JP2009216964A - 表示部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 表示部材は、球体およびマトリックスよりなり、構造色を発現する表示層が、セル枠内に封入されてなる構成を有し、外部からの刺激を受けることにより構造色変化を生じるものであって、セル枠が、外部からの刺激を受けることにより変形を生じ、これに伴って構造色変化を生じさせる可変形部位を有し、当該セル枠における表示層の上方に位置する部分が透光性を有するものであり、表示層が、マトリックス中に、固体の球体が面方向に規則的に配された球体層が複数、厚み方向に規則的に配された周期構造体が形成されたものであり、マトリックスが、融点が50℃以下であるイオン液体よりなることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
前記セル枠が、前記外部からの刺激を受けることにより変形を生じ、これに伴って構造色変化を生じさせる可変形部位を有し、
当該セル枠における表示層の上方に位置する部分が透光性を有するものであり、
前記マトリックスが、融点が50℃以下であるイオン液体により形成されていることを特徴とする。
本発明の表示部材における構造色としては、例えば下記式(1)で表される色を代表的な色として表示することができる。
なお、下記式(1)および下記式(2)は近似式であり、実際上はこれらの計算値に完全には合致しない場合もある。
式(1):λ=2nD(cosθ)
〔ただし、上記式(1)において、λは構造色のピーク波長、nは下記式(2)で表される表示層の屈折率、Dは球体層の層間隔、θは表示部材の垂線との観察角である。〕
式(2):n={na・c}+{nb・(1−c)}
〔ただし、上記式(2)において、naは球体の屈折率、nbはマトリックスの屈折率、cは表示層における球体の体積率である。〕
そして、この表示部材によれば、マトリックスが、揮発成分を生じにくいという特性を有するイオン液体より形成されているために、長期間にわたって使用したり、高温低湿環境下などの過酷な環境下で使用する場合であっても、その表示色の劣化の程度を小さく抑制することができ、従って、長期間にわたって良好な表示特性を得ることができる。
さらに、この表示部材によれば、マトリックスが融点が50℃以下であるイオン液体よりなり、当該イオン液体は通常の使用環境下(室温)において液体またはやわらかい固体であるために、表示色が高い応答速度が得られる。
セル枠20は、当該セル枠20における表示層10の上方に位置する部分が透光性を有するものであり、外部刺激を受けることにより変形を生じる可変形部位(図1においてはスペーサー部材23)を有し、当該可変形部位の変形に伴って構造色変化が生じる。表示層10は、融点が50℃以下であるイオン液体により形成された、液体状または可変形性を有する固体状のマトリックスM中に、固体の球体12が面方向に規則的に配された球体層15が複数、厚み方向に規則的に配された周期構造体16が形成されているものである。
なお、この実施の形態において、可変形部位は、スペーサー部材23の全体として説明するが、可変形部位は例えばスペーサー部材23の一部分であってもよい。
表示部材の表示層10は、マトリックスM中に周期構造体16が形成されてなるものであり、表示層10においてこのような周期構造が形成されていることにより、可視域光の照射によって有彩色が視感される。
この球体層15は、光が入射する方向に対して一方向に規則的に球体12が配列された構成を有している。
この屈折率差が0.02未満である場合は、構造色が発色しにくくなり、この屈折率差が2.0より大きい場合は、光散乱が大きく生じることによって構造色が白濁化してしまう。
球体層の厚みが0.1μm未満である場合は、得られる構造色の色が薄いものとなり、一方、球体層の厚みが100μmよりも大きい場合は、光散乱が大きく生じることによって構造色が白濁化してしまう。
周期数が1未満である場合は、表示層が構造色を発現するものとすることができない。
構造色は、ブラッグの法則、スネルの法則より、下記式(1)で表される波長の色とされる。
式(1):λ=2nD(cosθ)
この式(1)において、λは構造色のピーク波長、nは下記式(2)で表される表示層10の屈折率、Dは球体層15の層間隔、θは表示部材の垂線との観察角である。
式(2):n={na・c}+{nb・(1−c)}
この式(2)において、naは球体12の屈折率、nbはマトリックスMの屈折率、cは表示層10における球体12の体積率である。
そして、層間隔Dが変化することにより、構造色のピーク波長λが変化、すなわち外部刺激を受けた後の構造色が変化する。
なお、本発明の表示部材は、外部刺激により、初期の構造色を発現する構造から、新たな構造色を発現する秩序立った構造へと変化するものであって、初期の構造からランダムに変化して秩序を失い構造色が発現しなくなるものではない。
