〜7員環を形成してもよい。この4〜7員環としては炭素数4〜7のメチレン基を有するものを挙げることができる。
式(3)において、nは1又は2である。
上記一般式(2)において、fが1でAがアルコキシ基である場合、一般式(2)で表されるシラン化合物としては、前述の一般式(1)で表される化合物において、Xが脱離可能基で保護された第一アミノ基を有する場合の具体例として示したシラン化合物と同じものを挙げることができる。
fが1で、Aがハロゲン原子であるシラン化合物としては、例えばN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)メトキシクロロシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)エトキシクロロシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチル(メチル)メトキシクロロシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチル(メチル)エトキシクロロシラン等が挙げられる。
上記一般式(3)で表されるシラン化合物としては、例えば1−トリメチルシリル−2−エトキシ−2−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、1−トリメチルシリル−2−メトキシ−2−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、1−トリメチルシリル−2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン、1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン等が挙げられる。
また、上記一般式(4)において、fが1で、Aがアルコキシ基である場合、一般式(4)で表されるシラン化合物としては、例えば(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン−1−イル)プロピル(メチル)ジメトキシシラン、(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン−1−イル)プロピル(メチル)ジエトキシシラン等が挙げられる。
本発明においては、前記変性剤の中で、特に、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)ジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)ジエトキシシラン、1−トリメチルシリル−2−エトキシ−2−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタンが好ましい。
これらの変性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
《変性反応》
本発明における変性反応においては、有機アルカリ金属活性末端を有するポリブタジエンの該活性末端に、前述の変性剤の中から選ばれる少なくとも1種を反応させて変性を行う。
この変性剤による変性反応は、溶液反応で行うのが好ましく、該溶液中には、重合時に使用した単量体が含まれていてもよい。また、変性反応の反応形式は特に制限されず、バッチ式でも連続式でもよい。
この変性反応においては、使用するポリブタジエンは、少なくとも10%のポリマー鎖がリビング性を有するものが好ましい。
上記変性剤による変性反応において、該変性剤の使用量は、好ましくは0.5〜200mmol/kg・ポリブタジエンである。同含有量は、さらに好ましくは1〜100mmol/kg・ポリブタジエンであり、特に好ましくは2〜50mmol/kg・ポリブタジエンである。ここで、ポリブタジエンとは、製造時又は製造後、添加される老化防止剤等の添加剤を含まないポリマーのみの質量を意味する。変性剤の使用量を上記範囲にすることによって、所望の性状を有するアミン系官能基変性ポリブタジエンゴムが得られる。
なお、上記変性剤の添加方法は、特に制限されず、一括して添加する方法、分割して添加する方法、あるいは、連続的に添加する方法等が挙げられるが、一括して添加する方法が好ましい。
《縮合反応》
本発明においては、前述の変性剤として用いるヒドロカルビルオキシシラン化合物が関与する縮合反応を促進するために、変性反応を行ったのち、必要に応じて縮合促進剤の存在下で縮合反応を行ってもよい。
この縮合促進剤としては、周期表(長周期型)の4族、13族、14族及び15族の少なくとも一つに属する元素の化合物が用いられる。
当該縮合促進剤としては、チタンの化合物、スズの化合物、ジルコニウムの化合物、ビスマスの化合物及びアルミニウムの化合物の中から選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられ、より好ましくは、上記各元素のアルコキシド、カルボン酸塩及びアセチルアセトナート錯塩であり、さらに好ましくは、チタンのアルコキシド、チタンのカルボン酸塩、スズのカルボン酸塩、ビスマスのカルボン酸塩、ジルコニウムのアルコキシド、ジルコニウムのカルボン酸塩、アルミニウムのアルコキシド及びアルミニウムのカルボン酸塩である。
