JP2009056482A - 基板分割方法、及び表示装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザビームの走査回数を低減することが可能な基板分割方法を提供する。
【解決手段】TFT素子基板等の分割対象基板4に対し、当該分割対象基板4の厚さ方向からレーザビームを照射して当該分割対象基板4を分割するにあたり、回折光学素子13でレーザビームを回折することにより、分割対象基板4の厚さ方向全域又はほぼ全域にわたってレーザビームのエネルギーを集光し、当該集光領域に改質領域1を形成する。これにより、基板分割に適した長くて細い集光領域により十分なエネルギー密度を得て分割対象基板4の厚さ方向全域又はほぼ全域にわたる改質領域1を形成することができ、これによりレーザビームの走査回数を低減することが可能となる。
【選択図】図3

Description

本発明は、レーザ光を照射して基板を分割する方法、特に基板の内部に改質領域を形成することにより基板を分割する基板分割方法、及びそれにより表示装置用基板を分割する表示装置の製造方法に関するものである。
このような基板分割方法としては、例えば下記の特許文献に記載されるものがある。このうち特許文献1では、基板の内部に改質領域を形成し、この改質領域が形成されている部分に外力を加えて基板を分割することが開示されている。また、特許文献2では、基板の厚さ方向に改質領域を複数形成し、その部分に外力を加えて基板を分割することが開示されている。また、特許文献3では、レーザビームの偏光方向の長軸と走査方向を一致させることが開示されている。また、特許文献4では、収差補正手段によってレーザビームの集光領域を長くして、つまりエネルギー密度の高い領域を長くして改質領域を厚さ方向に長くするようにしている。
特開2002−192367号公報 特開2002−205180号公報 特開2002−192369号公報 特開2007−021556号公報
ところで、例えば液晶表示パネルに使用されるTFT(Thin Film Transistor)基板として、石英基板の何れか一方の端面にTFTとしての機能を有するTFT膜を形成したり、そうした石英基板を貼り合わせたりしてなる基板に対し、前記各特許文献に記載されるように、この基板にレーザビームを照射して改質領域を形成し、外力を加えて基板を分割しようとする場合には、一回のレーザビームの照射では基板内に形成される改質領域の当該基板の厚さ方向の長さが短いので、レーザビームの集光領域を基板の厚さ方向にずらしながら当該レーザビームを分割線に沿って複数回走査しなければならないという問題がある。これに対し、前記特許文献4のように収差補正によって集光領域を長くすることは可能であるが、例えば前記TFT基板の厚さ方向全域に及ぶように集光領域を長くしようとすると、集光領域の光軸直交方向の径が太くなってしまう。集光領域が長く且つ太くなると、集光領域におけるエネルギー密度が低下してしまうので、基板内に所望の改質領域を形成することができず、結局、収差補正による改質領域の長さの増大には限界がある。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、レーザビームの走査回数を低減することが可能な基板分割方法及び表示装置の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の基板分割方法は、単一の又は複数の基板からなる基板に対し、レーザ光を照射して当該基板を分割する基板分割方法であって、回折光学素子でレーザ光を回折させ、少なくとも基板の厚さ方向の所望領域の全域にわたってレーザ光を照射して改質領域を形成することを特徴とするものである。
この発明によれば、回折光学素子でレーザ光を回折させ、少なくとも基板の厚さ方向の所望領域の全域にわたってレーザ光を照射して改質領域を形成することとしたため、基板分割に適した長くて細い集光領域により、十分なエネルギー密度を維持したまま基板の厚さ方向の所望領域の全域にわたって改質領域を形成することができ、これによりレーザ光の走査回数を低減することが可能となる。
また、改質領域を形成した後、基板に外力を加えることで当該基板を分割することを特徴とするものである。
この発明によれば、改質領域を形成した後、基板に外力を加えることで当該基板を分割することとしたため、基板を確実に且つ精度良く分割することができる。
また、本発明の基板分割方法は、レーザ光がフェムト秒レーザ、ピコ秒パルスレーザ、又はYAGレーザの何れかであることを特徴とするものである。