層間隔Dが50nm未満である場合は、明確に視認できるほどの構造色変化が得られないおそれがあり、一方、層間隔Dが500nmよりも大きい場合は、得られる表示層が構造色を発現するものとならないおそれがある。
そして、この構造色のピーク波長λから、上記式(1)を用いて層間隔Dを算出することができる。
本発明の表示部材は、外部刺激の大きさに基づいて、変化後の構造色が決定される。
外部刺激とは、その大きさに具体的な規定はないが、表示層10が示す上記式(1)における構造色のピーク波長λを30nm以上変化させうるものをいうことが好ましい。
このような紫外域または赤外域にピーク波長を有する色の表示部材は、例えば、紫外線または赤外線を認識できる検出装置などに組み込んだ状態でセンサーとして使用することができる。
本発明において、球体とは、3次元において球体形状を有する物質のことであり、真球に限定されるものではなく、おおよそ球体形状を有すればよい。この物質は、固体状であって、マトリックスMの屈折率と異なる屈折率を有するものとされる。
具体的には、その屈折率がマトリックスMの屈折率と異なるものであること、マトリックスMを形成すべきイオン液体と非相溶性であることが必要とされる。
また、表示層10を構成する球体12は、マトリックスMを形成すべきイオン液体との親和性の高い材料よりなることが好ましい。
具体的には例えば、スチレン、メチルスチレン、メトキシスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、クロルスチレンなどのスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸(イソ)プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチルヘキシルなどのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸単量体などの重合性単量体のうちの1種を重合した粒子、または2種以上を共重合した有機粒子を挙げることができる。
また、重合性単量体に架橋性単量体を加えて重合した有機粒子であってもよく、架橋性単量体としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどを挙げることができる。
また例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅などの無機酸化物および複合酸化物などや、ガラス、セラミックスなどにより形成された無機粒子を挙げることができる。
また例えば、上記の有機粒子または無機粒子をコア粒子として、これの表面に当該コア粒子を構成する材料と異なる材料のシェル層が形成されてなるコア−シェル型粒子を挙げることができる。シェル層は、金属微粒子、チタニアなどよりなる金属酸化物微粒子、チタニアなどよりなる金属酸化物ナノシートなどを用いて形成することができる。
さらに例えば、上記のコア−シェル型粒子から、焼成、抽出などの方法によってコア粒子を除去することにより得られる中空型粒子を挙げることができる。
これらの粒子のうち、有機粒子が好適に用いられる。
球体12の平均粒径が上記の範囲にあることにより、その分散液を安定したコロイド溶液とすることができ、また、得られる表示部材において発現する構造色が近紫外〜可視〜近赤外域にピーク波長を有する色となる。
CV値が10より大きい場合は、マトリックス中において球体による球体層を規則的に配することができず、その結果、構造色を発現する表示部材を得られないおそれがある。
平均粒径は、走査型電子顕微鏡「JSM−7410」(日本電子社製)を用いて50,000倍の写真を撮影し、この写真画像における球体200個について、それぞれ最大長を測定し、その個数平均値を算出することにより、得られるものである。ここに、「最大長」とは、球体の周上の任意の2点による2点間距離のうち、最大のものをいう。
なお、球体が凝集体として撮影される場合には、凝集体を形成する一次粒子(球体)の最大長を測定するものとする。
CV値は、個数基準の粒度分布における標準偏差および上記の平均粒径の値を用いて下記式(CV)より算出されるものである。
式(CV):CV値(%)=((標準偏差)/(平均粒径))×100
球体12の屈折率の具体的な例としては、例えばポリスチレンが1.59、ポリメタクリル酸メチルが1.49、ポリエステルが1.60、フッ素変性ポリメタクリル酸メチルが1.40、ポリスチレン・ブタジエン共重合が1.56、ポリアクリル酸メチルが1.48、ポリアクリル酸ブチルが1.47、シリカが1.45、酸化チタン(アナターゼ型)が2.52、酸化チタン(ルチル型)が2.76、酸化銅が2.71、酸化アルミニウムが1.76、硫酸バリウムが1.64、酸化第二鉄が3.08である。
単分散性の高い球体を得るために、球体が有機物による粒子である場合は、球体は、通常一般的に用いられるソープフリー乳化重合法、懸濁重合法、乳化重合などの重合法によって得ることが好ましい。