前記チタン化合物として、具体的には、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタンオリゴマー、テトライソブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン、ビス(オレート)ビス(2−エチルヘキサノエート)チタン、チタンジプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンジブトキシビス(トリエタノールアミネート)、チタントリブトキシステアレート、チタントリプロポキシステアレート、チタントリプロポキシアセチルアセトネート、チタンジプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタントリプロポキシ(エチルアセトアセテート)、チタンプロポキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタントリブトキシアセチルアセトネート、チタンジブトキシビス(アセチルアセトネート)、チタントリブトキシエチルアセトアセテート、チタンブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラキス(アセチルアセトネート)、チタンジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)チタンオキサイド、ビス(ラウレート)チタンオキサイド、ビス(ナフテネート)チタンオキサイド、ビス(ステアレート)チタンオキサイド、ビス(オレエート)チタンオキサイド、ビス(リノレート)チタンオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)チタン、テトラキス(ラウレート)チタン、テトラキス(ナフテネート)チタン、テトラキス(ステアレート)チタン、テトラキス(オレエート)チタン、テトラキス(リノレート)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンオキサイドビス(ステアレート)、チタンオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタンオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタンテトラ(ラクテート)等が挙げられる。中でも、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)が好ましい。
前記スズ化合物としては、具体的には、2−エチルヘキサン酸スズ{[CH3(CH2)3CH(C25)CO2]2Sn(二価)}が挙げられる。
前記ビスマス化合物としては、具体的には、トリス(2−エチルヘキサノエート)ビスマス、トリス(ラウレート)ビスマス、トリス(ナフテネート)ビスマス、トリス(ステアレート)ビスマス、トリス(オレエート)ビスマス、トリス(リノレート)ビスマス等を挙げることができる。
前記ジルコニウム化合物としては、具体的には、テトラエトキシジルコニウム、テトラn−プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラn−ブトキシジルコニウム、テトラsec−ブトキシジルコニウム、テトラtert−ブトキシジルコニウム、テトラ(2−エチルへキシル)ジルコニウム、ジルコニウムトリブトキシステアレート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(アセテルアセトネート)、ジルコニウムトリブトキシエチルアセトアセテート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ラウレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ナフテネート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ステアレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(オレエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(リノレート)ジルコニウムオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウム、テトラキス(ラウレート)ジルコニウム、テトラキス(ナフネテート)ジルコニウム、テトラキス(ステアレート)ジルコニウム、テトラキス(オレエート)ジルコニウム、テトラキス(リノレート)ジルコニウム等を挙げることができる。
前記アルミニウム化合物としては、具体的には、トリエトキシアルミニウム、トリn−プロポキシアルミニウム、トリi−プロポキシアルミニウム、トリn−プトキシアルミニウム、トリsec−ブトキシアルミニウム、トリtert−ブトキシアルミニウム、トリ(2−エチルへキシル)アルミニウム、アルミニウムジブトキシステアレート、アルミニウムジブトキシアセチルアセトネート、アルミニウムブトキシビス(アセチルアセトネート)、アルミニウムジブトキシエチルアセトアセテート、アルミニウムトリス(アセテルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、トリス(2−エチルヘキサノエート)アルミニウム、トリス(ラウレート)アルミニウム、トリス(ナフテネート)アルミニウム、トリス(ステアレート)アルミニウム、トリス(オレエート)アルミニウム、トリス(リノレート)アルミニウム等を挙げることができる。
当該縮合促進剤の使用量としては、上記化合物のモル数が、反応系内に存在するケイ素原子に結合したヒドロカルビルオキシ基総量に対するモル比として、0.1〜10となることが好ましく、0.5〜5が特に好ましい。縮合促進剤の使用量を上記範囲にすることによって縮合反応が効率よく進行する。