この発明によれば、レーザ光がフェムト秒レーザ、ピコ秒パルスレーザ、又はYAGレーザの何れかであることとしたため、基板の分割に適したレーザ光を用いて基板を分割することができる。
また、本発明の表示装置の製造方法は、前記本発明の基板分割方法で基板から表示装置用基板を分割することを特徴とするものである。
この発明によれば、前記本発明の基板分割方法で基板から表示装置用基板を分割することとしたため、基板の分割に係るレーザ光の走査回数を低減することで安価な表示装置を製造することができる。
次に、本発明の基板分割方法及び表示装置の製造方法の実施形態について、図面を用いて説明する。本実施形態は、液晶表示装置を構成する液晶表示パネルの製造工程において、当該液晶表示パネルに使用されるTFT基板をウエハ状の分割対象基板から切出す(分割する)ものである。ちなみに、液晶表示パネルは、周知のように、TFTを有するTFT基板、対向電極を有する対向基板、及び両基板間の隙間に充填された液晶などを備えて構成される。
図1には、分割される直前の分割対象基板の平面図を示す。この分割対象基板(基板)4は、複数の石英基板を貼り合わせてなり、図示しない絶縁層、画素電極なども形成され、これらがTFT膜としてTFT基板上に構成されている。このTFT基板上にはシール部材や液晶も載置され、それらを挟むようにして対向基板が接合されている。更に、TFT基板及び対向基板の外側には防塵用の石英基板が接着剤層を挟んで貼り付けられており、これら全体が分割対象基板としてのTFT基板をなす。
図2には、本実施形態のレーザビーム照射装置の概略構成を示す。このレーザビーム照射装置10は、レーザビームを出射するレーザ光源11と、出射されたレーザビームを反射するダイクロイックミラー12と、反射したレーザビームを回折して集光する回折光学素子13とを備えている。また、このレーザビーム照射装置10は、前述した分割対象基板4を載置するステージ17と、ステージ17を回折光学素子13に対して水平面直交2軸方向、即ち図2に記載のX軸及びY軸方向に移動させるX軸スライド部20及びY軸スライド部21と、ステージ17に載置された分割対象基板4に対して、回折光学素子13の高さ方向、即ち図2に記載のZ軸方向の位置を変えてレーザビームの集光点の位置を調整するZ軸スライド機構14と、ダイクロイックミラー12を挟んで回折光学素子13と反対側に位置する撮像装置22とを備えている。
また、このレーザビーム照射装置10は、前記各構成を制御するメインコンピュータ30を備えており、メインコンピュータ30にはCPUや各種メモリの他に、撮像装置22で撮像した画像情報を処理する画像処理部34を備えている。撮像装置22は、同軸落射型光源とCCD(固体撮像素子)とが組み込まれており、同軸落射型光源から出射した可視光は、回折光学素子13を透過する際に回折して集光する。また、このメインコンピュータ30には、レーザ加工の際に用いられる各種加工条件のデータを入力する入力部35と、レーザ加工時の各種情報を表示する表示部36とが接続されている。また、レーザ光源11の出力やパルス幅、パルス周期を制御するレーザ制御部31と、Z軸スライド機構14を駆動して回折光学素子13のZ軸方向の位置を制御するレンズ制御部32と、X軸スライド部20とY軸スライド部21を夫々レール18,19に沿って移動させるサーボモータ(不図示)を駆動するステージ制御部33とが接続されている。
回折光学素子13をZ軸方向に移動させるZ軸スライド機構14には、移動距離を検出可能な位置センサが内蔵されており、レンズ制御部32は、この位置センサの出力を検出して回折光学素子13のZ軸方向の位置を制御可能となっている。従って、撮像装置22の同軸落射型光源から出射した可視光の焦点が分割対象基板4の表面に一致するように回折光学素子13をZ軸方向に移動させれば、分割対象基板4の厚さを計測することが可能である。
なお、本実施形態では、ステージ17は、Y軸スライド部21に支持されているが、X軸スライド部20とY軸スライド部21との位置関係を逆転させてX軸スライド部20にステージ17が支持される形態としてもよい。また、θテーブルを介してステージ17をY軸スライド部21に支持することが好ましい。これによれば、分割対象基板4を光軸に対してより垂直な状態とすることが可能となる。