表示層10中のマトリックスMは、融点が50℃以下、好ましくは20℃以下のイオン液体により形成されている。このような融点のイオン液体は、室温(25℃)で液体状または可変形性を有する固体状であるものである。
1,3−ジメチルイミダゾリウムジメチルホスファート(<−65℃)
1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート(38℃)
1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート(32℃)
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(−2℃)
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート(7℃)
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート(16℃)
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム2−(2−メトキシエトキシ)エチルスルファート(<−65℃)
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(−15℃)
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルスルファート(−65℃)
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−p−トルエンスルホナート(37℃)
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート(15℃)
1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート(−81℃)
1−ブチル−4−メチルピリジニウムヘキサフルオロホスファート(48℃)
1−エチル−3−(ヒドロキシメチル)ピリジニウムエチルスルファート(<−65℃)
1−エチル−3−メチルピリジニウムエチルスルファート(<−65℃)
メチルトリ−n−オクチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(−75℃)
1−ブチル−4−メチルピリジニウムヘキサフルオロホスファート(43℃)
1−エチル−3−(ヒドロキシメチル)ピリジニウムエチルスルファート(<−65℃)
1−エチル−3−メチルピリジニウムエチルスルファート(<−65℃)などが挙げられる。これらのイオン液体は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、上記に例示したイオン液体の融点を、( )内に示した。
具体的には、その屈折率が球体12の屈折率と異なるものであること、球体12を構成する材料と非相溶性であることが必要とされる。
また、マトリックスMを形成すべきイオン液体としては、球体12との親和性の高い材料よりなることが好ましい。
表示部材のセル枠20は、少なくともその一部が透光性のものであって、具体的には、例えば上部基板21と下部基板22とが枠状のスペーサー部材23を介して配置されてなるものであり、セル枠20内部の空間は外部から区画されている。
本発明の表示部材においては、外部刺激を受けることにより生じる変形は、可逆的なものであっても不可逆的なものであってもよい。
表示層10を球体12の水分散液を用いて作製する場合は、上部基板21および下部基板22としては、表面の水に対する接触角はある程度低いものが好ましく、また、表面平滑性は高いものが好ましいことから、適宜の表面処理を行うことができる。また、ブラスト処理などを行って球体が付着し易い状態にして使用することもできる。
また、セル枠20の大きさは、幅(図1における左右方向)×奥行き(図1における紙面に垂直な方向)×厚み(図1における上下方向)が、20μm×20μm×20μm〜10cm×10cm×100μmの範囲であることが好ましい。
本発明の表示部材は、例えば球体12の水分散液を調製し、これをセル枠20の向かい合う2枚のスペーサー部材23,23を外した開口部からその中に毛管浸透などにより充填した後、乾燥させることによって周期構造体16を得、次いで、周期構造体16を構成する球体12間の間隙にマトリックスMを形成すべきイオン液体を充填した後、外した2枚のスペーサー部材23,23を再び設置して開口部を閉塞してセル枠20内に表示層10を形成することにより、得ることができる。
そして、この表示部材によれば、マトリックスMが、揮発成分を生じにくいという特性を有するイオン液体より形成されているために、長期間にわたって使用したり、高温低湿環境下などの過酷な環境下で使用する場合であっても、その表示色の劣化の程度を小さく抑制することができ、従って、長期間にわたって良好な表示特性を得ることができる。
さらに、この表示部材によれば、マトリックスMが融点が50℃以下であるイオン液体よりなり、当該イオン液体は通常の使用環境下(室温)において液体またはやわらかい固体であるために、表示色が高い応答速度が得られる。