縮合促進剤の添加時期としては、通常、変性反応開始5分〜5時間後、好ましくは変性反応開始15分〜1時間後である。
本発明における縮合反応は、水の存在下で行うことが好ましく、縮合反応時の温度は10〜180℃が好ましく、さらに好ましくは20〜170℃、特に好ましくは30〜150℃である。
縮合反応時の温度を上記範囲にすることによって、縮合反応を効率よく進行完結することができ、得られる変性ポリブタジエンゴムの経時変化によるポリマーの老化反応等による品質の低下等を抑えることができる。
縮合反応時間は、通常、5分〜10時間、好ましくは15分〜5時間程度である。縮合反応時間を上記範囲にすることによって縮合反応を円滑に完結することができる。
縮合反応時の反応系の圧力は、通常、0.01〜20MPa、好ましくは0.05〜10MPaである。
縮合反応の形式については特に制限はなく、バッチ式反応器を用いても、多段連続式反応器等の装置を用いて連続式で行ってもよい。また、この縮合反応と脱溶媒を同時に行っても良い。
なお、変性剤として、保護された第一アミノ基及び/又は第二アミノ基を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物を用いた場合には、該保護アミノ基における脱離可能基を加水分解することによって遊離したアミノ基に変換することができる。これを脱溶媒処理することにより、第一アミノ基や第二アミノ基を有する乾燥したポリマーが得られる。なお、前記縮合処理を含む段階から、脱溶媒して乾燥ポリマーまでのいずれかの段階において必要に応じて変性剤由来の保護第一アミノ基及び/又は第二アミノ基の脱保護処理を行うことができる。
このようにして得られたアミン系官能基変性ポリブタジエンゴムとしては、ポリマー末端に、含窒素官能基を有するケイ素原子が結合してなり、かつ前記含窒素官能基が、第一アミノ基、第二アミノ基及びそれらの塩、並びに脱離可能基で保護された、第一アミノ基及び第二アミノ基の中から選ばれる少なくとも1種を有する構造のものを挙げることができる。
また、前記含窒素官能基を有するケイ素原子に、さらにヒドロカルビルオキシ基及び/又はヒドロキシ基が結合してなる構造のものも挙げることができる。
このような構造を有するアミン系官能基変性ポリブタジエンゴムにおいては、前記含窒素官能基が、カーボンブラックやシリカに対して良好な相互作用を有しており、一方ヒドロカルビルオキシシラン基やシラノール基は、特にシリカに対して優れた相互作用を有している。したがって、当該変性ポリブタジエンゴムを含むゴム組成物を、ベルトアンダークッションゴムに用いることにより、ゴムの耐亀裂性を損なうことなく、走行中のタイヤ温度の上昇を抑制して、プライ接着耐久性を大幅に改良した重荷重用空気入りタイヤを与えることができる。
当該アミン系官能基変性ポリブタジエンゴムにおいては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)で測定される変性前のポリブタジエンゴムのポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは、通常100,000〜700,000程度であり、分子量分布である重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn比は、通常変性前で3以下、好ましくは2以下である。
さらに、前記変性ポリブタジエンゴムの示差熱分析法により求めたガラス転移温度(Tg)は−110℃〜−50℃であることが好ましい。ガラス転移温度をこの範囲にすることによって、粘度が高くなるのを抑え、取り扱いが容易なポリブタジエンを得ることができる。
また、前記変性ポリブタジエンゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、好ましくは10〜150、より好ましくは15〜100である。ムーニー粘度の値を上記範囲にすることによって、混練り作業性及び加硫後の機械的特性のすぐれたゴム組成物を与えることができる。
<(A)ゴム成分の組成>
本発明に係るゴム組成物において、(A)成分として用いられるゴム成分としては、(a)前記のアミン系官能基変性ポリブタジエンゴム10〜100質量%と、(b)天然ゴム及び/又は合成共役ジエン系ゴム90〜0質量%とを含むものが好ましい。前記(a)成分の含有量が10質量%以上であれば、本発明の効果が良好に発揮される。(a)成分のより好ましい含有量は50〜100質量%である。
前記(b)成分のうちの合成共役ジエン系ゴムとしては、例えば合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンーブタジエンゴム、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィンージエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、クロロブレンゴム、ハロゲン化プチルゴム及びこれらの混合物等が挙げられる。また、その一部が多官能型、例えば四塩化スズ、四塩化珪素のような変性剤を用いることにより分岐構造を有しているものでもよい。
本発明においては、ゴム組成物の性能の観点から、前記(b)成分としては、特に天然ゴムが好適である。
((B)補強性充填材)
本発明に係るゴム組成物においては、(B)成分の補強性充填材として、カーボンブラック及び/又はシリカが好ましく用いられる。