レーザ光源11としては、例えばチタンサファイヤを固体光源とするレーザビームをフェムト秒のパルス幅で出射する、所謂フェムト秒レーザが用いられる。この場合、パルスレーザビームは、波長分散特性を有しており、中心波長が800nm、パルス幅は凡そ300fs(フェムト秒)、パルス周期は5kHz、出力は凡そ1000mWである。レーザ光源11には、これに代えて、ピコ秒パルスレーザ(中心波長:800nm、パルス幅:3ps、平均出力:1W)やYAGレーザ(波長:355nm、パルス幅:35ns、平均出力:10W)を用いることも可能である。
回折光学素子13としては、例えば本出願人が先に提案した特開2004−136358号公報に記載のものが適用可能である。この回折光学素子13は、例えば以下のようにして形成する。即ち、まず石英基板にレジストを塗布し、例えば周期が等しい同心円のレジストパターンに応じて、集光したレーザビームの露光量を変えながらレジストを露光し、その後、レジストを現像して凹凸形状のレジストパターンとし、このレジストパターンに、例えばCHF3等のイオン化したガスをあてて同パターンをマスクとして利用することにより、イオンエッチングで石英基板にパターンを転写し、その後、残存するレジストを除去して石英基板上に所望の凹凸形状の回折光学素子13を形成する。
この回折光学素子13によれば、図3に示すように、その表面に周期が等しい同心円状の凹凸パターンが形成されているため、レーザビーム波面に位相変調を加えることができ、これにより被加工物である分割対象基板4に改質領域1を形成するのに必要な強度分布を持ったビームが得られ、このビームの強度分布によって分割対象基板4の厚さ(深さ)方向に形成される改質領域1の形状及び大きさを変えることができる。本実施形態では、この強度分布を調整することにより、図3に示すように、一回のレーザビームの照射によって分割対象基板4の厚さ方向の所望領域の全域にわたって改質領域1を形成し、当該改質領域1を形成した後、外力を加えるだけで当該分割対象基板4を分割可能とする。
分割対象基板4の厚さ方向の所望領域の全域にわたって改質領域1を形成するための回折光学素子13の同心円中心からの半径rに応じた位相分布Φ(r)は下記1式で与えられる。
Φ(r)=mod[2mπr/p] ……… (1)
但し、mod[ ]は位相分布を2πで繰り返す関数を示し、mは回折光学素子13の回折次数、rは回折光学素子13の半径、pは回折光学素子13の同心円の周期を示す。この位相分布から得られる光軸zに応じた非回折ビームの強度分布I(z)は下記2式で与えられる。
I(z)=C1z・exp(−C22
1=2πI0sin2θ
2=2sin2θ/a2 ……… (2)
但し、入射ビームの強度分布はガウス分布でI(r)=I0exp(−2r2/a2)であり、その半径1/e2をaとした。また、レーザ波長をλとしたとき、sinθ=mλ/pであり、m次の回折波を利用した光軸z上のビーム整形であることを意味する。
更に、2式から、光軸z上の強度が最大となる位置Zcは、同式を微分することにより下記3式のように求まる。
Zc=(a/2)(p/λ)(1/m) ……… (3)
この3式から、分割対象基板4に厚さ方向の所望領域の全域にわたる改質領域1を形成するための強度分布を得るためには、例えば回折光学素子13の同心円状の凹凸パターンの周期pを変えたり、回折次数mを選んだりすればよい。光軸z上の強度が最大となる位置Zcにおけるビーム強度I(Zc)は下記4式で与えられる。
I(Zc)=(πaI0/exp(1/2))・m(λ/p) ……… (4)
4式から明らかなように、回折光学素子13の同心円状の凹凸パターンの周期pを短くすることにより光軸z上のビーム強度が高くなることが分かる。また、高次(m>1)の回折波を用いてビーム整形を行う場合にも、回折次数mが大きくなるほど光軸z上のビーム強度が高くなる。
これらの関係から、ビーム強度分布I(z)を計算すると、例えば回折次数m=1の回折波を用いるものとし、レーザ波長λ=800nm、入射ビームの半径a=3.0mmとしたとき、例えば回折光学素子13の同心円状の凹凸パターンの周期p=20.0mmとすると、光軸z上の強度が最大となる位置Zcは37.5mmであり、分割対象基板4に改質領域1を形成する所定レベル以上の強度分布の深さは24mmとなる。また、回折光学素子13の同心円状の凹凸パターンの周期p=10.0mmの場合には、光軸z上の強度が最大となる位置Zcは18.8mmであり、分割対象基板4に改質領域1を形成する所定レベル以上の強度分布の深さは12mmとなる。また、回折光学素子13の同心円状の凹凸パターンの周期p=5.0mmの場合には、光軸z上の強度が最大となる位置Zcは9.4mmであり、分割対象基板4に改質領域1を形成する所定レベル以上の強度分布の深さは6mmとなる。