例えば、可変形部位は、セル枠を構成する部位であればスペーサー部材であることに限定されず、例えば図1における上部基板21および/または下部基板22であってもよい。
また、以下において、周期構造体および表示部材の色の観察は、これらに垂直な正面方向から、目視にて行った。
〔表示部材の作製例1〕
(セル枠の作製)
図1の構成に従って、可変形部位となる厚み50μm、幅100μmのポリエチレンよりなるスペーサー部材を介して、各々親水処理を施した厚み125μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)板「ルミラー」(東レ社製)よりなる上部基板と下部基板とを積層させることにより、空間が区画されたセル枠〔1〕を作製した。このセル枠内の空間大きさは、幅(図1における左右方向の長さ)5cm、奥行き(図1における紙面に垂直な方向の長さ)5cm、厚み(図1における上下方向の長さ)50μmである。
撹拌装置、加熱冷却装置、窒素導入装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応容器に、スチレン100質量部、スチレンスルホン酸ナトリウム0.2質量部、イオン交換水360質量部を混合させた単量体溶液を仕込み、窒素気流下200rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を70℃に昇温させた。一方、過硫酸ナトリウム0.01質量部を水20質量部に溶解させた重合開始剤溶液を調製して反応溶液に投入し、24時間重合反応を行って単分散性の高い球体の分散液(以下、「球体分散液〔1〕」という。)を得た。この球体分散液〔1〕中の球体〔1〕は平均粒径が200nm、CV値が4.3であった。
上記の球体分散液〔1〕をイオン交換水で希釈して球体〔1〕の濃度を10質量%に調整した。この調製した分散液に、セル枠〔1〕の向かい合う2枚のスペーサー部材を外した開口部を浸潰し、この状態において室温で24時間静置し、当該分散液をその内部空間内に毛管浸透させた後、分散液から取り出したところ、構造色を発現するものであることが確認された。これを室温で3日間静置することにより乾燥させて、周期構造体〔1〕を形成させた。その後、外した2枚のスペーサー部材を再び設置した。
セル枠〔1〕の上部基板を外した開口部から、イオン液体として1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート「B2337」(東京化成工業社製、融点:16℃)1mLを滴下して周期構造体〔1〕における球体〔1〕間の間隙に隙間なく粒子同士が非接触となるまで充填した。その後、再度上部カバーで開口部を覆い、当該開口部の周囲をUV硬化樹脂で封止することにより表示部材〔1〕を作製した。この表示部材〔1〕は、緑色を呈するものであった。
表示部材の作製例1において、イオン液体として1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルスルファート「E0650」(東京化成工業社製、融点:−65℃)を用いたことの他は同様にして、表示部材〔2〕を作製した。この表示部材〔2〕は、緑色を呈するものであった。
表示部材の作製例1において、イオン液体として1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート「B2474」(東京化成工業社製、融点:38℃)を用いたことの他は同様にして、表示部材〔3〕を作製した。この表示部材〔3〕は、緑色を呈するものであった。
表示部材の作製例1において、イオン液体として「B2337」/「E0650」(東京化成工業社製)の50/50混合物(それぞれ融点:16℃/−65℃)を用いたことの他は同様にして、表示部材〔4〕を作製した。この表示部材〔4〕は、緑色を呈するものであった。
表示部材の作製例1において、スペーサー部材としてポリ塩化ビニルよりなるものを用いたことの他は同様にして、表示部材〔5〕を作製した。この表示部材〔5〕は、緑色を呈するものであった。
表示部材の作製例1において、球体分散液〔1〕の代わりに下記の球体分散液〔2〕を用いたことの他は同様にして、表示部材〔6〕を作製した。この表示部材〔6〕は、緑色を呈するものであった。
(球体の作製例2)
球体の作製例1において、過硫酸ナトリウムの量を0.03質量部に変更したことの他は同様にして、球体分散液〔2〕を得た。この球体分散液〔2〕中の球体〔2〕は平均粒径が510nm、CV値が5.1であった。
表示部材の作製例1において、球体分散液〔1〕の代わりに下記の球体分散液〔3〕を用いたことの他は同様にして、表示部材〔7〕を作製した。この表示部材〔7〕は、青色を呈するものであった。
(球体の作製例3)