前記カーボンブラックとしては特に制限はなく、従来ゴムの補強性充填材として使用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。例えば、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等が用いられ、特に耐摩耗性に優れるHAF、ISAF、SAFが好ましい。
このカーボンブラックは、1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、シリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、中でも湿式シリカが好ましい。
この湿式シリカのBET比表面積は40〜350m2/gであるのが好ましい。BET比表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性とゴム成分中への分散性とを両立できるという利点がある。この観点から、BET比表面積が80〜300m2/gの範囲にあるシリカが更に好ましい。このようなシリカとしては東ソー・シリカ(株)社製「ニプシルAQ」、「ニプシルKQ」、デグッサ社製「ウルトラジルVN3」等の市販品を用いることができる。
このシリカは1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るゴム組成物においては、補強性充填材、好ましくは前記カーボンブラック及び/又はシリカの含有量は、前記(A)ゴム成分100質量部に対して、30〜65質量部であることが好ましく、35〜60質量部であることがより好ましい。この含有量が30質量部以上であれば、ベルトアンダークッションゴムの耐破壊性が良好で、ゴム内破壊が生じにくく、一方65質量部以下であれば、走行中の発熱上昇により、プライ残存接着が低下するのを抑制することができる。
(シランカップリング剤)
本発明に係るゴム組成物においては、補強性充填材としてシリカを用いる場合、その補強性及び低発熱性をさらに向上させる目的で、シランカップリッグ剤を配合することができる。
このシランカップリング剤としては、例えばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルーN、N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルーN、N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチルーN、N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド等が挙げられるが、これらの中で補強性改善効果等の点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド及び3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドが好適である。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るゴム組成物においては、好ましいシランカップリング剤の配合量は、シランカップリング剤の種類等により異なるが、シリカに対して、好ましくは2〜20質量%の範囲で選定される。この量が2質量%未満ではカップリング剤としての効果が充分に発揮されにくく、また、20質量%を超えるとゴム成分のゲル化を引き起こすおそれがある。カップリング剤としての効果及びゲル化防止等の点から、このシランカップリング剤の好ましい配合量は、5〜15質量%の範囲である。
(ゴム組成物の調製)
本発明に係るゴム組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、通常ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば加硫剤、加硫促進剤、プロセス油、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸等を含有させることができる。
上記加硫剤としては、硫黄等が挙げられ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10.0質量部が好ましく、さらに好ましくは1.0〜5.0質量部である。0.1質量部未満では加硫ゴムの破壊強度、耐摩耗性、低発熱性が低下するおそれがあり、10.0質量部を超えるとゴム弾性が失われる原因となる。
本発明で使用できる加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等を挙げることができ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1〜5.0質量部が好ましく、さらに好ましくは0.2〜3.0質量部である。
また、本発明に係るゴム組成物で使用できるプロセス油としては、例えばパラフィン系、ナフテン系、アロマチック系等を挙げることができる。引張強度、耐摩耗性を重視する用途にはアロマチック系が、ヒステリシスロス、低温特性を重視する用途にはナフテン系又はパラフィン系が用いられる。その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0〜100質量部が好ましく、100質量部を超えると加硫ゴムの引張強度、低発熱性が悪化する傾向がある。
[重荷重用空気入りタイヤ]
本発明の重荷重用空気入りタイヤは、前述した本発明に係るゴム組成物を、ベルトアンダークッションゴムに用いたことを特徴とする。