本実施形態では、このようにして分割対象基板4の厚さ方向の所望領域の全域にわたって改質領域1を形成することができるので、例えば図4のように、分割線に沿ってレーザビームを一回走査するだけで、分割線全域に帯状の改質領域1を連続して形成することができ、その後、図4の上下方向に外力を加えれば、当該分割対象基板4を容易且つ正確に分割することができる。
前記従来の基板分割方法では、例えば図2に示すように、例えば集光レンズなどによってレーザビームを集光しながら分割対象基板4に照射する。レーザビームの集光領域では、エネルギー密度が高くなるので、石英基板等の分割対象基板4内に改質領域1が形成される。但し、この改質領域1の基板厚さ方向の長さは短い。従って、図5に示すように、集光領域を基板厚さ方向にずらしながら、分割線に沿ってレーザビームを複数回走査することで、改質領域1を分割対象基板4の分割断面の厚さ方向に複数層形成し、その後、曲げモーメントを外力として加えて当該分割対象基板4を分割する。
このレーザビームの集光、照射において、収差補正を行うと、集光領域が長くなる。また、石英基板外の空気中でレーザビームが一点に集光するようにした場合においても、レーザビームの石英基板内を通過する長さが長くなると、石英基板内では一点で集光しなくなり、集光領域が長くなることもある。このように集光領域が長くなると、改質領域1も長くなる。しかしながら、一般に、レーザビームの集光、照射において、レーザビームの集光領域が長くなると、その径も太くなる。例えば、TFT基板を分割対象基板4として、その厚さ方向の所望領域の全域が集光領域になるように、例えば収差補正を行うと、集光領域が太くなり過ぎ、集光領域におけるエネルギー密度が低くなって改質領域1を形成することができなくなる。
これに対して、本実施形態のように、レーザビームを回折して集光する場合には、レーザ強度の高い領域が長く且つ細いので、分割対象基板4の厚さ方向の所望領域の全域にわたって改質領域1を形成することができる。
このように、本実施形態の基板分割方法によれば、単一の又は複数の基板からなる基板4に対し、レーザ光を照射して当該基板4を分割するにあたり、回折光学素子13でレーザ光を回折させ、少なくとも基板4の厚さ方向の所望領域の全域にわたってレーザ光を照射して改質領域1を形成することとしたため、基板分割に適した長くて細い集光領域により、十分なエネルギー密度を維持したまま基板4の厚さ方向の所望領域の全域にわたって改質領域1を形成することができ、これによりレーザビームの走査回数を低減することが可能となる。
また、改質領域1を形成した後、基板4に外力を加えることで当該基板4を分割することとしたため、基板4を確実に且つ精度良く分割することができる。
また、レーザ光がフェムト秒レーザ、ピコ秒パルスレーザ、又はYAGレーザの何れかであることとしたため、基板4の分割に適したレーザ光を用いて基板4を分割することができる。
また、本発明の基板分割方法で基板4から表示装置用基板を分割することとしたため、基板4の分割に係るレーザ光の走査回数を低減することで安価な表示装置を製造することができる。
本発明を適用した分割対象基板の平面図である。 図1の基板分割方法に用いられるレーザビーム照射装置の概略構成図である。 図2の回折光学素子によるレーザビーム回折の説明図である。 図2のレーザビーム照射装置で分割対象基板に形成される改質領域の説明図である。 従来の基板分割方法の説明図である。
符号の説明
1 改質領域、4 分割対象基板、10 レーザビーム照射装置、13 回折光学素子。

Claims (4)

  1. 単一の又は複数の基板からなる基板に対し、レーザ光を照射して当該基板を分割する基板分割方法であって、回折光学素子で前記レーザ光を回折させ、少なくとも前記基板の厚さ方向の所望領域の全域にわたって前記レーザ光を照射して改質領域を形成することを特徴とする基板分割方法。
  2. 前記改質領域を形成した後、前記基板に外力を加えることで当該基板を分割することを特徴とする請求項1に記載の基板分割方法。
  3. 前記レーザ光がフェムト秒レーザ、ピコ秒パルスレーザ、又はYAGレーザの何れかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板分割方法。
  4. 前記請求項1乃至3の何れかに記載の基板分割方法で前記基板から表示装置用基板を分割することを特徴とする表示装置の製造方法。
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