球体の作製例1において、単量体溶液として、スチレン100質量部、スチレンスルホン酸ナトリウム0.2質量部、ドデシル硫酸ナトリウム0.1質量部、イオン交換水360質量部を混合させたものを用い、重合開始剤溶液として過硫酸ナトリウム0.05質量部を水20質量部に溶解させた溶液を用いたことの他は同様にして、球体分散液〔3〕を得た。この球体分散液〔3〕中の球体〔3〕は平均粒径が45nm、CV値が6.0であった。
表示部材の作製例1において、イオン液体の代わりにエタノール(関東化学社製、融点:−117℃)を用いたことの他は同様にして、表示部材〔8〕を作製した。この表示部材〔8〕は、青緑色を呈するものであった。
表示部材の作製例1において、イオン液体の代わりにポリアクリル酸ナトリウムを用い、これを80℃に加熱して溶融させた状態で充填したことの他は同様にして、表示部材〔9〕を作製した。この表示部材〔9〕は、緑色を呈するものであった。
表示部材の作製例1において、イオン液体として1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド「B2194」(東京化成工業社製、融点:65℃)を用いたことの他は同様にして、表示部材〔10〕を作製した。この表示部材〔10〕は、緑色を呈するものであった。
表示部材の作製例1において、スペーザー部材として厚み50μm、幅5cmのガラスを用いたことの他は同様にして、表示部材〔11〕を作製した。この表示部材〔11〕は、緑色を呈するものであった。
(1)外部刺激による構造色変化
以上の表示部材〔1〕〜〔11〕に対して、常温常湿環境(温度25℃、湿度50%RH)のブラックボックス内において、表示部材の垂直方向に30cm離間した位置からD65光源を用いて投光しながら、厚み方向に加圧試験機を用いて1kgf/sの速度で圧力を1秒間加え、その加圧状態を保持する加圧試験を行い、この加圧試験の様子を、表示部材の垂直方向から30°の方向に50cm離間した位置にあるブラックボックスの観察孔から任意に選んだ5人のモニターに目視で観察してもらうモニター試験〔A〕を行い、構造色の変化を認識したモニターの数によって評価した。なお、構造色の変化を認識したモニターの数が3人以上である場合が合格と判断される。結果を表1に示す。
上記のモニター試験〔A〕を行い、構造色の変化が2秒以内に生じたと認識したモニターの数によって評価した。なお、構造色の変化が2秒以内に生じたと認識したモニターの数が3人以上である場合が合格と判断される。結果を表1に示す。
上記の加圧試験において、ブラックボックス内の環境を高温低湿環境(温度50℃、湿度30%RH)とし、加圧状態の保持を48時間行うことの他は同様にして劣化試験を行い、表示部材の垂直方向から30°の方向に50cm離間した位置にあるブラックボックスの観察孔から、任意に選んだ5人のモニターに、加圧状態初期の表示色と加圧48時間後の表示色をそれぞれ観察してもらう目視で観察してもらうモニター試験〔B〕を行い、表示色が変化しなかったと認識したモニターの数によって評価した。なお、表示色が変化しなかったと認識したモニターの数が3人以上である場合が合格と判断される。結果を表1に示す。
12 球体
15 球体層
16 周期構造体
20 セル枠
21 上部基板
22 下部基板
23 スペーサー部材
D 層間隔
M マトリックス
Claims (5)
- 球体およびマトリックスよりなり、構造色を発現する表示層が、セル枠内に封入されてなる構成を有し、外部からの刺激を受けることにより構造色変化を生じる表示部材であって、
前記セル枠が、前記外部からの刺激を受けることにより変形を生じ、これに伴って構造色変化を生じさせる可変形部位を有し、
当該セル枠における表示層の上方に位置する部分が透光性を有するものであり、
前記マトリックスが、融点が50℃以下であるイオン液体により形成されていることを特徴とする表示部材。 - 前記セル枠を構成するすべての材料が、前記イオン液体による揮発成分の透過率が1質量%以下のものであることを特徴とする請求項1に記載の表示部材。
- 球体の屈折率とマトリックスの屈折率との差の絶対値が、0.02〜2.0であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示部材。
- 球体の平均粒径が50〜500nmであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の表示部材。
- 構造色は、下記式(1)で表される色であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の表示部材。
式(1):λ=2nD(cosθ)
〔ただし、上記式(1)において、λは構造色のピーク波長、nは下記式(2)で表される表示層の屈折率、Dは球体層の層間隔、θは表示部材の垂線との観察角である。〕
式(2):n={na・c}+{nb・(1−c)}
〔ただし、上記式(2)において、naは球体の屈折率、nbはマトリックスの屈折率、cは表示層における球体の体積率である。〕
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