まず、(A)アミン系官能基変性ポリブタジエンゴム10質量%以上を含むゴム成分と、(B)補強性充填材と、必要に応じて用いられる各種薬品を、それぞれ所定の割合で使用し、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を用いて混練りすることによってゴム組成物を調製する。次いで、このゴム組成物が未加硫の段階で、ベルトアンダークッションゴムに加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、本発明の重荷重用空気入りタイヤが得られる。
重荷重用空気入りタイヤは、一般にトレッドと、このトレッドとカーカスとの間に介在されたトレッドベルトを有する。ベルトの内側には比較的低いM200%モジュラスを有するエラストマー材により形成されたベルトアンダークッション(ベルトとカーカスとの間であって、場合によってはショルダーが一体となって含みベルト端部分から中央部分に至るエラストマー材)を有する。このクッションは、トレッドベルトとボディプライとの相対的な側方エッジ間のショックアブソーバとして機能し、また、トレッドの耐摩耗性とカーカスの寿命とを長くするために挿入されている。そして、クッションは、トレッド面の全体に渡ってカーカスの内部ストレスを分布させる機能を有する。
タイヤ、特に重荷重用空気入りタイヤにおいては、故障の起因となりやすいベルト端部の歪み及びエンドを低減し、高いタイヤ耐久性を得るためのベルトアンダークッションゴムが要求される。
本発明は、このベルトアンダークッションゴムに、前述した本発明に係るゴム組成物を用いることにより、ゴムの耐亀裂性を損なうことなく、走行中のタイヤ温度の上昇を抑制して、プライ接着耐久性を大幅に改良したタイヤ、特に重荷重用空気入りタイヤを与えるものである。
本発明の重荷重用空気入りタイヤは、大型建設車両用等のオフ・ザ・ロード用タイヤと、トラック・バス用タイヤに大別することができる。それぞれのタイヤについて、添付図面に従って説明する。
図1は、オフ・ザ・ロード用ラジアルタイヤの一例の断面図であって、オフ・ザ・ロード用ラジアルタイヤ1において、ベルトアンダークッションゴム3は、ベルト主幹層4の内最も幅広のベルト層の自由端からカーカス2上までベルト主幹層4のタイヤ半径方向内側に配置されている。ベルトアンダークッションゴム3は、所望によりカーカスプライ端まで延在しても良い。なお、図中、5はベルト保護層である。
一方、図2は、トラック・バス用ラジアルタイヤの一例の断面図であって、トラック・バス用ラジアルタイヤ11において、ベルトアンダークッションゴム13は、ベルト主幹層14の内最も幅広のベルト層の自由端からカーカス12上までベルト主幹層14のタイヤ半径方向内側に配置されている。なお、図中、15は、図1と同様にベルト保護層である。
次に、本発明を実施例により、さらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られたタイヤの性能については、以下に示す方法に従って評価した。
(1)走行中のタイヤ温度の評価
正規の荷重に対して1.3倍の荷重下、正規内圧で10km/hにてドラム上を走行させ、1時間後のタイヤショルダー部の表面温度を非接触温度計で測定した。その際、左右各1ヶ所ずつ測定し、その平均値を用い、比較例1との温度差を記載した。
(2)プライ耐接着性の評価
上記と同条件で、更に480時間走行させた後、プライコードの残存接着としてゴム付きの評価を行った。プライコードをゴムが全てカバーしている状態をゴム付き=100%(残存接着力良好)、少しもゴムがカバーしていない状態をゴム付き=0(残存接着力低)とした。
(3)ベルトアンダークッションゴムの耐亀裂性の評価
タイヤのトレッド部を残溝が10mmになるまでバフを実施した後、スリップアングル付きのドラムにて正規荷重、正規内圧にて速度10km/hで800時間走行させた。走行後のベルトアンダークッション部を観察し、ゴム破壊の有無を観察した。
製造例1 変性剤の製造
窒素雰囲気下、攪拌機を備えたガラスフラスコ中のジクロロメタン溶媒400ml中にアミノシラン部位として36gの3−アミノプロピル(メチル)ジエトキシシラン(Gelest社製)を加えた後、更に保護部位として塩化トリメチルシラン(Aldrich社製)48ml、トリエチルアミン53mlを溶液中に加え、17時間室温下で攪拌し、その後反応溶液をエバポレーターにかけることにより溶媒を取り除き、反応混合物を得、更に得られた反応混合物を665Pa条件下で減圧蒸留することにより、130〜135℃留分である変性剤としてのN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)ジエトキシシランを40g得た。
製造例2 未変性ポリブタジエンゴムの製造
乾燥し、窒素置換された内容積約900ミリリットルの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン283g、1,3−ブタジエンモノマー100g、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.015mmolをシクロヘキサン溶液として注入し、これに0.50mmolのn−ブチルリチウム(BuLi)を加えた後、撹拌装置を備えた50℃温水浴中で4.5時間重合を行なった。重合転化率は、ほぼ100%であった。その後さらに、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液0.5ミリリットルを加えて反応停止をおこない、さらに、常法に従い乾燥することにより、未変性ポリブタジエンゴムを得た。得られた未変性ポリブタジエンゴムの重量平均分子量は30万であり、赤外法(モレロ法)によるビニル結合含有量は20%であった。
製造例3 変性ポリブタジエンゴムの製造
乾燥し、窒素置換された内容積約900ミリリットルの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン283g、1,3−ブタジエンモノマー100g、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.015mmolをシクロヘキサン溶液として注入し、これに0.50mmolのn−ブチルリチウム(BuLi)を加えた後、撹拌装置を備えた50℃温水浴中で4.5時間重合を行なった。重合転化率は、ほぼ100%であった。この重合系にN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)ジエトキシシラン0.50mmolをシクロヘキサン溶液として加え、50℃において30分撹拌した。その後さらに、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液0.5ミリリットルを加えて反応停止をおこない、さらに、常法に従い乾燥することにより、変性ポリブタジエンゴムを得た。得られた変性ポリブタジエンゴムの赤外法(モレロ法)によるビニル結合含有量は20%であった。
実施例1〜4及び比較例1〜7
第1表に示す配合組成を有するゴム組成物を調製し、この各ゴム組成物を、それぞれベルトアンダークッションゴムに適用してなるサイズ40.00R57のオフ・ザ・ロード用タイヤを作製し、その性能を評価した。結果を第1表に示す。
Figure 2009262835
[注]
1)未変性BR:製造例2で得られた未変性ポリブタジエンゴム
2)変性BR:製造例3で得られた変性ポリブタジエンゴム
3)カーボンブラックN330:旭カーボン社製「#70」
4)老化防止剤:老化防止剤6PPD、大内新興化学工業社製「ノクラック6C」
5)加硫促進剤CZ:大内新興化学工業社製「ノクセラーCZ」
第1表から分かるように、本発明に係るゴム組成物(実施例1〜4)をベルトアンダークッションゴムに用いてなるオフ・ザ・ロード用タイヤは、比較例のものに比べて、走行中のタイヤ温度が総じて低く、かつプライ耐接着性が65%以上と良好であり、ベルトアンダークッションゴムの亀裂も認められない。
本発明に係るゴム組成物をタイヤ、特に重荷重用空気入りタイヤのベルトアンダークッションゴムに用いることにより、ゴムの耐亀裂性を損なうことなく、走行中のタイヤ温度の上昇を抑制して、プライ接着耐久性を大幅に改良したタイヤ、特に重荷重用空気入りタイヤを与えることができる。
オフ・ザ・ロード用ラジアルタイヤの一例の断面図である。 トラック・バス用ラジアルタイヤの一例の断面図である。
符号の説明
1 オフ・ザ・ロード用ラジアルタイヤ
11 トラック・バス用ラジアルタイヤ
2、12 カーカス
3、13 ベルトアンダークッションゴム
4、14 ベルト主幹層
5、15 ベルト保護層

Claims (24)

  1. (A)プロトン性アミノ基及び/又は脱離可能基で保護されたアミノ基を有するアミン系官能基変性ポリブタジエンゴムを含むゴム成分と、(B)補強性充填材とを含有するゴム組成物をベルトアンダークッションゴムに用いることを特徴とするタイヤ。
  2. 前記アミン系官能基変性ポリブタジエンゴムが、さらにケイ素原子を有する請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記ケイ素原子が、ヒドロカルビルオキシ基及び/又はヒドロキシ基と結合したケイ素原子である請求項2に記載のタイヤ。
  4. 前記アミン系官能基変性ポリブタジエンゴムが、その重合末端に、前記プロトン性アミノ基及び/又は脱離可能基で保護されたアミノ基と、前記ヒドロカルビルオキシ基及び/又はヒドロキシ基が結合したケイ素原子とを有する請求項3に記載のタイヤ。
  5. 同一の重合活性末端に、前記プロトン性アミノ基及び/又は脱離可能基で保護されたアミノ基と、前記ヒドロカルビルオキシ基及び/又はヒドロキシ基が結合したケイ素原子とを有する請求項4に記載のタイヤ。
  6. 前記プロトン性アミノ基が、第一アミノ基、第二アミノ基及びそれらの塩の中から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ。
  7. 前記脱離可能基で保護されたアミノ基が、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ基及び/又はN−(トリメチルシリル)イミノ基である請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ。
  8. 前記アミン系官能基変性ポリブタジエンゴムが、活性末端を有するポリブタジエンの該活性末端に、変性剤として、脱離可能基で保護された第一アミノ基及び/又は第二アミノ基含有基とヒドロカルビルオキシ基とが、同一ケイ素原子に結合してなるシラン化合物を反応させ、変性してなるものである請求項1〜7のいずれかに記載のタイヤ。
  9. 前記変性剤が、一般式(1)
    Figure 2009262835
    [式中、Yはヒドロカルビルオキシ基、R1は一価の炭化水素基、R2は二価の炭化水素基、Xは脱離可能基で保護された第一アミノ基及び/又は第二アミノ基を示し、mは1〜3の整数を示す。ただし、分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない。]
    で表されるシラン化合物及び/又はその部分縮合物である請求項8に記載のタイヤ。
  10. 一般式(1)において、Yが炭素数1〜18のヒドロカルビルオキシ基、R1が炭素数1〜18の一価の炭化水素基及びR2が炭素数1〜20の二価の炭化水素基である請求項9に記載のタイヤ。
  11. 一般式(1)におけるXにおいて、第一アミノ基又は第二アミノ基を保護する脱離可能基が、トリメチルシリル基である請求項9又は10に記載のタイヤ。
  12. 前記変性剤が、一般式(2)
    Figure 2009262835
    (式中、R3、R4は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R5〜R7は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R8は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、Aは反応性基、fは1〜10の整数を示す。)で表されるシラン化合物、一般式(3)
    Figure 2009262835
    (式中、R9〜R13は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R14は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、nは1又は2を示す。)で表されるシラン化合物及び、一般式(4)
    Figure 2009262835
    (式中、R3、R4は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R5〜R7は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R8は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、R15は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、Aは反応性基、fは1〜10の整数を示す。)で表されるシラン化合物の中から選ばれる請求項8に記載のタイヤ。
  13. 一般式(2)及び一般式(4)におけるAがハロゲン原子又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基である請求項12に記載のタイヤ。
  14. 前記変性剤が、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)ジメトキシシラン又はN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)ジエトキシシランである請求項8〜13いずれかに記載のタイヤ。
  15. 前記変性剤が、1−トリメチルシリル−2−エトキシ−2−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、1−トリメチルシリル−2−メトキシ−2−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、1−トリメチルシリル−2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン又は1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンである請求項12に記載のタイヤ。
  16. 前記活性末端を有するポリブタジエンが、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし、1,3−ブタジエンをアニオン重合させて得られたものである請求項8〜15のいずれかに記載のタイヤ。
  17. 前記アミン系官能基変性ポリブタジエンゴムが、活性末端を有するポリブタジエンの該活性末端に、変性剤として、脱離可能基で保護された第一アミノ基及び/又は第二アミノ含有基とヒドロカルビルオキシ基とが、同一ケイ素原子に結合してなるシラン化合物を反応させ、変性させたのち、周期表(長周期型)の4族、13族、14族及び15族のうちのいずれかに属する元素の化合物からなる縮合促進剤の存在下で、前記シラン化合物が関与する縮合反応を施して得られたものである請求項8〜16のいずれかに記載のタイヤ。
  18. 前記縮合促進剤が、チタン、ジルコニウム、ビスマス若しくはアルミニウムのアルコキシド、カルボン酸塩又はアセチルアセトナート錯塩である請求項17に記載のタイヤ。
  19. (A)ゴム成分が、(a)アミン系官能基変性ポリブタジエンゴム10〜100質量%と、(b)天然ゴム及び/又は合成共役ジエン系ゴム90〜0質量%とを含む請求項1〜18のいずれかに記載のタイヤ。
  20. (b)成分が天然ゴムである請求項19に記載のタイヤ。
  21. (B)成分の補強性充填材が、カーボンブラック及び/又はシリカであり、かつその含有量が、(A)ゴム成分100質量部に対して、30〜65質量部である請求項1〜20のいずれかに記載のタイヤ。
  22. 前記シリカに対して、シランカップリング剤を2〜20質量%の割合で含む請求項21に記載のタイヤ。
  23. 重荷重用空気入りタイヤである請求項1〜22のいずれかに記載のタイヤ。
  24. オフ・ザ・ロード用又はトラック・バス用である請求項23に記載のタイヤ。
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